立体物体の撮像装置
【課題】複眼撮像手段によって撮像された複数の個眼像に基づいて再構成画像を作成する立体物体の撮像装置において、精細度の高い再構成画像を得る。
【解決手段】マイクロプロセッサは、複眼撮像装置から複数の個眼像を取得し(S21)、画素ごとの距離を算出する(S22)。次に、各個眼像から低周波数成分を抽出して低周波数成分個眼像を作成し(S23)、元の個眼像から低周波数成分個眼像を減算して高周波数成分個眼像を作成する(S24)。さらに、各高周波数成分個眼像を、画素ごとに、固有の画素距離へ再配置して1つの高周波数成分再構成画像を作成し(S25)、低周波数成分個眼像の中からノイズの少ない1つの低周波数成分個眼像を選択し(S26)、画素ごとに、固有の画素距離へ再配置して1つの低周波数成分逆投影画像を作成する(S27)。最後に、高周波数成分再構成画像と低周波数成分逆投影画像を加算して再構成画像を得る(S28)。
【解決手段】マイクロプロセッサは、複眼撮像装置から複数の個眼像を取得し(S21)、画素ごとの距離を算出する(S22)。次に、各個眼像から低周波数成分を抽出して低周波数成分個眼像を作成し(S23)、元の個眼像から低周波数成分個眼像を減算して高周波数成分個眼像を作成する(S24)。さらに、各高周波数成分個眼像を、画素ごとに、固有の画素距離へ再配置して1つの高周波数成分再構成画像を作成し(S25)、低周波数成分個眼像の中からノイズの少ない1つの低周波数成分個眼像を選択し(S26)、画素ごとに、固有の画素距離へ再配置して1つの低周波数成分逆投影画像を作成する(S27)。最後に、高周波数成分再構成画像と低周波数成分逆投影画像を加算して再構成画像を得る(S28)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、立体物体の撮像装置に関し、詳しくは、複眼撮像手段によって撮像された複数の個眼像に基づいて立体物体の画像を再構成する立体物体の撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複数のマイクロレンズを有する複眼式カメラを用いて取得した複数の個眼像から単一の画像を画像処理によって再構成する装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。複眼式カメラは、薄型に構成できる上に容易に明るい像を得ることができるという長所を有する反面、撮像された各個眼像は精細度が低いという欠点を有していることから、複数の個眼像を単一の画像に再構成する画像処理工程において精細度を高めるために相加平均法、擬似逆行列法、画素再配置法等の種々の手法が開発されている。
【0003】
相加平均法は、個眼像の重心位置を基準として画像を重ね合わせる手法であり、擬似逆行列法は、被写体である物体と個眼像とをベクトルで表現し、光学系の点像分布関数を行列で記述し、点像分布関数の逆行列を数学的に演算することによって1つの再構成画像を作成する手法である。
【0004】
上記特許文献1には、複数の個眼像を精細度の高い単一の画像に再構成する手法の1つである画素再配置法が開示されている。ここで、特許文献1に記載された画像構成装置について、図16、17を参照して簡単に説明する。特許文献1に記載された画像構成装置100は、図16に示されるように、複眼式カメラ101と、複眼式カメラ101によって撮像された画像を処理するプロセッサ102から構成され、プロセッサ102は、図17に示されるように、複眼式カメラ101によって撮像された各個眼像Q1、Q2、Q3の画素をシフト量(各個眼像間の相対位置のずれ)に応じて少しずつずらして同一領域M上に再配置する。画像構成装置100は、各個眼像Q1、Q2、Q3の画素を同一領域M上に再配置するに際してシフト量を、各個眼像Q1、Q2、Q3間の相関関数に基づいて算出している。
【0005】
また、被写体に対して移動するカメラによって撮像される複数の画像に基づいて被写体までの距離分布を導出し、導出した距離分布に基づいて被写体の2次元画像を生成する3次元形状抽出装置(例えば、特許文献2参照)や、複数のイメージセンサによって撮像される像における視差に基づいて三角測量の原理により被写体までの距離を導出し、対象とする物体の存在範囲を検出する方法(例えば、特許文献3参照)が知られている。
【0006】
さらに、CCD撮像素子によって撮像された画像における画像領域を、距離センサによって測定された距離分布に基づいて距離ごとに分離し、所定の合成画像を作成する撮影装置(例えば、特許文献4参照)が知られている。
【特許文献1】特開2005−167484号公報
【特許文献2】特開平9−187038号公報
【特許文献3】特許第3575178号公報
【特許文献4】特開2001−167276号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、上記特許文献1に示された画像構成装置は、画素再配置法を採用して複数の個眼像から2次元画像を再構成するものであり、相加平均法や擬似逆行列法等に比べると精細度の高い再構成画像が得られるが、複数の個眼像を、画素ごとに再配置して2次元画像に再構成するときの再配置平面が、複眼式カメラから一定の距離(物体が元々配置されていた位置)に設定された固定平面であるので、物体が奥行きのある立体物体であるときには、精細度の高い再構成画像を得ることが困難であるし、物体の複眼式カメラからの距離が既知である場合にしか適用できないという欠点があった。
【0008】
なお、特許文献1には、第2の発明として、物体と複眼式カメラとの距離が未知である場合に、シフト量と、複眼式カメラの各レンズ間距離、レンズの焦点距離等の既知のパラメータから物体と複眼式カメラ間の距離を導出する旨の記載があるが、具体的な距離導出の手法は開示されていない上に、撮像工程とは別の工程において予めパラメータとなる数値を取得しておかなければならないという問題がある。
【0009】
また、特許文献2に記載の装置は、撮像手段が複眼式カメラではなく、単眼式カメラの移動に伴ってシャッタを複数回切ることによって視点の異なる複数枚の画像を取得するものであるので、物体と撮像手段との間の距離が撮像の都度異なり、精細度の高い再構成画像を得ることができない。
【0010】
そこで、本発明は、複眼撮像手段によって撮像された複数の個眼像に基づいて立体物体の画像を再構成する立体物体の撮像装置において、簡素な工程によって容易に精細度の高い再構成画像を得ることができる、立体物体の撮像装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、複眼撮像手段と、前記複眼撮像手段によって撮像された複数の個眼像に基づいて立体物体の画像を再構成する画像再構成手段と、を備える立体物体の撮像装置において、前記画像再構成手段は、前記複眼撮像手段から取得した複数の個眼像に基づいて、個眼像を構成する画素ごとの立体物体と前記複眼撮像手段間の距離(以下、画素距離という)を算出する距離算出手段と、前記複数の個眼像を、画素ごとに前記画素距離へ再配置することによって、再構成画像を作成する再構成画像作成手段と、を備えることを特徴とする。
【0012】
