説明

端末発信制御装置

【課題】発信先端末と確実に通信できるとともに、発信元のユーザ情報を発信先端末に通知することのできる端末発信制御装置を提供する。
【解決手段】発信先端末と通信可能な複数台の発信元端末と送受信を行う送受信部と、発信先端末と通信する1台の発信元端末を選択する発信元端末選択部とを備え、選択された発信元端末と発信先端末との通話を制御する端末発信制御装置において、発信先端末のアドレス情報を記憶するアドレス帳記憶部と、アドレス情報に基づいて発信先端末を設定する発信先端末設定部と、発信元端末選択部により、設定された発信先端末が登録されているアドレス情報に対応する発信元端末以外の端末が選択された場合、送受信部、および発信元端末を介して発信先端末に対して代理発信通知を送信するユーザ情報発信部と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、端末発信制御装置に関し、特に、接続された複数台の端末から1台の端末を選択して発信を行う端末発信制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話機の著しい普及乃至高機能化に伴い、歩行中に携帯電話機を使用するだけでなく、車両による移動中やパソコンでの作業中に携帯電話機を使用する状況が増加している。しかしながら、特に車両による移動中にドライバが携帯電話機を使用することは、安全面において非常に問題となり、法令により禁止事項とされている。
【0003】
このような状況に対応するため、ハンズフリーの状態で通話を行うことのできるハンズフリー通話装置が開発されている。例えば、下記特許文献1(特開2003−102058号公報)には、車両に搭載可能な携帯端末管理システムが開示されている。この携帯端末管理システムでは、車両に搭載された携帯端末管理システムと携帯電話機とを無線接続し、携帯端末管理システムのマイク、スピーカを用いて、ハンズフリーの状態で外部と通話を行うことができる。
【0004】
ところで、上記のハンズフリー通話装置を利用して、例えば、会社から支給される携帯電話機及び個人所有の携帯電話機の複数の携帯電話機を所持するユーザが、使用目的に応じてこれらの携帯電話機を使い分けたい場合がある。また、車両に複数の乗員が乗車しているときのように、ユーザ毎に携帯電話機を選択して通話を行いたい場合もある。
【0005】
このような要望に対応すべく、複数台の携帯電話機を登録しておき、使用目的や発信先に応じて携帯電話機を切り替え可能としたハンズフリー通話装置がある。例えば、下記特許文献2(特開2007−266755号公報)に開示されたハンズフリー通話装置では、発信先電話番号と、この発信先電話番号を使用する携帯電話機との対応関係を携帯電話機毎に設定した電話帳データを記憶しており、ユーザが発信先電話番号を入力すると、対応する携帯電話機を電話帳データに応じて選択し、自動的に切り替えて通話を行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003−102058号公報(段落[0007]〜[0010])
【特許文献2】特開2007−266755号公報(請求項1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記特許文献2に開示されたハンズフリー通話装置では、携帯電話機の個別の電話帳データによって発信先電話番号と使用する携帯電話機との対応関係が予め決められているため、ハンズフリー通話装置に接続されている複数の携帯電話機から任意の携帯電話機を選択して使用することはできない。
【0008】
例えば、発信元として選択された携帯電話機の電池残量が少なくなっている場合であっても、他の携帯電話機に切り替えることができないため、通話ができなくなるおそれがある。
【0009】
そこで、発信元の携帯電話機を、選択した電話帳データに拘束されることなく、自由に選択できるようにすることが考えられる。しかしながら、このようにすると、例えば、通知設定されているような発信先の端末において、発信元を特定できなくなるおそれがある。
【0010】
特に、親しい個人間で通話を行うような場合には、互いの名前等を通知設定として通話を行うのが通常であるが、発信元が特定できないと、相手に不信感を与えかねない。
【0011】
