説明

立坑の構築方法、鋼矢板の止水部材及び鋼矢板の圧入方法

【課題】 鋼矢板を切断しても地山が立坑内に開放されることはなく、薬注による地盤改良が不要であり、低コストの立坑の構築方法を提供する。
【解決手段】 鋼矢板1、1A〜1Cを地面Gに複数並列に圧入して構築する立坑の構築方法であって、鋼矢板1A〜1Cの地山側面にトンネル掘削機Tによって切削可能なカバー2A〜2Cを掘削機Tの通過口18となる部分を覆って装着し、カバー2A〜2Cが装着された鋼矢板1A〜1Cを地面Gに圧入し、鋼矢板1A〜1Cの立坑側面の土砂を除去して立坑空間13を形成し、立坑空間13にて鋼矢板1A〜1Cのカバー2A〜2Cに対向する部分を環状に切断することで鋼矢板1A〜1Cに通過口18を開口し、通過口18の部分の地山をカバー2A〜2Cで覆って支持させるようにした。カバー2A〜2Cはトンネル掘削機Tが通過口18を通過するとき切削される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トンネル掘削機の発進・到達に際して立坑の近傍の地盤改良を不要とした立坑の構築方法、それに用いる鋼矢板の止水部材及びその鋼矢板の圧入方法に関する。
【背景技術】
【0002】
トンネル掘削機(元押しによる推進式やシールドジャッキによる自走式等)は、一般に、地中に形成された立坑から発進する。
【0003】
かかる立坑として、両縁に係合部を有する複数の鋼矢板を、各係合部同士を係合させて平面視枠状に地中に圧入し、その内側の土砂を取り除いて構築するタイプが知られている。この種の立坑では、発進部分となる鋼矢板の外側の地山を薬剤注入等で地盤改良して安定化させた後、鋼矢板を立坑内から環状に切断し、発進口を開口して地山を露出させ、そこからトンネル掘削機を発進させる。
【0004】
なお、関連する先行技術文献として特許文献1が知られている。
【0005】
【特許文献1】特開2004−076305号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述のタイプの立坑では、鋼矢板の切断により地山が立坑内に開放されるため、開放に先立って薬剤注入による地山安定化(地盤改良)を行う必要があり、薬注作業によるコストアップ、工期長期化が避けられない。
【0007】
また、薬注による地盤改良の効果の確認が難しく、確実に地山が安定する薬注量等の条件が不確定であるため、地山崩壊等を確実に防止するために薬注量が過大となりがちであり、環境衛生上、好ましくない。
【0008】
また、注入された薬剤が周辺の井戸水等の地下水に影響を及ぼさないことの確認が必要となるため、水質汚濁の状況を確認するための観測井戸を設置して定期的に観測しなければならず、コストアップを招く。
【0009】
そこで、本発明の目的は、鋼矢板を切断しても地山が立坑内に開放されることはなく、薬注による地盤改良が不要であり、低コストの立坑の構築方法、それに用いる鋼矢板の止水部材及びその鋼矢板の圧入方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために第1の発明は、鋼矢板を地面に複数並列に圧入して構築する立坑の構築方法であって、鋼矢板の地山側面にトンネル掘削機によって切削可能なカバーを上記掘削機の通過口となる部分を覆って装着し、該カバーが装着された上記鋼矢板を地面に圧入し、該鋼矢板の立坑側面の土砂を除去して立坑空間を形成し、該立坑空間にて上記鋼矢板の上記カバーに対向する部分を環状に切断することで上記鋼矢板に上記通過口を開口し、該通過口の部分の地山を上記カバーで覆って支持させるようにしたものである。
【0011】
上記カバーを第1シールを介して上記鋼矢板に装着し、該第1シールによって上記カバーと上記鋼矢板との間を止水するようにし、且つ、上記鋼矢板を、この鋼矢板に装着されたカバーが先に地面に圧入された鋼矢板のカバーに当接するように地面に圧入するようにし、これらカバー同士が当接する面に第2シールを取り付け、該第2シールによって上記カバー同士の間を止水するようにすることが好ましい。
【0012】
上記カバーを緩衝材を介して上記鋼矢板に装着し、上記鋼矢板を切断するときの上記カバーへの影響を上記緩衝材によって抑制するようにすることが好ましい。
【0013】
