端子変形検出方法及び端子変形検出装置
【課題】端子付き電線の電線に接続された圧着端子の変形不良を確実且つ効率よく検出することができる端子変形検出方法及び端子変形検出装置を提供する。
【解決手段】端子付き電線ABを電線保持装置2と、位置補正装置3と、端子保持装置4で保持した後、変形検出ユニット5を、圧着端子Aのバレル部Aa下方に向けて開いた状態に変形されたインシュレーションバレルAb又はワイヤーバレルAcが変形検出センサー8の投光部8aと受光部8bの間に挿入される高さ位置に上昇停止させ、圧着端子A底面に沿って水平移動させる。圧着端子AのインシュレーションバレルAb及びワイヤーバレルAcの一方が開いた状態に変形している場合、変形検出センサー8の投光部8aと受光部8bの間が遮光され、変形検出センサー8から変形判定装置12へ出力される受光信号が一時中断されるので、正常な状態に圧着されていないと判定することができる。
【解決手段】端子付き電線ABを電線保持装置2と、位置補正装置3と、端子保持装置4で保持した後、変形検出ユニット5を、圧着端子Aのバレル部Aa下方に向けて開いた状態に変形されたインシュレーションバレルAb又はワイヤーバレルAcが変形検出センサー8の投光部8aと受光部8bの間に挿入される高さ位置に上昇停止させ、圧着端子A底面に沿って水平移動させる。圧着端子AのインシュレーションバレルAb及びワイヤーバレルAcの一方が開いた状態に変形している場合、変形検出センサー8の投光部8aと受光部8bの間が遮光され、変形検出センサー8から変形判定装置12へ出力される受光信号が一時中断されるので、正常な状態に圧着されていないと判定することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば端子付き電線の電線に接続された圧着端子の変形不良を検出する端子変形検出方法及び端子変形検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、上述の圧着端子の圧着状態を検出する方法としては、例えば圧着端子 を電線の端部に圧着接続する際に、端子圧着プレス機構の圧着力を荷重センサーで検出し、その圧着力検出信号の波形パターンに基づいて、圧着不良の圧着端子を検出する特許文献1の電線端子圧着不良検出装置がある。
【0003】
【特許文献1】特許第3221545号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、前記圧着端子を電線の端部に圧着接続する際に、インシュレーションバレルやワイヤーバレル等のバレル部が正常な状態に変形されず、外側に向けて開いた状態に変形されてしまうことがある。圧着不良の中でも、バレル部が外側に向けて開いた状態に変形する変形不良は、変形不良が発生する際に生じる荷重変化が非常に小さく、発生しても正常圧着時に検出される荷重とほとんど変化がないので、例えば荷重センサーや歪みセンサー等の圧着不良検出器では、バレル部の変形不良を検出することが困難である。このように、バレル部が外側に向けて開いた状態に変形している圧着端子をコネクタへ強引に挿入しようとすると、コネクタが損傷することがある。また、他の検出方法として、例えば画像センサーで検出する方法もあるが、検出用のユニットを設置するスペースが別途必要となるだけでなく、画像センサー自体が高価であるため、装置全体の製作費が高くなる。
【0005】
この発明は上記問題に鑑み、端子付き電線の電線に接続された圧着端子の変形不良を、例えばコネクタ等の端子挿入部へ挿入するまえに検出することができる端子変形検出方法及び端子変形検出装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載した発明の端子変形検出方法は、端子付き電線の電線に接続された圧着端子のバレル部が変形不良であることを検出する変形検出手段を、前記圧着端子に対して変形不良のバレル部が検出される位置に近接した後、該圧着端子に沿ってバレル部を通過する直前の検出開始直前位置から、該バレル部を通過した検出終了直後位置へ移動させて、前記バレル部通過時において、前記変形検出手段から出力される検出信号に基づいて、前記圧着端子のバレル部が正常な状態に圧着されているか否かを変形判定手段で判定することを特徴とする。
【0007】
この発明によると、変形検出手段を、圧着端子に対して変形不良のバレル部が検出される位置に近接した後、圧着端子に沿ってバレル部を通過する直前の検出開始直前位置から、該バレル部を通過した検出終了直後位置へ移動させる。バレル部通過時において、変形不良のバレル部を変形検出手段が検出した際に、変形検出手段から出力される検出信号に基づいて、圧着端子のバレル部が正常な状態に圧着されているか否かを変形判定手段で判定するものである。なお、圧着端子の変形不良とは、圧着不良の中でもバレル部のインシュレーションバレル、ワイヤーバレル等が外側に向けて開いた状態に変形していることである。
【0008】
つまり、バレル部通過時において、圧着端子のバレル部が正常な状態に変形されていなければ、変形検出手段によりバレル部の変形不良が検出されるので、変形判定手段は、変形検出手段から出力される信号に基づいて、圧着端子のバレル部が変形不良であると判定することができる。一方、バレル部が内側に向けて閉じた状態に変形されていれば、変形検出手段によりバレル部の変形不良が検出されず、変形判定手段は、圧着端子のバレル部が正常な状態に圧着されていると判定することができる。
【0009】
請求項2に記載した発明の端子変形検出装置は、端子付き電線の電線に接続された圧着端子のバレル部が変形不良であることを検出する変形検出手段と、前記変形検出手段を、前記圧着端子に対して変形不良のバレル部が検出される位置に近接する近接手段と、前記変形不良のバレル部が検出される位置へ移動した変形検出手段を、前記圧着端子に沿ってバレル部を通過する直前の検出開始直前位置から、該バレル部を通過した検出終了直後位置へ移動する移動手段と、前記バレル部通過時において、前記変形検出手段から出力される検出信号に基づいて、上記圧着端子のバレル部が正常な状態に圧着されているか否かを判定する変形判定手段を備えたことを特徴とする。
【0010】
この発明によると、変形検出手段を、近接手段により圧着端子に対して変形不良のバレル部が検出される位置に近接した後、移動手段により圧着端子に沿ってバレル部を通過する直前の検出開始直前位置から、バレル部を通過した検出終了直後位置へ移動させる。
【0011】
バレル部通過時において、圧着端子のバレル部が正常な状態に変形されていなければ、変形検出手段によりバレル部の変形不良が検出されるので、変形判定手段は、変形検出手段から出力される検出信号に基づいて、圧着端子のバレル部が変形不良であると判定することができる。一方、圧着端子のバレル部が正常な状態に変形されていれば、変形検出手段によりバレル部の変形不良が検出されず、変形判定手段は、圧着端子のバレル部が正常な状態に圧着されていると判定することができる。
【0012】
前記圧着端子のバレル部は、例えばインシュレーションバレル、ワイヤーバレル等で構成することができる。また、変形検出手段は、例えば投光部と受光部を備えた光電センサー、近接センサー、リミットスイッチ等の変形検出センサーで構成することができる。また、変形判定手段は、例えばパーソナルコンピューター、CPU、ROM、RAMを備えた装置等の制御装置で構成することができる。また、近接手段及び移動手段は、例えば流体圧式シリンダ、ソレノイド、モータ等のアクチュエーターで構成することができる。
【0013】
請求項3に記載した発明の端子変形検出方法は、上記請求項2に記載の構成と併せて、前記端子付き電線の電線に接続された圧着端子を、前記変形検出手段により変形不良のバレル部が検出される位置に保持する端子位置決め手段を備えたことを特徴とする。
【0014】
この発明によると、例えば自動端子圧着挿入機等に備えられた端子位置決め手段により、電線に接続された圧着端子を、変形検出手段により変形不良のバレル部が検出される位置に保持するので、端子変形検出装置を端子位置決め装置と一体化することができ、端子変形検出装置を設置するスペースを別途に確保する必要がなく、圧着端子を所定位置に保持した状態でバレル部の検出作業を行うので、圧着端子の変形不良を正確に検出することができ、検出精度の向上を図ることができる。また、変形検出手段を、近接手段と移動手段で2方向へ移動するので、多種多様な圧着端子でもバレル部の変形不良を検出することができる。
