説明

立看板用接地キャップおよび立看板

【課題】例えば道路の工事現場等に、表示や標示、バリケード等の目的で設置するような立看板において、設置時の安定性を向上するとともにガタ付きを防止して、路面等の損傷も防止できるようにすること。
【解決手段】棒状の脚部3を斜めに傾けて立てる立看板2における上記脚部3の下端部に対して取り付ける取り付け部8を設け、該取り付け部8の下に、下端面12が傾斜する非金属製の接地部9を形成した立看板用接地キャップ1。

【考案の詳細な説明】
【0001】
【考案の属する技術分野】
この考案は、例えば道路工事等に際して、表示や標示、バリケード等の目的で設置するような立看板に関する。
【0002】
【従来の技術】
上述のような立看板は、壁などに凭れ掛けなくとも立てられるように、図7の如く2本の脚101を有した枠状の本体部102の裏側に支持脚103を枢着した構造であり、使用に際しては、支持脚103と本体部102とで「人」型をなすような形にして立てる。
【0003】
しかし、上記本体部102の脚101や支持脚103は、金属製の四角いパイプやアングルで形成されており、直角に切断されている。このため、立看板を立てたときには、エッジを立てたような状態になる。
【0004】
このため、立てたときに立看板の脚は、路面等に突き刺さるように当たり、路面等を傷つけるとともに、脚自体も傷める。また、立看板は重いので、移動に際しては引き摺ることが多く、このとき路面との接触によりガラガラと大きな音が発生し、同時に路面を傷つける。
【0005】
また4本の脚を有していても、その下端が線で接触するので安定性がよくない。その上、金属製の脚は路面等に対して直接当たるので、移動、設置、折り畳み等、すべての動作時に音が立ち、立てたときには風等に揺れるだけでガタガタと不快な音がする。
【0006】
【考案が解決しようとする課題】
そこでこの考案は、脚部の下端部に取り付ける部材を提供して、設置時の安定性の向上やガタ付き防止、損傷防止等の便宜を図ることを主たる課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
そのための手段は、棒状の脚部を斜めに傾けて立てる立看板における上記脚部の下端部に対して取り付ける取り付け部を設け、該取り付け部の下に、下端面が傾斜または湾曲する非金属製の接地部を形成した立看板用接地キャップであることを特徴とする。
【0008】
すなわちこのキャップは、使用に際しては、立看板の脚部の下端部に対して、嵌合、係止、接着、ねじ止め等の適宜手段により、取り付け部を取り付ける。取り付けに際しては、立看板を立てたときに接地部の下端面が略水平になるように設定する。接地部は、非金属、すなわち例えば合成樹脂やゴム、木などで形成している。このため、立看板を立てたときには、キャップの接地部が路面等に当たるので、この接地部が緩衝材として働き、ガタ付きを防止し、路面等や脚部が傷つくのを防止することができる。このため、立看板が重くて持ち上げられない場合には、立看板を引き摺って移動しても、損傷や嫌な音の発生はない。また、接地部の下端面が、その形状ゆえに比較的広い面で路面等に当たるので、安定性の向上も図ることができる。
【0009】
なお、前記取り付け部と接地部とを合成樹脂で一体成形し、上記接地部の下端面を傾斜面で形成するとともに、上記取り付け部を、脚部の下端部に差し込む凸部または凹部で形成するとよい。合成樹脂で一体成形すれば、軽く安価に製造でき、接地部を傾斜面で形成すれば、路面等に接触する面積が広くなるので、安定性が高まる。また、取り付け部を、脚部の下端部に差し込む凸部または凹部で構成すると、単に嵌め込むだけで取り付けが行えるので便利である。
【0010】
前記接地部の下面には、傾く脚部が突っ張る方向とは直角の方向に延びる凹溝を形成して、滑り止め効果を得られるようにするもよい。
【0011】
また、前記取り付け部と接地部とを別体に形成し、上記接地部を取り付け部に対して所定の向きになるように結合するように構成すると、脚部が、例えばアングル状であって、複数本の脚部に取り付けるときに共用できない構造の場合であっても使用できる。すなわち、接地部を取り付け部に対して結合する時にその向きを変えればよい。
【0012】
