説明

立毛布帛およびサポーターおよび繊維製品

【課題】立毛部と地組織部とで構成される立毛布帛であって、面ファスナー機能を備え、しかも伸縮性に優れた立毛布帛、および、該立毛布帛を用いてなるサポーター、および繊維製品を提供する。
【解決手段】立毛部と地組織部とで構成される立毛布帛であって、前記地組織部に、単繊維径5μm以下のフィラメント糸Aと、弾性繊維糸Bとが含まれることを特徴とする立毛布帛、および該立毛布帛を用いてなるサポーターおよび繊維製品。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、立毛部と地組織部とで構成される立毛布帛であって、面ファスナー機能を備え、しかも伸縮性に優れた立毛布帛、および、該立毛布帛を用いてなるサポーター、および繊維製品に関する。
【背景技術】
【0002】
面ファスナーは通常、ループ状またはアーチ状の係合素子を持つ雌材と、カギ状またはキノコ状のフック部を持つ雄材とから構成される。面ファスナーは、面ファスナーを取付けた製品を係合させるものであり、取り付けや着脱が容易なことから、衣類、靴、鞄、手袋などの止具として一般に広く使用されている(例えば特許文献1、特許文献2、特許文献3参照)。
【0003】
しかしながら、面ファスナーはこのように係合機能を備える反面、面ファスナーの雌材と雄材と分離する際に、大きな剥離音が生じるという問題があった。さらには、面ファスナーの基布部やフック部が硬いため、衣料等への縫い付けが困難であったり肌を傷つけたりするという問題もあった。
【0004】
これに対し本発明者は、特願2008−228540号において、雌材と雄材とが一体となった面ファスナー用立毛布帛を提案した。
しかしながら、かかる立毛布帛において、伸縮性の点でまだ充分とはいえないことが判明した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−173819号公報
【特許文献2】特開2005−73897号公報
【特許文献3】特開2007−7124号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記の背景に鑑みなされたものであり、その目的は、立毛部と地組織部とで構成される立毛布帛であって、面ファスナー機能を備え、しかも伸縮性に優れた立毛布帛、および、該立毛布帛を用いてなるサポーター、および繊維製品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は上記の課題を達成するため鋭意検討した結果、立毛部と地組織部とで構成される立毛布帛において、前記地組織部を、細繊度繊維と弾性繊維とで構成することにより、面ファスナー機能を備えるだけでなく、伸縮性にも優れた立毛布帛が得られることを見出し、さらに鋭意検討を重ねることにより本発明を完成するに至った。
【0008】
かくして、本発明によれば「立毛部と地組織部とで構成される立毛布帛であって、前記地組織部に、単繊維径5μm以下のフィラメント糸Aと、単繊維径5μmより大の弾性繊維糸Bとが含まれることを特徴とする立毛布帛。」が提供される。
【0009】
その際、前記フィラメント糸Aがポリエステル系ポリマーからなることが好ましい。また、前記フィラメント糸Aが、海成分と島成分とからなる海島型複合繊維の海成分を溶解除去して得られたフィラメント糸であることが好ましい。また、前記弾性繊維糸Bの総繊度が10〜1000dtexの範囲内であることが好ましい。また、前記地組織部が、前記マルチフィラメント糸と弾性繊維糸との複合糸で構成されることが好ましい。また、前記立毛部がカットパイルからなることが好ましい。また、前記地組織部表面における表面摩擦係数が0.5以上であることが好ましい。また、前記地組織部表面における吸水速度が1.0秒以下であることが好ましい。また、立毛布帛の、タテ方向またはヨコ方向の伸長率が50%以上であることが好ましい。また、下記に定義する引張りせん断強力が30cN/cm以上であることが好ましい。
【0010】
水平方向に長さ10cm、幅4cmにカットした試料を2枚用意し、地組織部側表面と立毛部側表面とが接触するように長さ方向に5cm、長さ方向と平行に幅全体を重ね合わせた後、接圧用ローラーで9.8N/cm(1kg/cm)の荷重を掛けながら2往復させて試料を係合させたのち、引張試験機に装着し、引張速度30cm/min、荷重19.6N(2.0kg)にて、試料の長さ方向と平行に引張り、試料が分離するまでの間の最大引張せん断強力を測定後、以下の式によって単位面積あたりの引張せん断強力を求め、n数5での平均値を算出する。
F1=S/(L×B)
ただし、F1は引張りせん断強力(cN/cm)、Sは最大引張りせん断荷重(cN)、Lは重ね合わせ長さ(cm)、Bは試料の幅(cm)である。
【0011】
