説明

端末の自動立上げシステム

【目的】複数のターミナルの電源投入/切断を無人化する。
【構成】ホストコンピュータ1は、ターミナル設定部1aおよびターミナル制御部1bを有し、I/Oボード2に接続している。ターミナル設定部1aは、複数のターミナルの中から電源投入および電源切断を行うターミナルの指定を行う。ターミナル制御部1bは、ターミナル設定部1aに設定されている情報を基に、I/Oボード2に制御信号を出力し、I/Oボード2を制御する。I/Oボード2は、スイッチSW1〜SW3を有し、スイッチSW1〜SW3を「オン」(電源投入)または「オフ」(電源切断)にする。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ホストコンピュータと複数の端末とが通信回線を介して接続されたネットワークシステムで、前記複数の端末の電源スイッチ等を一元管理し、前記複数の端末の中から所望の端末の電源投入/切断等を制御する端末の自動立上げシステムに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、通信回線に接続されたホストコンピュータと複数の端末(ターミナル)との間でデータの送受を行う場合、予めホストコンピュータと複数のターミナルとでコネクション(仮想伝送路)を確立するのが一般的である。
【0003】例えば、通信回線であるイーサネット(米国ゼロックス社の登録商標)に接続されたホストコンピュータおよび複数のターミナルの場合、最初にホストコンピュータの電源を投入し、ホストコンピュータを立上げ、ホストコンピュータが複数のターミナルからの通信回線接続の要求を待つ状態になった後に、複数のターミナルの電源を投入し、複数のターミナルを立上げ、複数のターミナルがホストコンピュータに通信回線接続の要求を出力し、ホストコンピュータがこの要求された通信回線接続を受け入れることにより、コネクションが確立する。
【0004】つまり、ホストコンピュータの電源を投入し、次に、複数のターミナルの電源を投入することにより、ホストコンピュータおよび複数のターミナルに各々搭載されたオペレーティング・システム(以下、「OS」という)がコネクションの確立を自動的に行っている。
【0005】ここで、通常のネットワークシステムにおいては、ユーザが必要の都度、任意のターミナルの電源投入を行ってネットワークに加入して、所望の処理を行い、所望の処理終了とともにユーザが電源切断を行うことにより、ネットワークから離脱する。
【0006】すなわち、通常のネットワークシステムにおいては、コネクションの確立を自動的に行うことができても、通信回線を介してホストコンピュータと接続される複数のターミナルの電源投入または電源切断は、1台1台のそれぞれ端末に対して人手を介して行っていた。
【0007】一方、工場等では、ファクトリー・オートメーション化が進み、ロボットや自動機械等を用いて生産現場を自動化、省力化を図っているが、この場合のネットワークの特徴は、多数のユーザが任意のターミナルを使用するのではなく、自動化、省力化のために、管理者が一元的にターミナルを集中制御するというものである。
【0008】しかし、この工場等におけるネットワークシステムにおいても、通常のネットワークシステムと同様に、ネットワークに接続された複数のターミナルの最初と最後の電源投入/切断は、人手により各別に行われていた。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】前述したように、従来のネットワークシステムにおいては、多数のユーザが複数のターミナルの中から任意のターミナルを使用し、ネットワークに加入するという特性上、該ターミナルの電源投入/切断は、ユーザ各人が行っていた。
【0010】しかし、工場等で使用されるファクトリー・オートメーションのためのネットワークシステムは自動化・省力化を目的として、複数のターミナルの集中制御を行っているにもかかわらず、該複数のターミナルの電源投入/切断は、前記従来のネットワークシステムと同様に、人手により各ターミナルに対して行われ、自動化・省力化が最終的に図れないという問題点があった。
【0011】そこで、本発明はかかる問題点を除去し、ネットワークシステムを構成する複数のターミナルの電源を一元管理することで、複数のターミナルの電源投入/切断を無人化することができる端末の自動立上げシステムを提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明は、ホストコンピュータと複数の端末とが通信回線を介して接続されたネットワークシステムの前記複数の端末の自動立上げを制御する端末の自動立上げシステムにおいて、前記複数の端末にそれぞれ対応する複数のスイッチを有した切替手段と、前記複数の端末とそれぞれ対応する前記複数のスイッチとをそれぞれ接続するケーブルと、前記複数のスイッチの切替制御を行う制御手段とを具備したことを特徴とする。
