説明

立体表示装置

【課題】解像度を低下させることなく、立体画像を表示する。
【解決手段】表示画素が複数配列された面状の表示画素部2と、前記表示画素部の前面に、所定の間隔を保持して配列された複数の長尺状の遮光板3と、前記表示画素部に右眼用の画像と左眼用の画像とを交互に表示する制御部とを備える。表示画素部は遮光板が延在する方向と平行する回転軸4を備え、回転軸を回転支点として回動可能に構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話、携帯情報端末、デジタルカメラ、デジタルフォトフレーム等に用いられ、画像を立体的に表示する立体表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の立体表示装置は、レンチキュラーレンズをディスプレイの前面に配設し、視者の左右の眼に入る画像を分離して、偏光めがねを用いることなく立体画像を表示するレンチキュラーレンズ方式を採用しているものがある(例えば、特許文献1参照)。このレンチキュラーレンズ方式では、二つ以上の方向から撮影した多視点画像を画素単位で短冊状に切断し、交互に並べ直した画像の上に、細長いかまぼこ型の凸レンズが並んだレンズアレイとしてのレンチキュラーレンズを被せることにより、見る角度によって画像を切り替えて立体画像を表示するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7−322301号公報(段落「0017」、段落「0018」、図3)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した従来の技術においては、レンチキュラーレンズの細長いかまぼこ型の一つの凸レンズに対して複数の画素からなる短冊状の画像を配置する必要があり、携帯電話等の小型ディスプレイ上に多くの情報を高解像度で表示する装置では、小さな画素に合わせて微小な凸レンズを形成することは困難であり、一つの凸レンズに対して多数の画素からなる短冊状の画像を配置するため、画素数に対する凸レンズのピッチが粗くなり解像度が低下してしまうという問題がある。
本発明は、このような問題を解決することを課題とし、解像度を低下させることなく、立体画像を表示することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
そのため、本発明は、表示画素が複数配列された面状の表示画素部と、前記表示画素部の前面に、所定の間隔を保持して配列された複数の長尺状の遮光板と、前記表示画素部に右眼用の画像と左眼用の画像とを交互に表示する制御部とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
このようにした本発明は、解像度を低下させることなく、立体画像を表示することができるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】第1の実施例における立体表示装置の構成を示す上面図
【図2】第1の実施例における立体表示装置の動作を示す説明図
【図3】第1の実施例における立体表示装置の構成を示す斜視図
【図4】第1の実施例における立体表示装置の遮光板の構成を示す上面図
【図5】第1の実施例における立体表示装置の制御構成を示すブロック図
【図6】第2の実施例における立体表示装置の構成を示す上面図
【図7】第2の実施例における立体表示装置のカメラの撮影画像を示す説明図
【図8】第2の実施例における立体表示装置の制御構成を示すブロック図
【図9】第3の実施例における立体表示装置の制御構成を示すブロック図
【図10】第4の実施例における立体表示装置の構成を示す上面図
【図11】第4の実施例における立体表示装置の制御構成を示すブロック図
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して本発明による立体表示装置の実施例を説明する。
【実施例1】
【0009】
図1は第1の実施例における立体表示装置の構成を示す上面図である。
図1において、1は立体表示装置であり、表示画素部2、遮光板3、回転軸4、アクチュエータ5、および角度検出センサ6から構成されている。
【0010】
