端末装置、それと無線通信を行う無線基地局およびこれらを備える無線通信システム
【課題】無線基地局の識別子またはESSIDが同じネットワークにおいて単一のウェイクアップ信号で複数の無線基地局が起動する無駄を抑制可能な端末装置を提供する。
【解決手段】無線信号をそれぞれ通信範囲REG1〜REG3内に到達させる端末装置10における送信電力は、PW1,PW2(>PW1),PW3(>PW2)である。端末装置10は、無線基地局CNからウェイクアップ通知WNまたはアクティブ通知ANを受信するまで、送信電力PWをPW1,PW2,PW3へと増加させながらウェイクアップ信号WKEをブロードキャストする。
【解決手段】無線信号をそれぞれ通信範囲REG1〜REG3内に到達させる端末装置10における送信電力は、PW1,PW2(>PW1),PW3(>PW2)である。端末装置10は、無線基地局CNからウェイクアップ通知WNまたはアクティブ通知ANを受信するまで、送信電力PWをPW1,PW2,PW3へと増加させながらウェイクアップ信号WKEをブロードキャストする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、端末装置、それと無線通信を行う無線基地局およびこれらを備える無線通信システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、端末装置から簡易な無線信号を送信することによって、スリープ状態である無線基地局を必要な時だけ起動させて利用する省電力無線システムが知られている(非特許文献1〜3)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】伊藤哲也,近藤良久,阪田史郎,池永全志,四方博之,“無駄な消費電力量を削減するRadio-On-Demand Networks 概要,” 電子情報通信学会2011年総合大会 B-6-132 .
【非特許文献2】近藤良久,四方博之,湯素華,田中利康,岩井優仁,筒井英夫, 小花貞夫,“無線LAN信号を用いた無線LANアクセスポイントのオンデマンド ウェイクアップ方式,” 電子情報通信学会技術研究報告NS2010-185 (2011年3月).
【非特許文献3】難波耕祐,四方博之,近藤良久,湯素華,“ウェイクアップ受信機を用いたRadio-On-Demand NetworksのためのID設計に関する一検討,” 電子情報通信学会技術研究報告NS2010-187 (2011年3月).
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、同じネットワーク識別子(ESSID:Extended Service Set Identifier)が複数の無線基地局に割り当てられているネットワーク構成においては、単一の端末装置からのウェイクアップ要求にも拘わらず、複数の無線基地局が同時に起動し、無駄な電力を消費するという問題がある。また、ウェイクアップ信号がブロードキャストまたはマルチキャストで送信された場合も、同様の問題がある。
【0005】
そこで、この発明は、かかる問題を解決するためになされたものであり、その目的は、無線基地局の識別子またはESSIDが同じネットワークにおいて単一のウェイクアップ信号で複数の無線基地局が起動する無駄を抑制可能な端末装置を提供することである。
【0006】
また、この発明の別の目的は、無線基地局の識別子またはESSIDが同じネットワークにおいて単一のウェイクアップ信号で複数の無線基地局が起動する無駄を抑制可能な無線基地局を提供することである。
【0007】
更に、この発明の別の目的は、無線基地局の識別子またはESSIDが同じネットワークにおいて単一のウェイクアップ信号で複数の無線基地局が起動する無駄を抑制可能な無線通信システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明の実施の形態によれば、端末装置は、信号生成手段と、送信手段とを備える。信号生成手段は、スリープ状態にある無線基地局を起動させるためのウェイクアップ信号を生成する。送信手段は、信号生成手段によって生成されたウェイクアップ信号をブロードキャストするとともに、ウェイクアップ信号の送信回数の最大値の範囲内において、無線基地局が起動したことを示すウェイクアップ通知または無線基地局が起動状態であることを示すアクティブ通知を無線基地局から受信するまで送信電力を増加させながらウェイクアップ信号をブロードキャストする。