さらに、前記接地部を取り付け部に対して揺動可能に取り付けると、立看板を立てたとき接地部の下端面の傾斜角が変更するので、立てるときの脚部の角度が異なる立看板に対しても使用でき、汎用性が増す。 別の手段は、前記立看板用接地キャップを有した立看板であることを特徴とする。
【0013】
【考案の実施の形態】
この考案の一実施の形態を、以下図面を用いて説明する。 図1は、立看板用接地キャップ1(以下、キャップという)の斜視図であり、このキャップ1は、図2に示したように「人」型に開いて立てる立看板2の脚部3に取り付けて使用するものである。
【0014】
立看板2は、本体部4と支持脚5とで構成しており、本体部4は、下部に左右2本の脚部を有する門形に、四角い金属製パイプで形成した枠材6と、この枠材6の表面に貼り付けた板材7とで形成している。板材7には、例えば、工事中、まわり道、通行止、工事予告等の文字や各種の記号や絵などの標示や、その他広告など様々な表示等を施している。
【0015】
このような本体部4の裏側には、四角い金属製パイプでH形に形成した上記支持脚5を枢着して、支持脚5を開いたときに「人」型になり、4本の脚部3で立つように構成している。このとき、各脚部3の下端は直角に切断しているので、脚部3の下端は路面等の接地面に対して傾斜する。
【0016】
前記キャップは、合成樹脂で一体成形し、立看板2の4本の脚部3の下端に取り付ける取り付け部8と、この取り付け部8の下に形成され接地する接地部9とを有する。
【0017】
取り付け部8は、脚部3の内側に嵌まる凸部で形成し、接地部9は、その外周面が取り付け部を嵌めたときに脚部3の外周面と面一になるような大きさで、側面視直角三角形に形成している。
【0018】
取り付け部8は筒状で、差し込みをしやすくするため、上端部にテーパ面10を形成し、取り付け状態を強固にするため、外周面には肉厚部11を形成している。
【0019】
また接地部9は、支持脚5を開いて立看板2を立てたときに水平になるような角度に傾斜した下端面12を有する。この下端面12には、傾いた脚部3が突っ張る方向、すなわち下端面12の傾斜方向とは直角の方向に延びる複数本の凹溝13を形成し、滑り止め効果を得られるようにしている。
【0020】
このキャップ1の取り付けは、図3に示したように、取り付け部5を4本の脚部3の下端に対して差し込むだけでよい。このとき脚部3の存在位置に合わせて、接地部9の下端面12の傾きが適正になるようにする。テーパ面10の存在により、差し込みがしやすい上に、差し込んだならば、肉厚部11が弾性を以って脚部3内で突っ張って差し込み状態を強力に維持する。
【0021】
このようなキャップ1を取り付けた立看板2では、支持脚5を開いて立てると、図2に示したような状態になる。すなわち、キャップ1の接地部9に傾けて形成した平らな下端面12が水平になって、接地する。このため、広い接触面積を得て安定性よく設置できるとともに、合成樹脂製のキャップ1が脚部3と路面等の接地面との間に介在して、緩衝材の役割を果たすので、路面等や脚部自体の損傷を阻止することができる。また、立看板2の移動や設置、折り畳み等すべてのときに、脚部3が路面等に直接接することはないので、移動時にガラガラと大きな音を立てたり、設置した状態でガタガタと音がしたりすることも防止できる。
【0022】
以上の説明は、この考案の一実施の形態であって、この考案は、上記の構成に限定されるものではない。
【0023】
例えば、接地部9の下端面12は、図4に示したように湾曲して形成するもよい。湾曲は、図示したような2次元の湾曲のほか、3次元の湾曲であるもよい。
【0024】
また、脚部3が四角いパイプ材ではなくアングル材で形成されている場合には、取り付け部8は、例えば図5に示したようにアングル材が嵌入する凹部で形成するとよいが、この場合には、脚部3の存在位置によって、取り付け部8と接地部9の向きの組み合わせが異なる、複数の形のキャップ1が必要となる。このため、コストを低減するため、取り付け部8と接地部9とを別々に形成して、水平方向の向きを自由に設定できるように結合させるとよい。例えば取り付け部8と接地部9とを水平方向に相対回転可能に結合する。
【0025】
