説明

立毛布帛および車輌内装材

【課題】カットパイル層表面が斑外観を呈する立毛布帛および該立毛布帛を用いてなる車輌内装材を提供する。
【解決手段】有機繊維糸条からなる編織組織を有する地組織部と、前記地組織部に編み込まれ、あるいは織り込まれ、前記地組織から、その少なくとも1面側に伸び出ている複数のカットパイルからなる少なくとも1層のカットパイル層とからなる立毛布帛であって、前記カットパイルがシックアンドシンヤーンからなり、必要に応じてカットパイルを熱収縮させた後、カットパイル層の以上の部分領域において、カットパイルの先端部を化学的エッチング法により除去した後、必要に応じて車輌内装材とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地組織部と、カットパイルからなるカットパイル層とで構成される立毛布帛および該立毛布帛を用いてなる車輌内装材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車輌内装材などにおいて立毛布帛が大量に使用されている。特に近年においては、車輌内装材に要求される性能及び特性も高度化されており、多色模様や凹凸模様など種々のものが提案されている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。
しかしながら、カットパイル層表面が斑外観を呈する立毛布帛はこれまであまり提案されていない。
なおシックアンドシンヤーンとは、フィラメントが糸長方向にシック部(太部)とシン部(細部)とを有する太細糸であり、従来から知られている(例えば、特許文献3参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2004−137659号公報
【特許文献2】特開2001−271255号公報
【特許文献3】特開2003−328248号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記の背景に鑑みなされたものであり、その目的は、化学的エッチングを施した際にカットパイル層表面が斑外観を呈する立毛布帛および該立毛布帛を用いてなる車輌内装材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは上記の課題を達成するため鋭意検討した結果、地組織部と、カットパイルからなるカットパイル層とで構成される立毛布帛において、シックアンドシンヤーンでカットパイルを構成することにより、該立毛布帛に染色加工を施すると、染色加工の際の熱によりシックアンドシンヤーンのシック部のみからなるカットパイルは大きく収縮しかつ濃色を呈すること、また、シックアンドシンヤーンのシン部からなるカットパイルはあまり収縮せず淡色を呈すること、また、該立毛布帛のカットパイル層の1以上の部分領域において、カットパイルの先端部を化学的エッチング法により除去し凹部を形成すると、該凹部が斑外観を呈することを見出し、さらに鋭意検討を重ねることにより本発明を完成するに至った。
【0006】
かくして、本発明によれば「有機繊維糸条からなる編織組織を有する地組織部と、前記地組織部に編み込まれ、あるいは織り込まれ、前記地組織から、その少なくとも1面側に伸び出ているカットパイルからなるカットパイル層とからなる立毛布帛であって、前記カットパイルがシックアンドシンヤーンから形成されてなることを特徴とする立毛布帛。」が提供される。
【0007】
その際、前記シックアンドシンヤーンが共重合ポリエステルで形成されていることが好ましい。また、前記立毛布帛に熱処理を施すことにより、前記カットパイルを熱収縮させていることが好ましい。また、カットパイル層の1以上の部分領域において、カットパイルの先端部が化学的エッチング法により除去されていることが好ましい。その際、化学的エッチング法により上層を除去されたカットパイル層が斑外観を呈していることが好ましい。
また、本発明によれば、前記の立毛布帛を用いてなる車輌内装材が提供される。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、斑外観を呈する立毛布帛を得ることが可能な立毛布帛、斑外観を呈する立毛布帛、および該立毛布帛を用いてなる車輌内装材が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明の立毛布帛は、有機繊維からなり編織組織を有する地組織部と、前記地組織部に編み込まれ、または織り込まれたカットパイルからなるカットパイル層とを有する。
