説明

端子カバー開閉構造、及びそれを備えた電子機器

【課題】端子の出没動作と端子カバーの開閉動作とを容易に実行でき、薄型化が可能な端子カバーの開閉構造を提供する。
【解決手段】開口部(11kk)を有するケース(11)と、開口部から突出した突出位置と没してケース内に格納された格納位置との間を移動可能なようケース(11)に支持された端子部(12)と、開口部を回動動作により開閉する端子カバー(5)と、端子カバーを回動動作可能なよう連結したスライダ(10)と、端子部の移動によりスライダを端子部の移動方向とは反対に移動させる方向転換リンク部(9)と、を備える。端子部の突出方向への移動に伴い方向転換リンク部がスライダを格納方向へ移動させると共に端子カバーが回動して開口部を開放し、端子部の格納方向への移動に伴い方向転換リンク部がスライダを突出方向へ移動させると共に端子カバーが回動し開口部の少なくとも一部を閉蓋する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、端子カバー開閉構造、及びそれを備えた電子機器に係り、特に、筐体に設けられた端子を外部に露出させた使用位置と内部に格納させた格納位置との間で出没させる出没動作と、その動作に連動して端子カバーを開閉する開閉動作と、を実行可能な、端子カバー開閉構造、及びそれを備えた電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
電子機器は、通常、その外面に外部の機器と接続するための端子を備えている。
電子機器によっては、これらの端子の不使用時に、埃などが侵入するのを防止するために、また、筐体の外形から突出した部分がなくなるように、端子を筐体内部に格納させると共に端子が出入りする開口部を開閉する端子カバーを設けて端子が格納された不使用状態で開口部を塞ぐ構成を有するものがある。その技術の一例が特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−22437号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1には、端子カバーである開閉蓋(14)の開閉動作と端子(コネクター18)の出没動作との連携について技術思想が開示されてなく、実現の際には開閉動作と出没動作とを指でそれぞれ行わなければならないものであることが推察される。
従って、端子の出没動作と端子カバーの開閉動作との双方を容易に行えることが望まれる。
また、特許文献1に記載された技術では、開閉蓋の開閉方向が装置の厚さ方向になっているので、装置の薄型化には困難が伴う。
従って、電子機器の薄型化が可能な開閉蓋の開閉構造が望まれる。
【0005】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、端子の出没動作と端子カバーの開閉動作とを容易に実行でき、薄型化が可能な端子カバーの開閉構造、及びそれを備えた電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本願発明は手段として次の構成を有する。
1) 開口部(11kk)を有するケース(11)と、
前記開口部(11kk)から所定量突出した突出位置と前記開口部(11kk)から没して前記ケース(11)内に格納された格納位置との間を移動可能なよう前記ケース(11)に支持された端子部(12)と、
前記開口部(11kk)の少なくとも一部を回動動作により開閉する端子カバー(5)と、
前記端子カバー(5)を前記回動動作が可能なよう連結したスライダ(10)と、
前記端子部(12)の前記移動により前記スライダ(10)を前記端子部(12)の移動方向とは反対方向に移動させる方向転換リンク部(9)と、
を備え、
前記端子部(12)の前記突出方向への移動に伴い、前記方向転換リンク部(9)が前記スライダ(10)を前記格納方向へ移動させると共に前記端子カバー(5)が回動して前記開口部(11kk)を開放し、
前記端子部(12)の前記格納方向への移動に伴い、前記方向転換リンク部(9)が前記スライダ(10)を前記突出方向へ移動させると共に前記端子カバー(5)が回動して前記開口部(11kk)の少なくとも一部を閉蓋するよう構成されている端子カバー開閉構造である。
