端末および給電方法
【課題】端末がUSB OTGに対応している場合でも、簡易な構成でUSB機器やACアダプタを同時に接続することができる端末および給電方法を提供する。
【解決手段】端末は、電力供給元をUSBバスまたは外部電源に切り替える制御手段13を備え、制御手段13は、自端末がホスト動作中であるかデバイス動作中であるかを判定し、自端末がデバイス動作中であると判断した場合には、自端末の電力供給元を優先的にUSBバスにする。
【解決手段】端末は、電力供給元をUSBバスまたは外部電源に切り替える制御手段13を備え、制御手段13は、自端末がホスト動作中であるかデバイス動作中であるかを判定し、自端末がデバイス動作中であると判断した場合には、自端末の電力供給元を優先的にUSBバスにする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、USBのホスト動作およびデバイス動作を行う端末および端末に適用する給電方法に関する。
【背景技術】
【0002】
USB規格の一つであるUSB OTG(On−The−Go)に対応した端末では、USBのホスト動作およびデバイス動作を行うことができる。端末がホスト動作を行う場合は、端末内の電源から電力が供給される。デバイス動作の場合は、外部機器やその他の電源供給パスから電力が供給される。
【0003】
図13は、USB OTGに対応した端末の構成の一例を示すブロック図である。USB ABコネクタ300は、USB OTG用のUSB ABコネクタ(メス型)である。USB ABコネクタ300は、USB ABコネクタ(オス型)を挿抜可能な構成を備える。
【0004】
USB ABコネクタ300は、ID端子、D+/D−端子およびVDD1端子を有し、それぞれの端子を介してOTG制御/充電制御部312に接続される。
【0005】
端末は、ID端子の出力信号がハイ(H)レベルのときはデバイス動作を行い、ロー(L)レベルのときはホスト動作を行う。
【0006】
D+/D−端子は、USB通信用の信号を入出力する端子である。VDD1端子は、電源端子である。デバイス動作時は、USB ABコネクタ300に接続された他のUSB機器からUSBバスを介してVDD1端子に電力が供給される。
【0007】
OTG制御/充電制御部312は、ID端子、D+/D−端子、VDD1端子の状態に応じて動作する。OTG制御/充電制御部312は、ホスト動作時は、端末内の電池313から供給される電圧を必要な電圧レベルに変換して、VDD1端子を介してUSB ABコネクタ300側に供給する。デバイス動作時は、USB ABコネクタ300側から供給される電圧を必要な電圧レベルに変換して電池313に供給する。
【0008】
外部給電部301は、外部電源を接続するためのコネクタなどである。外部給電部301を介して外部電源から充電制御部114に電力が供給されると、充電制御部114は、供給される電力(電圧)を必要な電圧レベルに変換して電池313に供給する
【0009】
図13に示す構成の場合、OTG制御/充電制御部312とは別に、充電制御部114が必要になる。充電制御部114は一般的に実装面積が大きく、高価であるので、端末の小型化の妨げになったり、端末を高価にさせたりする。また、充電制御部114をソフトウェア制御する場合には、高度なプログラミングが必要になるため、端末の開発コストを増大させる可能性がある。
【0010】
特許文献1には、充電用の電源ラインを制御して、USBバス電源とACアダプタ電源とを充電用電源として選択することができるシステムが記載されている。また、特許文献2には、電源供給パスを切り替えることによって、マウス(受電デバイス)、ACアダプタなど複数の機器・デバイスを同一のUSB端子で接続できる装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2006−296126号公報
【特許文献2】特開2010−9208号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
特許文献1に記載されたシステムは、USB OTGの概念がなく、端末がホスト動作をする場合の動作について考慮されていない。また、USBのリンクについて考慮していないので、充電用電源の切り替え時にUSBのリンクが切れてしまう可能性がある。
【0013】
特許文献2に記載された装置は、同一のUSB端子にUSB機器やACアダプタを接続しているので、USB機器やACアダプタを同時に接続することができない。
【0014】
そこで、本発明は、端末がUSB OTGに対応している場合でも、簡易な構成でUSB機器やACアダプタを同時に接続することができる端末および給電方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明による端末は、電力供給元をUSBバスまたは外部電源に切り替える制御手段を備え、制御手段は、自端末がホスト動作中であるかデバイス動作中であるかを判定し、自端末がデバイス動作中であると判断した場合には、自端末の電力供給元を優先的にUSBバスにすることを特徴とする。
【0016】
本発明による給電方法は、電力供給元としてUSBバスまたは外部電源を選択可能な端末がホスト動作中であるかデバイス動作中であるかを判定し、端末がデバイス動作中であると判断した場合には、端末の電力供給元を優先的にUSBバスにすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、端末がUSB OTGに対応している場合でも、簡易な構成でUSB機器やACアダプタを同時に接続することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明による端末の第1の実施形態の構成を示すブロック図である。
【図2】第1の実施形態において、制御部105がVgate1、Vgate2を制御するための真理値表の一例を示す説明図である。
【図3】デバイス動作時のVgate1、Vgate2の制御タイミングを示す説明図である。
【図4】デバイス動作時のVgate1、Vgate2の制御タイミングを示す説明図である。
【図5】本発明による端末の第2の実施形態の構成を示すブロック図である。
【図6】第2の実施形態において、制御部105がVgate1、Vgate2を制御するための真理値表の一例を示す説明図である。
【図7】デバイス動作時のVgate1、Vgate2の制御タイミングを示す説明図である。
【図8】本発明による端末の第3の実施形態の構成を示すブロック図である。
【図9】第3の実施形態において、制御部105がVgate1、Vgate2およびVgate3を制御するための真理値表の一例を示す説明図である。
【図10】デバイス動作時のVgate1、Vgate2およびVgate3の制御タイミングを示す説明図である。
【図11】本発明による端末の主要部を示すブロック図である。
【図12】本発明による端末の主要部を示すブロック図である。
【図13】USB OTGに対応した端末の構成の一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
実施形態1.