請求項2の発明は、請求項1に記載の発明において、前記再構成画像作成手段は、前記複数の個眼像からそれぞれ高周波数成分を抽出して、複数の高周波数成分個眼像を作成する高周波数成分個眼像作成手段と、前記複数の個眼像からそれぞれ低周波数成分を抽出して、複数の低周波数成分個眼像を作成する低周波数成分個眼像作成手段と、前記高周波数成分個眼像作成手段によって作成された複数の高周波数成分個眼像を、画素ごとに前記画素距離へ再配置することによって高周波数成分再構成画像を作成する高周波数成分再構成画像作成手段と、前記低周波数成分個眼像作成手段によって作成された複数の低周波数成分個眼像の中からノイズの少ない低周波数成分個眼像を選択する画像選択手段と、前記画像選択手段によって選択された低周波数成分個眼像を、画素ごとに前記画素距離へ逆投影することによって低周波数成分逆投影画像を作成する低周波数成分逆投影画像作成手段と、前記高周波数成分再構成画像作成手段によって作成された高周波数成分再構成画像と、前記低周波数成分逆投影画像作成手段によって作成された低周波数成分逆投影画像と、を加算して前記再構成画像を得る加算手段と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1の発明によれば、複眼撮像手段によって撮像した複数の個眼像の画素ごとに立体物体と複眼撮像手段との間の距離(以下、画素距離という)を算出し、各個眼像を、画素ごとに画素距離へ再配置するので、簡素な工程によって容易に精細度の高い再構成画像を得ることができる。
【0014】
請求項2の発明によれば、複眼撮像手段によって撮像した複数の個眼像を、高周波数成分と低周波数成分に分けた上で、それぞれから高周波数成分再構成画像と低周波数成分逆投影画像とを作成し、高周波数成分再構成画像と、最もノイズの少ない低周波数成分逆投影画像とを加算することによって再構成画像を得るので、複眼撮像手段を用いることによって生じがちな低周波数ノイズの影響を低減することができ、さらに精細度の高い再構成画像を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
(第1の実施形態)
以下、本発明の第1の実施形態に係る立体物体の撮像装置について、図1乃至図14を参照して説明する。本実施形態の立体物体の撮像装置1は、図1に示されるように、複眼撮像装置2と、複眼撮像装置2によって撮像された画像情報をAD変換器3を介して取込み、取込んだディジタルの画像情報に基づいて画素ごとに立体物体と複眼撮像装置2との間の距離(以下、画素距離という)を算出し、算出した画素距離に基づいて再構成画像を作成するマイクロプロセッサ4を主体とする画像再構成装置5を備える。複眼撮像装置2の前方には、大きさの異なる2個の球状物体Sb1、Sb2と、1個の立方体Scが異なる距離d1、d2、d3に載置されている。
【0016】
複眼撮像装置2は、同一平面に3行3列のアレイ状に配置された9個(本実施形態では、9個としているが、実際には多い方が望ましい)の光学レンズLからなる光学レンズアレイ6と、各光学レンズLの焦点位置にそれぞれ形成される9個の個眼像k1、k2・・k9を撮像するCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサから構成された固体撮像素子7と、を備える(図2(a)参照)。
【0017】
ここで、光学レンズアレイ6と、光学レンズアレイ6の前方に置かれた物体と、各光学レンズLによって形成される固体撮像素子7上の個眼像k1、k2・・k9との位置関係等について、図2(a)、(b)を参照して説明する。物体は、説明の都合上2次元平面に倒立した文字「A」が描かれた板状のもの(以下、物体Aという)とし、光学レンズアレイ6は、図2(a)におけるXY平面に平行に配置され、固体撮像素子7は光学レンズアレイ6に平行に配置されている。
【0018】
物体Aからの光が、9個の光学レンズLによって固体撮像素子7上にそれぞれ集光されて3行3列の9個の個眼像k1、k2・・k9を形成する。いま、物体Aと光学レンズアレイ6との距離をD、光学レンズアレイ6と固体撮像素子7との距離(焦点距離)をf、物体Aの縦長(大きさ)をH、各個眼像k1、k2・・k9における縦長(大きさ)をhとすると、h=H×f/Dが成立する。実際の複眼撮像装置2では、焦点距離fが極めて小さな値になり、個眼像の大きさhも小さな値になる。
【0019】
また、各個眼像k1、k2・・k9は、互いに視差を有する画像になっている。例えば、中央の光学レンズLによって形成される個眼像k5と、中央の光学レンズLに対して左右に位置する光学レンズLによって形成される個眼像k4、k6とは視点が左右に、光学レンズL間の距離dずつずれるために、図2(b)に示されるように、互いに左右方向の視差角θを有することになる。tanθ=d/Dである。
【0020】
図1に示される画像再構成装置5は、マイクロプロセッサ4と、マイクロプロセッサ4の動作プログラム等を格納したROM8と、画像データ等を一時的に記憶するRAM9と、大規模容量のメモリ11とを備え、マイクロプロセッサ4は、複眼撮像装置2から取込んだ各個眼像k1、k2・・k9の画像情報に基づいて再構成画像を作成し、液晶パネル等の表示装置10へ表示する。
【0021】
次に、マイクロプロセッサ4が実行する再構成画像の作成手順について、図3及び図4のフローチャートを参照して説明する。マイクロプロセッサ4は、図3のフローチャートに示されるように、固体撮像素子7によって撮像された9個の個眼像k1、k2・・k9をディジタルの画像情報として取込み(S1)、各個眼像k1、k2・・k9に基づいて画素距離を算出し(距離画像を作成し)(S2)、各個眼像k1、k2・・k9を距離画像に基づいて再配置し、再構成画像を作成する(S3)。
【0022】
以下、S2の画素距離の算出工程について、図4のフローチャート、及び図5乃至図9を参照して詳細に説明する。物体は、ここでは説明の煩雑を避けるために未知の距離Dに載置された平面物体A(図2参照)を用いて説明するが、奥行きのある立体物体は、異なった未知の距離Dに載置された複数の平面物体が連続したものと考えることができる。
【0023】
マイクロプロセッサ4は、まず、予め設定された複数の仮距離Dnの中から最初の仮距離D1を読出してきて設定する(S11)。仮距離Dnは、光学レンズアレイ6と物体間の距離Dの候補であって、ROM8、又はメモリ11内に離散した値として予め多数記憶されて用意されるが、実際には遠方にある物体ほど視差角θが小さくなって個眼像間のずれに基づく距離判別が困難になるので、光学レンズアレイ6に近い(近距離)領域では比較的短い間隔で多数の仮距離が設定され、光学レンズアレイ6から遠い(遠距離)領域では比較的長い間隔で少数の仮距離が設定される。例えば、仮距離Dnは、指数関数(u=av)で定義される離散的なuの値であってもよい。
【0024】
次に、マイクロプロセッサ4は、設定した仮距離D1に基づいて、記憶している9個の個眼像k1、k2・・k9から1つの再構成画像を作成する(S12)。この再構成画像作成工程は、特許文献1に記載された画素再配置法と同等の手法により行うことができる。再構成画像作成工程について、図5及び図6を参照して説明する。マイクロプロセッサ4は、各個眼像k1、k2・・k9のxy座標平面における同一座標位置の画素gごとに、当該画素gの値を光学レンズアレイ6から仮距離D1の位置にある平面に投影するようにして再配置する(図5参照)。以下の説明では、各個眼像k1、k2・・k9ごとの座標は、xy座標として示し、2次元平面XYと区別する。
【0025】
具体的には、マイクロプロセッサ4は、各個眼像k1、k2・・k9の座標(x=1、y=1)の位置の画素g(1、1)が、それぞれ対応する光学レンズLの集光路を逆に辿って仮距離D1の位置にある平面に配置され、次に座標(x=2、y=1)の位置の画素g(2、1)が、それぞれ対応する光学レンズLの集光路を逆に辿って仮距離D1の位置にある平面に配置され、・・という工程を繰返して1つの再構成画像Ad1を作成する。従って、作成された再構成画像Ad1における画素g(x、y)に相当する領域G(x、y)は、図6に示されるように、仮の視差角θ1(tanθ1=d/D1)が反映したずれ量だけずらされて配置された各個眼像k1、k2・・k9からの画素g(x、y)によって構成される。上記のようにして作成された1つの再構成画像Ad1は、メモリ11等に記憶される。
