説明

端末及びトランスポンダの結合の端末による認証

【課題】本発明は、トランスポンダが、端末にデータを送信する前に端末を認証でき、端末が、トランスポンダにデータを送信する前にトランスポンダを認証できる方法を提供する。
【解決手段】本発明に係る磁場を生成する端末により、前記磁場内に存在するトランスポンダを認証する方法によれば、前記端末は、前記トランスポンダの抵抗性負荷の第1の値に関して前記端末によって測定された前記端末の発振回路の電流に関する第1のデータを、前記トランスポンダに送信し、前記トランスポンダは、前記抵抗性負荷の第2の値に関して前記端末の発振回路の電流に関する第2のデータを計算し、計算された第2のデータを前記端末に送信し、前記端末は、前記送信された第2のデータを、前記抵抗性負荷の前記第2の値に関して前記端末によって測定された前記端末の発振回路の電流に関する第3のデータと比較し、前記端末は比較結果に基づき、前記トランスポンダを認証する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的には、電子システムに関し、より具体的には、電磁トランスポンダ、すなわち、読出し及び/又は書込み端末によって非接触且つ無線で応答され得るトランシーバを用いたシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
多くの通信システムは、端末によって生成される電磁場の変調に基づいている。前記通信システムは、盗難防止装置として使用される最も簡素な電子タグから、トランスポンダが端末の電磁場内に存在するときに端末と通信するためのトランスポンダが、計算機能(例えば、電子財布)又はデータ処理機能を備えているより複雑なシステムまで多岐にわたっている。
【0003】
電磁トランスポンダを備えたシステムは、アンテナを形成する巻線を備えた発振回路のトランスポンダ側及び端末側での使用に基づいている。このような発振回路は、トランスポンダが端末の電磁場内に入ったとき、近傍の磁場によって結合される。端末の発振回路及びトランスポンダの発振回路は、一般的には、端末の発振回路の励起周波数に相当する同一の周波数に同調される。
【0004】
トランスポンダは、ほとんどの場合、自己電源を有しておらず、端末のアンテナによって発せられる高周波磁場から自身の回路に必要な電力を取り出す。
【0005】
トランスポンダが端末と通信する必要があるとき、トランスポンダは、データ交換を行う前に、端末を認証しなければならない。例えば、トランスポンダが(金銭又は勘定単位での)支払い手段として使用される適用例では、トランスポンダは、ある端末に対する支払額を蓄えておく場合がある。別の適用例によれば、電子機器(例えば、PDA又は携帯電話)に関連付けられているチップカード型のトランスポンダは、他の電子機器(例えば、ラップトップ型又はデスクトップ型コンピュータ)と通信して、ユーザを識別又は認証する。
【0006】
対照的に、端末は、あるデータをトランスポンダに送信する前に、トランスポンダを認証しなければならない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】欧州特許出願公開第0857981号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
現在、認証処理は、暗号化アルゴリズムと、端末及びトランスポンダ間のデータ交換とに基づいている。このような認証処理では、電力及び時間が著しく必要とされる計算が行われる。更に、あらゆる暗号化処理は、認証の秘密を見つけてシステムに不正侵入しようとする攻撃に対して、多かれ少なかれ反応し易い。
【0009】
トランスポンダが、通信する必要がある端末にデータを送信する前に端末を認証できることが好ましく、また、端末が、あるデータをトランスポンダに送信する前にトランスポンダを認証できることが好ましい。
【0010】
また、暗号化とは無関係に認証処理を行うことが好ましい。
【0011】
更に、高速で、消費電力及び計算が少ない認証処理を行うことが好ましい。
【課題を解決するための手段】
【0012】
これらの目的及び他の目的の全て又は一部を達成するために、本発明は、磁場を生成する端末により、前記磁場内に存在するトランスポンダを認証する方法であって、前記端末は、前記トランスポンダの抵抗性負荷の第1の値に関して前記端末によって測定された前記端末の発振回路の電流に関する第1のデータを、前記トランスポンダに送信し、前記トランスポンダは、前記抵抗性負荷の第2の値に関して前記端末の発振回路の電流に関する第2のデータを計算し、計算された第2のデータを前記端末に送信し、前記端末は、前記送信された第2のデータを、前記抵抗性負荷の前記第2の値に関して前記端末によって測定された前記端末の発振回路の電流に関する第3のデータと比較し、前記端末は、比較結果に基づき、前記トランスポンダを認証することを特徴とする方法を提供する。
【0013】
本発明によれば、前記トランスポンダは、前記第1のデータと、前記抵抗性負荷の第1の値及び第2の値に関して夫々測定された前記トランスポンダの発振回路によって生成される電圧に関する第4のデータとに基づいて、前記第2のデータを計算する。
【0014】
本発明によれば、前記第1のデータ、第2のデータ及び第3のデータは、前記トランスポンダが前記磁場内に存在しないときの前記端末の発振回路の電流と、前記抵抗性負荷の第1の値又は第2の値に関する前記端末の発振回路の電流との比率である。
【0015】
本発明によれば、前記トランスポンダが認証されない場合、前記端末は、意図的に間違ったデータを前記トランスポンダに送信する。
【0016】
本発明は、更に、磁場を生成する端末と、前記磁場内に存在するトランスポンダとを認証する方法であって、前記方法に基づき、前記端末が前記トランスポンダを認証し、前記トランスポンダは、前記第1のデータと、前記抵抗性負荷の第1の値及び第2の値に関して夫々測定された前記トランスポンダの発振回路によって生成される電圧に関する第4のデータとを用いて、前記端末を認証することを特徴とする方法を提供する。
【0017】
本発明によれば、前記トランスポンダは、前記第1のデータ及び第4のデータに基づいて、前記端末の発振回路の電流の比率を計算し、前記トランスポンダは、前記計算された比率を、前記第1のデータと比較する。
【0018】
本発明によれば、前記トランスポンダは、前記第1のデータ及び第4のデータに基づいて、前記トランスポンダの発振回路により生成される電圧を計算し、前記トランスポンダは、前記計算された電圧を、前記測定された電圧と比較する。
【0019】
本発明によれば、前記端末が認証されない場合、前記トランスポンダは、意図的に間違ったデータを前記端末に送信する。
【0020】
本発明は、更に、電磁トランスポンダが端末の磁場内に存在するとき、直流電圧を与えられ得る整流器の上流側に設けられた発振回路と、前記方法を実施することが可能な少なくとも1つのプロセッサとを備えていることを特徴とする電磁トランスポンダを提供する。
【0021】
本発明は、更に、トランスポンダのための磁場を生成することが可能な端末であって、前記方法を実施することが可能な手段を備えていることを特徴とする端末を提供する。
【0022】
本発明の前述及び他の目的、特徴及び利点を、添付図面を参照して本発明を限定するものではない特定の実施形態について以下に詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明が一例として適用されるタイプの電磁トランスポンダ通信システムを非常に簡略化して示す図である。
【図2】電磁トランスポンダ通信システムの端末及びトランスポンダを示すブロック略図である。
【図3】端末及びトランスポンダが相互に認証する方法の実施形態を示すフローチャートである。
【図4】図3に示された実施形態の変形例を示す図である。
【図5】端末を認証することが可能なトランスポンダの実施形態を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
同一の構成要素は、異なる図面において同一の参照番号で示されている。明瞭化のために、本発明の理解に有用なステップ及び構成要素のみが示され、説明されている。具体的には、トランスポンダと端末との通信の符号化及び変調については詳述されておらず、本発明は、あらゆる通常の通信に適合する。更に、トランスポンダ又は端末による認証以外の端末又は前記トランスポンダによって実施され得る機能も詳述されておらず、本発明は、ここでもまた、端末又はトランスポンダのあらゆる通常の機能に適合する。
【0025】
図1は、電磁トランスポンダ通信システムのブロック図である。端末1は、(例えば、近距離無線通信(NFC:near field communication)プロトコルに応じて、離れた構成要素、すなわち、トランスポンダと近距離で通信することが可能である。
【0026】
端末1は、様々な形態、例えば、輸送チケット確認端末、電子パスポートリーダ、ラップトップ型コンピュータ、移動通信機器(GSM電話、PDA等)、自動車を始動させる電子制御ユニット等の形態から構成され得る。
【0027】
同様に、トランスポンダ2は、様々な形態、例えば、チップカード、電子輸送チケット、電子パスポート、通信端末(GSM電話、PDA等)、電子タグ等の形態から構成され得る。
【0028】
図2は、端末1及びトランスポンダ2の実施例を非常に概略的に示す。
【0029】
端末1は、コンデンサ(容量性素子)C1及び抵抗器R1と直列のインダクタンス(誘導性素子)L1から構成された一般的には直列の発振回路L1−C1を備えている。図2に示された実施例では、この直列発振回路は、増幅器すなわちアンテナカプラ14の出力端子12と、基準電圧を有する端子13(一般的には、アース)との間に接続されている。発振回路内の電流を測定する測定素子15が、例えば、容量性素子C1とアース13との間に設けられている。測定素子15は、後述する位相調整ループに属している。増幅器14は変調器(MOD)16から与えられる高周波伝送信号を受取り、変調器16は、例えば、水晶発振器(図示せず)から基準周波数信号(OSC)を受取る。変調器16は、必要に応じて、伝送を制御して利用するための回路11から与えられる信号Txを受取る。回路11は、一般的には、制御及びデータ処理マイクロプロセッサを備えており、図示しない様々な入力/出力回路(キーボード、ディスプレイ、サーバと通信する要素等)及び/又は処理回路と通信する。端末1の構成要素は、ほとんどの場合、その動作に必要な電力を電源回路(図示せず)から取り出しており、電源回路は、例えば、電源供給ライン配電システム(コンセント)又はバッテリ(例えば、自動車、携帯電話又はコンピュータのバッテリ)に接続されている。変調器16は、(例えば、13.56MHzの)高周波搬送波(信号)Txを直列発振回路L1−C1に供給し、該発振回路は磁場を生成する。
【0030】
容量性素子C1は、例えば、信号CTRLにより制御可能な可変容量性素子である。この容量性素子C1は、基準信号に関するアンテナ(インダクタンス)L1の電流I1の位相調整に関与する。この調整は、高周波信号の調整、すなわち、送信されるべきデータTxがないとき増幅器14に与えられる信号に相当する搬送波の信号の調整である。該調整は、基準信号と一定の位相関係でアンテナL1の電流I1を維持するように、端末1の発振回路のキャパシタンスを変化させることによって行われる。この基準信号は、例えば、変調器16に供給される基準周波数信号OSCに相当する。信号CTRLは、比較器17から与えられる。比較器17は、前記基準信号に関する位相間隔を検出する機能と、検出に応じて容量性素子C1のキャパシタンスを変更する機能とを有する。この比較器17は、測定素子15(例えば、強度変圧器又は抵抗器)によって検出される発振回路の電流I1に関するデータMESを受取る。
【0031】
端末1と協働可能なトランスポンダ2は、発振回路を備えており、該発振回路は、例えば、2つの端子21及び端子22間のコンデンサ(容量性素子)C2と並列なインダクタンス(誘導性素子)L2から並列に構成されている。(受信共振回路と呼ばれる)並列発振回路L2−C2は、端末1の発振回路L1−C1によって生成される磁場を取り込むように設けられている。発振回路L2−C2及び発振回路L1−C1は、同一の共振周波数(例えば、13.56MHz)に同調される。端子21及び端子22は、(ほとんどの場合、全波の)整流ブリッジ23の2つの交流入力端子に接続されている。整流ブリッジ23の整流出力端子が、正端子24及び基準端子25を夫々画定する。コンデンサCaが、整流電圧を平滑化するために、端子24及び端子25間に接続されている。回収された電力が、図示しないバッテリを再充電するために用いられる。
【0032】
トランスポンダ2が端末1の磁場内にあるとき、高周波電圧が、共振回路L2−C2に生成される。整流ブリッジ23によって整流されてコンデンサCaによって平滑化されるこの電圧は、電圧調整器(REG)26を介してトランスポンダ2の電子回路に供給電圧として与えられる。このような電子回路は、一般的には、記憶装置(図示せず)と関連付けられた処理部(例えば、マイクロコントローラμC、プロセッサ)27と、端末1から受信される信号を復調する復調器(DEM)28と、データを端末1に送信するための変調器(MOD)29とを含んでいる。トランスポンダ2は、一般的には、整流前に端子21及び端子22の一方から回収される高周波信号から回路20によって取り出されるクロック(CLK)を用いて同期される。ほとんどの場合、トランスポンダ2の全ての電子回路は、同一のチップにまとめられている。
【0033】
端末1からトランスポンダ2にデータを送信するために、変調器16は、信号Txに応じて搬送波の信号(OSC)を変調(一般に、振幅変調)する。トランスポンダ2側では、これらのデータは、電圧VCaに基づいて復調器28によって復調される。復調器28は、復調されるべき信号を整流ブリッジ23の上流側でサンプリングする。
【0034】
トランスポンダ2から端末1へデータを送信するために、変調器29は、端末1により生成される磁場内でトランスポンダの回路によって形成される負荷の変調(逆変調)段30を制御する。この変調(逆変調)段30は、一般的には、端子24及び端子25間で直列な電子スイッチK30(例えば、トランジスタ)及び抵抗器R30(又は、コンデンサ)から構成されている。スイッチK30は、端末1の発振回路の励起信号の周波数より十分低い(一般的には、少なくとも10分の1の)いわゆる副搬送波周波数(例えば、847.5kHz)で制御される。スイッチK30がオンのとき、トランスポンダ2が高周波磁場から大量の電力をサンプリングするように、トランスポンダ2の発振回路は、回路20、調整器26、処理部27、復調器28及び変調器29によって形成される負荷に関して追加の減衰を受ける。端末1側では、増幅器14は高周波励起信号の振幅を一定に維持する。その結果、トランスポンダ2の電力変動が、アンテナL1の電流I1の振幅及び位相変動として変換される。この変動は、端末1の振幅又は位相復調器によって検出される。図2に示された実施形態では、比較器17は、トランスポンダ2から与えられる信号を復調するためにも用いられる位相復調器と一体化されている。従って、比較器17は、回路11に返す信号Rxに、トランスポンダ1から受信したデータの起こり得る逆変調をもたらす。他の復調回路、例えば、コンデンサC1の電圧の測定を利用する回路を設けてもよい。
【0035】
トランスポンダと端末との通信を符号化/復号して変調/復調するための多くの変形例が存在する。
【0036】
位相調整ループの応答時間が、トランスポンダからの起こり得る逆変調の妨害を避けるために十分長く、且つトランスポンダが端末の磁場内を通過する速度と比較して十分短い。これは、変調周波数(例えば、遠隔電力供給搬送波の13.56MHzの周波数、及びトランスポンダから端末へデータを送信するために用いられる847.5kHzの逆変調周波数)に対する静的調整ということもできる。
【0037】
位相調整端末の一例が、欧州特許出願公開第0857981号明細書に記載されている。
【0038】
端末側で位相が調整されることにより、トランスポンダが端末の磁場内にあるとき、トランスポンダの発振回路における電流及び電圧を測定して、測定結果から、トランスポンダの結合に関する情報を導き出すことが可能になる。端末の発振回路とトランスポンダの発振回路との結合係数は、実質的には、トランスポンダと端末との距離によって決まる。kで示される結合係数は、常に0と1との間にある。結合係数は、次の式で定義され得る。
k = M/√(L1・L2) (式1)
尚、Mは、端末の発振回路のインダクタンスL1と、トランスポンダの発振回路のインダクタンスL2との相互インダクタンスを表す。
【0039】
最適結合が、トランスポンダの発振回路の電圧VC2が最大である位置にあるとして定義される。kopt で示される最適結合係数は、以下に示すように表現されてもよい。
kopt = √(L2/L1・R1/R2) (式2)
尚、R2は、トランスポンダの発振回路と並列に設けられた構成要素によって形成される負荷の抵抗と等価な抵抗を表す。
【0040】
換言すれば、抵抗R2は、コンデンサC2及びインダクタンスL2と(整流ブリッジ23の前又は後ろで)並列に配置されたトランスポンダ2の全ての回路の抵抗と等価な抵抗を表わす。トランスポンダの回路によるコンダクタンスが、「抵抗性負荷」と呼ばれる。この負荷のレベルが、発振回路に並列な抵抗R2によって表される。式2では、インダクタンスL1(端末のアンテナ)の直列抵抗は無視されている。また、この直列抵抗の値が、簡素化のために、抵抗器R1の値に含まれているとみなされ得る。
【0041】
式2は、端末とトランスポンダとの結合特徴を表す。同一のトランスポンダ及び所与の動作条件(負荷R2)では、最適結合係数は、インダクタンスL1の値及び抵抗器R1の値を調整する端末に応じて変化する。
【0042】
このような特徴を利用して、トランスポンダが、前記結合特徴を間接的に確認することにより、トランスポンダが配置されている範囲内で端末を認証することが可能になり、同様に、端末がトランスポンダを認証することが可能になる。
【0043】
端末及びトランスポンダの結合を認証するために、トランスポンダの発振回路の容量性素子C2の電圧VC2が用いられる。この電圧VC2の値は、以下の関係式により得られる。
VC2 = I2/ω・C2 (式3)
尚、I2は、トランスポンダの発振回路の電流を表し、ωは、信号のパルスを表す。
【0044】
電流I2は、以下の関係式により得られる。
I2 = M・ω・I1/Z2 (式4)
尚、I1は、端末の発振回路の電流を表し、Z2は、トランスポンダのインピーダンスを表す。
【0045】
トランスポンダのインピーダンスZ2は、以下の関係式により得られる。
Z22 = X22+(L2/R2・C2)2 (式5)
尚、X2は、発振回路のインピーダンスの虚数部を表し(X2=ω・L2-1/ω・C2)、R2は、トランスポンダの発振回路と並列に設けられた構成要素によって形成される負荷の抵抗と等価な抵抗を表す。
【0046】
換言すれば、抵抗R2は、コンデンサC2及びインダクタンスL2と(整流ブリッジ23の前又は後ろで)並列に配置されたトランスポンダ2の全ての回路(マイクロプロセッサ、逆変調手段等)の抵抗と等価な抵抗を表わす。トランスポンダ2の回路によるコンダクタンス、ひいてはトランスポンダ2の回路の消費電力が、「抵抗性負荷」と呼ばれる。この負荷のレベルが、発振回路に並列な抵抗R2によって表される。
【0047】
更に、端末の発振回路の電流I1は、以下の関係式により得られる。
I1 = Vg/Z1app (式6)
尚、Vgは、端末の発振回路を励起するいわゆる発電電圧を示し、Z1app は、発振回路の見掛けインピーダンスを表す。
【0048】
端末の発振回路の位相を調整することにより、トランスポンダに形成される負荷の虚数部を変調周波数に関して静的に変更する傾向がある全ての変動が、この位相調整ループによって補償され得る。従って、静的動作では、見掛けインピーダンスZ1app の虚数部は確実にゼロである。従って、見掛けインピーダンスZ1app は、見掛け抵抗R1app (インピーダンスの実数部)に等しくなり、以下に示すように表現されてもよい。
Z1app = R1app = R1+(k2・ω2・L1・L22)/(Z22・R2・C2) (式7)
【0049】
式7では、インダクタンスL1(端末のアンテナ)の直列抵抗の値は無視されている。また、この直列抵抗の値が、簡素化のために、抵抗器R1の値に含まれているとみなされ得る。
【0050】
発振回路は同調されるので、インピーダンスZ2の虚数部X2は、第一近似としてゼロに近いとみなされ得る。その結果、インピーダンスZ2の値は、以下の関係式により得られる。
Z2 = L2/R2・C2 (式8)
【0051】
この単純化した式8を式4及び式7に挿入し、式4を式3に挿入することにより、トランスポンダの発振回路で回収される電圧VC2について、以下の式が得られる。
VC2 = k・√(L1/L2)・{Vg/(R1/R2+k2・L1/L2)} (式9)
【0052】
式9は、所与の端末(発電電圧Vg、抵抗器R1及びインダクタンスL1の一定値)及びインダクタンスL2の一定値(従って、コンデンサC2の一定値)では、電圧VC2は、結合係数kと、トランスポンダの回路によって形成されて発振回路と並列に設けられる(抵抗R2と等価な)抵抗性負荷とによってのみ決まることを示している。
【0053】
式9は、トランスポンダの発振回路L2−C2が、同調周波数、すなわち、ω・√(L2・C2)=1に設定されているとみなされている場合にのみ適用可能であることに留意すべきである。
【0054】
所与の結合係数kでは、端末の発振回路のインピーダンスが変動せず、発振回路は同調されたままであるとすると、抵抗R2の抵抗値R21及び抵抗値R20に関する電圧VC2の夫々の値VC2]R21及び値VC2]R20の比率が、式2及び式9に従って、以下の式により得られる。
VC2]R21/VC2]R20 = {(k/kopt]R20)2+1}/{(k/kopt]R20)2+R20/R21} (式10)
【0055】
式10は、抵抗R2の抵抗値を、第1の値R20から、より大きな第2の値R21に増加させることにより(これは、発振回路L2−C2と並列に設けられたトランスポンダの回路の負荷を減少させることを意味する)、電圧VC2]R21が、電圧VC2]R20より大きくなることを示している。逆に、抵抗R2の抵抗値を減少させることにより、回収される電圧VC2は減少する。
【0056】
端末及びトランスポンダの結合の別の特徴的な動作条件が、端末のオフロード動作に関連付けられている。
【0057】
式6及び式7は、以下の式で表現され得る。
I1 = Vg/(R1+k2・L1/L2・R2) (式11)
【0058】
オフロード値は、トランスポンダが端末の磁場内に存在しないときにおける端末側の電流及び電圧を表す。端末のオフロード動作では、端末の発振回路の見掛けインピーダンスは、抵抗器R1、コンデンサC1及びインダクタンスL1のみによって決まる。更に、位相調整により、この見掛けインピーダンスの虚数部は、常にゼロである。従って、式11は、以下の式となる。
I1off-load = Vg/R1 (式12)
【0059】
式11及び式12は、同一の電流結合係数kに関して、以下の式により表現され得る。
k2 = R1/R2・L2/L1・(I1off-load/I1-1) (式13)
【0060】
式12及び式13を組み合わせることにより、以下の式が得られる。
(k/kopt)2 = I1off-load/I1-1 (式14)
【0061】
従って、この電流の比率により、最適結合係数に関する情報、ひいては所与の負荷に対する端末及びトランスポンダの結合特徴に関する情報が得られる。
【0062】
更に、トランスポンダが、(例えば、抵抗値R20の抵抗R2に等しい)所与の抵抗性負荷で端末の磁場内に存在するとき、端末は、自身の発振回路L1−C1の電流I1]R20の値を測定することができる。
【0063】
抵抗R2の2つの抵抗値R20及び抵抗値R21に関して回収された電圧の比率が、所与の結合係数kについて表されるとき、式10及び式14を組み合わせることにより、次の式が得られる。
VC2]R21/VC2]R20 = (I1off-load/I1]R20)/{R20/R21+(I1off-load/I1]R20-1)} (式15)
【0064】
この式15は、抵抗値R20が抵抗値R21より小さい場合、以下の式で表現され得る。
I1off-load/I1]R20 = (1-R20/R21)/(1-VC2]R20/VC2]R21) (式16)
【0065】
又は、抵抗値R20が抵抗値R21より大きい場合、式15は、以下の式で表現され得る。
I1off-load/I1]R20 = (R20/R21-1)/(VC2]R20/VC2]R21-1) (式16′)
【0066】
比率R21/R20が、式16に基づいて表されるとき、抵抗値R20が抵抗値R21より小さいか大きいかに無関係に、次の式が得られる。
R20/R21 = (I1off-load/I1]R21-1)/(I1off-load/I1]R20-1) (式17)
【0067】
この式17は、以下の式のように表現されてもよい。
I1off-load/I1]R21 = R21/R20・(I1off-load/I1]R20-1)+1 (式18)
【0068】
オフロード電流に関するこれらの比率を用いることにより、(抵抗値R20又は抵抗値R21の抵抗R2に等しい)所与の抵抗性負荷の条件下では、端末にトランスポンダを認証させて、トランスポンダに端末を認証させることが可能になる。
【0069】
図3は、端末及びトランスポンダが相互に認証する方法の実施形態を示すフローチャートである。
【0070】
端末の発振回路のオフロード電流は、予め記憶されて記録されている。測定に影響を及ぼす可能性のある静的妨害を考慮して、このオフロード電流は、端末が機能的環境にある間に判断されることが好ましい。好適な変形例によれば、オフロード電流の値が、周期的に更新される(例えば、トランスポンダが存在しないことが分かっているとき、端末のオフロード状態中にオフロード電流の値が測定されるようにプログラミングされている)。
【0071】
端末が、磁場内にトランスポンダを検出すると、端末は、自身の発振回路の電流I1を(例えば、測定素子15を用いて)測定し(ステップ41)、測定された電流I1の値とオフロード電流の値との比率を計算する(ステップ42)。計算された比率は、トランスポンダに送信されて記憶される(ステップ52)。
【0072】
トランスポンダは、端末から電流に関する比率を受信する前又は後に、抵抗R2の第1の抵抗値R20に関するコンデンサC2の電圧VC2を測定して記憶する(ステップ51)。
【0073】
次に、トランスポンダは、抵抗R2が抵抗値R21を有するように抵抗性負荷を変更する(ステップ53)。抵抗値R21は、例えば、抵抗値R20より大きくなるように選定される。続いて、トランスポンダは、この抵抗値R21に関する電圧VC2を測定し(ステップ54)、測定された電圧VC2の値を記憶する。
【0074】
その後、トランスポンダは、ステップ52で受信した比率と、ステップ51及びステップ54で夫々測定された電圧VC2の値とに基づき、オフロード状態の端末の電流I1の値と、抵抗値R20に関する端末の電流I1の値との評価比率を計算し(ステップ55)、計算された評価比率を端末から受信した比率と比較して、等しいか否かを判断する(ステップ56)。
【0075】
計算された評価比率が、端末から受信した比率と等しくないと判断した場合(ステップ56の出力N)、トランスポンダは、端末の発振回路が、端末及びトランスポンダの結合特徴を順守していないと判断し、端末を認証しない(ステップ59)。
【0076】
ステップ56により、計算された評価比率が、端末から受信した比率と等しいと判断した場合(ステップ56の出力Y)、トランスポンダは、端末を認証する(ステップ58)。計算された評価比率が、端末から受信した比率と等しくないと判断した場合(ステップ56の出力N)、トランスポンダは、エラー処理を開始する(ステップ59)。このエラー処理は、例えば、トランザクション拒否、トランスポンダのリセット、(操作された情報に関する重要な機能を実行しない)フェールソフト動作等に相当する。また、トランスポンダが、意図的に間違った情報で端末を誤解又は混乱させるメッセージ、例えば、ランダムデータを含むメッセージを端末に送信してもよい。その他の様々な処理が想定されてもよい。例えば、通常、暗号化メカニズムにより認証されない場合のあらゆるエラー処理が想定されてもよい。
【0077】
トランスポンダが端末を認証した場合、トランスポンダは、ステップ52で受信した比率と、ステップ51及びステップ54で夫々測定された電圧VC2の値とに基づき、オフロード状態の端末の電流I1の値と、抵抗値R21に関する端末の電流I1の値との評価比率を計算して、端末に送信する(ステップ57)。
【0078】
同時に(又は、ステップ53の後以降に)、トランスポンダは、抵抗性負荷を別の値(例えば、抵抗値R21)に切替えて、新たに電流I1を測定するように端末に通知する。
【0079】
端末は、抵抗値R21に関する電流I1]R21を新たに測定し(ステップ43)、オフロード電流I1と抵抗値R21に関する電流I1]R21との比率を計算して(ステップ44)、計算した比率を記憶する。
【0080】
次に、端末は、計算した比率を、トランスポンダから送信された評価比率と比較して、等しいか否かを判断する(ステップ45)。計算した比率が、トランスポンダから送信された評価比率と等しいと判断した場合(ステップ45の出力Y)、端末はトランスポンダを認証する(ステップ46)。計算した比率が、トランスポンダから送信された評価比率と等しくないと判断した場合(ステップ45の出力N)、端末は、エラー処理を開始する(ステップ47)。トランスポンダの場合と同様に、適用例(例えば、ブロッキング、意図的に間違った情報の送信等)により、様々なエラー処理が想定され得る。
【0081】
図4は、図3の変形例を部分的に示しており、計算に関するステップ55及び比較に関するステップ56が、ステップ52で受信した比率と、ステップ51及びステップ54で夫々測定された電圧VC2の値とに基づく、抵抗R2の抵抗値R21に関する電圧VC2の計算(ステップ55’)と、この計算された電圧VC2の値とステップ54で測定された抵抗値R21に関する電圧VC2の値との比較(ステップ56’)とに置き換えられている。残りの部分は、図3に示された実施形態と同一である。図4に示された変形例は、図3に示された実施形態と組み合わせられ得る。
【0082】
従って、同調状態の所与の端末(発電電圧Vg及び抵抗器R1の一定値)とトランスポンダでは、トランスポンダ及び端末の結合は、トランスポンダ側で(抵抗値R20及び抵抗値R21に等しい)2つの抵抗性負荷に関して得られた電圧と、端末の発振回路における対応する電流とを用いることにより認証され得る。
【0083】
実際には、トランスポンダの発振回路の電圧VC2が直接測定されるわけではなく、整流ブリッジ23の出力におけるコンデンサCaの平滑化された電圧VCaが測定される。電圧VCaは、電圧VC2に比例する。電圧比が評価されるので、電圧VC2と電圧VCaとの比例定数を知る必要がない。特定の実施形態では、測定は、マイクロプロセッサによって行われる。測定された電圧値が、アナログ手段により、又は、選択的な数ビット以上のディジタル処理により記憶され、該ビット数は、所望の分析精度により決まる。
【0084】
上述された処理は、上述された順序と異なる順序で行われてもよい。しかし、処理が、計算の複雑さが増す順序で優先的に行われることにより、トランスポンダに適合しない端末を更に迅速に拒絶することが可能になる。
【0085】
更に、様々な中間値が記憶されて、連続する処理で再利用されてもよく、又は逆に、処理中に計算されてもよい。
【0086】
抵抗R2の抵抗値を減少させるために、最小値が考慮されてもよい。この最小値は、トランスポンダの回路に十分な供給電圧を維持するための最小許容値に相当する。この最小値は、式16′に従って、比率R20/R2minを考慮することによって得られる。抵抗値R2minに関する電圧VC2min に注目すると、この式16′は、以下の式になる。
I1off-load/I1]R20= (R20/R2min-1)/(VC2]R20/VC2min-1) (式19)
【0087】
端末の動作の際の起こり得るドリフトを考慮して、許容値の許容誤差又は範囲が処理に導入されてもよく、又は、認可された端末群の場合には、この端末群の間の許容可能な分散が導入されてもよい。
【0088】
従って、トランスポンダの発振回路の2つの抵抗値に関して測定された2つの電圧値に基づいて、端末を認証することが可能である。
【0089】
更に、端末は、前記2つの抵抗値に関して測定される自身の発振回路における2つの電流値に基づいて、トランスポンダを認証してもよい。
【0090】
このような認証は、端末、トランスポンダ、又は、その両方によって利用されてもよい。
【0091】
図5は、トランスポンダ2が端末(図示せず)の磁場内にあるとき、前記端末を認証するか否かを自動的に判断すべく設けられたトランスポンダ2の実施形態を示すブロック図である。図5の表示は、図2の表示と比べて簡略化されている。具体的には、復調及び逆変調の手段、並びにクロック周波数を得るための構成要素が図示されていない。
【0092】
前述したように、トランスポンダ2は、その端子21及び22が、整流ブリッジ23の入力端子に接続されている並列発振回路L2−C2に基づいている。処理部27のために電流Icを測定する要素が調整器26の出力側に設けられてもよい。更に、整流ブリッジ23の端子24及び端子25間に、切替可能な抵抗性回路40が設けられている。例えば、2つの抵抗器R43及び抵抗器R45が並列に接続されており、夫々の抵抗器43、45は、夫々のスイッチK43、K45と直列に接続されている。スイッチK43及びスイッチK45(例えば、MOSトランジスタ)は、結合位置を判断する方法を実施するために切り替えられる。処理部(PU、プロセッサ)27は、入力MESで電圧VCaに関する情報を受取り、上述した方法を実施する。図5に示された実施形態では、両方の抵抗器R43及び抵抗器R45が機能的に接続されているとき、抵抗R2(トランスポンダの回路の負荷)は抵抗値R20を示す。抵抗器R43及び抵抗器R45の内の一方(例えば、抵抗器R43)の接続が切られると、抵抗R2の抵抗値が抵抗値R21に増加する。前記方法の変形例に応じて他の接続及び切替が設定されてもよい。例えば、抵抗R2の2つの抵抗値の内の一方が、他のトランスポンダの回路の抵抗性負荷に相当するとみなして、単一の切替可能な抵抗器が用いられてもよい。
【0093】
好適な実施形態によれば、切替可能な抵抗器は、抵抗性逆変調に用いられる抵抗器に相当する。例えば、逆変調抵抗器が回路で機能するように、逆変調抵抗器を切り替えること(図2に示された実施例におけるスイッチK30がオンの状態)により、電圧値VC2]R20が測定される。次に、スイッチK30がオフされて、電圧値VC2]R21が測定される。
【0094】
変形例として、等価な抵抗R2の抵抗値の増加又は減少が、トランスポンダの回路、一般的には処理部27の消費電力を変動させることによって引き起こされる。例えば、抵抗R2の抵抗値を減少させるために(消費電力を増加させるために)、処理部27による計算又は処理の実行が開始される。等価な抵抗R2の抵抗値の増加は、ある計算の割込みによる処理部27の消費電力の減少によって引き起こされてもよい。変形例として、クロックにより調整される実行速度が回路20を用いて低減されてもよい。処理部27によって実行されるべき様々なタスクに関する消費電力が分かる時点から、抵抗R2における変動も分かる。
【0095】
端末を認証するために必要な計算は、計算の実行時間が、端末の前方でのトランスポンダの変位速度(ひいては結合係数の変動速度)に対して無視し得る程十分に簡単である。これは特に、マイクロコントローラを備えたトランスポンダが暗号機能を実行する場合であり、この場合、このような計算を駆使する機能自体は、結合が変化しないとみなされ得る期間中に実行される。他の場合では、トランスポンダが端末の受信面に載置されている場合、トランスポンダと端末との結合が更に長い期間変動しない。
【0096】
認証中に、ハッカーが交換される値を妨害しようとした場合、磁場内に存在するトランスポンダが、端末及び/又はトランスポンダによって分かるインピーダンスを変更し、認証の失敗を引き起こす。
【0097】
認証は、単純な計算及び測定によって実行されることに留意すべきである。
【0098】
