説明

立体駐車装置

【課題】省スペース化を図りつつ充電ケーブルを容易に収納できる立体駐車装置を提供する。
【解決手段】立体駐車装置1では、コンセント18が収容されたコンセントボックス12内に、充電ケーブルKが巻き掛けられるフック19a,19bが設けられている。これにより、充電中に余剰となる充電ケーブルKをフック19a,19bに巻き掛けることで、充電ケーブルKを容易にコンセントボックス12内に収納できる。また、充電ケーブルKをフック19a,19bに巻き掛ける構成であるため、充電ケーブルKの長さや太さを問わず対応することができ、且つ充電ケーブルKを巻き取る収納機構等に比べて簡易な構成とすることができる。そのため、コンセントボックス12の省スペース化を図ることができる。従って、省スペース化を図りつつ充電ケーブルKを容易に収納できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、立体駐車装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、環境やエネルギーの観点から、燃料を必要とせず排気ガスを排出しない電気自動車が注目されている。この電気自動車は、電動機(モータ)を動力発生源としており、バッテリに充電された電気を電動機に供給して走行するため、走行に応じてバッテリの充電が必要となる。このバッテリの充電は、充電装置を備えるサービスステーション等で行うことができる。しかし、バッテリを完全に充電する場合には時間を要するため、サービスステーションに出向いて充電することは効率的ではない。
【0003】
そこで、電気自動車の充電を効率的に行うために、車を使用していない駐車中に充電できるシステムが考えられている。例えば、特許文献1に記載の立体駐車装置では、電気自動車のバッテリを充電するための充電装置が装置の下部に設けられており、その充電装置に接続された充電ケーブルが各パレットまで延設されている。これにより、この立体駐車装置では、駐車スペースに備え付けの充電ケーブルを電気自動車に接続することで、駐車中にバッテリの充電を行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平4−366283号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、充電を行う際に用いる充電ケーブルの車両側の接続端子は、電気自動車の車種によって形状が異なっていることがある。そのため、上記従来の立体駐車装置のように、駐車スペースに備え付けの充電ケーブルでは一部の車種に対応することができないといった問題が生じる。そこで、近年では、車種に応じた充電ケーブルを運転者が持参し、充電ケーブルを備え付けのコンセントに接続して充電する形態が採用されている。
【0006】
しかしながら、コンセントが駐車場に備え付けられている場合、運転者は、コンセントと電気自動車とを接続した際に余剰となる充電ケーブルが他車両の車輪に踏まれないように取り回しを考慮する必要がある。また、特に立体駐車装置においては、車両が載置されるパレット上に余剰となる充電ケーブルが置いてあると、パレット昇降体の昇降時に充電ケーブルがパレットに引っ掛かったり、パレットの横行時に充電ケーブルが横行車輪に踏まれたりして断線するといった問題が生じ得る。そこで、例えば充電ケーブルを巻き取るドラム等の収納機構を設けることが考えられるが、充電ケーブルは車種によって長さや太さがまちまちであるため、全ての充電ケーブルに対応するためには収納機構が大型化してしまい、立体駐車装置内の限られた駐車スペースを圧迫するおそれがある。
【0007】
本発明は、上記課題を解決するために成されたものであり、省スペース化を図りつつ充電ケーブルを容易に収納できる立体駐車装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題解決のため、本発明に係る立体駐車装置は、車両が載置される複数のパレットが移動可能に設けられた立体駐車装置であって、パレットに載置される電気自動車のバッテリを充電するための充電手段を備え、充電手段は、パレットにおける幅方向の一端側に配置された筺体と、バッテリを充電するための充電器とを備え、筺体内には、充電器に接続されるコンセントと、コンセントと電気自動車とを接続する充電ケーブルが巻き掛けられる巻掛部とが設けられていることを特徴とする。
【0009】