【0009】
また、この発明の実施の形態によれば、無線基地局は、受信手段と、判定手段と、起動手段と、通信手段とを備える。受信手段は、スリープ状態にある無線基地局を起動させるためのウェイクアップ信号を端末装置から受信する。判定手段は、受信手段によって受信されたウェイクアップ信号が当該無線基地局を起動させることを示すか否かを判定する。起動手段は、判定手段によってウェイクアップ信号が当該無線基地局を起動させることを示すと判定されると、端末装置の通信範囲において端末装置の周囲に存在する複数の無線基地局のうち、起動する無線基地局の割合を示す起動確率で起動信号を生成する。通信手段は、起動手段によって生成された起動信号に応じて起動する。
【0010】
更に、この発明の実施の形態によれば、無線基地局は、受信手段と、判定手段と、起動手段と、通信手段とを備える。受信手段は、スリープ状態にある無線基地局を起動させるためのウェイクアップ信号を端末装置から受信するとともに、ウェイクアップ信号を受信したときの受信信号強度を検出する。判定手段は、受信手段によって受信されたウェイクアップ信号が当該無線基地局を起動させることを示すか否かを判定する。起動手段は、判定手段によってウェイクアップ信号が当該無線基地局を起動させることを示すと判定されると、起動信号を生成する。通信手段は、起動手段によって生成された起動信号に応じて起動する。そして、通信手段は、起動信号に応じて起動すると、ウェイクアップ信号の受信信号強度と、当該無線基地局がスリープ状態であったかアクティブ状態であったかを示す状態情報とを含むウェイクアップ広告を当該無線基地局以外の他の無線基地局へブロードキャストし、他の無線基地局からウェイクアップ広告を受信しないとき、当該無線基地局が起動したことを示すウェイクアップ通知を端末装置へ送信して端末装置と無線リンクを確立し、またはスリープ状態へ移行する第1の処理を実行し、他の無線基地局からウェイクアップ広告を受信したとき、その受信したウェイクアップ広告に基づいて、第1の処理を実行し、またはウェイクアップ通知を端末装置へ送信せずにスリープ状態へ移行する第2の処理を実行する。
【0011】
更に、この発明の実施の形態によれば、無線通信システムは、端末装置と、n(nは2以上の整数)個の無線基地局とを備える。端末装置は、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の端末装置からなる。n個の無線基地局は、同一のネットワーク識別子が割り当てられた複数の無線基地局のグループを少なくとも2つ含み、スリープ状態にある無線基地局を起動させるためのウェイクアップ信号を端末装置から受信する。そして、n個の無線基地局の各々は、請求項5から請求項14のいずれか1項に記載の無線基地局からなる。
【発明の効果】
【0012】
この発明の実施の形態による端末装置は、送信電力を増加させながらウェイクアップ信号をブロードキャストする。その結果、ウェイクアップ信号は、徐々に端末装置からより遠くへ届き、端末装置の周囲に存在する複数の無線基地局は、端末装置に近い順にウェイクアップ信号を受信し、スリープ状態から起動状態へ移行する。
【0013】
従って、複数の無線基地局が同時に起動する無駄を抑制できる。
【0014】
また、この発明の実施の形態による無線基地局は、ウェイクアップ信号が自局を起動させることを示すと判定したとき、起動確率に従って起動する。その結果、ウェイクアップ信号が自局を起動させることを示すと判定したときに即座に無線基地局が起動する場合に比べ、ウェイクアップ信号によって起動される無線基地局の個数が抑制される。
【0015】
従って、複数の無線基地局が同時に起動する無駄を抑制できる。
【0016】