また、本発明によれば、前記の立毛布帛を用いてなるサポーターが提供される。また、本発明によれば、前記の立毛布帛を用いてなる、スポーツウエアー、アウターウエアー、インナーウエアー、紳士衣料、婦人衣料、医療用衣料、介護用衣料、浴衣、作業衣、防護服、履物、鞄、帽子、手袋、靴下、寝具、支持帯、基布、カーシート、拭取り用具、スキンケア用具、化粧用具からなる群より選択されるいずれかの繊維製品が提供される。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、立毛部と地組織部とで構成される立毛布帛であって、面ファスナー機能を備え、しかも伸縮性に優れた立毛布帛、および、該立毛布帛を用いてなるサポーター、および繊維製品が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明において、立毛糸の立毛長を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
まず、本発明立毛布帛は、編織組織を有する地組織部と、該地組織部の1面に編みこまれるか、または織りこまれた複数の立毛糸からなる立毛部とを有するものである。かかる立毛糸としては、ループパイルでもよいが、立毛部表面を面ファスナーの雄材として使用し強固な係合性を得る上で、カットパイルであることが好ましい。
【0015】
また、本発明の立毛布帛において、前記地組織部に単繊維径が1000nm以下のフィラメント糸A(以下、「ナノファイバー」と称することもある。)と弾性繊維糸Bとが含まれる。ここで、前記フィラメント糸Aにおいて、その単繊維径(単繊維の直径)が5μm(好ましくは1000nm以下、より好ましくは100〜900nm、特に好ましくは550〜900nm)の範囲内であることが肝要である。該単繊維径が5μmよりも大きい場合は、地組織部表面を面ファスナーの雌材として使用する際に十分な係合性が得られないおそれがあり好ましくない。ここで、単繊維の断面形状が丸断面以外の異型断面である場合には、外接円の直径を単繊維径とする。なお、単繊維径は、透過型電子顕微鏡で繊維の横断面を撮影することにより測定が可能である。このようなフィラメント糸Aは、後記のように海成分と島成分とからなる海島型複合繊維の海成分を溶解除去することにより得られたフィラメント糸であることが好ましい。
【0016】
前記フィラメント糸Aにおいて、フィラメント数は特に限定されないが、地組織部表面を面ファスナーの雌材として使用する際に優れた係合性を得る上で500本以上(より好ましくは2000〜10000本)であることが好ましい。また、フィラメント糸Aの総繊度(単繊維繊度とフィラメント数との積)としては、5〜150dtexの範囲内であることが好ましい。
【0017】
前記フィラメント糸Aの繊維形態は特に限定されないが、長繊維(マルチフィラメント糸)であることが好ましい。単繊維の断面形状も特に限定されず、丸、三角、扁平、中空など公知の断面形状でよい。また、通常の空気加工、仮撚捲縮加工が施されていてもさしつかえない。
【0018】
前記フィラメント糸Aを形成するポリマーの種類としては特に限定されないが、ポリエステル系ポリマーが好ましい。例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ乳酸、ステレオコンプレックスポリ乳酸、第3成分を共重合させたポリエステルなどの非弾性ポリエステルが好ましく例示される。かかるポリエステルとしては、マテリアルリサイクルまたはケミカルリサイクルされたポリエステルであってもよい。さらには、特開2004−270097号公報や特開2004−211268号公報に記載されているような、特定のリン化合物およびチタン化合物を含む触媒を用いて得られたポリエステルでもよい。該ポリマー中には、本発明の目的を損なわない範囲内で必要に応じて、微細孔形成剤、カチオン染料可染剤、着色防止剤、熱安定剤、蛍光増白剤、艶消し剤、着色剤、吸湿剤、無機微粒子が1種または2種以上含まれていてもよい。
【0019】
一方、弾性繊維糸Bとしては、ポリブチレンテレフタレートをハードセグメントとし、ポリオキシエチレングリコールをソフトセグメントとするポリエーテルエステルエラストマーからなる吸水性ポリエーテルエステル弾性繊維糸、ポリブチレンテレフタレートをハードセグメントとし、ポリテトラメチレンオキシドグリコールをソフトセグメントとするポリエーテルエステルエラストマーからなる非吸水性ポリエーテルエステル弾性繊維糸、ポリウレタン弾性繊維糸、ポリトリメチレンテレフタレート糸、合成ゴム系弾性繊維糸、天然ゴム系弾性繊維糸などが好適に例示される。
【0020】
かかる弾性繊維糸Bの単繊維径としては5μmより大(より好ましくは10〜200μm)であることが肝要である。該単繊維径が5μm以下の場合、地組織部の剛性が小さくなり取扱い性が低下するおそれがある。また、弾性繊維糸Bにおいて、フィラメント数としては1〜10本、総繊度としては10〜500dtexの範囲が好ましい。
【0021】