【0015】
前記端子位置決め手段は、例えば上下一対の各挟持部材を有する端子保持装置、左右一対の各補正部材を有する位置補正装置等で構成することができる。
【0016】
請求項4に記載した発明の端子変形検出装置は、上記請求項2又は3に記載の構成と併せて、前記変形検出手段を、検出光を投光する投光部と、該検出光を受光する受光部からなる光学式の変形検出センサーで構成したことを特徴とする。
【0017】
この発明によると、例えば光電センサー等の単純な変形検出センサーを用いて検出するので、装置全体を安価に製作することができる。
【発明の効果】
【0018】
この発明によれば、変形検出手段を、端子付き電線の圧着端子に対して変形不良のバレル部が検出される位置に近接した後、圧着端子に沿って移動させながら、変形検出手段から出力される検出信号に基づいて、圧着端子のバレル部が正常な状態に圧着されているか否かを変形判定手段により判定するので、例えば歪みセンサー等の良検出器では検出が困難なバレル部の変形不良も確実且つ効率よく検出することができる。
【0019】
また、例えば自動端子圧着挿入機等に備えられた端子位置決め手段により圧着端子を保持すれば、例えばコネクタ等の端子挿入部へ挿入するまえに、圧着端子のバレル部が正常な状態に圧着されているか否かを検出することができ、端子挿入部が損傷するのを防止することができる。また、変形不良の圧着端子が端子挿入工程へ誤って供給されることがなく、例えば自動端子圧着挿入機等により圧着端子を挿入する作業が機械的に行える。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
この発明は、端子付き電線の電線に接続された圧着端子の変形不良を確実且つ効率よく検出することができるという目的を、変形検出手段を、圧着端子の変形不良のバレル部が検出される位置へ移動させ、圧着端子に沿ってバレル部を通過する直前の検出開始直前位置から、該バレル部を通過した検出終了直後位置へ移動させることで達成した。
【実施例】
【0021】
この発明の一実施例を以下図面に基づいて詳述する。
図面は、端子付き電線の電線に接続された圧着端子の変形不良を検出する端子変形検出方法及び端子変形検出装置を示し、図1、図2、図3に於いて、この端子変形検出方法は、圧着端子Aを電線B端部に接続してなる端子付き電線ABを、電線保持装置2と、位置補正装置3と、端子保持装置4で略水平に保持して位置決めした後、変形検出ユニット5を、上下移動装置6により圧着端子A底面に対して変形不良のバレル部Aaが検出される位置に近接するとともに、変形不良のバレル部Aaが変形検出センサー8の投光部8aと受光部8bの間に挿入される高さ位置に上昇停止させる。なお、電線保持装置2と、位置補正装置3と、端子保持装置4は、例えば端子付き電線ABの電線Bに接続された圧着端子Aを、コネクタの端子挿入部へ挿入する自動端子圧着挿入機等に備えられている。
【0022】
この後、変形不良のバレル部Aaが検出される位置に近接した変形検出ユニット5を、前後移動装置7により圧着端子A底面に沿ってバレル部Aa下方を通過する直前の検出開始直前位置(図2中の右側実線位置)から、バレル部Aa下方を通過した検出終了直後位置(図2中の左側仮想線位置)へ平行移動させる。
【0023】
バレル部Aaが正常な状態に変形されていなければ、変形検出センサー8の投光部8aと受光部8bの間が遮光され、変形検出センサー8から変形判定装置12へ出力される受光信号が一時中断されるので、圧着端子Aのバレル部Aaが正常な状態に圧着されていない「不良品」であると判定することができる。
【0024】
一方、変形検出センサー8の投光部8aと受光部8bの間が遮光されなければ、変形検出センサー8から変形判定装置12へ受光信号が出力されるので、圧着端子Aのバレル部Aaが正常な状態(図8参照)に圧着されている「良品」であると判定することができる。
【0025】
前記圧着端子Aの変形不良を検出する端子変形検出装置1は、圧着端子Aが接続された電線Bを保持する電線保持装置2と、電線B端部に接続された圧着端子Aをバレル部Aaの変形不良が検出される位置に補正する位置補正装置3と、圧着端子Aをバレル部Aaの変形不良が検出される高さに位置決めする端子保持装置4と、バレル部Aaを構成するインシュレーションバレルAb及びワイヤーバレルAcが外側に向けて開いた状態に変形(図9、図10参照)しているか否かを検出する変形検出ユニット5と、変形検出ユニット5をバレル部Aaの変形不良が検出される高さに上下移動する上下移動装置6と、バレル部Aaを構成するインシュレーションバレルAb及びワイヤーバレルAcの変形不良が検出される位置に前後移動する前後移動装置7を備えている。
【0026】
電線保持装置2は、左右一対の各把持部材2a,2aを、図示しない圧着工程から搬送される圧着端子Aに接続された電線Bの両側面と対向して配置(図2中の左側)している。左右一対の各把持部材2a,2aは、圧着工程から端子付き電線ABが搬送された際に、圧着端子Aに接続された電線Bを把持して、電線Bに接続された圧着端子Aを、後述する変形検出ユニット5によるバレル変形検出が可能な高さ及び位置に保持する。
【0027】
また、左右一対の各把持部材2a,2aは、図示しないアクチュエーター(例えばモータ等)により圧着端子Aの差込み部Adが後述する端子保持装置4の各挟持部材4a,4a間に挿入される前進方向と、その各挟持部材4a,4a間から引抜かれる後退方向へ前後移動自在に設けられている。つまり、各把持部材2a,2aで保持した圧着端子Aの差込み部Adが端子保持装置4の各挟持部材4a,4a間に所定寸法挿入され、後述する位置補正装置3の各補正部材3a,3aによる保持が許容される寸法だけ突出される停止位置に、圧着端子A毎に位置決めする。
【0028】
一対の各把持部材2a,2aは、図示しないアクチュエーターにより圧着端子Aに接続された電線Bを杷持する閉位置と、その杷持が解除される開位置に開閉動作される。また、各把持部材2a,2aの杷持面は、圧着端子Aに接続された電線Bが中央部把持面に把持される形状に形成している。例えば中央部把持面よりも両端部把持面が電線B側に向けて突出する形状に形成するとともに、中央部把持面から両端部把持面に向けて徐々に広くなるテーパー面に形成している。
【0029】
把持部材2aの杷持面には、電線Bの側面に対して直交する方向に係止される縦長の突起2bを上下方向に形成するとともに、該把持部材2aの把持面に沿って前後方向(電線Bと平行する方向)に対して多数配列している。つまり、一対の各把持部材2a,2aにより電線Bを把持した際に、各把持部材2a,2aの把持面に形成した各突起2b…が電線Bの外周面に食い込むため、電線Bの把持位置が変位するのを防止することができる。
【0030】
位置補正装置3は、左右一対の各補正部材3a,3aを、後述する端子保持装置4の各挟持部材4a,4aよりも外側に突出する状態に保持された圧着端子Aの差込み部Ad両側面と対向して配置(図2中の右側)している。一対の各補正部材3a,3aは、各挟持部材4a,4aよりも外側(図2中の左側)に突出する圧着端子Aの差込み部Adを保持して、電線Bに接続された圧着端子Aを、後述する変形検出センサー8の投光部8aと受光部8bの間に挿入される位置に補正する。
【0031】
また、一対の各補正部材3a,3aは、図示しないアクチュエーターにより電線Bに接続された圧着端子Aが挟持される閉位置と、その挟持が解除される開位置に開閉動作される。
【0032】
端子保持装置4は、上下一対の各挟持部材4a,4aを、電線Bに接続された圧着端子Aの差込み部Adと対向して上下に配置(図2中の右側)している。一対の各挟持部材4a,4aは、図示しない圧着工程から端子付き電線ABが搬送された際に、電線Bに接続された圧着端子Aの差込み部Adを長さ方向に対して所定寸法挿入された位置に挟持するとともに、バレル部Aa下方に垂下されたインシュレーションバレルAb及びワイヤーバレルAcの少なくとも一方の変形不良が後述する変形検出ユニット5により検出される高さ位置に位置決めする。また、圧着端子Aの差込み部Adは、各挟持部材4a,4aにより挟持された際に、位置補正装置3の各補正部材3a,3aによる保持が許容される寸法分だけ各挟持部材4a,4aよりも外側へ突出される。
