説明

端末機器と中央装置との間の無線通信方法

【課題】電池を電源とする端末機器と、商用電源を用いる中央装置との間の無線通信に際し、端末機器の電池の消耗を低減できる無線通信方法を提供する。
【解決手段】電池を電源とし、情報を送受信可能な端末機器20と、商用電源を電源とし、該端末機器と情報を送受信可能な中央装置10との間の無線通信方法であって、端末機器で、中央装置からの接続要求確認を所定時間毎に行なう待機シーケンスと、中央装置に電源が投入された後、中央装置から端末機器へ接続要求送信を行なう接続確立シーケンスと、端末機器と中央装置との間で接続が確立された後、端末機器と中央装置との間で情報の送受信を行なう送受信シーケンスと、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報を送信する端末機器と、情報を受信する中央装置との間の無線通信方法に関するものであり、より具体的には、電池を電源とする端末機器の電池寿命を向上させることのできる無線通信方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
締付機等の回転軸に取り付けられる締付トルク測定ユニットに情報の送信可能な端末機器を内蔵し、無線によりダイレクトにトルク値や回転角度等のデータを情報として、受信側となる中央装置に送信することのできる送受信システムを出願人は提案している(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
上記送受信システムでは、端末機器は電池を電源とし、中央装置は商用電源を利用している。
測定を開始して情報を送受信させる前には、端末機器及び中央装置の夫々の電源をオン状態にした後、端末機器を消費電力が大きい受信可能状態として、接続を確立させる必要がある。また、測定作業終了後、端末機器及び中央装置の夫々の電源をオフにする必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特願2009−99764号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
端末機器と中央装置の電源を夫々オンにするには、ユーザには手間が掛かる行為である。
また、ユーザに対しての利便性の為、中央装置で電源オンされると同時に自動的に端末機器の電源もオンとなるようなシステムとするために、端末機器をたえず受信可能状態で待機させた場合、電池の消耗が激しくなる。
さらに、測定作業終了後、端末機器及び中央装置の夫々の電源をオフにする必要があるが、端末機器の電源を切り忘れると、電池寿命が短命化する。
【0006】
本発明の目的は、電池を電源とする端末機器と、商用電源を用いる中央装置との間の無線通信に際し、端末機器の電源オン、オフ操作を不要としつつ、端末機器の電池の消耗を低減させることのできる無線通信方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の端末機器と中央装置との間の無線通信方法は、
電池を電源とし、情報を送受信可能な端末機器と、
商用電源を電源とし、該端末機器と情報を送受信可能な中央装置との間の無線通信方法であって、
端末機器で、中央装置からの接続要求確認を所定時間毎に行なう待機シーケンスと、
中央装置に電源が投入された後、中央装置から端末機器へ接続要求送信を連続して行なう接続確立シーケンスと、
端末機器と中央装置との間で接続が確立された後、端末機器と中央装置との間で情報の送受信を行なう送受信シーケンスと、
を有する。
【0008】
なお、上記待機シーケンスでは、端末機器で、中央装置への接続要求送信を所定時間毎に行ない、接続確立シーケンスでは、中央装置に電源が投入された後、中央装置で端末機器からの接続要求確認を連続して行なうようにしてもよい。
【発明の効果】
【0009】
端末機器は、受信可能状態を維持するのではなく、所定時間毎に接続要求確認又は接続要求送信を行ない(待機シーケンス)、中央装置との接続が確立された場合にのみ(接続確立シーケンス)、端末機器と中央装置との間で情報の送受信を行なうようにすることで(送受信シーケンス)、電池の消費を低減することができ、電池の長寿命化を達成できる。
また、上記により、端末機器の電源を投入する手間を省くことができる。
さらに、中央装置の電源が切断、又は、中央装置との接続が切断されると、再度、待機シーケンスに戻すシーケンスを追加すると、端末機器の電池の消費を低減できる。
