説明

立体表示装置用リモコンおよびマルチ画面立体表示システム

【課題】マルチ画面システムで立体表示を行おうとする場合などにおいて、複数の立体表示装置に共通する同期信号が存在しないため、シャッター眼鏡をかけて複数の立体表示装置を視聴する場合、複数の立体表示装置の各々に表示される全ての左眼用画像および右眼用画像とシャッター眼鏡の左右のシャッターの開閉との同期が保証されず、正しく立体表示を視聴することができない。
【解決手段】左目用/右目用画像を交互に表示する立体表示装置に、左目用/右目用画像の表示切替タイミングを示す第1の同期信号を送信する第1同期信号送信手段と、左目用/右目用シャッターが開閉されるシャッター眼鏡に、左目用/右目用画像の表示切替タイミングに同期して左目用/右目用シャッターの開閉タイミングを示す第2の同期信号を送信する第2同期信号送信手段とを有するリモコンを使うことで、マルチ画面立体表示システムを提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、立体表示装置に表示された画像をシャッター眼鏡で視聴する立体表示技術に関し、特に、リモコンにより立体表示装置を制御する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、画像表示技術における一分野として、画像表示装置と視聴用のシャッター眼鏡とを使用し、画像表示装置に交互に表示される左眼用画像および右眼用画像の表示に同期してシャッター眼鏡の左眼用シャターおよび右眼用シャッターを開閉することで立体画像を視聴可能にする立体表示システムが普及しつつある。
【0003】
この立体表示システムでは、画像表示装置に表示される左眼用画像および右眼用画像と同期させてシャッター眼鏡の左右のシャッターを開閉する技術が重要であり、シャッターの開閉に係わる制御技術の良否が立体画像の表示品質を直接左右することになる。
【0004】
このシャッターの開閉に係わる従来の制御技術としては、画像表示装置などに付設されたコントローラ、アダプタおよび入出力ユニットからシャッター眼鏡に対してシャッターの開閉に係わる信号を送信し、シャッター眼鏡におけるシャッター開閉制御を行う方法などが開示されている(例えば、特許文献1〜3参照)。これらの事例では、表示装置からシャッター眼鏡に対して同期信号を送信することにより、立体表示に係わる表示装置における左眼用画像および右眼用画像の表示とシャッター眼鏡の左右のシャッターの開閉との同期を確保していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開昭62−227297号公報
【特許文献2】特開昭62−26997号公報
【特許文献2】特開2004−130026号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の立体表示装置からシャッター眼鏡に対して送信する同期信号は、特定の立体表示装置に表示される立体画像に係わる同期信号であり、特定の立体表示装置に固有の情報である。すなわち、マルチ画面システム(複数の表示装置で1つの画像を表示するシステム)で立体表示を行おうとする場合や複数の立体表示装置における立体表示画像を連携させて使用する場合などにおいて、複数の立体表示装置に共通する同期信号が存在しない。そのため、シャッター眼鏡をかけて複数の立体表示装置を視聴する場合、複数の立体表示装置の各々に表示される全ての左眼用画像および右眼用画像とシャッター眼鏡の左右のシャッターの開閉との同期が保証されず、正しく立体表示を視聴することができない。
【0007】
本発明は、上記の課題を解決することにより、高機能で汎用性に優れた立体表示装置用リモコンおよびマルチ画面立体表示システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明のリモコンは、左目用画像および右目用画像を交互に表示する立体表示装置に、左目用画像および右目用画像の表示切替タイミングを示す第1の同期信号を送信する第1同期信号送信手段と、左目用シャッターおよび右目用シャッターが開閉されるシャッター眼鏡に、立体表示装置に表示される左目用画像および右目用画像の表示切替タイミングに同期して左目用シャッターおよび右目用シャッターの開閉タイミングを示す第2の同期信号を送信する第2同期信号送信手段とを有することを特徴とする。
【0009】