表示画素部2は、面状に形成され、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイまたはCRT(Cathode Ray Tube)等の表示素子としての表示画素が格子状等に複数配列されたものである。この表示画素部2は、視者10の視線(右眼11の視線11a、左眼12の視線12a)と、表示画素が配列された一方向(例えば、水平方向)とが成す角を変化させるため、回転軸4を回転支点として図中矢印Aおよび矢印Bが示す方向に回動可能に構成されている。
【0011】
遮光板3は、表示画素部2の前面に、その前面に対して直交し、所定の間隔を保持して複数取り付けられ、可視角を狭くするための長尺板状の遮光性を有するフィルタである。この遮光板3は、表示画素部2の表示画素が配列された上記一方向に直交する方向(例えば、水平面に垂直な鉛直方向)に延在するように表示画素部2の前面に所定の高さ(表示画素部2から先端までの距離)、所定の間隔(隣り合う遮光板3の距離)を保持して配設されている。
したがって、表示画素部2の正面からは表示画素部2に映し出された画像を視認することができるが、所定の角度を超えた横方向からは遮光板3により表示画素部2に映し出された画像を視認することができないようになっている。
【0012】
回転軸4は、表示画素部2の表示画素が配列された上記一方向に直交する方向、すなわち遮光板3が延在する方向と平行する方向(例えば、水平面に垂直な鉛直方向)に設けられ、表示画素部2を回転可能に支持するものである。本実施例では、回転軸4を表示画素部2の中央部に設けた例で説明するが、表示画素部2を回動させることができれば回転軸4の配置はどこにあっても良い。
なお、本実施例では、回転軸4を水平面に垂直な鉛直方向に配設した例で説明するが、それに限られることなく、視者10の視線と直交し、かつ視者10の右眼11と左眼12とを結ぶ方向と直交する方向に配設されていれば良い。
【0013】
アクチュエータ5は、表示画素部2を図中矢印Aおよび矢印Bが示す方向に回動させる回転駆動源としてのモータ等である。このアクチュエータ5は、表示画素部2の回転角を制御することができるものである。このように回転軸4およびアクチュエータ5により表示画素部2の回転機構を構成している。
角度検出センサ6は、アクチュエータ5により回転した表示画素部2の回転角を検出する光学式センサ等である。この角度検出センサ6およびアクチュエータ5により、表示画素部2を所望の回転角で回転させることができるようになっている。
【0014】
このように構成された立体表示装置1は、図2に示すように視者10の右眼11と左眼12との中点と回転軸4とを結ぶ線10aと、右眼11と回転軸4とを結ぶ視線11aとの角度をα、また視者10の右眼11と左眼12との中点と回転軸4とを結ぶ線10aと、左眼12と回転軸4とを結ぶ視線12aとの角度をαとすると、表示画素部2を線10aと直交する位置から矢印Aが示す方向に角度αおよび矢印Bが示す方向に角度αだけ回転させることができるようになっている。
【0015】
図3は第1の実施例における立体表示装置の構成を示す斜視図、図4は第1の実施例における立体表示装置の遮光板の構成を示す上面図である。
図3において、遮光板3は、覗き見防止用フィルム等と同様の構成であり、ルーバー状に形成されたものである。この遮光板3は、回転軸4に平行して表示画素部2の前面に配置され、遮光板3と、表示画素部2との接着部と隣り合う遮光板3の先端とを結ぶ平面とが成す角度βが、図2に示す角度αより小さくなるように、その高さおよび間隔が保持されて形成されている。すなわち、遮光板3は、表示画素部2との接着部と、隣り合う遮光板3の先端とを結ぶ平面とが成す角度βが、図2に示す視者10の右眼11と左眼12との中点と表示画素部2の中央部とを結ぶ線10aと、視者10の右眼11または左眼12と表示画素部2の中央部とを結ぶ視線とが成す角度αより小さく形成されている。
【0016】
図4(a)は、図2に示す視者10の右眼11と左眼12との中点と回転軸4とを結ぶ線10aと直交する位置に配置された表示画素部2を矢印Aが示す方向に角度αだけ回転させた状態を示し、図4(b)は、図2に示す視者10の右眼11と左眼12との中点と回転軸4とを結ぶ線10aと直交する位置に配置された表示画素部2を矢印Bが示す方向に角度αだけ回転させた状態を示している。
【0017】
図4(a)が示すように、表示画素部2を矢印Aが示す方向に角度αだけ回転させると、図2に示す視者10の左眼12からは表示画素部2に映し出された映像を視認することができ、一方図2に示す視者10の右眼11からは遮光板3により表示画素部2に映し出された映像を視認することできない。