【0013】
【作用】本発明の端末の自動立上げシステムによれば、ホストコンピュータと複数の端末とが通信回線を介して接続されたネットワークシステムの前記複数の端末にそれぞれ対応する複数のスイッチを有した切替手段と、前記複数の端末とそれぞれ対応する前記複数のスイッチとをそれぞれ接続するケーブルとを有し、制御手段が、前記切替手段の複数のスイッチを切替制御することにより、該複数のスイッチに対応した複数の端末の自動立上げを制御するようにしている。
【0014】このため、所望の複数の端末の電源投入/切断処理を無人化することができる。
【0015】
【実施例】以下、図面を参照して本発明の一実施例について説明する。
【0016】図1は、本発明の一実施例である端末の自動立上げシステムを有したネットワークシステムの構成を示す図である。
【0017】図1において、ネットワークシステムは、ホストコンピュータ1、I/Oボード2、電源ケーブル3a〜3c、ターミナルT1〜T3、イーサネット4、電源5から構成される。
【0018】ホストコンピュータ1は、ターミナル設定部1aおよびターミナル制御部1bを有し、通信回線であるイーサネット4に接続されている。また、ターミナルT1〜T3の電源投入/切断を行うI/Oボード2に接続されている。
【0019】そして、ターミナル設定部1aは、イーサネット4に接続している複数のターミナルT1〜T3の中から電源投入/切断を行う所望のターミナルの指定を行う。
【0020】また、ターミナル制御部1bは、ターミナル設定部1aに設定されている情報を基に、所望のターミナルの電源投入/切断を行うI/Oボード2に制御信号を出力し、I/Oボード2を制御する。
【0021】I/Oボード2は、スイッチSW1〜SW3を有し、このスイッチSW1〜SW3は、ターミナルT1〜T3とそれぞれ電源ケーブル3a〜3cを介して接続される。また、スイッチSW1〜SW3は、電源5にそれぞれ接続され、ホストコンピュータ1のターミナル制御部1bからの制御信号に従い、各ターミナルT1〜T3に対応するスイッチSW1〜SW3を「オン」(電源投入)または「オフ」(電源切断)にする制御を行う。
【0022】ターミナルT1〜T3は、イーサネット4にそれぞれ接続されている。
【0023】次に、本発明の一実施例である自動立上げシステムでのターミナルの電源投入動作についてフローチャートを参照して説明する。
【0024】図2は、自動立上げシステムでのターミナルの電源投入動作手順を示すフローチャートである。
【0025】図2において、ホストコンピュータ1は、ホストコンピュータ1を管理する管理者により電源が投入されたか否か判別する(ステップ100)。判別の結果、電源が投入された場合、ステップ101へ移行する。一方、電源が投入されていない場合、電源が投入されるのを待つ。
【0026】ステップ101において、ホストコンピュータ1は、電源投入に伴いホストコンピュータ1の図示しない中央処理部によりOSを起動する。そして、OSによりホストコンピュータ1が立ち上がり、ホストコンピュータ1はターミナルT1〜T3からの回線接続要求の待ち状態となる。
【0027】その後、管理者はホストコンピュータ1の図示しない表示部の表示画面を参照して、イーサネット4に接続されているターミナルT1〜T3の中から電源投入を行うターミナルの設定を行う(ステップ102)。
【0028】ここで、具体的な表示画面をもとにターミナルの設定の具体例を説明する。
【0029】図3は、ターミナルの設定のための表示画面の具体例を示す図である。
【0030】図3において、ターミナル設定画面11には、ホストコンピュータ1の図示しない表示部の表示画面を示しており、このターミナル設定画面11の矩形12〜14は、イーサネット4に接続されているターミナルT1〜T3にそれぞれ対応し、矩形12〜14内には、イーサネット4に接続されている各ターミナルT1〜T3の場所、すなわちターミナルT1〜T3のアドレスが表示される。
【0031】なお、図中の符号15はグラフィックカーソルであり、グラフィックカーソル15はホストコンピュータ1の図示しないマウスの移動に伴って連動する。
【0032】そして、ターミナル設定画面11の矩形12〜14に、ターミナルのアドレスを表示させることにより、この表示したターミナルの電源の投入指示を設定し、ターミナルのアドレスを表示させないことにより、この表示しないターミナルの電源は投入しないように指示を設定している。