以下、本発明の第1の実施形態を図面を参照して説明する。
【0020】
図1は、本発明による端末の第1の実施形態の構成を示すブロック図である。
【0021】
本発明による端末は、USB ABコネクタ100と、外部給電部101と、制御部105と、OTG制御/充電制御部112と、電池113とを備える。また、端末は、FET106、107、109および110を備える。
【0022】
USB ABコネクタ100は、USB OTG用のUSB ABコネクタ(メス型)である。USB ABコネクタ100は、USB ABコネクタ(オス型)を挿抜可能な構成を備える。
【0023】
USB ABコネクタ100は、ID端子、D+/D−端子、VDD1端子を有する。USB ABコネクタ100のID端子とD+/D−端子は、OTG制御/充電制御部112に接続される。
【0024】
ID端子は、VCC電源に抵抗102でプルアップされる。ID端子から出力される信号(以下、単にIDという。)がHレベル時、つまり、IDの電圧値が電源電圧(VCC)と同じである場合に、端末はデバイス動作を行う。また、IDがLレベル時、端末はホスト動作を行う。
【0025】
D+/D−端子は、USB通信用の信号を入出力する端子である。なお、D+/D−端子は、それぞれ独立した端子であるD+端子とD−端子とを含む。
【0026】
VDD1端子は、電源端子である。デバイス動作時は、USB ABコネクタ100に接続された他のUSB機器からUSBバスを介してVDD1端子に電力が供給される。以下、VDD1端子が入出力する電圧を、単にVDD1という。VDD1端子は、抵抗103でプルダウンされる。抵抗103は、VDD1端子に電力が供給されていない場合に、VDD1をLレベルにするための抵抗である。
【0027】
外部給電部101は、外部電源を接続するためのコネクタなどである。外部給電部101は、外部電源を接続/切断することによって、外部電源からの電力供給をする/しないを切り替えることができる。
【0028】
外部給電部101は、VDD2端子を有する。外部給電部101に接続された外部電源からVDD2端子に電力が供給される。以下、VDD2端子が入出力する電圧を、単にVDD2という。VDD2端子は、抵抗104でプルダウンされる。抵抗104は、VDD2端子に電力が供給されていない場合に、VDD2をLレベルにするための抵抗である。
【0029】
OTG制御/充電制御部112は、VOUT端子を有する。VOUT端子は、FET107、106を介して、USB ABコネクタ100のVDD1端子と接続される。また、VOUT端子は、FET110、109を介して、外部給電部101のVDD2端子と接続される。以下、VOUT端子が入出力する電圧を、単にVOUTという。
【0030】
OTG制御/充電制御部112は、ID端子、D+/D−端子、VOUT端子の状態に応じて、USB OTGの制御および充電制御を行う。
【0031】
OTG制御/充電制御部112は、ホスト動作時は、端末側の電池113から供給される電圧を必要な電圧レベルに変換して、VOUT端子を介してVDD1端子側に出力する。VDD1端子側に出力された電圧は、USBバスを介して、USB ABコネクタ100に接続された他のUSB機器に供給される。
【0032】
OTG制御/充電制御部112は、デバイス動作時は、VDD1端子側から供給される電圧を必要な電圧レベルに変換して電池113に供給する。
【0033】
電池113は、充電可能な電池であって、例えば、二次電池である。
【0034】
制御部105は、ID、VDD1およびVDD2を入力する。
【0035】
制御部105は、FET106、107のゲート電圧を制御するための信号Vgate1、および、FET109、110のゲート電圧を制御するための信号Vgate2を出力する。制御部105は、ID、VDD1およびVDD2の状態に応じて、Vgate1、Vgate2を制御する。
【0036】
なお、制御部105およびOTG制御/充電制御部112は、プログラムに従って動作するマイクロコンピュータ等で実現可能である。
【0037】
図2は、第1の実施形態において、制御部105がVgate1、Vgate2を制御するための真理値表の一例を示す説明図である。
【0038】
抵抗108は、Vgate1がハイインピーダンス(HiZ)になったときに、FET106、107をOFFにするための抵抗である。抵抗108は、FET106、107のソースとゲートとを接続するように配置される。
【0039】
抵抗111は、Vgate2がHiZになったときに、FET109、110をOFFにするための抵抗である。抵抗111は、FET109、110のソースとゲートとを接続するように配置される。
【0040】
なお、抵抗108および抵抗111は、Vgate1、Vgate2の出力がCMOS出力である場合は不要である。
【0041】
FET106、107、109および110は、スイッチング素子である。本実施形態では、FET106、107、109および110は、Pチャネル型のFETである。
【0042】
FET106、107は、向かい合わせるようにして(FET106のソースとFET107のソースとが共通になるように)配置する。FET109、110も同様に、向かい合わせるようにして配置する。
【0043】
FET106、109を使用せずに、つまり、FET106、109を削除して各ドレイン−ソース間を接続して、FET107、110のみを配置する方法もある。しかし、例えば、VDD1=OFF、VDD2=ONの場合、VDD1側のFET107はOFFになっているが、FET107内の寄生ダイオード121により電圧がUSB ABコネクタ100に出力されてしまう。その結果、VDD1がONになっていまい、図2に示す真理値表を満たすことができない。
【0044】
同様に、VDD1=ON、VDD2=OFFの場合、VDD2側のFET110はOFFになっているが、FET110内の寄生ダイオード122によりVDD2がONになってしまい、図2に示す真理値表を満たすことができない。
【0045】
そのため、図1に示すようにFETを向かい合わせて配置することが望ましい。
【0046】
次に、本実施形態の動作を説明する。
【0047】
図2に示すように、制御部105は、端末がデバイス動作時(ID=H)であって、VDD1=OFF、VDD2=ONの場合は、Vgate2をLにする。また、制御部105は、VDD1=OFF、VDD2=OFFの場合は、Vgate1、Vgate2をHiZにする。ただし、この場合は、VDD1端子およびVDD2端子に電圧が供給されていないので、Vgate1、Vgate2をLにするようにしてもよい。図2に示す「HiZ(L)」は、HiZまたはLに設定すればよいことを表す。
【0048】
図3および図4は、デバイス動作時のVgate1、Vgate2の制御タイミングを示す説明図である。
【0049】
図3は、デバイス動作時(ID=H)に、USB機器がUSB ABコネクタ100に接続されていない状態(VDD1=OFF)で、VDD2端子に対する電力供給を開始/停止する場合のVgate1、Vgate2の制御タイミングを示す。
【0050】
図3に示すように、VDD1=OFFのときにVDD2端子に対して電力供給が開始された場合は、制御部105は、VDD2の電圧値が閾値Vth1を超えたときにVgate2をLにする。この際、端末の動作をより安定させるために、VDD2の電圧値がVth1を超えてからVgate2をLにするまでの間にディレイ時間tdelay1(≧0)を設けることが望ましい。
【0051】
