説明

竪型粉砕装置およびそれを備えた石炭焚きボイラプラント

【課題】搬送用ガスの流速調整、ならびに被粉砕物の落下防止や1次分級強化の調整などが可能な竪型粉砕装置を提供する。
【解決手段】ハウジング44と粉砕テーブル2の間に配置されたスロート42が周方向に沿って複数に分割されたブロックからなり、そのブロックが、インナーリング70とアウターリング71とスロートベーン43で囲まれたスロート開口部84を2つ以上有する第1ブロック501と、1つ以上のスロート開口部84と1つ以上のスロート開口部84を塞ぐ閉塞部82を有する第2ブロック502の組み合わせて構成されていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、石炭などの固体を粉砕する竪型粉砕装置およびそれを備えた石炭焚きボイラプラントに係り、特に竪型粉砕装置内へ搬送用ガスを導入するスロート構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
燃料として微粉炭を燃焼させる火力発電用の石炭焚きボイラ装置において、燃料供給装置として竪型粉砕装置が使用されている。
【0003】
図16は、竪型粉砕装置の一例を示す概略構成図である。
この竪型粉砕装置は、粉砕テーブル2を回転駆動する駆動部Aと、粉砕テーブル2と粉砕子である粉砕ローラ3との噛み合いにより被粉砕物である石炭60を粉砕する粉砕部Bと、その粉砕部Bの上部に設置されて石炭粉を任意の粒度に分級する分級部Cと、分級された微粉炭を石炭焚きボイラ装置(図示せず)に接続された複数本の送炭管31へ分配する分配部Dから主に構成されている。
【0004】
図中の5は加圧フレーム、6はローラブラケット、7はローラピボット、8は加圧ロッド、9は加圧シリンダ、30は分配器、50は粉砕テーブル用減速機、51は粉砕テーブル駆動用モータである。
【0005】
次にこの竪型粉砕装置の動作について説明する。給炭管1より供給された石炭60は矢印で示すように、回転している粉砕テーブル2の中心部に落下した後、粉砕テーブル2の回転に伴う遠心力によって粉砕テーブル2上を渦巻き状の軌跡を描いて外周部へ移動して、粉砕テーブル2と粉砕ローラ3の間に噛み込まれて粉砕される。
【0006】
一方、燃焼用1次空気を兼ねている被粉砕物搬送用ガス61は搬送用ガスダクト40を通して、ウィンドボックス41に送られ、粉砕テーブル2の周囲に設けられたスロート42から粉砕部Bに導入される。
【0007】
粉砕された石炭粉は前記スロート42の上部で高温の搬送用ガス61と混合して固気二相流62となり、乾燥されながら上方へ吹き上げられる。吹き上げられた粉体のうち、粒度の大きいものは分級部Cへ搬送される途中で重力により落下し、粉砕部Bに戻されて(1次分級)、再度粉砕される。
【0008】
分級部Cに到達した粒子群は、所定粒度以下の微粒子65と所定粒度を超えた粗粒子64とに分級され(2次分級)、粗粒子64は粉砕部Bに落下して再び粉砕される。一方、分級部Cを出た微粒子65は製品微粉66として送炭管31から石炭焚きボイラ装置のバーナ(図示せず)へ送られる。
【0009】
この例の場合前記分級部Cは、固定フィン11と回収コーン10から構成されている。固定フィン11は上面板45から下向きに吊り下げられ、かつ分級部Cの中心軸方向に対して任意の角度で多数枚固定されている。回収コーン10は、固定フィン11の下側にすり鉢状に設けられている。
【0010】
この例の場合前記分級部Cは、固定分級器(固定フィン11と回収コーン10)から構成されているが、回転フィンを備えた回転分級機で分級部Cを構成することもある。
【0011】
図12は、ハウジング44の内周側にスロート42を固定した固定式スロートの拡大断面図である。図13は、粉砕テーブル2の外周部にスロート42を取り付けて、粉砕テーブル2と共に回転する回転式スロートの拡大断面図である。なお、図12ではスロート42と粉砕テーブル12との間が、図13ではスロート42とハウジング44との間が大きく開いているが、これは説明の便宜上のためであり、実際には隙間がほとんどないように設計されている。
【0012】
前記回転式スロートは、スロート42を通して落下する石炭を低減することができ、スロート42を通る搬送用ガス61の流速を減少させることができるので、近年主流になりつつある。
【0013】
図14は、図12E―E’線上の断面図である。
スロート42では1次分級を強化する目的で、水平方向に対して角度αをもって傾斜したスロートベーン43(図14参照)を、インナーリング70とアウターリング71(共に図12参照)の隙間に円周方向に多数枚設置して、噴出ガスに旋回力を与えている。