【0033】ここで、矩形12〜14に、ターミナルのアドレスを表示させるには図示しないマウスによりグラフィックカーソル15を移動させ所望の矩形をクリックすることで所望のターミナルのアドレスが表示される。また、ターミナルのアドレスを表示させない場合、図示しないマウスにより、グラフィックカーソル15を移動させターミナルアドレスを表示している矩形をクリックすることにより、表示していたターミナルのアドレスは表示されなくなる。
【0034】そして、矩形12〜14に対する設定を行った後、図示しないマウスによりグラフィックカーソル15を移動させ矩形16をクリックすることでターミナルの設定が完了する。
【0035】次に、図2に戻り、ホストコンピュータ1のターミナル制御部1bは、ステップ102で設定した情報を基に、スイッチSW1〜SW3の「オン」、「オフ」を制御する制御信号をI/Oボード2に出力する(ステップ103)。
【0036】これに対し、I/Oボード2は、ターミナル制御部1bから出力された制御信号に基づいて電源投入/切断の処理を行う(ステップ104)。
【0037】そして、設定されたターミナルに対応するスイッチSW1〜SW3が「オン」となることにより、設定されたターミナルの電源が投入され、このターミナルに搭載されているOSによりこのターミナルが立ち上がり、ターミナルはホストコンピュータ1へ回線接続の要求を行う(ステップ105)。
【0038】さらに、ホストコンピュータ1は、ターミナル側から要求された回線接続を受信し、回線接続処理を行う(ステップ106)。
【0039】次に、本発明の一実施例である自動立上げシステムでのターミナルの電源切断動作をフローチャートを参照して説明する。
【0040】図4は、自動立上げシステムでのターミナルの電源切断動作手順を示すフローチャートである。
【0041】図4において、ホストコンピュータ1は、イーサネット4に接続されているターミナルT1〜T3から通信終了の要求が入力されたか否か判別する(ステップ110)。判別の結果、ターミナルから通信終了の要求が入力された場合、ステップ111へ移行する。一方、通信終了の要求が入力されていない場合、通信終了の要求が入力されるのを待つ。
【0042】ステップ111において、ホストコンピュータ1のターミナル制御部1bは、ターミナルが出力した通信終了の要求から、通信を終了するターミナルを特定する。
【0043】そして、ホストコンピュータ1は、この特定したターミナルとの通信回線切断の処理を行う(ステップ112)。
【0044】その後、ホストコンピュータ1のターミナル制御部1bは、この特定したターミナルの電源を切断する制御信号をI/Oボード2に出力する(ステップ113)。
【0045】そして、I/Oボード2は、ホストコンピュータ1のターミナル制御部1bから入力された制御信号に基づいて電源投入/切断処理を行う(ステップ114)。 次に、ホストコンピュータ1のターミナル制御部1bから出力された制御信号に基づくI/Oボード2の電源投入/切断処理(図2のステップ104、図4のステップ114)の動作を、フローチャートを参照して説明する。
【0046】図5は、ターミナル制御部1bから出力された制御信号に基づくI/Oボード2の電源投入/切断処理の動作手順を示すフローチャートである。
【0047】図5において、ターミナルの電源を投入する場合、ターミナル制御部1bがターミナル設定部1aの情報を基にI/Oボード2に制御信号を出力する。
【0048】また、ターミナルの電源を切断する場合、ターミナル制御部1bがターミナルからの通信終了の要求をもとに、通信を終了するターミナルを特定し、I/Oボード2に制御信号を出力する。
【0049】そして、I/Oボード2は、この制御信号を基にターミナルT1の電源を投入するか否かを判別する(ステップ120)。判別の結果、ターミナルT1の電源の投入を行う制御信号の場合、ステップ121へ移行し、一方、ターミナルT1の電源の投入を行う制御信号でない場合、ステップ122へ移行する。
【0050】ステップ121において、ターミナルT1に対応するI/Oボード2内のスイッチSW1を「オン」にする。
【0051】次に、ステップ122において、I/Oボード2は、制御信号を基にターミナルT1の電源を切断するか否かを判別する。判別の結果、ターミナルT1の電源の切断を行う制御信号の場合、ステップ123へ移行し、一方、ターミナルT1の電源の切断を行う制御信号で無い場合、ステップ124へ移行する。
【0052】ステップ123において、ターミナルT1に対応するI/Oボード2内のスイッチSW1を「オフ」にする。
【0053】次に、ステップ124において、I/Oボード2は、制御信号を基にターミナルT2の電源を投入するか否かを判別する。判別の結果、ターミナルT2の電源の投入を行う制御信号の場合、ステップ125へ移行し、一方、ターミナルT2の電源の投入を行う制御信号で無い場合、ステップ126へ移行する。