VDD1=OFFのときにVDD2端子に対する電力供給が停止した場合は、制御部105は、VDD2の電圧値が閾値Vth2を下回ったときにVgate2をHiZにする。この際、端末の動作をより安定させるために、VDD2の電圧値がVth2を下回ってからVgate2をHiZにするまでの間にディレイ時間tdelay2(≧0)を設けることが望ましい。また、閾値Vth1と閾値Vth2は、例えば、Vth1>Vth2になるようにヒステリシスを持たせるようにしてもよいし、同一のレベルにしてもよい。
【0052】
図4は、デバイス動作時(ID=H)に、外部電源からの電力供給を行っている状態(VDD2=ON)で、VDD1端子に対する電力供給を開始/停止する場合のVgate1、Vgate2の制御タイミングを示す。
【0053】
図4に示すように、VDD2=ONのときにVDD1端子に対して電力供給が開始された場合は、制御部105は、VDD1の電圧値が閾値Vth3を超えたときにVgate2をHiZにする。この際、端末の動作をより安定させるために、tdelay1と同様に、tdelay3(≧0)を設けることが望ましい。
【0054】
そして、制御部105は、Vgate2をHiZにした後に、Vgate1をLにする。このとき、FET106、107とFET109、110とを同時にONさせてしまうと、VDD1とVDD2とがバスファイトして、USB ABコネクタ100および外部給電部101にハード的にダメージを与える可能性がある。従って、Vgate1をLにするまでの間にディレイ時間tdelay4(≧0)を設けることが望ましい。このようにVgate1を制御させることによって、FET106、107とFET109、110とが同時にONすることを防ぐことができる。
【0055】
次に、VDD2=ONのときにVDD1に対する電力供給が停止した場合は、制御部105は、VDD1の電圧値が閾値Vth4を下回ったときにVgate1をHiZにする。この際、tdelay2と同様に、ディレイ時間tdelay5(≧0)を設けることが望ましい。
【0056】
そして、制御部105は、Vgate1をHiZにした後に、Vgate2をLにする。この際、tdelay4と同様に、ディレイ時間tdelay6(≧0)を設けることが望ましい。また、閾値Vth3と閾値Vth4は、例えば、Vth3>Vth4になるようにヒステリシスを持たせるようにしてもよいし、同一のレベルにしてもよい。
【0057】
以上に説明したように、本実施形態では、制御部105がFET106、107、109および110を制御して、USB機器からの給電と外部電源からの給電とを切り替えているので、図13に示すような充電制御部114が不要であり、端末の構成を簡素化することができる。
【0058】
また、制御部105は、ID、VDD1およびVDD2の状態に応じて、Vgate1およびVgate2を制御するだけでよいので、複雑な制御を行う必要がない。従って、USB OTGと外部給電機能とが混在する端末やシステムにおいて、USB OTGと外部給電機能とを簡易な構成で共存させることができる。
【0059】
また、USB機器からの給電と外部電源からの給電とが同時に行われた場合であっても、USB機器からの給電を優先するようにしているので、USBリンクを維持することができる。
【0060】
また、制御部105が、FET106、107とFET109、110とを同時にONさせないように制御しているので、USB ABコネクタ100にUSB機器を接続/切断するときや、外部給電部101に外部電源を接続/切断するときに、VDD1とVDD2とをバスファイトさせることがない。
【0061】
実施形態2.
以下、本発明の第2の実施形態を図面を参照して説明する。
【0062】
図5は、本発明による端末の第2の実施形態の構成を示すブロック図である。
【0063】
端末の第2の実施形態の構成は、第1の実施形態の構成と同様である。しかし、制御部105が、D+/D−端子と接続される。
【0064】
制御部105は、D+/D−端子から入力される信号(以下、単にD+/D−という。)を監視する。制御部105は、端末がデバイス動作をする際に、D+/D−端子から入力される信号の状態によりUSB ABコネクタ100に接続された機器の種類を検出することができる。
【0065】
制御部105は、D+/D−がショートされている場合は、USB充電専用器が接続されていると認識する。D+/D−が通常の状態である場合、つまり、ショートされていない場合は、通常の(USB充電専用器ではない)USB機器が接続されていると認識する。
【0066】
次に、本実施形態の動作を説明する。
【0067】
図6は、第2の実施形態において、制御部105がVgate1、Vgate2を制御するための真理値表の一例を示す説明図である。
【0068】
図6に示すように、ID=H、VDD1=ON、VDD2=ONの場合に、制御部105が、Vgate1をHiZ、Vgate2をLにする。これにより、デバイス動作時に、USB機器と外部電源とが同時に接続されている場合であっても、外部給電部101のVDD2端子からの電力供給を優先させることができる。通常のUSBケーブルの場合、供給電流は100mAまたは500mA以下にする必要があるため、それ以上の充電電流を供給することができない。それに対して、VDD2端子から充電電流を供給する場合は、OTG制御/充電制御部112で制御可能な電流値まで充電電流の電流値を上げることができる。
【0069】
なお、D+/D−のショートを検出した場合であっても、VDD2からの電力供給を選択するようにしてもよい。つまり、USB充電専用器がUSB ABコネクタ100に接続されている場合であっても、VDD2端子からの電力供給を優先させるようにしてもよい。
【0070】
図7は、デバイス動作時のVgate1、Vgate2の制御タイミングを示す説明図である。
【0071】
図7は、デバイス動作時(ID=H)に、USB機器がUSB ABコネクタ100に接続されている状態(VDD1=ON)で、VDD2端子に対する電力供給を開始/停止する場合のVgate1、Vgate2の制御タイミングを示す。
【0072】
図7に示すように、VDD1=ONのときにVDD2端子に対して電力供給が開始された場合は、制御部105は、VDD2の電圧値が閾値Vth1を超えたときにVgate1をHiZにする。この際、端末の動作をより安定させるために、tdelay3と同様に、tdelay7(≧0)を設けることが望ましい。
【0073】
そして、制御部105は、Vgate1をHiZにした後に、Vgate2をLにする。この際、VDD1とVDD2とをバスファイトさせないようにするために、tdelay4と同様にディレイ時間tdelay8(≧0)を設けることが望ましい。
【0074】
次に、VDD1=ONのときにVDD2に対する電力供給が停止した場合は、制御部105は、VDD2の電圧値が閾値Vth2を下回ったときにVgate2をHiZにする。この際、tdelay5と同様に、ディレイ時間tdelay9(≧0)を設けることが望ましい。
【0075】
そして、制御部105は、Vgate2をHiZにした後に、Vgate1をLにする。この際、tdelay6と同様に、ディレイ時間tdelay10(≧0)を設けることが望ましい。
【0076】
以上に説明したように、本実施形態では、USB ABコネクタ100にUSB機器が接続されている場合であっても、外部給電部101に外部電源が接続されているときには、外部電源からの給電を優先させることができる。従って、充電電流を大きくすることができ、電池113の充電時間を短縮することができる。
【0077】
実施形態3.