本発明は、上記の問題点を解消することを課題とするものであり、発信先端末である携帯電話機と確実に通信できるとともに、発信元端末である携帯電話機のユーザ情報を発信先端末である携帯電話機に通知することのできる端末発信制御装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記課題を解決するために、本願の請求項1にかかる発明は、発信先端末と通信可能な複数台の発信元端末と送受信を行う送受信部と、前記発信先端末と通信する1台の前記発信元端末を選択する発信元端末選択部とを備え、選択された前記発信元端末と前記発信先端末との通話を制御する端末発信制御装置において、前記発信先端末のアドレス情報を記憶するアドレス帳記憶部と、前記アドレス情報に基づいて前記発信先端末を設定する発信先端末設定部と、前記発信元端末選択部により、設定された前記発信先端末が登録されている前記アドレス情報に対応する前記発信元端末以外の端末が選択された場合、前記送受信部、および前記発信元端末を介して前記発信先端末に対して代理発信通知を送信するユーザ情報発信部と、を備えたことを特徴とする。
【0013】
本願の請求項2にかかる発明は、代理発信通知は電子メールとして送信されることを特徴とする。
【0014】
本願の請求項3にかかる発明は、複数台の発信元端末の電池残量情報を取得する電池残量情報取得部を有し、前記発信元端末選択部は、前記電池残量情報取得部により取得された前記電池残量情報に基づき、前記発信先端末が登録されている前記アドレス情報に対応する前記発信元端末もしくは該発信元端末以外の端末の選択を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
請求項1にかかる発明においては、設定された前記発信先端末が登録されている前記アドレス情報に対応する前記発信元端末以外の端末が選択された場合、前記送受信部、および前記発信元端末を介して前記発信先端末に対して代理発信通知を送信する。
【0016】
かかる構成によれば、発信先のユーザは、発信元端末が変更された場合であっても、発信元のユーザを確認することができる。
【0017】
請求項2にかかる発明においては、代理発信通知は電子メールとして送信される。
【0018】
かかる構成によれば、発信先端末のユーザは、受信したメールの内容を確認することで、この後かかってくる着信は代理発信であることを認識することができるので、知らない番号からの着信であっても、不審に思うことなく、着信に応じることができるようになる。
【0019】
請求項3にかかる発明においては、複数台の発信元端末の電池残量情報を取得する電池残量情報取得部を有し、前記発信元端末選択部は、前記電池残量情報取得部により取得された前記電池残量情報に基づき、前記発信先端末が登録されている前記アドレス情報に対応する前記発信元端末もしくは該発信元端末以外の端末の選択を行う。
【0020】
かかる構成によれば、発信元端末の電池残量が充分に通信可能な状態にないとき、通信可能な他の発信元端末を選択し、ユーザの設定した発信先端末が登録されているアドレス情報に対応する発信元端末のユーザ情報を発信先端末に通知することにより、発信元のユーザは、発信先端末と確実に通信を行うことができ、また、発信先のユーザは、発信元のユーザを正しく認識することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の実施例にかかる端末発信制御装置を用いたハンズフリー通話システムの概略説明図である。
【図2】本発明の実施例にかかる端末発信制御装置の構成ブロック図である。
【図3】本発明の実施例にかかる端末発信制御装置に接続される携帯電話機の構成ブロック図である。
【図4】本発明の実施例にかかる端末発信制御装置に登録される携帯電話機のアドレス情報の説明図である。
【図5】本発明の実施例にかかる端末発信制御装置に登録される携帯電話機の登録情報の説明図である。
【図6】本発明の実施例にかかる端末発信制御装置におけるハンズフリー通話のフローチャートである。
【図7】本発明の実施例にかかる端末発信制御装置におけるメニュー画面の説明図である。
【図8】本発明の実施例にかかる端末発信制御装置に登録されている携帯電話機の登録画面の説明図である。
【図9】本発明の実施例にかかる端末発信制御装置における端末選択画面の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の具体例を実施例及び図面を用いて詳細に説明する。但し、以下に示す実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための端末発信制御装置を例示するものであって、本発明をこの端末発信制御装置に特定することを意図するものではなく、特許請求の範囲に含まれるその他の実施形態の端末発信制御装置にも等しく適応し得るものである。
【実施例1】
【0023】
