説明

立体視用眼鏡、画像表示装置、画像表示システム及び制御方法

【課題】同期信号によって生じる他機器への干渉を軽減すること。
【解決手段】眼鏡20は、開状態又は閉状態になる右眼用のシャッター23Rと、開状態又は閉状態になる左眼用のシャッター23Lと、シャッター同期信号を受信する同期信号受信部21と、同期信号受信部21がシャッター同期信号として第1信号を受信すると、シャッター23Lを閉状態にするとともにシャッター23Rを開状態にし、同期信号受信部21がシャッター同期信号として第2信号を受信すると、シャッター23Rを閉状態にするとともにシャッター23Lを開状態にする制御部22とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、3D映像を立体的に見るための立体視用眼鏡に関する。
【背景技術】
【0002】
3D映像を利用者に知覚させるシステムとして、液晶シャッターを有する眼鏡(以下「立体視用眼鏡」という。)を用いたシステムが知られている。このシステムにおいて、画像表示装置は、右眼用画像と左眼用画像とを交互に表示する。立体視用眼鏡においては、画像表示装置における画像の切り替えと同期して右眼のシャッターと左眼のシャッターの開閉が制御される。特許文献1には、立体視用眼鏡を制御するための同期信号として4種類の同期信号が用いられることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−268449号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
3D映像を視聴する利用者は、画像表示装置を操作するためにリモートコントロール装置を用いる場合がある。また、より臨場感あふれる視聴をするためにヘッドホンを装着する場合もある。リモートコントロール装置は赤外線信号などにより無線通信を行うものが一般的である。また、ヘッドホンの中にも無線通信を行うワイヤレスヘッドホンが使われ始めている。このような、無線通信を行う他機器と、同期信号を送信する画像表示装置がともに使用された場合、信号が干渉することがある。信号が干渉すると、リモートコントロール装置は作動しにくくなり、又ヘッドホンの音にはノイズが入るなど、他機器の動作に支障が生じる。そこで、本発明は、同期信号によって生じる他機器への干渉を軽減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述の課題を解決するため、本発明は、開状態又は閉状態になる右眼用の第1シャッターと、開状態又は閉状態になる左眼用の第2シャッターと、同期信号を受信する受信部と、前記受信部が前記同期信号として第1信号を受信すると、前記第2シャッターを前記閉状態にするとともに前記第1シャッターを前記開状態にし、前記受信部が前記同期信号として第2信号を受信すると、前記第1シャッターを前記閉状態にするとともに前記第2シャッターを前記開状態にする制御部とを有する立体視用眼鏡を提供する。この立体視用眼鏡によれば、第1シャッター及び第2シャッターのうち片方のみが制御される同期信号が用いられた場合と比較して、同期信号によって生じる他機器への干渉を軽減させることができる。
【0006】
また、別の好ましい態様において、前記制御部は、前記受信部が前記同期信号として第3信号を受信すると、前記第1シャッターを前記開状態にし、前記受信部が前記同期信号として第4信号を受信すると、前記第1シャッターを前記閉状態にし、前記受信部が前記同期信号として第5信号を受信すると、前記第2シャッターを前記開状態にし、前記受信部が前記同期信号として第6信号を受信すると、前記第2シャッターを前記閉状態にすることを特徴とする。この立体視用眼鏡によれば、第1シャッター及び第2シャッターのうち片方のみが制御される同期信号を送信する画像表示装置、又は、第1シャッター及び第2シャッターの両方が制御される同期信号を送信する画像表示装置のいずれが用いられても、作動することができる。
【0007】
また、別の好ましい態様において、前記制御部は、前記第1信号に応じて、前記第2シャッターを前記閉状態に遷移させる動作を開始してから前記第1シャッターを前記開状態に遷移させる動作を開始するまでの遅延時間が第1時間である第1モードと、前記遅延時間が前記第1時間よりも長い第2時間である第2モードとを含む複数の動作モードの中から選択された一の動作モードで制御することを特徴とする。この立体視用眼鏡によれば、応答時間が異なる複数の画像表示装置について異なる遅延時間で第1シャッター及び第2シャッターの開閉状態を制御することができる。