【0026】
なお、図5において、未知の距離Dにある平面に再構成される場合の再構成画像Adが点線で示される。ここで、仮距離D1が未知の距離Dとずれている場合には、再構成画像Ad1は、再構成画像Adに比べて精細度が劣り、仮距離D1が未知の距離Dに等しい場合には、高い精細度の再構成画像Ad1が得られる。
【0027】
次に、マイクロプロセッサ4は、仮距離D1に基づいて、記憶している9個の個眼像k1、k2・・k9から9個の逆投影画像を作成する(S13)。この逆投影画像作成工程について、図7及び図8を参照して説明する。代表的に中央の個眼像k5について逆投影画像を作成する工程について説明する。マイクロプロセッサ4は、個眼像k5の画素gごとに、当該画素gの値を光学レンズアレイ6から仮距離D1の位置にある平面に投影するようにして作成する(図7)。
【0028】
具体的には、マイクロプロセッサ4は、図8に示されるように、中央の個眼像k5の座標(x=1、y=1)の画素g(1、1)が、中央の光学レンズLの集光路を逆に辿って仮距離D1の位置にある平面に拡大して配置され、次に座標(x=2、y=1)の画素g(2、1)が、中央の光学レンズLの集光路を逆に辿って仮距離D1の位置にある平面に拡大して配置され、・・という工程を繰返して1つの逆投影画像Ard1を作成する。従って、作成された逆投影画像Ard1における画素g(x、y)に相当する領域G(x、y)は、1つの画素g(x、y)から構成される。そして、マイクロプロセッサ4は、上記の逆投影画像作成工程を、各個眼像k1、k2・・k9について繰返し、9個の逆投影画像Ard1を作成する。作成された9個の逆投影画像Ard1は、メモリ11等に記憶される。
【0029】
次に、マイクロプロセッサ4は、作成した1つの再構成画像Ad1と、9個の逆投影画像Ard1と、に基づいてxy座標の画素ごとに評価値を算出する(S14)。具体的には、評価値SSD(x、y)は、次の式によって与えられる。
【数1】
この式において、iは個眼像の番号、Ri(x、y)は、i個目の個眼像kiにおける逆投影画像Ard1におけるxy座標位置の画素Gの値であり、B(x、y)は、再構成画像Ad1におけるxy座標位置の画素Gの値である。nは、個眼像の個数であり、本実施形態では9である。
【0030】
具体的には、マイクロプロセッサ4は、xy座標の各画素gについて、1個目の個眼像k1に関する逆投影画像Ard1と再構成画像Ad1との差を二乗して1個目の個眼像k1の逆投影画像Ard1についての偏差を算出し、同様にして2個目の個眼像k2の逆投影画像Ard2についての偏差を算出し、・・同様にして9個目の個眼像k9の逆投影画像Ard9についての偏差を算出し、最後に9個の偏差を合計して評価値SSD(x、y)を算出する。算出された評価値SSD(x、y)は、RAM9等に記憶される。
【0031】
次に、マイクロプロセッサ4は、S11において設定した仮距離Dnが全て終了したか否かを判断し(S15)、全て終了していない場合(S15でNO)は、再びS11に戻って仮距離Dnを更新する(S11)。具体的には、仮距離D1の設定を仮距離D2へ更新する。仮距離D1より仮距離D2の方が大きい場合には、光学レンズアレイ6からより遠ざかった位置に1つの再構成画像Ad2が作成され(S12)、9個の逆投影画像Ard2が作成され(S13)、評価値SSD(x、y)が算出される。
【0032】
以上の工程を繰返すことによって、メモリ11内には、仮距離Dnの個数分の評価値SSD(x、y)が評価値群として記憶される。メモリ11内に記憶された評価値群が、図9に模式的に示される。ここで、メモリ11は、図9に示される各xy座標位置に対応した評価値SSDを記憶している。
【0033】
そして、マイクロプロセッサ4は、S15において、全ての仮距離Dnについての評価値SSD(x、y)の算出が終了したと判断したときに(S15でYES)、各xy座標位置の画素g(x、y)についての評価値SSD(x、y)のうち、どの仮距離Dnにおける評価値SSD(x、y)が最小であるかを判定し、評価値SSD(x、y)が最小になる仮距離Dnを各xy座標位置の画素gについての距離Dであるとして決定する(S16)。
【0034】
換言すると、マイクロプロセッサ4は、図9に示された評価値群の中から、xy座標の各画素gについて、z方向に沿って評価値SSDを検索することによって、評価値SSDが最小になる仮距離Dnを検出する。最後に、マイクロプロセッサ4は、S16において決定したxy座標の各画素gに関する距離Dを画面の濃淡に変換した距離画像を作成する(S17)。
【0035】
図10は、撮像される物体が、図1に示されるように、異なる距離に配置された2個の球状物体Sb1、Sb2と、1個の立方体Scである場合の、各個眼像k1、k2・・k9を示す。図11は、複眼撮像装置2からの距離が、それぞれ球状物体Sb1がd1=53cm、球状物体Sb2がd2=23cm、立方体Scがd3=3cmである場合において、仮距離Dnが23cmであるときの再構成画像Adnを示し、図12は、上記S7で導出された距離画像PDを示す。
【0036】
図11に示された再構成画像Adnは、仮距離Dnが球状物体Sb2の複眼撮像装置2からの距離(23cm)と同等の位置に設定されている場合の再構成画像であり、球状物体Sb2は、高い精細度で再構成されるが、球状物体Sb1と立方体Scは、精細度が低い。
【0037】
また、図12に示された距離画像PDでは、遠方にある球状物体Sb1は、距離d1=53cmを表す濃色に表示され、中間の位置にある球状物体Sb2は、距離d2=23cmを表す淡色に表示され、極めて近い位置にある立方体Scは、距離d3=3cmを表す白色に表示されており、色の濃淡がxy座標の各画素における画素距離PD(xy)を表す。
【0038】
次に、マイクロプロセッサ4は、上記のようにして導出した距離画像PDに基づいて、各個眼像k1、k2・・k9を、画素gごとに固有の位置(画素距離)に再配置して再構成画像を作成する(S3)。この再構成工程を、立体物体が上記の3つの物体Sb1、Sb2、Scである場合を例にとり、かつ各物体Sb1、Sb2、Scを構成する各画素についての画素距離の相違を無視して説明する(各物体Sb1、Sb2、Scは、擬似的に奥行きのない平面物体であるとして説明する)。
【0039】
マイクロプロセッサ4は、図14に概念的に示されるように、球状物体Sb1の画像PSb1を距離画像PDに基づいて光学レンズアレイ6から53cmの距離d1(画素距離)に再配置し、球状物体Sb2の画像PSb2を距離画像PDに基づいて光学レンズアレイ6から23cmの距離d2(画素距離)に再配置し、立方体Scの画像PScを距離画像PDに基づいて光学レンズアレイ6から3cmの距離d3(画素距離)に再配置する。
【0040】
換言すると、マイクロプロセッサ4は、各個眼像k1、k2・・k9を、画素ごとに、距離画像PDによって規定される固有の画素距離PD(xy)に再配置して再構成画像RP(図13)を作成する。従って、作成された再構成画像RPでは、いずれの物体Sb1、Sb2、Scについても焦点が正しく調整されて高い精細度で再構成される。マイクロプロセッサ4は、作成した再構成画像RPを、表示装置10へ表示する。
【0041】
なお、本実施形態における画素距離の算出工程(S2)では、個眼像k1、k2・・k9から再構成された再構成画像Adと、各個眼像k1、k2・・k9から逆投影された逆投影画像Ardとの偏差から算出された評価値SSDの大きさに基づいて画素距離PD(xy)が算出されたが、画素距離は他の手法によって算出されてもよい。
