説明

立体自動倉庫

【課題】収納量が大きく、設備コスト及び設置スペースを抑制することができる高能力の立体自動倉庫を提供すること。
【解決手段】本発明による立体自動倉庫(10)は、2対の積層ラック(12L,12R;12L,12R)を並列ではなく、直列に配置すると共に、2対の積層ラック間に1基の昇降装置(16)を配置して、その昇降装置のみで2対の積層ラックに対する入出庫を可能としたことを特徴としている。このようなタンデム構造の立体自動倉庫では、2対の積層ラックを並列に配置した従来構成と同等の収納量を確保することができ、上方に延ばす必要もないため、高さ制限のある建屋にも適用可能である。また、昇降装置は1基だけでよいため、装置数が従来構成よりも少なく、立体自動倉庫を安価に製造することができ、また、設置スペースも小さくて済むという効果もある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、立体自動倉庫に関し、より詳細には、少なくとも2対の積層ラックを直列に配置した立体自動倉庫に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の立体自動倉庫には、例えば特公平5−21802号公報に記載のものが知られている。図9は、この公報に記載の立体自動倉庫に相当するものを示しており、この立体自動倉庫1は、複数段の棚2からなる少なくとも左右1対の積層ラック3L,3Rを備えている。積層ラック3L,3R間には、水平方向に走行可能な移載シャトル4が各段毎に設けられている。また、荷Pの昇降は、積層ラック3L,3Rの一方の端部側に配置された、2台の昇降台5L,5Rを有する昇降装置6によって行われる。更に、昇降装置6の昇降台5R,5Lに対する荷Pの受渡しは、1台の入庫コンベヤ7と、1台の出庫コンベヤ8とによって行われる。
【0003】
このような従来構成の立体自動倉庫1にあっては、能力及び収納量を上げるためには、図9に示すように、積層ラック3L,3Rを左右方向に複数対(図9では簡単にするために2対のみ示す)並べ、それに伴い、昇降装置6、入庫コンベヤ7及び出庫コンベヤ8を増設することが考えられる。
【0004】
しかし、積層ラック3L,3Rを並列に配置する方法では、立体自動倉庫1を構成する装置が単純に倍増していくため、設備コストが増し、また、立体自動倉庫1の設置スペースも過大なものとなってしまう。
【0005】
また、収納量を増やすために積層ラック3L,3Rの段数を増やすことも考えられるが、倉庫建屋の高さ制限がある場合等には、単純に段数を増やすことはできない。しかも、積層ラック3L,3Rの段数が増すと、収納量は増えるが、昇降装置6の昇降行程が伸び、ひいては昇降時間が長くなるため、能力が低下することが考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特公平5−21802号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであり、その第1の目的は、収納量は大きいが、設備コスト及び設置スペースを抑制することができる立体自動倉庫を提供することにある。
【0008】
また、本発明の第2の目的は、高能力の立体自動倉庫を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
そこで、本発明による立体自動倉庫(10)は、
複数段の棚(22)を有し、互いに平行に対向配置された第1対の積層ラック(12L,12R)と、
第1対の積層ラックのそれぞれの一端に隣接して配置され、棚(22)と同段数の待機コンベヤ(26L,26R)を有する第1対の待機ステーション(24L,24R)と、
第1対の積層ラック間、及び、第1対の待機ステーション間にて、棚及び待機コンベヤの各段毎に又は数段毎に水平方向に走行可能に設けられた、棚及び待機コンベヤに対して荷(P)の受渡しを行う第1の移載シャトル(14)と、
複数段の棚を有し、互いに平行に対向配置された第2対の積層ラック(12L,12R)であり、第1対の積層ラックとの間に第1対の待機ステーションが配置されるよう、第1対の積層ラックに対して直列に配置された第2対の積層ラックと、