異なる変形例を有する様々な実施形態について説明している。当業者は、あらゆる進歩性を示すことなく、様々な実施形態及び変形例の様々な構成要素を組み合わせることができることに留意すべきである。具体的には、実行される処理の選択及び順序は、用途、例えば、認証を実行するために利用可能な時間、トランスポンダの計算容量等によって決まる。
【0099】
このような変更、修正及び改良は、本開示の一部であることが意図され、また、本発明の意図及び範囲内にあることが意図されている。従って、上記の説明は、単に例示的なものであり、限定することを意図するものではない。本発明は、特許請求の範囲に定義されていること、及び特許請求の範囲に対する等価物によってのみ限定される。
【符号の説明】
【0100】
1 端末
2 トランスポンダ
23 整流器、整流ブリッジ
27 プロセッサ、処理部
C1 発振回路、コンデンサ、容量性素子
C2 発振回路、コンデンサ、容量性素子
L1 発振回路、インダクタンス、誘導性素子
L2 発振回路、インダクタンス、誘導性素子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁場を生成する端末により、前記磁場内に存在するトランスポンダを認証する方法であって、
前記端末は、前記トランスポンダの抵抗性負荷の第1の値に関して前記端末によって測定された前記端末の発振回路の電流に関する第1のデータを、前記トランスポンダに送信し、
前記トランスポンダは、前記抵抗性負荷の第2の値に関して前記端末の発振回路の電流に関する第2のデータを計算し、計算された第2のデータを前記端末に送信し、
前記端末は、前記送信された第2のデータを、前記抵抗性負荷の前記第2の値に関して前記端末によって測定された前記端末の発振回路の電流に関する第3のデータと比較し、
前記端末は、比較結果に基づき、前記トランスポンダを認証することを特徴とする方法。
【請求項2】
前記トランスポンダは、前記第1のデータと、前記抵抗性負荷の第1の値及び第2の値に関して夫々測定された前記トランスポンダの発振回路によって生成される電圧に関する第4のデータとに基づいて、前記第2のデータを計算することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1のデータ、第2のデータ及び第3のデータは、前記トランスポンダが前記磁場内に存在しないときの前記端末の発振回路の電流と、前記抵抗性負荷の第1の値又は第2の値に関する前記端末の発振回路の電流との比率であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記トランスポンダが認証されない場合、前記端末は、意図的に間違ったデータを前記トランスポンダに送信することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
磁場を生成する端末と、前記磁場内に存在するトランスポンダとを認証する方法であって、
請求項1に記載の方法に基づき、前記端末が前記トランスポンダを認証し、
前記トランスポンダは、前記第1のデータと、前記抵抗性負荷の第1の値及び第2の値に関して夫々測定された前記トランスポンダの発振回路によって生成される電圧に関する第4のデータとを用いて、前記端末を認証することを特徴とする方法。
【請求項6】
前記トランスポンダは、前記第1のデータ及び第4のデータに基づいて、前記端末の発振回路の電流の比率を計算し、
前記トランスポンダは、前記計算された比率を、前記第1のデータと比較することを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記トランスポンダは、前記第1のデータ及び第4のデータに基づいて、前記トランスポンダの発振回路により生成される電圧を計算し、
前記トランスポンダは、前記計算された電圧を、前記測定された電圧と比較することを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記端末が認証されない場合、前記トランスポンダは、意図的に間違ったデータを前記端末に送信することを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項9】
電磁トランスポンダが端末の磁場内に存在するとき、直流電圧を与えられ得る整流器の上流側に設けられた発振回路と、
請求項1に記載の方法を実施することが可能な少なくとも1つのプロセッサと
を備えていることを特徴とする電磁トランスポンダ。
【請求項10】
トランスポンダのための磁場を生成することが可能な端末であって、請求項1に記載の方法を実施することが可能な手段を備えていることを特徴とする端末。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−8786(P2011−8786A)
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−141950(P2010−141950)
【出願日】平成22年6月22日(2010.6.22)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.GSM
【出願人】(509096153)エス テ マイクロエレクトロニクス(ローセット)エス アー エス (15)
【Fターム(参考)】