図1は、本発明の実施例にかかる端末発信制御装置を用いたハンズフリー通話システムの概略説明図である。ハンズフリー通話システムは、車両10に搭載されるナビゲーション装置11(端末発信制御装置)と、ナビゲーション装置11を介して、外部の携帯電話機12(発信先端末)と通信可能な複数台の携帯電話機13a、13b(発信元端末)とから構成される。なお、携帯電話機13a、13bは、車両10のドライバや同乗者が所有する携帯電話機であり、車両10内において同乗者により携帯され、あるいは、設置台などに設置される携帯電話機である。
【0024】
図2は、ナビゲーション装置11の構成ブロック図であり、図3は、ナビゲーション装置11に接続可能な携帯電話機13a、13bの構成ブロック図である。
【0025】
ナビゲーション装置11は、車両10の現在位置を検出して地図画像とともに表示部に表示し、ユーザが目的地まで移動するための支援を行う機能を備えるとともに、車両10内の携帯電話機13a、13bを選択して、ハンズフリーによる通話制御を行う端末発信制御装置である。
【0026】
ナビゲーション装置11は、制御部14、現在位置検出部15、経路探索部16、地図情報記憶部17、アドレス帳記憶部18、携帯電話機登録情報記憶部19、携帯電話機選択部20(発信元端末選択部)、ユーザ情報発信部21、近距離無線通信部22(送受信部および電池残量情報取得部)、操作部23(発信先端末設定部)、表示部24、マイク25及びスピーカ26を備えて構成される。
【0027】
制御部14は、CPU27、ROM28、RAM29を備えて構成され、ROM28及び/またはRAM29に記憶された制御プログラムをCPU27が実行することにより、ナビゲーション装置11の各部の動作を制御・統括する。
【0028】
現在位置検出部15は、地球上空を周回している複数のGPS衛星からの信号を所定の時間間隔で受信し、この信号に含まれている時刻情報及び衛星位置情報に基づいて車両10の現在位置を算出する。
【0029】
経路探索部16は、操作部23を介してユーザが入力した経路探索条件に従い、地図情報記憶部17に記憶されている地図情報を参照して最適な経路(案内経路)を探索するものである。経路探索部16は、出発地又は現在位置に対応する道路のノードから目的地に対応するノードに至るまでのリンクをダイクストラ法等の手法によって探索し、リンク長(リンクコスト)や所要時間を累積し、総リンク長(走行距離)又は総所要時間が最短となる経路を案内経路として探索する。なお、経路探索部16は、外部の情報提供サーバから通信手段(図示せず)を介して地図情報を取得し、経路探索を行うものであってもよい。
【0030】
また、地図情報とともに経路探索部を外部の情報提供サーバに設置し、ナビゲーション装置11が外部から案内経路を取得するように構成することもできる。
【0031】
地図情報記憶部17は、道路データ、建物データ、背景データ及びテキストデータから構成される地図情報を保持する。道路データは、道路をその屈曲点、分岐点等の結節点をノードとするノードデータと、それぞれのノード間を結ぶ経路をリンクとしたリンクデータとから構成される。ノードデータは、ノード番号、ノードの位置座標、交差点情報や交差点名称を示す情報等のノード属性、接続リンク本数、接続リンク番号のデータを含んで構成される。リンクデータは、リンクの始点及び終点となるノード番号、高速道路や一般道や街路等を区別するための道路種別、それぞれの道路の本線や連結路、分岐路を区別するための道路種別、距離及び/又は所要時間、国道○号線のような道路名称、進行方向のデータを含んで構成される。
【0032】
リンクデータには、上記に加えて、リンク属性として、橋、トンネル、踏切、料金所等のデータが付与される。建物データは、建物の位置座標、駅、ビル、民家等の建物の種別、表示色のデータを含んで構成される。背景データは、海岸線、湖沼、河川形状、山林等の背景画像データとなる位置座標、表示色のデータを含んで構成される。テキストデータは、それぞれの地名や河川名等の文字(名称)、及びその座標のデータを含んで構成される。
【0033】
アドレス帳記憶部18は、ナビゲーション装置11に接続可能な複数台の携帯電話機が持つそれぞれのアドレス情報を記憶する。図4は、1台の携帯電話機にかかるアドレス情報をアドレス帳(電話帳としても称される)としてリスト表示した一例を示す。アドレス情報は通話先の電話番号等を記録したものであり、発信の際に表示されたアドレス帳から所望の通話先を選択するために用いられる。従って、アドレス帳記憶部18には、発信先端末である携帯電話機の所有者の名前、電話番号、メールアドレス、所有者を分類するグループ、携帯電話機の通信キャリアがアドレス情報として記憶される。携帯電話機の通信キャリア(以下単にキャリアと称する)は、例えば、携帯電話機が契約している携帯電話会社である。なお、携帯電話機が契約している携帯電話会社は、当該携帯電話機のメールアドレスから識別することもできる。