第2対の積層ラックのそれぞれの、第1対の待機ステーションの側の端部に隣接して配置され、第2対の積層ラックにおける棚と同段数の待機コンベヤを有する第2対の待機ステーション(24L,24R)と、
第2対の積層ラック間、及び、第2対の待機ステーション間にて、第2対の積層ラックおける棚及び第2対の待機ステーションにおける待機コンベヤの各段毎に又は数段毎に水平方向に走行可能に設けられた、第2対の積層ラックおける棚及び第2対の待機ステーションにおける待機コンベヤに対して荷の受渡しを行う第2の移載シャトルと、
第1対の待機ステーションと第2対の待機ステーションとの間に配置された昇降装置(16)であり、第1対の待機ステーション及び第2対の待機ステーションのそれぞれにおける一方の側の待機コンベヤ(26L)に対して荷の受渡しを行う第1の昇降台(30L)と、第1対の待機ステーション及び第2対の待機ステーションのそれぞれにおける他方の側の待機コンベヤ(26R)に対して荷の受渡しを行う第2の昇降台(30R)とを有する昇降装置と、
第1の昇降台に対して荷の受渡しを行う第1のコンベヤ(18L)と、
第2の昇降台に対して荷の受渡しを行う第2のコンベヤ(18R)と
を備えることを特徴としている。
【0010】
すなわち、簡単に述べるならば、本発明による立体自動倉庫は、2対の積層ラックを並列ではなく、直列に配置すると共に、2対の積層ラック間に昇降装置を配置して、その昇降装置のみで2対の積層ラックに対する入出庫を可能としたことを特徴としている。
【0011】
このようなタンデム構造の立体自動倉庫では、2対の積層ラックを並列に配置した従来構成と同等の収納量を確保することができ、上方に延ばす必要もないため、高さ制限のある建屋にも適用可能である。また、昇降装置は1基だけでよいため、装置数が従来構成よりも少なく、立体自動倉庫を安価に製造することができ、また、設置スペースも小さくて済むという効果もある。
【0012】
また、本発明による立体自動倉庫においては、第1対の待機ステーションにおける各段の待機コンベヤが、第2対の待機ステーションにおける対応の段の前記待機コンベヤと整列されており、第1の昇降台及び第2の昇降台が、互いに対向している待機コンベヤ間に配置されたとき、これらの待機コンベヤと連続する搬送面を形成するようになっていることが好適である。
【0013】
この構成においては、第1対の待機ステーションのうち一方の待機ステーション(24L)を入庫用とし、これと同側にある第2対の待機ステーションのうちの一方の待機ステーション(24L)を出庫用とした場合、第1の昇降台(30L)から待機ステーション(24L)への荷の移載と、待機ステーション(24L)から第1の昇降台(30L)への移載を同時に行うことができ、高効率化、高能力化が可能となる。また、第1対の待機ステーションのうち他方の待機ステーション(24R)を出庫用とし、これと同側にある第2対の待機ステーションのうちの他方の待機ステーション(24R)を入庫用とした場合も同様である。このような構成によれば、荷の流れが一定化されるため、レイアウトもシンプルになり、厳密な順立て出庫も可能となる。
【0014】
更に、第1の昇降台(30L)に対して荷の受渡しを行う第3のコンベヤと、第2の昇降台(30R)に対して荷の受渡しを行う第4のコンベヤ(20R)とを更に設け、第1のコンベヤ及び第2のコンベヤを入庫用とし、第3のコンベヤ及び第4のコンベヤを出庫用とし、更に、第1のコンベヤ(18L)、第1の昇降台(30L)及び第3のコンベヤ(20L)が連続する搬送面を形成し、第2のコンベヤ(18R)、第2の昇降台(30R)及び第4のコンベヤ(20R)が連続する搬送面を形成するようにすることで、入庫コンベヤと昇降台との間の荷の移載と、昇降台と出庫コンベヤとの間の荷の移載をも同時に行うことができ、これによっても、高効率化、高能力化を図ることができる。
【発明の効果】
【0015】
以上述べたように、本発明による立体自動倉庫は、上述した従来構成と同等の収容量を誇ると共に、能力が高く、更に、設備コスト、設置スペースを抑制できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施形態に係る立体自動倉庫の一方の側(左側)を示す概略側面図である。