【0042】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態について、図15を参照して説明する。第2の実施形態は、第1の実施形態に対して、ハード構成が同一であり、マイクロプロセッサ4が実行する再構成画像の作成手順についても画素距離の算出工程(S2)までが同一である。具体的には、図15のフローチャートにおける個眼像の取得工程(S21)と、画素距離の算出工程(S22)は、第1の実施形態における個眼像の取得工程(S1)と、画素距離の算出工程(S2)と同一であるので説明を省略し、以下、S23以降について説明する。
【0043】
マイクロプロセッサ4は、S21において取得した各個眼像k1、k2・・k9に公知の平滑化フィルタを適用することによって、それぞれ低周波数成分を抽出し、低周波数成分個眼像kl1、kl2・・kl9を作成する(S23)。次に、マイクロプロセッサ4は、元の各個眼像k1、k2・・k9から、それぞれ低周波数成分個眼像kl1、kl2・・kl9を減算して高周波数成分個眼像kh1、kh2・・kh9を作成する(S24)。作成された低周波数成分個眼像kl1、kl2・・kl9、及び高周波数成分個眼像kh1、kh2・・kh9は、メモリ11等に記憶される。
【0044】
さらに、マイクロプロセッサ4は、画素距離の算出工程(S22)において取得した距離画像PDに基づいて、高周波数成分個眼像kh1、kh2・・kh9を、画素ごとに各画素距離PD(xy)へ再配置することによって1つの高周波数成分再構成画像を作成する(S25)。この高周波数成分再構成画像の作成工程は、第1の実施形態における再構成工程(S3)と同様に、各個眼像kh1、kh2・・kh9を、画素ごとに、距離画像PDによって規定される固有の画素距離PD(xy)に再配置する工程である。作成された高周波数成分再構成画像は、メモリ11に記憶される。
【0045】
次に、マイクロプロセッサ4は、S23において作成した低周波数成分個眼像kl1、kl2・・kl9の中から明るさが所定の閾値よりも低いとか、1つの低周波数成分個眼像の中で大きなグラデュエーションがある等のノイズが少ない1つの低周波数成分個眼像を選択する(S26)。
【0046】
ここで、複眼撮像装置2は、光学レンズアレイ6の構造上、周辺の個眼像(例えば、個眼像k1、k3、k7、k9)が、中央の個眼像(例えば、個眼像k5)に比較して暗く(周辺減光という)、マイクロプロセッサ4は、明るさの値、グラデュエーションの程度等を基準にして最も明るく、ノイズの少ない低周波数成分個眼像(例えばkl5)を選択する。そして、マイクロプロセッサ4は、その低周波数成分個眼像kl5に対して、画素距離の算出工程(S22)において取得した距離画像PDに基づいて、画素ごとにその画素距離PD(xy)へ逆投影することによって1つの低周波数成分逆投影画像を作成する(S27)。作成された低周波数成分逆投影画像は、メモリ11に記憶される。
【0047】
最後に、マイクロプロセッサ4は、メモリ11に記憶された高周波数成分再構成画像と低周波数成分逆投影画像とを読出してきて、両画像を加算して再構成画像とする(S28)。この加算工程(S28)において、マイクロプロセッサ4は、加算に先立って高周波数成分再構成画像の各画素の値に1以上の係数を掛けておき、高周波数成分再構成画像を強調することによって画像の先鋭化を図ることができる。
【0048】
以上のように、第2の実施形態の立体物体の撮像装置では、複眼撮像装置2によって撮像した複数の個眼像k1、k2・・k9を、高周波数成分と低周波数成分に分けた上で、それぞれの成分から高周波数成分再構成画像と低周波数成分個眼像とを作成し、最もノイズの少ない低周波数成分個眼像(例えば、個眼像kl5)から作成した低周波数成分逆投影画像と高周波数成分再構成画像を加算することによって再構成画像を得るので、複眼撮像装置2を用いることによって生じがちな周辺減光等の影響を低減することができて、さらに精細度の高い再構成画像を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る立体物体の撮像装置の概略構成を示すブロック図。
【図2】(a)は同立体物体の撮像装置における物体と光学レンズアレイと個眼像との位置関係を示す斜視説明図、(b)は同立体物体の撮像装置における物体と光学レンズアレイと個眼像との位置関係を示す平面説明図。
【図3】同立体物体の撮像装置における再構成画像の作成手順を示すフローチャート。
【図4】同立体物体の撮像装置における距離算出手順のフローチャート。
【図5】同立体物体の撮像装置における再構成画像の作成原理を示す斜視説明図。
【図6】同立体物体の撮像装置における再構成画像の作成原理を示す説明図。
【図7】同立体物体の撮像装置における逆投影画像の作成原理を示す斜視説明図。
【図8】同立体物体の撮像装置における逆投影画像の作成原理を示す説明図。
【図9】同立体物体の撮像装置においてメモリに蓄積される評価値データの説明図。
【図10】同立体物体の撮像装置において複眼撮像装置によって撮像された個眼像の例を示す図。
【図11】同立体物体の撮像装置における1つの仮距離が設定されたときの再構成画像の例を示す図。
【図12】同立体物体の撮像装置における距離画像の例を示す図。
【図13】同立体物体の撮像装置における距離画像に基いて作成された再構成画像の例を示す図。
【図14】同立体物体の撮像装置における立体物体が3つであるときの再構成画像の作成原理を示す斜視説明図。
【図15】本発明の第2の実施形態に係る立体物体の撮像装置における再構成画像の作成手順を示すフローチャート。
【図16】従来の画像構成装置における概略構成を示すブロック図。
【図17】同従来の画像構成装置における画像の再構成手法を示す説明図。
【符号の説明】
【0050】
1 立体物体の撮像装置
2 複眼撮像装置(複眼撮像手段)
4 マイクロプロセッサ(距離算出手段、再構成画像作成手段、高周波数成分個眼像作成手段、低周波数成分個眼像作成手段、高周波数成分再構成画像作成手段、画像選択手段、低周波数成分逆投影画像作成手段、加算手段)
5 画像再構成装置(画像再構成手段)
A 物体
Adn 再構成画像
Ardn 逆投影画像
D 距離
PD 距離画像(画素距離)
Sb1、Sb2 球状物体(立体物体)
Sc 立方体(立体物体)
g 画素
k1、k2、・・k9 個眼像
【技術分野】
【0001】
本発明は、立体物体の撮像装置に関し、詳しくは、複眼撮像手段によって撮像された複数の個眼像に基づいて立体物体の画像を再構成する立体物体の撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複数のマイクロレンズを有する複眼式カメラを用いて取得した複数の個眼像から単一の画像を画像処理によって再構成する装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。複眼式カメラは、薄型に構成できる上に容易に明るい像を得ることができるという長所を有する反面、撮像された各個眼像は精細度が低いという欠点を有していることから、複数の個眼像を単一の画像に再構成する画像処理工程において精細度を高めるために相加平均法、擬似逆行列法、画素再配置法等の種々の手法が開発されている。
【0003】
相加平均法は、個眼像の重心位置を基準として画像を重ね合わせる手法であり、擬似逆行列法は、被写体である物体と個眼像とをベクトルで表現し、光学系の点像分布関数を行列で記述し、点像分布関数の逆行列を数学的に演算することによって1つの再構成画像を作成する手法である。
【0004】