このような構成により、複数の画像表示装置に対して、一括して左目用画像および右目用画像の表示切替の同期を確保することができ、このようなリモコンを使用することで複数の立体表示装置に表示される複数の画像から構成される立体画像をシャッター眼鏡で視聴することができる。
【0010】
また、本発明のリモコンは、第1の同期信号をリモコンの第1の特定コードまたは第1の所定コードの付加情報といったリモコンコードに割り当てることにより、第1の同期信号の送信においてリモコンの出力回路を利用することができ、第1の同期信号を送信するための出力回路をリモコンに新たに付設する必要がなく、回路構成を簡略化し、コストメリットの効果を発揮することができる。
【0011】
また、本発明のリモコンは、第2の同期信号をリモコンの第2の特定コードまたは第2の所定コードの付加情報といったリモコンコードに割り当てることにより、第2の同期信号の送信においてリモコンの出力回路を利用することができ、第2の同期信号を送信するための出力回路をリモコンに新たに付設する必要がなく、回路構成を簡略化し、コストメリットの効果を発揮することができる。
【0012】
また、本発明のマルチ画面立体表示システムは、1つの立体画像の一部分である部分立体画像の左目用画像および右目用画像を交互に表示する複数の立体表示装置と、1つの立体画像を表示するために複数の立体表示装置の各々に部分立体画像の左目用画像および右目用画像の表示切替タイミングを示す第3の同期信号を送信するリモコンから成る。
【0013】
このような構成により、1つの立体画像の一部分である部分立体画像の左目用画像および右目用画像を交互に表示する複数の立体表示装置の各々に対して、部分立体画像の左目用画像および右目用画像の表示切替タイミングを示す第3の同期信号を送信し、1つの立体画像を表示することが可能となる。そのため、部分立体画像を表示する複数の立体表示装置に対して、一括して左目用画像および右目用画像の表示切替の同期を確保することが可能になる。したがって、このようなリモコンを使用することで複数の立体表示装置に表示される部分立体画像から構成される1つの立体画像をシャッター眼鏡で視聴することができる。
【0014】
また、本発明のマルチ画面立体表示システムは、複数の立体表示装置の各々は、所定画面数の部分立体画像の左目用画像および右目用画像を表示時刻情報と共に記憶する記憶手段を有し、第3の同期信号を受信すると表示時刻情報と第3の同期信号とに基づいて記憶手段に記憶された表示すべき画像を選択して表示する。
【0015】
このような構成により、複数の立体表示装置の各々は、所定画面数の部分立体画像の左目用画像および右目用画像を表示時刻情報と共に記憶手段に記憶し、第3の同期信号を受信すると表示時刻情報と第3の同期信号とに基づいて記憶手段に記憶された表示すべき画像を選択して表示することが可能となる。そのため、複数の立体表示装置の各々は、リモコンから受信した表示時刻情報および同期信号に基づいて指定された時刻に表示すべき画像を容易かつ確実に選択して表示することができる。
【0016】
また、本発明のマルチ画面立体表示システムは、第3の同期信号がリモコンの第3の特定コードまたは第3の所定コードの付加情報といったリモコンコードに割り当てることにより、第3の同期信号の送信においてリモコンの出力回路を利用することができ、第3の同期信号を送信するための出力回路を新たに付設する必要がなく、回路構成を簡略化し、コストメリットの効果を発揮することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、複数の画像表示装置に対して、一括して左目用画像および右目用画像の表示切替の同期を確保することが可能となり、複数の立体表示装置を使用して一つの立体画像を表示するマルチ画面立体表示システムや複数の立体表示装置に表示された立体表示画像を連携させることのできる立体表示システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施の形態1のマルチ画面立体表示システムにおける立体表示装置、シャッター眼鏡およびリモコンの概観を示す斜視図である。
【図2】本発明の実施の形態1における立体表示装置、シャッター眼鏡およびリモコンの主要構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の実施の形態1における立体表示装置とシャッター眼鏡の同期動作を示すタイミングチャートである。