更に、この発明の実施の形態による無線基地局は、ウェイクアップ信号によって起動されると、ウェイクアップ広告を他の無線基地局とやり取りし、ウェイクアップ広告の受信の有無に応じて、端末装置と無線リンクを確立し、またはスリープ状態へ移行する。その結果、ウェイクアップ信号によって起動されると、全ての無線基地局が端末装置と無線リンクを確立する場合に比べ、最終的に起動状態を維持する無線基地局の個数が少なくなる。
【0017】
従って、複数の無線基地局が同時に起動する無駄を抑制できる。
【0018】
更に、この発明の実施の形態によれば、無線通信システムは、上述した端末装置および無線基地局を備える。
【0019】
従って、複数の無線基地局が同時に起動する無駄を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】この発明の実施の形態による無線通信システムの概略図である。
【図2】図1に示す無線基地局の実施の形態1における構成図である。
【図3】図1に示す端末装置の構成図である。
【図4】実施の形態1における無線基地局を起動させる方法を説明するための概念図である。
【図5】送信回数と送信電力との関係を示すテーブルの概念図である。
【図6】無線基地局がスリープ状態であるときの端末装置および無線基地局の動作を説明するためのフローチャートである。
【図7】無線基地局が起動状態であるときの端末装置および無線基地局の動作を説明するためのフローチャートである。
【図8】端末装置の動作を説明するためのフローチャートである。
【図9】無線基地局の動作を説明するためのフローチャートである。
【図10】実施の形態2における無線基地局の構成図である。
【図11】端末装置の周囲に存在する無線基地局の個数Nを推定する方法を説明するための概念図である。
【図12】無線基地局の実施の形態2における動作を説明するためのフローチャートである。
【図13】実施の形態3における無線基地局の構成図である。
【図14】ウェイクアップ信号の受信回数と定数βとの関係を示すテーブルの概念図である。
【図15】実施の形態4における無線基地局の構成図である。
【図16】実施の形態5における無線基地局の構成図である。
【図17】実施の形態5における無線基地局および端末装置の動作を説明するためのフローチャートである。
【図18】実施の形態5における無線基地局の動作を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰返さない。
【0022】
図1は、この発明の実施の形態による無線通信システムの概略図である。図1を参照して、この発明の実施の形態による無線通信システム100は、無線基地局1〜n(nは2以上の整数)と、端末装置10とを備える。
【0023】
無線基地局1〜nの各々は、端末装置10と無線通信を行う起動状態と、端末装置10と無線通信(=データの送受信)を行うことができないスリープ状態とを有する。また、この発明の実施の形態においては、無線基地局1〜nのうち、複数の無線基地局は、同じESSIDが割り当てられており、無線基地局1〜nのうち、別の複数の無線基地局は、別の同じESSIDが割り当てられていてもよい。即ち、無線基地局1〜nは、同一のネットワーク識別子(ESSID)が割り当てられた複数の無線基地局のグループを少なくとも2つ含んでいてもよい。
【0024】
無線基地局1〜nの各々は、スリープ状態にあるときに、無線基地局を起動させるためのウェイクアップ信号WKEを端末装置10から受信すると、後述する方法によってスリープ状態から起動状態へ移行する。そして、無線基地局1〜nの各々は、起動状態へ移行すると、端末装置10を管理するためのビーコンフレームBeacon(=管理フレーム)を定期的に送信し、端末装置10との間で無線リンクを確立する。そうすると、無線基地局1〜nの各々は、例えば、2.45GHz帯で端末装置10と無線通信を行う。
【0025】
端末装置10は、ウェイクアップ信号WKEを生成してブロードキャストする。そして、端末装置10は、後述する方法によって、無線基地局1〜nのいずれかと無線リンクを確立し、2.45GHz帯で無線通信を行う。
