説明

立体画像表示装置

【課題】高精細な大画面の立体画像を表示する立体画像表示装置を提供する。
【解決手段】立体画像表示装置1は、バックライト2と、左目用画素5および右目用画素6を配列してなる画像形成部4と、第1の偏光領域9および第2の偏光領域10を有する位相差部8と偏光メガネ11とを有する。画像形成部4の左目用画素5で左目用の画像を、右目用画素6で右目用の画像を形成し、位相差部8では左目用画素5と右目用画素6に対応するよう互いに位相差の異なる第1の偏光領域9と第2の偏光領域10とを配置し、観察者20が左目で左目用の画像を、右目で右目用の画像を観察して立体画像を観賞できるようにする。また、バックライト2に代えて光を反射する反射部を設ける構成や、観察者20の左右の目それぞれに左目用と右目用の画像光を集光する集光レンズを設けて偏光メガネ11を不要にする構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、立体画像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、映画やテレビジョン放送の分野において本格的なデジタル3次元(3D:Three Dimensionsとも言う。)画像化の時代を迎えており、デジタルカメラや写真の分野においても画像の3D化に対応するための技術開発が進められている。そして、画像の3D化、すなわち3D写真を撮影可能な3Dデジタルカメラの開発が進められている。
3Dデジタルカメラにより撮影された3D写真を観賞する手段としては、レンチキュラレンズシートの裏面に3D写真を直接印刷する方法の他、間接的に印刷したものを配置する方法などが知られている。
【0003】
3D写真を印刷する方法としては、シアン着色部、イエロー着色部、マゼンタ着色部を用いてプリンタ等により平面シート上に着色して1つの画素を構成し、その画素の上に、直線偏光フィルタと1/4波長板とを積層して設け、左目用画素と右目用画素とをそれぞれ形成する技術が知られている(特許文献1を参照のこと。)。この方法では、左目用画素と右目用画素との間で直線偏光フィルタの偏光軸が直交するような配置がなされており、左目用の画像が左目用画素により構成され、右目用の画像が右目用画素により構成される。そして、観察者は偏光メガネを着用し、左目用画像を左目で受け取り、右目用画像を右目で受け取って3D写真を観賞できるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3049831号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、デジタルカメラの分野では、1000万画素を超えるような高解像度化が進められている。こうしたデジタルカメラの高解像度化に対応して、3Dデジタルカメラにおいても高解像度化が進められている。
しかしながら、得られた高解像度の3D写真を、高解像度のまま大画面で観賞しようとする場合、従来の立体画像表示システムでは十分に対応することができなかった。例えば、上述したレンチキュラレンズを用いて3D写真を観賞しようとする場合、レンチキュラレンズのレンズ形成ピッチの精細度に限界がある。そのため、デジタルカメラの高解像度に対応できずに高精細画像の形成が行えないことがあった。そして、レンチキュラレンズを用いた技術では大画面化することが困難であった。
【0006】
また、3D写真を印刷しようとする場合、上述した従来の方法では、高精細な画素形成は困難であり、デジタルカメラの高解像度化に対応するような高解像度の画像形成に対応することはできなかった。
最近では、テレビを用いて3D写真を観賞する技術が開発されている。しかし、現状最も高精細な画像に対応できるフルハイビジョン仕様のテレビにおいても、画素数は200万画素程度であり、3Dデジタルカメラの高解像度画像に対し、そのままの高解像度表示を実現することは困難であった。
【0007】
したがって、高解像度の3Dデジタルカメラなどを用いて得られた高精細な大画面の3D画像(以下、立体画像とも言う。)を、精細度を低下させることなく表示するためには、従来の技術では不十分であり、新たな立体画像表示装置が求められている。その新しい立体画像表示装置は、高画質な画像表示が求められる写真の展示会や博物館での展示にも対応可能な高精細で大画面の3D写真の表示を可能とするものであることが好ましい。
【0008】
本発明は、こうした点に鑑みてなされたものである。すなわち、本発明の目的は、高精細な大画面の立体画像表示を可能とする立体画像表示装置を提供することにある。
【0009】
本発明の他の目的および利点は、以下の記載から明らかとなるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の第1の態様は、バックライトと、
左目用画素と右目用画素とを配列して有し、その左目用画素で左目用の画像を形成し、その右目用画素で右目用の画像を形成するよう構成された画像形成部と、
光学手段とをこの順で有するとともに、
バックライトと画像形成部との間または画像形成部と光学手段との間に配置された偏光板と、
観察者が着用する偏光メガネとを有する立体画像表示装置であって、
画像形成部は、インクを受容するインク受容層を有して構成され、
光学手段は、画像形成部の左目用画素と右目用画素とに対応する位置と大きさで第1の偏光領域と第2の偏光領域とが配置されていて、その第1の偏光領域とその第2の偏光領域とは、いずれか一方が1/2波長板を形成するか、両方が互いに光学軸が45度異なる1/2波長板を形成するか、または両方が互いに光学軸が90度異なる1/4波長板を形成し、
偏光メガネは、左目用メガネ部と右目用メガネ部とを有し、その左目用メガネ部とその右目用メガネ部との間で偏光状態が異なるように構成されたことを特徴とする立体画像表示装置に関する。
【0011】
本発明の第1の態様において、画像形成部は、左目用画素と右目用画素とをそれぞれ複数有し、その左目用画素とその右目用画素は、行方向および列方向に左目用画素と右目用画素とが交互に配置されようにマトリクス状に配列されていることが好ましい。
【0012】
本発明の第1の態様において、光学手段は、ガラス基板または樹脂基板上に、第1の偏光領域と第2の偏光領域とに対応する位置と大きさで1/2波長板または1/4波長板を形成する位相差層を設けて構成されることが好ましい。
【0013】
本発明の第1の態様において、画像形成部は、光学手段上に設けられることが好ましい。
【0014】
本発明の第2の態様は、外部からの光を反射する反射部と、
左目用画素と右目用画素とを配列して有し、その左目用画素で左目用の画像を形成し、その右目用画素で右目用の画像を形成するよう構成された画像形成部と、
光学手段とをこの順で有するとともに、
反射部と画像形成部との間または画像形成部と光学手段との間に配置された偏光板と、
観察者が着用する偏光メガネとを有する立体画像表示装置であって、
画像形成部は、インクを受容するインク受容層を有して構成され、
光学手段は、画像形成部の左目用画素と右目用画素とに対応する位置と大きさで第1の偏光領域と第2の偏光領域とが配置されていて、その第1の偏光領域とその第2の偏光領域とは、いずれか一方が1/2波長板を形成するか、両方が互いに光学軸が45度異なる1/2波長板を形成するか、または両方が互いに光学軸が90度異なる1/4波長板を形成し、
偏光メガネは、左目用メガネ部と右目用メガネ部とを有し、その左目用メガネ部とその右目用メガネ部との間で偏光状態が異なるように構成されたことを特徴とする立体画像表示装置に関する。
【0015】
本発明の第2の態様において、画像形成部は左目用画素と右目用画素とをそれぞれ複数有し、その左目用画素とその右目用画素は、行方向および列方向に左目用画素と右目用画素とが交互に配置されようにマトリクス状に配列されていることが好ましい。
【0016】
本発明の第2の態様において、光学手段は、ガラス基板または樹脂基板上に、第1の偏光領域と第2の偏光領域とに対応する位置と大きさで1/2波長板または1/4波長板を形成する位相差層を設けて構成されることが好ましい。
【0017】
本発明の第2の態様において、画像形成部は、光学手段上に設けられることが好ましい。
【0018】
本発明の第3の態様は、水平方向に配列された第1のバックライトおよび第2のバックライトと、
第1のバックライトに対向する第1の偏光板および第2のバックライトに対向する第2の偏光板と、
集光レンズと、
光学手段と、
左目用画素と右目用画素とを配列して有し、その左目用画素で観察者の左目用の画像を形成し、その右目用画素で観察者の右目用の画像を形成するよう構成された画像形成部と、
第3の偏光板とをこの順で有し、観察者に立体画像を提供する立体画像表示装置であって、
第1の偏光板および第2の偏光板とは、互いに偏光特性が異なるように構成されており、
集光レンズは、第1のバックライトおよび第2のバックライトからの光を観察者の左目および右目のそれぞれに向けて集光するよう構成されたものであり、
画像形成部は、インクを受容するインク受容層を有して構成され、
光学手段は、画像形成部の左目用画素と右目用画素とに対応する位置と大きさで第1の偏光領域と第2の偏光領域とが配置されていて、その第1の偏光領域とその第2の偏光領域とは、いずれか一方が1/2波長板を形成するか、両方が互いに光学軸が45度異なる1/2波長板を形成するか、または両方が互いに光学軸が90度異なる1/4波長板を形成するよう構成されたものであることを特徴とする立体画像表示装置に関する。
【0019】
本発明の第3の態様において、画像形成部は、左目用画素と右目用画素とをそれぞれ複数有し、その左目用画素とその右目用画素は、行方向および列方向に左目用画素と右目用画素とが交互に配置されるようにマトリクス状に配列されていることが好ましい。
【0020】
本発明の第3の態様において、光学手段は、ガラス基板または樹脂基板上に、第1の偏光領域と第2の偏光領域とに対応する位置と大きさで1/2波長板または1/4波長板を形成する位相差層を設けて構成されることが好ましい。
【0021】
本発明の第3の態様において、画像形成部は、光学手段上に設けられることが好ましい。
【0022】
本発明の第4の態様は、指向性の異なる2種類の光を出射する指向性バックライトと、
第1の偏光板と、
光の偏光方向を制御する偏光切替素子と、
光学手段と、
左目用画素と右目用画素とを配列して有し、その左目用画素で観察者の左目用の画像を形成し、その右目用画素で観察者の右目用の画像を形成するよう構成された画像形成部と、
第2の偏光板とをこの順で有し、観察者に立体画像を提供する立体画像表示装置であって、
指向性バックライトは、指向性の異なる2種類の光を所定の周期で切り替えながら出射するよう構成されており、
偏光切替素子は、指向性バックライトでの2種類の光の切り替えに同期して、光の偏光方向を制御するように構成されており、
画像形成部は、インクを受容するインク受容層を有し、
光学手段は、画像形成部の左目用画素と右目用画素とに対応する位置と大きさで第1の偏光領域と第2の偏光領域とが配置されていて、その第1の偏光領域とその第2の偏光領域とは、いずれか一方が1/2波長板を形成するか、両方が互いに光学軸が45度異なる1/2波長板を形成するか、または両方が互いに光学軸が90度異なる1/4波長板を形成するよう構成されたものであることを特徴とする立体画像表示装置に関する。
【0023】
本発明の第4の態様において、指向性バックライトの出射する2種類の光は、一方が観察者の左目のある領域に向かう光であり、もう一方が観察者の右目のある領域に向かう光であることが好ましい。
【0024】
本発明の第4の態様において、指向性バックライトでの2種類の光の切り替えは、60Hz以上の周期で行われることが好ましい。
【0025】
本発明の第4の態様において、偏光切替素子は、一対の基板間に液晶を挟持して構成された液晶素子を用いた構造であることが好ましい。
【0026】
本発明の第4の態様において、画像形成部は、左目用画素と右目用画素とをそれぞれ複数有し、その左目用画素とその右目用画素は、行方向および列方向に左目用画素と右目用画素とが交互に配置されるようにマトリクス状に配列されていることが好ましい。
【0027】
本発明の第4の態様において、光学手段は、ガラス基板または樹脂基板上に、第1の偏光領域と第2の偏光領域とに対応する位置と大きさで1/2波長板または1/4波長板を形成する位相差層を設けて構成されることが好ましい。
【0028】
本発明の第4の態様において、画像形成部は、光学手段上に設けられることが好ましい。
【0029】
本発明の第5の態様は、バックライトと、
左目用画素と右目用画素とを配列して有し、その左目用画素で左目用の画像を形成し、その右目用画素で右目用の画像を形成するよう構成された画像形成部と、
光学手段とをこの順で有するとともに、
バックライトと画像形成部との間または画像形成部と光学手段との間に配置された偏光板と、
観察者が着用する偏光メガネとを有する立体画像表示装置であって、
画像形成部は、インクジェット法により基板上に供給されたインクを加熱して固着させて、左目用画素と右目用画素とが形成されるよう構成されたものであり、
光学手段は、画像形成部の左目用画素と右目用画素とに対応する位置と大きさで第1の偏光領域と第2の偏光領域とが配置されていて、その第1の偏光領域とその第2の偏光領域とは、いずれか一方が1/2波長板を形成するか、両方が互いに光学軸が45度異なる1/2波長板を形成するか、または両方が互いに光学軸が90度異なる1/4波長板を形成し、
偏光メガネは、左目用メガネ部と右目用メガネ部とを有し、その左目用メガネ部とその右目用メガネ部との間で偏光状態が異なるように構成されたことを特徴とする立体画像表示装置に関する。
【0030】
本発明の第6の態様は、外部からの光を反射する反射部と、
左目用画素と右目用画素とを配列して有し、その左目用画素で左目用の画像を形成し、その右目用画素で右目用の画像を形成するよう構成された画像形成部と、
光学手段とをこの順で有するとともに、
反射部と画像形成部との間または画像形成部と光学手段との間に配置された偏光板と、
観察者が着用する偏光メガネとを有する立体画像表示装置であって、