同様に、端末機器は、使用者が自ら電源をオフにする手間を省くことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の無線通信方法を実施する端末機器及び中央装置の概略図である。
【図2】本発明の無線通信方法の待機シーケンス及び接続シーケンス図である。
【図3】本発明の無線通信方法の測定値送受信シーケンス図である。
【図4】本発明の無線通信方法において、単位更新を行なうシーケンス図である。
【図5】本発明の無線通信方法における中央装置の電源切断シーケンス及び待機シーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1は、本発明の無線通信方法を実施することのできる通信システムの図である。図1に示すように、通信システムは、締付機(60)等に配備された中央装置(10)と、該中央装置(10)に対して、情報を送受信可能な複数の端末機器(20)(30)(40)から構成することができる。
【0012】
本実施例では、本発明の無線通信方法を、締付トルクを測定し送受信するシステムに適用した例を説明するが、本発明の無線通信方法は、これに限定されず、種々の無線通信に適用することができる。
【0013】
図1では、端末機器A(20)として、締付トルクを測定して送受信する締付トルク測定ユニット、端末機器B(30)として、締付トルクの測定値を表示する小型の表示器、端末機器C(40)として、締付トルクの設定、測定値、締付精度等を表示する大型の表示器を例示している。本発明の無線通信方法では、中央装置(10)と端末機器A(20)はシステムとして必須である。
【0014】
本発明の通信システムでは、中央装置(10)と端末機器(20)(30)(40)が、夫々無線により情報を送受信可能となっており、少なくとも1つの端末機器A(20)は、電池を電源として作動する。なお、本実施例では、端末機器B(30)も電池を電源として作動するものであり、また、商用電源により作動する端末機器C(40)を含んでいても構わない。
【0015】
<端末機器Aとの接続確立シーケンス>
端末機器A(20)は、電池を電源として作動する機器であり、締付機(60)の回転軸に取付可能な締付トルク測定ユニットから締付トルクや回転角度等に関する情報を端末機器A(20)から中央装置へ送信可能となっている。
【0016】
中央装置(10)は、商用電源にて作動し、公知の要領にて、締付機(60)の種々の制御を行なうと共に、各端末機器(20)(30)(40)と無線通信を行なう。なお、中央装置(10)には、測定データの単位を変更可能な単位変更ボタン(12)(後述する)を有する。
【0017】
中央装置(10)は、図2に示すように、商用電源が投入されると、端末機器A(20)と接続を確立させて(S1)、その後、端末機器B(30)、端末機器C(40)との接続を確立させる(S2’及びS2’’)こととしているが、接続確立の順序、台数等はこれらに限定されるものではない。
【0018】
端末機器A(20)に電池を接続すると(A1)、図2に示すように、端末機器A(20)は作動を開始し、接続要求確認(識別子A)を所定時間毎に実行する(A2)。この所定時間は、電池の電力消費を抑えることができる程度の時間間隔(実施例では3秒)とすることが望ましい(待機シーケンス)。
前記所定時間経過毎に、端末機器A(20)は、接続要求確認(識別子A)を実行し、短時間の間(例えば1/10秒程度)、中央装置(10)からの接続要求(S2)を受信するために、受信可能状態とする。中央装置(10)からの接続要求(S2)を受信しない場合には、受信可能状態を解除して、再度、接続要求確認(識別子A)を所定時間毎に実行を繰り返す。
これにより、端末機器A(20)は、常に受信可能状態を維持するのではなく、所定時間毎に、短時間の受信可能状態とするだけでよいから、端末機器A(20)の電池の消耗を可及的に抑えることができる。
【0019】
端末機器A(20)は、前記短時間の受信可能状態の間に、中央装置(10)からの接続要求を受信すると(A3)、中央装置(10)に対して接続要求を返信することで(A4)、端末機器A(20)と中央装置(10)との間で接続が確立され(接続確立シーケンス)、装置種別を特定するための装置種別の送受信が、端末機器A(20)と中央装置(10)との間で行なわれる(S3及びA5)。
なお、端末機器A(20)が締付トルク測定ユニットに配備されていて、端末側で測定単位を管理している場合、締付トルク測定ユニットの測定単位を端末機器A(20)から中央装置(10)へ送信し(A6)、Ack返信をもって測定単位通信の完了とすることが望ましい。
