端末管理装置、端末管理方法及び端末管理プログラム
【課題】ゲスト用端末の位置が適当でない場合に、適切な警告を行う。
【解決手段】参加AP検出部が、複数のゲスト用端末それぞれが参加するアクセスポイントを検出し(ステップS12)、目標エリア特定部が、複数のゲスト用端末以外の特定の端末(スタッフ用端末)が参加しているアクセスポイント、スタッフ用端末上で停留指示が出されたときのスタッフ用端末が参加していたアクセスポイント、許容ルートに沿った移動を行う場合においてゲスト用端末が最も多くが参加しているアクセスポイント、のいずれかを、ゲスト用端末が参加すべきアクセスポイントとして特定する(ステップS16)。そして、警告部が、参加すべきアクセスポイントに参加していない時間が予め定めた時間Tを超えたゲスト用端末に対して、警告情報を送信する(ステップS22)。
【解決手段】参加AP検出部が、複数のゲスト用端末それぞれが参加するアクセスポイントを検出し(ステップS12)、目標エリア特定部が、複数のゲスト用端末以外の特定の端末(スタッフ用端末)が参加しているアクセスポイント、スタッフ用端末上で停留指示が出されたときのスタッフ用端末が参加していたアクセスポイント、許容ルートに沿った移動を行う場合においてゲスト用端末が最も多くが参加しているアクセスポイント、のいずれかを、ゲスト用端末が参加すべきアクセスポイントとして特定する(ステップS16)。そして、警告部が、参加すべきアクセスポイントに参加していない時間が予め定めた時間Tを超えたゲスト用端末に対して、警告情報を送信する(ステップS22)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本件は、端末管理装置、端末管理方法及び端末管理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、危険区域など立ち入りに規制が必要な場所では、監視カメラにより危険区域又はその近傍を撮像し、得られた映像を監視所等において確認することで、規制範囲への人の立ち入りを監視していた。また、監視カメラを用いる場合の監視者の負担を経験するための方法として、特許文献1のような技術が提案されている。この特許文献1に記載の技術は、ゲストの無線携帯端末の位置を検出して、立ち入り範囲情報に基づき、当該ゲストに警告を与えることを決定したときに、ゲストの無線端末に対して警告を送信するというものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−203263号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかるに、立ち入りが規制された場所等においては、ゲストの集合であるグループが、引率スタッフに誘導されて移動したり、グループが予め定められたルートに沿って移動する場合などがある。このような場合、何人かのゲストがグループから離れることや、グループ自体が予め定められたルートから外れてしまうことなどがある。しかしながら、特許文献1では、このようなグループから外れたゲストやルートから外れたグループに属するゲストに対しては、適切な警告を行えない可能性が高い。
【0005】
そこで本件は上記の課題に鑑みてなされたものであり、端末の存在するエリアに基づく適切な警告を行うことが可能な端末管理装置、端末管理方法及び端末管理プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書に記載の端末管理装置は、複数の端末それぞれが存在するエリアを検出する現在エリア検出部と、前記複数の端末以外の特定の端末が存在するエリア、前記複数の端末のいずれか又は前記特定の端末において指定されたエリア、前記複数の端末のうち最も多くの台数が存在するエリア、のいずれかを、前記複数の端末が存在すべき目標エリアとして特定する目標エリア特定部と、前記目標エリアに存在していない時間が予め定めた時間を超えた端末が存在していた場合に、当該端末に対して警告を出力する警告部と、を備える端末管理装置である。
【0007】
本明細書に記載の端末管理方法は、複数の端末それぞれが存在するエリアを検出する現在エリア検出工程と、前記複数の端末のうちの特定の端末が存在するエリア、前記複数の端末のいずれか又は前記特定の端末において指定されたエリア、前記複数の端末のうち最も多くの台数が存在するエリア、のいずれかを、前記複数の端末が存在すべき目標エリアとして特定する目標エリア特定工程と、前記目標エリアに存在していない時間が予め定めた時間を超えた端末が存在していた場合に、当該端末に対して警告を出力する警告工程と、を含む端末管理方法である。
【0008】
本明細書に記載の端末管理プログラムは、コンピュータを、複数の端末それぞれが存在するエリアを検出する現在エリア検出部、前記複数の端末のうちの特定の端末が存在するエリア、前記複数の端末のいずれか又は前記特定の端末において指定されたエリア、前記複数の端末のうち最も多くの台数が存在するエリア、のいずれかを、前記複数の端末が存在すべき目標エリアとして特定する目標エリア特定部、及び前記目標エリアに存在していない時間が予め定めた時間を超えた端末が存在していた場合に、当該端末に対して警告を出力する警告部、として機能させることを特徴とする端末管理プログラムである。
【発明の効果】
【0009】
本明細書に記載の端末管理装置、端末管理方法及び端末管理プログラムは、端末の存在するエリアに基づく適切な警告を行うことができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】無線配信サーバ及びこれに接続される装置を示すブロック図である。
【図2】図2(a)は、無線配信サーバのハードウェア構成を示す図であり、図2(b)は、制御部の機能ブロック図である。
【図3】図3(a)は、無線携帯端末のハードウェア構成を示す図であり、図3(b)は、無線携帯端末の機能ブロック図である。
【図4】病院内におけるアクセスポイントの配置の一例を示す図である。
【図5】無線携帯端末の所定手順を示すフローチャートである。
【図6】無線配信サーバの処理手順を示すフローチャートである。
【図7】図6のステップS16のサブルーチンの具体的処理を示すフローチャートである。
【図8】図6のステップS22のサブルーチンの具体的処理を示すフローチャートである。
【図9】図7のステップS56のサブルーチンの具体的処理を示すフローチャートである。
【図10】図7のステップS62のサブルーチンの具体的処理を示すフローチャートである。
【図11】図11(a)は、ゲスト情報管理テーブルを示す図(その1)であり、図11(b)は、スタッフ情報管理テーブルを示す図(その1)である。
【図12】スタッフ引率時の処理を説明するための図(その1)である。
【図13】スタッフ引率時の処理を説明するための図(その2)である。
【図14】停留時の処理を説明するための図である。
【図15】図15(a)は、ゲスト情報管理テーブルを示す図(その2)であり、図15(b)は、スタッフ情報管理テーブルを示す図(その2)である。
【図16】ルート追従時の処理を説明するための図(その1)である。
【図17】図17(a)は、ゲスト情報管理テーブルを示す図(その3)であり、図17(b)は、許容ルート情報管理テーブルを示す図(その1)である。
【図18】ルート追従時の処理を説明するための図(その2)である。
【図19】映像情報管理テーブルを示す図である。
【図20】ルート追従時の処理を説明するための図(その3)である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、端末管理装置、端末管理方法及び端末管理プログラムの一実施形態について、図1〜図20に基づいて詳細に説明する。図1は、端末管理装置としての無線配信サーバ100及びこれに接続される装置の構成をブロック図で示したものである。
【0012】
図1に示すように、無線配信サーバ100には、当該無線配信サーバ100との通信が可能な配信要求サーバ30、無線携帯端末登録端末40、及びアクセスポイントAP11,AP12,AP13…がネットワークを介して接続されている。なお、アクセスポイントAP11,AP12,AP13…は、例えば、病院内に配置することができる。この場合、無線配信サーバ100は、病院内においてスタッフやゲストに配布される無線携帯端末200(図3参照)の位置(存在エリア)を管理するサーバとなる。配信要求サーバ30は、病院内の案内情報やお知らせ情報(診察待ち時間など)の情報の通知を無線配信サーバ100に対して要求を行うサーバである。アクセスポイントAP11,AP12…は、自己の通信エリア内に位置している無線携帯端末200と、無線配信サーバ100との間の通信を仲介する。
【0013】
図2(a)は、無線配信サーバ100のハードウェア構成を例示する図である。無線配信サーバ100は、CPU201,ROM202、RAM203、ハードディスクドライブ(HDD)204、ドライブ装置205、出力部206、入力部207、通信インターフェース208、及び無線通信インターフェース209等を有しており、これらはバス210により接続されている。ドライブ装置205はCD−ROMやDVD(Digital Versatile Disk)、あるいはUSBメモリ等の可搬型記録媒体に書込、読込みを行うものである。また、出力部206は液晶あるいはCRT等のディスプレイ、プリンタ装置等であり、入力部207はマウスやキーボード等の入力装置である。通信インターフェース208はネットワークを介して配信要求サーバ30及び無線携帯端末登録端末40との通信を行う。無線通信インターフェース209は、アクセスポイントAP11,AP12…との通信を行う。
【0014】
図2(b)は、無線配信サーバ100の装置の構成を説明するブロック図である。無線配信サーバ100は、ROM202あるいはHDD204に格納されているプログラムをCPU201が実行することにより、図2(b)の各部の機能が実現される。
【0015】
通信部12は、配信要求サーバ30及び無線携帯端末登録端末40との通信を制御するものである。配信要求サーバ30は、病院内の案内情報やお知らせ情報(診察待ち時間など)の情報の通知を無線配信サーバ100に対して要求する。通信部12は、当該要求を受け付けると、制御部16の指示の下、各種情報をアクセスポイントを介して、無線携帯端末200に送信する。無線携帯端末登録端末40は、利用者が無線携帯端末200を設定(スタッフが利用する設定又はゲストが利用する設定)を行ったときに、その設定情報を通信部12に対して出力する。
【0016】
無線通信部14は、アクセスポイントAP11,AP12…との通信を制御するとともに、各アクセスポイントの管理を行う。アクセスポイントAP11,AP12…は、自己の通信エリア内に位置している無線携帯端末200と、無線配信サーバ100との間の通信を仲介する。したがって、無線通信部14では、各アクセスポイントの管理として、各アクセスポイントと通信している無線携帯端末200を特定して、各無線携帯端末200と通信しているアクセスポイント(以下、「参加しているアクセスポイント」と呼ぶ)の監視、すなわち、参加しているアクセスポイントに基づく無線携帯端末200の現在位置(現在のエリア)の監視を行う。
【0017】
制御部16は、通信部12及び無線通信部14の処理を統括的に制御するとともに、記憶部20に格納されているデータベース等を用いて、無線携帯端末200の管理を行う。制御部16は、図2(b)に示すように、現在エリア検出部としての参加AP検出部162と、目標エリア特定部としての目標AP特定部164と、警告部166と、を有する。
【0018】
参加AP検出部162は、無線通信部14にて得られる情報や記憶部20から得られる情報に基づいて、無線携帯端末200の現在参加しているアクセスポイント、すなわち、現在位置しているエリアを検出する。目標AP特定部164は、通信部12から得られる情報や、無線通信部14から得られる情報、記憶部20から得られる情報に基づいて、無線携帯端末200が参加すべきアクセスポイント、すなわち、存在すべきエリア(目標エリア)を特定する。警告部166は、参加AP検出部162の検出結果と目標AP特定部164の特定結果とに基づいて、無線携帯端末200に対して警告を発すべきか否かを判断する。この判断により、発すべきと判断された場合には、警告部166は、無線通信部14及びアクセスポイントを介して、無線携帯端末200に対して警告情報を送信する。
【0019】
図1に戻り、記憶部20は、HDD204等の記憶装置であり、各種テーブルを格納している。格納されているテーブルとして、許容ルート情報管理テーブル22と、端末情報管理テーブル24と、スタッフ情報管理テーブル26と、ゲスト情報管理テーブル28と、映像情報管理テーブル29と、が含まれる。なお、記憶部20は、これら各種テーブルのほか、種々のデータ(例えば、病院内の地図情報や、セキュリティエリア内の各所で撮影された撮影データなど)を格納している。
【0020】
許容ルート情報管理テーブル22は、例えば、図17(b)のようなテーブルである。端末情報管理テーブル24は、各無線携帯端末200が、ゲストにより使用される端末(以下「ゲスト用端末」と呼ぶ)であるか、スタッフに使用される端末(以下「スタッフ用端末」と呼ぶ)であるかを管理するテーブルである。スタッフ情報管理テーブル26は、例えば図11(b)に示すようなテーブルであり、ゲスト情報管理テーブル28は、例えば、図11(a)に示すようなテーブルである。また、映像情報管理テーブル29は、例えば、図19に示すようなテーブルである。各テーブルについての詳細については、後述する。
【0021】
図3(a)は、無線携帯端末200のハードウェア構成を示す図である。この図3(a)に示すように、無線携帯端末200は、CPU301、ROM302、RAM303、記憶装置304、出力部305、入力部306、無線通信インターフェース307等を有しており、これらはバス308により接続されている。記憶装置304としては、例えばフラッシュメモリ等の半導体記憶装置を用いられる。また、出力部305は液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ等のディスプレイや後述する発光部や音声出力部等である。入力部306は無線携帯端末に入力を行うための入力装置であり、例えば、矢印ボタンやOKボタン等の簡易型の入力装置である。無線通信インターフェース307はネットワークを介して無線配信サーバとの通信を行うものである。
