立体異性体環状化合物を含む組成物及びその製造方法
【課題】高感度、高解像度のフォトレジスト材料を提供する。
【解決手段】下記化合物(1)と、下記化合物(2)からなり、モル比率が化合物(1):化合物(2)=15:85〜70:30である組成物。
【解決手段】下記化合物(1)と、下記化合物(2)からなり、モル比率が化合物(1):化合物(2)=15:85〜70:30である組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体等の電気・電子分野や光学分野等で用いられるフォトレジスト基材、特に超微細加工用フォトレジスト基材に関する。
【背景技術】
【0002】
極端紫外光(Extream Ultra Violet Light:以下、EUVLと表記する場合がある)又は電子線によるリソグラフィーは、半導体等の製造において、高生産性、高解像度の微細加工方法として有用であり、それに用いる高感度、高解像度のフォトレジストが求められている。フォトレジストは、所望する微細パターンの生産性、解像度等の観点から、その感度を向上させることが欠かせない。
【0003】
EUVLによる超微細加工の際に用いられるフォトレジストとしては、例えば、他のレジスト化合物と比較して光酸発生剤の濃度が高い化学増幅ポジ型フォトレジストを用いる方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。しかし、実施例のフォトレジストは、ラインエッジラフネスの観点から、電子線を用いた場合で例示された100nmまでの加工が限界であると考えられる。これは基材として用いる高分子化合物の集合体又は各々の高分子化合物分子が示す立体的形状が大きく、該作製ライン幅及びその表面粗さに影響を及ぼすことがその主原因と推定される。
【0004】
本発明者は既に高感度、高解像度のフォトレジスト材料としてカリックスレゾルシナレン化合物を提案している(特許文献2及び3参照)。また、特許文献4には、カリックスレゾルシナレン化合物が開示されている。
【特許文献1】特開2002−055457号公報
【特許文献2】特開2004−191913号公報
【特許文献3】特開2005−075767号公報
【特許文献4】米国特許6093517号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、EUVLによる超微細加工技術として、さらなる高感度、高解像度が求められている。上記特許文献1〜4に開示されたフォトレジスト材料では、この要求レベルである高感度、高解像度を十分発揮できていない。
本発明の目的は、高感度、高解像度のフォトレジスト材料を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、以下の化合物及びフォトレジスト組成物等が提供される。
1.下記化合物(1)と、下記化合物(2)からなり、モル比率が化合物(1):化合物(2)=15:85〜70:30である組成物。
【化1】
[式中、Rは、下記式(3)〜(5)のいずれかで表される基である。
R1は、水酸基、置換もしくは無置換の炭素数1〜20の直鎖状アルコキシ基、置換もしくは無置換の炭素数3〜12の分岐アルコキシ基、置換もしくは無置換の炭素数3〜20の環状アルコキシ基、置換もしくは無置換の炭素数6〜10のアリーロキシル基、アルコキシアルコキシ基、シロキシ基、又はこれらの基と二価の基とが結合した基であり、
前記二価の基は、置換もしくは無置換のアルキレンオキシ基、置換もしくは無置換のアリーレンオキシ基、置換もしくは無置換のシリレンオキシ基、これらの基が2以上結合した基、又はこれらの基と、エステル結合、炭酸エステル結合又はエーテル結合が結合した基である。
R2は、水素、R1で表される基、炭素数1〜20の直鎖状脂肪族炭化水素基、炭素数3〜12の分岐脂肪族炭化水素基、炭素数3〜20の環状脂肪族炭化水素基、炭素数6〜10の芳香族基又は酸素原子を含む基である。
式(1)内及び式(2)内に複数あるR、R1及びR2は、それぞれ同じであっても異なっていてもよい。
【化2】
(式中、Arは、置換もしくは無置換の炭素数6〜10のアリーレン基、置換もしくは無置換の炭素数6〜10のアリーレン基を2つ以上組み合わせた基、又はアルキレン基及びエーテル結合の少なくとも一方の1つ以上と置換もしくは無置換の炭素数6〜10のアリーレン基を組み合わせた基であり、
置換基を有する場合の置換基は、臭素、フッ素、ニトリル基、又は炭素数1〜10のアルキル基である。
R3は、水酸基、置換もしくは無置換の炭素数1〜20の直鎖状脂肪族炭化水素基、置換もしくは無置換の炭素数3〜12の分岐脂肪族炭化水素基、置換もしくは無置換の炭素数3〜20の環状脂肪族炭化水素基、置換もしくは無置換の炭素数6〜10の芳香族基、アルコキシ基、アルコキシアルキル基、カルボキシル基、シリル基、又はこれらの基と二価の基が結合した基であり、
前記二価の基は、置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のアリーレン基、置換もしくは無置換のシリレン基、これらの基が2以上結合した基、又はこれらの基1以上と、エステル結合、炭酸エステル結合及びエーテル結合から選択される1以上の基が結合した基である。
R4、R5は、それぞれ水素原子、置換もしくは無置換の炭素数1〜20の直鎖状脂肪族炭化水素基、置換もしくは無置換の炭素数3〜12の分岐脂肪族炭化水素基、置換もしくは無置換の炭素数3〜20の環状脂肪族炭化水素基、置換もしくは無置換の炭素数6〜12の芳香族基、又はこれら基のうち2以上を組み合わせた基である。
A1は、アルキレン基、エーテル結合、アルキレン基を2以上組み合わせた基、又はアルキレン基1以上とエーテル結合1以上を組み合わせた基である。
xは1〜5、yは0〜3、zは0〜4の整数である。
複数のR3、R4、R5、Ar、A1、x、y及びzは、それぞれ同じであっても異なっていてもよい。)]
2.R3が、下記式(I)〜(IV)のいずれかである1記載の組成物。
【化3】
(式(I)〜(IV)において、
αは、置換もしくは無置換の炭素数1〜10の直鎖状脂肪族炭化水素基、置換もしくは無置換の炭素数3〜10の分岐脂肪族炭化水素基、置換もしくは無置換の炭素数3〜20の環状脂肪族炭化水素基、又は置換もしくは無置換の炭素数6〜10の芳香族基である。
βは、三級脂肪族構造、芳香族構造、単環状脂肪族構造又は複環状脂肪族構造を有する基が置換したアルコキシ基である。
γは、芳香族構造、単環状脂肪族構造又は複環状脂肪族構造を有する基が置換したアルコキシ基、又は芳香族構造、単環状脂肪族構造、複環状脂肪族構造のうち1以上の構造と、炭素数1〜10の直鎖状脂肪族炭化水素基を組み合わせた基が置換したアルコキシ基である。
δは、置換もしくは無置換の炭素数1〜10の直鎖状脂肪族炭化水素基、置換もしくは無置換の炭素数3〜10の分岐脂肪族炭化水素基、置換もしくは無置換の炭素数3〜20の環状脂肪族炭化水素基、又は置換もしくは無置換の炭素数6〜10の芳香族基である。)
3.Rが下記式(6)で表される基であって、式(6)中、R4は下記式(7)〜(38)から選択される基であり、
R2が水素であり、
同一の芳香環上に存在する2つのR1のうち、一方が水酸基であり、他方が溶解性調整基である1又は2記載の組成物。
【化4】
【化5】
(式中、rはそれぞれ上記式(7)〜(35)で表される置換基のいずれかを表す。)
4.1〜3のいずれか記載の組成物を製造する方法であって、
化合物(1)の0℃における溶解度と化合物(2)の0℃における溶解度の差が、1グラム/リットル以上である溶媒中、−50℃以上50℃以下の条件の下で、化合物(1)と化合物(2)の混合物から、所定量の化合物(1)又は化合物(2)を晶析して単離することにより、前記混合物中の化合物(1)と化合物(2)のモル比率を制御する組成物の製造方法。
5.1〜3のいずれか記載の組成物を製造する方法であって、
化合物(1)の0℃における溶解度と化合物(2)の0℃における溶解度の差が、1グラム/リットル以上である溶媒中、−50℃以上50℃以下の条件の下で、化合物(1)と化合物(2)の混合物から、化合物(1)又は化合物(2)を晶析して単離する晶析単離工程と、
前記単離した化合物(1)又は化合物(2)と、化合物(1)と化合物(2)の混合物とを、所定の割合で混合して、化合物(1)と化合物(2)のモル比率を制御する混合比率制御工程と、
を含む組成物の製造方法。
6.1〜3のいずれか記載の組成物を製造する方法であって、
化合物(1)と化合物(2)の第1の混合物と、化合物(1)と化合物(2)の第2の混合物を合成する混合物合成工程と、
化合物(1)の0℃における溶解度と化合物(2)の0℃における溶解度の差が、1グラム/リットル以上である溶媒中、−50℃以上50℃以下の条件の下で、前記第1の混合物から、化合物(1)又は化合物(2)を晶析して単離する晶析単離工程と、
晶析単離工程により化合物(1)又は化合物(2)を単離した後の第1の混合物と、前記第2の混合物とを、所定の割合で混合して、化合物(1)と化合物(2)のモル比率を制御する混合比率制御工程と、
を含む組成物の製造方法。
7.前記晶析単離工程の温度が、−20℃以上20℃以下である4〜6のいずれか記載の製造方法。
8.前記溶媒が、含ハロゲン有機溶媒、含酸素有機溶媒から選択される少なくとも1種類の溶媒である4〜7のいずれか記載の製造方法。
9.1〜3のいずれか記載の組成物と溶剤を含有するフォトレジスト組成物。
10.1〜3のいずれか記載の組成物を含んで成る薄膜。
11.9に記載のフォトレジスト組成物を用いた微細加工方法。
12.11に記載の微細加工方法により作製した半導体装置。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、高感度、高解像度のフォトレジスト材料が提供できる。
本発明の組成物は、所定の比率で異なる立体異性体を2種類含む。所定の比率で含むことにより、性能が高くなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明の組成物は、下記化合物(1)と、下記化合物(2)からなる。
化合物(1)と化合物(2)とのモル比率は、15:85〜70:30である。
15%未満であるとプロピレングリコールモノメチルエーテル等のフォトレジスト溶液を作製する際に用いる一般的な溶媒に、化合物(2)の一部が溶解せずに不溶物として残留し、均一なフォトレジスト溶液が得られない
70%より多いとプロピレングリコールモノメチルエーテル等のフォトレジスト溶液を作製する際に用いる一般的な溶媒に、化合物(1)の一部が溶解せずに不溶物として残留し、均一なフォトレジスト溶液が得られない。
また、15:85〜67:33であることが好ましい。
【化6】
【0009】
式中、Rは、下記式(3)〜(5)のいずれかで表される基である。
【0010】
R1は、水酸基、置換もしくは無置換の炭素数1〜20の直鎖状アルコキシ基、置換もしくは無置換の炭素数3〜12の分岐アルコキシ基、置換もしくは無置換の炭素数3〜20の環状アルコキシ基、置換もしくは無置換の炭素数6〜10のアリーロキシル基、アルコキシアルキロキシ基、シロキシ基、又はこれらの基と二価の基とが結合した基であり、
前記二価の基は、置換もしくは無置換のアルキレンオキシ基、置換もしくは無置換のアリーレンオキシ基、置換もしくは無置換のシリレンオキシ基、これらの基が2以上結合した基、又はこれらの基と、エステル結合(−CO2−)、炭酸エステル結合(−CO3−)又はエーテル結合(−O−)が結合した基である。
【0011】
R2は、水素、R1で表される基、炭素数1〜20の直鎖状脂肪族炭化水素基、炭素数3〜12の分岐脂肪族炭化水素基、炭素数3〜20の環状脂肪族炭化水素基、炭素数6〜10の芳香族基又は酸素原子を含む基である。
【0012】
式(1)内及び式(2)内に複数あるR、R1及びR2は、それぞれ同じであっても異なっていてもよい。
【0013】
【化7】
【0014】
式中、Arは、置換もしくは無置換の炭素数6〜10のアリーレン基、置換もしくは無置換の炭素数6〜10のアリーレン基を2つ以上組み合わせた基、又はアルキレン基及びエーテル結合の少なくとも一方の1つ以上と置換もしくは無置換の炭素数6〜10のアリーレン基を組み合わせた基である。置換基を有する場合の置換基は、臭素、フッ素、ニトリル基、又は炭素数1〜10のアルキル基である。
【0015】
R3は、水酸基、置換もしくは無置換の炭素数1〜20の直鎖状脂肪族炭化水素基、置換もしくは無置換の炭素数3〜12の分岐脂肪族炭化水素基、置換もしくは無置換の炭素数3〜20の環状脂肪族炭化水素基、置換もしくは無置換の炭素数6〜10の芳香族基、アルコキシ基、アルコキシアルキル基、カルボキシル基、シリル基、又はこれらの基と二価の基が結合した基であり、二価の基は、置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のアリーレン基、置換もしくは無置換のシリレン基、これらの基が2以上結合した基、又はこれらの基1以上と、エステル結合、炭酸エステル結合及びエーテル結合から選択される1以上の基である。
【0016】
R4、R5は、それぞれ水素原子、置換もしくは無置換の炭素数1〜20の直鎖状脂肪族炭化水素基、置換もしくは無置換の炭素数3〜12の分岐脂肪族炭化水素基、置換もしくは無置換の炭素数3〜20の環状脂肪族炭化水素基、置換もしくは無置換の炭素数6〜12の芳香族基、又はこれら基のうち2以上を組み合わせた基である。
【0017】
A1は、アルキレン基、エーテル結合、アルキレン基を2以上組み合わせた基、又はアルキレン基1以上とエーテル結合1以上を組み合わせた基である。
【0018】
xは1〜5、yは0〜3、zは0〜4の整数である。
【0019】
複数のR3、R4、R5、Ar、A1、x、y及びzは、それぞれ同じであっても異なっていてもよい。
【0020】
本発明の組成物は、実質的に2種類の立体構造異性体のみからなる。好ましくは、90%以上が2種類の立体構造異性体である。
【0021】
式(1),(2)において、R3は、好ましくは酸解離性溶解抑止基である。
酸解離性溶解抑止基を例示すると、三級脂肪族構造、芳香族構造、単環状脂肪族構造又は複環状脂肪族構造を有する、少なくとも炭素原子、水素原子及び酸素原子を含む基である。三級脂肪族構造として、tert−ブチル基を例示できる。芳香族構造として、ベンゼン、ナフタレンを例示できる。単環状脂肪族構造として、シクロヘキサン、シクロペンタンを例示できる。複環状脂肪族構造として、アダマンタンやノルボルネンを例示できる。
【0022】
好ましくは、R3は下記式(I)〜(IV)のいずれかで表される。
【化8】
【0023】
式(I)〜(IV)において、αは、置換もしくは無置換の炭素数1〜10の直鎖状脂肪族炭化水素基、置換もしくは無置換の炭素数3〜10の分岐脂肪族炭化水素基、置換もしくは無置換の炭素数3〜20の環状脂肪族炭化水素基、又は置換もしくは無置換の炭素数6〜10の芳香族基である。
【0024】
βは、三級脂肪族構造、芳香族構造、単環状脂肪族構造又は複環状脂肪族構造を有する基が置換したアルコキシ基である。好ましくは、三級脂肪族構造、芳香族構造、単環状脂肪族構造又は複環状脂肪族構造を有する基に含まれる三級炭素が、酸素原子に結合する。
【0025】
γは、芳香族構造、単環状脂肪族構造又は複環状脂肪族構造を有する基が置換したアルコキシ基、又は芳香族構造、単環状脂肪族構造、複環状脂肪族構造のうち1以上の構造と、炭素数1〜10の直鎖状脂肪族炭化水素基を組み合わせた基が置換したアルコキシ基である。芳香族構造、単環状脂肪族構造又は複環状脂肪族構造を有する基が置換したアルコキシ基は、好ましくは、三級脂肪族構造、芳香族構造、単環状脂肪族構造又は複環状脂肪族構造を有する基に含まれる三級炭素が、酸素原子に結合する。
【0026】
δは、置換もしくは無置換の炭素数1〜10の直鎖状脂肪族炭化水素基、置換もしくは無置換の炭素数3〜10の分岐脂肪族炭化水素基、置換もしくは無置換の炭素数3〜20の環状脂肪族炭化水素基、又は置換もしくは無置換の炭素数6〜10の芳香族基である。
【0027】
式(1),(2)において、R2は、好ましくは、水素である。
好ましくは、同一の芳香環上に存在する2つのR1のうち、一方が水酸基であり、他方が溶解性調整基である。好適な溶解性調整基として、炭素数1〜6のアルコキシ基が挙げられる。
【0028】
Rは、好ましくは、下記式(6)で表される基である。
式(6)中、R4は下記式(7)〜(38)から選択される基である。
【化9】
【化10】
【0029】
式中、rはそれぞれ上記式(7)〜(35)で表される置換基のいずれかを表す。
【0030】
本発明の組成物は、以下のようにして製造できる。
まず、上記式(1)の構造を有する化合物(以下、化合物(1)ともいう)と、上記式(2)の構造を有する化合物(以下、化合物(2)ともいう)の混合物を製造する。
混合物は、特願2008−158769に記載されるように、例えば、酸触媒存在下、対応する構造のアルデヒド化合物と、対応する構造のフェノール誘導体との縮合環化反応により、カリックスレゾルシナレン誘導体(前駆体)を合成し、R3等の基に対応する化合物を、エステル化反応、エーテル化反応、アセタール化反応等により前駆体に導入することで合成できる。
【0031】
次に、化合物(1)と化合物(2)の比率を調整する。
例えば、以下の方法がある。
・上記の混合物から、所定量の化合物(1)又は化合物(2)を除いて、混合物中の比率を調整する。
・上記の混合物から、化合物(1)又は化合物(2)を単離する。単離した化合物(1)又は化合物(2)と、化合物(1)と化合物(2)の混合物を混合して、混合物中の比率を調整する。このとき、化合物(1)と化合物(2)の混合物は、化合物(1)又は化合物(2)を単離した後の混合物でもよいし、別途作製した混合物でもよい。
・化合物(1)又は化合物(2)を除いた混合物に、別途作製した混合物を、混合して混合物中の比率を調整する。
・混合物から、化合物(1)及び化合物(2)を単離する。単離した化合物(1)と化合物(2)を、所望の比率で混合する。
本発明で「所定の割合で混合」とは、物理的に混合する場合の他、混合対象物を溶媒に溶解してから、混合する場合も含まれる。
例えば、化合物(1)及び化合物(2)を物理的に混合しても、化合物(1)及び化合物(2)をそれぞれが溶解する溶媒に単独で溶かしてから混合してもよい。溶媒は化合物により使用できるものが異なるので一概に記載できないが、含ハロゲン有機溶媒、含酸素有機溶媒が好適に使用できる。
【0032】
上記の比率が調整された混合物は、作製するフォトレジスト溶液中で均一となれば、事前に混合しなくてもよい。
【0033】
混合物から化合物(1)又は化合物(2)を単離する方法は以下の通りである。
化合物(1)の溶解度と化合物(2)の溶解度の差Δdが、1グラム/リットル以上である溶媒中、−50℃以上50℃以下の条件の下で、混合物から、化合物(1)又は化合物(2)のみを晶析して単離する。
【0034】
単離には立体異性体である化合物(1)及び化合物(2)の溶解度が異なる溶媒を用いる必要があり、−50℃以上50℃以下の条件において、化合物(1)、化合物(2)のそれぞれの溶解度の差Δdが、1グラム/リットル以上である溶媒であり、溶解度の低い方の化合物の単一物が固体として析出して得られる。
特に好ましい溶媒は、−20℃以上20℃以下において、化合物(1)、化合物(2)のそれぞれの溶解度の差Δdが、1グラム/リットル以上である溶媒である。
【0035】
該当する溶媒としては、含ハロゲン有機溶媒、含酸素有機溶媒が例示される。具体的には、含ハロゲン有機溶媒として、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、モノクロロエタン、ジクロロエタン、トリクロロエタン、テトラクロロエタン、モノクロロベンゼン、ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼン、トリフルオロエタノール、ヘキサフルオロイソプロパノール等が挙げられる。含酸素有機溶媒として、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、酢酸エチル、乳酸エチル、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等が挙げられる。
【0036】
化合物(1)と化合物(2)を製造する際に使用する溶媒は、化合物(1)と化合物(2)の分離に使用する溶媒と同一であることが好ましい。
溶媒が同一であれば、化合物(1)と化合物(2)の混合物の洗浄等が不要になり、精製工程をなくすことができるからである。
【0037】
上述したように、化合物(1)と化合物(2)は、−50以上50℃以下で単離する。
−50℃未満であると得られる化合物をフォトレジスト基材に用いた場合に、性能が劣る。この理由として、−50℃未満で単離すると分離できないだけでなく不純物が混在することにより性能劣化の原因になると考えられる。
【0038】
また、50℃を超える温度においては、化合物(1)と化合物(2)の溶解度がともに上昇し、溶媒に溶けやすくなり、結果として、化合物(1)と化合物(2)が分離できなくなる。また、使用する溶媒の種類にもよるが、沸騰や溶媒蒸気の拡散により、濃度の制御が困難になり、発火、爆発等の危険性が生じる。
【0039】
溶解度が低い化合物を全て単離できれば、残りの溶液から他方の溶解度が高い化合物も単離できる。例えば、さらに低い温度で析出させたり、溶液中に溶解している化合物が溶解しない貧溶媒を加えて析出させたりして単離する。
【0040】