2) 前記端子部(12)の前記突出方向への移動に伴い、前記端子カバー(5)が前記回動の後に直動するよう構成されていることを特徴とする1)に記載の端子カバー開閉構造である。
3) 前記端子部(12)が前記突出位置にあるときに、前記端子カバー(5)の末端部(5m)が前記ケース(11)から突出しない位置にあることを特徴とする1)又は2)に記載の端子カバー開閉構造である。
4) 1)〜3)のいずれかに記載の端子カバー開閉構造と、
前記端子カバー開閉構造を収納し、前記開口部(11kk)に対応した外面(1b)に設けられ前記端子部(12)が前記移動により出没する窓部(4)を有する筐体(1)と、
前記端子部(12)を介して電気信号の外部への送信又は外部からの受信を行う電子回路部(DK)と、
を備えたことを特徴とする電子機器(50)である。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、端子の出没動作と端子カバーの開閉動作とを容易に実行でき、薄型化が可能になる、という効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の撮像装置の実施例を説明するための第1の斜視図である。
【図2】本発明の撮像装置の実施例を説明するための第2の斜視図である。
【図3】本発明の撮像装置の実施例を説明するための第3の斜視図である。
【図4】本発明の端子カバー開閉構造の実施例を説明するための平面図である。
【図5】本発明の端子カバー開閉構造の実施例を説明するための斜視図である。
【図6】本発明の端子カバー開閉構造の実施例における第1の要部部材を説明するための斜視図である。
【図7】本発明の端子カバー開閉構造の実施例における第1の要部部材を説明するための他の斜視図である。
【図8】本発明の端子カバー開閉構造の実施例における第2の要部部材を説明するための斜視図である。
【図9】本発明の端子カバー開閉構造の実施例における第2の要部部材を説明するための他の斜視図である。
【図10】本発明の端子カバー開閉構造の実施例における第3の要部部材を説明するための斜視図である。
【図11】本発明の端子カバー開閉構造の実施例における第3の要部部材を説明するための他の斜視図である。
【図12】本発明の端子カバー開閉構造の実施例における第4の要部部材を説明するための斜視図である。
【図13】本発明の端子カバー開閉構造の実施例における第5の要部部材を説明するための斜視図である。
【図14】本発明の端子カバー開閉構造の実施例における第6の要部部材を説明するための斜視図である。
【図15】本発明の端子カバー開閉構造の実施例における要部組み付け状態を説明するための第1の斜視図である。
【図16】本発明の端子カバー開閉構造の実施例における腰部組み付け状態を説明するための第2の斜視図である。
【図17】本発明の端子カバー開閉構造の実施例における動作を説明するための第1の斜視図である。
【図18】本発明の端子カバー開閉構造の実施例における動作を説明するための第2の斜視図である。
【図19】本発明の端子カバー開閉構造の実施例における動作を説明するための第3の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の実施の形態を、好ましい実施例により図1〜図19を用いて説明する。
【0010】
本発明の電子機器の実施例として、撮像装置50を説明する。
図1に示すように、撮像装置50は、使用状態で上下方向を長手とするいわゆる縦型とされている。
筐体1の正面1aにおける上方には、撮像レンズ2が配設されている。撮像レンズ2による結像を撮像素子2Aにより電気信号に変換するなどして、撮像装置50は静止画像又は動画像を撮影することができる。
撮像装置50は、筐体1の右側面1bに設けられたボタン41や他の図示しない操作子をユーザが操作することにより電源のON/OFFなどの動作が制御される。
撮影した画像は、電子回路部DKにより所定の出力信号とされて、筐体1の下方側に配設(図1では格納)された端子3を介して外部に出力される。
実施例において端子3はUSB(Universal Serial Bus)端子とされている。
【0011】
撮像装置50は、端子3を出没可能とする端子出没機構を有している。端子3は、右側面1bの下方に貫通孔として設けられた窓部4から出没する。
端子3が内部に格納された状態で、窓部4は開閉蓋である端子カバー5により塞がれている。
【0012】