【0026】
[実施の形態1]
図2は、図1に示す無線基地局1の実施の形態1における構成図である。図2を参照して、無線基地局1は、アンテナ11,12と、ウェイクアップ装置13と、メイン装置14と、電源15とを含む。
【0027】
アンテナ11は、ウェイクアップ装置13に接続される。アンテナ12は、メイン装置14に接続される。
【0028】
ウェイクアップ装置13は、例えば、100μWの電力を電源15から受け、その受けた電力によって駆動される。また、ウェイクアップ装置13は、メイン装置14から無線基地局1のIDを受けて保持している。そして、ウェイクアップ装置13は、アンテナ11を介して端末装置10からウェイクアップ信号WKEをチャネルXで受信すると、その受信したウェイクアップ信号WKEに含まれるウェイクアップIDが無線基地局1のIDに一致するか否かを判定する。ウェイクアップ装置13は、ウェイクアップIDが無線基地局1のIDに一致すると判定したとき、起動信号を生成し、その生成した起動信号をメイン装置14へ出力する。
【0029】
一方、ウェイクアップ装置13は、ウェイクアップIDが無線基地局1のIDに一致しないとき、ウェイクアップ信号を破棄する。そして、ウェイクアップ装置13は、ウェイクアップ信号の受信を待つ状態になる。
【0030】
なお、ウェイクアップ装置13は、ウェイクアップ信号WKE等のパケットを受信する機能のみを有し、パケットを送信する機能を有しない。また、チャネルXは、2.45GHz帯の1つの周波数に設定され、固定されたチャネルである。
【0031】
メイン装置14は、例えば、7Wの電力を電源15から受け、その受けた電力によって駆動される。また、メイン装置14は、無線基地局1のIDをウェイクアップ装置13へ出力する。
【0032】
メイン装置14は、スリープ状態にあるときに、ウェイクアップ装置13から起動信号を受けると、スリープ状態から起動状態へ移行する。そして、メイン装置14は、無線基地局1が起動したことを示すウェイクアップ通知WN(Wake−up Notification)を生成し、その生成したウェイクアップ通知WNをアンテナ12を介してチャネルXで端末装置10へ送信する。その後、メイン装置14は、ウェイクアップ通知WNに対する応答であるウェイクアップ通知応答RWN(Reply to WN)をアンテナ12を介してチャネルXで端末装置10から受信すると、チャネルYで端末装置10との間でアソシエーションを行い、端末装置10との間で無線リンクを確立する。そうすると、メイン装置14は、端末装置10とチャネルYで無線通信を行う。また、メイン装置14は、有線ケーブル(図示せず)を介して他の通信装置と通信を行う。
【0033】
更に、メイン装置14は、起動状態であるときに、ウェイクアップ装置13から起動信号を受けると、無線基地局1が起動中であることを示すアクティブ通知AN(Active Notification)を生成し、その生成したアクティブ通知ANをアンテナ12を介してチャネルXで端末装置10へ送信する。そして、メイン装置14は、チャネルYで端末装置10との間でIEEE802.11のアソシエーションを行い、端末装置10との間で無線リンクを確立する。そうすると、メイン装置14は、チャネルYで端末装置10と無線通信を行う。
【0034】
電源15は、100μWの電力をウェイクアップ装置13へ供給し、7Wの電力をメイン装置14へ供給する。
【0035】
ウェイクアップ装置13は、ウェイクアップ信号受信器131と、ウェイクアップ判定器132とを含む。メイン装置14は、無線通信モジュール141と、有線通信モジュール142と、ホストシステム143とを含む。
【0036】
ウェイクアップ信号受信器131は、パケットを受信する機能のみを有し、パケットを送信する機能を有しない。
【0037】
ウェイクアップ信号受信器131は、チャネルXを有する。そして、ウェイクアップ信号受信器131は、チャネルXでウェイクアップ信号WKEを待ち受ける。
【0038】