【図4】本発明の実施の形態1のリモコンの構成を示すブロック図である。
【図5】標準的なリモコンデータフォーマットの一例を示す図である。
【図6】テレビにおけるリモコンコードと内部ジョブの対応の例を示す図である。
【図7】本発明の実施の形態1の立体表示装置の第1同期信号受信処理を説明する図である。
【図8】本発明の実施の形態1におけるマルチ画面立体表示システムの説明図である。
【図9】本発明の実施の形態1におけるマルチ画面立体表示システムに対する比較例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に、本発明の実施の形態を図1〜図9を用いて説明する。
【0020】
なお、以下では、左右の視差画像の表示順を左眼用の次に右眼用として立体表示を行う場合について説明しているが、表示順を右眼用の次に左眼用としても良い。
【0021】
(実施の形態1)
図1は、本実施の形態1のマルチ画面立体表示システム(以下、「本システム」と略記する)1を構成する立体表示装置100、シャッター眼鏡200およびリモコン300の概観を示す斜視図である。
【0022】
本システム1は、マルチ画面立体画像の一部を表示する立体表示装置100、シャッター眼鏡(以下、「眼鏡」と略記する)200およびリモートコントロール装置(以下、「リモコン」と略記する)300を備えている。
【0023】
立体表示装置100は、表示部130および赤外線受光素子を有する赤外線受信部180を備え、表示部130には左眼用の画像(以下、「L画像」と略記する)と右眼用の画像(以下、「R画像」と略記する)を交互に表示することができ、赤外線受信部180でリモコン300から赤外線により送信されるL画像およびR画像(以下、「画像」と略記する)の表示開始タイミングを示す同期信号(以下、画像の表示開始タイミングを示す同期信号を「V同期信号」と略記する)を受信する。
【0024】
眼鏡200は、左眼用シャッター(以下、「左シャッター」と略記する)210a、右眼用シャッター(以下、「右シャッター」と略記する)210bおよび赤外線受光素子220を備えており、リモコン300から赤外線により送信されるシャッター切替同期信号を赤外線受光素子220で受信し、立体表示装置100に表示される画像と同期するように、左シャッター210aによって左眼に入射する光を制御し、右シャッター210bによって右眼に入射する光を制御することができる。
【0025】
左シャッター210aおよび右シャッター210bはそれぞれ光学フィルタ(図示せず)を備えており、赤外線受光素子220が受信した信号に基づいて入射する光のON(透過)/OFF(遮断)を制御することができる。なお、L画像とR画像は左眼と右眼の視差分だけ表示情報が異なっており、視聴者は表示される画像と同期して左シャッター210aと右シャッター210bが開閉される眼鏡200を介して画像を見ることで、立体表示装置100が表示するマルチ画面立体画像の一部を立体的な画像として知覚することができる。これにより、立体表示装置100と同様の本システム1における他の立体表示装置に表示される立体画像と共に1つの立体表示画像が眼鏡200を使って視聴することができる。
【0026】
リモコン300は、映像表示装置用の通常の機能を備えたリモコンを使用し、標準のリモコンデータフォーマットに準拠して、本システム1の同期制御に係わる特定のコードを設定し、設定したコードに対して内部ジョブの割り当てを行う。リモコン300の操作面には、機能別に配列された押しボタンとして、機能選択ボタン301、決定ボタン302、および決定ボタン302の周囲の上下左右に位置する4個の指向設定ボタン303を備えている。本システム1では、リモコン300から立体表示装置100およびシャッター眼鏡200に対してそれぞれ同期信号が発信され、立体表示装置100およびシャッター眼鏡200でリモコンから発信された同期信号(以下、「リモコン同期信号」と略記する)が受信される。なお、リモコン300の詳細な構成および機能については後述する。
【0027】
次に、立体表示装置100および眼鏡200の構成および機能について、図2、図3により説明する。
【0028】
図2は、本実施の形態1の立体表示装置100、眼鏡200およびリモコン300の主要構成を示すブロック図であり、図3は、立体表示装置100と眼鏡200の同期動作を示すタイミングチャートである。
【0029】