【0010】
ここで、前記の地組織部用有機繊維としては有機天然繊維、有機合成繊維、有機半合成繊維及び有機再生繊維から選ばれる。前記有機天然繊維は、綿、羊毛、麻などを包含し、前記有機再生繊維は、ビスコースレーヨン繊維を包含し、前記有機合成繊維はポリエステル、ナイロン、及びポリオレフィン繊維などを包含し、前記有機半合成繊維は、セルロースアセテート繊維などを包含する。なかでも、ポリエステル繊維が好ましい。ポリエステル繊維を形成するポリエステルはジカルボン酸成分とジグリコール成分とから製造される。ジカルボン酸成分としは、主としてテレフタル酸が用いられることが好ましく、ジグリコール成分としては主としてエチレングリコール、トリメチレングリコール及びテトラメチレングリコールから選ばれた1種以上のアルキレングリコールを用いることが好ましい。また、ポリエステル樹脂には、前記ジカルボン酸成分及びグリコール成分の他に第3成分を含んでいてもよい。第3成分としては、カチオン染料可染性アニオン成分、例えば、ナトリウムスルホイソフタル酸;テレフタル酸以外のジカルボン酸、例えばイソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸;及びアルキレングリコール以外のグリコール化合物、例えばジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ビスフェノールA、ビスフェノールスルフォンの1種以上を用いることができる。また、必要に応じて、前記の艶消し剤以外に、微細孔形成剤(有機スルホン酸金属塩)、着色防止剤、熱安定剤、難燃剤(三酸化二アンチモン)、蛍光増白剤、着色顔料、帯電防止剤(スルホン酸金属塩)、吸湿剤(ポリオキシアルキレングリコール)、抗菌剤、その他の無機粒子の1種以上を含有させてもよい。
【0011】
かかる有機繊維の形態としては、布帛の風合いを損なわない上で、単糸繊維繊度0.1〜5.0dtex、総繊度30〜300dtexのマルチフィラメントであることが好ましい。また、単糸繊維の断面形状には制限はなく、通常の丸型断面のほかに三角、扁平、くびれ付扁平、十字形、六様形、あるいは中空形の断面形状であってもよい。さらに、かかるマルチフィラメントは、仮撚捲縮加工糸であってもよい。
【0012】
一方、カットパイルはシックアンドシンヤーンからなることが肝要である。ここで、シックアンドシンヤーンとは、構成フィラメントが糸長方向にシック部(太部)とシン部(細部)とを有する従来公知の太細糸でよく、糸条を少なくとも10cmの長さに亘って電子顕微鏡を用いて観察し、その電子顕微鏡画面上、もしくは写真上で、最も糸状が膨らんだ(太部)の幅と最も糸条が集束した部分(細部)の幅との比が1.05であればよい。その際、太部の長さが0.5〜70mmの範囲内で、隣接する太部/細部の糸長比で1/0.5〜1/30の範囲が適当である。このようなシックアンドシンヤーンは、例えば、ポリマーを紡糸口金から溶融紡糸し、1000〜2500m/分の速度で未延伸糸として一旦巻取り、次いで、該未延伸糸を、該未延伸糸の自然延伸倍率を越えない範囲の延伸倍率で延伸することにより得られる。
【0013】
前記シックアンドシンヤーンを形成するポリマーとしては、ポリエステルが好ましい。ポリエステルはジカルボン酸成分とジグリコール成分とから製造される。ジカルボン酸成分としは、主としてテレフタル酸が用いられることが好ましく、ジグリコール成分としては主としてエチレングリコール、トリメチレングリコール及びテトラメチレングリコールから選ばれた1種以上のアルキレングリコールを用いることが好ましい。また、ポリエステル樹脂には、前記ジカルボン酸成分及びグリコール成分の他に第3成分を含んでいてもよい。第3成分としては、カチオン染料可染性アニオン成分、例えば、ナトリウムスルホイソフタル酸;テレフタル酸以外のジカルボン酸、例えばイソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸;及びアルキレングリコール以外のグリコール化合物、例えばジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ビスフェノールA、ビスフェノールスルフォンの1種以上を用いることができる。