この立体駐車装置では、コンセントが収容された筺体内に、充電ケーブルが巻き掛けられる巻掛部が設けられている。これにより、コンセントと電気自動車とを接続した際に余剰となる充電ケーブルを巻掛部に巻き掛けることにより筺体内に収納できるので、充電ケーブルを容易に収納することができる。また、充電ケーブルを巻掛部に巻き掛ける構成であるため、充電ケーブルの長さや太さを問わず対応することができると共に、例えばドラム等といった充電ケーブルを巻き取る収納機構等に比べて簡易な構成とすることができる。そのため、巻掛部が取り付けられる筺体の省スペース化を図ることができる。従って、省スペース化を図りつつ充電ケーブルを容易に収納することが可能となる。
【0010】
また、巻掛部は、コンセントの下方の位置で上下一対に設けられた棒状部材によって形成されていることが好ましい。通常、充電ケーブルは、コンセントと電気自動車とを接続した後に、余剰となる部分が巻掛部に巻き掛けられる。このとき、コンセントが巻掛部の上方に設けられているので、巻掛部に充電ケーブルを巻き掛ける際、コンセントから充電ケーブルが垂れた状態となっている。これにより、充電ケーブルを巻掛部に巻き掛ける際の充電ケーブルの自重が軽減されるので、充電ケーブルの収納をより容易に行うことができる。また、巻掛部が上下一対に設けられた棒状部材で形成されているので、簡易な構成とすることができると共に、筺体の幅方向の省スペース化を図ることができる。
【0011】
また、棒状部材の先端には、充電ケーブルの脱落を防止する引掛部が設けられていることが好ましい。この場合には、充電ケーブルの巻き掛け時や収容時に巻掛部から充電ケーブルが脱落することを確実に防止することができる。
【0012】
また、パレットにおける幅方向の他端側には、充電ケーブルの中間部分をパレットよりも上方の位置で保持するケーブル保持柱を更に備えることが好ましい。この場合、充電ケーブルの電気自動車側の接続部が筺体(コンセント)とは反対側に設けられている場合であっても、ケーブル保持柱に充電ケーブルの中間部分を掛け渡すことで充電ケーブルをパレットよりも上方で保持することができる。従って、パレット上に充電ケーブルが載置されるのを防止でき、その結果、充電ケーブルの断線等を防止することができる。
【0013】
また、筺体は、開閉自在なカバー部を有し、筺体には、巻掛部の下方の位置に、カバー部の閉状態において充電ケーブルを筺体の外側に取り出すためのケーブル取出部が設けられていることが好ましい。このカバー部は、コンセントを収容する収容空間への水、埃、虫及び異物の侵入防止や、ケーブルが解けた場合であっても外に出ないようにする必要があることから取り付けられる。そして、上記の構成とすることにより、ケーブル取出部によりカバー部を閉めた状態で充電を行うことができる。これにより、例えば充電中におけるパレットの移動の際、半開きのカバー部が振動等により開いた状態となり他パレット等に接触すること等を防止することができる。また、ケーブル取出部が巻掛部よりも下方に設けられているので、ケーブル取出部が巻取部の上方に設けられている場合に比べて、充電ケーブルの自重による負担を低減することができる。
【0014】
また、筺体及びケーブル支持棒の少なくとも一方は、パレットにおいて前後方向に移動自在に設けられていることが好ましい。この場合には、充電ケーブルの電気自動車側の接続部の配置位置に応じて筺体又はケーブル保持柱を移動することができる。従って、様々な車種に対応することが可能となる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、省スペース化を図りつつ充電ケーブルを容易に収納できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施形態に係る立体駐車装置を示す正面図である。
【図2】充電設備の概要を示す図である。
【図3】コンセントボックスの外観を示す斜視図である。
【図4】コンセントボックスの内部を示す斜視図である。
【図5】充電ケーブルが巻き掛けられた状態を示す斜視図である。
【図6】電気自動車の充電中の状態を示す斜視図である。
【図7】変形例に係る立体駐車装置の上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照しながら、本発明に係る立体駐車装置の好適な実施形態について詳細に説明する。
【0018】
図1は、本発明の一実施形態に係る立体駐車装置を示す正面図である。図1に示すように、立体駐車装置1は、自動車等の車両(電気自動車とも称する)Vが載置される複数のパレットが多段に配置されてなる立体駐車装置であり、昇降横行式の後進乗り入れ型多段立体駐車装置である。
【0019】