【0008】
また、別の好ましい態様において、前記遅延時間は、フレームレート毎に決められており、前記第1信号及び前記第2信号は、前記フレームレート毎に定義されていることを特徴とする。この立体視用眼鏡によれば、画像表示装置のフレームレートに応じて、遅延時間を自動的に切り替えることができる。
【0009】
また、本発明は、開状態又は閉状態になる右眼用の第1シャッターと、開状態又は閉状態になる左眼用の第2シャッターと、同期信号を受信する受信部と、を有する立体視用眼鏡とともに用いられる画像表示装置であって、右眼用画像及び左眼用画像を時分割で表示する表示部と、前記表示部により前記右眼用画像が表示されるタイミングに応じて、前記同期信号として、前記第2シャッターを前記閉状態にするとともに前記第1シャッターを前記開状態にするための第1信号を前記立体視用眼鏡に送信し、前記表示部により前記左眼用画像が表示されるタイミングに応じて、前記同期信号として、前記第1シャッターを前記閉状態にするとともに前記第2シャッターを前記開状態にするための第2信号を前記立体視用眼鏡に送信する送信部とを有する画像表示装置を提供する。この画像表示装置によれば、第1シャッター及び第2シャッターのうち片方のみが制御される同期信号が用いられた場合と比較して、同期信号によって生じる他機器への干渉を軽減させることができる。
【0010】
また、本発明は、画像表示装置と、立体視用眼鏡とを有し、前記画像表示装置は、右眼用画像及び左眼用画像を時分割で表示する表示部と、前記表示部により前記右眼用画像が表示されるタイミングに応じて、同期信号として第1信号を前記立体視用眼鏡に送信し、前記表示部により前記左眼用画像が表示されるタイミングに応じて、前記同期信号として第2信号を前記立体視用眼鏡に送信する送信部とを有し、前記立体視用眼鏡は、開状態又は閉状態になる右眼用の第1シャッターと、開状態又は閉状態になる左眼用の第2シャッターと、前記同期信号を受信する受信部と、前記受信部が前記同期信号として第1信号を受信すると、前記第2シャッターを前記閉状態にするとともに前記第1シャッターを前記開状態にし、前記受信部が前記同期信号として第2信号を受信すると、前記第1シャッターを前記閉状態にするとともに前記第2シャッターを前記開状態にする制御部とを有する画像表示システムを提供する。この画像表示システムによれば、第1シャッター及び第2シャッターのうち片方のみが制御される同期信号が用いられた場合と比較して、同期信号によって生じる他機器への干渉を軽減させることができる。
【0011】
また、本発明は、画像表示装置が、右眼用画像及び左眼用画像を時分割で表示する工程と、前記画像表示装置が、前記右眼用画像を表示するタイミングに応じて、同期信号として第1信号を立体視用眼鏡に送信し、前記左眼用画像を表示するタイミングに応じて、前記同期信号として第2信号を前記立体視用眼鏡に送信する工程と、前記立体視用眼鏡が、前記同期信号を受信する工程と、前記立体視用眼鏡が前記同期信号として前記第1信号を受信すると、第2シャッターを閉状態にするとともに第1シャッターを開状態にし、前記立体視用眼鏡が前記同期信号として前記第2信号を受信すると、前記第1シャッターを閉状態にするとともに前記第2シャッターを開状態にする工程とを有する制御方法を提供する。この制御方法によれば、第1シャッター及び第2シャッターのうち片方のみが制御される同期信号が用いられた場合と比較して、同期信号によって生じる他機器への干渉を軽減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】画像表示システム1の全体構成を示す図。
【図2】プロジェクター10の機能的構成を示すブロック図。
【図3】プロジェクター10のハードウェア構成を示すブロック図。
【図4】眼鏡20の機能的構成を示すブロック図。
【図5】眼鏡20のハードウェア構成を示すブロック図。
【図6】眼鏡20の概観図。
【図7】シャッター同期信号の波形の一例を示す図。
【図8】シャッターの動作を例示する図。
【図9】眼鏡20の動作を示すフローチャート。
