説明

端末用認証システム及び認証方法並びにそのプログラム

【課題】記録されるデータに対してセキュリティをかけるユーザの手間と、データを閲覧する際に認証情報を入力する際のユーザの手間を軽減することのできる端末装置を提供する。
【解決手段】発信装置1が、認証情報記憶部が記憶するユーザの認証情報に基づく電界を携帯電話のユーザの体に誘起させ、端末装置(携帯電話機2)が、操作開始を検出すると、発信装置1が人体に誘起した認証情報を示す電界を検出し、その検出した電界に基づいて認証情報を検出し、予め記憶部に記憶する認証情報と、検出した認証情報とが一致すると判定された場合には、操作開始に基づく動作、例えば、端末装置(携帯電話機2)に格納されているデータの表示を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、端末装置の利用においてユーザを認証する端末用認証システム及び認証方法並びにそのプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話機は音声通話という通常の電話機としての機能の他に、住所録情報や電子メール、スケジュール情報、撮影画像情報、各種マルチメディアデータ等を記憶できる情報端末となってきている。それにともない、他人に見られては都合の悪い個人情報が携帯電話機に登録されることが増えている。これらの他人に見られて都合の悪い情報を、他人に見られないようにするために、それぞれの機能やデータにロックをかける機能がある。ロックを解除するためには暗証番号の入力等による認証操作が必要となり、操作性が悪化するために、データが重要だと感じていながらもロックをかけないユーザが多く存在するのも事実である。そのため、万が一携帯電話機の紛失や盗難にあった時に記憶されたデータが保護されず、また、携帯電話機を他人に使用されることがある。
なお、本願に関連する技術が特許文献1および特許文献2に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−352298号公報
【特許文献2】特開2009−11668号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、上述の特許文献1には、送信すべき情報に基づく電界を電界伝達媒体に誘起させ、この誘起した電界を用いて情報の送受信を行う装置の技術が記載されている。
また、上述の特許文献2には、発信装置が生体情報に基づく電界を人体に誘起させて、当該発信装置を保持した来訪者の生態情報に基づく認証を行う来訪者認証システムの技術が記載されている。
しかしながら、上述の技術は、携帯電話に記録されたデータに対するセキュリティをユーザの手間をかけずに行うことのできる技術ではない。
【0005】
そこでこの発明は、上述の課題を解決することを目的とする端末用認証システム及び認証方法並びにそのプログラムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は、人物が携帯する発信装置と、前記人物が利用する端末装置とからなる端末用認証システムであって、前記発信装置が、前記人物の認証情報を記憶する認証情報記憶部と、前記認証情報に基づく電界を前記人物の体に誘起させる電界誘起部と、を備え、前記端末装置が、操作開始を検出する操作開始検出部と、前記発信装置が人体に誘起した認証情報を示す電界を検出する電界検出部と、前記検出した電界に基づいて前記認証情報を検出する認証情報検出部と、予め記憶部に記憶する認証情報と、前記検出した認証情報とが一致するかを判定する認証処理部と、前記記憶部に記憶する認証情報と、前記検出した認証情報とが一致すると判定された場合に、操作開始に基づく動作を行う端末制御部と、を備えることを特徴とする端末用認証システムである。
【0007】
また本発明は、人物が携帯する発信装置と、前記人物が利用する端末装置とからなる端末用認証システムにおける認証方法であって、前記発信装置の認証情報記憶部が、前記人物の認証情報を記憶し、前記発信装置の電界誘起部が、前記認証情報に基づく電界を前記人物の体に誘起させ、前記端末装置の操作開始検出部が、操作開始を検出し、前記端末装置の電界検出部が、前記発信装置が人体に誘起した認証情報を示す電界を検出し、前記端末装置の認証情報検出部が、前記検出した電界に基づいて前記認証情報を検出し、前記端末装置の認証処理部が、予め記憶部に記憶する認証情報と、前記検出した認証情報とが一致するかを判定し、前記端末装置の端末制御部が、前記記憶部に記憶する認証情報と、前記検出した認証情報とが一致すると判定された場合に、操作開始に基づく動作を行うことを特徴とする認証方法である。
