説明

端子曲り防止装置

【目的】 圧着金型により端子に電線の芯線を圧着する時に前記非圧着部の曲りを阻止する押え部材の押え面の位置を、端子の非圧着部の厚みに合わせて変えることができるようにすることにある。
【構成】 上圧着金型とともに上下動する上ストッパとこの上ストッパが当接する下ストッパとを備え、これら上ストッパと下ストッパの当接位置を調整することにより、前記圧着時に端子の非圧着部に当接もしくは近接する押え部材の押え面の位置を変えることができるようにしている。
【効果】 端子の非圧着部の厚みが異なる場合でも圧着機のアプリケータを交換することなく圧着作業を行え、作業効率を向上させることができる。

【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
この考案は、電線の芯線に端子を圧着する端子圧着機に付設され、この端子圧着機による前記圧着の際に圧着の反動で端子が曲がるのを防止する端子曲り防止装置に関する
【0002】
【従来の技術】
図7はタイバーAを介して連結された複数の端子Tに順次電線の芯線を圧着する従来の端子圧着機のアプリケータを示している。
【0003】
このアプリケータはアプリケータ本体100が備える端子Tの通路の途中に、この通路の上下に位置する一対の圧着金型101,102を備えている。上圧着金型101は、前記アプリケータ本体100に上下方向に移動可能に支持されたシャンク103に固定されている。この上圧着金型101の下端には、端子Tが入り込むV字状の切欠部101aが形成されている。一方、下圧着金型102は前記上圧着金型101の下方に配置されており、図8に示すように、上圧着金型101の切欠部101aに侵入可能な突起部102aを備えている。この突起部102aはその上に前記端子Tを載置可能な幅を有している。
【0004】
アプリケータはまた、前記シャンク103の上下動に伴って下端側が揺動するフィードカム104を備えており、このフィードカム104の下端に、前記端子Tを前記上下の圧着金型101,102に対応する位置に送り込むための端子送り爪105が連結されている。すなわち、この端子送り爪105は、シャンク103の降下に伴って端子Tの送り方向(矢符F方向)と反対方向に後退し、シャンク103が上昇するのに伴って先端に係合した端子Tを強制的に所定量だけ端子送り方向に移動させる。これによって、タイバーAを介して連結された端子Tが、一つの端子Tに対する圧着が終了するごとに順次前記下圧着金型102の突起部102a上に供給される。
【0005】
前記下圧着金型102の突起部102a前方には、タイバーAの通過路上にタイバー切断部106が配設されている。このタイバー切断部106は上圧着金型101の降下に伴って自身も降下し、この降下に伴って、圧着金型101,102により端子Tに電線が圧着されるのと同時にその端子TからタイバーAを切り離すものである。このタイバー切断部106の降下は、例えば上圧着金型101に、その降下に伴ってタイバー切断部106に当接する突起(不図示)を設けておくことにより実行させるができる。
【0006】
上記端子圧着機においては、下圧着金型102の上に配置された端子Tの上方に、先端部の芯線を露出させた電線(不図示)をタイバー切断部106の上方を介して供給し、この状態でシャンク103に連結したプレス機を作動させて上圧着金型101を降下させることにより、図8に示すように、上圧着金型101と下圧着金型102により電線の芯線Cを端子Tに圧着する。
【0007】
ところで、図9(a) に示すように端子Tの上方にある上圧着金型101を下圧着金型102に向けて降下させることにより電線Wの芯線Cを端子Tに圧着する場合、端子Tの非圧着部分T1をフリーな状態にしておくと、図9(b) に示すように、上圧着金型101が端子Tに衝突する反動で前記非圧着部分T1が上方に屈曲してしまうという問題が発生する。
【0008】
このため、従来においては、図10に示すように、端子圧着機のアプリケータに対し、前記上圧着金型101(図10では不図示)の後方にこの上圧着金具101と共に上下に移動する押え部材107を配置し、この押え部材107により端子T(図10では下圧着金型102上の端子Tのみを図示)の上方への屈曲を防止するようにした端子曲り防止装置を付設している。なお、この押え部材107はシャンク103に固定された取付部材109に対して上下方向に移動可能に支持されており、且つ押え部材107の上面と前記シャンク103の下面の間には押え部材107を下方にばね付勢するスプリング108が介設されている。但し、スプリング108のばね定数はきわめて大きく、したがって、押え部材107は端子Tの非圧着部分T1が圧着時に反動で屈曲するのを許容することはない。