図2に示すように、立体表示装置100は、復号部110、信号処理部120、CPU140、メモリ150、クロック160、画像を表示する表示部130、リモコン300から送信されるリモコン信号である赤外線信号を受信する赤外線受信部180、および赤外線受信部180で受信したリモコン信号に対応した処理をするリモコン信号処理部170を備える。
【0030】
復号部110は、入力される符号化された画像信号を復号化して画像データを所定の様式で出力する。画像の符号化には、MPEG(Motion Picture Experts Group)−2や、MPEG−4、H264などの方式を使用する。
【0031】
信号処理部120は、復号部110から受信した画像データを立体画像として表示するための信号処理を行う。具体的には、復号部110で復号された画像からL画像およびR画像を抽出、または、復号された画像からL画像およびR画像を生成し、抽出または生成したL画像およびR画像を時間的に交互に表示部130に出力する。さらに、V同期信号を含む出力信号を生成して表示部130に送信する。また、信号処理部120はフレームメモリ121を備え、生成したL画像およびR画像を表示時刻情報と共にフレームメモリ121内のL画像メモリおよびR画像メモリ(いずれも図示せず)にそれぞれ記録し、読み出すことができる。
【0032】
CPU140は、メモリ150に記憶されたプログラムに従って外部からの入力信号に基づいて、立体表示装置100の全体の制御を行う。
【0033】
メモリ150は、CPU140が実行するプログラムやプログラム実行時に必要なデータを記憶する。メモリ150としては、RAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)など、汎用の記憶素子が使用される。
【0034】
クロック160は、立体表示装置100の動作基準となるクロック信号を供給する。
【0035】
表示部130は、信号処理部120から出力される画像を表示するものであり、CRT、液晶表示パネル(LCD)、プラズマディスプレイパネル(PDP)、有機ELなどである。
【0036】
一方、眼鏡200は、左シャッター210aと、右シャッター210bと、リモコン300から送信されてくるシャッター切替同期信号を受信する赤外線受光素子を有する赤外線受信部220と、シャッターの開閉制御を行う開閉制御部230、メモリ240、およびクロック250とを備える。
【0037】
開閉制御部230は、赤外線受信部220で受信したシャッター切替同期信号に基づいて、左シャッター210aおよび右シャッター210bの開閉指示をシャッター210に出力する。左シャッター210aおよび右シャッター210bは、利用者が眼鏡200を着用した際に、利用者の左眼および右眼に対応した位置にそれぞれ付設される。また、左シャッター210aおよび右シャッター210bは、それぞれ光の透過量を制御する光学フィルタ(図示せず)を備えており、開閉制御部230からの開閉指示に基づいて利用者の左眼および右眼に入射する光のON(入射)/OFF(遮断)を表示部130に交互に表示されるL画像およびR画像に同期するように制御され、利用者に所望の立体画像を視認させることができる。
【0038】
メモリ240は、CPU(図示せず)が実行するプログラムやプログラムの実行時に必要なデータを記憶する。
【0039】
クロック250は、眼鏡200の動作基準となるクロック信号を供給する。
【0040】
なお、本実施の形態1では、立体表示装置100および眼鏡200と、リモコン300との信号の送受信に赤外線を使用しているが、有線信号、他の無線信号、超音波などを使用することもできる。
【0041】
図3は、本実施の形態1における立体表示装置100に表示される画像と眼鏡200のシャッター開閉の同期動作を示すタイミングチャートである。
【0042】
図3に示すように、リモコン300が立体表示装置100に対してL画像およびR画像の表示切替タイミングを示す同期信号(以下、第1同期信号と略記する)を送信すると、立体表示装置100は第1同期信号を受信し、第1同期信号に基づいて表示部130にL画像およびR画像を交互に表示する。また、リモコン300は第1同期信号に基づいて眼鏡200の左シャッターおよび右シャッターの開閉タイミングを示す同期信号(以下、第2同期信号と略記する)を生成し、第1同期信号とタイミングを調整した上で、眼鏡200に対して第2同期信号の送信を行う。
【0043】