【0034】
携帯電話機登録情報記憶部19は、ナビゲーション装置11に接続可能な複数台の携帯電話機にかかる登録情報を記憶する。図5は、ナビゲーション装置11に登録されている4台の携帯電話機にかかる登録情報を示す。携帯電話機登録情報記憶部19には、発信元端末である登録携帯電話機、電話番号、登録携帯電話機がナビゲーション装置11に接続されているか否かを示す接続有無、登録携帯電話機のキャリア、登録携帯電話機に対して割引対象に設定されている発信先端末である携帯電話機の電話番号(端末番号)が記憶される。登録携帯電話機のキャリアとは、例えば、登録携帯電話機が契約している通信事業会社である。なお、発信元端末である携帯電話機が契約している携帯電話会社は、発信先端末と同様に当該携帯電話機のメールアドレスから識別することができる。
【0035】
携帯電話機選択部20は、ナビゲーション装置11に接続されている携帯電話機13a、13bから、所定の条件に従い、外部の携帯電話機12との間で通信を行う発信元端末(携帯電話機13a、13bの1つ)を選択するものである。
【0036】
ユーザ情報発信部21は、携帯電話機12のアドレス情報に対応する発信元の携帯電話機13aまたは13bと、携帯電話機選択部20により選択された携帯電話機13aまたは13bとが異なるとき、発信先である携帯電話機12に向けて送信するメールを作成するものであり、具体的に、ユーザ情報発信部21は、予め、メール作成に用いる定型フォーマットを有しており、この定型フォーマットに、発信先のメールアドレス(携帯電話機12のメールアドレス)を入力するとともに、定型フォーマット中の本文に、代理される側の携帯電話機13aまたは13bの電話番号やユーザ名、さらには代理発信を行う携帯電話機13aまたは13bの電話番号やユーザ名を嵌め込むことでメールを生成し、生成したメールを、後述する近距離無線通信部22を介して代理発信を行う携帯電話機13aまたは13bへ転送する。
【0037】
そして、転送を受けた携帯電話機13aまたは13bのメール送受信部34から発信先である携帯電話機12に対し送信される。
【0038】
これにより、携帯電話機12のユーザは、受信したメールの内容を確認することで、この後かかってくる着信は代理発信であることを認識することができるので、知らない番号からの着信であっても、不審に思うことなく、着信に応じることができるようになる。
【0039】
なお、発信先携帯電話機のメールアドレスについては、アドレス情報記憶部18を参照すればよい。
【0040】
また、定型フォーマット中の本文としては、例えば、「090***に代わり、代理発信を行います。」、「○○さんに代わり、代理発信を行います。」、「○○さん所有端末、電池残量低下に伴い代理発信を行います。」といったものが想定され、各文中の電話番号や氏名については、都度、発信される側の携帯電話機や代理発信を行う携帯電話機の電話番号やユーザ名等が嵌め込まれる。
【0041】
近距離無線通信部22は、車両10に持ち込まれた携帯電話機13a、13bとの間で無線通信を行い、携帯電話機13a、13bからアドレス情報や、各携帯電話機13a、13bの電池残量情報を取得するとともに、携帯電話機13a、13bを介して、外部の携帯電話機12と通話のための音声情報の送受信やメールの送受信を行うものである。近距離無線通信部22には、例えば、ブルートゥース技術を利用することができる。
【0042】
操作部23は、ナビゲーション装置11の各種操作、例えば、経路探索のための出発地、目的地、経由地等の経路探索条件を入力する手段、携帯電話機13a、13bから必要な情報を取得するための指示を行う手段、携帯電話機13a、13bの登録情報を設定する手段、使用する携帯電話機13a、13bを選択する手段等として機能するものであり、例えば、キーやタッチパネルから構成される。
【0043】
表示部24は、車両10の現在位置、地図画像、案内経路等を表示する手段、操作部23を用いた作業に必要な操作画像を表示する手段等として機能するものであり、例えば、液晶表示パネルから構成される。
【0044】
マイク25は、ナビゲーション装置11に対して音声による指示を行い、また、携帯電話機13a、13bを介して発信先とハンズフリー通話を行う手段である。また、スピーカ26は、経路案内情報にかかる音声情報を出力するとともに、携帯電話機13a、13bを介して発信先からの音声を出力する手段である。
