端子金具、端子金具付き電線、および端子金具と電線の接続方法
【課題】緩やかな圧着条件で安定した電気接続抵抗を得る。
【解決手段】本発明は、被覆電線40に圧着される圧着部30を有する端子金具12であって、圧着部30を構成する母材の表層にアルミニウム層またはアルミニウム合金層が形成されており、そのアルミニウム層またはアルミニウム合金層の表面に母材よりも硬いアルマイト層35が形成されている構成としたところに特徴を有する。また、本発明は、上記の端子金具12と、アルミニウムまたはアルミニウム合金からなる芯線42を有する被覆電線40とを備え、端子金具12の圧着部30が芯線42に圧着されている端子金具付き電線10としてもよい。
【解決手段】本発明は、被覆電線40に圧着される圧着部30を有する端子金具12であって、圧着部30を構成する母材の表層にアルミニウム層またはアルミニウム合金層が形成されており、そのアルミニウム層またはアルミニウム合金層の表面に母材よりも硬いアルマイト層35が形成されている構成としたところに特徴を有する。また、本発明は、上記の端子金具12と、アルミニウムまたはアルミニウム合金からなる芯線42を有する被覆電線40とを備え、端子金具12の圧着部30が芯線42に圧着されている端子金具付き電線10としてもよい。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、端子金具、端子金具付き電線、および端子金具と電線の接続方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、アルミニウムの芯材からなる芯線が絶縁被覆で覆われてなるアルミ電線と端子金具との接続方法として、例えば下記特許文献1に記載のものが知られている。アルミ電線は、芯材の表面に酸化被膜が形成されやすく、この酸化被膜を破壊すべく、端子金具の圧着部にセレーションを形成しておき、アルミ電線の表面に形成された酸化被膜をセレーションによって破壊することが行われている。このようにすると、酸化被膜が破られることでアルミニウムの芯材が露出すると同時に、この芯材が圧着部と導通可能に接続されるため、アルミ電線と端子金具の間の電気接続抵抗を低下させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−3584号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記の接続方法では、セレーションによって酸化被膜を破ってはいるものの、安定した電気接続抵抗を得るには、やはり圧着部を強くかしめる必要があり、その結果、端子金具が損傷したり、圧着部が前後方向に延びることでこの圧着部がコネクタの後端から飛び出すなどのおそれがある。このように、緩やかな圧着条件でも安定した電気接続抵抗を得ることができる接続方法が切望されていた。
【0005】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、緩やかな圧着条件で安定した電気接続抵抗を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、電線に圧着される圧着部を有する端子金具であって、圧着部を構成する母材の表層にアルミニウム層またはアルミニウム合金層が形成されており、そのアルミニウム層またはアルミニウム合金層の表面に母材よりも硬い硬質層が形成されている構成としたところに特徴を有する。
【0007】
また、本発明は、上記の端子金具と、アルミニウムまたはアルミニウム合金からなる芯線を有し、端子金具の圧着部が芯線に圧着された電線とを備えた端子金具付き電線としてもよい。
【0008】
また、本発明は、端子金具に設けられた圧着部を、アルミニウムまたはアルミニウム合金からなる芯線を有する電線に接続する端子金具と電線の接続方法であって、圧着部を構成する母材の表層にアルミニウム層またはアルミニウム合金層が形成され、そのアルミニウム層またはアルミニウム合金層の表面に母材よりも硬い硬質層が形成されており、圧着部を変形させながら芯線に圧着する際に硬質層が破断し、この破断した硬質層が芯線の表層を削ることで芯線の芯材が露出するとともに、この露出した芯材と母材とを圧接してもよい。
【0009】
このようにすると、硬質層が母材よりも硬いため、端子金具の圧着部を電線の芯線に圧着する際に、硬質層が圧着部の変形に追従しないことにより、硬質層を容易に破断させることができる。そして、この破断した硬質層が、電線の芯線の表面に形成された酸化被膜を破って芯線の芯材を露出させることになるため、この露出した芯材と硬質層が破断することで露出した母材とを導通可能に接続することができる。したがって、従来のように端子金具を強くかしめることで端子金具が損傷したり、圧着部がコネクタの後端から飛び出したりすることを回避できる。この結果、緩やかな圧着条件で安定した電気接続抵抗を得ることができる。
【0010】
本発明の実施の態様として、以下の構成が好ましい。
母材は、アルミニウム層またはアルミニウム合金層と同一の金属材であって一体をなす構成としてもよい。
このような構成によると、母材とアルミニウム層またはアルミニウム合金層とを一体に形成することができる。
【0011】
硬質層は、アルマイト層である構成としてもよい。
アルマイトはアルミニウムまたはアルミニウム合金の表面に酸化被膜を形成したものであるため、アルミニウム層またはアルミニウム合金層の表面に硬質層としてのアルマイト層を形成しやすい。
【0012】
アルマイト層の厚さは、1μm以上10μm以下である構成としてもよい。
このような構成によると、芯線の芯材と端子金具の母材との接続を良好に行うことができる上に、芯材と母材の界面に過度の絶縁物(アルマイト層を形成していた破片)が介在せず、低抵抗な接続構造を構築することができる。
【0013】
母材は、2000系合金、6000系合金、および7000系合金から選択される1種のアルミニウム合金から構成されているものとしてもよい。
これらのアルミニウム合金は、曲げなどの機械的特性に優れているため、プレス加工などの加工性がよい。また、上記のアルミニウム合金は、耐熱性に優れているため、高温環境(例えば、自動車用途では、120℃〜150℃程度)でも使用することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、緩やかな圧着条件で安定した電気接続抵抗を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】実施形態における端子金具の平面図
【図2】端子金具の側面図
【図3】端子金具の圧着部を圧着型で圧着する直前の状態を示した側面図
【図4】端子金具の圧着部を圧着型で圧着した直後の状態を示した側面図
【図5】端子金具付き電線の側面図
【図6】圧着前におけるアルミ端子とアルミ電線の状態を示した断面図
【図7】圧着後におけるアルミ端子とアルミ電線の状態を示した断面図
【図8】アルミ端子の圧着部を圧着型で圧着する直前の状態を正面から見た断面図
【図9】アルミ端子の圧着部を圧着型で圧着する途中の状態を正面から見た断面図
【図10】アルミ端子の圧着部を圧着型で圧着した直後の状態を正面から見た断面図
【図11】図8の一部を拡大して示した断面図
【図12】図10の一部を拡大して示した断面図
【図13】アルマイト処理をしない場合のワイヤバレル部の圧着面を示すSEM像
【図14】アルマイト処理をした場合のワイヤバレル部の圧着面を示すSEM像
【図15】図13における芯線の被圧着面を示すSEM像
【図16】図13における芯線の被圧着面を示すSEM像
【図17】表1のデータ(アルマイト処理なし)を表したグラフ
【図18】表2のデータ(アルマイト処理あり)を表したグラフ
【図19】表3のデータ(試料No.200ベーマイト処理あり)を表したグラフ
【図20】表4のデータ(試料No.210ベーマイト処理あり)を表したグラフ
【図21】表5のデータ(試料No.220ベーマイト処理あり)を表したグラフ
【発明を実施するための形態】
【0016】
<実施形態>
本発明の実施形態を図1ないし図18の図面を参照しながら説明する。圧着前の端子金具12は、図1に示すように、角筒形状をなす本体部20と、本体部20の後方に形成された圧着部30とを備えている。この端子金具12は、アルミニウム合金の平板を母材としてプレス加工する(所定の形状に打ち抜き、さらに曲げ加工などを施す)ことにより形成されたアルミ端子である。より詳細に説明すると、母材はJIS規格(JIS H 4000:1999)の6000系合金(6061合金相当)からなるアルミニウム合金板であって、例えば、鋳造、熱間圧延、冷間圧延、および種々の熱処理(例えば、T6処理)という工程により製造されたものである。なお、本実施形態では端子金具12として雌端子金具を例示しているものの、本発明によると、タブ状をなす雄端子金具としてもよい。また、端子金具12の母材としては、銅、銅合金、またはアルミニウムなど任意の金属材を用いることができる。
【0017】
アルミニウム合金としては、曲げなどの機械的特性や耐熱性に優れる組成のもの、具体的には、JIS規格(JIS H 4000:1999)に規定される2000系合金、6000系合金、および7000系合金などを使用することができる。2000系合金は、ジュラルミン、超ジュラルミンと呼ばれるアルミニウム−銅系合金であり、強度に優れる。具体的な合金番号として、例えば、2024、2219などが挙げられる。6000系合金は、アルミニウム−マグネシウム−シリコン系合金であり、強度、耐食性、陽極酸化性に優れる。具体的な合金番号として、例えば、6061などが挙げられる。7000系合金は、超々ジュラルミンと呼ばれるアルミニウム−亜鉛−マグネシウム系合金であり、非常に高強度である。具体的な合金番号として、例えば、7075などが挙げられる。