【0008】
前記人物の認証情報を記憶する認証情報記憶部と、前記認証情報に基づく電界を前記人物の体に誘起させる電界誘起部と、を備えた、人物が携帯する発信装置と、前記人物が利用する端末装置とからなる端末用認証システムにおける、前記端末装置を、操作開始を検出する操作開始検出手段、前記発信装置が人体に誘起した認証情報を示す電界を検出する電界検出部と、前記検出した電界に基づいて前記認証情報を検出する認証情報検出手段、予め記憶部に記憶する認証情報と、前記検出した認証情報とが一致するかを判定する認証処理手段、前記記憶部に記憶する認証情報と、前記検出した認証情報とが一致すると判定された場合に、操作開始に基づく動作を行う端末制御手段、として機能させることを特徴とするプログラムである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、端末装置に記録される、セキュリティをかけることが必要なデータに対して、セキュリティをかけるユーザの手間と、そのデータを閲覧する際に認証情報を入力する際のユーザの手間を軽減することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】端末用認証システムの概要を示す図である。
【図2】端末用認証システムの構成を示すブロック図である。
【図3】端末用認証システムの処理フローを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一実施形態による端末用認証システムを図面を参照して説明する。
図1は同実施形態による端末用認証システムの概要を示す図である。
図2は同実施形態による端末用認証システムの構成を示すブロック図である。
図1で示すように、端末用認証システムは、発信装置1と携帯電話機2(端末装置)によって構成される。発信装置1は携帯電話機2を利用するユーザがポケットなどに入れて携帯するものであり、発信装置1と携帯電話機2とは、人体に誘起された電界によって通信を行う。
【0012】
また図2で示すように、発信装置1は、認証情報記憶部11、制御部12、電界誘起部13、電極14の各構成を備えている。
認証情報記憶部11は、ユーザが携帯電話機2に所定の動作を行わせる際にセキュリティの解除を行うための認証情報であり、文字列や生体情報など、どのような情報であってもよい。
また、制御部12は、発信装置1を制御する処理部である。
また電界誘起部13は認証情報に基づいて、電界を、携帯電話機2のユーザの体に誘起させる処理部である。
また電極14は、電界誘起部13からの信号に基づいて人物の体に電界を誘起させる。
【0013】
また、図2で示すように、携帯電話機2は、通信部20、表示部21、入力部22、操作開始検出部23、電界検出部24、記憶部25、端末制御部26、通信制御部29の各機能を備えている。また端末制御部26は、認証情報検出部27、認証処理部28の機能を備えている。
ここで、通信部20は基地局装置を介して他の携帯電話機2と通信を行う処理部である。
また、表示部21は、各種情報を液晶画面等に表示する処理部である。
また、入力部22は、テンキーなどから操作指示を入力する処理部である。
また、操作開始検出部23は、操作指示に基づいて所定の操作開始を検出する処理部である。
また、電界検出部24はユーザの体に誘起された電界を検出する処理部である。
また、端末制御部26は、携帯電話機2を制御する処理部であって、電界検出部24の検出した電界に基づいて認証情報を検出する認証情報検出部27と、予め記憶部25に記憶する認証情報と、認証情報検出部27によって検出された認証情報とを比較する認証処理部28とを有している。
また、通信制御部29は、通信部20の通信処理の制御を行う処理部である。
なお、携帯電話機2には、その他、携帯電話機2として動作するために必要な機能を有しているが、図2においては、本願の課題を解決するための機能ブロックについてのみ図示している。
【0014】
そして、本実施形態においては、発信装置1が、認証情報記憶部11の記憶するユーザの認証情報に基づく電界を携帯電話機2のユーザの体に誘起させ、携帯電話機2は、操作開始を検出すると、発信装置1が人体に誘起した認証情報を示す電界を検出し、その検出した電界に基づいて認証情報を検出し、予め記憶部25に記憶する認証情報と、検出した認証情報とが一致すると判定された場合には、操作開始に基づく動作、例えば、携帯電話機2に格納されているデータの表示等の処理を行う。これにより、携帯電話機2に記録されるデータに対してセキュリティをかけるユーザの手間と、データを閲覧する際に認証情報を入力する際のユーザの手間を軽減することが可能となる。