ウェイクアップ信号受信器131は、ウェイクアップ信号WKEをアンテナ11を介して受信すると、その受信したウェイクアップ信号WKEを復調し、その復調したウェイクアップ信号WKEをウェイクアップ判定器132へ出力する。
【0039】
ウェイクアップ判定器132は、無線基地局1のIDをホストシステム143から受けて保持している。ウェイクアップ判定器132は、復調されたウェイクアップ信号WKEをウェイクアップ信号受信器131から受ける。そして、ウェイクアップ判定器132は、その受けたウェイクアップ信号WKEに含まれるウェイクアップIDを抽出する。
【0040】
そうすると、ウェイクアップ判定器132は、ウェイクアップIDが無線基地局1のIDに一致するか否かを判定する。ウェイクアップ判定器132は、ウェイクアップIDが無線基地局1のIDに一致すると判定したとき、起動信号を生成し、その生成した起動信号をメイン装置14のホストシステム143へ出力する。一方、ウェイクアップ判定器132は、ウェイクアップIDが無線基地局1のIDに一致しないと判定したとき、その抽出したウェイクアップIDを破棄する。
【0041】
無線通信モジュール141は、ホストシステム143からコマンド信号COM1を受けると、起動状態からスリープ状態へ移行し、ホストシステム143からコマンド信号COM2を受けると、スリープ状態から起動状態へ移行する。なお、このスリープ状態は、無線通信モジュール141が動作を停止した状態である。
【0042】
無線通信モジュール141は、スリープ状態から起動状態へ移行し、かつ、ウェイクアップ通知WNをホストシステム143から受けると、その受けたウェイクアップ通知WNを無線LANの通信方式によって変調してチャネルXで端末装置10へ送信する。
【0043】
その後、無線通信モジュール141は、ウェイクアップ通知応答RWNをアンテナ12を介して端末装置10からチャネルXで受信し、その受信したウェイクアップ通知応答RWNをホストシステム143へ出力する。そして、無線通信モジュール141は、端末装置10との間でアソシエーションを行う指示をホストシステム143から受けると、チャネルYで端末装置10との間でIEEE802.11のアソシエーションを行い、端末装置10との間で無線リンクを確立する。そうすると、無線通信モジュール141は、ホストシステム143から受けたデータを含むパケットを生成し、その生成したパケットをチャネルYで端末装置10へ送信する。なお、チャネルYは、メイン装置14がスリープ状態へ移行する前に決定されており、2.45GHz帯において任意に決定された1つの周波数を有する周波数チャネルからなる。そして、チャネルYは、2.45GHz帯において任意の1つの周波数チャネルに決定されるので、チャネルXと同一になる場合もあれば、チャネルXと異なる場合もある。
【0044】
また、無線通信モジュール141は、アクティブ通知ANをホストシステム143から受けると、その受けたアクティブ通知ANを無線LANの通信方式によって変調してチャネルXで端末装置10へ送信する。
【0045】
そして、無線通信モジュール141は、端末装置10との間でアソシエーションを行う指示をホストシステム143から受けると、端末装置10との間でチャネルYでIEEE802.11のアソシエーションを行い、端末装置10との間で無線リンクを確立する。そうすると、無線通信モジュール141は、ホストシステム143から受けたデータを含むパケットを生成し、その生成したパケットをチャネルYで端末装置10へ送信する。
【0046】
更に、無線通信モジュール141は、アンテナ12を介してチャネルYで端末装置10からパケットを受信すると、その受信したパケットからデータを取り出してホストシステム143へ出力する。
【0047】
有線通信モジュール142は、有線ケーブル(図示せず)を介して他の通信装置からデータを受信し、その受信したデータをホストシステム143へ出力する。
【0048】
また、有線通信モジュール142は、ホストシステム143からデータを受け、その受けたデータを有線ケーブル(図示せず)を介して他の通信装置へ送信する。
【0049】