【図10】液晶シャッター206の動作例を示すタイミングチャート。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1は、本発明の一実施形態に係る画像表示システム1の全体構成を示す図である。画像表示システム1は、プロジェクター10、眼鏡20及びスクリーンSCを有する。プロジェクター10(画像表示装置の一例)は、入力された映像信号に応じた画像をスクリーンに投射する装置である。この例で、映像信号が示す映像は、右眼用の画像(以下、「右眼用画像」という。)と左眼用の画像(以下、「左眼用画像」という。)とが時分割で交互に現れる映像である。スクリーンSCは、プロジェクター10から投射される画像を映し出す平面である。眼鏡20は、右眼用画像及び左眼用画像を、それぞれ右眼及び左眼に独立して視覚させるための立体視用眼鏡である。
【0014】
図2は、プロジェクター10の機能的構成を示すブロック図である。プロジェクター10は、映像取得部11、画像表示部12、及び同期信号送信部13を有する。映像取得部11は、DVD(Digital Versatile Disc)プレーヤー又はパーソナルコンピューターなどの外部装置から映像信号を取得する。画像表示部12は、映像取得部11が取得した映像信号に含まれる右眼用画像及び左眼用画像を時分割で表示する。同期信号送信部13は、画像表示部12により右眼用画像が表示されるタイミングに応じて、シャッター同期信号として第1信号を眼鏡20に送信し、画像表示部12により左眼用画像が表示されるタイミングに応じて、シャッター同期信号として第2信号を眼鏡20に送信する。
【0015】
図3は、プロジェクター10のハードウェア構成を示すブロック図である。プロジェクター10は、MCU(Micro Control Unit)101、RAM(Random Access Memory)102、ROM(Read Only Memory)103、映像信号レシーバー104、フレームレート変換回路105、パネル駆動回路106、液晶パネル107、光源108、投射光学系109、同期信号生成回路110、LED(Light Emitting Diode)駆動回路111、及びLED112を有する。MCU101は、プログラムを実行することによりプロジェクター10の各部を制御する制御装置である。RAM102は、データを記憶する揮発性の記憶装置である。ROM103は、各種のプログラム及びデータを記憶した不揮発性の記憶装置である。
【0016】
映像信号レシーバー104は、外部装置から映像信号を取得する。映像信号には、右眼用画像、左眼用画像、及び同期信号(水平同期信号及び垂直同期信号)が含まれている。MCU101は、映像信号レシーバー104が取得した映像信号を、1フレームごとの右眼用画像又は左眼用画像としてRAM102に記憶する。フレームレート変換回路105は、1秒間における右眼用画像及び左眼用画像の表示切り替え回数が、プロジェクター10のフレームレートに合うように、映像信号のフレームレートを変換する。
【0017】
MCU101は、RAM102に記憶された右眼用画像及び左眼用画像を、液晶パネル107の解像度に合わせて拡大又は縮小する。MCU101は、拡大又は縮小後の右眼用画像及び左眼用画像をRAM102に書き込む。パネル駆動回路106は、RAM102から読み出した右眼用画像及び左眼用画像に基いて、液晶パネル107を駆動するためのパネル駆動信号を生成する。パネル駆動回路106は、液晶パネル107にパネル駆動信号を出力する。液晶パネル107は、マトリクス状に配置された複数の画素を有する。液晶パネル107は、光源108から放射された光の透過率を、パネル駆動信号に基いて画素毎に変調するライトバルブとして用いられる。液晶パネル107により変調された光は、投射光学系109により拡大され、スクリーンSCに投射される。同期信号生成回路110は、液晶パネル107に表示される画像と、眼鏡20におけるシャッターの開閉とを同期させるためのシャッター同期信号を生成し、LED駆動回路111に出力する。LED駆動回路111は、シャッター同期信号に基いてLED112を駆動するためのLED駆動信号を生成し、LED112に出力する。LED112は、LED駆動信号に基いて所定の波長帯の光(例えば赤外線)を出力する。このように、シャッター同期信号は、無線通信によって眼鏡20に送信される。