【0018】
被覆電線40はアルミ電線であって、複数本の金属素線41からなる芯線42を絶縁性の合成樹脂からなる被覆43で覆った構成である。本実施形態の被覆電線40は、11本の金属素線41を束ねたものである。芯線42を構成する金属素線41の芯材としては、銅、銅合金、アルミニウム、またはアルミニウム合金など任意の金属材を用いることができる。なお、本実施形態の金属素線41は、アルミニウム合金によって構成されている。このように本実施形態では、アルミニウム合金からなる端子金具12とアルミニウム合金からなる芯線42との接続構造、すなわち主成分が同種の金属からなる接続構造とされており、芯線42と端子金具12の間では電食が実質的に生じない。
【0019】
被覆電線を構成するアルミニウム合金は、例えば、鉄、マグネシウム、シリコン、銅、亜鉛、ニッケル、マンガン、銀、クロム、およびジルコニウムから選択される1種以上の元素を合計で0.005質量%以上5.0質量%以下含有し、残部がアルミニウムおよび不純物からなるものが挙げられる。各元素の好ましい含有量は、質量%で、鉄:0.005%以上2.2%以下、マグネシウム:0.05%以上1.0%以下、マンガン,ニッケル,ジルコニウム,亜鉛,クロム,および銀:合計で0.005%以上0.2%以下、銅:0.05%以上0.5%以下、シリコン:0.04%以上1.0%以下である。これらの添加元素は、1種でも2種以上を組み合わせて含有していてもよい。上記添加元素に加えて、チタン、ホウ素を500ppm以下の範囲で含有する合金とすることができる。上記添加元素を含有する合金として、例えば、アルミニウム−鉄合金、アルミニウム−鉄−マグネシウム合金、アルミニウム−鉄−マグネシウム−シリコン合金、アルミニウム−鉄−シリコン合金、アルミニウム−鉄−マグネシウム−(マンガン,ニッケル,ジルコニウム,銀)合金、アルミニウム−鉄−銅合金、アルミニウム−鉄−銅−(マグネシウム,シリコン)合金、アルミニウム−マグネシウム−シリコン−銅合金などが挙げられる。
【0020】
被覆電線を構成するアルミニウム合金は、単線、複数の金属素線を撚り合わせてなる撚り線、撚り線を圧縮した圧縮線材のいずれでもよい。芯線の線径(撚り線の場合は撚り合わせ前の芯線の線径)は、用途などに応じて適宜選択することができる。例えば、線径が0.2mm以上1.5mm以下の芯材が挙げられる。
【0021】
被覆電線を構成するアルミニウム合金(撚り線の場合には金属素線)は、引っ張り強さが110MPa以上200MPa以下、0.2%耐力が40MPa以上、伸びが10%以上、導電率が58%IACS(International Annealed Copper Standard)以上の少なくとも一つを満たすものが挙げられる。特に、伸びが10%以上である芯材は、耐衝撃性に優れ、端子金具を別の端子金具やコネクタ、電子機器などに取り付ける際などにおいて断線しにくい。
【0022】
被覆電線を構成する絶縁性の被覆は、種々の絶縁材料、例えば、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリオレフィン系樹脂をベースとしてハロゲンフリーの樹脂組成物、難燃性組成物などが挙げられる。被覆の厚さは、所望の絶縁強度を考慮して適宜選択することができる。
【0023】
上記芯線は、例えば、鋳造、熱間圧延(ビレット鋳造材の場合:均一化処理)、および冷間伸線加工(軟化処理、撚り合わせ、圧縮などの工程を適宜含めてもよい)という工程により製造することができる。この芯線の外周面に絶縁層を形成することで、被覆電線を製造することができる。
【0024】
端子金具12は、図1に示すように、キャリアCの一縁側に複数連結されている。各端子金具12は、キャリアCの前縁から前方に突出する形態をなしている。各端子金具12は、キャリアCの搬送方向に沿って所定の間隔を空けて配置されている。各端子金具12とキャリアCは、つなぎ部13によって連結されている。すなわち、複数の端子金具12と、キャリアCと、これらの間を連結する複数のつなぎ部13とによってキャリア付き端子金具11が構成されている。
【0025】
本体部20は、底面部22と、底面部22の両側縁から立ち上がる一対の側面部23と、一方の側面部23の上縁から他方の側面部23の上縁に向けて折り曲げることにより形成された天井部24とを備えている。
【0026】
本体部20の内部には、弾性変位可能な弾性接触片21が形成されている。弾性接触片21は、底面部22の前縁から後方へ折り返すことによって形成されている。本体部20の内部において弾性接触片21と対向する対向面(天井部24の下面)と弾性接触片21との間には、タブ状をなす相手側導体(図示せず)が挿入可能となっている。自然状態にある弾性接触片21と対向面との距離は、相手側導体の板厚よりも小さめとされている。このため、相手側導体が弾性接触片21を撓ませつつ対向面との間に挿入されると、相手側導体と弾性接触片21とは弾性的に接触し電気的に接続される。
【0027】
圧着部30は、略U字状をなすワイヤバレル部31と、ワイヤバレル部31の後方に配された略U字状をなすインシュレーションバレル部32とを備えている。圧着部30は、本体部20の底面部22と連続して前後方向に延びる底壁33を有している。
【0028】
ワイヤバレル部31は、底壁33の両側縁から対向状態で立ち上がる一対のかしめ片31A,31Aを有している。ワイヤバレル部31は、底壁33上に前後方向に沿って芯線42の端末を載置し、両かしめ片31A,31Aによって芯線42の端末をかしめることにより芯線42を圧着可能である。芯線42が両かしめ片31A,31Aと底壁33とに導通可能に接触することで、芯線42とワイヤバレル部31が電気的に接続される。
【0029】
インシュレーションバレル部32は、底壁33の両側縁から立ち上がる一対のかしめ片32A,32Bを有している。両かしめ片32A,32Bは、前後方向にずれて配されている。以下の説明においては、前側に位置するかしめ片を32Aとし、後側に位置するかしめ片を32Bとする。インシュレーションバレル部32は、底壁33上に被覆43を載置し、両かしめ片32A,32Bによって被覆43をかしめることにより芯線42とともに被覆43を圧着可能である。
【0030】
図1に示すように、キャリアCにおいて各つなぎ部13と対応する位置には、キャリアCを搬送するための搬送孔14が形成されている。各搬送孔14は円孔であって、キャリアCを板厚方向に貫通している。圧着機50(図3および図4参照)には、搬送孔14に通してキャリア付き端子金具11を搬送させる搬送軸(図示せず)が設けられている。
【0031】
圧着機50は、図3に示すように、アンビル51と、このアンビル51の上方に設けられた一対のクリンパ52A,52Bとを備えて構成されている。ワイヤバレル部31およびインシュレーションバレル部32は、アンビル51上に載置される。両クリンパ52A,52Bのうちワイヤバレル部31と対応するものは第1クリンパ52Aとされ、インシュレーションバレル部32と対応するものは第2クリンパ52Bとされている。両クリンパ52A,52Bは、図示しない駆動手段により上下動可能とされている。
【0032】
また、端子金具12の後側には、この端子金具12をキャリアCから切断する切断型(図示せず)が設けられている。キャリア付き端子金具11がキャリアCによって圧着機50の内部に搬送され、圧着部30に被覆電線40の端末が配置された後、圧着部30が圧着機50によって圧着されるとともに圧着部30が切断型によってキャリアCから分離される。これにより、端子金具付き電線10が形成されるようになっている。
【0033】
ところで、芯線42を構成する金属素線41の表面には、空気中の水や酸素と反応することにより絶縁性の酸化被覆(例えば酸化アルミなど)Lが形成されやすい。そして、芯線42とワイヤバレル部31との間に酸化被膜Lが介在したまま両者42,31が接続されると、電気接続抵抗が大きくなるという問題がある。
【0034】
この問題に対して本実施形態では、芯線42と接触する圧着面にセレーション34を設けることにより、芯線42をセレーション34内に食い込ませ、セレーション34のエッジ部分で酸化被膜Lを破るようにしている。なお、セレーション34は、ワイヤバレル部31において前後方向と直交する幅方向に延びる溝状に形成され、前後方向に所定の間隔を空けて3箇所配されている。
【0035】
しかしながら、サーマルショック試験などの耐久試験を行った場合においても安定した電気的接続抵抗を得るためには、ワイヤバレル部31の圧縮率(圧着後の導体断面積を圧着前の導体断面積で除することにより算出される比率)を低くする必要がある。ここで、「圧縮率を低くする」とは、より高圧縮な圧着条件で圧縮することを意味し、以下においては単に「高圧縮にする」という。同様に、「圧縮率を高くする」とは、より低圧縮な(緩やかな)圧着条件で圧縮することを意味し、以下においては単に「低圧縮にする」という。ワイヤバレル部31を高圧縮にすると、ワイヤバレル部31が塑性変形し、これに伴ってワイヤバレル部31が前後方向に延びてしまう。特に、つなぎ部13の後端13Rが後側のかしめ片32Bの後端よりも後方に突出している場合には、端子金具付き電線10をコネクタ(図示せず)のキャビティ(図示せず)に挿入したときに、つなぎ部13の後端13Rがキャビティから後方に飛び出してしまい、隣り合う端子金具付き電線10同士がリークしやすくなるという問題がある。
【0036】