画像形成部は、インクジェット法により基板上に供給されたインクを加熱して固着させて、左目用画素と右目用画素とが形成されるよう構成されたものであり、
光学手段は、画像形成部の左目用画素と右目用画素とに対応する位置と大きさで第1の偏光領域と第2の偏光領域とが配置されていて、その第1の偏光領域とその第2の偏光領域とは、いずれか一方が1/2波長板を形成するか、両方が互いに光学軸が45度異なる1/2波長板を形成するか、または両方が互いに光学軸が90度異なる1/4波長板を形成し、
偏光メガネは、左目用メガネ部と右目用メガネ部とを有し、その左目用メガネ部とその右目用メガネ部との間で偏光状態が異なるように構成されたことを特徴とする立体画像表示装置に関する。
【0031】
本発明の第7の態様は、水平方向に配列された第1のバックライトおよび第2のバックライトと、
第1のバックライトに対向する第1の偏光板および第2のバックライトに対向する第2の偏光板と、
集光レンズと、
光学手段と
左目用画素と右目用画素とを配列して有し、その左目用画素で観察者の左目用の画像を形成し、その右目用画素で観察者の右目用の画像を形成するよう構成された画像形成部と、
第3の偏光板とをこの順で有し、観察者に立体画像を提供する立体画像表示装置であって、
第1の偏光板および第2の偏光板とは、互いに偏光特性が異なるように構成されており、
集光レンズは、第1のバックライトおよび第2のバックライトからの光を観察者の左目および右目のそれぞれに向けて集光するよう構成されたものであり、
画像形成部は、インクジェット法により基板上に供給されたインクを加熱して固着させて、左目用画素と右目用画素とが形成されるよう構成されたものであり、
光学手段は、画像形成部の左目用画素と右目用画素とに対応する位置と大きさで第1の偏光領域と第2の偏光領域とが配置されていて、その第1の偏光領域とその第2の偏光領域とは、いずれか一方が1/2波長板を形成するか、両方が互いに光学軸が45度異なる1/2波長板を形成するか、または両方が互いに光学軸が90度異なる1/4波長板を形成するよう構成されたものであることを特徴とする立体画像表示装置に関する。
【0032】
本発明の第8の態様は、指向性の異なる2種類の光を出射する指向性バックライトと、
第1の偏光板と、
光の偏光方向を制御する偏光切替素子と、
光学手段と、
左目用画素と右目用画素とを配列して有し、その左目用画素で観察者の左目用の画像を形成し、その右目用画素で観察者の右目用の画像を形成するよう構成された画像形成部と、
第2の偏光板とをこの順で有し、観察者に立体画像を提供する立体画像表示装置であって、
指向性バックライトは、指向性の異なる2種類の光を所定の周期で切り替えながら出射するよう構成されており、
偏光切替素子は、指向性バックライトでの2種類の光の切り替えに同期して、光の偏光方向を制御するように構成されており、
画像形成部は、インクジェット法により基板上に供給されたインクを加熱して固着させて、左目用画素と前記右目用画素とが形成されるよう構成されたものであり、
光学手段は、画像形成部の左目用画素と右目用画素とに対応する位置と大きさで第1の偏光領域と第2の偏光領域とが配置されていて、その第1の偏光領域とその第2の偏光領域とは、いずれか一方が1/2波長板を形成するか、両方が互いに光学軸が45度異なる1/2波長板を形成するか、または両方が互いに光学軸が90度異なる1/4波長板を形成するよう構成されたものであることを特徴とする立体画像表示装置に関する。
【発明の効果】
【0033】
本発明によれば、高精細な大画面の3D画像を表示できる立体画像表示装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の第1の実施形態の立体画像表示装置の要部構成を説明する模式的な分解斜視図である。
【図2】本発明の第1の実施形態の立体画像表示装置の画像形成部の断面図である。
【図3】本発明の第1の実施形態の立体画像表示装置の画像形成部の構造を説明する模式的な平面図である。
【図4】本発明の第1の実施形態の立体画像表示装置の画像形成部の画素構造を説明する模式的な平面図であり、(a)は、画像形成部の左目用画素の構造を説明する平面図であり、(b)は、画像形成部の右目用画素の構造を説明する平面図である。
【図5】本発明の第1の実施形態の立体画像表示装置の位相差部の断面図である。
【図6】本発明の第1の実施形態の立体画像表示装置の位相差部の一部を拡大して示す平面図である。
【図7】本発明の第1の実施形態の立体画像表示装置の要部構成を説明する模式的な断面図である。
【図8】本発明の第2の実施形態の立体画像表示装置の要部構成を説明する模式的な断面図である。
【図9】本発明の第3の実施形態の立体画像表示装置の要部構成を説明する模式的な断面図である。
【図10】本発明の第4の実施形態の立体画像表示装置の要部構成を説明する模式的な分解斜視図である。
【図11】本発明の第4の実施形態の立体画像表示装置の要部構成を説明する模式的な断面図である。
【図12】本発明の第5の実施形態の立体画像表示装置の要部構成を説明する模式的な断面図である。
【図13】本発明の第6の実施形態の立体画像表示装置の要部構成を説明する模式的な断面図である。
【図14】本発明の第7の実施形態の立体画像表示装置の要部構成を説明する模式的な分解斜視図である。
【図15】本発明の第7の実施形態の立体画像表示装置の位相差部の断面図である。
【図16】本発明の第7の実施形態の立体画像表示装置の位相差部の一部を拡大して示す平面図である。
【図17】本発明の第7の実施形態の立体画像表示装置の位相差部の別の例を説明する平面図である。
【図18】本発明の第7の実施形態の立体画像表示装置の要部構成を説明する模式的な断面図である。
【図19】本発明の第8の実施形態の立体画像表示装置の要部構成を説明する模式的な分解斜視図である。
【図20】本発明の第8の実施形態の立体画像表示装置の要部構成を説明する模式的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、本発明の実施形態について、図面を用いて説明する。尚、本発明の実施形態の間で共通する構成要素については、共通する符号を用い、重複する説明は省略することにする。
【0036】
<実施の形態1>
図1は、本発明の第1の実施形態の立体画像表示装置の要部構成を説明する模式的な分解斜視図である。
【0037】
図1に示すように、本発明の第1の実施形態の立体画像表示装置1は、バックライト2と、偏光板3と、立体画像を形成する画像形成部4と、光学手段である位相差部8とをこの順で備え、これらが図示されない筐体に収容されている。そして、立体画像表示装置1は偏光メガネ11を備える。立体画像を観察しようとする観察者20は、この偏光メガネ11を着用し、立体画像表示装置1の位相差部8の前面側から画面上の画像を観察する。尚、位相差部8の観察者20側の面には、反射防止層を設けることも可能である。
【0038】
バックライト2は、観察者20から見て立体画像表示装置1の最も奥側に配置される。そして、バックライト2は、立体画像表示装置1で画像を表示している状態(以下、「立体画像表示装置1の使用状態」と称する。)において、白色の無偏光を偏光板3の一面に向けて均一な光量となるように出射する。尚、立体画像表示装置1では、バックライト2に面光源を用いているが、面光源に替えて、例えば、LEDなどの点光源と集光レンズとの組み合わせでもよい。この集光レンズの一例は、フレネルレンズシートである。フレネルレンズシートは、一側面に同心上の凹凸するレンズ面を有し、背面側の中心の焦点から入射した光を前面側向けて射出することができる。
【0039】
偏光板3は、透過軸7およびその透過軸7に直交する吸収軸を有する。そして、偏光板3は、バックライト2から出射した無偏光が入射すると、その無偏光のうち透過軸7の方向と平行な偏光軸の光を透過し、吸収軸方向と平行な偏光軸の光を遮断する。ここで、偏光軸の方向とは、光における電界の振動方向のことであり、偏光板3における透過軸7の方向は、図1に矢印で示すように、観察者20が立体画像表示装置1を見たときの水平方向と垂直な方向である。
【0040】
画像形成部4は、立体画像を表示するための画像が形成される。画像形成部4に形成される画像は、視差を有する左目用の画像と右目用の画像とを合成して得られた合成画像である。そして、左目用の画像は画像形成部4の後述する左目用画素を用いて構成され、右目用の画像は後述する右目用画素を用いて構成される。
左目用画素と右目用画素とを有する画像形成部4は、例えば、ガラス基板など透明な基板上に、画像形成のための着色用のインクを受容するインキ受容層を設けて構成することが可能である。
【0041】
図2は、本発明の第1の実施形態の立体画像表示装置の画像形成部の断面図である。
【0042】
図2に示すように、本発明の第1の実施形態の立体画像表示装置1の画像形成部4は、透明な基板14の上にインク受容層15を設けて構成されている。本実施形態の画像形成部4のインク受容層15は、微細粒子(図示されない)を規則正しく積み上げて構成されている。微細粒子としては、例えば、無機微粒子を用いることが可能であり、より具体的には、ベーマイト結晶構造からなるアルミナ水和物ゾルを用いることが可能である。そして、バインダーとして水溶性ポリマーを主成分とし、一次粒子径が20nm以下の無機微粒子を規則正しく積み上げて、平均細孔半径が10nm以下に制御された多孔質のインク受容層15を形成することが可能である。画像形成部4のインク受容層15では、規則正しく並んだ粒子配列により、透明性・平面性とインクにじみを抑える性質の実現が可能になり、クリアな画像を形成することができる。
【0043】
そして、画像形成部4には、図1に示すように、行方向と列方向にマトリクス状に配列された多数の画素が配置され、各画素が左目用画素5と右目用画素6のうちの何れか一方を構成する。
【0044】
図3は、本発明の第1の実施形態の立体画像表示装置の画像形成部の構造を説明する模式的な平面図である。
【0045】
図3に示すように、画像形成部4では、マトリクス状に配列された多数の画素において、行方向に左目用画素5と右目用画素6とが交互に配置され、列方向においても、左目用画素5と右目用画素6とが交互に配置されている。その結果、画像形成部4においては、複数の左目用画素5が行方向および列方向において互いに隣接することがなく、複数の右目用画素6が行方向および列方向において互いに隣接することがないように構成されている。
【0046】
図4は、本発明の第1の実施形態の立体画像表示装置の画像形成部の画素構造を説明する模式的な平面図であり、図4(a)は、画像形成部の左目用画素の構造を説明する平面図であり、図4(b)は、画像形成部の右目用画素の構造を説明する平面図である。
【0047】
本発明の第1の実施形態の立体画像表示装置1の画像形成部4の左目用画素5と右目用画素6は、それぞれ赤色着色部16と緑色着色部17と青色着色部18とから構成されている。左目用画素5と右目用画素6とをそれぞれ、赤色着色部16、緑色着色部17および青色着色部18から構成する場合、例えば、図4(a)および図4(b)に示すように、2行2列のマトリクス状に赤色着色部16と緑色着色部17と青色着色部18とを配置することが可能である。そして、視感度の高い緑色の画像を形成するための緑色着色部17を、左目用画素5と右目用画素6のそれぞれに2個ずつ設けることが可能である。その場合、例えば、2個の緑色着色部17が画素内で隣接しないよう、対角線上に設けることが可能である。
【0048】
画像形成部4の左目用画素5と右目用画素6のそれぞれに赤色着色部16、緑色着色部17および青色着色部18を設ける方法については、例えば、昇華型の転写方式やインクジェット方式を利用することが可能である。インクジェット方式を用いる場合、上述した画像形成部4のインク受容層15に、顔料および/または染料の含有された赤色、緑色および青色の各色のインクをそれぞれ供給して受容させ、各色のインクを所定の領域に定着させて、赤色着色部16、緑色着色部17および青色着色部18を設けることが可能である。そして、赤色着色部16、緑色着色部17および青色着色部18におけるインクの定着量を制御して、左目用画素5と右目用画素6のそれぞれの色特性を制御し、画像形成部4にカラー画像を形成することが可能となる。
【0049】
そして、上述の技術を用いることにより、画像形成部4では、左目用画素5と右目用画素6とを合わせた全画素数は1000万個以上が可能である。画像形成部4のサイズについては、対角50インチ以上の大画面とすることが可能であり、解像度は1200dpiを実現することが可能である。すなわち、高精細かつ大画面の立体画像の形成を可能とする。
【0050】
尚、画像形成部4の左目用画素5と右目用画素6の構成については、上述の赤色着色部16と緑色着色部17と青色着色部18と異なる色を発色する着色部を用いて構成することも可能である。また、図4(a)および図4(b)に示す左目用画素5と右目用画素6それぞれに2個ずつ設けられた緑色着色部17の一方を黄色で着色された黄色着色部とすることも可能である。
【0051】
以上の構造を有することにより、画像形成部4においては、左目用画素5と右目用画素6とを用い、視差を有する左目用の画像と右目用の画像とを合成して得られた合成画像を形成することが可能である。すなわち、視差を有する左目用と右目用との2種の画像を用い、画像形成部4において1個の合成画像を形成することが可能である。
【0052】
図5は、本発明の第1の実施形態の立体画像表示装置の位相差部の断面図である。
【0053】
位相差部8は、光の透過が可能な基板22上に位相差層23を配置して構成されている。基板22には、光透過性を備えたガラス基板や樹脂フィルムを用いることが可能である。基板22が、ガラス基板である場合、その厚さは0.3mm〜1mmとすることが可能であり、0.4mm〜0.8mmとすることがより好ましい。基板22が樹脂フィルムである場合、その厚さは、0.04mm〜0.3mmとすることが可能であり、0.06mm〜0.2mmとすることがより好ましい。そして、位相差層23の厚さは0.5μm〜4μmとすることが可能であり、1μm〜2μmとすることがより好ましい。尚、位相差部8の基板22は、熱膨張係数が画像形成部4の基板14と同等である部材が選択され、構成されることが好ましい。後述するように、画像形成部4と位相差部8とは、対向して配置され、位相差部8の第1の偏光領域9は、画像形成部4の左目用画素5に対応し、第2の偏光領域10は、画像形成部4の右目用画素6に対応するよう配置されるが、それぞれの熱膨張により、互いの設定位置にずれが生じないようにすることが好ましい。