この結果、例えば、第1同期信号に基づくタイミングで立体表示装置100にL画像が表示されると、眼鏡200は第2同期信号に基づくタイミングで左シャッター210aを開き(透視状態)、右シャッター210bを閉じ(遮蔽状態)、利用者はL画像を左眼だけで見ることができる。
【0044】
同様に、第1同期信号に基づくタイミングで立体表示装置100にR画像が表示されると、眼鏡200は第2同期信号に基づくタイミングで右シャッター210bを開き(透視状態)、左シャッター210aが閉じ(遮蔽状態)、利用者はR画像を右眼だけで見ることができる。
【0045】
以後、リモコン300から送信された第1同期信号と第2同期信号に基き、L画像とR画像の表示切替タイミングに同期して眼鏡200の左シャッター210aと右シャッター210bの開閉が行われることにより、利用者は、眼鏡200を通して立体表示装置100の表示部130に表示される画像を立体的に視認することができる。なお、リモコン300から送信された第1同期信号は立体表示装置100に記憶され、立体表示装置100は記憶された第1同期信号に基いて自立的にL画像とR画像の表示切り替えを行う。眼鏡200についても同様である。
【0046】
図4は、本実施の形態1のリモコン300の構成を示すブロック図である。
【0047】
本システム1は、リモコン300から立体画像の表示に必要な第1同期信号および第2同期信号を送信し、リモコン300から送信された第1同期信号を立体表示装置100が受信し、第2同期信号を眼鏡200が受信することにより、立体画像表示における立体表示装置100と眼鏡200の同期制御を行う。
【0048】
リモコン300は、通常のテレビ用のリモコンとしての機能に係わる回路構成に加えて、立体表示装置100および眼鏡200に対する第1同期信号および第2同期信号の送信のために、同期信号生成部310、送信部320、メモリ330およびクロック340を備えている。なお、リモコン300は、本システム1における専用のリモコンであっても良い。
【0049】
メモリ330は、CPU(図示せず)が実行するプログラムやプログラム実行時に必要なデータを記憶する。メモリ330としては、RAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)など、汎用の記憶素子が使用される。
【0050】
クロック340は、リモコン300の同期信号生成部310が第1同期信号および第2同期信号を生成するのに必要なクロック信号を供給する。
【0051】
送信部320は、第1送信部321、第2送信部322、送信制御部323および二つの赤外線発光素子(図示せず)を備えている。
【0052】
同期信号生成部310は、メモリ330に記憶されたリモコン・フォーマットに係わる情報および同期信号の生成に係わるプログラムに基づいて立体表示装置100および眼鏡200に送信すべき第1同期信号および第2同期信号の生成を行い、送信部320に送信する。
【0053】
送信部320は、同期信号生成部310から受信した情報に基づき、第1送信部321において、立体表示装置100に対する第1同期信号を赤外線信号に変換して第1同期信号を赤外線発光素子(図示せず)から送信する。同様に、第2送信部322において、眼鏡200に対する第2同期信号を赤外線信号に変換して第2同期信号を赤外線発光素子(図示せず)から送信する。
【0054】
送信制御部323は、第1送信部321および第2送信部322から第1同期信号および第2同期信号を送信する際のタイミングの整合などを行う。
【0055】
次に、第1同期信号および第2同期信号のコードの設定について、図5、図6を用いて説明する。
【0056】
図5は標準的なリモコンデータフォーマットの例を示す図であり、図6はテレビにおけるリモコンコードと内部ジョブの対応の例を示す図である。
【0057】
例えば、リモコンの「1」のキーが押された場合には、図6に示すように、「10h」のコマンドデータがリモコンから送信され、内部ジョブとして「R_1」処理が行われて「1ch」を選局する制御が実行される。
【0058】