この問題に対して本実施形態では、図6に示すように、ワイヤバレル部31の圧着面(芯線42と接触する導体接触面)にアルマイト層35を形成している。このアルマイト層35は、端子金具12を被覆電線40の端末に取り付けた後、芯線42とワイヤバレル部31の間に残存している。アルマイト層35の主成分である酸化アルミニウム(Al2O3)は絶縁物であることから、アルマイト層35が厚すぎると、電気接続抵抗の増大を招くおそれがある。一方、アルマイト層35が薄すぎても、芯線42の表面に形成された酸化被膜Lの破壊が十分に行われず、電気接続抵抗の増大を招くおそれがある。したがって、アルマイト層35の厚さは0.5μm以上10μm以下が好ましい。また、アルマイト層35は多孔質層とされており、酸化被膜Lよりも緻密な結晶構造とされている。アルマイト層35の硬度は、200〜250Hvである。一方、母材であるアルミニウム合金の硬度は、30〜105Hvである。つまり、アルマイト層35は母材よりも硬い硬質層とされている。これは、ワイヤバレル部31をかしめると、アルマイト層35がワイヤバレル部31に追従できなくなって複数のアルマイト片に破断され、これらのアルマイト片がワイヤバレル部31の表面から突出した状態となることを意味している。
【0037】
アルマイト層35は、電解処理(具体的には、脱脂工程、エッチング工程、水洗工程、酸洗工程、水洗工程、陽極酸化工程、および水洗工程の順に施される処理)によって形成されている。脱脂工程は、市販の脱脂液に含浸した後、撹拌しながらエタノール液に含浸し、その後、超音波洗浄を行う工程である。エッチング工程では、水酸化ナトリウム水溶液(200g/L、pH=12)を使用し、酸洗工程では、硝酸:400ml/Lと50%ふっ酸:40ml/Lとを混合した混合酸水溶液を使用している。陽極酸化工程では、希硫酸液(硫酸水溶液(200ml/L))を使用しており、通電電流と通電時間を調整することで所望の厚さのアルマイト層35が得られるようにしている。エッチング後の水洗工程では、超音波洗浄を使用し、酸洗後の水洗工程および陽極酸化後の水洗工程では、流水を使用している。
【0038】
図6においては、圧着に伴ってアルマイト層35が酸化被膜Lを削る様子を簡易的に説明するため、アルミニウム合金からなる芯材60の表面に酸化被膜Lが形成された金属素線61を示している。まず、図6の状態から両かしめ片31A,31Aをかしめてワイヤバレル部31を変形させていくと、アルマイト層35が芯材60の変形に追従できなくなって破断する。そして、破断したアルマイト層35は、図7に示すように、酸化被膜Lをひっかき剥がすように破るとともに、ワイヤバレル部31の母材であるアルミニウム合金と金属素線61の芯材60であるアルミニウム合金とが、互いに圧接されて一体化した状態となって導通可能に接続される。これにより、ワイヤバレル部31を高圧縮にすることなく、低圧縮でも安定した電気接続抵抗を得ることができる。
【0039】
また、セレーション34によって破断可能な酸化被膜Lは、当然のことながら芯線42の外周側に配された金属素線41の酸化被膜Lに限定され、芯線42の外周側に表れない内部側の金属素線41の酸化被膜Lについては、セレーション34に直接接触させることができないため、やはり安定した電気接続抵抗を得ることができないという問題もある。
【0040】
この問題に対して本実施形態では、全ての金属素線41の表面にアルマイト層44が形成された芯線42を用いることで対応している。このアルマイト層44は、ワイヤバレル部31のアルマイト層35と同様に、芯材であるアルミニウム合金の表面を電解処理することによって形成されており、その他の物性についてもアルマイト層35と同様である。
【0041】
具体的には図8ないし図12を参照しながら、圧着に伴ってアルマイト層44が酸化被膜Lを破断する様子を簡易的に説明する。図11および図12においては、圧着に伴ってアルマイト層44が酸化被膜Lを破断する様子を簡易的に説明するため、アルミニウム合金からなる母材62の表面に酸化被膜Lが形成された金属素線63と、アルミニウム合金からなる母材62の表面にアルマイト層44が形成された金属素線41とを混ぜた状態でこれらを束ねた芯線64を例示している。また、ワイヤバレル部31の圧着面のうち左半分には、アルマイト層44が形成されているものの、同右半分には、アルマイト層44が形成されていないものを例示している。
【0042】
まず、図8に示すように、アンビル51上にワイヤバレル部31および芯線64を載置し、第1クリンパ52Aを下降させていくと、図9に示すように、両かしめ片31A,31Aが第1クリンパ52Aによって内側に曲げられて芯線64に対して上方から食い込む。さらに、第1クリンパ52Aを下降させていくと、図10に示すように、各金属素線41,63の変形を伴いながら、ワイヤバレル部31が芯線64に圧着された状態となる。
【0043】
このとき、アルマイト層44は、各金属素線41および各かしめ片31A,31Aの変形に追従できなくなって破断する。そして、破断したアルマイト層44は、図12に示すように、各金属素線63の表面の酸化被膜Lをひっかき剥がすように破るとともに、アルマイト層44によって覆われていた各金属素線41の芯材が露出する。続いて、金属素線41の芯材であるアルミニウム合金と金属素線63の芯材であるアルミニウム合金とが、互いに圧接されて一体化した状態となって導通可能に接続される。これに併行して、アルマイト層44によって覆われていたワイヤバレル部31の母材が露出し、この母材と各金属素線41,63の芯材とが、互いに圧接されて一体化した状態となって導通可能に接続される。このように、セレーション34およびアルマイト層44に接触しない酸化被膜Lについても破断することができ、芯線64の内部においても各金属素線41,63同士を導通可能に接続することができる。したがって、ワイヤバレル部31を高圧縮にすることなく、低圧縮でも安定した電気接続抵抗を得ることができる。
【0044】
<実施例>
以下、実施例を挙げて本実施形態をさらに詳細に説明する。以下の説明においてアルミ端子とは実施形態の端子金具付き電線10に対応しており、アルミ電線とは実施形態の被覆電線40の芯線42に対応している。
【0045】
まず、アルマイト処理の有無の表面状態を図13ないし図16を参照しながら説明する。図13は、アルマイト処理が施されていないアルミ端子をアルマイト処理が施されていないアルミ電線に圧着させた後、アルミ端子からアルミ電線を引き剥がし、そのアルミ端子の圧着面をSEM像によって観察した様子を示している。同様に、図15は、アルミ電線の被圧着面をSEM像によって観察した様子を示している。図13の拡大図の左側を見ると、アルミ端子の圧着面は滑らかであることが分かる。一方、図15の拡大図の右側を見ると、アルミ電線の被圧着面も滑らかであることが分かる。
【0046】
次に、図14は、アルマイト処理が施されたアルミ端子をアルマイト処理が施されていないアルミ電線に圧着させた後、アルミ端子からアルミ電線を引き剥がし、そのアルミ端子の圧着面をSEM像によって観察した様子を示している。同様に、図16は、アルミ電線の被圧着面をSEM像によって観察した様子を示している。図14の拡大図の左側を見ると、アルミ端子の圧着面には、アルマイト層が割れることで破断したウロコ状のアルマイト片が複数形成されており、圧着面全体として細かい凹凸が形成されていることが分かる。同様に、図16の拡大図を見ると、アルミ電線の被圧着面には、細かい凹凸が転写されていることが分かる。
【0047】
このように、SEM像を見ても明らかなように、ウロコ状の各アルマイト片がアルミ電線の酸化被膜を破断することになるため、セレーションのエッジ部分だけでなく、アルミ端子の圧着面の全体で酸化被膜を破断することが可能になる。ただし、この方法によって酸化被膜を破断することができる前提として、アルマイトがウロコ状のアルマイト片に破断されている必要があり、アルミ端子の圧着面をアルミ電線の被圧着面に圧着させる前に、アルマイトを破断させるべくアルミ電線の圧着面を変形させることが必要となる。
【0048】
次に、耐久試験(サーマルショック試験)による圧着部抵抗の変化の様子を図17および図18を参照しながら説明する。この耐久試験で使用したアルミ端子の母材は、JIS規格(JIS H 4000:1999)の6000系合金(6061合金相当)からなるアルミニウム合金板をT6処理(550℃で3時間加熱した後、水冷し、さらに175℃で16時間加熱する処理)を施したものである。また、この耐久試験で使用したアルマイト層の平均厚さは、2μmである。平均厚さの測定は、ワイヤバレル部の断面のSEM像を観察することで行った。図17は、アルマイト処理が施されていないアルミ端子をアルマイト処理が施されていないアルミ電線に圧着させたアルミ端子付きアルミ電線の圧着部抵抗の変化を示したものである。一方、図18は、アルマイト処理が施されているアルミ端子をアルマイト処理が施されていないアルミ電線に圧着させたアルミ端子付きアルミ電線の圧着部抵抗の変化を示したものである。なお、圧着部抵抗は、実施形態の電気接続抵抗と同義である。
【0049】
また、以下に示す表1は、図17のグラフの元データであり、表2は、図18のグラフの元データである。図17および図18中の圧縮率とは、圧着前における芯線の断面積を圧着後における芯線の断面積で除することにより算出された比率である。すなわち、圧縮率が小さいほどワイヤバレル部がより高圧縮でかしめ付けられており、圧縮率が大きいほどワイヤバレル部がより低圧縮でかしめ付けられていることを意味している。
【表1】
【表2】
【0050】
まず、図18に示すように、アルマイト処理を施したものは、アルマイト処理を施していないものと比較して、全体的に圧着部抵抗が低いことが分かる。また、アルマイト処理を施したものは、圧縮率の大小にかかわらず、圧着部抵抗が低いことがわかる。図18によると、圧縮率40〜65%の範囲において耐久試験の前後で圧着部抵抗がほぼ0.2mΩで安定しており、圧着部抵抗の増加がほとんど見られないことから、安定した圧着部抵抗が得られていることが分かる。一方、アルマイト処理を施していないものでは、図17に示すように、圧縮率40〜65%の範囲で耐久試験後に圧着部抵抗が最大で0.2mΩ程度増加していることが分かる。このようにアルマイト処理を施したものでは、耐久試験の前後で圧着部抵抗がほとんど変わらず、低抵抗な状態が維持されていることが分かる。特に、最も圧着条件が緩やかとされる圧縮率が65%において圧着部抵抗の増加が見られなかったことから、緩やかな圧着条件でも安定した圧着部抵抗が得られることを意味している。したがって、アルマイト処理を施したものでは、長期に亘り、低抵抗な状態を維持することができる。