前記地組織部において、前記フィラメント糸Aと弾性繊維糸Bとは交織または交編されていてもよいが、立毛布帛の伸縮性を高める上で、前記地組織部が、前記フィラメント糸Aと弾性繊維糸Bとの複合糸で構成されることが好ましい。特に、弾性繊維糸Bが芯部に位置し、前記フィラメント糸Aが鞘部に位置する芯鞘型複合糸として地組織部に含まれることが好ましい。
前記地組織部は前記フィラメント糸Aと弾性繊維糸Bだけで構成されることが好ましいが、地組織部の全重量に対し50重量%以下であれば他の繊維が含まれていてもよい。
【0022】
本発明の立毛布帛において、立毛糸の単糸繊度が0.5dtex以上(好ましくは0.5〜5.0dtex)であることが好ましい。該単糸繊度が0.5dtexよりも小さいと、立毛状態を保持することが困難となり、立毛部側表面を雄材として用いて雌材と係合させる際に強固な係合性が得られないおそれがある。かかる立毛糸の単繊維径としては5μm以上(より好ましくは10〜30μm)であることが好ましい。なお、立毛部を形成する立毛糸において、全立毛糸重量に対して70重量%以下であれば、単糸繊度が0.5dtex未満の繊維が含まれていてもさしつかえない。
【0023】
また、前記立毛糸の立毛長としては、0.1〜10mmの範囲内であることが好ましい。該立毛長が0.1mmよりも小さいと、立毛長が小さすぎて立毛部側表面を雄材として用いて雌材と係合させる際に強固な係合性が得られないおそれがある。逆に、該立毛長が10mmよりも大きいと、立毛状態を保持することが困難となり、立毛部側表面を雄材として用いて雌材と係合させる際に強固な係合性が得られないおそれがある。なお、本発明において、立毛長は図1に示すLの高さである。
【0024】
かかる立毛糸で形成される立毛部の立毛糸密度としては、3000dtex/cm以上(好ましくは5000〜100000dtex/cm)であることが好ましい。該立毛糸密度が3000dtex/cmより小さいと立毛糸が毛倒れしやすくなるため、立毛状態を保持することが困難となり、立毛部側表面を雄材として用いて雌材と係合させる際に強固な係合性が得られないおそれがある。なお、かかる立毛糸密度は以下の方法により測定することができる。すなわち、キーエンス(株)製マイクロスコープ(型式:VHX−900)を用いて、立毛布帛の表面を撮影(倍率200倍)し、1cm(1cm×1cmの正方形)あたりの立毛糸本数を測定し次式により算出する。
立毛糸密度(dtex/cm)=単糸繊度(dtex)×立毛糸本数(本/cm
【0025】
前記立毛糸を形成する繊維の種類としては特に限定されず、綿、羊毛、麻、ビスコースレーヨン繊維、ポリエステル繊維、ポリエーテルエステル繊維、アクリル繊維、ナイロン繊維、ポリオレフィン繊維、セルロースアセテート繊維、アラミド繊維などの通常の繊維でよい。なかでも、リサイクル性や剛直性の点で前述のようなポリエステルからなるポリエステル系繊維が特に好ましい。特に、立毛布帛を構成する繊維全てをポリエステル系繊維とするとリサイクル性に優れ好ましい。
【0026】
繊維を形成する樹脂中には、必要に応じて、艶消し剤(二酸化チタン)、微細孔形成剤(有機スルホン酸金属塩)、着色防止剤、熱安定剤、難燃剤(三酸化二アンチモン)、蛍光増白剤、着色顔料、帯電防止剤(スルホン酸金属塩)、吸湿剤(ポリオキシアルキレングリコール)、抗菌剤、その他の無機粒子の1種以上が含まれていてもよい。
【0027】
立毛糸の形状としては、非捲縮立毛糸でもよいし、仮撚捲縮加工法や機械捲縮加工法、さらにはサイバイサイド型潜在捲縮性複合繊維を熱処理して得られた捲縮立毛糸でもよく特には限定されないが、強固な係合性を得る上で非捲縮立毛糸であることが好ましい。
立毛糸の単繊維横断面形状としては特に制限はなく、通常の円形断面のほか、三角、扁平、くびれ付扁平、十字形、六様形、あるいは中空形の断面形状でもよい。
【0028】
本発明の立毛布帛は例えば以下の製造方法により製造することができる。まず、地組織部用糸条として、単繊維径5μm以下のフィラメント糸Aと、弾性繊維糸Bとを用意する。
その際、フィラメント糸A用繊維として、海成分ポリマーと島成分ポリマーとを用いて、特開2007−2364号公報に開示されたような方法により、海成分とその径が1000nm以下である島成分とで形成される海島型複合繊維を製造してもよい。
【0029】
ここで、海成分ポリマーとしては、繊維形成性の良好なポリエステル、ポリアミド、ポリスチレン、ポリエチレンなどが好ましい。例えば、アルカリ水溶液易溶解性ポリマーとしては、ポリ乳酸、超高分子量ポリアルキレンオキサイド縮合系ポリマー、ポリエチレングルコール系化合物共重合ポリエステル、ポリエチレングリコール系化合物と5−ナトリウムスルホン酸イソフタル酸の共重合ポリエステルが好適である。なかでも、5−ナトリウムスルホイソフタル酸6〜12モル%と分子量4000〜12000のポリエチレングルコールを3〜10重量%共重合させた固有粘度が0.4〜0.6のポリエチレンテレフタレート系共重合ポリエステルが好ましい。
【0030】