筐体1の底面1btには、図1では形状を図示しないノブ6が設けられている。
ノブ6は、指などにより、撮像装置50の左右方向に所定のストロークで往復移動可能とされている。
ノブ6の往復移動に伴い、端子3は窓部4から出没するように移動する。
【0013】
図2は、図1に対し、端子3が出没動作の途中の位置にある状態を示している。
図2では、端子3はその先端側の一部が外部に露出し、端子カバー5は上方に跳ね上げられるように回動途中の位置にある。
【0014】
図3は、図2に対し、端子3の出没動作における出方向の動作が完了した位置での状態を示している。
図3では、端子3は接続に必要な部分が完全に外部に露出し、端子カバー5は回動により窓部4を開状態にすると共に、回動後、直動的に引き込まれて完全に筐体1の内部に格納されている。
すなわち、筐体1から突出しているのは端子3のみとなっている。
【0015】
図1〜図3で示される、端子3の出没動作と端子カバー5の開閉動作とは、連動して行われる。
次に、その連動動作及び連動構造について詳述する。実施例では、この連動動作を実行する構造を、端子3及び端子カバー5を含む端子カバー開閉ユニットKUとしてユニット化している。
【0016】
<端子カバー開閉ユニット>
図4は、端子カバー開閉ユニットKU(以下、単に開閉ユニットKUとも称する)の天面側から見た平面図であり、図5は図4の矢視YS方向斜め上から見た斜視図である。
図4は、端子3を突出させ端子カバー5を収納した状態を示し、図5は、端子3を格納させ端子カバー5により端子3の前面を塞いだ状態を示す。さらに、図5は、内部構造を容易に把握できるようにトップカバー7を外した状態で示している。
尚、図4、図5共、端子3を図の右方に突出させる向きで記載しているので、図の手前側が、図1〜図3で示す撮像装置50の正面側となる。
【0017】
この開閉ユニットKUは、撮像装置50の筐体内における下方に配設されている。
開閉ユニットKUは、次の(1)〜(6)の部材及び付勢部材13,14(後述する)を有して構成されている。
以下に説明する各図において、理解容易のため、端子3の挿入先頭側をAとし、撮像装置50に格納された際の天側をTとして、各矢印で方向を示す。
【0018】
(1)スリーブ11(図6及び図7参照)。
スリーブ11はPOM(ポリアセタール樹脂)で形成される。図6が天面側、図7が底面側から見た斜視図である。スリーブ11は開閉ユニットKUのケースとして機能する。
スリーブ11は、両端が開放された断面が略矩形の筒状に形成されている。天面11tにおける後方側(図5の右方)には開閉ユニットKUを別部材に固定するための固定鍔11aを有する。固定鍔11aには固定のための孔11a1が形成されている。
また、天面11tの中央付近には、略円錐台状のボス11fが形成されている。ボス11fの根元直径は例えばφ1.8mmである。
ボス11fの近傍には、リブ11gが立設されている。
ボス11f及びリブ11gと右側面(図6の奧側)との間には、筒の延伸方向に沿って延在するスリット11hが形成されている。
底面11btにおける右側面側(図7の手前側)に偏った位置には、端子3の先端側となる端部に開口し、このスリーブ11の軸方向に沿う幅W1なるスリット11bが形成されている。
スリット11bは、開口側と最奥側との2箇所に、所定の軸方向長さL1で幅がW2に拡張した幅拡張部11b1,11b2が形成されている。
【0019】
(2)USB端子体12(図8及び図9参照)。
USB端子体12(端子部12とも称する)は、主として金属材で形成された接続部12Tと樹脂材で形成されたケーシング部12Cとを有する。接続部12Tは、USB規格に合致した形状等を有し、長手方向長さLが約14mmとされる。図8が前方天面側、図9が後方底面側から見た斜視図である。以下の説明において、USB端子体12の端子としての挿抜方向を軸方向とも称する。
ケーシング部12Cの天面12tにおける右側面(図8の奧側)の後方側には、円筒状の丸ボス12aが形成されている。丸ボス12aは、スリーブ11のスリット11h(図5及び図6参照)に係合する。
ケーシング部12Cの背面12h側からは、一端側が端子3に接続されたリード12bが導出されている。図8、図9では途中で切断した状態を示している。リード12bの他端側は、例えば撮像装置50の所定のコネクタに接続される。