【0022】
無線携帯端末200は、ROM302に格納されているプログラムをCPU301が実行することで、各種の機能を実現する。
【0023】
図3(b)は無線携帯端末200の機能を説明する機能ブロック図である。無線携帯端末200は、入力部60と、発光部62と、音声出力部64と、記憶部66と、制御部68と、表示部70と、無線通信部72とを有する。入力部60は、利用者から入力される要求等を受け付ける。発光部62、音声出力部64及び表示部70は、無線配信サーバ100から送信されてきた利用者に関する各種情報を光、音声、文字や映像情報等を利用者に通知する。記憶部66は、フラッシュメモリ等であり、各種情報を記憶する。無線通信部72は、アクセスポイントAP11,AP12…を介して、無線配信サーバ100と通信する。なお、無線携帯端末200では、利用者は、入力部60を介して、スタッフが利用するのか、ゲストが利用するのかを入力することができる。この入力情報は、無線携帯端末登録端末40に送信され、端末情報管理テーブル24に登録される。制御部68は図3(b)の各部を統括的に制御する。
【0024】
図4には、病院内における、アクセスポイントAP11,AP12…の配置例が示されている。アクセスポイントAP11,AP12…それぞれにおける通信可能エリア(破線にて囲まれたエリア)は、隣接するアクセスポイントの通信可能エリアと重複した状態となっている。例えば、アクセスポイントAP11内に存在する無線携帯端末200は、アクセスポイントAP11の通信可能エリア内ではアクセスポイントAP11と通信を行う。そして、無線携帯端末200は、アクセスポイントAP11の通信可能エリアを超えたときに、新たに入った通信可能エリアに対応するアクセスポイントと通信を行うようになっている。なお、図4において、ハッチングを付して示す矩形領域は、病院内に設定されたセキュリティエリアであるものとする。このセキュリティエリアは、ゲストは、スタッフに引率される場合や、予め定められたルート(許容ルート)上での行動が許可された場合などでなければ、行動できないエリアであるものとする。なお、図4及びこれ以降の図では、ゲスト用端末の存在位置を、ゲストID(G1、G2…)で示し、スタッフ用端末の存在位置を、スタッフID(S1,S2…)で示すものとする。
【0025】
次に、上記無線配信サーバ100及び無線携帯端末200の処理について、図5〜図19に基づいて説明する。まず、図5に基づいて、無線携帯端末200における処理について説明する。図5の処理は、無線携帯端末200の電源スイッチがユーザ(ゲスト又はスタッフ)により、ONされたときに開始される。
【0026】
図5のステップS300では、無線携帯端末200の制御部68が電源をONする。次いで、ステップS302では、制御部68が、無線通信部72及びアクセスポイントを介して無線配信サーバ100側から受信した情報があるか否かを判断する。ここでの判断が否定された場合には、制御部68は、そのままステップS306に移行するが、判断が肯定された場合には、ステップS304に移行する。ステップS304では、制御部68が、受信情報解析処理を実行する。この受信情報解析処理では、制御部68は、受信した情報が病院内の案内情報やお知らせ情報等であったと判定された場合に、当該情報を、表示部70に表示したり音声出力部64から出力したりする。また、受信情報解析処理では、制御部68が、受信した情報が後述する警告情報であったと判定された場合には、当該警告情報を、発光部62や音声出力部64から出力するようにする。この受信情報解析処理が終了するとステップS306に移行する。
【0027】
ステップS306では、制御部68は、入力部60に対する入力があるか否かを判断する。ここでの判断が否定された場合には、制御部68は、ステップS310に移行するが、判断が肯定された場合にはステップS308に移行する。
【0028】
ステップS308では、制御部68が、入力内容解析処理を実行する。具体的には、入力部60から入力された情報が端末の設定に関するものであった場合には、制御部68は、その旨を無線通信部72及びアクセスポイントを介して無線配信サーバ100に送信する。ここで、設定に関する情報には、端末をゲスト用端末にするか、あるいはスタッフ用端末にするかの設定が含まれる。この設定に関する情報は、無線通信部14を介して、無線配信サーバ100の制御部16に入力される。制御部16では、設定に関する情報を、無線携帯端末登録端末40に送信したり、設定に関する情報を記憶部20の端末情報管理テーブル24に格納したりする。なお、入力部60から入力される情報には、無線携帯端末200を操作するための情報(表示部70の表示のスクロールや表示上でのアイコンの選択など)もある。したがって、入力情報がそのような情報であった場合には、制御部16は、当該入力情報に基づいた処理を実行する。以上のようにして、ステップS308の処理が終了すると、制御部68は、ステップS310に移行する。
【0029】
ステップS310では、制御部68は、終了するか否かを判断する。ここでの判断が肯定される場合とは、無線携帯端末200の電源ボタンがOFFされたような場合である。ここでの判断が肯定された場合には、制御部68は、ステップS312に移行するが、否定された場合には、ステップS302〜ステップS310を繰り返す。そして、ステップS310が肯定され、ステップS312に移行した場合には、制御部68は、電源をOFFにする。
【0030】
次に、図6〜図10のフローチャートに沿って、その他図面を適宜参照しつつ、無線配信サーバ100による無線携帯端末200の管理処理について説明する。
【0031】
図6のステップS10では、警告部166が、許容不整合時間Tを設定する。ここで、許容不整合時間Tとは、参加すべきアクセスポイント(目標エリア)と無線携帯端末200が参加しているアクセスポイント(無線携帯端末が現在位置しているエリア)とが異なる時間の許容上限値(閾値)を意味する。すなわち、異なる時間が、許容不整合時間Tよりも大きくなった場合、無線携帯端末200の位置が異常であることを意味することになる。
【0032】
次いで、ステップS12では、参加AP検出部162が、全ての無線携帯端末が参加しているアクセスポイントを取得する。
【0033】
次いで、ステップS14では、参加AP検出部162が、セキュリティエリア(図12においてハッチングを付したエリア)にゲスト用端末が存在しているか否かを判断する。ここでは、参加AP検出部162は、ゲスト用端末の存在位置がセキュリティエリア内か否かを、各ゲスト用端末が参加しているアクセスポイントから判断することとしても良い。あるいは、参加AP検出部162は、セキュリティエリアの入口と出口に設けられたセンサ等による検出結果から、各ゲスト用端末の位置がセキュリティエリア内か否かを判断しても良い。このステップS14の判断が否定された場合、すなわち、セキュリティエリア内にゲスト用端末が1つもない場合には、ステップS28に移行する。一方、ステップS14の判断が肯定された場合、すなわち、セキュリティエリア内にゲスト用端末が1つ以上ある場合には、ステップS16に移行する。
【0034】
ステップS16では、目標AP特定部164が、各ゲスト用端末の参加すべきアクセスポイントを設定するサブルーチンを実行する。ステップS16の処理としては、具体的には、図7のフローチャートに沿った処理である。
【0035】
図7のフローチャートでは、まず、ステップS40において、目標AP特定部164が、管理対象であるゲスト端末を含む管理グループを、ゲスト情報管理テーブル28からすべて抽出し、管理グループ総数Mを設定する。ここで、管理グループとは、ゲストを管理する単位であり、引率スタッフに引率されるグループや、予め定められている許容ルートに従って移動するグループなどが設定される。同一の管理グループでは、グループに属するゲストに対して、同じような移動を行わせるものとする。なお、ゲスト情報管理テーブル28としては、図11(a)のようなテーブルを用いることができる。このゲスト情報管理テーブルには、ゲストID(G1、G2…)毎に、端末ID(T001、T002)、セキュリティゾーン内であるか否か(セキュリティゾーン内である場合には、○印)、管理グループ(GR1、GR2…)、引率スタッフID(S1、S2…)、許容ルートID(R1、R2…)、映像ID(I1,I2…)、停留フラグ(ON又はOFF)、参加すべきアクセスポイント、不適合検知時刻などが登録される。したがって、ステップS40では、目標AP特定部164は、図11(a)のテーブルの管理グループの項目に着目し、当該項目に登録されているグループ数を、管理グループの総数Mとする。
【0036】
次いで、ステップS42では、目標AP特定部164が、抽出されたグループごとに番号を付与し、今回管理の対象とすべきグループの番号(m)を1に設定する。
【0037】
次いで、ステップS44では、目標AP特定部164が、グループ番号m=1のグループ(今回の管理対象のグループ、ここではグループGR1とする)が引率スタッフの端末(スタッフ用端末)に追従するか否かを判断する。このステップS44では、図11(a)のゲスト情報管理テーブル28において、引率スタッフIDの項目にスタッフIDが記載されており、かつ管理対象のグループの停留フラグの項目がOFFである場合に、判断が肯定される。すなわち、図11(a)の管理グループGR1であれば、ゲスト用端末の引率スタッフIDの項目に「S1」が記載されており、かつ停留フラグの項目が「OFF」であるので、ステップS44の判断は肯定されることになる。なお、引率スタッフIDの登録は、事前に行われるものとする。また、停留フラグについては、通常、初期値はOFFとされている。
【0038】
なお、ステップS44の判断が否定された場合には、ステップS52において、目標AP特定部164が、グループに属するゲストが許容ルートに追従するか否かを判断する。ここで、許容ルートとは、例えば病院側のスタッフが事前に設定したルートであり、図16に示すように、参加すべきアクセスポイントの順番(例えば、AP42→AP33→AP23)にて定義したものである。なお、ステップS52において、許容ルートに追従すると判断される場合とは、図17(a)に示すように、ゲスト情報管理テーブル28の許容ルートIDの項目に、ルートID(ここではR1)が登録されている場合である。また、許容ルートに追従しないと判断される場合とは、図15(a)に示すように、ゲスト情報管理テーブル28において、停留フラグの項目がONになっている場合である。
【0039】
なお、以下においては、ステップS44の判断が肯定された場合を「(1)スタッフ追従時」、ステップS52の判断が否定された場合を「(2)停留指示時」、ステップS52の判断が肯定された場合を「(3)ルート追従時」として、順に説明するものとする。
【0040】
(1)スタッフ追従時について
スタッフ追従時には、ステップS46において、目標AP特定部164が、引率スタッフのスタッフ用端末の参加するアクセスポイントを参加すべきアクセスポイントに設定する。そして、設定された参加すべきアクセスポイントを、グループ番号mの全ゲスト用端末の参加すべきアクセスポイントの項目に登録する。図11(b)には、スタッフ情報管理テーブル26が示されている。この図11(b)に示すように、スタッフ情報管理テーブル26には、スタッフID、端末ID、参加アクセスポイント、セキュリティゾーン内か否か、の項目が存在しており、スタッフ用端末の使用者や、参加しているアクセスポイント等を管理している。この図11(b)の例では、グループGR1の引率スタッフ(S1)のスタッフ端末は、アクセスポイントAP33に参加しているので、ステップS46では参加すべきアクセスポイントとしてAP33が設定されることになる。
【0041】
次いで、ステップS48では、目標AP特定部164が、管理の対象とすべきグループ番号mがMであるかを判断する。ここでの判断が否定された場合には、ステップS50においてmを1インクリメント(m←m+1)して、ステップS44に戻る。これに対し、ステップS48の判断が肯定された場合には、図7(ステップS16のサブルーチン)の全処理を終了して、図6のステップS18に移行する。なお、ここでは、便宜上、全てのグループにおいて、ステップS46に移行したものとし、全グループの参加すべきアクセスポイントが決定したものとして、以下説明する。
【0042】
図6のステップS18では、参加AP検出部162が、セキュリティエリアにあるゲスト用端末の台数Nを取得する。また、参加AP検出部162は、セキュリティエリアにあるゲスト用端末に、1からNの番号を割り振る。次いで、ステップS20では、参加AP検出部162が、ゲスト用端末の番号nを1に設定する。
【0043】
次のステップS22では、端末(n)における映像IDと不整合時間に関する処理のサブルーチンが実行される。具体的には、図8のフローチャートに沿った処理が実行されることになる。
【0044】
図8のステップS130では、警告部166が、端末(n)(ここでは、端末(1))の参加すべきアクセスポイントがNullか否かを判断する。ここでは、図11(a)のようにアクセスポイントが決まっているので、判断は否定され、ステップS132に移行する。
【0045】
次いで、ステップS132では、警告部166が、端末(n)(端末(1))の不整合時間を算出する。ここで、図11(a)の不適合検知時刻の項目には、端末(n)において、参加すべきアクセスポイントと現在参加しているアクセスポイントが初めて異なった時刻が、入力されるようになっている。したがって、警告部166は、端末(n)の参加すべきアクセスポイントと参加しているアクセスポイントとが一致していない場合で、かつ不適合検知時刻の項目に既に時刻が入力されている場合には、その時刻と現在の時刻との差(経過時間)を、不整合時間として算出する。一方、端末(n)の参加すべきアクセスポイントと現在参加しているアクセスポイントとが一致していない場合で、かつ不適合検知時刻の項目に時刻が入力されていない場合には、警告部166は、現時点の時刻を入力して、不整合時間は0とする。これに対し、ステップS132を行った時点で、端末(n)の参加すべきアクセスポイントと現在参加しているアクセスポイントが一致していた場合には、不整合時間は0とする。この場合、不適合検知時刻の項目に時刻が入力されていれば、警告部166は、入力されている不適合検知時刻をクリア(消去)することとする。すなわち、例えば、図13に示すように、ゲストG3がスタッフS1から離れて行動を開始し、ゲストG3の端末がスタッフ用端末の参加するアクセスポイントAP33以外のアクセスポイント(AP44)に参加しているものとする。このような場合に、ステップS132では、警告部166が、アクセスポイントAP44にゲスト用端末が参加している時間を算出することになる。