一方、島成分ポリマーは、繊維形成性のポリエチレンテレフタレートやポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ乳酸、第3成分を共重合させたポリエステルなどのポリエステル系ポリマーが好ましい。該ポリマー中には、本発明の目的を損なわない範囲内で必要に応じて、微細孔形成剤、カチオン染料可染剤、着色防止剤、熱安定剤、蛍光増白剤、艶消し剤、着色剤、吸湿剤、無機微粒子が1種または2種以上含まれていてもよい。
【0031】
次いで、前記の海成分ポリマーと島成分ポリマーとを用い溶融紡糸する。溶融紡糸に用いられる紡糸口金としては、島成分を形成するための中空ピン群や微細孔群を有するものなど任意のものを用いることができる。また、溶融紡糸時における海成分の溶融粘度が島成分ポリマーの溶融粘度よりも大きいことが好ましい。また、島成分の径は、1000nm以下(好ましくは10〜1000nm)とする必要がある。その際、該径が真円でない場合は外接円の直径を求める。前記の海島型複合繊維において、その海島複合重量比率(海:島)は、40:60〜5:95の範囲が好ましく、特に30:70〜10:90の範囲が好ましい。
【0032】
吐出された海島型複合繊維マルチフィラメントは、冷却風によって固化され、好ましくは400〜6000m/分で溶融紡糸された後に巻き取られる。得られた未延伸糸は、別途延伸工程をとおして所望の強度・伸度・熱収縮特性を有する複合繊維とするか、あるいは、一旦巻き取ることなく一定速度でローラーに引き取り、引き続いて延伸工程をとおした後に巻き取る方法のいずれでも構わない。さらに、仮撚捲縮加工を施してもよい。かくして得られた海島型複合繊維マルチフィラメントにおいて、単糸繊維繊度、フィラメント数、総繊度としてはそれぞれ単糸繊維繊度0.5〜10.0dtex、フィラメント数5〜75本、総繊度30〜170dtex(好ましくは30〜100dtex)の範囲内であることが好ましい。
【0033】
一方、立毛糸用糸条として、ポリエステル繊維など前記のような繊維からなるマルチフィラメント(立毛糸用マルチフィラメント)を用意する。かかる立毛糸用マルチフィラメントにおいて、フィラメント数5〜75本、総繊度30〜170dtexの範囲内であることが好ましい。なお、立毛糸用繊維中には、本発明の目的を損なわない範囲内で必要に応じて、微細孔形成剤、カチオン染料可染剤、着色防止剤、熱安定剤、蛍光増白剤、艶消し剤、着色剤、吸湿剤、無機微粒子が1種または2種以上含まれていてもよい。
【0034】
次いで、前記地組織部用糸条と立毛糸用糸条とを用いて、立毛布帛を製編または製織する。その際、前記のように、前記フィラメント糸Aと弾性繊維糸Bとで、空気混繊、カバリング(例えば、弾性繊維糸Bの周囲に前記フィラメント糸Aをカバリング)などにより、複合糸を構成していることがことが好ましい。
【0035】
また、布帛の組織は織物または編物または不織布が好ましい。なかでも織物または編物が好ましい。ここで、地組織部が編組織を有する立毛布帛を得る場合には、地組織を製編し、その上に伸び出るシンカーパイル、ポールトリコットパイル、ダブルラッセルパイルなどのループパイル組織を形成し、このループパイルをシャーリングする方法などが用いられる。ポールトリコットパイルは、トリコット編組織のパイル編み部分を、起毛機を用いてループパイルに形成することによって得られる。
【0036】
一方、地組織部が織物組織を有する立毛布帛を得る場合には、経パイル織物又は緯パイル織物を製織し、そのループパイルをカットするか、あるいはモケット織物を製織し、そのパイル糸をセンターカットする方法が用いられる。
【0037】
次いで、フィラメント糸A用繊維として前記海島型複合繊維マルチフィラメントを用いている場合は、該立毛布帛にアルカリ水溶液処理を施し、前記海島型複合繊維マルチフィラメント(フィラメント糸A用繊維)の海成分をアルカリ水溶液で溶解除去することにより、海島型複合繊維フィラメントを単繊維径が1000nm以下のフィラメント糸Aとする。その際、アルカリ水溶液処理の条件としては、濃度1〜4%のNaOH水溶液を使用し55〜70℃の温度で処理するとよい。
【0038】
なお、常法の染色加工、起毛加工、撥水加工、吸水加工、バッフィング加工、さらには、紫外線遮蔽あるいは制電剤、抗菌剤、消臭剤、防虫剤、蓄光剤、再帰反射剤、マイナスイオン発生剤等の機能を付与する各種加工を付加適用してもよい。
【0039】
かくして得られた立毛布帛において、目付けが30〜500g/mの範囲内であることが好ましい。該目付けが30g/mよりも小さいと十分な係合性が得られないおそれがある。逆に、該目付けが500g/mよりも大きいと、柔軟性が損われるおそれがある。
【0040】