【0020】
なお、端末機器A(20)と中央装置(10)との間の接続確立を視覚的に認識することができるように、端末機器A(20)及び/又は中央装置(10)に夫々LED等の表示部(21)(11)を配備して、これらに接続完了の表示又は電源オンの表示をさせるようにしてもよい(A7及びS5)。
【0021】
端末機器A(20)からの中央装置(10)への測定データ等の送受信については、図3を用いて後述する。
【0022】
<端末機器Bとの接続確立シーケンス>
端末機器B(30)として、図1に示すように、電池を電源とする小型の表示装置を例示できる。端末機器B(30)は、端末機器A(20)からの測定データを、中央装置(10)から受信して表示する装置である。
端末機器B(30)は、電源スイッチ(32)を有する。非使用時に、電源スイッチ(32)をオフ操作により、電池の消耗を抑えることができる。
【0023】
中央装置(10)は、端末機器A(20)との接続が確立すると、端末機器B(30)との接続を行なうために、端末機器B(30)に対して接続要求確認(識別子X)を所定時間毎(実施例では1秒)に実行する(S6)。
【0024】
端末機器B(30)の電源(32)をオンにすると(B1)、端末機器B(30)は、中央装置(10)に対して接続要求(識別子X)を送信する(B2)。中央装置(10)が接続要求(識別子X)を受信して(S7)、接続要求を返信すると(S8)、上記と同様、端末機器B(30)を受信可能状態とし、装置種別を特定するための装置種別の送受信を、端末機器B(30)と中央装置(10)との間で行なう(B3、B4及びS9)。
【0025】
端末機器A(20)から中央装置(10)へ送信されるデータの測定単位に基づいて、端末機器B(30)は、表示されるデータの単位が変わるから、中央装置(10)がその時点で有している端末機器A(20)の測定単位を、端末機器B(30)との間で送受信を行なうことが望ましい(B5、B6、S10及びS11)。
【0026】
上記により、端末機器B(30)と中央装置(10)との間で接続が確立される。
【0027】
なお、端末機器B(30)と中央装置(10)との接続の確立を視覚的に認識することができるように、中央装置(10)と端末機器B(30)の表示部(11)(31)に、これらに接続完了の表示又は電源オンの表示をさせるようにしてもよい(B7)。
【0028】
中央装置(10)から端末機器B(30)への測定データ等の送受信については、図3を用いて後述する。
【0029】
<端末機器Cとの接続確立シーケンス>
端末機器C(40)として、図1に示すように、商用電源を用いた大型の表示装置を例示できる。端末機器C(40)は、端末機器A(20)からの測定データ等を、中央装置(10)から受信して表示する装置である。
端末機器C(40)は、大型の表示部(41)を有し、該表示部(41)に締付トルクの設定値や、測定値、締付精度等を表示可能となっている。
端末機器C(40)は、商用電源に接続されることにより電源がオンとなる構成を例示できる(C1)。
【0030】
中央装置(10)は、前述のとおり、端末機器A(20)との接続が確立すると、別の端末機器との接続を行なうために、接続要求確認(識別子X)を所定時間毎(実施例では1秒)に実行する(S12)。
【0031】
端末機器C(40)が商用電源に接続されると(C1)、中央装置(10)に対して接続要求(識別子X)を送信する(C2)。中央装置(10)が接続要求(識別子X)を受信して(S13)、接続要求を返信すると(S14)、装置種別を特定するための装置種別の送受信が、端末機器C(40)と中央装置(10)との間で行なわれる(C4、C5及びS15)。
【0032】
端末機器A(20)から中央装置(10)へ送信されるデータの単位に基づいて、端末機器C(40)は、表示されるデータの単位が変わるから、中央装置(10)がその時点で有している端末機器B(30)の測定単位を、端末機器C(40)との間で送受信を行なうことが望ましい(C6、C7、S16及びS17)。
また、締付トルクの設定値を、中央装置(10)から端末機器C(40)へ送信することもできる(C8及びS18)。
【0033】
上記により、端末機器C(40)と中央装置(10)との間で接続が確立される。
【0034】