【0033】
また、一対の各挟持部材4a,4aは、図示しないアクチュエーターにより電線Bに接続された圧着端子Aが挟持される閉位置と、その挟持が解除される開位置に開閉動作される。且つ、位置補正装置3による圧着端子Aの位置補正が終了するまでは開位置に待機している。
【0034】
なお、アクチュエーターは、例えば流体圧式シリンダ、ソレノイド、モータ等で構成することができる。また、補正部材3aの把持面や挟持部材4aの挟持面に、例えば接触抵抗の大きな滑り止め部材を装着するか、小さな凹凸を形成する等してもよい。
【0035】
変形検出ユニット5は、図4、図5、図6にも示すように、圧着端子Aのバレル部Aa下方に垂下された変形不良のインシュレーションバレルAb及びワイヤーバレルAcを検出する変形検出センサー8と、変形検出センサー8の投光部8aと受光部8bが一対の各支持部9a,9aに設けられた正面から見て略凹状の支持部材9で構成される。
【0036】
変形検出センサー8は、圧着端子A底面よりも下方に向けて変形されたインシュレーションバレルAb及びワイヤーバレルAcに向けて検出光を投光するための投光部8aと、その投光部8aから投光される検出光を受光するための受光部8bで構成される。また、投光部8aと受光部8bは、後述する支持部材9の上端側両側部に立設した一対の各支持部9a,9aの対向面に設けられている。なお、投光部8aから投光される検出光を受光部8bにより受光している間は、変形検出センサー8から後述する変形判定装置12へ受光信号が常時出力される。
【0037】
支持部材9は、位置補正装置3と端子保持装置4により保持された圧着端子Aを跨ぐような形状に形成され、後述する昇降部材10の上端側中央部に固定されている。また、一対の各支持部9a,9aは、電線Bに接続された圧着端子Aの横幅よりも幅広となる間隔に隔てて立設され、各支持部9a,9aの対向面に相対向して設けられた投光部8aと受光部8bの間に、バレル部Aa下方に垂下されたインシュレーションバレルAb及びワイヤーバレルAcの挿入が許容される深さに形成している。
【0038】
昇降部材10は、ユニットベース11上に配置された上下移動装置6の摺動軸上端部に固定している。上下移動装置6は、図1、図2に示すように、昇降部材10上端に固定された変形検出ユニット5を、位置補正装置3と端子保持装置4で位置決め状態に保持された圧着端子A底面に対して変形不良のバレル部Aaが検出される位置に近接するとともに、バレル部Aa下方に垂下された変形不良のインシュレーションバレルAb及びワイヤーバレルAcが、支持部材9に設けた変形検出センサー8の投光部8aと受光部8bの間の検出領域に挿入される上昇位置と、圧着端子Aから所定間隔に離間されるとともに、バレル部Aa下方に垂下されたインシュレーションバレルAb及びワイヤーバレルAcに対して当接が回避される下降位置に上下移動する。
【0039】
また、圧着端子A底面と電線B外形面が略同一である場合、通常は上下移動装置6のシリンダ動作を例えばねじ式ストッパー等で高さ調節して、変形検出ユニット5の上昇停止位置を決めているが、圧着端子A底面と電線B外形面の差が大きい場合は、例えばモータ等の図示しないアクチュエーターで変形検出ユニット5の上昇停止位置を電線Bの線径毎に変更する。
【0040】
ユニットベース11は、上下移動装置6の後方(図2中の右側)に配置された前後移動装置7の摺動軸前端部に連結している。前後移動装置7は、ユニットベース11上に配置された変形検出ユニット5を、位置補正装置3と端子保持装置4で位置決め状態に保持された圧着端子A底面に沿って前後移動へ水平移動するとともに、バレル部AaのワイヤーバレルAcを検出する位置と、インシュレーションバレルAbを検出する位置とが充分包括される検出範囲で移動する。
【0041】
つまり、図6、図7に示すように、上下移動装置6により上昇された変形検出ユニット5を、投光部8aから受光部8bへ投光される検出光が圧着端子A底面に当てられる直前位置まで上昇させ、バレル部Aa下方に垂下されたインシュレーションバレルAb及びワイヤーバレルAcの少なくとも一方が変形検出センサー8の投光部8aと受光部8bの間に挿入される高さに上昇停止したまま、位置補正装置3と端子保持装置4で位置決め状態に保持された圧着端子AのワイヤーバレルAc下方を通過する直前の検出開始直前位置(図2中の右側実線位置)から、インシュレーションバレルAb下方を通過した検出終了直後位置(図2中の左側仮想線位置)へ平行移動する。
【0042】
なお、検出開始直前位置は、位置補正装置3の各補正部材3a,3aにより保持された圧着端子Aの差込み部Adと、各補正部材3a,3aよりも外側(図2中の左側)に突出するワイヤーバレルAcの間に設定している。
【0043】
検出動作終了後において、上下移動装置6により下降位置まで垂直降下された変形検出ユニット5を、バレル部Aa下方に垂下されたインシュレーションバレルAb及びワイヤーバレルAcに対して当接が回避される高さに下降したまま、前記検出終了直後位置から検出開始直前位置へ復帰移動する。
【0044】
例えば図8に示すように、バレル部AaのインシュレーションバレルAb及びワイヤーバレルAcが正常な状態に圧着されている場合、変形検出センサー8を圧着端子A底面に近接したままインシュレーションバレルAb及びワイヤーバレルAcの下方へ水平移動しても、検出光が遮光されることがなく、変形検出センサー8の投光部8aから投光される検出光が受光部8bにより受光されるので、変形検出センサー8から変形判定装置12へ受光信号が常時出力される。この場合、変形判定装置12は、バレル部AaのインシュレーションバレルAb及びワイヤーバレルAcが電線Bに対して正常な状態(図8参照)に圧着されている「良品」であると判定する。
【0045】
また、図9、図10に示すように、バレル部AaのインシュレーションバレルAb及びワイヤーバレルAcの少なくとも一方が下方に向けて垂直に変形されている場合、変形検出ユニット5の変形検出センサー8を圧着端子A底面に近接したままインシュレーションバレルAb及びワイヤーバレルAcの下方へ水平移動すると、インシュレーションバレルAb及びワイヤーバレルAcの一方又は両方により変形検出センサー8の投光部8aと受光部8bの間が遮光され、投光部8aから投光される検出光が受光部8bにより受光されないので、変形検出センサー8から変形判定装置12へ出力される受光信号が一時中断される。
【0046】
受光信号が一時中断された場合、変形判定装置12は、バレル部AaのインシュレーションバレルAb及びワイヤーバレルAcの少なくとも一方が電線Bに対して正常な状態(図8参照)に圧着されていない「不良検出」と判定する。
【0047】
変形検出ユニット5をバレル部AaのインシュレーションバレルAb下方へ水平移動した際に、変形検出センサー8から出力される受光信号が一時中断されれば、インシュレーションバレルAbが変形不良であると判定することができる。
【0048】
また、変形検出ユニット5をバレル部AaのワイヤーバレルAc下方へ水平移動した際に、変形検出センサー8から出力される受光信号が一時中断されれば、ワイヤーバレルAcが変形不良であると判定することができる。
【0049】
図示実施例は上記の如く構成するものにして、以下、端子変形検出装置1による圧着端子Aの変形検出方法を説明する。
【0050】
先ず、図1、図2、図3に示すように、端子付き電線ABが端子変形検出装置1に供給された際に、電線保持装置2を駆動して、圧着端子Aに接続された電線Bを左右一対の各把持部材2a,2aにより把持し、電線Bに接続された圧着端子Aを、後述する変形検出ユニット5によるバレル部Aaの変形不良が検出される高さ及び位置に保持する。この時、電線Bに接続された圧着端子Aの差込み部Adを、端子保持装置4を構成する下側挟持部材4aに載置して、端子付き電線AB全体を略水平に支持する。
【0051】
次に、位置補正装置3を駆動して、端子保持装置4の各挟持部材4a,4aよりも外側に突出された圧着端子Aの差込み部Adを一対の各補正部材3a,3aにより保持して、電線Bに接続された圧着端子Aを、後述する変形検出センサー8の投光部8aと受光部8bの間に挿入される位置に補正する。
【0052】