【0018】
プロジェクター10において、MCU101により制御されている映像信号レシーバー104は、映像取得部11の一例である。MCU101により制御されているフレームレート変換回路105、パネル駆動回路106、液晶パネル107、光源108、及び投射光学系109は、画像表示部12の一例である。MCU101により制御されている同期信号生成回路110、LED駆動回路111、及びLED112は、同期信号送信部13の一例である。
【0019】
図4は、眼鏡20の機能的構成を示すブロック図である。眼鏡20は、同期信号受信部21、制御部22、及びシャッター23を有する。同期信号受信部21は、プロジェクター10により送信されたシャッター同期信号を受信する。シャッター同期信号には、6種類の同期信号が用いられる。制御部22は、同期信号受信部21がシャッター同期信号を受信すると、シャッター23の開閉状態を制御する。シャッター23は、右眼用のシャッター23R(第1シャッターの一例)及び左眼用のシャッター23L(第2シャッターの一例)を有する。シャッター23R及びシャッター23Lは、開状態又は閉状態になる。同期信号受信部21が、シャッター同期信号として第1信号を受信すると、制御部22は、シャッター23Lを閉状態にするとともにシャッター23Rを開状態にする。同期信号受信部21が、シャッター同期信号として第2信号を受信すると、制御部22は、シャッター23Rを閉状態にするとともにシャッター23Lを開状態にする。同期信号受信部21が、シャッター同期信号として第3信号を受信すると、制御部22は、シャッター23Rを開状態にする一方で、シャッター23Lの状態は維持する(変更しない)。同期信号受信部21が、シャッター同期信号として第4信号を受信すると、制御部22は、シャッター23Rを閉状態に制御する一方で、シャッター23Lの状態は維持する(変更しない)。同期信号受信部21が、シャッター同期信号として第5信号を受信すると、制御部22は、シャッター23Lを開状態に制御する一方で、シャッター23Rの状態は維持する(変更しない)。同期信号受信部21が、シャッター同期信号として第6信号を受信すると、制御部22は、シャッター23Lを閉状態にする一方で、シャッター23Rの状態は維持する(変更しない)。
【0020】
図5は、眼鏡20のハードウェア構成を示すブロック図である。眼鏡20は、CPU201、RAM202、ROM203、赤外線センサー204、シャッター制御回路205、及び液晶シャッター206を有する。CPU201は、プログラムを実行することにより眼鏡20の各部を制御する制御装置である。RAM202は、データを記憶する揮発性の記憶装置である。ROM203は、各種のプログラム及びデータを記憶した不揮発性の記憶装置である。ROM203は、シャッター同期信号からシャッター制御信号を生成するためのプロトコルを記憶する。「プロトコル」とは、液晶シャッター206の動作を示す情報をいう。プロトコルはまた、特定のシャッター同期信号と、このシャッター同期信号に対応した液晶シャッター206の動作との対応関係を示す情報を含む。赤外線センサー204は、プロジェクター10から出力された光を受光し、受光した光の強度に応じた信号を出力する。この信号はシャッター同期信号である。CPU201は、シャッター同期信号が含む信号の内容を解析する。CPU201は、シャッター同期信号の解析結果に対応するプロトコルをROM203から読み出し、シャッター制御回路205に出力する。シャッター制御回路205は、CPU201から取得したプロトコルに基いて、液晶シャッター206を制御するためのシャッター制御信号を生成する。シャッター制御回路205は、シャッター制御信号を液晶シャッター206に出力する。液晶シャッター206は、右眼用の液晶シャッター206R及び左眼用の液晶シャッター206Lを有する。液晶シャッター206は、シャッター制御信号により開状態と閉状態とが切り替わる。「開状態」とは、透過率が所定のしきい値(例えば90%)以上の状態をいう。「閉状態」とは、透過率が所定のしきい値(例えば10%)以下の状態をいう。プロジェクター10が右眼用画像を投射するタイミングで、眼鏡20の液晶シャッター206Rを開状態にし、液晶シャッター206Lを閉状態にすれば、右眼用画像が右眼のみに知覚される。プロジェクター10が左眼用画像を投射するタイミングで、眼鏡20の液晶シャッター206Lを開状態にし、液晶シャッター206Rを閉状態にすれば、左眼用画像は左眼のみに知覚される。右眼用画像及び左眼用画像が、右眼及び左眼によってそれぞれ独立して知覚されることにより、スクリーンSCに映し出された画像は立体的に見える。