なお、端末機器C(40)と中央装置(10)との接続の確立を視覚的に認識することができるように、中央装置(10)と端末機器C(40)の表示部(11)(41)に、これらに接続完了の表示又は電源オンの表示をさせるようにしてもよい(C9)。
【0035】
中央装置(10)から端末機器C(40)への測定データ等の送受信については、図3を用いて後述する。
【0036】
<端末機器Aとの測定値送受信シーケンス>
前記接続確立シーケンスにより、端末機器(20)(30)(40)が中央装置(10)と接続確立した状態で(接続確立シーケンス)、締付機(60)を作動させると、締付トルク測定ユニットにて測定された締付トルクや回転角度等の測定値のデータが、順次端末機器A(20)へ入力される(A20)。
端末機器A(20)は、所定タイミング(例えば測定値が5回入力又は10ms毎)に達すると、端末機器A(20)から中央装置(10)へ測定値を送信する(A21〜A24)。中央装置(10)は、端末機器A(20)から送信された測定値を順次受信し(S20〜S23)、後述するとおり、端末機器B(30)や端末機器C(40)に送信する。
なお、端末機器A(20)から送信される測定値は、測定値の時系列的に並べたものでもよいし、測定値の最大値のみとすることもできる。
【0037】
端末機器A(20)は、締付が完了し、締付トルク測定ユニットが測定値を確定する(例えば、ピークトルクを検出する)まで、測定値の送信を続け、測定値が確定すると、確定送信値を送信し(A25)、中央装置(10)から端末機器A(20)へAck信号(肯定応答信号)を送信して(S24)、端末機器A(20)がAck信号を受信することで(A26)、一回の測定値送受信シーケンスが完了する。
【0038】
<端末機器Bとの測定値送受信シーケンス>
端末機器B(30)は、中央装置(10)との接続が確立された後、中央装置(10)の運転状況を確認する為に、所定時間(例えば5秒)毎にPing信号を送信し(B20)、中央装置(10)は、Ping信号を受信すると(S25)、Ping信号を返信して(S26)、両者の接続を確認しておく。
端末機器B(30)は、Ping返信を受信するまでの間のみ、受信可能状態としておくことが望ましく、これにより電池の消耗を低減させることができる。
【0039】
中央装置(10)が、端末機器A(20)から測定値を受信すると(S20)、中央装置(10)は、受信したPing信号に対する返信信号に、端末機器B(30)への受信待機依頼の信号を含めて送信する(S27)。
この信号を受信すると(B21)、端末機器B(30)は、Ping通信を中断し、中央装置(10)からの受信待機状態終了(S29)の信号を受信するまでの間のみ受信可能状態とする(B22)。これにより、端末機器B(30)の電池の消耗を低減させることができる。
次に、中央装置(10)は、端末機器A(20)から受信した測定値を端末機器B(30)に表示値信号として送信する(S28)。端末機器B(30)は、受信した表示値信号を順次表示部(31)に表示する(B23)。
【0040】
なお、中央装置(10)は、端末機器A(20)から受信した複数の測定値信号からその最大値等のみ取り出して、端末機器A(20)からの送信値受信間隔(本実施例の場合10ms)よりも間隔を広げて(例えば500ms)送信するようにし、端末機器B(30)の表示部(31)に表示される表示値の更新間隔が長くなるようにすることが望ましい。これにより、端末機器B(30)の送受信間隔を広げることができるから、端末機器B(30)の電池消耗を低減でき、また、中央装置(10)の動作負荷が減少する。
【0041】
中央装置(10)は、端末機器A(20)から確定送信値を受信し、Ack信号を返信すると(S24)、表示値が確定したことを示す確定表示値信号を端末機器B(30)に送信し(S29)、端末機器B(30)は、該信号を受信すると、送受信状態として、Ack信号を中央装置(10)へ送信する(B24)。
【0042】
上記により、端末機器B(30)に端末機器A(20)の測定値を表示することができる。
【0043】
<端末機器Cとの測定値送受信シーケンス>
端末機器C(40)は、商用電源を用いているため、中央装置(10)との接続が確立された後、常時受信可能状態に移行する。
その後、中央装置(10)は、端末機器A(20)から受信した測定値を端末機器C(40)に表示値信号として送信する(S30)。
【0044】