【0014】
前述のように搬送用ガスダクト40から送られて来た搬送用ガス61はウィンドボックス41に溜められ、スロートベーン43により旋回力を与えながら、上方の粉砕部Bへと噴出する。スロートベーン43の傾斜角度αは、一般的には30〜60度の範囲で設定されている。なお、スロートベーン43の傾斜方向が、図14とは逆のものもある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】米国特許5,549,251号明細書
【特許文献2】WO2009/115828号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
スロート42での空気流速は、低すぎるとスロート42を通した石炭粉の落下が発生し、一方、高すぎると圧力損失が大きくなる。そのため、スロート42での空気流速の設定は非常に重要である。
【0017】
炭種や運転条件などの変更により当初設定した流速と当該炭種や運転条件において適切な流速との間にズレが生じた場合、スロート42での空気流速を調節する必要があるが、燃料と空気の比は、燃焼における最適条件により決定されているので、空気量を変化することで、空気流速を調節することはできない。
【0018】
そこで従来、図15に示すように、スロート42のいくつかの開口部84に閉止板80a,80bを設置するか、もしくは閉止板80a,80bを取り外すことで、スロート42全体としての開口面積を増減させ、スロート42での空気流速を調節していた。この閉止板80a,80bは、溶接やボルト81によりスロート42に取り付けられていた。図15では、ボルト81での取り付け例を示している。
【0019】
しかし、溶接やボルト81での取り付けでは、閉止板80a,80bがスロート42の振動や摩耗などにより外れ、外れた閉止板80a,80bが内部に空気流速により吹き飛ばされ、ミル内の構造物に激突することでその構造物が破壊されたり、あるいは外れた閉止板80a,80bが粉砕テーブル2に入り込み粉砕テーブル2と粉砕ローラ3とに噛み込まれることで粉砕テーブル2や粉砕ローラ3が破壊される可能性がある。
【0020】
特に、スロート42が粉砕テーブル2とともに回転する回転式スロートの場合、粉砕テーブル2の振動が直接スロート42に伝わるので、スロート42の振動が大きく、閉止板80a,80bが外れ易いという問題がある。
【0021】
本発明の目的は、搬送用ガスの流速調整、ならびに被粉砕物の落下防止や1次分級強化の調整などが可能な竪型粉砕装置およびそれを備えた石炭焚きボイラプラントを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0022】
前記目的を達成するため、第1の本発明は、
ハウジングと、
そのハウジングの内側に回転可能に設置された粉砕テーブルと、
その粉砕テーブルの上に配置された複数の例えば粉砕ローラなどからなる粉砕子と、
前記ハウジングと粉砕テーブルの間に配置されて、円筒状のインナーリングと、そのインナーリングの外側に設置された円筒状のアウターリングと、前記インナーリングと前記アウターリングとによって形成される環状の空間を周方向に分割する多数のスロートベーンとから成るスロートと、
そのスロートの下部に設けられたウィンドボックスを備え、
前記粉砕テーブルと粉砕子とのかみ込みによって例えば石炭などの被粉砕物を粉砕して粉砕粒子を生成し、前記ウィンドボックスに供給された搬送用ガスを前記スロートベーンの間を通して粉砕テーブルの外周部に噴出して、前記粉砕粒子を上方へ搬送する竪型粉砕装置を対象とするものである。
【0023】
そして本発明の第1の手段は、
前記スロートが周方向に沿って複数に分割されたブロックからなり、
そのブロックが、前記インナーリングと前記アウターリングと前記スロートベーンとで囲まれたスロート開口部を2つ以上有する第1ブロックと、1つ以上の前記スロート開口部と1つ以上の前記スロート開口部を塞ぐ閉塞部とを有する第2ブロックの2種類のブロックを組み合わせて構成されていることを特徴とするものである。
【0024】
本発明の第2の手段は前記第1の手段において、
前記第1ブロックならびに第2ブロックの組み合わせで構成されたスロートが前記粉砕テーブル側に固定され、そのスロートが粉砕テーブルとともに回転する構成になっていることを特徴すするものである。
【0025】
本発明の第3の手段は前記第1または第2の手段において、
前記スロートを構成する全ブロック数に対する前記閉塞部を有する第2ブロックの占める割合が1/2以下に規制されていることを特徴とするものである。