【0015】
図3は、端末用認証システムの処理フローを示す図である。
次に、端末用認証システムの処理フローについて順を追って説明する。
まず、発信装置1においては、制御部12が認証情報記憶部11から読み取った認証情報を電界誘起部13に出力し、電源が続く限りにおいて、電界誘起部13が電極14を制御することによって電界に乗せた信号により、認証情報を送信する。なお本実施形態においては、発信装置1は、ユーザのポケットに格納されているものとする。この場合、電極14からの強い電界によって人体にも電界が誘起するものとする。または、発信装置1の電極14が人体に接触するようにユーザに当該発信装置1を取付けるようにしてもよい。
【0016】
そして、携帯電話機2の入力部22が何らかの所定の操作(例えば、セキュリティのかけられたデータの閲覧操作など)の指示を入力し(ステップS101)、操作開始検出部23がその操作指示の情報を検出したとする(ステップS102)。なお、所定の操作は、電話をかける操作であったり、その他のファイルやフォルダを開く操作であったり、電話帳を開く操作であってもよい。操作開始検出部23は、所定の操作を検出すると、端末制御部26に認証処理の開始を通知する。
【0017】
すると端末制御部26の認証情報検出部27が、電界検出部24に電界検出の指示信号を出力する。そして、電界検出部24は、ユーザの体に誘起された電界を検出する(ステップS103)。なお、人体の電界の検出に基づいて情報通信を行う技術については、上述した特許文献1や特許文献2に記載されたような公知の技術を利用するものとする。その他、人体に電界を誘起させ、その電界を検出することによって通信を行う技術であれば、どのような技術を利用するようにしてもよい。
【0018】
そして、電界検出部24は検出した電界の振幅や周波数の遷移を端末制御部26に通知する。そして、認証情報検出部27は、電界の振幅や周波数の遷移に基づいて、その電界に乗せられた信号に基づいて、認証情報を検出する(ステップS104)。次に、認証処理部28は、記憶部25から予め記録されている認証情報を読取り、その認証情報と、認証情報検出部27によって検出された認証情報とを比較する認証処理を行う(ステップS105)。この認証処理において、2つの認証情報が一致した場合には、認証処理部28は認証成功と判定し、一致しない場合には認証不成功と判定する。
【0019】
そして、認証成功と判定された場合には、端末制御部26が、入力部22において入力した所定の操作の指示に基づく動作を行う(ステップS106)。例えば、その操作の指示に基づいて、セキュリティのかけられたデータを記憶部25から読み取って、表示部21に表示する処理を行う。
一方、認証不成功と判定された場合には、端末制御部26は表示部21に認証情報入力画面を表示する(ステップS107)。そして、その認証情報入力画面においてユーザより認証情報(例えば認証情報を示す文字列)などが入力されると、その認証情報を入力部22が入力し(ステップS108)、端末制御部26へ通知する。そして、認証処理部28が、記憶部25から予め記録されている認証情報を読取り、その認証情報と、入力部22において入力した認証情報とを比較する認証処理を行う(ステップS109)。そして認証成功の場合には、入力部22において入力した所定の操作の指示に基づく動作を行う。また、認証不成功の場合には、再度認証情報入力画面を表示部21へ出力する。
【0020】
上述の処理によれば、携帯電話機2に記録される、セキュリティをかけることが必要なデータに対して、セキュリティをかけるユーザの手間と、そのデータを閲覧する際に認証情報を入力する際のユーザの手間を軽減することが可能となる。
【0021】
また、データにセキュリティをかけたり、そのデータを閲覧する際の手間の軽減の他に、セキュリティのかかった動作処理を、ユーザの手間をかけずに行うことができる。
【0022】
なお、上述の実施形態においては端末装置が携帯電話機2である場合の例について説明したが、端末装置として、パソコン、デジカメ、電子手帳、PDA(Personal Digital Assistant)などであってもよい。
【0023】
上述の発信装置1や携帯電話機2は内部に、コンピュータシステムを有している。そして、上述した各処理の過程は、プログラムの形式でコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶されており、このプログラムをコンピュータが読み出して実行することによって、上記処理が行われる。ここでコンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、DVD−ROM、半導体メモリ等をいう。また、このコンピュータプログラムを通信回線によってコンピュータに配信し、この配信を受けたコンピュータが当該プログラムを実行するようにしても良い。