ここでの立体駐車装置1は、地上3段の3列構造を有しており、具体的には、地上面Gに位置する地上段2、最上位置の最上段3及び地上段2と最上段3との間に位置する中間段4を含む構造を有している。また、立体駐車装置1は、最上段3において車両Vを横並びにして3台駐車可能な3列(3連基)構造とされており、その結果、最大7台の車両Vを駐車し収容する。立体駐車装置1では、ゲート5が開かれ、地上段2に位置する車両Vが出庫される、或いは地上面Gから車両Vが入庫されることになる。なお、以下の説明では、立体駐車装置1において車両Vが入出する側を前側とし、車両Vが横並びに並ぶ方向を左右方向とし、高さ方向を上下方向(鉛直方向)として説明する。
【0020】
この立体駐車装置1は、車両Vが載置されるパレット6として、地上段パレット6a、中間段パレット6b及び最上段パレット6cを備えている。パレット6b,6cは、水平状態が維持されるように吊りチェーン(図示しない)で吊下支持されている。この吊りチェーンは、巻上装置(図示しない)に接続されてその巻き上げ及び巻き下げが可能とされている。これにより、パレット6b,6cは、昇降可能になっている。なお、パレット6a,6bの横行(スライド移動)機構は公知のものであり、詳細な説明を省略するが、例えば以下の通りである。パレット6a,6bは、左右方向に延在するガイドレールに車輪を介して支持されており、モータの駆動によって車輪が回転されることで、ガイドレール上をこのガイドレールに沿って摺動する。
【0021】
また、図2に示すように、立体駐車装置1は、駐車中の電気自動車Vのバッテリを充電するための充電設備を備えている。以下、充電設備について詳細に説明する。図2に示すように、立体駐車装置1の充電設備10は、電源9と、充電器11と、コンセントボックス(筺体)12と、ケーブル保持柱13とを含んで構成されている。
【0022】
電源9は、外部の三相交流電源である。この電源9は、駆動部(図示しない)及び充電器11に給電する。なお、図示しないが、電源9は、第1相がU、第2相がV、第3相がWとなっている。
【0023】
充電器11は、例えば立体駐車装置1の後方下部に設けられている。この充電器11は、電源9を電源として電気自動車Vのバッテリに給電する装置である。具体的には、充電器11は、電源9における三相交流電源(U,V,W)のうち二相(U,V)を取り出した電源を電源としている。充電器11は、後述するコンセント18に接続ケーブルCKを介して接続されている。なお、充電器11は、電源9とコンセント18との間に介在する機器等であり、変圧等を行う機器や電源9からコンセント18までを接続するケーブル等を含むものである。
【0024】
続いて、コンセントボックス12について、図3及び図4を参照しながら詳細に説明する。図3は、コンセントボックスの外観を示す斜視図であり、図4は、コンセントボックスの内部を示す斜視図である。図3に示すように、コンセントボックス12は、パレット6の幅方向(左右方向)における一端側(図示左側)の後端部に配置されている。このコンセントボックス12は、例えばステンレス等の部材により略柱状に形成されており、パレット6に固定されている。
【0025】
図4に示すように、コンセントボックス12の上側には、略柱状の収容空間Sが形成されている。具体的には、この収容空間Sは、上面12aと、この上面12aに対向する下面12bと、側面12c,12dとによって形成されている。また、コンセントボックス12には、収容空間Sの一部を開放する開放部14が形成されている。そして、コンセントボックス12には、開放部14を覆うカバー部15が設けられている。
【0026】
カバー部15は、断面略L字状を成し、コンセントボックス12に対して開閉自在に取り付けられている。このカバー部15には、開閉の際に作業者に把持される把手16が取り付けられている(図3参照)。なお、コンセントボックス12には、カバー部15に対応する位置にマグネット17が設けられており、カバー部15は、マグネット17により閉状態において固定される。
【0027】
また、図3に示すように、カバー部15は、その下端15aが下面12bよりも上方の位置となるように形成されている。これにより、下面12bとカバー部15の下端15aとの間には、カバー部15の閉状態において隙間Dが形成される。つまり、隙間Dは、カバー部15の形状に沿って略L字状に形成されている。この隙間Dは、カバー部15の閉状態において、充電ケーブルKをコンセントボックス12内から外側に取り出すためのケーブル取出部として機能する(図5参照)。なお、隙間Dの間隔は、例えば20mm以上となっている。
【0028】
また、コンセントボックス12内には、コンセント18と、一対のフック19a,19bとが設けられている。具体的には、側面12cには、この側面12cに沿って板状部材20が配設されており、コンセント18は、板状部材20の上端側に設けられている。このコンセント18には、上述のように接続ケーブルCKを介して充電器11に接続されている。これにより、各パレット6においてバッテリの充電が可能となっている。そして、コンセント18には、その全体を覆うようにカバー18aが開閉自在に設けられている。