また、図4(b)が示すように、表示画素部2を矢印Bが示す方向に角度αだけ回転させると、図2に示す視者10の右眼11からは表示画素部2に映し出された映像を視認することができ、一方図2に示す視者10の左眼12からは遮光板3により表示画素部2に映し出された映像を視認することできない。
【0018】
このように表示画素部2を、図2に示す視者10の右眼11と左眼12との中点と回転軸4とを結ぶ線10aと、右眼11と回転軸4とを結ぶ視線11aとの角度α、また視者10の右眼11と左眼12との中点と回転軸4とを結ぶ線10aと、左眼12と回転軸4とを結ぶ視線12aとの角度αだけ、回転させることにより、視者の右眼または左眼だけに表示画素部2に映し出された画像を視認させることができる。
【0019】
図5は第1の実施例における立体表示装置の制御構成を示すブロック図である。
図5において、立体表示装置1の制御系は、CPU(Central Processing Unit)31、駆動回路32、角度検出回路33、入力部34、および画像入力部35により構成されている。
制御部としてのCPU31は、図示しないメモリ等の記憶手段に記憶された制御プログラムに基づいて立体表示装置1全体の動作を制御する中央演算処理装置である。
【0020】
駆動回路32は、CPU31の指示に基づいてアクチュエータ5を駆動して表示画素部2を所望の角度だけ回動させるものである。
角度検出回路33は、角度検出センサ6の入力信号に基づいて表示画素部2の回転角を検出するものである。
CPU31は、角度検出回路33が検出した表示画素部2の回転角に基づき駆動回路32を制御することにより、表示画素部2を所定の角度まで回動させることができるようになっている。なお、CPU31は図示しないタイマ等の計時手段を備えている。
【0021】
入力部34は、タッチパネル、キーボード、操作ボタン等の各種情報を入力するための入力手段である。本実施例では、入力部34は、図2に示す視者10の右眼11と左眼12との距離(間隔)L1および右眼11と左眼12との中点と回転軸4との距離L2の入力操作を受付けるものとする。
【0022】
画像入力部35は、右眼用の画像および左眼用の画像を画像データとして入力するものであり、例えば図示しない右眼用の画像および左眼用の画像を撮影するカメラが接続され、そのカメラで撮影された右眼用の画像および左眼用の画像を画像データとして入力するものである。また、画像入力部35は、カメラで撮影された右眼用の画像および左眼用の画像が記録されたハードディスク等の記憶手段からその右眼用の画像および左眼用の画像を画像データとして入力するものであっても良い。
【0023】
CPU31は、画像入力部35から入力された右眼用の画像データおよび左眼用の画像データに基づいて右眼用の画像および左眼用の画像を表示画素部2に選択的に交互に表示することができるようになっている。
【0024】
上述した構成の作用を図2および図5に基づいて説明する。
ステップ1:まず、立体表示装置1の入力部34で図2に示す視者10の右眼11と左眼12との距離(間隔)L1および右眼11と左眼12との中点と回転軸4との距離L2の入力操作を受付ける。
ステップ2:CPU31は、入力された距離L1および距離L2から角度αを算出する。なお、角度αは、tanα=(距離L1/2)/距離L2から算出する。すなわち、CPU31は、入力部34で入力された間隔L1および距離L2から、遮光板3と視者の右眼と回転軸4とを結ぶ視線とが並行するまでの角度αおよび遮光板3と視者の左眼と回転軸4とを結ぶ視線とが並行するまでの角度αを導出する。
【0025】
ステップ3:CPU31は、図4(b)に示すように、視者10の右眼11と左眼12との中点と回転軸4とを結ぶ線10aと、遮光板3との角度が算出した角度αとなるように(例えば、角度αだけ)表示画素部2を図2中の矢印Bが示す方向に回転させる指示を駆動回路32に出力して、表示画素部2の遮光板3が右眼11と回転軸4とを結ぶ視線11aと並行するようにする。
ステップ4:CPU31は、角度αだけ表示画素部2を図2中の矢印Bが示す方向に回転させたことを、角度検出センサ6を介して角度検出回路35で検出すると、駆動回路32による回転を停止し、画像入力部35から入力した右眼用の画像を表示画素部2に表示させ、所定時間が経過するとその表示を消灯する。
【0026】
このように、遮光板3が右眼11と回転軸4とを結ぶ視線11aと並行するように表示画素部2を回動させて停止させたとき、右眼用の画像を表示画素部2に表示させることにより、視者10の右眼11では表示画素部2に表示された右眼用の画像を視認することができ、一方視者10の左眼12では遮光板3により右眼用の画像を視認できないようにする。