スプリング108は端子Tの製作誤差による若干の形状の違いに対応するために設けられている。
【0009】
【考案が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のような従来の端子曲り防止装置の構造であると、前記非圧着部分T1の厚みが異なる端子に電線の芯線を圧着する場合には、例え圧着部分の形状は同じでもその都度その端子に対応するアプリケータに取り替えなければならないという問題があった。すなわち、アプリケータの種類が多くなり、その取替作業のために作業効率が低下するという問題があった。
【0010】
この考案は上記のような事情に鑑みなされたものであって、一つの端子曲り防止装置が複数種類の端子に対応できるようにすることで作業の効率化を図ることを目的としてる。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成する請求項1の端子曲り防止装置は、下圧着金型の上方から上圧着金型を降下させることにより前記下圧着金型上に配置した端子を電線の芯線に圧着するようにした端子圧着機に付設される端子曲り防止装置であって、前記下圧着金型上に配置される端子の非圧着部の上方においてこの非圧着部と対向する押え面を有するとともに前記圧着上金型とともに上下方向に移動する押え部材と、この押え部材と一体的に設けられた上ストッパと、前記押え部材とともに降下してきた上ストッパと当接する下ストッパと、上ストッパと下ストッパの当接位置の上下方向の移動をガイドするガイド手段と、前記当接位置を任意の位置に規定する当接位置規定手段とを備えることを特徴としている。
【0012】
請求項2の端子曲り防止装置は、上記請求項1において、前記ガイド手段が、下ストッパを上下に移動可能に支持することにより前記当接位置の上下方向の移動をガイドし、当接位置規定手段が、任意の位置で前記下ストッパの下方への移動を阻止することにより当接位置を規定していることを特徴としている。
【0013】
請求項3の端子曲り防止装置は、上記請求項2において、前記ガイド手段が、下ストッパを端子圧着機のアプリケータ本体に揺動可能に連結するクランク機構であり、前記当接位置規定手段が、下ストッパの揺動を規制する揺動規制ストッパであることを特徴としている。
【0014】
請求項4の端子曲り防止装置は、上記請求項1において、ガイド手段が、上ストッパを押え部材に対し上下に移動可能に支持することにより前記当接位置の上下方向の移動をガイドし、当接位置規定手段が、任意の位置で前記上ストッパの上方への移動を阻止することにより当接位置を規定していることを特徴としている。
【0015】
請求項5の端子曲り防止装置は、上記請求項1〜4のいずれかにおいて、上ストッパと上圧着金型の間に、上ストッパに下向きの付勢力を与えるばね付勢手段が介設されていることを特徴としている。
【0016】
【作用】
請求項1の端子曲り防止装置によると、上ストッパと下ストッパの当接位置をガイド手段に沿って移動させ且つ当接位置規定手段で前記当接位置を所望の位置に規定することにより、上圧着金型とともに降下してきた押え部材の押え面を下圧着金型上に配置された端子の非圧着部に当接もしくは近接する位置で停止させることができる。
【0017】
請求項2の端子曲り防止装置によると、上ストッパと下ストッパの当接位置は、下ストッパを上下動させることにより調整することができる。
【0018】
請求項3の端子曲り防止装置によると、下ストッパはクランクの作用により上下に移動する。この下ストッパの降下は、クランク作用による下ストッパの揺動を揺動規制ストッパにより規制することにより阻止することができる。
【0019】
請求項4の端子曲り防止装置によると、上ストッパと下ストッパの当接位置は、上ストッパを押え部材に対して上下動させることにより調整することができる。
【0020】
請求項5の端子曲り防止装置によると、端子の非圧着部に当接し且つこの非圧着部に押圧された押え部材の押え面はこの非圧着部に弾接する。
