説明

端子圧着装置

【課題】連続端子の位置決めを簡単に行えること。
【解決手段】端子圧着装置1は、連続端子30に連ねられる複数の端子31のうちの一つの端子31を、クリンパ5及びアンビル7で加締めることによって、端子31を電線に圧着する圧着機構2を備えている。また、電線の芯線に対する圧着部34における軸心方向の一端側と当接させて、連続端子30が軸心方向の一端側へ移動するのを規制すると共に、クリンパ5及びアンビル7の軸心上の位置へ各端子31の圧着部34を案内する第1ガイド部23と、芯線に対する圧着部34における軸心方向の他端側と当接させて、連続端子30が軸心方向の他端側へ移動するのを規制すると共に、クリンパ5及びアンビル7の軸心上の位置へ各端子31の圧着部34を案内する第2ガイド部24とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電線の端部に端子を連続的に圧着する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
電線の端部に端子を連続的に圧着する装置として、端子圧着装置(端子圧着用アプリケータ)が知られている。一般に、端子圧着装置は、連続端子(複数の端子が連ねられた帯状部材)を繰り出して定められた送出経路に沿って次々と送出する送出機構と、鉛直方向に沿って移動される圧着金型で端子を加締めて電線に圧着する圧着機構とを含んで構成されており、これら各機構が連動して圧着工程を連続的に行うようになっている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第2870362号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
端子圧着装置においては、圧着金型による圧着位置のばらつきを抑制してベルマウス量を均等にするため、圧着時に各端子における芯線に対する圧着部が圧着金型の真下に位置するように連続端子の載置位置を調整することになる。図4は、2つのガイド部材50,51により連続端子60を規制した状態を示す概略正面図であり、図5は、図4のV-V線断面図である。この場合、図4及び図5に示すように、第1ガイド部材50を各端子63における芯線に対する圧着部63における軸心方向の一端側に当接させると共に、第2ガイド部材51を連続端子60の連鎖体62の外端側に当接させることにより、連続端子60における端子61の軸心方向への移動を規制して、各端子61の圧着部63を圧着金型52の真下に案内することが考えられる。
【0005】
各端子61の圧着部63におけるベルマウス量の精度を高めるために、各端子61の圧着部63の寸法精度は高いが、それ以外の部分(例えば、被覆に対する圧着部64等)は圧着部63と比べてそれほど寸法精度が要求されていないため、連続端子60の各端子61において圧着部63以外の寸法はロット毎にばらつきがある。その結果、ロット毎に圧着部63から連鎖体62までの寸法が変わる可能性があり、ロットを変更するたびに、連続端子60と2つのガイド部材50,51との当接位置をそれぞれ調整する必要があるため、連続端子の位置決めを簡単に行うことができない。
【0006】
そこで、本発明は、連続端子の位置決めを簡単に行えることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、第1の態様に係る端子圧着装置は、連続端子に連ねられる複数の端子のうちの一つの端子を、圧着金型で加締めることによって、前記端子を電線に圧着する圧着機構と、前記連続端子の各端子において、前記電線の芯線に対する圧着部における軸心方向の一端側と当接させて、前記連続端子が前記軸心方向の一端側へ移動するのを規制すると共に、前記圧着金型の軸心上の位置へ前記各端子の前記圧着部を案内する第1ガイド部と、前記各端子において、前記芯線に対する前記圧着部における前記軸心方向の他端側と当接させて、前記連続端子が前記軸心方向の他端側へ移動するのを規制すると共に、前記圧着金型の軸心上の位置へ前記各端子の前記圧着部を案内する第2ガイド部とを備えている。
【0008】