以下、本発明の第3の実施形態を図面を参照して説明する。
【0078】
図8は、本発明による端末の第3の実施形態の構成を示すブロック図である。
【0079】
端末の第3の実施形態の構成は、第2の実施形態の構成と同様である。しかし、端末は、ダイオード201とFET202とを備える。
【0080】
ダイオード201は、順電圧(VF)が低いダイオードであって、例えば、ショットキーバリアダイオードである。
【0081】
FET202は、スイッチング素子である。本実施形態では、FET202は、Pチャネル型のFETである。
【0082】
FET202のソースは、VDD1端子に接続される。FET202のドレインは、VOUT端子に接続される。また、FET202とVDD1端子との間に、ダイオード201が配置される。また、FET202のゲートとソースとを接続するように抵抗203が配置される。
【0083】
次に、本実施形態の動作を説明する。
【0084】
第2の実施形態では、図7に示すように、VDD1=ONのときにVDD2端子に対する電力供給が開始または停止すると、VOUTがOFFになる区間が発生する。その際、端末がデバイス動作中であって、OTG制御/充電制御部112の電力供給元がVOUTである場合には、VOUT OFF区間においてUSBのリンクが切れる可能性がる。
【0085】
そこで、本実施形態では、ダイオード201およびFET202を使用して、VOUT OFF区間を発生させないようにする。
【0086】
図9は、第3の実施形態において、制御部105がVgate1、Vgate2およびVgate3を制御するための真理値表の一例を示す説明図である。
【0087】
制御部105は、FET202のゲート電圧を制御するための信号Vgate3を出力する。制御部105は、端末がデバイス動作時(ID=H)であって、VDD1=ONかつVDD2=ONの場合に、Vgate3をLにしてFET202をONにする。
【0088】
図10は、デバイス動作時のVgate1、Vgate2およびVgate3の制御タイミングを示す説明図である。
【0089】
図10に示すように、VDD1=ONのときにVDD2端子に対して電力供給が開始された場合は、制御部105は、Vgate3をLにしてからVgate1およびVgate2を制御する。また、VDD1=ONのときにVDD2端子に対する電力供給が停止した場合は、制御部105は、Vgate2、Vgate1を制御した後に、Vgate3をHiZにする。これにより、VOUTが電圧降下(ドロップ)する区間において、ダイオード201、FET202を経由してVOUT端子に電流が供給されるため、VOUTの電圧降下をダイオード201のVF分に抑えることができる。
【0090】
このように、VOUTの電圧降下をダイオード201のVF分に抑えることによって、VOUTをONに保つことができるので、USBのリンクを維持することができる。
【0091】
なお、OTG制御/充電制御部112の電力供給元が電池113である場合には、VOUTがOFFになってもUSBのリンクが切れることがないので、Vgate3によるFET202の制御は必要ない。つまり、第2の実施形態の構成であってもよい。
【0092】
以上に説明したように、本実施形態では、ダイオード201およびFET202によって、VOUTの電圧降下をダイオード201のVF分に抑えているので、USB機器またはUSB充電専用器から給電を行っている場合に外部電源が接続/切断された場合であっても、USBリンクを維持することができる。
【0093】
また、VDD2=ONのときにVDD1がONまたはOFFされた場合、つまり、外部電源から給電を行っている場合にUSB機器またはUSB充電専用器が接続/切断された場合についても、Vgate3を同様に制御することによって、USBリンクを維持することができる。
【0094】
図11および図12は、本発明による端末の主要部を示すブロック図である。図11に示すように、端末は、電力供給元をUSBバスまたは外部電源に切り替える制御手段13(図1に示す制御手段105に相当。)を備え、制御手段13は、自端末がホスト動作中であるかデバイス動作中であるかを判定し、自端末がデバイス動作中であると判断した場合には、自端末の電力供給元をUSBバスにする。
【0095】
上記の実施形態には、以下のような端末も開示されている。
【0096】
(1)制御手段13は、自端末がデバイス動作中である場合に、USBバスに接続された機器がUSB機器であるかUSB充電専用器であるかを判定し、機器がUSB機器であると判断した場合には、自端末の電力供給元を外部電源に切り替える端末。
【0097】
(2)制御手段13は、自端末がデバイス動作中である場合に、USBバスに接続された機器が電力を供給していない場合には、自端末の電力供給元を外部電源に切り替える端末。
【0098】
(3)図12に示すように、制御手段13は、USBバスからの電力供給を開始または停止させる第1のスイッチング素子15(図1に示すFET106、107に相当。)と、外部電源からの電力供給を開始または停止させる第2のスイッチング素子16(図1に示すFET109、110に相当。)とを含み、USBバスからの電力供給と外部電源からの電力供給とが同時に開始状態にならないように、第1のスイッチング素子15と第2のスイッチング素子16とを制御する端末。
【0099】
(4)図12に示すように、制御手段13は、USBバスからの電力供給と外部電源からの電力供給とがともに停止状態になった場合に、USBのリンクを維持させるための電流をUSBバスから確保するリンク維持手段14(図8に示すダイオード201およびFET202に相当。)を含む端末。
【符号の説明】
【0100】
13 制御手段
14 リンク維持手段
15 第1のスイッチング素子
16 第2のスイッチング素子
100 USB ABコネクタ
101 外部給電部
102、103、104、108、111、203 抵抗
105 制御部
106、107、109、110、202 FET
112 OTG制御/充電制御部
113 電池
114 充電制御部
121、122 寄生ダイオード
201 ダイオード
【技術分野】
【0001】
本発明は、USBのホスト動作およびデバイス動作を行う端末および端末に適用する給電方法に関する。
【背景技術】
【0002】
USB規格の一つであるUSB OTG(On−The−Go)に対応した端末では、USBのホスト動作およびデバイス動作を行うことができる。端末がホスト動作を行う場合は、端末内の電源から電力が供給される。デバイス動作の場合は、外部機器やその他の電源供給パスから電力が供給される。
【0003】
図13は、USB OTGに対応した端末の構成の一例を示すブロック図である。USB ABコネクタ300は、USB OTG用のUSB ABコネクタ(メス型)である。USB ABコネクタ300は、USB ABコネクタ(オス型)を挿抜可能な構成を備える。
【0004】
USB ABコネクタ300は、ID端子、D+/D−端子およびVDD1端子を有し、それぞれの端子を介してOTG制御/充電制御部312に接続される。
【0005】
端末は、ID端子の出力信号がハイ(H)レベルのときはデバイス動作を行い、ロー(L)レベルのときはホスト動作を行う。
【0006】
D+/D−端子は、USB通信用の信号を入出力する端子である。VDD1端子は、電源端子である。デバイス動作時は、USB ABコネクタ300に接続された他のUSB機器からUSBバスを介してVDD1端子に電力が供給される。
【0007】
OTG制御/充電制御部312は、ID端子、D+/D−端子、VDD1端子の状態に応じて動作する。OTG制御/充電制御部312は、ホスト動作時は、端末内の電池313から供給される電圧を必要な電圧レベルに変換して、VDD1端子を介してUSB ABコネクタ300側に供給する。デバイス動作時は、USB ABコネクタ300側から供給される電圧を必要な電圧レベルに変換して電池313に供給する。