【0054】
位相差部8は、図1に示すように、第1の偏光領域9および第2の偏光領域10を有する。位相差部8において、第1の偏光領域9および第2の偏光領域10は、行方向と列方向にマトリクス状に配列されている。そして、行方向に第1の偏光領域9と第2の偏光領域10とが交互に配置されるように構成され、列方向においても、第1の偏光領域9と第2の偏光領域10とが交互に配置されるよう構成されている。このとき、本発明の第1の実施形態の立体画像表示装置1において、位相差部8における第1の偏光領域9および第2の偏光領域10の位置および大きさは、図1に示すように、画像形成部4の左目用画素5および右目用画素6の位置および大きさに対応している。すなわち、位相差部8の第1の偏光領域9は、画像形成部4の左目用画素5に対応し、第2の偏光領域10は、画像形成部4の右目用画素6に対応するよう配置されている。すなわち、位相差部8では、画像形成部4の高精細な画像形成に対応するよう第1の偏光領域9および第2の偏光領域10が形成されている。
【0055】
図6は、本発明の第1の実施形態の立体画像表示装置の位相差部の一部を拡大して示す平面図である。
【0056】
図6に示すように、位相差部8の第1の偏光領域9は、光学軸が水平方向から右上45度方向である1/4波長板を構成しており、第2の偏光領域10は、光学軸が水平方向から左上45度方向である1/4波長板を構成している。すなわち、位相差部8の第1の偏光領域9と第2の偏光領域10との間では、光学軸が互いに直交するように構成されている。図6では、位相差部8の第1の偏光領域9と第2の偏光領域10における光学軸の方向を矢印によって示している。ここで、光学軸とは、光が第1の偏光領域9または第2の偏光領域10を透過するときの進相軸または遅相軸の一方を意味するが、本実施の形態では、遅相軸を意味している。
【0057】
尚、位相差部8の位相差層23については、上述のように、光学軸が互いに直交する1/4波長板から構成するのみではなく、第1の偏光領域は光学軸が水平方向から右上45度方向である1/2波長板を構成し、第2の偏光領域は光学軸が水平方向である1/2波長板を構成するようにすることも可能である。
【0058】
本発明の第1の実施形態の立体画像表示装置1は、図1に示すように、偏光メガネ11を備え、立体画像を観察しようとする観察者20はこれを着用して使用する。偏光メガネ11には、観察者20の左目にあたる位置に左目用メガネ部12が配置され、右目にあたる位置に右目用メガネ部13が配置されている。そして、左目用メガネ部12と右目用メガネ部13はそれぞれ、偏光特性の異なる円偏光板から構成されている。立体画像表示装置1の位相差部8の第1の偏光領域9と第2の偏光領域10とが、上述のような、光学軸が互いに直交する1/4波長板を構成している場合、左目用メガネ部12は左円偏光を透過する左円偏光板から構成され、右目用メガネ部13は右円偏光を透過する右円偏光板から構成される。図1では、左目用メガネ部12と右目用メガネ部13それぞれの有する偏光特性を矢印によって示している。
【0059】
尚、立体画像表示装置1の位相差部8の第1の偏光領域9と第2の偏光領域10とが、上述のように、光学軸の方向が異なる1/2波長板を構成する場合、左目用メガネ部12と右目用メガネ部13はそれぞれ、透過軸の方向が互いに直交する直線偏光板から構成される。
【0060】
図7は、本発明の第1の実施形態の立体画像表示装置の要部構成を説明する模式的な断面図である。
【0061】
図7に示すように、立体画像表示装置1は、バックライト2と、偏光板3と、画像形成部4と、位相差部8とをこの順で備え、これらが図示されない筐体に収容されている。そして、立体画像表示装置1は偏光メガネ11を備える。立体画像を観察しようとする観察者20はこの偏光メガネ11を着用し、位相差部8の前面側から画面上の画像を観察する。そして、画像形成部4と位相差部8の配置については、画像形成部4のインク受容層15と位相差部8の位相差層23とが対向するように配置される。また、偏光板3はバックライト2の上に配置することが可能である。
【0062】
本発明の第1の実施形態の立体画像表示装置1は、以上の構成を備え、観察者20による立体画像の観察を可能とする。
すなわち、バックライト2から出射された光は、偏光板3を通過して水平方向と垂直な直線偏光となり、画像形成部4に入射する。画像形成部4では、左目用画素5に左目用の画像が形成され、右目用画素6に右目用の画像が形成されている。したがって、画像形成部4に入射した直線偏光は、左目用画素5と右目用画素6を透過し、左目用画素5の透過光は左目用画像光となり、右目用画素6の透過光は右目用画像光となる。
【0063】
次いで、それぞれ直線偏光である左目用画像光と右目用画像光は、位相差部8に入射する。このとき、位相差部8では、第1の偏光領域9が画像形成部4の左目用画素5に対応し、第2の偏光領域10が画像形成部4の右目用画素6に対応するよう配置されている。したがって、左目用画像光は位相差部8の第1の偏光領域9に入射し、右目用画像光は第2の偏光領域10に入射する。そして、左目用画像光は第1の偏光領域9で左円偏光に変換され、右目用画像光は第2の偏光領域10で右円偏光に変換される。観察者20は偏光メガネ11を用い、左目用メガネ部12で左円偏光である左目用画像光のみを透過させ、右目用メガネ部13で右円偏光である右目用画像光のみを透過させる。その結果、観察者20の左目には左目用画像光のみが届き、右目には右目用画像光のみが届くことになる。すなわち、観察者20は、左目で左目用の画像のみを観察し、右目で右目用の画像のみを観察することができ、立体画像表示装置1における形成画像を立体画像として観察することが可能となる。
【0064】
そして、本発明の第1の実施形態の立体画像表示装置1は、画像形成部4のインク受容層15と位相差部8の位相差層23が対向するように、画像形成部4と位相差部8とを配置している。このような配置とすることで、立体画像表示装置1は、クロストークの問題を低減することができる。すなわち、観察者20は、立体画像表示装置1の画像を画面の中央鉛直方向からある視野角をもって観察する場合がある。上述のように、画像形成部4の左目用画素5を透過した左目用画像光は位相差部8の第1の偏光領域9にのみ入射し、右目用画素6を透過した右目用画像光は位相差部8の第2の偏光領域10にのみ入射することが必要である。しかしながら、視野角を大きくとった場合に、左目用画素5を透過した左目用画像光の一部が右目用画像光のみが入射すべき第2の偏光領域10に入射し、そのまま右目用画像光とともに観察者20の右目に届いてしまうことがある。同様に、右目用画素6を透過した右目用画像光の一部が左目用画像光のみが入射すべき第1の偏光領域9に入射し、そのまま左目用画像光とともに観察者20の左目に届いてしまうことがある。こうしたクロストークの問題は、上述したように、画像形成部4のインク受容層15と位相差部8の位相差層23とを対向するように配置し、互いの距離を近づけることにより低減することができる。
【0065】
<実施の形態2>
本発明の第2の実施形態の立体画像表示装置は、図1および図7に示した第1の実施形態の立体画像表示装置1において、その偏光板3が異なる位置に配置された構造に対応する。第2の実施形態の立体画像表示装置は、第1の実施形態の立体画像表示装置1と主要な構成要素が共通しているため、立体画像表示装置1と共通する各構成要素については、同じ符号を用いて説明し、重複する詳細な説明は省略することにする。したがって、後述する主要な構成要素である画像形成部4は、図2、図3および図4に示される構造を有する。位相差部8は、例えば、図5および図6に示す構造を有することが可能である。
【0066】
図8は、本発明の第2の実施形態の立体画像表示装置の要部構成を説明する模式的な断面図である。
【0067】
図8に示すように、本発明の第2の実施形態の立体画像表示装置100は、バックライト2と、画像形成部4と、偏光板3と、位相差部8とをこの順で備え、これらが図示されない筐体に収容されている。そして、立体画像表示装置100は偏光メガネ11を備える。立体画像を観察しようとする観察者20は、この偏光メガネ11を着用し、立体画像表示装置100の位相差部8の前面側から画面上の画像を観察する。そして、画像形成部4と位相差部8の配置については、画像形成部4のインク受容層15と位相差部8の位相差層23とが対向するように配置される。尚、位相差部8の観察者20側の面には、反射防止層を設けることも可能である。
【0068】
また、本発明の第2の実施形態の立体画像表示装置100において、偏光板3は位相差部8の位相差層23上に配置されている。偏光板3には薄型の偏光板を選択することが好ましい。
【0069】
本発明の第2の実施形態の立体画像表示装置100は、以上の構成を備え、観察者20による立体画像の観察を可能とする。
すなわち、バックライト2から出射された光は、画像形成部4に入射する。画像形成部4では、左目用画素5に左目用の画像が形成され、右目用画素6に右目用の画像が形成されている。したがって、画像形成部4に入射したバックライト2からの光は、左目用画素5と右目用画素6を透過し、左目用画素5の透過光は左目用画像光となり、右目用画素6の透過光は右目用画像光となる。次いで、左目用画像光と右目用画像光は、偏光板3に入射し、それを通過して水平方向と垂直な直線偏光となる。
【0070】
次いで、それぞれ直線偏光である左目用画像光と右目用画像光は、位相差部8に入射する。このとき、位相差部8では、第1の偏光領域9が画像形成部4の左目用画素5に対応し、第2の偏光領域10が画像形成部4の右目用画素6に対応するよう配置されている。したがって、左目用画像光は位相差部8の第1の偏光領域9に入射し、右目用画像光は第2の偏光領域10に入射する。そして、左目用画像光は第1の偏光領域9で左円偏光に変換され、右目用画像光は第2の偏光領域10で右円偏光に変換される。観察者20は偏光メガネ11を用い、左目用メガネ部12で左円偏光である左目用画像光のみを透過させ、右目用メガネ部13で右円偏光である右目用画像光のみを透過させる。その結果、観察者20の左目には左目用画像光のみが届き、右目には右目用画像光のみが届くことになる。すなわち、観察者20は、左目で左目用の画像のみを観察し、右目で右目用の画像のみを観察することができ、立体画像表示装置100における表示画像を立体画像として観察することが可能となる。
【0071】
そして、本発明の第2の実施形態の立体画像表示装置100は、画像形成部4のインク受容層15と位相差部8の位相差層23とが偏光板3を挟んで対向するように、画像形成部4と位相差部8とを配置している。そして、画像形成部4と位相差部8との間に設けられた偏光板3は薄型の偏光板であり厚さは非常に薄いものである。したがって、このような構成とすることで、立体画像表示装置100は、クロストークの問題を低減することができる。
【0072】
<実施の形態3>
本発明の第3の実施形態の立体画像表示装置は、図1および図7に示した第1の実施形態の立体画像表示装置1において、その画像形成部4がインク受容層15のみからなり、それが位相差部8上に配置された構造に対応する。したがって、第3の実施形態の立体画像表示装置は、第1の実施形態の立体画像表示装置1と主要な構成要素が共通しており、立体画像表示装置1と共通する各構成要素については、同じ符号を用いて説明し、重複する詳細な説明は省略することにする。よって、後述する主要な構成要素である画像形成部204のインク受容層は、上述した第1の実施形態の立体画像表示装置1のインク受容層15と同様の構造を有する。そして、画像形成部204は、立体画像表示装置1の画像形成部4と同様の画素の配置構造を備える。位相差部8は、例えば、図5および図6に示す構造を有することが可能である。
【0073】
図9は、本発明の第3の実施形態の立体画像表示装置の要部構成を説明する模式的な断面図である。
【0074】
図9に示すように、本発明の第3の実施形態の立体画像表示装置200は、バックライト2と、偏光板3と、画像形成部204と、位相差部8とをこの順で備え、これらが図示されない筐体に収容されている。偏光板3はバックライト2上に配置することが可能である。そして、立体画像表示装置200は偏光メガネ11を備え、立体画像を観察しようとする観察者20がこれを着用し、位相差部8の前面側から画面上の画像を観察する。尚、位相差部8の観察者20側の面には、反射防止層を設けることも可能である。
【0075】
本発明の第3の実施形態の立体画像表示装置200では、画像形成部204が、上述した第1の実施形態の立体画像表示装置1のインク受容層15と同様のインク受容層のみから構成されている。そして、画像形成部204は、位相差部8の位相差層23の上に配置されて、位相差部8によって支持されている。すなわち、立体画像表示装置200では、画像形成部204においてインク受容層を支持する基板を使用せず、立体画像表示装置1のインク受容層15と同様のインク受容層からなる画像形成部204を直接に位相差部8上に設ける構造を有する。
【0076】
そして、画像形成部204は、インク受容層を支持する基板を使用しないこと以外、上述した第1の実施形態の立体画像表示装置1の画像形成部4と同様の構造を有している。そのため、画像形成部204には、図3に示された画像形成部4と同様、行方向と列方向にマトリクス状に配列された多数の画素(図示されない)が配置され、各画素が左目用画素と右目用画素のうちの何れか一方を構成する。画像形成部204の左目用画素と右目用画素は、図4に示した第1の実施形態の立体画像表示装置1の画像形成部4の左目用画素5および右目用画素6と同様の構造を有している。
【0077】