【0027】
ステップ5:次に、CPU31は、図4(a)に示すように、視者10の右眼11と左眼12との中点と回転軸4とを結ぶ線10aと、遮光板3との角度が算出した角度αとなるように(例えば、角度2αだけ)、表示画素部2を図2中の矢印Aが示す方向に回転させる指示を駆動回路32に出力して、表示画素部2の遮光板3が左眼12と回転軸4とを結ぶ視線12aと並行するようにする。
【0028】
ステップ6:CPU31は、角度2αだけ表示画素部2を図2中の矢印Aが示す方向に回転させたことを、角度検出センサ6を介して角度検出回路35で検出すると、駆動回路32による回転を停止し、画像入力部35から入力した左眼用の画像を表示画素部2に表示させ、所定時間が経過するとその表示を消灯する。
【0029】
このように、遮光板3が左眼12と回転軸4とを結ぶ視線12aと並行するように表示画素部2を回動させて停止させたとき、左眼用の画像を表示画素部2に表示させることにより、視者10の左眼12では表示画素部2に表示された左眼用の画像を視認することができ、一方視者10の右眼11では遮光板3により左眼用の画像を視認できないようにする。
【0030】
立体表示装置1は、上述したステップ3からステップ6の動作を繰り返し、遮光板3が右眼11と回転軸4とを結ぶ視線11aと並行するように表示画素部2を回動させて停止させたとき、右眼用の画像を表示画素部2に表示させて、視者10の右眼11で表示画素部2に表示された右眼用の画像を視認させ、また遮光板3が左眼12と回転軸4とを結ぶ視線12aと並行するように表示画素部2を回動させて停止させたとき、左眼用の画像を表示画素部2に表示させて、視者10の左眼12で表示画素部2に表示された左眼用の画像を視認させる動作を繰り返すことにより、立体画像を表示することができる。
【0031】
以上説明したように、第1の実施例では、遮光板が、視者の右眼と回転軸(表示画素部の中央部)とを結ぶ視線と平行するように表示画素部を回動させて停止させたとき、右眼用の画像を表示画素部に表示させて、また遮光板が、視者の左眼と回転軸(表示画素部の中央部)とを結ぶ視線と平行するように表示画素部を回動させて停止させたとき、左眼用の画像を表示画素部に表示させる動作を繰り返すことにより、偏光めがねを用いることなく、立体画像を表示することができるという効果が得られる。
【0032】
また、レンチキュラーレンズ等のレンズを用いていないため、解像度を低下させることなく高解像度の立体画像を表示することができるという効果が得られる。
さらに、レンチキュラーレンズ等の精密なレンズを用いることなく、立体画像を表示することができるという効果が得られる。
【実施例2】
【0033】
図6は第2の実施例における立体表示装置の構成を示す上面図である。なお、上述した第1の実施例と同様の部分は、同一の符号を付してその説明を省略する。
図6において、立体表示装置1は、表示画素部2、遮光板3、回転軸4、アクチュエータ5、およびカメラ13から構成されている。なお、アクチュエータ5は第1の実施例と同様なので図示していない。
【0034】
画像取得手段としてのカメラ13は、表示画素部2の前面と直交する方向の視者の右眼および左眼を撮影するものであり、表示画素部2の前面を撮影するように回転軸4または表示画素部2に取り付けられ、表示画素部2の回動とともに回動するものである。このカメラ13は、表示画素部2の前面の方向に、中心線14aに対して同じ角度となるように左右両方向に視野範囲14を有し、視者10の右眼11および左眼12を撮影することができるようになっている。
【0035】
図7は第2の実施例における立体表示装置のカメラの撮影画像を示す説明図である。
図7(a)の画像51は、図6に示すカメラ13の視野14の中心線14aが視者10の左眼12に一致するように撮影した画像であり、画像51の中央52が視者10の左眼12に一致している様子を示している。
また、図7(b)の画像53は、図6に示すカメラ13の視野14の中心線14aが視者10の右眼11に一致するように撮影した画像であり、画像53の中央54が視者10の右眼11に一致している様子を示している。
【0036】
図8は第2の実施例における立体表示装置の制御構成を示すブロック図である。
図8において、立体表示装置1の制御系は、CPU31、駆動回路32、画像取込部63、顔(眼)認識部64、および画像入力部35により構成されている。