ケーシング部12Cの底面12btにおける背面12h側には、スリット12dが設けられ、このスリット12dにより軸方向に対し直交する方向に延在する弾性片部12eが形成されている。弾性片部12eは、支点12e1を中心に図9の両矢印DR1方向に可撓性を有する。
弾性片部12eの先端側には、底面12btに対して突出するノブ部8が形成されている。
ノブ部8は、軸方向に延在し複数の指掛かり6aが形成されたノブ6と、ノブ6と弾性片部12eの表面12esとを連結する幅W2なる首部8bと、首部8bと表面12esとの入隅部分に形成され軸方向長さL2なる係合段部8cと、を有して形成されている。
ノブ6は、開閉ユニットKUが撮像装置50に組み込まれた状態で撮像装置50の底面1btから露出し、ユーザにより指などで操作可能な部位となる。
【0020】
(3)開閉蓋である端子カバー5(図10及び図11参照)。
端子カバー5はABS樹脂(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン樹脂)で形成される。
図10に示される外観意匠面には、機能表示として「USB/DC」が刻印表示される。図11に示される裏面側には、後述するスライダ10の棒状軸部10a,10bが嵌合する同芯の嵌合孔5a1,5a2を有する軸嵌合部5bと、端子3の出動作時に端子3の先端を当接させるリブ5cと、が形成されている。
【0021】
(4)ロッド9(図12参照)。
ロッド9はPOMや摺動性を改良したABS樹脂などで形成される。
ロッド9は、貫通孔9aを有する略筒状の支点部9bと、支点部9bから径方向に所定の長さで延出するレバー部9cと、支点部9bに対してレバー部9cの延出方向とは逆方向に延出するリンク部9dと、を有して形成されている。
リンク部9dは、貫通孔9aの中心を通る直線上に長手を有する長孔部9eと、フック状に突出するフック部9fと、先端を球面として突出形成された当接部9gと、を有する。
貫通孔9aは、スリーブ11のボス11fに回動可能に嵌合する。
ロッド9は、後述のように、USB端子体12の移動方向とスライダ10の移動方向とを逆方向に連動させる方向転換リンク部として機能する。
【0022】
(5)スライダ10(図13参照)。
スライダ10はPOMや摺動性を改良したABS樹脂などで形成される。
スライダ10は、略L字状に形成されている。
L字状の一辺の外端面には、その一辺に沿う回動軸線CL1を中心軸として2つの棒状軸部10a,10bが形成されている。
他の一辺の端部側には、円柱状に突出する係合ボス10cが形成されている。
また、スライダ10は、先端が球面として係合ボス10cと同方向に突出形成された2つの当接部10d1,10d2を有している。
【0023】
(6)トップカバー7(図14参照)。
トップカバー7はPOMで形成される。
トップカバー7は、略矩形板状の基部7kと、基部7kの一辺縁から折り曲げられた側部7sとを有して形成されている。
基部7kには、このトップカバー7が開閉ユニットKUに組み付けられた状態で他の部材に固定するための固定鍔7aと、内側の部材との干渉を避けるための開口部7b,7cが形成されている。また、開口部7dは、トップカバー7を組み付ける際に相手の爪を嵌合させるためのスナップフィット用孔として設けられている。
【0024】
次に、各部材の組み付け及び移動動作について説明する。
【0025】
スリーブ11の内部には、USB端子体12が軸方向に所定のストロークで移動可能に収納される。詳細を図15,図16,及び図19を主に用いて説明する。各図は、内部構造が明らかとなるように、トップカバー7を外した状態で示している。
【0026】
図15は、スリーブ11の内部にUSB端子体12が組み付けられた状態を示す。端子3は格納位置にある。
図16は、図15の上方側からみた平面図(底面側)である。
【0027】
USB端子体12のケーシング部12Cの幅は、スリーブ11の内幅よりわずかに小さく形成されているので、USB端子体12はスリーブ11の内部をほとんどガタなく軸方向に移動可能とされている。
その際、ノブ部8の首部12bの幅W2(図9参照)が、スリーブ11のスリット11bの幅W1(図7参照)より小さく形成されているので、首部12bはスリット11bに係合しスリット11b内を移動できる。
【0028】