したがって、立体画像表示装置200では、上述した第1の実施形態の立体画像表示装置1の画像形成部4と位相差部8とが、インク受容層15と位相差層23とを対向させながら一体化した構造と同様の構造を有する。さらに、画像形成部204においてインク受容層を支持する基板は不要となる。
このような構造とすることにより、画像形成部204のインク受容層と位相差部8の位相差層23とが密着し、上述したクロストークの問題を低減することができる。また、画像形成部204の左目用画素および右目用画素と、位相差部8の第1の偏光領域9および第2の偏光領域10との間の位置合わせが容易となって、それらの間の位置合わせ精度が向上するとともに、立体画像表示装置200の製造が容易となる。
【0078】
本発明の第3の実施形態の立体画像表示装置200は、以上の構成を備え、観察者20による立体画像の観察を可能とする。
すなわち、図9に示すように、バックライト2から出射された光は、偏光板3を通過して水平方向と垂直な直線偏光となり、図3に示された画像形成部4と同様の画素の配置を有する画像形成部204に入射する。画像形成部204では、左目用画素(図示されない)に左目用の画像が形成され、右目用画素(図示されない)に右目用の画像が形成されている。したがって、画像形成部204に入射した直線偏光は、左目用画素と右目用画素を透過し、左目用画素の透過光は左目用画像光となり、右目用画素の透過光は右目用画像光となる。
【0079】
次いで、それぞれ直線偏光である左目用画像光と右目用画像光は、位相差部8に入射する。このとき、位相差部8では、第1の偏光領域9が画像形成部204の左目用画素に対応し、第2の偏光領域10が画像形成部204の右目用画素に対応するよう配置されている。したがって、左目用画像光は位相差部8の第1の偏光領域9に入射し、右目用画像光は第2の偏光領域10に入射する。そして、左目用画像光は第1の偏光領域9で左円偏光に変換され、右目用画像光は第2の偏光領域10で右円偏光に変換される。観察者20は偏光メガネ11を用い、左目用メガネ部12で左円偏光である左目用画像光のみを透過させ、右目用メガネ部13で右円偏光である右目用画像光のみを透過させる。その結果、観察者20の左目には左目用画像光のみが届き、右目には右目用画像光のみが届くことになる。すなわち、観察者20は、左目で左目用の画像のみを観察し、右目で右目用の画像のみを観察することができ、立体画像表示装置200における表示画像を立体画像として観察することが可能となる。
【0080】
<実施の形態4>
本発明の第4の実施形態の立体画像表示装置は、図1および図7に示した第1の実施形態の立体画像表示装置1において、そのバックライト2の代わりに光反射材からなる反射部を用い、外部からの光(以下、外光と言う。)利用するようにされた構造に対応する。したがって、第4の実施形態の立体画像表示装置は、第1の実施形態の立体画像表示装置1と他の主要な構成要素が共通している。そのため、立体画像表示装置1と共通する各構成要素については、同じ符号を用いて説明し、重複する詳細な説明は省略することにする。よって、後述する主要な構成要素である画像形成部4は、図2、図3および図4に示される構造を有する。位相差部8は、例えば、図5および図6に示す構造を有することが可能である。
【0081】
図10は、本発明の第4の実施形態の立体画像表示装置の要部構成を説明する模式的な分解斜視図である。
【0082】
図10に示すように、本発明の第4の実施形態の立体画像表示装置300は、反射部302と、偏光板3と、視差を有する左目用の画像および右目用の画像の合成画像を形成する画像形成部4と、光学手段である位相差部8とをこの順で備え、これらが図示されない筐体に収容されている。そして、立体画像表示装置300は偏光メガネ11を備える。立体画像を観察しようとする観察者20は、この偏光メガネ11を着用し、立体画像表示装置300の位相差部8の前面側から画面上の画像を観察する。尚、位相差部8の観察者20側の面には、反射防止層を設けることも可能である。
【0083】
反射部302は、外光を反射する光反射材から構成される。反射部302は、観察者20から見て立体画像表示装置300の最も奥側に配される。そして、立体画像表示装置300で画像を表示している状態において、位相差部8と画像形成部4と偏光板3とを透過して反射部302に到達する外光を反射し、偏光板3の一面に向けて均一な光量となるように出射することができる。このとき、位相差部8側から入射する無偏光である外光は、偏光板3を通過して水平方向と垂直な直線偏光となり、反射部302に到達する。反射部302では、直線偏光となった外光を、偏光特性を維持したまま反射し、再び偏光板3に入射させることができる。
【0084】
図11は、本発明の第4の実施形態の立体画像表示装置の要部構成を説明する模式的な断面図である。
【0085】
図11に示すように、立体画像表示装置300は、反射部302と、偏光板3と、画像形成部4と、位相差部8とをこの順で備え、上述したように、これらが図示されない筐体に収容されている。そして、立体画像を観察しようとする観察者20は、偏光メガネ11を着用し、位相差部8の前面側から画面上の画像を観察する。画像形成部4と位相差部8の配置については、画像形成部4のインク受容層15と位相差部8の位相差層23とが対向するように配置される。また、偏光板3は反射部302上に配置することが可能である。
【0086】
本発明の第4の実施形態の立体画像表示装置300は、以上の構成を備え、バックライトを用いること無く、より簡単な構造で観察者20による立体画像の観察を可能とする。そして、第4の実施形態の立体画像表示装置300は、上述した第1の実施形態の立体画像表示装置1などに比べて装置の軽量化を実現することが可能である。
すなわち、図11に示すように、第4の実施形態の立体画像表示装置300は、バックライトを用いること無く、位相差板8の前面側から入射する外光を利用する。そして、位相差部8と画像形成部4と偏光板3とを透過して直線偏光となった外光は、反射部302に到達し、反射部302で偏光特性を維持したまま反射される。反射部302から反射された水平方向と垂直な直線偏光は、偏光板3を通過して、水平方向と垂直な直線偏光のままで画像形成部4に入射する。画像形成部4では、左目用画素5に左目用の画像が形成され、右目用画素6に右目用の画像が形成されている。したがって、画像形成部4に入射した直線偏光は、左目用画素5と右目用画素6を透過し、左目用画素5の透過光は左目用画像光となり、右目用画素6の透過光は右目用画像光となる。
【0087】
次いで、それぞれ直線偏光である左目用画像光と右目用画像光は、位相差部8に入射する。このとき、位相差部8では、第1の偏光領域9が画像形成部4の左目用画素5に対応し、第2の偏光領域10が画像形成部4の右目用画素6に対応するよう配置されている。したがって、左目用画像光は位相差部8の第1の偏光領域9に入射し、右目用画像光は第2の偏光領域10に入射する。そして、左目用画像光は第1の偏光領域9で左円偏光に変換され、右目用画像光は第2の偏光領域10で右円偏光に変換される。観察者20は偏光メガネ11を用い、左目用メガネ部12で左円偏光である左目用画像光のみを透過させ、右目用メガネ部13で右円偏光である右目用画像光のみを透過させる。その結果、観察者20の左目には左目用画像光のみが届き、右目には右目用画像光のみが届くことになる。すなわち、観察者20は、左目で左目用の画像のみを観察し、右目で右目用の画像のみを観察することができ、立体画像表示装置300における表示画像を立体画像として観察することが可能となる。
【0088】
そして、本発明の第4の実施形態の立体画像表示装置300は、画像形成部4のインク受容層15と位相差部8の位相差層23が対向するように、画像形成部4と位相差部8とを配置している。このような配置とすることで、立体画像表示装置300は、クロストークの問題を低減することができる。
【0089】
<実施の形態5>
本発明の第5の実施形態の立体画像表示装置は、図10および図11に示した第4の実施形態の立体画像表示装置300において、その偏光板3が異なる位置に配置された構造に対応する。そして同時に、第5の実施形態の立体画像表示装置は、図8に示した第2の実施形態の立体画像表示装置100において、そのバックライト2が反射材からなる反射部に変えられ、外光を利用するようにされた構造に対応する。したがって、第5の実施形態の立体画像表示装置は、第2の実施形態の立体画像表示装置100および第4の実施形態の立体画像表示装置300と主要な構成要素が共通している。そして、立体画像表示装置100および立体画像表示装置300は、第1の実施形態の立体画像表示装置1と主要な構成要素が共通しているため、第5の実施形態の立体画像表示装置は、立体画像表示装置1と主要な構成要素が共通する。そのため、本発明の第5の実施形態の立体画像表示装置において、立体画像表示装置100、立体画像表示装置300および立体画像表示装置1と共通する各構成要素については、同じ符号を用いて説明し、重複する詳細な説明は省略することにする。よって、後述する主要な構成要素である画像形成部4は、図2、図3および図4に示される構造を有する。位相差部8は、例えば、図5および図6に示す構造を有することが可能である。
【0090】
図12は、本発明の第5の実施形態の立体画像表示装置の要部構成を説明する模式的な断面図である。
【0091】
図12に示すように、本発明の第5の実施形態の立体画像表示装置400は、反射部302と、画像形成部4と、偏光板3と、位相差部8とをこの順で備え、上述したように、これらが図示されない筐体に収容されている。そして、立体画像表示装置400は偏光メガネ11を備える。立体画像を観察しようとする観察者20は、この偏光メガネ11を着用し、立体画像表示装置400の位相差部8の前面側から画面上の画像を観察する。画像形成部4と位相差部8の配置については、画像形成部4のインク受容層15と位相差部8の位相差層23とが偏光板3を挟んで対向するように配置される。尚、位相差部8の観察者20側の面には、反射防止層を設けることも可能である。
【0092】
また、本発明の第5の実施形態の立体画像表示装置400において、偏光板3は位相差部8の位相差層23上に配置されている。偏光板3には薄型の偏光板を選択することが好ましい。
【0093】
本発明の第5の実施形態の立体画像表示装置400は、以上の構成を備え、バックライトを用いること無く、より簡単な構造で観察者20による立体画像の観察を可能とする。そして、第5の実施形態の立体画像表示装置400は、上述した第1の実施形態の立体画像表示装置1などに比べて装置の軽量化を実現することが可能である。
【0094】
すなわち、図12に示すように、第5の実施形態の立体画像表示装置400は、位相差板8の観察者20側から入射する外光を利用する。そして、位相差部8と偏光板3と画像形成部4とを透過して直線偏光となった外光は、反射部302に到達し、反射部302で偏光特性を維持したまま反射される。反射部302から反射された水平方向と垂直な直線偏光は、画像形成部4に入射する。画像形成部4では、左目用画素5に左目用の画像が形成され、右目用画素6に右目用の画像が形成されている。したがって、画像形成部4に入射した直線偏光は、左目用画素5と右目用画素6を透過し、左目用画素5の透過光は左目用画像光となり、右目用画素6の透過光は右目用画像光となる。右目用画像光と左目用画像光は、水平方向と垂直な直線偏光であり、そのまま偏光板3を通過する。
【0095】
次いで、それぞれ水平方向と垂直な直線偏光である左目用画像光と右目用画像光は、位相差部8に入射する。このとき、位相差部8では、第1の偏光領域9が画像形成部4の左目用画素5に対応し、第2の偏光領域10が画像形成部4の右目用画素6に対応するよう配置されている。したがって、左目用画像光は位相差部8の第1の偏光領域9に入射し、右目用画像光は第2の偏光領域10に入射する。そして、左目用画像光は第1の偏光領域9で左円偏光に変換され、右目用画像光は第2の偏光領域10で右円偏光に変換される。観察者20は偏光メガネ11を用い、左目用メガネ部12で左円偏光である左目用画像光のみを透過させ、右目用メガネ部13で右円偏光である右目用画像光のみを透過させる。その結果、観察者20の左目には左目用画像光のみが届き、右目には右目用画像光のみが届くことになる。すなわち、観察者20は、左目で左目用の画像のみを観察し、右目で右目用の画像のみを観察することができ、立体画像表示装置400における表示画像を立体画像として観察することが可能となる。
【0096】
そして、本発明の第5の実施形態の立体画像表示装置400は、画像形成部4のインク受容層15と位相差部8の位相差層23が対向するように、画像形成部4と位相差部8とを配置している。そして、画像形成部4と位相差部8との間に設けられた偏光板3は薄型の偏光板であり厚さは非常に薄いものである。このような配置とすることで、立体画像表示装置400は、クロストークの問題を低減することができる。
【0097】
<実施の形態6>
本発明の第6の実施形態の立体画像表示装置は、図10および図11に示した第4の実施形態の立体画像表示装置300において、その画像形成部4がインク受容層15のみからなり、それが位相差部8上に配置された構造に対応する。そして同時に、第6の実施形態の立体画像表示装置は、図9に示した第3の実施形態の立体画像表示装置200において、そのバックライト2が反射材からなる反射部に変えられ、外光を利用するようにされた構造に対応する。したがって、第6の実施形態の立体画像表示装置は、第3の実施形態の立体画像表示装置200および第4の実施形態の立体画像表示装置300と主要な構成要素が共通している。そして、立体画像表示装置200および立体画像表示装置300は第1の実施形態の立体画像表示装置1と主要な構成要素が共通しているため、第6の実施形態の立体画像表示装置は、立体画像表示装置1と主要な構成要素が共通している。そのため、立体画像表示装置200、立体画像表示装置300および立体画像表示装置1と共通する各構成要素については、同じ符号を用いて説明し、重複する詳細な説明は省略することにする。よって、後述する主要な構成要素である画像形成部204のインク受容層は、上述した第1の実施形態の立体画像表示装置1のインク受容層15と同様の構造を有する。位相差部8は、例えば、図5および図6に示す構造を有することが可能である。