これに対して、本システム1のリモコン300では、図5に示す標準的なリモコンデータフォーマットに準拠した第1同期信号として、所定のリモコンデータの付加情報としてL画像またはR画像の表示タイミングに関するコマンドデータ(以下、「左右識別タイミング情報」と略記する)を割り当て、割り当てた所定のリモコンデータに対応する押しボタンを押し下げることにより、左右識別タイミング情報を立体表示装置100および眼鏡200に送信する。なお、左右識別タイミング情報を、新たに設定したリモコンの特定コード(任意に作成できる)に割り付けても良い。所定のリモコンデータの付加情報とする場合には、例えば図6において、「0」キーに対する内部ジョブとしてL画像表示を意味する「3D_L」を割り当てることにより、「0」キーの押し下げは左右識別タイミング情報としてのL画像表示を意味するリモコンデータと認識され、L画像の表示に係わる同期処理の制御を指示することになる。
【0059】
同様に、リモコン300から眼鏡200に送信する第2同期信号として、左シャッター210aの開放を意味するコマンドデータ「3D_G_L」を他の所定のリモコンデータの付加情報またはリモコンの特定コードに割り当てることができる。
【0060】
次に、リモコンから第1同期信号および第2同期信号を受信した立体表示装置100および眼鏡200の処理について説明する。
【0061】
図7は、立体表示装置100の第1同期信号受信処理を説明する図である。
【0062】
図7に示すように、立体表示装置100のリモコン信号処理部170は、リモコンコード識別部171、リモコン信号割り込み部172、同期信号生成部173および位相調整部174を備えている。
【0063】
赤外線受信部180がリモコン300から受信した第1同期信号としての立体表示装置100に対するL画像用同期信号は、リモコン信号処理部170のリモコンコード識別部171およびリモコン信号割り込み部172に入力される。
【0064】
リモコンコード識別部171で識別された情報(今の場合は、L画像用同期信号)は、リモコン信号割り込み部172で生成されるリモコン信号受信割り込み信号と共に、同期信号生成部173に送信され、割り込み処理が実行される。
【0065】
同期信号生成部173は、立体表示装置100においてL画像表示の基準となる同期信号を生成し、位相調整部174に送信する。
【0066】
位相調整部174は、信号処理部120内のフレームメモリ121に記憶されている表示時刻情報とL画像情報S1および同期信号生成部173から受信したL画像用同期信号に基づいてL画像情報S1の位相の調整を行う。図7に示すように、L画像情報S1の位相がL画像用同期信号に対してt1の位相差を有する場合には、位相調整部174においてt1の位相差の補正を行ってL画像用同期信号と同期したL画像情報S1aを表示時刻情報と共に信号処理部120に送信する。立体表示装置100と共にマルチ画面立体表示システムを構成する他の立体表示装置に表示されるL画像情報S2に対しても同様の画像位相調整を行う。
【0067】
このように、立体表示装置100は、第1同期信号に基づき、信号処理部120がフレームメモリ121から表示すべきL画像またはR画像を選択して読み出し、リモコン信号処理部170がL画像またはR画像の位相調整を行い、リモコン300から送信されたL画像またはR画像の表示切替タイミングを示す第1同期信号と同期してL画像およびR画像を交互に表示することができる。
【0068】
眼鏡200は、赤外線受信部220でリモコン300から送信された眼鏡200の左右のシャッター210の開閉タイミングを示す第2同期信号を受信し、左右のシャッター210の開閉を制御するための同期信号を開閉制御部230に送信する。これにより、眼鏡200は、リモコン300から送信された第2リモコン同期信号に基づいて、立体画像の視聴に係わるシャッター210の開閉制御を行うことができる。
【0069】
なお、眼鏡200がリモコン300からの第2同期信号を受信できない場合には、立体表示装置100においてリモコン300からの第1同期信号に基づくL画像またはR画像の位相補正の情報から眼鏡200のシャッター開閉用の同期信号を生成し、眼鏡200に送信することもできる。なお、立体表示装置100から眼鏡200へのシャッター開閉用の同期信号の送信は従来の立体表示システムと同様なので、説明は省略する。
【0070】
次に、以上に述べた本システム1を応用して得られるマルチ画面立体表示システムについて説明する。
【0071】
図8は、本発明の実施の形態1におけるマルチ画面立体表示システムの説明図である。
【0072】
本システム1において、リモコン300は、1つの立体画像を表示するために複数の立体表示装置100の各々に表示される部分立体画像のL画像およびR画像の表示切替タイミングを示すための第3の同期信号(以下、「第3同期信号」と略記する)を送信する。