【0046】
次いで、図8のステップS134では、警告部166が、端末(n)の映像IDがNullでないか否かを判断する。ここでは、図11(a)に示すように、映像IDは、Null(図11(a)では、「−」と表記している)であるので、判断は否定され、ステップS138に移行する。なお、映像IDは、図17(a)に示すように、引率スタッフIDが入力されておらず、許容ルートIDが入力されたときに、登録されるようになっている。なおこの映像IDの詳細については、後述する。また、ステップS136の処理についても後述する。
【0047】
図8のステップS138では、警告部166が、ステップS132で算出した不整合時間がステップS10で設定した許容不整合時間Tよりも大きいか否かを判断する。ここでの判断が肯定された場合には、警告部166は、ステップS140において、無線通信部14、端末(n)が現在参加しているアクセスポイントを介して、端末(n)に対して警告情報を送信する。端末(n)では、無線通信部72を介して警告情報を受信するので、図5のステップS302の判断が肯定され、ステップS304にて、当該警告情報に基づいた処理(発光部62、音声出力部64、表示部70などを用いた警告)を行う。なお、ここでの警告情報としては、例えば、現在参加しているアクセスポイントの位置と、参加すべきアクセスポイントの位置と、を示した地図情報などを含む警告情報を採用することができる。
【0048】
一方、ステップS138の判断が否定された場合には、ステップS140を経ず、すなわち警告情報を送信せずに、図8(ステップS22)の全処理を終了して、図6のステップS24に移行する。
【0049】
図6のステップS24では、参加AP検出部162が、ゲスト用端末の番号nがN(セキュリティゾーンにあるゲスト用端末の台数)と一致するか否かを判断する。このステップS24の判断が否定された場合には、ステップS26において、参加AP検出部162が、nを1インクリメント(n←n+1)した後に、再度ステップS22に移行する。その後は、ステップS24の判断が肯定されるまで、nを1ずつ大きくしながら、ステップS22〜S26を繰り返す。そして、ステップS24の判断が肯定された段階で、すなわち、セキュリティエリア内にある全端末に対するステップS2の処理が完了した段階で、ステップS28に移行することになる。なお、前述したように、ステップS14における判断が否定された場合にも、ステップS28に移行する。
【0050】
ステップS28では、無線配信サーバ100がシャットダウンされるなどして全ての処理を終了すべき状態であるか否かを、参加AP検出部162が判断し、ここでの判断が肯定されると、図6の全処理を終了する。一方、ステップS28の判断が否定された場合には、ステップS12に戻り、前述したのと同様の処理を実行する。
【0051】
(2)停留指示時について
次に、図7のステップS52の判断が否定された場合、すなわち、スタッフからグループに属するゲストに対する停留指示が出されている場合の処理について説明する。この処理は、グループの引率スタッフが、ゲストを引率していたが、何らかの理由で引率を中断して、ゲストをある箇所に停留させる場合の処理である。なお、スタッフは、停留指示を、スタッフ用端末の入力部60の停留ボタンを押すことで実行する。
【0052】
図7のステップS52が否定されステップS54に移行すると、目標AP特定部164が、引率スタッフの保持するスタッフ用端末によって設定されたアクセスポイントを参加すべきアクセスポイントに設定する。ここで、スタッフ用端末によって設定されたアクセスポイントとは、停留ボタンが押されたときにスタッフ用端末が参加していたアクセスポイントのことを意味する。したがって、例えば、スタッフ用端末が、図14に示すように、アクセスポイントAP33に参加しているとき(図15(b)の項目「端末参加AP」参照)に、スタッフS1により停留ボタンが押されたとすると、当該アクセスポイントAP33が参加すべきアクセスポイントとなる(図15(a)の項目「参加すべきAP」参照)。
【0053】
その後、図6のステップS18以降では、基本的には、上記(1)と同様の処理を行う。したがって、図14の状態から、図15(a)のテーブルに示すように、ゲスト(G3)がアクセスポイントAP33から離れて、別のアクセスポイント(AP44)に参加した場合には、時間T経過後(ステップS138)に、当該ゲストの保持するゲスト用端末に対して、警告情報を送信する(ステップS140)ことになる。すなわち、本処理では、ゲスト用端末の参加すべきアクセスポイントが固定されるので、その後、スタッフが移動しても、ゲストをその固定されたアクセスポイントに停留させることができるようになる。
【0054】
なお、スタッフ端末上でスタッフが停留指示を解除すれば、そのグループに関しては、以降、上述した「(1)スタッフ追従時」と同様の処理が実行されることになる。
【0055】
なお、本実施形態では、各引率スタッフは、スタッフ用端末の入力部60から、グループに属するゲストの所在通知を無線配信サーバ100に要求することができるようにしても良い。この場合、図5のステップS308(入力内容解析処理)において、入力内容が解析され、その要求内容が、無線配信サーバ100に通知されることになる。通知を受けた無線配信サーバ100は、要求が出されたスタッフ用端末に対して、グループに属するゲストのゲスト用端末が参加するアクセスポイントの位置を、例えば、施設のレイアウト図に重ね合わせた画像情報として通知する。なお、通知を受けたスタッフ用端末では、図5のステップS304(受信情報解析処理)において、受信内容を解析処理し、同端末の表示部70に表示することとする。
【0056】
(3)ルート追従時について
次に、図7のステップS52が肯定された場合、すなわち、ゲストが、許容ルートに沿って移動する場合の処理について、説明する。ここで、許容ルートとは、例えば病院側のスタッフが予め定めたルートであり、図16に示すように、参加すべきアクセスポイントの順番にて定義したものである。この許容ルートは、図17(b)に示すような許容ルート情報管理テーブル22において管理されている。許容ルート情報管理テーブル22は、許容ルートID、ルート名、ルートを定義するアクセスポイントの順序、が含まれている。なお、図16に示すルートは、図17(b)の「施設見学者ルート」である。なお、各ルートは、過去にスタッフがゲスト誘導をしたときに通過したアクセスポイントを、随時、スタッフ用端末から無線配信サーバに送信して、無線配信サーバにて記憶するようにしても良い。また、予め、ルートを設定するスタッフがスタッフ用端末を持ってルート上を歩き、その際に通過したアクセスポイントを、随時無線配信サーバにて記憶するようにしても良い。
【0057】
このルート追従時においては、ステップS56で、同一グループに属する端末が参加するアクセスポイントで最も多いものを取得するサブルーチンが実行される。このステップS56のサブルーチンでは、図9のフローチャートに沿った処理が実行される。
【0058】
図9のステップS70では、目標AP特定部164が、グループ番号mの端末が属するアクセスポイントを抽出して、抽出されたアクセスポイントの総数を値Kとして設定する。値Kは、アクセスポイントAP(k)の値kの最大値である。例えば、抽出されたアクセスポイントが、AP33とAP42であった場合には、抽出されたアクセスポイントの総数Kは2となり、AP(1)がAP33、AP(2)がAP42となる。
【0059】
次いで、ステップS72では、目標AP特定部164が、グループ番号mに設定されている参加すべきアクセスポイント(現在、参加すべきアクセスポイントに設定されているもの)をAP0とする。次いで、ステップS74では、目標AP特定部164が、アクセスポイントの番号kを1に設定する。
【0060】
次いで、ステップS76では、目標AP特定部164が、AP(k)(ここでは、AP(1))がセキュリティエリア内に存在しているか否かを判断する。ここでの判断が否定された場合には、目標AP特定部164は、ステップS80に移行するが、ここでの判断が肯定された場合には、ステップS78に移行する。
【0061】
ステップS78に移行した場合には、目標AP特定部164は、アクセスポイントAP(k)が許容ルート上にあるか否かを判断する。この場合、目標AP特定部164が、図17(b)の許容ルート情報管理テーブル22を参照して、アクセスポイントAP(k)が許容ルートに含まれるアクセスポイントであるか否かを判断する。ここでの判断が肯定された場合には、目標AP特定部164は、ステップS80に移行し、否定された場合には、ステップS82に移行する。
【0062】
ステップS80に移行した場合、目標AP特定部164は、同一のグループに属するゲスト用端末のうち、アクセスポイントAP(k)に参加している端末数U(k)を算出する。一方、ステップS82に移行した場合、目標AP特定部164は、端末数U(k)を0に設定する。すなわち、本実施形態では、着目するアクセスポイントAP(k)がセキュリティエリア内にない場合、及びセキュリティエリア内の許容ルート上にある場合のいずれかであれば、U(k)が実際にAP(k)に参加しているゲスト用端末の数となる。一方、着目するアクセスポイントAP(k)が、セキュリティエリア内にあり、かつ許容ルート上にはない場合には、U(k)は0となる。なお、ステップS82の処理で、U(k)を0に設定する理由については、後述する。
【0063】
上記ステップS80又はステップS82の処理の後は、目標AP特定部164は、ステップS84において、kがKと一致しているか否かを判断する。ここでの判断が否定された場合には、目標AP特定部164は、ステップS86に移行してkを1インクリメントした後、ステップS76に戻る。それ以降は、kを1ずつ大きくしつつ、全てのアクセスポイントAP(k)についてのU(k)を算出する。そして、ステップS84の判断が肯定された段階で、目標AP特定部164は、ステップS88に移行する。
【0064】
ステップS88では、目標AP特定部164は、U(k)の最大値が0より大きいか否かを判断する。ここでの判断が否定された場合、すなわち、U(k)の最大値が0の場合、換言すれば、ステップS70で抽出された全てのアクセスポイントAP(k)が、セキュリティエリア内にはあるものの、許容ルート上にはなかった場合、更に換言すれば、グループに属するゲストの誰も、セキュリティエリア外、又は許容ルート上に存在していなかった場合、には、ステップS96に移行する。ステップS96では、目標AP特定部164は、最大参加アクセスポイントとして、Nullを設定する。
【0065】
一方、ステップS88の判断が肯定された場合、すなわち、ステップS70で抽出されたアクセスポイントAP(k)の少なくとも1つが、セキュリティエリア外、又は許容ルート上にはあった場合には、ステップS90に移行する。ステップS90では、目標AP特定部164は、最大のU(k)が複数個あるか否かを判断する。ここでの判断が否定された場合、すなわち、最大のU(k)は1つのみであった場合には、ステップS94において、最大のU(k)であるアクセスポイントAP(k)を、最大参加APに設定する。なお、前述したステップS82において、セキュリティエリア内で許容ルート上以外にあるアクセスポイントのU(k)を必ず0に設定することとしたのは、ステップS94において、セキュリティエリア内で許容ルート上以外にあるアクセスポイントが最大参加APに設定されるのを防ぐためである。これに対し、セキュリティエリア内にない場合に、U(k)を実際の端末数としたのは、本実施形態では、セキュリティエリアの外側のエリアは、許容ルートの一部と看做しても問題が生じる可能性が低いからである。
【0066】
一方、ステップS90の判断が肯定された場合には、目標AP特定部164は、ステップS92に移行する。そして、ステップS92では、最大のU(k)となるアクセスポイントAP(k)のうち、ステップS72で定めたアクセスポイントAP0とは異なるアクセスポイントを1つ選択する。更に、ステップS94では、目標AP特定部164は、ステップS90で選択されたアクセスポイントを最大参加APに設定する。以上のようにして、ステップS94又はステップS96の処理が行われた後は、図7のステップS58に移行する。
【0067】
図7のステップS58では、目標AP特定部164は、ステップS56のサブルーチンにおいて取得したアクセスポイント(最大参加AP)を参加すべきアクセスポイントに設定する。
【0068】
次いで、ステップS60では、目標AP特定部164は、参加すべきアクセスポイントがNullか否かを判断する。ここでの判断が肯定された場合、すなわち参加すべきアクセスポイントがNullの場合には、ステップS48に移行する。この場合、目標AP特定部164は、参加すべきアクセスポイントとして、図9のステップS72においてAP0に設定されたアクセスポイントを維持することになる。
【0069】
一方、ステップS60の判断が否定された場合には、ステップS62において、グループ番号mの全端末の参加すべきアクセスポイントと映像IDを更新する処理が実行されることになる。具体的には、図10のフローチャートに沿った処理が実行される。なお、図10の処理は、図18に示すように、セキュリティエリア内に壁が存在し分岐が形成されているような場合に、予め撮影しておいた映像のうちの、どの映像をゲスト用端末に送るかを決定するための処理を行うものである。この図10の処理においては、図19に示すような、映像情報管理テーブル29を用いる。映像情報管理テーブル29には、映像ID、撮影地点のAP、行き先にあるAP等の項目が設定されている。この映像情報管理テーブル29では、例えば、図18のアクセスポイントAP42において、アクセスポイントAP33の方向を撮影した映像の映像IDがI1であることを示す。また、アクセスポイントAP42において、アクセスポイントAP43の方向を撮影した映像の映像IDがI2であることを示す。すなわち、図10では、例えば、アクセスポイントAP42に参加しているゲスト用端末に対して、映像IDがI1、I2のいずれの映像を送信(提供)すべきかが決定されるようになっている。