【0021】
眼鏡20において、CPU201により制御されている赤外線センサー204は、同期信号受信部21の一例である。CPU201及びCPU201により制御されているシャッター制御回路205は、制御部22の一例である。液晶シャッター206は、シャッター23の一例である。
【0022】
図6は、眼鏡20の概観を示す図である。眼鏡20は、フレームを有しており、視力矯正用の眼鏡のレンズに相当する部分に液晶シャッター206が設けられている。液晶シャッター206R及び液晶シャッター206Lは、シャッター同期信号に応じて開閉する。赤外線センサー204は、フレームにおいて液晶シャッター206と同じ面に設けられている。
【0023】
図7は、LED112から出力されるシャッター同期信号の波形の一例を示す図である。図7において、横軸は時間を、縦軸は光強度を表す。この例で、シャッター同期信号は、液晶シャッター206の動作のタイミングを示す。シャッター同期信号は、5ビットの情報から構成されている。第1ビット及び第5ビットは、それぞれシャッター同期信号の始点と終点を示す。第2〜第4ビットの3ビットの情報(図7のCで表された部分)は、液晶シャッター206の動作の識別番号を示す。3ビットの情報を用いれば、8種類の動作を識別することが可能であるが、この例では、6種類の識別子が用いられる(すなわち6種類の動作が定義されている)。図7の例では、シャッター同期信号は、識別子「100」を示している。
【0024】
図8は、シャッターの動作を例示する図である。この図で、シャッター同期信号は四角形で表されている。この四角形に記載された数字は、シャッター同期信号により示される識別子を10進数で表したものである。図8において、横軸は時間を示す。「L」は、液晶シャッター206Lの開閉状態(透過率)を、「R」は、液晶シャッター206Rの開閉状態(透過率)を表す。液晶シャッター206の動作について、「O」は開状態(透過状態)であることを、「C」は閉状態(非透過状態)であることを示している。シャッター同期信号が識別番号「1」(第1信号の一例)を示している場合、シャッター制御回路205は、液晶シャッター206に第1動作をさせるためのシャッター制御信号を、液晶シャッター206に出力する。第1動作は、液晶シャッター206Lが閉状態への遷移を開始してから遅延時間Tdが経過した後に、液晶シャッター206Rが開状態への遷移を開始する動作である。シャッター同期信号が識別番号「2」(第2信号の一例)を示している場合、シャッター制御回路205は、液晶シャッター206に第2動作をさせるためのシャッター制御信号を、液晶シャッター206に出力する。第2動作は、液晶シャッター206Rが閉状態への遷移を開始してから遅延時間Tdが経過した後に、液晶シャッター206Lが開状態への遷移を開始する動作である。このように、識別番号「1」又は「2」を示すシャッター同期信号は、液晶シャッター206R及び液晶シャッター206Lの両方の開閉状態を制御するための信号である。
【0025】
シャッター同期信号が識別番号「3」(第3信号の一例)を示している場合、シャッター制御回路205は、液晶シャッター206に第3動作をさせるためのシャッター制御信号を、液晶シャッター206に出力する。第3動作は、液晶シャッター206Rが開状態への遷移を開始する動作である。シャッター同期信号が識別番号「4」(第4信号の一例)を示している場合、シャッター制御回路205は、液晶シャッター206に第4動作をさせるためのシャッター制御信号を、液晶シャッター206に出力する。第4動作は、液晶シャッター206Rが閉状態への遷移を開始する動作である。シャッター同期信号が識別番号「5」(第5信号の一例)を示している場合、シャッター制御回路205は、液晶シャッター206に第5動作をさせるためのシャッター制御信号を、液晶シャッター206に出力する。第5動作は、液晶シャッター206Lが開状態への遷移を開始する動作である。シャッター同期信号が識別番号「6」(第6信号の一例)を示している場合、シャッター制御回路205は、液晶シャッター206に第6動作をさせるためのシャッター制御信号を、液晶シャッター206に出力する。第6動作は、液晶シャッター206Lが閉状態への遷移を開始する動作である。このように、識別番号「3」〜「6」を示すシャッター同期信号は、液晶シャッター206R又は液晶シャッター206Lのいずれか一方のみの開閉状態を制御するための信号である。