【0026】
本発明の第4の手段は前記第1ないし第3の手段のいずれかの手段において、
前記閉塞部を有する第2ブロック同士では隣り合わない配置になっていることを特徴とするものである。
【0027】
本発明の第5の手段は前記第1ないし第4の手段のいずれかの手段において、
前記第1ブロックと第2ブロックは形状ならびに大きさが同じであって、第1ブロックと第2ブロックは交換可能になっていることを特徴とするものである。
【0028】
本発明の第6の手段は前記第1ないし第5の手段のいずれかの手段において、
前記第1ブロックのインナーリングの部分と前記アウターリングの部分と前記スロートベーンの部分が例えば鋳物などによって一体物で構成され、前記第2ブロックのインナーリングの部分と前記アウターリングの部分と前記スロートベーンの部分と閉塞部が例えば鋳物などによって一体物で構成されていることを特徴とするものである。
【0029】
本発明の第7の手段は前記第1ないし第6の手段のいずれかの手段において、
前記第2ブロックの閉塞部が、上側の前記スロート開口部を閉塞するように形成されていることを特徴とするものである。
【0030】
本発明の第8の手段は前記第1ないし第7の手段のいずれかの手段において、
前記スロート中に前記第2ブロックが均等に配置されていることを特徴とするものである。
【0031】
本発明の第9の手段は、
竪型粉砕装置と、
その竪型粉砕装置で粉砕して生成した微粉炭を燃焼する微粉炭焚きボイラ装置を備えた微粉炭焚きボイラプラントにおいて、
前記竪型粉砕装置が、前記第1ないし第8の手段のいずれかの手段の竪型粉砕装置であることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0032】
本発明は前述のような構成になっており、搬送用ガスの流速調整、ならびに被粉砕物の落下防止や1次分級強化の調整などが可能な竪型粉砕装置およびそれを備えた石炭焚きボイラプラントを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の第1実施形態に係る回転式スロートにおけるスロート周辺の縦断面図である。
【図2】そのスロート全体の上面図である。
【図3】スロートを構成する第1ブロックの拡大上面図である。
【図4】図3A−A’線上の断面図である。
【図5】スロートを構成する第2ブロックの拡大上面図である。
【図6】図5B−B’線上の断面図である。
【図7】第1ブロックと第2ブロックの組み合わせ例を示す拡大上面図である。
【図8】図7C−C’線上の断面図である。
【図9】第1ブロックと第2ブロックの他の組み合わせ例を示す拡大上面図である。
【図10】本発明の第2実施形態に係る第2ブロックの拡大上面図である。
【図11】図10D−D’線上の断面図である。
【図12】固定式スロートにおけるスロート周辺の縦断面図である。
【図13】回転式スロートにおけるスロート周辺の縦断面図である。
【図14】図12E−E’線上の断面図である。
【図15】従来構造におけるスロート周辺の縦断面図である。
【図16】竪型粉砕装置の概略構成図である。
【図17】本発明の実施形態に係る竪型粉砕装置を備えた石炭焚きボイラプラントの系統図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
次に本発明の実施形態に係る竪型粉砕装置を図面とともに説明する。図1は本発明の第1実施形態に係る回転式スロートにおけるスロート周辺の縦断面図、図2はそのスロート全体の上面図、図3は第1ブロックの拡大上面図、図4は図3A−A’線上の断面図、図5は第2ブロックの拡大上面図、図6は図5B−B’線上の断面図、図7は第1ブロックと第2ブロックを組み合わせ例を示す拡大上面図、図8は図7C−C’線上の断面図である。
【0035】
竪型粉砕装置の全体の概略構成は図16と同様であるので、重複する説明は省略する。
スロート42は縦断面から見ると図1に示すように、ハウジング44と粉砕テーブル2の間に配置され、円筒状のインナーリング70と、そのインナーリング70の外側に設置された円筒状のアウターリング71と、前記インナーリング70とアウターリング71とによって形成される環状空間を周方向に分割する多数のスロートベーン43とから構成されている。
【0036】
またこのスロート42の全体を上から見ると図2に示すように、複数個の第1ブロック501と複数個の第2ブロック502を所定の順序で円周状に配置して構成されている。各ブロック501、502は、ボルトなどを用いて粉砕テーブル2などに連結されている。
【0037】