【0051】
次に、アルマイト処理の代わりに、ワイヤバレル部にベーマイト処理を施した場合における耐久試験(サーマルショック試験)による圧着部抵抗の変化の様子を図19および図21を参照しながら説明する。以下に示す表3は、図19のグラフの元データであり、表4は、図20のグラフの元データであり、表5は、図21のグラフの元データである。図19ないし図21中の圧縮率とは、図17および図18の圧縮率と同義であり、圧着前における芯線の断面積を圧着後における芯線の断面積で除することにより算出された比率である。すなわち、圧縮率が小さいほどワイヤバレル部31がより高圧縮でかしめ付けられており、圧縮率が大きいほどワイヤバレル部31がより低圧縮でかしめ付けられていることを意味している。
【表3】
【表4】
【表5】
【0052】
試料No.200,210,220のアルミ端子は、ワイヤバレル部の圧着面にベーマイト処理を施した試料である。ベーマイト処理は、公知の手法を利用し、浸漬時間を変化させることで、ベーマイト層の厚さを異ならせた。浸漬時間は、試料No.200が最も短く、試料No.210が試料No.200よりも長く、試料No.220が試料No.210よりも長くなるようにした。ベーマイト処理後、ベーマイト層の平均厚さを測定したところ、試料No.220は0.7μmであり、試料No.200は0.1μmであった。平均厚さの測定は、上述のアルマイト層と同様に、断面のSEM像観察により行った。
【0053】
アルミ電線の芯線として、複数の金属素線(質量%で、鉄が1.05%とマグネシウムが0.15%含まれ、残部がアルミニウムからなるもの)を撚り合わせてなる撚り線(ここでは、線径が0.3mmの素線を11本撚り合わせたもの)を用意し、各試料No.200,210,220のワイヤバレル部に芯線を載置してかしめることにより、ワイヤバレル部を芯線に圧着した。各試料No.200,210,220のそれぞれについて、圧縮率が40〜60%の範囲で5%ずつ異なるように5種類のサンプルを用意した。
【0054】
各試料No.200,210,220について、初期(耐久試験前)の圧着部抵抗、および耐久試験後の圧着部抵抗を測定した。圧着部抵抗の測定は、アルミ端子とアルミ電線を四端子法で測定した。その結果を図19ないし図21に示す。図19は、試料No.200のアルミ端子をアルマイト処理が施されていないアルミ電線に圧着させたアルミ端子付きアルミ電線の圧着部抵抗の変化を示したものである。また、図20は、試料No.210のアルミ端子をアルマイト処理が施されていないアルミ電線に圧着させたアルミ端子付きアルミ電線の圧着部抵抗の変化を示したものである。また、図21は、試料No,220のアルミ端子をアルマイト処理が施されていないアルミ電線に圧着させたアルミ端子付きアルミ電線の圧着部抵抗の変化を示したものである。
【0055】
ベーマイト処理を施した試料No.200,210,220のうち、ベーマイト層の厚さが最も薄い試料No.200は、未処理の試料(図17参照)と同程度の圧着部抵抗であるが、これよりもベーマイト層の厚さが厚い試料No.210,220は、未処理の試料よりも圧着部抵抗が大きくなっていることが分かる。また、試料No.220は、初期と耐久後でも圧着部抵抗が異なり、耐久後に圧着部抵抗が大きくなっていることが分かる。つまり、ベーマイト処理を施した場合には、経時的に圧着部抵抗が大きくなる傾向にあるといえる。このことから、ベーマイト処理を施したものでは、ベーマイト層が全く破壊されておらず、アルミ端子のワイヤバレル部との間に、絶縁物としてのベーマイト層が介在していることが分かる。この根拠としては、ベーマイト層は、全厚みの30%が緻密層で70%がポーラス層とされており、このポーラス層があるために酸化被膜Lを破壊できないことが挙げられる。一方、アルマイト層は、ほぼ全体が緻密層で構成されているため、破壊されやすく、破壊されたアルマイト片によって酸化被膜Lを破壊しやすい。
【0056】
以上のように本実施形態では、金属素線41の表面にアルマイト処理を施してアルマイト層44を形成したから、圧着の際にアルマイト層44が破断し、この破断したアルマイト層44によって金属素線41の表面の酸化被膜Lを破ることができる。そして、各金属素線41の芯材であるアルミニウム合金同士を一体化した状態で導通可能に接続することができるため、芯線42の外周面に表れない内部側においても金属素線41同士を接続することができる。また、全ての金属素線41にアルマイト層44を形成しているため、金属素線41同士を確実に接続することができる。また、金属素線41の芯材をアルミニウム合金で形成したから、芯材にそのまま電解処理するだけでアルマイト層44を形成することができる。
【0057】
また、圧着部30の圧着面にアルマイト処理を施してアルマイト層35を形成したから、圧着の際にアルマイト層35が破断し、この破断したアルマイト層35によって金属素線41の表面の酸化被膜Lを破ることができる。そして、金属素線41の芯材であるアルミニウム合金と圧着部30の母材であるアルミニウム合金とを一体化した状態で導通可能に接続することができる。また、圧着部30の母材をアルミニウム合金で形成したから、母材にそのまま電解処理するだけでアルマイト層35を形成することができる。
【0058】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)上記実施形態では圧着部の母材としてアルミニウム合金を使用しているものの、本発明によると、母材としてアルミニウムを使用してもよい。また、母材として銅合金を使用し、この銅合金の表層にアルミニウム合金層を形成した上で、このアルミニウム合金層を電解処理することでアルマイト層を形成してもよい。
【0059】
(2)上記実施形態ではオープンバレル形状のワイヤバレル部31を例示しているものの、本発明によると、クローズドバレル形状のワイヤバレル部に適用してもよい。
【0060】
(3)上記実施形態では硬質層としてアルミニウム合金層の表面にアルマイト処理を施しているものの、本発明によると、窒化アルミを硬質層として使用してもよいし、アルミニウム合金層の表面にアロジン処理などを施してもよい。
【0061】
(4)上記実施形態ではワイヤバレル部31と芯線42の双方にアルマイト処理を施しているものの、本発明によると、ワイヤバレル部31のみにアルマイト処理を施してもよい。
【0062】
(5)上記実施形態では圧着型でかしめ片をかしめて圧着することによりワイヤバレル部31と芯線42を接続しているものの、本発明によると、一対の圧接刃の間に芯線を圧入することにより圧接刃と芯線を圧接する圧接端子に適用してもよい。
【0063】
(6)本発明によると、アルマイト層の厚さ、端子金具の組成、被覆電線の芯線の組成、形状、線径などを適宜変更することができる。
【符号の説明】
【0064】
10…端子金具付き電線
12…(圧着前の)端子金具
30…圧着部
35…アルマイト層(硬質層)
40…被覆電線
42…芯線
60…芯材
61…金属素線
62…母材
63…金属素線
64…芯線
L…酸化被膜
【技術分野】
【0001】
本発明は、端子金具、端子金具付き電線、および端子金具と電線の接続方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、アルミニウムの芯材からなる芯線が絶縁被覆で覆われてなるアルミ電線と端子金具との接続方法として、例えば下記特許文献1に記載のものが知られている。アルミ電線は、芯材の表面に酸化被膜が形成されやすく、この酸化被膜を破壊すべく、端子金具の圧着部にセレーションを形成しておき、アルミ電線の表面に形成された酸化被膜をセレーションによって破壊することが行われている。このようにすると、酸化被膜が破られることでアルミニウムの芯材が露出すると同時に、この芯材が圧着部と導通可能に接続されるため、アルミ電線と端子金具の間の電気接続抵抗を低下させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−3584号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記の接続方法では、セレーションによって酸化被膜を破ってはいるものの、安定した電気接続抵抗を得るには、やはり圧着部を強くかしめる必要があり、その結果、端子金具が損傷したり、圧着部が前後方向に延びることでこの圧着部がコネクタの後端から飛び出すなどのおそれがある。このように、緩やかな圧着条件でも安定した電気接続抵抗を得ることができる接続方法が切望されていた。
【0005】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、緩やかな圧着条件で安定した電気接続抵抗を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、電線に圧着される圧着部を有する端子金具であって、圧着部を構成する母材の表層にアルミニウム層またはアルミニウム合金層が形成されており、そのアルミニウム層またはアルミニウム合金層の表面に母材よりも硬い硬質層が形成されている構成としたところに特徴を有する。
【0007】
また、本発明は、上記の端子金具と、アルミニウムまたはアルミニウム合金からなる芯線を有し、端子金具の圧着部が芯線に圧着された電線とを備えた端子金具付き電線としてもよい。
【0008】
また、本発明は、端子金具に設けられた圧着部を、アルミニウムまたはアルミニウム合金からなる芯線を有する電線に接続する端子金具と電線の接続方法であって、圧着部を構成する母材の表層にアルミニウム層またはアルミニウム合金層が形成され、そのアルミニウム層またはアルミニウム合金層の表面に母材よりも硬い硬質層が形成されており、圧着部を変形させながら芯線に圧着する際に硬質層が破断し、この破断した硬質層が芯線の表層を削ることで芯線の芯材が露出するとともに、この露出した芯材と母材とを圧接してもよい。
【0009】
このようにすると、硬質層が母材よりも硬いため、端子金具の圧着部を電線の芯線に圧着する際に、硬質層が圧着部の変形に追従しないことにより、硬質層を容易に破断させることができる。そして、この破断した硬質層が、電線の芯線の表面に形成された酸化被膜を破って芯線の芯材を露出させることになるため、この露出した芯材と硬質層が破断することで露出した母材とを導通可能に接続することができる。したがって、従来のように端子金具を強くかしめることで端子金具が損傷したり、圧着部がコネクタの後端から飛び出したりすることを回避できる。この結果、緩やかな圧着条件で安定した電気接続抵抗を得ることができる。
【0010】
本発明の実施の態様として、以下の構成が好ましい。
母材は、アルミニウム層またはアルミニウム合金層と同一の金属材であって一体をなす構成としてもよい。
このような構成によると、母材とアルミニウム層またはアルミニウム合金層とを一体に形成することができる。
【0011】
硬質層は、アルマイト層である構成としてもよい。
アルマイトはアルミニウムまたはアルミニウム合金の表面に酸化被膜を形成したものであるため、アルミニウム層またはアルミニウム合金層の表面に硬質層としてのアルマイト層を形成しやすい。
【0012】
アルマイト層の厚さは、1μm以上10μm以下である構成としてもよい。
このような構成によると、芯線の芯材と端子金具の母材との接続を良好に行うことができる上に、芯材と母材の界面に過度の絶縁物(アルマイト層を形成していた破片)が介在せず、低抵抗な接続構造を構築することができる。
【0013】
母材は、2000系合金、6000系合金、および7000系合金から選択される1種のアルミニウム合金から構成されているものとしてもよい。
これらのアルミニウム合金は、曲げなどの機械的特性に優れているため、プレス加工などの加工性がよい。また、上記のアルミニウム合金は、耐熱性に優れているため、高温環境(例えば、自動車用途では、120℃〜150℃程度)でも使用することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、緩やかな圧着条件で安定した電気接続抵抗を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】実施形態における端子金具の平面図
【図2】端子金具の側面図
【図3】端子金具の圧着部を圧着型で圧着する直前の状態を示した側面図
【図4】端子金具の圧着部を圧着型で圧着した直後の状態を示した側面図
【図5】端子金具付き電線の側面図
【図6】圧着前におけるアルミ端子とアルミ電線の状態を示した断面図
【図7】圧着後におけるアルミ端子とアルミ電線の状態を示した断面図
【図8】アルミ端子の圧着部を圧着型で圧着する直前の状態を正面から見た断面図
【図9】アルミ端子の圧着部を圧着型で圧着する途中の状態を正面から見た断面図
【図10】アルミ端子の圧着部を圧着型で圧着した直後の状態を正面から見た断面図
【図11】図8の一部を拡大して示した断面図
【図12】図10の一部を拡大して示した断面図
【図13】アルマイト処理をしない場合のワイヤバレル部の圧着面を示すSEM像
【図14】アルマイト処理をした場合のワイヤバレル部の圧着面を示すSEM像
【図15】図13における芯線の被圧着面を示すSEM像
【図16】図13における芯線の被圧着面を示すSEM像
【図17】表1のデータ(アルマイト処理なし)を表したグラフ
【図18】表2のデータ(アルマイト処理あり)を表したグラフ
【図19】表3のデータ(試料No.200ベーマイト処理あり)を表したグラフ
【図20】表4のデータ(試料No.210ベーマイト処理あり)を表したグラフ
【図21】表5のデータ(試料No.220ベーマイト処理あり)を表したグラフ
【発明を実施するための形態】
【0016】
<実施形態>
本発明の実施形態を図1ないし図18の図面を参照しながら説明する。圧着前の端子金具12は、図1に示すように、角筒形状をなす本体部20と、本体部20の後方に形成された圧着部30とを備えている。この端子金具12は、アルミニウム合金の平板を母材としてプレス加工する(所定の形状に打ち抜き、さらに曲げ加工などを施す)ことにより形成されたアルミ端子である。より詳細に説明すると、母材はJIS規格(JIS H 4000:1999)の6000系合金(6061合金相当)からなるアルミニウム合金板であって、例えば、鋳造、熱間圧延、冷間圧延、および種々の熱処理(例えば、T6処理)という工程により製造されたものである。なお、本実施形態では端子金具12として雌端子金具を例示しているものの、本発明によると、タブ状をなす雄端子金具としてもよい。また、端子金具12の母材としては、銅、銅合金、またはアルミニウムなど任意の金属材を用いることができる。
【0017】
アルミニウム合金としては、曲げなどの機械的特性や耐熱性に優れる組成のもの、具体的には、JIS規格(JIS H 4000:1999)に規定される2000系合金、6000系合金、および7000系合金などを使用することができる。2000系合金は、ジュラルミン、超ジュラルミンと呼ばれるアルミニウム−銅系合金であり、強度に優れる。具体的な合金番号として、例えば、2024、2219などが挙げられる。6000系合金は、アルミニウム−マグネシウム−シリコン系合金であり、強度、耐食性、陽極酸化性に優れる。具体的な合金番号として、例えば、6061などが挙げられる。7000系合金は、超々ジュラルミンと呼ばれるアルミニウム−亜鉛−マグネシウム系合金であり、非常に高強度である。具体的な合金番号として、例えば、7075などが挙げられる。
【0018】
被覆電線40はアルミ電線であって、複数本の金属素線41からなる芯線42を絶縁性の合成樹脂からなる被覆43で覆った構成である。本実施形態の被覆電線40は、11本の金属素線41を束ねたものである。芯線42を構成する金属素線41の芯材としては、銅、銅合金、アルミニウム、またはアルミニウム合金など任意の金属材を用いることができる。なお、本実施形態の金属素線41は、アルミニウム合金によって構成されている。このように本実施形態では、アルミニウム合金からなる端子金具12とアルミニウム合金からなる芯線42との接続構造、すなわち主成分が同種の金属からなる接続構造とされており、芯線42と端子金具12の間では電食が実質的に生じない。
【0019】
被覆電線を構成するアルミニウム合金は、例えば、鉄、マグネシウム、シリコン、銅、亜鉛、ニッケル、マンガン、銀、クロム、およびジルコニウムから選択される1種以上の元素を合計で0.005質量%以上5.0質量%以下含有し、残部がアルミニウムおよび不純物からなるものが挙げられる。各元素の好ましい含有量は、質量%で、鉄:0.005%以上2.2%以下、マグネシウム:0.05%以上1.0%以下、マンガン,ニッケル,ジルコニウム,亜鉛,クロム,および銀:合計で0.005%以上0.2%以下、銅:0.05%以上0.5%以下、シリコン:0.04%以上1.0%以下である。これらの添加元素は、1種でも2種以上を組み合わせて含有していてもよい。上記添加元素に加えて、チタン、ホウ素を500ppm以下の範囲で含有する合金とすることができる。上記添加元素を含有する合金として、例えば、アルミニウム−鉄合金、アルミニウム−鉄−マグネシウム合金、アルミニウム−鉄−マグネシウム−シリコン合金、アルミニウム−鉄−シリコン合金、アルミニウム−鉄−マグネシウム−(マンガン,ニッケル,ジルコニウム,銀)合金、アルミニウム−鉄−銅合金、アルミニウム−鉄−銅−(マグネシウム,シリコン)合金、アルミニウム−マグネシウム−シリコン−銅合金などが挙げられる。
【0020】
被覆電線を構成するアルミニウム合金は、単線、複数の金属素線を撚り合わせてなる撚り線、撚り線を圧縮した圧縮線材のいずれでもよい。芯線の線径(撚り線の場合は撚り合わせ前の芯線の線径)は、用途などに応じて適宜選択することができる。例えば、線径が0.2mm以上1.5mm以下の芯材が挙げられる。
【0021】
被覆電線を構成するアルミニウム合金(撚り線の場合には金属素線)は、引っ張り強さが110MPa以上200MPa以下、0.2%耐力が40MPa以上、伸びが10%以上、導電率が58%IACS(International Annealed Copper Standard)以上の少なくとも一つを満たすものが挙げられる。特に、伸びが10%以上である芯材は、耐衝撃性に優れ、端子金具を別の端子金具やコネクタ、電子機器などに取り付ける際などにおいて断線しにくい。
【0022】
被覆電線を構成する絶縁性の被覆は、種々の絶縁材料、例えば、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリオレフィン系樹脂をベースとしてハロゲンフリーの樹脂組成物、難燃性組成物などが挙げられる。被覆の厚さは、所望の絶縁強度を考慮して適宜選択することができる。
【0023】
上記芯線は、例えば、鋳造、熱間圧延(ビレット鋳造材の場合:均一化処理)、および冷間伸線加工(軟化処理、撚り合わせ、圧縮などの工程を適宜含めてもよい)という工程により製造することができる。この芯線の外周面に絶縁層を形成することで、被覆電線を製造することができる。
【0024】