なお、中央装置(10)は、前記端末機器B(30)の場合と同様に、端末機器A(20)から受信した複数の測定値信号からその最大値等のみ取り出して、端末機器A(20)からの送信値受信間隔(本実施例の場合10ms)よりも間隔をあけて(例えば500ms)送信するようにし、端末機器C(40)の表示部(41)に表示される表示値の更新間隔が長くなるようにすることが望ましい。これにより、端末機器C(40)における同じ表示値の更新期間を長くすることができ、中央装置(10)の動作負荷が減少する。
【0045】
中央装置(10)は、端末機器A(20)から確定送信値を受信し、Ack信号を返信すると、表示値が確定したことを示す確定表示値信号を端末機器C(40)に送信し(S31)、端末機器C(40)は、該信号を受信すると、Ack信号を中央装置(10)へ送信する(C21)。
【0046】
上記により、端末機器C(40)に端末機器A(20)の測定値や締付トルク設定値等を表示することができる。
【0047】
上記測定値送受信シーケンスによって、端末機器A(20)の測定値が、端末機器B(30)及び端末機器C(40)に送信され、夫々で表示することができる。
【0048】
<単位変更シーケンス>
本実施例における中央装置(10)は、単位変更ボタン(12)の操作により、表示する測定値の単位を変更できるようにしている。これは、使用者の所望により、表示単位をN・mからkgf・mに変更したり、角度表示に変更することが要求されることがあるからである。
【0049】
単位変更シーケンスは、図4に示すように、端末機器A(20)が測定値の入力を受けていない状態で行なうことができる。
端末機器A(20)の測定値の入力がない状態で、端末機器A(20)及び端末機器B(30)は、中央装置(10)との接続が確立された後、所定時間(例えば5秒)毎にPing信号を送信して、Ping信号を受信するまで短時間受信可能状態とし、中央装置(10)は、Ping信号を受信すると、Ping信号を返信して、両者の接続を確認しておく(A40、B40、S40及びS41)。
端末機器A(20)は、Ping信号を受信した後は、所定時間(5秒)は、受信可能状態を解除し、電池の消耗を抑えるようにすることができる。
【0050】
両者の接続を確認している間に、中央装置(10)の単位変更ボタン(12)が操作され、表示単位の変更が行われると(S42)、中央装置(10)は、自身の表示部(11)の表示を変更する(S43)。
【0051】
端末機器C(40)については、商用電源を用いているから、受信可能状態とすることができ、中央装置(10)は、端末機器C(40)へ変更された単位を送信し(S44)、端末機器C(40)の表示を更新して(C40)、Ack信号を受信する(S45)。
【0052】
また、中央装置(10)は、電池式の電源である端末機器A(20)及び端末機器B(30)に送信するPing信号に単位変更があったことを示す信号を含めて送信し(S46及びS49)、各端末機器(20)(30)から単位の要求信号(A41及びB41)を受信すると(S47及びS50)、夫々に現在の単位を送信する(S48及びS51)。
これにより、端末機器A(20)及び端末機器B(30)の表示部(21)(31)の単位が更新される(A42、A43、B42及びB43)。
【0053】
上記により、端末機器(20)(30)(40)の単位変更を行なうことができる。
【0054】
<中央装置の電源切断シーケンス>
中央装置(10)に電源が投入されている間は、端末機器A(20)及び端末機器B(30)は、図5に示すように、所定時間毎(例えば5秒)に、中央装置(10)とPing信号の送受信を行ない、接続状態を確認する(図5中、A60〜A65、S60〜S69及びB60〜B63)。
この間に、図3及び図4を用いて説明したように、送受信シーケンスや、単位変更シーケンスが実施された場合には、上記のシーケンスに復帰する。
【0055】
端末機器A(20)及び端末機器B(30)が、複数回のPing送信を行なってもPing返信がなかった場合には(A66〜A68及びB64〜B66)、中央装置(10)の電源は切断(S70)されたものと判断し、夫々の表示装置(21)(31)に電源オフの表示を行なうと共に、自らの運転も停止し、夫々、図2のA2、B2の待機状態に戻り(待機シーケンス)、中央装置(10)が運転を開始するまで、所定時間毎に接続要求確認を行なうようにする。
【0056】
これにより、中央装置(10)との接続が確立していない状態での端末機器A(20)及び端末機器B(30)の電池の消耗を可及的に抑えることができ、電池寿命の向上を図ることができる。
【0057】