【0021】
【実施例】
図1および図2の端子曲り防止装置は、既述した図7に示す端子圧着機のアプリケータとほぼ同様のアプリケータに付設されている。図1および図2ではアプリケータ本体100以外のアプリケータの他の構成、すなわち図7における上下の圧着金型101,102、シャンク103、フィードカム104、端子送り爪105およびタイバー切断部106等は省略して示している。
【0022】
図1および図2の端子曲り防止装置は、押え面1aを有し且つ上圧着金型(不図示)とともに上下動する押え部材1と、この押え部材1と一体に設けられた上ストッパ2、および端子Tの送り方向(矢符F方向)に延び且つ上下動可能な下ストッパ4を備えている。
【0023】
押え部材1は既述した図7に示す従来の端子曲り防止装置における押え部材107に対応するものであり、押え部材107と同様、上圧着金型の後方で且つ下圧着金型上に供給される端子Tの非圧着部分T1の上方に配設されている。この押え部材1は上圧着金型と一体に上下動するが、この押え部材1と図示しないシャンクの間にはきわめて大きなばね定数を持つスプリング1Aが介設されており、このスプリング1Aのばね付勢力に抗することにより、押え部材1は上圧着金型(不図示)に対して若干の上下動が可能である。この押え部材1の底面は前記押え面1aを構成している。
【0024】
図2に示すように、前記押え部材1の後面側下端部には矩形の切欠部1bが形成されおり、この切欠部1bの水平面が上ストッパ2を構成している。すなわち、上ストッパ2と前記押え面1aの段差は前記切欠部1bの高さtに固定されている。
【0025】
上記下ストッパ4は、前記端子Tの送り方向に延びる揺動部材3に形成されている。この揺動部材3は、その長手方向一端部と中央部においてクランクアーム6を介して前記アプリケータ本体100に連結されている。クランクアーム6とアプリケータ本体100はクランクピン7によって連結されている。また、クランクアーム6と前記揺動部材3に設けた連結片3aとはクランク軸8によって連結されている。クランクピン7とクランク軸8は端子の送り方向と直交している。したがって、前記揺動部材3は端子の送り方向と平行な方向に揺動し且つそれに伴って上下に移動する。すなわち、前記クランクアーム6、クランクピン7、クランク軸8によりクランク機構5が構成されている。このクランク機構5は、下ストッパ4をアプリケータ本体100に揺動可能に連結することにより、前記揺動に伴って上下する下ストッパ4と前記上ストッパ2の当接位置の移動をガイドするガイド手段である。
【0026】
揺動部材3の長手方向他端部には垂直に立ち上がる規定ボルト当接片3bが形成されている。また、揺動部材3の前部には、前記押え部材1の下方においてこの押え部材1に対向する箇所に平面視矩形状の切欠部3cが形成されている。そして、揺動部材3においてこの切欠部3cの後方に位置する部分が前記下ストッパ4を構成している。前記上ストッパ2が押え部材1すなわち上圧着金型とともに降下してくると、この上ストッパ2に下ストッパ4が当接するようになっている。また、この下ストッパ4の厚みtは前述した切欠部1bの高さtと等しく設定されている。前記揺動部材3において正面からみて下ストッパ4を構成していない水平部分は、端子Tの非圧着部のT1の通路形成部3dを構成している。
すなわち、図1(b)に示すように揺動部材3を上方に移動させることによって、通路形成部3dとアプリケータ本体100の端子送り面との間に、図示しない端子送り爪により移動される各端子Tの非圧着部分T1が通過可能なだけの通路rを形成することができる。切欠部3cに対応する位置に到達した端子Tの上方には揺動部材3は存在しない。代わりに、上下の圧着金型の中心線CLに対応する位置に到達した端子Tの上方には、前記押え部材1が備える押え面1aが配置されている。
【0027】