端子金具12は、図1に示すように、キャリアCの一縁側に複数連結されている。各端子金具12は、キャリアCの前縁から前方に突出する形態をなしている。各端子金具12は、キャリアCの搬送方向に沿って所定の間隔を空けて配置されている。各端子金具12とキャリアCは、つなぎ部13によって連結されている。すなわち、複数の端子金具12と、キャリアCと、これらの間を連結する複数のつなぎ部13とによってキャリア付き端子金具11が構成されている。
【0025】
本体部20は、底面部22と、底面部22の両側縁から立ち上がる一対の側面部23と、一方の側面部23の上縁から他方の側面部23の上縁に向けて折り曲げることにより形成された天井部24とを備えている。
【0026】
本体部20の内部には、弾性変位可能な弾性接触片21が形成されている。弾性接触片21は、底面部22の前縁から後方へ折り返すことによって形成されている。本体部20の内部において弾性接触片21と対向する対向面(天井部24の下面)と弾性接触片21との間には、タブ状をなす相手側導体(図示せず)が挿入可能となっている。自然状態にある弾性接触片21と対向面との距離は、相手側導体の板厚よりも小さめとされている。このため、相手側導体が弾性接触片21を撓ませつつ対向面との間に挿入されると、相手側導体と弾性接触片21とは弾性的に接触し電気的に接続される。
【0027】
圧着部30は、略U字状をなすワイヤバレル部31と、ワイヤバレル部31の後方に配された略U字状をなすインシュレーションバレル部32とを備えている。圧着部30は、本体部20の底面部22と連続して前後方向に延びる底壁33を有している。
【0028】
ワイヤバレル部31は、底壁33の両側縁から対向状態で立ち上がる一対のかしめ片31A,31Aを有している。ワイヤバレル部31は、底壁33上に前後方向に沿って芯線42の端末を載置し、両かしめ片31A,31Aによって芯線42の端末をかしめることにより芯線42を圧着可能である。芯線42が両かしめ片31A,31Aと底壁33とに導通可能に接触することで、芯線42とワイヤバレル部31が電気的に接続される。
【0029】
インシュレーションバレル部32は、底壁33の両側縁から立ち上がる一対のかしめ片32A,32Bを有している。両かしめ片32A,32Bは、前後方向にずれて配されている。以下の説明においては、前側に位置するかしめ片を32Aとし、後側に位置するかしめ片を32Bとする。インシュレーションバレル部32は、底壁33上に被覆43を載置し、両かしめ片32A,32Bによって被覆43をかしめることにより芯線42とともに被覆43を圧着可能である。
【0030】
図1に示すように、キャリアCにおいて各つなぎ部13と対応する位置には、キャリアCを搬送するための搬送孔14が形成されている。各搬送孔14は円孔であって、キャリアCを板厚方向に貫通している。圧着機50(図3および図4参照)には、搬送孔14に通してキャリア付き端子金具11を搬送させる搬送軸(図示せず)が設けられている。
【0031】
圧着機50は、図3に示すように、アンビル51と、このアンビル51の上方に設けられた一対のクリンパ52A,52Bとを備えて構成されている。ワイヤバレル部31およびインシュレーションバレル部32は、アンビル51上に載置される。両クリンパ52A,52Bのうちワイヤバレル部31と対応するものは第1クリンパ52Aとされ、インシュレーションバレル部32と対応するものは第2クリンパ52Bとされている。両クリンパ52A,52Bは、図示しない駆動手段により上下動可能とされている。
【0032】
また、端子金具12の後側には、この端子金具12をキャリアCから切断する切断型(図示せず)が設けられている。キャリア付き端子金具11がキャリアCによって圧着機50の内部に搬送され、圧着部30に被覆電線40の端末が配置された後、圧着部30が圧着機50によって圧着されるとともに圧着部30が切断型によってキャリアCから分離される。これにより、端子金具付き電線10が形成されるようになっている。
【0033】
ところで、芯線42を構成する金属素線41の表面には、空気中の水や酸素と反応することにより絶縁性の酸化被覆(例えば酸化アルミなど)Lが形成されやすい。そして、芯線42とワイヤバレル部31との間に酸化被膜Lが介在したまま両者42,31が接続されると、電気接続抵抗が大きくなるという問題がある。
【0034】
この問題に対して本実施形態では、芯線42と接触する圧着面にセレーション34を設けることにより、芯線42をセレーション34内に食い込ませ、セレーション34のエッジ部分で酸化被膜Lを破るようにしている。なお、セレーション34は、ワイヤバレル部31において前後方向と直交する幅方向に延びる溝状に形成され、前後方向に所定の間隔を空けて3箇所配されている。
【0035】
しかしながら、サーマルショック試験などの耐久試験を行った場合においても安定した電気的接続抵抗を得るためには、ワイヤバレル部31の圧縮率(圧着後の導体断面積を圧着前の導体断面積で除することにより算出される比率)を低くする必要がある。ここで、「圧縮率を低くする」とは、より高圧縮な圧着条件で圧縮することを意味し、以下においては単に「高圧縮にする」という。同様に、「圧縮率を高くする」とは、より低圧縮な(緩やかな)圧着条件で圧縮することを意味し、以下においては単に「低圧縮にする」という。ワイヤバレル部31を高圧縮にすると、ワイヤバレル部31が塑性変形し、これに伴ってワイヤバレル部31が前後方向に延びてしまう。特に、つなぎ部13の後端13Rが後側のかしめ片32Bの後端よりも後方に突出している場合には、端子金具付き電線10をコネクタ(図示せず)のキャビティ(図示せず)に挿入したときに、つなぎ部13の後端13Rがキャビティから後方に飛び出してしまい、隣り合う端子金具付き電線10同士がリークしやすくなるという問題がある。
【0036】
この問題に対して本実施形態では、図6に示すように、ワイヤバレル部31の圧着面(芯線42と接触する導体接触面)にアルマイト層35を形成している。このアルマイト層35は、端子金具12を被覆電線40の端末に取り付けた後、芯線42とワイヤバレル部31の間に残存している。アルマイト層35の主成分である酸化アルミニウム(Al2O3)は絶縁物であることから、アルマイト層35が厚すぎると、電気接続抵抗の増大を招くおそれがある。一方、アルマイト層35が薄すぎても、芯線42の表面に形成された酸化被膜Lの破壊が十分に行われず、電気接続抵抗の増大を招くおそれがある。したがって、アルマイト層35の厚さは0.5μm以上10μm以下が好ましい。また、アルマイト層35は多孔質層とされており、酸化被膜Lよりも緻密な結晶構造とされている。アルマイト層35の硬度は、200〜250Hvである。一方、母材であるアルミニウム合金の硬度は、30〜105Hvである。つまり、アルマイト層35は母材よりも硬い硬質層とされている。これは、ワイヤバレル部31をかしめると、アルマイト層35がワイヤバレル部31に追従できなくなって複数のアルマイト片に破断され、これらのアルマイト片がワイヤバレル部31の表面から突出した状態となることを意味している。
【0037】
アルマイト層35は、電解処理(具体的には、脱脂工程、エッチング工程、水洗工程、酸洗工程、水洗工程、陽極酸化工程、および水洗工程の順に施される処理)によって形成されている。脱脂工程は、市販の脱脂液に含浸した後、撹拌しながらエタノール液に含浸し、その後、超音波洗浄を行う工程である。エッチング工程では、水酸化ナトリウム水溶液(200g/L、pH=12)を使用し、酸洗工程では、硝酸:400ml/Lと50%ふっ酸:40ml/Lとを混合した混合酸水溶液を使用している。陽極酸化工程では、希硫酸液(硫酸水溶液(200ml/L))を使用しており、通電電流と通電時間を調整することで所望の厚さのアルマイト層35が得られるようにしている。エッチング後の水洗工程では、超音波洗浄を使用し、酸洗後の水洗工程および陽極酸化後の水洗工程では、流水を使用している。
【0038】
図6においては、圧着に伴ってアルマイト層35が酸化被膜Lを削る様子を簡易的に説明するため、アルミニウム合金からなる芯材60の表面に酸化被膜Lが形成された金属素線61を示している。まず、図6の状態から両かしめ片31A,31Aをかしめてワイヤバレル部31を変形させていくと、アルマイト層35が芯材60の変形に追従できなくなって破断する。そして、破断したアルマイト層35は、図7に示すように、酸化被膜Lをひっかき剥がすように破るとともに、ワイヤバレル部31の母材であるアルミニウム合金と金属素線61の芯材60であるアルミニウム合金とが、互いに圧接されて一体化した状態となって導通可能に接続される。これにより、ワイヤバレル部31を高圧縮にすることなく、低圧縮でも安定した電気接続抵抗を得ることができる。
【0039】
また、セレーション34によって破断可能な酸化被膜Lは、当然のことながら芯線42の外周側に配された金属素線41の酸化被膜Lに限定され、芯線42の外周側に表れない内部側の金属素線41の酸化被膜Lについては、セレーション34に直接接触させることができないため、やはり安定した電気接続抵抗を得ることができないという問題もある。
【0040】
この問題に対して本実施形態では、全ての金属素線41の表面にアルマイト層44が形成された芯線42を用いることで対応している。このアルマイト層44は、ワイヤバレル部31のアルマイト層35と同様に、芯材であるアルミニウム合金の表面を電解処理することによって形成されており、その他の物性についてもアルマイト層35と同様である。
【0041】
具体的には図8ないし図12を参照しながら、圧着に伴ってアルマイト層44が酸化被膜Lを破断する様子を簡易的に説明する。図11および図12においては、圧着に伴ってアルマイト層44が酸化被膜Lを破断する様子を簡易的に説明するため、アルミニウム合金からなる母材62の表面に酸化被膜Lが形成された金属素線63と、アルミニウム合金からなる母材62の表面にアルマイト層44が形成された金属素線41とを混ぜた状態でこれらを束ねた芯線64を例示している。また、ワイヤバレル部31の圧着面のうち左半分には、アルマイト層44が形成されているものの、同右半分には、アルマイト層44が形成されていないものを例示している。