【0098】
図13は、本発明の第6の実施形態の立体画像表示装置の要部構成を説明する模式的な断面図である。
【0099】
図13に示すように、本発明の第6の実施形態の立体画像表示装置500は、反射部302と、偏光板3と、画像形成部204と、位相差部8とをこの順で備え、これらが図示されない筐体に収容されている。偏光板3は反射部302上に配置することが可能である。そして、立体画像表示装置500は偏光メガネ11を備え、立体画像を観察しようとする観察者20がこれを着用し、位相差部8の前面側から画面上の画像を観察する。尚、位相差部8の観察者20側の面には、反射防止層を設けることも可能である。
【0100】
本発明の第6の実施形態の立体画像表示装置500では、画像形成部204が、上述した第1の実施形態の立体画像表示装置1のインク受容層15と同様のインク受容層のみから構成されている。そして、画像形成部204は、位相差部8の位相差層23の上に配置されて、位相差部8によって支持されている。すなわち、立体画像表示装置500では、画像形成部204においてインク受容層を支持する基板を使用せず、立体画像表示装置1のインク受容層15と同様のインク受容層からなる画像形成部204を直接に位相差部8上に設ける構造を有する。
【0101】
そして、画像形成部204は、インク受容層を支持する基板を使用しないこと以外、上述した第1の実施形態の立体画像表示装置1の画像形成部4と同様の構造を有している。そのため、画像形成部204には、図3に示された画像形成部4と同様、行方向と列方向にマトリクス状に配列された多数の画素(図示されない)が配置され、各画素が左目用画素と右目用画素のうちの何れか一方を構成する。画像形成部204の左目用画素と右目用画素は、図4に示した第1の実施形態の立体画像表示装置1の画像形成部4の左目用画素5および右目用画素6と同様の構造を有している。
【0102】
したがって、立体画像表示装置500では、上述した第1の実施形態の立体画像表示装置1の画像形成部4と位相差部8とが、インク受容層15と位相差層23とを対向させながら一体化した構造と同様の構造を有する。さらに、画像形成部204においてインク受容層を支持する基板は不要となる。
このような構造とすることにより、画像形成部204のインク受容層と位相差部8の位相差層23とが密着し、上述したクロストークの問題を低減することができる。また、画像形成部204の左目用画素および右目用画素と、位相差部8の第1の偏光領域9および第2の偏光領域10との間の位置合わせが容易となって、それらの間の位置合わせ精度が向上するとともに、立体画像表示装置500の製造が容易となる。
【0103】
本発明の第6の実施形態の立体画像表示装置500は、以上の構成を備え、バックライトを用いること無く、より簡単な構造で観察者20による立体画像の観察を可能とする。そして、第6の実施形態の立体画像表示装置500は、上述した第1の実施形態の立体画像表示装置1などに比べて装置の軽量化を実現することが可能である。
すなわち、第6の実施形態の立体画像表示装置500は、位相差板8の観察者20側から入射する外光を利用する。そして、位相差部8と画像形成部204と偏光板3とを透過して直線偏光となった外光は、反射部302に到達し、反射部302で偏光特性を維持したまま反射される。反射部302から反射された水平方向と垂直な直線偏光は、偏光板3を通過して、水平方向と垂直な直線偏光のままで画像形成部204に入射する。画像形成部204では、左目用画素5に左目用の画像が形成され、右目用画素6に右目用の画像が形成されている。したがって、画像形成部204に入射した直線偏光は、左目用画素5と右目用画素6を透過し、左目用画素5の透過光は左目用画像光となり、右目用画素6の透過光は右目用画像光となる。
【0104】
次いで、それぞれ直線偏光である左目用画像光と右目用画像光は、位相差部8に入射する。このとき、位相差部8では、第1の偏光領域9が画像形成部204の左目用画素5に対応し、第2の偏光領域10が画像形成部4の右目用画素6に対応するよう配置されている。したがって、左目用画像光は位相差部8の第1の偏光領域9に入射し、右目用画像光は第2の偏光領域10に入射する。そして、左目用画像光は第1の偏光領域9で左円偏光に変換され、右目用画像光は第2の偏光領域10で右円偏光に変換される。観察者20は偏光メガネ11を用い、左目用メガネ部12で左円偏光である左目用画像光のみを透過させ、右目用メガネ部13で右円偏光である右目用画像光のみを透過させる。その結果、観察者20の左目には左目用画像光のみが届き、右目には右目用画像光のみが届くことになる。すなわち、観察者20は、左目で左目用の画像のみを観察し、右目で右目用の画像のみを観察することができ、立体画像表示装置500における表示画像を立体画像として観察することが可能となる。
【0105】
そして、本発明の第6の実施形態の立体画像表示装置500は、画像形成部204のインク受容層と位相差部8の位相差層23とを対向させながら一体化した構造と同様の構造を有する。さらに、画像形成部204においてインク受容層を支持する基板は不要となる。
このような構造とすることにより、画像形成部204のインク受容層と位相差部8の位相差層23とが密着し、上述したクロストークの問題を低減することができる。また、画像形成部204の左目用画素および右目用画素と、位相差部8の第1の偏光領域9および第2の偏光領域10との間の位置合わせが容易となって、それらの間の位置合わせ精度が向上するとともに、立体画像表示装置500の製造が容易となる。
【0106】
<実施の形態7>
本発明の第7の実施形態の立体画像表示装置は、観察者は偏光メガネを用いること無く立体画像を観賞することが可能となるよう構成されている。すなわち、図1および図7に示した本発明の第1の実施形態の立体画像表示装置1において、1個であったバックライト2を水平方向に並べられた2個のバックライトから構成するようにし、1枚であった偏光板3を2個のバックライトのそれぞれに対向するよう左右に2分割して互いに偏光特性が異なるように設定する。そして、集光レンズであるフルネルレンズを用いて水平方向に並べられた2個のバックライトからの光を観察者20の左右の目それぞれに集光するように設定する。そして、さらにもう一枚の偏光板を画像形成部4の前面に設け、偏光メガネが不要になるように構成されている。以下、図面を用いて本実施形態の立体画像表示装置を説明するが、第1の実施形態の立体画像表示装置1と共通する構成要素については同じ符号を用い、重複する詳細な説明は省略することにする。したがって、後述する主要な構成要素である画像形成部4は、図2、図3および図4に示される構造を有する。
【0107】
図14は、本発明の第7の実施形態の立体画像表示装置の要部構成を説明する模式的な分解斜視図である。
【0108】
図14に示すように、本発明の第7の実施形態の立体画像表示装置600は、水平方向に配列された第1のバックライト602および第2のバックライト603と、第1の偏光板631および第2の偏光板632と、集光レンズであるフルネルレンズ633と、光学手段である位相差部608と、立体画像を形成する画像形成部4と、第3の偏光板634とをこの順で備え、これらが図示されない筐体に収容されている。立体画像を観察しようとする観察者20は、偏光メガネを用いること無く、立体画像表示装置600の画像形成部4の前面側から画面上の画像を観察する。尚、第3の偏光板634の観察者20側の面には、反射防止層を設けることも可能である。
【0109】
第1のバックライト602と第2のバックライト603はそれぞれ、観察者20から見て立体画像表示装置600の最も奥側に配置される。そして、第1のバックライト602と第2のバックライト603は、中心を境にして左右に並べられ、同一の層となるように配列される。すなわち、第7の実施形態の立体画像表示装置600の第1のバックライト602と第2のバックライト603は、第1の実施形態の立体画像表示装置1のバックライト2を左右に2分割した構造に対応する。そして、立体画像表示装置600の使用状態において、第1のバックライト602は、白色の無偏光を、対向するよう配置された第1の偏光板631に向けて出射する。第2のバックライト603は、白色の無偏光を、対向するよう配置された第2の偏光板632に向けて出射する。尚、立体画像表示装置600では、第1のバックライト602と第2のバックライト603のそれぞれをLEDなどの点光源を用いて構成することが可能である。このとき、第1のバックライト602と第2のバックライト603のそれぞれをLEDなどの点光源を複数並べて構成することも可能である。
【0110】
第1の偏光板631と第2の偏光板632とは、第1の実施形態の立体画像表示装置1の偏光板3を、同面積となるよう左右に2分割した構造に対応する。すなわち、第1の偏光板631と第2の偏光板632とは、立体画像表示装置600において同一層となるように配置されている。そして、第1の偏光板631は、第1のバックライト602と対向するようその前面側に配置され、第2の偏光板632は、第2のバックライト603と対向するようその前面側に配置される。
【0111】
第1の偏光板631と第2の偏光板632とは、透過軸615およびその透過軸615に直交する吸収軸を有する。そして、第1の偏光板631および第2の偏光板632は、第1のバックライト602および第2のバックライト603から出射した無偏光が入射すると、その無偏光のうち透過軸615の方向と平行な偏光軸の光を透過し、吸収軸方向と平行な偏光軸の光を遮断する。第1の偏光板631における透過軸615の方向は、図14に矢印で示すように、観察者20が立体画像表示装置600を見たときの水平方向と垂直な方向である。第2の偏光板632における透過軸616の方向は、図14に矢印で示すように、観察者20が立体画像表示装置600を見たときの水平方向と平行な方向である。
【0112】
第1のバックライト602および第2のバックライト603と位相差部608との間には、位相差部608の前面側にある画像形成部4と所定の距離を置くようにして、集光レンズであるシート状のフレネルレンズ633が配置されている。フレネルレンズ633は、一側面に同心上の凹凸するレンズ面を有する。そして、背面側から入射した光を、画像形成部4の置かれた前面側に射出するとともに、観察者20の左目641および右目642のそれぞれに向けてその光を集光させることができる。
【0113】
図14に示すように、フレネルレンズ633の前面側には、位相差部608と、図2、図3および図4を用いて第1の実施形態の立体画像表示装置1について説明した画像形成部4とが順に配置される。
【0114】
図15は、本発明の第7の実施形態の立体画像表示装置の位相差部の断面図である。
【0115】
位相差部608は、図15に示すように、光の透過が可能な基板22上に位相差層623を配置して構成されている。
【0116】
位相差部608は、図14に示すように、第1の偏光領域609および第2の偏光領域610を有する。位相差部8において、第1の偏光領域609および第2の偏光領域610は、行方向と列方向にマトリクス状に配列されている。そして、行方向に第1の偏光領域609と第2の偏光領域610とが交互に配置されるように構成され、列方向においても、第1の偏光領域609と第2の偏光領域610とが交互に配置されるよう構成されている。このとき、本発明の第7の実施形態の立体画像表示装置600において、位相差部608における第1の偏光領域609および第2の偏光領域610の位置および大きさは、図14に示すように、画像形成部4の左目用画素5および右目用画素6の位置および大きさに対応している。すなわち、位相差部608の第1の偏光領域609は、画像形成部4の左目用画素5に対応し、第2の偏光領域610は、画像形成部4の右目用画素6に対応するよう形成されて配置されている。
【0117】
図16は、本発明の第7の実施形態の立体画像表示装置の位相差部の一部を拡大して示す平面図である。
【0118】
図16に示すように、位相差部608の第1の偏光領域609は、光学軸が水平方向から右上45度方向である1/2波長板を構成しており、第2の偏光領域610は、光学軸が水平方向である1/2波長板を構成している。図16では、位相差部608の第1の偏光領域609と第2の偏光領域610における光学軸の方向を矢印によって示している。ここで、光学軸とは、光が第1の偏光領域609または第2の偏光領域610を透過するときの進相軸または遅相軸の一方を意味するが、本実施の形態では、遅相軸を意味している。
【0119】
尚、位相差部608の構成については、別の例として、第1の偏光領域609を光学軸が水平方向から右上45度方向である1/2波長板として構成し、第2の偏光領域610を実質的に位相差の無いガラスや樹脂等の部材として構成することが可能である。
【0120】
図17は、本発明の第7の実施形態の立体画像表示装置の位相差部の別の例を説明する平面図である。
【0121】
図17では、位相差部608の別の構成例である位相差部608−2の一部を拡大して示している。位相差部608の別の構成例である位相差部608−2では、第1の偏光領域609−2を光学軸が水平方向から右上45度方向である1/2波長板として構成し、第2の偏光領域610−2を実質的に位相差の無いガラスや樹脂等の部材として構成する。
【0122】
また、位相差部608のさらに別の構成例として、位相差部608は、第1の偏光領域609を光学軸が水平方向から右上45度方向である1/2波長板として構成し、第2の偏光領域610を光学軸が水平方向と垂直である1/2波長板として構成することも可能である。
【0123】
位相差部608およびその別の構成例の構造を上述のようにすることで、直線偏光である入射光に対し、位相差部608からの出射光は、透過する位相差部608の領域に従い、光軸の90度回転された直線偏光となるか、または光軸が回転されないままの直線偏光となる。すなわち、位相差部608に入射し、位相差部608の第1の偏光領域609を出射する光は、光軸が90度回転された直線偏光となる。一方、位相差部608の第2の偏光領域609から出射する光は、光軸が回転されないままの直線偏光となる。