上記特許文献1には、複数の個眼像を精細度の高い単一の画像に再構成する手法の1つである画素再配置法が開示されている。ここで、特許文献1に記載された画像構成装置について、図16、17を参照して簡単に説明する。特許文献1に記載された画像構成装置100は、図16に示されるように、複眼式カメラ101と、複眼式カメラ101によって撮像された画像を処理するプロセッサ102から構成され、プロセッサ102は、図17に示されるように、複眼式カメラ101によって撮像された各個眼像Q1、Q2、Q3の画素をシフト量(各個眼像間の相対位置のずれ)に応じて少しずつずらして同一領域M上に再配置する。画像構成装置100は、各個眼像Q1、Q2、Q3の画素を同一領域M上に再配置するに際してシフト量を、各個眼像Q1、Q2、Q3間の相関関数に基づいて算出している。
【0005】
また、被写体に対して移動するカメラによって撮像される複数の画像に基づいて被写体までの距離分布を導出し、導出した距離分布に基づいて被写体の2次元画像を生成する3次元形状抽出装置(例えば、特許文献2参照)や、複数のイメージセンサによって撮像される像における視差に基づいて三角測量の原理により被写体までの距離を導出し、対象とする物体の存在範囲を検出する方法(例えば、特許文献3参照)が知られている。
【0006】
さらに、CCD撮像素子によって撮像された画像における画像領域を、距離センサによって測定された距離分布に基づいて距離ごとに分離し、所定の合成画像を作成する撮影装置(例えば、特許文献4参照)が知られている。
【特許文献1】特開2005−167484号公報
【特許文献2】特開平9−187038号公報
【特許文献3】特許第3575178号公報
【特許文献4】特開2001−167276号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、上記特許文献1に示された画像構成装置は、画素再配置法を採用して複数の個眼像から2次元画像を再構成するものであり、相加平均法や擬似逆行列法等に比べると精細度の高い再構成画像が得られるが、複数の個眼像を、画素ごとに再配置して2次元画像に再構成するときの再配置平面が、複眼式カメラから一定の距離(物体が元々配置されていた位置)に設定された固定平面であるので、物体が奥行きのある立体物体であるときには、精細度の高い再構成画像を得ることが困難であるし、物体の複眼式カメラからの距離が既知である場合にしか適用できないという欠点があった。
【0008】
なお、特許文献1には、第2の発明として、物体と複眼式カメラとの距離が未知である場合に、シフト量と、複眼式カメラの各レンズ間距離、レンズの焦点距離等の既知のパラメータから物体と複眼式カメラ間の距離を導出する旨の記載があるが、具体的な距離導出の手法は開示されていない上に、撮像工程とは別の工程において予めパラメータとなる数値を取得しておかなければならないという問題がある。
【0009】
また、特許文献2に記載の装置は、撮像手段が複眼式カメラではなく、単眼式カメラの移動に伴ってシャッタを複数回切ることによって視点の異なる複数枚の画像を取得するものであるので、物体と撮像手段との間の距離が撮像の都度異なり、精細度の高い再構成画像を得ることができない。
【0010】
そこで、本発明は、複眼撮像手段によって撮像された複数の個眼像に基づいて立体物体の画像を再構成する立体物体の撮像装置において、簡素な工程によって容易に精細度の高い再構成画像を得ることができる、立体物体の撮像装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、複眼撮像手段と、前記複眼撮像手段によって撮像された複数の個眼像に基づいて立体物体の画像を再構成する画像再構成手段と、を備える立体物体の撮像装置において、前記画像再構成手段は、前記複眼撮像手段から取得した複数の個眼像に基づいて、個眼像を構成する画素ごとの立体物体と前記複眼撮像手段間の距離(以下、画素距離という)を算出する距離算出手段と、前記複数の個眼像を、画素ごとに前記画素距離へ再配置することによって、再構成画像を作成する再構成画像作成手段と、を備えることを特徴とする。
【0012】
請求項2の発明は、請求項1に記載の発明において、前記再構成画像作成手段は、前記複数の個眼像からそれぞれ高周波数成分を抽出して、複数の高周波数成分個眼像を作成する高周波数成分個眼像作成手段と、前記複数の個眼像からそれぞれ低周波数成分を抽出して、複数の低周波数成分個眼像を作成する低周波数成分個眼像作成手段と、前記高周波数成分個眼像作成手段によって作成された複数の高周波数成分個眼像を、画素ごとに前記画素距離へ再配置することによって高周波数成分再構成画像を作成する高周波数成分再構成画像作成手段と、前記低周波数成分個眼像作成手段によって作成された複数の低周波数成分個眼像の中からノイズの少ない低周波数成分個眼像を選択する画像選択手段と、前記画像選択手段によって選択された低周波数成分個眼像を、画素ごとに前記画素距離へ逆投影することによって低周波数成分逆投影画像を作成する低周波数成分逆投影画像作成手段と、前記高周波数成分再構成画像作成手段によって作成された高周波数成分再構成画像と、前記低周波数成分逆投影画像作成手段によって作成された低周波数成分逆投影画像と、を加算して前記再構成画像を得る加算手段と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1の発明によれば、複眼撮像手段によって撮像した複数の個眼像の画素ごとに立体物体と複眼撮像手段との間の距離(以下、画素距離という)を算出し、各個眼像を、画素ごとに画素距離へ再配置するので、簡素な工程によって容易に精細度の高い再構成画像を得ることができる。
【0014】
請求項2の発明によれば、複眼撮像手段によって撮像した複数の個眼像を、高周波数成分と低周波数成分に分けた上で、それぞれから高周波数成分再構成画像と低周波数成分逆投影画像とを作成し、高周波数成分再構成画像と、最もノイズの少ない低周波数成分逆投影画像とを加算することによって再構成画像を得るので、複眼撮像手段を用いることによって生じがちな低周波数ノイズの影響を低減することができ、さらに精細度の高い再構成画像を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
(第1の実施形態)
以下、本発明の第1の実施形態に係る立体物体の撮像装置について、図1乃至図14を参照して説明する。本実施形態の立体物体の撮像装置1は、図1に示されるように、複眼撮像装置2と、複眼撮像装置2によって撮像された画像情報をAD変換器3を介して取込み、取込んだディジタルの画像情報に基づいて画素ごとに立体物体と複眼撮像装置2との間の距離(以下、画素距離という)を算出し、算出した画素距離に基づいて再構成画像を作成するマイクロプロセッサ4を主体とする画像再構成装置5を備える。複眼撮像装置2の前方には、大きさの異なる2個の球状物体Sb1、Sb2と、1個の立方体Scが異なる距離d1、d2、d3に載置されている。
【0016】
複眼撮像装置2は、同一平面に3行3列のアレイ状に配置された9個(本実施形態では、9個としているが、実際には多い方が望ましい)の光学レンズLからなる光学レンズアレイ6と、各光学レンズLの焦点位置にそれぞれ形成される9個の個眼像k1、k2・・k9を撮像するCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサから構成された固体撮像素子7と、を備える(図2(a)参照)。
【0017】
ここで、光学レンズアレイ6と、光学レンズアレイ6の前方に置かれた物体と、各光学レンズLによって形成される固体撮像素子7上の個眼像k1、k2・・k9との位置関係等について、図2(a)、(b)を参照して説明する。物体は、説明の都合上2次元平面に倒立した文字「A」が描かれた板状のもの(以下、物体Aという)とし、光学レンズアレイ6は、図2(a)におけるXY平面に平行に配置され、固体撮像素子7は光学レンズアレイ6に平行に配置されている。