本発明のフォトレジスト組成物は、上記の式(1)及び(2)の環状化合物の組成物と溶剤を含有する。組成物は基材として用いられる。
環状化合物の組成物の配合量は、溶剤を除く全組成物中好ましくは50〜99.9重量%、より好ましくは75〜95重量%である。
【0041】
本発明のフォトレジスト組成物に使用される溶剤としては、例えば、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート等のエチレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル等のエチレングリコールモノアルキルエーテル類;プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート等のプロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類;プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)、プロピレングリコールモノエチルエーテル等のプロピレングリコールモノアルキルエーテル類;乳酸メチル、乳酸エチル(EL)等の乳酸エステル類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、プロピオン酸エチル(PE)等の脂肪族カルボン酸エステル類;3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル等の他のエステル類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;2−ヘプタノン、3−ヘプタノン、4−ヘプタノン、シクロヘキサノン等のケトン類;テトラヒドロフラン、ジオキサン等の環状エーテル類、γ−ブチロラクトン等のラクトン類等を挙げることができるが、特に限定はされない。これらの溶剤は、単独で又は2種以上を使用することができる。
【0042】
組成物中の溶剤以外の成分、即ちフォトレジスト固形分の量は所望のフォトレジスト層の膜厚を形成するために適する量とするのが好ましい。具体的にはフォトレジスト組成物の全重量の0.1〜50重量%が一般的であるが、用いる基材や溶剤の種類、あるいは、所望のフォトレジスト層の膜厚等に合わせて規定できる。溶剤は全組成物中好ましくは50〜99.9重量%配合する。
【0043】
本発明のフォトレジスト組成物は、基材の分子が、EUV及び/又は電子線に対して活性なクロモフォアを含み単独でフォトレジストとしての能力を示す場合には特に添加剤は必要としないが、フォトレジストとしての性能(感度)を増強する必要がある場合は、必要に応じて、クロモフォアとして光酸発生剤(PAG)等を含むことが一般的である。
【0044】
光酸発生剤としては、特に限定されず、化学増幅型レジスト用の酸発生剤として提案されているものを使用することができる。
このような酸発生剤としては、ヨードニウム塩やスルホニウム塩等のオニウム塩系酸発生剤、オキシムスルホネート系酸発生剤、ビスアルキル又はビスアリールスルホニルジアゾメタン類、ポリ(ビススルホニル)ジアゾメタン類等のジアゾメタン系酸発生剤、ニトロベンジルスルホネート系酸発生剤、イミノスルホネート系酸発生剤、ジスルホン系酸発生剤等多種のものが知られている。
【0045】
オニウム塩系酸発生剤としては、下記式(a−0)で表される酸発生剤が例示できる。
【化11】
[式中、R51は、直鎖、分岐鎖又は環状のアルキル基、又は直鎖、分岐鎖又は環状のフッ素化アルキル基を表し;R52は、水素原子、水酸基、ハロゲン原子、直鎖又は分岐鎖状のアルキル基、直鎖又は分岐鎖状のハロゲン化アルキル基、又は直鎖又は分岐鎖状のアルコキシ基であり;R53は置換基を有していてもよいアリール基であり;u’’は1〜3の整数である。]
【0046】
式(a−0)において、R51は、直鎖、分岐鎖又は環状のアルキル基、又は直鎖、分岐鎖又は環状のフッ素化アルキル基を表す。
前記直鎖又は分岐鎖状のアルキル基としては、炭素数1〜10であることが好ましく、炭素数1〜8であることがさらに好ましく、炭素数1〜4であることが最も好ましい。
前記環状のアルキル基としては、炭素数4〜12であることが好ましく、炭素数5〜10であることがさらに好ましく、炭素数6〜10であることが最も好ましい。
前記フッ素化アルキル基としては、炭素数1〜10であることが好ましく、炭素数1〜8であることがさらに好ましく、炭素数1〜4であることが最も好ましい。また、フッ化アルキル基のフッ素化率(アルキル基中全水素原子の個数に対する置換したフッ素原子の個数の割合)は、好ましくは10〜100%、さらに好ましくは50〜100%であり、特に水素原子を全てフッ素原子で置換したものが、酸の強度が強くなるので好ましい。
R51は、直鎖状のアルキル基又はフッ素化アルキル基であることが最も好ましい。
【0047】
R52は、水素原子、水酸基、ハロゲン原子、直鎖、分岐鎖又は環状のアルキル基、直鎖、又は分岐鎖状のハロゲン化アルキル基、又は直鎖又は分岐鎖状のアルコキシ基である。
R52において、ハロゲン原子としては、フッ素原子、臭素原子、塩素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、フッ素原子が好ましい。
R52において、アルキル基は、直鎖又は分岐鎖状であり、その炭素数は好ましくは1〜5、より好ましくは1〜4、最も好ましくは1〜3である。
R52において、ハロゲン化アルキル基は、アルキル基中の水素原子の一部又は全部がハロゲン原子で置換された基である。ここでのアルキル基は、前記R52における「アルキル基」と同様のものが挙げられる。置換するハロゲン原子としては上記「ハロゲン原子」について説明したものと同様のものが挙げられる。ハロゲン化アルキル基において、水素原子の全個数の50〜100%がハロゲン原子で置換されていることが望ましく、全て置換されていることがより好ましい。
R52において、アルコキシ基としては、直鎖状又は分岐鎖状であり、その炭素数は好ましくは1〜5、より好ましくは1〜4、最も好ましくは1〜3である。
R52は、これらの中でも水素原子が好ましい。
【0048】
R53は置換基を有していてもよいアリール基であり、置換基を除いた基本環(母体環)の構造としては、ナフチル基、フェニル基、アントラセニル基等が挙げられ、本発明の効果やArFエキシマレーザー等の露光光の吸収の観点から、フェニル基が望ましい。
置換基としては、水酸基、低級アルキル基(直鎖又は分岐鎖状であり、その好ましい炭素数は5以下であり、特にメチル基が好ましい)等を挙げることができる。
R53のアリール基としては、置換基を有しないものがより好ましい。
【0049】
u’’は1〜3の整数であり、2又は3であることが好ましく、特に3であることが望ましい。
【0050】
式(a−0)で表される酸発生剤の好ましいものとしては、以下の化学式で表されるものを挙げることができる。
【化12】
【0051】
式(a−0)で表される酸発生剤は1種又は2種以上混合して用いることができる。
式(a−0)で表される酸発生剤の他のオニウム塩系酸発生剤としては、例えば下記式(a−1)又は(a−2)で表される化合物が挙げられる。
【化13】
[式中、R1”〜R3”,R5”,R6”は、それぞれ独立に、置換又は無置換のアリール基又はアルキル基を表し;R4”は、直鎖、分岐又は環状のアルキル基又はフッ素化アルキル基を表し;R1”〜R3”のうち少なくとも1つはアリール基を表し、R5”及びR6”のうち少なくとも1つはアリール基を表す。]
【0052】
式(a−1)中、R1”〜R3”はそれぞれ独立に置換又は無置換のアリール基又はアルキル基を表す。R1”〜R3”のうち、少なくとも1つは置換又は無置換のアリール基を表す。R1”〜R3”のうち、2以上が置換又は無置換のアリール基であることが好ましく、R1”〜R3”の全てが置換又は無置換のアリール基であることが最も好ましい。
【0053】
R1”〜R3”のアリール基としては、特に制限はなく、例えば、炭素数6〜20のアリール基であって、該アリール基は、その水素原子の一部又は全部がアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子等で置換されていてもよく、されていなくてもよい。アリール基としては、安価に合成可能なことから、炭素数6〜10のアリール基が好ましい。具体的には、たとえばフェニル基、ナフチル基が挙げられる。
【0054】
前記アリール基の置換基であるアルキル基としては、炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、n‐ブチル基、tert‐ブチル基が最も好ましい。
前記アリール基の置換基であるアルコキシ基としては、炭素数1〜5のアルコキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基が最も好ましい。
前記アリール基の置換基であるハロゲン原子としては、フッ素原子が好ましい。
【0055】
R1”〜R3”のアルキル基としては、特に制限はなく、例えば炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基等が挙げられる。解像性に優れる点から、炭素数1〜5であることが好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、n−ペンチル基、シクロペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ノニル基、デカニル基等が挙げられ、解像性に優れ、また安価に合成可能なことから好ましいものとして、メチル基を挙げることができる。
これらの中で、R1”〜R3”は全てフェニル基であることが最も好ましい。
【0056】
R4”は、直鎖、分岐又は環状のアルキル基又はフッ素化アルキル基を表す。
前記直鎖又は分岐のアルキル基としては、炭素数1〜10であることが好ましく、炭素数1〜8であることがさらに好ましく、炭素数1〜4であることが最も好ましい。
前記環状のアルキル基としては、前記R1”で示したような環式基であって、炭素数4〜15であることが好ましく、炭素数4〜10であることがさらに好ましく、炭素数6〜10であることが最も好ましい。
前記フッ素化アルキル基としては、炭素数1〜10であることが好ましく、炭素数1〜8であることがさらに好ましく、炭素数1〜4であることが最も好ましい。また。該フッ化アルキル基のフッ素化率(アルキル基中のフッ素原子の割合)は、好ましくは10〜100%、さらに好ましくは50〜100%であり、特に水素原子を全てフッ素原子で置換したものが、酸の強度が強くなるので好ましい。
R4”としては、直鎖又は環状のアルキル基、又はフッ素化アルキル基であることが最も好ましい。
【0057】
式(a−2)中、R5”及びR6”はそれぞれ独立に置換又は無置換のアリール基又はアルキル基を表す。R5”及びR6”のうち、少なくとも1つは置換又は無置換のアリール基を表す。R5”及びR6”の全てが置換又は無置換のアリール基であることが好ましい。
R5”〜R6”の置換又は無置換のアリール基としては、R1”〜R3”の置換又は無置換のアリール基と同様のものが挙げられる。
R5”〜R6”のアルキル基としては、R1”〜R3”のアルキル基と同様のものが挙げられる。
これらの中で、R5”〜R6”は全てフェニル基であることが最も好ましい。
式(a−2)中のR4”としては上記式(a−1)のR4”と同様のものが挙げられる。
【0058】
式(a−1)、(a−2)で表されるオニウム塩系酸発生剤の具体例としては、ジフェニルヨードニウムのトリフルオロメタンスルホネート又はノナフルオロブタンスルホネート、ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムのトリフルオロメタンスルホネート又はノナフルオロブタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネート又はそのノナフルオロブタンスルホネート、トリ(4−メチルフェニル)スルホニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネート又はそのノナフルオロブタンスルホネート、ジメチル(4−ヒドロキシナフチル)スルホニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネート又はそのノナフルオロブタンスルホネート、モノフェニルジメチルスルホニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネート又はそのノナフルオロブタンスルホネート、ジフェニルモノメチルスルホニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネート又はそのノナフルオロブタンスルホネート、(4−メチルフェニル)ジフェニルスルホニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネート又はそのノナフルオロブタンスルホネート、(4−メトキシフェニル)ジフェニルスルホニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネート又はそのノナフルオロブタンスルホネート、トリ(4−tert−ブチル)フェニルスルホニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネート又はそのノナフルオロブタンスルホネート、ジフェニル(1−(4−メトキシ)ナフチル)スルホニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネート又はそのノナフルオロブタンスルホネート等が挙げられる。また、これらのオニウム塩のアニオン部がメタンスルホネート、n−プロパンスルホネート、n−ブタンスルホネート、n−オクタンスルホネートに置き換えたオニウム塩も用いることができる。
【0059】
また、前記式(a−1)又は(a−2)において、アニオン部を下記式(a−3)又は(a−4)で表されるアニオン部に置き換えたオニウム塩系酸発生剤も用いることができる(カチオン部は(a−1)又は(a−2)と同様)。
【化14】
[式中、X”は、少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換された炭素数2〜6のアルキレン基を表し;Y”,Z”は、それぞれ独立に、少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換された炭素数1〜10のアルキル基を表す。]
【0060】
X”は、少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換された直鎖状又は分岐状のアルキレン基であり、該アルキレン基の炭素数は2〜6であり、好ましくは炭素数3〜5、最も好ましくは炭素数3である。
Y”,Z”は、それぞれ独立に、少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換された直鎖状又は分岐状のアルキル基であり、該アルキル基の炭素数は1〜10であり、好ましくは炭素数1〜7、より好ましくは炭素数1〜3である。
【0061】
X”のアルキレン基の炭素数又はY”,Z”のアルキル基の炭素数は、上記炭素数の範囲内において、レジスト溶剤への溶解性も良好である等の理由により、小さいほど好ましい。
【0062】
また、X”のアルキレン基又はY”,Z”のアルキル基において、フッ素原子で置換されている水素原子の数が多いほど、酸の強度が強くなり、また200nm以下の高エネルギー光や電子線に対する透明性が向上するので好ましい。該アルキレン基又はアルキル基中のフッ素原子の割合、すなわちフッ素化率は、好ましくは70〜100%、さらに好ましくは90〜100%であり、最も好ましくは、全ての水素原子がフッ素原子で置換されたパーフルオロアルキレン基又はパーフルオロアルキル基である。
【0063】
本発明において、光酸発生剤として以下の式(40)〜(45)で示される化合物も使用できる。
【化15】
【0064】
式(40)中、Qはアルキレン基、アリーレン基又はアルコキシレン基であり、R15はアルキル基、アリール基、ハロゲン置換アルキル基又はハロゲン置換アリール基である。
【0065】
前記式(40)で示される化合物は、N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)スクシンイミド、N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)フタルイミド、N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)ジフェニルマレイミド、N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]へプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)ナフチルイミド、N−(10−カンファースルホニルオキシ)スクシンイミド、N−(10−カンファースルホニルオキシ)フタルイミド、N−(10−カンファースルホニルオキシ)ジフェニルマレイミド、N−(10−カンファースルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]へプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(10−カンファースルホニルオキシ)ナフチルイミド、N−(n−オクタンスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]へプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(n−オクタンスルホニルオキシ)ナフチルイミド、N−(p−トルエンスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(p−トルエンスルホニルオキシ)ナフチルイミド、N−(2−トリフルオロメチルベンゼンスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]へプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(2−トリフルオロメチルベンゼンスルホニルオキシ)ナフチルイミド、N−(4−トリフルオロメチルベンゼンスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]へプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(4−トリフルオロメチルベンゼンスルホニルオキシ)ナフチルイミド、N−(パーフルオロベンゼンスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(パーフルオロベンゼンスルホニルオキシ)ナフチルイミド、N−(1−ナフタレンスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(1−ナフタレンスルホニルオキシ)ナフチルイミド、N−(ノナフルオロ−n−ブタンスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(ノナフルオロ−n−ブタンスルホニルオキシ)ナフチルイミド、N−(パーフルオロ−n−オクタンスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]へプト−5−エンー2,3−ジカルボキシイミド及びN−(パーフルオロ−n−オクタンスルホニルオキシ)ナフチルイミドからなる群から選択される少なくとも一種類であることが好ましい。
【0066】
【化16】
式(41)中、R16は、同一でも異なっていてもよく、それぞれ独立に、任意に置換された直鎖、分枝又は環状アルキル基、任意に置換されたアリール基、任意に置換されたヘテロアリール基又は任意に置換されたアラルキル基である。
【0067】
前記式(41)で示される化合物は、ジフェニルジスルフォン、ジ(4−メチルフェニル)ジスルフォン、ジナフチルジスルフォン、ジ(4−tert−ブチルフェニル)ジスルフォン、ジ(4−ヒドロキシフェニル)ジスルフォン、ジ(3−ヒドロキシナフチル)ジスルフォン、ジ(4−フルオロフェニル)ジスルフォン、ジ(2−フルオロフェニル)ジスルフォン及びジ(4−トルフルオロメチルフェニル)ジスルフォンからなる群から選択される少なくとも一種類であることが好ましい。
【0068】
【化17】
式(42)中、R17は、同一でも異なっていてもよく、それぞれ独立に、任意に置換された直鎖、分枝又は環状アルキル基、任意に置換されたアリール基、任意に置換されたヘテロアリール基又は任意に置換されたアラルキル基である。
【0069】
前記式(42)で示される化合物は、α−(メチルスルホニルオキシイミノ)−フェニルアセトニトリル、α−(メチルスルホニルオキシイミノ)−4−メトキシフェニルアセトニトリル、α−(トリフルオロメチルスルホニルオキシイミノ)−フェニルアセトニトリル、α−(トリフルオロメチルスルホニルオキシイミノ)−4−メトキシフェニルアセトニトリル、α−(エチルスルホニルオキシイミノ)−4−メトキシフェニルアセトニトリル、α−(プロピルスルホニルオキシイミノ)−4−メチルフェニルアセトニトリル及びα−(メチルスルホニルオキシイミノ)−4−ブロモフェニルアセトニトリルからなる群から選択される少なくとも一種類であることが好ましい。