かかる立毛布帛には、極細繊維である前記フィラメント糸Aが地組織部に含まれているので、地組織部側表面を面ファスナーの雌材として好適に使用することができる。特に、地組織部側表面に前記フィラメント糸Aが露出していると、雄材の立毛糸を係合しやすく好ましい。地組織部側表面に前記フィラメント糸Aが露出していない場合には、雄材の立毛糸を係合できないおそれがある。また、前記地組織部には弾性繊維糸Bも含まれるので、立毛布帛は優れた伸縮性を有する。その際、伸縮性としては、タテ方向またはヨコ方向の伸長率が50%以上(より好ましくは50〜200%)であることが好ましい。また、伸長回復率が50%以上であることが好ましい。
【0041】
また、かかる立毛布帛において、地組織部側表面とは反対側表面となる立毛部側表面は面ファスナーの雄材として好適に使用することができる。すなわち、1枚の立毛布帛において、雌材と雄財とが一体となっており、地組織部側表面(雌材)と立毛部側表面(雄材)とが係合するように使用される。その際、地組織部には単繊維径が前記のフィラメント糸Aが含まれているので、優れた係合性を有する。かかる係合性としては、下記に定義する引張りせん断強力が30cN/cm以上(より好ましくは50cN/cm以上、特に好ましくは50〜300cN/cm)であることが好ましい。
【0042】
水平方向に長さ10cm、幅4cmにカットした試料を2枚用意し、地組織部側表面と立毛部側表面とが接触するように長さ方向に5cm、長さ方向と平行に幅全体を重ね合わせた後、接圧用ローラーで9.8N/cm(1kg/cm)の荷重を掛けながら2往復させて試料を係合させたのち、引張試験機に装着し、引張速度30cm/min、荷重19.6N(2.0kg)にて、試料の長さ方向と平行に引張り、試料が分離するまでの間の最大引張せん断強力を測定後、以下の式によって単位面積あたりの引張せん断強力を求め、n数5での平均値を算出する。
F1=S/(L×B)
ただし、F1は引張りせん断強力(cN/cm)、Sは最大引張りせん断荷重(cN)、Lは重ね合わせ長さ(cm)、Bは試料の幅(cm)である。
【0043】
また、本発明の立毛布帛において、地組織部には前記のような細繊度のフィラメント糸Aが含まれるので地組織部表面の摩擦が大きくなり、肌等に対して優れた密着性を呈する。その際、表面摩擦係数としては、0.5以上であることが好ましい。
また、本発明の立毛布帛において、地組織部には前記のような細繊度のフィラメント糸Aが含まれるので地組織部は優れた吸水性を有する。その際、吸水性としては吸水速度が1.0秒以下であることが好ましい。
【0044】
次に、本発明のサポーターは、前記の立毛布帛を用いてなるものである。かかるサポーターは前記の立毛布帛を用いているので、面ファスナー機能を備え、しかも伸縮性、吸水性、肌との密着性に優れる。なお、前記の立毛布帛のどちらの面を肌側に用いてもよいが、地組織部表面が肌に接触するように用いてサポーターを得ると、吸水性、肌との密着性に優れるので好ましい。
【0045】
次に、本発明の繊維製品は、前記の立毛布帛を用いてなる、スポーツウエアー、アウターウエアー、インナーウエアー、紳士衣料、婦人衣料、医療用衣料、介護用衣料、浴衣、作業衣、防護服、履物、鞄、帽子、手袋、靴下、寝具、支持帯、基布、カーシート、拭取り用具、スキンケア用具、化粧用具からなる群より選択されるいずれかの繊維製品である。かかる繊維製品は前記の立毛布帛を用いているので、面ファスナー機能を備え、しかも伸縮性、吸水性、肌との密着性に優れる。
【実施例】
【0046】
次に本発明の実施例及び比較例を詳述するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。なお、実施例中の各測定項目は下記の方法で測定した。
【0047】
<溶解速度>
海・島ポリマーの各々0.3φ−0.6L×24Hの口金にて1,000〜2,000m/分の紡糸速度で糸を巻き取りし、さらに残留伸度が30〜60%の範囲になるように延伸して、84dtex/24filのマルチフィラメントを作製した。これを各溶剤にて溶解しようとする温度で浴比100にて溶解時間と溶解量から、減量速度を算出した。
【0048】
<単繊維径と繊維径の均一性>
透過型電子顕微鏡(TEM)で繊維の横断面を撮影することにより測定した。n数5で測定しその平均値を求めた。
【0049】
<吸水速度>
JIS L 1907 7.1.1に従って測定した。
【0050】
<吸水高さ>
JIS L 1907 7.1.2に従って測定した。
【0051】
<引張りせん断強力>
水平方向に長さ10cm、幅4cmにカットした試料を2枚用意し、地組織部側表面と立毛部側表面とが接触するように長さ方向に5cm、長さ方向と平行に幅全体を重ね合わせた後、接圧用ローラーで9.8N/cm(1kg/cm)の荷重を掛けながら2往復させて試料を係合させたのち、引張試験機に装着し、引張速度30cm/min、荷重19.6N(2.0kg)にて、試料の長さ方向と平行に引張り、試料が分離するまでの間の最大引張せん断強力を測定後、以下の式によって単位面積あたりの引張せん断強力を求め、n数5での平均値を算出する。
F1=S/(L×B)