【0073】
リモコン300において、立体表示装置100に第1同期信号を送信するために第1の特定コードまたは第1の所定コードの付加情報が第1のリモコンコードとして割り当てられること、眼鏡200に第2同期信号を送信するために第2の特定コードまたは第2の所定コードの付加情報が第2のリモコンコードとして割り当てられることはすでに述べた。同様に、マルチ画面立体表示システムにおけるリモコン300には、複数の立体表示装置の各々に対して1つの立体画像を構成する部分立体画像のL画像およびR画像の表示切替タイミングを示す第3の同期信号を送信するために、第3の特定コードまたは第3の所定コードの付加情報が第3のリモコンコードとして割り当てられている。
【0074】
以下に、4台の立体表示装置100の各々に表示される4つの部分立体画像A1〜A4から構成される一つの立体画像Aを表示するマルチ画面立体表示システムについて説明する。
【0075】
図8に示すように、本マルチ画面立体表示システムは、1つの立体画像Aの一部分である部分立体画像A1〜A4のL画像およびR画像を交互に表示する立体表示装置100が4台備えられている。このような構成により立体画像Aを表示する場合、図8(a)に示すように、リモコン300から4台の立体表示装置100に送信される第3同期信号によって部分立体画像A1〜A4のL画像およびR画像の表示切替タイミングの位相が調整される。一方、リモコン300から眼鏡200に送信される第2同期信号によって眼鏡200の左右のシャッター開閉のタイミングが部分立体画像A1〜A4のL画像およびR画像の表示切替タイミングに同期させられる。これにより、4台の立体表示装置100に表示される立体映像A(図8(b))を、眼鏡200を介して正しい立体映像Aa(図8(c))として見ることができる。なお、立体映像Aは期間V1(図8(a))において4台の立体表示装置100に表示される映像であり、立体映像Aaは同じ期間V1において眼鏡200を介して左眼で見る立体映像を示す。
【0076】
図9は、上記マルチ画面立体表示システムに対して、4台の立体表示装置100に表示される映像の同期がとれていない場合の比較例を示す図である。
【0077】
図9に示すように、部分立体画像A1〜A4のL画像およびR画像の表示切替タイミングが揃っておらず、部分立体映像A1のL画像およびR画像の表示切替タイミングだけが眼鏡200の左右のシャッター開閉タイミングと揃っている場合には、4台の立体表示装置100に表示される立体映像A(図9(b))を、眼鏡200を介して図8(c)に示したような正しい立体映像Aaとして見ることができず、図9(c)に立体映像Abとして模式的に示したように、部分立体映像A1だけが正しい立体映像となるが、部分立体映像A2〜A4は位相差のある映像となって全体として正しい立体映像Aaを見ることができない。
【0078】
図8に示したマルチ画面立体表示システムでは、部分立体画像A1〜A4のL画像およびR画像の表示切替タイミングが揃っていない場合に、リモコン300から第3同期信号を送信することで、4台の立体表示装置100の各位相調整部170がL画像およびR画像の表示切替タイミングの位相差を補正することで、部分立体画像A1〜A4のL画像およびR画像の表示切替タイミングを眼鏡200の左右のシャッター開閉タイミングに揃えることができ、マルチ画面による立体映像を正しく視聴することができる。
【0079】
なお、上記で記載したマルチ画面立体表示システムは、複数台の立体表示装置が密着して配列されるような形態に付いて述べたが、1台の立体表示装置が複数の画面に分割され、
分割画面の各々を独立の分割画面制御部が制御するような場合に、リモコンから受信した第3同期信号に対して、各々の分割画面制御部が複数台の立体表示装置の場合と同様な制御をすることで立体表示を行うような形態であっても良い。
【0080】
なお、上記実施の形態に記載した第1同期信号〜第3同期信号は、その内の少なくとも2つあるいは3つが同一の同期信号であって、立体表示装置と眼鏡との同期および複数台の立体表示装置と眼鏡との同期を1つのリモコンコードで制御できるようにしても良い。
【0081】
以上に述べた通り、本発明によれば、一括して複数の立体画像のL画像およびR画像の表示切替タイミングとシャッター眼鏡の左右のシャッター開閉タイミングの同期を確保することができ、複数の立体表示装置を使用して一つの立体画像を表示するマルチ画面立体表示システムや複数の立体表示装置に表示された立体表示画像を連携させることのできる立体表示システムを提供することができる。