【0070】
【化18】
式(43)中、R18は、同一でも異なっていてもよく、それぞれ独立に、1以上の塩素原子及び1以上の臭素原子を有するハロゲン化アルキル基である。ハロゲン化アルキル基の炭素原子数は1〜5が好ましい。
【0071】
【化19】
【0072】
式(44)及び(45)中、R19及びR20はそれぞれ独立に、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基等の炭素原子数1〜3のアルキル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基等の炭素原子数1〜3のアルコキシ基、又はフェニル基、トルイル基、ナフチル基等のアリール基であり、好ましくは、炭素原子数6〜10のアリール基である。
L19及びL20はそれぞれ独立に1,2−ナフトキノンジアジド基を有する有機基である。1,2−ナフトキノンジアジド基を有する有機基としては、具体的には、1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホニル基、1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホニル基、1,2−ナフトキノンジアジド−6−スルホニル基等の1,2−キノンジアジドスルホニル基を好ましいものとして挙げることができる。特に、1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホニル基及び1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホニル基が好ましい。
pは1〜3の整数、qは0〜4の整数、かつ1≦p+q≦5である。
J19は単結合、炭素原子数1〜4のポリメチレン基、シクロアルキレン基、フェニレン基、下記式(44a)で表わされる基、カルボニル結合、エステル結合、アミド結合又はエーテル結合を有する基である。
【0073】
Y19はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基又はアリール基であり、X20は、それぞれ独立に下記式(45a)で示される基である。
【化20】
式(45a)中、Z22はそれぞれ独立に、アルキル基、シクロアルキル基又はアリール基であり、R22はそれぞれ独立に、アルキル基、シクロアルキル基又はアルコキシ基であり、rは0〜3の整数である。
【0074】
その他の酸発生剤として、ビス(p−トルエンスルホニル)ジアゾメタン、ビス(2,4−ジメチルフェニルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(tert−ブチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(n−ブチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(イソブチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(イソプロピルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(n−プロピルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(シクロヘキシルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(イソプロピルスルホニル)ジアゾメタン、1,3−ビス(シクロヘキシルスルホニルアゾメチルスルホニル)プロパン、1,4−ビス(フェニルスルホニルアゾメチルスルホニル)ブタン、1,6−ビス(フェニルスルホニルアゾメチルスルホニル)ヘキサン、1,10−ビス(シクロヘキシルスルホニルアゾメチルスルホニル)デカン等のビススルホニルジアゾメタン類、2−(4−メトキシフェニル)−4,6−(ビストリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−(4−メトキシナフチル)−4,6−(ビストリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、トリス(2,3−ジブロモプロピル)−1,3,5−トリアジン、トリス(2,3−ジブロモプロピル)イソシアヌレート等のハロゲン含有トリアジン誘導体等が挙げられる。
【0075】
これらの光酸発生剤の中で、特に好ましくは活性光線又は放射線の作用により有機スルホン酸を発生する化合物が好ましい。
【0076】
PAGの配合量は、溶剤を除く全組成物中0〜40重量%、好ましくは5〜30重量%、さらに好ましくは5〜20重量%である。
【0077】
本発明においては、放射線照射により酸発生剤から生じた酸のレジスト膜中における拡散を制御して、未露光領域での好ましくない化学反応を阻止する作用等を有する酸拡散制御剤(クエンチャー)をフォトレジスト組成物に配合してもよい。この様な酸拡散制御剤を使用することにより、フォトレジスト組成物の貯蔵安定性が向上する。また解像度が向上するとともに、電子線照射前の引き置き時間、電子線照射後の引き置き時間の変動によるレジストパターンの線幅変化を抑えることができ、プロセス安定性に極めて優れたものとなる。
【0078】
このような酸拡散制御剤としては、例えば、n−ヘキシルアミン、n−ヘプチルアミン、n−オクチルアミン、n−ノニルアミン、n−デシルアミン等のモノアルキルアミン;ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、ジ−n−ヘプチルアミン、ジ−n−オクチルアミン、ジシクロヘキシルアミン等のジアルキルアミン;トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン、トリ−n−ヘキシルアミン、トリ−n−ペンチルアミン、トリ−n−ヘプチルアミン、トリ−n−オクチルアミン、トリ−n−ノニルアミン、トリ−n−デカニルアミン、トリ−n−ドデシルアミン等のトリアルキルアミン;ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、ジ−n−オクタノールアミン、トリ−n−オクタノールアミン等のアルキルアルコールアミン;1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノネン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン等の環状アミン等の窒素原子含有塩基性化合物、塩基性スルホニウム化合物、塩基性ヨードニウム化合物等の電子線放射分解性塩基性化合物が挙げられる。酸拡散制御剤は、単独で又は2種以上を使用することができる。
【0079】
クエンチャーの配合量は、溶剤を除く全組成物中0〜40重量%、好ましくは0.01〜15重量%である。
本発明においては、さらに所望により混和性のある添加剤、例えばレジスト膜の性能を改良するための付加的樹脂、塗布性を向上させるための界面活性剤、溶解制御剤、増感剤、可塑剤、安定剤、着色剤、ハレーション防止剤、染料、顔料等を適宜、添加含有させることができる。
【0080】
溶解制御剤は、環状化合物のアルカリ現像液に対する溶解性が高すぎる場合に、その溶解性を低下させて現像時の溶解速度を適度にする作用を有する成分である。
【0081】
溶解制御剤としては、例えば、ナフタレン、フェナントレン、アントラセン、アセナフテン等の芳香族炭化水素類;アセトフェノン、ベンゾフェノン、フェニルナフチルケトン等のケトン類;メチルフェニルスルホン、ジフェニルスルホン、ジナフチルスルホン等のスルホン類等を挙げることができる。さらに、例えば、酸解離性官能基が導入されたビスフェノール類、t−ブチルカルボニル基が導入されたトリス(ヒドロキシフェニル)メタン等をも挙げることができる。これらの溶解制御剤は、単独で又は2種以上を使用することができる。溶解制御剤の配合量は、使用する環状化合物の種類に応じて適宜調節されるが、固形成分全重量の0〜50重量%が好ましく、0〜40重量%がより好ましく、0〜30重量%がさらに好ましい。
【0082】
増感剤は、照射された放射線のエネルギーを吸収して、そのエネルギーを酸発生剤に伝達し、それにより酸の生成量を増加する作用を有し、レジストの見掛けの感度を向上させる成分である。このような増感剤としては、例えば、ベンゾフェノン類、ビアセチル類、ピレン類、フェノチアジン類、フルオレン類等を挙げることができるが、特に限定はされない。これらの増感剤は、単独で又は2種以上を使用することができる。増感剤の配合量は、固形成分全重量の0〜50重量%が好ましく、0〜20重量%がより好ましく、0〜10重量%がさらに好ましい。
【0083】
界面活性剤は、本発明のフォトレジスト組成物の塗布性やストリエーション、レジストとしての現像性等を改良する作用を有する成分である。このような界面活性剤としては、アニオン系、カチオン系、ノニオン系あるいは両性のいずれでも使用することができる。これらのうち、ノニオン系界面活性剤が好ましい。ノニオン系界面活性剤は、フォトレジスト組成物に用いる溶剤との親和性がよく、より効果がある。ノニオン系界面活性剤の例としては、ポリオキシエチレン高級アルキルエーテル類、ポリオキシエチレン高級アルキルフェニルエーテル類、ポリエチレングリコールの高級脂肪酸ジエステル類等の他、以下商品名で、エフトップ(ジェムコ社製)、メガファック(大日本インキ化学工業社製)、フロラード(住友スリーエム社製)、アサヒガード、サーフロン(以上、旭硝子社製)、ペポール(東邦化学工業社製)、KP(信越化学工業社製)、ポリフロー(共栄社油脂化学工業社製)等の各シリーズ製品を挙げることができるが、特に限定はされない。界面活性剤の配合量は、固形成分全重量の0〜2重量%が好ましく、0〜1重量%がより好ましく、0〜0.1重量%がさらに好ましい。
【0084】
また、染料あるいは顔料を配合することにより、露光部の潜像を可視化させて、露光時のハレーションの影響を緩和できる。さらに、接着助剤を配合することにより、基板との接着性を改善することができる。
【0085】
酸拡散制御剤を配合した場合の感度劣化を防ぎ、またレジストパターン形状、引き置き安定性等の向上の目的で、さらに任意の成分として、有機カルボン酸又はリンのオキソ酸又はその誘導体を含有させることができる。なお、これらの化合物は、酸拡散制御剤と併用することもできるし、単独で用いてもよい。有機カルボン酸としては、例えば、マロン酸、クエン酸、リンゴ酸、コハク酸、安息香酸、サリチル酸等が好適である。リンのオキソ酸又はその誘導体としては、リン酸、リン酸ジ−n−ブチルエステル、リン酸ジフェニルエステル等のリン酸又はそれらのエステル等の誘導体、ホスホン酸、ホスホン酸ジメチルエステル、ホスホン酸ジ−n−ブチルエステル、フェニルホスホン酸、ホスホン酸ジフェニルエステル、ホスホン酸ジベンジルエステル等のホスホン酸又はそれらのエステル等の誘導体、ホスフィン酸、フェニルホスフィン酸等のホスフィン酸及びそれらのエステル等の誘導体が挙げられ、これらの中で特にホスホン酸が好ましい。
【0086】
レジストパターンを形成するには、まず、シリコンウェハー、ガリウムヒ素ウェハー、アルミニウムで被覆されたウェハー等の基板上に本発明のフォトレジスト組成物を、回転塗布、流延塗布、ロール塗布等の塗布手段によって塗布することによりレジスト膜を形成する。
【0087】
必要に応じて、基板上に表面処理剤を予め塗布してもよい。表面処理剤としては、例えばヘキサメチレンジシラザン等のシランカップリング剤(重合性基を有する加水分解重合性シランカップリング剤等)、アンカーコート剤又は下地剤(ポリビニルアセタール、アクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂等)、これらの下地剤と無機微粒子とを混合したコーティング剤が挙げられる。
【0088】
必要に応じて、大気中に浮遊するアミン等が侵入するのを防ぐために、レジスト膜に保護膜を形成してもよい。保護膜を形成することにより、放射線によりレジスト膜中に発生した酸が、大気中に不純物として浮遊しているアミン等の酸と反応する化合物と反応して失活し、レジスト像が劣化し感度が低下することを防止できる。保護膜用の材料としては水溶性かつ酸性のポリマーが好ましい。例えば、ポリアクリル酸、ポリビニルスルホン酸等が挙げられる。
【0089】
高精度の微細パターンを得るため、また露光中のアウトガスを低減するため、放射線照射前(露光前)に加熱するのが好ましい。その加熱温度は、フォトレジスト組成物の配合組成等により変わるが、20〜250℃が好ましく、より好ましくは40〜150℃である。
【0090】
次いで、KrFエキシマレーザー、極端紫外線、電子線又はX線等の放射線により、レジスト膜を所望のパターンに露光する。露光条件等は、フォトレジスト組成物の配合組成等に応じて適宜選定される。本発明においては、高精度の微細パターンを安定して形成するために、放射線照射後(露光後)に加熱するのが好ましい。露光後加熱温度(PEB)は、フォトレジスト組成物の配合組成等により変わるが、20〜250℃が好ましく、より好ましくは40〜150℃である。
【0091】
次いで、露光されたレジスト膜をアルカリ現像液で現像することにより、所定のレジストパターンを形成できる。前記アルカリ現像液としては、例えば、モノ−、ジ−あるいはトリアルキルアミン類、モノ−、ジ−あるいはトリアルカノールアミン類、複素環式アミン類、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)、コリン等のアルカリ性化合物の1種以上を溶解した、好ましくは1〜10重量%、より好ましくは1〜5重量%のアルカリ性水溶液を使用する。アルカリ現像液には、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類や前記界面活性剤を適量添加することもできる。これらのうちイソプロピルアルコールを10〜30重量%添加することが特に好ましい。なお、このようなアルカリ性水溶液からなる現像液を用いた場合は、一般に、現像後水で洗浄する。
【0092】
酸解離性溶解抑止基を有する環状化合物をフォトレジスト基材として用いる場合は、KrFエキシマレーザー、極端紫外線、電子線又はX線等の放射線により、レジスト膜を所望のパターンに露光することにより、酸解離性溶解抑止基が脱離ないし構造が変化することにより、アルカリ現像液に溶解するようになる。一方、パターンの露光されていない部分はアルカリ現像液に溶解しないことが好ましい。
【0093】
アルカリ現像液に対する非溶解性については、形成するパターンのサイズ、使用するアルカリ現像液の種類等の現像条件により、好ましい非溶解性が異なるため一概に規定することはできないが、2.38%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液をアルカリ現像液として用いる場合、フォトレジスト基材からなる薄膜の現像液溶解速度で表される非溶解性としては、1ナノメートル/秒未満が好ましく、0.5ナノメートル/秒未満が特に好ましい。
【0094】
なお、場合によっては上記アルカリ現像後、ポストベーク処理を行ってもよいし、基板とのレジスト膜の間には有機系又は無機系の反射防止膜を設けてもよい。
【0095】
レジストパターンを形成した後、エッチングすることによりパターン配線基板が得られる。エッチングは、プラズマガスを使用するドライエッチング、アルカリ溶液、塩化第二銅溶液、塩化第二鉄溶液等を用いるウェットエッチング等公知の方法で行うことができる。レジストパターンを形成した後、銅めっき、はんだめっき、ニッケルめっき、金めっき等のめっき処理を行うこともできる。
【0096】
エッチング後の残留レジストパターンは、有機溶剤やアルカリ現像液より強アルカリ性の水溶液で剥離することができる。上記有機溶剤としては、PGMEA、PGME、EL、アセトン、テトラヒドロフラン等が挙げられ、強アルカリ水溶液としては、例えば、1〜20重量%の水酸化ナトリウム水溶液、及び1〜20重量%の水酸化カリウム水溶液が挙げられる。剥離方法としては、例えば、浸漬方法、スプレイ方式等が挙げられる。またレジストパターンが形成された配線基板は、多層配線基板でもよく、小径スルーホールを有していてもよい。
【0097】
本発明のフォトレジスト組成物を用いてレジストパターンを形成した後、金属を真空蒸着し、その後レジストパターンを溶液で溶離する方法、すなわちリフトオフ法により配線基板を形成することもできる。
【0098】
本発明のフォトレジスト組成物を用いて微細加工方法により、半導体装置を作製できる。この半導体装置は、テレビ受像機、携帯電話、コンピュータ等の電気製品(電子機器)、ディスプレイ、コンピュータ制御する自動車等の様々な装置に備えることができる。
【0099】
本発明の環状化合物の組成物は公知の成形方法によって各種成形品(シリコンウェハ等の基板に形成した薄膜、フィルム、薄板、ファイバー等)を製造することができる。
【0100】
成形方法としては、射出成型法、射出圧縮成型法、押出成型法、ブロー成型法、加圧成型法、トランスファー成型法、スピンコーティング法、スプレーコーティング法、キャスト法、蒸着法、熱CVD法、プラズマCVD法、プラズマ重合法等が挙げられ、これら成形方法を所望の製品の形態、性能に応じて適宜選択できる。
【0101】
また、本発明の環状化合物の組成物を用いて上記の方法により薄膜を得て、得られた薄膜を熱、紫外線、深紫外線、真空紫外線、極端紫外線、電子線、プラズマ、X線等により硬化(環化付加反応)させてもよい。
【0102】
スピンコーティング法等により本発明の環状化合物の組成物を薄膜に形成する場合、本発明の環状化合物の組成物を有機溶媒に溶解させて塗料として用いることができる。
【0103】
有機溶媒としては、クロロホルム、ジクロロメタン、1,1,2,2−テトラクロロエタン、ジクロロエタン、ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼン、テトラクロロベンゼン、ジメチルホルムアミド(DMF)、N−メチルピロリドン(NMP)、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド(DMSO)、アニソール、アセトフェノン、ベンゾニトリル、ニトロベンゼン、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、アセトン等が挙げられる。
【0104】
塗料中における本発明の環状化合物の組成物の濃度は、塗料の粘度や薄膜形成方法等を考慮して適宜調製すればよい。
薄膜の厚さは特に限定されないが、一般に10nm〜10μm程度のものが好適に使用される。薄膜の膜厚は、エリプソメータ、反射光学式膜厚計等による光学的膜厚測定、触針式膜厚測定器やAFM等による機械的膜厚測定が可能である。
【0105】
本発明の薄膜は、フォトレジスト薄膜としての用途の他、光学レンズ、光ファイバー、光導波路、フォトニック結晶等の種々の光情報処理装置向け光学薄膜、半導体用層間絶縁膜、半導体用保護膜等のULSI装置向け薄膜、液晶ディスプレー、液晶プロジェクター、プラズマディスプレー、ELディスプレー、LEDディスプレー等の画像表示装置向け薄膜、CMOSイメージセンサ、CCDイメージセンサ等に使用される薄膜として有用である。さらにこれら薄膜は、CPU、DRAM、フラッシュメモリ等の半導体装置、情報処理用小型電子回路装置、高周波通信用電子回路装置等の電子回路装置、画像表示装置、光情報処理用装置、光通信用装置等の部材、表面保護膜、耐熱膜において利用することもできる。
【実施例】
【0106】
[実施例1]
窒素気流下、容量200ミリリットルの丸底フラスコに、3−メトキシフェノール10.0g(81ミリモル)、4−ホルミル安息香酸メチル13.2g(80.6ミリモル)、脱水ジクロロメタン100ミリリットルを加え、−78℃に冷却した。この混合物に対して、3フッ化ホウ素エーテル付加体30.8ミリリットル(250ミリモル)を滴下した後、室温まで昇温して8時間撹拌を継続した。反応溶液を氷浴で0℃まで冷却し、析出した固体(環状化合物(1b))をろ別除去し、得られた均一溶液をn−ヘキサンに投入することにより析出した固体をろ集して、環状化合物(1a)、(1b)の混合物〔(1a):(1b)=2:1(モル比)〕を収率60%で得た。1H−NMR測定の結果(図1)、下記の構造、上記の組成であることを確認した。
【0107】
【化21】
【0108】
窒素気流下、得られた環状化合物(1a)、(1b)の混合物0.8g(0.74ミリモル)、水酸化ナトリウム0.74g(18.5ミリモル)、水10ミリリットルを加え、90℃、5時間加熱撹拌を行った後、放冷した。希塩酸水溶液を加え反応溶液を酸性にし、析出した白色沈殿をろ別し水洗することにより、環状化合物(2a)、(2b)の混合物〔(2a):(2b)=2:1(モル比)〕を収率85%で得た。1H−NMR測定の結果(図2)、下記の構造、上記の組成であることを確認した。
【0109】
【化22】
【0110】
窒素気流下、得られた環状化合物(2a)、(2b)の混合物5.03g(4.88ミリモル)、炭酸水素ナトリウム1.86g(21.95ミリモル)、N−メチル−2−ピロリドン100ミリリットルの混合物へ、2−ブロモ酢酸1−エチルシクロヘキシル6.23g(21.95ミリモル)を滴下した後80℃、8時間加熱撹拌を行った。反応混合物を放冷し、酢酸エチル/水で抽出した。有機層は濃縮をしてヘキサンで再沈し、析出した固体をろ別することにより、最終生成物として、環状化合物(3a)、(3b)の混合物〔(3a):(3b)=2:1(モル比)〕を収率80%で得た。1H−NMR測定の結果(図3)、下記の構造、上記の組成であることを確認した。