【0070】
図10のフローチャートでは、まず、ステップS102において、目標AP特定部164が、新たに設定する参加すべきアクセスポイントをAPnewとする。次いで、ステップS104では、目標AP特定部164が、グループ番号mの許容ルートIDをR0とする。次いで、ステップS106では、目標AP特定部164が、グループ番号mの端末総数Nを設定する。次いで、ステップS108では、目標AP特定部164が、端末番号nを1に設定する。
【0071】
次いで、ステップS110では、目標AP特定部164が、端末(n)の参加すべきアクセスポイントとステップS102で設定したAPnewとが、異なるか否かを判断する。ここでの判断が肯定された場合には、ステップS112に移行するが、判断が否定された場合には、ステップS124に移行する。ステップS124に移行した場合、すなわち、参加すべきアクセスポイントが、現時点で設定されているアクセスポイントから変わっていない場合には、目標AP特定部164は、端末(n)の映像IDをNullに設定する。
【0072】
一方、ステップS110の判断が肯定された場合には、ステップS112に移行して、目標AP特定部164が、端末(n)の参加すべきアクセスポイントとしてAPnewを設定する。次いで、ステップS114では、目標AP特定部164が、許容ルート情報管理テーブル22の許容ルートIDがR0であるアクセスポイントのリストの中からからAPnewに合致するアクセスポイントの次のアクセスポイントを行き先「APnext」として設定する。
【0073】
次いで、ステップS116では、目標AP特定部164が、図19の映像情報管理テーブル29に、撮影地点のアクセスポイントがAPnewで、行き先にあるアクセスポイントがAPnextである映像IDがあるか否かを判断する。ここでの判断が否定された場合には、目標AP特定部164は、ステップS124に移行するが、肯定された場合には、ステップS118に移行する。
【0074】
ステップS118では、目標AP特定部164は、ステップS116の条件に適合する映像IDを得て、図17(a)に示すゲスト情報管理テーブル28のうち、端末(n)の映像IDの項目に、得られた映像IDを設定する。その後は、ステップS120に移行する。
【0075】
ステップS120では、目標AP特定部164は、nがNと一致するか否かを判断する。ここでの判断が否定された場合には、ステップS122において、nを1インクリメント(n←n+1)した後、ステップS110に戻る。その後は、nを1ずつ大きくしながら、ステップS110以降の処理を上記と同様に繰り返し、ステップS120の判断が肯定された段階で、図10の処理(ステップS62のサブルーチン)を終了し、図7のステップS48に移行する。
【0076】
その後、図7の全処理を終了して図6のステップS18に移行すると、これ以降は、前述した「(1)スタッフ追従時」と同様の処理を行う。なお、前述のように、図9、図10の処理を経た場合には、目標AP特定部164は、ステップS22のサブルーチンにおいて、以下の処理を実行する。すなわち、図8の処理では、目標AP特定部164は、ステップS134において、端末(n)の映像IDがNullでないか否かを判断し、Nullでなければ、ステップS136に移行する。このステップS134において、Nullでないと判断される場合とは、図10のステップS110及びS116において判断が肯定されていた場合である。そして、ステップS136に移行すると、警告部166は、ゲスト情報管理テーブル28に登録されている映像IDに基づいて、映像データを記憶部20から読み出して、ゲスト用端末(n)に対して送信する。
【0077】
その後は、警告部166が、ステップS138、S140を上記と同様にして実行する。この場合、図20に示すように、許容ルートから外れたゲスト(G3)が存在した場合で、かつ、当該許容ルートから外れた時間が許容不整合時間Tよりも大きくなったときに、ステップS138の判断が肯定される。そして、ステップS138の判断が肯定された場合には、警告部166は、ステップS140にてゲスト用端末に対して警告情報の通知を行う。
【0078】
そして、図6のステップS24に移行すると、無線配信サーバ100では、ステップS24の判断が肯定されるまで、nを1ずつ大きくしながら、ステップS22のサブルーチンを繰り返す。そして、ステップS24の判断が肯定された段階で、ステップS28に移行し、ステップS28において、判断が肯定された場合には、図6の全処理を終了し、否定された場合には、ステップS12に戻る。
【0079】
以上説明したように、本実施形態によると、参加AP検出部162が、複数のゲスト用端末それぞれが参加するアクセスポイントを検出し(ステップS12)、目標AP特定部164が、複数のゲスト用端末以外の特定の端末(スタッフ用端末)が参加しているアクセスポイント、スタッフ用端末上で停留指示が出されたときのスタッフ用端末が参加していたアクセスポイント、許容ルートに沿った移動を行う場合においてゲスト用端末が最も多くが参加しているアクセスポイント、のいずれかを、ゲスト用端末が参加すべきアクセスポイントとして特定する(ステップS16)。そして、警告部166は、参加すべきアクセスポイントに参加していない時間が予め定めた時間Tを超えたゲスト用端末に対して、警告情報を送信する(ステップS22、S140)。これにより、本実施形態では、スタッフ用端末を有するスタッフがゲスト用端末を有するゲストを誘導する場合や、その誘導途中でゲストを所定場所に停留させる場合、あるいはゲスト用端末を有するゲストが許容ルートに沿って移動する場合において、各ゲストが存在するべき位置を参加すべきアクセスポイントにて定めることができる。したがって、当該参加すべきアクセスポイントに、時間Tよりも長い時間参加していないゲスト用端末に対して警告部166から警告情報を送信することとすることで、ゲスト用端末の位置が適当でない場合において、適切な警告を行うことが可能となる。これにより、グループに属するゲストのセキュリティエリア内での散らばりを抑制することができる。
【0080】
また、本実施形態によると、病院内のお知らせ情報などの各種情報を配信するアクセスポイントを用いて無線携帯端末200の位置検出を行うとともに、無線携帯端末200の位置すべき領域を特定することとしている。したがって、特別な位置検出装置を病院内に設けなくとも、端末の位置検出等を行うことができる。
【0081】
また、本実施形態によると、上述した「(3)ルート追従時」には、目標AP特定部164は、記憶部20に記憶されている許容ルート上のアクセスポイントのうち最も多くの端末が存在するアクセスポイントを、参加すべきアクセスポイントとして特定する。これにより、ルートから外れた位置するアクセスポイントが参加すべきアクセスポイントに設定されることがないので、ルートから外れたゲストを適切にルート上に誘導することが可能である。
【0082】
また、本実施形態によると、警告部166は、許容ルートの情報と、ゲスト用端末が現在参加しているアクセスポイントの情報とに基づいて、ゲスト用端末に対して進むべき方向を示す情報(映像)を送信する。これにより、ゲストを許容ルートに沿って、適切に誘導することが可能である。
【0083】
また、本実施形態では、「(2)停留指示時」には、目標AP特定部164は、スタッフ用端末上で停留ボタンが押されたときにスタッフ用端末が参加しているアクセスポイントを、ゲスト用端末が参加すべきアクセスポイントとする。したがって、スタッフ用端末上に地図情報を表示して、その地図上で参加すべきアクセスポイントを指定するような作業を行う場合と比べて、簡易に、参加すべきアクセスポイントを指定することが可能である。
【0084】
なお、上記実施形態では、「(2)停留指示時」には、スタッフ用端末上から、停留指示が出される場合について説明したが、これに限らず、ゲスト用端末上から行えるようにしても良い。これにより、たとえば、ゲストのグループが許容ルートに沿って移動している際に、グループのリーダなどが停留指示を出すことで、グループを適切な位置に停留させることができるようになる。
【0085】
なお、上記実施形態では「(3)ルート追従時」において、警告部166が、ゲスト用端末に対して予め撮影しておいた映像を送信する場合について説明したが、これに限られるものではない。これに代えて又はこれに加えて、警告部166は、例えば、ゲスト用端末の進路を示す地図情報をゲスト用端末に送信することとしても良い。なお、上記実施形態では映像等を警告部166が送信するものとして説明したが、これに限らず、警告部166とは別の送信部が、映像等をゲスト端末に対して送信することとしても良い。
【0086】
また、上記実施形態では、端末の存在するエリアを検出したり、端末の位置すべきエリアを特定するために、アクセスポイントを用いる場合について説明したが、これに限られるものではない。例えば、RFIDなどの位置検出装置を病院内に複数配置し、これにより、端末の存在するエリアを検出したり、位置すべきエリアを特定することとしても良い。
【0087】
なお、上記実施形態では、一例として病院内にアクセスポイントを複数配置して、端末管理を行う場合について説明したが、これに限られるものではない。例えば、原則、部外者の立ち入りを禁止している施設などにアクセスポイントを複数配置して、端末管理を行うこととしても良い。
【0088】
なお、本実施形態における無線配信サーバ100の処理機能は、コンピュータによって実現することができる。その場合、無線配信サーバ100が有すべき機能の処理内容を記述したプログラムが提供される。そのプログラムをコンピュータで実行することにより、上記処理機能がコンピュータ上で実現される。処理内容を記述したプログラムは、コンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録しておくことができる。
【0089】
プログラムを流通させる場合には、例えば、そのプログラムが記録されたDVD(Digital Versatile Disc)、CD−ROM(Compact Disc Read Only Memory)などの可搬型記録媒体の形態で販売される。また、プログラムをサーバコンピュータの記憶装置に格納しておき、ネットワークを介して、サーバコンピュータから他のコンピュータにそのプログラムを転送することもできる。
【0090】
プログラムを実行するコンピュータは、例えば、可搬型記録媒体に記録されたプログラムもしくはサーバコンピュータから転送されたプログラムを、自己の記憶装置に格納する。そして、コンピュータは、自己の記憶装置からプログラムを読み取り、プログラムに従った処理を実行する。なお、コンピュータは、可搬型記録媒体から直接プログラムを読み取り、そのプログラムに従った処理を実行することもできる。また、コンピュータは、サーバコンピュータからプログラムが転送されるごとに、逐次、受け取ったプログラムに従った処理を実行することもできる。
【0091】
また、無線携帯端末として、IDカード等を入れるカードフォルダを用いることができる。ゲスト用のIDカードのカードフォルダに組み込むことにより、別個の無線携帯端末を所持する必要がなくなり、配布忘れや返却忘れ等を抑止することが期待される。
【0092】
上述した実施形態は本発明の好適な実施の例である。但し、これに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変形実施可能である。
【符号の説明】
【0093】
200 無線携帯端末(端末)
162 参加AP検出部(現在エリア検出部)
164 目標AP特定部(目標エリア特定部)
166 警告部(送信部)
20 記憶部
100 無線配信サーバ(端末管理装置)
【技術分野】
【0001】
本件は、端末管理装置、端末管理方法及び端末管理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、危険区域など立ち入りに規制が必要な場所では、監視カメラにより危険区域又はその近傍を撮像し、得られた映像を監視所等において確認することで、規制範囲への人の立ち入りを監視していた。また、監視カメラを用いる場合の監視者の負担を経験するための方法として、特許文献1のような技術が提案されている。この特許文献1に記載の技術は、ゲストの無線携帯端末の位置を検出して、立ち入り範囲情報に基づき、当該ゲストに警告を与えることを決定したときに、ゲストの無線端末に対して警告を送信するというものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−203263号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかるに、立ち入りが規制された場所等においては、ゲストの集合であるグループが、引率スタッフに誘導されて移動したり、グループが予め定められたルートに沿って移動する場合などがある。このような場合、何人かのゲストがグループから離れることや、グループ自体が予め定められたルートから外れてしまうことなどがある。しかしながら、特許文献1では、このようなグループから外れたゲストやルートから外れたグループに属するゲストに対しては、適切な警告を行えない可能性が高い。
【0005】
そこで本件は上記の課題に鑑みてなされたものであり、端末の存在するエリアに基づく適切な警告を行うことが可能な端末管理装置、端末管理方法及び端末管理プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書に記載の端末管理装置は、複数の端末それぞれが存在するエリアを検出する現在エリア検出部と、前記複数の端末以外の特定の端末が存在するエリア、前記複数の端末のいずれか又は前記特定の端末において指定されたエリア、前記複数の端末のうち最も多くの台数が存在するエリア、のいずれかを、前記複数の端末が存在すべき目標エリアとして特定する目標エリア特定部と、前記目標エリアに存在していない時間が予め定めた時間を超えた端末が存在していた場合に、当該端末に対して警告を出力する警告部と、を備える端末管理装置である。
【0007】