前記第1ブロック501は、インナーリング70とアウターリング71とスロートベーン43とで囲まれた開口部84を2つ以上有している。一方、前記第2ブロック502は2つ以上の前記開口部84と1つ以上の前記開口部84を塞ぐ閉塞部82とを有している。
【0038】
図1に示すように本実施形態の場合、スロート42は粉砕テーブル2側に固定されて、粉砕テーブル2と共に回転する回転式スロートを構成している。本実施形態では回転式スロートの例を示しているが、このスロート42をハウジング44の内周側に固定して固定式スロートを構成することもできる。
【0039】
本実施形態の場合、第1ブロック501は図3,図4に示すように、スロート42の周方向に分割されたインナーリング70の一部分701と、スロート42の周方向に分割されたアウターリング71の一部分711(共に図3参照)と、分割面201 cで分割されてスロート上面220 aまで延びたスロートベーン43の一部分230a、230bと、スロート下面220 dから分割面201 bまで延びたスロートベーン43の一部分230c、230d(共に図4参照)とから構成されている。
【0040】
一方、第2ブロック502は図5,図6に示すように、周方向に分割されたインナーリング70の一部分701と、周方向に分割されたアウターリング71の一部分711(共に図5参照)と、分割面201 aで分割されスロート上面220 aまで延びたスロートベーン43の一部分210a、210bと、スロート下面220 bから分割面201 dまで延びたスロートベーン43の一部分210c、210dと、分割面201 bで分割されスロート上面220 aまで延びたスロートベーン43の一部分210a、210bの上端部に設けられた閉塞部82(共に図6参照)とから構成されている。
【0041】
図4及び図6に示すように、各スロートベーン43の一部分210a〜210d、230a〜230dは、1次分級を強化する目的でスロート下面220 bに対して角度αをもって傾斜している。この傾斜角度αは、30〜60度の範囲で設定される。
【0042】
また、図3及び図5に示すように、第1ブロック501と第2ブロック502の組み合わせが任意に変更できるように、第1ブロック501の内側の周長L1aと第2ブロック502の内側の周長L1bはほぼ同寸(L1a≒L1b)に、第1ブロック501の外側の周長L2aと第2ブロック502の外側の周長L2bはほぼ同寸(L2a≒L2b)に、ならびに第1ブロック501の径方向の幅Waと第2ブロック502の径方向の幅Wbはほぼ同寸(Wa≒Wb)に、それぞれ設計され、同じ形状をしている。
【0043】
図7及び図8は第1ブロック501と第2ブロック502の第1の組み合わせ例を示す図であり、この場合は3個の第1ブロック501a〜501cと1個の第2ブロック502を図に示すような配置で組み合わせている。
【0044】
図7及び図8に示すように、例えば第1ブロック501aと第2ブロック502を隣接して組み合わせることにより、一部分230cと一部分210aが繋がって連続した1つのスロートベーン43が形成され、また、一部分230dと一部分210bが繋がって連続した1つのスロートベーン43が形成される。
【0045】
さらに、第1ブロック501bと第1ブロック501cを隣接して組み合わせることにより、一部分230cと一部分230 aが繋がって連続した1つのスロートベーン43が形成され、また、一部分230dと一部分230 bが繋がって連続した1つのスロートベーン43が形成される。
【0046】
そしてこの例のように第1ブロック501a、第2ブロック502、第1ブロック501b、第1ブロック501cを組み合わせることにより、スロート開口部84の1つが閉塞したブロック集合体が得られる。
【0047】
図9は第1ブロック501と第2ブロック502の第2の組み合わせ例を示す図であり、この場合は2個の第1ブロック501a,501bと2個の第2ブロック502a,502bを図に示すような配置で組み合わせている。
【0048】
このように組み合わせることにより、一部分が互いに繋がって連続した1つのスロートベーン43が形成されるとともに、スロート開口部84の2つが閉塞したブロック集合体が得られる。図8と図9を比較すると明らかなように、閉塞部82を有さない第1ブロック501と、閉塞部82を有する第2ブロック502を入れ替えることにより、スロート42全体の開口面積を増減させて、スロート42での搬送用ガスの流速調整、ならびに被粉砕物の落下防止や1次分級強化の調整などが可能となる。
【0049】