【図2】図1に示す立体自動倉庫の他方の側(右側)を示す概略側面図である。
【図3】図1のIII−III線に沿っての概略断面図である。
【図4】図1のIV−IV線に沿っての概略断面図であり、昇降台を含めて示した図である。
【図5】(a)及び(b)はそれぞれ本発明の別の実施形態に係る立体自動倉庫を示す概略側面図である。
【図6】本発明の立体自動倉庫の変形例を示す図1と同様な概略側面図である。
【図7】本発明の立体自動倉庫の別の変形例を示す図1と同様な概略側面図である。
【図8】本発明の立体自動倉庫の更に別の変形例を示す図1と同様な概略側面図である。
【図9】従来の立体自動倉庫を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、添付図面に沿って本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、全図中、同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明は省略することとする。また、説明の明瞭化のために、必要に応じて、参照符号には添え字を付すこととする。
【0018】
図1は本発明の一実施形態に係る立体自動倉庫10の一方の側(左側)を示す概略側面図であり、図2は立体自動倉庫10の他方の側(右側)を示す概略側面図であり、図3は図1のIII−III線に沿っての概略断面図である。図4は図1のIV−IV線に沿っての概略断面図であり、後述の昇降台を含めて示した図である。この立体自動倉庫10は、基本的には図9に示す従来構成と同様な積層ラック12、移載シャトル14、昇降装置16、入庫コンベヤ18及び出庫コンベヤ20を備えている。
【0019】
図示の立体自動倉庫10は最小基本単位の構成であり、積層ラック12は2対ある。左側の積層ラック12L及び右側の積層ラック12Rはそれぞれ、同一水平方向(図1〜図4の矢印A及びB方向)に延びる棚22を複数段(具体的には5〜20段程度)有している。対となる2基の積層ラック12L,12Rは、棚22が延びる水平方向に直角な水平方向(以下「左右方向」と称し、図3又は図4においては矢印L及びR方向で示す方向)において所定の間隔を置いて、互いに平行に対向配置されている。
【0020】
一方の対の積層ラック(第1対の積層ラック。添え字に1を付す)12L,12Rは、上記従来構成とは異なり、他方の対の積層ラック(第2対の積層ラック。添え字に2を付す)12L,12Rに対して、棚22の延びる水平方向、すなわち図3又は図4の矢印A及びB方向に沿って直列に配置されている。また、第1対の積層ラック12L,12Rと第2対の積層ラック12L,12Rとの間には昇降装置16が1基、配置されている。
【0021】
各対における左右の積層ラック12L,12R間には、段毎に、棚22が延びる水平方向に走行可能な移載シャトル14が設けられている。移載シャトル14は、詳細には図示しないが、中央部に荷Pを載置することのできる走行台車と、この走行台車の前後に設けられ、走行方向に対して直角の水平方向(左右方向)において、いずれの側にも伸縮可能な1対のアームと、それぞれのアームの先端に開閉可能に取り付けられたフィンガとを備えている。フィンガを閉じたままでアームを左右いずれかの側に伸ばすと、走行台車の中央部に載置された荷Pを押し出すことができ、それによって荷を、移載シャトルにおける走行台車の中央部の面と同じ高さレベルに位置する棚22に収納することが可能となる。逆に、フィンガを開放した状態でアームを棚22の中に伸ばし、アーム先端のフィンガを閉じ荷Pに引っ掛けてアームを収縮させることで、荷Pを走行台車上に回収することができる。
【0022】
また、各対における左右の積層ラック12L,12Rの、昇降装置16に面する端部には、それぞれ、待機ステーション24L,24Rが隣接配置されている。以下、第1対の積層ラック12L,12Rに隣接配置された2基の待機ステーションを第1対の待機ステーション24L,24Rと称し、第2対の積層ラック12L,12Rに隣接配置された2基の待機ステーションを第2対の待機ステーション24L,24Rと称する。待機ステーション24L,24Rは、隣接の積層ラック12L,12Rの棚22の段数と同数の待機コンベヤ26を有しており、待機コンベヤ26のそれぞれは、積層ラック12L,12Rの対応の棚22と搬送面が同じ高さレベルとなるよう配置されている。待機コンベヤ26は、搬送方向が棚22の延びる水平方向と同一となるように、その向きが定められている。待機コンベヤ26の型式は種々考えられるが、搬送方向に対して直角の方向に沿っての荷Pの出し入れが可能なように、ローラコンベヤであることが好ましい。