なかでも、ポリエステルの通常のジカルボン酸成分及びアルキレングリコール成分に、第3成分として、前記通常のジカルボン酸成分とは異なるジカルボン酸(例えばナフタレンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸)、前記通常のアルキレングリコール成分とは異なるグリコール成分(例えばジエチレングリコール、ポリエチレングリコール)、ビスフェノールA及びビスフェノールスルフォンの1種以上を共重合させて得られた共重合ポリエステル樹脂を用いると、カットパイルの熱収縮率を大きくすることができ好ましい。
【0014】
前記シックアンドシンヤーンにおいて、単糸繊度が2.5dtex以下(好ましくは0.1〜1.3dtex)であると、立毛部がソフトな風合いを呈し好ましい。また、立毛糸用糸条の総繊度として30〜300dtexであることが好ましい。
【0015】
本発明の立毛布帛において、編織組織に制限はなく、例えば経パイル織物、緯パイル織物、シンカーパイル編物、ラッセルパイル編物、トリコットパイル編物などが例示される。カットパイル層は地組織部の両面に形成されていてもよいが、片側面にのみ形成されていることが好ましい。
【0016】
本発明の立毛布帛は、前記地組織部用有機繊維と、カットパイル用シックアンドシンヤーンとを用いて通常の織機または編機を使用し、パイル布帛を得た後パイルを常法によりシャーリングすることにより得られる。その際、カットパイル用糸条の全重量に対して10重量%以下であればシックアンドシンヤーン以外の糸条が含まれていてもよいが、カットパイル用糸条はシックアンドシンヤーンのみであることが好ましい。
【0017】
なお、立毛部をシャーリングする方法として、編物の場合、地組織の上に伸び出るシンカーパイル、ポールトリコットパイル、ダブルラッセルパイルなどのループパイルをシャーリング(カット)する方法などが用いられる。
【0018】
かくして得られた立毛布帛において、カットパイル層には、シック部の長さとシン部の長さが長い場合には、シック部のみからなるカットパイル、シン部のみからなるカットパイル、シック部とシン部とからなるカットパイルが含まれる。また、シック部の長さが短くシン部の長さが長い場合には、カットパイル層にはシン部のみからなるカットパイル、シック部とシン部とからなるカットパイルが含まれる。
【0019】
次いで、該立毛布帛に熱処理を施すと、シン部のみからなるカットパイルはあまり収縮せず、シック部のみからなるカットパイルは大きく収縮し、シック部とシン部とからなるカットパイルは少し収縮することにより、高さの異なるカットパイルが現れる。かかる熱処理は染色加工仕上げによる熱処理でよく熱処理の回数も複数回でもよい。染色加工仕上げに、通常、プレセット乾熱処理、染色加工、ファイナル乾熱処理が含まれる。その際、プレセット乾熱処理の温度としては150〜200℃、染色加工の温度としては130〜135℃、ファイナル乾熱処理の温度としては140〜160℃の範囲内であることが好ましい。
【0020】
次いで、該立毛布帛において、カットパイル層の1以上の部分領域において、カットパイルの先端部を化学的エッチング法により除去することにより凹部を形成すると、該凹部においては濃色に染まったシック部先端と、淡色に染まったシン部先端が露出するため斑外観を呈する。一方、凹部以外の箇所(エッチング処理していない箇所)においては、シン部先端のみが露出するため斑外観を呈さない。その結果、凹部のみ斑外観を呈し高級感が向上する。
【0021】
かかる立毛布帛において、カットパイルの最大高さLが1〜10mmの範囲内であることが好ましい。なお、かかる高さは以下の方法で測定することができる。すなわち、キーエンス(株)製マイクロスコープ(型式:VH−6300)を用いて、立毛布帛の断面を撮影(倍率50倍)し、全体厚みおよび地組織部の厚みを測定して、下記式によりカットパイルの高さLを算出する。
高さL=全体厚み(mm)−地組織部厚み(mm)
【0022】
またカットパイル層のカットパイル密度が10000〜500000本/cmの範囲内であると、高級外観および滑らかなタッチが得られ好ましい。