【0008】
外部給電部301は、外部電源を接続するためのコネクタなどである。外部給電部301を介して外部電源から充電制御部114に電力が供給されると、充電制御部114は、供給される電力(電圧)を必要な電圧レベルに変換して電池313に供給する
【0009】
図13に示す構成の場合、OTG制御/充電制御部312とは別に、充電制御部114が必要になる。充電制御部114は一般的に実装面積が大きく、高価であるので、端末の小型化の妨げになったり、端末を高価にさせたりする。また、充電制御部114をソフトウェア制御する場合には、高度なプログラミングが必要になるため、端末の開発コストを増大させる可能性がある。
【0010】
特許文献1には、充電用の電源ラインを制御して、USBバス電源とACアダプタ電源とを充電用電源として選択することができるシステムが記載されている。また、特許文献2には、電源供給パスを切り替えることによって、マウス(受電デバイス)、ACアダプタなど複数の機器・デバイスを同一のUSB端子で接続できる装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2006−296126号公報
【特許文献2】特開2010−9208号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
特許文献1に記載されたシステムは、USB OTGの概念がなく、端末がホスト動作をする場合の動作について考慮されていない。また、USBのリンクについて考慮していないので、充電用電源の切り替え時にUSBのリンクが切れてしまう可能性がある。
【0013】
特許文献2に記載された装置は、同一のUSB端子にUSB機器やACアダプタを接続しているので、USB機器やACアダプタを同時に接続することができない。
【0014】
そこで、本発明は、端末がUSB OTGに対応している場合でも、簡易な構成でUSB機器やACアダプタを同時に接続することができる端末および給電方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明による端末は、電力供給元をUSBバスまたは外部電源に切り替える制御手段を備え、制御手段は、自端末がホスト動作中であるかデバイス動作中であるかを判定し、自端末がデバイス動作中であると判断した場合には、自端末の電力供給元を優先的にUSBバスにすることを特徴とする。
【0016】
本発明による給電方法は、電力供給元としてUSBバスまたは外部電源を選択可能な端末がホスト動作中であるかデバイス動作中であるかを判定し、端末がデバイス動作中であると判断した場合には、端末の電力供給元を優先的にUSBバスにすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、端末がUSB OTGに対応している場合でも、簡易な構成でUSB機器やACアダプタを同時に接続することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明による端末の第1の実施形態の構成を示すブロック図である。
【図2】第1の実施形態において、制御部105がVgate1、Vgate2を制御するための真理値表の一例を示す説明図である。
【図3】デバイス動作時のVgate1、Vgate2の制御タイミングを示す説明図である。
【図4】デバイス動作時のVgate1、Vgate2の制御タイミングを示す説明図である。
【図5】本発明による端末の第2の実施形態の構成を示すブロック図である。
【図6】第2の実施形態において、制御部105がVgate1、Vgate2を制御するための真理値表の一例を示す説明図である。
【図7】デバイス動作時のVgate1、Vgate2の制御タイミングを示す説明図である。
【図8】本発明による端末の第3の実施形態の構成を示すブロック図である。
【図9】第3の実施形態において、制御部105がVgate1、Vgate2およびVgate3を制御するための真理値表の一例を示す説明図である。
【図10】デバイス動作時のVgate1、Vgate2およびVgate3の制御タイミングを示す説明図である。
【図11】本発明による端末の主要部を示すブロック図である。
【図12】本発明による端末の主要部を示すブロック図である。
【図13】USB OTGに対応した端末の構成の一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
実施形態1.
以下、本発明の第1の実施形態を図面を参照して説明する。
【0020】
図1は、本発明による端末の第1の実施形態の構成を示すブロック図である。
【0021】
本発明による端末は、USB ABコネクタ100と、外部給電部101と、制御部105と、OTG制御/充電制御部112と、電池113とを備える。また、端末は、FET106、107、109および110を備える。
【0022】
USB ABコネクタ100は、USB OTG用のUSB ABコネクタ(メス型)である。USB ABコネクタ100は、USB ABコネクタ(オス型)を挿抜可能な構成を備える。
【0023】
USB ABコネクタ100は、ID端子、D+/D−端子、VDD1端子を有する。USB ABコネクタ100のID端子とD+/D−端子は、OTG制御/充電制御部112に接続される。
【0024】
ID端子は、VCC電源に抵抗102でプルアップされる。ID端子から出力される信号(以下、単にIDという。)がHレベル時、つまり、IDの電圧値が電源電圧(VCC)と同じである場合に、端末はデバイス動作を行う。また、IDがLレベル時、端末はホスト動作を行う。
【0025】
D+/D−端子は、USB通信用の信号を入出力する端子である。なお、D+/D−端子は、それぞれ独立した端子であるD+端子とD−端子とを含む。
【0026】
VDD1端子は、電源端子である。デバイス動作時は、USB ABコネクタ100に接続された他のUSB機器からUSBバスを介してVDD1端子に電力が供給される。以下、VDD1端子が入出力する電圧を、単にVDD1という。VDD1端子は、抵抗103でプルダウンされる。抵抗103は、VDD1端子に電力が供給されていない場合に、VDD1をLレベルにするための抵抗である。
【0027】
外部給電部101は、外部電源を接続するためのコネクタなどである。外部給電部101は、外部電源を接続/切断することによって、外部電源からの電力供給をする/しないを切り替えることができる。
【0028】
外部給電部101は、VDD2端子を有する。外部給電部101に接続された外部電源からVDD2端子に電力が供給される。以下、VDD2端子が入出力する電圧を、単にVDD2という。VDD2端子は、抵抗104でプルダウンされる。抵抗104は、VDD2端子に電力が供給されていない場合に、VDD2をLレベルにするための抵抗である。
【0029】
OTG制御/充電制御部112は、VOUT端子を有する。VOUT端子は、FET107、106を介して、USB ABコネクタ100のVDD1端子と接続される。また、VOUT端子は、FET110、109を介して、外部給電部101のVDD2端子と接続される。以下、VOUT端子が入出力する電圧を、単にVOUTという。
【0030】
OTG制御/充電制御部112は、ID端子、D+/D−端子、VOUT端子の状態に応じて、USB OTGの制御および充電制御を行う。
【0031】
OTG制御/充電制御部112は、ホスト動作時は、端末側の電池113から供給される電圧を必要な電圧レベルに変換して、VOUT端子を介してVDD1端子側に出力する。VDD1端子側に出力された電圧は、USBバスを介して、USB ABコネクタ100に接続された他のUSB機器に供給される。
【0032】
