説明

端子付きケーブル

【課題】接続工事もしくは完了時の点検が容易な端子付きケーブルを提供する。
【解決手段】予め布設場所に応じて加工され、接続端子14を取付けたケーブルである。布設場所への布設状態を示す状態情報を記録したICタグ18を、ケーブルの任意の場所に装着している。ICタグ18には、例えば、複雑な構造のワイヤーハーネスについて、その各接続端子14がどの場所にどのように接続されるかを状態情報として記録しておく。ICタグに記録された情報は、布設場所側の接続部に装着された別のICタグに記録された情報と関係付けられていてもよい。このような情報をICタグ18に記録しておけば、点検時に、送受信機を備えた情報読取り装置22を用いて読み出して、接続ミスの有無等を容易に点検し確認できる。また、接続工事時にも確認しながらの接続作業ができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、予め布設場所に応じて加工された端子付きケーブルに関する。
【背景技術】
【0002】
複数本のケーブルを予め結束して一体化し、両端に接続端子を装着しておくことにより、現場での配線作業を容易にすることが行われている。電化製品や、自動車等では、ワイヤーハーネスと呼ばれる。電力設備関係でも、端子付きケーブルとして、広く採用されている。
【特許文献1】特開2003−203527号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ここで、従来の端子付きケーブルには、次のような解決すべき課題があった。
例えば、電力設備や通信設備関係で、端子付きケーブルの接続作業において接続ミスが生じると、大規模な事故が発生するおそれがある。特に、複雑に分岐したケーブルや外観構造の類似した端子が使用されていると接続ミスが生じ易い。このため、点検作業や安全確認にも、細心の注意力が必要になる。
【0004】
しかしながら、接続作業時には目視できる表示やマークが、接続完了後は他の機器の陰に隠れて見えなくなることがある。従って、点検と確認作業に非常に時間がかかるという問題があった。
なお、ケーブルに、識別情報を記録したICタグを取付けて、その識別情報を発信させることが知られている(特許文献1参照)。しかしながら、従来、このようなICタグをケーブルの接続作業に応用された例はない。
【0005】
本発明は、以上の点に着目してなされたもので、接続工事もしくは完了時の点検が容易な端子付きケーブルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の各実施例においては、それぞれ次のような構成により上記の課題を解決する。
〈構成1〉
予め布設場所に応じて加工され、接続端子を取付けたケーブルであって、上記布設場所への布設状態を示す状態情報を記録したICタグを、ケーブルの任意の場所に装着したことを特徴とする端子付きケーブル。
【0007】
複雑な配線構造のワイヤーハーネスについて、その各接続端子がどの場所にどのように接続されるかを状態情報として記録しておく。この情報をICタグに記録しておけば、点検時に、送受信機を備えた情報読取り装置を用いて読み出して、接続ミスの有無を容易に点検し確認できる。また、接続工事時にも確認しながらの接続作業ができる。
【0008】
〈構成2〉
構成1に記載の端子付きケーブルにおいて、上記ケーブルの接続端子又はその近傍に上記ICタグが装着され、当該ICタグに記録された情報は、上記布設場所側の接続部に装着された別のICタグに記録された情報と関係付けられていることを特徴とする端子付きケーブル。
【0009】
ケーブルの接続端子と布設場所側の接続部の双方にそれぞれ装着された各ICタグには、互いに接続されるものであるという情報、例えば、一方が雄端子で、他方がそれに接合すべき雌端子であるというように、互いに関係付けられた情報がそれぞれ記録されている。双方から布設状態情報を受信することで、接続ミスの有無等の確認ができる。また、例えば、他の機器に隠れてしまったり、保護カバーを被せてしまった状態でも、その外側からの確認や点検ができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態を実施例により詳細に説明する。
【実施例1】
【0011】
図1は、実施例1の端子付きケーブルを示す説明図である。
図1に示すケーブル10は、予め布設場所に応じて加工された、電力設備用あるいは通信設備用の複数のケーブル12A、12B、12Cからなるワイヤーハーネスを示している。複数のケーブル12A、12B、12Cの各端部にそれぞれ接続端子14が取付けられている。
【0012】
さらに、これらの接続端子14の任意の場所に、それぞれICタグ18が装着されている。ICタグ18には、布設場所への布設状態、例えばどの場所にどのように接続されるかを示す状態情報、あるいは、布設場所側の接続部に装着された別のICタグに記録された情報と関係付けられている情報が記録されている。
【0013】
図2は、ケーブル12の接続端子14を、布設場所側の接続部16に接続するときの状況を示す説明図である。