【0023】
第1対の積層ラック12L,12Rにおける移載シャトル(第1の移載シャトル)14は、第1対の待機ステーション24L,24Rにまで移動可能であり、移載シャトル14と同じ高さレベルに位置する待機コンベヤ26に対しても荷Pの受渡しを行うことができる。同様に、第2対の積層ラック12L,12Rにおける移載シャトル(第2の移載シャフト)14は、第2対の待機ステーション24L,24Rにまで移動可能である。
【0024】
昇降装置16は、第1対の待機ステーション24L,24Rと第2対の待機ステーション24L,24Rとの間に配置されている。昇降装置16は、第1対の待機ステーション24L,24Rと第2対の待機ステーション24L,24Rとの間の間隙の中央位置に配置されたマスト28と、このマスト28の左右の側面にそれぞれ昇降可能に設けられた昇降台30L,30Rとから構成されている。
【0025】
昇降台30L,30Rは、ベルトコンベヤ或いはローラコンベヤを搭載しており、その搬送方向は、図1〜図4に示す矢印A方向と矢印B方向の両方向に切換え可能となっていることが好ましい。但し、本実施形態では、右側の昇降台(第2の昇降台)30Rは正逆両方向に切換え可能であるが、左側の昇降台(第1の昇降台)30Lに関しては、搬送方向が矢印A方向のみに限られていていてもよい。
【0026】
また、昇降台30L,30Rの搬送面は、昇降台30L,30Rの昇降により、待機ステーション24L,24Rの最下段から最上段までの任意の待機コンベヤ26の搬送面に整列させることができ、よって、昇降台30L,30Rと待機ステーション24L,24Rの所望の待機コンベヤ26との間での荷Pの受渡しが可能となっている。
【0027】
更に、図1〜図4に示す実施形態においては、各対の積層ラック12L,12R及び待機ステーション24L,24Rの下側に、外部搬送システム(図示しない)に接続されている入庫コンベヤ18と出庫コンベヤ20とが配置されている。より詳細には、図4に示すように、第2対の積層ラックのうちの左側の積層ラック12Lと第2対の待機ステーションのうちの左側の待機ステーション24Lの下側には、これらと平行に延びる入庫コンベヤ(第1のコンベヤ)18Lが配置されている。第2対の積層ラックのうちの右側の積層ラック12Rと第2対の待機ステーションのうちの右側の待機ステーション24Rの下側には、これらと平行に延びる入庫コンベヤ(第2のコンベヤ)18Rが配置されている。また、第1対の積層ラックのうちの左側の積層ラック12Lと第1対の待機ステーションのうちの左側の待機ステーション24Lの下側には、これらと平行に延びる出庫コンベヤ(第3のコンベヤ)20Lが配置されている。更に、第1対の積層ラックのうちの右側の積層ラック12Rと第1対の待機ステーションのうちの右側の待機ステーション24Rの下側には、これらと平行に延びる出庫コンベヤ(第4のコンベヤ)20Rが配置されている。
【0028】
昇降装置16の左側の昇降台30Lを最下位置まで下降させると、当該昇降台30Lの搬送面は左側の入庫コンベヤ18Lと出庫コンベヤ20Lの搬送面と整列される。よって、入庫コンベヤ18Lからの荷Pを昇降台30Lの上に載せることができ、また、そのままの状態で昇降台30Lの上の荷Pを出庫コンベヤ20Lに送り出すこともできる。昇降装置16の右側の昇降台30Rについても同様であり、当該昇降台30Rを最下位置まで下降させると、その搬送面は右側の入庫コンベヤ18Rと出庫コンベヤ20Rの搬送面と整列される。よって、荷Pを入庫コンベヤ18Rから昇降台30Rへ、また、昇降台30Rから出庫コンベヤ20Rに移動させることができる。
【0029】
このような構成の立体自動倉庫10においては、種々の運用方法が考えられるが、基本的な荷Pの流れについては次の通りである。
【0030】
(1)入庫