OTG制御/充電制御部112は、デバイス動作時は、VDD1端子側から供給される電圧を必要な電圧レベルに変換して電池113に供給する。
【0033】
電池113は、充電可能な電池であって、例えば、二次電池である。
【0034】
制御部105は、ID、VDD1およびVDD2を入力する。
【0035】
制御部105は、FET106、107のゲート電圧を制御するための信号Vgate1、および、FET109、110のゲート電圧を制御するための信号Vgate2を出力する。制御部105は、ID、VDD1およびVDD2の状態に応じて、Vgate1、Vgate2を制御する。
【0036】
なお、制御部105およびOTG制御/充電制御部112は、プログラムに従って動作するマイクロコンピュータ等で実現可能である。
【0037】
図2は、第1の実施形態において、制御部105がVgate1、Vgate2を制御するための真理値表の一例を示す説明図である。
【0038】
抵抗108は、Vgate1がハイインピーダンス(HiZ)になったときに、FET106、107をOFFにするための抵抗である。抵抗108は、FET106、107のソースとゲートとを接続するように配置される。
【0039】
抵抗111は、Vgate2がHiZになったときに、FET109、110をOFFにするための抵抗である。抵抗111は、FET109、110のソースとゲートとを接続するように配置される。
【0040】
なお、抵抗108および抵抗111は、Vgate1、Vgate2の出力がCMOS出力である場合は不要である。
【0041】
FET106、107、109および110は、スイッチング素子である。本実施形態では、FET106、107、109および110は、Pチャネル型のFETである。
【0042】
FET106、107は、向かい合わせるようにして(FET106のソースとFET107のソースとが共通になるように)配置する。FET109、110も同様に、向かい合わせるようにして配置する。
【0043】
FET106、109を使用せずに、つまり、FET106、109を削除して各ドレイン−ソース間を接続して、FET107、110のみを配置する方法もある。しかし、例えば、VDD1=OFF、VDD2=ONの場合、VDD1側のFET107はOFFになっているが、FET107内の寄生ダイオード121により電圧がUSB ABコネクタ100に出力されてしまう。その結果、VDD1がONになっていまい、図2に示す真理値表を満たすことができない。
【0044】
同様に、VDD1=ON、VDD2=OFFの場合、VDD2側のFET110はOFFになっているが、FET110内の寄生ダイオード122によりVDD2がONになってしまい、図2に示す真理値表を満たすことができない。
【0045】
そのため、図1に示すようにFETを向かい合わせて配置することが望ましい。
【0046】
次に、本実施形態の動作を説明する。
【0047】
図2に示すように、制御部105は、端末がデバイス動作時(ID=H)であって、VDD1=OFF、VDD2=ONの場合は、Vgate2をLにする。また、制御部105は、VDD1=OFF、VDD2=OFFの場合は、Vgate1、Vgate2をHiZにする。ただし、この場合は、VDD1端子およびVDD2端子に電圧が供給されていないので、Vgate1、Vgate2をLにするようにしてもよい。図2に示す「HiZ(L)」は、HiZまたはLに設定すればよいことを表す。
【0048】
図3および図4は、デバイス動作時のVgate1、Vgate2の制御タイミングを示す説明図である。
【0049】
図3は、デバイス動作時(ID=H)に、USB機器がUSB ABコネクタ100に接続されていない状態(VDD1=OFF)で、VDD2端子に対する電力供給を開始/停止する場合のVgate1、Vgate2の制御タイミングを示す。
【0050】
図3に示すように、VDD1=OFFのときにVDD2端子に対して電力供給が開始された場合は、制御部105は、VDD2の電圧値が閾値Vth1を超えたときにVgate2をLにする。この際、端末の動作をより安定させるために、VDD2の電圧値がVth1を超えてからVgate2をLにするまでの間にディレイ時間tdelay1(≧0)を設けることが望ましい。
【0051】
VDD1=OFFのときにVDD2端子に対する電力供給が停止した場合は、制御部105は、VDD2の電圧値が閾値Vth2を下回ったときにVgate2をHiZにする。この際、端末の動作をより安定させるために、VDD2の電圧値がVth2を下回ってからVgate2をHiZにするまでの間にディレイ時間tdelay2(≧0)を設けることが望ましい。また、閾値Vth1と閾値Vth2は、例えば、Vth1>Vth2になるようにヒステリシスを持たせるようにしてもよいし、同一のレベルにしてもよい。
【0052】
図4は、デバイス動作時(ID=H)に、外部電源からの電力供給を行っている状態(VDD2=ON)で、VDD1端子に対する電力供給を開始/停止する場合のVgate1、Vgate2の制御タイミングを示す。
【0053】
図4に示すように、VDD2=ONのときにVDD1端子に対して電力供給が開始された場合は、制御部105は、VDD1の電圧値が閾値Vth3を超えたときにVgate2をHiZにする。この際、端末の動作をより安定させるために、tdelay1と同様に、tdelay3(≧0)を設けることが望ましい。
【0054】
そして、制御部105は、Vgate2をHiZにした後に、Vgate1をLにする。このとき、FET106、107とFET109、110とを同時にONさせてしまうと、VDD1とVDD2とがバスファイトして、USB ABコネクタ100および外部給電部101にハード的にダメージを与える可能性がある。従って、Vgate1をLにするまでの間にディレイ時間tdelay4(≧0)を設けることが望ましい。このようにVgate1を制御させることによって、FET106、107とFET109、110とが同時にONすることを防ぐことができる。
【0055】
次に、VDD2=ONのときにVDD1に対する電力供給が停止した場合は、制御部105は、VDD1の電圧値が閾値Vth4を下回ったときにVgate1をHiZにする。この際、tdelay2と同様に、ディレイ時間tdelay5(≧0)を設けることが望ましい。
【0056】
そして、制御部105は、Vgate1をHiZにした後に、Vgate2をLにする。この際、tdelay4と同様に、ディレイ時間tdelay6(≧0)を設けることが望ましい。また、閾値Vth3と閾値Vth4は、例えば、Vth3>Vth4になるようにヒステリシスを持たせるようにしてもよいし、同一のレベルにしてもよい。
【0057】
以上に説明したように、本実施形態では、制御部105がFET106、107、109および110を制御して、USB機器からの給電と外部電源からの給電とを切り替えているので、図13に示すような充電制御部114が不要であり、端末の構成を簡素化することができる。
【0058】
また、制御部105は、ID、VDD1およびVDD2の状態に応じて、Vgate1およびVgate2を制御するだけでよいので、複雑な制御を行う必要がない。従って、USB OTGと外部給電機能とが混在する端末やシステムにおいて、USB OTGと外部給電機能とを簡易な構成で共存させることができる。
【0059】
また、USB機器からの給電と外部電源からの給電とが同時に行われた場合であっても、USB機器からの給電を優先するようにしているので、USBリンクを維持することができる。
【0060】
また、制御部105が、FET106、107とFET109、110とを同時にONさせないように制御しているので、USB ABコネクタ100にUSB機器を接続/切断するときや、外部給電部101に外部電源を接続/切断するときに、VDD1とVDD2とをバスファイトさせることがない。
【0061】
実施形態2.