【0026】
図9は、眼鏡20の動作を示すフローチャートである。図9では、一のシャッター同期信号に応じて、液晶シャッター206の開閉が行われる処理を示している。ステップS1において、赤外線センサー204は、プロジェクター10から出力された光を受光する。ステップS2において、CPU201は、シャッター同期信号を解析する。CPU201は、シャッター同期信号が示す識別番号に対応するプロトコルをROM203から読み出し、シャッター制御回路205に出力する。シャッター制御回路205は、プロトコルに対応するシャッター制御信号を液晶シャッター206に出力する(ステップS3〜S8)。液晶シャッター206は、シャッター制御信号に応じて第1〜6動作を行う。眼鏡20は、プロジェクター10から赤外線を受光する度に、上述の処理を繰り返す。
【0027】
図10は、液晶シャッター206の動作例を示すタイミングチャートである。図10は、液晶シャッター206Rと206Lとを交互に開閉する共通の動作について、識別番号「1」及び「2」を示すシャッター同期信号を用いた例(図のSH1)と、識別番号「3」から「6」を示すシャッター同期信号を用いた例(識別番号「1」及び「2」を示すシャッター同期信号を用いない例。図のSH2)とを示している。図10では、左眼用画像として白一色の画像(以下、「白画像」という。)がスクリーンSCに投射され、右眼用画像として黒一色の画像(以下、「黒画像」という。)が投射される例を説明する。図10における「I」は、プロジェクター10によりスクリーンSCに投射される画像の階調を表す。「W」は白を、「B」は黒を示す。図10では、シャッター同期信号SH1及びSH2は、いずれも眼鏡20に以下の(1)〜(8)の動作をさせるための信号である(なお、この例では、左眼用画像として白画像が表示されている状態が初期状態である)。
(1)時刻t1において、液晶シャッター206Lが閉状態への遷移を開始する。
(2)時刻t1から遅延時間Td経過後の時刻t2において、液晶シャッター206Rが開状態への遷移を開始する。
(3)時刻t3において、液晶シャッター206Rが閉状態への遷移を開始する。
(4)時刻t3から遅延時間Td経過後の時刻t4において、液晶シャッター206Lが開状態への遷移を開始する。
(5)時刻t5において、液晶シャッター206Lが閉状態への遷移を開始する。
(6)時刻t5から遅延時間Td経過後の時刻t6において、液晶シャッター206Rが開状態への遷移を開始する。
(7)時刻t7において、液晶シャッター206Rが閉状態への遷移を開始する。
(8)時刻t7から遅延時間Td経過後の時刻t8において、液晶シャッター206Lが開状態への遷移を開始する。
なお、クロストークを低減するため、遅延時間Tdは、プロジェクター10の液晶パネル107の応答時間Trよりも長くなるように設定されている。
【0028】
図10の動作をさせるため、シャッター同期信号SH1を用いた場合、信号は4回送信される。一方で、シャッター同期信号SH2を用いた場合、信号は8回送信される。上述の通りリモートコントロール装置や、ワイヤレスヘッドホンなどにおいて、赤外線信号が用いられる場合、赤外線を介してシャッター同期信号を送信すると、シャッター同期信号が他の信号と干渉してしまう可能性がある。しかし、シャッター同期信号SH1を用いれば、シャッター同期信号SH2を用いた場合と比較して、赤外線信号が送信される回数が半減する。そのため、リモートコントロール装置又はワイヤレスヘッドホンなどの他機器への干渉が起こる可能性が減少する。
【0029】
<変形例>
本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、種々の変形実施が可能である。以下、変形例をいくつか説明する。以下で説明する変形例のうち、2つ以上のものが組み合わされて用いられても良い。