第2の態様は、第1の態様に係る端子圧着装置であって、前記第1ガイド部と前記第2ガイド部とが連結部材を介して一体的に形成されている。
【0009】
第3の態様は、第2の態様に係る端子圧着装置であって、前記連結部材は前記各端子の前記圧着部の上面と対向する位置に配設されている。
【発明の効果】
【0010】
第1の態様に係る端子圧着装置によると、第1ガイド部を、寸法精度の高い芯線に対する圧着部における軸心方向の一端側と当接させると共に、第2ガイド部を、寸法精度の高い芯線に対する圧着部における軸心方向の他端側と当接させることにより、連続端子の位置決めを簡単に行うことができる。また、寸法精度の高い前記圧着部を第1ガイド部と第2ガイド部とで当接させるため、ロットを変更した場合にも、連続端子と第1ガイド部及び第2ガイド部との当接位置を調整することなく、連続端子の位置決めを簡単に行うことができる。
【0011】
第2の態様によると、1つの部材で、各端子の芯線に対する圧着部における軸心方向の一端側及び他端側を当接させることができるため、第1ガイド部及び第2ガイド部の取付け誤差を低減できる。また、端子圧着装置の構成を簡単にすることができる。
【0012】
第3の態様によると、連結部材により連続端子が鉛直方向に移動するのを規制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】実施形態に係る端子圧着装置を示す概略正面図である。
【図2】同上の経路規定部を示す平面図である。
【図3】図2のIII-III線断面図である。
【図4】2つのガイド部材により連続端子を規制した状態を示す概略平面図である。
【図5】図4のV-V線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
{実施形態}
以下、実施形態に係る端子圧着装置1について説明する。図1は、端子圧着装置1を示す概略正面図である。ただし、図1においては、説明をわかりやすくするために、連続端子の図示が省略されている。なお、図1において、矢印の方向が連続端子の送出方向である。また、連続端子30及びこれに連ねられる端子31については、図2を参照することとする。
【0015】
最初に連続端子30について説明する。連続端子30は、複数の端子31が連ねられた帯状の部材であり、具体的には、帯状の連鎖帯32の片側に複数の端子31が等間隔で並列状に連鎖されて形成されている。各端子31には、被覆に対する圧着部33と、芯線に対する圧着部34が形成されている。圧着部34におけるベルマウス量の精度を高めるために、圧着部34は高い寸法精度で形成されている。
【0016】
ここで、ベルマウスとは、圧着接続を行う際、電線の径方向の圧縮圧力を除々に軽減し、圧着部34での断線を防ぐために圧着部34の端を若干膨らませた部分のことをいう。なお、各端子31において圧着部34以外の部分に関しては、圧着部34と比べて高い寸法精度が要求されていないため、圧着部34ほど高い寸法精度では形成されていない。
【0017】
端子圧着装置1は、連続端子30に連ねられる端子31(具体的には、端子31の圧着部34)に電線の端部を圧着固定する圧着機構2と、リール状に巻回された長尺の連続端子30を繰り出して圧着機構2に送給する送給機構10と、を含んでおり、圧着機構2と送給機構10が連動して、送出経路(連続端子30の長手方向)に沿って送出された端子31を電線の端部に連続的に圧着する工程を行う構成となっている。
【0018】
圧着機構2は、連続端子30に連ねられる複数の端子31のうちの1つの端子31を圧着金型(クリンパ5及びアンビル7)で加締めることによって、端子31を電線に圧着する。圧着機構2は、具体的には、シャンクホルダ3内に昇降移動可能に収容されたシャンク4と、シャンク4の下端に配設されたクリンパ5(圧着用の上金型)と、クリンパ5に対向する位置に配設されたアンビル7(圧着用の下金型)とを主として備える。その他にも、圧着機構2には、連鎖帯32から端子31を裁断するためのカッタ(図示省略)等が含まれる。
【0019】