また、第2の発明に係る鋼矢板の止水部材は、鋼矢板の地山側面にトンネル掘削機の通過口となる部分を覆うように装着されるカバーを有し、該カバーは、上記トンネル掘削機により掘削可能な材料からなるものである。
【0014】
上記カバーに、上記鋼矢板との間を止水するための第1シールを設けると共に、隣接する鋼矢板のカバーとの間を止水するための第2シールを設けることが好ましい。
【0015】
上記カバーに、上記鋼矢板を切断する際の上記カバーへの影響を抑制するため、緩衝材を装着することが好ましい。
【0016】
上記カバーが、上記鋼矢板の上記地山側面の凹凸形状に合わせて凹凸板状に形成されることが好ましい。
【0017】
また、第3の発明は、上記鋼矢板を圧入機の把持部に把持させて地面に圧入する方法であって、上記把持部と地面との間の圧入代を利用し、この圧入代の部分の上記鋼矢板の地山側面に上記止水部材を装着し、該止水部材が装着された鋼矢板を上記圧入機によって地面に圧入するようにしたものである。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、鋼矢板を切断しても地山が立坑内に開放されることはなく、薬注による地盤改良が不要であり、低コストとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明の好適実施形態を添付図面を用いて説明する。
【0020】
本実施形態の概要は、図9に示すように、鋼矢板1、1A、1B、1Cを地面に複数並列に圧入して立坑を構築する際に、鋼矢板1A〜1Cの地山側面にトンネル掘削機T(図10)によって切削可能なカバー2A、2B、2Cを掘削機Tの通過口18となる部分を覆って装着し、このカバー2A〜2Cが装着された鋼矢板1A〜1Cを地面に圧入し、これら鋼矢板1A〜1Cの立坑側面の土砂を除去して立坑空間13を形成し、この立坑空間13にて鋼矢板1A〜1Cのカバー2A〜2Cに対向する部分を環状に切断することで鋼矢板1A〜1Cに通過口18を開口し、この通過口18の部分の地山をカバー2A〜2Cで覆って支持させるようにしたものである。
【0021】
これにより、鋼矢板1A〜1Cを立坑空間13内で環状に切断して鋼矢板1A〜1Cに通過口18を形成しても、通過口18の部分の地山がカバー2A〜2Cで覆われて支持されるので、地山が立坑空間13内に開放されない。よって、地山崩落等の危険が無く、安全性が高まる。また、鋼矢板1A〜1Cを切断しても地山が開放されないので、地盤改良のための薬注作業が不要となり、地盤改良に伴う観測井戸の設置も不要となって、低コストとなり、環境への影響も軽減できる。また、上記カバー2A〜2Cは、トンネル掘削機Tが通過口18を通過するとき切削されるので、何等障害とならない。
【0022】
以下、本実施形態を詳述する。
【0023】
図1は、鋼矢板1A〜1C(図4、図5)に装着される上記カバー2A〜2Cを有する止水部材3A〜3Cの説明図である。止水部材3A〜3Cは、鋼矢板1A〜1Cの地山側面にトンネル掘削機Tの通過口18となる部分を覆って装着され、鋼矢板1A〜1Cの形状に応じてAタイプ3A、Bタイプ3B及びCタイプ3Cの三種がある。これら止水部材3A〜3Cは、それぞれ対応する鋼矢板1A〜1Cの地山側面にトンネル掘削機Tの通過口18となる部分を覆うように夫々装着される。
【0024】
各止水部材3A〜3Cのカバー2A〜2Cは、図4及び図5に示すように、各鋼矢板1A〜1Cの地山側面の凹凸形状に合わせて凹凸板状に形成されている。カバー2A〜2Cは、トンネル掘削機Tで切削可能な材料からなり、且つ鋼矢板1A〜1Cに通過口18を開口したときの土圧に耐える強度を有し、例えばガラス繊維強化硬質ウレタン樹脂や熱硬化性樹脂発泡体等からなる。
【0025】
各カバー2A〜2Cには、図1に示すように、通過口18となる部分の径方向外側に位置させて、鋼矢板1A〜1Cとの間を止水するための第1シール4が設けられている。第1シール4は、カバー2A、2Cの上下方向に沿って延出された縦シール部4xと、カバー2A、2B、2Cの左右方向に沿って延出された横シール部4yとを備え、各カバー2A、2B、2Cが並列されたとき、図2に示すように夫々のシール部4が共同して通過口18となる部分を囲むようにリング状となる。
【0026】