この端子曲り防止装置はさらに、前記上ストッパ2と下ストッパ4の当接位置を任意の位置に規定するための当接位置規定手段9を備えている。この当接位置規定手段9は、ボルト螺合板9a、揺動規制ボルト9bおよびボルト固定ナット9cからなる。ボルト螺合板9aは、前記アプリケータ本体100に立設されており且つ前記揺動部材3の当接片3bと対向している。このボルト螺合板9aには貫通孔9aaが穿設されており、この貫通孔9aaの内周面に前記揺動規制ボルト9bが螺合する雌ねじが螺設されている。揺動規制ボルト9bは前記ボルト螺合板9aの貫通孔9aaに、軸方向を端子Tの送り方向に一致させた状態で螺着されている。この揺動規制ボルト9bの先端は、図1(a)に示すように、クランクピン7とクランク軸8が同一鉛直線上に位置する状態において前記当接片3bに当接することができる。したがって、揺動規制ボルト9bをボルト螺合板9aに対して螺進させることにより、揺動規制ボルト9bの先端に押された揺動部材3は揺動し、クランク機構5の作用によりこの揺動に伴って上昇する。固定ナット9cは、前記ボルト螺合板9aに関して当接片3bの反対側において前記揺動規制ボルト9bに螺合している。揺動規制ボルト9bの先端が所望量だけ当接片3b側へ突出した状態で固定ナット9cをボルト螺合板9a側へ締め付けることにより、揺動規制ボルト9aの進退が阻止される。揺動規制ボルト9aの進退を阻止することにより下ストッパ4の下方への移動が阻止され、それによってて前記上ストッパ2と下ストッパ4の当接位置が規定される。
【0028】
以上のようにしてなる図1および図2の端子曲り防止装置によると、前述した図1(a)の状態から、固定ナット9cによる締め付けを緩めた状態で揺動規制ボルト9bを螺進させることにより下ストッパ4を上昇させることができる。また、この端子曲り防止装置では、図1(b)および図2に示すように、端子Tの非圧着部分T1の高さに合わせて下ストッパ4を上昇させることができる。すなわち、揺動部材3の通路形成部3dとアプリケータ本体100の端子送り面との間に前記非圧着部分T1の厚みにほぼ等しく且つこの非圧着部分T1が通過可能な通路rを形成することができる。前述したように、上ストッパ2の位置を決定する切欠部1bの高さtと下ストッパ4の厚みtは等しく設定されている。したがって、上圧着金型を下圧着金型上に降下させることにより前記中心線CL上に達した端子Tに電線を圧着する際に、上圧着金型とともに降下する押え部材1の押え面1aは図2(b)に示すように常に前記非圧着部分T1に近接した位置に停止することになる。このように押え面1aが非圧着部分T1に近接した位置に停止するため、上圧着金型が下圧着金型上に降下した際に、非圧着部分T1が反動で上方に屈曲することが押え面1aによって阻止される。
【0029】
なお、上記図1および図2の実施例においては、切欠部1bの高さtと下ストッパ4の厚みtを等しくしているが、例えば切欠部1bの高さtを下ストッパ4の厚みtよりも微量大きくしてもよい。このようにすると、押え面1aを非圧着部分T1に当接させることができる。
【0030】
図3は考案による他の端子曲がり防止装置を示している。図1および図2に示す端子曲り装置と同様、ここではアプリケータ本体100、下圧着金型102とシャンク103以外のアプリケータの他の構成は省略して示している。
【0031】
この図3の端子曲り防止装置は、押え部材21、上ストッパ22と下ストッパ24を備えている。この実施例においても、押え部材21と上ストッパ22は一体形成されている。但し、この実施例では、上ストッパ22は押え部材21の底面が構成する押え面21aよりも下方に突出している。押え部材21とアプリケータのシャンク103の間にはばね定数の大きなスプリング21Aが介設されている。したがって、押え部材21はスプリング21Aの付勢力に抗することにより、シャンク103すなわち上圧着金型(不図示)に対して相対的に上方へ移動することができる。この実施例の端子曲り防止装置においても、上ストッパ22と下ストッパ24の当接位置は下ストッパ24を上下させることによって調整される。
【0032】
図4に示すように、下ストッパ24はアプリケータ本体100に上下に摺動可能に嵌着されている。この下ストッパ24の下面には軸方向を垂直方向に向けたねじ棒25aの先端が当接している。このねじ棒25aの下部はアプリケータ本体100と一体のブロック100aに螺着されている。また、前記ねじ棒25aには、下ストッパ24とブロック100aの間において、この下ストッパ24を上下動させるガイド手段と下ストッパ24を上ストッパ22との所望の当接位置に規定する当接位置規定手段とを兼ねる調整ねじ25bが固定されている。この調整ねじ25bは前記アプリケータ本体100とブロック100aの間に挟持されており、上下方向への移動を規制されている。したがって、この調整ねじ25bを回転させるとねじ棒25aが上下動し、それに伴って下ストッパ24すなわち上ストッパ22と下ストッパ24の当接位置を上下動させることができる。