再度中央装置(10)に電源が投入されたり、通信状態が回復し、中央装置(10)との接続が再開されると、図2のシーケンスに従って、端末機器A(20)及び端末機器B(30)の接続を再度確立すればよい。
【0058】
なお、端末機器C(40)については、中央装置(10)の電源を切断した場合には、使用者の手により、電源プラグを抜いたり(C60)、電源をオフとすることで、通電を遮断すればよい。
【0059】
上記実施例では、待機シーケンスにおいて、端末機器A(20)は、中央装置(10)からの接続要求確認を所定時間毎に行ない、接続確立シーケンスにて、中央装置(10)から端末機器A(20)へ接続要求送信を連続して行なっているが、待機シーケンスにおいて、端末機器A(20)で、中央装置(10)への接続要求送信を所定時間毎に行ない、接続確立シーケンスでは、中央装置(10)に電源が投入された後、中央装置(10)で端末機器A(20)からの接続要求確認を連続して行なうようにしてもよい。
【0060】
さらに、上記実施例では、本発明の無線通信方法を、締付トルク測定ユニットに適用して説明したが、本発明の適用は、本実施例に限定されるものでないことは勿論である。
【産業上の利用可能性】
【0061】
本発明は、電池を電源とする端末機器を受信可能状態ではなく、所定時間毎に接続要求確認を行なうようにすることで、電池の消費を低減することができ、電池の長寿命化を達成できる無線通信システムとして有用である。
【符号の説明】
【0062】
(10) 中央装置
(20) 端末機器A
(30) 端末機器B
(40) 端末機器C
(60) 締付機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池を電源とし、情報を送受信可能な端末機器と、
商用電源を電源とし、該端末機器と情報を送受信可能な中央装置との間の無線通信方法であって、
端末機器で、中央装置からの接続要求確認を所定時間毎に行なう待機シーケンスと、
中央装置に電源が投入された後、中央装置から端末機器へ接続要求送信を連続して行なう接続確立シーケンスと、
端末機器と中央装置との間で接続が確立された後、端末機器と中央装置との間で情報の送受信を行なう送受信シーケンスと、
を有することを特徴とする中央装置と端末機器との間の無線通信方法。
【請求項2】
電池を電源とし、情報を送受信可能な端末機器と、
商用電源を電源とし、該端末機器と情報を送受信可能な中央装置との間の無線通信方法であって、
端末機器で、中央装置への接続要求送信を所定時間毎に行なう待機シーケンスと、
中央装置に電源が投入された後、中央装置で端末機器からの接続要求確認を連続して行なう接続確立シーケンスと、
端末機器と中央装置との間で接続が確立された後、端末機器と中央装置との間で情報の送受信を行なう送受信シーケンスと、
を有することを特徴とする中央装置と端末機器との間の無線通信方法。
【請求項3】
電池を電源とし、情報を送受信可能な端末機器と、
商用電源を電源とし、該端末機器と情報を送受信可能な中央装置との間の無線通信方法であって、
端末機器がPing送信を用いて、中央装置の運転状況を確認するシーケンスと、
端末機器はPing返信を受信するまでの間のみ受信可能状態とすることができるシーケンスと、
を有することを特徴とする中央装置と端末機器との間の無線通信方法。
【請求項4】
端末機器は、中央装置への連続した情報の送受信が開始されるとPing通信を中断し、情報の送受信が終了したことを送信して、その受領を示す中央装置からの返信を受信するまでの間のみ受信可能状態とすることができるシーケンスを有する請求項3に記載の無線通信方法。
【請求項5】
端末機器は、中央装置からのPing返信がなかった場合には中央装置が運転を停止したと判断して、自らの運転も停止し、次に中央装置が運転を再開するまで待機する事ができるシーケンスを有する請求項1乃至4の何れかに記載の無線通信方法。
【請求項6】
端末機器は、複数配備され、夫々情報を送受信する請求項1乃至請求項5の何れかに記載の無線通信方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−130139(P2011−130139A)
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−285938(P2009−285938)
【出願日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【出願人】(000201467)前田金属工業株式会社 (22)
【Fターム(参考)】