また、カバー2A、2Cには、カバー2Bとの間を止水するための第2シール5が設けられている。第2シール5は、カバー2A、2Cの上下方向に沿って延出された縦シール部5xを有し、各カバー2A、2B、2Cが並列されたとき、図3に示すようにカバー2Aと2B、カバー2Bと2Cの間を止水する。なお、この第2シール5(縦シール部5x)をカバー2Bの背面部にも設け、カバー2A、2Cとの間を二重の縦シール部5xで止水する、或いは双方の縦シール部5x同士を当接させて止水するようにしてもよい。
【0027】
第1シール4及び第2シール5は、水膨潤ゴムからなり、図1〜図3に示すように、各カバー2A〜2Cの鋼矢板側面に接着剤等で装着されている。第1シール4及び第2シール5の上記面に直接装着された部分は、図4及び図5に示すように、カバー2A〜2Cの鋼矢板側面から突出した状態となるため、組み付け後に鋼矢板1A〜1Cに接触する。そして、カバー2A〜2Cが土圧等で鋼矢板1A〜1Cに押し付けられて密着されることによって圧縮され、水膨張効果とも相俟って高いシール性を発揮する。
【0028】
上記カバー2A〜2Cには、鋼矢板1A〜1Cに通過口18を形成すべく鋼矢板1A〜1Cを切断(溶断)する際、その熱が上記カバー2A〜2C(ガラス繊維強化硬質ウレタン樹脂製等)に与える影響を抑制するため、緩衝材(熱緩衝材)として耐火ブランケット6A〜6Cが接着剤等で装着されている。耐火ブランケット6A、6Cは、図1に示すように、カバー2A、2Cの鋼矢板側面において、シール4、5の内方に形成される収容部に、少なくとも上記通過口18となる部分を覆うように接着剤等で装着され、耐火ブランケット6Bは、カバー2Bの鋼矢板側面において、上下のシール4(4y)の間に形成される収容部に、少なくとも上記通過口18となる部分を覆うように接着剤等で装着されている。これら耐火ブランケット6A〜6Cは、カバー2A〜2Cの鋼矢板側面からシール4、5と略同様に突出されている。
【0029】
前述した止水部材3A〜3Cは、図6に示すように、夫々対応する鋼矢板1A〜1Cの地山側面に装着される。この装着は、カバー2A〜2Cの下端部が係合される下部固定金具8を鋼矢板1A〜1Cに溶接し、カバー2A〜2Cの上端部が係合される上部固定金具9を鋼矢板1A〜1Cに溶接して行う。
【0030】
鋼矢板1の地面への圧入方法を図7を用いて説明する。
【0031】
図7(a)に示すように、先ず地面Gの鋼矢板1、1A〜1Cが圧入される部分を所定深さ掘り下げて溝10を形成する。後述の圧入代を稼ぐためである。図例では図面裏から表方向に鋼矢板1、1A〜1Cが並列されるので、溝10も図面裏から表方向に沿って形成される。溝10を形成したら、図7(b)に示すように、反力受けとなる鋼矢板1を圧入機(サイレントパイラー等)で圧入(打設)する。この鋼矢板1は、図4及び図5に示すように、上記止水部材3A〜3C(カバー2A〜C)が装着されない通常のものである。
【0032】
通常の鋼矢板1を圧入したら、図7(c)に示すように、Aタイプの鋼矢板1Aを圧入機11の把持部12に把持させ、上記通常の鋼矢板1に反力を取って所定深さ地面に圧入する。ここでの所定深さは、Aタイプの鋼矢板1Aの下端から通過口18となる部分までの距離(予め定められている)を勘案し、把持部12の直下にて鋼矢板1Aに下部固定金具8が取り付けられる位置に設定される。
【0033】
上記鋼矢板1Aに下部固定金具8を溶接で取り付けたなら、図7(d)に示すように、圧入機11の把持部12を下降させ、把持位置を適宜持ち替える等して下部固定金具8が溝10の底部(地面)の直前となる位置まで上記鋼矢板1Aを圧入する。そして、下部固定金具8に図1に示すAタイプの止水部材3Aの下端部を差し込み、止水部材3Aの上端部に上部固定金具9を嵌め込んで、この上部固定金具9を鋼矢板1Aに溶接する。
【0034】
こうして、止水部材3Aが下部固定金具8及び上部固定金具9を介して鋼矢板1Aに装着されたなら、圧入機11の把持部12による鋼矢板1Aの把持位置を適宜持ち替えて上記鋼矢板1Aを所定の設計深さまで圧入する。ここで、カバー2Aが鋼矢板1Aの地山側面の凹凸形状に合わせて凹凸板状に形成されているので、厚さが薄くなって圧入時の抵抗となる断面積が小さくなり、止水部材3Aを装着したことによる圧入抵抗の増加が抑えられる。
【0035】