まず、入庫コンベヤ18から搬送されてきた荷Pが、対応の昇降台30に移載される。
【0031】
次いで、荷Pを保管する棚22の高さまで昇降台30を上昇させた後、隣接の待機コンベヤ26に移載する。ここで、昇降台30のコンベヤが正逆両方向に駆動可能であれば、昇降台に隣接する2つの待機コンベヤ26のどちらにでも荷Pを移載することが可能であるが、本実施形態では、図3に示すように、左側の昇降台30L上の荷Pについては、第1対の待機ステーション24L,24Rにおける左側の待機コンベヤ26Lにのみ移載可能とし、右側の昇降台30R上の荷Pについては、第2対の待機ステーション24L,24Rにおける右側の待機コンベヤ26Rにのみ移載可能としている。その理由は簡単には効率化及び簡素化等のためであるが、以下で更に明らかとなろう。
【0032】
待機コンベヤ26に移載された荷Pは、その段の移載シャトル14により、隣接の積層ラック12における棚22の収容位置へと運ばれ、収容・保管される。すなわち、左側の昇降台30Lの荷Pは、第1対の積層ラック12L,12Rにて保管され、右側の昇降台30Rの荷Pは、第2対の積層ラック12L,12Rにて保管されることになる。
【0033】
(2)出庫
本実施形態では、出庫の場合、第1対の積層ラック12L,12Rで保管されていた荷Pについては、まず、移載シャトル14により第1対の待機ステーション24L,24Rにおける右側の待機コンベヤ26Rへと移動され、そこで一旦待機される。一方、第2対の積層ラック12L,12Rで保管されていた荷Pは、第2対の待機ステーション24L,24Rにおける左側の待機コンベヤ26Lに移動される。
【0034】
そして、待機コンベヤ26上の荷Pは、当該待機コンベヤ26と整列された昇降台30に移載される。この後、昇降台30は最下位置まで下降され、出庫コンベヤ20に荷Pを送り出すのである。
【0035】
(3)待機コンベヤ・昇降台間の荷の移載
図3から理解される通り、本実施形態では、第2対の待機ステーション24L,24Rにおける左側の待機コンベヤ26Lと、左側の昇降台30Lのコンベヤ、及び、第1対の待機ステーション24L,24Rにおける左側の待機コンベヤ26Lは一直線状に整列させることができ、かつ、その搬送方向が矢印A方向の一方向に固定されている。このため、入庫用の荷Pが昇降台30Lの上にあり、出庫用の荷Pが第2対の待機ステーション24L,24Rにおける左側の待機コンベヤ26L上で待機している場合には、これらのコンベヤを一斉に駆動させることで、入庫用の荷Pの待機コンベヤ26Lへの移載と、出庫用の荷Pの昇降台30Lへの移載を同時に行うことができる。
【0036】
また、第1対の待機ステーション24L,24Rにおける右側の待機コンベヤ26Rと、右側の昇降台30Rのコンベヤ、及び、第2対の待機ステーション24L,24Rにおける右側の待機コンベヤ26Rも一直線状に整列させることが可能であり、かつ、その搬送方向が矢印B方向の一方向に固定されている。したがって、前記と同様に、入庫用の荷Pが昇降台30Rの上にあり、出庫用の荷Pが第1対の待機ステーション24L,24Rにおける左側の待機コンベヤ26R上で待機している場合には、コンベヤを一斉に駆動させることで、入庫用の荷Pの待機コンベヤ26Rへの移載と、出庫用の荷Pの昇降台30Rへの移載を同時に行うことができる。
【0037】
(4)入出庫コンベヤ・昇降台間の荷の移載
各昇降台30は、それが最下位置にあるとき、入庫コンベヤ18と出庫コンベヤ20と一直線状に整列される。したがって、出庫用の荷Pが昇降台30の上にあり、入庫用の荷Pが入庫コンベヤ18上にあるとき、昇降台30のコンベヤ、入庫コンベヤ18及び出庫コンベヤ20を同時に矢印A方向に駆動させることで、出庫用の荷Pの出庫コンベヤ20への移載と、入庫用の荷Pの昇降台30への移載を同時に行うことができる。
【0038】
また、入庫コンベヤ18にて搬送されてきた荷Pを積層ラック12に収容することなく、直ぐに出庫コンベヤ20に送り出さなければならない場合もあるが、その場合には、入庫コンベヤ18から昇降台30を経て、出庫コンベヤ20にそのまま移動させることも可能である。
【0039】