【0082】
また、通常のリモコンに対して複数の立体表示装置やシャッター眼鏡に送信する同期信号に対応したリモコンコードを割り当てることで、比較的簡単にマルチ画面立体表示システムを構成することができる。
【産業上の利用可能性】
【0083】
本発明の立体表示装置用リモコンおよびマルチ画面立体表示システムは、複数の表示装置、シャッター眼鏡、および複数の表示装置に表示される複数の立体画像とシャッター眼鏡との同期を確保するリモコンとを使った立体画像表示システムに適用できる。
【符号の説明】
【0084】
1 立体表示システム
100 立体表示装置
110 復号部
120 信号処理部
121 フレームメモリ
130 表示部
140 CPU
180,220 赤外線受信部
150,240,330 メモリ
160,250,340 クロック
170 リモコン信号処理部
171 リモコンコード識別部
172 リモコン信号割り込み部
173 同期信号生成部
174 位相調整部
200 シャッター眼鏡
210a 左眼用シャッター
210b 右眼用シャッター
230 開閉制御部
300 リモコン
310 同期信号生成部
320 送信部
321 第1送信部
322 第2送信部
323 送信制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
左目用画像および右目用画像を交互に表示する立体表示装置に、前記左目用画像および前記右目用画像の表示切替タイミングを示す第1の同期信号を送信する第1同期信号送信手段と、
左目用シャッターおよび右目用シャッターが開閉されるシャッター眼鏡に、前記立体表示装置に表示される前記左目用画像および前記右目用画像の表示切替タイミングに同期して前記左目用シャッターおよび前記右目用シャッターの開閉タイミングを示す第2の同期信号を送信する第2同期信号送信手段と
を有するリモコン。
【請求項2】
前記第1の同期信号が前記リモコンの第1の特定コードまたは第1の所定コードの付加情報である請求項1に記載のリモコン。
【請求項3】
前記第2の同期信号が前記リモコンの第2の特定コードまたは第2の所定コードの付加情報である請求項1または請求項2に記載のリモコン。
【請求項4】
左目用画像および右目用画像を交互に表示する立体表示装置に、前記左目用画像および前記右目用画像の表示切替タイミングと、
左目用シャッターおよび右目用シャッターが開閉されるシャッター眼鏡に、前記立体表示装置に表示される前記左目用画像および前記右目用画像の表示切替タイミングに同期して前記左目用シャッターおよび前記右目用シャッターの開閉タイミングとを
示す同期信号を送信する同期信号送信手段
を有するリモコン。
【請求項5】
前記同期信号が前記リモコンの特定コードまたは所定コードの付加情報である請求項4に記載のリモコン。
【請求項6】
1つの立体画像の一部分である部分立体画像の左目用画像および右目用画像を交互に表示する複数の立体表示装置と、
前記1つの立体画像を表示するために前記複数の立体表示装置の各々に前記部分立体画像の左目用画像および右目用画像の表示切替タイミングを示す第3の同期信号を送信するリモコンと
から成るマルチ画面立体表示システム。
【請求項7】
前記複数の立体表示装置の各々は、所定画面数の部分立体画像の左目用画像および右目用画像を表示時刻情報と共に記憶する記憶手段を有し、前記第3の同期信号を受信すると前記表示時刻情報と前記第3の同期信号とに基づいて前記記憶手段に記憶された表示すべき画像を選択して表示する請求項6記載のマルチ画面立体表示システム。
【請求項8】
前記第3の同期信号が前記リモコンの第3の特定コードまたは第3の所定コードの付加情報である請求項6または請求項7に記載のマルチ画面立体表示システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−42194(P2013−42194A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−279157(P2009−279157)
【出願日】平成21年12月9日(2009.12.9)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】