【0111】
【化23】
【0112】
[比較例1]
窒素気流下、容量200ミリリットルの丸底フラスコに、3−メトキシフェノール10.0g(81ミリモル)、4−ホルミル安息香酸メチル13.2g(80.6ミリモル)、脱水クロロホルム100ミリリットルを加え、−78℃に冷却した。この混合物に対して、3フッ化ホウ素エーテル付加体30.8ミリリットル(250ミリモル)を滴下した後、室温まで昇温して20時間撹拌を継続した後、50℃に昇温し14時間撹拌を継続した。反応溶液を氷浴で0℃まで冷却し、析出した固体をエタノールで洗浄し、環状化合物(1b)を収率25%で得た。1H−NMR測定の結果(図4)、環状化合物(1b)の純品であることを確認した。
実施例1と同様にして、環状化合物(2b)を収率89%で得た。1H−NMR測定の結果(図5)、環状化合物(2b)の純品であることを確認した。実施例1と同様にして、環状化合物(3b)を収率83%で得た。1H−NMR測定の結果(図6)、環状化合物(3b)の純品であることを確認した。
【0113】
[実施例2〜4]
実施例1で得た環状化合物(3a)、(3b)の混合物(2:1(モル比))、及び比較例1で得られた環状化合物(3b)の純品を、それぞれ表1に記す割合で混合することにより、環状化合物(3a)、(3b)が表1に記す割合で含まれる混合物を作成した。このように、所望の割合で混合された環状化合物(3a)、(3b)の混合物が正確に得られる。
【0114】
[比較例2]
窒素気流下、容量200ミリリットルの丸底フラスコに、3−メトキシフェノール10.0g(81ミリモル)、4−ホルミル安息香酸メチル13.2g(80.6ミリモル)、脱水ジクロロメタン100ミリリットルを加え、−78℃に冷却した。この混合物に対して、3フッ化ホウ素エーテル付加体30.8ミリリットル(250ミリモル)を滴下した後、室温まで昇温して8時間撹拌を継続した。反応溶液を−78℃まで冷却し、析出した固体をジクロロメタン80ミリリットル、水200ミリリットル、エタノールで洗浄し、環状化合物(1a)、(1b)の混合物である環状化合物(1c)を収量20.5g(収率94%)で得た。1H−NMR測定の結果(図7)、下記の構造であることを確認した。
【化24】
【0115】
実施例1と同様にして、環状化合物(2a)、(2b)の混合物である環状化合物(2c)を収量0.68g(収率90%)で得た。1H−NMR測定の結果(図8)、下記の構造であることを確認した。
【化25】
【0116】
実施例1と同様にして、環状化合物(3a)、(3b)の混合物である環状化合物(3c)を収量5.68g(収率69%)で得た。1H−NMR測定の結果(図9)、下記の構造であることを確認した。
本比較例で得られた環状化合物(3c)において、環状構造に結合する安息香酸エステル構造の立体異性体混合比を1H−NMR、及び液体クロマトグラフィーにより決定した。下記環状化合物(3a)、(3b)のモル比は2:3であった。しかし、分離不能である構造不明の副生成物を含み、同様の製造法を繰り返し実施しても、その都度、環状化合物(3a)、(3b)のモル比が異なる上、さらに構造不明の副生成物の生成を抑制することができなかった。
【0117】
【化26】
【0118】
【表1】
【0119】
[評価例1]
基材、PAG、クエンチャー、溶剤からなるフォトレジスト溶液を作製し、電子線を使用してシリコンウェハにパターンを形成した。
基材として、実施例1〜4、比較例2で得た組成物及び比較例1で得た化合物を、それぞれ77重量部使用し、PAGとしてトリフェニルスルホニウムノナフルオロブタンスルホネート20重量部、クエンチャーとして1,4−ジアザビシクロ(2,2,2)オクタン3重量部を使用した。これらの固体成分の濃度が2.5重量%となるようにプロピレングリコールモノメチルエーテルに溶解させた。
【0120】
比較例1の環状化合物を用いた場合には、プロピレングリコールモノメチルエーテルに対して不溶物が残留したため、均一なフォトレジスト溶液を製造することができなかった。
【0121】
実施例1〜4、比較例2の化合物を含むフォトレジスト溶液を、それぞれ、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)処理を施したシリコンウェハ上にスピンコートし、100℃で180秒加熱することにより薄膜を形成した。次いで、この薄膜を有する基板に対して電子線描画装置(加速電圧50kV)を用いて描画し、100℃で60秒ベークした後、濃度が2.38重量%のテトラブチルアンモニウムヒドロキシド水溶液で60秒間現像処理し、純水にて60秒洗浄、その後、窒素気流により乾燥した。走査型電子顕微鏡による観察結果から得られた、サイズが1/1のライン/スペースパターンを作製した際の解像度(ハーフピッチ)と感度(必要な電子線ドーズ量)の結果を表2に記す。
【0122】
表2より、実施例1〜4、即ち、(3a):(3b)が、15:85〜67:33の範囲において、フォトレジストとしての性能が好ましいことを確認した。一方、表2より、比較例1、即ち化合物(3b)のみであり、(3a):(3b)が前記の好適な範囲外である場合は、前記の通り、本評価例の条件においては、均一なフォトレジスト溶液が得られず、比較例2、即ち、(3a):(3b)が前記の好適な範囲内であるが、本発明の精製を実施せず構造不明の副生成物を含む場合には、解像度の面で性能が低下することを確認した。なお、クエンチャーとして1,4−ジアザビシクロ(2,2,2)オクタンの代わりにトリn−オクチルアミンを用いても結果は同一であった。
【0123】
上記のフォトレジスト薄膜を有する基板に対して、電子線描画装置に替えてEUV露光装置を用いてEUV光(波長:13.5nm)を照射した。その後、100℃で90秒ベークし、2.38重量%の水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液で30秒間、イオン交換水で30秒間リンスすることでパターンを形成した。走査型電子顕微鏡にて観察したところ、電子線描画装置の場合と同様の解像度であることが観察された。
【0124】
【表2】
【0125】
[実施例5]
窒素気流下、実施例1にて得られた環状化合物(2a)、(2b)の混合物5.03g(4.88ミリモル)、炭酸水素ナトリウム1.86g(21.95ミリモル)、N−メチル−2−ピロリドン100ミリリットルの混合物へ、ブロモ酢酸エチルアダマンチル6.59g(21.95ミリモル)を滴下した後80℃、8時間加熱撹拌を行った。反応混合物を放冷し、酢酸エチル/水で抽出した。有機層は濃縮をしてヘキサンで再沈し、析出した固体をろ別することにより、最終生成物として、環状化合物(4a)、(4b)の混合物〔(4a):(4b)=2:1(モル比)〕を収率82%で得た。1H−NMR測定の結果(図10)、下記の構造、上記の組成であることを確認した。
【0126】
【化27】
【0127】
[実施例6]
窒素気流下、実施例1にて得られた環状化合物(2a)、(2b)の混合物5.03g(4.88ミリモル)、炭酸水素ナトリウム1.86g(21.95ミリモル)、N−メチル−2−ピロリドン100ミリリットルの混合物へ、ブロモ酢酸メチルアダマンチル6.14g(21.95ミリモル)を滴下した後80℃、8時間加熱撹拌を行った。反応混合物を放冷し、酢酸エチル/水で抽出した。有機層は濃縮をしてヘキサンで再沈し、析出した固体をろ別することにより、最終生成物として、環状化合物(5a)、(5b)の混合物〔(5a):(5b)=2:1(モル比)〕を収率83%で得た。1H−NMR測定の結果(図11)、下記の構造、上記の組成であることを確認した。
【0128】
【化28】
【0129】
[実施例7]
窒素気流下、容量200ミリリットルの丸底フラスコに、3−メトキシフェノール50.0g(402.8ミリモル)、4−ホルミル安息香酸60.5g(402.8ミリモル)、及び脱水ジクロロメタン500ミリリットルを加えて氷水浴に浸漬させ、5℃以下に冷却した。この混合物に対して、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル付加体60.8ミリリットル(483.6ミリモル)を内温が15℃を越えないように滴下した後、室温まで昇温して8時間撹拌した。反応溶液を氷水浴で冷却し、ゆっくり水を滴下してクエンチし、析出した固体をろ別した。ろ別した析出物を中性になるまで水洗した後、N−メチル−2−ピロリドンに溶解させ、酢酸エチルで再沈し、析出した固体をろ別することにより、環状化合物(2a)、(2b)の混合物〔(2a):(2b)=1:2(モル比)〕を収率93%で得た。1H−NMR測定の結果(図12)、下記の構造、上記の組成であることを確認した。
【化29】
【0130】
窒素気流下、上記で得られた環状化合物(2a)、(2b)の混合物5.03g(4.88ミリモル)、炭酸水素ナトリウム1.86g(21.95ミリモル)、N−メチル−2−ピロリドン100ミリリットルの混合物へ、ブロモ酢酸エチルアダマンチル6.59g(21.95ミリモル)を滴下した後80℃、8時間加熱撹拌を行った。反応混合物を放冷し、酢酸エチル/水で抽出した。有機層は濃縮をしてヘキサンで再沈し、析出した固体をろ別することにより、最終生成物として、環状化合物(4a)、(4b)の混合物〔(4a):(4b)=1:3(モル比)〕を収率75%で得た。1H−NMR測定の結果(図13)、下記の構造、上記の組成であることを確認した。
【0131】
【化30】
【0132】
[実施例8]
窒素気流下、実施例7にて得られた環状化合物(2a)、(2b)の混合物5.03g(4.88ミリモル)、炭酸水素ナトリウム1.86g(21.95ミリモル)、N−メチル−2−ピロリドン100ミリリットルの混合物へ、ブロモ酢酸メチルアダマンチル6.14g(21.95ミリモル)を滴下した後80℃、8時間加熱撹拌を行った。反応混合物を放冷し、酢酸エチル/水で抽出した。有機層は濃縮をしてヘキサンで再沈し、析出した固体をろ別することにより、最終生成物として、環状化合物(5a)、(5b)の混合物〔(5a):(5b)=1:3.5(モル比)〕を収率72%で得た。1H−NMR測定の結果(図14)、下記の構造、上記の組成であることを確認した。
【0133】
【化31】
【0134】
[評価例2]
基材、PAG、クエンチャー、溶剤からなるフォトレジスト溶液を作製し、電子線を使用してシリコンウェハにパターンを形成した。
基材として、実施例7,8で得た化合物を、それぞれ77重量部使用し、PAGとしてトリフェニルスルホニウムノナフルオロブタンスルホネート20重量部、クエンチャーとして1,4−ジアザビシクロ(2,2,2)オクタン3重量部を使用した。これらの固体成分の濃度が2.5重量%となるようにプロピレングリコールモノメチルエーテルに溶解させた。
【0135】
実施例7,8の化合物を含むフォトレジスト溶液を、それぞれ、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)処理を施したシリコンウェハ上にスピンコートし、100℃で180秒加熱することにより薄膜を形成した。次いで、この薄膜を有する基板に対して電子線描画装置(加速電圧50kV)を用いて描画し、100℃で60秒ベークした後、濃度が2.38重量%のテトラブチルアンモニウムヒドロキシド水溶液で60秒間現像処理し、純水にて60秒洗浄、その後、窒素気流により乾燥した。走査型電子顕微鏡による観察結果から得られた、サイズが1/1のライン/スペースパターンを作製した際の解像度(ハーフピッチ)と感度(必要な電子線ドーズ量)の結果を表3に記す。なお、クエンチャーとして1,4−ジアザビシクロ(2,2,2)オクタンの代わりにトリn−オクチルアミンを用いても結果は同一であった。
【0136】
上記のフォトレジスト薄膜を有する基板に対して、電子線描画装置に替えてEUV露光装置を用いてEUV光(波長:13.5nm)を照射した。その後、100℃で90秒ベークし、2.38重量%の水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液で30秒間、イオン交換水で30秒間リンスすることでパターンを形成した。走査型電子顕微鏡にて観察したところ、電子線描画装置の場合と同様の解像度であることが観察された。
【0137】
【表3】
【産業上の利用可能性】
【0138】
本発明の組成物は、フォトレジスト基材又は組成物、特に極端紫外光用及び/又は電子線用フォトレジスト基材又は組成物に好適に使用できる。本発明の組成物は、半導体装置等の電気・電子分野や光学分野等において好適に用いられる。
【図面の簡単な説明】
【0139】
【図1】実施例1で合成した化合物(1a)、(1b)の混合物の1H−NMRスペクトルである。
【図2】実施例1で合成した化合物(2a)、(2b)の混合物の1H−NMRスペクトルである。
【図3】実施例1で合成した化合物(3a)、(3b)の混合物の1H−NMRスペクトルである。
【図4】比較例1で合成した化合物(1b)の1H−NMRスペクトルである。
【図5】比較例1で合成した化合物(2b)の1H−NMRスペクトルである。
【図6】比較例1で合成した化合物(3b)の1H−NMRスペクトルである。
【図7】比較例2で合成した化合物(1c)の1H−NMRスペクトルである。
【図8】比較例2で合成した化合物(2c)の1H−NMRスペクトルである。
【図9】比較例2で合成した化合物(3c)の1H−NMRスペクトルである。
【図10】実施例5で合成した化合物(4a)、(4b)の混合物の1H−NMRスペクトルである。
【図11】実施例6で合成した化合物(5a)、(5b)の混合物の1H−NMRスペクトルである。
【図12】実施例7で合成した化合物(2a)、(2b)の混合物の1H−NMRスペクトルである。
【図13】実施例7で合成した化合物(4a)、(4b)の混合物の1H−NMRスペクトルである。
【図14】実施例8で合成した化合物(5a)、(5b)の混合物の1H−NMRスペクトルである。
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体等の電気・電子分野や光学分野等で用いられるフォトレジスト基材、特に超微細加工用フォトレジスト基材に関する。
【背景技術】
【0002】
極端紫外光(Extream Ultra Violet Light:以下、EUVLと表記する場合がある)又は電子線によるリソグラフィーは、半導体等の製造において、高生産性、高解像度の微細加工方法として有用であり、それに用いる高感度、高解像度のフォトレジストが求められている。フォトレジストは、所望する微細パターンの生産性、解像度等の観点から、その感度を向上させることが欠かせない。
【0003】
EUVLによる超微細加工の際に用いられるフォトレジストとしては、例えば、他のレジスト化合物と比較して光酸発生剤の濃度が高い化学増幅ポジ型フォトレジストを用いる方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。しかし、実施例のフォトレジストは、ラインエッジラフネスの観点から、電子線を用いた場合で例示された100nmまでの加工が限界であると考えられる。これは基材として用いる高分子化合物の集合体又は各々の高分子化合物分子が示す立体的形状が大きく、該作製ライン幅及びその表面粗さに影響を及ぼすことがその主原因と推定される。
【0004】
本発明者は既に高感度、高解像度のフォトレジスト材料としてカリックスレゾルシナレン化合物を提案している(特許文献2及び3参照)。また、特許文献4には、カリックスレゾルシナレン化合物が開示されている。
【特許文献1】特開2002−055457号公報
【特許文献2】特開2004−191913号公報
【特許文献3】特開2005−075767号公報
【特許文献4】米国特許6093517号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、EUVLによる超微細加工技術として、さらなる高感度、高解像度が求められている。上記特許文献1〜4に開示されたフォトレジスト材料では、この要求レベルである高感度、高解像度を十分発揮できていない。
本発明の目的は、高感度、高解像度のフォトレジスト材料を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、以下の化合物及びフォトレジスト組成物等が提供される。
1.下記化合物(1)と、下記化合物(2)からなり、モル比率が化合物(1):化合物(2)=15:85〜70:30である組成物。
【化1】
[式中、Rは、下記式(3)〜(5)のいずれかで表される基である。
R1は、水酸基、置換もしくは無置換の炭素数1〜20の直鎖状アルコキシ基、置換もしくは無置換の炭素数3〜12の分岐アルコキシ基、置換もしくは無置換の炭素数3〜20の環状アルコキシ基、置換もしくは無置換の炭素数6〜10のアリーロキシル基、アルコキシアルコキシ基、シロキシ基、又はこれらの基と二価の基とが結合した基であり、
前記二価の基は、置換もしくは無置換のアルキレンオキシ基、置換もしくは無置換のアリーレンオキシ基、置換もしくは無置換のシリレンオキシ基、これらの基が2以上結合した基、又はこれらの基と、エステル結合、炭酸エステル結合又はエーテル結合が結合した基である。
R2は、水素、R1で表される基、炭素数1〜20の直鎖状脂肪族炭化水素基、炭素数3〜12の分岐脂肪族炭化水素基、炭素数3〜20の環状脂肪族炭化水素基、炭素数6〜10の芳香族基又は酸素原子を含む基である。
式(1)内及び式(2)内に複数あるR、R1及びR2は、それぞれ同じであっても異なっていてもよい。
【化2】
(式中、Arは、置換もしくは無置換の炭素数6〜10のアリーレン基、置換もしくは無置換の炭素数6〜10のアリーレン基を2つ以上組み合わせた基、又はアルキレン基及びエーテル結合の少なくとも一方の1つ以上と置換もしくは無置換の炭素数6〜10のアリーレン基を組み合わせた基であり、
置換基を有する場合の置換基は、臭素、フッ素、ニトリル基、又は炭素数1〜10のアルキル基である。
R3は、水酸基、置換もしくは無置換の炭素数1〜20の直鎖状脂肪族炭化水素基、置換もしくは無置換の炭素数3〜12の分岐脂肪族炭化水素基、置換もしくは無置換の炭素数3〜20の環状脂肪族炭化水素基、置換もしくは無置換の炭素数6〜10の芳香族基、アルコキシ基、アルコキシアルキル基、カルボキシル基、シリル基、又はこれらの基と二価の基が結合した基であり、
前記二価の基は、置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のアリーレン基、置換もしくは無置換のシリレン基、これらの基が2以上結合した基、又はこれらの基1以上と、エステル結合、炭酸エステル結合及びエーテル結合から選択される1以上の基が結合した基である。
R4、R5は、それぞれ水素原子、置換もしくは無置換の炭素数1〜20の直鎖状脂肪族炭化水素基、置換もしくは無置換の炭素数3〜12の分岐脂肪族炭化水素基、置換もしくは無置換の炭素数3〜20の環状脂肪族炭化水素基、置換もしくは無置換の炭素数6〜12の芳香族基、又はこれら基のうち2以上を組み合わせた基である。
A1は、アルキレン基、エーテル結合、アルキレン基を2以上組み合わせた基、又はアルキレン基1以上とエーテル結合1以上を組み合わせた基である。
xは1〜5、yは0〜3、zは0〜4の整数である。
複数のR3、R4、R5、Ar、A1、x、y及びzは、それぞれ同じであっても異なっていてもよい。)]
2.R3が、下記式(I)〜(IV)のいずれかである1記載の組成物。
【化3】
(式(I)〜(IV)において、
αは、置換もしくは無置換の炭素数1〜10の直鎖状脂肪族炭化水素基、置換もしくは無置換の炭素数3〜10の分岐脂肪族炭化水素基、置換もしくは無置換の炭素数3〜20の環状脂肪族炭化水素基、又は置換もしくは無置換の炭素数6〜10の芳香族基である。
βは、三級脂肪族構造、芳香族構造、単環状脂肪族構造又は複環状脂肪族構造を有する基が置換したアルコキシ基である。
γは、芳香族構造、単環状脂肪族構造又は複環状脂肪族構造を有する基が置換したアルコキシ基、又は芳香族構造、単環状脂肪族構造、複環状脂肪族構造のうち1以上の構造と、炭素数1〜10の直鎖状脂肪族炭化水素基を組み合わせた基が置換したアルコキシ基である。
δは、置換もしくは無置換の炭素数1〜10の直鎖状脂肪族炭化水素基、置換もしくは無置換の炭素数3〜10の分岐脂肪族炭化水素基、置換もしくは無置換の炭素数3〜20の環状脂肪族炭化水素基、又は置換もしくは無置換の炭素数6〜10の芳香族基である。)
3.Rが下記式(6)で表される基であって、式(6)中、R4は下記式(7)〜(38)から選択される基であり、
R2が水素であり、
同一の芳香環上に存在する2つのR1のうち、一方が水酸基であり、他方が溶解性調整基である1又は2記載の組成物。
【化4】
【化5】
(式中、rはそれぞれ上記式(7)〜(35)で表される置換基のいずれかを表す。)
4.1〜3のいずれか記載の組成物を製造する方法であって、
化合物(1)の0℃における溶解度と化合物(2)の0℃における溶解度の差が、1グラム/リットル以上である溶媒中、−50℃以上50℃以下の条件の下で、化合物(1)と化合物(2)の混合物から、所定量の化合物(1)又は化合物(2)を晶析して単離することにより、前記混合物中の化合物(1)と化合物(2)のモル比率を制御する組成物の製造方法。