【0045】
図3において、ナビゲーション装置11に接続される携帯電話機13a、13bは、制御部30、電池残量検出部31、アドレス帳記憶部32、通話送受信部33、メール送受信部34、近距離無線通信部35、操作部36、表示部37、マイク38及びスピーカ39を備えて構成される。
【0046】
制御部30は、CPU40、ROM41、RAM42を備えて構成され、ROM41及び/またはRAM42に記憶された制御プログラムをCPU40が実行することにより、携帯電話機13a、13bの各部の動作を制御・統括する。
【0047】
電池残量検出部31は、携帯電話機13a、13bの電池の残量を検出するものである。
【0048】
アドレス帳記憶部32は、各携帯電話機13a、13bに登録されているアドレス情報、例えば、図4に示すアドレス情報を記憶する。
【0049】
通話送受信部33は、発信元端末である携帯電話機13a、13bと、外部の発信先端末である携帯電話機12の間で通話を行うための通信を行うものである。
【0050】
メール送受信部34は、発信元端末である携帯電話機13a、13bと、外部の発信先端末である携帯電話機12の間でメールの送受信を行うものである。
【0051】
近距離無線通信部35は、ナビゲーション装置11との間で無線通信を行い、携帯電話機13a、13bのアドレス情報をナビゲーション装置11に送信し、また、電池残量検出部31により検出された携帯電話機13a、13bの電池残量情報をナビゲーション装置11に送信するものである。また、近距離無線通信部35は、ナビゲーション装置11との間で通話のための音声情報や、その他データの送受信を行うものである。近距離無線通信部34には、例えば、ブルートゥース技術を利用することができる。
【0052】
操作部36は、携帯電話機13a、13bの各種操作、例えば、発信先である携帯電話機12の電話番号を入力する手段、ナビゲーション装置11に対してアドレス情報の送信を指示する手段等として機能するものであり、例えば、キーやタッチパネルから構成される。表示部37は、通話中の所定の画像を表示する手段、操作部36を用いた作業に必要な操作画像を表示する手段等として機能するものであり、例えば、液晶表示パネルから構成される。マイク38は、発信先と通話を行う手段であり、スピーカ39は、発信先からの音声を出力する手段である。
【0053】
次に、以上のように構成されるハンズフリー通話システムの動作について説明する。
【0054】
先ず、ナビゲーション装置11による経路探索の動作について、簡単に説明する。ユーザが、操作部23を用いて出発地、経由地及び目的地を入力すると、経路探索部16は、地図情報記憶部17に記憶されている地図情報に基づき、出発地から経由地を経由して目的地までの最適な案内経路を探索し、その案内経路を地図画像とともに表示部24に表示する。また、表示部24には、現在位置検出部15により検出された車両10の現在位置が案内経路とともに表示される。ユーザは、表示されたこれらの情報に従い、目的地まで容易に移動することが可能となる。
【0055】
次に、ナビゲーション装置11を用いて、ハンズフリー通話を行う場合の動作を、図6に示すフローチャートに従って説明する。
【0056】
先ず、ハンズフリー通話を行うための準備作業として、操作部23を用いて、ナビゲーション装置11に複数台の携帯電話機の情報を登録する。この場合、表示部24に表示された図7に示すメニュー画面から「設定」のボタンを選択すると、図8に示す携帯電話登録一覧の画面が表示される。ユーザは、この画面から「詳細」のボタンを選択して必要な情報を登録する。携帯電話機の情報としては、例えば、図5に示すように、発信元端末である登録携帯電話機、電話番号、登録携帯電話機がナビゲーション装置11に接続されているか否かを示す接続有無、登録携帯電話機のキャリア、登録携帯電話機に対して割引対象に設定されている発信先携帯電話機の電話番号を設定する。設定されたこれらの情報は、携帯電話機登録情報記憶部19に記憶される。
【0057】
次に、登録した各携帯電話機のアドレス帳記憶部32に記憶されているアドレス情報をナビゲーション装置11に登録する。この場合、ナビゲーション装置11の近距離無線通信部22と、携帯電話機13a、13bの近距離無線通信部34とを用いて携帯電話機13a、13bからナビゲーション装置11にアドレス情報を転送することができる。アドレス情報としては、例えば、図4に示すように、発信先携帯電話機の所有者の名前、電話番号、メールアドレス、所有者を分類するグループ(先に説明した「友人」、「会社」、「その他」等の分類)、発信先携帯電話機のキャリアの各情報が転送される。転送されたこれらのアドレス情報は、アドレス帳記憶部18に記憶される。