以下、本発明の第2の実施形態を図面を参照して説明する。
【0062】
図5は、本発明による端末の第2の実施形態の構成を示すブロック図である。
【0063】
端末の第2の実施形態の構成は、第1の実施形態の構成と同様である。しかし、制御部105が、D+/D−端子と接続される。
【0064】
制御部105は、D+/D−端子から入力される信号(以下、単にD+/D−という。)を監視する。制御部105は、端末がデバイス動作をする際に、D+/D−端子から入力される信号の状態によりUSB ABコネクタ100に接続された機器の種類を検出することができる。
【0065】
制御部105は、D+/D−がショートされている場合は、USB充電専用器が接続されていると認識する。D+/D−が通常の状態である場合、つまり、ショートされていない場合は、通常の(USB充電専用器ではない)USB機器が接続されていると認識する。
【0066】
次に、本実施形態の動作を説明する。
【0067】
図6は、第2の実施形態において、制御部105がVgate1、Vgate2を制御するための真理値表の一例を示す説明図である。
【0068】
図6に示すように、ID=H、VDD1=ON、VDD2=ONの場合に、制御部105が、Vgate1をHiZ、Vgate2をLにする。これにより、デバイス動作時に、USB機器と外部電源とが同時に接続されている場合であっても、外部給電部101のVDD2端子からの電力供給を優先させることができる。通常のUSBケーブルの場合、供給電流は100mAまたは500mA以下にする必要があるため、それ以上の充電電流を供給することができない。それに対して、VDD2端子から充電電流を供給する場合は、OTG制御/充電制御部112で制御可能な電流値まで充電電流の電流値を上げることができる。
【0069】
なお、D+/D−のショートを検出した場合であっても、VDD2からの電力供給を選択するようにしてもよい。つまり、USB充電専用器がUSB ABコネクタ100に接続されている場合であっても、VDD2端子からの電力供給を優先させるようにしてもよい。
【0070】
図7は、デバイス動作時のVgate1、Vgate2の制御タイミングを示す説明図である。
【0071】
図7は、デバイス動作時(ID=H)に、USB機器がUSB ABコネクタ100に接続されている状態(VDD1=ON)で、VDD2端子に対する電力供給を開始/停止する場合のVgate1、Vgate2の制御タイミングを示す。
【0072】
図7に示すように、VDD1=ONのときにVDD2端子に対して電力供給が開始された場合は、制御部105は、VDD2の電圧値が閾値Vth1を超えたときにVgate1をHiZにする。この際、端末の動作をより安定させるために、tdelay3と同様に、tdelay7(≧0)を設けることが望ましい。
【0073】
そして、制御部105は、Vgate1をHiZにした後に、Vgate2をLにする。この際、VDD1とVDD2とをバスファイトさせないようにするために、tdelay4と同様にディレイ時間tdelay8(≧0)を設けることが望ましい。
【0074】
次に、VDD1=ONのときにVDD2に対する電力供給が停止した場合は、制御部105は、VDD2の電圧値が閾値Vth2を下回ったときにVgate2をHiZにする。この際、tdelay5と同様に、ディレイ時間tdelay9(≧0)を設けることが望ましい。
【0075】
そして、制御部105は、Vgate2をHiZにした後に、Vgate1をLにする。この際、tdelay6と同様に、ディレイ時間tdelay10(≧0)を設けることが望ましい。
【0076】
以上に説明したように、本実施形態では、USB ABコネクタ100にUSB機器が接続されている場合であっても、外部給電部101に外部電源が接続されているときには、外部電源からの給電を優先させることができる。従って、充電電流を大きくすることができ、電池113の充電時間を短縮することができる。
【0077】
実施形態3.
以下、本発明の第3の実施形態を図面を参照して説明する。
【0078】
図8は、本発明による端末の第3の実施形態の構成を示すブロック図である。
【0079】
端末の第3の実施形態の構成は、第2の実施形態の構成と同様である。しかし、端末は、ダイオード201とFET202とを備える。
【0080】
ダイオード201は、順電圧(VF)が低いダイオードであって、例えば、ショットキーバリアダイオードである。
【0081】
FET202は、スイッチング素子である。本実施形態では、FET202は、Pチャネル型のFETである。
【0082】
FET202のソースは、VDD1端子に接続される。FET202のドレインは、VOUT端子に接続される。また、FET202とVDD1端子との間に、ダイオード201が配置される。また、FET202のゲートとソースとを接続するように抵抗203が配置される。
【0083】
次に、本実施形態の動作を説明する。
【0084】
第2の実施形態では、図7に示すように、VDD1=ONのときにVDD2端子に対する電力供給が開始または停止すると、VOUTがOFFになる区間が発生する。その際、端末がデバイス動作中であって、OTG制御/充電制御部112の電力供給元がVOUTである場合には、VOUT OFF区間においてUSBのリンクが切れる可能性がる。
【0085】
そこで、本実施形態では、ダイオード201およびFET202を使用して、VOUT OFF区間を発生させないようにする。
【0086】
図9は、第3の実施形態において、制御部105がVgate1、Vgate2およびVgate3を制御するための真理値表の一例を示す説明図である。
【0087】
制御部105は、FET202のゲート電圧を制御するための信号Vgate3を出力する。制御部105は、端末がデバイス動作時(ID=H)であって、VDD1=ONかつVDD2=ONの場合に、Vgate3をLにしてFET202をONにする。
【0088】
図10は、デバイス動作時のVgate1、Vgate2およびVgate3の制御タイミングを示す説明図である。
【0089】
図10に示すように、VDD1=ONのときにVDD2端子に対して電力供給が開始された場合は、制御部105は、Vgate3をLにしてからVgate1およびVgate2を制御する。また、VDD1=ONのときにVDD2端子に対する電力供給が停止した場合は、制御部105は、Vgate2、Vgate1を制御した後に、Vgate3をHiZにする。これにより、VOUTが電圧降下(ドロップ)する区間において、ダイオード201、FET202を経由してVOUT端子に電流が供給されるため、VOUTの電圧降下をダイオード201のVF分に抑えることができる。
【0090】
このように、VOUTの電圧降下をダイオード201のVF分に抑えることによって、VOUTをONに保つことができるので、USBのリンクを維持することができる。
【0091】
なお、OTG制御/充電制御部112の電力供給元が電池113である場合には、VOUTがOFFになってもUSBのリンクが切れることがないので、Vgate3によるFET202の制御は必要ない。つまり、第2の実施形態の構成であってもよい。
【0092】
以上に説明したように、本実施形態では、ダイオード201およびFET202によって、VOUTの電圧降下をダイオード201のVF分に抑えているので、USB機器またはUSB充電専用器から給電を行っている場合に外部電源が接続/切断された場合であっても、USBリンクを維持することができる。
【0093】
また、VDD2=ONのときにVDD1がONまたはOFFされた場合、つまり、外部電源から給電を行っている場合にUSB機器またはUSB充電専用器が接続/切断された場合についても、Vgate3を同様に制御することによって、USBリンクを維持することができる。
【0094】
図11および図12は、本発明による端末の主要部を示すブロック図である。図11に示すように、端末は、電力供給元をUSBバスまたは外部電源に切り替える制御手段13(図1に示す制御手段105に相当。)を備え、制御手段13は、自端末がホスト動作中であるかデバイス動作中であるかを判定し、自端末がデバイス動作中であると判断した場合には、自端末の電力供給元をUSBバスにする。