次に、端子保持装置4を駆動して、電線Bに接続された圧着端子Aの差込み部Adを上下一対の各挟持部材4a,4aにより挟持し、バレル部Aa下方に垂下された変形不良のインシュレーションバレルAbが後述する変形検出センサー8の投光部8aと受光部8bの間に挿入される高さ位置に位置決めする。
【0053】
次に、上下移動装置6を駆動して、図5、図6にも示すように、変形検出ユニット5を上方へ垂直移動させ、位置補正装置3により保持された圧着端子Aの差込み部AdとワイヤーバレルAcの間に下方から跨らせるとともに、位置補正装置3及び端子保持装置4により位置決めされた圧着端子A底面に対して変形検出センサー8の投光部8aから受光部8bへ投光される検出光が当てられる直前の位置まで上昇させ、バレル部Aa下方に垂下された変形不良のインシュレーションバレルAbが変形検出センサー8の投光部8aと受光部8bの間に挿入される上昇位置に停止する。また、変形検出ユニット5を圧着端子A底面が検出される高さに上昇した後、バレル部Aaの変形不良が検出される位置に下降してもよい。
【0054】
次に、前後移動装置7を駆動して、図2、図3、図7にも示すように、変形検出ユニット5を、バレル部Aa下方に垂下されたインシュレーションバレルAbが変形検出センサー8の投光部8aと受光部8bの間に挿入される高さに上昇したまま、端子保持装置4により保持された圧着端子A底面に沿って、圧着端子AのワイヤーバレルAc下方を通過する直前の検出開始直前位置から、インシュレーションバレルAb下方を通過した検出終了直後位置へ水平移動させる。
【0055】
つまり、圧着端子AのインシュレーションバレルAb及びワイヤーバレルAcが内側に向けて変形され、電線Bの導体に被覆された被覆部が締め付けられる正常な状態に圧着されている場合(図8参照)、変形検出ユニット5を圧着端子A底面に近接したまま、バレル部AaのインシュレーションバレルAb及びワイヤーバレルAcの下方へ水平移動しても、検出光が遮光されず、変形検出センサー8の投光部8aから投光される検出光が受光部8bにより受光されるので、変形検出センサー8から変形判定装置12へ受光信号が常時出力される。この場合、変形判定装置12は、圧着端子AのインシュレーションバレルAb及びワイヤーバレルAcが正常な状態に圧着されている「良品」であると判定する。
【0056】
例えばバレル部AaのインシュレーションバレルAbが下方に向けて垂直に変形している場合(図9参照)、変形検出ユニット5を圧着端子A底面に近接したまま、バレル部AaのインシュレーションバレルAb下方へ水平移動すると、そのインシュレーションバレルAbにより変形検出センサー8の投光部8aと受光部8bの間が遮光されるので、投光部8aから投光される検出光が受光部8bにより受光されず、変形検出センサー8から変形判定装置12へ出力される受光信号が一時中断される。この場合、変形判定装置12は、圧着端子AのインシュレーションバレルAbが正常な状態に圧着されていない「不良品」であると判定する。
【0057】
検出動作終了後において、変形検出ユニット5を、バレル部Aa下方に垂下されたインシュレーションバレルAbに対して当接が回避される高さに下降した後、前記検出終了直後位置(図中の左側)から検出開始直前位置(図中の右側)へ復帰移動させる。
【0058】
次に、圧着端子Aの圧着状態が正常であると判定された端子付き電線ABを図示しない端子挿入装置により保持した後、電線保持装置2と、位置補正装置3と、端子保持装置4による保持を解除する。この後、端子挿入装置により保持した端子付き電線ABの圧着端子Aを図示しないコネクタへ挿入する。一方、圧着端子Aの圧着状態が不良であると判定された端子付き電線ABは廃却する。
【0059】
また、バレル部AaのワイヤーバレルAcが下方に向けて垂直に変形している場合(図10参照)、変形検出ユニット5を圧着端子A底面に近接したまま、バレル部AaのワイヤーバレルAc下方へ水平移動した際に、変形検出センサー8から変形判定装置12へ出力される受光信号が一時中断されるので、変形判定装置12により「不良品」であると判定される。或いは、圧着端子AのインシュレーションバレルAb及びワイヤーバレルAcの両方が変形している場合、変形判定装置12により「不良品」であると判定される。
【0060】
以上のように、変形検出ユニット5の変形検出センサー8を、位置補正装置3及び端子保持装置4で保持された端子付き電線ABの圧着端子A底面に対して変形不良のバレル部Aaが検出される位置に近接した後、変形検出ユニット5を、圧着端子A底面に沿ってバレル部Aa下方を通過する直前の検出開始直前位置から、バレル部Aa下方を通過した検出終了直後位置へ平行移動させながら、変形検出センサー8から出力される検出信号に基づいて、圧着端子Aのバレル部Aaが正常な状態に圧着されているか否かを変形判定装置12により判定するので、例えば歪みセンサー等の検出器では検出が困難なバレル部Aaの変形不良も確実且つ効率よく検出することができる。
【0061】
また、例えば自動端子圧着挿入機等に備えられた位置補正装置3及び端子保持装置4により圧着端子Aを保持するので、例えばコネクタ等の端子挿入部へ挿入するまえに、圧着端子Aのバレル部Aaが正常な状態に圧着されているか否かを検出することができ、端子挿入部が損傷するのを防止することができる。また、変形不良の圧着端子Aが端子挿入工程へ誤って供給されることがなく、端子付き電線ABの圧着端子Aを端子挿入部へ挿入する作業が機械的に行える。
【0062】
この発明の構成と、上述の実施例との対応において、
この発明の変形検出手段は、実施例の変形検出センサー8に対応し、
以下同様に、
近接手段は、上下移動装置6に対応し、
移動手段は、前後移動装置7に対応し、
変形判定手段は、変形判定装置12に対応し、
端子位置決め手段は、位置補正装置3と、端子保持装置4に対応するも、
この発明は、上述の実施例の構成のみに限定されるものではなく、請求項に示される技術思想に基づいて応用することができ、多くの実施の形態を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】端子変形検出装置による圧着端子の変形検出方法を示す斜視図。
【図2】端子変形検出装置による圧着端子の変形検出方法を示す側面図。
【図3】端子変形検出装置による圧着端子の変形検出方法を示す平面図。
【図4】投光部及び受光部を備えた変形検出センサーを示す斜視図。
【図5】変形検出センサーを圧着端子底面に近接した上昇状態を示す側面図。
【図6】投光部と受光部の間への圧着端子のバレル挿入状態を示す正面図。
【図7】変形検出センサーを水平移動する検出動作を示す側面図。
【図8】圧着端子の正常なバレル圧着状態を示す側面図。
【図9】圧着端子のインシュレーションバレルの変形状態を示す側面図。
【図10】圧着端子のワイヤーバレルの変形状態を示す側面図。
【符号の説明】
【0064】
A…圧着端子
Aa…バレル部
Ab…インシュレーションバレル
Ac…ワイヤーバレル
B…電線
AB…端子付き電線
1…端子変形検出装置
2…電線保持装置
3…位置補正装置
4…端子保持装置
5…変形検出ユニット
6…上下移動装置
7…前後移動装置
8…変形検出センサー
12…変形判定装置
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば端子付き電線の電線に接続された圧着端子の変形不良を検出する端子変形検出方法及び端子変形検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、上述の圧着端子の圧着状態を検出する方法としては、例えば圧着端子 を電線の端部に圧着接続する際に、端子圧着プレス機構の圧着力を荷重センサーで検出し、その圧着力検出信号の波形パターンに基づいて、圧着不良の圧着端子を検出する特許文献1の電線端子圧着不良検出装置がある。
【0003】
【特許文献1】特許第3221545号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、前記圧着端子を電線の端部に圧着接続する際に、インシュレーションバレルやワイヤーバレル等のバレル部が正常な状態に変形されず、外側に向けて開いた状態に変形されてしまうことがある。圧着不良の中でも、バレル部が外側に向けて開いた状態に変形する変形不良は、変形不良が発生する際に生じる荷重変化が非常に小さく、発生しても正常圧着時に検出される荷重とほとんど変化がないので、例えば荷重センサーや歪みセンサー等の圧着不良検出器では、バレル部の変形不良を検出することが困難である。このように、バレル部が外側に向けて開いた状態に変形している圧着端子をコネクタへ強引に挿入しようとすると、コネクタが損傷することがある。また、他の検出方法として、例えば画像センサーで検出する方法もあるが、検出用のユニットを設置するスペースが別途必要となるだけでなく、画像センサー自体が高価であるため、装置全体の製作費が高くなる。