本明細書に記載の端末管理方法は、複数の端末それぞれが存在するエリアを検出する現在エリア検出工程と、前記複数の端末のうちの特定の端末が存在するエリア、前記複数の端末のいずれか又は前記特定の端末において指定されたエリア、前記複数の端末のうち最も多くの台数が存在するエリア、のいずれかを、前記複数の端末が存在すべき目標エリアとして特定する目標エリア特定工程と、前記目標エリアに存在していない時間が予め定めた時間を超えた端末が存在していた場合に、当該端末に対して警告を出力する警告工程と、を含む端末管理方法である。
【0008】
本明細書に記載の端末管理プログラムは、コンピュータを、複数の端末それぞれが存在するエリアを検出する現在エリア検出部、前記複数の端末のうちの特定の端末が存在するエリア、前記複数の端末のいずれか又は前記特定の端末において指定されたエリア、前記複数の端末のうち最も多くの台数が存在するエリア、のいずれかを、前記複数の端末が存在すべき目標エリアとして特定する目標エリア特定部、及び前記目標エリアに存在していない時間が予め定めた時間を超えた端末が存在していた場合に、当該端末に対して警告を出力する警告部、として機能させることを特徴とする端末管理プログラムである。
【発明の効果】
【0009】
本明細書に記載の端末管理装置、端末管理方法及び端末管理プログラムは、端末の存在するエリアに基づく適切な警告を行うことができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】無線配信サーバ及びこれに接続される装置を示すブロック図である。
【図2】図2(a)は、無線配信サーバのハードウェア構成を示す図であり、図2(b)は、制御部の機能ブロック図である。
【図3】図3(a)は、無線携帯端末のハードウェア構成を示す図であり、図3(b)は、無線携帯端末の機能ブロック図である。
【図4】病院内におけるアクセスポイントの配置の一例を示す図である。
【図5】無線携帯端末の所定手順を示すフローチャートである。
【図6】無線配信サーバの処理手順を示すフローチャートである。
【図7】図6のステップS16のサブルーチンの具体的処理を示すフローチャートである。
【図8】図6のステップS22のサブルーチンの具体的処理を示すフローチャートである。
【図9】図7のステップS56のサブルーチンの具体的処理を示すフローチャートである。
【図10】図7のステップS62のサブルーチンの具体的処理を示すフローチャートである。
【図11】図11(a)は、ゲスト情報管理テーブルを示す図(その1)であり、図11(b)は、スタッフ情報管理テーブルを示す図(その1)である。
【図12】スタッフ引率時の処理を説明するための図(その1)である。
【図13】スタッフ引率時の処理を説明するための図(その2)である。
【図14】停留時の処理を説明するための図である。
【図15】図15(a)は、ゲスト情報管理テーブルを示す図(その2)であり、図15(b)は、スタッフ情報管理テーブルを示す図(その2)である。
【図16】ルート追従時の処理を説明するための図(その1)である。
【図17】図17(a)は、ゲスト情報管理テーブルを示す図(その3)であり、図17(b)は、許容ルート情報管理テーブルを示す図(その1)である。
【図18】ルート追従時の処理を説明するための図(その2)である。
【図19】映像情報管理テーブルを示す図である。
【図20】ルート追従時の処理を説明するための図(その3)である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、端末管理装置、端末管理方法及び端末管理プログラムの一実施形態について、図1〜図20に基づいて詳細に説明する。図1は、端末管理装置としての無線配信サーバ100及びこれに接続される装置の構成をブロック図で示したものである。
【0012】
図1に示すように、無線配信サーバ100には、当該無線配信サーバ100との通信が可能な配信要求サーバ30、無線携帯端末登録端末40、及びアクセスポイントAP11,AP12,AP13…がネットワークを介して接続されている。なお、アクセスポイントAP11,AP12,AP13…は、例えば、病院内に配置することができる。この場合、無線配信サーバ100は、病院内においてスタッフやゲストに配布される無線携帯端末200(図3参照)の位置(存在エリア)を管理するサーバとなる。配信要求サーバ30は、病院内の案内情報やお知らせ情報(診察待ち時間など)の情報の通知を無線配信サーバ100に対して要求を行うサーバである。アクセスポイントAP11,AP12…は、自己の通信エリア内に位置している無線携帯端末200と、無線配信サーバ100との間の通信を仲介する。
【0013】
図2(a)は、無線配信サーバ100のハードウェア構成を例示する図である。無線配信サーバ100は、CPU201,ROM202、RAM203、ハードディスクドライブ(HDD)204、ドライブ装置205、出力部206、入力部207、通信インターフェース208、及び無線通信インターフェース209等を有しており、これらはバス210により接続されている。ドライブ装置205はCD−ROMやDVD(Digital Versatile Disk)、あるいはUSBメモリ等の可搬型記録媒体に書込、読込みを行うものである。また、出力部206は液晶あるいはCRT等のディスプレイ、プリンタ装置等であり、入力部207はマウスやキーボード等の入力装置である。通信インターフェース208はネットワークを介して配信要求サーバ30及び無線携帯端末登録端末40との通信を行う。無線通信インターフェース209は、アクセスポイントAP11,AP12…との通信を行う。
【0014】
図2(b)は、無線配信サーバ100の装置の構成を説明するブロック図である。無線配信サーバ100は、ROM202あるいはHDD204に格納されているプログラムをCPU201が実行することにより、図2(b)の各部の機能が実現される。
【0015】
通信部12は、配信要求サーバ30及び無線携帯端末登録端末40との通信を制御するものである。配信要求サーバ30は、病院内の案内情報やお知らせ情報(診察待ち時間など)の情報の通知を無線配信サーバ100に対して要求する。通信部12は、当該要求を受け付けると、制御部16の指示の下、各種情報をアクセスポイントを介して、無線携帯端末200に送信する。無線携帯端末登録端末40は、利用者が無線携帯端末200を設定(スタッフが利用する設定又はゲストが利用する設定)を行ったときに、その設定情報を通信部12に対して出力する。
【0016】
無線通信部14は、アクセスポイントAP11,AP12…との通信を制御するとともに、各アクセスポイントの管理を行う。アクセスポイントAP11,AP12…は、自己の通信エリア内に位置している無線携帯端末200と、無線配信サーバ100との間の通信を仲介する。したがって、無線通信部14では、各アクセスポイントの管理として、各アクセスポイントと通信している無線携帯端末200を特定して、各無線携帯端末200と通信しているアクセスポイント(以下、「参加しているアクセスポイント」と呼ぶ)の監視、すなわち、参加しているアクセスポイントに基づく無線携帯端末200の現在位置(現在のエリア)の監視を行う。
【0017】
制御部16は、通信部12及び無線通信部14の処理を統括的に制御するとともに、記憶部20に格納されているデータベース等を用いて、無線携帯端末200の管理を行う。制御部16は、図2(b)に示すように、現在エリア検出部としての参加AP検出部162と、目標エリア特定部としての目標AP特定部164と、警告部166と、を有する。
【0018】
参加AP検出部162は、無線通信部14にて得られる情報や記憶部20から得られる情報に基づいて、無線携帯端末200の現在参加しているアクセスポイント、すなわち、現在位置しているエリアを検出する。目標AP特定部164は、通信部12から得られる情報や、無線通信部14から得られる情報、記憶部20から得られる情報に基づいて、無線携帯端末200が参加すべきアクセスポイント、すなわち、存在すべきエリア(目標エリア)を特定する。警告部166は、参加AP検出部162の検出結果と目標AP特定部164の特定結果とに基づいて、無線携帯端末200に対して警告を発すべきか否かを判断する。この判断により、発すべきと判断された場合には、警告部166は、無線通信部14及びアクセスポイントを介して、無線携帯端末200に対して警告情報を送信する。
【0019】
図1に戻り、記憶部20は、HDD204等の記憶装置であり、各種テーブルを格納している。格納されているテーブルとして、許容ルート情報管理テーブル22と、端末情報管理テーブル24と、スタッフ情報管理テーブル26と、ゲスト情報管理テーブル28と、映像情報管理テーブル29と、が含まれる。なお、記憶部20は、これら各種テーブルのほか、種々のデータ(例えば、病院内の地図情報や、セキュリティエリア内の各所で撮影された撮影データなど)を格納している。
【0020】
許容ルート情報管理テーブル22は、例えば、図17(b)のようなテーブルである。端末情報管理テーブル24は、各無線携帯端末200が、ゲストにより使用される端末(以下「ゲスト用端末」と呼ぶ)であるか、スタッフに使用される端末(以下「スタッフ用端末」と呼ぶ)であるかを管理するテーブルである。スタッフ情報管理テーブル26は、例えば図11(b)に示すようなテーブルであり、ゲスト情報管理テーブル28は、例えば、図11(a)に示すようなテーブルである。また、映像情報管理テーブル29は、例えば、図19に示すようなテーブルである。各テーブルについての詳細については、後述する。
【0021】
図3(a)は、無線携帯端末200のハードウェア構成を示す図である。この図3(a)に示すように、無線携帯端末200は、CPU301、ROM302、RAM303、記憶装置304、出力部305、入力部306、無線通信インターフェース307等を有しており、これらはバス308により接続されている。記憶装置304としては、例えばフラッシュメモリ等の半導体記憶装置を用いられる。また、出力部305は液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ等のディスプレイや後述する発光部や音声出力部等である。入力部306は無線携帯端末に入力を行うための入力装置であり、例えば、矢印ボタンやOKボタン等の簡易型の入力装置である。無線通信インターフェース307はネットワークを介して無線配信サーバとの通信を行うものである。
【0022】
無線携帯端末200は、ROM302に格納されているプログラムをCPU301が実行することで、各種の機能を実現する。
【0023】
図3(b)は無線携帯端末200の機能を説明する機能ブロック図である。無線携帯端末200は、入力部60と、発光部62と、音声出力部64と、記憶部66と、制御部68と、表示部70と、無線通信部72とを有する。入力部60は、利用者から入力される要求等を受け付ける。発光部62、音声出力部64及び表示部70は、無線配信サーバ100から送信されてきた利用者に関する各種情報を光、音声、文字や映像情報等を利用者に通知する。記憶部66は、フラッシュメモリ等であり、各種情報を記憶する。無線通信部72は、アクセスポイントAP11,AP12…を介して、無線配信サーバ100と通信する。なお、無線携帯端末200では、利用者は、入力部60を介して、スタッフが利用するのか、ゲストが利用するのかを入力することができる。この入力情報は、無線携帯端末登録端末40に送信され、端末情報管理テーブル24に登録される。制御部68は図3(b)の各部を統括的に制御する。
【0024】
図4には、病院内における、アクセスポイントAP11,AP12…の配置例が示されている。アクセスポイントAP11,AP12…それぞれにおける通信可能エリア(破線にて囲まれたエリア)は、隣接するアクセスポイントの通信可能エリアと重複した状態となっている。例えば、アクセスポイントAP11内に存在する無線携帯端末200は、アクセスポイントAP11の通信可能エリア内ではアクセスポイントAP11と通信を行う。そして、無線携帯端末200は、アクセスポイントAP11の通信可能エリアを超えたときに、新たに入った通信可能エリアに対応するアクセスポイントと通信を行うようになっている。なお、図4において、ハッチングを付して示す矩形領域は、病院内に設定されたセキュリティエリアであるものとする。このセキュリティエリアは、ゲストは、スタッフに引率される場合や、予め定められたルート(許容ルート)上での行動が許可された場合などでなければ、行動できないエリアであるものとする。なお、図4及びこれ以降の図では、ゲスト用端末の存在位置を、ゲストID(G1、G2…)で示し、スタッフ用端末の存在位置を、スタッフID(S1,S2…)で示すものとする。
【0025】
次に、上記無線配信サーバ100及び無線携帯端末200の処理について、図5〜図19に基づいて説明する。まず、図5に基づいて、無線携帯端末200における処理について説明する。図5の処理は、無線携帯端末200の電源スイッチがユーザ(ゲスト又はスタッフ)により、ONされたときに開始される。
【0026】
図5のステップS300では、無線携帯端末200の制御部68が電源をONする。次いで、ステップS302では、制御部68が、無線通信部72及びアクセスポイントを介して無線配信サーバ100側から受信した情報があるか否かを判断する。ここでの判断が否定された場合には、制御部68は、そのままステップS306に移行するが、判断が肯定された場合には、ステップS304に移行する。ステップS304では、制御部68が、受信情報解析処理を実行する。この受信情報解析処理では、制御部68は、受信した情報が病院内の案内情報やお知らせ情報等であったと判定された場合に、当該情報を、表示部70に表示したり音声出力部64から出力したりする。また、受信情報解析処理では、制御部68が、受信した情報が後述する警告情報であったと判定された場合には、当該警告情報を、発光部62や音声出力部64から出力するようにする。この受信情報解析処理が終了するとステップS306に移行する。
【0027】
ステップS306では、制御部68は、入力部60に対する入力があるか否かを判断する。ここでの判断が否定された場合には、制御部68は、ステップS310に移行するが、判断が肯定された場合にはステップS308に移行する。
【0028】