【0033】
図3に示すように、上ストッパ22と下ストッパ24が当接した状態において、押え部材21の押え面21aは下圧着金型102の上面との間に隙間rを形成している。この隙間rは、下圧着金型102上に供給される端子Tの非圧着部分の厚みに合わせて上ストッパ22と下ストッパ24の当接位置を上下動させることにより調整することができる。また、隙間rの大きさは、下ストッパ24の下端近傍に、この下端の位置を設定するための目盛りを形成しておくことにより容易に所望の大きさに設定することができる。
【0034】
図5は考案によるさらに他の端子曲がり防止装置を示している。この図5では下圧着金型102以外のアプリケータの他の構成は省略して示している。図示していないアプリケータの他の構成は図1,図2に示す実施例および図3,図4に示す実施例と同様である。
【0035】
この図5の端子曲り防止装置は、押え部材41、上ストッパ42と下ストッパ44を備えている。
【0036】
この押え部材41も底面が押え面41aを構成している。また、この押え面41も前記押え部材11と全く同様、シャンク(不図示)との間にスプリング41Aを介して設けられている。下ストッパ44は下圧着金型102と一体に設けられ、上下動することはない。この実施例の端子曲り装置における上ストッパ42と下ストッパ44の当接位置は上ストッパ42を上下動させることによって移動する。
【0037】
図6に示すように、上ストッパ42は平面視切欠円状のヘッドレスボルトであって、ねじが切られていない下端部を押え部材41の押え面41aから突出させた状態でこの押え部材41に上下方向に移動可能且つ回転不能に挿入されている。この上ストッパ42のねじ形成部には、この上ストッパ42を上下動させるガイド手段と上ストッパ42を所望の位置に規定する当接位置規定手段を兼ねる調整ねじ45が螺合されている。この調整ねじ45は押え部材41に形成された切欠部41bに嵌入されており、したがって押え部材41によって上下動を規制されている。したがって、調整ねじ45を回転させることにより上ストッパ42が回転することなく上下動する。
【0038】
上記のような上ストッパ42と下ストッパ44を当接させた状態において、押え面41aと下圧着金型102の上面の間には隙間rが形成される。この隙間rは、調整ねじ45を操作して上ストッパ42と下ストッパ44の当接位置を調整することによって、上圧着金型と下圧着金型により電線の芯線を圧着する端子Tの非圧着部分T1の厚みにほぼ等しい大きさに設定することができる。
【0039】
以上のような第1〜第3の実施例の端子曲り防止装置を付設することにより、電線の芯線を圧着する端子の非圧着部分の厚みに合わせて、非圧着部分を押える押え面と下圧着金型の上面の圧着時における間隔を調整することができ、端子の種類が代わってもアプリケータそのものを取り替える必要がなくなる。
【0040】
【考案の効果】
請求項1〜5によれば、圧着時における押え部材の押え面の停止位置を、端子の非圧着部分の厚みに応じて上下動させることができるから、一つのアプリケータで圧着できる端子の種類を増やすことができ、アプリケータの取替作業の回数を減らして作業効率を向上させることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】考案による第1の実施例の端子の曲り防止装置の概略正面図である。
【図2】図1の端子の曲り防止装置の概略側面図である。
【図3】第2の実施例の端子の曲り防止装置の概略正面図である。
【図4】図3の端子の曲り防止装置の下ストッパ部分の概略側面図である。
【図5】第3の実施例の端子の曲り防止装置の概略正面図である。
【図6】上ストッパを示す図である。
【図7】従来の端子曲り防止装置を付設した圧着機の斜視図である。
【図8】圧着金型による圧着時の状態を示す説明図である。
【図9】圧着時の端子の曲り過程を示す側面説明図である。
【図10】従来の端子曲り防止装置を示す斜視図である。
【符号の説明】
1,21,41 押え部材
2,22,42 上ストッパ
3,23,43 スプリング
4,24,44 下ストッパ
5 クランク機構
9 当接位置規定手段
25b,45 調整ねじ