また、把持部12と地面Gとの間の圧入代を利用して止水部材3Aを鋼矢板1Aに装着しているので、上記把持部12は鋼矢板1Aの通常の板厚部分を把持でき、汎用の圧入機を用いることができる。また、図例では、予め地面Gを掘り下げて溝10を形成することで上記圧入代を稼いでいるので、止水部材3Aの鋼矢板1Aに沿った長さを溝10が無いタイプと比べて長くでき、大径のトンネル掘削機Tにも対応できる。
【0036】
Aタイプの鋼矢板1Aの圧入が終了したら、Aタイプの鋼矢板1Aに反力を取ってBタイプの鋼矢板1Bを同様にして圧入し、その途中で同様にしてBタイプの止水部材3Bを装着し、隣り合うカバー2A、2Bが当接するように所定の設計深さまで圧入する。次に、Bタイプの鋼矢板1Bに反力を取ってCタイプの鋼矢板1Cを同様にして圧入し、その途中で同様にしてCタイプの止水部材3Cを装着し、隣り合うカバー2B、2Cが当接するように所定の設計深さまで圧入する。その後、Cタイプの鋼矢板1Cに反力を取って通常の鋼矢板1を同様に所定の設計深さまで圧入し、その鋼矢板1に反力を取って別の通常の鋼矢板1を所定の設計深さまで圧入するという作業を繰り返し、各鋼矢板1を平面視枠状に繋げる。
【0037】
各鋼矢板1を平面視枠状に繋げるように圧入したなら、図8に示すように、各鋼矢板1の立坑側面の土砂を除去して立坑空間13を形成する。そして、鋼矢板1A〜1Cを跨ぐように、トンネル掘削機Tの連通口18となる部分を覆うようにして、坑口部材15を溶接等によって取り付ける。坑口部材15は、鋼矢板1A〜1Cとの接合部が止水されて内部が密閉されるように取り付けられる。この坑口部材15は、トンネル掘削機Tが通過するための穴16を有し、穴16には上記掘削機Tとの間を止水するためのシール材17が設けられている。
【0038】
次に、図9に示すように、上記穴16を通じて鋼矢板1A〜1Cを跨ぐようにして鋼矢板1A〜1Cをランサー等で環状に切断(溶断)し、連通口18を開口する。この切断時の熱は、耐火ブランケット6A〜6Cにより減衰され、カバー2A〜2C(ガラス繊維強化硬質ウレタン樹脂製等)に熱影響(熱劣化)を与えない。本実施形態では、鋼矢板1A〜1Cを溶断する前に耐火ブランケット6A〜6Cに水を供給して耐火ブランケット6A〜6Cを湿潤状態とし、上記熱減衰の効果を高めている。その後、穴16を通じて耐火ブランケット6A〜6Cを鋼矢板1A〜C側から除去する。
【0039】
これにより、通過口18の部分の土砂が通過口18を覆うカバー2A〜2Cによって支持される。カバー2A〜2Cの強度は、上記土砂の土圧に耐え得る強度なので、土砂がカバー2A〜2Cを破損させて立坑空間13内に雪崩込むことはない。よって、薬注による地盤改良は不要であり、薬注によるコストアップ、工期長期化、環境問題等が生じることはない。
【0040】
また、鋼矢板1A〜1Cを切断して通過口18を開口したとき、各カバー2A〜2Cによって仕切られた地山側の土砂水がカバー2Aと2B、2Aと2Cの間を通って立坑13内に浸入しようするが、カバー2Aと2B、2Aと2Cの間には第2シール5が設けられているので、上記土砂水はこの第2シール5によって止水される。殊に、土圧によって外側のカバー2A、2Cが内側のカバー2Bに押し付けられるので、第2シール5が圧縮されてそのシール面に密着され、第2シール5(水膨潤ゴム)の水膨張効果とも相俟って高いシール性が発揮されることになり、立坑空間13内への漏水が防止される。
【0041】
また、第1シール4も、土圧によって各カバー2A〜2Cが鋼矢板1A〜1Cに押し付けられて圧縮されるので、第1シール4(水膨潤ゴム)の水膨張効果とも相俟って鋼矢板1A〜1Cとの間で高い止水性能を発揮する。すなわち、上記第1及び第2シール4、5は、土圧による圧縮シール効果と、地山中の水分を吸収して膨張する水膨潤ゴム効果とが相俟って、地中にて高いシール性を発揮する。
【0042】
その後、図10に示すように、立坑空間13内からトンネル掘削機T(元押しによる推進式やシールドジャッキによる自走式等)を上記穴16及び通過口18を通して前進させ、カバー2A〜2Cを切削して発進させる。カバー2A〜2Cの切削により、地山側の土砂水がカバー2A〜2Cと掘削機Tとの隙間を通って坑口部材15内に浸入するが、坑口部材15内の土砂水はシール材17によって掘削機Tとの間で止水されるので、立坑空間13内に土砂水が噴出することはない。
【0043】