5.1〜3のいずれか記載の組成物を製造する方法であって、
化合物(1)の0℃における溶解度と化合物(2)の0℃における溶解度の差が、1グラム/リットル以上である溶媒中、−50℃以上50℃以下の条件の下で、化合物(1)と化合物(2)の混合物から、化合物(1)又は化合物(2)を晶析して単離する晶析単離工程と、
前記単離した化合物(1)又は化合物(2)と、化合物(1)と化合物(2)の混合物とを、所定の割合で混合して、化合物(1)と化合物(2)のモル比率を制御する混合比率制御工程と、
を含む組成物の製造方法。
6.1〜3のいずれか記載の組成物を製造する方法であって、
化合物(1)と化合物(2)の第1の混合物と、化合物(1)と化合物(2)の第2の混合物を合成する混合物合成工程と、
化合物(1)の0℃における溶解度と化合物(2)の0℃における溶解度の差が、1グラム/リットル以上である溶媒中、−50℃以上50℃以下の条件の下で、前記第1の混合物から、化合物(1)又は化合物(2)を晶析して単離する晶析単離工程と、
晶析単離工程により化合物(1)又は化合物(2)を単離した後の第1の混合物と、前記第2の混合物とを、所定の割合で混合して、化合物(1)と化合物(2)のモル比率を制御する混合比率制御工程と、
を含む組成物の製造方法。
7.前記晶析単離工程の温度が、−20℃以上20℃以下である4〜6のいずれか記載の製造方法。
8.前記溶媒が、含ハロゲン有機溶媒、含酸素有機溶媒から選択される少なくとも1種類の溶媒である4〜7のいずれか記載の製造方法。
9.1〜3のいずれか記載の組成物と溶剤を含有するフォトレジスト組成物。
10.1〜3のいずれか記載の組成物を含んで成る薄膜。
11.9に記載のフォトレジスト組成物を用いた微細加工方法。
12.11に記載の微細加工方法により作製した半導体装置。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、高感度、高解像度のフォトレジスト材料が提供できる。
本発明の組成物は、所定の比率で異なる立体異性体を2種類含む。所定の比率で含むことにより、性能が高くなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明の組成物は、下記化合物(1)と、下記化合物(2)からなる。
化合物(1)と化合物(2)とのモル比率は、15:85〜70:30である。
15%未満であるとプロピレングリコールモノメチルエーテル等のフォトレジスト溶液を作製する際に用いる一般的な溶媒に、化合物(2)の一部が溶解せずに不溶物として残留し、均一なフォトレジスト溶液が得られない
70%より多いとプロピレングリコールモノメチルエーテル等のフォトレジスト溶液を作製する際に用いる一般的な溶媒に、化合物(1)の一部が溶解せずに不溶物として残留し、均一なフォトレジスト溶液が得られない。
また、15:85〜67:33であることが好ましい。
【化6】
【0009】
式中、Rは、下記式(3)〜(5)のいずれかで表される基である。
【0010】
R1は、水酸基、置換もしくは無置換の炭素数1〜20の直鎖状アルコキシ基、置換もしくは無置換の炭素数3〜12の分岐アルコキシ基、置換もしくは無置換の炭素数3〜20の環状アルコキシ基、置換もしくは無置換の炭素数6〜10のアリーロキシル基、アルコキシアルキロキシ基、シロキシ基、又はこれらの基と二価の基とが結合した基であり、
前記二価の基は、置換もしくは無置換のアルキレンオキシ基、置換もしくは無置換のアリーレンオキシ基、置換もしくは無置換のシリレンオキシ基、これらの基が2以上結合した基、又はこれらの基と、エステル結合(−CO2−)、炭酸エステル結合(−CO3−)又はエーテル結合(−O−)が結合した基である。
【0011】
R2は、水素、R1で表される基、炭素数1〜20の直鎖状脂肪族炭化水素基、炭素数3〜12の分岐脂肪族炭化水素基、炭素数3〜20の環状脂肪族炭化水素基、炭素数6〜10の芳香族基又は酸素原子を含む基である。
【0012】
式(1)内及び式(2)内に複数あるR、R1及びR2は、それぞれ同じであっても異なっていてもよい。
【0013】
【化7】
【0014】
式中、Arは、置換もしくは無置換の炭素数6〜10のアリーレン基、置換もしくは無置換の炭素数6〜10のアリーレン基を2つ以上組み合わせた基、又はアルキレン基及びエーテル結合の少なくとも一方の1つ以上と置換もしくは無置換の炭素数6〜10のアリーレン基を組み合わせた基である。置換基を有する場合の置換基は、臭素、フッ素、ニトリル基、又は炭素数1〜10のアルキル基である。
【0015】
R3は、水酸基、置換もしくは無置換の炭素数1〜20の直鎖状脂肪族炭化水素基、置換もしくは無置換の炭素数3〜12の分岐脂肪族炭化水素基、置換もしくは無置換の炭素数3〜20の環状脂肪族炭化水素基、置換もしくは無置換の炭素数6〜10の芳香族基、アルコキシ基、アルコキシアルキル基、カルボキシル基、シリル基、又はこれらの基と二価の基が結合した基であり、二価の基は、置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のアリーレン基、置換もしくは無置換のシリレン基、これらの基が2以上結合した基、又はこれらの基1以上と、エステル結合、炭酸エステル結合及びエーテル結合から選択される1以上の基である。
【0016】
R4、R5は、それぞれ水素原子、置換もしくは無置換の炭素数1〜20の直鎖状脂肪族炭化水素基、置換もしくは無置換の炭素数3〜12の分岐脂肪族炭化水素基、置換もしくは無置換の炭素数3〜20の環状脂肪族炭化水素基、置換もしくは無置換の炭素数6〜12の芳香族基、又はこれら基のうち2以上を組み合わせた基である。
【0017】
A1は、アルキレン基、エーテル結合、アルキレン基を2以上組み合わせた基、又はアルキレン基1以上とエーテル結合1以上を組み合わせた基である。
【0018】
xは1〜5、yは0〜3、zは0〜4の整数である。
【0019】
複数のR3、R4、R5、Ar、A1、x、y及びzは、それぞれ同じであっても異なっていてもよい。
【0020】
本発明の組成物は、実質的に2種類の立体構造異性体のみからなる。好ましくは、90%以上が2種類の立体構造異性体である。
【0021】
式(1),(2)において、R3は、好ましくは酸解離性溶解抑止基である。
酸解離性溶解抑止基を例示すると、三級脂肪族構造、芳香族構造、単環状脂肪族構造又は複環状脂肪族構造を有する、少なくとも炭素原子、水素原子及び酸素原子を含む基である。三級脂肪族構造として、tert−ブチル基を例示できる。芳香族構造として、ベンゼン、ナフタレンを例示できる。単環状脂肪族構造として、シクロヘキサン、シクロペンタンを例示できる。複環状脂肪族構造として、アダマンタンやノルボルネンを例示できる。
【0022】
好ましくは、R3は下記式(I)〜(IV)のいずれかで表される。
【化8】
【0023】
式(I)〜(IV)において、αは、置換もしくは無置換の炭素数1〜10の直鎖状脂肪族炭化水素基、置換もしくは無置換の炭素数3〜10の分岐脂肪族炭化水素基、置換もしくは無置換の炭素数3〜20の環状脂肪族炭化水素基、又は置換もしくは無置換の炭素数6〜10の芳香族基である。
【0024】
βは、三級脂肪族構造、芳香族構造、単環状脂肪族構造又は複環状脂肪族構造を有する基が置換したアルコキシ基である。好ましくは、三級脂肪族構造、芳香族構造、単環状脂肪族構造又は複環状脂肪族構造を有する基に含まれる三級炭素が、酸素原子に結合する。
【0025】
γは、芳香族構造、単環状脂肪族構造又は複環状脂肪族構造を有する基が置換したアルコキシ基、又は芳香族構造、単環状脂肪族構造、複環状脂肪族構造のうち1以上の構造と、炭素数1〜10の直鎖状脂肪族炭化水素基を組み合わせた基が置換したアルコキシ基である。芳香族構造、単環状脂肪族構造又は複環状脂肪族構造を有する基が置換したアルコキシ基は、好ましくは、三級脂肪族構造、芳香族構造、単環状脂肪族構造又は複環状脂肪族構造を有する基に含まれる三級炭素が、酸素原子に結合する。
【0026】
δは、置換もしくは無置換の炭素数1〜10の直鎖状脂肪族炭化水素基、置換もしくは無置換の炭素数3〜10の分岐脂肪族炭化水素基、置換もしくは無置換の炭素数3〜20の環状脂肪族炭化水素基、又は置換もしくは無置換の炭素数6〜10の芳香族基である。
【0027】
式(1),(2)において、R2は、好ましくは、水素である。
好ましくは、同一の芳香環上に存在する2つのR1のうち、一方が水酸基であり、他方が溶解性調整基である。好適な溶解性調整基として、炭素数1〜6のアルコキシ基が挙げられる。
【0028】
Rは、好ましくは、下記式(6)で表される基である。
式(6)中、R4は下記式(7)〜(38)から選択される基である。
【化9】
【化10】
【0029】
式中、rはそれぞれ上記式(7)〜(35)で表される置換基のいずれかを表す。
【0030】
本発明の組成物は、以下のようにして製造できる。
まず、上記式(1)の構造を有する化合物(以下、化合物(1)ともいう)と、上記式(2)の構造を有する化合物(以下、化合物(2)ともいう)の混合物を製造する。
混合物は、特願2008−158769に記載されるように、例えば、酸触媒存在下、対応する構造のアルデヒド化合物と、対応する構造のフェノール誘導体との縮合環化反応により、カリックスレゾルシナレン誘導体(前駆体)を合成し、R3等の基に対応する化合物を、エステル化反応、エーテル化反応、アセタール化反応等により前駆体に導入することで合成できる。
【0031】
次に、化合物(1)と化合物(2)の比率を調整する。
例えば、以下の方法がある。
・上記の混合物から、所定量の化合物(1)又は化合物(2)を除いて、混合物中の比率を調整する。
・上記の混合物から、化合物(1)又は化合物(2)を単離する。単離した化合物(1)又は化合物(2)と、化合物(1)と化合物(2)の混合物を混合して、混合物中の比率を調整する。このとき、化合物(1)と化合物(2)の混合物は、化合物(1)又は化合物(2)を単離した後の混合物でもよいし、別途作製した混合物でもよい。
・化合物(1)又は化合物(2)を除いた混合物に、別途作製した混合物を、混合して混合物中の比率を調整する。
・混合物から、化合物(1)及び化合物(2)を単離する。単離した化合物(1)と化合物(2)を、所望の比率で混合する。
本発明で「所定の割合で混合」とは、物理的に混合する場合の他、混合対象物を溶媒に溶解してから、混合する場合も含まれる。
例えば、化合物(1)及び化合物(2)を物理的に混合しても、化合物(1)及び化合物(2)をそれぞれが溶解する溶媒に単独で溶かしてから混合してもよい。溶媒は化合物により使用できるものが異なるので一概に記載できないが、含ハロゲン有機溶媒、含酸素有機溶媒が好適に使用できる。
【0032】
上記の比率が調整された混合物は、作製するフォトレジスト溶液中で均一となれば、事前に混合しなくてもよい。
【0033】
混合物から化合物(1)又は化合物(2)を単離する方法は以下の通りである。
化合物(1)の溶解度と化合物(2)の溶解度の差Δdが、1グラム/リットル以上である溶媒中、−50℃以上50℃以下の条件の下で、混合物から、化合物(1)又は化合物(2)のみを晶析して単離する。
【0034】
単離には立体異性体である化合物(1)及び化合物(2)の溶解度が異なる溶媒を用いる必要があり、−50℃以上50℃以下の条件において、化合物(1)、化合物(2)のそれぞれの溶解度の差Δdが、1グラム/リットル以上である溶媒であり、溶解度の低い方の化合物の単一物が固体として析出して得られる。
特に好ましい溶媒は、−20℃以上20℃以下において、化合物(1)、化合物(2)のそれぞれの溶解度の差Δdが、1グラム/リットル以上である溶媒である。
【0035】
該当する溶媒としては、含ハロゲン有機溶媒、含酸素有機溶媒が例示される。具体的には、含ハロゲン有機溶媒として、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、モノクロロエタン、ジクロロエタン、トリクロロエタン、テトラクロロエタン、モノクロロベンゼン、ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼン、トリフルオロエタノール、ヘキサフルオロイソプロパノール等が挙げられる。含酸素有機溶媒として、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、酢酸エチル、乳酸エチル、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等が挙げられる。
【0036】
化合物(1)と化合物(2)を製造する際に使用する溶媒は、化合物(1)と化合物(2)の分離に使用する溶媒と同一であることが好ましい。
溶媒が同一であれば、化合物(1)と化合物(2)の混合物の洗浄等が不要になり、精製工程をなくすことができるからである。
【0037】
上述したように、化合物(1)と化合物(2)は、−50以上50℃以下で単離する。
−50℃未満であると得られる化合物をフォトレジスト基材に用いた場合に、性能が劣る。この理由として、−50℃未満で単離すると分離できないだけでなく不純物が混在することにより性能劣化の原因になると考えられる。
【0038】
また、50℃を超える温度においては、化合物(1)と化合物(2)の溶解度がともに上昇し、溶媒に溶けやすくなり、結果として、化合物(1)と化合物(2)が分離できなくなる。また、使用する溶媒の種類にもよるが、沸騰や溶媒蒸気の拡散により、濃度の制御が困難になり、発火、爆発等の危険性が生じる。
【0039】
溶解度が低い化合物を全て単離できれば、残りの溶液から他方の溶解度が高い化合物も単離できる。例えば、さらに低い温度で析出させたり、溶液中に溶解している化合物が溶解しない貧溶媒を加えて析出させたりして単離する。
【0040】
本発明のフォトレジスト組成物は、上記の式(1)及び(2)の環状化合物の組成物と溶剤を含有する。組成物は基材として用いられる。
環状化合物の組成物の配合量は、溶剤を除く全組成物中好ましくは50〜99.9重量%、より好ましくは75〜95重量%である。
【0041】
本発明のフォトレジスト組成物に使用される溶剤としては、例えば、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート等のエチレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル等のエチレングリコールモノアルキルエーテル類;プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート等のプロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類;プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)、プロピレングリコールモノエチルエーテル等のプロピレングリコールモノアルキルエーテル類;乳酸メチル、乳酸エチル(EL)等の乳酸エステル類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、プロピオン酸エチル(PE)等の脂肪族カルボン酸エステル類;3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル等の他のエステル類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;2−ヘプタノン、3−ヘプタノン、4−ヘプタノン、シクロヘキサノン等のケトン類;テトラヒドロフラン、ジオキサン等の環状エーテル類、γ−ブチロラクトン等のラクトン類等を挙げることができるが、特に限定はされない。これらの溶剤は、単独で又は2種以上を使用することができる。
【0042】
組成物中の溶剤以外の成分、即ちフォトレジスト固形分の量は所望のフォトレジスト層の膜厚を形成するために適する量とするのが好ましい。具体的にはフォトレジスト組成物の全重量の0.1〜50重量%が一般的であるが、用いる基材や溶剤の種類、あるいは、所望のフォトレジスト層の膜厚等に合わせて規定できる。溶剤は全組成物中好ましくは50〜99.9重量%配合する。
【0043】
本発明のフォトレジスト組成物は、基材の分子が、EUV及び/又は電子線に対して活性なクロモフォアを含み単独でフォトレジストとしての能力を示す場合には特に添加剤は必要としないが、フォトレジストとしての性能(感度)を増強する必要がある場合は、必要に応じて、クロモフォアとして光酸発生剤(PAG)等を含むことが一般的である。
【0044】
光酸発生剤としては、特に限定されず、化学増幅型レジスト用の酸発生剤として提案されているものを使用することができる。
このような酸発生剤としては、ヨードニウム塩やスルホニウム塩等のオニウム塩系酸発生剤、オキシムスルホネート系酸発生剤、ビスアルキル又はビスアリールスルホニルジアゾメタン類、ポリ(ビススルホニル)ジアゾメタン類等のジアゾメタン系酸発生剤、ニトロベンジルスルホネート系酸発生剤、イミノスルホネート系酸発生剤、ジスルホン系酸発生剤等多種のものが知られている。
【0045】
オニウム塩系酸発生剤としては、下記式(a−0)で表される酸発生剤が例示できる。
【化11】
[式中、R51は、直鎖、分岐鎖又は環状のアルキル基、又は直鎖、分岐鎖又は環状のフッ素化アルキル基を表し;R52は、水素原子、水酸基、ハロゲン原子、直鎖又は分岐鎖状のアルキル基、直鎖又は分岐鎖状のハロゲン化アルキル基、又は直鎖又は分岐鎖状のアルコキシ基であり;R53は置換基を有していてもよいアリール基であり;u’’は1〜3の整数である。]
【0046】
式(a−0)において、R51は、直鎖、分岐鎖又は環状のアルキル基、又は直鎖、分岐鎖又は環状のフッ素化アルキル基を表す。
前記直鎖又は分岐鎖状のアルキル基としては、炭素数1〜10であることが好ましく、炭素数1〜8であることがさらに好ましく、炭素数1〜4であることが最も好ましい。
前記環状のアルキル基としては、炭素数4〜12であることが好ましく、炭素数5〜10であることがさらに好ましく、炭素数6〜10であることが最も好ましい。
前記フッ素化アルキル基としては、炭素数1〜10であることが好ましく、炭素数1〜8であることがさらに好ましく、炭素数1〜4であることが最も好ましい。また、フッ化アルキル基のフッ素化率(アルキル基中全水素原子の個数に対する置換したフッ素原子の個数の割合)は、好ましくは10〜100%、さらに好ましくは50〜100%であり、特に水素原子を全てフッ素原子で置換したものが、酸の強度が強くなるので好ましい。
R51は、直鎖状のアルキル基又はフッ素化アルキル基であることが最も好ましい。
【0047】
R52は、水素原子、水酸基、ハロゲン原子、直鎖、分岐鎖又は環状のアルキル基、直鎖、又は分岐鎖状のハロゲン化アルキル基、又は直鎖又は分岐鎖状のアルコキシ基である。
R52において、ハロゲン原子としては、フッ素原子、臭素原子、塩素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、フッ素原子が好ましい。
R52において、アルキル基は、直鎖又は分岐鎖状であり、その炭素数は好ましくは1〜5、より好ましくは1〜4、最も好ましくは1〜3である。
R52において、ハロゲン化アルキル基は、アルキル基中の水素原子の一部又は全部がハロゲン原子で置換された基である。ここでのアルキル基は、前記R52における「アルキル基」と同様のものが挙げられる。置換するハロゲン原子としては上記「ハロゲン原子」について説明したものと同様のものが挙げられる。ハロゲン化アルキル基において、水素原子の全個数の50〜100%がハロゲン原子で置換されていることが望ましく、全て置換されていることがより好ましい。
R52において、アルコキシ基としては、直鎖状又は分岐鎖状であり、その炭素数は好ましくは1〜5、より好ましくは1〜4、最も好ましくは1〜3である。
R52は、これらの中でも水素原子が好ましい。
【0048】
R53は置換基を有していてもよいアリール基であり、置換基を除いた基本環(母体環)の構造としては、ナフチル基、フェニル基、アントラセニル基等が挙げられ、本発明の効果やArFエキシマレーザー等の露光光の吸収の観点から、フェニル基が望ましい。
置換基としては、水酸基、低級アルキル基(直鎖又は分岐鎖状であり、その好ましい炭素数は5以下であり、特にメチル基が好ましい)等を挙げることができる。
R53のアリール基としては、置換基を有しないものがより好ましい。
【0049】
u’’は1〜3の整数であり、2又は3であることが好ましく、特に3であることが望ましい。
【0050】
式(a−0)で表される酸発生剤の好ましいものとしては、以下の化学式で表されるものを挙げることができる。
【化12】
【0051】
式(a−0)で表される酸発生剤は1種又は2種以上混合して用いることができる。
式(a−0)で表される酸発生剤の他のオニウム塩系酸発生剤としては、例えば下記式(a−1)又は(a−2)で表される化合物が挙げられる。
【化13】
[式中、R1”〜R3”,R5”,R6”は、それぞれ独立に、置換又は無置換のアリール基又はアルキル基を表し;R4”は、直鎖、分岐又は環状のアルキル基又はフッ素化アルキル基を表し;R1”〜R3”のうち少なくとも1つはアリール基を表し、R5”及びR6”のうち少なくとも1つはアリール基を表す。]
【0052】
式(a−1)中、R1”〜R3”はそれぞれ独立に置換又は無置換のアリール基又はアルキル基を表す。R1”〜R3”のうち、少なくとも1つは置換又は無置換のアリール基を表す。R1”〜R3”のうち、2以上が置換又は無置換のアリール基であることが好ましく、R1”〜R3”の全てが置換又は無置換のアリール基であることが最も好ましい。