ステップS308では、制御部68が、入力内容解析処理を実行する。具体的には、入力部60から入力された情報が端末の設定に関するものであった場合には、制御部68は、その旨を無線通信部72及びアクセスポイントを介して無線配信サーバ100に送信する。ここで、設定に関する情報には、端末をゲスト用端末にするか、あるいはスタッフ用端末にするかの設定が含まれる。この設定に関する情報は、無線通信部14を介して、無線配信サーバ100の制御部16に入力される。制御部16では、設定に関する情報を、無線携帯端末登録端末40に送信したり、設定に関する情報を記憶部20の端末情報管理テーブル24に格納したりする。なお、入力部60から入力される情報には、無線携帯端末200を操作するための情報(表示部70の表示のスクロールや表示上でのアイコンの選択など)もある。したがって、入力情報がそのような情報であった場合には、制御部16は、当該入力情報に基づいた処理を実行する。以上のようにして、ステップS308の処理が終了すると、制御部68は、ステップS310に移行する。
【0029】
ステップS310では、制御部68は、終了するか否かを判断する。ここでの判断が肯定される場合とは、無線携帯端末200の電源ボタンがOFFされたような場合である。ここでの判断が肯定された場合には、制御部68は、ステップS312に移行するが、否定された場合には、ステップS302〜ステップS310を繰り返す。そして、ステップS310が肯定され、ステップS312に移行した場合には、制御部68は、電源をOFFにする。
【0030】
次に、図6〜図10のフローチャートに沿って、その他図面を適宜参照しつつ、無線配信サーバ100による無線携帯端末200の管理処理について説明する。
【0031】
図6のステップS10では、警告部166が、許容不整合時間Tを設定する。ここで、許容不整合時間Tとは、参加すべきアクセスポイント(目標エリア)と無線携帯端末200が参加しているアクセスポイント(無線携帯端末が現在位置しているエリア)とが異なる時間の許容上限値(閾値)を意味する。すなわち、異なる時間が、許容不整合時間Tよりも大きくなった場合、無線携帯端末200の位置が異常であることを意味することになる。
【0032】
次いで、ステップS12では、参加AP検出部162が、全ての無線携帯端末が参加しているアクセスポイントを取得する。
【0033】
次いで、ステップS14では、参加AP検出部162が、セキュリティエリア(図12においてハッチングを付したエリア)にゲスト用端末が存在しているか否かを判断する。ここでは、参加AP検出部162は、ゲスト用端末の存在位置がセキュリティエリア内か否かを、各ゲスト用端末が参加しているアクセスポイントから判断することとしても良い。あるいは、参加AP検出部162は、セキュリティエリアの入口と出口に設けられたセンサ等による検出結果から、各ゲスト用端末の位置がセキュリティエリア内か否かを判断しても良い。このステップS14の判断が否定された場合、すなわち、セキュリティエリア内にゲスト用端末が1つもない場合には、ステップS28に移行する。一方、ステップS14の判断が肯定された場合、すなわち、セキュリティエリア内にゲスト用端末が1つ以上ある場合には、ステップS16に移行する。
【0034】
ステップS16では、目標AP特定部164が、各ゲスト用端末の参加すべきアクセスポイントを設定するサブルーチンを実行する。ステップS16の処理としては、具体的には、図7のフローチャートに沿った処理である。
【0035】
図7のフローチャートでは、まず、ステップS40において、目標AP特定部164が、管理対象であるゲスト端末を含む管理グループを、ゲスト情報管理テーブル28からすべて抽出し、管理グループ総数Mを設定する。ここで、管理グループとは、ゲストを管理する単位であり、引率スタッフに引率されるグループや、予め定められている許容ルートに従って移動するグループなどが設定される。同一の管理グループでは、グループに属するゲストに対して、同じような移動を行わせるものとする。なお、ゲスト情報管理テーブル28としては、図11(a)のようなテーブルを用いることができる。このゲスト情報管理テーブルには、ゲストID(G1、G2…)毎に、端末ID(T001、T002)、セキュリティゾーン内であるか否か(セキュリティゾーン内である場合には、○印)、管理グループ(GR1、GR2…)、引率スタッフID(S1、S2…)、許容ルートID(R1、R2…)、映像ID(I1,I2…)、停留フラグ(ON又はOFF)、参加すべきアクセスポイント、不適合検知時刻などが登録される。したがって、ステップS40では、目標AP特定部164は、図11(a)のテーブルの管理グループの項目に着目し、当該項目に登録されているグループ数を、管理グループの総数Mとする。
【0036】
次いで、ステップS42では、目標AP特定部164が、抽出されたグループごとに番号を付与し、今回管理の対象とすべきグループの番号(m)を1に設定する。
【0037】
次いで、ステップS44では、目標AP特定部164が、グループ番号m=1のグループ(今回の管理対象のグループ、ここではグループGR1とする)が引率スタッフの端末(スタッフ用端末)に追従するか否かを判断する。このステップS44では、図11(a)のゲスト情報管理テーブル28において、引率スタッフIDの項目にスタッフIDが記載されており、かつ管理対象のグループの停留フラグの項目がOFFである場合に、判断が肯定される。すなわち、図11(a)の管理グループGR1であれば、ゲスト用端末の引率スタッフIDの項目に「S1」が記載されており、かつ停留フラグの項目が「OFF」であるので、ステップS44の判断は肯定されることになる。なお、引率スタッフIDの登録は、事前に行われるものとする。また、停留フラグについては、通常、初期値はOFFとされている。
【0038】
なお、ステップS44の判断が否定された場合には、ステップS52において、目標AP特定部164が、グループに属するゲストが許容ルートに追従するか否かを判断する。ここで、許容ルートとは、例えば病院側のスタッフが事前に設定したルートであり、図16に示すように、参加すべきアクセスポイントの順番(例えば、AP42→AP33→AP23)にて定義したものである。なお、ステップS52において、許容ルートに追従すると判断される場合とは、図17(a)に示すように、ゲスト情報管理テーブル28の許容ルートIDの項目に、ルートID(ここではR1)が登録されている場合である。また、許容ルートに追従しないと判断される場合とは、図15(a)に示すように、ゲスト情報管理テーブル28において、停留フラグの項目がONになっている場合である。
【0039】
なお、以下においては、ステップS44の判断が肯定された場合を「(1)スタッフ追従時」、ステップS52の判断が否定された場合を「(2)停留指示時」、ステップS52の判断が肯定された場合を「(3)ルート追従時」として、順に説明するものとする。
【0040】
(1)スタッフ追従時について
スタッフ追従時には、ステップS46において、目標AP特定部164が、引率スタッフのスタッフ用端末の参加するアクセスポイントを参加すべきアクセスポイントに設定する。そして、設定された参加すべきアクセスポイントを、グループ番号mの全ゲスト用端末の参加すべきアクセスポイントの項目に登録する。図11(b)には、スタッフ情報管理テーブル26が示されている。この図11(b)に示すように、スタッフ情報管理テーブル26には、スタッフID、端末ID、参加アクセスポイント、セキュリティゾーン内か否か、の項目が存在しており、スタッフ用端末の使用者や、参加しているアクセスポイント等を管理している。この図11(b)の例では、グループGR1の引率スタッフ(S1)のスタッフ端末は、アクセスポイントAP33に参加しているので、ステップS46では参加すべきアクセスポイントとしてAP33が設定されることになる。
【0041】
次いで、ステップS48では、目標AP特定部164が、管理の対象とすべきグループ番号mがMであるかを判断する。ここでの判断が否定された場合には、ステップS50においてmを1インクリメント(m←m+1)して、ステップS44に戻る。これに対し、ステップS48の判断が肯定された場合には、図7(ステップS16のサブルーチン)の全処理を終了して、図6のステップS18に移行する。なお、ここでは、便宜上、全てのグループにおいて、ステップS46に移行したものとし、全グループの参加すべきアクセスポイントが決定したものとして、以下説明する。
【0042】
図6のステップS18では、参加AP検出部162が、セキュリティエリアにあるゲスト用端末の台数Nを取得する。また、参加AP検出部162は、セキュリティエリアにあるゲスト用端末に、1からNの番号を割り振る。次いで、ステップS20では、参加AP検出部162が、ゲスト用端末の番号nを1に設定する。
【0043】
次のステップS22では、端末(n)における映像IDと不整合時間に関する処理のサブルーチンが実行される。具体的には、図8のフローチャートに沿った処理が実行されることになる。
【0044】
図8のステップS130では、警告部166が、端末(n)(ここでは、端末(1))の参加すべきアクセスポイントがNullか否かを判断する。ここでは、図11(a)のようにアクセスポイントが決まっているので、判断は否定され、ステップS132に移行する。
【0045】
次いで、ステップS132では、警告部166が、端末(n)(端末(1))の不整合時間を算出する。ここで、図11(a)の不適合検知時刻の項目には、端末(n)において、参加すべきアクセスポイントと現在参加しているアクセスポイントが初めて異なった時刻が、入力されるようになっている。したがって、警告部166は、端末(n)の参加すべきアクセスポイントと参加しているアクセスポイントとが一致していない場合で、かつ不適合検知時刻の項目に既に時刻が入力されている場合には、その時刻と現在の時刻との差(経過時間)を、不整合時間として算出する。一方、端末(n)の参加すべきアクセスポイントと現在参加しているアクセスポイントとが一致していない場合で、かつ不適合検知時刻の項目に時刻が入力されていない場合には、警告部166は、現時点の時刻を入力して、不整合時間は0とする。これに対し、ステップS132を行った時点で、端末(n)の参加すべきアクセスポイントと現在参加しているアクセスポイントが一致していた場合には、不整合時間は0とする。この場合、不適合検知時刻の項目に時刻が入力されていれば、警告部166は、入力されている不適合検知時刻をクリア(消去)することとする。すなわち、例えば、図13に示すように、ゲストG3がスタッフS1から離れて行動を開始し、ゲストG3の端末がスタッフ用端末の参加するアクセスポイントAP33以外のアクセスポイント(AP44)に参加しているものとする。このような場合に、ステップS132では、警告部166が、アクセスポイントAP44にゲスト用端末が参加している時間を算出することになる。
【0046】
次いで、図8のステップS134では、警告部166が、端末(n)の映像IDがNullでないか否かを判断する。ここでは、図11(a)に示すように、映像IDは、Null(図11(a)では、「−」と表記している)であるので、判断は否定され、ステップS138に移行する。なお、映像IDは、図17(a)に示すように、引率スタッフIDが入力されておらず、許容ルートIDが入力されたときに、登録されるようになっている。なおこの映像IDの詳細については、後述する。また、ステップS136の処理についても後述する。
【0047】
図8のステップS138では、警告部166が、ステップS132で算出した不整合時間がステップS10で設定した許容不整合時間Tよりも大きいか否かを判断する。ここでの判断が肯定された場合には、警告部166は、ステップS140において、無線通信部14、端末(n)が現在参加しているアクセスポイントを介して、端末(n)に対して警告情報を送信する。端末(n)では、無線通信部72を介して警告情報を受信するので、図5のステップS302の判断が肯定され、ステップS304にて、当該警告情報に基づいた処理(発光部62、音声出力部64、表示部70などを用いた警告)を行う。なお、ここでの警告情報としては、例えば、現在参加しているアクセスポイントの位置と、参加すべきアクセスポイントの位置と、を示した地図情報などを含む警告情報を採用することができる。
【0048】
一方、ステップS138の判断が否定された場合には、ステップS140を経ず、すなわち警告情報を送信せずに、図8(ステップS22)の全処理を終了して、図6のステップS24に移行する。
【0049】
図6のステップS24では、参加AP検出部162が、ゲスト用端末の番号nがN(セキュリティゾーンにあるゲスト用端末の台数)と一致するか否かを判断する。このステップS24の判断が否定された場合には、ステップS26において、参加AP検出部162が、nを1インクリメント(n←n+1)した後に、再度ステップS22に移行する。その後は、ステップS24の判断が肯定されるまで、nを1ずつ大きくしながら、ステップS22〜S26を繰り返す。そして、ステップS24の判断が肯定された段階で、すなわち、セキュリティエリア内にある全端末に対するステップS2の処理が完了した段階で、ステップS28に移行することになる。なお、前述したように、ステップS14における判断が否定された場合にも、ステップS28に移行する。
【0050】
ステップS28では、無線配信サーバ100がシャットダウンされるなどして全ての処理を終了すべき状態であるか否かを、参加AP検出部162が判断し、ここでの判断が肯定されると、図6の全処理を終了する。一方、ステップS28の判断が否定された場合には、ステップS12に戻り、前述したのと同様の処理を実行する。
【0051】
(2)停留指示時について
次に、図7のステップS52の判断が否定された場合、すなわち、スタッフからグループに属するゲストに対する停留指示が出されている場合の処理について説明する。この処理は、グループの引率スタッフが、ゲストを引率していたが、何らかの理由で引率を中断して、ゲストをある箇所に停留させる場合の処理である。なお、スタッフは、停留指示を、スタッフ用端末の入力部60の停留ボタンを押すことで実行する。
【0052】
図7のステップS52が否定されステップS54に移行すると、目標AP特定部164が、引率スタッフの保持するスタッフ用端末によって設定されたアクセスポイントを参加すべきアクセスポイントに設定する。ここで、スタッフ用端末によって設定されたアクセスポイントとは、停留ボタンが押されたときにスタッフ用端末が参加していたアクセスポイントのことを意味する。したがって、例えば、スタッフ用端末が、図14に示すように、アクセスポイントAP33に参加しているとき(図15(b)の項目「端末参加AP」参照)に、スタッフS1により停留ボタンが押されたとすると、当該アクセスポイントAP33が参加すべきアクセスポイントとなる(図15(a)の項目「参加すべきAP」参照)。