本発明の実施形態は上記タイプに限定されない。例えば、坑口部材15の取り付けと連通口18の開口とは順序を逆にしてもよい。また、鋼矢板1A〜1Cを溶断ではなく切削具によって切断して連通口18を開口してもよく、この場合、緩衝材は耐火ブランケット6である必要はない。また、通過口18が形成される鋼矢板1A〜Cの形状は、通常の鋼矢板1と同じでもよい。また、本発明は発進用の立坑ではなく、到達用の立坑にも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の好適実施形態に係る立坑の構築方法に用いられる鋼矢板の止水部材の斜視図である。
【図2】図1のII−II線断面図である。
【図3】図1のIII−III線断面図である。
【図4】図2に鋼矢板を加えた説明図である。
【図5】図3に鋼矢板を加えた説明図である。
【図6】止水部材の鋼矢板への装着の様子を示す図であり、(a)は側面図、(b)は正面図である。
【図7】鋼矢板の地面への圧入及び鋼矢板への止水部材の取り付けの工程を示す説明図である。
【図8】立坑の説明図であり、(a)は側面図、(b)は立坑内から見た正面図である。
【図9】立坑の説明図であり、(a)は側面図、(b)は立坑内から見た正面図である。
【図10】立坑の側面図である。
【符号の説明】
【0045】
1 鋼矢板(通常のもの)
1A〜1C 鋼矢板(通過口用のもの)
2A〜2C カバー
3A〜3C 止水部材
4 第1シール
5 第2シール
6A〜6C 緩衝材(熱緩衝材)としての耐火ブランケット
8 下部固定金具
9 上部固定金具
10 掘り下げた溝
11 圧入機
12 把持部
13 立坑空間
18 通過口
G 地面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
鋼矢板を地面に複数並列に圧入して構築する立坑の構築方法であって、
鋼矢板の地山側面にトンネル掘削機によって切削可能なカバーを上記掘削機の通過口となる部分を覆って装着し、該カバーが装着された上記鋼矢板を地面に圧入し、該鋼矢板の立坑側面の土砂を除去して立坑空間を形成し、該立坑空間にて上記鋼矢板の上記カバーに対向する部分を環状に切断することで上記鋼矢板に上記通過口を開口し、該通過口の部分の地山を上記カバーで覆って支持させるようにしたことを特徴とする立坑の構築方法。
【請求項2】
上記カバーを第1シールを介して上記鋼矢板に装着し、該第1シールによって上記カバーと上記鋼矢板との間を止水するようにし、且つ上記鋼矢板を、この鋼矢板に装着されたカバーが先に地面に圧入された鋼矢板のカバーに当接するように地面に圧入するようにし、これらカバー同士が当接する面に第2シールを取り付け、該第2シールによって上記カバー同士の間を止水するようにした請求項1記載の立坑の構築方法。
【請求項3】
上記カバーを緩衝材を介して上記鋼矢板に装着し、上記鋼矢板を切断するときの上記カバーへの影響を上記緩衝材によって抑制するようにした請求項1又は2記載の立坑の構築方法。
【請求項4】
鋼矢板の地山側面にトンネル掘削機の通過口となる部分を覆うように装着されるカバーを有し、該カバーは、上記トンネル掘削機により掘削可能な材料からなることを特徴とする鋼矢板の止水部材。
【請求項5】
上記カバーに、上記鋼矢板との間を止水するための第1シールを設けると共に、隣接する鋼矢板のカバーとの間を止水するための第2シールを設けた請求項4記載の鋼矢板の止水部材。
【請求項6】
上記カバーに、上記鋼矢板を切断する際の上記カバーへの影響を抑制するため、緩衝材を装着した請求項4又は5記載の鋼矢板の止水部材。
【請求項7】
上記カバーが、上記鋼矢板の上記地山側面の凹凸形状に合わせて凹凸板状に形成された請求項4〜6いずれかに記載の鋼矢板の止水部材。
【請求項8】
請求項4〜7いずれかに記載の鋼矢板を圧入機の把持部に把持させて地面に圧入する方法であって、上記把持部と地面との間の圧入代を利用し、この圧入代の部分の上記鋼矢板の地山側面に上記止水部材を装着し、該止水部材が装着された鋼矢板を上記圧入機によって地面に圧入するようにしたことを特徴とする鋼矢板の圧入方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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