【0053】
R1”〜R3”のアリール基としては、特に制限はなく、例えば、炭素数6〜20のアリール基であって、該アリール基は、その水素原子の一部又は全部がアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子等で置換されていてもよく、されていなくてもよい。アリール基としては、安価に合成可能なことから、炭素数6〜10のアリール基が好ましい。具体的には、たとえばフェニル基、ナフチル基が挙げられる。
【0054】
前記アリール基の置換基であるアルキル基としては、炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、n‐ブチル基、tert‐ブチル基が最も好ましい。
前記アリール基の置換基であるアルコキシ基としては、炭素数1〜5のアルコキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基が最も好ましい。
前記アリール基の置換基であるハロゲン原子としては、フッ素原子が好ましい。
【0055】
R1”〜R3”のアルキル基としては、特に制限はなく、例えば炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基等が挙げられる。解像性に優れる点から、炭素数1〜5であることが好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、n−ペンチル基、シクロペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ノニル基、デカニル基等が挙げられ、解像性に優れ、また安価に合成可能なことから好ましいものとして、メチル基を挙げることができる。
これらの中で、R1”〜R3”は全てフェニル基であることが最も好ましい。
【0056】
R4”は、直鎖、分岐又は環状のアルキル基又はフッ素化アルキル基を表す。
前記直鎖又は分岐のアルキル基としては、炭素数1〜10であることが好ましく、炭素数1〜8であることがさらに好ましく、炭素数1〜4であることが最も好ましい。
前記環状のアルキル基としては、前記R1”で示したような環式基であって、炭素数4〜15であることが好ましく、炭素数4〜10であることがさらに好ましく、炭素数6〜10であることが最も好ましい。
前記フッ素化アルキル基としては、炭素数1〜10であることが好ましく、炭素数1〜8であることがさらに好ましく、炭素数1〜4であることが最も好ましい。また。該フッ化アルキル基のフッ素化率(アルキル基中のフッ素原子の割合)は、好ましくは10〜100%、さらに好ましくは50〜100%であり、特に水素原子を全てフッ素原子で置換したものが、酸の強度が強くなるので好ましい。
R4”としては、直鎖又は環状のアルキル基、又はフッ素化アルキル基であることが最も好ましい。
【0057】
式(a−2)中、R5”及びR6”はそれぞれ独立に置換又は無置換のアリール基又はアルキル基を表す。R5”及びR6”のうち、少なくとも1つは置換又は無置換のアリール基を表す。R5”及びR6”の全てが置換又は無置換のアリール基であることが好ましい。
R5”〜R6”の置換又は無置換のアリール基としては、R1”〜R3”の置換又は無置換のアリール基と同様のものが挙げられる。
R5”〜R6”のアルキル基としては、R1”〜R3”のアルキル基と同様のものが挙げられる。
これらの中で、R5”〜R6”は全てフェニル基であることが最も好ましい。
式(a−2)中のR4”としては上記式(a−1)のR4”と同様のものが挙げられる。
【0058】
式(a−1)、(a−2)で表されるオニウム塩系酸発生剤の具体例としては、ジフェニルヨードニウムのトリフルオロメタンスルホネート又はノナフルオロブタンスルホネート、ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムのトリフルオロメタンスルホネート又はノナフルオロブタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネート又はそのノナフルオロブタンスルホネート、トリ(4−メチルフェニル)スルホニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネート又はそのノナフルオロブタンスルホネート、ジメチル(4−ヒドロキシナフチル)スルホニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネート又はそのノナフルオロブタンスルホネート、モノフェニルジメチルスルホニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネート又はそのノナフルオロブタンスルホネート、ジフェニルモノメチルスルホニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネート又はそのノナフルオロブタンスルホネート、(4−メチルフェニル)ジフェニルスルホニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネート又はそのノナフルオロブタンスルホネート、(4−メトキシフェニル)ジフェニルスルホニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネート又はそのノナフルオロブタンスルホネート、トリ(4−tert−ブチル)フェニルスルホニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネート又はそのノナフルオロブタンスルホネート、ジフェニル(1−(4−メトキシ)ナフチル)スルホニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネート又はそのノナフルオロブタンスルホネート等が挙げられる。また、これらのオニウム塩のアニオン部がメタンスルホネート、n−プロパンスルホネート、n−ブタンスルホネート、n−オクタンスルホネートに置き換えたオニウム塩も用いることができる。
【0059】
また、前記式(a−1)又は(a−2)において、アニオン部を下記式(a−3)又は(a−4)で表されるアニオン部に置き換えたオニウム塩系酸発生剤も用いることができる(カチオン部は(a−1)又は(a−2)と同様)。
【化14】
[式中、X”は、少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換された炭素数2〜6のアルキレン基を表し;Y”,Z”は、それぞれ独立に、少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換された炭素数1〜10のアルキル基を表す。]
【0060】
X”は、少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換された直鎖状又は分岐状のアルキレン基であり、該アルキレン基の炭素数は2〜6であり、好ましくは炭素数3〜5、最も好ましくは炭素数3である。
Y”,Z”は、それぞれ独立に、少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換された直鎖状又は分岐状のアルキル基であり、該アルキル基の炭素数は1〜10であり、好ましくは炭素数1〜7、より好ましくは炭素数1〜3である。
【0061】
X”のアルキレン基の炭素数又はY”,Z”のアルキル基の炭素数は、上記炭素数の範囲内において、レジスト溶剤への溶解性も良好である等の理由により、小さいほど好ましい。
【0062】
また、X”のアルキレン基又はY”,Z”のアルキル基において、フッ素原子で置換されている水素原子の数が多いほど、酸の強度が強くなり、また200nm以下の高エネルギー光や電子線に対する透明性が向上するので好ましい。該アルキレン基又はアルキル基中のフッ素原子の割合、すなわちフッ素化率は、好ましくは70〜100%、さらに好ましくは90〜100%であり、最も好ましくは、全ての水素原子がフッ素原子で置換されたパーフルオロアルキレン基又はパーフルオロアルキル基である。
【0063】
本発明において、光酸発生剤として以下の式(40)〜(45)で示される化合物も使用できる。
【化15】
【0064】
式(40)中、Qはアルキレン基、アリーレン基又はアルコキシレン基であり、R15はアルキル基、アリール基、ハロゲン置換アルキル基又はハロゲン置換アリール基である。
【0065】
前記式(40)で示される化合物は、N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)スクシンイミド、N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)フタルイミド、N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)ジフェニルマレイミド、N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]へプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)ナフチルイミド、N−(10−カンファースルホニルオキシ)スクシンイミド、N−(10−カンファースルホニルオキシ)フタルイミド、N−(10−カンファースルホニルオキシ)ジフェニルマレイミド、N−(10−カンファースルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]へプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(10−カンファースルホニルオキシ)ナフチルイミド、N−(n−オクタンスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]へプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(n−オクタンスルホニルオキシ)ナフチルイミド、N−(p−トルエンスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(p−トルエンスルホニルオキシ)ナフチルイミド、N−(2−トリフルオロメチルベンゼンスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]へプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(2−トリフルオロメチルベンゼンスルホニルオキシ)ナフチルイミド、N−(4−トリフルオロメチルベンゼンスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]へプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(4−トリフルオロメチルベンゼンスルホニルオキシ)ナフチルイミド、N−(パーフルオロベンゼンスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(パーフルオロベンゼンスルホニルオキシ)ナフチルイミド、N−(1−ナフタレンスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(1−ナフタレンスルホニルオキシ)ナフチルイミド、N−(ノナフルオロ−n−ブタンスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(ノナフルオロ−n−ブタンスルホニルオキシ)ナフチルイミド、N−(パーフルオロ−n−オクタンスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]へプト−5−エンー2,3−ジカルボキシイミド及びN−(パーフルオロ−n−オクタンスルホニルオキシ)ナフチルイミドからなる群から選択される少なくとも一種類であることが好ましい。
【0066】
【化16】
式(41)中、R16は、同一でも異なっていてもよく、それぞれ独立に、任意に置換された直鎖、分枝又は環状アルキル基、任意に置換されたアリール基、任意に置換されたヘテロアリール基又は任意に置換されたアラルキル基である。
【0067】
前記式(41)で示される化合物は、ジフェニルジスルフォン、ジ(4−メチルフェニル)ジスルフォン、ジナフチルジスルフォン、ジ(4−tert−ブチルフェニル)ジスルフォン、ジ(4−ヒドロキシフェニル)ジスルフォン、ジ(3−ヒドロキシナフチル)ジスルフォン、ジ(4−フルオロフェニル)ジスルフォン、ジ(2−フルオロフェニル)ジスルフォン及びジ(4−トルフルオロメチルフェニル)ジスルフォンからなる群から選択される少なくとも一種類であることが好ましい。
【0068】
【化17】
式(42)中、R17は、同一でも異なっていてもよく、それぞれ独立に、任意に置換された直鎖、分枝又は環状アルキル基、任意に置換されたアリール基、任意に置換されたヘテロアリール基又は任意に置換されたアラルキル基である。
【0069】
前記式(42)で示される化合物は、α−(メチルスルホニルオキシイミノ)−フェニルアセトニトリル、α−(メチルスルホニルオキシイミノ)−4−メトキシフェニルアセトニトリル、α−(トリフルオロメチルスルホニルオキシイミノ)−フェニルアセトニトリル、α−(トリフルオロメチルスルホニルオキシイミノ)−4−メトキシフェニルアセトニトリル、α−(エチルスルホニルオキシイミノ)−4−メトキシフェニルアセトニトリル、α−(プロピルスルホニルオキシイミノ)−4−メチルフェニルアセトニトリル及びα−(メチルスルホニルオキシイミノ)−4−ブロモフェニルアセトニトリルからなる群から選択される少なくとも一種類であることが好ましい。
【0070】
【化18】
式(43)中、R18は、同一でも異なっていてもよく、それぞれ独立に、1以上の塩素原子及び1以上の臭素原子を有するハロゲン化アルキル基である。ハロゲン化アルキル基の炭素原子数は1〜5が好ましい。
【0071】
【化19】
【0072】
式(44)及び(45)中、R19及びR20はそれぞれ独立に、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基等の炭素原子数1〜3のアルキル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基等の炭素原子数1〜3のアルコキシ基、又はフェニル基、トルイル基、ナフチル基等のアリール基であり、好ましくは、炭素原子数6〜10のアリール基である。
L19及びL20はそれぞれ独立に1,2−ナフトキノンジアジド基を有する有機基である。1,2−ナフトキノンジアジド基を有する有機基としては、具体的には、1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホニル基、1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホニル基、1,2−ナフトキノンジアジド−6−スルホニル基等の1,2−キノンジアジドスルホニル基を好ましいものとして挙げることができる。特に、1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホニル基及び1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホニル基が好ましい。
pは1〜3の整数、qは0〜4の整数、かつ1≦p+q≦5である。
J19は単結合、炭素原子数1〜4のポリメチレン基、シクロアルキレン基、フェニレン基、下記式(44a)で表わされる基、カルボニル結合、エステル結合、アミド結合又はエーテル結合を有する基である。
【0073】
Y19はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基又はアリール基であり、X20は、それぞれ独立に下記式(45a)で示される基である。
【化20】
式(45a)中、Z22はそれぞれ独立に、アルキル基、シクロアルキル基又はアリール基であり、R22はそれぞれ独立に、アルキル基、シクロアルキル基又はアルコキシ基であり、rは0〜3の整数である。
【0074】
その他の酸発生剤として、ビス(p−トルエンスルホニル)ジアゾメタン、ビス(2,4−ジメチルフェニルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(tert−ブチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(n−ブチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(イソブチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(イソプロピルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(n−プロピルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(シクロヘキシルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(イソプロピルスルホニル)ジアゾメタン、1,3−ビス(シクロヘキシルスルホニルアゾメチルスルホニル)プロパン、1,4−ビス(フェニルスルホニルアゾメチルスルホニル)ブタン、1,6−ビス(フェニルスルホニルアゾメチルスルホニル)ヘキサン、1,10−ビス(シクロヘキシルスルホニルアゾメチルスルホニル)デカン等のビススルホニルジアゾメタン類、2−(4−メトキシフェニル)−4,6−(ビストリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−(4−メトキシナフチル)−4,6−(ビストリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、トリス(2,3−ジブロモプロピル)−1,3,5−トリアジン、トリス(2,3−ジブロモプロピル)イソシアヌレート等のハロゲン含有トリアジン誘導体等が挙げられる。
【0075】
これらの光酸発生剤の中で、特に好ましくは活性光線又は放射線の作用により有機スルホン酸を発生する化合物が好ましい。
【0076】
PAGの配合量は、溶剤を除く全組成物中0〜40重量%、好ましくは5〜30重量%、さらに好ましくは5〜20重量%である。
【0077】
本発明においては、放射線照射により酸発生剤から生じた酸のレジスト膜中における拡散を制御して、未露光領域での好ましくない化学反応を阻止する作用等を有する酸拡散制御剤(クエンチャー)をフォトレジスト組成物に配合してもよい。この様な酸拡散制御剤を使用することにより、フォトレジスト組成物の貯蔵安定性が向上する。また解像度が向上するとともに、電子線照射前の引き置き時間、電子線照射後の引き置き時間の変動によるレジストパターンの線幅変化を抑えることができ、プロセス安定性に極めて優れたものとなる。
【0078】
このような酸拡散制御剤としては、例えば、n−ヘキシルアミン、n−ヘプチルアミン、n−オクチルアミン、n−ノニルアミン、n−デシルアミン等のモノアルキルアミン;ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、ジ−n−ヘプチルアミン、ジ−n−オクチルアミン、ジシクロヘキシルアミン等のジアルキルアミン;トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン、トリ−n−ヘキシルアミン、トリ−n−ペンチルアミン、トリ−n−ヘプチルアミン、トリ−n−オクチルアミン、トリ−n−ノニルアミン、トリ−n−デカニルアミン、トリ−n−ドデシルアミン等のトリアルキルアミン;ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、ジ−n−オクタノールアミン、トリ−n−オクタノールアミン等のアルキルアルコールアミン;1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノネン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン等の環状アミン等の窒素原子含有塩基性化合物、塩基性スルホニウム化合物、塩基性ヨードニウム化合物等の電子線放射分解性塩基性化合物が挙げられる。酸拡散制御剤は、単独で又は2種以上を使用することができる。
【0079】
クエンチャーの配合量は、溶剤を除く全組成物中0〜40重量%、好ましくは0.01〜15重量%である。
本発明においては、さらに所望により混和性のある添加剤、例えばレジスト膜の性能を改良するための付加的樹脂、塗布性を向上させるための界面活性剤、溶解制御剤、増感剤、可塑剤、安定剤、着色剤、ハレーション防止剤、染料、顔料等を適宜、添加含有させることができる。
【0080】
溶解制御剤は、環状化合物のアルカリ現像液に対する溶解性が高すぎる場合に、その溶解性を低下させて現像時の溶解速度を適度にする作用を有する成分である。
【0081】