すなわち、上記取り付け部9の下に取り付け板14を形成し、該取り付け板14の中央に、貫通孔15を形成して、接地部9の上面には、キノコ型の突起16を形成すればよい。図中17は、突起16を弾性変形させるための穴からなるぬすみ部である。両者を互いに結合して一体化しておき、取り付ける脚部3の存在位置に合わせて所望の向きになるように回転する。なお、結合したら一定の向きになるように結合構造を形成するもよい。また、取り付け部8と接地部9の対抗面を平面で形成して、溶着などで一体化するもよい。さらに、接地部9が非金属製であればよく、取り付け部8は、金属製であるもよい。
【0026】
また、図6に示したキャップ1は、汎用性を増すようにしたキャップで、接地部9を取り付け部8に対して揺動可能に取り付けて、構成している。取り付け部8の下面に枢着部18を突設し、この枢着部18に枢着軸19を用いて接地部9を枢着する。接地部9の上面20は傾斜させて、揺動のための隙間を取り付け部8との間に形成する。
【0027】
このように構成したキャップ1を取り付けると、立看板2の支持脚5の開き具合に関係なく、接地部9の下端面12が水平になって接地するので、立看板2の種類に関係なく、安定した設置が行える。
【0028】
【考案の効果】
以上のようにこの考案によれば、キャップにおける非金属製の接地部が脚部と路面等の間に介在して、緩衝材の役割を果たすので、路面等や脚部自体の損傷を阻止することができる。また、立看板の移動の際に路面上を引き摺っても、脚部が路面等に直接接することはなく、キャップを介して接するので、ガラガラと大きな音がしたり、路面を傷つけたりすることもない。その上、接地部の下端面を傾斜した面や湾曲した面で形成しているので、接触面積を比較的大きくとることができ、立てたときの安定性の向上を図ることもでき、設置した状態でガタガタと音がしたりすることも阻止できる。
【0029】
このようにキャップが種々の作用効果を達成するので、立看板の取り扱いは便利なものとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 立看板用接地キャップの斜視図。
【図2】 接地キャップを取り付けた立看板の側面図。
【図3】 立看板の脚部と接地キャップを分離した状態の斜視図。
【図4】 他の例に係る立看板用接地キャップの側面図。
【図5】 他の例に係る立看板用接地キャップの斜視図。
【図6】 他の例に係る立看板用接地キャップの側面図。
【図7】 従来技術の斜視図。
【符号の説明】
1…立看板用接地キャップ
2…立看板
3…脚部
8…取り付け部
9…接地部
12…下端面
13…凹溝
15…貫通孔
16…突起
18…枢着部
19…枢着軸

【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】棒状の脚部を斜めに傾けて立てる立看板における上記脚部の下端部に対して取り付ける取り付け部を設け、該取り付け部の下に、下端面が傾斜または湾曲する非金属製の接地部を形成した立看板用接地キャップ。
【請求項2】前記取り付け部と接地部とを合成樹脂で一体成形し、上記接地部の下端面を傾斜面で形成するとともに、上記取り付け部を、脚部の下端部に差し込む凸部または凹部で形成した請求項1に記載の立看板用接地キャップ。
【請求項3】前記接地部の下面に、傾く脚部が突っ張る方向とは直角の方向に延びる凹溝を形成した請求項1または請求項2に記載の立看板用接地キャップ。
【請求項4】前記取り付け部と接地部とを別体に形成し、上記接地部を取り付け部に対して所定の向きになるように結合する請求項1から請求項3のうちのいずれか一項に記載の立看板用接地キャップ。
【請求項5】前記接地部を取り付け部に対して揺動可能に取り付けた請求項1から請求項4のうちのいずれか一項に記載の立看板用接地キャップ。
【請求項6】前記請求項1から請求項5のうちのいずれか一項に記載の立看板用接地キャップを有した立看板。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【登録番号】実用新案登録第3084737号(U3084737)
【登録日】平成13年12月26日(2001.12.26)
【発行日】平成14年3月29日(2002.3.29)
【考案の名称】立看板用接地キャップおよび立看板
【国際特許分類】
【評価書の請求】未請求
【出願番号】実願2001−6116(U2001−6116)
【出願日】平成13年9月17日(2001.9.17)
【出願人】(000109886)トーグ安全工業株式会社 (1)