ただし、F1は引張りせん断強力(cN/cm)、Sは最大引張りせん断荷重(cN)、Lは重ね合わせ長さ(cm)、Bは試料の幅(cm)である。
【0052】
<伸長率および伸長回復率>
自記記録装置付定速伸長形引張試験機を用い、初荷重196.1mN(20gf)を加えてつかみ間隔10cm、引張速度を30cm/minで14.7N(1.5kgf)定荷重まで引き伸ばした時の伸長率(%)を求め、3回の平均値で表した。その後1分間放置し、次に同速度でもとに位置に戻す。3分間放置後、スケールで残留伸び(0.01cmまで)を測定した。
この操作を同一試験布で3回繰り返し、描かれた荷重―伸長曲線からつぎの式で伸長回復率(%)の平均値を算出し、小数点一桁に丸めた。
E(%)=((L−L1)/L)×100
ここでE:伸長回復率、L=一定伸び(mm)、L1=残留伸び(mm)
【0053】
<摩擦係数>
底面積5×8cm、高さ3cm、重量100g(98cn)の木製ヘッドに試料を取り付けたのち、シリコンゴムを敷いた平滑台にヘッドを乗せ、自記記録装置付定速伸長形引張試験機を用いて移動速度100mm/minにてヘッドを移動させ、移動距離10mm〜150mmにおける負荷(g)の平均値を計測し、100で割った数値を算出した。
【0054】
[実施例1]
島成分としてポリエチレンテレフタレート(280℃における溶融粘度が1200ポイズ)、海成分として5−ナトリウムスルホイソフタル酸6モル%と数平均分子量4000のポリエチレングリコール6重量%を共重合したポリエチレンテレフタレート(280℃における溶融粘度が1750ポイズ)を用い(溶解速度比(海/島)=230)、海:島=30:70、島数=836の海島型複合未延伸繊維を、紡糸温度280℃、紡糸速度1500m/分で溶融紡糸して一旦巻き取った。得られた未延伸糸を、延伸温度80℃、延伸倍率2.5倍でローラー延伸し、次いで150℃で熱セットして巻き取った。得られた海島型複合延伸糸は56dtex/10filであり、透過型電子顕微鏡TEMによる繊維横断面を観察したところ、島の形状は丸形状でかつ島の径は700nmであった。
【0055】
次いで、該海島型複合延伸糸(海島型複合繊維マルチフィラメント、フィラメント糸A用)を弾性繊維糸B(旭化成せんい(株)社 ロイカ44T1)にカバリングすることにより地組織層用糸条とした。
一方、立毛糸用糸条として前記海島型複合延伸糸とポリエチレンテレフタレートマルチフィラメント(帝人ファイバー(株)製33dtex/12fil)の混繊糸(90dtex/22fil)を用意した。
【0056】
次いで、前記地組織用糸条と立毛糸用糸条とを用いて、24G、26インチの丸編機(福原精機製作所(株)製PL2)を使用してパイル組織の丸編生機を製編した。その後得られたパイル組織のパイル面にシャーリング加工を施したのち、プレセットとして160℃にて乾熱セットを行い、その後、得られた編地の海島型複合繊維マルチフィラメントの海成分を除去するために、2.5%NaOH水溶液で、70℃にて30%アルカリ減量した。その後、130℃にて高圧染色を行い、最終セットとして170℃の乾熱セットを行った。
得られた編地を走査型電子顕微鏡SEMで生地表面および断面を観察したところ、該地組織部は均一に開繊されていることを確認した。
該編地において、地組織部は単繊維径700nmのフィラメント糸Aと、単繊維径45μmの弾性繊維糸Bとで構成されていた。また、立毛部は、単繊維径700nmの立毛糸と、単繊維径45μmのポリエチレンテレフタレート立毛糸とで構成されていた。立毛長は2.2mmであった。
【0057】
また、該編地の地組織部分の摩擦係数は2.1であり優れた摩擦性を有するものであった。また、該編地の地組織部表面における吸水速度は0.5秒以下、吸水高さは14.5cmであり吸水性に優れていた。また、該編地の伸長率は60.5%、伸長回復率は75.0%で、伸縮性の良好な編地であった。該編地の地組織部側表面と立毛部側表面とが接触するように両者を係合し、引張りせん断強力F1を測定したところ、引張せん断力F1=78cN/cm2と優れた係合性を有する面ファスナーであった。また、風合いも柔らかであった。
また、該編地(面ファスナー)を用いて、地組織部表面が肌に接触するようにサポーターを得て着用したところ、肌への密着性も良好であった。
【0058】
[実施例2]
地組織部用糸条として、実施例1と同じ海島型複合繊維マルチフィラメント56dtex/10filをPTT(ポリトリメチレンテレフタレート)繊維(ソロテックス(株)社製 40T24)にカバリングしたものを用いた。
一方、立毛糸用糸条としてポリエチレンテレフタレートマルチフィラメント(帝人ファイバー(株)製110dtex/24fil 単繊維径22μm)を用いた。
【0059】