更に、有線通信モジュール142は、ホストシステム143からコマンド信号COM1を受けると、起動状態からスリープ状態へ移行し、ホストシステム143からコマンド信号COM2を受けると、スリープ状態から起動状態へ移行する。なお、このスリープ状態は、有線通信モジュール142が動作を停止した状態である。
【0050】
ホストシステム143は、無線基地局1のIDを予め保持しており、起動状態であるときに、その保持している無線基地局1のIDをウェイクアップ判定器132へ出力する。
【0051】
また、ホストシステム143は、スリープ状態へ移行する前に端末装置10との間でデータを送受信するために使用していたチャネルYを保持している。
【0052】
更に、ホストシステム143は、スリープ状態であるときにウェイクアップ判定器132から起動信号を受けると、スリープ状態から起動状態へ移行する。そして、ホストシステム143は、コマンド信号COM2を生成して無線通信モジュール141および有線通信モジュール142へ出力する。その後、ホストシステム143は、チャネルYと無線基地局1のアドレスとを含むウェイクアップ通知WNを生成し、その生成したウェイクアップ通知WNを無線通信モジュール141へ出力する。
【0053】
ホストシステム143は、ウェイクアップ通知WNを無線通信モジュール141へ出力した後、一定期間、ウェイクアップ通知応答RWNを無線通信モジュール141から受けないとき、コマンド信号COM1を無線通信モジュール141および有線通信モジュール142へ出力し、その後、起動状態からスリープ状態へ移行する。
【0054】
一方、ホストシステム143は、ウェイクアップ通知WNを無線通信モジュール141へ出力した後、一定期間内に、ウェイクアップ通知応答RWNを無線通信モジュール141から受けると、ウェイクアップ通知応答RWNを送信した端末装置10との間でアソシエーションを行う指示を無線通信モジュール141へ出力する。
【0055】
更に、ホストシステム143は、起動状態であるときに、ウェイクアップ判定器132から起動信号を受けると、チャネルYと無線基地局1のアドレスとを含むアクティブ通知ANを生成し、その生成したアクティブ通知ANを無線通信モジュール141へ出力する。そして、ホストシステム143は、端末装置10との間でアソシエーションを行う指示を無線通信モジュール141へ出力する。
【0056】
更に、ホストシステム143は、無線通信モジュール141からデータを受けると、その受けたデータを有線通信モジュール142へ出力する。
【0057】
更に、ホストシステム143は、有線通信モジュール142からデータを受けると、その受けたデータを無線通信モジュール141へ出力する。
【0058】
更に、ホストシステム143は、無線基地局1の通信範囲内に存在する端末装置を管理する。
【0059】
なお、図1に示す無線基地局2〜nの各々も、図2に示す無線基地局1と同じ構成からなる。
【0060】
図3は、図1に示す端末装置10の構成図である。図3を参照して、端末装置10は、アンテナ21と、無線通信モジュール22と、ホストシステム23とを含む。
【0061】
無線通信モジュール22は、ウェイクアップ信号WKEをブロードキャストするためのチャネルXが予め設定されている。また、無線通信モジュール22は、ウェイクアップ信号WKEを1回送信するのに要する時間Tretryと、無線基地局と接続するまでに要する許容遅延時間Tdelayとを予め保持している。
【0062】
無線通信モジュール22は、ウェイクアップ信号WKEをホストシステム23から受け、その受けたウェイクアップ信号WKEをオンオフキーイングの変調方式によって変調し、その変調したウェイクアップ信号WKEをアンテナ21を介してチャネルXでブロードキャストする。
【0063】
このオンオフキーイングの変調方式は、伝送レートが数十kbps〜数百kbpsである変調方式であり、通常の無線LANに用いられる変調方式よりも伝送レートが低い。このように伝送レートが低い変調方式によってウェイクアップ信号WKEを変調するのは、100μWという非常に低い電力で動作するウェイクアップ装置13によってウェイクアップ信号WKEを復調できるようにするためである。