【0030】
(1)遅延時間は、固定ではなく可変であってもよい。例えば、眼鏡20は、遅延時間がTd1(第1時間の一例)である第1モードと、遅延時間がTd1よりも長いTd2(第2時間の一例)である第2モードとから選択された一の動作モードで動作してもよい。動作モードは、画像表示装置における応答時間Trに応じて選択される。動作モードの選択は、利用者の指示により行われてもよい。この場合、例えば、眼鏡20にスイッチが設けられている。利用者がこのスイッチを操作することにより、動作モードが選択される。別の例として、動作モードは自動的に選択されてもよい。この場合、例えば、プロジェクター10から出力されるシャッター同期信号に動作モードを示す情報が含まれている。眼鏡20のCPU201は、この情報に基づいて動作モードを選択する。なお、動作モードは二つに限られない。
【0031】
(2)遅延時間Tdは、0であってもよい。この場合、液晶シャッター206Rと液晶シャッター206Lは同時に開閉状態が切り替わる。遅延時間Tdが0である場合、応答時間Trは、0でなくても良いが、0であることが好ましい。
【0032】
(3)眼鏡20の動作は、プロジェクター10のフレームレート毎に定義されていてもよい。例えば、フレームレート192Hzで動作するプロジェクターと、フレームレート240Hzで動作するプロジェクターとがある場合、フレームレート192Hzの場合と240Hzの場合とのそれぞれについて、第1〜第6動作が定義されていてもよい。この場合、シャッター同期信号は6ビットの情報から構成される。第2〜第5ビットの4ビットの情報を用いれば、フレームレート192Hzの場合と240Hzの場合とのそれぞれについて、第1〜第6動作を識別すること(計12種類の動作を定義すること)が可能である。識別番号「1」〜「6」をフレームレート192Hzの第1〜第6動作に割り当て、識別番号「7」〜「12」をフレームレート240Hzの第1〜第6動作に割り当ててもよい。フレームレート192Hzで動作するプロジェクターは、識別番号「1」〜「6」を示す信号を出力し、フレームレート240Hzで動作するプロジェクターは、識別番号「7」〜「12」を示す信号を出力する。
【0033】
(4)画像表示装置は、プロジェクター10に限定されない。画像表示装置は、投射型の装置に限られず、液晶ディスプレイ又はプラズマディプレイなど、直視型の画像表示装置であっても良い。
【0034】
(5)開状態又は閉状態は、液晶シャッター206の透過率で定義されるものに限定されない。例えば、開状態及び閉状態は、液晶シャッター206の偏光方向によって定義されてもよい。例えば、偏光方向が第1方向となる状態を開状態、偏光方向が第1方向と直交する第2方向となる状態を閉状態と定義してもよい。この場合、液晶シャッター206は、電気信号により偏光方向が切り替わる構成を有する。
【0035】
(6)第1シャッター及び第2シャッターは、液晶シャッター206に限定されない。例えば、第1シャッター及び第2シャッターとして、機械式のシャッターが用いられてもよい。
【0036】
(7)シャッター同期信号の波形は図7に示したものに限定されない。例えば、シャッター同期信号の終点を示す第5ビットは省略されてもよい。
【符号の説明】
【0037】
1…画像表示システム、10…プロジェクター、20…眼鏡、11…映像取得部、12…画像表示部、13…同期信号送信部、21…同期信号受信部、22…制御部、23…シャッター、101…MCU、102…RAM、103…ROM、104…映像信号レシーバー、105…フレームレート変換回路、106…パネル駆動回路、107…液晶パネル、108…光源、109…投射光学系、110…同期信号生成回路、111…LED駆動回路、112…LED、201…CPU、202…RAM、203…ROM、204…赤外線センサー、205…シャッター制御回路、206…液晶シャッター

【特許請求の範囲】
【請求項1】
開状態又は閉状態になる右眼用の第1シャッターと、
開状態又は閉状態になる左眼用の第2シャッターと、
同期信号を受信する受信部と、
前記受信部が前記同期信号として第1信号を受信すると、前記第2シャッターを前記閉状態にするとともに前記第1シャッターを前記開状態にし、前記受信部が前記同期信号として第2信号を受信すると、前記第1シャッターを前記閉状態にするとともに前記第2シャッターを前記開状態にする制御部と