また、弾性片部12eは、その弾性によりノブ部8を図15の上方に向け付勢するようになっている。ここで、係合段部8cの長さL2(図9参照)がスリット11bにおける幅拡張部11b1,11b2の長さL1よりも短く設定されているので、係合段部8cが幅拡張部11b1,11b2のそれぞれに嵌合するようになっている。すなわち、USB端子体12は、係合段部8cが幅拡張部11b1,11b2のそれぞれに係合し、それぞれの位置でロック状態となる。
具体的には、幅拡張部11b1に係合した状態が端子3の格納位置、幅拡張部11b2に係合した状態が端子3の使用位置(突出位置)とされる。
【0029】
ユーザがノブ6を、図15の矢印DR2方向に所定ストローク分押し込むことで、係合段部8cと幅拡張部11b1,11b2との係合が解除される。
更にユーザがノブ6を軸方向(図の両端矢印DR3方向)に移動させることで、USB端子体12を両者間(ストロークL3:図15参照)で移動させることができる。
ロックを解除するために必要なノブ6の押し込みストロークは例えば0.6mmに設定される。
【0030】
USB端子体12の軸方向移動に伴い、以下に説明するリンク構造により端子カバー3が開閉し格納される。ここでは、端子3が格納位置にある状態を基本として説明する。
【0031】
図5,図11,及び図13に示すように、端子カバー3の嵌合孔5a1,5a2にスライダ10の棒状軸部10b,10aがそれぞれ挿入されて、端子カバー3は、回動軸線CL1まわりに回動自在とされている。
また、図5に示される付勢手段であるねじりコイルバネ13により、通常端子カバー3はスリーブ11の開口端を閉じる方向(図5の矢印DR4方向)に付勢されている。
スライダ10は、スリーブ11の天面11t上を軸方向に往復移動可能とされている。
スライダ10の係合ボス10cは、ロッド9の長孔部9fに係合しており、ロッド9は、その支点部9bの貫通孔9aがスリーブ11のボス11fに嵌め込まれているので、ロッド9がボス11fのまわりに回動するに伴い、スライダ10は軸方向に直線移動する。
さらに図5に示すように、ロッド9の支点部9bの外側に、ねじりコイルバネ14が嵌め込まれている。ねじりコイルバネ14の一対の腕は、それぞれスリーブ11のリブ11gとロッド9のフック部9fに引っ掛けられており、ロッド9を図5の時計回り方向に付勢している。
【0032】
<端子格納位置>(主として図5参照)
すなわち、基本位置となる端子格納位置で、スライダ10はねじりコイルバネ14の付勢力により図5の右方向に付勢される。
従って、端子カバー5はスリーブ11の一方の開口部11kk(図6参照)における開口端11kの少なくとも一部を塞ぎ、開閉ユニットKUが撮像装置50に搭載された状態で、端子カバー5は窓部4を塞ぐようになっている。
一方、USB端子体12の丸ボス12aは、スリーブ11のスリット11hに嵌合している。ロッド9のレバー部9cはスリット11hを跨ぐ角度位置にあり、また、レバー部9cはスリット11hを跨げる長さを有する。
また、USB端子体12のノブ6は、図15及び図16に示すように幅拡張部11b1に係合している。
開閉ユニットKUがこの端子格納位置にある状態での撮像装置50は図1に示される。
【0033】
<移動途中段階1>(図17参照)
ユーザがノブ6を押し込んでロックを解除し、ノブ6をスリット11bに沿って矢印DR25方向に移動させると、丸ボス12aはスリット11h内を移動しロッド9のレバー部9cに接近する。
図17は、丸ボス12aがレバー部9cに当接する直前まで接近した状態を示している。この状態では、係合段部8cは、まだスリット11bの奧側の幅拡張部11b2に到達していない(係合していない)。
接続部12Tは、端子カバー5のリブ5c(図17では不図示)に当接して端子カバー5を跳ね上げるように図17の矢印DR5方向に回動させる。
USB端子体12がこの位置(移動途中段階1)にあると、丸ボス12aはレバ部9cにまだ当接していないので、レバー部9c及びスライダ10は格納位置から移動していない。
ロッド9のレバー部9cは、端子3に対し支点部9bよりも遠くに位置する。
開閉ユニットKUがこの移動途中段階1にある状態での撮像装置50は図2に示される。
【0034】
<移動途中段階2>(図18参照)
移動途中段階1から、ユーザがノブ6を幅拡張部11b2に向け移動させると、丸ボス12aがレバー部9cに当接する。