【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】 下圧着金型の上方から上圧着金型を降下させることにより前記下圧着金型上に配置した端子を電線の芯線に圧着するようにした端子圧着機に付設される端子曲り防止装置であって、前記下圧着金型上に配置される端子の非圧着部の上方においてこの非圧着部と対向する押え面を有するとともに前記圧着上金型とともに上下方向に移動する押え部材と、この押え部材と一体的に設けられた上ストッパと、前記押え部材とともに降下してきた上ストッパと当接する下ストッパと、上ストッパと下ストッパの当接位置の上下方向の移動をガイドするガイド手段と、前記当接位置を任意の位置に規定する当接位置規定手段と、を備えることを特徴とする端子曲り防止装置。
【請求項2】 前記ガイド手段が、下ストッパを上下に移動可能に支持することにより前記当接位置の上下方向の移動をガイドし、当接位置規定手段が、任意の位置で前記下ストッパの下方への移動を阻止することにより当接位置を規定していること、を特徴とする請求項1の端子曲り防止装置。
【請求項3】 前記ガイド手段が、下ストッパを端子圧着機のアプリケータ本体に揺動可能に連結するクランク機構であり、前記当接位置規定手段が、下ストッパの揺動を規制する揺動規制ストッパであること、を特徴とする請求項2の端子曲り防止装置。
【請求項4】 ガイド手段が、上ストッパを押え部材に対し上下に移動可能に支持することにより前記当接位置の上下方向の移動をガイドし、当接位置規定手段が、任意の位置で前記上ストッパの上方への移動を阻止することにより当接位置を規定していること、を特徴とする請求項1の端子曲り防止装置。
【請求項5】 上ストッパと上圧着金型の間に、上ストッパに下向きの付勢力を与えるばね付勢手段が介設されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つの端子曲り防止装置。

【図4】
image rotate


【図5】
image rotate


【図6】
image rotate


【図1】
image rotate


【図2】
image rotate


【図3】
image rotate


【図7】
image rotate


【図8】
image rotate


【図9】
image rotate


【図10】
image rotate


【公開番号】実開平5−17981
【公開日】平成5年(1993)3月5日
【考案の名称】端子曲り防止装置
【国際特許分類】
【出願番号】実願平3−72276
【出願日】平成3年(1991)8月13日
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)