上記(3)と(4)に記載したように、本実施形態では、1台の昇降台30により入庫と出庫の両方の仕事を同時に行わせることができる。また、昇降台30上の荷Pを送り出すのと同時に、別の荷Pがその昇降台30上に載せられるため、昇降台30が空の状態で昇降することが減じられる。このため、1基の昇降装置16だけでも効率良く荷Pを入出庫させることができ、2対の積層ラック及び2基の昇降装置が並列に配置された従来構成に匹敵する能力を発揮することが可能となる。また、2対の積層ラック12に対して1基の昇降装置16だけでよいため、収納量は従来構成と同等であるのに対して、立体自動倉庫10自体が簡素化され、設備コスト及び設置スペースを従来構成よりも低減することができる。高さ制限がある建屋への対応も可能となる。更に、荷Pの流れが一定化されることから、レイアウトがシンプルになり、かつ、厳密な順立て出庫が可能となり、これも能力の向上に寄与する。
【0040】
また、入庫コンベヤ18と出庫コンベヤ20は積層ラック12及び待機ステーション24の下側に配置されるため、この点でもスペース面において有利となる。
【0041】
以上、本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限られないことはいうまでもない。
【0042】
例えば、荷Pの流し方は種々考えられ、図5に示すように段毎に交互としてもよいし、加えて図5の(a)及び(b)から理解される通り、右側と左側の荷Pの流れ方向を逆向きにしてもよい。
【0043】
また、上記実施形態では、最下部に入庫コンベヤ18と出庫コンベヤ20を配置しているが、図6に示すように最上部に配置しても、図7に示すように中間部に配置してもよい。更に、図示しないが、左側に関しては、図1に示すように最下部に入庫コンベヤ18と出庫コンベヤ20を配置し、右側に関しては、図6に示すように最上部に入庫コンベヤ18と出庫コンベヤ20を配置してもよい。なお、図6と図7の構成では、荷Pの流し方は図1〜図4の構成と同じである。
【0044】
また、図8に示すように、左右それぞれの側について、入庫コンベヤ18と出庫コンベヤ20を上下に配置する構成も考えられる。なお、図8の構成では、荷Pの流し方は図5に示すものと同様であるが、図1〜図4の構成の流し方と同じようにしてもよい。
【0045】
更にまた、入庫コンベヤ18と出庫コンベヤ20が1本ずつしか設置できないような場合であっても、左側の昇降台30Lには入庫コンベヤ18を接続し、右側の昇降台30Rには出庫コンベヤ20を接続するような構成を採ることも可能である(図示しない)。
【0046】
なお、上記実施形態は積層ラックが2対のみの基本単位となっている。したがって、これらを複数、並列に配置した構成も本発明の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0047】
10… 立体自動倉庫、12…積層ラック、14…移載シャトル、16…昇降装置、18…入庫コンベヤ、20…出庫コンベヤ、22…棚、24…待機ステーション、26…待機コンベヤ、28…マスト、30…昇降台


【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数段の棚(22)を有し、互いに平行に対向配置された第1対の積層ラック(12L,12R)と、
前記第1対の積層ラック(12L,12R)のそれぞれの一端に隣接して配置され、前記棚(22)と同段数の待機コンベヤ(26L,26R)を有する第1対の待機ステーション(24L,24R)と、
前記第1対の積層ラック(12L,12R)間、及び、前記第1対の待機ステーション(24L,24R)間にて、前記棚(22)及び前記待機コンベヤ(26L,26R)の各段毎に又は数段毎に水平方向に走行可能に設けられた、前記棚(22)及び前記待機コンベヤ(26L,26R)に対して荷(P)の受渡しを行う第1の移載シャトル(14)と、
複数段の棚(22)を有し、互いに平行に対向配置された第2対の積層ラック(12L,12R)であり、前記第1対の積層ラック(12L,12R)との間に前記第1対の待機ステーション(24L,24R)が配置されるよう、前記第1対の積層ラック(12L,12R)に対して直列に配置された前記第2対の積層ラック(12L,12R)と、