を有する立体視用眼鏡。
【請求項2】
前記制御部は、前記受信部が前記同期信号として第3信号を受信すると、前記第1シャッターを前記開状態にし、前記受信部が前記同期信号として第4信号を受信すると、前記第1シャッターを前記閉状態にし、前記受信部が前記同期信号として第5信号を受信すると、前記第2シャッターを前記開状態にし、前記受信部が前記同期信号として第6信号を受信すると、前記第2シャッターを前記閉状態にする
ことを特徴とする請求項1に記載の立体視用眼鏡。
【請求項3】
前記制御部は、前記第1信号に応じて、前記第2シャッターを前記閉状態に遷移させる動作を開始してから前記第1シャッターを前記開状態に遷移させる動作を開始するまでの遅延時間が第1時間である第1モードと、前記遅延時間が前記第1時間よりも長い第2時間である第2モードとを含む複数の動作モードの中から選択された一の動作モードで制御する
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の立体視用眼鏡。
【請求項4】
前記遅延時間は、フレームレート毎に決められており、
前記第1信号及び前記第2信号は、前記フレームレート毎に定義されている
ことを特徴とする請求項3に記載の立体視用眼鏡。
【請求項5】
開状態又は閉状態になる右眼用の第1シャッターと、開状態又は閉状態になる左眼用の第2シャッターと、同期信号を受信する受信部と、を有する立体視用眼鏡とともに用いられる画像表示装置であって、
右眼用画像及び左眼用画像を時分割で表示する表示部と、
前記表示部により前記右眼用画像が表示されるタイミングに応じて、前記同期信号として、前記第2シャッターを前記閉状態にするとともに前記第1シャッターを前記開状態にするための第1信号を前記立体視用眼鏡に送信し、前記表示部により前記左眼用画像が表示されるタイミングに応じて、前記同期信号として、前記第1シャッターを前記閉状態にするとともに前記第2シャッターを前記開状態にするための第2信号を前記立体視用眼鏡に送信する送信部と
を有する画像表示装置。
【請求項6】
画像表示装置と、
立体視用眼鏡と
を有し、
前記画像表示装置は、
右眼用画像及び左眼用画像を時分割で表示する表示部と、
前記表示部により前記右眼用画像が表示されるタイミングに応じて、同期信号として第1信号を前記立体視用眼鏡に送信し、前記表示部により前記左眼用画像が表示されるタイミングに応じて、前記同期信号として第2信号を前記立体視用眼鏡に送信する送信部と
を有し、
前記立体視用眼鏡は、
開状態又は閉状態になる右眼用の第1シャッターと、
開状態又は閉状態になる左眼用の第2シャッターと、
前記同期信号を受信する受信部と、
前記受信部が前記同期信号として第1信号を受信すると、前記第2シャッターを前記閉状態にするとともに前記第1シャッターを前記開状態にし、前記受信部が前記同期信号として第2信号を受信すると、前記第1シャッターを前記閉状態にするとともに前記第2シャッターを前記開状態にする制御部と
を有する画像表示システム。
【請求項7】
画像表示装置が、右眼用画像及び左眼用画像を時分割で表示する工程と、
前記画像表示装置が、前記右眼用画像を表示するタイミングに応じて、同期信号として第1信号を立体視用眼鏡に送信し、前記左眼用画像を表示するタイミングに応じて、前記同期信号として第2信号を前記立体視用眼鏡に送信する工程と、
前記立体視用眼鏡が、前記同期信号を受信する工程と、
前記立体視用眼鏡が前記同期信号として前記第1信号を受信すると、第2シャッターを閉状態にするとともに第1シャッターを開状態にし、前記立体視用眼鏡が前記同期信号として前記第2信号を受信すると、前記第1シャッターを閉状態にするとともに前記第2シャッターを開状態にする工程と
を有する制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−70314(P2013−70314A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−208671(P2011−208671)
【出願日】平成23年9月26日(2011.9.26)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】