【0042】
まず、図8に示すように、アンビル51上にワイヤバレル部31および芯線64を載置し、第1クリンパ52Aを下降させていくと、図9に示すように、両かしめ片31A,31Aが第1クリンパ52Aによって内側に曲げられて芯線64に対して上方から食い込む。さらに、第1クリンパ52Aを下降させていくと、図10に示すように、各金属素線41,63の変形を伴いながら、ワイヤバレル部31が芯線64に圧着された状態となる。
【0043】
このとき、アルマイト層44は、各金属素線41および各かしめ片31A,31Aの変形に追従できなくなって破断する。そして、破断したアルマイト層44は、図12に示すように、各金属素線63の表面の酸化被膜Lをひっかき剥がすように破るとともに、アルマイト層44によって覆われていた各金属素線41の芯材が露出する。続いて、金属素線41の芯材であるアルミニウム合金と金属素線63の芯材であるアルミニウム合金とが、互いに圧接されて一体化した状態となって導通可能に接続される。これに併行して、アルマイト層44によって覆われていたワイヤバレル部31の母材が露出し、この母材と各金属素線41,63の芯材とが、互いに圧接されて一体化した状態となって導通可能に接続される。このように、セレーション34およびアルマイト層44に接触しない酸化被膜Lについても破断することができ、芯線64の内部においても各金属素線41,63同士を導通可能に接続することができる。したがって、ワイヤバレル部31を高圧縮にすることなく、低圧縮でも安定した電気接続抵抗を得ることができる。
【0044】
<実施例>
以下、実施例を挙げて本実施形態をさらに詳細に説明する。以下の説明においてアルミ端子とは実施形態の端子金具付き電線10に対応しており、アルミ電線とは実施形態の被覆電線40の芯線42に対応している。
【0045】
まず、アルマイト処理の有無の表面状態を図13ないし図16を参照しながら説明する。図13は、アルマイト処理が施されていないアルミ端子をアルマイト処理が施されていないアルミ電線に圧着させた後、アルミ端子からアルミ電線を引き剥がし、そのアルミ端子の圧着面をSEM像によって観察した様子を示している。同様に、図15は、アルミ電線の被圧着面をSEM像によって観察した様子を示している。図13の拡大図の左側を見ると、アルミ端子の圧着面は滑らかであることが分かる。一方、図15の拡大図の右側を見ると、アルミ電線の被圧着面も滑らかであることが分かる。
【0046】
次に、図14は、アルマイト処理が施されたアルミ端子をアルマイト処理が施されていないアルミ電線に圧着させた後、アルミ端子からアルミ電線を引き剥がし、そのアルミ端子の圧着面をSEM像によって観察した様子を示している。同様に、図16は、アルミ電線の被圧着面をSEM像によって観察した様子を示している。図14の拡大図の左側を見ると、アルミ端子の圧着面には、アルマイト層が割れることで破断したウロコ状のアルマイト片が複数形成されており、圧着面全体として細かい凹凸が形成されていることが分かる。同様に、図16の拡大図を見ると、アルミ電線の被圧着面には、細かい凹凸が転写されていることが分かる。
【0047】
このように、SEM像を見ても明らかなように、ウロコ状の各アルマイト片がアルミ電線の酸化被膜を破断することになるため、セレーションのエッジ部分だけでなく、アルミ端子の圧着面の全体で酸化被膜を破断することが可能になる。ただし、この方法によって酸化被膜を破断することができる前提として、アルマイトがウロコ状のアルマイト片に破断されている必要があり、アルミ端子の圧着面をアルミ電線の被圧着面に圧着させる前に、アルマイトを破断させるべくアルミ電線の圧着面を変形させることが必要となる。
【0048】
次に、耐久試験(サーマルショック試験)による圧着部抵抗の変化の様子を図17および図18を参照しながら説明する。この耐久試験で使用したアルミ端子の母材は、JIS規格(JIS H 4000:1999)の6000系合金(6061合金相当)からなるアルミニウム合金板をT6処理(550℃で3時間加熱した後、水冷し、さらに175℃で16時間加熱する処理)を施したものである。また、この耐久試験で使用したアルマイト層の平均厚さは、2μmである。平均厚さの測定は、ワイヤバレル部の断面のSEM像を観察することで行った。図17は、アルマイト処理が施されていないアルミ端子をアルマイト処理が施されていないアルミ電線に圧着させたアルミ端子付きアルミ電線の圧着部抵抗の変化を示したものである。一方、図18は、アルマイト処理が施されているアルミ端子をアルマイト処理が施されていないアルミ電線に圧着させたアルミ端子付きアルミ電線の圧着部抵抗の変化を示したものである。なお、圧着部抵抗は、実施形態の電気接続抵抗と同義である。
【0049】
また、以下に示す表1は、図17のグラフの元データであり、表2は、図18のグラフの元データである。図17および図18中の圧縮率とは、圧着前における芯線の断面積を圧着後における芯線の断面積で除することにより算出された比率である。すなわち、圧縮率が小さいほどワイヤバレル部がより高圧縮でかしめ付けられており、圧縮率が大きいほどワイヤバレル部がより低圧縮でかしめ付けられていることを意味している。
【表1】
【表2】
【0050】
まず、図18に示すように、アルマイト処理を施したものは、アルマイト処理を施していないものと比較して、全体的に圧着部抵抗が低いことが分かる。また、アルマイト処理を施したものは、圧縮率の大小にかかわらず、圧着部抵抗が低いことがわかる。図18によると、圧縮率40〜65%の範囲において耐久試験の前後で圧着部抵抗がほぼ0.2mΩで安定しており、圧着部抵抗の増加がほとんど見られないことから、安定した圧着部抵抗が得られていることが分かる。一方、アルマイト処理を施していないものでは、図17に示すように、圧縮率40〜65%の範囲で耐久試験後に圧着部抵抗が最大で0.2mΩ程度増加していることが分かる。このようにアルマイト処理を施したものでは、耐久試験の前後で圧着部抵抗がほとんど変わらず、低抵抗な状態が維持されていることが分かる。特に、最も圧着条件が緩やかとされる圧縮率が65%において圧着部抵抗の増加が見られなかったことから、緩やかな圧着条件でも安定した圧着部抵抗が得られることを意味している。したがって、アルマイト処理を施したものでは、長期に亘り、低抵抗な状態を維持することができる。
【0051】
次に、アルマイト処理の代わりに、ワイヤバレル部にベーマイト処理を施した場合における耐久試験(サーマルショック試験)による圧着部抵抗の変化の様子を図19および図21を参照しながら説明する。以下に示す表3は、図19のグラフの元データであり、表4は、図20のグラフの元データであり、表5は、図21のグラフの元データである。図19ないし図21中の圧縮率とは、図17および図18の圧縮率と同義であり、圧着前における芯線の断面積を圧着後における芯線の断面積で除することにより算出された比率である。すなわち、圧縮率が小さいほどワイヤバレル部31がより高圧縮でかしめ付けられており、圧縮率が大きいほどワイヤバレル部31がより低圧縮でかしめ付けられていることを意味している。
【表3】
【表4】
【表5】
【0052】
試料No.200,210,220のアルミ端子は、ワイヤバレル部の圧着面にベーマイト処理を施した試料である。ベーマイト処理は、公知の手法を利用し、浸漬時間を変化させることで、ベーマイト層の厚さを異ならせた。浸漬時間は、試料No.200が最も短く、試料No.210が試料No.200よりも長く、試料No.220が試料No.210よりも長くなるようにした。ベーマイト処理後、ベーマイト層の平均厚さを測定したところ、試料No.220は0.7μmであり、試料No.200は0.1μmであった。平均厚さの測定は、上述のアルマイト層と同様に、断面のSEM像観察により行った。
【0053】
アルミ電線の芯線として、複数の金属素線(質量%で、鉄が1.05%とマグネシウムが0.15%含まれ、残部がアルミニウムからなるもの)を撚り合わせてなる撚り線(ここでは、線径が0.3mmの素線を11本撚り合わせたもの)を用意し、各試料No.200,210,220のワイヤバレル部に芯線を載置してかしめることにより、ワイヤバレル部を芯線に圧着した。各試料No.200,210,220のそれぞれについて、圧縮率が40〜60%の範囲で5%ずつ異なるように5種類のサンプルを用意した。
【0054】
各試料No.200,210,220について、初期(耐久試験前)の圧着部抵抗、および耐久試験後の圧着部抵抗を測定した。圧着部抵抗の測定は、アルミ端子とアルミ電線を四端子法で測定した。その結果を図19ないし図21に示す。図19は、試料No.200のアルミ端子をアルマイト処理が施されていないアルミ電線に圧着させたアルミ端子付きアルミ電線の圧着部抵抗の変化を示したものである。また、図20は、試料No.210のアルミ端子をアルマイト処理が施されていないアルミ電線に圧着させたアルミ端子付きアルミ電線の圧着部抵抗の変化を示したものである。また、図21は、試料No,220のアルミ端子をアルマイト処理が施されていないアルミ電線に圧着させたアルミ端子付きアルミ電線の圧着部抵抗の変化を示したものである。
【0055】