【0124】
画像形成部4は、上記した第1の実施形態の立体画像表示装置1について説明したように、立体画像を表示するための画像が形成される。画像形成部4に形成される画像は、視差を有する左目用の画像と右目用の画像とを合成して得られた合成画像である。そして、左目用の画像は画像形成部4の左目用画素5を用いて構成され、右目用の画像は右目用画素6を用いて構成される。
左目用画素と右目用画素とを有する画像形成部4は、上記した第1の実施形態の立体画像表示装置1について図2を用いて説明したように、例えば、ガラス基板など透明な基板上にインキ受容層15を設けて構成することが可能である。
【0125】
図14に示すように、第3の偏光板634は、画像形成部4の前面側であって観察者20との間に配置される。第3の偏光板634は、透過軸617およびその透過軸617に直交する吸収軸を有する。したがって、第1のバックライト602および第2のバックライト603から出射し、第1の偏光板631または第2の偏光板632を通過した直線偏光が、フルネルレンズ633と位相差部608画像形成部4とを通過して、第3の偏光板634に入射すると、透過軸617の方向と平行な偏光軸の直線偏光を透過し、吸収軸方向と平行な偏光軸の直線偏光を遮断する。第3の偏光板634における透過軸617の方向は、図14に矢印で示すように、観察者20が立体画像表示装置600を見たときの水平方向と垂直な方向である。
【0126】
図18は、本発明の第7の実施形態の立体画像表示装置の要部構成を説明する模式的な断面図である。
【0127】
図18に示すように、立体画像表示装置600は、第1のバックライト602および第2のバックライト603と、第1の偏光板631および第2の偏光板632と、集光レンズであるフルネルレンズ633と、位相差部608と、視差を有する左目用の画像および右目用の画像の合成画像を形成する画像形成部4と、画像形成部4の基板14の観察者20側の面に配置された第3の偏光板634とをこの順で備え、これらが図示されない筐体に収容されている。立体画像を観察しようとする観察者20は偏光メガネを着用すること無く、第3の偏光板634の前面側から立体画像表示装置600の画面上の画像を観察する。そして、画像形成部4と位相差部608の配置については、画像形成部4のインク受容層15と位相差部608の位相差層623とが対向するように配置される。このように配置することで上述のクロストークの問題は抑制される。また、第1の偏光板631は第1のバックライト602上に配置することが可能であり、第2の偏光板632は第2のバックライト603上に配置することが可能である。
【0128】
尚、画像形成部4をインク受容層15のみから構成し、位相差部608の位相差層623の上に設けることも可能である。その場合、画像形成部4の基板14は不要となる。そして、第3の偏光板634は別の設けられた基板で支持するか、または画像形成部4のインク受容層15の上に配置することが好ましい。
【0129】
本発明の第7の実施形態の立体画像表示装置600は、以上の構成を備え、観察者20による立体画像の観察を可能とする。
すなわち、第1のバックライト602から出射された白色の無偏光は、第1の偏光板631を通過して水平方向と垂直な直線偏光となり、フルネルレンズ633に入射する。第2のバックライト603から出射された白色の無偏光は、第2の偏光板632を通過して水平方向と平行な直線偏光となり、フルネルレンズ633に入射する。
【0130】
そして、図18に示すように、第1のバックライト602から出射されて第1の偏光板631を通過した直線偏光651は、フレネルレンズ633の作用によって観察者20の右目642に向かう光となる。そして、一部が位相差部608と画像形成部4と第3の偏光板634とを通過して、所定の観察位置に位置する観察者20の右目642に集められ、その右目642に入射する。一方、第2のバックライト603から出射されて第2の偏光板632を通過した直線偏光652は、フレネルレンズ633の作用によって観察者20の左目641に向かう光となる。そして、一部が位相差部608と画像形成部4と第3の偏光板634とを通過して、所定の観察位置に位置する観察者の左目641に集められ、その左目641に入射する。
【0131】
このとき、上述のように、位相差部608に入射し、位相差部608の第1の偏光領域609から出射する光は光軸の90度回転された直線偏光となり、第2の偏光領域610から出射する光は光軸が回転されないままの直線偏光となる。
【0132】
したがって、第1の偏光板631を通過した水平方向と垂直な偏光方向の直線偏光は、フレネルレンズ633と位相差部608を通過し、画像形成部4を照射する。このとき、位相差部608を出射した光のうち、第1の偏光領域609から出射した光は、水平方向と平行な偏光方向の直線偏光となって画像形成部4の左目用画素5に入射する。位相差部608を出射した光のうち、第2の偏光領域610から出射した光は、水平方向と垂直な偏光方向の直線偏光のまま画像形成部4の右目用画素6に入射する。
【0133】
第2の偏光板632を通過した水平方向と平行な偏光方向の直線偏光は、フレネルレンズ633と位相差部608を通過し、画像形成部4を照射する。このとき、位相差部608を出射した光のうち、第1の偏光領域609から出射した光は、水平方向と垂直な偏光方向の直線偏光となって画像形成部4の左目用画素5に入射する。位相差部608を出射した光のうち、第2の偏光領域610から出射した光は、水平方向と平行な偏光方向の直線偏光のまま画像形成部4の右目用画素6に入射する。
【0134】
画像形成部4では、左目用画素5に左目用の画像が形成され、右目用画素6に右目用の画像が形成されている。したがって、画像形成部4に入射した光は、左目用画素5と右目用画素6を透過し、左目用画素5の透過光は左目用画像光となり、右目用画素6の透過光は右目用画像光となる。
【0135】
次いで、画像形成部4を出射した左目用画像光と右目用画像光は、第3の偏光板634に入射する。第3の偏光板634の透過軸617は、水平方向と垂直な方向に設定されている。したがって、第3の偏光板634は、水平方向と垂直な偏光方向の直線偏光のみ透過させ、水平方向と平行な偏光方向の直線偏光は遮断されることになる。
【0136】
以上の立体画像表示装置600の構成から、第1のバックライト602から出射されて第1の偏光板631を通過した水平方向と垂直な偏光方向の直線偏光651は、フレネルレンズ633の作用によって観察者20の右目642に向かう光となる。そして、位相差部608の第2の偏光領域610を透過して水平方向と垂直な偏光方向の直線偏光のまま、画像形成部4の右目用画素6に入射する。そこで右目用画像光となり、第3の偏光板634を通過して観察者20の右目642に届くことになる。このとき、位相差部608の第1の偏光領域609を透過して水平方向と平行な偏光方向の直線偏光に変換され、画像形成部4の左目用画素5に入射した光は、第3の偏光板634により遮断され、観察者20の右目642には届かない。
【0137】
また、第2のバックライト603から出射されて第2の偏光板632を通過した水平方向と平行な偏光方向の直線偏光は、フレネルレンズ633の作用によって観察者20の左目641に向かう光となる。そして、位相差部608の第1の偏光領域609を透過して水平方向と垂直な偏光方向の直線偏光に変換され、画像形成部4の左目用画素5に入射する。そこで左目用画像光となり、第3の偏光板634を通過して観察者20の左目641に届くことになる。このとき、位相差部608の第2の偏光領域610を透過して水平方向と平行な偏光方向の直線偏光のままで画像形成部4の右目用画素6に入射した光は、第3の偏光板634により遮断され、観察者20の左目641には届かない。
【0138】
こうして所定位置から観察する観察者20は、立体画像表示装置600により、左目641によって左目用の画像のみを見ることができ、右目642によって右目用の画像のみを見ることができる。その結果、立体画像表示装置600において表示された画像を立体画像として観賞することができる。
【0139】
また、立体画像表示装置600では、観察者20が所定観察位置から左右の何れかの方向にずれて、画面の画像を観察することも可能である。その場合、観察可能な画像は3次元の立体画像では無く、2次元の画像として観察することが可能である。
【0140】
また、本発明の第7の実施形態の立体画像表示装置600は、位相差部608について、第1の偏光領域609と第2の偏光領域610を1/2波長板から構成すること無く、それぞれ光学軸が直交する1/4波長板から構成することも可能である。例えば、第1の偏光領域609を、遅相軸が水平方向から右上45度方向である1/4波長板を用いて構成することができる。併せて、第2の偏光領域610を、光学軸が水平方向から左上45度方向である1/4波長板を用いて構成することができる。位相差部を直交する1/4波長板から構成する場合、第3の偏光板を左右いずれかの円偏光のみを透過する円偏光板とすることにより、観察者20は、左目641によって左目用の画像のみを見ることができ、右目642によって右目用の画像のみを見ることができる。その結果、そのような構成の立体画像表示装置において表示された画像を立体画像として観賞することができる。
【0141】
<実施の形態8>
本発明の第8の実施形態の立体画像表示装置は、観察者は偏光メガネを用いること無く立体画像を観賞することが可能となるよう構成されている。すなわち、図14および図18に示した本発明の第7の実施形態の立体画像表示装置600において、第1のバックライト602および第2のバックライト603を、異なる指向性の2種類の光を制御して出射することができる1個の指向性バックライトによって代替する。そして、フルネルレンズ633に代えて、入射する光の偏光方向を制御して出射させることができる偏光切替素子を設ける。その結果、第8の実施形態の立体画像表示装置は、時分割で、左目用画像光と右目用画像光とが観察者20の左目641と右目642のそれぞれに届けられるように構成される。したがって、第8の実施形態の立体画像表示装置は、第7の実施形態の立体画像表示装置600および第1の実施形態の立体画像表示装置1と一部の主要な構成要素が共通している。
【0142】
以下、図面を用いて本実施形態の立体画像表示装置を説明するが、第1の実施形態の立体画像表示装置1および第7の実施形態の立体画像表示装置600と共通する構成要素については同じ符号を用い、重複する詳細な説明は省略することにする。例えば、後述する主要な構成要素である位相差部608は、第7の実施形態の立体画像表示装置600について図15および図16を用いて説明した構造を有することが可能である。画像形成部4は、第1の実施形態の立体画像表示装置1について、図2、図3および図4を用いて説明した構造を有する。
【0143】
図19は、本発明の第8の実施形態の立体画像表示装置の要部構成を説明する模式的な分解斜視図である。
【0144】
図19に示すように、本発明の第8の実施形態の立体画像表示装置700は、指向性バックライト702と、偏光板731と、入射する光の偏光方向を制御して出射させることができる偏光切替素子733と、光学手段である位相差部608と、立体画像を形成する画像形成部4と、偏光板734とをこの順で備える。そして、指向性バックライト702での2種類の光の出射の切り替え制御と、偏光切替素子733での光の偏光方向の制御とをコントロールする制御部(図示されない)を有する。これらは、図示されない筐体に収容されている。立体画像を観察しようとする観察者20は、偏光メガネを用いること無く、立体画像表示装置700の画像形成部4の前面側から画面上の画像を観察する。尚、偏光板734の観察者20側の面には、反射防止層を設けることも可能である。
【0145】
指向性バックライト702は、観察者20から見て立体画像表示装置600の最も奥側に配置される。そして、指向性バックライト702では、立体画像表示装置700の使用状態において、指向性の異なる2種類の平行な白色無偏光を所定の周期で切り替えながら、交互に、異なる2方向に向けて出射することが可能とされている。例えば、指向性バックライト702は、白色の無偏光を所定の観察位置にある観察者20の左目641のある領域に向けて出射することが可能である。そして、指向性バックライト702は、所定期間後には出射光の切り替えを行って観察者20の右目642がある領域に向けて白色の無偏光を出射することができる。このとき、所定の期間毎に観察者20の左目641および右目642に向けて出射される光の量が同じ量となるようにすることができる。
【0146】
すなわち、指向性バックライト702は、立体画像表示装置700の正面方向に向かって均一な光量の白色の無偏光を常時出射するのではなく、正面に対して左側にずれた方向および正面に対して右側ずれた方向の異なる2方向に向かって、所定の周期でスイッチングを繰り返しながら、交互に、それぞれ平行な白色無偏光を同様の光量となるように出射させることができる。そのため、指向性バックライト702から所定距離だけ離れ、所定の位置で立体画像表示装置700と対向する観察者20は、指向性バックライト702から出射される2方向の光のうち、一方の光をある所定の期間、左目641だけで受け取ることができ、次の所定の期間では他方の光を右目642だけで受け取ることができる。ここで、指向性バックライト702におけるこのような2方向の出射光の切り替えの周期は、観察者20にフリッカとして感知されない周期とすることが望ましい。例えば、指向性バックライト702の2方向の出射光の切り替えは、30Hzより高い周波数で行われることが好ましく、60Hz以上の周波数で行われることがより望ましい。
【0147】
画像形成部4の背面側に配置される偏光板731は、透過軸707およびその透過軸707に直交する吸収軸を有する。そして、偏光板731は、指向性バックライト702から出射した無偏光が入射すると、その無偏光のうち透過軸707の方向と平行な偏光軸の光を透過し、吸収軸方向と平行な偏光軸の光を遮断する。偏光板731における透過軸707の方向は、図19に矢印で示すように、観察者20が立体画像表示装置700を見たときの水平方向と垂直な方向である。