ユーザが、ノブ6をねじりコイルバネ14の付勢力に抗して更に移動させると、ロッド9は反時計回りに回動する。図18ではロッド9はその姿勢が軸方向にほぼ直交する姿勢となるまで回動している。
この回動に伴い、長孔部9eに係合した係合ボス10cが端子3から離れる方向(図18の矢印DR6の方向)に直線移動するので、スライダ10に連結された端子カバー5も矢印DR6の方向に移動する。
スリーブ11の天面11tには、筒の延伸方向に延在する一対のリブ11j(図17も参照)が形成されていて、ねじりコイルバネ13の付勢力により、端子カバー5はリブ11jに向け付勢されつつリブ11jの天面上を摺動しつつ矢印DR6の方向に直線移動する。開閉ユニットKUが撮像装置50に搭載された状態では、端子カバー5は筐体1の内部へと引き込まれる。
【0035】
<端子突出位置>(図19参照)
移動途中段階2から、ユーザが更にノブ6を移動させると、係合段部8cが幅拡張部11b2に係合して(図15参照)USB端子体12の移動が規制される。すなわち、ロックされる。
係合ボス10cはレバー部9cを更に反時計回りに回動させる。レバー部9cは、端子3に対し支点部9bよりも近くに位置する。
この位置で端子カバー5はその全体がリブ11jに乗り上げた状態になる。すなわち、端子カバー5の末端部5mは、少なくともスリーブ11の開口端11kから矢印A側に突出することなく内側に位置する。
端子3は、完全に突出した位置にある。開閉ユニットKUが撮像装置50に搭載された状態では、端子3が相手となるコネクタに支障なく挿入できるよう突出している。
端子3を相手側コネクタに挿入する際の挿入抵抗力とねじりコイルバネ14の付勢力との合力に抗する係止力が発揮されるよう、係合段部8cと幅拡張部11b2との係合寸法が余裕をもって設定される。
開閉ユニットKUがこの端子突出位置にある状態での撮像装置50は図3に示される。
【0036】
端子の没動作については、上述した手順を逆に実行することで行われる。
すなわち、ノブ6を、端子3が没状態となる方向に移動させることによりロッド9を回動させ、その回動により端子カバー5を直動させてリブ11jから外れて回動可能な突出位置まで移動させる。更にノブ6を移動させることで端子3がスリーブ11内に格納されるに伴い、閉じ方向に付勢されている端子カバー5が自動的に端子出入り口を閉状態にする。
【0037】
撮像装置50に開閉ユニットKUを搭載するに当たっては、トップカバー7を、図5及び図17〜図19に示したトップカバー7を取りはずした状態の開閉ユニットKUに対して装着して搭載する。
これは、ロッド9などの部品外れを防止すると共に、製品組み立て時の取り扱いを容易にするためである。
トップカバー7の内面に対し、スライダ10の当接部10d1,10d2及びロッド9の当接部9gがわずかに隙間を有して位置するか、または摺動させるように各部材の寸法を設定する。各当接部10d1,10d2,9gの先端部は球面形状なので、仮に摺動させても接触抵抗は極めて少なく、各部材の移動に影響を与えることはない。
図4に示されるように、端子カバー5は、スリーブ11のリブ11jとトップカバー7との間に格納される。
従って、各当接部10d1,10d2,9gの高さを、端子カバー5の厚さを考慮し端子カバー5が格納可能でありつつ可能な限り低く設定することで、開閉ユニットKUの高さ(厚さ)を精度よく低く(薄く)することができる。
換言するならば、各当接部を設けたことでトップカバー7とスリーブ11のリブ11jとの間の距離が一定になるので、端子カバー5を格納する厚さ方向スペースを確実に最小限に確保することが可能となり、開閉ユニットKUの厚さを精度よく薄型化することができる。
【0038】
以上、詳述した実施例の端子カバー開閉構造によれば、端子の出没動作に伴い端子カバーを開閉できる。その端子カバーの開閉を、回動動作と直動動作とを連続的に行い、端子の出入り方向と端子カバーの出入り方向とを逆方向とすることで、端子を筐体から突出させる動作でおのずと端子カバーを筐体内に格納することでき、外観上の動作品位が極めて良好となる。また、ユーザが端子カバーを単独で開閉する必要はない。
回動動作と直動動作とは完全に独立して連続的に行われなくてもよい。回動動作の途中から直動動作も並行実行されてよい。その場合は、回動中心が直動動作に伴い移動する構造となる。
【0039】