圧着機構2においては、シャンク4が昇降移動されることによって、シャンク4に配設されたクリンパ5が昇降移動される。アンビル7上に端子31が配置された状態でシャンク4が降下されると、クリンパ5がアンビル7に近接移動し、クリンパ5とアンビル7との間でアンビル7上に配置された端子31の圧着部34が加締められて電線の端部と圧着される。なお、これと共に、カッタが当該端子31を連鎖帯32から切断する。
【0020】
送給機構10は、連続端子30の送出経路を規定する経路規定部11と、送出経路に沿って連続端子30を送出する(具体的には、端子31を1つずつ次々と送出する)送出部(図示省略)と、圧着機構2の動きと送給機構10の動きとを連動させる連動機構(図示省略)とを主として備える。
【0021】
次に、経路規定部11について説明する。図2は、経路規定部11を示す平面図であり、図3は、図2のIII-III線断面図である。経路規定部11は、圧着機構2に向かって延在する長尺板状のステージ12を備える。ステージ12は、その上面が連続端子30を圧着機構2に導くガイド面として機能する。すなわち、図2に示すように、連続端子30は、端子31をステージ12の一端側に向け、連鎖帯32をステージ12の他端側の側縁に沿わせた状態で、ステージ12上に載置され、送出部の駆動を受けて送出方向(図2において矢印の方向)に送出される。
【0022】
また、経路規定部11は、ステージ12の上面の一部を覆うように配設されたガイド部材20を備える。ガイド部材20は、平面視矩形状に形成され、側壁部21と、側壁部21の上端から水平方向に延びる連結部22(連結部材)と、連結部22から下方に突出する第1ガイド部23及び第2ガイド部24とを有する。ステージ12の長手方向の側端部(圧着部34側)に側壁部21の下端部が取付固定されている。ステージ12に対する側壁部21の取付固定の構成としては、例えばビス等を利用した構成等を採用できる。
【0023】
連結部22は圧着部34の上面と対向する位置に配設され、連結部22の下面には、第1ガイド部23及び第2ガイド部24が連結部22の長手方向に沿って一定の間隔を設けて配設されている。また、第1ガイド部23及び第2ガイド部24は、連結部22を介して一体的に形成されている。連結部22は、連続端子30における最上位位置よりも上方(実施形態においては僅かに上方)に配設されており、連続端子30が鉛直方向に位置ずれしないように規制する。
【0024】
第1ガイド部23は、端子31の圧着部34における軸心方向の一端側と当接させて、連続端子30が前記軸心方向の一端側へ移動しないように規制すると共に、クリンパ5及びアンビル7の軸心上の位置(クリンパ5の真下)へ各端子31の圧着部34を案内するものである。
【0025】
第2ガイド部24は、圧着部34における軸心方向の他端側と当接させて、連続端子30が前記軸心方向の他端側へ移動するのを規制すると共に、クリンパ5及びアンビル7の軸心上の位置(クリンパ5の真下)へ各端子31の圧着部34を案内するものである。
【0026】
すなわち、第1ガイド部23及び第2ガイド部24は、圧着部34におけるベルマウス量の精度を高めるために高い寸法精度に形成された圧着部34における軸心方向の両端部を挟み込んで、ステージ12上に送出される連続端子30がステージ12の幅方向に位置ずれしないように規制すると共に、クリンパ5及びアンビル7の軸心上の位置(クリンパ5の真下)へ各端子31の圧着部34を案内する。
【0027】
第1ガイド部23と第2ガイド部24との間隔は、各端子31の圧着部34における軸心方向の寸法と略同じ寸法に形成されており、圧着部34における軸心方向の両端部を、第1ガイド部23と第2ガイド部24とで前後方向から挟み込めるようになっている。
【0028】
次に、ステージ12に連続端子30をセットする方法について説明する。各端子31をステージ12の一端側に向けると共に連鎖帯32をステージ12の他端側に向けた状態で、連続端子30を送出経路の上流側からガイド部材20の下側に通して、圧着部34における軸心方向の両端部を第1ガイド部23と第2ガイド部24とで挟み込むようにして、連続端子30をステージ12にセットする。このように、第1ガイド部23と第2ガイド部24とで、圧着部34における軸心方向の両端部が挟み込まれることにより、各端子31の圧着部34におけるベルマウス量を考慮した連続端子30の位置決めがなされる。