【0095】
上記の実施形態には、以下のような端末も開示されている。
【0096】
(1)制御手段13は、自端末がデバイス動作中である場合に、USBバスに接続された機器がUSB機器であるかUSB充電専用器であるかを判定し、機器がUSB機器であると判断した場合には、自端末の電力供給元を外部電源に切り替える端末。
【0097】
(2)制御手段13は、自端末がデバイス動作中である場合に、USBバスに接続された機器が電力を供給していない場合には、自端末の電力供給元を外部電源に切り替える端末。
【0098】
(3)図12に示すように、制御手段13は、USBバスからの電力供給を開始または停止させる第1のスイッチング素子15(図1に示すFET106、107に相当。)と、外部電源からの電力供給を開始または停止させる第2のスイッチング素子16(図1に示すFET109、110に相当。)とを含み、USBバスからの電力供給と外部電源からの電力供給とが同時に開始状態にならないように、第1のスイッチング素子15と第2のスイッチング素子16とを制御する端末。
【0099】
(4)図12に示すように、制御手段13は、USBバスからの電力供給と外部電源からの電力供給とがともに停止状態になった場合に、USBのリンクを維持させるための電流をUSBバスから確保するリンク維持手段14(図8に示すダイオード201およびFET202に相当。)を含む端末。
【符号の説明】
【0100】
13 制御手段
14 リンク維持手段
15 第1のスイッチング素子
16 第2のスイッチング素子
100 USB ABコネクタ
101 外部給電部
102、103、104、108、111、203 抵抗
105 制御部
106、107、109、110、202 FET
112 OTG制御/充電制御部
113 電池
114 充電制御部
121、122 寄生ダイオード
201 ダイオード
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力供給元をUSBバスまたは外部電源に切り替える制御手段を備え、
前記制御手段は、
自端末がホスト動作中であるかデバイス動作中であるかを判定し、
自端末がデバイス動作中であると判断した場合には、自端末の電力供給元を前記USBバスにする
ことを特徴とする端末。
【請求項2】
制御手段は、
自端末がデバイス動作中である場合に、USBバスに接続された機器がUSB機器であるかUSB充電専用器であるかを判定し、前記機器がUSB機器であると判断した場合には、自端末の電力供給元を外部電源に切り替える
請求項1に記載の端末。
【請求項3】
制御手段は、
自端末がデバイス動作中である場合に、USBバスに接続された機器が電力を供給していない場合には、自端末の電力供給元を外部電源に切り替える
請求項1または請求項2に記載の端末。
【請求項4】
制御手段は、
USBバスからの電力供給を開始または停止させる第1のスイッチング素子と、外部電源からの電力供給を開始または停止させる第2のスイッチング素子とを含み、
前記USBバスからの電力供給と前記外部電源からの電力供給とが同時に開始状態にならないように、前記第1のスイッチング素子と前記第2のスイッチング素子とを制御する
請求項1から請求項3のうちのいずれか1項に記載の端末。
【請求項5】
制御手段は、
USBバスからの電力供給と外部電源からの電力供給とがともに停止状態になった場合に、USBのリンクを維持させるための電流をUSBバスから確保するリンク維持手段を含む
請求項1から請求項4のうちのいずれか1項に記載の端末。
【請求項6】
電力供給元としてUSBバスまたは外部電源を選択可能な端末がホスト動作中であるかデバイス動作中であるかを判定し、
前記端末がデバイス動作中であると判断した場合には、前記端末の電力供給元を優先的に前記USBバスにする
ことを特徴とする給電方法。
【請求項7】
端末がデバイス動作中である場合に、USBバスに接続された機器がUSB機器であるかUSB充電専用器であるかを判定し、前記機器がUSB機器である場合には、前記端末の電力供給元を外部電源に切り替える
請求項6に記載の給電方法。
【請求項8】
端末がデバイス動作中である場合に、USBバスに接続された機器が電力を供給していない場合には、前記端末の電力供給元を外部電源に切り替える
請求項6または請求項7に記載の給電方法。
【請求項9】
USBバスからの電力供給と外部電源からの電力供給とがともに停止状態になった場合に、USBのリンクを維持させるための電流をUSBバスから確保する
請求項6から請求項8のうちのいずれか1項に記載の給電方法。
【請求項1】
電力供給元をUSBバスまたは外部電源に切り替える制御手段を備え、
前記制御手段は、
自端末がホスト動作中であるかデバイス動作中であるかを判定し、
自端末がデバイス動作中であると判断した場合には、自端末の電力供給元を前記USBバスにする
ことを特徴とする端末。
【請求項2】
制御手段は、
自端末がデバイス動作中である場合に、USBバスに接続された機器がUSB機器であるかUSB充電専用器であるかを判定し、前記機器がUSB機器であると判断した場合には、自端末の電力供給元を外部電源に切り替える
請求項1に記載の端末。
【請求項3】
制御手段は、
自端末がデバイス動作中である場合に、USBバスに接続された機器が電力を供給していない場合には、自端末の電力供給元を外部電源に切り替える
請求項1または請求項2に記載の端末。
【請求項4】
制御手段は、
USBバスからの電力供給を開始または停止させる第1のスイッチング素子と、外部電源からの電力供給を開始または停止させる第2のスイッチング素子とを含み、
前記USBバスからの電力供給と前記外部電源からの電力供給とが同時に開始状態にならないように、前記第1のスイッチング素子と前記第2のスイッチング素子とを制御する
請求項1から請求項3のうちのいずれか1項に記載の端末。
【請求項5】
制御手段は、
USBバスからの電力供給と外部電源からの電力供給とがともに停止状態になった場合に、USBのリンクを維持させるための電流をUSBバスから確保するリンク維持手段を含む
請求項1から請求項4のうちのいずれか1項に記載の端末。
【請求項6】
電力供給元としてUSBバスまたは外部電源を選択可能な端末がホスト動作中であるかデバイス動作中であるかを判定し、
前記端末がデバイス動作中であると判断した場合には、前記端末の電力供給元を優先的に前記USBバスにする
ことを特徴とする給電方法。
【請求項7】
端末がデバイス動作中である場合に、USBバスに接続された機器がUSB機器であるかUSB充電専用器であるかを判定し、前記機器がUSB機器である場合には、前記端末の電力供給元を外部電源に切り替える
請求項6に記載の給電方法。
【請求項8】
端末がデバイス動作中である場合に、USBバスに接続された機器が電力を供給していない場合には、前記端末の電力供給元を外部電源に切り替える
請求項6または請求項7に記載の給電方法。
【請求項9】
USBバスからの電力供給と外部電源からの電力供給とがともに停止状態になった場合に、USBのリンクを維持させるための電流をUSBバスから確保する
請求項6から請求項8のうちのいずれか1項に記載の給電方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2013−109518(P2013−109518A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−253111(P2011−253111)
【出願日】平成23年11月18日(2011.11.18)
【出願人】(000197366)NECアクセステクニカ株式会社 (1,236)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年11月18日(2011.11.18)
【出願人】(000197366)NECアクセステクニカ株式会社 (1,236)
【Fターム(参考)】
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