第1ブロック501と第2ブロック502は一体物(例えば図1参照)として鋳物で作製される。そのため、従来技術で問題となる振動や磨耗による閉止板80a,80bの脱離の危険性が抑制される。
【0050】
図6に示すように、閉塞部82は一部分210a、210bの上端部に設け、一部分210c、210dの下端部には設けない。その理由は、閉塞部82を一部分210c、210dの下端部に設けた場合、一部分210c、210dと閉塞部82で形成される凹部の中に石炭粒子が滞留するからである。
【0051】
第1ブロック501の分割面201 c、201d、ならびに第2ブロック502の分割面201 a、201 bは、それぞれのブロックの上面ならびに下面に対して垂直であることが望ましい。その理由は、設置や入れ替えの際、隣接するブロックで垂直方向に干渉が起こらないため、設置や入れ替えが容易になるからである。
【0052】
図10ならびに図11は本発明の第2実施形態に係る第2ブロックを説明するための図であり、図10は第2ブロックの拡大上面図、図11は図10D−D’線上の断面図である。
【0053】
図10ならびに図11に示すように、本実施形態では閉塞部83が第2ブロック503の分割面601a、601bで分割されている。このように分割された閉塞部83を有する第2ブロック503を使用する場合、当該第2ブロック503を2つ以上並べて配置する必要がある。
【0054】
閉塞部82、83を有する第2ブロック502、503は、スロート42を構成する全体のブロック数の1/2以下であることが望ましい。なぜなら、スロート42を構成するブロック数の1/2が閉塞部82、83を有する第2ブロック502、503であった場合、スロート42の開口部84の面積が3/4になるのでスロート42の搬送用ガス61の流速が4/3倍以上となる。圧力損失は流速の2乗に比例するので、閉塞部82、83を有する第2ブロック502、503を使用しない場合と比べて圧力損失が1.78倍以上となるからである。
【0055】
閉塞部82、83を有する第2ブロック502、503はスロート42全体の構成において均等(等間隔)に配置されるようにするのが望ましい(例えば図2参照)。なぜなら、閉塞部82の箇所が偏ると、搬送用ガス61の偏りが起きるからである。
【0056】
図17は、前記実施形態に係る竪型粉砕装置を備えた石炭焚きボイラプラントの系統図である。
粉砕される塊状の石炭60が搬入コンベア101により石炭バンカ102に投入され、その後、石炭60は計量器103で計量されて、竪型粉砕装置104内に投入される。また、竪型粉砕装置104の下部からは石炭粒子の乾燥と一次空気を兼ねた高温の搬送用ガス61が供給され、前述のようにして竪型粉砕装置104内で石炭60の粉砕と分級がなされ、所定の粒子径以下の微粉炭が石炭焚きボイラ装置105のバーナ106にそれぞれ供給されて、炉内で燃焼される。
【0057】
この燃焼によって生成した燃焼ガスは、脱硝装置107、空気予熱器108ならびに電気集塵機109などを通って浄化され、煙突(図示せず)から大気へ放出される。
【0058】
本発明において請求項別の作用効果をまとめれば、下記の通りである。
請求項1の構成によれば、搬送用ガスの流速調整、ならびに被粉砕物の落下防止や1次分級強化の調整などが可能な竪型粉砕装置を提供することができる。
請求項2の構成によれば、スロートを通して落下する粉砕物を低減することができ、また、スロートを通る搬送用ガスの流速を減少させることができる。
【0059】
請求項3の構成によれば、スロートを通過する搬送用ガスの圧力損失の増大を抑制することができる。
請求項4の構成によれば、閉塞部の偏りが無くなり、それに伴い粉砕部への搬送用ガスの供給が均等化する。
請求項5の構成によれば、第1ブロックと第2ブロックの交換が容易となる。
【0060】
請求項6の構成によれば、振動や磨耗による閉塞部材の脱離の危険性を抑制して、安全運用が可能となる。
請求項7の構成によれば、スロートの上面に凹部が形成されることがないから、その凹部に粉砕物が滞留するという問題が解消される。
請求項9の構成によれば、閉塞部の偏りが無くなり、それに伴い粉砕部への搬送用ガスの供給が均等化する。
請求項10の構成によれば、炭種やボイラの運転条件などの変更に容易に対応することができる。
【0061】
前記実施形態では石炭を粉砕する竪型粉砕装置の場合について説明したが、本発明に係る竪型粉砕装置は例えばセメントなど他の被粉砕物を粉砕するものにも適用可能である。
【符号の説明】
【0062】
2:粉砕テーブル、
3:粉砕子、
40:搬送用ガスダクト、
41:ウインドボックス、
42:スロート、
43:スロートベーン、
44:ハウジング、
60:石炭、