【0005】
この発明は上記問題に鑑み、端子付き電線の電線に接続された圧着端子の変形不良を、例えばコネクタ等の端子挿入部へ挿入するまえに検出することができる端子変形検出方法及び端子変形検出装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載した発明の端子変形検出方法は、端子付き電線の電線に接続された圧着端子のバレル部が変形不良であることを検出する変形検出手段を、前記圧着端子に対して変形不良のバレル部が検出される位置に近接した後、該圧着端子に沿ってバレル部を通過する直前の検出開始直前位置から、該バレル部を通過した検出終了直後位置へ移動させて、前記バレル部通過時において、前記変形検出手段から出力される検出信号に基づいて、前記圧着端子のバレル部が正常な状態に圧着されているか否かを変形判定手段で判定することを特徴とする。
【0007】
この発明によると、変形検出手段を、圧着端子に対して変形不良のバレル部が検出される位置に近接した後、圧着端子に沿ってバレル部を通過する直前の検出開始直前位置から、該バレル部を通過した検出終了直後位置へ移動させる。バレル部通過時において、変形不良のバレル部を変形検出手段が検出した際に、変形検出手段から出力される検出信号に基づいて、圧着端子のバレル部が正常な状態に圧着されているか否かを変形判定手段で判定するものである。なお、圧着端子の変形不良とは、圧着不良の中でもバレル部のインシュレーションバレル、ワイヤーバレル等が外側に向けて開いた状態に変形していることである。
【0008】
つまり、バレル部通過時において、圧着端子のバレル部が正常な状態に変形されていなければ、変形検出手段によりバレル部の変形不良が検出されるので、変形判定手段は、変形検出手段から出力される信号に基づいて、圧着端子のバレル部が変形不良であると判定することができる。一方、バレル部が内側に向けて閉じた状態に変形されていれば、変形検出手段によりバレル部の変形不良が検出されず、変形判定手段は、圧着端子のバレル部が正常な状態に圧着されていると判定することができる。
【0009】
請求項2に記載した発明の端子変形検出装置は、端子付き電線の電線に接続された圧着端子のバレル部が変形不良であることを検出する変形検出手段と、前記変形検出手段を、前記圧着端子に対して変形不良のバレル部が検出される位置に近接する近接手段と、前記変形不良のバレル部が検出される位置へ移動した変形検出手段を、前記圧着端子に沿ってバレル部を通過する直前の検出開始直前位置から、該バレル部を通過した検出終了直後位置へ移動する移動手段と、前記バレル部通過時において、前記変形検出手段から出力される検出信号に基づいて、上記圧着端子のバレル部が正常な状態に圧着されているか否かを判定する変形判定手段を備えたことを特徴とする。
【0010】
この発明によると、変形検出手段を、近接手段により圧着端子に対して変形不良のバレル部が検出される位置に近接した後、移動手段により圧着端子に沿ってバレル部を通過する直前の検出開始直前位置から、バレル部を通過した検出終了直後位置へ移動させる。
【0011】
バレル部通過時において、圧着端子のバレル部が正常な状態に変形されていなければ、変形検出手段によりバレル部の変形不良が検出されるので、変形判定手段は、変形検出手段から出力される検出信号に基づいて、圧着端子のバレル部が変形不良であると判定することができる。一方、圧着端子のバレル部が正常な状態に変形されていれば、変形検出手段によりバレル部の変形不良が検出されず、変形判定手段は、圧着端子のバレル部が正常な状態に圧着されていると判定することができる。
【0012】
前記圧着端子のバレル部は、例えばインシュレーションバレル、ワイヤーバレル等で構成することができる。また、変形検出手段は、例えば投光部と受光部を備えた光電センサー、近接センサー、リミットスイッチ等の変形検出センサーで構成することができる。また、変形判定手段は、例えばパーソナルコンピューター、CPU、ROM、RAMを備えた装置等の制御装置で構成することができる。また、近接手段及び移動手段は、例えば流体圧式シリンダ、ソレノイド、モータ等のアクチュエーターで構成することができる。
【0013】
請求項3に記載した発明の端子変形検出方法は、上記請求項2に記載の構成と併せて、前記端子付き電線の電線に接続された圧着端子を、前記変形検出手段により変形不良のバレル部が検出される位置に保持する端子位置決め手段を備えたことを特徴とする。
【0014】
この発明によると、例えば自動端子圧着挿入機等に備えられた端子位置決め手段により、電線に接続された圧着端子を、変形検出手段により変形不良のバレル部が検出される位置に保持するので、端子変形検出装置を端子位置決め装置と一体化することができ、端子変形検出装置を設置するスペースを別途に確保する必要がなく、圧着端子を所定位置に保持した状態でバレル部の検出作業を行うので、圧着端子の変形不良を正確に検出することができ、検出精度の向上を図ることができる。また、変形検出手段を、近接手段と移動手段で2方向へ移動するので、多種多様な圧着端子でもバレル部の変形不良を検出することができる。
【0015】
前記端子位置決め手段は、例えば上下一対の各挟持部材を有する端子保持装置、左右一対の各補正部材を有する位置補正装置等で構成することができる。
【0016】
請求項4に記載した発明の端子変形検出装置は、上記請求項2又は3に記載の構成と併せて、前記変形検出手段を、検出光を投光する投光部と、該検出光を受光する受光部からなる光学式の変形検出センサーで構成したことを特徴とする。
【0017】
この発明によると、例えば光電センサー等の単純な変形検出センサーを用いて検出するので、装置全体を安価に製作することができる。
【発明の効果】
【0018】
この発明によれば、変形検出手段を、端子付き電線の圧着端子に対して変形不良のバレル部が検出される位置に近接した後、圧着端子に沿って移動させながら、変形検出手段から出力される検出信号に基づいて、圧着端子のバレル部が正常な状態に圧着されているか否かを変形判定手段により判定するので、例えば歪みセンサー等の良検出器では検出が困難なバレル部の変形不良も確実且つ効率よく検出することができる。
【0019】
また、例えば自動端子圧着挿入機等に備えられた端子位置決め手段により圧着端子を保持すれば、例えばコネクタ等の端子挿入部へ挿入するまえに、圧着端子のバレル部が正常な状態に圧着されているか否かを検出することができ、端子挿入部が損傷するのを防止することができる。また、変形不良の圧着端子が端子挿入工程へ誤って供給されることがなく、例えば自動端子圧着挿入機等により圧着端子を挿入する作業が機械的に行える。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
この発明は、端子付き電線の電線に接続された圧着端子の変形不良を確実且つ効率よく検出することができるという目的を、変形検出手段を、圧着端子の変形不良のバレル部が検出される位置へ移動させ、圧着端子に沿ってバレル部を通過する直前の検出開始直前位置から、該バレル部を通過した検出終了直後位置へ移動させることで達成した。
【実施例】
【0021】
この発明の一実施例を以下図面に基づいて詳述する。
図面は、端子付き電線の電線に接続された圧着端子の変形不良を検出する端子変形検出方法及び端子変形検出装置を示し、図1、図2、図3に於いて、この端子変形検出方法は、圧着端子Aを電線B端部に接続してなる端子付き電線ABを、電線保持装置2と、位置補正装置3と、端子保持装置4で略水平に保持して位置決めした後、変形検出ユニット5を、上下移動装置6により圧着端子A底面に対して変形不良のバレル部Aaが検出される位置に近接するとともに、変形不良のバレル部Aaが変形検出センサー8の投光部8aと受光部8bの間に挿入される高さ位置に上昇停止させる。なお、電線保持装置2と、位置補正装置3と、端子保持装置4は、例えば端子付き電線ABの電線Bに接続された圧着端子Aを、コネクタの端子挿入部へ挿入する自動端子圧着挿入機等に備えられている。
