説明

端子台、および、燃料電池システム

【課題】端子台、および、この端子台を備える燃料電池システムにおいて、端子台における各端子に接続部品をそれぞれ接続する作業者の感電の可能性を低減する。
【解決手段】端子台30は、第1の端子32aと、第2の端子32bと、ハウジング34と、を備える。ハウジング34は、第1の挿入口38amを有し、第1のバスバーと第1の端子32aとを接続するために接続用工具が挿入される第1の接続用工具挿入部38aと、第2の挿入口38bmを有し、第1の接続用工具挿入部38aと隔離して設けられ、第2の接続部品と第2の端子32bとを接続するために接続用工具が挿入される第2の接続用工具挿入部38bと、を備える。そして、ハウジング34において、第1の接続用工具挿入部38a、および、第2の接続用工具挿入部38bは、それぞれ、互いに対向する方向から、接続用工具が挿入されるように形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、端子台、および、この端子台を備える燃料電池システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、燃料電池等の電源装置を、コンバータ等の他の装置に接続する場合、両者間の配線を中継するために、端子台が用いられる。この端子台は、電源装置の正極に接続される正極端子、および、電源装置の負極に接続される負極端子を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−87678号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した端子台が電源装置に接続された状態で、端子台における正極端子、および、負極端子に、他の装置との接続を行うための接続部品をそれぞれ接続する場合、その作業者の手の指が正極端子と負極端子とに同時に触れると感電するおそれがある。そこで、この感電を防止するために、端子台には、正極端子、および、負極端子を収容するハウジングが設けられる。そして、このハウジングには、正極端子、および、負極端子に、それぞれ、接続部品を接続するための接続工具が挿入される正極端子用の挿入口、および、負極端子用の挿入口が設けられる。
【0005】
しかし、端子台に上記ハウジングが設けられている場合であっても、作業者がこの端子台を把持する際に、誤って上記各挿入口に手の指が挿入されてしまい、正極端子、および、負極端子に触れてしまうおそれがあった。
【0006】
本発明は、上述の課題を解決するためになされたものであり、端子台、および、この端子台を備える燃料電池システムにおいて、端子台における各端子に接続部品をそれぞれ接続する作業者の感電の可能性を低減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態又は適用例として実現することが可能である。
【0008】
[適用例1]端子台であって、第1の端子と、第2の端子と、前記第1の端子、および、前記第2の端子を収容するハウジングと、を備え、前記ハウジングは、第1の挿入口を有し、前記第1の挿入口から第1の接続部品と前記第1の端子とを接続するために接続用工具が挿入される第1の接続用工具挿入部と、第2の挿入口を有し、前記第1の接続用工具挿入部と隔離して設けられ、前記第2の挿入口から第2の接続部品と前記第2の端子とを接続するために接続用工具が挿入される第2の接続用工具挿入部と、を備え、前記ハウジングにおいて、前記第1の接続用工具挿入部は、該第1の接続用工具挿入部の内部において、前記第2の端子が露出せず、前記第1の端子が露出するように形成されるとともに、第1の方向から、接続用工具が挿入されるように形成されており、前記第2の接続用工具挿入部は、該第2の接続用工具挿入部の内部において、前記第1の端子が露出せず、前記第2の端子が露出するように形成されるとともに、前記第1の方向と異なる第2の方向から、接続用工具が挿入されるように形成されている、端子台。
【0009】
適用例1の端子台では、上記ハウジングにおいて、上記第1の接続用工具挿入部が、この第1の接続用工具挿入部の内部において、上記第2の端子が露出せず、上記第1の端子が露出するように形成されている。したがって、上記各端子に上記各接続部品を接続する作業者がこの作業を行うときに、手の指が上記第1の接続用工具挿入部から上記各端子に同時に接触することを防止することができる。また、上記第2の接続用工具挿入部が、この第2の接続用工具挿入部の内部において、上記第1の端子が露出せず、上記第2の端子が露出するように形成されている。したがって、上記作業者の手の指が上記第2の接続用工具挿入部から上記各端子に同時に接触することを防止することができる。また、上記各接続用工具挿入部が、互いに異なる方向から接続用工具が挿入されるように形成されているので、上記作業者が故意に上記各挿入口に手の指を挿入しない限り、上記各端子に接触することを抑制することができる。したがって、適用例1の端子台によって、上記作業者の感電の可能性を低減することができる。
【0010】
なお、上記第1の接続用工具挿入部に挿入される接続用工具と、上記第2の接続用工具挿入部に挿入される接続用工具とは、同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0011】
[適用例2]適用例1記載の端子台であって、前記第1の方向と、前記第2の方向とは、互いに対向する方向である、端子台。
【0012】
適用例2の端子台では、上記各接続用工具挿入部への接続工具の挿入方向、すなわち、上記各挿入口から上記各端子へのアクセス方向が、互いに対向する方向であるので、上記作業者は、上記各端子に片手で同時にアクセスすることがさらに困難となる。したがって、上記作業者の感電の可能性をさらに低減することができる。
【0013】
なお、適用例2の端子台において、上記第1の接続用工具挿入部と、上記第2の接続用工具挿入部とは、同一の軸上に形成されているものとしてもよいし、互いに異なる軸上に形成されているものとしてもよい。
【0014】
[適用例3]適用例2記載の端子台であって、前記ハウジングにおいて、前記第1の接続用工具挿入部、および、前記第2の接続用工具挿入部は、それぞれ、前記第1および第2の方向に平行な互いに異なる軸に沿って、接続用工具が挿入されるように配置されている、端子台。
【0015】
適用例3の端子台では、上記各接続用工具挿入部が、それぞれ、互いに平行な異なる軸に沿って、接続用工具が挿入されるように配置されているので、上記軸に沿った方向についての上記ハウジングの幅を、上記各接続用工具挿入部が同一の軸上に形成されている場合よりも短縮し、端子台のコンパクト化を図ることができる。
【0016】
[適用例4]適用例3記載の端子台であって、前記第1の接続用工具挿入部において、前記第1の接続部品と前記第1の端子とが接続される部位は、前記第1の挿入口よりも、前記第2の挿入口に近い部位に設けられており、前記第2の接続用工具挿入部において、前記第2の接続部品と前記第2の端子とが接続される部位は、前記第2の挿入口よりも、前記第1の挿入口に近い部位に設けられている、端子台。
【0017】
適用例4の端子台によって、上記ハウジングの幅を短縮しつつも、上記第1の接続用工具挿入部における第1の挿入口から上記第1の端子までの距離、および、上記第2の接続用工具挿入部における第2の挿入口から上記第2の端子までの距離を、比較長く確保することができる。したがって、上記ハウジングの幅が短縮されても、上記作業者の手の指が、上記各接続用工具挿入部に挿入されて、上記各端子に接触することを抑制することができる。
【0018】
[適用例5]適用例1ないし4のいずれかに記載の端子台であって、前記ハウジングは、さらに、前記第1の接続部品を前記第1の端子に接触させるために前記第1の接続部品が挿入される挿入口を有する第1の接続部品挿入部と、前記第2の接続部品を前記第2の端子に接触させるために前記第2の接続部品が挿入される挿入口を有する第2の接続部品挿入部と、を備え、前記第1の接続部品挿入部における挿入口、および、前記第2の接続部品挿入部における挿入口は、それぞれ、略矩形形状を有しており、前記略矩形形状における短辺の長さは、人間の手の指の径よりも短い、端子台。
【0019】
適用例5の端子台では、上記作業者は、上記各接続部品挿入部に手の指を挿入することができないので、上記各接続部品挿入部から上記各端子に接触して感電することを防止することができる。
【0020】
[適用例6]燃料電池システムであって、第1の出力端子、および、第2の出力端子を有する燃料電池スタックと、前記第1の出力端子、および、前記第2の出力端子に接続された端子台であって、適用例1ないし5のいずれかに記載の端子台と、前記燃料電池スタック、および、前記端子台における前記ハウジングの一部を収納するスタックケースであって、前記ハウジングの他の一部が貫通して、前記ハウジングの他の一部を、該スタックケースの外部に突出させるとともに、該スタックケースの外部に前記各挿入口を露出させるための開口部を有するスタックケースと、前記開口部と前記ハウジングとの間の隙間の幅を、人間の手の指の径よりも狭い幅に制限するための制限部材と、を備える燃料電池システム。
【0021】
上記燃料電池スタックと上記端子台の一部とを上記スタックケースに収納する場合、その作業性を考慮して、上記スタックケースにおける開口部は、上記端子台の他の一部を容易に貫通させることができるように、比較的大きな開口面積が設定される。このため、上記開口部と上記端子台のハウジングとの間の隙間から、作業者の手の指が挿入される場合があり得る。
【0022】
適用例6の燃料電池システムでは、上記制限部材を備えているので、上記作業者の手の指が、上記開口部と上記端子台におけるハウジングとの間の隙間から、上記スタックケース内に収納された燃料電池スタックにおける第1の出力端子、および、第2の出力端子に接触することを防止することができる。したがって、上記作業者の感電の可能性を低減することができる。
【0023】
なお、上記制限部材は、例えば、上記スタックケース、および、上記端子台と別体としてもよいし、上記端子台が上記制限部材を一体的に備えるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の一実施例としての燃料電池システム100の概略構成を示す説明図である。
【図2】端子台30の概略構成を示す説明図である。
【図3】端子台30の概略構成を示す説明図である。
【図4】カバー40の形状、および、燃料電池システム100におけるカバー40周辺の様子を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施の形態について、実施例に基づき説明する。
A.燃料電池システム:
図1は、本発明の一実施例としての燃料電池システム100の概略構成を示す説明図である。この燃料電池システム100は、複数のセルを積層してなる燃料電池スタック10と、燃料電池スタック10におけるアノード側、および、カソード側の出力端子(図示省略)に接続された端子台30と、燃料電池スタック10、および、端子台30の一部(端子台30と燃料電池スタック10における各出力端子との接続部)を収納するスタックケース20と、を備えている。端子台30については、後から詳述する。
【0026】
スタックケース20には、開口部22が設けられており、この開口部22から、端子台30の他の一部(後述する各接続部品挿入口、および、各接続用工具挿入口)がスタックケース20の外部に貫通して、スタックケース20の外部に露出している。この端子台30は、後述するように、燃料電池スタック10における各出力端子にそれぞれ接続された2つの端子を備えており、これらには、図示しないコンバータへの通電を行うためのバスバー(接続部品)がそれぞれ接続される。また、燃料電池システム100は、スタックケース20における開口部22と端子台30との間の隙間の幅を制限するための、貫通孔42を有するカバー40を備えている。カバー40は、[課題を解決するための手段]における制限部材に相当する。
【0027】
なお、図示は省略しているが、燃料電池システム100は、燃料電池スタック10のアノードに燃料ガスを供給するための燃料ガス供給系や、燃料電池スタック10のアノードから排出されるアノードオフガスを排気するためのアノードオフガス排気系を備えている。また、燃料電池システム100は、燃料電池スタック10のカソードに酸化剤ガスを供給するための酸化剤ガス供給系や、燃料電池スタック10のカソードから排出されるカソードオフガスを排気するためのカソードオフガス排気系を備えている。また、燃料電池システム100は、燃料電池スタック10に冷却媒体を循環させるための冷却媒体循環系を備えている。
【0028】
B.端子台:
図2、および、図3は、端子台30の概略構成を示す説明図である。図2に、端子台30の斜視図を示した。また、図3に、図2に示したz軸の正方向から端子台30を見た平面図を示した。なお、この端子台30は、略直方体形状を有しており、人間が片手で把持可能な大きさを有している。
【0029】
図2(a)に示したように、端子台30は、第1の端子32aと、第2の端子32bと、これらを収容するハウジング34と、を備えている。第1の端子32aは、燃料電池スタック10におけるアノード側の出力端子に接続される。そして、第1の端子32aにおいて、第1の端子32aと燃料電池スタック10におけるアノード側の出力端子との接続部の一部は、ハウジング34が備える被覆部34aによって被覆されている。また、第2の端子32bは、燃料電池スタック10におけるカソード側の出力端子に接続される。そして、第2の端子32bにおいて、第2の端子32bと燃料電池スタック10におけるカソード側の出力端子との接続部の一部は、ハウジング34が備える被覆部34bによって被覆されている。
【0030】
ハウジング34は、第1の接続部品挿入部36aと、第2の接続部品挿入部36bと、を備えている。第1の接続部品挿入部36aは、略直方体の空洞であり、第1の接続部品としての第1のバスバーが挿入される挿入口36amを有している。本実施例では、挿入口36amは、矩形形状を有しているものとした。そして、挿入口36amにおける短辺の幅w1は、人間の手の指が挿入されないように、人間の手の指の径よりも短い値(例えば、8(mm))が設定されている。また、第2の接続部品挿入部36bも、1の接続部品挿入部36aと同様に、略直方体の空洞であり、第2の接続部品としての第2のバスバーが挿入される挿入口36bmを有している。本実施例では、挿入口36bmも、第1の接続部品挿入部36aにおける挿入口36amと同様に、矩形形状を有しているものとした。そして、挿入口36bmにおける短辺の幅w2も、人間の手の指が挿入されないように、人間の手の指の径よりも短い値(例えば、8(mm))が設定されている。なお、本実施例では、ハウジング34において、第1の接続部品挿入部36a、および、第2の接続部品挿入部36bは、それぞれ、図示したz軸の正方向から負方向に向かって、第1のバスバー、および、第2のバスバーが挿入されるように形成されている。
【0031】
また、図2(b)に示したように、第1の端子32aは、ハウジング34の内部において、図示した底面に沿ってx軸方向に延びる部位と、z軸方向に直角に折れ曲がって延びる部位とを備える形状を有している。この第1の端子32aは、ハウジング34の内部に埋め込まれる。そして、第1の接続部品挿入部36aに挿入された第1のバスバーは、第1の端子32aにおける接続部32acに接触する。また、第2の端子32bは、ハウジング34の内部において、図示した側面に沿ってx軸方向に延びる部位と、y軸方向に直角に折れ曲がって延びる部位とを備える形状を有している。この第2の端子32bも、ハウジング34の内部に埋め込まれる。そして、第2の接続部品挿入部36bに挿入された第2のバスバーは、第2の端子32bにおける接続部32bcに接触する。
【0032】
また、ハウジング34は、第1の接続用工具挿入部38aと、第2の接続用工具挿入部38b(図3参照)と、を備えている。ハウジング34において、第1の接続用工具挿入部38aと、第2の接続用工具挿入部38bとは、隔離して設けられている。
【0033】
そして、第1の接続用工具挿入部38aは、略直方体の空洞であり、第1の接続部品挿入部36aにおける挿入口36amから挿入された第1のバスバーと第1の端子32aにおける接続部32acとを接続するための接続用工具が挿入される第1の挿入口38amを有している。第1の接続用工具挿入部38aと第1の接続部品挿入部36aとは連通している。ハウジング34において、第1の接続用工具挿入部38aは、第1の接続用工具挿入部38aの内部において、第2の端子32bが露出せずに、第1の端子32aが露出するように形成されている。また、第2の接続用工具挿入部38bも、略直方体の空洞であり、第2の接続部品挿入部36bにおける挿入口36bmから挿入された第2のバスバーと第2の端子32bにおける接続部32bcとを接続するための接続用工具が挿入される第2の挿入口38bmを有している。第2の接続用工具挿入部38bと第2の接続部品挿入部36bとは連通している。ハウジング34において、第2の接続用工具挿入部38bは、第2の接続用工具挿入部38bの内部において、第1の端子32aが露出せずに、第2の端子32bが露出するように形成されている。なお、本実施例では、第1のバスバーと第1の端子32a、第2のバスバーと第2の端子32bは、それぞれ、例えば、ボルト等の部品を用いて接続・固定され(図示省略)、接続用工具としては、例えば、レンチ等が用いられる。
【0034】
そして、図3に示したように、ハウジング34において、第1の接続用工具挿入部38a、および、第2の接続用工具挿入部38bは、図示したy軸における正方向、および、負方向、すなわち、互いに対向する方向から、接続用工具が挿入されるように形成されている。また、ハウジング34において、第1の接続用工具挿入部38aは、図示したy軸に平行な軸AX1に沿って、接続用工具が挿入されるように配置されており、また、第2の接続用工具挿入部38bは、軸AX1に平行な軸AX2に沿って、接続用工具が挿入されるように配置されている。なお、本実施例では、軸AX1と、軸AX2とは、図示したx軸方向に、互いにずれている。
【0035】
また、第1の接続用工具挿入部38aにおいて、第1の端子32aにおける接続部32acは、第1の接続用工具挿入部38aにおける第1の挿入口38amよりも、第2の接続用工具挿入部38bにおける第2の挿入口38bmに近い部位に設けられている。また、第2の接続用工具挿入部38bにおいて、第2の端子32bにおける接続部32bcは、第2の接続用工具挿入部38bにおける第2の挿入口38bmよりも、第1の接続用工具挿入部38aにおける第1の挿入口38amに近い部位に設けられている。
【0036】
C.カバー:
図4は、カバー40の形状、および、燃料電池システム100におけるカバー40周辺の様子を示す説明図である。本実施例では、燃料電池スタック10、および、端子台30の一部をスタックケース20に収納する場合の作業性を考慮して、スタックケース20の開口部22は、端子台30のハウジング34を容易に貫通させることができるように、比較的大きな開口面積が設定されている。このため、スタックケース20にカバー40が取り付けられていない状態では、燃料電池システム100を図1に示したx軸の正方向から見たときの、スタックケース20における開口部22と端子台30におけるハウジング34との間の隙間の幅Waは、人間の手の指が挿入され得る程度に比較的広い。一方、スタックケース20にカバー40が取り付けられると、図示するように、スタックケース20における開口部22と端子台30におけるハウジング34との間の隙間の幅Wbが、人間の手の指が挿入されない幅に制限される。
【0037】
以上説明した本実施例の端子台30によれば、ハウジング34において、第1の接続用工具挿入部38aが、第1の接続用工具挿入部38aの内部において、第2の端子32bが露出せず、第1の端子32aが露出するように形成されている。したがって、各端子32a,32bに、それぞれ、第1のバスバー、および、第2のバスバーを接続する作業者がこの作業を行うときに、手の指が第1の接続用工具挿入部38aから各端子32a,32bに同時に接触することを防止することができる。また、第2の接続用工具挿入部38bが、第2の接続用工具挿入部38bの内部において、第1の端子32aが露出せず、第2の端子32bが露出するように形成されている。したがって、上記作業者の手の指が第2の接続用工具挿入部38bから各端子32a,32bに同時に接触することを防止することができる。また、第1の接続用工具挿入部38a、および、第2の接続用工具挿入部38bが、互いに対向する方向から接続用工具が挿入されるように形成されているので、作業者が故意に各挿入口36am,36bmに手の指を挿入しない限り、各端子32a,32bに片手で同時に触れることが困難である。したがって、本実施例の端子台30によって、作業者の感電の可能性を低減することができる。
【0038】
また、本実施例の端子台30では、ハウジング34において、第1の接続用工具挿入部38a、および、第2の接続用工具挿入部38bが、それぞれ、互いに平行な異なる軸AX1,AX2に沿って、接続用工具が挿入されるように配置されている。したがって、この軸に沿った方向についてのハウジング34の幅W(図3参照)を、第1の接続用工具挿入部38a、および、第2の接続用工具挿入部38bが同一の軸上に形成されている場合よりも短縮し、端子台30のコンパクト化を図ることができる。
【0039】
さらに、本実施例の端子台30では、第1の接続用工具挿入部38aにおいて、第1の端子32aにおける接続部32acは、第1の接続用工具挿入部38aにおける挿入口38amよりも、第2の接続用工具挿入部38bにおける挿入口38bmに近い部位に設けられている。また、第2の接続用工具挿入部38bにおいて、第2の端子32bにおける接続部32bcは、第2の接続用工具挿入部38bにおける挿入口38bmよりも、第1の接続用工具挿入部38aにおける挿入口38amに近い部位に設けられている。したがって、上述したように、ハウジング34の幅Wを短縮しつつも、第1の接続用工具挿入部38aにおける挿入口38amから第1の端子32aにおける接続部32acまでの距離、および、第2の接続用工具挿入部38bにおける挿入口38bmから第2の端子32bにおける接続部32bcまでの距離を、比較長く確保することができる。そして、上述したハウジング34の幅Wが短縮されても、作業者の手の指が、各接続用工具挿入部38a,38bに挿入されて、各端子32a,32bに接触することを抑制することができる。
【0040】
また、本実施例の端子台30では、ハウジング34において、第1の接続部品挿入部36aにおける挿入口36amは、矩形形状を有しており、挿入口36amにおける短辺の幅w1は、人間の手の指が挿入されない値が設定されている。また、第2の接続部品挿入部36bにおける挿入口36bmも、矩形形状を有しており、挿入口36bmにおける短辺の幅w2は、人間の手の指が挿入されない値が設定されている。したがって、作業者は、第1の接続部品挿入部36a、および、第2の接続部品挿入部36bに手の指を挿入することができないので、第1の接続部品挿入部36a、および、第2の接続部品挿入部36bから各端子32a,32bに接触して感電することを防止することができる。
【0041】
また、本実施例の燃料電池システム100は、カバー40を備えており、このカバー40によって、スタックケース20における開口部22と端子台30におけるハウジング34との間の隙間の幅Wbが、人間の手の指を挿入できない幅に制限される。したがって、作業者の手の指が、スタックケース20における開口部22と端子台30におけるハウジング34との間の隙間から、スタックケース20内に収納された燃料電池スタック10における第1の出力端子、および、第2の出力端子に接触することを防止し、作業者の感電の可能性を低減することができる。
【0042】
D.変形例:
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明はこのような実施の形態になんら限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内において種々なる態様での実施が可能である。例えば、以下のような変形が可能である。
【0043】
D1.変形例1:
上記実施例の端子台30では、ハウジング34において、第1の接続用工具挿入部38a、および、第2の接続用工具挿入部38bは、互いに対向する方向から接続用工具が挿入されるように形成されるものとしたが、本発明は、これに限られない。第1の接続用工具挿入部38a、および、第2の接続用工具挿入部38bは、一般に、互いに異なる方向から接続用工具が挿入されるように形成されていればよい。
【0044】
D2.変形例2:
上記実施例の端子台30では、ハウジング34において、第1の接続用工具挿入部38a、および、第2の接続用工具挿入部38bが、それぞれ、互いに平行な異なる軸AX1,AX2(図3参照)に沿って、接続用工具が挿入されるように配置されているものとしたが、本発明は、これに限られない。第1の接続用工具挿入部38a、および、第2の接続用工具挿入部38bは、同一の軸上に形成されるものとしてもよい。
【0045】
D3.変形例3:
上記実施例の端子台30では、第1の接続用工具挿入部38aにおいて、第1の端子32aにおける接続部32acは、第1の接続用工具挿入部38aにおける第1の挿入口38amよりも、第2の接続用工具挿入部38bにおける第2の挿入口38bmに近い部位に設けられるものとしたが、本発明は、これに限られない。また、第2の接続用工具挿入部38bにおいて、第2の端子32bにおける接続部32bcは、第2の接続用工具挿入部38bにおける第2の挿入口38bmよりも、第1の接続用工具挿入部38aにおける第1の挿入口38amに近い部位に設けられているものとしたが、本発明は、これに限られない。第1の接続用工具挿入部38a、および、第2の接続用工具挿入部38bにおいて、第1の端子32aにおける接続部32ac、および、第2の端子32bにおける接続部32bcは、それぞれ、他の位置に設けるものとしてもよい。
【0046】
D4.変形例4:
上記実施例の端子台30では、ハウジング34において、第1の接続部品挿入部36aにおける挿入口36amは、矩形形状を有しており、挿入口36amの短辺の幅w1は、人間の手の指が挿入されない値が設定されているものとしたが、本発明は、これに限られない。また、第2の接続部品挿入部36bにおける挿入口36bmも、矩形形状を有しており、挿入口36bmの短辺の幅w2も、人間の手の指が挿入されない値が設定されているものとしたが、本発明は、これに限られない。第1の接続部品挿入部36aにおける挿入口36am、および、第2の接続部品挿入部36bにおける挿入口36bmは、一般に、それぞれ、人間の手の指の挿入を許容しない形状を有していればよく、矩形形状以外の他の形状とてもよい。
【0047】
D5.変形例5:
上記実施例の燃料電池システム100では、[課題を解決するための手段]における制限部材として、スタックケース20、および、端子台30とは別に用意されたカバー40を用いるものとしたが、本発明は、これに限られない。例えば、端子台30が、上記制限部材としての機能を有するつばや、突出部を一体的に備えるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0048】
10…燃料電池スタック
20…スタックケース
22…開口部
30…端子台
32a…第1の端子
32ac…接続部
32b…第2の端子
32bc…接続部
34…ハウジング
34a,34b…被覆部
36a…第1の接続部品挿入部
36am…挿入口
36b…第2の接続部品挿入部
36bm…挿入口
38a…第1の接続用工具挿入部
38am…第1の挿入口
38b…第2の接続用工具挿入部
38bm…第2の挿入口
40…カバー
42…貫通孔
100…燃料電池システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
端子台であって、
第1の端子と、
第2の端子と、
前記第1の端子、および、前記第2の端子を収容するハウジングと、を備え、
前記ハウジングは、
第1の挿入口を有し、前記第1の挿入口から第1の接続部品と前記第1の端子とを接続するために接続用工具が挿入される第1の接続用工具挿入部と、
第2の挿入口を有し、前記第1の接続用工具挿入部と隔離して設けられ、前記第2の挿入口から第2の接続部品と前記第2の端子とを接続するために接続用工具が挿入される第2の接続用工具挿入部と、を備え、
前記ハウジングにおいて、
前記第1の接続用工具挿入部は、該第1の接続用工具挿入部の内部において、前記第2の端子が露出せず、前記第1の端子が露出するように形成されるとともに、第1の方向から、接続用工具が挿入されるように形成されており、
前記第2の接続用工具挿入部は、該第2の接続用工具挿入部の内部において、前記第1の端子が露出せず、前記第2の端子が露出するように形成されるとともに、前記第1の方向と異なる第2の方向から、接続用工具が挿入されるように形成されている、
端子台。
【請求項2】
請求項1記載の端子台であって、
前記第1の方向と、前記第2の方向とは、互いに対向する方向である、
端子台。
【請求項3】
請求項2記載の端子台であって、
前記ハウジングにおいて、前記第1の接続用工具挿入部、および、前記第2の接続用工具挿入部は、それぞれ、前記第1および第2の方向に平行な互いに異なる軸に沿って、接続用工具が挿入されるように配置されている、
端子台。
【請求項4】
請求項3記載の端子台であって、
前記第1の接続用工具挿入部において、前記第1の接続部品と前記第1の端子とが接続される部位は、前記第1の挿入口よりも前記第2の挿入口に近い部位に設けられており、
前記第2の接続用工具挿入部において、前記第2の接続部品と前記第2の端子とが接続される部位は、前記第2の挿入口よりも前記第1の挿入口に近い部位に設けられている、
端子台。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれかに記載の端子台であって、
前記ハウジングは、さらに、
前記第1の接続部品を前記第1の端子に接触させるために前記第1の接続部品が挿入される挿入口を有する第1の接続部品挿入部と、
前記第2の接続部品を前記第2の端子に接触させるために前記第2の接続部品が挿入される挿入口を有する第2の接続部品挿入部と、を備え、
前記第1の接続部品挿入部における挿入口、および、前記第2の接続部品挿入部における挿入口は、それぞれ、略矩形形状を有しており、
前記略矩形形状における短辺の長さは、人間の手の指の径よりも短い、
端子台。
【請求項6】
燃料電池システムであって、
第1の出力端子、および、第2の出力端子を有する燃料電池スタックと、
前記第1の出力端子、および、前記第2の出力端子に接続された端子台であって、請求項1ないし5のいずれかに記載の端子台と、
前記燃料電池スタック、および、前記端子台における前記ハウジングの一部を収納するスタックケースであって、前記ハウジングの他の一部が貫通して、前記ハウジングの他の一部を、該スタックケースの外部に突出させるとともに、該スタックケースの外部に前記各挿入口を露出させるための開口部を有するスタックケースと、
前記開口部と前記ハウジングとの間の隙間の幅を、人間の手の指の径よりも狭い幅に制限するための制限部材と、
を備える燃料電池システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−70978(P2011−70978A)
【公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−221789(P2009−221789)
【出願日】平成21年9月28日(2009.9.28)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】