【0018】
物体Aからの光が、9個の光学レンズLによって固体撮像素子7上にそれぞれ集光されて3行3列の9個の個眼像k1、k2・・k9を形成する。いま、物体Aと光学レンズアレイ6との距離をD、光学レンズアレイ6と固体撮像素子7との距離(焦点距離)をf、物体Aの縦長(大きさ)をH、各個眼像k1、k2・・k9における縦長(大きさ)をhとすると、h=H×f/Dが成立する。実際の複眼撮像装置2では、焦点距離fが極めて小さな値になり、個眼像の大きさhも小さな値になる。
【0019】
また、各個眼像k1、k2・・k9は、互いに視差を有する画像になっている。例えば、中央の光学レンズLによって形成される個眼像k5と、中央の光学レンズLに対して左右に位置する光学レンズLによって形成される個眼像k4、k6とは視点が左右に、光学レンズL間の距離dずつずれるために、図2(b)に示されるように、互いに左右方向の視差角θを有することになる。tanθ=d/Dである。
【0020】
図1に示される画像再構成装置5は、マイクロプロセッサ4と、マイクロプロセッサ4の動作プログラム等を格納したROM8と、画像データ等を一時的に記憶するRAM9と、大規模容量のメモリ11とを備え、マイクロプロセッサ4は、複眼撮像装置2から取込んだ各個眼像k1、k2・・k9の画像情報に基づいて再構成画像を作成し、液晶パネル等の表示装置10へ表示する。
【0021】
次に、マイクロプロセッサ4が実行する再構成画像の作成手順について、図3及び図4のフローチャートを参照して説明する。マイクロプロセッサ4は、図3のフローチャートに示されるように、固体撮像素子7によって撮像された9個の個眼像k1、k2・・k9をディジタルの画像情報として取込み(S1)、各個眼像k1、k2・・k9に基づいて画素距離を算出し(距離画像を作成し)(S2)、各個眼像k1、k2・・k9を距離画像に基づいて再配置し、再構成画像を作成する(S3)。
【0022】
以下、S2の画素距離の算出工程について、図4のフローチャート、及び図5乃至図9を参照して詳細に説明する。物体は、ここでは説明の煩雑を避けるために未知の距離Dに載置された平面物体A(図2参照)を用いて説明するが、奥行きのある立体物体は、異なった未知の距離Dに載置された複数の平面物体が連続したものと考えることができる。
【0023】
マイクロプロセッサ4は、まず、予め設定された複数の仮距離Dnの中から最初の仮距離D1を読出してきて設定する(S11)。仮距離Dnは、光学レンズアレイ6と物体間の距離Dの候補であって、ROM8、又はメモリ11内に離散した値として予め多数記憶されて用意されるが、実際には遠方にある物体ほど視差角θが小さくなって個眼像間のずれに基づく距離判別が困難になるので、光学レンズアレイ6に近い(近距離)領域では比較的短い間隔で多数の仮距離が設定され、光学レンズアレイ6から遠い(遠距離)領域では比較的長い間隔で少数の仮距離が設定される。例えば、仮距離Dnは、指数関数(u=av)で定義される離散的なuの値であってもよい。
【0024】
次に、マイクロプロセッサ4は、設定した仮距離D1に基づいて、記憶している9個の個眼像k1、k2・・k9から1つの再構成画像を作成する(S12)。この再構成画像作成工程は、特許文献1に記載された画素再配置法と同等の手法により行うことができる。再構成画像作成工程について、図5及び図6を参照して説明する。マイクロプロセッサ4は、各個眼像k1、k2・・k9のxy座標平面における同一座標位置の画素gごとに、当該画素gの値を光学レンズアレイ6から仮距離D1の位置にある平面に投影するようにして再配置する(図5参照)。以下の説明では、各個眼像k1、k2・・k9ごとの座標は、xy座標として示し、2次元平面XYと区別する。
【0025】
具体的には、マイクロプロセッサ4は、各個眼像k1、k2・・k9の座標(x=1、y=1)の位置の画素g(1、1)が、それぞれ対応する光学レンズLの集光路を逆に辿って仮距離D1の位置にある平面に配置され、次に座標(x=2、y=1)の位置の画素g(2、1)が、それぞれ対応する光学レンズLの集光路を逆に辿って仮距離D1の位置にある平面に配置され、・・という工程を繰返して1つの再構成画像Ad1を作成する。従って、作成された再構成画像Ad1における画素g(x、y)に相当する領域G(x、y)は、図6に示されるように、仮の視差角θ1(tanθ1=d/D1)が反映したずれ量だけずらされて配置された各個眼像k1、k2・・k9からの画素g(x、y)によって構成される。上記のようにして作成された1つの再構成画像Ad1は、メモリ11等に記憶される。
【0026】
なお、図5において、未知の距離Dにある平面に再構成される場合の再構成画像Adが点線で示される。ここで、仮距離D1が未知の距離Dとずれている場合には、再構成画像Ad1は、再構成画像Adに比べて精細度が劣り、仮距離D1が未知の距離Dに等しい場合には、高い精細度の再構成画像Ad1が得られる。
【0027】
次に、マイクロプロセッサ4は、仮距離D1に基づいて、記憶している9個の個眼像k1、k2・・k9から9個の逆投影画像を作成する(S13)。この逆投影画像作成工程について、図7及び図8を参照して説明する。代表的に中央の個眼像k5について逆投影画像を作成する工程について説明する。マイクロプロセッサ4は、個眼像k5の画素gごとに、当該画素gの値を光学レンズアレイ6から仮距離D1の位置にある平面に投影するようにして作成する(図7)。
【0028】
具体的には、マイクロプロセッサ4は、図8に示されるように、中央の個眼像k5の座標(x=1、y=1)の画素g(1、1)が、中央の光学レンズLの集光路を逆に辿って仮距離D1の位置にある平面に拡大して配置され、次に座標(x=2、y=1)の画素g(2、1)が、中央の光学レンズLの集光路を逆に辿って仮距離D1の位置にある平面に拡大して配置され、・・という工程を繰返して1つの逆投影画像Ard1を作成する。従って、作成された逆投影画像Ard1における画素g(x、y)に相当する領域G(x、y)は、1つの画素g(x、y)から構成される。そして、マイクロプロセッサ4は、上記の逆投影画像作成工程を、各個眼像k1、k2・・k9について繰返し、9個の逆投影画像Ard1を作成する。作成された9個の逆投影画像Ard1は、メモリ11等に記憶される。
【0029】
次に、マイクロプロセッサ4は、作成した1つの再構成画像Ad1と、9個の逆投影画像Ard1と、に基づいてxy座標の画素ごとに評価値を算出する(S14)。具体的には、評価値SSD(x、y)は、次の式によって与えられる。
【数1】
この式において、iは個眼像の番号、Ri(x、y)は、i個目の個眼像kiにおける逆投影画像Ard1におけるxy座標位置の画素Gの値であり、B(x、y)は、再構成画像Ad1におけるxy座標位置の画素Gの値である。nは、個眼像の個数であり、本実施形態では9である。
【0030】
具体的には、マイクロプロセッサ4は、xy座標の各画素gについて、1個目の個眼像k1に関する逆投影画像Ard1と再構成画像Ad1との差を二乗して1個目の個眼像k1の逆投影画像Ard1についての偏差を算出し、同様にして2個目の個眼像k2の逆投影画像Ard2についての偏差を算出し、・・同様にして9個目の個眼像k9の逆投影画像Ard9についての偏差を算出し、最後に9個の偏差を合計して評価値SSD(x、y)を算出する。算出された評価値SSD(x、y)は、RAM9等に記憶される。
【0031】
次に、マイクロプロセッサ4は、S11において設定した仮距離Dnが全て終了したか否かを判断し(S15)、全て終了していない場合(S15でNO)は、再びS11に戻って仮距離Dnを更新する(S11)。具体的には、仮距離D1の設定を仮距離D2へ更新する。仮距離D1より仮距離D2の方が大きい場合には、光学レンズアレイ6からより遠ざかった位置に1つの再構成画像Ad2が作成され(S12)、9個の逆投影画像Ard2が作成され(S13)、評価値SSD(x、y)が算出される。