【0148】
偏光切替素子733は、入射する光の偏光方向を制御して出射させることができる素子である。そして、偏光切替素子733は、電圧の印加によって液晶の配向方向のスイッチングが可能な液晶素子を用いて構成することができる。そして、液晶の配向方向のスイッチングにともなって、入射する光の偏光方向を制御し、偏光方向を制御した光を出射させるように構成されている。
【0149】
例えば、偏光切替素子733は、TN(Twisted Nematic)型の液晶素子の構造を有することができる。その場合、偏光切替素子733は、対向する面のそれぞれにITO(Indium Tin Oxide:酸化インジウム錫)などの透明電極が設けられた一対の透明な基板により、90度ツイストされたネマティック液晶を挟持して構成することができる。液晶のツイスト配向は一対の基板の透明電極上の液晶と接する面に設けられた液晶配向膜により実現することが可能である。
【0150】
そして、偏光切替素子733では、一対の基板それぞれの透明電極の間に電圧を印加することにより、液晶の配向変化を引き起こすことが可能となっている。すなわち、TN型の液晶素子の構造を有する偏光切替素子733では、電圧印加による液晶のON状態と電圧無印加のOFF状態のスイッチングが可能である。そして、そのTN型の液晶素子の構造を有する偏光切替素子733では、電圧無印加時のOFF状態においては旋光性を有し、電圧印加時のON状態においてはその旋光性は失われることになる。したがって、その偏光切替素子733は、OFF状態において、偏光切替素子733に入射する直線偏光の偏光方向を90度回転させることが可能である。そして、その偏光切替素子733は、ON状態において、偏光切替素子733に入射する直線偏光の偏光方向を回転させること無く、そのまま維持して出射させることが可能である。
【0151】
図19に示すように、偏光切替素子733の前面側には、位相差部608と画像形成部4と偏光板734とが順に配置される。
【0152】
画像形成部4の前面側に配置される偏光板734は、透過軸717およびその透過軸717に直交する吸収軸を有する。したがって、指向性バックライト702から出射し、偏光板731を通過した直線偏光が、偏光切替素子733と位相差部608と画像形成部4とを通過して偏光板734に入射すると、透過軸717の方向と平行な偏光軸の直線偏光は透過し、吸収軸方向と平行な偏光軸の直線偏光は遮断される。偏光板734における透過軸717の方向は、図19に矢印で示すように、観察者20が立体画像表示装置700を見たときの水平方向と垂直な方向である。
【0153】
図20は、本発明の第8の実施形態の立体画像表示装置の要部構成を説明する模式的な断面図である。
【0154】
図20に示すように、本発明の第8の実施形態の立体画像表示装置700は、指向性バックライト702と、偏光板731と、偏光切替素子733と、位相差部608と、視差を有する左目用の画像および右目用の画像の合成画像を形成する画像形成部4と、偏光板734とをこの順で備え、これらが図示されない筐体に収容されている。偏光板731は偏光切替素子733の背面(指向性バックライト702側の面)上に配置され、偏光板734は画像形成部4の基板14の観察者20側の面に配置される。立体画像を観察しようとする観察者20は偏光メガネを着用すること無く、偏光板734の前面側から画面上の画像を観察する。そして、画像形成部4と位相差部608の配置については、画像形成部4のインク受容層15と位相差部608の位相差層623とが対向するように配置される。このように配置することで上述のクロストークの問題は抑制される。
【0155】
尚、画像形成部4をインク受容層15のみから構成し、位相差部608の位相差層623上に設けることも可能である。その場合、画像形成部4の基板14は不要となる。そして、偏光板734は別の設けられた基板で支持するか、または画像形成部4のインク受容層15の上に配置することが好ましい。
【0156】
本発明の第8の実施形態の立体画像表示装置700は、以上の構成を備え、観察者20による立体画像の観察を可能とする。
すなわち、本発明の第8の実施形態の立体画像表示装置700では、指向性バックライト702から、異なる2方向に向かう白色無偏光である光751および光752が、所定の周期で交互に出射される。一方の光751は、観察者20の左目641の有る領域に向かう光となる。そして、偏光板731と位相差部608と画像形成部4と偏光板734とを通過して、所定の観察位置に位置する観察者の左目641に入射する。他方の光752は、観察者20の右目642の有る領域に向かう光となる。そして、偏光板731と位相差部608と画像形成部4と偏光板734とを通過して、所定の観察位置に位置する観察者20の右目642に入射する。このとき、図20に示すように、所定の間隔をあけて立体画像表示装置700と正面から対向する観察者20の左目641には、指向性バックライト702から出射された光751のみが入射し、右目642には光752のみが入射するようにされている。
【0157】
そして、立体画像表示装置700では、観察者20が立体画像を観察するが、以下のようにして立体画像の形成がなされる。
【0158】
図20に示すように、指向性バックライト702から観察者20の左目641の有る領域に向かって出射された光751は偏光板731を通過して水平方向と垂直な直線偏光となり、偏光切替素子733に入射する。このとき、偏光切替素子733では、指向性バックライト702から観察者の左目に向かう光751の出射に同期するよう、OFF状態が選択されている。したがって、偏光切替素子733は旋光性を有し、入射する直線偏光の偏光方向を90度回転させ、水平方向と平行な偏光方向の直線偏光に変換する。そして、この水平方向と平行な偏光方向の直線偏光は、位相差部608に入射する。位相差部608では、水平方向と垂直な方向または平行な方向の直線偏光が入射した場合、第1の偏光領域609から出射する光は光軸の90度回転された直線偏光となり、第2の偏光領域610から出射する光は光軸が回転されないままの直線偏光となる。したがって、位相差部608に入射し、位相差部608の第1の偏光領域609から出射する光は光軸の90度回転された水平方向と垂直な偏光方向の直線偏光となり、第2の偏光領域610から出射する光は光軸が回転されないままの水平方向と平行な偏光方向の直線偏光となる。
【0159】
第1の偏光領域609から出射した光は、図19に示すように、画像形成部4の左目用画素5に入射し、第2の偏光領域610から出射した光は、画像形成部4の右目用画素6に入射する。
画像形成部4では、左目用画素5に左目用の画像が形成され、右目用画素6に右目用の画像が形成されている。そのため、画像形成部4に入射した光は、左目用画素5と右目用画素6を透過し、左目用画素5の透過光は左目用画像光となり、右目用画素6の透過光は右目用画像光となる。したがって、位相差部608の第1の偏光領域609から左目用画素5に入射した、水平方向と垂直な偏光方向の直線偏光は左目用画像光となる。位相差部608の第2の偏光領域610から右目用画素6に入射した、水平方向と平行な偏光方向の直線偏光は右目用画像光となる。
【0160】
図20に示すように、画像形成部4を出射した左目用画像光と右目用画像光は、偏光板734に入射する。偏光板734の透過軸717は、水平方向と垂直な方向に設定されている。したがって、偏光板734は、水平方向と垂直な偏光方向の直線偏光のみを透過させ、水平方向と平行な偏光方向の直線偏光は遮断されることになる。そのため、水平方向と垂直な偏光方向の直線偏光である左目用画像光は、偏光板734を通過して観察者20の左目641に届くことになる。このとき、水平方向と平行な偏光方向の直線偏光である右目用画像光は、偏光板734により遮断され、観察者20の左目641届くことはない。
【0161】
一方、指向性バックライト702において出射光の切り替えが行われ、図20に示すように、観察者20の右目642のある領域に向かって出射された光752は偏光板731を通過して水平方向と垂直な直線偏光となり、偏光切替素子733に入射する。このとき、偏光切替素子733では、指向性バックライト702から観察者の右目に向かう光752の出射に同期するよう、ON状態が選択されている。したがって、偏光切替素子733は旋光性を示さず、入射する直線偏光の偏光方向をそのまま維持し、水平方向と垂直な偏光方向の直線偏光として出射させる。そして、この水平方向と垂直な偏光方向の直線偏光は、位相差部608に入射する。位相差部608では、水平方向と垂直な方向または平行な方向の直線偏光が入射した場合、第1の偏光領域609から出射する光は光軸の90度回転された直線偏光となり、第2の偏光領域610から出射する光は光軸が回転されないままの直線偏光となる。したがって、位相差部608に入射し、位相差部608の第1の偏光領域609から出射する光は光軸の90度回転された水平方向と平行な偏光方向の直線偏光となり、第2の偏光領域610から出射する光は光軸が回転されないままの水平方向と垂直な偏光方向の直線偏光となる。
【0162】
第1の偏光領域609から出射した光は、図19に示すように、画像形成部4の左目用画素5に入射し、第2の偏光領域610から出射した光は、画像形成部4の右目用画素6に入射する。
画像形成部4では、左目用画素5に左目用の画像が形成され、右目用画素6に右目用の画像が形成されている。そのため、画像形成部4に入射した光は、左目用画素5と右目用画素6を透過し、左目用画素5の透過光は左目用画像光となり、右目用画素6の透過光は右目用画像光となる。したがって、位相差部608の第1の偏光領域609から左目用画素5に入射した、水平方向と平行な偏光方向の直線偏光は左目用画像光となる。位相差部608の第2の偏光領域610から右目用画素6に入射した、水平方向と垂直な偏光方向の直線偏光は右目用画像光となる。
【0163】
図20に示すように、画像形成部4を出射した左目用画像光と右目用画像光は、偏光板734に入射する。偏光板734の透過軸717は、水平方向と垂直な方向に設定されている。したがって、偏光板734は、水平方向と垂直な偏光方向の直線偏光のみを透過させ、水平方向と平行な偏光方向の直線偏光は遮断されることになる。そのため、水平方向と垂直な偏光方向の直線偏光である右目用画像光は、偏光板734を通過して観察者20の右目642に届くことになる。このとき、水平方向と平行な偏光方向の直線偏光である左目用画像光は、偏光板734により遮断され、観察者20の右目642届くことはない。
【0164】
こうして所定位置から立体画像表示装置700の立体画像を観察する観察者20は、ある所定の期間、左目641によって左目用の画像のみを見た後、次の所定期間、右目642によって右目用の画像のみを見ることができる。立体画像表示装置700では、指向性バックライト702での出射する2方向の光のスイッチングと、それに同期する偏光切替素子733での入射光の偏光方向のスイッチングとを素早く繰り返す。その結果、立体画像表示装置700では、表示画像を立体画像として観察者20に提供することができる。
【0165】
また、立体画像表示装置700では、図20に示す、画面正面の所定の観察位置から観察者20が左右の何れかの方向にずれて、画面の画像を観察することも可能である。その場合、観察可能な画像は3次元の立体画像では無く、2次元の画像として観察することが可能である。
【0166】
尚、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内において、種々変形して実施することができる。
【0167】
例えば、図7、図8、図9、図11、図12、図13、図18、および図20に示すように、本発明の第1の実施形態〜第8の実施形態の立体画像表示装置1、100,200、300、400、500、600、700では、立体画像を形成する画像形成部4、204が上述したインク受容層15を用いて構成されている。このとき、本発明においては、インク受容層またはインク受容層を設けた基板を用いる技術以外に、他の高精細かつ大画面の立体画像の形成を可能とする技術を用いて画像形成部を構成することも可能である。
【0168】
例えば、基板上にインクジェット法により供給されたインクを加熱して固着させ、にじみを生じさせること無く、左目用画素と右目用画素とを形成するようにして高精細な画像形成部を構成することも可能である。このような本発明の画像形成部の形成は、基板に向けて塗出されたインクがヘッド部に内蔵された熱源によりその基板に着弾した瞬間に加熱され、その基板上に固着するように構成されたインクジェット方式のプリンタによって実現可能である。そして、こうしたインクジェット方式のプリンタにより形成された高精細な画像形成部を用い、その他の構造は本発明の第1の実施形態〜第8の実施形態の立体画像表示装置1、100,200、300、400、500、600、700と同様として、高精細かつ大画面の立体画像を表示できる立体画像表示装置を構成することが可能である。
【符号の説明】
【0169】
1、100,200、300、400、500、600、700 立体画像表示装置
2 バックライト
3、731、734 偏光板
4、204 画像形成部
5 左目用画素
6 右目用画素
7、615、616、617、707 717 透過軸
8、608、608−2 位相差部
9、609、609−2 第1の偏光領域
10、610、610−2 第2の偏光領域
11 偏光メガネ
12 左目用メガネ部
13 右目用メガネ部
14、22 基板
15 インク受容層
16 赤色着色部
17 緑色着色部
18 青色着色部
20 観察者
23、623 位相差層
302 反射部
602 第1のバックライト
603 第2のバックライト
631 第1の偏光板
632 第2の偏光板
633 フルネルレンズ
634 第3の偏光板
641 左目
642 右目
651、652 直線偏光
702 指向性バックライト
733 偏光切替素子
751、752 光

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バックライトと、