溶解制御剤としては、例えば、ナフタレン、フェナントレン、アントラセン、アセナフテン等の芳香族炭化水素類;アセトフェノン、ベンゾフェノン、フェニルナフチルケトン等のケトン類;メチルフェニルスルホン、ジフェニルスルホン、ジナフチルスルホン等のスルホン類等を挙げることができる。さらに、例えば、酸解離性官能基が導入されたビスフェノール類、t−ブチルカルボニル基が導入されたトリス(ヒドロキシフェニル)メタン等をも挙げることができる。これらの溶解制御剤は、単独で又は2種以上を使用することができる。溶解制御剤の配合量は、使用する環状化合物の種類に応じて適宜調節されるが、固形成分全重量の0〜50重量%が好ましく、0〜40重量%がより好ましく、0〜30重量%がさらに好ましい。
【0082】
増感剤は、照射された放射線のエネルギーを吸収して、そのエネルギーを酸発生剤に伝達し、それにより酸の生成量を増加する作用を有し、レジストの見掛けの感度を向上させる成分である。このような増感剤としては、例えば、ベンゾフェノン類、ビアセチル類、ピレン類、フェノチアジン類、フルオレン類等を挙げることができるが、特に限定はされない。これらの増感剤は、単独で又は2種以上を使用することができる。増感剤の配合量は、固形成分全重量の0〜50重量%が好ましく、0〜20重量%がより好ましく、0〜10重量%がさらに好ましい。
【0083】
界面活性剤は、本発明のフォトレジスト組成物の塗布性やストリエーション、レジストとしての現像性等を改良する作用を有する成分である。このような界面活性剤としては、アニオン系、カチオン系、ノニオン系あるいは両性のいずれでも使用することができる。これらのうち、ノニオン系界面活性剤が好ましい。ノニオン系界面活性剤は、フォトレジスト組成物に用いる溶剤との親和性がよく、より効果がある。ノニオン系界面活性剤の例としては、ポリオキシエチレン高級アルキルエーテル類、ポリオキシエチレン高級アルキルフェニルエーテル類、ポリエチレングリコールの高級脂肪酸ジエステル類等の他、以下商品名で、エフトップ(ジェムコ社製)、メガファック(大日本インキ化学工業社製)、フロラード(住友スリーエム社製)、アサヒガード、サーフロン(以上、旭硝子社製)、ペポール(東邦化学工業社製)、KP(信越化学工業社製)、ポリフロー(共栄社油脂化学工業社製)等の各シリーズ製品を挙げることができるが、特に限定はされない。界面活性剤の配合量は、固形成分全重量の0〜2重量%が好ましく、0〜1重量%がより好ましく、0〜0.1重量%がさらに好ましい。
【0084】
また、染料あるいは顔料を配合することにより、露光部の潜像を可視化させて、露光時のハレーションの影響を緩和できる。さらに、接着助剤を配合することにより、基板との接着性を改善することができる。
【0085】
酸拡散制御剤を配合した場合の感度劣化を防ぎ、またレジストパターン形状、引き置き安定性等の向上の目的で、さらに任意の成分として、有機カルボン酸又はリンのオキソ酸又はその誘導体を含有させることができる。なお、これらの化合物は、酸拡散制御剤と併用することもできるし、単独で用いてもよい。有機カルボン酸としては、例えば、マロン酸、クエン酸、リンゴ酸、コハク酸、安息香酸、サリチル酸等が好適である。リンのオキソ酸又はその誘導体としては、リン酸、リン酸ジ−n−ブチルエステル、リン酸ジフェニルエステル等のリン酸又はそれらのエステル等の誘導体、ホスホン酸、ホスホン酸ジメチルエステル、ホスホン酸ジ−n−ブチルエステル、フェニルホスホン酸、ホスホン酸ジフェニルエステル、ホスホン酸ジベンジルエステル等のホスホン酸又はそれらのエステル等の誘導体、ホスフィン酸、フェニルホスフィン酸等のホスフィン酸及びそれらのエステル等の誘導体が挙げられ、これらの中で特にホスホン酸が好ましい。
【0086】
レジストパターンを形成するには、まず、シリコンウェハー、ガリウムヒ素ウェハー、アルミニウムで被覆されたウェハー等の基板上に本発明のフォトレジスト組成物を、回転塗布、流延塗布、ロール塗布等の塗布手段によって塗布することによりレジスト膜を形成する。
【0087】
必要に応じて、基板上に表面処理剤を予め塗布してもよい。表面処理剤としては、例えばヘキサメチレンジシラザン等のシランカップリング剤(重合性基を有する加水分解重合性シランカップリング剤等)、アンカーコート剤又は下地剤(ポリビニルアセタール、アクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂等)、これらの下地剤と無機微粒子とを混合したコーティング剤が挙げられる。
【0088】
必要に応じて、大気中に浮遊するアミン等が侵入するのを防ぐために、レジスト膜に保護膜を形成してもよい。保護膜を形成することにより、放射線によりレジスト膜中に発生した酸が、大気中に不純物として浮遊しているアミン等の酸と反応する化合物と反応して失活し、レジスト像が劣化し感度が低下することを防止できる。保護膜用の材料としては水溶性かつ酸性のポリマーが好ましい。例えば、ポリアクリル酸、ポリビニルスルホン酸等が挙げられる。
【0089】
高精度の微細パターンを得るため、また露光中のアウトガスを低減するため、放射線照射前(露光前)に加熱するのが好ましい。その加熱温度は、フォトレジスト組成物の配合組成等により変わるが、20〜250℃が好ましく、より好ましくは40〜150℃である。
【0090】
次いで、KrFエキシマレーザー、極端紫外線、電子線又はX線等の放射線により、レジスト膜を所望のパターンに露光する。露光条件等は、フォトレジスト組成物の配合組成等に応じて適宜選定される。本発明においては、高精度の微細パターンを安定して形成するために、放射線照射後(露光後)に加熱するのが好ましい。露光後加熱温度(PEB)は、フォトレジスト組成物の配合組成等により変わるが、20〜250℃が好ましく、より好ましくは40〜150℃である。
【0091】
次いで、露光されたレジスト膜をアルカリ現像液で現像することにより、所定のレジストパターンを形成できる。前記アルカリ現像液としては、例えば、モノ−、ジ−あるいはトリアルキルアミン類、モノ−、ジ−あるいはトリアルカノールアミン類、複素環式アミン類、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)、コリン等のアルカリ性化合物の1種以上を溶解した、好ましくは1〜10重量%、より好ましくは1〜5重量%のアルカリ性水溶液を使用する。アルカリ現像液には、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類や前記界面活性剤を適量添加することもできる。これらのうちイソプロピルアルコールを10〜30重量%添加することが特に好ましい。なお、このようなアルカリ性水溶液からなる現像液を用いた場合は、一般に、現像後水で洗浄する。
【0092】
酸解離性溶解抑止基を有する環状化合物をフォトレジスト基材として用いる場合は、KrFエキシマレーザー、極端紫外線、電子線又はX線等の放射線により、レジスト膜を所望のパターンに露光することにより、酸解離性溶解抑止基が脱離ないし構造が変化することにより、アルカリ現像液に溶解するようになる。一方、パターンの露光されていない部分はアルカリ現像液に溶解しないことが好ましい。
【0093】
アルカリ現像液に対する非溶解性については、形成するパターンのサイズ、使用するアルカリ現像液の種類等の現像条件により、好ましい非溶解性が異なるため一概に規定することはできないが、2.38%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液をアルカリ現像液として用いる場合、フォトレジスト基材からなる薄膜の現像液溶解速度で表される非溶解性としては、1ナノメートル/秒未満が好ましく、0.5ナノメートル/秒未満が特に好ましい。
【0094】
なお、場合によっては上記アルカリ現像後、ポストベーク処理を行ってもよいし、基板とのレジスト膜の間には有機系又は無機系の反射防止膜を設けてもよい。
【0095】
レジストパターンを形成した後、エッチングすることによりパターン配線基板が得られる。エッチングは、プラズマガスを使用するドライエッチング、アルカリ溶液、塩化第二銅溶液、塩化第二鉄溶液等を用いるウェットエッチング等公知の方法で行うことができる。レジストパターンを形成した後、銅めっき、はんだめっき、ニッケルめっき、金めっき等のめっき処理を行うこともできる。
【0096】
エッチング後の残留レジストパターンは、有機溶剤やアルカリ現像液より強アルカリ性の水溶液で剥離することができる。上記有機溶剤としては、PGMEA、PGME、EL、アセトン、テトラヒドロフラン等が挙げられ、強アルカリ水溶液としては、例えば、1〜20重量%の水酸化ナトリウム水溶液、及び1〜20重量%の水酸化カリウム水溶液が挙げられる。剥離方法としては、例えば、浸漬方法、スプレイ方式等が挙げられる。またレジストパターンが形成された配線基板は、多層配線基板でもよく、小径スルーホールを有していてもよい。
【0097】
本発明のフォトレジスト組成物を用いてレジストパターンを形成した後、金属を真空蒸着し、その後レジストパターンを溶液で溶離する方法、すなわちリフトオフ法により配線基板を形成することもできる。
【0098】
本発明のフォトレジスト組成物を用いて微細加工方法により、半導体装置を作製できる。この半導体装置は、テレビ受像機、携帯電話、コンピュータ等の電気製品(電子機器)、ディスプレイ、コンピュータ制御する自動車等の様々な装置に備えることができる。
【0099】
本発明の環状化合物の組成物は公知の成形方法によって各種成形品(シリコンウェハ等の基板に形成した薄膜、フィルム、薄板、ファイバー等)を製造することができる。
【0100】
成形方法としては、射出成型法、射出圧縮成型法、押出成型法、ブロー成型法、加圧成型法、トランスファー成型法、スピンコーティング法、スプレーコーティング法、キャスト法、蒸着法、熱CVD法、プラズマCVD法、プラズマ重合法等が挙げられ、これら成形方法を所望の製品の形態、性能に応じて適宜選択できる。
【0101】
また、本発明の環状化合物の組成物を用いて上記の方法により薄膜を得て、得られた薄膜を熱、紫外線、深紫外線、真空紫外線、極端紫外線、電子線、プラズマ、X線等により硬化(環化付加反応)させてもよい。
【0102】
スピンコーティング法等により本発明の環状化合物の組成物を薄膜に形成する場合、本発明の環状化合物の組成物を有機溶媒に溶解させて塗料として用いることができる。
【0103】
有機溶媒としては、クロロホルム、ジクロロメタン、1,1,2,2−テトラクロロエタン、ジクロロエタン、ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼン、テトラクロロベンゼン、ジメチルホルムアミド(DMF)、N−メチルピロリドン(NMP)、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド(DMSO)、アニソール、アセトフェノン、ベンゾニトリル、ニトロベンゼン、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、アセトン等が挙げられる。
【0104】
塗料中における本発明の環状化合物の組成物の濃度は、塗料の粘度や薄膜形成方法等を考慮して適宜調製すればよい。
薄膜の厚さは特に限定されないが、一般に10nm〜10μm程度のものが好適に使用される。薄膜の膜厚は、エリプソメータ、反射光学式膜厚計等による光学的膜厚測定、触針式膜厚測定器やAFM等による機械的膜厚測定が可能である。
【0105】
本発明の薄膜は、フォトレジスト薄膜としての用途の他、光学レンズ、光ファイバー、光導波路、フォトニック結晶等の種々の光情報処理装置向け光学薄膜、半導体用層間絶縁膜、半導体用保護膜等のULSI装置向け薄膜、液晶ディスプレー、液晶プロジェクター、プラズマディスプレー、ELディスプレー、LEDディスプレー等の画像表示装置向け薄膜、CMOSイメージセンサ、CCDイメージセンサ等に使用される薄膜として有用である。さらにこれら薄膜は、CPU、DRAM、フラッシュメモリ等の半導体装置、情報処理用小型電子回路装置、高周波通信用電子回路装置等の電子回路装置、画像表示装置、光情報処理用装置、光通信用装置等の部材、表面保護膜、耐熱膜において利用することもできる。
【実施例】
【0106】
[実施例1]
窒素気流下、容量200ミリリットルの丸底フラスコに、3−メトキシフェノール10.0g(81ミリモル)、4−ホルミル安息香酸メチル13.2g(80.6ミリモル)、脱水ジクロロメタン100ミリリットルを加え、−78℃に冷却した。この混合物に対して、3フッ化ホウ素エーテル付加体30.8ミリリットル(250ミリモル)を滴下した後、室温まで昇温して8時間撹拌を継続した。反応溶液を氷浴で0℃まで冷却し、析出した固体(環状化合物(1b))をろ別除去し、得られた均一溶液をn−ヘキサンに投入することにより析出した固体をろ集して、環状化合物(1a)、(1b)の混合物〔(1a):(1b)=2:1(モル比)〕を収率60%で得た。1H−NMR測定の結果(図1)、下記の構造、上記の組成であることを確認した。
【0107】
【化21】
【0108】
窒素気流下、得られた環状化合物(1a)、(1b)の混合物0.8g(0.74ミリモル)、水酸化ナトリウム0.74g(18.5ミリモル)、水10ミリリットルを加え、90℃、5時間加熱撹拌を行った後、放冷した。希塩酸水溶液を加え反応溶液を酸性にし、析出した白色沈殿をろ別し水洗することにより、環状化合物(2a)、(2b)の混合物〔(2a):(2b)=2:1(モル比)〕を収率85%で得た。1H−NMR測定の結果(図2)、下記の構造、上記の組成であることを確認した。
【0109】
【化22】
【0110】
窒素気流下、得られた環状化合物(2a)、(2b)の混合物5.03g(4.88ミリモル)、炭酸水素ナトリウム1.86g(21.95ミリモル)、N−メチル−2−ピロリドン100ミリリットルの混合物へ、2−ブロモ酢酸1−エチルシクロヘキシル6.23g(21.95ミリモル)を滴下した後80℃、8時間加熱撹拌を行った。反応混合物を放冷し、酢酸エチル/水で抽出した。有機層は濃縮をしてヘキサンで再沈し、析出した固体をろ別することにより、最終生成物として、環状化合物(3a)、(3b)の混合物〔(3a):(3b)=2:1(モル比)〕を収率80%で得た。1H−NMR測定の結果(図3)、下記の構造、上記の組成であることを確認した。
【0111】
【化23】
【0112】
[比較例1]
窒素気流下、容量200ミリリットルの丸底フラスコに、3−メトキシフェノール10.0g(81ミリモル)、4−ホルミル安息香酸メチル13.2g(80.6ミリモル)、脱水クロロホルム100ミリリットルを加え、−78℃に冷却した。この混合物に対して、3フッ化ホウ素エーテル付加体30.8ミリリットル(250ミリモル)を滴下した後、室温まで昇温して20時間撹拌を継続した後、50℃に昇温し14時間撹拌を継続した。反応溶液を氷浴で0℃まで冷却し、析出した固体をエタノールで洗浄し、環状化合物(1b)を収率25%で得た。1H−NMR測定の結果(図4)、環状化合物(1b)の純品であることを確認した。
実施例1と同様にして、環状化合物(2b)を収率89%で得た。1H−NMR測定の結果(図5)、環状化合物(2b)の純品であることを確認した。実施例1と同様にして、環状化合物(3b)を収率83%で得た。1H−NMR測定の結果(図6)、環状化合物(3b)の純品であることを確認した。
【0113】
[実施例2〜4]
実施例1で得た環状化合物(3a)、(3b)の混合物(2:1(モル比))、及び比較例1で得られた環状化合物(3b)の純品を、それぞれ表1に記す割合で混合することにより、環状化合物(3a)、(3b)が表1に記す割合で含まれる混合物を作成した。このように、所望の割合で混合された環状化合物(3a)、(3b)の混合物が正確に得られる。
【0114】
[比較例2]
窒素気流下、容量200ミリリットルの丸底フラスコに、3−メトキシフェノール10.0g(81ミリモル)、4−ホルミル安息香酸メチル13.2g(80.6ミリモル)、脱水ジクロロメタン100ミリリットルを加え、−78℃に冷却した。この混合物に対して、3フッ化ホウ素エーテル付加体30.8ミリリットル(250ミリモル)を滴下した後、室温まで昇温して8時間撹拌を継続した。反応溶液を−78℃まで冷却し、析出した固体をジクロロメタン80ミリリットル、水200ミリリットル、エタノールで洗浄し、環状化合物(1a)、(1b)の混合物である環状化合物(1c)を収量20.5g(収率94%)で得た。1H−NMR測定の結果(図7)、下記の構造であることを確認した。
【化24】
【0115】
実施例1と同様にして、環状化合物(2a)、(2b)の混合物である環状化合物(2c)を収量0.68g(収率90%)で得た。1H−NMR測定の結果(図8)、下記の構造であることを確認した。
【化25】
【0116】
実施例1と同様にして、環状化合物(3a)、(3b)の混合物である環状化合物(3c)を収量5.68g(収率69%)で得た。1H−NMR測定の結果(図9)、下記の構造であることを確認した。
本比較例で得られた環状化合物(3c)において、環状構造に結合する安息香酸エステル構造の立体異性体混合比を1H−NMR、及び液体クロマトグラフィーにより決定した。下記環状化合物(3a)、(3b)のモル比は2:3であった。しかし、分離不能である構造不明の副生成物を含み、同様の製造法を繰り返し実施しても、その都度、環状化合物(3a)、(3b)のモル比が異なる上、さらに構造不明の副生成物の生成を抑制することができなかった。
【0117】
【化26】
【0118】
【表1】
【0119】
[評価例1]
基材、PAG、クエンチャー、溶剤からなるフォトレジスト溶液を作製し、電子線を使用してシリコンウェハにパターンを形成した。
基材として、実施例1〜4、比較例2で得た組成物及び比較例1で得た化合物を、それぞれ77重量部使用し、PAGとしてトリフェニルスルホニウムノナフルオロブタンスルホネート20重量部、クエンチャーとして1,4−ジアザビシクロ(2,2,2)オクタン3重量部を使用した。これらの固体成分の濃度が2.5重量%となるようにプロピレングリコールモノメチルエーテルに溶解させた。
【0120】
比較例1の環状化合物を用いた場合には、プロピレングリコールモノメチルエーテルに対して不溶物が残留したため、均一なフォトレジスト溶液を製造することができなかった。
【0121】
実施例1〜4、比較例2の化合物を含むフォトレジスト溶液を、それぞれ、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)処理を施したシリコンウェハ上にスピンコートし、100℃で180秒加熱することにより薄膜を形成した。次いで、この薄膜を有する基板に対して電子線描画装置(加速電圧50kV)を用いて描画し、100℃で60秒ベークした後、濃度が2.38重量%のテトラブチルアンモニウムヒドロキシド水溶液で60秒間現像処理し、純水にて60秒洗浄、その後、窒素気流により乾燥した。走査型電子顕微鏡による観察結果から得られた、サイズが1/1のライン/スペースパターンを作製した際の解像度(ハーフピッチ)と感度(必要な電子線ドーズ量)の結果を表2に記す。
【0122】
表2より、実施例1〜4、即ち、(3a):(3b)が、15:85〜67:33の範囲において、フォトレジストとしての性能が好ましいことを確認した。一方、表2より、比較例1、即ち化合物(3b)のみであり、(3a):(3b)が前記の好適な範囲外である場合は、前記の通り、本評価例の条件においては、均一なフォトレジスト溶液が得られず、比較例2、即ち、(3a):(3b)が前記の好適な範囲内であるが、本発明の精製を実施せず構造不明の副生成物を含む場合には、解像度の面で性能が低下することを確認した。なお、クエンチャーとして1,4−ジアザビシクロ(2,2,2)オクタンの代わりにトリn−オクチルアミンを用いても結果は同一であった。
【0123】
上記のフォトレジスト薄膜を有する基板に対して、電子線描画装置に替えてEUV露光装置を用いてEUV光(波長:13.5nm)を照射した。その後、100℃で90秒ベークし、2.38重量%の水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液で30秒間、イオン交換水で30秒間リンスすることでパターンを形成した。走査型電子顕微鏡にて観察したところ、電子線描画装置の場合と同様の解像度であることが観察された。
【0124】
【表2】
【0125】
[実施例5]
窒素気流下、実施例1にて得られた環状化合物(2a)、(2b)の混合物5.03g(4.88ミリモル)、炭酸水素ナトリウム1.86g(21.95ミリモル)、N−メチル−2−ピロリドン100ミリリットルの混合物へ、ブロモ酢酸エチルアダマンチル6.59g(21.95ミリモル)を滴下した後80℃、8時間加熱撹拌を行った。反応混合物を放冷し、酢酸エチル/水で抽出した。有機層は濃縮をしてヘキサンで再沈し、析出した固体をろ別することにより、最終生成物として、環状化合物(4a)、(4b)の混合物〔(4a):(4b)=2:1(モル比)〕を収率82%で得た。1H−NMR測定の結果(図10)、下記の構造、上記の組成であることを確認した。
【0126】
【化27】
【0127】
[実施例6]
窒素気流下、実施例1にて得られた環状化合物(2a)、(2b)の混合物5.03g(4.88ミリモル)、炭酸水素ナトリウム1.86g(21.95ミリモル)、N−メチル−2−ピロリドン100ミリリットルの混合物へ、ブロモ酢酸メチルアダマンチル6.14g(21.95ミリモル)を滴下した後80℃、8時間加熱撹拌を行った。反応混合物を放冷し、酢酸エチル/水で抽出した。有機層は濃縮をしてヘキサンで再沈し、析出した固体をろ別することにより、最終生成物として、環状化合物(5a)、(5b)の混合物〔(5a):(5b)=2:1(モル比)〕を収率83%で得た。1H−NMR測定の結果(図11)、下記の構造、上記の組成であることを確認した。