次いで、24G26インチの丸編機(福原精機製作所(株)製PL2)を使用して、パイル組織の丸編地を得た。その後、得られた編地のパイル面にシャーリング加工を施したのち、プレセットとして150℃にて乾熱セットを行い、その後、前記同じ海島型複合繊維マルチフィラメントの海成分を除去するために、2.5%NaOH水溶液で、70℃にて30%アルカリ減量した。その後、110℃にて高圧染色を行い、最終セットとして160℃の乾熱セットを行った。
該編地において、地組織部は単繊維径700nmのフィラメント糸Aと、単繊維径70μmのPTT繊維糸Bとで構成されていた。また、立毛部は単繊維径22μmのポリエチレンテレフタレート立毛糸で構成されていた。立毛長は2.5mmであった。
得られた編地を走査型電子顕微鏡SEMで生地表面および断面を観察したところ、該地組織部は均一に開繊されていることを確認した。
【0060】
該編地の地組織部分の摩擦係数は1.8であり優れた摩擦性を有するものであった。また、該編地の吸水速度は0.5秒以下、吸水高さは14.4cmであり吸水性に優れていた。また、該編地の伸長率は79.5%、伸長回復率は91.3%で、伸縮性の良好な編地であった。次いで、得られた編地の地組織部側表面と立毛部側表面とが接触するように両者を係合し、引張りせん断強力F1を測定したところ、引張せん断力F1=80cN/cm2と優れた係合性を有する面ファスナーであった。また、風合いも柔らかであった。
また、該編地(面ファスナー)を用いて、地組織部表面が肌に接触するようにサポーターを得て着用したところ、着用密着性と冷感に優れていた。
【0061】
[実施例3]
地組織部用糸条として実施例1と同じ海島型複合繊維マルチフィラメント56dtex/10filを弾性繊維糸B(オペロンテックス(株)社製 ライクラ78T1)にカバリングしたものを用いた。
一方立毛糸用糸条として、ポリエステルフィラメント糸(帝人ファイバー(株)製110dtex/24fil 単繊維径22μm)を用いた。
【0062】
次いで、28G、130インチの経編機(カールマイヤー(株)製KP)を使用してパイル組織の経編生機を製編した。その後、得られた編地にシャーリング加工を施したのち、プレセットとして160℃にて乾熱セットを行い、その後、海島型複合繊維マルチフィラメントの海成分を除去するために、2.5%NaOH水溶液で、70℃にて30%アルカリ減量した。その後、130℃にて高圧染色を行い、最終セットとして170℃の乾熱セットを行った。
該編地において、地組織部は単繊維径700nmのフィラメント糸Aと、単繊維径65μmの弾性繊維糸Bとで構成されていた。また、立毛部は単繊維径22μmのポリエチレンテレフタレート立毛糸で構成されていた。立毛長は2.1mmであった。
得られた編地を走査型電子顕微鏡SEMで生地表面および断面を観察したところ、該地組織部は均一に開繊されていることを確認した。
【0063】
該編地の地組織部分の摩擦係数は2.0であり優れた摩擦性を有するものであった。また、該編地の吸水速度は0.5秒以下、吸水高さは16.8cmであり吸水性に優れていた。また、該編地の伸長率は65.8%、伸長回復率は90.9%で、伸縮性の良好な編地であった。
次いで、前記立毛布帛の地組織部側表面と立毛部側表面とが接触するように両者を係合し、引張りせん断強力F1を測定したところ、引張せん断力F1=86cN/cm2と優れた係合性を有する面ファスナーであった。また、風合いも柔らかであった。
また、該編地(面ファスナー)を用いて、地組織部表面が肌に接触するようにサポーターを得て着用したところ、肌への密着性も良好であった。
【0064】
[比較例1]
実施例1において、地組織部用糸条として通常のポリエチレンテレフタレートマルチフィラメント(帝人ファイバー(株)製56dtex/24fill、単繊維径15μm)を用いること以外は実施例1と同様にした。
該編地において、地組織部は単繊維径15μmのポリエチレンテレフタレートマルチフィラメントだけで構成されていた。立毛長は2.2mmであった。
該編地の地組織部分の摩擦係数は0.3であり摩擦性を有するものではなかった。また、該編地の吸水速度は1.6秒、吸水高さは10.9cmであり良好な吸水性は得られなかった。また、該編地の伸長率は60.5%、伸長回復率は75.0%で、伸縮性の条件は満たしていた。
得られた編地の地組織部側表面と立毛部側表面とが接触するように両者を係合し、引張りせん断強力F1を測定したところ引張せん断力F1=0cN/cm2と全く貼り付かなかった(係合しなかった)。
【0065】
[比較例2]
実施例2において、地組織部用糸条として通常のポリエチレンテレフタレートマルチフィラメント(帝人ファイバー(株)製56dtex/24fill、単繊維径15μm)を用いること以外は実施例1と同様にした。
該編地において、地組織部は単繊維径15μmのポリエチレンテレフタレートマルチフィラメントだけで構成されていた。立毛長は2.7mmであった。
該編地の地組織部分の摩擦係数は0.3であり摩擦性を有するものではなかった。また、該編地の吸水速度は2.0秒、吸水高さは10.5cmであり、良好な吸水性は得られなかった。また、該編地の伸長率は46.5%、伸長回復率は89.4%で、良好な伸縮性は得られなかった。
