説明

立体駐車装置用の電気接続構造および立体駐車装置

【課題】立体駐車装置のパレット側コネクタとタワー側コネクタとを簡単な構成で適正に接続することができるとともに、その接続状態を安定して維持する。
【解決手段】自動車がパレット3に搭載された状態でタワーの格納部に格納される立体駐車装置用の電気接続構造において、上記パレット3に設けられるパレット側コネクタ6と、上記タワーに設けられて上記パレット側コネクタ6に接続されるタワー側コネクタ7と、該タワー側コネクタ7を一定範囲内で移動可能に支持する支持部材16と、上記パレット側コネクタ6をタワー側コネクタ7に接続する際に両コネクタ6,7の位置ずれを修正する方向に上記タワー側コネクタ7を案内する案内部25aとを備え、上記タワー側コネクタ7の支持部材16に、両コネクタ6,7の接続状態で上記パレット3およびパレット側コネクタ6が揺れ動くのに追従させてタワー側コネクタを変位させる追従機構が設けられた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車がパレットに搭載された状態でタワーの格納位置に格納される立体駐車装置用の電気接続構造および立体駐車装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、下記特許文献1に示されるように、自動車が搭載されたトレイを機械式に移動させることにより格納スペースに収納して自動車の駐車を行わせる機械式駐車装置において、上記トレイには受電側接点を設けるとともに、固定側の位置には電源に接続された充電器と該充電器に接続された給電側接点を設け、かつ該給電側接点を格納スペースに配設して上記受電側接点と給電側接点を上記格納スペースにおけるトレイの移動経路上に相対させて配設することにより、該トレイの収納動作に応じて上記受電側接点を給電側接点に向かって進行させ、トレイが格納スペースに格納されたときに上記給電側接点と受電側接点とを接触させて通電することにより、上記充電器から自動車のバッテリに充電することが行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第2908940号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に開示された機械式の立体駐車装置では、自動車が搭載されたパレット(トレイ)を立体駐車装置の格納スペースに送り込む際に、上記パレットに設けられたパレット側コネクタ(受電側接点)と、上記格納部に設けられたタワー側コネクタ(給電側接点)とを自動的に接続することができるため、立体駐車場の高所に設置された格納部において上記両コネクタを接続する等の作業を要することなく、自動車のバッテリに通電して充電を行うことができるという利点がある。
【0005】
しかし、上記パレットを格納スペース上に送り込む際に両コネクタを適正に接続するためには、立体駐車装置のタワーを製造する際にその製造誤差を最小限度に設定することにより、エレベータ式移送装置等により昇降駆動されるパレットに設けられた上記パレット側コネクタと、格納スペースに固定された上記タワー側コネクタとを正確に相対向させる必要がある。また、上記タワー内に格納されたパレットが自動車の重量等に応じて変形した場合においても、上記両コネクタの位置決め精度が損なわれるため、パレットの剛性を充分に確保する必要があり、立体駐車装置の製造コストが高くなることが避けられなかった。
【0006】
さらに、自動車が搭載されたパレットを立体駐車装置のタワー内に格納して上記パレット側コネクタとタワー側コネクタとを接続した状態で、新たに自動車が搭載されたパレットの格納作業が行われる際等に立体駐車装置のタワーが振動すると、上記充電側コネクタと給電側コネクタとの接続状態が解除されたり、接続端子が折損したりする可能性があり、両コネクタの接続状態を安定して維持することが困難であるという問題があった。