61:搬送用ガス、
70:インナーリング、
71:アウターリング、
82:閉塞部、
83:分割された閉塞部、
84:スロート開口部、
104:竪型粉砕装置、
105:石炭焚きボイラ装置、
201a〜201d:分割面、
210a〜210d、230a〜230d:スロートベーンの一部分、
220a:スロートの上面、
220b:スロートの下面、
501:第1ブロック、
502:第2ブロック、
503:閉塞部を分割した第2ブロック、
601a、601b:閉塞部を分割した第2ブロックの分割面、
610a〜610d:閉塞部を分割した第2ブロックのスロートベーンの一部分、
701:インナーリングの一部分、
711:アウターリングの一部分、
B:粉砕部、
C:分級部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングと、
そのハウジングの内側に回転可能に設置された粉砕テーブルと、
その粉砕テーブルの上に配置された複数の粉砕子と、
前記ハウジングと粉砕テーブルの間に配置されて、円筒状のインナーリングと、そのインナーリングの外側に設置された円筒状のアウターリングと、前記インナーリングと前記アウターリングとによって形成される環状の空間を周方向に分割する多数のスロートベーンとから成るスロートと、
そのスロートの下部に設けられたウィンドボックスを備え、
前記粉砕テーブルと粉砕子とのかみ込みによって被粉砕物を粉砕して粉砕粒子を生成し、前記ウィンドボックスに供給された搬送用ガスを前記スロートベーンの間を通して粉砕テーブルの外周部に噴出して、前記粉砕粒子を上方へ搬送する竪型粉砕装置において、
前記スロートが周方向に沿って複数に分割されたブロックからなり、
そのブロックが、前記インナーリングと前記アウターリングと前記スロートベーンとで囲まれたスロート開口部を2つ以上有する第1ブロックと、1つ以上の前記スロート開口部と1つ以上の前記スロート開口部を塞ぐ閉塞部とを有する第2ブロックの2種類のブロックを組み合わせて構成されていることを特徴とする竪型粉砕装置。
【請求項2】
請求項1記載の竪型粉砕装置において、
前記第1ブロックならびに第2ブロックの組み合わせで構成されスロートが前記粉砕テーブル側に固定されて、そのスロートが粉砕テーブルとともに回転する構成になっていることを特徴とする竪型粉砕装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の竪型粉砕装置において、
前記スロートを構成する全ブロック数に対する前記閉塞部を有する第2ブロックの占める割合が1/2以下に規制されていることを特徴とする竪型粉砕装置。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか1項に記載の竪型粉砕装置において、
前記閉塞部を有する第2ブロック同士では隣り合わない配置になっていることを特徴とする竪型粉砕装置。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれか1項に記載の竪型粉砕装置において、
前記第1ブロックと第2ブロックは形状ならびに大きさが同じであって、第1ブロックと第2ブロックは交換可能になっていることを特徴とする竪型粉砕装置。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれか1項に記載の竪型粉砕装置において、
前記第1ブロックのインナーリングの部分と前記アウターリングの部分と前記スロートベーンの部分が一体物で構成され、前記第2ブロックのインナーリングの部分と前記アウターリングの部分と前記スロートベーンの部分と閉塞部が一体物で構成されていることを特徴とする竪型粉砕装置。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれか1項に記載の竪型粉砕装置において、
前記第2ブロックの閉塞部が、上側の前記スロート開口部を閉塞するように形成されていることを特徴とする竪型粉砕装置。
【請求項8】
請求項1ないし7のいずれか1項に記載の竪型粉砕装置において、
前記スロート中に前記第2ブロックが均等に配置されていることを特徴とする竪型粉砕装置。
【請求項9】
竪型粉砕装置と、
その竪型粉砕装置で粉砕して生成した微粉炭を燃焼する微粉炭焚きボイラ装置を備えた微粉炭焚きボイラプラントにおいて、
前記竪型粉砕装置が、請求項1ないし8のいずれか1項に記載の竪型粉砕装置であることを特徴とする微粉炭焚きボイラプラント。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate