端子台及び端子台の製造方法
【課題】各部材の位置ずれを防止し、もってナットとヒートシンクとの間の絶縁性を確保する。
【解決手段】機器から延びる導電体を重ね合わせてボルトによって締結する端子台であって、導電体が載置されるナット10と、ナットの下方側に配されるヒートシンク40と、ナット10とヒートシンク40とに密着した状態で上下方向両側から挟持される絶縁プレート20と、これら三つの部材10,20,40を覆う成形樹脂部60とを備え、絶縁プレート20には、ナット10を収容可能なナット収容部21と、絶縁プレート20の底板22から下方に突出するボルト逃がし凹部26とが設けられており、ヒートシンク40には、ボルト逃がし凹部26を内部に嵌合可能な収容凹部43が設けられており、ナット収容部21にナット10が収容され、且つ、収容凹部43とボルト逃がし凹部26とが嵌合された状態で、成形樹脂部60が成形されていることを特徴とする。
【解決手段】機器から延びる導電体を重ね合わせてボルトによって締結する端子台であって、導電体が載置されるナット10と、ナットの下方側に配されるヒートシンク40と、ナット10とヒートシンク40とに密着した状態で上下方向両側から挟持される絶縁プレート20と、これら三つの部材10,20,40を覆う成形樹脂部60とを備え、絶縁プレート20には、ナット10を収容可能なナット収容部21と、絶縁プレート20の底板22から下方に突出するボルト逃がし凹部26とが設けられており、ヒートシンク40には、ボルト逃がし凹部26を内部に嵌合可能な収容凹部43が設けられており、ナット収容部21にナット10が収容され、且つ、収容凹部43とボルト逃がし凹部26とが嵌合された状態で、成形樹脂部60が成形されていることを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、端子台及び端子台の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、モータやインバータなどの機器から延びるバスバーなどの導電体同士を電気的に接続する端子台として特許文献1に記載のものが知られている。この端子台は、内部に金属製のナットをインサート成形した端子台本体に、各機器の導電体同士を重ね合わせるように載置し、締結ボルトとナットとによって共締めすることで、導電体同士を電気的に接続する。
【0003】
ところが、このような端子台によると、一方の機器から発生した熱が導電体から端子台を介して他方の機器にまで伝わってしまう。また、機器から発生した熱は、導電体からナットに伝わり、端子台の内部に熱がこもってしまう。
【0004】
そのため、ナットの下方に絶縁シートを介して金属製のヒートシンクを配し、これらを樹脂によって一体に成形するといった試みがなされている。このような端子台によると、導電体からナットに伝わった熱が絶縁シートを介してヒートシンクに伝わり、ヒートシンクによって放熱されるので、機器から発生した熱が他の機器に伝わることを規制することができる。このような技術としては、特許文献2に記載ものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−144783号公報
【特許文献2】特開2008−98007号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献2に記載の端子台によると、樹脂によって各部材を一体に成形する際に、ヒートシンクと絶縁シート、絶縁シートとナットをそれぞれ位置決めする手段がない。また、成形金型には、成形時にナットを位置決めするための位置決めピンはあるものの、ナットを成形金型に対して所定の位置に位置決めする手段がなく、位置決めピンにナットを装着することができない。更に、ヒートシンクやナットに対して絶縁シートがずれた状態に配されると、樹脂成形後の端子台におけるナットとヒートシンクとの間の絶縁性が低下する虞がある。
【0007】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、各部材の位置ずれを防止し、もってナットとヒートシンクとの間の絶縁性を確保することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するための手段として本発明は、機器から延びる導電体を重ね合わせてボルトによって締結する端子台であって、前記導電体が載置されるナットと、前記ナットの前記導電体が載置される上面側とは反対側の下面側に配されるヒートシンクと、前記ナットと前記ヒートシンクとに密着した状態で上下方向両側から挟持される絶縁プレートと、前記ナットと前記絶縁プレートと前記ヒートシンクとを一体成形してなる成形樹脂部と、前記一体成形の際に前記ナットと前記絶縁プレートとを互いに位置決めする第一位置決め手段と、前記一体成形の際に前記絶縁プレートと前記ヒートシンクとを互いに位置決めする第二位置決め手段と備えているところに特徴を有する。
【0009】
このような構成の端子台によると、成形樹脂部を成形する際に、第一位置決め手段及び第二位置決め手段によって、ナット及びヒートシンクと絶縁プレートとを互いに位置決めすることができ、絶縁プレートがずれた状態に配された状態で成形樹脂部が成形されることを規制することができる。これにより、ナット及びヒートシンクと絶縁プレートとを正規の位置で密着させることができ、ナットとヒートシンクとの間の絶縁性を確保することができる。
【0010】
本発明の実施の態様として、以下の構成が好ましい。
前記絶縁プレートには前記ナットを収容可能なナット収容部が設けられており、前記第一位置決め手段は、前記ナットを前記ナット収容部に収容することにより構成されていてもよい。
このような構成によると、ナットがナット収容部に収容されることで、ナットと絶縁プレートとを互いに位置決めすることができる。
【0011】
前記ナット収容部は、前記ナットと前記ヒートシンクとに密着した状態で上下方向両側から挟持される底板と、前記底板から上方に立ち上がり前記ナットの側面を囲む囲い壁とを備えて構成されており、前記囲い壁の内面には、上下方向に延びて前記ナットの側面に当接可能な位置決めリブが複数設けられている構成としてもよい。
このような構成によると、位置決めリブによって、ナットを更に正確に位置決めすることができる。また、ナットは複数の位置決めリブのみと当接可能な状態となるので、ナットと囲い壁との間に隙間が形成することができる。これにより、ナットと絶縁プレートとを成形樹脂によって一体に成形する際に、ナットと絶縁プレートの囲い壁との間の隙間に成形樹脂を流し込み易くすることができる。これにより、ナット及び絶縁プレートと成形樹脂との固着力を向上させ、ナットと絶縁プレートとをガタつきなく固定することができる。
【0012】
前記位置決めリブは、前記囲い壁を全高に亘って補強するように形成されている構成としてもよい。
このような構成によると、囲い壁が位置決めリブによって全高に亘って補強されているので、ナットと絶縁プレートとを成形樹脂によって一体に成形する際に、樹脂圧によって囲い壁がナット側に倒れ込むことを防ぐことができる。また、囲い壁がナット側に倒れ込むことを防止することができるので、ナットと囲い壁との間へ隙間なく成形樹脂を流し込むことができる。
【0013】
前記ヒートシンクには、前記絶縁プレートの下面に設けられた突部を内部に嵌合可能な収容凹部が設けられており、前記第二位置決め手段は、前記ヒートシンクの前記収容凹部と前記絶縁プレートの前記突部とを嵌合させることにより構成されてもよい。
このような構成によると、絶縁プレートの突部をヒートシンクの収容凹部に嵌合させることにより、絶縁プレートとヒートシンクとを位置決めすることができる。
【0014】
前記絶縁プレートの前記突部は、前記ナットに設けられたボルト締結孔と同軸をなし、上方から下方に凹んで前記絶縁プレートの下方に突出したボルト逃がし凹部を前記絶縁プレートに形成することで構成されていてもよい。
このような構成によると、ナットに螺合されるボルトが絶縁プレートに干渉しないように形成したボルト逃がし凹部をヒートシンクの収容凹部に嵌合させることで、絶縁プレートとヒートシンクとを互いに位置決めすることができる。すなわち、ボルト逃がし凹部を第二位置決め手段として兼用させることができる。また、ボルト逃がし凹部がヒートシンクの収容凹部に収容されるので、ボルト逃がし凹部がヒートシンクに収容されない場合に比べて、絶縁プレートとヒートシンクとの間の高さ寸法を小さくすることができる。
【0015】
前記ナット収容部には、複数の前記ナットが収容可能とされており、前記囲い壁のうち、隣り合う前記両ナット間に配される囲い壁は、隣り合う前記両ナット間を仕切る隔壁とされている構成としてもよい。
このような構成によると、各ナットの沿面距離を長く確保することができ、ナット間の絶縁性を確保することができる。
【0016】
また、本発明は、機器から延びる導電体が載置されるナットと、前記ナットの前記導電体が載置される上面側とは反対側の下面側に配されるヒートシンクと、前記ナットと前記ヒートシンクとに密着した状態で上下方向両側から挟持される絶縁プレートと、前記ナットと前記絶縁プレートと前記ヒートシンクとを一体成形してなる成形樹脂部とを備えた端子台の製造方法であって、前記絶縁プレートには、前記ナットを収容するナット収容部と、前記ナットに設けられたボルト挿通孔と同軸をなし、前記ナット収容部の底板を凹状に形成したボルト逃がし凹部とが設けられており、前記ヒートシンクには、前記絶縁プレートの前記ボルト逃がし凹部を内部に嵌合可能な収容凹部が設けられており、前記ナット収容部に前記ナットが収容され、且つ、前記ボルト逃がし凹部と前記ヒートシンクの前記収容凹部とが嵌合された状態で、上方向に型開きする第一金型によって前記ナットを上方から支持し、下方向に型開きする第二金型によって前記ヒートシンクを下方から支持することで、前記ナットと前記絶縁プレートと前記ヒートシンクとを上下方向両側から挟み込み、前記成形樹脂部を成形するところに特徴を有する。
【0017】
このような製造方法によると、ナットと絶縁プレートと、絶縁プレートとヒートシンクをそれぞれ正規の位置に位置決めした状態で成形樹脂部を成形することができる。これにより、ナットとヒートシンクとの間の絶縁性を確保した状態で端子台を製造することができる。
また、成形金型によって上下方向両側から挟み付けた状態で、ナットと絶縁プレートとヒートシンクとを成形樹脂部を成形することができるので、ナットと絶縁プレート、絶縁プレートとヒートシンクを互いに密着した状態にすることができる。これにより、ナットからヒートシンクへの熱伝達性能を向上させた端子台を製造することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、各部材の位置ずれを防止し、もってナットとヒートシンクとの間の絶縁性を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】実施形態に係る端子台の斜視図
【図2】同平面図
【図3】同背面図
【図4】同底面図
【図5】図2のV−V線断面図
【図6】図2のVI−VI線断面図
【図7】ナットの平面図
【図8】絶縁プレートの平面図
【図9】同背面図
【図10】同底面図
【図11】ヒートシンクの平面図
【図12】同底面図
【図13】ナットと絶縁プレートとヒートシンクとの組み付け前の状態を示す側面図
【図14】ナットと絶縁プレートとヒートシンクとの組み付け後の状態を示す平面図
【図15】図14のXV−XV線断面図
【図16】端子台を第一、第二金型内で成形した状態を示す断面図
【発明を実施するための形態】
【0020】
<実施形態>
本発明の一実施形態について図1乃至図16を参照しながら説明する。
本実施形態は、電気自動車やハイブリッド車などの車両に搭載されるモータケースに取り付けられ、三相交流型モータに設けられた三極のバスバーと、インバータに設けられた三極のバスバーとを電気的に接続する端子台を例示したものである。
端子台は、電気機器から延びる図示しないバスバーが載置されるナット10と、ナット10におけるバスバーが載置される上面側とは反対側の下面側に配されるヒートシンク40と、ナット10とヒートシンク40とによって上下方向両側から挟持される絶縁プレート20と、これら三つの部材10,40,20を覆う合成樹脂製の成形樹脂部60とを備えて構成されている。尚、以下の説明において、上下方向とは図5における上下方向を基準とし、左右方向とは図2における左右方向を基準とする。
【0021】
ナット10は金属製のブロック状をなし、図7及び図13に示すように、四隅が丸みを帯びた平面視略長方形状をなしている。ナット10の略中央部には、上下方向(両締結面10A,10Bと直交する方向)に貫通するボルト締結孔11が設けられている。このボルト締結孔11には、ナット10の上側締結面10Aに複数の図示しないバスバーが載置された後、図示しないボルトがボルト締結孔11に螺合され、バスバー同士が導通可能に接続される。
【0022】
また、ナット10の上端部における外周縁部には、段付部12が形成されている。この段付部12は、図5に示すように、ナット10の上側締結面10Aに比べて一段低く形成されている。また、段付部12はナット10の外周縁部に全周に亘って設けられており、ナット10の上側締結面10A及び下側締結面10Bと平行となるように形成されている。なお、ナット10の上側締結面10Aと、下側締結面10Bと、段付部12は凹凸がない平坦状に形成されている。
【0023】
絶縁プレート20は合成樹脂製であって、図8に示すように、左右方向に横長な形態をなしている。この絶縁プレート20は、ナット10に載置されるバスバーの熱を上方に位置するナット10から下方に位置するヒートシンク40に熱伝達する役割を果たしている。尚、ここで用いられる合成樹脂は、ガラス及びタルクの含有量が66%程度とされており、ガラス及びタルクの含有量が33%程度の合成樹脂に比べて、成形後にそりが生じ難く、且つ熱伝導率が高くなっている。これにより、ナット10からヒートシンク40に効率よく熱を伝達できるようになっている。
絶縁プレート20には、ナット10を収容可能なナット収容部21が左右方向に並んで複数(本発明では5つ)設けられている。尚、ナット10とナット収容部21とが本発明の第一位置決め手段に相当する。
【0024】
各ナット収容部21は、図5に示すように、ナット10の下側締結面10Bが密着可能な底板22と、底板22からナット10の側面を全周に亘って取り囲むように上方に立ち上る囲い壁23とを備えて構成されている。したがって、ナット収容部21は、上端に開口しており、この上端開口は四隅が丸みを帯びた略矩形状をなしている。また、各ナット収容部21は、図8に示すように、長辺側を隣接させるように横並びに形成されている。ナット収容凹部21のうち、左右方向両側に位置するナット収容凹部21は小型ナット収容凹部21Aとされ、中央部分に位置する3つの大型ナット収容凹部21Bに比べて一回り小さく形成されている。
【0025】
底板22は、図10に示すように、全てのナット収容部21に共通するように一枚板状をなして一括して設けられており、底板22の上下両面22A,22Bは平坦に形成されている。これにより、図5に示すように、ナット10がナット収容部21に収容された状態において、ナット収容部21における底板22の上面22Aとナット10の下側締結面10Bとを隙間なく互いに密着させることができるようになっている。これにより、ナット10から底板22に効率よく熱を伝達できるようになっている。
【0026】
囲い壁23は、図8に示すように、その内周形状が略矩形状をなし、ナット10の外周形状に沿った形態をなしている。また、囲い壁23の内周形状は、ナット10の外周形状よりも僅かに大きく設定されており、ナット10がナット収容部21に収容された状態では、図14に示すように、囲い壁23の内周面とナット10の側面との間に僅かなクリアランスが形成された状態に収容されるようになっている。これにより、各ナット10はそれぞれのナット収容部21に収容されることで、位置決めされるようになっている。
【0027】
また、隣り合うナット収容部21の間に位置する囲い壁23は、両ナット収容部21の共通した囲い壁23とされ、両ナット収容部21に収容された両ナット10の間を仕切る隔壁24とされている。また、囲い壁23のうち、隔壁24以外の部分は、外周囲い壁23Aとされている。この隔壁24の高さは、図9に示すように、外周囲い壁23Aの高さ寸法の約二倍に設定されており、隣り合う両ナット10間の沿面距離を確保している。更に、隔壁24は、ナット10の上側締結面10Aに載置されたバスバーよりも高く形成されているため、ナット10に載置されるバスバーが左右方向に移動することに起因して、バスバー同士が接触して短絡することを防止している。
【0028】
また、囲い壁23の内周面には、ナット収容部21の内側に向かって突出する位置決めリブ25が設けられている。この位置決めリブ25は、底板22から上方向に直線的に延びた形態をなしている。また、外周囲い壁23Aの位置決めリブ25は、外周囲い壁23Aのほぼ全高に亘って形成されている。また、隔壁24に設けられた位置決めリブ25は、隔壁24の上下方向略中央部までの高さに設定されている。また、位置決めリブ25の突出端は、ナット収容部21に収容されるナット10の側面と当接可能に設けられている。
【0029】
また、位置決めリブ25は、図8に示すように、囲い壁23の四方に位置する各面における水平方向両側からやや中央寄りの位置にそれぞれ二本ずつ設けられている。また、大型ナット収容凹部21Bの囲い壁23には、その短辺側の内周面の中央に、更にもう一本の位置決めリブ25が設けられている。すなわち、各大型ナット収容凹部21Bにおける囲い壁23の短辺側の内周面には、3本の位置決めリブ25が形成されており、大型ナット収容凹部21Bには、それぞれ10本の位置決めリブ25が形成されている。また、小型ナット収容凹部21Aには、それぞれ8本の位置決めリブ25が形成されている。これにより、ナット10がナット収容部21に収容された状態では、図14に示すように、8本もしくは10本の位置決めリブ25によって水平方向に更に正確に位置決めされている。
【0030】
また、囲い壁23で囲まれた底板22の略中央部には、ボルト逃がし凹部26がそれぞれ形成されている。このボルト逃がし凹部26は、図5及び図8に示すように、底板22の上面22Aに円形状に開口するとともに下方に膨出した形状とされている。ボルト逃がし凹部26の内面形状は底板22の上面22Aから下方に延びる有底の凹状に形成されている。また、底板22およびボルト逃がし凹部26の板厚は、ほぼ均一に形成されている。したがって、ボルト逃がし凹部26の外面形状は、図9及び図10に示すように、底板22の下面22Bから下方に向かって円柱状に突出した形態をなしている。
【0031】
また、このボルト逃がし凹部26は、図5に示すように、ナット10のボルト締結孔11と同軸をなす配置とされており、ボルト逃がし凹部26の内径は、ボルト締結孔11の内径よりも僅かに大径に形成されている。これにより、ナット10にボルトが螺合されて、ボルト締結孔11をボルトが貫通した場合においても、ナット10が絶縁プレート20の底板22と干渉することはなく、ボルトによって絶縁プレート20が破損することを防ぐことができるようになっている。
【0032】
ヒートシンク40はアルミダイキャスト製であって、図11に示すように、左右方向に横長な形態をなしている。ヒートシンク40は、絶縁プレート20が載置されるシンク本体部41と、シンク本体部41と一体に形成された固定部42とを備えて構成されている。シンク本体部41は左右方向に横長な形態をなし、シンク本体部41における一方の長辺側の側縁に、固定部42が張り出して形成されている。
【0033】
シンク本体部41の上面41Aには、絶縁プレート20が載置されるようになっている。また、シンク本体部41の上面41Aは、平坦な形態をなし、その表面は凹凸が無いように研磨されて形成されている。これにより、図5に示すように、シンク本体部41の上面41Aに絶縁プレート20が載置された状態において、絶縁プレート20における底板22の下面22Bとシンク本体部41の上面41Aとを互いに密着させることができるようになっている。
【0034】
また、シンク本体部41には、左右方向にほぼ均等に並んだ5つの収容凹部43が形成されている。この収容凹部43は、シンク本体部41の上面41Aに円形状に開口して形成されており、図5に示すように、シンク本体部41の上面41Aから下方に向かって延びる有底の凹状をなしている。また、収容凹部43は、その内部に絶縁プレート20のボルト逃がし凹部26が嵌合可能に形成されている。また、収容凹部43の内部には、ボルト逃がし凹部26が、ボルト逃がし凹部26の外面と収容凹部43の内周面との間に僅かなクリアランスを有した状態で嵌合されるようになっている。これにより、各収容凹部43に対して絶縁プレート20の各ボルト逃がし凹部26を嵌合させることで、絶縁プレート20とヒートシンク40とを互いに位置決めした状態に組み付けることができるようになっている。尚、ボルト逃がし凹部26と収容凹部43とが本発明の第二位置決め手段に相当する。
【0035】
また、シンク本体部41の下端部における外周縁部には、シンク本体部41の下面よりもやや上方に形成された外縁段付部44が形成されている。この外縁段付部44は、図12に示すように、シンク本体部41における固定部42との接続部分を除く全外周縁部に亘って形成されている。
【0036】
固定部42は、シンク本体部41の側面に沿って左右方向に横長に形成されている。また、固定部42の左右方向両側には上下方向に貫通するボルト挿通孔42Aが設けられている。また、固定部42の上面には、その上面から上方に向かって延びる略円筒状の円筒突部45が設けられている。この円筒突部45は、図6に示すように、シンク本体部41の固定部42側の側面と連設されており、シンク本体部41の上面41Aよりも僅かに上方まで延びた形態をなしている。また、この円筒突部45は、上方に開口した有底の凹状をなしている。
【0037】
また、シンク本体部41及び固定部42の下面には、図12に示すように、それぞれ凹部46が形成されている。このうち固定部42側の凹部46には、放熱用のフィン46Aが形成されており、このフィン46Aに接触するようにして冷却水が循環するように構成されている。これにより、凹部46によってヒートシンク40の下面における表面積が大きくなり、放熱フィン46Aによってヒートシンク40が冷却され、ヒートシンク40からの放熱性を向上させるようになっている。
【0038】
成形樹脂部60は合成樹脂製であって、図1及び図5に示すように、ナット10と絶縁プレート20とヒートシンク40とが互いに組み付けられた状態で、それぞれの一部を覆った形態をなしている。また、成形樹脂部60は、ナット10の段付部12及び絶縁プレート20における囲い壁23の上端部に密着する上方覆い部61と、ヒートシンク40の外縁段付部44に密着する下方覆い部62と、絶縁プレート20及びヒートシンク40におけるシンク本体部41の外側面に密着する側壁部63とを備えて構成されている。また、側壁部63は、図3に示すように、上方覆い部61と、下方覆い部62とを連結するように、上方覆い部61及び下方覆い部62と一体に形成されている。
【0039】
上方覆い部61は、図5に示すように、各ナット10の段付部12の外周縁部を全周に亘って覆うナット覆い部61Aと、囲い壁23の上端部を覆う囲い壁覆い部61Bとから構成されている。また、囲い壁覆い部61Bは、隔壁24の一部を除く各囲い壁23の上端部を全周に亘って覆うように形成されている。また、各ナット覆い部61Aと、各囲い壁覆い部61Bとは、一体に形成されており、上方覆い部61は、ナット10及び囲い壁23の全てを一括して覆っている。なお、囲い壁覆い部61Bの上端面には、隔壁24の一部が露出した状態となっている。
【0040】
下方覆い部62は、図4及び図5に示すように、ヒートシンク40におけるシンク本体部41の外縁段付部44を全範囲に亘って下方から覆うように形成されている。これにより、成形樹脂部60は、図5及び図6に示すように、ナット10と、絶縁プレート20と、ヒートシンク40とを上下方向から挟持して、各部材10,20,40を互いに密着させた状態で保持するように形成されている。
【0041】
また、上方覆い部61は、ナット収容部21の囲い壁23における内周面とナット10の側面とのクリアランスを埋めるように形成されており、成形樹脂部60とナット10及び絶縁プレート20との密着度を向上させている。
【0042】
側壁部63は、図3及び図5に示すように、上方覆い部61と下方覆い部62との間において、絶縁プレート20の側面と、ヒートシンク40におけるシンク本体部41の側面とを全面に亘って覆うように形成されている。また、側壁部63には、図6に示すように、ヒートシンク40の円筒突部45を覆う突部覆い部63Aが設けられている。この突部覆い部63Aは、円筒突部45の内部を埋めると共に、円筒突部45の上面及び側面のすべてを覆うように形成されており、成形樹脂部60とヒートシンク40との密着度を向上させている。
【0043】
本実施形態の端子台は上記のような構造であって、続いて端子台の製造方法について説明する。
まず、ナット10を絶縁プレート20のナット収容部21に収容し、ナット収容部21のボルト逃がし凹部26をヒートシンク40の収容凹部43に嵌合させることで、図14及び図15に示すように、ナット10と、絶縁プレート20と、ヒートシンク40とをそれぞれ位置決めした状態に組み付け、上下方向に型開きする第一金型71と第二金型72(第一金型71及び第二金型72が本発明の成形金型に相当する)とにセットする。このとき、ナット10と、絶縁プレート20と、ヒートシンク40とは、それぞれ位置決めされているので、位置ずれすることなく、第一金型71と第二金型72とにセットすることができる。なお、ヒートシンク40は、図16に示すように、ヒートシンク40の凹部46に第二金型72の位置決め突部72Aが挿入されることで、ヒートシンク40が第二金型72に位置決めされる。
また、ヒートシンク40に絶縁プレート20が位置決めされ、絶縁プレート20にナット10が位置決めされているので、第一金型71の位置決めピン71Aをナット10のボルト締結孔11に上方から挿入する際に、位置決めピン71Aがボルト締結孔11から大きく位置ずれして、ナット10や位置決めピン71Aを破損させることを防止することができる。なお、ナット10は、位置決めピン71Aによって固定される前の状態では、ナット収容部21に対して僅かにガタついた状態で収容されている。そして、第一金型71と第二金型72とを型締めする際には、図16に示すように、位置決めピン71Aに設けられた傾斜面71Bに対してナット10のボルト締結孔11の上方内周縁に設けられたテーパ面11Aを対応させることで、位置決めピン71Aとナット10のボルト締結孔11との僅かなズレが修正され、ナット10が位置決めピン71Aに固定されるようになっている。
【0044】
また、第一金型71に設けられた樹脂食い切り部73によって、ナット10の段付部12を全周に亘って上方から押さえつけ、且つ、第二金型72によってヒートシンク40の下面を支持することで、ナット10の下側締結面10Bと、ヒートシンク40のシンク本体部41における上面41Aとによって絶縁プレート20のナット収容部21における底板22を上下方向両側から挟み付け、それぞれを密着させることができる。
【0045】
次に、上記の状態のまま、第一及び第二金型71,72によって形成されたキャビティ内に合成樹脂を射出して、図16に示すように、成形樹脂部60を成形する。このとき、ナット10の側面は、絶縁プレート20の囲い壁23における内周面の位置決めリブ25とのみ当接可能な状態となっているので、囲い壁23の内面とナット10の側面との間に隙間が形成され、この隙間に合成樹脂を流し込むことができる。これにより、ナット10及び絶縁プレート20と成形樹脂部60とをより密着させ、ナット10と絶縁プレート20とをガタつきなく固定することができる。
【0046】
最後に、第一金型71及び第二金型72を上下方向両側に型開きすることによって本実施形態の端子台を完成させる。
【0047】
以上のように、本実施形態における端子台は、ナット10と絶縁プレート20、絶縁プレート20とヒートシンク40をそれぞれ正規の位置に位置決めした状態で、成形樹脂部60によって一体に成形することができるので、ナット10とヒートシンク40との絶縁性を確実に確保することができる。
【0048】
また、ナット10と絶縁プレート20とヒートシンク40とを密着した状態で成形するので、成形後の状態において、ナット10と絶縁プレート20とヒートシンク40とを互いに密着した状態にすることができる。すなわち、ナット10と絶縁プレート20との境界部分、及び絶縁プレート20とヒートシンク40との境界部分に、空気層を形成することなく、端子台を成形することができる。これにより、ナット10がバスバーから熱を受けた場合においても、ナット10からヒートシンク40へ速やかに熱を伝達させ、端子台の放熱性能を向上させることができる。
【0049】
このように、ナット10と、絶縁プレート20と、ヒートシンク40とは、成形樹脂部60によって、上下方向両側から密着した状態に挟持されているので、ナット10とヒートシンク40との間の絶縁性を確保した状態で、ナット10からヒートシンク40への熱伝達性能を向上させることができる。
【0050】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)本実施形態では、ナット収容部21の囲い壁23によって、ナット10の側面を全周に亘って覆う構成としたが、本発明はこのような態様に限定されるものではなく、例えば、ナットの周囲に複数の壁を間欠的に配置することで囲い壁を構成してもよい。
(2)本実施形態では、ヒートシンク40の収容凹部43に絶縁プレート20のボルト逃がし凹部26を嵌合させることで、第二位置決め手段を構成としたが、本発明はこのような態様に限定されるものではなく、例えば、絶縁プレート20の底板22に突部を設け、その突部をヒートシンク40に設けた凹部に嵌合させることで、第二位置決め手段を構成してもよい。
【0051】
(3)本実施形態では、ナット10を絶縁プレート20のナット収容部21に収容することで、第一位置決め手段を構成としたが、本発明はこのような態様に限定されるものではなく、例えば、絶縁プレート20の底板22にナット10の四方の側面に当接可能な突部を設け、その突部にナットの側面を当接させることで、第一位置決め手段を構成してもよい。
(4)本実施形態では、囲い壁23の内周面に位置決めリブ25を設けることで、ナット収容部21に対してナット10をより正確に位置決めする構成としたが、本発明はこのような態様に限定されるものではなく、例えば、囲い壁23の内周面とナット10の側面との間のクリアランスを狭くすることで、ナット収容部21に対してナット10をより正確に位置決めする構成としてもよい。
【符号の説明】
【0052】
10:ナット(第一位置決め手段)
11:ボルト締結孔
20:絶縁プレート
21:ナット収容部(第一位置決め手段)
22:底板
23:囲い壁
24:隔壁
25:位置決めリブ
26:ボルト逃がし凹部(突部、第二位置決め手段)
40:ヒートシンク
43:収容凹部
60:成形樹脂部
71:第一金型(成形金型)
72:第二金型(成形金型)
【技術分野】
【0001】
本発明は、端子台及び端子台の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、モータやインバータなどの機器から延びるバスバーなどの導電体同士を電気的に接続する端子台として特許文献1に記載のものが知られている。この端子台は、内部に金属製のナットをインサート成形した端子台本体に、各機器の導電体同士を重ね合わせるように載置し、締結ボルトとナットとによって共締めすることで、導電体同士を電気的に接続する。
【0003】
ところが、このような端子台によると、一方の機器から発生した熱が導電体から端子台を介して他方の機器にまで伝わってしまう。また、機器から発生した熱は、導電体からナットに伝わり、端子台の内部に熱がこもってしまう。
【0004】
そのため、ナットの下方に絶縁シートを介して金属製のヒートシンクを配し、これらを樹脂によって一体に成形するといった試みがなされている。このような端子台によると、導電体からナットに伝わった熱が絶縁シートを介してヒートシンクに伝わり、ヒートシンクによって放熱されるので、機器から発生した熱が他の機器に伝わることを規制することができる。このような技術としては、特許文献2に記載ものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−144783号公報
【特許文献2】特開2008−98007号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献2に記載の端子台によると、樹脂によって各部材を一体に成形する際に、ヒートシンクと絶縁シート、絶縁シートとナットをそれぞれ位置決めする手段がない。また、成形金型には、成形時にナットを位置決めするための位置決めピンはあるものの、ナットを成形金型に対して所定の位置に位置決めする手段がなく、位置決めピンにナットを装着することができない。更に、ヒートシンクやナットに対して絶縁シートがずれた状態に配されると、樹脂成形後の端子台におけるナットとヒートシンクとの間の絶縁性が低下する虞がある。
【0007】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、各部材の位置ずれを防止し、もってナットとヒートシンクとの間の絶縁性を確保することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するための手段として本発明は、機器から延びる導電体を重ね合わせてボルトによって締結する端子台であって、前記導電体が載置されるナットと、前記ナットの前記導電体が載置される上面側とは反対側の下面側に配されるヒートシンクと、前記ナットと前記ヒートシンクとに密着した状態で上下方向両側から挟持される絶縁プレートと、前記ナットと前記絶縁プレートと前記ヒートシンクとを一体成形してなる成形樹脂部と、前記一体成形の際に前記ナットと前記絶縁プレートとを互いに位置決めする第一位置決め手段と、前記一体成形の際に前記絶縁プレートと前記ヒートシンクとを互いに位置決めする第二位置決め手段と備えているところに特徴を有する。
【0009】
このような構成の端子台によると、成形樹脂部を成形する際に、第一位置決め手段及び第二位置決め手段によって、ナット及びヒートシンクと絶縁プレートとを互いに位置決めすることができ、絶縁プレートがずれた状態に配された状態で成形樹脂部が成形されることを規制することができる。これにより、ナット及びヒートシンクと絶縁プレートとを正規の位置で密着させることができ、ナットとヒートシンクとの間の絶縁性を確保することができる。
【0010】
本発明の実施の態様として、以下の構成が好ましい。
前記絶縁プレートには前記ナットを収容可能なナット収容部が設けられており、前記第一位置決め手段は、前記ナットを前記ナット収容部に収容することにより構成されていてもよい。
このような構成によると、ナットがナット収容部に収容されることで、ナットと絶縁プレートとを互いに位置決めすることができる。
【0011】
前記ナット収容部は、前記ナットと前記ヒートシンクとに密着した状態で上下方向両側から挟持される底板と、前記底板から上方に立ち上がり前記ナットの側面を囲む囲い壁とを備えて構成されており、前記囲い壁の内面には、上下方向に延びて前記ナットの側面に当接可能な位置決めリブが複数設けられている構成としてもよい。
このような構成によると、位置決めリブによって、ナットを更に正確に位置決めすることができる。また、ナットは複数の位置決めリブのみと当接可能な状態となるので、ナットと囲い壁との間に隙間が形成することができる。これにより、ナットと絶縁プレートとを成形樹脂によって一体に成形する際に、ナットと絶縁プレートの囲い壁との間の隙間に成形樹脂を流し込み易くすることができる。これにより、ナット及び絶縁プレートと成形樹脂との固着力を向上させ、ナットと絶縁プレートとをガタつきなく固定することができる。
【0012】
前記位置決めリブは、前記囲い壁を全高に亘って補強するように形成されている構成としてもよい。
このような構成によると、囲い壁が位置決めリブによって全高に亘って補強されているので、ナットと絶縁プレートとを成形樹脂によって一体に成形する際に、樹脂圧によって囲い壁がナット側に倒れ込むことを防ぐことができる。また、囲い壁がナット側に倒れ込むことを防止することができるので、ナットと囲い壁との間へ隙間なく成形樹脂を流し込むことができる。
【0013】
前記ヒートシンクには、前記絶縁プレートの下面に設けられた突部を内部に嵌合可能な収容凹部が設けられており、前記第二位置決め手段は、前記ヒートシンクの前記収容凹部と前記絶縁プレートの前記突部とを嵌合させることにより構成されてもよい。
このような構成によると、絶縁プレートの突部をヒートシンクの収容凹部に嵌合させることにより、絶縁プレートとヒートシンクとを位置決めすることができる。
【0014】
前記絶縁プレートの前記突部は、前記ナットに設けられたボルト締結孔と同軸をなし、上方から下方に凹んで前記絶縁プレートの下方に突出したボルト逃がし凹部を前記絶縁プレートに形成することで構成されていてもよい。
このような構成によると、ナットに螺合されるボルトが絶縁プレートに干渉しないように形成したボルト逃がし凹部をヒートシンクの収容凹部に嵌合させることで、絶縁プレートとヒートシンクとを互いに位置決めすることができる。すなわち、ボルト逃がし凹部を第二位置決め手段として兼用させることができる。また、ボルト逃がし凹部がヒートシンクの収容凹部に収容されるので、ボルト逃がし凹部がヒートシンクに収容されない場合に比べて、絶縁プレートとヒートシンクとの間の高さ寸法を小さくすることができる。
【0015】
前記ナット収容部には、複数の前記ナットが収容可能とされており、前記囲い壁のうち、隣り合う前記両ナット間に配される囲い壁は、隣り合う前記両ナット間を仕切る隔壁とされている構成としてもよい。
このような構成によると、各ナットの沿面距離を長く確保することができ、ナット間の絶縁性を確保することができる。
【0016】
また、本発明は、機器から延びる導電体が載置されるナットと、前記ナットの前記導電体が載置される上面側とは反対側の下面側に配されるヒートシンクと、前記ナットと前記ヒートシンクとに密着した状態で上下方向両側から挟持される絶縁プレートと、前記ナットと前記絶縁プレートと前記ヒートシンクとを一体成形してなる成形樹脂部とを備えた端子台の製造方法であって、前記絶縁プレートには、前記ナットを収容するナット収容部と、前記ナットに設けられたボルト挿通孔と同軸をなし、前記ナット収容部の底板を凹状に形成したボルト逃がし凹部とが設けられており、前記ヒートシンクには、前記絶縁プレートの前記ボルト逃がし凹部を内部に嵌合可能な収容凹部が設けられており、前記ナット収容部に前記ナットが収容され、且つ、前記ボルト逃がし凹部と前記ヒートシンクの前記収容凹部とが嵌合された状態で、上方向に型開きする第一金型によって前記ナットを上方から支持し、下方向に型開きする第二金型によって前記ヒートシンクを下方から支持することで、前記ナットと前記絶縁プレートと前記ヒートシンクとを上下方向両側から挟み込み、前記成形樹脂部を成形するところに特徴を有する。
【0017】
このような製造方法によると、ナットと絶縁プレートと、絶縁プレートとヒートシンクをそれぞれ正規の位置に位置決めした状態で成形樹脂部を成形することができる。これにより、ナットとヒートシンクとの間の絶縁性を確保した状態で端子台を製造することができる。
また、成形金型によって上下方向両側から挟み付けた状態で、ナットと絶縁プレートとヒートシンクとを成形樹脂部を成形することができるので、ナットと絶縁プレート、絶縁プレートとヒートシンクを互いに密着した状態にすることができる。これにより、ナットからヒートシンクへの熱伝達性能を向上させた端子台を製造することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、各部材の位置ずれを防止し、もってナットとヒートシンクとの間の絶縁性を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】実施形態に係る端子台の斜視図
【図2】同平面図
【図3】同背面図
【図4】同底面図
【図5】図2のV−V線断面図
【図6】図2のVI−VI線断面図
【図7】ナットの平面図
【図8】絶縁プレートの平面図
【図9】同背面図
【図10】同底面図
【図11】ヒートシンクの平面図
【図12】同底面図
【図13】ナットと絶縁プレートとヒートシンクとの組み付け前の状態を示す側面図
【図14】ナットと絶縁プレートとヒートシンクとの組み付け後の状態を示す平面図
【図15】図14のXV−XV線断面図
【図16】端子台を第一、第二金型内で成形した状態を示す断面図
【発明を実施するための形態】
【0020】
<実施形態>
本発明の一実施形態について図1乃至図16を参照しながら説明する。
本実施形態は、電気自動車やハイブリッド車などの車両に搭載されるモータケースに取り付けられ、三相交流型モータに設けられた三極のバスバーと、インバータに設けられた三極のバスバーとを電気的に接続する端子台を例示したものである。
端子台は、電気機器から延びる図示しないバスバーが載置されるナット10と、ナット10におけるバスバーが載置される上面側とは反対側の下面側に配されるヒートシンク40と、ナット10とヒートシンク40とによって上下方向両側から挟持される絶縁プレート20と、これら三つの部材10,40,20を覆う合成樹脂製の成形樹脂部60とを備えて構成されている。尚、以下の説明において、上下方向とは図5における上下方向を基準とし、左右方向とは図2における左右方向を基準とする。
【0021】
ナット10は金属製のブロック状をなし、図7及び図13に示すように、四隅が丸みを帯びた平面視略長方形状をなしている。ナット10の略中央部には、上下方向(両締結面10A,10Bと直交する方向)に貫通するボルト締結孔11が設けられている。このボルト締結孔11には、ナット10の上側締結面10Aに複数の図示しないバスバーが載置された後、図示しないボルトがボルト締結孔11に螺合され、バスバー同士が導通可能に接続される。
【0022】
また、ナット10の上端部における外周縁部には、段付部12が形成されている。この段付部12は、図5に示すように、ナット10の上側締結面10Aに比べて一段低く形成されている。また、段付部12はナット10の外周縁部に全周に亘って設けられており、ナット10の上側締結面10A及び下側締結面10Bと平行となるように形成されている。なお、ナット10の上側締結面10Aと、下側締結面10Bと、段付部12は凹凸がない平坦状に形成されている。
【0023】
絶縁プレート20は合成樹脂製であって、図8に示すように、左右方向に横長な形態をなしている。この絶縁プレート20は、ナット10に載置されるバスバーの熱を上方に位置するナット10から下方に位置するヒートシンク40に熱伝達する役割を果たしている。尚、ここで用いられる合成樹脂は、ガラス及びタルクの含有量が66%程度とされており、ガラス及びタルクの含有量が33%程度の合成樹脂に比べて、成形後にそりが生じ難く、且つ熱伝導率が高くなっている。これにより、ナット10からヒートシンク40に効率よく熱を伝達できるようになっている。
絶縁プレート20には、ナット10を収容可能なナット収容部21が左右方向に並んで複数(本発明では5つ)設けられている。尚、ナット10とナット収容部21とが本発明の第一位置決め手段に相当する。
【0024】
各ナット収容部21は、図5に示すように、ナット10の下側締結面10Bが密着可能な底板22と、底板22からナット10の側面を全周に亘って取り囲むように上方に立ち上る囲い壁23とを備えて構成されている。したがって、ナット収容部21は、上端に開口しており、この上端開口は四隅が丸みを帯びた略矩形状をなしている。また、各ナット収容部21は、図8に示すように、長辺側を隣接させるように横並びに形成されている。ナット収容凹部21のうち、左右方向両側に位置するナット収容凹部21は小型ナット収容凹部21Aとされ、中央部分に位置する3つの大型ナット収容凹部21Bに比べて一回り小さく形成されている。
【0025】
底板22は、図10に示すように、全てのナット収容部21に共通するように一枚板状をなして一括して設けられており、底板22の上下両面22A,22Bは平坦に形成されている。これにより、図5に示すように、ナット10がナット収容部21に収容された状態において、ナット収容部21における底板22の上面22Aとナット10の下側締結面10Bとを隙間なく互いに密着させることができるようになっている。これにより、ナット10から底板22に効率よく熱を伝達できるようになっている。
【0026】
囲い壁23は、図8に示すように、その内周形状が略矩形状をなし、ナット10の外周形状に沿った形態をなしている。また、囲い壁23の内周形状は、ナット10の外周形状よりも僅かに大きく設定されており、ナット10がナット収容部21に収容された状態では、図14に示すように、囲い壁23の内周面とナット10の側面との間に僅かなクリアランスが形成された状態に収容されるようになっている。これにより、各ナット10はそれぞれのナット収容部21に収容されることで、位置決めされるようになっている。
【0027】
また、隣り合うナット収容部21の間に位置する囲い壁23は、両ナット収容部21の共通した囲い壁23とされ、両ナット収容部21に収容された両ナット10の間を仕切る隔壁24とされている。また、囲い壁23のうち、隔壁24以外の部分は、外周囲い壁23Aとされている。この隔壁24の高さは、図9に示すように、外周囲い壁23Aの高さ寸法の約二倍に設定されており、隣り合う両ナット10間の沿面距離を確保している。更に、隔壁24は、ナット10の上側締結面10Aに載置されたバスバーよりも高く形成されているため、ナット10に載置されるバスバーが左右方向に移動することに起因して、バスバー同士が接触して短絡することを防止している。
【0028】
また、囲い壁23の内周面には、ナット収容部21の内側に向かって突出する位置決めリブ25が設けられている。この位置決めリブ25は、底板22から上方向に直線的に延びた形態をなしている。また、外周囲い壁23Aの位置決めリブ25は、外周囲い壁23Aのほぼ全高に亘って形成されている。また、隔壁24に設けられた位置決めリブ25は、隔壁24の上下方向略中央部までの高さに設定されている。また、位置決めリブ25の突出端は、ナット収容部21に収容されるナット10の側面と当接可能に設けられている。
【0029】
また、位置決めリブ25は、図8に示すように、囲い壁23の四方に位置する各面における水平方向両側からやや中央寄りの位置にそれぞれ二本ずつ設けられている。また、大型ナット収容凹部21Bの囲い壁23には、その短辺側の内周面の中央に、更にもう一本の位置決めリブ25が設けられている。すなわち、各大型ナット収容凹部21Bにおける囲い壁23の短辺側の内周面には、3本の位置決めリブ25が形成されており、大型ナット収容凹部21Bには、それぞれ10本の位置決めリブ25が形成されている。また、小型ナット収容凹部21Aには、それぞれ8本の位置決めリブ25が形成されている。これにより、ナット10がナット収容部21に収容された状態では、図14に示すように、8本もしくは10本の位置決めリブ25によって水平方向に更に正確に位置決めされている。
【0030】
また、囲い壁23で囲まれた底板22の略中央部には、ボルト逃がし凹部26がそれぞれ形成されている。このボルト逃がし凹部26は、図5及び図8に示すように、底板22の上面22Aに円形状に開口するとともに下方に膨出した形状とされている。ボルト逃がし凹部26の内面形状は底板22の上面22Aから下方に延びる有底の凹状に形成されている。また、底板22およびボルト逃がし凹部26の板厚は、ほぼ均一に形成されている。したがって、ボルト逃がし凹部26の外面形状は、図9及び図10に示すように、底板22の下面22Bから下方に向かって円柱状に突出した形態をなしている。
【0031】
また、このボルト逃がし凹部26は、図5に示すように、ナット10のボルト締結孔11と同軸をなす配置とされており、ボルト逃がし凹部26の内径は、ボルト締結孔11の内径よりも僅かに大径に形成されている。これにより、ナット10にボルトが螺合されて、ボルト締結孔11をボルトが貫通した場合においても、ナット10が絶縁プレート20の底板22と干渉することはなく、ボルトによって絶縁プレート20が破損することを防ぐことができるようになっている。
【0032】
ヒートシンク40はアルミダイキャスト製であって、図11に示すように、左右方向に横長な形態をなしている。ヒートシンク40は、絶縁プレート20が載置されるシンク本体部41と、シンク本体部41と一体に形成された固定部42とを備えて構成されている。シンク本体部41は左右方向に横長な形態をなし、シンク本体部41における一方の長辺側の側縁に、固定部42が張り出して形成されている。
【0033】
シンク本体部41の上面41Aには、絶縁プレート20が載置されるようになっている。また、シンク本体部41の上面41Aは、平坦な形態をなし、その表面は凹凸が無いように研磨されて形成されている。これにより、図5に示すように、シンク本体部41の上面41Aに絶縁プレート20が載置された状態において、絶縁プレート20における底板22の下面22Bとシンク本体部41の上面41Aとを互いに密着させることができるようになっている。
【0034】
また、シンク本体部41には、左右方向にほぼ均等に並んだ5つの収容凹部43が形成されている。この収容凹部43は、シンク本体部41の上面41Aに円形状に開口して形成されており、図5に示すように、シンク本体部41の上面41Aから下方に向かって延びる有底の凹状をなしている。また、収容凹部43は、その内部に絶縁プレート20のボルト逃がし凹部26が嵌合可能に形成されている。また、収容凹部43の内部には、ボルト逃がし凹部26が、ボルト逃がし凹部26の外面と収容凹部43の内周面との間に僅かなクリアランスを有した状態で嵌合されるようになっている。これにより、各収容凹部43に対して絶縁プレート20の各ボルト逃がし凹部26を嵌合させることで、絶縁プレート20とヒートシンク40とを互いに位置決めした状態に組み付けることができるようになっている。尚、ボルト逃がし凹部26と収容凹部43とが本発明の第二位置決め手段に相当する。
【0035】
また、シンク本体部41の下端部における外周縁部には、シンク本体部41の下面よりもやや上方に形成された外縁段付部44が形成されている。この外縁段付部44は、図12に示すように、シンク本体部41における固定部42との接続部分を除く全外周縁部に亘って形成されている。
【0036】
固定部42は、シンク本体部41の側面に沿って左右方向に横長に形成されている。また、固定部42の左右方向両側には上下方向に貫通するボルト挿通孔42Aが設けられている。また、固定部42の上面には、その上面から上方に向かって延びる略円筒状の円筒突部45が設けられている。この円筒突部45は、図6に示すように、シンク本体部41の固定部42側の側面と連設されており、シンク本体部41の上面41Aよりも僅かに上方まで延びた形態をなしている。また、この円筒突部45は、上方に開口した有底の凹状をなしている。
【0037】
また、シンク本体部41及び固定部42の下面には、図12に示すように、それぞれ凹部46が形成されている。このうち固定部42側の凹部46には、放熱用のフィン46Aが形成されており、このフィン46Aに接触するようにして冷却水が循環するように構成されている。これにより、凹部46によってヒートシンク40の下面における表面積が大きくなり、放熱フィン46Aによってヒートシンク40が冷却され、ヒートシンク40からの放熱性を向上させるようになっている。
【0038】
成形樹脂部60は合成樹脂製であって、図1及び図5に示すように、ナット10と絶縁プレート20とヒートシンク40とが互いに組み付けられた状態で、それぞれの一部を覆った形態をなしている。また、成形樹脂部60は、ナット10の段付部12及び絶縁プレート20における囲い壁23の上端部に密着する上方覆い部61と、ヒートシンク40の外縁段付部44に密着する下方覆い部62と、絶縁プレート20及びヒートシンク40におけるシンク本体部41の外側面に密着する側壁部63とを備えて構成されている。また、側壁部63は、図3に示すように、上方覆い部61と、下方覆い部62とを連結するように、上方覆い部61及び下方覆い部62と一体に形成されている。
【0039】
上方覆い部61は、図5に示すように、各ナット10の段付部12の外周縁部を全周に亘って覆うナット覆い部61Aと、囲い壁23の上端部を覆う囲い壁覆い部61Bとから構成されている。また、囲い壁覆い部61Bは、隔壁24の一部を除く各囲い壁23の上端部を全周に亘って覆うように形成されている。また、各ナット覆い部61Aと、各囲い壁覆い部61Bとは、一体に形成されており、上方覆い部61は、ナット10及び囲い壁23の全てを一括して覆っている。なお、囲い壁覆い部61Bの上端面には、隔壁24の一部が露出した状態となっている。
【0040】
下方覆い部62は、図4及び図5に示すように、ヒートシンク40におけるシンク本体部41の外縁段付部44を全範囲に亘って下方から覆うように形成されている。これにより、成形樹脂部60は、図5及び図6に示すように、ナット10と、絶縁プレート20と、ヒートシンク40とを上下方向から挟持して、各部材10,20,40を互いに密着させた状態で保持するように形成されている。
【0041】
また、上方覆い部61は、ナット収容部21の囲い壁23における内周面とナット10の側面とのクリアランスを埋めるように形成されており、成形樹脂部60とナット10及び絶縁プレート20との密着度を向上させている。
【0042】
側壁部63は、図3及び図5に示すように、上方覆い部61と下方覆い部62との間において、絶縁プレート20の側面と、ヒートシンク40におけるシンク本体部41の側面とを全面に亘って覆うように形成されている。また、側壁部63には、図6に示すように、ヒートシンク40の円筒突部45を覆う突部覆い部63Aが設けられている。この突部覆い部63Aは、円筒突部45の内部を埋めると共に、円筒突部45の上面及び側面のすべてを覆うように形成されており、成形樹脂部60とヒートシンク40との密着度を向上させている。
【0043】
本実施形態の端子台は上記のような構造であって、続いて端子台の製造方法について説明する。
まず、ナット10を絶縁プレート20のナット収容部21に収容し、ナット収容部21のボルト逃がし凹部26をヒートシンク40の収容凹部43に嵌合させることで、図14及び図15に示すように、ナット10と、絶縁プレート20と、ヒートシンク40とをそれぞれ位置決めした状態に組み付け、上下方向に型開きする第一金型71と第二金型72(第一金型71及び第二金型72が本発明の成形金型に相当する)とにセットする。このとき、ナット10と、絶縁プレート20と、ヒートシンク40とは、それぞれ位置決めされているので、位置ずれすることなく、第一金型71と第二金型72とにセットすることができる。なお、ヒートシンク40は、図16に示すように、ヒートシンク40の凹部46に第二金型72の位置決め突部72Aが挿入されることで、ヒートシンク40が第二金型72に位置決めされる。
また、ヒートシンク40に絶縁プレート20が位置決めされ、絶縁プレート20にナット10が位置決めされているので、第一金型71の位置決めピン71Aをナット10のボルト締結孔11に上方から挿入する際に、位置決めピン71Aがボルト締結孔11から大きく位置ずれして、ナット10や位置決めピン71Aを破損させることを防止することができる。なお、ナット10は、位置決めピン71Aによって固定される前の状態では、ナット収容部21に対して僅かにガタついた状態で収容されている。そして、第一金型71と第二金型72とを型締めする際には、図16に示すように、位置決めピン71Aに設けられた傾斜面71Bに対してナット10のボルト締結孔11の上方内周縁に設けられたテーパ面11Aを対応させることで、位置決めピン71Aとナット10のボルト締結孔11との僅かなズレが修正され、ナット10が位置決めピン71Aに固定されるようになっている。
【0044】
また、第一金型71に設けられた樹脂食い切り部73によって、ナット10の段付部12を全周に亘って上方から押さえつけ、且つ、第二金型72によってヒートシンク40の下面を支持することで、ナット10の下側締結面10Bと、ヒートシンク40のシンク本体部41における上面41Aとによって絶縁プレート20のナット収容部21における底板22を上下方向両側から挟み付け、それぞれを密着させることができる。
【0045】
次に、上記の状態のまま、第一及び第二金型71,72によって形成されたキャビティ内に合成樹脂を射出して、図16に示すように、成形樹脂部60を成形する。このとき、ナット10の側面は、絶縁プレート20の囲い壁23における内周面の位置決めリブ25とのみ当接可能な状態となっているので、囲い壁23の内面とナット10の側面との間に隙間が形成され、この隙間に合成樹脂を流し込むことができる。これにより、ナット10及び絶縁プレート20と成形樹脂部60とをより密着させ、ナット10と絶縁プレート20とをガタつきなく固定することができる。
【0046】
最後に、第一金型71及び第二金型72を上下方向両側に型開きすることによって本実施形態の端子台を完成させる。
【0047】
以上のように、本実施形態における端子台は、ナット10と絶縁プレート20、絶縁プレート20とヒートシンク40をそれぞれ正規の位置に位置決めした状態で、成形樹脂部60によって一体に成形することができるので、ナット10とヒートシンク40との絶縁性を確実に確保することができる。
【0048】
また、ナット10と絶縁プレート20とヒートシンク40とを密着した状態で成形するので、成形後の状態において、ナット10と絶縁プレート20とヒートシンク40とを互いに密着した状態にすることができる。すなわち、ナット10と絶縁プレート20との境界部分、及び絶縁プレート20とヒートシンク40との境界部分に、空気層を形成することなく、端子台を成形することができる。これにより、ナット10がバスバーから熱を受けた場合においても、ナット10からヒートシンク40へ速やかに熱を伝達させ、端子台の放熱性能を向上させることができる。
【0049】
このように、ナット10と、絶縁プレート20と、ヒートシンク40とは、成形樹脂部60によって、上下方向両側から密着した状態に挟持されているので、ナット10とヒートシンク40との間の絶縁性を確保した状態で、ナット10からヒートシンク40への熱伝達性能を向上させることができる。
【0050】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)本実施形態では、ナット収容部21の囲い壁23によって、ナット10の側面を全周に亘って覆う構成としたが、本発明はこのような態様に限定されるものではなく、例えば、ナットの周囲に複数の壁を間欠的に配置することで囲い壁を構成してもよい。
(2)本実施形態では、ヒートシンク40の収容凹部43に絶縁プレート20のボルト逃がし凹部26を嵌合させることで、第二位置決め手段を構成としたが、本発明はこのような態様に限定されるものではなく、例えば、絶縁プレート20の底板22に突部を設け、その突部をヒートシンク40に設けた凹部に嵌合させることで、第二位置決め手段を構成してもよい。
【0051】
(3)本実施形態では、ナット10を絶縁プレート20のナット収容部21に収容することで、第一位置決め手段を構成としたが、本発明はこのような態様に限定されるものではなく、例えば、絶縁プレート20の底板22にナット10の四方の側面に当接可能な突部を設け、その突部にナットの側面を当接させることで、第一位置決め手段を構成してもよい。