【0053】
その後、図6のステップS18以降では、基本的には、上記(1)と同様の処理を行う。したがって、図14の状態から、図15(a)のテーブルに示すように、ゲスト(G3)がアクセスポイントAP33から離れて、別のアクセスポイント(AP44)に参加した場合には、時間T経過後(ステップS138)に、当該ゲストの保持するゲスト用端末に対して、警告情報を送信する(ステップS140)ことになる。すなわち、本処理では、ゲスト用端末の参加すべきアクセスポイントが固定されるので、その後、スタッフが移動しても、ゲストをその固定されたアクセスポイントに停留させることができるようになる。
【0054】
なお、スタッフ端末上でスタッフが停留指示を解除すれば、そのグループに関しては、以降、上述した「(1)スタッフ追従時」と同様の処理が実行されることになる。
【0055】
なお、本実施形態では、各引率スタッフは、スタッフ用端末の入力部60から、グループに属するゲストの所在通知を無線配信サーバ100に要求することができるようにしても良い。この場合、図5のステップS308(入力内容解析処理)において、入力内容が解析され、その要求内容が、無線配信サーバ100に通知されることになる。通知を受けた無線配信サーバ100は、要求が出されたスタッフ用端末に対して、グループに属するゲストのゲスト用端末が参加するアクセスポイントの位置を、例えば、施設のレイアウト図に重ね合わせた画像情報として通知する。なお、通知を受けたスタッフ用端末では、図5のステップS304(受信情報解析処理)において、受信内容を解析処理し、同端末の表示部70に表示することとする。
【0056】
(3)ルート追従時について
次に、図7のステップS52が肯定された場合、すなわち、ゲストが、許容ルートに沿って移動する場合の処理について、説明する。ここで、許容ルートとは、例えば病院側のスタッフが予め定めたルートであり、図16に示すように、参加すべきアクセスポイントの順番にて定義したものである。この許容ルートは、図17(b)に示すような許容ルート情報管理テーブル22において管理されている。許容ルート情報管理テーブル22は、許容ルートID、ルート名、ルートを定義するアクセスポイントの順序、が含まれている。なお、図16に示すルートは、図17(b)の「施設見学者ルート」である。なお、各ルートは、過去にスタッフがゲスト誘導をしたときに通過したアクセスポイントを、随時、スタッフ用端末から無線配信サーバに送信して、無線配信サーバにて記憶するようにしても良い。また、予め、ルートを設定するスタッフがスタッフ用端末を持ってルート上を歩き、その際に通過したアクセスポイントを、随時無線配信サーバにて記憶するようにしても良い。
【0057】
このルート追従時においては、ステップS56で、同一グループに属する端末が参加するアクセスポイントで最も多いものを取得するサブルーチンが実行される。このステップS56のサブルーチンでは、図9のフローチャートに沿った処理が実行される。
【0058】
図9のステップS70では、目標AP特定部164が、グループ番号mの端末が属するアクセスポイントを抽出して、抽出されたアクセスポイントの総数を値Kとして設定する。値Kは、アクセスポイントAP(k)の値kの最大値である。例えば、抽出されたアクセスポイントが、AP33とAP42であった場合には、抽出されたアクセスポイントの総数Kは2となり、AP(1)がAP33、AP(2)がAP42となる。
【0059】
次いで、ステップS72では、目標AP特定部164が、グループ番号mに設定されている参加すべきアクセスポイント(現在、参加すべきアクセスポイントに設定されているもの)をAP0とする。次いで、ステップS74では、目標AP特定部164が、アクセスポイントの番号kを1に設定する。
【0060】
次いで、ステップS76では、目標AP特定部164が、AP(k)(ここでは、AP(1))がセキュリティエリア内に存在しているか否かを判断する。ここでの判断が否定された場合には、目標AP特定部164は、ステップS80に移行するが、ここでの判断が肯定された場合には、ステップS78に移行する。
【0061】
ステップS78に移行した場合には、目標AP特定部164は、アクセスポイントAP(k)が許容ルート上にあるか否かを判断する。この場合、目標AP特定部164が、図17(b)の許容ルート情報管理テーブル22を参照して、アクセスポイントAP(k)が許容ルートに含まれるアクセスポイントであるか否かを判断する。ここでの判断が肯定された場合には、目標AP特定部164は、ステップS80に移行し、否定された場合には、ステップS82に移行する。
【0062】
ステップS80に移行した場合、目標AP特定部164は、同一のグループに属するゲスト用端末のうち、アクセスポイントAP(k)に参加している端末数U(k)を算出する。一方、ステップS82に移行した場合、目標AP特定部164は、端末数U(k)を0に設定する。すなわち、本実施形態では、着目するアクセスポイントAP(k)がセキュリティエリア内にない場合、及びセキュリティエリア内の許容ルート上にある場合のいずれかであれば、U(k)が実際にAP(k)に参加しているゲスト用端末の数となる。一方、着目するアクセスポイントAP(k)が、セキュリティエリア内にあり、かつ許容ルート上にはない場合には、U(k)は0となる。なお、ステップS82の処理で、U(k)を0に設定する理由については、後述する。
【0063】
上記ステップS80又はステップS82の処理の後は、目標AP特定部164は、ステップS84において、kがKと一致しているか否かを判断する。ここでの判断が否定された場合には、目標AP特定部164は、ステップS86に移行してkを1インクリメントした後、ステップS76に戻る。それ以降は、kを1ずつ大きくしつつ、全てのアクセスポイントAP(k)についてのU(k)を算出する。そして、ステップS84の判断が肯定された段階で、目標AP特定部164は、ステップS88に移行する。
【0064】
ステップS88では、目標AP特定部164は、U(k)の最大値が0より大きいか否かを判断する。ここでの判断が否定された場合、すなわち、U(k)の最大値が0の場合、換言すれば、ステップS70で抽出された全てのアクセスポイントAP(k)が、セキュリティエリア内にはあるものの、許容ルート上にはなかった場合、更に換言すれば、グループに属するゲストの誰も、セキュリティエリア外、又は許容ルート上に存在していなかった場合、には、ステップS96に移行する。ステップS96では、目標AP特定部164は、最大参加アクセスポイントとして、Nullを設定する。
【0065】
一方、ステップS88の判断が肯定された場合、すなわち、ステップS70で抽出されたアクセスポイントAP(k)の少なくとも1つが、セキュリティエリア外、又は許容ルート上にはあった場合には、ステップS90に移行する。ステップS90では、目標AP特定部164は、最大のU(k)が複数個あるか否かを判断する。ここでの判断が否定された場合、すなわち、最大のU(k)は1つのみであった場合には、ステップS94において、最大のU(k)であるアクセスポイントAP(k)を、最大参加APに設定する。なお、前述したステップS82において、セキュリティエリア内で許容ルート上以外にあるアクセスポイントのU(k)を必ず0に設定することとしたのは、ステップS94において、セキュリティエリア内で許容ルート上以外にあるアクセスポイントが最大参加APに設定されるのを防ぐためである。これに対し、セキュリティエリア内にない場合に、U(k)を実際の端末数としたのは、本実施形態では、セキュリティエリアの外側のエリアは、許容ルートの一部と看做しても問題が生じる可能性が低いからである。
【0066】
一方、ステップS90の判断が肯定された場合には、目標AP特定部164は、ステップS92に移行する。そして、ステップS92では、最大のU(k)となるアクセスポイントAP(k)のうち、ステップS72で定めたアクセスポイントAP0とは異なるアクセスポイントを1つ選択する。更に、ステップS94では、目標AP特定部164は、ステップS90で選択されたアクセスポイントを最大参加APに設定する。以上のようにして、ステップS94又はステップS96の処理が行われた後は、図7のステップS58に移行する。
【0067】
図7のステップS58では、目標AP特定部164は、ステップS56のサブルーチンにおいて取得したアクセスポイント(最大参加AP)を参加すべきアクセスポイントに設定する。
【0068】
次いで、ステップS60では、目標AP特定部164は、参加すべきアクセスポイントがNullか否かを判断する。ここでの判断が肯定された場合、すなわち参加すべきアクセスポイントがNullの場合には、ステップS48に移行する。この場合、目標AP特定部164は、参加すべきアクセスポイントとして、図9のステップS72においてAP0に設定されたアクセスポイントを維持することになる。
【0069】
一方、ステップS60の判断が否定された場合には、ステップS62において、グループ番号mの全端末の参加すべきアクセスポイントと映像IDを更新する処理が実行されることになる。具体的には、図10のフローチャートに沿った処理が実行される。なお、図10の処理は、図18に示すように、セキュリティエリア内に壁が存在し分岐が形成されているような場合に、予め撮影しておいた映像のうちの、どの映像をゲスト用端末に送るかを決定するための処理を行うものである。この図10の処理においては、図19に示すような、映像情報管理テーブル29を用いる。映像情報管理テーブル29には、映像ID、撮影地点のAP、行き先にあるAP等の項目が設定されている。この映像情報管理テーブル29では、例えば、図18のアクセスポイントAP42において、アクセスポイントAP33の方向を撮影した映像の映像IDがI1であることを示す。また、アクセスポイントAP42において、アクセスポイントAP43の方向を撮影した映像の映像IDがI2であることを示す。すなわち、図10では、例えば、アクセスポイントAP42に参加しているゲスト用端末に対して、映像IDがI1、I2のいずれの映像を送信(提供)すべきかが決定されるようになっている。
【0070】
図10のフローチャートでは、まず、ステップS102において、目標AP特定部164が、新たに設定する参加すべきアクセスポイントをAPnewとする。次いで、ステップS104では、目標AP特定部164が、グループ番号mの許容ルートIDをR0とする。次いで、ステップS106では、目標AP特定部164が、グループ番号mの端末総数Nを設定する。次いで、ステップS108では、目標AP特定部164が、端末番号nを1に設定する。
【0071】
次いで、ステップS110では、目標AP特定部164が、端末(n)の参加すべきアクセスポイントとステップS102で設定したAPnewとが、異なるか否かを判断する。ここでの判断が肯定された場合には、ステップS112に移行するが、判断が否定された場合には、ステップS124に移行する。ステップS124に移行した場合、すなわち、参加すべきアクセスポイントが、現時点で設定されているアクセスポイントから変わっていない場合には、目標AP特定部164は、端末(n)の映像IDをNullに設定する。
【0072】
一方、ステップS110の判断が肯定された場合には、ステップS112に移行して、目標AP特定部164が、端末(n)の参加すべきアクセスポイントとしてAPnewを設定する。次いで、ステップS114では、目標AP特定部164が、許容ルート情報管理テーブル22の許容ルートIDがR0であるアクセスポイントのリストの中からからAPnewに合致するアクセスポイントの次のアクセスポイントを行き先「APnext」として設定する。
【0073】
次いで、ステップS116では、目標AP特定部164が、図19の映像情報管理テーブル29に、撮影地点のアクセスポイントがAPnewで、行き先にあるアクセスポイントがAPnextである映像IDがあるか否かを判断する。ここでの判断が否定された場合には、目標AP特定部164は、ステップS124に移行するが、肯定された場合には、ステップS118に移行する。
【0074】
ステップS118では、目標AP特定部164は、ステップS116の条件に適合する映像IDを得て、図17(a)に示すゲスト情報管理テーブル28のうち、端末(n)の映像IDの項目に、得られた映像IDを設定する。その後は、ステップS120に移行する。
【0075】
ステップS120では、目標AP特定部164は、nがNと一致するか否かを判断する。ここでの判断が否定された場合には、ステップS122において、nを1インクリメント(n←n+1)した後、ステップS110に戻る。その後は、nを1ずつ大きくしながら、ステップS110以降の処理を上記と同様に繰り返し、ステップS120の判断が肯定された段階で、図10の処理(ステップS62のサブルーチン)を終了し、図7のステップS48に移行する。
【0076】
その後、図7の全処理を終了して図6のステップS18に移行すると、これ以降は、前述した「(1)スタッフ追従時」と同様の処理を行う。なお、前述のように、図9、図10の処理を経た場合には、目標AP特定部164は、ステップS22のサブルーチンにおいて、以下の処理を実行する。すなわち、図8の処理では、目標AP特定部164は、ステップS134において、端末(n)の映像IDがNullでないか否かを判断し、Nullでなければ、ステップS136に移行する。このステップS134において、Nullでないと判断される場合とは、図10のステップS110及びS116において判断が肯定されていた場合である。そして、ステップS136に移行すると、警告部166は、ゲスト情報管理テーブル28に登録されている映像IDに基づいて、映像データを記憶部20から読み出して、ゲスト用端末(n)に対して送信する。
【0077】
その後は、警告部166が、ステップS138、S140を上記と同様にして実行する。この場合、図20に示すように、許容ルートから外れたゲスト(G3)が存在した場合で、かつ、当該許容ルートから外れた時間が許容不整合時間Tよりも大きくなったときに、ステップS138の判断が肯定される。そして、ステップS138の判断が肯定された場合には、警告部166は、ステップS140にてゲスト用端末に対して警告情報の通知を行う。
【0078】