画像取込部63は、カメラ13で撮影した画像を画像データとして取り込み、その画像データを図示しないメモリ等の記憶手段に記憶するものである。
【0037】
顔(眼)認識部64は、画像取込部63が取り込んだ画像データを取得し、その画像データから視者の顔および眼を認識し、視者の眼の位置を検出するものである。すなわち、顔(眼)認識部64は、画像取得手段としてのカメラ13の撮影画像から視者の右眼および左眼を認識するものである。
CPU31は、駆動回路32を制御して表示画素部2およびカメラ13を回動させ、カメラ13の視野の中心線を顔(眼)認識部64で検出した視者の眼の位置に一致させることができるようになっている。
【0038】
上述した構成の作用を図6および図8に基づいて説明する。
ステップ1:まず、立体表示装置1のCPU31は、顔(眼)認識部64に対して画像取込部63を介してカメラ13から取り込んだ画像データに基づいて視者の眼の位置を検出することを要求する。
【0039】
ステップ2:CPU31は、顔(眼)認識部64で検出された視者の眼の位置から右眼の位置にカメラ13の視野14の中心線14aを一致させるように、表示画素部2およびカメラ13の回転方向を決定し、その回転方向に表示画素部2およびカメラ13を回転させる指示を駆動回路32に出力して、表示画素部2の遮光板3が、右眼11と回転軸4(カメラ13が取り付けられている表示画素部2の中央部)とを結ぶ視線と並行するようにする。
【0040】
ステップ3:CPU31は、表示画素部2およびカメラ13を回転させながら、随時、顔(眼)認識部64に対して画像取込部63を介してカメラ13から取り込んだ画像データに基づいて視者の眼の位置を検出することを要求し、図7(b)に示すように画像53の中央54が視者10の右眼11に一致、すなわちカメラ13で撮影した画像の中心線上に顔(眼)認識部64で認識した視者の右眼が位置したことを検出すると、駆動回路32による回転を停止し、画像入力部35から入力した右眼用の画像を表示画素部2に表示させ、所定時間が経過するとその表示を消灯する。
【0041】
このように、遮光板3が、右眼11と回転軸4(カメラ13が取り付けられている表示画素部2の中央部)とを結ぶ視線と並行するように表示画素部2を回動させて停止させたとき、右眼用の画像を表示画素部2に表示させることにより、視者10の右眼11では表示画素部2に表示された右眼用の画像を視認することができ、一方視者10の左眼12では遮光板3により右眼用の画像を視認できないようにする。
【0042】
ステップ4:CPU31は、顔(眼)認識部64で検出された視者の眼の位置から左眼の位置にカメラ13の視野14の中心線14aを一致させるように、表示画素部2およびカメラ13の回転方向を決定し、その回転方向に表示画素部2およびカメラ13を回転させる指示を駆動回路32に出力して、表示画素部2の遮光板3が、左眼12と回転軸4(カメラ13が取り付けられている表示画素部2の中央部)とを結ぶ視線と並行するようにする。
【0043】
ステップ5:CPU31は、表示画素部2およびカメラ13を回転させながら、随時、顔(眼)認識部64に対して画像取込部63を介してカメラ13から取り込んだ画像データに基づいて視者の眼の位置を検出することを要求し、図7(a)に示すように画像51の中央52が視者10の左眼12に一致、すなわちカメラ13で撮影した画像の中心線上に顔(眼)認識部64で認識した視者の左眼が位置したことを検出すると、駆動回路32による回転を停止し、画像入力部35から入力した左眼用の画像を表示画素部2に表示させ、所定時間が経過するとその表示を消灯する。
【0044】
このように、遮光板3が左眼12と回転軸4(カメラ13が取り付けられている表示画素部2の中央部)とを結ぶ視線と並行するように表示画素部2を回動させて停止させたとき、左眼用の画像を表示画素部2に表示させることにより、視者10の左眼12では表示画素部2に表示された左眼用の画像を視認することができ、一方視者10の右眼11では遮光板3により左眼用の画像を視認できないようにする。
【0045】
立体表示装置1は、上述したステップ2からステップ5の動作を繰り返し、遮光板3が右眼11と回転軸4(カメラ13が取り付けられている表示画素部2の中央部)とを結ぶ視線と並行するように表示画素部2を回動させて停止させたとき、右眼用の画像を表示画素部2に表示させて、視者10の右眼11で表示画素部2に表示された右眼用の画像を視認させ、また遮光板3が左眼12と回転軸4(カメラ13が取り付けられている表示画素部2の中央部)とを結ぶ視線と並行するように表示画素部2を回動させて停止させたとき、左眼用の画像を表示画素部2に表示させて、視者10の左眼12で表示画素部2に表示された左眼用の画像を視認させる動作を繰り返すことにより、立体画像を表示することができる。