【0032】
以上の工程を繰返すことによって、メモリ11内には、仮距離Dnの個数分の評価値SSD(x、y)が評価値群として記憶される。メモリ11内に記憶された評価値群が、図9に模式的に示される。ここで、メモリ11は、図9に示される各xy座標位置に対応した評価値SSDを記憶している。
【0033】
そして、マイクロプロセッサ4は、S15において、全ての仮距離Dnについての評価値SSD(x、y)の算出が終了したと判断したときに(S15でYES)、各xy座標位置の画素g(x、y)についての評価値SSD(x、y)のうち、どの仮距離Dnにおける評価値SSD(x、y)が最小であるかを判定し、評価値SSD(x、y)が最小になる仮距離Dnを各xy座標位置の画素gについての距離Dであるとして決定する(S16)。
【0034】
換言すると、マイクロプロセッサ4は、図9に示された評価値群の中から、xy座標の各画素gについて、z方向に沿って評価値SSDを検索することによって、評価値SSDが最小になる仮距離Dnを検出する。最後に、マイクロプロセッサ4は、S16において決定したxy座標の各画素gに関する距離Dを画面の濃淡に変換した距離画像を作成する(S17)。
【0035】
図10は、撮像される物体が、図1に示されるように、異なる距離に配置された2個の球状物体Sb1、Sb2と、1個の立方体Scである場合の、各個眼像k1、k2・・k9を示す。図11は、複眼撮像装置2からの距離が、それぞれ球状物体Sb1がd1=53cm、球状物体Sb2がd2=23cm、立方体Scがd3=3cmである場合において、仮距離Dnが23cmであるときの再構成画像Adnを示し、図12は、上記S7で導出された距離画像PDを示す。
【0036】
図11に示された再構成画像Adnは、仮距離Dnが球状物体Sb2の複眼撮像装置2からの距離(23cm)と同等の位置に設定されている場合の再構成画像であり、球状物体Sb2は、高い精細度で再構成されるが、球状物体Sb1と立方体Scは、精細度が低い。
【0037】
また、図12に示された距離画像PDでは、遠方にある球状物体Sb1は、距離d1=53cmを表す濃色に表示され、中間の位置にある球状物体Sb2は、距離d2=23cmを表す淡色に表示され、極めて近い位置にある立方体Scは、距離d3=3cmを表す白色に表示されており、色の濃淡がxy座標の各画素における画素距離PD(xy)を表す。
【0038】
次に、マイクロプロセッサ4は、上記のようにして導出した距離画像PDに基づいて、各個眼像k1、k2・・k9を、画素gごとに固有の位置(画素距離)に再配置して再構成画像を作成する(S3)。この再構成工程を、立体物体が上記の3つの物体Sb1、Sb2、Scである場合を例にとり、かつ各物体Sb1、Sb2、Scを構成する各画素についての画素距離の相違を無視して説明する(各物体Sb1、Sb2、Scは、擬似的に奥行きのない平面物体であるとして説明する)。
【0039】
マイクロプロセッサ4は、図14に概念的に示されるように、球状物体Sb1の画像PSb1を距離画像PDに基づいて光学レンズアレイ6から53cmの距離d1(画素距離)に再配置し、球状物体Sb2の画像PSb2を距離画像PDに基づいて光学レンズアレイ6から23cmの距離d2(画素距離)に再配置し、立方体Scの画像PScを距離画像PDに基づいて光学レンズアレイ6から3cmの距離d3(画素距離)に再配置する。
【0040】
換言すると、マイクロプロセッサ4は、各個眼像k1、k2・・k9を、画素ごとに、距離画像PDによって規定される固有の画素距離PD(xy)に再配置して再構成画像RP(図13)を作成する。従って、作成された再構成画像RPでは、いずれの物体Sb1、Sb2、Scについても焦点が正しく調整されて高い精細度で再構成される。マイクロプロセッサ4は、作成した再構成画像RPを、表示装置10へ表示する。
【0041】
なお、本実施形態における画素距離の算出工程(S2)では、個眼像k1、k2・・k9から再構成された再構成画像Adと、各個眼像k1、k2・・k9から逆投影された逆投影画像Ardとの偏差から算出された評価値SSDの大きさに基づいて画素距離PD(xy)が算出されたが、画素距離は他の手法によって算出されてもよい。
【0042】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態について、図15を参照して説明する。第2の実施形態は、第1の実施形態に対して、ハード構成が同一であり、マイクロプロセッサ4が実行する再構成画像の作成手順についても画素距離の算出工程(S2)までが同一である。具体的には、図15のフローチャートにおける個眼像の取得工程(S21)と、画素距離の算出工程(S22)は、第1の実施形態における個眼像の取得工程(S1)と、画素距離の算出工程(S2)と同一であるので説明を省略し、以下、S23以降について説明する。
【0043】
マイクロプロセッサ4は、S21において取得した各個眼像k1、k2・・k9に公知の平滑化フィルタを適用することによって、それぞれ低周波数成分を抽出し、低周波数成分個眼像kl1、kl2・・kl9を作成する(S23)。次に、マイクロプロセッサ4は、元の各個眼像k1、k2・・k9から、それぞれ低周波数成分個眼像kl1、kl2・・kl9を減算して高周波数成分個眼像kh1、kh2・・kh9を作成する(S24)。作成された低周波数成分個眼像kl1、kl2・・kl9、及び高周波数成分個眼像kh1、kh2・・kh9は、メモリ11等に記憶される。
【0044】
さらに、マイクロプロセッサ4は、画素距離の算出工程(S22)において取得した距離画像PDに基づいて、高周波数成分個眼像kh1、kh2・・kh9を、画素ごとに各画素距離PD(xy)へ再配置することによって1つの高周波数成分再構成画像を作成する(S25)。この高周波数成分再構成画像の作成工程は、第1の実施形態における再構成工程(S3)と同様に、各個眼像kh1、kh2・・kh9を、画素ごとに、距離画像PDによって規定される固有の画素距離PD(xy)に再配置する工程である。作成された高周波数成分再構成画像は、メモリ11に記憶される。
【0045】
次に、マイクロプロセッサ4は、S23において作成した低周波数成分個眼像kl1、kl2・・kl9の中から明るさが所定の閾値よりも低いとか、1つの低周波数成分個眼像の中で大きなグラデュエーションがある等のノイズが少ない1つの低周波数成分個眼像を選択する(S26)。
【0046】
ここで、複眼撮像装置2は、光学レンズアレイ6の構造上、周辺の個眼像(例えば、個眼像k1、k3、k7、k9)が、中央の個眼像(例えば、個眼像k5)に比較して暗く(周辺減光という)、マイクロプロセッサ4は、明るさの値、グラデュエーションの程度等を基準にして最も明るく、ノイズの少ない低周波数成分個眼像(例えばkl5)を選択する。そして、マイクロプロセッサ4は、その低周波数成分個眼像kl5に対して、画素距離の算出工程(S22)において取得した距離画像PDに基づいて、画素ごとにその画素距離PD(xy)へ逆投影することによって1つの低周波数成分逆投影画像を作成する(S27)。作成された低周波数成分逆投影画像は、メモリ11に記憶される。
【0047】
最後に、マイクロプロセッサ4は、メモリ11に記憶された高周波数成分再構成画像と低周波数成分逆投影画像とを読出してきて、両画像を加算して再構成画像とする(S28)。この加算工程(S28)において、マイクロプロセッサ4は、加算に先立って高周波数成分再構成画像の各画素の値に1以上の係数を掛けておき、高周波数成分再構成画像を強調することによって画像の先鋭化を図ることができる。