図2において、布設場所側の接続部16にICタグ20が装着されている。このICタグ20には、布設場所側の接続部16がケーブル12の接続端子14に接合されるものであるという情報が記録されている。このようなICタグ18、20をそれぞれ備えたケーブル12Aの接続端子14と布設場所側の接続部16とを接続する際に、送受信機、アンテナ等を備えた周知の情報読取り装置22を使用する。この情報読取り装置22を接続端子14と接続部16の両者間に近づけて接続端子14と接続部16との関係を確認することができる。
【0014】
例えば、接続端子14に装着したICタグ18には、A113番ケーブルの雄端子であることを示す記号として「A113M」を記録させておく。また、これに接合すべき布設場所側の接続部16に装着したICタグ20には、A113番ケーブルの雌端子であることを示す記号として「A113F」を記録させておく。各ICタグ18、20に、このように記録しておくことによって、情報読取り装置22を近づけて接続端子14のICタグ18から「A113M」を読み取り、ほぼ同時に、接続部16のICタグ20から「A113F」を読み取ることにより、両者の関係を確認できる。また、確認しながらの接続作業ができる。
【0015】
図3は、既に接続されているケーブル12Aの接続端子14と布設場所側の接続部16との接続状態の点検状況を示す説明図である。
図3に示すように、ケーブル12Aの接続端子14と布設場所側の接続部16との接続部分に、情報読取り装置22を近づけて接続端子14に装着したICタグ18と、接続部16のICタグ18とから、接続ミスの有無等の確認ができる。この確認作業は、例えば、各ICタグ18、20に、図2の説明で述べたと同様の記号、「A113M」、「A113F」をそれぞれ記録しておけば、これらを情報読取り装置22で適宜読み取ることにより行うことができる。
なお、ケーブル12Aの接続端子14と布設場所側の接続部16との接続部分が他の機器に隠れてしまったり、テービング等の保護カバーで包覆された状態でも、その外側からの確認や点検ができる。
【0016】
図4は、図2に示したICタグ18又は20と情報読取り装置22の説明図である。
図4に示すように、ICタグ18又は20には、アンテナ25、送信機27、受信機28、及び状態情報29が設けられている。アンテナ25は、送信用と受信用の両方に使用される。受信機28で問い合わせ信号32を受信すると、送信機27が動作し、状態情報29を含む応答信号31を送信する。
【0017】
情報読取り装置22は、各ケーブルの接続端子14と布設場所側の接続部16に装着されたICタグ18又は20に対し、問い合わせ信号32を送信する機能を持つ。送信機41は、この問い合わせ信号32を送信する。受信機42は、各ケーブルのICタグ18又は20から送信された応答信号31を受信し、これを制御装置45に送り込む。制御装置45は、状態情報29の内容をディスプレイ47に表示する。ディスプレイ47は、情報読取り装置22に取付けられた液晶表示装置などからなる。
【0018】
また、読取りの結果は、様々な付属情報と共に、記憶装置46に記憶される。すなわち、記憶装置46には、全てのICタグ18又は20から受信した応答信号31や状態情報29の内容が記憶される。この情報は、後で様々な解析に利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】実施例1の端子付きケーブルを示す説明図である。
【図2】ケーブルの接続端子を布設場所側の接続部に接続するときの状況を示す説明図である。
【図3】ケーブルの接続端子と布設場所側の接続部との接続の点検状況を示す説明図である。
【図4】ICタグと情報読取り装置の説明図である。
【符号の説明】
【0020】
10 ワイヤーハーネス
12A、12B、12C ケーブル
14 ケーブルの接続端子
16 布設場所側の接続部
18、20 ICタグ
22 情報読取り装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
予め布設場所に応じて加工され、接続端子を取付けたケーブルであって、
前記布設場所への布設状態を示す状態情報を記録したICタグを、ケーブルの任意の場所に装着したことを特徴とする端子付きケーブル。
【請求項2】
請求項1に記載の端子付きケーブルにおいて、
前記ケーブルの接続端子又はその近傍に前記ICタグが装着され、当該ICタグに記録された情報は、前記布設場所側の接続部に装着された別のICタグに記録された情報と関係付けられていることを特徴とする端子付きケーブル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−49022(P2006−49022A)
【公開日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−226221(P2004−226221)
【出願日】平成16年8月3日(2004.8.3)
【出願人】(000002255)昭和電線電纜株式会社 (71)
【Fターム(参考)】