【0058】
以上の準備作業が終了した後、ハンズフリー通話を開始する。
【0059】
ハンズフリー通話を行う場合、ナビゲーション装置11の表示部24には、図7に示すハンズフリーメニュー画面が表示される。この画面を用いて、発信先携帯電話機12をナビゲーション装置11に設定する(ステップS101)。この場合、ユーザは、ハンズフリーメニュー画面から「ダイヤル」のボタンを選択した後、発信先携帯電話機12の電話番号を直接入力することができる。また、ハンズフリーメニュー画面から「アドレス帳」のボタンを選択した後、アドレス帳記憶部18からアドレス情報を読み出して表示部24に表示させ(図4参照)、発信先携帯電話機12の電話番号を選択することもできる。
【0060】
ナビゲーション装置11に複数の携帯電話機13a、13bが接続されている場合(ステップS102、YES)(図8では、「T003」及び「P905i」の2台の携帯電話機13a、13bが接続されている。)、携帯電話機選択部20は、ステップS101で選択された発信先携帯電話機12の設定方法が、電話番号を直接入力する方法によるのか、アドレス帳から選択する方法によるのかを判定する(ステップS103)。
【0061】
電話番号を直接入力して発信先携帯電話機12を設定された場合(ステップS103、YES)、近距離無線通信部22は、ナビゲーション装置11に接続されている各携帯電話機13a、13b(発信元端末)から電池残量情報を取得する(ステップS104)。なお、電池残量情報は、各携帯電話機13a、13bの電池残量検出部31により検出される。携帯電話機選択部20は、取得した電池残量情報を比較し、電池残量の最も多い携帯電話機13aまたは13bを発信元携帯電話機として選択し(ステップS105)、その携帯電話機13aまたは13bと携帯電話機12とを接続する。
【0062】
ここで、電池残量の最も多い携帯電話機13aまたは13bを発信元携帯電話機として選択する際、図9に示すように、表示部24に携帯電話機13a、13bを選択する端末選択画面を表示させ、この画面を用いて、ユーザがナビゲーション装置11に接続された2台の携帯電話機13a、13bから任意の1台を選択できるようにしてもよい。
【0063】
ナビゲーション装置11は、選択した携帯電話機13aまたは13bを用いて携帯電話機12とハンズフリー通話を行う。ナビゲーション装置11のマイク25に入力されたユーザの音声は、近距離無線通信部22を介して携帯電話機13aまたは13bの近距離無線通信部34に音声信号として送信された後、通話送受信部33から外部の携帯電話機12に送信される。一方、携帯電話機12から送信された音声信号は、携帯電話機13aまたは13bの通話送受信部33により受信された後、近距離無線通信部34を介してナビゲーション装置11の近距離無線通信部22に送信され、次いで、ナビゲーション装置11のスピーカ26から出力される。
【0064】
アドレス帳から発信先携帯電話機12の電話番号を選択して設定した場合(ステップS103、NO)、携帯電話機選択部20は、選択した電話番号に対応するアドレス情報に対応した携帯電話機13aまたは13b(該アドレス情報を記憶した携帯電話機)を発信元端末として選択する(ステップS106)。
【0065】
次いで、近距離無線通信部22は、ナビゲーション装置11に接続されている各携帯電話機13a、13b(発信元端末)から電池残量情報を取得する(ステップS107)。なお、電池残量情報は、各携帯電話機13a、13bの電池残量検出部31により検出される。携帯電話機選択部20は、取得した電池残量情報から、ステップS106で選択した携帯電話機13aまたは13bの電池残量が充分に通信可能な残量であるか否かを判定し、通信可能である場合には(ステップS108、YES)、ステップS106で選択した携帯電話機13aまたは13bを用いて発信を行い携帯電話機12とハンズフリー通話を行う。この場合、対応関係が予め設定されている携帯電話機13aまたは13bを用いて、発信先携帯電話機12と通話することができる。
【0066】
一方、ステップS106で選択した携帯電話機13aまたは13bの電池残量が少なく、通話ができなくなるおそれがあると判定した場合(ステップS108、NO)、携帯電話機選択部20は、取得した電池残量情報から、電池残量の最も多い携帯電話機13aまたは13bを発信元端末として選択する(ステップS109)。
【0067】
ステップS109で選択された携帯電話機が、ステップS106で選択された携帯電話機と異なるとき(ステップS106で選択された携帯電話機が登録されたアドレス情報に対応した携帯電話機とは異なる携帯電話機が選択されたとき)、ユーザ情報発信部21は