(4)本実施形態では、囲い壁23の内周面に位置決めリブ25を設けることで、ナット収容部21に対してナット10をより正確に位置決めする構成としたが、本発明はこのような態様に限定されるものではなく、例えば、囲い壁23の内周面とナット10の側面との間のクリアランスを狭くすることで、ナット収容部21に対してナット10をより正確に位置決めする構成としてもよい。
【符号の説明】
【0052】
10:ナット(第一位置決め手段)
11:ボルト締結孔
20:絶縁プレート
21:ナット収容部(第一位置決め手段)
22:底板
23:囲い壁
24:隔壁
25:位置決めリブ
26:ボルト逃がし凹部(突部、第二位置決め手段)
40:ヒートシンク
43:収容凹部
60:成形樹脂部
71:第一金型(成形金型)
72:第二金型(成形金型)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
機器から延びる導電体を重ね合わせてボルトによって締結する端子台であって、
前記導電体が載置されるナットと、前記ナットの前記導電体が載置される上面側とは反対側の下面側に配されるヒートシンクと、前記ナットと前記ヒートシンクとに密着した状態で上下方向両側から挟持される絶縁プレートと、前記ナットと前記絶縁プレートと前記ヒートシンクとを一体成形してなる成形樹脂部と、前記一体成形の際に前記ナットと前記絶縁プレートとを互いに位置決めする第一位置決め手段と、前記一体成形の際に前記絶縁プレートと前記ヒートシンクとを互いに位置決めする第二位置決め手段と備えていることを特徴とする端子台。
【請求項2】
前記絶縁プレートには前記ナットを収容可能なナット収容部が設けられており、前記第一位置決め手段は、前記ナットを前記ナット収容部に収容することにより構成されていることを特徴とする請求項1記載の端子台。
【請求項3】
前記ナット収容部は、前記ナットと前記ヒートシンクとに密着した状態で上下方向両側から挟持される底板と、前記底板から上方に立ち上がり前記ナットの側面を囲む囲い壁とを備えて構成されており、
前記囲い壁の内面には、上下方向に延びて前記ナットの側面に当接可能な位置決めリブが複数設けられていることを特徴とする請求項2記載の端子台。
【請求項4】
前記位置決めリブは、前記囲い壁を全高に亘って補強するように形成されていることを特徴とする請求項3記載の端子台。
【請求項5】
前記ヒートシンクには、前記絶縁プレートの下面に設けられた突部を内部に嵌合可能な収容凹部が設けられており、前記第二位置決め手段は、前記ヒートシンクの前記収容凹部と前記絶縁プレートの前記突部とを嵌合させることにより構成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れか一項に記載の端子台。
【請求項6】
前記絶縁プレートの前記突部は、前記ナットに設けられたボルト締結孔と同軸をなし、上方から下方に凹んで前記絶縁プレートの下方に突出したボルト逃がし凹部を前記絶縁プレートに形成することで構成されていることを特徴とする請求項5記載の端子台。
【請求項7】
前記ナット収容部には、複数の前記ナットが収容可能とされており、
前記各ナット間には隔壁が設けられることで前記ナットが個別に収容されるようになっていることを特徴とする請求項2乃至請求項4の何れか一項に記載の端子台。
【請求項8】
機器から延びる導電体が載置されるナットと、前記ナットの前記導電体が載置される上面側とは反対側の下面側に配されるヒートシンクと、前記ナットと前記ヒートシンクとに密着した状態で上下方向両側から挟持される絶縁プレートと、前記ナットと前記絶縁プレートと前記ヒートシンクとを一体成形してなる成形樹脂部とを備えた端子台の製造方法であって、
前記絶縁プレートには、前記ナットを収容するナット収容部と、前記ナットに設けられたボルト挿通孔と同軸をなし、前記ナット収容部の底板を凹状に形成したボルト逃がし凹部とが設けられており、
前記ヒートシンクには、前記絶縁プレートの前記ボルト逃がし凹部を内部に嵌合可能な収容凹部が設けられており、
前記ナット収容部に前記ナットが収容され、且つ、前記ボルト逃がし凹部と前記ヒートシンクの前記収容凹部とが嵌合された状態で、
上方向に型開きする第一金型によって前記ナットを上方から支持し、下方向に型開きする第二金型によって前記ヒートシンクを下方から支持することで、前記ナットと前記絶縁プレートと前記ヒートシンクとを上下方向両側から挟み込み、
前記成形樹脂部を成形することを特徴とする端子台の製造方法。
【請求項1】
機器から延びる導電体を重ね合わせてボルトによって締結する端子台であって、
前記導電体が載置されるナットと、前記ナットの前記導電体が載置される上面側とは反対側の下面側に配されるヒートシンクと、前記ナットと前記ヒートシンクとに密着した状態で上下方向両側から挟持される絶縁プレートと、前記ナットと前記絶縁プレートと前記ヒートシンクとを一体成形してなる成形樹脂部と、前記一体成形の際に前記ナットと前記絶縁プレートとを互いに位置決めする第一位置決め手段と、前記一体成形の際に前記絶縁プレートと前記ヒートシンクとを互いに位置決めする第二位置決め手段と備えていることを特徴とする端子台。
【請求項2】
前記絶縁プレートには前記ナットを収容可能なナット収容部が設けられており、前記第一位置決め手段は、前記ナットを前記ナット収容部に収容することにより構成されていることを特徴とする請求項1記載の端子台。
【請求項3】
前記ナット収容部は、前記ナットと前記ヒートシンクとに密着した状態で上下方向両側から挟持される底板と、前記底板から上方に立ち上がり前記ナットの側面を囲む囲い壁とを備えて構成されており、
前記囲い壁の内面には、上下方向に延びて前記ナットの側面に当接可能な位置決めリブが複数設けられていることを特徴とする請求項2記載の端子台。
【請求項4】
前記位置決めリブは、前記囲い壁を全高に亘って補強するように形成されていることを特徴とする請求項3記載の端子台。
【請求項5】
前記ヒートシンクには、前記絶縁プレートの下面に設けられた突部を内部に嵌合可能な収容凹部が設けられており、前記第二位置決め手段は、前記ヒートシンクの前記収容凹部と前記絶縁プレートの前記突部とを嵌合させることにより構成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れか一項に記載の端子台。
【請求項6】
前記絶縁プレートの前記突部は、前記ナットに設けられたボルト締結孔と同軸をなし、上方から下方に凹んで前記絶縁プレートの下方に突出したボルト逃がし凹部を前記絶縁プレートに形成することで構成されていることを特徴とする請求項5記載の端子台。
【請求項7】
前記ナット収容部には、複数の前記ナットが収容可能とされており、
前記各ナット間には隔壁が設けられることで前記ナットが個別に収容されるようになっていることを特徴とする請求項2乃至請求項4の何れか一項に記載の端子台。
【請求項8】
機器から延びる導電体が載置されるナットと、前記ナットの前記導電体が載置される上面側とは反対側の下面側に配されるヒートシンクと、前記ナットと前記ヒートシンクとに密着した状態で上下方向両側から挟持される絶縁プレートと、前記ナットと前記絶縁プレートと前記ヒートシンクとを一体成形してなる成形樹脂部とを備えた端子台の製造方法であって、
前記絶縁プレートには、前記ナットを収容するナット収容部と、前記ナットに設けられたボルト挿通孔と同軸をなし、前記ナット収容部の底板を凹状に形成したボルト逃がし凹部とが設けられており、
前記ヒートシンクには、前記絶縁プレートの前記ボルト逃がし凹部を内部に嵌合可能な収容凹部が設けられており、
前記ナット収容部に前記ナットが収容され、且つ、前記ボルト逃がし凹部と前記ヒートシンクの前記収容凹部とが嵌合された状態で、
上方向に型開きする第一金型によって前記ナットを上方から支持し、下方向に型開きする第二金型によって前記ヒートシンクを下方から支持することで、前記ナットと前記絶縁プレートと前記ヒートシンクとを上下方向両側から挟み込み、
前記成形樹脂部を成形することを特徴とする端子台の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2012−151038(P2012−151038A)
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−10033(P2011−10033)
【出願日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【Fターム(参考)】
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