【0128】
【化28】
【0129】
[実施例7]
窒素気流下、容量200ミリリットルの丸底フラスコに、3−メトキシフェノール50.0g(402.8ミリモル)、4−ホルミル安息香酸60.5g(402.8ミリモル)、及び脱水ジクロロメタン500ミリリットルを加えて氷水浴に浸漬させ、5℃以下に冷却した。この混合物に対して、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル付加体60.8ミリリットル(483.6ミリモル)を内温が15℃を越えないように滴下した後、室温まで昇温して8時間撹拌した。反応溶液を氷水浴で冷却し、ゆっくり水を滴下してクエンチし、析出した固体をろ別した。ろ別した析出物を中性になるまで水洗した後、N−メチル−2−ピロリドンに溶解させ、酢酸エチルで再沈し、析出した固体をろ別することにより、環状化合物(2a)、(2b)の混合物〔(2a):(2b)=1:2(モル比)〕を収率93%で得た。1H−NMR測定の結果(図12)、下記の構造、上記の組成であることを確認した。
【化29】
【0130】
窒素気流下、上記で得られた環状化合物(2a)、(2b)の混合物5.03g(4.88ミリモル)、炭酸水素ナトリウム1.86g(21.95ミリモル)、N−メチル−2−ピロリドン100ミリリットルの混合物へ、ブロモ酢酸エチルアダマンチル6.59g(21.95ミリモル)を滴下した後80℃、8時間加熱撹拌を行った。反応混合物を放冷し、酢酸エチル/水で抽出した。有機層は濃縮をしてヘキサンで再沈し、析出した固体をろ別することにより、最終生成物として、環状化合物(4a)、(4b)の混合物〔(4a):(4b)=1:3(モル比)〕を収率75%で得た。1H−NMR測定の結果(図13)、下記の構造、上記の組成であることを確認した。
【0131】
【化30】
【0132】
[実施例8]
窒素気流下、実施例7にて得られた環状化合物(2a)、(2b)の混合物5.03g(4.88ミリモル)、炭酸水素ナトリウム1.86g(21.95ミリモル)、N−メチル−2−ピロリドン100ミリリットルの混合物へ、ブロモ酢酸メチルアダマンチル6.14g(21.95ミリモル)を滴下した後80℃、8時間加熱撹拌を行った。反応混合物を放冷し、酢酸エチル/水で抽出した。有機層は濃縮をしてヘキサンで再沈し、析出した固体をろ別することにより、最終生成物として、環状化合物(5a)、(5b)の混合物〔(5a):(5b)=1:3.5(モル比)〕を収率72%で得た。1H−NMR測定の結果(図14)、下記の構造、上記の組成であることを確認した。
【0133】
【化31】
【0134】
[評価例2]
基材、PAG、クエンチャー、溶剤からなるフォトレジスト溶液を作製し、電子線を使用してシリコンウェハにパターンを形成した。
基材として、実施例7,8で得た化合物を、それぞれ77重量部使用し、PAGとしてトリフェニルスルホニウムノナフルオロブタンスルホネート20重量部、クエンチャーとして1,4−ジアザビシクロ(2,2,2)オクタン3重量部を使用した。これらの固体成分の濃度が2.5重量%となるようにプロピレングリコールモノメチルエーテルに溶解させた。
【0135】
実施例7,8の化合物を含むフォトレジスト溶液を、それぞれ、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)処理を施したシリコンウェハ上にスピンコートし、100℃で180秒加熱することにより薄膜を形成した。次いで、この薄膜を有する基板に対して電子線描画装置(加速電圧50kV)を用いて描画し、100℃で60秒ベークした後、濃度が2.38重量%のテトラブチルアンモニウムヒドロキシド水溶液で60秒間現像処理し、純水にて60秒洗浄、その後、窒素気流により乾燥した。走査型電子顕微鏡による観察結果から得られた、サイズが1/1のライン/スペースパターンを作製した際の解像度(ハーフピッチ)と感度(必要な電子線ドーズ量)の結果を表3に記す。なお、クエンチャーとして1,4−ジアザビシクロ(2,2,2)オクタンの代わりにトリn−オクチルアミンを用いても結果は同一であった。
【0136】
上記のフォトレジスト薄膜を有する基板に対して、電子線描画装置に替えてEUV露光装置を用いてEUV光(波長:13.5nm)を照射した。その後、100℃で90秒ベークし、2.38重量%の水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液で30秒間、イオン交換水で30秒間リンスすることでパターンを形成した。走査型電子顕微鏡にて観察したところ、電子線描画装置の場合と同様の解像度であることが観察された。
【0137】
【表3】
【産業上の利用可能性】
【0138】
本発明の組成物は、フォトレジスト基材又は組成物、特に極端紫外光用及び/又は電子線用フォトレジスト基材又は組成物に好適に使用できる。本発明の組成物は、半導体装置等の電気・電子分野や光学分野等において好適に用いられる。
【図面の簡単な説明】
【0139】
【図1】実施例1で合成した化合物(1a)、(1b)の混合物の1H−NMRスペクトルである。
【図2】実施例1で合成した化合物(2a)、(2b)の混合物の1H−NMRスペクトルである。
【図3】実施例1で合成した化合物(3a)、(3b)の混合物の1H−NMRスペクトルである。
【図4】比較例1で合成した化合物(1b)の1H−NMRスペクトルである。
【図5】比較例1で合成した化合物(2b)の1H−NMRスペクトルである。
【図6】比較例1で合成した化合物(3b)の1H−NMRスペクトルである。
【図7】比較例2で合成した化合物(1c)の1H−NMRスペクトルである。
【図8】比較例2で合成した化合物(2c)の1H−NMRスペクトルである。
【図9】比較例2で合成した化合物(3c)の1H−NMRスペクトルである。
【図10】実施例5で合成した化合物(4a)、(4b)の混合物の1H−NMRスペクトルである。
【図11】実施例6で合成した化合物(5a)、(5b)の混合物の1H−NMRスペクトルである。
【図12】実施例7で合成した化合物(2a)、(2b)の混合物の1H−NMRスペクトルである。
【図13】実施例7で合成した化合物(4a)、(4b)の混合物の1H−NMRスペクトルである。
【図14】実施例8で合成した化合物(5a)、(5b)の混合物の1H−NMRスペクトルである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記化合物(1)と、下記化合物(2)からなり、モル比率が化合物(1):化合物(2)=15:85〜70:30である組成物。
【化32】
[式中、Rは、下記式(3)〜(5)のいずれかで表される基である。
R1は、水酸基、置換もしくは無置換の炭素数1〜20の直鎖状アルコキシ基、置換もしくは無置換の炭素数3〜12の分岐アルコキシ基、置換もしくは無置換の炭素数3〜20の環状アルコキシ基、置換もしくは無置換の炭素数6〜10のアリーロキシル基、アルコキシアルコキシ基、シロキシ基、又はこれらの基と二価の基とが結合した基であり、
前記二価の基は、置換もしくは無置換のアルキレンオキシ基、置換もしくは無置換のアリーレンオキシ基、置換もしくは無置換のシリレンオキシ基、これらの基が2以上結合した基、又はこれらの基と、エステル結合、炭酸エステル結合又はエーテル結合が結合した基である。
R2は、水素、R1で表される基、炭素数1〜20の直鎖状脂肪族炭化水素基、炭素数3〜12の分岐脂肪族炭化水素基、炭素数3〜20の環状脂肪族炭化水素基、炭素数6〜10の芳香族基又は酸素原子を含む基である。
式(1)内及び式(2)内に複数あるR、R1及びR2は、それぞれ同じであっても異なっていてもよい。
【化33】
(式中、Arは、置換もしくは無置換の炭素数6〜10のアリーレン基、置換もしくは無置換の炭素数6〜10のアリーレン基を2つ以上組み合わせた基、又はアルキレン基及びエーテル結合の少なくとも一方の1つ以上と置換もしくは無置換の炭素数6〜10のアリーレン基を組み合わせた基であり、
置換基を有する場合の置換基は、臭素、フッ素、ニトリル基、又は炭素数1〜10のアルキル基である。
R3は、水酸基、置換もしくは無置換の炭素数1〜20の直鎖状脂肪族炭化水素基、置換もしくは無置換の炭素数3〜12の分岐脂肪族炭化水素基、置換もしくは無置換の炭素数3〜20の環状脂肪族炭化水素基、置換もしくは無置換の炭素数6〜10の芳香族基、アルコキシ基、アルコキシアルキル基、カルボキシル基、シリル基、又はこれらの基と二価の基が結合した基であり、
前記二価の基は、置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のアリーレン基、置換もしくは無置換のシリレン基、これらの基が2以上結合した基、又はこれらの基1以上と、エステル結合、炭酸エステル結合及びエーテル結合から選択される1以上の基が結合した基である。
R4、R5は、それぞれ水素原子、置換もしくは無置換の炭素数1〜20の直鎖状脂肪族炭化水素基、置換もしくは無置換の炭素数3〜12の分岐脂肪族炭化水素基、置換もしくは無置換の炭素数3〜20の環状脂肪族炭化水素基、置換もしくは無置換の炭素数6〜12の芳香族基、又はこれら基のうち2以上を組み合わせた基である。
A1は、アルキレン基、エーテル結合、アルキレン基を2以上組み合わせた基、又はアルキレン基1以上とエーテル結合1以上を組み合わせた基である。
xは1〜5、yは0〜3、zは0〜4の整数である。
複数のR3、R4、R5、Ar、A1、x、y及びzは、それぞれ同じであっても異なっていてもよい。)]
【請求項2】
R3が、下記式(I)〜(IV)のいずれかである請求項1記載の組成物。
【化34】
(式(I)〜(IV)において、
αは、置換もしくは無置換の炭素数1〜10の直鎖状脂肪族炭化水素基、置換もしくは無置換の炭素数3〜10の分岐脂肪族炭化水素基、置換もしくは無置換の炭素数3〜20の環状脂肪族炭化水素基、又は置換もしくは無置換の炭素数6〜10の芳香族基である。
βは、三級脂肪族構造、芳香族構造、単環状脂肪族構造又は複環状脂肪族構造を有する基が置換したアルコキシ基である。
γは、芳香族構造、単環状脂肪族構造又は複環状脂肪族構造を有する基が置換したアルコキシ基、又は芳香族構造、単環状脂肪族構造、複環状脂肪族構造のうち1以上の構造と、炭素数1〜10の直鎖状脂肪族炭化水素基を組み合わせた基が置換したアルコキシ基である。
δは、置換もしくは無置換の炭素数1〜10の直鎖状脂肪族炭化水素基、置換もしくは無置換の炭素数3〜10の分岐脂肪族炭化水素基、置換もしくは無置換の炭素数3〜20の環状脂肪族炭化水素基、又は置換もしくは無置換の炭素数6〜10の芳香族基である。)
【請求項3】
Rが下記式(6)で表される基であって、式(6)中、R4は下記式(7)〜(38)から選択される基であり、
R2が水素であり、
同一の芳香環上に存在する2つのR1のうち、一方が水酸基であり、他方が溶解性調整基である請求項1又は2記載の組成物。
【化35】
【化36】
(式中、rはそれぞれ上記式(7)〜(35)で表される置換基のいずれかを表す。)
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか記載の組成物を製造する方法であって、
化合物(1)の0℃における溶解度と化合物(2)の0℃における溶解度の差が、1グラム/リットル以上である溶媒中、−50℃以上50℃以下の条件の下で、化合物(1)と化合物(2)の混合物から、所定量の化合物(1)又は化合物(2)を晶析して単離することにより、前記混合物中の化合物(1)と化合物(2)のモル比率を制御する組成物の製造方法。
【請求項5】
請求項1〜3のいずれか記載の組成物を製造する方法であって、
化合物(1)の0℃における溶解度と化合物(2)の0℃における溶解度の差が、1グラム/リットル以上である溶媒中、−50℃以上50℃以下の条件の下で、化合物(1)と化合物(2)の混合物から、化合物(1)又は化合物(2)を晶析して単離する晶析単離工程と、
前記単離した化合物(1)又は化合物(2)と、化合物(1)と化合物(2)の混合物とを、所定の割合で混合して、化合物(1)と化合物(2)のモル比率を制御する混合比率制御工程と、
を含む組成物の製造方法。
【請求項6】
請求項1〜3のいずれか記載の組成物を製造する方法であって、
化合物(1)と化合物(2)の第1の混合物と、化合物(1)と化合物(2)の第2の混合物を合成する混合物合成工程と、
化合物(1)の0℃における溶解度と化合物(2)の0℃における溶解度の差が、1グラム/リットル以上である溶媒中、−50℃以上50℃以下の条件の下で、前記第1の混合物から、化合物(1)又は化合物(2)を晶析して単離する晶析単離工程と、
晶析単離工程により化合物(1)又は化合物(2)を単離した後の第1の混合物と、前記第2の混合物とを、所定の割合で混合して、化合物(1)と化合物(2)のモル比率を制御する混合比率制御工程と、
を含む組成物の製造方法。
【請求項7】
前記晶析単離工程の温度が、−20℃以上20℃以下である請求項4〜6のいずれか記載の製造方法。
【請求項8】
前記溶媒が、含ハロゲン有機溶媒、含酸素有機溶媒から選択される少なくとも1種類の溶媒である請求項4〜7のいずれか記載の製造方法。
【請求項9】
請求項1〜3のいずれか記載の組成物と溶剤を含有するフォトレジスト組成物。
【請求項10】
請求項1〜3のいずれか記載の組成物を含んで成る薄膜。
【請求項11】
請求項9に記載のフォトレジスト組成物を用いた微細加工方法。
【請求項12】
請求項11に記載の微細加工方法により作製した半導体装置。
【請求項1】
下記化合物(1)と、下記化合物(2)からなり、モル比率が化合物(1):化合物(2)=15:85〜70:30である組成物。
【化32】
[式中、Rは、下記式(3)〜(5)のいずれかで表される基である。
R1は、水酸基、置換もしくは無置換の炭素数1〜20の直鎖状アルコキシ基、置換もしくは無置換の炭素数3〜12の分岐アルコキシ基、置換もしくは無置換の炭素数3〜20の環状アルコキシ基、置換もしくは無置換の炭素数6〜10のアリーロキシル基、アルコキシアルコキシ基、シロキシ基、又はこれらの基と二価の基とが結合した基であり、
前記二価の基は、置換もしくは無置換のアルキレンオキシ基、置換もしくは無置換のアリーレンオキシ基、置換もしくは無置換のシリレンオキシ基、これらの基が2以上結合した基、又はこれらの基と、エステル結合、炭酸エステル結合又はエーテル結合が結合した基である。
R2は、水素、R1で表される基、炭素数1〜20の直鎖状脂肪族炭化水素基、炭素数3〜12の分岐脂肪族炭化水素基、炭素数3〜20の環状脂肪族炭化水素基、炭素数6〜10の芳香族基又は酸素原子を含む基である。
式(1)内及び式(2)内に複数あるR、R1及びR2は、それぞれ同じであっても異なっていてもよい。
【化33】
(式中、Arは、置換もしくは無置換の炭素数6〜10のアリーレン基、置換もしくは無置換の炭素数6〜10のアリーレン基を2つ以上組み合わせた基、又はアルキレン基及びエーテル結合の少なくとも一方の1つ以上と置換もしくは無置換の炭素数6〜10のアリーレン基を組み合わせた基であり、
置換基を有する場合の置換基は、臭素、フッ素、ニトリル基、又は炭素数1〜10のアルキル基である。
R3は、水酸基、置換もしくは無置換の炭素数1〜20の直鎖状脂肪族炭化水素基、置換もしくは無置換の炭素数3〜12の分岐脂肪族炭化水素基、置換もしくは無置換の炭素数3〜20の環状脂肪族炭化水素基、置換もしくは無置換の炭素数6〜10の芳香族基、アルコキシ基、アルコキシアルキル基、カルボキシル基、シリル基、又はこれらの基と二価の基が結合した基であり、
前記二価の基は、置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のアリーレン基、置換もしくは無置換のシリレン基、これらの基が2以上結合した基、又はこれらの基1以上と、エステル結合、炭酸エステル結合及びエーテル結合から選択される1以上の基が結合した基である。
R4、R5は、それぞれ水素原子、置換もしくは無置換の炭素数1〜20の直鎖状脂肪族炭化水素基、置換もしくは無置換の炭素数3〜12の分岐脂肪族炭化水素基、置換もしくは無置換の炭素数3〜20の環状脂肪族炭化水素基、置換もしくは無置換の炭素数6〜12の芳香族基、又はこれら基のうち2以上を組み合わせた基である。
A1は、アルキレン基、エーテル結合、アルキレン基を2以上組み合わせた基、又はアルキレン基1以上とエーテル結合1以上を組み合わせた基である。
xは1〜5、yは0〜3、zは0〜4の整数である。
複数のR3、R4、R5、Ar、A1、x、y及びzは、それぞれ同じであっても異なっていてもよい。)]
【請求項2】
R3が、下記式(I)〜(IV)のいずれかである請求項1記載の組成物。
【化34】
(式(I)〜(IV)において、
αは、置換もしくは無置換の炭素数1〜10の直鎖状脂肪族炭化水素基、置換もしくは無置換の炭素数3〜10の分岐脂肪族炭化水素基、置換もしくは無置換の炭素数3〜20の環状脂肪族炭化水素基、又は置換もしくは無置換の炭素数6〜10の芳香族基である。
βは、三級脂肪族構造、芳香族構造、単環状脂肪族構造又は複環状脂肪族構造を有する基が置換したアルコキシ基である。
γは、芳香族構造、単環状脂肪族構造又は複環状脂肪族構造を有する基が置換したアルコキシ基、又は芳香族構造、単環状脂肪族構造、複環状脂肪族構造のうち1以上の構造と、炭素数1〜10の直鎖状脂肪族炭化水素基を組み合わせた基が置換したアルコキシ基である。
δは、置換もしくは無置換の炭素数1〜10の直鎖状脂肪族炭化水素基、置換もしくは無置換の炭素数3〜10の分岐脂肪族炭化水素基、置換もしくは無置換の炭素数3〜20の環状脂肪族炭化水素基、又は置換もしくは無置換の炭素数6〜10の芳香族基である。)
【請求項3】
Rが下記式(6)で表される基であって、式(6)中、R4は下記式(7)〜(38)から選択される基であり、
R2が水素であり、
同一の芳香環上に存在する2つのR1のうち、一方が水酸基であり、他方が溶解性調整基である請求項1又は2記載の組成物。
【化35】
【化36】
(式中、rはそれぞれ上記式(7)〜(35)で表される置換基のいずれかを表す。)
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか記載の組成物を製造する方法であって、
化合物(1)の0℃における溶解度と化合物(2)の0℃における溶解度の差が、1グラム/リットル以上である溶媒中、−50℃以上50℃以下の条件の下で、化合物(1)と化合物(2)の混合物から、所定量の化合物(1)又は化合物(2)を晶析して単離することにより、前記混合物中の化合物(1)と化合物(2)のモル比率を制御する組成物の製造方法。
【請求項5】
請求項1〜3のいずれか記載の組成物を製造する方法であって、
化合物(1)の0℃における溶解度と化合物(2)の0℃における溶解度の差が、1グラム/リットル以上である溶媒中、−50℃以上50℃以下の条件の下で、化合物(1)と化合物(2)の混合物から、化合物(1)又は化合物(2)を晶析して単離する晶析単離工程と、
前記単離した化合物(1)又は化合物(2)と、化合物(1)と化合物(2)の混合物とを、所定の割合で混合して、化合物(1)と化合物(2)のモル比率を制御する混合比率制御工程と、
を含む組成物の製造方法。
【請求項6】
請求項1〜3のいずれか記載の組成物を製造する方法であって、
化合物(1)と化合物(2)の第1の混合物と、化合物(1)と化合物(2)の第2の混合物を合成する混合物合成工程と、
化合物(1)の0℃における溶解度と化合物(2)の0℃における溶解度の差が、1グラム/リットル以上である溶媒中、−50℃以上50℃以下の条件の下で、前記第1の混合物から、化合物(1)又は化合物(2)を晶析して単離する晶析単離工程と、
晶析単離工程により化合物(1)又は化合物(2)を単離した後の第1の混合物と、前記第2の混合物とを、所定の割合で混合して、化合物(1)と化合物(2)のモル比率を制御する混合比率制御工程と、
を含む組成物の製造方法。
【請求項7】
前記晶析単離工程の温度が、−20℃以上20℃以下である請求項4〜6のいずれか記載の製造方法。
【請求項8】
前記溶媒が、含ハロゲン有機溶媒、含酸素有機溶媒から選択される少なくとも1種類の溶媒である請求項4〜7のいずれか記載の製造方法。
【請求項9】
請求項1〜3のいずれか記載の組成物と溶剤を含有するフォトレジスト組成物。
【請求項10】
請求項1〜3のいずれか記載の組成物を含んで成る薄膜。
【請求項11】
請求項9に記載のフォトレジスト組成物を用いた微細加工方法。
【請求項12】
請求項11に記載の微細加工方法により作製した半導体装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2010−159241(P2010−159241A)
【公開日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−69386(P2009−69386)
【出願日】平成21年3月23日(2009.3.23)
【出願人】(000183646)出光興産株式会社 (2,069)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年3月23日(2009.3.23)
【出願人】(000183646)出光興産株式会社 (2,069)
【Fターム(参考)】
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