【0064】
無線通信モジュール22は、ウェイクアップ信号WKEをブロードキャストしてから一定期間の間に、ウェイクアップ通知WNまたはアクティブ通知ANを受信しないとき、送信電力を大きくしてウェイクアップ信号WKEを再びブロードキャストする。その後、無線通信モジュール22は、一定期間の間に、ウェイクアップ通知WNまたはアクティブ通知ANを受信しないとき、送信電力を更に大きくしてウェイクアップ信号WKEを再びブロードキャストする。無線通信モジュール22は、この動作をウェイクアップ信号WKEの送信回数が最大送信回数Rmaxに達するまで繰り返し行う。
【0065】
なお、最大送信回数Rmaxは、許容遅延時間Tdelayを時間Tretryによって除算した除算結果を超えない最大の整数からなる。
【0066】
そして、無線通信モジュール22は、ウェイクアップ信号WKEをブロードキャストした後、接続先の無線基地局CN(=無線基地局1〜nのいずれか)からアンテナ21を介してウェイクアップ通知WNをチャネルXで受信し、その受信したウェイクアップ通知WNをホストシステム23へ出力する。
【0067】
また、無線通信モジュール22は、ホストシステム23からウェイクアップ通知応答RWNを受けると、その受けたウェイクアップ通知応答RWNを無線LANの変調方式によって変調し、その変調したウェイクアップ通知応答RWNをチャネルXでアンテナ21を介して無線基地局CNへ送信する。その後、無線通信モジュール22は、無線基地局CNとの間でデータを送受信するためのチャネルYをホストシステム23から受けると、アンテナ21を介してチャネルYでビーコンフレームBeaconを無線基地局CNから受信する。そして、無線通信モジュール22は、ホストシステム23からの指示に従ってチャネルYで無線基地局CNとの間でIEEE802.11のアソシエーションを行い、無線基地局CNとの間で無線リンクを確立する。
【0068】
更に、無線通信モジュール22は、アンテナ21を介して無線基地局CNからアクティブ通知ANをチャネルXで受信し、その受信したアクティブ通知ANをホストシステム23へ出力する。そして、無線通信モジュール22は、チャネルYをホストシステム23から受けると、ホストシステム23からの指示に従ってチャネルYで無線基地局CNとの間でIEEE802.11のアソシエーションを行い、無線基地局CNとの間で無線リンクを確立する。
【0069】
無線通信モジュール22は、無線基地局CNとの間で無線リンクを確立すると、無線基地局CNとチャネルYで無線通信を行う。より具体的には、無線通信モジュール22は、アンテナ21を介して無線基地局CNからパケットをチャネルYで受信し、その受信したパケットを復調してデータを取り出し、その取り出したデータをホストシステム23へ出力する。また、無線通信モジュール22は、ホストシステム23からデータを受け、その受けたデータを含むパケットを生成し、その生成したパケットを無線LANによる変調方式によって変調し、その変調したパケットをチャネルYでアンテナ21を介して無線基地局CNへ送信する。
【0070】
ホストシステム23は、ウェイクアップ信号生成器231を含む。ウェイクアップ信号生成器231は、コマンド信号COM3およびESSID(またはBSSID)をホストシステム23から受けると、ESSID、BSSIDおよびそれらのハッシュ値のいずれかからなるウェイクアップIDを生成し、その生成したウェイクアップIDを含むウェイクアップ信号WKEを生成する。なお、ウェイクアップIDは、端末装置10が起動させる無線基地局を示す情報である。
【0071】
そして、ウェイクアップ信号生成器231は、その生成したウェイクアップ信号WKEを無線通信モジュール22へ出力する。
【0072】
ホストシステム23は、無線通信モジュール22がアンテナ21を介して受信したビーコンフレームBeaconを無線通信モジュール22から受ける。そして、ホストシステム23は、その受けたビーコンフレームBeaconに含まれるESSIDまたはBSSIDを取り出して管理するとともに、ESSIDまたはBSSIDに基づいて、端末装置10が帰属する無線基地局CNを管理する。