【0046】
以上説明したように、第2の実施例では、駆動回路を制御して表示画素部およびカメラを回動させ、カメラの視野の中心線を顔(眼)認識部で検出した視者の眼の位置に一致させるようにしたことにより、視者と表示画素部との距離、視者の右眼と左眼との距離を予め入力することなく、立体画像を表示することができるという効果が得られる。
また、立体画像の表示中に視者の顔の位置が変わった場合であっても、その視者に対して立体画像を表示することができるという効果が得られる。
【実施例3】
【0047】
第3の実施例の構成は、第2の実施例の構成から表示画素部およびカメラを回転させるアクチュエータと駆動回路とを削除したものとしている。
図9は第3の実施例における立体表示装置の制御構成を示すブロック図である。なお、上述した第1および第2の実施例と同様の部分は、同一の符号を付してその説明を省略する。
図9において、立体表示装置1の制御系は、CPU31、画像取込部63、顔(眼)認識部64、および画像入力部35により構成されているが、そのCPU31、画像取込部63、顔(眼)認識部64、および画像入力部35は第2の実施例と同様である。
【0048】
上述した構成の作用を図9に基づいて図6を参照しながら説明する。
本実施例の立体表示装置は、表示画素部に回転軸が存在しない携帯電話や携帯情報端末等に用いられるものであり、視者が手で持って表示画素部を左右に回転させて立体画像を鑑賞するものである。
【0049】
ステップ1:まず、立体表示装置1のCPU31は、顔(眼)認識部64に対して画像取込部63を介してカメラ13から取り込んだ画像データに基づいて視者の眼の位置を検出することを要求する。
ステップ2:CPU31は、随時、顔(眼)認識部64に対して画像取込部63を介してカメラ13から取り込んだ画像データに基づいて視者の眼の位置を検出することを要求し、図7(b)に示すように画像53の中央54が視者10の右眼11に一致、すなわちカメラ13で撮影した画像の中心線上に顔(眼)認識部64で認識した視者の右眼が位置したことを検出すると、画像入力部35から入力した右眼用の画像を表示画素部2に表示させ、所定時間が経過するとその表示を消灯する。
【0050】
このように、カメラ13が撮影した画像の中心が視者10の右眼11と一致したとき、右眼用の画像を表示画素部2に表示させることにより、視者10の右眼11で表示画素部2に表示された右眼用の画像を視認することができるようにし、一方視者10の左眼12では遮光板3により右眼用の画像を視認できないようにする。
【0051】
ステップ3:次に、CPU31は、随時、顔(眼)認識部64に対して画像取込部63を介してカメラ13から取り込んだ画像データに基づいて視者の眼の位置を検出することを要求し、図7(a)に示すように画像51の中央52が視者10の左眼12に一致、すなわちカメラ13で撮影した画像の中心線上に顔(眼)認識部64で認識した視者の左眼が位置したことを検出すると、画像入力部35から入力した左眼用の画像を表示画素部2に表示させ、所定時間が経過するとその表示を消灯する。
【0052】
このように、カメラ13が撮影した画像の中心が視者10の左眼12と一致したとき、左眼用の画像を表示画素部2に表示させることにより、視者10の左眼12で表示画素部2に表示された左眼用の画像を視認することができるようにし、一方視者10の右眼11では遮光板3により左眼用の画像を視認できないようにする。
【0053】
立体表示装置1は、上述したステップ2およびステップ3の動作を繰り返し、カメラ13が撮影した画像の中心が視者10の右眼11と一致したとき、右眼用の画像を表示画素部2に表示させて、視者10の右眼11で表示画素部2に表示された右眼用の画像を視認させ、カメラ13が撮影した画像の中心が視者10の左眼12と一致したとき、左眼用の画像を表示画素部2に表示させて、視者10の左眼12で表示画素部2に表示された左眼用の画像を視認させる動作を繰り返すことにより、立体画像を表示することができる。
なお、上記のステップ2およびステップ3の順序は逆であっても良い。
【0054】