【0022】
この後、変形不良のバレル部Aaが検出される位置に近接した変形検出ユニット5を、前後移動装置7により圧着端子A底面に沿ってバレル部Aa下方を通過する直前の検出開始直前位置(図2中の右側実線位置)から、バレル部Aa下方を通過した検出終了直後位置(図2中の左側仮想線位置)へ平行移動させる。
【0023】
バレル部Aaが正常な状態に変形されていなければ、変形検出センサー8の投光部8aと受光部8bの間が遮光され、変形検出センサー8から変形判定装置12へ出力される受光信号が一時中断されるので、圧着端子Aのバレル部Aaが正常な状態に圧着されていない「不良品」であると判定することができる。
【0024】
一方、変形検出センサー8の投光部8aと受光部8bの間が遮光されなければ、変形検出センサー8から変形判定装置12へ受光信号が出力されるので、圧着端子Aのバレル部Aaが正常な状態(図8参照)に圧着されている「良品」であると判定することができる。
【0025】
前記圧着端子Aの変形不良を検出する端子変形検出装置1は、圧着端子Aが接続された電線Bを保持する電線保持装置2と、電線B端部に接続された圧着端子Aをバレル部Aaの変形不良が検出される位置に補正する位置補正装置3と、圧着端子Aをバレル部Aaの変形不良が検出される高さに位置決めする端子保持装置4と、バレル部Aaを構成するインシュレーションバレルAb及びワイヤーバレルAcが外側に向けて開いた状態に変形(図9、図10参照)しているか否かを検出する変形検出ユニット5と、変形検出ユニット5をバレル部Aaの変形不良が検出される高さに上下移動する上下移動装置6と、バレル部Aaを構成するインシュレーションバレルAb及びワイヤーバレルAcの変形不良が検出される位置に前後移動する前後移動装置7を備えている。
【0026】
電線保持装置2は、左右一対の各把持部材2a,2aを、図示しない圧着工程から搬送される圧着端子Aに接続された電線Bの両側面と対向して配置(図2中の左側)している。左右一対の各把持部材2a,2aは、圧着工程から端子付き電線ABが搬送された際に、圧着端子Aに接続された電線Bを把持して、電線Bに接続された圧着端子Aを、後述する変形検出ユニット5によるバレル変形検出が可能な高さ及び位置に保持する。
【0027】
また、左右一対の各把持部材2a,2aは、図示しないアクチュエーター(例えばモータ等)により圧着端子Aの差込み部Adが後述する端子保持装置4の各挟持部材4a,4a間に挿入される前進方向と、その各挟持部材4a,4a間から引抜かれる後退方向へ前後移動自在に設けられている。つまり、各把持部材2a,2aで保持した圧着端子Aの差込み部Adが端子保持装置4の各挟持部材4a,4a間に所定寸法挿入され、後述する位置補正装置3の各補正部材3a,3aによる保持が許容される寸法だけ突出される停止位置に、圧着端子A毎に位置決めする。
【0028】
一対の各把持部材2a,2aは、図示しないアクチュエーターにより圧着端子Aに接続された電線Bを杷持する閉位置と、その杷持が解除される開位置に開閉動作される。また、各把持部材2a,2aの杷持面は、圧着端子Aに接続された電線Bが中央部把持面に把持される形状に形成している。例えば中央部把持面よりも両端部把持面が電線B側に向けて突出する形状に形成するとともに、中央部把持面から両端部把持面に向けて徐々に広くなるテーパー面に形成している。
【0029】
把持部材2aの杷持面には、電線Bの側面に対して直交する方向に係止される縦長の突起2bを上下方向に形成するとともに、該把持部材2aの把持面に沿って前後方向(電線Bと平行する方向)に対して多数配列している。つまり、一対の各把持部材2a,2aにより電線Bを把持した際に、各把持部材2a,2aの把持面に形成した各突起2b…が電線Bの外周面に食い込むため、電線Bの把持位置が変位するのを防止することができる。
【0030】
位置補正装置3は、左右一対の各補正部材3a,3aを、後述する端子保持装置4の各挟持部材4a,4aよりも外側に突出する状態に保持された圧着端子Aの差込み部Ad両側面と対向して配置(図2中の右側)している。一対の各補正部材3a,3aは、各挟持部材4a,4aよりも外側(図2中の左側)に突出する圧着端子Aの差込み部Adを保持して、電線Bに接続された圧着端子Aを、後述する変形検出センサー8の投光部8aと受光部8bの間に挿入される位置に補正する。
【0031】
また、一対の各補正部材3a,3aは、図示しないアクチュエーターにより電線Bに接続された圧着端子Aが挟持される閉位置と、その挟持が解除される開位置に開閉動作される。
【0032】
端子保持装置4は、上下一対の各挟持部材4a,4aを、電線Bに接続された圧着端子Aの差込み部Adと対向して上下に配置(図2中の右側)している。一対の各挟持部材4a,4aは、図示しない圧着工程から端子付き電線ABが搬送された際に、電線Bに接続された圧着端子Aの差込み部Adを長さ方向に対して所定寸法挿入された位置に挟持するとともに、バレル部Aa下方に垂下されたインシュレーションバレルAb及びワイヤーバレルAcの少なくとも一方の変形不良が後述する変形検出ユニット5により検出される高さ位置に位置決めする。また、圧着端子Aの差込み部Adは、各挟持部材4a,4aにより挟持された際に、位置補正装置3の各補正部材3a,3aによる保持が許容される寸法分だけ各挟持部材4a,4aよりも外側へ突出される。
【0033】
また、一対の各挟持部材4a,4aは、図示しないアクチュエーターにより電線Bに接続された圧着端子Aが挟持される閉位置と、その挟持が解除される開位置に開閉動作される。且つ、位置補正装置3による圧着端子Aの位置補正が終了するまでは開位置に待機している。
【0034】
なお、アクチュエーターは、例えば流体圧式シリンダ、ソレノイド、モータ等で構成することができる。また、補正部材3aの把持面や挟持部材4aの挟持面に、例えば接触抵抗の大きな滑り止め部材を装着するか、小さな凹凸を形成する等してもよい。
【0035】
変形検出ユニット5は、図4、図5、図6にも示すように、圧着端子Aのバレル部Aa下方に垂下された変形不良のインシュレーションバレルAb及びワイヤーバレルAcを検出する変形検出センサー8と、変形検出センサー8の投光部8aと受光部8bが一対の各支持部9a,9aに設けられた正面から見て略凹状の支持部材9で構成される。
【0036】
変形検出センサー8は、圧着端子A底面よりも下方に向けて変形されたインシュレーションバレルAb及びワイヤーバレルAcに向けて検出光を投光するための投光部8aと、その投光部8aから投光される検出光を受光するための受光部8bで構成される。また、投光部8aと受光部8bは、後述する支持部材9の上端側両側部に立設した一対の各支持部9a,9aの対向面に設けられている。なお、投光部8aから投光される検出光を受光部8bにより受光している間は、変形検出センサー8から後述する変形判定装置12へ受光信号が常時出力される。
【0037】
支持部材9は、位置補正装置3と端子保持装置4により保持された圧着端子Aを跨ぐような形状に形成され、後述する昇降部材10の上端側中央部に固定されている。また、一対の各支持部9a,9aは、電線Bに接続された圧着端子Aの横幅よりも幅広となる間隔に隔てて立設され、各支持部9a,9aの対向面に相対向して設けられた投光部8aと受光部8bの間に、バレル部Aa下方に垂下されたインシュレーションバレルAb及びワイヤーバレルAcの挿入が許容される深さに形成している。
【0038】
昇降部材10は、ユニットベース11上に配置された上下移動装置6の摺動軸上端部に固定している。上下移動装置6は、図1、図2に示すように、昇降部材10上端に固定された変形検出ユニット5を、位置補正装置3と端子保持装置4で位置決め状態に保持された圧着端子A底面に対して変形不良のバレル部Aaが検出される位置に近接するとともに、バレル部Aa下方に垂下された変形不良のインシュレーションバレルAb及びワイヤーバレルAcが、支持部材9に設けた変形検出センサー8の投光部8aと受光部8bの間の検出領域に挿入される上昇位置と、圧着端子Aから所定間隔に離間されるとともに、バレル部Aa下方に垂下されたインシュレーションバレルAb及びワイヤーバレルAcに対して当接が回避される下降位置に上下移動する。
【0039】