メール作成に用いる定型フォーマットに、発信先である携帯電話機12のメールアドレスを入力するとともに、定型フォーマット中の本文に、代理される側の携帯電話機13aまたは13bの電話番号やユーザ名、さらには代理発信を行う携帯電話機13aまたは13bの電話番号やユーザ名を嵌め込むことでメールを生成し、生成したメールを、後述する近距離無線通信部22を介して代理発信を行う携帯電話機13aまたは13bへ転送する。
【0068】
そして、転送を受けた携帯電話機13aまたは13bから発信先である携帯電話機12に対し代理発信通知として送信される(ステップS110)。
【0069】
そして、メールを送信した後(メール送信後、例えば1分後)に、外部の発信先端末である携帯電話機12へ発信を行う。
【0070】
このようにして代理発信通知を行うことにより、発信先携帯電話機12のユーザは、受信したメールの内容を確認することで、この後かかってくる着信は代理発信であることを認識することができるので、知らない番号からの着信であっても、不審に思うことなく、着信に応じることができるようになる。しかも、選択された発信元携帯電話機13aまたは13bは、電池残量が充分通話を行うことのできるものであるため、支障なく通話を行うことができる。
【0071】
なお、本発明は、上述した実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で変更することが可能である。
【0072】
例えば、端末発信制御装置としては、車両10に搭載されるナビゲーション装置11に限られるものではなく、端末と通信可能なものであれば、パソコンを含む種々の装置を適用することができる。また、端末発信制御装置に接続される端末としては、外部の端末と通信を行うものであれば、携帯電話機13a、13b以外の通信機器でもよく、また、その台数は、複数台であれば、2台に限られるものではない。
【符号の説明】
【0073】
10・・・車両
11・・・ナビゲーション装置
12、13a、13b・・・携帯電話機
14、30・・・制御部
15・・・現在位置検出部
16・・・経路探索部
17・・・地図情報記憶部
18、32・・・アドレス帳記憶部
19・・・携帯電話機登録情報記憶部
20・・・携帯電話機選択部
21・・・ユーザ情報発信部
22、35・・・近距離無線通信部
23、36・・・操作部
24、37・・・表示部
25、38・・・マイク
26、39・・・スピーカ
31・・・電池残量検出部
33・・・通話送受信部
34・・・メール送受信部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発信先端末と通信可能な複数台の発信元端末と送受信を行う送受信部と、前記発信先端末と通信する1台の前記発信元端末を選択する発信元端末選択部とを備え、選択された前記発信元端末と前記発信先端末との通話を制御する端末発信制御装置において、
前記発信先端末のアドレス情報を記憶するアドレス帳記憶部と、
前記アドレス情報に基づいて前記発信先端末を設定する発信先端末設定部と、
前記発信元端末選択部により、設定された前記発信先端末が登録されている前記アドレス情報に対応する前記発信元端末以外の端末が選択された場合、前記送受信部、および前記発信元端末を介して前記発信先端末に対して代理発信通知を送信するユーザ情報発信部と、を備えたことを特徴とする端末発信制御装置。
【請求項2】
前記代理発信通知は電子メールとして送信されることを特徴とする請求項1に記載した端末発信制御装置。
【請求項3】
前記複数台の発信元端末の電池残量情報を取得する電池残量情報取得部を有し、
前記発信元端末選択部は、前記電池残量情報取得部により取得された前記電池残量情報に基づき、前記発信先端末が登録されている前記アドレス情報に対応する前記発信元端末もしくは該発信元端末以外の端末の選択を行うことを特徴とする請求項1に記載の端末発信制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−114817(P2012−114817A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−263904(P2010−263904)
【出願日】平成22年11月26日(2010.11.26)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【出願人】(000214892)三洋電機コンシューマエレクトロニクス株式会社 (1,582)
【Fターム(参考)】