そして、図6のステップS24に移行すると、無線配信サーバ100では、ステップS24の判断が肯定されるまで、nを1ずつ大きくしながら、ステップS22のサブルーチンを繰り返す。そして、ステップS24の判断が肯定された段階で、ステップS28に移行し、ステップS28において、判断が肯定された場合には、図6の全処理を終了し、否定された場合には、ステップS12に戻る。
【0079】
以上説明したように、本実施形態によると、参加AP検出部162が、複数のゲスト用端末それぞれが参加するアクセスポイントを検出し(ステップS12)、目標AP特定部164が、複数のゲスト用端末以外の特定の端末(スタッフ用端末)が参加しているアクセスポイント、スタッフ用端末上で停留指示が出されたときのスタッフ用端末が参加していたアクセスポイント、許容ルートに沿った移動を行う場合においてゲスト用端末が最も多くが参加しているアクセスポイント、のいずれかを、ゲスト用端末が参加すべきアクセスポイントとして特定する(ステップS16)。そして、警告部166は、参加すべきアクセスポイントに参加していない時間が予め定めた時間Tを超えたゲスト用端末に対して、警告情報を送信する(ステップS22、S140)。これにより、本実施形態では、スタッフ用端末を有するスタッフがゲスト用端末を有するゲストを誘導する場合や、その誘導途中でゲストを所定場所に停留させる場合、あるいはゲスト用端末を有するゲストが許容ルートに沿って移動する場合において、各ゲストが存在するべき位置を参加すべきアクセスポイントにて定めることができる。したがって、当該参加すべきアクセスポイントに、時間Tよりも長い時間参加していないゲスト用端末に対して警告部166から警告情報を送信することとすることで、ゲスト用端末の位置が適当でない場合において、適切な警告を行うことが可能となる。これにより、グループに属するゲストのセキュリティエリア内での散らばりを抑制することができる。
【0080】
また、本実施形態によると、病院内のお知らせ情報などの各種情報を配信するアクセスポイントを用いて無線携帯端末200の位置検出を行うとともに、無線携帯端末200の位置すべき領域を特定することとしている。したがって、特別な位置検出装置を病院内に設けなくとも、端末の位置検出等を行うことができる。
【0081】
また、本実施形態によると、上述した「(3)ルート追従時」には、目標AP特定部164は、記憶部20に記憶されている許容ルート上のアクセスポイントのうち最も多くの端末が存在するアクセスポイントを、参加すべきアクセスポイントとして特定する。これにより、ルートから外れた位置するアクセスポイントが参加すべきアクセスポイントに設定されることがないので、ルートから外れたゲストを適切にルート上に誘導することが可能である。
【0082】
また、本実施形態によると、警告部166は、許容ルートの情報と、ゲスト用端末が現在参加しているアクセスポイントの情報とに基づいて、ゲスト用端末に対して進むべき方向を示す情報(映像)を送信する。これにより、ゲストを許容ルートに沿って、適切に誘導することが可能である。
【0083】
また、本実施形態では、「(2)停留指示時」には、目標AP特定部164は、スタッフ用端末上で停留ボタンが押されたときにスタッフ用端末が参加しているアクセスポイントを、ゲスト用端末が参加すべきアクセスポイントとする。したがって、スタッフ用端末上に地図情報を表示して、その地図上で参加すべきアクセスポイントを指定するような作業を行う場合と比べて、簡易に、参加すべきアクセスポイントを指定することが可能である。
【0084】
なお、上記実施形態では、「(2)停留指示時」には、スタッフ用端末上から、停留指示が出される場合について説明したが、これに限らず、ゲスト用端末上から行えるようにしても良い。これにより、たとえば、ゲストのグループが許容ルートに沿って移動している際に、グループのリーダなどが停留指示を出すことで、グループを適切な位置に停留させることができるようになる。
【0085】
なお、上記実施形態では「(3)ルート追従時」において、警告部166が、ゲスト用端末に対して予め撮影しておいた映像を送信する場合について説明したが、これに限られるものではない。これに代えて又はこれに加えて、警告部166は、例えば、ゲスト用端末の進路を示す地図情報をゲスト用端末に送信することとしても良い。なお、上記実施形態では映像等を警告部166が送信するものとして説明したが、これに限らず、警告部166とは別の送信部が、映像等をゲスト端末に対して送信することとしても良い。
【0086】
また、上記実施形態では、端末の存在するエリアを検出したり、端末の位置すべきエリアを特定するために、アクセスポイントを用いる場合について説明したが、これに限られるものではない。例えば、RFIDなどの位置検出装置を病院内に複数配置し、これにより、端末の存在するエリアを検出したり、位置すべきエリアを特定することとしても良い。
【0087】
なお、上記実施形態では、一例として病院内にアクセスポイントを複数配置して、端末管理を行う場合について説明したが、これに限られるものではない。例えば、原則、部外者の立ち入りを禁止している施設などにアクセスポイントを複数配置して、端末管理を行うこととしても良い。
【0088】
なお、本実施形態における無線配信サーバ100の処理機能は、コンピュータによって実現することができる。その場合、無線配信サーバ100が有すべき機能の処理内容を記述したプログラムが提供される。そのプログラムをコンピュータで実行することにより、上記処理機能がコンピュータ上で実現される。処理内容を記述したプログラムは、コンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録しておくことができる。
【0089】
プログラムを流通させる場合には、例えば、そのプログラムが記録されたDVD(Digital Versatile Disc)、CD−ROM(Compact Disc Read Only Memory)などの可搬型記録媒体の形態で販売される。また、プログラムをサーバコンピュータの記憶装置に格納しておき、ネットワークを介して、サーバコンピュータから他のコンピュータにそのプログラムを転送することもできる。
【0090】
プログラムを実行するコンピュータは、例えば、可搬型記録媒体に記録されたプログラムもしくはサーバコンピュータから転送されたプログラムを、自己の記憶装置に格納する。そして、コンピュータは、自己の記憶装置からプログラムを読み取り、プログラムに従った処理を実行する。なお、コンピュータは、可搬型記録媒体から直接プログラムを読み取り、そのプログラムに従った処理を実行することもできる。また、コンピュータは、サーバコンピュータからプログラムが転送されるごとに、逐次、受け取ったプログラムに従った処理を実行することもできる。
【0091】
また、無線携帯端末として、IDカード等を入れるカードフォルダを用いることができる。ゲスト用のIDカードのカードフォルダに組み込むことにより、別個の無線携帯端末を所持する必要がなくなり、配布忘れや返却忘れ等を抑止することが期待される。
【0092】
上述した実施形態は本発明の好適な実施の例である。但し、これに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変形実施可能である。
【符号の説明】
【0093】
200 無線携帯端末(端末)
162 参加AP検出部(現在エリア検出部)
164 目標AP特定部(目標エリア特定部)
166 警告部(送信部)
20 記憶部
100 無線配信サーバ(端末管理装置)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の端末それぞれが存在するエリアを検出する現在エリア検出部と、
前記複数の端末以外の特定の端末が存在するエリア、前記複数の端末のいずれか又は前記特定の端末において指定されたエリア、前記複数の端末のうち最も多くの台数が存在するエリア、のいずれかを、前記複数の端末が存在すべき目標エリアとして特定する目標エリア特定部と、
前記目標エリアに存在していない時間が予め定めた時間を超えた端末が存在していた場合に、当該端末に対して警告を出力する警告部と、を備える端末管理装置。
【請求項2】
前記現在エリア検出部は、前記端末との無線通信が可能なアクセスポイントの前記端末との通信状況に基づいて、前記端末の存在するエリアを検出することを特徴とする請求項1に記載の端末管理装置。
【請求項3】
前記複数の端末が通過すべきルートを記憶する記憶部を更に備え、
前記目標エリア特定部が、前記目標エリアを、前記複数の端末のうち最も多くの台数が存在するエリアに基づいて特定する場合、
前記目標エリア特定部は、前記記憶部に記憶されているルート上のエリアのうち最も多くの端末が存在するエリアを、目標エリアとして特定することを特徴とする請求項1又は2に記載の端末管理装置。
【請求項4】
前記記憶部が記憶する前記複数の端末が通過すべきルートと、前記端末の現在エリアとに基づいて、前記端末に対し、進むべき方向を示す情報を送信する送信部を更に備える請求項3に記載の端末管理装置。
【請求項5】
前記目標エリア特定部が、前記目標エリアを前記複数の端末のいずれか又は前記特定の端末において指定されたエリアに基づいて特定する場合、
前記特定されるエリアは、前記複数の端末のいずれか又は前記特定の端末において所定の入力がされたときの、当該端末の位置するエリアであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の端末管理装置。
【請求項6】
複数の端末それぞれが存在するエリアを検出する現在エリア検出工程と、
前記複数の端末のうちの特定の端末が存在するエリア、前記複数の端末のいずれか又は前記特定の端末において指定されたエリア、前記複数の端末のうち最も多くの台数が存在するエリア、のいずれかを、前記複数の端末が存在すべき目標エリアとして特定する目標エリア特定工程と、
前記目標エリアに存在していない時間が予め定めた時間を超えた端末が存在していた場合に、当該端末に対して警告を出力する警告工程と、を含む端末管理方法。
【請求項7】
コンピュータを、
複数の端末それぞれが存在するエリアを検出する現在エリア検出部、
前記複数の端末のうちの特定の端末が存在するエリア、前記複数の端末のいずれか又は前記特定の端末において指定されたエリア、前記複数の端末のうち最も多くの台数が存在するエリア、のいずれかを、前記複数の端末が存在すべき目標エリアとして特定する目標エリア特定部、及び
前記目標エリアに存在していない時間が予め定めた時間を超えた端末が存在していた場合に、当該端末に対して警告を出力する警告部、として機能させることを特徴とする端末管理プログラム。
【請求項1】
複数の端末それぞれが存在するエリアを検出する現在エリア検出部と、
前記複数の端末以外の特定の端末が存在するエリア、前記複数の端末のいずれか又は前記特定の端末において指定されたエリア、前記複数の端末のうち最も多くの台数が存在するエリア、のいずれかを、前記複数の端末が存在すべき目標エリアとして特定する目標エリア特定部と、
前記目標エリアに存在していない時間が予め定めた時間を超えた端末が存在していた場合に、当該端末に対して警告を出力する警告部と、を備える端末管理装置。
【請求項2】
前記現在エリア検出部は、前記端末との無線通信が可能なアクセスポイントの前記端末との通信状況に基づいて、前記端末の存在するエリアを検出することを特徴とする請求項1に記載の端末管理装置。
【請求項3】
前記複数の端末が通過すべきルートを記憶する記憶部を更に備え、
前記目標エリア特定部が、前記目標エリアを、前記複数の端末のうち最も多くの台数が存在するエリアに基づいて特定する場合、
前記目標エリア特定部は、前記記憶部に記憶されているルート上のエリアのうち最も多くの端末が存在するエリアを、目標エリアとして特定することを特徴とする請求項1又は2に記載の端末管理装置。
【請求項4】
前記記憶部が記憶する前記複数の端末が通過すべきルートと、前記端末の現在エリアとに基づいて、前記端末に対し、進むべき方向を示す情報を送信する送信部を更に備える請求項3に記載の端末管理装置。
【請求項5】
前記目標エリア特定部が、前記目標エリアを前記複数の端末のいずれか又は前記特定の端末において指定されたエリアに基づいて特定する場合、
前記特定されるエリアは、前記複数の端末のいずれか又は前記特定の端末において所定の入力がされたときの、当該端末の位置するエリアであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の端末管理装置。
【請求項6】
複数の端末それぞれが存在するエリアを検出する現在エリア検出工程と、
前記複数の端末のうちの特定の端末が存在するエリア、前記複数の端末のいずれか又は前記特定の端末において指定されたエリア、前記複数の端末のうち最も多くの台数が存在するエリア、のいずれかを、前記複数の端末が存在すべき目標エリアとして特定する目標エリア特定工程と、
前記目標エリアに存在していない時間が予め定めた時間を超えた端末が存在していた場合に、当該端末に対して警告を出力する警告工程と、を含む端末管理方法。
【請求項7】
コンピュータを、
複数の端末それぞれが存在するエリアを検出する現在エリア検出部、
前記複数の端末のうちの特定の端末が存在するエリア、前記複数の端末のいずれか又は前記特定の端末において指定されたエリア、前記複数の端末のうち最も多くの台数が存在するエリア、のいずれかを、前記複数の端末が存在すべき目標エリアとして特定する目標エリア特定部、及び
前記目標エリアに存在していない時間が予め定めた時間を超えた端末が存在していた場合に、当該端末に対して警告を出力する警告部、として機能させることを特徴とする端末管理プログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【公開番号】特開2011−199597(P2011−199597A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−64151(P2010−64151)
【出願日】平成22年3月19日(2010.3.19)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年3月19日(2010.3.19)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
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