得られた編地の地組織部側表面と立毛部側表面とが接触するように両者を係合し、引張りせん断強力F1を測定したところ引張せん断力F1=0cN/cm2と全く貼り付かなかった(係合しなかった)。
【0066】
[比較例3]
実施例1において、地組織部用糸条として通常のポリエチレンテレフタレートマルチフィラメント(帝人ファイバー(株)製35dtex/72fill、単繊維径6.7μm)を用いること以外は実施例1と同様にした。
該編地において、地組織部は単繊維径15μmのポリエチレンテレフタレートマルチフィラメントだけで構成されていた。立毛長は2.2mmであった。
該編地の地組織部分の摩擦係数は0.1であり摩擦性を有するものではなかった。また、該編地の吸水速度は2.2秒、吸水高さは8.8cmであり、良好な吸水性は得られなかった。なお、該編地の伸長率は119.8%、伸長回復率は77.5%で、良好であった。
得られた編地の地組織部側表面と立毛部側表面とが接触するように両者を係合し、引張りせん断強力F1を測定したところ引張せん断力F1=0cN/cm2と全く貼り付かなかった(係合しなかった)。
【産業上の利用可能性】
【0067】
本発明によれば、本発明によれば、立毛部と地組織部とで構成される立毛布帛であって、面ファスナー機能を備え、しかも伸縮性に優れた立毛布帛、および、該立毛布帛を用いてなるサポーター、および繊維製品が提供され、その工業的価値は極めて大である。
【符号の説明】
【0068】
1 地組織部
2 立毛糸
3 立毛部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
立毛部と地組織部とで構成される立毛布帛であって、前記地組織部に、単繊維径5μm以下のフィラメント糸Aと、単繊維径5μmより大の弾性繊維糸Bとが含まれることを特徴とする立毛布帛。
【請求項2】
前記フィラメント糸Aがポリエステル系ポリマーからなる、請求項1に記載の立毛布帛。
【請求項3】
前記フィラメント糸Aが、海成分と島成分とからなる海島型複合繊維の海成分を溶解除去して得られたフィラメント糸である、請求項1または請求項2に記載の立毛布帛。
【請求項4】
前記弾性繊維糸Bの総繊度が10〜1000dtexの範囲内である、請求項1〜3のいずれかに記載の立毛布帛。
【請求項5】
前記地組織部が、前記フィラメント糸Aと弾性繊維糸Bとの複合糸で構成される、請求項1〜4のいずれかに記載の立毛布帛。
【請求項6】
前記立毛部がカットパイルからなる、請求項1〜5のいずれかに記載の立毛布帛。
【請求項7】
前記地組織部表面における表面摩擦係数が0.5以上である、請求項1〜6のいずれかに記載の立毛布帛。
【請求項8】
前記地組織部表面における吸水速度が1.0秒以下である、請求項1〜7のいずれかに記載の立毛布帛。
【請求項9】
タテ方向またはヨコ方向の伸長率が50%以上である、請求項1〜8のいずれかに記載の立毛布帛。
【請求項10】
下記に定義する引張りせん断強力が30cN/cm以上である、請求項1〜9のいずれかに記載の立毛布帛。
水平方向に長さ10cm、幅4cmにカットした試料を2枚用意し、地組織部側表面と立毛部側表面とが接触するように長さ方向に5cm、長さ方向と平行に幅全体を重ね合わせた後、接圧用ローラーで9.8N/cm(1kg/cm)の荷重を掛けながら2往復させて試料を係合させたのち、引張試験機に装着し、引張速度30cm/min、荷重19.6N(2.0kg)にて、試料の長さ方向と平行に引張り、試料が分離するまでの間の最大引張せん断強力を測定後、以下の式によって単位面積あたりの引張せん断強力を求め、n数5での平均値を算出する。
F1=S/(L×B)
ただし、F1は引張りせん断強力(cN/cm)、Sは最大引張りせん断荷重(cN)、Lは重ね合わせ長さ(cm)、Bは試料の幅(cm)である。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれかに記載の立毛布帛を用いてなるサポーター。
【請求項12】
請求項1〜10のいずれかに記載の立毛布帛を用いてなる、スポーツウエアー、アウターウエアー、インナーウエアー、紳士衣料、婦人衣料、医療用衣料、介護用衣料、浴衣、作業衣、防護服、履物、鞄、帽子、手袋、靴下、寝具、支持帯、基布、カーシート、拭取り用具、スキンケア用具、化粧用具からなる群より選択されるいずれかの繊維製品。

【図1】
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【公開番号】特開2010−209476(P2010−209476A)
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−53460(P2009−53460)
【出願日】平成21年3月6日(2009.3.6)
【出願人】(302011711)帝人ファイバー株式会社 (1,101)
【Fターム(参考)】