【0007】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、自動車が搭載されたパレットを立体駐車装置のタワーに設けられた格納部に格納する際に、パレット側コネクタとタワー側コネクタとを簡単な構成で適正に接続することができるとともに、その接続状態を安定して維持することができる立体駐車装置用の電気接続構造および立体駐車装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に係る発明は、自動車がパレットに搭載された状態でタワーの格納部に格納される立体駐車装置用の電気接続構造において、上記パレットに設けられるパレット側コネクタと、上記タワーに設けられて上記パレット側コネクタに接続されるタワー側コネクタと、該タワー側コネクタを一定範囲内で移動可能に支持する支持部材と、上記パレット側コネクタをタワー側コネクタに接続する際に両コネクタの位置ずれを修正する方向に上記タワー側コネクタを案内する案内部とを備え、上記タワー側コネクタの支持部材に、両コネクタの接続状態で上記パレットおよびパレット側コネクタが揺れ動くのに追従させてタワー側コネクタを変位させる追従機構が設けられたものである。
【0009】
請求項2に係る発明は、上記請求項1に記載の立体駐車装置用の電気接続構造において、上記追従機構は、タワー側コネクタの立設角度を保持しつつその平行移動を許容するリンク機能部を備えたものである。
【0010】
請求項3に係る発明は、上記請求項1または2に記載の立体駐車装置用の電気接続構造において、上記タワー側コネクタの支持部材には、両コネクタの非接続状態で、タワー側コネクタの設置高さを基準位置に保持するとともに、両コネクタとの接続状態で、該パレット側コネクタからタワー側コネクタを下方に変位させる所定の押圧力が作用した場合に、タワー側コネクタがパレット側コネクタに追従して下降することを許容する昇降支持機構が設けられたことをものである。
【0011】
請求項4に係る発明は、自動車の格納部を備えたタワーと、自動車が搭載されるパレットと、該パレットを自動車の乗り込み位置とタワーの格納位置との間で移動させる移送機構と、パレットに固定されたパレット側コネクタと、タワーに配置されて上記パレット側コネクタに接続されるタワー側コネクタとを備えた立体駐車装置であって、上記タワー側コネクタを移動可能に支持する支持部材と、上記パレット側コネクタをタワー側コネクタに接続する際に両コネクタの位置ずれを修正する方向に上記タワー側コネクタを案内する案内部とを備え、上記タワー側コネクタの支持部材に、両コネクタの接続状態で上記パレットおよびパレット側コネクタが揺れ動くのに追従させてタワー側コネクタを変位させる追従機構が設けられるとともに、上記支持部材により支持されたタワー側コネクタの移動可能距離は、両コネクタの接続状態でパレット側コネクタが揺れ動くことが予想される最大移動距離よりも大きく設定されたものである。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に係る発明では、上記タワーおよびパレットに製作誤差等に起因して上記両コネクタの間に位置ずれが生じている場合においても、該位置ずれを自動的に修正して両コネクタを適正に接続することができるとともに、該両コネクタの接続状態で立体駐車装置のタワーが振動した場合等に、上記両コネクタの接続状態が解除されたり、コネクタの接続端子が折損したりするのを効果的に防止し、両コネクタの接続状態を適正に維持することができる。
【0013】
請求項2に係る発明では、上記パレット側コネクタとタワー側コネクタとの位置ずれが生じている状態で、両コネクタを接続する際に、上記タワー側コネクタの立設角度を鉛直状態に維持しつつ、上記両コネクタの位置ずれを修正して該両コネクタを適正に接続できる等の利点がある。
【0014】
請求項3に係る発明では、自動車が搭載されたパレットを立体駐車装置のタワーに設けられた格納部に格納する際に、上記タワー側コネクタがその自重に応じて垂下することに起因する位置ずれを効果的に防止できるとともに、上記両コネクタの接続状態でパレット側コネクタが下降した場合に、これに追従して上記タワー側コネクタが下降するのを許容して両コネクタの接続が離脱した状態となることを確実に防止できる等の利点がある。