前記第2対の積層ラック(12L,12R)のそれぞれの、前記第1対の待機ステーション(24L,24R)の側の端部に隣接して配置され、前記第2対の積層ラック(12L,12R)における前記棚(22)と同段数の待機コンベヤ(26R,26L)を有する第2対の待機ステーション(24L,24R)と、
前記第2対の積層ラック(12L,12R)間、及び、前記第2対の待機ステーション(24L,24R)間にて、前記第2対の積層ラック(12L,12R)おける前記棚(22)及び前記第2対の待機ステーション(24L,24R)における前記待機コンベヤ(26L,26R)の各段毎に又は数段毎に水平方向に走行可能に設けられた、前記第2対の積層ラック(12L,12R)おける前記棚(22)及び前記第2対の待機ステーション(24L,24R)における前記待機コンベヤ(26L,26R)に対して荷(P)の受渡しを行う第2の移載シャトル(14)と、
前記第1対の待機ステーション(24L,24R)と前記第2対の待機ステーション(24L,24R)との間に配置された昇降装置(16)であり、前記第1対の待機ステーション(24L,24R)及び前記第2対の待機ステーション(24L,24R)のそれぞれにおける一方の側の前記待機コンベヤ(26L)に対して荷(P)の受渡しを行う第1の昇降台(30L)と、前記第1対の待機ステーション(24L,24R)及び前記第2対の待機ステーション(24L,24R)のそれぞれにおける他方の側の前記待機コンベヤ(26R)に対して荷(P)の受渡しを行う第2の昇降台(30R)とを有する前記昇降装置(16)と、
前記第1の昇降台(30L)に対して荷(P)の受渡しを行う第1のコンベヤ(18L)と、
前記第2の昇降台(30R)に対して荷(P)の受渡しを行う第2のコンベヤ(18R)と
を備える立体自動倉庫(10)。
【請求項2】
前記第1対の待機ステーション(24L,24R)における各段の前記待機コンベヤ(26L,26R)が、前記第2対の待機ステーション(24L,24R)における対応の段の前記待機コンベヤ(26L,26R)と整列されており、前記第1の昇降台(30L)及び前記第2の昇降台(30R)が、互いに対向している前記待機コンベヤ(26L,26R)間に配置されたとき、これらの待機コンベヤ(26L,26R)と連続する搬送面を形成するようになっている、請求項1に記載の立体自動倉庫。
【請求項3】
前記第1対の待機ステーション(24L,24R)のうち一方の待機ステーション(24L)が入庫用であり、これと同側にある前記第2対の待機ステーション(24L,24R)のうちの一方の待機ステーション(24L)が出庫用であり、
前記第1対の待機ステーション(24L,24R)のうち他方の待機ステーション(24R)が出庫用であり、これと同側にある前記第2対の待機ステーション(24L,24R)のうちの他方の待機ステーション(24R)が入庫用である、請求項1又は2に記載の立体自動倉庫。
【請求項4】
前記第1の昇降台(30L)に対して荷(P)の受渡しを行う第3のコンベヤ(20L)と、
前記第2の昇降台(30R)に対して荷(P)の受渡しを行う第4のコンベヤ(20R)と
を更に備え、
前記第1のコンベヤ(18L)及び前記第2のコンベヤ(18R)が入庫用であり、前記第3のコンベヤ(20L)及び前記第4のコンベヤ(20R)が出庫用であり、
前記第1の昇降台(30L)が所定の高さにあるとき、前記第1のコンベヤ(18L)、前記第1の昇降台(30L)及び前記第3のコンベヤ(20L)が連続する搬送面を形成し、
前記第2の昇降台(30R)が所定の高さにあるとき、前記第2のコンベヤ(18R)、前記第2の昇降台(30R)及び前記第4のコンベヤ(20R)が連続する搬送面を形成するようになっている、請求項1〜3のいずれか一項に記載の立体自動倉庫。
【請求項5】
複数段の棚を有し、互いに平行に対向配置された1対の積層ラックを2対、前記棚の延びる方向に沿って直列に配置すると共に、前記2対の積層ラック間に昇降装置を配置して、該昇降装置を介して2対の積層ラックに対して荷の入出庫を行うよう構成した立体自動倉庫。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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