以上説明したように、第3の実施例では、回転軸やアクチュエータ等の表示画素部を回転させる機構を備えていない携帯電話や携帯情報端末等であっても立体画像を表示することができるという効果が得られる。
【実施例4】
【0055】
第4の実施例の構成は、第3の実施例の構成に対してカメラを削除し、タイミング通知部を追加したものとしている。
図10は第4の実施例における立体表示装置の構成を示す上面図、図11は第4の実施例における立体表示装置の制御構成を示すブロック図である。なお、上述した第3の実施例と同様の部分は、同一の符号を付してその説明を省略する。
図10において、立体表示装置1は、表示画素部2、遮光板3、およびタイミング通知部70から構成されている。
【0056】
タイミング通知部70は、右眼用の画像を表示画素部2に表示させたとき、および左眼用の画像を表示画素部2に表示させたとき、すなわち表示した画像を切替えたことを視者に通知するための出力手段であり、例えばスピーカ等の音出力手段やLED(Light Emitting Diode)等の光出力手段等である。
このタイミング通知部70は、出力する音や発光色を変化させて、表示画素部2に表示されている画像が右眼用の画像または左眼用の画像のいずれかであるか区別できるようにする。
なお、タイミング通知部70は、表示した画像を切替えたことを視者に通知することができれば、立体表示装置1のいずれの位置に設けられていても良い。
【0057】
図11において、立体表示装置1の制御系は、CPU31および上述したタイミング通知部70により構成されている。CPU31は、タイミング通知部70を制御して出力内容を変化させ、表示画素部2に表示されている画像が右眼用の画像または左眼用の画像のいずれかであるか区別できるように視者に通知する。
上述した構成の作用を図11に基づいて図10を参照しながら説明する。
【0058】
本実施例の立体表示装置は、表示画素部に回転軸が存在しない携帯電話や携帯情報端末等に用いられるものであり、視者が手で持って表示画素部を左右に回転させて立体画像を鑑賞するものである。
ステップ1:CPU31は、画像入力部35から入力した右眼用の画像を表示画素部2に表示させるとともに表示されている画像が右眼用の画像であることをタイミング通知部70へ通知する。
【0059】
ステップ2:表示されている画像が右眼用の画像であることの通知を受けたタイミング通知部70は、出力内容を変化させ、表示画素部2に表示されている画像が右眼用の画像であることを視者に通知する。CPU31は、所定時間が経過するとその表示を消灯する。
ステップ3:CPU31は、画像入力部35から入力した左眼用の画像を表示画素部2に表示させるとともに表示されている画像が左眼用の画像であることをタイミング通知部70へ通知する。
【0060】
ステップ4:表示されている画像が左眼用の画像であることの通知を受けたタイミング通知部70は、出力内容を変化させ、表示画素部2に表示されている画像が左眼用の画像であることを視者に通知する。CPU31は、所定時間が経過するとその表示を消灯する。
立体表示装置1は上述したステップ1からステップ4の動作を繰り返し、視者10がタイミング通知部70の出力内容に合わせて立体表示装置1の表示画素部2を左右に回転させる、すなわちタイミング通知部70の出力内容が右眼用の画像である場合、表示画素部2を右眼側に回転させ、一方タイミング通知部70の出力内容が左眼用の画像である場合、表示画素部2を左眼側に回転させことにより、立体画像を鑑賞することができる。
【0061】
なお、上記のステップ1、2およびステップ3、4の順序は逆であっても良い。また、右眼用および左眼用の画像の表示時間は、視者10が立体表示装置1の表示画素部2を左右に回転させることができる周期に相当する時間であり、視者10の操作によりその表示時間を立体表示装置1の記憶手段に設定することができるものとする。
【0062】
以上説明したように、第4の実施例では、回転軸やアクチュエータ等の表示画素部を回転させる機構を備えていない携帯電話や携帯情報端末等であっても、視者はタイミング通知部の出力内容に合わせて表示画素部を左右に回転させることにより、立体画像を鑑賞することができるという効果が得られる。
【0063】
なお、第1の実施例では、角度検出センサおよび角度検出回路で表示画素部の回転角を検出する例で説明したが、GPS(Global Positioning System)や方位(磁気)センサ、加速度センサ等を用いて回転角を導出することも可能である。