また、圧着端子A底面と電線B外形面が略同一である場合、通常は上下移動装置6のシリンダ動作を例えばねじ式ストッパー等で高さ調節して、変形検出ユニット5の上昇停止位置を決めているが、圧着端子A底面と電線B外形面の差が大きい場合は、例えばモータ等の図示しないアクチュエーターで変形検出ユニット5の上昇停止位置を電線Bの線径毎に変更する。
【0040】
ユニットベース11は、上下移動装置6の後方(図2中の右側)に配置された前後移動装置7の摺動軸前端部に連結している。前後移動装置7は、ユニットベース11上に配置された変形検出ユニット5を、位置補正装置3と端子保持装置4で位置決め状態に保持された圧着端子A底面に沿って前後移動へ水平移動するとともに、バレル部AaのワイヤーバレルAcを検出する位置と、インシュレーションバレルAbを検出する位置とが充分包括される検出範囲で移動する。
【0041】
つまり、図6、図7に示すように、上下移動装置6により上昇された変形検出ユニット5を、投光部8aから受光部8bへ投光される検出光が圧着端子A底面に当てられる直前位置まで上昇させ、バレル部Aa下方に垂下されたインシュレーションバレルAb及びワイヤーバレルAcの少なくとも一方が変形検出センサー8の投光部8aと受光部8bの間に挿入される高さに上昇停止したまま、位置補正装置3と端子保持装置4で位置決め状態に保持された圧着端子AのワイヤーバレルAc下方を通過する直前の検出開始直前位置(図2中の右側実線位置)から、インシュレーションバレルAb下方を通過した検出終了直後位置(図2中の左側仮想線位置)へ平行移動する。
【0042】
なお、検出開始直前位置は、位置補正装置3の各補正部材3a,3aにより保持された圧着端子Aの差込み部Adと、各補正部材3a,3aよりも外側(図2中の左側)に突出するワイヤーバレルAcの間に設定している。
【0043】
検出動作終了後において、上下移動装置6により下降位置まで垂直降下された変形検出ユニット5を、バレル部Aa下方に垂下されたインシュレーションバレルAb及びワイヤーバレルAcに対して当接が回避される高さに下降したまま、前記検出終了直後位置から検出開始直前位置へ復帰移動する。
【0044】
例えば図8に示すように、バレル部AaのインシュレーションバレルAb及びワイヤーバレルAcが正常な状態に圧着されている場合、変形検出センサー8を圧着端子A底面に近接したままインシュレーションバレルAb及びワイヤーバレルAcの下方へ水平移動しても、検出光が遮光されることがなく、変形検出センサー8の投光部8aから投光される検出光が受光部8bにより受光されるので、変形検出センサー8から変形判定装置12へ受光信号が常時出力される。この場合、変形判定装置12は、バレル部AaのインシュレーションバレルAb及びワイヤーバレルAcが電線Bに対して正常な状態(図8参照)に圧着されている「良品」であると判定する。
【0045】
また、図9、図10に示すように、バレル部AaのインシュレーションバレルAb及びワイヤーバレルAcの少なくとも一方が下方に向けて垂直に変形されている場合、変形検出ユニット5の変形検出センサー8を圧着端子A底面に近接したままインシュレーションバレルAb及びワイヤーバレルAcの下方へ水平移動すると、インシュレーションバレルAb及びワイヤーバレルAcの一方又は両方により変形検出センサー8の投光部8aと受光部8bの間が遮光され、投光部8aから投光される検出光が受光部8bにより受光されないので、変形検出センサー8から変形判定装置12へ出力される受光信号が一時中断される。
【0046】
受光信号が一時中断された場合、変形判定装置12は、バレル部AaのインシュレーションバレルAb及びワイヤーバレルAcの少なくとも一方が電線Bに対して正常な状態(図8参照)に圧着されていない「不良検出」と判定する。
【0047】
変形検出ユニット5をバレル部AaのインシュレーションバレルAb下方へ水平移動した際に、変形検出センサー8から出力される受光信号が一時中断されれば、インシュレーションバレルAbが変形不良であると判定することができる。
【0048】
また、変形検出ユニット5をバレル部AaのワイヤーバレルAc下方へ水平移動した際に、変形検出センサー8から出力される受光信号が一時中断されれば、ワイヤーバレルAcが変形不良であると判定することができる。
【0049】
図示実施例は上記の如く構成するものにして、以下、端子変形検出装置1による圧着端子Aの変形検出方法を説明する。
【0050】
先ず、図1、図2、図3に示すように、端子付き電線ABが端子変形検出装置1に供給された際に、電線保持装置2を駆動して、圧着端子Aに接続された電線Bを左右一対の各把持部材2a,2aにより把持し、電線Bに接続された圧着端子Aを、後述する変形検出ユニット5によるバレル部Aaの変形不良が検出される高さ及び位置に保持する。この時、電線Bに接続された圧着端子Aの差込み部Adを、端子保持装置4を構成する下側挟持部材4aに載置して、端子付き電線AB全体を略水平に支持する。
【0051】
次に、位置補正装置3を駆動して、端子保持装置4の各挟持部材4a,4aよりも外側に突出された圧着端子Aの差込み部Adを一対の各補正部材3a,3aにより保持して、電線Bに接続された圧着端子Aを、後述する変形検出センサー8の投光部8aと受光部8bの間に挿入される位置に補正する。
【0052】
次に、端子保持装置4を駆動して、電線Bに接続された圧着端子Aの差込み部Adを上下一対の各挟持部材4a,4aにより挟持し、バレル部Aa下方に垂下された変形不良のインシュレーションバレルAbが後述する変形検出センサー8の投光部8aと受光部8bの間に挿入される高さ位置に位置決めする。
【0053】
次に、上下移動装置6を駆動して、図5、図6にも示すように、変形検出ユニット5を上方へ垂直移動させ、位置補正装置3により保持された圧着端子Aの差込み部AdとワイヤーバレルAcの間に下方から跨らせるとともに、位置補正装置3及び端子保持装置4により位置決めされた圧着端子A底面に対して変形検出センサー8の投光部8aから受光部8bへ投光される検出光が当てられる直前の位置まで上昇させ、バレル部Aa下方に垂下された変形不良のインシュレーションバレルAbが変形検出センサー8の投光部8aと受光部8bの間に挿入される上昇位置に停止する。また、変形検出ユニット5を圧着端子A底面が検出される高さに上昇した後、バレル部Aaの変形不良が検出される位置に下降してもよい。
【0054】
次に、前後移動装置7を駆動して、図2、図3、図7にも示すように、変形検出ユニット5を、バレル部Aa下方に垂下されたインシュレーションバレルAbが変形検出センサー8の投光部8aと受光部8bの間に挿入される高さに上昇したまま、端子保持装置4により保持された圧着端子A底面に沿って、圧着端子AのワイヤーバレルAc下方を通過する直前の検出開始直前位置から、インシュレーションバレルAb下方を通過した検出終了直後位置へ水平移動させる。
【0055】
つまり、圧着端子AのインシュレーションバレルAb及びワイヤーバレルAcが内側に向けて変形され、電線Bの導体に被覆された被覆部が締め付けられる正常な状態に圧着されている場合(図8参照)、変形検出ユニット5を圧着端子A底面に近接したまま、バレル部AaのインシュレーションバレルAb及びワイヤーバレルAcの下方へ水平移動しても、検出光が遮光されず、変形検出センサー8の投光部8aから投光される検出光が受光部8bにより受光されるので、変形検出センサー8から変形判定装置12へ受光信号が常時出力される。この場合、変形判定装置12は、圧着端子AのインシュレーションバレルAb及びワイヤーバレルAcが正常な状態に圧着されている「良品」であると判定する。
【0056】
例えばバレル部AaのインシュレーションバレルAbが下方に向けて垂直に変形している場合(図9参照)、変形検出ユニット5を圧着端子A底面に近接したまま、バレル部AaのインシュレーションバレルAb下方へ水平移動すると、そのインシュレーションバレルAbにより変形検出センサー8の投光部8aと受光部8bの間が遮光されるので、投光部8aから投光される検出光が受光部8bにより受光されず、変形検出センサー8から変形判定装置12へ出力される受光信号が一時中断される。この場合、変形判定装置12は、圧着端子AのインシュレーションバレルAbが正常な状態に圧着されていない「不良品」であると判定する。
【0057】