左目用画素と右目用画素とを配列して有し、前記左目用画素で左目用の画像を形成し、前記右目用画素で右目用の画像を形成するよう構成された画像形成部と、
光学手段とをこの順で有するとともに、
前記バックライトと前記画像形成部との間または前記画像形成部と前記光学手段との間に配置された偏光板と、
観察者が着用する偏光メガネとを有する立体画像表示装置であって、
前記画像形成部は、インクを受容するインク受容層を有して構成され、
前記光学手段は、前記画像形成部の前記左目用画素と前記右目用画素とに対応する位置と大きさで第1の偏光領域と第2の偏光領域とが配置されていて、前記第1の偏光領域と前記第2の偏光領域とは、いずれか一方が1/2波長板を形成するか、両方が互いに光学軸が45度異なる1/2波長板を形成するか、または両方が互いに光学軸が90度異なる1/4波長板を形成し、
前記偏光メガネは、左目用メガネ部と右目用メガネ部とを有し、前記左目用メガネ部と前記右目用メガネ部との間で偏光状態が異なるように構成されたことを特徴とする立体画像表示装置。
【請求項2】
前記画像形成部は、前記左目用画素と前記右目用画素とをそれぞれ複数有し、前記左目用画素と前記右目用画素は、行方向および列方向に前記左目用画素と前記右目用画素とが交互に配置されようにマトリクス状に配列されていることを特徴とする請求項1に記載の立体画像表示装置。
【請求項3】
前記光学手段は、ガラス基板または樹脂基板上に、前記第1の偏光領域と前記第2の偏光領域とに対応する位置と大きさで1/2波長板または1/4波長板を形成する位相差層を設けて構成されることを特徴とする請求項1または2に記載の立体画像表示装置。
【請求項4】
前記画像形成部は、前記光学手段上に設けられることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の立体画像表示装置。
【請求項5】
外部からの光を反射する反射部と、
左目用画素と右目用画素とを配列して有し、前記左目用画素で左目用の画像を形成し、前記右目用画素で右目用の画像を形成するよう構成された画像形成部と、
光学手段とをこの順で有するとともに、
前記反射部と前記画像形成部との間または前記画像形成部と前記光学手段との間に配置された偏光板と、
観察者が着用する偏光メガネとを有する立体画像表示装置であって、
前記画像形成部は、インクを受容するインク受容層を有して構成され、
前記光学手段は、前記画像形成部の前記左目用画素と前記右目用画素とに対応する位置と大きさで第1の偏光領域と第2の偏光領域とが配置されていて、前記第1の偏光領域と前記第2の偏光領域とは、いずれか一方が1/2波長板を形成するか、両方が互いに光学軸が45度異なる1/2波長板を形成するか、または両方が互いに光学軸が90度異なる1/4波長板を形成し、
前記偏光メガネは、左目用メガネ部と右目用メガネ部とを有し、前記左目用メガネ部と前記右目用メガネ部との間で偏光状態が異なるように構成されたことを特徴とする立体画像表示装置。
【請求項6】
前記画像形成部は前記左目用画素と前記右目用画素とをそれぞれ複数有し、前記左目用画素と前記右目用画素は、行方向および列方向に前記左目用画素と前記右目用画素とが交互に配置されようにマトリクス状に配列されていることを特徴とする請求項5に記載の立体画像表示装置。
【請求項7】
前記光学手段は、ガラス基板または樹脂基板上に、前記第1の偏光領域と前記第2の偏光領域とに対応する位置と大きさで1/2波長板または1/4波長板を形成する位相差層を設けて構成されることを特徴とする請求項5または6に記載の立体画像表示装置。
【請求項8】
前記画像形成部は、前記光学手段上に設けられることを特徴とする請求項5〜7のいずれか1項に記載の立体画像表示装置。
【請求項9】
水平方向に配列された第1のバックライトおよび第2のバックライトと、
前記第1のバックライトに対向する第1の偏光板および前記第2のバックライトに対向する第2の偏光板と、
集光レンズと、
光学手段と、
左目用画素と右目用画素とを配列して有し、前記左目用画素で観察者の左目用の画像を形成し、前記右目用画素で前記観察者の右目用の画像を形成するよう構成された画像形成部と、
第3の偏光板とをこの順で有し、前記観察者に立体画像を提供する立体画像表示装置であって、
前記第1の偏光板および前記第2の偏光板とは、互いに偏光特性が異なるように構成されており、
前記集光レンズは、前記第1のバックライトおよび前記第2のバックライトからの光を前記観察者の左目および右目のそれぞれに向けて集光するよう構成されたものであり、
前記画像形成部は、インクを受容するインク受容層を有して構成され、
前記光学手段は、前記画像形成部の前記左目用画素と前記右目用画素とに対応する位置と大きさで第1の偏光領域と第2の偏光領域とが配置されていて、前記第1の偏光領域と前記第2の偏光領域とは、いずれか一方が1/2波長板を形成するか、両方が互いに光学軸が45度異なる1/2波長板を形成するか、または両方が互いに光学軸が90度異なる1/4波長板を形成するよう構成されたものであることを特徴とする立体画像表示装置。
【請求項10】
前記画像形成部は、前記左目用画素と前記右目用画素とをそれぞれ複数有し、前記左目用画素と前記右目用画素は、行方向および列方向に前記左目用画素と前記右目用画素とが交互に配置されるようにマトリクス状に配列されていることを特徴とする請求項9に記載の立体画像表示装置。
【請求項11】
前記光学手段は、ガラス基板または樹脂基板上に、前記第1の偏光領域と前記第2の偏光領域とに対応する位置と大きさで1/2波長板または1/4波長板を形成する位相差層を設けて構成されることを特徴とする請求項9または10に記載の立体画像表示装置。
【請求項12】
前記画像形成部は、前記光学手段上に設けられることを特徴とする請求項9〜11のいずれか1項に記載の立体画像表示装置。
【請求項13】
指向性の異なる2種類の光を出射する指向性バックライトと、
第1の偏光板と、
光の偏光方向を制御する偏光切替素子と、
光学手段と、
左目用画素と右目用画素とを配列して有し、前記左目用画素で観察者の左目用の画像を形成し、前記右目用画素で前記観察者の右目用の画像を形成するよう構成された画像形成部と、
第2の偏光板とをこの順で有し、前記観察者に立体画像を提供する立体画像表示装置であって、
前記指向性バックライトは、前記指向性の異なる2種類の光を所定の周期で切り替えながら出射するよう構成されており、
前記偏光切替素子は、前記指向性バックライトでの前記2種類の光の切り替えに同期して、光の偏光方向を制御するように構成されており、
前記画像形成部は、インクを受容するインク受容層を有し、
前記光学手段は、前記画像形成部の前記左目用画素と前記右目用画素とに対応する位置と大きさで第1の偏光領域と第2の偏光領域とが配置されていて、前記第1の偏光領域と前記第2の偏光領域とは、いずれか一方が1/2波長板を形成するか、両方が互いに光学軸が45度異なる1/2波長板を形成するか、または両方が互いに光学軸が90度異なる1/4波長板を形成するよう構成されたものであることを特徴とする立体画像表示装置。
【請求項14】
前記指向性バックライトの出射する前記2種類の光は、一方が前記観察者の左目のある領域に向かう光であり、もう一方が前記観察者の右目のある領域に向かう光であることを特徴とする請求項13に記載の立体画像表示装置。
【請求項15】
前記指向性バックライトでの前記2種類の光の切り替えは、60Hz以上の周期で行われることを特徴とする請求項13または14に記載の立体画像表示装置。
【請求項16】
前記偏光切替素子は、一対の基板間に液晶を挟持して構成された液晶素子を用いた構造であることを特徴とする請求項13〜15のいずれか1項に記載の立体画像表示装置。
【請求項17】
前記画像形成部は、前記左目用画素と前記右目用画素とをそれぞれ複数有し、前記左目用画素と前記右目用画素は、行方向および列方向に前記左目用画素と前記右目用画素とが交互に配置されるようにマトリクス状に配列されていることを特徴とする請求項13〜16のいずれか1項に記載の立体画像表示装置。
【請求項18】
前記光学手段は、ガラス基板または樹脂基板上に、前記第1の偏光領域と前記第2の偏光領域とに対応する位置と大きさで1/2波長板または1/4波長板を形成する位相差層を設けて構成されることを特徴とする請求項13〜17のいずれか1項に記載の立体画像表示装置。
【請求項19】
前記画像形成部は、前記光学手段上に設けられることを特徴とする請求項13〜18のいずれか1項に記載の立体画像表示装置。
【請求項20】
バックライトと、
左目用画素と右目用画素とを配列して有し、前記左目用画素で左目用の画像を形成し、前記右目用画素で右目用の画像を形成するよう構成された画像形成部と、
光学手段とをこの順で有するとともに、
前記バックライトと前記画像形成部との間または前記画像形成部と前記光学手段との間に配置された偏光板と、
観察者が着用する偏光メガネとを有する立体画像表示装置であって、
前記画像形成部は、インクジェット法により基板上に供給されたインクを加熱して固着させて、前記左目用画素と前記右目用画素とが形成されるよう構成されたものであり、
前記光学手段は、前記画像形成部の前記左目用画素と前記右目用画素とに対応する位置と大きさで第1の偏光領域と第2の偏光領域とが配置されていて、前記第1の偏光領域と前記第2の偏光領域とは、いずれか一方が1/2波長板を形成するか、両方が互いに光学軸が45度異なる1/2波長板を形成するか、または両方が互いに光学軸が90度異なる1/4波長板を形成し、
前記偏光メガネは、左目用メガネ部と右目用メガネ部とを有し、前記左目用メガネ部と前記右目用メガネ部との間で偏光状態が異なるように構成されたことを特徴とする立体画像表示装置。
【請求項21】
外部からの光を反射する反射部と、
左目用画素と右目用画素とを配列して有し、前記左目用画素で左目用の画像を形成し、前記右目用画素で右目用の画像を形成するよう構成された画像形成部と、
光学手段とをこの順で有するとともに、
前記反射部と前記画像形成部との間または前記画像形成部と前記光学手段との間に配置された偏光板と、
観察者が着用する偏光メガネとを有する立体画像表示装置であって、
前記画像形成部は、インクジェット法により基板上に供給されたインクを加熱して固着させて、前記左目用画素と前記右目用画素とが形成されるよう構成されたものであり、
前記光学手段は、前記画像形成部の前記左目用画素と前記右目用画素とに対応する位置と大きさで第1の偏光領域と第2の偏光領域とが配置されていて、前記第1の偏光領域と前記第2の偏光領域とは、いずれか一方が1/2波長板を形成するか、両方が互いに光学軸が45度異なる1/2波長板を形成するか、または両方が互いに光学軸が90度異なる1/4波長板を形成し、
前記偏光メガネは、左目用メガネ部と右目用メガネ部とを有し、前記左目用メガネ部と前記右目用メガネ部との間で偏光状態が異なるように構成されたことを特徴とする立体画像表示装置。
【請求項22】
水平方向に配列された第1のバックライトおよび第2のバックライトと、
前記第1のバックライトに対向する第1の偏光板および前記第2のバックライトに対向する第2の偏光板と、
集光レンズと、
光学手段と
左目用画素と右目用画素とを配列して有し、前記左目用画素で観察者の左目用の画像を形成し、前記右目用画素で前記観察者の右目用の画像を形成するよう構成された画像形成部と、
第3の偏光板とをこの順で有し、前記観察者に立体画像を提供する立体画像表示装置であって、
前記第1の偏光板および前記第2の偏光板とは、互いに偏光特性が異なるように構成されており、
前記集光レンズは、前記第1のバックライトおよび前記第2のバックライトからの光を前記観察者の左目および右目のそれぞれに向けて集光するよう構成されたものであり、
前記画像形成部は、インクジェット法により基板上に供給されたインクを加熱して固着させて、前記左目用画素と前記右目用画素とが形成されるよう構成されたものであり、
前記光学手段は、前記画像形成部の前記左目用画素と前記右目用画素とに対応する位置と大きさで第1の偏光領域と第2の偏光領域とが配置されていて、前記第1の偏光領域と前記第2の偏光領域とは、いずれか一方が1/2波長板を形成するか、両方が互いに光学軸が45度異なる1/2波長板を形成するか、または両方が互いに光学軸が90度異なる1/4波長板を形成するよう構成されたものであることを特徴とする立体画像表示装置。
【請求項23】
指向性の異なる2種類の光を出射する指向性バックライトと、
第1の偏光板と、
光の偏光方向を制御する偏光切替素子と、
光学手段と、
左目用画素と右目用画素とを配列して有し、前記左目用画素で観察者の左目用の画像を形成し、前記右目用画素で前記観察者の右目用の画像を形成するよう構成された画像形成部と、
第2の偏光板とをこの順で有し、前記観察者に立体画像を提供する立体画像表示装置であって、
前記指向性バックライトは、前記指向性の異なる2種類の光を所定の周期で切り替えながら出射するよう構成されており、
前記偏光切替素子は、前記指向性バックライトでの前記2種類の光の切り替えに同期して、光の偏光方向を制御するように構成されており、
前記画像形成部は、インクジェット法により基板上に供給されたインクを加熱して固着させて、前記左目用画素と前記右目用画素とが形成されるよう構成されたものであり、
前記光学手段は、前記画像形成部の前記左目用画素と前記右目用画素とに対応する位置と大きさで第1の偏光領域と第2の偏光領域とが配置されていて、前記第1の偏光領域と前記第2の偏光領域とは、いずれか一方が1/2波長板を形成するか、両方が互いに光学軸が45度異なる1/2波長板を形成するか、または両方が互いに光学軸が90度異なる1/4波長板を形成するよう構成されたものであることを特徴とする立体画像表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2012−252302(P2012−252302A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−127122(P2011−127122)
【出願日】平成23年6月7日(2011.6.7)
【出願人】(000155698)株式会社有沢製作所 (117)
【Fターム(参考)】