【0015】
請求項4に係る発明では、自動車が搭載されたパレットを立体駐車装置のタワーに設けられた格納部に格納する際に、上記パレット側コネクタとタワー側コネクタとを簡単な構成で適正に接続することができるとともに、該両コネクタの接続状態で立体駐車装置のタワーが振動した場合に、上記両コネクタの接続状態が解除されること等を確実に防止できるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明に係る立体駐車装置の実施形態を示す説明図である。
【図2】本発明に係る立体駐車装置用の電気接続構造の実施形態を示す側面断面図である。
【図3】電気接続構造の具体的構成を示す平面断面図である。
【図4】タワー側コネクタの具体的構成を示す正面図である。
【図5】パレット側コネクタの具体的構成を示す正面図である。
【図6】コネクタの接続操作を示す側面断面図である。
【図7】コネクタの接続操作を示す側面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1および図2は、本発明に係る電気接続構造を備えた立体駐車装置の実施形態を示している。該立体駐車装置は、自動車1が格納されるタワー2と、自動車1が搭載されるパレット3と、該パレット3を自動車の搬入位置と上記タワー2に設けられた格納位置との間で移動させる移送機構4とを有している。上記タワー2の左右には、自動車1を格納する上下複数段の格納部5がそれぞれ設けられている。
【0018】
上記移送機構4は、図1の矢印Aに示すように、自動車1が搭載されたパレット3を、例えば地上部に設けられた搬入位置からタワー2に設けられた格納部5の設置位置まで昇降駆動するエレベータ装置と、図1の矢印Bに示すように、上記格納部5上の格納位置にパレット3を横移動させる横送り装置とを有し、自動車1が搭載されたパレット3を上記搬入位置から格納位置に移動させて自動車1を格納するとともに、該格納位置から搬入位置にパレット3を移動させて自動車1を出庫可能な状態とするように構成されている。
【0019】
図2〜図7に示すように、上記パレット3には、その所定位置に設けられた図外のコンセントに電気ケーブルを介して接続されたパレット側コネクタ6が固定されるとともに、タワー2の所定位置には、図外の電源に接続ケーブル7bを介して接続されたタワー側コネクタ7が配設されている。そして、上記パレット3上に搭載された電気自動車(以下、単に自動車1という)のバッテリに対して充電を行うための電気接続構造が、上記パレット側コネクタ6とタワー側コネクタ7とにより構成されている。すなわち、上記自動車1に設けられた充電用コードの接続プラグを上記パレット3のコンセントに挿入した状態で、パレット側コネクタ6とタワー側コネクタ7とを接続することにより、立体駐車装置に設けられた上記電源と自動車1のバッテリとが電気的に接続されて該バッテリに対する充電が行われるようになっている。
【0020】
上記パレット側コネクタ6には、タワー側コネクタ7に形成された接続孔7aに挿入される接続端子6aが形成されている。そして、上記パレット3の側辺部に設けられたC型鋼8の内壁面に、上記パレット側コネクタ6が固定部材10を介して固定されている。該固定部材10には、上記パレット側コネクタ6を左右から挟持する挟持ブラケット11と、上記パレット側コネクタ6の外周を囲繞する周壁板12とが取り付けられている。上記両挟持ブラケット11の一方には、その先端面に上下一対の位置決めピン13が突設されるとともに、上記両挟持ブラケット11の他方には、その先端面に単一の位置決めピン13が突設されている。
【0021】
上記タワー側コネクタ7は、タワー2の外周部を覆うように設置された外壁14と所定距離を隔ててその内方側に配設されたフレーム材15に、支持部材16を介して移動可能に支持されている。そして、自動車1が搭載されたパレット3が上記移送機構4のエレベータ装置により昇降駆動されて上記タワー側コネクタ7が設けられた格納部5の設置位置に移送された場合に、上記パレット3に設けられたパレット側コネクタ6と、上記タワー側コネクタ7とが、例えば50mm程度の距離を隔てて対向した状態となる位置に配設されている。
【0022】
上記支持部材16は、タワー2のフレーム材15に固定ボルト17を介して固定された支持ブラケット18と、該支持ブラケット18の起立壁18aに取り付けられた4個のブッシュ材19と、該ブッシュ材19によりそれぞれ後述するように摺動可能かつ傾動可能に支持された4本の支持バー20と、該支持バー20の先端部をタワー2の中心部側に向けて付勢する付勢部材21と、上記支持バー20の先端部に取り付けられたリンクボール22と、該リンクボール22により傾動可能に支持された支持プレート23とを有している。
【0023】
上記支持部材16の支持プレート23には、上記タワー側コネクタ7を左右から挟持する挟持ブラケット24と、上記タワー側コネクタ7の外周部を囲繞する周壁板25とが取り付けられている。上記挟持ブラケット24の先端面には、タワー側コネクタ7の位置決めピン13が挿入される位置決め孔26が形成されている。また、上記周壁板25の先端部には、上記パレット側コネクタ6をタワー側コネクタ7に接続する際に両コネクタ6,7の位置ずれを修正する方向に上記支持プレート23およびタワー側コネクタ7を案内する先拡がり形状の傾斜面からなる案内部25aが設けられている。
【0024】
上記支持バー20の基端部には、ストッパプレート27が取付ボルト28を介して取り付けられている。また、上記付勢部材21は、支持バー20に外嵌された圧縮コイルばねからなり、ストップリングを介して支持バー20に係止されたリテーナ20aと、上記支持ブラケット18の起立壁18aに保持された保持プレート18cとに間に配設されている。上記両コネクタ6,7の非接続状態では、上記付勢部材21の付勢力に応じて支持バー20のリテーナ20aがタワー2の中心部側に付勢されることにより、ストッパプレート27が起立壁18aの背面に当接した状態となって、上記支持バー20の前方移動が規制された最前方位置に上記支持プレート23が保持されている。
【0025】
上記起立壁18aに取り付けられたブッシュ材19は、上記支持バー20の挿通孔と球面状の外周面を有する内筒体19aと、該内筒体19aを回動自在に支持する外筒体19bとにより構成されている。そして、上記支持バー20が内筒体19aの挿通孔に沿ってスライド変位することが許容され、かつ上記内筒体19aが外筒体19bに保持された状態で回動変位することにより上記支持バー20の設置角度が変化することが許容されるようになっている。
【0026】
上記支持バー20の先端部に取り付けられたリンクボール22は、上記支持プレート23に螺着されるねじ部およびその先端部に設けられた球状部を有するボール体22aと、支持バー20の先端部に形成されたねじ部が螺着されるねじ孔部および上記ボール体22aの球状部を抱持する抱持部を有する抱持体22bとにより構成されている。そして、上記ボール体22aの球状部が抱持体22bにより抱持された状態で回動変位することにより、支持バー20と支持プレート23との連結角度が変化することが許容されるようになっている。
【0027】
上記タワー側コネクタ7が取り付けられた支持プレート23の下端部には、上記支持バー20の間に配設されて水平方向に延びる水平板29が設けられている。また、上記支持ブラケット18の取付基板18bには、上記水平板29を下方から支持することにより、上記支持プレート23およびタワー側コネクタ7等がその自重に応じて垂下した状態となるのを規制する昇降支持機構30が取り付けられている。
【0028】
上記昇降支持機構30は、図6に示すように、支持ブラケット18の取付基板18b上に取り付けられた保持筒31と、該保持筒31により昇降可能に支持された昇降体32と、該昇降体32を上方に付勢する圧縮コイルばねからなる付勢部材33とを備えている。上記両コネクタ6,7が非接続状態となった通常時には、該付勢部材33の付勢力に応じ、上記昇降体32に設けられたフランジ部32aが保持筒31の上部に設けられた規制部31aに当接した上方位置に昇降体32が係止されている。そして、該昇降体32の上面に突設された突部32bが上記水平板29の下面に当接して該水平板29が支持されることにより、通常時には、図2に示すように、上記支持バー20が水平状態となった基準位置に支持プレート23およびタワー側コネクタ7の設置高さが保持されている。
【0029】
また、上記パレット側コネクタ6とタワー側コネクタ7とを接続する際、または両コネクタは6,7の接続状態において、上記パレット側コネクタ6からタワー側コネクタ7を下方に変位させる所定の押圧力が作用した場合には、図6に示すように、上記付勢部材33の付勢力に抗して上記昇降体32が下降することにより、上記支持プレート23およびタワー側コネクタ7がパレット側コネクタ6に追従して下降することが許容されるようになっている。
【0030】
上記構成を有する立体駐車装置のタワー2内に自動車1を格納して該自動車1のバッテリに充電する場合には、地上部の搬入位置に配置されたパレット3上に上記自動車1を搭載した後、該自動車1に設けられた充電用コードを充電用コードの接続プラグを上記パレット3に設けられたコンセントに挿入することにより、図外の電気ケーブルを介して上記自動車1のバッテリと接続する。この状態で、上記自動車1が搭載されたパレット3を、移送機構4のエレベータ装置により上昇させて上記タワー側コネクタ7が設けられた格納部5に対向する位置まで移送する。
【0031】
そして、図2および図3に示すように、上記パレット3に設けられたパレット側コネクタ6と、上記タワー2の格納部5に設けられたタワー側コネクタ7とを相対向させた状態で、上記パレット3を移送機構4の横送り装置によって格納部5上に横送し、該横送り動作に応じて上記パレット側コネクタ6とタワー側コネクタ7との位置ずれを修正した状態で、両コネクタ6,7を自動的に接続する。
【0032】
例えば、上記格納部5に対向する位置にパレット3を移送した際に、タワー2等に製作誤差が生じ、またはパレット3に変形が生じる等により、上記パレット側コネクタ6がタワー側コネクタ7よりも下方に位置した状態となった位置ずれが生じている場合には、図6に示すように、上記パレット3の横移動時に、パレット側コネクタ6の下方部に設けられた周壁板12の先端部を、上記タワー側コネクタ7の下方部に設けられた周壁板25の案内部25aに当接させることにより、これを下方に押圧する押圧力を作用させる。
【0033】
上記押圧力に応じてタワー側コネクタ7の支持プレート23を下方に変位させるとともに、上記支持バー20を傾斜させて上記支持プレート23を下降させることにより、上記両コネクタ6,7の位置ずれを修正して該両コネクタ6,7を適正に相対向させることができる。この状態で上記パレット3を、さらに横移動させることにより、上記タワー側コネクタ7の挟持ブラケット11に突設された位置決めピン13を、タワー側コネクタ7の挟持ブラケット24に形成された位置決め孔26に挿入し、図7に示すように、上記パレット側コネクタ6に突設された接続端子6aと、タワー側コネクタ7に形成された接続孔7aとを正確に位置決めする。
【0034】
なお、平面視において上記パレット側コネクタ6がタワー側コネクタ7に正対した位置から側方に位置ずれしている場合には、上記パレット3の横送り動作に応じ、パレット側コネクタ6の一側方部に設けられた周壁板12の先端部を、上記タワー側コネクタ7の一側方部に設けられた周壁板25の案内部25aに当接させ、これを図7の矢印Xに示す方向に押圧する押圧力を作用させることにより、上記両コネクタ6,7の位置ずれを修正する。
【0035】
上記のようにパレット3の横送り動作に応じてパレット側コネクタ6とタワー側コネクタ7とを正確に位置決めした状態で、パレット側コネクタ6の接続端子6aをタワー側コネクタ7の接続孔7aに挿入して両コネクタ6,7を自動的かつ適正に接続することができる。また、該両コネクタ6,7の接続状態で、上記パレット3がメカストッパ等によって係止される格納位置まで横送りされるのに応じ、上記付勢部材21の付勢力に抗して支持バー20が摺動して上記支持プレート23および両コネクタ6,7が所定位置に変位した状態で、図外のロック機構によって上記パレット3が格納部5上の格納位置に係止されることにより、上記付勢部材21の付勢力に応じて両コネクタ6,7の接続状態が安定して維持されることになる。したがって、上記タワー2の格納部5に自動車1を格納した状態で、該自動車1のバッテリを図外の電源に接続して該バッテリに対する充電を行うことができる。
【0036】
また、上記タワー側コネクタ7の支持部材16に設けられた支持ブラケット18、ブッシュ材19、支持バー20、付勢部材21、リンクボール22および支持プレート23等により、上記両コネクタ6,7の接続状態でタワー2が振動してパレット3およびパレット側コネクタ6が揺れ動いた場合に、上記付勢部材21を伸縮させるとともに、上記支持バー20を傾動変位させることにより、上記パレット側コネクタ6に応じ追従させてタワー側コネクタ7を変位させる追従機構が構成されている。さらに、上記支持バー20を傾動可能に支持するブッシュ材19と、該支持バー20の先端部に上記支持プレート23を屈曲可能に連結するリンクボール22とにより、上記タワー側コネクタ7の立設角度を保持しつつその平行移動を許容するリンク機能部が構成されている。
【0037】
上記パレット3の格納位置において支持部材16により支持されたタワー側コネクタ7の移動可能距離、つまり上記パレット側コネクタ6に追従して移動する移動可能距離は、上記両コネクタ6,7の接続状態でパレット側コネクタ6が揺れ動くことが予想される最大移動距離よりも大きな値に設定されている。例えば、上記パレット3の格納状態でタワー2が振動すること等に起因して、パレット3がその長手方向(図3のX方向)および上下方向(図2のZ方向)に移動することが予想される最大距離が、それぞれ±10mm程度される場合には、上記タワー側コネクタ7の移動可能距離は、それぞれ±15mm程度に設定されている。
【0038】
また、上記両コネクタ6,7の接続状態で、上記パレット3が格納部5に横送りされる際に、上記付勢部材21の付勢力に抗して支持バー20が摺動することにより、上記支持プレート23および両コネクタ6,7がパレット3の横送り方向(図2および図3の矢印Y方向)に移動することが許容される移動許容距離は、両コネクタ6,7の接続時にパレット側コネクタ6が上記Y方向に移動することが予想される最大移動距離(例えば30mm程度)よりも大きな値(例えば35mm程度)に設定されている。
【0039】
上記のように自動車1をパレット3に搭載した状態でタワー2の格納位置に格納するように構成された立体駐車装置用の電気接続構造において、上記パレット3に設けられるパレット側コネクタ6と、上記タワー2に設けられてパレット側コネクタ6に接続されるタワー側コネクタ7と、該タワー側コネクタ7を一定範囲内で移動可能に支持する支持部材16と、上記パレット側コネクタ6をタワー側コネクタ7に接続する際に両コネクタ6,7の位置ずれを修正する方向に上記タワー側コネクタ7を案内する案内部25aとを設けるとともに、上記タワー側コネクタ7の支持部材16に、両コネクタ6,7の接続状態で上記パレット3およびパレット側コネクタ6が揺れ動くのに追従させてタワー側コネクタ7を変位させる追従機構を設けたため、自動車1が搭載されたパレット3を立体駐車装置のタワー2に設けられた格納部5に格納する際に、上記パレット側コネクタ6とタワー側コネクタ7とを簡単な構成で適正に接続できるとともに、その接続状態を安定して維持できるという利点がある。
【0040】
すなわち、上記実施形態では、支持ブラケット18に取り付けられたブッシュ材19により支持バー20を傾動可能に支持するとともに、該支持バー20の先端部にリンクボール22を介して傾動可能に連結された支持プレート23にタワー側コネクタ7を支持させ、かつ上記タワー側コネクタ7の外周を囲繞する周壁板25の先端部に先拡がり形状の傾斜面からなる案内部25aを設け、パレット側コネクタ6をタワー側コネクタ7に接続する際に、パレット側コネクタ6の周壁板12からタワー側コネクタ7の案内部25aに入力された押圧力に応じ、上記支持バー20を傾斜させてタワー側コネクタ7の支持位置を変化させるように構成している。このため、上記タワー2およびパレット3に製作誤差等に起因して上記両コネクタ6,7の間に位置ずれが生じている場合においても、該位置ずれを自動的に修正して該両コネクタ6,7を適正に接続することができる。
【0041】
そして、上記タワー側コネクタ7の支持部材16に設けられた支持ブラケット18、ブッシュ材19、支持バー20、付勢部材21、リンクボール22および支持プレート23等により、両コネクタ6,7の接続状態で上記パレット3およびパレット側コネクタ6が揺れ動くのに追従させてタワー側コネクタ7を変位させる追従機構を構成したため、自動車1が搭載されたパレット3を立体駐車装置に格納して上記パレット側コネクタ6とタワー側コネクタ7とを接続した状態で、新たに自動車1が搭載されたパレット3の格納作業を行う際等に立体駐車装置のタワー2が振動した場合に、上記両コネクタ6,7の接続状態が解除されたり、パレット側コネクタ6の接続端子6aが折損したりするのを効果的に防止し、両コネクタ6,7の接続状態を適正に維持できるという利点がある。
【0042】
また、上記実施形態では、上記支持バー20を傾動可能に支持するブッシュ材19と、該支持バー20の先端部に上記支持プレート23を屈曲可能に連結するリンクボール22とにより、上記タワー側コネクタ7の立設角度を保持しつつその平行移動を許容するリンク機能部を構成したため、例えば図6に示すように、上記パレット側コネクタ6がタワー側コネクタ7よりも下方に位置した状態となった位置ずれが生じている状態で、両コネクタ6,7を接続する際に、上下の支持バー20を平行移動させて傾斜させることにより、上記支持プレート23の立設角度を鉛直状態に維持しつつ、上記両コネクタ6,7の位置ずれを修正して該両コネクタ6,7を適正に接続することができる。
【0043】
さらに、上記両コネクタ6,7の接続状態でパレット3が変形してその設置角度が変化し、例えば上記パレット側コネクタ6の設置角度が変化した場合には、これに対応させて上下の支持バー20のスライド変位量を異ならせて支持プレート23の立設角度を変化させることにより、両コネクタ6,7の接続状態を適正に維持することができ、両コネクタ6,7の接続状態が解除されたり、パレット側コネクタ6の接続端子6aが折損したりするのを効果的に防止することができる。
【0044】
また、上記実施形態では、両コネクタ6,7の非接続状態で、タワー側コネクタ7の設置高さを基準位置に保持するとともに、両コネクタ6,7の接続状態で、該パレット側コネクタ6からタワー側コネクタ7を下方に変位させる所定の押圧力が作用した場合に、タワー側コネクタ7がパレット側コネクタ6に追従して下降することを許容する昇降支持機構30を上記タワー側コネクタ7の支持部材16に設けたため、自動車1が搭載されたパレット3を立体駐車装置のタワー2に設けられた格納部5に格納する際に、上記支持プレート23およびタワー側コネクタ7等がその自重に応じて垂下することに起因する位置ずれを効果的に防止できるとともに、上記両コネクタ6,7の接続状態でパレット側コネクタ6が下降した場合に、両コネクタ6,7の接続が離脱した状態となることを確実に防止できる等の利点がある。
【0045】
上記のように自動車1の格納部5を備えたタワー2と、自動車が搭載されるパレット3と、該パレット3を自動車1の乗り込み位置とタワー2の格納位置との間で移動させる移送機構4と、パレット3に固定されたパレット側コネクタ6と、タワー2に配置されて上記パレット側コネクタ6に接続されるタワー側コネクタ7とを備えた立体駐車装置において、上記タワー側コネクタ7を移動可能に支持する支持部材16と、上記パレット側コネクタ6をタワー側コネクタ7に接続する際に両コネクタ6,7の位置ずれを修正する方向に上記タワー側コネクタ7を案内する案内部25aとを設けるとともに、上記タワー側コネクタ7の支持部材16に、両コネクタ6,7の接続状態で上記パレット3およびパレット側コネクタ6が揺れ動くのに追従させてタワー側コネクタ7を変位させる追従機構を設け、かつ上記パレット3の格納状態において支持部材16により支持されたタワー側コネクタ7の移動可能距離を、両コネクタ6,7の接続状態でパレット側コネクタ6が揺れ動くことが予想される最大移動距離よりも大きく設定したため、自動車1が搭載されたパレット3を立体駐車装置のタワー2に設けられた格納部5に格納する際に、上記パレット側コネクタ6とタワー側コネクタ7とを簡単な構成で適正に接続できるとともに、該両コネクタ6,7の接続状態で立体駐車装置のタワー2が振動した場合に、上記両コネクタ6,7の接続状態が解除されること等を確実に防止できるという利点がある。
【0046】
なお、必ずしも上記タワー2に配設された各格納部5の全てにタワー側コネクタ7を配設する必要はなく、タワー2に配設された複数の格納部5のうちの一部にのみ上記タワー側コネクタ7を配設した構造としてもよい。
【符号の説明】
【0047】
1 自動車
2 タワー
3 パレット
6 パレット側コネクタ
7 タワー側コネクタ
16 支持部材
25a 案内部
30 昇降支持機構

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車がパレットに搭載された状態でタワーの格納部に格納される立体駐車装置用の電気接続構造において、上記パレットに設けられるパレット側コネクタと、上記タワーに設けられて上記パレット側コネクタに接続されるタワー側コネクタと、該タワー側コネクタを一定範囲内で移動可能に支持する支持部材と、上記パレット側コネクタをタワー側コネクタに接続する際に両コネクタの位置ずれを修正する方向に上記タワー側コネクタを案内する案内部とを備え、上記タワー側コネクタの支持部材に、両コネクタの接続状態で上記パレットおよびパレット側コネクタが揺れ動くのに追従させてタワー側コネクタを変位させる追従機構が設けられたことを特徴とする立体駐車装置用の電気接続構造。
【請求項2】
上記追従機構は、タワー側コネクタの立設角度を保持しつつその平行移動を許容するリンク機能部を備えたことを特徴とする請求項1に記載の立体駐車装置用の電気接続構造。
【請求項3】
上記タワー側コネクタの支持部材には、両コネクタの非接続状態で、タワー側コネクタの設置高さを基準位置に保持するとともに、両コネクタとの接続状態で、該パレット側コネクタからタワー側コネクタを下方に変位させる所定の押圧力が作用した場合に、タワー側コネクタがパレット側コネクタに追従して下降することを許容する昇降支持機構が設けられたことを特徴とする請求項1または2に記載の立体駐車装置用の電気接続構造。
【請求項4】
自動車の格納部を備えたタワーと、自動車が搭載されるパレットと、該パレットを自動車の乗り込み位置とタワーの格納位置との間で移動させる移送機構と、パレットに固定されたパレット側コネクタと、タワーに配置されて上記パレット側コネクタに接続されるタワー側コネクタとを備えた立体駐車装置であって、上記タワー側コネクタを移動可能に支持する支持部材と、上記パレット側コネクタをタワー側コネクタに接続する際に両コネクタの位置ずれを修正する方向に上記タワー側コネクタを案内する案内部とを備え、上記タワー側コネクタの支持部材に、両コネクタの接続状態で上記パレットおよびパレット側コネクタが揺れ動くのに追従させてタワー側コネクタを変位させる追従機構が設けられるとともに、上記支持部材により支持されたタワー側コネクタの移動可能距離は、両コネクタの接続状態でパレット側コネクタが揺れ動くことが予想される最大移動距離よりも大きく設定されたことを特徴とする立体駐車装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−112939(P2013−112939A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−257579(P2011−257579)
【出願日】平成23年11月25日(2011.11.25)
【出願人】(510242521)ナブテスコサービス株式会社 (2)
【Fターム(参考)】