検出動作終了後において、変形検出ユニット5を、バレル部Aa下方に垂下されたインシュレーションバレルAbに対して当接が回避される高さに下降した後、前記検出終了直後位置(図中の左側)から検出開始直前位置(図中の右側)へ復帰移動させる。
【0058】
次に、圧着端子Aの圧着状態が正常であると判定された端子付き電線ABを図示しない端子挿入装置により保持した後、電線保持装置2と、位置補正装置3と、端子保持装置4による保持を解除する。この後、端子挿入装置により保持した端子付き電線ABの圧着端子Aを図示しないコネクタへ挿入する。一方、圧着端子Aの圧着状態が不良であると判定された端子付き電線ABは廃却する。
【0059】
また、バレル部AaのワイヤーバレルAcが下方に向けて垂直に変形している場合(図10参照)、変形検出ユニット5を圧着端子A底面に近接したまま、バレル部AaのワイヤーバレルAc下方へ水平移動した際に、変形検出センサー8から変形判定装置12へ出力される受光信号が一時中断されるので、変形判定装置12により「不良品」であると判定される。或いは、圧着端子AのインシュレーションバレルAb及びワイヤーバレルAcの両方が変形している場合、変形判定装置12により「不良品」であると判定される。
【0060】
以上のように、変形検出ユニット5の変形検出センサー8を、位置補正装置3及び端子保持装置4で保持された端子付き電線ABの圧着端子A底面に対して変形不良のバレル部Aaが検出される位置に近接した後、変形検出ユニット5を、圧着端子A底面に沿ってバレル部Aa下方を通過する直前の検出開始直前位置から、バレル部Aa下方を通過した検出終了直後位置へ平行移動させながら、変形検出センサー8から出力される検出信号に基づいて、圧着端子Aのバレル部Aaが正常な状態に圧着されているか否かを変形判定装置12により判定するので、例えば歪みセンサー等の検出器では検出が困難なバレル部Aaの変形不良も確実且つ効率よく検出することができる。
【0061】
また、例えば自動端子圧着挿入機等に備えられた位置補正装置3及び端子保持装置4により圧着端子Aを保持するので、例えばコネクタ等の端子挿入部へ挿入するまえに、圧着端子Aのバレル部Aaが正常な状態に圧着されているか否かを検出することができ、端子挿入部が損傷するのを防止することができる。また、変形不良の圧着端子Aが端子挿入工程へ誤って供給されることがなく、端子付き電線ABの圧着端子Aを端子挿入部へ挿入する作業が機械的に行える。
【0062】
この発明の構成と、上述の実施例との対応において、
この発明の変形検出手段は、実施例の変形検出センサー8に対応し、
以下同様に、
近接手段は、上下移動装置6に対応し、
移動手段は、前後移動装置7に対応し、
変形判定手段は、変形判定装置12に対応し、
端子位置決め手段は、位置補正装置3と、端子保持装置4に対応するも、
この発明は、上述の実施例の構成のみに限定されるものではなく、請求項に示される技術思想に基づいて応用することができ、多くの実施の形態を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】端子変形検出装置による圧着端子の変形検出方法を示す斜視図。
【図2】端子変形検出装置による圧着端子の変形検出方法を示す側面図。
【図3】端子変形検出装置による圧着端子の変形検出方法を示す平面図。
【図4】投光部及び受光部を備えた変形検出センサーを示す斜視図。
【図5】変形検出センサーを圧着端子底面に近接した上昇状態を示す側面図。
【図6】投光部と受光部の間への圧着端子のバレル挿入状態を示す正面図。
【図7】変形検出センサーを水平移動する検出動作を示す側面図。
【図8】圧着端子の正常なバレル圧着状態を示す側面図。
【図9】圧着端子のインシュレーションバレルの変形状態を示す側面図。
【図10】圧着端子のワイヤーバレルの変形状態を示す側面図。
【符号の説明】
【0064】
A…圧着端子
Aa…バレル部
Ab…インシュレーションバレル
Ac…ワイヤーバレル
B…電線
AB…端子付き電線
1…端子変形検出装置
2…電線保持装置
3…位置補正装置
4…端子保持装置
5…変形検出ユニット
6…上下移動装置
7…前後移動装置
8…変形検出センサー
12…変形判定装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
端子付き電線の電線に接続された圧着端子のバレル部が変形不良であることを検出する変形検出手段を、前記圧着端子に対して変形不良のバレル部が検出される位置に近接した後、該圧着端子に沿ってバレル部を通過する直前の検出開始直前位置から、該バレル部を通過した検出終了直後位置へ移動させ、
前記バレル部通過時において、前記変形検出手段から出力される検出信号に基づいて、前記圧着端子のバレル部が正常な状態に圧着されているか否かを変形判定手段で判定する
端子変形検出方法。
【請求項2】
端子付き電線の電線に接続された圧着端子のバレル部が変形不良であることを検出する変形検出手段と、
前記変形検出手段を、前記圧着端子に対して変形不良のバレル部が検出される位置に近接する近接手段と、
前記変形不良のバレル部が検出される位置に近接した変形検出手段を、前記圧着端子に沿ってバレル部を通過する直前の検出開始直前位置から、該バレル部を通過した検出終了直後位置へ移動する移動手段と、
前記バレル部通過時において、前記変形検出手段から出力される検出信号に基づいて、上記圧着端子のバレル部が正常な状態に圧着されているか否かを判定する変形判定手段を備えた
端子変形検出装置。
【請求項3】
前記端子付き電線の電線に接続された圧着端子を、前記変形検出手段により変形不良のバレル部が安定して検出される位置に保持する端子位置決め手段を備えた
請求項2に記載の端子変形検出装置。
【請求項4】
前記変形検出手段を、投光部と受光部からなる変形検出センサーで構成した
請求項2又は3に記載の端子変形検出装置。
【請求項1】
端子付き電線の電線に接続された圧着端子のバレル部が変形不良であることを検出する変形検出手段を、前記圧着端子に対して変形不良のバレル部が検出される位置に近接した後、該圧着端子に沿ってバレル部を通過する直前の検出開始直前位置から、該バレル部を通過した検出終了直後位置へ移動させ、
前記バレル部通過時において、前記変形検出手段から出力される検出信号に基づいて、前記圧着端子のバレル部が正常な状態に圧着されているか否かを変形判定手段で判定する
端子変形検出方法。
【請求項2】
端子付き電線の電線に接続された圧着端子のバレル部が変形不良であることを検出する変形検出手段と、
前記変形検出手段を、前記圧着端子に対して変形不良のバレル部が検出される位置に近接する近接手段と、
前記変形不良のバレル部が検出される位置に近接した変形検出手段を、前記圧着端子に沿ってバレル部を通過する直前の検出開始直前位置から、該バレル部を通過した検出終了直後位置へ移動する移動手段と、
前記バレル部通過時において、前記変形検出手段から出力される検出信号に基づいて、上記圧着端子のバレル部が正常な状態に圧着されているか否かを判定する変形判定手段を備えた
端子変形検出装置。
【請求項3】
前記端子付き電線の電線に接続された圧着端子を、前記変形検出手段により変形不良のバレル部が安定して検出される位置に保持する端子位置決め手段を備えた
請求項2に記載の端子変形検出装置。
【請求項4】
前記変形検出手段を、投光部と受光部からなる変形検出センサーで構成した
請求項2又は3に記載の端子変形検出装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2008−234986(P2008−234986A)
【公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−72561(P2007−72561)
【出願日】平成19年3月20日(2007.3.20)
【出願人】(000005290)古河電気工業株式会社 (4,457)
【出願人】(391045897)古河AS株式会社 (571)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年3月20日(2007.3.20)
【出願人】(000005290)古河電気工業株式会社 (4,457)
【出願人】(391045897)古河AS株式会社 (571)
【Fターム(参考)】
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