【0048】
以上のように、第2の実施形態の立体物体の撮像装置では、複眼撮像装置2によって撮像した複数の個眼像k1、k2・・k9を、高周波数成分と低周波数成分に分けた上で、それぞれの成分から高周波数成分再構成画像と低周波数成分個眼像とを作成し、最もノイズの少ない低周波数成分個眼像(例えば、個眼像kl5)から作成した低周波数成分逆投影画像と高周波数成分再構成画像を加算することによって再構成画像を得るので、複眼撮像装置2を用いることによって生じがちな周辺減光等の影響を低減することができて、さらに精細度の高い再構成画像を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る立体物体の撮像装置の概略構成を示すブロック図。
【図2】(a)は同立体物体の撮像装置における物体と光学レンズアレイと個眼像との位置関係を示す斜視説明図、(b)は同立体物体の撮像装置における物体と光学レンズアレイと個眼像との位置関係を示す平面説明図。
【図3】同立体物体の撮像装置における再構成画像の作成手順を示すフローチャート。
【図4】同立体物体の撮像装置における距離算出手順のフローチャート。
【図5】同立体物体の撮像装置における再構成画像の作成原理を示す斜視説明図。
【図6】同立体物体の撮像装置における再構成画像の作成原理を示す説明図。
【図7】同立体物体の撮像装置における逆投影画像の作成原理を示す斜視説明図。
【図8】同立体物体の撮像装置における逆投影画像の作成原理を示す説明図。
【図9】同立体物体の撮像装置においてメモリに蓄積される評価値データの説明図。
【図10】同立体物体の撮像装置において複眼撮像装置によって撮像された個眼像の例を示す図。
【図11】同立体物体の撮像装置における1つの仮距離が設定されたときの再構成画像の例を示す図。
【図12】同立体物体の撮像装置における距離画像の例を示す図。
【図13】同立体物体の撮像装置における距離画像に基いて作成された再構成画像の例を示す図。
【図14】同立体物体の撮像装置における立体物体が3つであるときの再構成画像の作成原理を示す斜視説明図。
【図15】本発明の第2の実施形態に係る立体物体の撮像装置における再構成画像の作成手順を示すフローチャート。
【図16】従来の画像構成装置における概略構成を示すブロック図。
【図17】同従来の画像構成装置における画像の再構成手法を示す説明図。
【符号の説明】
【0050】
1 立体物体の撮像装置
2 複眼撮像装置(複眼撮像手段)
4 マイクロプロセッサ(距離算出手段、再構成画像作成手段、高周波数成分個眼像作成手段、低周波数成分個眼像作成手段、高周波数成分再構成画像作成手段、画像選択手段、低周波数成分逆投影画像作成手段、加算手段)
5 画像再構成装置(画像再構成手段)
A 物体
Adn 再構成画像
Ardn 逆投影画像
D 距離
PD 距離画像(画素距離)
Sb1、Sb2 球状物体(立体物体)
Sc 立方体(立体物体)
g 画素
k1、k2、・・k9 個眼像
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複眼撮像手段と、前記複眼撮像手段によって撮像された複数の個眼像に基づいて立体物体の画像を再構成する画像再構成手段と、を備える立体物体の撮像装置において、
前記画像再構成手段は、
前記複眼撮像手段から取得した複数の個眼像に基づいて、個眼像を構成する画素ごとの立体物体と前記複眼撮像手段との間の距離(以下、画素距離という)を算出する距離算出手段と、
前記複数の個眼像を、画素ごとに前記画素距離へ再配置することによって、再構成画像を作成する再構成画像作成手段と、を備えることを特徴とする立体物体の撮像装置。
【請求項2】
前記再構成画像作成手段は、
前記複数の個眼像からそれぞれ高周波数成分を抽出して、複数の高周波数成分個眼像を作成する高周波数成分個眼像作成手段と、
前記複数の個眼像からそれぞれ低周波数成分を抽出して、複数の低周波数成分個眼像を作成する低周波数成分個眼像作成手段と、
前記高周波数成分個眼像作成手段によって作成された複数の高周波数成分個眼像を、画素ごとに前記画素距離へ再配置することによって高周波数成分再構成画像を作成する高周波数成分再構成画像作成手段と、
前記低周波数成分個眼像作成手段によって作成された複数の低周波数成分個眼像の中からノイズの少ない低周波数成分個眼像を選択する画像選択手段と、
前記画像選択手段によって選択された低周波数成分個眼像を、画素ごとに前記画素距離へ逆投影することによって低周波数成分逆投影画像を作成する低周波数成分逆投影画像作成手段と、
前記高周波数成分再構成画像作成手段によって作成された高周波数成分再構成画像と、前記低周波数成分逆投影画像作成手段によって作成された低周波数成分逆投影画像と、を加算して前記再構成画像を得る加算手段と、を備えることを特徴とする請求項1に記載の立体物体の撮像装置。
【請求項1】
複眼撮像手段と、前記複眼撮像手段によって撮像された複数の個眼像に基づいて立体物体の画像を再構成する画像再構成手段と、を備える立体物体の撮像装置において、
前記画像再構成手段は、
前記複眼撮像手段から取得した複数の個眼像に基づいて、個眼像を構成する画素ごとの立体物体と前記複眼撮像手段との間の距離(以下、画素距離という)を算出する距離算出手段と、
前記複数の個眼像を、画素ごとに前記画素距離へ再配置することによって、再構成画像を作成する再構成画像作成手段と、を備えることを特徴とする立体物体の撮像装置。
【請求項2】
前記再構成画像作成手段は、
前記複数の個眼像からそれぞれ高周波数成分を抽出して、複数の高周波数成分個眼像を作成する高周波数成分個眼像作成手段と、
前記複数の個眼像からそれぞれ低周波数成分を抽出して、複数の低周波数成分個眼像を作成する低周波数成分個眼像作成手段と、
前記高周波数成分個眼像作成手段によって作成された複数の高周波数成分個眼像を、画素ごとに前記画素距離へ再配置することによって高周波数成分再構成画像を作成する高周波数成分再構成画像作成手段と、
前記低周波数成分個眼像作成手段によって作成された複数の低周波数成分個眼像の中からノイズの少ない低周波数成分個眼像を選択する画像選択手段と、
前記画像選択手段によって選択された低周波数成分個眼像を、画素ごとに前記画素距離へ逆投影することによって低周波数成分逆投影画像を作成する低周波数成分逆投影画像作成手段と、
前記高周波数成分再構成画像作成手段によって作成された高周波数成分再構成画像と、前記低周波数成分逆投影画像作成手段によって作成された低周波数成分逆投影画像と、を加算して前記再構成画像を得る加算手段と、を備えることを特徴とする請求項1に記載の立体物体の撮像装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図12】
【公開番号】特開2008−242658(P2008−242658A)
【公開日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−80172(P2007−80172)
【出願日】平成19年3月26日(2007.3.26)
【出願人】(000201113)船井電機株式会社 (7,855)
【出願人】(504176911)国立大学法人大阪大学 (1,536)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年3月26日(2007.3.26)
【出願人】(000201113)船井電機株式会社 (7,855)
【出願人】(504176911)国立大学法人大阪大学 (1,536)
【Fターム(参考)】
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