なお、前記の立毛布帛の地組織部において、カットパイル層と反対側の面には、公知のバックコーテイング層やパイル層などの他の層が形成されていてもよい。さらには、常法のエッチングによる模様づけ、エンボス加工、アルカリ減量加工、着色プリント、撥水加工、紫外線遮蔽剤、抗菌剤、消臭剤、防虫剤、蓄光剤、再帰反射剤、マイナスイオン発生剤等の機能を付与する各種加工を付加適用してもよい。
【0023】
次に、本発明の車輌内装材は前記の立毛布帛を用いてなる車輌内装材である。かかる車輌内装材は前記の立毛布帛を用いているので凹部のみが斑外観を有し高級な外観を呈する。
【実施例】
【0024】
以下、実施例をあげて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらによって何ら限定されるものではない。なお、実施例中の各物性は下記の方法により測定したものである。
【0025】
(1)カットパイルの高さL(mm)
キーエンス(株)製マイクロスコープ(型式:VH−6300)を用いて、立毛布帛の断面を撮影(倍率50倍)し、全体厚みおよび地組織部の厚みを測定して、下記式によりカットパイルの高さを算出した。なお、全体厚みは地組織部の最底部からカットパイルの最高部までの距離を測定した。n数は5でその平均値を求めた。
カットパイル高さL(mm)=全体厚み(mm)−地組織部厚み(mm)
【0026】
(2)熱水収縮率(BWS)
供試フィラメント糸条を、周長1.125mの検尺機のまわりに10回巻きつけて、かせを調製し、このかせを、スケール板の吊るし釘に懸垂し、懸垂しているかせの下端に、かせの総質量の1/30の荷重をかけて、かせの収縮処理前の長さL1を測定する。
このかせから荷重を除き、かせを木綿袋に入れ、このかせを収容している木綿袋を沸騰水から取り出し、この木綿袋からかせを取り出し、かせに含まれる水をろ紙により吸収除去した後、これを室温において24時間風乾する。この風乾されたかせを、前記スケール板の吊し釘に懸垂し、かせの下部分に、前記と同様に、かせの総質量の1/3の荷重をかけて、収縮処理後のかせの長さL2を測定する。
供試フィラメント糸条の熱水収縮率(BWS)を、下記式により算出する。
BWS(%)=((L1−L2)/L1)×100
【0027】
(3)外観評価
試験者3名により、外観を目視判定した。凹部のみが斑外観を呈し高級感を有するものを3級、やや劣るものを2級、斑外観を呈さないものを1級とした。
【0028】
(4)固有粘度
オルソクロロフェノールを溶媒として使用し温度35℃で測定した。
【0029】
(5)カットパイル密度
キーエンス(株)製マイクロスコープ(型式:VH−6300)を用いて、立毛布帛の表面を撮影(倍率500倍)し、1cm(1cm×1cm)あたりのカットパイル本数を測定した。
【0030】
[実施例1]
酸成分がモル比93/7のテレフタル酸及びイソフタル酸からなり、グリコール成分がエチレングリコールからなり、固有粘度1.45を有する分散染料に濃染可能な共重合ポリエステルを調製した。この共重合ポリエステル樹脂を通常の紡糸方法で溶融紡糸し、3500m/分の巻取り速度で巻き取った後に、通常の斑延伸(延伸倍率1.25倍、ピンヒーター温度105℃)を行い、沸水収縮率が43.5%の共重合ポリエステルシックアンドシンマルチフィラメント糸(総繊度110dtex/144本、単繊維繊度0.76dtex、長さ1〜50mmのシック部が単糸フィラメント100cmあたり50〜100個分布、カットパイル用糸条)を得た。
【0031】
次いで、カールマイヤー社製トリコット編機を使用して、前記マルチフィライメント糸をL3筬に、他糸条として通常のポリエチレンテレフタレートマルチフィラメント(ヤーンカウント:84dtex/36本、沸水収縮率:10%、帝人ファイバー(株)製、地組織部用糸条)をL2およびL1筬にフルセット配列し、編み方(L3:10/45、L2:10/12、L1:12/10)の組織を有する編物(60コース/2.54cm、28ウエール/2.54cm)を得た。該編物は2層構造を有し、該2層のうち1層が前記ポリエステルシックアンドシンマルチフィラメント糸で構成され、他の層が前記マルチフィラメント糸で構成されていた。
【0032】