ベーマイト処理を施した試料No.200,210,220のうち、ベーマイト層の厚さが最も薄い試料No.200は、未処理の試料(図17参照)と同程度の圧着部抵抗であるが、これよりもベーマイト層の厚さが厚い試料No.210,220は、未処理の試料よりも圧着部抵抗が大きくなっていることが分かる。また、試料No.220は、初期と耐久後でも圧着部抵抗が異なり、耐久後に圧着部抵抗が大きくなっていることが分かる。つまり、ベーマイト処理を施した場合には、経時的に圧着部抵抗が大きくなる傾向にあるといえる。このことから、ベーマイト処理を施したものでは、ベーマイト層が全く破壊されておらず、アルミ端子のワイヤバレル部との間に、絶縁物としてのベーマイト層が介在していることが分かる。この根拠としては、ベーマイト層は、全厚みの30%が緻密層で70%がポーラス層とされており、このポーラス層があるために酸化被膜Lを破壊できないことが挙げられる。一方、アルマイト層は、ほぼ全体が緻密層で構成されているため、破壊されやすく、破壊されたアルマイト片によって酸化被膜Lを破壊しやすい。
【0056】
以上のように本実施形態では、金属素線41の表面にアルマイト処理を施してアルマイト層44を形成したから、圧着の際にアルマイト層44が破断し、この破断したアルマイト層44によって金属素線41の表面の酸化被膜Lを破ることができる。そして、各金属素線41の芯材であるアルミニウム合金同士を一体化した状態で導通可能に接続することができるため、芯線42の外周面に表れない内部側においても金属素線41同士を接続することができる。また、全ての金属素線41にアルマイト層44を形成しているため、金属素線41同士を確実に接続することができる。また、金属素線41の芯材をアルミニウム合金で形成したから、芯材にそのまま電解処理するだけでアルマイト層44を形成することができる。
【0057】
また、圧着部30の圧着面にアルマイト処理を施してアルマイト層35を形成したから、圧着の際にアルマイト層35が破断し、この破断したアルマイト層35によって金属素線41の表面の酸化被膜Lを破ることができる。そして、金属素線41の芯材であるアルミニウム合金と圧着部30の母材であるアルミニウム合金とを一体化した状態で導通可能に接続することができる。また、圧着部30の母材をアルミニウム合金で形成したから、母材にそのまま電解処理するだけでアルマイト層35を形成することができる。
【0058】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)上記実施形態では圧着部の母材としてアルミニウム合金を使用しているものの、本発明によると、母材としてアルミニウムを使用してもよい。また、母材として銅合金を使用し、この銅合金の表層にアルミニウム合金層を形成した上で、このアルミニウム合金層を電解処理することでアルマイト層を形成してもよい。
【0059】
(2)上記実施形態ではオープンバレル形状のワイヤバレル部31を例示しているものの、本発明によると、クローズドバレル形状のワイヤバレル部に適用してもよい。
【0060】
(3)上記実施形態では硬質層としてアルミニウム合金層の表面にアルマイト処理を施しているものの、本発明によると、窒化アルミを硬質層として使用してもよいし、アルミニウム合金層の表面にアロジン処理などを施してもよい。
【0061】
(4)上記実施形態ではワイヤバレル部31と芯線42の双方にアルマイト処理を施しているものの、本発明によると、ワイヤバレル部31のみにアルマイト処理を施してもよい。
【0062】
(5)上記実施形態では圧着型でかしめ片をかしめて圧着することによりワイヤバレル部31と芯線42を接続しているものの、本発明によると、一対の圧接刃の間に芯線を圧入することにより圧接刃と芯線を圧接する圧接端子に適用してもよい。
【0063】
(6)本発明によると、アルマイト層の厚さ、端子金具の組成、被覆電線の芯線の組成、形状、線径などを適宜変更することができる。
【符号の説明】
【0064】
10…端子金具付き電線
12…(圧着前の)端子金具
30…圧着部
35…アルマイト層(硬質層)
40…被覆電線
42…芯線
60…芯材
61…金属素線
62…母材
63…金属素線
64…芯線
L…酸化被膜
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電線に圧着される圧着部を有する端子金具であって、
前記圧着部を構成する母材の表層にアルミニウム層またはアルミニウム合金層が形成されており、そのアルミニウム層またはアルミニウム合金層の表面に前記母材よりも硬い硬質層が形成されている端子金具。
【請求項2】
前記母材は、前記アルミニウム層またはアルミニウム合金層と同一の金属材であって一体をなす請求項1に記載の端子金具。
【請求項3】
前記硬質層は、アルマイト層である請求項1または請求項2に記載の端子金具。
【請求項4】
前記アルマイト層の厚さは、1μm以上10μm以下である請求項3に記載の端子金具。
【請求項5】
前記母材は、2000系合金、6000系合金、および7000系合金から選択される1種のアルミニウム合金から構成されている請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載の端子金具。
【請求項6】
請求項1ないし請求項5のいずれか一項に記載の端子金具と、
アルミニウムまたはアルミニウム合金からなる芯線を有し、前記端子金具の圧着部が前記芯線に圧着された電線とを備えた端子金具付き電線。
【請求項7】
端子金具に設けられた圧着部を、アルミニウムまたはアルミニウム合金からなる芯線を有する電線に接続する端子金具と電線の接続方法であって、
前記圧着部を構成する母材の表層にアルミニウム層またはアルミニウム合金層が形成され、そのアルミニウム層またはアルミニウム合金層の表面に前記母材よりも硬い硬質層が形成されており、
前記圧着部を変形させながら前記芯線に圧着する際に前記硬質層が破断し、この破断した硬質層が前記芯線の表層を削ることで前記芯線の芯材が露出するとともに、この露出した芯材と前記母材とを圧接する端子金具と電線の接続方法。
【請求項8】
前記母材は、前記アルミニウム層またはアルミニウム合金層と同一の金属材であって一体をなす請求項6に記載の端子金具と電線の接続方法。
【請求項9】
前記硬質層は、アルマイト層である請求項5または請求項6に記載の端子金具と電線の接続方法。
【請求項10】
前記アルマイト層の厚さは、1μm以上10μm以下である請求項9に記載の端子金具と電線の接続方法。
【請求項11】
前記母材は、2000系合金、6000系合金、および7000系合金から選択される1種のアルミニウム合金から構成されている請求項7ないし請求項10のいずれか一項に記載の端子金具と電線の接続方法。
【請求項1】
電線に圧着される圧着部を有する端子金具であって、
前記圧着部を構成する母材の表層にアルミニウム層またはアルミニウム合金層が形成されており、そのアルミニウム層またはアルミニウム合金層の表面に前記母材よりも硬い硬質層が形成されている端子金具。
【請求項2】
前記母材は、前記アルミニウム層またはアルミニウム合金層と同一の金属材であって一体をなす請求項1に記載の端子金具。
【請求項3】
前記硬質層は、アルマイト層である請求項1または請求項2に記載の端子金具。
【請求項4】
前記アルマイト層の厚さは、1μm以上10μm以下である請求項3に記載の端子金具。
【請求項5】
前記母材は、2000系合金、6000系合金、および7000系合金から選択される1種のアルミニウム合金から構成されている請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載の端子金具。
【請求項6】
請求項1ないし請求項5のいずれか一項に記載の端子金具と、
アルミニウムまたはアルミニウム合金からなる芯線を有し、前記端子金具の圧着部が前記芯線に圧着された電線とを備えた端子金具付き電線。
【請求項7】
端子金具に設けられた圧着部を、アルミニウムまたはアルミニウム合金からなる芯線を有する電線に接続する端子金具と電線の接続方法であって、
前記圧着部を構成する母材の表層にアルミニウム層またはアルミニウム合金層が形成され、そのアルミニウム層またはアルミニウム合金層の表面に前記母材よりも硬い硬質層が形成されており、
前記圧着部を変形させながら前記芯線に圧着する際に前記硬質層が破断し、この破断した硬質層が前記芯線の表層を削ることで前記芯線の芯材が露出するとともに、この露出した芯材と前記母材とを圧接する端子金具と電線の接続方法。
【請求項8】
前記母材は、前記アルミニウム層またはアルミニウム合金層と同一の金属材であって一体をなす請求項6に記載の端子金具と電線の接続方法。
【請求項9】
前記硬質層は、アルマイト層である請求項5または請求項6に記載の端子金具と電線の接続方法。
【請求項10】
前記アルマイト層の厚さは、1μm以上10μm以下である請求項9に記載の端子金具と電線の接続方法。
【請求項11】
前記母材は、2000系合金、6000系合金、および7000系合金から選択される1種のアルミニウム合金から構成されている請求項7ないし請求項10のいずれか一項に記載の端子金具と電線の接続方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【公開番号】特開2013−54835(P2013−54835A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−190426(P2011−190426)
【出願日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【出願人】(395011665)株式会社オートネットワーク技術研究所 (2,668)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【出願人】(395011665)株式会社オートネットワーク技術研究所 (2,668)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】
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