したがって、携帯電話や携帯情報端末等の視者が手に持って表示画素部を視認する場合、その表示画素部と視者の眼との距離は、例えば30cm程度として表示画素部を手で回転させてGPSや方位(磁気)センサ、加速度センサ等を用いて回転角を導出することも可能である。
【符号の説明】
【0064】
1 立体表示装置
2 表示画素部
3 遮光板
4 回転軸
5 アクチュエータ
6 角度検出センサ
13 カメラ
31 CPU
32 駆動回路
33 角度検出回路
34 入力部
35 画像入力部
63 画像取込部
64 顔(眼)認識部
70 タイミング通知部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示画素が複数配列された面状の表示画素部と、
前記表示画素部の前面に、所定の間隔を保持して配列された複数の長尺状の遮光板と、
前記表示画素部に右眼用の画像と左眼用の画像とを交互に表示する制御部とを備えたことを特徴とする立体表示装置。
【請求項2】
請求項1の立体表示装置において、
前記表示画素部は、前記遮光板が延在する方向と平行する回転軸を備え、
前記遮光板は、前記表示画素部の前面と直交して配設され、前記表示画素部との接着部と、隣り合う遮光板の先端とを結ぶ平面とが成す角度が、視者の右眼と左眼との中点と前記回転軸とを結ぶ線と、視者の右眼または左眼と前記回転軸とを結ぶ視線とが成す角度より小さく形成されていることを特徴とする立体表示装置。
【請求項3】
請求項2の立体表示装置において、
前記表示画素部は、前記回転軸と、回転駆動源とからなる回転機構を備え、
前記制御部は、前記回転機構により前記表示画素部を回動させ、
前記遮光板と、視者の右眼と前記回転軸とを結ぶ視線とが並行するまで回動させたとき、前記表示画素部に右眼用の画像を表示し、
前記遮光板と、視者の左眼と前記回転軸とを結ぶ視線とが並行するまで回動させたとき、前記表示画素部に左眼用の画像を表示することを特徴とする立体表示装置。
【請求項4】
請求項3の立体表示装置において、
視者の右眼と左眼との間隔および視者の右眼と左眼との中点と前記回転軸との距離を入力する入力部を備え、
前記制御部は、前記入力部で入力された前記間隔および前記距離から、前記遮光板と視者の右眼と前記回転軸とを結ぶ視線とが並行するまでの角度および前記遮光板と視者の左眼と前記回転軸とを結ぶ視線とが並行するまでの角度を導出し、導出した前記角度に基づいて前記表示画素部を回動させることを特徴とする立体表示装置。
【請求項5】
請求項3の立体表示装置において、
前記回転軸に取り付けられ前記表示画素部とともに回動し、前記表示画素部の前面と直交する方向の視者の右眼および左眼を撮影する画像取得手段と、
前記画像取得手段の撮影画像から視者の右眼および左眼を認識する眼認識部とを備え、
前記制御部は、前記画像取得手段が撮影した画像の中心線上に前記眼認識部で認識した視者の右眼が位置したとき、前記表示画素部に右眼用の画像を表示し、
前記画像取得手段が撮影した画像の中心線上に前記眼認識部で認識した視者の左眼が位置したとき、前記表示画素部に左眼用の画像を表示することを特徴とする立体表示装置。
【請求項6】
請求項1の立体表示装置において、
前記表示画素部の前面と直交する方向の視者の右眼および左眼を撮影する画像取得手段と、
前記画像取得手段の撮影画像から視者の右眼および左眼を認識する眼認識部とを備え、
前記制御部は、前記画像取得手段が撮影した画像の中心線上に前記眼認識部で認識した視者の右眼が位置したとき、前記表示画素部に右眼用の画像を表示し、
前記画像取得手段が撮影した画像の中心線上に前記眼認識部で認識した視者の左眼が位置したとき、前記表示画素部に左眼用の画像を表示することを特徴とする立体表示装置。
【請求項7】
請求項1の立体表示装置において、
前記制御部は、前記表示画素部に右眼用の画像を表示したとき、前記表示画素部に表示されている画像が右眼用の画像である旨を出力手段に出力し、前記表示画素部に左眼用の画像を表示したとき、前記表示画素部に表示されている画像が左眼用の画像である旨を出力手段に出力することを特徴とする立体表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−198385(P2012−198385A)
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−62516(P2011−62516)
【出願日】平成23年3月22日(2011.3.22)
【出願人】(591089556)株式会社 沖情報システムズ (276)
【Fターム(参考)】