本発明の実施例は、上述した構成及び手順に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において変形例としてもよいのは言うまでもない。
実施例において、電子機器が撮像装置の例を説明したが、電子機器は撮像装置に限るものではない。USB端子または他の端子を備えた電子機器であれば種類は限定されない。
付勢手段をねじりコイルバネとして説明したが、ねじりコイルバネに限るものではない。他種のコイルバネやコイルバネ以外の弾性部材を付勢手段として用いてもよい。
実施例の電子機器は、端子3(接続部12T)の種類がUSBに限らない。他のコネクタなどであってよい。また、端子3(接続部12T)を介して信号が外部に出力されるものに限らない。電子回路部DKにより端子3(接続部12T)を介して外部から信号を受信するよう構成されたものでよい。もちろん端子3(接続部12T)を介して電力が供給されるものでもよい。
【符号の説明】
【0040】
1 筐体
1a 正面
1b 右側面
1bt 底面
2 撮像レンズ
2A 撮像素子
3 端子(USB)
4 出入り口
5 端子カバー
5a1,5a2 嵌合孔
5b 軸嵌合部
5c リブ
5m 末端部
6 ノブ
7 トップカバー
7k 基部
7a 固定鍔
7b,7c,7d 開口部
8 ノブ部
8b 首部
8c 係合段部
9 ロッド
9a 貫通孔
9b 支点部
9c レバー部
9d リンク部
9e 長孔部
9f フック部
9g 当接部
10 スライダ
10a,10b 棒状軸部
10c 係合ボス
10d1,10d2 当接部
11 スリーブ
11a 固定鍔
11a1 孔
11b スリット
11b1,11b2 幅拡張部
11f ボス
11g リブ
11k 開口端
11t 天面
11bt 底面
12 USB端子体
12a 丸ボス
12b リード
12C ケーシング部
12d スリット
12e 弾性片部
12es 表面
12T 接続部
13 ねじりコイルばね
41 ボタン
50 電子機器(撮像装置)
DK 電子回路部
KU 開閉ユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部を有するケースと、
前記開口部から所定量突出した突出位置と前記開口部から没して前記ケース内に格納された格納位置との間を移動可能なよう前記ケースに支持された端子部と、
前記開口部の少なくとも一部を回動動作により開閉する端子カバーと、
前記端子カバーを前記回動動作が可能なよう連結したスライダと、
前記端子部の前記移動により前記スライダを前記端子部の移動方向とは反対方向に移動させる方向転換リンク部と、
を備え、
前記端子部の前記突出方向への移動に伴い、前記方向転換リンク部が前記スライダを前記格納方向へ移動させると共に前記端子カバーが回動して前記開口部を開放し、
前記端子部の前記格納方向への移動に伴い、前記方向転換リンク部が前記スライダを前記突出方向へ移動させると共に前記端子カバーが回動して前記開口部の少なくとも一部を閉蓋するよう構成されている端子カバー開閉構造。
【請求項2】
前記端子部の前記突出方向への移動に伴い、前記端子カバーが前記回動の後に直動するよう構成されていることを特徴とする請求項1記載の端子カバー開閉構造。
【請求項3】
前記端子部が前記突出位置にあるときに、前記端子カバーの末端部が前記ケースから突出しない位置にあることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の端子カバー開閉構造。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の端子カバー開閉構造と、
前記端子カバー開閉構造を収納し、前記開口部に対応した外面に設けられ前記端子部が前記移動により出没する窓部を有する筐体と、
前記端子部を介して電気信号の外部への送信又は外部からの受信を行う電子回路部と、
を備えたことを特徴とする電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2012−43695(P2012−43695A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−185042(P2010−185042)
【出願日】平成22年8月20日(2010.8.20)
【出願人】(308036402)株式会社JVCケンウッド (1,152)
【Fターム(参考)】