【0029】
フック19a,19bは、板状部材20においてコンセント18の下方に上下一対設けられている。具体的には、フック19a,19bは、例えばステンレス等の部材によって形成された棒状部材であり、断面L字状を成している。フック19a,19bは、鉛直方向において同一直線上に所定の間隔を有して配置されており、それぞれの先端部21a,21bが外側を向くように設けられている。この先端部21a,21bは、充電ケーブルKの脱落を防止する引掛部として機能する。
【0030】
図5は、フックに充電ケーブルが巻き掛けられた状態を示す図である。同図に示すように、充電ケーブルKは、一端側のコンセントプラグ(図示しない)がコンセント18に差し込まれた状態で、フック19a,19bに複数回巻き掛けられている。充電ケーブルKを巻き掛ける手順の一例としては、まず充電ケーブルKのコンセントプラグをコンセント18に挿し込むと共に充電ケーブルKの電気自動車V側の端子を電気自動車に接続する。そして、コンセント18と電気自動車Vとの間において余剰となる充電ケーブルKの中間部分をフック19a,19bに巻き掛ける。
【0031】
図2に戻って、ケーブル保持柱13は、パレット6の幅方向における他端側(図示右側)、すなわちコンセントボックス12に対向する位置の後端部に配置されている。このケーブル保持柱13は、例えばステンレス等の材料によって形成された柱状部材であり、パレット6に対して立設されている。ケーブル保持柱13は、高さが例えば1m程度となっている。
【0032】
ケーブル保持柱13の先端部には、ケーブル保持部22が設けられている。ケーブル保持部22は、例えばカラビナであり、充電ケーブルKを着脱可能とする機構を有している。具体的には、ケーブル保持部22は、略C字状のフック部22aと、可動部22bとから構成されている。可動部22bは、その下端側が回動自在に軸支されている。このような構成により、ケーブル保持部22では、可動部22bをフック部22aの内側に押し込むようにすることで、充電ケーブルKの着脱が可能となっている。また、可動部22bは、図示しない弾性部材により可動後に元の位置(図2に示す位置)に戻る構成となっている。これにより、ケーブル保持部22では、充電ケーブルKが保持される。なお、ケーブル保持部22は、充電ケーブルKを保持する構成であればよく、例えばリング状、フック状などであってもよい。
【0033】
続いて、本発明の立体駐車装置1の作用効果について説明する。図2に示すように、立体駐車装置1は、充電設備10としてコンセントボックス12を備えている。そして、このコンセントボックス12内には、コンセント18の下方の位置に上下一対のフック19a,19bが設けられている。このような構成において、電気自動車Vの充電を行う際には、コンセント18と電気自動車Vとを充電ケーブルKで接続し、余剰な充電ケーブルKをフック19a,19bに巻き掛ける。従って、充電ケーブルKを容易に収納することができる。また、余剰な充電ケーブルKがコンセントボックス12の収容空間Sに収納されるので、図6に示すように、電気自動車Vの充電中において、コンセント18と電気自動車Vとの間において余剰となる充電ケーブルKがパレット6上に載置されない。すなわち、充電中における充電ケーブルKは、コンセント18と電気自動車Vとの間において、パレット6の上方で保持されることになる。従って、充電ケーブルKの取り回しを考慮する必要がなく、また、パレット6の移動に伴う断線等を防止することができる。
【0034】
以上説明したように、立体駐車装置1では、コンセント18が収容されたコンセントボックス12内に、充電ケーブルKが巻き掛けられるフック19a,19bが設けられている。これにより、コンセント18と電気自動車Vとを接続した際に余剰となる充電ケーブルKをフック19a,19bに巻き掛けることによりコンセントボックス12内に収納できるので、充電ケーブルKを容易に収納することができる。また、充電ケーブルKをフック19a,19bに巻き掛ける構成であるため、充電ケーブルKの長さや太さを問わず対応することができると共に、例えばドラム等といった充電ケーブルを巻き取る収納機構等に比べて簡易な構成とすることができる。そのため、フック19a,19bが取り付けられるコンセントボックス12の省スペース化を図ることができる。従って、省スペース化を図りつつ充電ケーブルKを容易に収納することが可能となる。
【0035】
また、フック19a,19bは、コンセント18の下方の位置で上下一対に設けられた棒状部材によって形成されている。通常、充電ケーブルKは、コンセント18と電気自動車Vとを接続した後に、余剰となる部分がフック19a,19bに巻き掛けられる。このとき、コンセント18がフック19a,19bの上方に設けられているので、フック19a,19bに充電ケーブルKを巻き掛ける際、コンセント18から充電ケーブルKが垂れた状態となっている。これにより、充電ケーブルKをフック19a,19bに巻き掛ける際の充電ケーブルKの自重が軽減されるので、充電ケーブルKの収納をより容易に行うことができる。また、フック19a,19bが上下一対に設けられた棒状部材で形成されているので、簡易な構成とすることができると共に、コンセントボックス12の幅方向の省スペース化を図ることができる。
【0036】
また、フック19a,19bはL字状を成し、先端部21a,21bがそれぞれ外側を向くように取り付けられているので、充電ケーブルKをフック19a,19bに巻き掛ける時やコンセントボックス12内での収容時にフック19a,19bから充電ケーブルKが脱落することを確実に防止することができる。
【0037】
また、パレット6においてコンセントボックス12に対向する位置には、充電ケーブルKの中間部分をパレット6よりも上方の位置で保持するケーブル保持柱13が設けられている。この場合、充電ケーブルKの電気自動車V側の接続部がコンセントボックス12(コンセント18)とは反対側に設けられている場合であっても、ケーブル保持柱13に充電ケーブルKの中間部分を掛け渡すことで充電ケーブルKをパレットよりも上方で保持することができる。従って、パレット6上に充電ケーブルKが載置されるのを防止でき、その結果、充電ケーブルKの断線等を防止することができる。
【0038】
また、収納空間Sを形成する下面12bとカバー部15の下端15aとの間には、隙間Dが形成されている。この隙間Dが形成されていない場合、充電中にカバー部15は半開きの状態となる。このとき、例えばパレット6が移動する際の振動によりカバー部15が開いた状態となった場合には、他のパレット等にカバー部15が接触するおそれがある。これに対して、本実施形態では、隙間Dを設けることにより、カバー部15を完全に閉めた状態でも充電ケーブルKを外側に取り出すことができ、充電時にカバー部15を閉状態とすることができる。従って、カバー部15がパレット6等に接触することを防止することができる。また、隙間Dがフック19a,19bよりも下方に設けられているので、隙間Dをフック19a,19bよりも上方に設けた場合に比べて、充電ケーブルKの自重による負担を低減することができる。
【0039】
また、隙間Dは、カバー部15の断面形状(略L字状)に沿って形成されており、その一方側は、電気自動車V側に形成されている。すなわち、隙間Dは、ケーブル保持柱13と向き合う位置(対向位置)に形成されている。これにより、図2に示すように、ケーブル保持柱13を利用してバッテリの充電を行う場合、充電ケーブルKを極力屈曲させることなくケーブル保持柱13に掛け渡すことができる。そのため、コンセントボックス12とケーブル保持柱13との間において充電ケーブルKをほとんど撓ませることなく張設することができる。
【0040】
ここで、立体駐車装置1は屋外に配置されるため、設置場所によっては虫等がコンセントボックス12内に入り込むことがある。この状態でカバー部15が閉じられた場合には、利用者がカバー部15を開けたときに不快感を覚えるおそれがある。これに関して、本実施形態のコンセントボックス12は、カバー部15が閉状態であっても収容空間Sと外側とを連通する隙間Dが設けられているため、収容空間Sに入り込んだ虫等を外に逃がすことができ、利用者に不快感を与えることがないといった効果もある。
【0041】
なお、本発明は上述の実施形態に限定されるものではない。例えば、上記実施形態では、コンセントボックス12及びケーブル支柱13がパレット6に固定されている構成を示したが、例えば図7に示すような構成であってもよい。図7は、変形例に係る立体駐車装置を示す上面図である。
【0042】
図7に示すように、立体駐車装置30においては、コンセントボックス31及びケーブル保持柱32がパレット6Aの前後方向に移動自在に設けられている。具体的には、パレット6Aには、幅方向の両端部に前後方向に沿ってガイドレール33,34が設けられている。また、コンセントボックス31及びケーブル保持柱32の下部には、図示しないガイドローラがそれぞれ設けられている。そして、ガイドローラがガイドレール33,34に沿ってスライドすることにより、コンセントボックス31及びケーブル保持柱32は、パレット6Aの前後方向に移動自在となっている。なお、コンセントボックス31及びケーブル保持柱32に設けられるガイドローラには、制動手段が設けられている。これにより、コンセントボックス31及びケーブル保持柱32を所定の位置において固定することができる。
【0043】
以上のような構成を有する立体駐車装置30では、充電ケーブルKの電気自動車V側の接続部の配置位置に応じてコンセントボックス31及びケーブル保持柱32を移動することができる。従って、様々な車種に対応することが可能となる。なお、コンセントボックス31及びケーブル保持柱32のいずれか一方が移動自在に設けられる構成であっても、もちろん同様の効果を得ることができる。
【0044】
また、上記実施形態では、フック19a,19bが鉛直方向において同一直線上となるように配置されているが、フック19a,19bが上下一対に配置される構成であればよく、例えば左右にずれて設けられてもよい。また、充電ケーブルKが巻き掛けられる構成であればL字状のフックに限定されず、その他の形状であってもよい。
【0045】
また、上記実施形態では、立体駐車装置1として地上3段の3列構造の立体駐車装置を例示したが、立体駐車装置の構造は上記構造に限定されるものではなく、例えば地上4段の3列構造やピット式等のような構造であってもよい。
【0046】
また、上記実施形態では、コンセントボックス12を略柱状としているが、コンセントボックス12の形状はこれに限定されず、例えば円柱状等であってもよい。
【0047】
また、上記実施形態に加えて、コンセントボックス12における底面12bを、開放部14側に傾斜(前傾斜)する構成としてもよい。この場合には、コンセントボックス12の収納空間Sに水が入った場合であっても、内部に水が溜まることを防止できる。
【0048】
なお、コンセントボックス12は、立体駐車装置1において全てのパレット6に設けられてもよいし、例えば地上段2のみといったように一部のパレット6(6a)だけに設けられてもよい。
【符号の説明】
【0049】
1,30…立体駐車装置、6(6a,6b,6c),6A…パレット、10…充電設備(充電手段)、11…充電器、12,31…コンセントボックス(筺体)、18…コンセント、13,32…ケーブル保持柱、19a,19b…フック(巻掛部、引掛部)、D…隙間(ケーブル取出部)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両が載置される複数のパレットが移動可能に設けられた立体駐車装置であって、
前記パレットに載置される電気自動車のバッテリを充電するための充電手段を備え、
前記充電手段は、
前記パレットにおける幅方向の一端側に配置された筺体と、
前記バッテリを充電するための充電器とを備え、
前記筺体内には、
前記充電器に接続されるコンセントと、
前記コンセントと前記電気自動車とを接続する充電ケーブルが巻き掛けられる巻掛部とが設けられていることを特徴とする立体駐車装置。
【請求項2】
前記巻掛部は、前記コンセントの下方の位置で上下一対に設けられた棒状部材によって形成されていることを特徴とする請求項1記載の立体駐車装置。
【請求項3】
前記棒状部材の先端には、前記充電ケーブルの脱落を防止する引掛部が設けられていることを特徴とする請求項2記載の立体駐車装置。
【請求項4】
前記パレットにおける幅方向の他端側には、前記充電ケーブルの中間部分を前記パレットよりも上方の位置で保持するケーブル保持柱を更に備えることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項記載の立体駐車装置。
【請求項5】
前記筺体は、開閉自在なカバー部を有し、
前記筺体には、前記巻掛部の下方の位置に、前記カバー部の閉状態において前記充電ケーブルを前記筺体の外側に取り出すためのケーブル取出部が設けられていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項記載の立体駐車装置。
【請求項6】
前記筺体及び前記ケーブル保持柱の少なくとも一方は、前記パレットにおいて前後方向に移動自在に設けられていることを特徴とする請求項4又は5記載の立体駐車装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−80265(P2011−80265A)
【公開日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−233651(P2009−233651)
【出願日】平成21年10月7日(2009.10.7)
【出願人】(000003377)東急車輛製造株式会社 (332)