【0029】
また、ガイド部材20の連結部22が弾性力を有する部材により形成されている場合は、ガイド部材20の連結部22の幅方向先端側を少し持ち上げて、連続端子30をステージ12上に載置してもよい。この場合、圧着部34における軸心方向の両端部が第1ガイド部23と第2ガイド部24の真下になるように連続端子30を動かしながら連結部22の幅方向先端側を元の高さに下ろすことにより、第1ガイド部23と第2ガイド部24とで、圧着部34における軸心方向の両端部が挟み込まれる。
【0030】
なお、ガイド部材は、ステージ12の側端部(連鎖体32側)に連結されたガイド部材の連結部に配設されてもよい。また、第1ガイド部と第2ガイド部は別体であってもよい。この場合、第1ガイド部は、ステージ12の側端部(圧着部34側)に連結されたガイド部材の連結部に配設され、第2ガイド部は、ステージ12の側端部(連鎖体32側)に連結されたガイド部材の連結部に配設される。
【0031】
以上のように構成された端子圧着装置1によると、第1ガイド部23を、寸法精度の高い芯線に対する圧着部34における軸心方向の一端側と当接させると共に、第2ガイド部24を、寸法精度の高い芯線に対する圧着部34における軸心方向の他端側と当接させることにより、各端子31の圧着部34におけるベルマウス量を考慮した連続端子30の位置決めを簡単に行うことができる。また、寸法精度の高い圧着部34を第1ガイド部23と第2ガイド部24とで当接させるため、ロットを変更した場合にも、連続端子30と第1ガイド部23及び第2ガイド部24との当接位置を調整することなく、前記ベルマウス量を考慮した連続端子30の位置決めを簡単に行うことができる。
【0032】
第1ガイド部23と第2ガイド部24とが連結部22を介して一体的に形成されているため、1つの部材で、各端子31の芯線に対する圧着部34における軸心方向の一端側及び他端側を当接させることができ、第1ガイド部23及び第2ガイド部24の取付け誤差を低減できる。また、端子圧着装置1の構成を簡単にすることができる。
【0033】
連結部22は各端子31の圧着部34の上面と対向する位置に配設されているため、連結部22により連続端子30が鉛直方向に移動するのを規制することができる。
【0034】
以上のようにこの発明は詳細に説明されたが、上記した説明は、すべての局面において、例示であって、この発明がそれに限定されるものではない。例示されていない無数の変形例が、この発明の範囲から外れることなく想定され得るものと解される。
【符号の説明】
【0035】
1 端子圧着装置
22 連結部
23 第1ガイド部
24 第2ガイド部
30 連続端子
31 端子
34 圧着部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
連続端子に連ねられる複数の端子のうちの一つの端子を、圧着金型で加締めることによって、前記端子を電線に圧着する圧着機構と、
前記連続端子の各端子において、前記電線の芯線に対する圧着部における軸心方向の一端側と当接させて、前記連続端子が前記軸心方向の一端側へ移動するのを規制すると共に、前記圧着金型の軸心上の位置へ前記各端子の前記圧着部を案内する第1ガイド部と、
前記各端子において、前記芯線に対する前記圧着部における前記軸心方向の他端側と当接させて、前記連続端子が前記軸心方向の他端側へ移動するのを規制すると共に、前記圧着金型の軸心上の位置へ前記各端子の前記圧着部を案内する第2ガイド部とを、
備える端子圧着装置。
【請求項2】
請求項1記載の端子圧着装置であって、
前記第1ガイド部と前記第2ガイド部とが連結部材を介して一体的に形成されている、端子圧着装置。
【請求項3】
請求項2記載の端子圧着装置であって、
前記連結部材は前記各端子の前記圧着部の上面と対向する位置に配設されている、端子圧着装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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