【0024】
また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良い。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であっても良い。
【符号の説明】
【0025】
1・・・発信装置、2・・・携帯電話機、11・・・認証情報記憶部、12・・・制御部、13・・・電界誘起部、14・・・電極、20・・・通信部、21・・・表示部、22・・・入力部、23・・・操作開始検出部、24・・・電界検出部、25・・・記憶部、26・・・端末制御部、27・・・認証情報検出部、28・・・認証処理部、29・・・通信制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
人物が携帯する発信装置と、前記人物が利用する端末装置とからなる端末用認証システムであって、
前記発信装置が、
前記人物の認証情報を記憶する認証情報記憶部と、
前記認証情報に基づく電界を前記人物の体に誘起させる電界誘起部と、を備え、
前記端末装置が、
操作開始を検出する操作開始検出部と、
前記発信装置が人体に誘起した認証情報を示す電界を検出する電界検出部と、
前記検出した電界に基づいて前記認証情報を検出する認証情報検出部と、
予め記憶部に記憶する認証情報と、前記検出した認証情報とが一致するかを判定する認証処理部と、
前記記憶部に記憶する認証情報と、前記検出した認証情報とが一致すると判定された場合に、操作開始に基づく動作を行う端末制御部と、
を備えることを特徴とする端末用認証システム。
【請求項2】
前記端末制御部は、前記記憶部に記憶する認証情報と、前記検出した認証情報とが一致しない場合、前記認証情報の入力画面を出力する
ことを特徴とする請求項1に記載の端末用認証システム。
【請求項3】
人物が携帯する発信装置と、前記人物が利用する端末装置とからなる端末用認証システムにおける認証方法であって、
前記発信装置の認証情報記憶部が、前記人物の認証情報を記憶し、
前記発信装置の電界誘起部が、前記認証情報に基づく電界を前記人物の体に誘起させ、
前記端末装置の操作開始検出部が、操作開始を検出し、
前記端末装置の電界検出部が、前記発信装置が人体に誘起した認証情報を示す電界を検出し、
前記端末装置の認証情報検出部が、前記検出した電界に基づいて前記認証情報を検出し、
前記端末装置の認証処理部が、予め記憶部に記憶する認証情報と、前記検出した認証情報とが一致するかを判定し、
前記端末装置の端末制御部が、前記記憶部に記憶する認証情報と、前記検出した認証情報とが一致すると判定された場合に、操作開始に基づく動作を行う
ことを特徴とする認証方法。
【請求項4】
前記端末制御部は、前記記憶部に記憶する認証情報と、前記検出した認証情報とが一致しない場合、前記認証情報の入力画面を出力する
ことを特徴とする請求項3に記載の認証方法。
【請求項5】
前記人物の認証情報を記憶する認証情報記憶部と、
前記認証情報に基づく電界を前記人物の体に誘起させる電界誘起部と、を備えた人物が携帯する発信装置と、
前記人物が利用する端末装置と、
からなる端末用認証システムにおける、前記端末装置を、
操作開始を検出する操作開始検出手段、
前記発信装置が人体に誘起した認証情報を示す電界を検出する電界検出部と、
前記検出した電界に基づいて前記認証情報を検出する認証情報検出手段、
予め記憶部に記憶する認証情報と、前記検出した認証情報とが一致するかを判定する認証処理手段、
前記記憶部に記憶する認証情報と、前記検出した認証情報とが一致すると判定された場合に、操作開始に基づく動作を行う端末制御手段、
として機能させることを特徴とするプログラム。
【請求項6】
前記記憶部に記憶する認証情報と、前記検出した認証情報とが一致しない場合、前記端末制御手段に、前記認証情報の入力画面を出力させる
ことを特徴とする請求項5に記載のプログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2012−113397(P2012−113397A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−259879(P2010−259879)
【出願日】平成22年11月22日(2010.11.22)
【出願人】(390010179)埼玉日本電気株式会社 (1,228)
【Fターム(参考)】