次に、該編地を、針布起毛機(日機(株)社製)にてループパイルの先端部分を起毛しフルカットパイル布帛を形成した。得られたフルカットパイル布帛を(株)日阪製作所製液流染色機にて分散染料を用い、温度130℃、時間30分間の染色処理を行ない、グレー色布帛を得た。染色後、(株)ヒラノテクシード製ショートループドライヤーにて温度130℃、時間5分間の条件で乾燥し、乾燥セッター(ヒラノテクシード社製)に供してこれに160℃×1分のファイナル乾熱処理を施し、コース数:65コース/2.54cm、ウエール数:39ウエール/2.54cmのスウェード調布帛を得た。
【0033】
得られた布帛(カットパイル密度113000本/cm)においてシックアンドシンヤーンのシン部のみで構成されるカットパイルが高さの高いパイルを形成し、シック部とシン部で構成されるカットパイルが高さの低いカットパイルを形成していた。また、シック部のみからなるカットパイルはなかった。
一方、30%リキッドアルカリの苛性ソーダ54重量%と固形分15%のエッチング用元糊46重量%からなる粘土600ポイズのアルカリ処理剤を用意した。
【0034】
次いで、高木彫刻(株)製のロータリースクリーンを1本使用して、前記パイル布帛の立毛部に、格子模様状にアルカリ処理剤を捺染した後に温度130℃、時間5分で乾熱乾燥した後、温度165℃、時間8分間の高温スチーマー処理を施し、湯洗い、水洗いをして、カットパイル層の1以上の部分領域において、カットパイルの先端部が化学的エッチング法により除去した。
【0035】
得られた立毛布帛において、図1に模式的に示すように、凹部(カットパイル高さ1mm)の表面では、濃色に染色されたシック部と淡色に染色されたシン部とが露出することいより斑外観を呈し、凹部以外の箇所(カットパイル高さ3mm)の表面では斑外観を呈さず(無地調)、高級感を有するものであった(3級)。
次いで、該立毛布帛を用いて車輌内装材を得たところ、凹部の表面では斑外観を呈し、凹部以外の箇所の表面では斑外観を呈さず(無地調)、高級感を有するものであった。
【0036】
[比較例1]
実施例1において、斑延伸に代えて通常の完全延伸を行ってシックアンドシンではない通常の延伸糸とすること以外は実施例1と同様にした。
得られた立毛布帛において、凹部の表面、凹部以外の箇所の表面とも斑外観を呈さず(無地調)、高級感を有するものではなかった(1級)。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明によれば、カットパイル層表面が斑外観を呈する立毛布帛および該立毛布帛を用いてなる車輌内装材が提供され、その工業的価値は極めて大である。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の立毛布帛の1例を模式的に示す図であり、Lがカットパイルの最大高さである。
【符号の説明】
【0039】
1 凹部
2 カットパイル
3 地組織部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機繊維糸条からなる編織組織を有する地組織部と、前記地組織部に編み込まれ、あるいは織り込まれ、前記地組織から、その少なくとも1面側に伸び出ているカットパイルからなるカットパイル層とからなる立毛布帛であって、前記カットパイルがシックアンドシンヤーンから形成されてなることを特徴とする立毛布帛。
【請求項2】
前記シックアンドシンヤーンが共重合ポリエステルで形成されてなる、請求項1に記載の立毛布帛。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載された立毛布帛に熱処理を施すことにより、前記カットパイルを熱収縮させてなる立毛布帛。
【請求項4】
カットパイル層の1以上の部分領域において、カットパイルの先端部が化学的エッチング法により除去されてなる、請求項3に記載の立毛布帛。
【請求項5】
化学的エッチング法により上層を除去されたカットパイル層が斑外観を呈している、請求項4に記載の立毛布帛。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載の立毛布帛を用いてなる車輌内装材。

【図1】
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