【0054】ステップ125において、ターミナルT2に対応するI/Oボード2内のスイッチSW2を「オン」にする。
【0055】次に、ステップ126において、I/Oボード2は、制御信号を基にターミナルT2の電源を切断するか否かを判別する。判別の結果、ターミナルT2の電源の切断を行う制御信号の場合、ステップ127へ移行し、一方、ターミナルT2の電源の切断を行う制御信号で無い場合、ステップ128へ移行する。
【0056】ステップ127において、ターミナルT2に対応するI/Oボード2内のスイッチSW2を「オフ」にする。
【0057】次に、ステップ128において、I/Oボード2は、制御信号を基にターミナルT3の電源を投入するか否かを判別する。判別の結果、ターミナルT3の電源の投入を行う制御信号の場合、ステップ129へ移行し、一方、ターミナルT3の電源の投入を行う制御信号で無い場合、ステップ130へ移行する。
【0058】ステップ129において、ターミナルT3に対応するI/Oボード2内のスイッチSW3を「オン」にする。
【0059】次に、ステップ130において、I/Oボード2は、制御信号を基にターミナルT3の電源を切断するか否かを判別する。判別の結果、ターミナルT3の電源の切断を行う制御信号の場合、ステップ131へ移行し、一方、ターミナルT3の電源の切断を行う制御信号で無い場合、このフローチャートを終了する。
【0060】ステップ131において、ターミナルT3に対応するI/Oボード2内のスイッチSW3を「オフ」にし、このフローチャートを終了する。
【0061】このように、I/Oボード2において、複数のターミナルの電源を一元管理し、複数あるターミナルの中から所望するターミナルの電源投入および電源切断を行えるため、ターミナル側での電源投入および電源切断する作業を無人化にできる。 なお、上記実施例においては、ホストコンピュータ側で、複数のターミナルの中から電源投入/切断するターミナルを設定していたが、複数のターミナル側でも、電源投入/切断するターミナルを設定できるものである。
【0062】
【発明の効果】以上説明したように、本発明による端末の自動立上げシステムによれば、ホストコンピュータと複数の端末とが通信回線を介して接続されたネットワークシステムの前記複数の端末にそれぞれ対応する複数のスイッチを有した切替手段と、前記複数の端末とそれぞれ対応する前記複数のスイッチとをそれぞれ接続するケーブルとを有し、制御手段が、前記切替手段の複数のスイッチを切替制御することにより、該複数のスイッチに対応した複数の端末の自動立上げを制御するようにしている。
【0063】このため、複数の端末の電源投入/切断処理を無人化でき、これに伴い完全に所望の複数の端末の自動立上げ、立下げおよび所望の端末に対する処理ができるので省力化、無人化された効率的なネットワークシステムを実現できるという利点を有する。
【0064】特に、FA(ファクトリー・オートメーション)システムでは、完全な端末の集中制御と無人化を実現することができるという利点を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例である自動立上げシステムを有したネットワークシステムの構成を示す図。
【図2】本発明の一実施例である自動立上げシステムでのターミナルの電源投入処理動作手順を示すフローチャート。
【図3】具体的なターミナルの設定の表示画面を示す図。
【図4】本発明の一実施例である自動立上げシステムでのターミナルの電源切断処理動作手順を示すフローチャート。
【図5】制御信号に基づいてI/Oボード2が行う電源投入切断処理手順を示すフローチャート。
【符号の説明】
1 ホストコンピュータ
1a ターミナル設定部
1b ターミナル制御部
2 I/Oボード
3a〜3c 電源ケーブル
4 イーサネット
5 電源
SW1〜SW3 スイッチ
T1〜T3 ターミナル

【特許請求の範囲】
【請求項1】ホストコンピュータと複数の端末とが通信回線を介して接続されたネットワークシステムの前記複数の端末の自動立上げを制御する端末の自動立上げシステムにおいて、前記複数の端末にそれぞれ対応する複数のスイッチを有した切替手段と、前記複数の端末とそれぞれ対応する前記複数のスイッチとをそれぞれ接続するケーブルと、前記複数のスイッチの切替制御を行う制御手段とを具備したことを特徴とする端末の自動立上げシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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