【0073】
また、ホストシステム23は、無線基地局CNからビーコンフレームBeaconを受信しないとき、無線基地局CNがスリープ状態であると判定し、コマンド信号COM3およびESSID(またはBSSID)をウェイクアップ信号生成器231へ出力する。
【0074】
更に、ホストシステム23は、ウェイクアップ通知WNを無線通信モジュール22から受けると、ウェイクアップ通知WNからチャネルYを取り出し、その取り出したチャネルYを無線通信モジュール22へ出力する。そして、ホストシステム23は、ウェイクアップ通知WNに対する応答であるウェイクアップ通知応答RWNを生成して無線通信モジュール22へ出力する。このウェイクアップ通知応答RWNは、無線基地局CNのアドレスと、端末装置10のアドレスとを含む。その後、ホストシステム23は、無線基地局CNとの間でアソシエーションを行うための指示を無線通信モジュール22へ出力する。
【0075】
更に、ホストシステム23は、アクティブ通知ANを無線通信モジュール22から受けると、アクティブ通知ANからチャネルYを取り出し、その取り出したチャネルYを無線通信モジュール22へ出力する。そして、ホストシステム23は、無線基地局CNとの間でアソシエーションを行うための指示を無線通信モジュール22へ出力する。
【0076】
更に、ホストシステム23は、無線通信モジュール22からデータを受けるとともに、データを生成して無線通信モジュール22へ出力する。
【0077】
図4は、実施の形態1における無線基地局を起動させる方法を説明するための概念図である。また、図5は、送信回数と送信電力との関係を示すテーブルの概念図である。
【0078】
図4を参照して、端末装置10が接続しようとする無線基地局CNは、端末装置10の通信範囲REG1,REG2外であり、かつ、端末装置10の通信範囲REG3内に存在する。そして、通信範囲REG1〜REG3は、端末装置10の送信電力によって規定されるウェイクアップ信号WKEの到達可能領域である。従って、ウェイクアップ信号WKEは、端末装置10の送信電力が大きくなるに従って、より遠くまで送信される。
【0079】
端末装置10の無線通信モジュール22は、図5に示すテーブルTBL1を保持している。図5を参照して、テーブルTBL1は、送信回数と送信電力とを含む。送信回数および送信電力は、相互に対応付けられる。送信回数は、ウェイクアップ信号WKEの送信回数であり、送信電力は、ウェイクアップ信号WKEの送信電力である。
【0080】
送信回数が1回目であるときの送信電力(=0[dBm])は、送信電力の初期値であり、無線基地局をウェイクアップさせることができた前回の電力値からなっていてもよいし、WLANにおけるデータ通信の範囲までウェイクアップ信号WKEを到達可能な電力値からなっていてもよい。
【0081】
端末装置10の無線通信モジュール22は、ウェイクアップ信号WKEを最初にブロードキャストする場合、テーブルTBL1を参照して、0[dBm]の送信電力を検出し、その検出した0dBmの送信電力でウェイクアップ信号WKEをブロードキャストする。この0[dBm]の送信電力は、ウェイクアップ信号WKEを通信範囲REG1内へ送信可能な送信電力である。
【0082】
無線基地局CNは、ウェイクアップ信号WKEを受信できないので、ウェイクアップ通知WNおよびアクティブ通知ANのいずれも端末装置10へ送信しない。
【0083】
そして、端末装置10の無線通信モジュール22は、ウェイクアップ信号WKEを最初にブロードキャストしてから一定期間内に、ウェイクアップ通知WNまたはアクティブ通知ANを無線基地局CNから受信しないとき、テーブルTBL1を参照して、2回目の送信回数に対応する4[dBm]の送信電力を検出する。この4[dBm]の送信電力は、ウェイクアップ信号WKEを通信範囲REG2内へ送信可能な送信電力である。
【0084】
この場合も、無線基地局CNは、ウェイクアップ信号WKEを受信できないので、ウェイクアップ通知WNおよびアクティブ通知ANのいずれも端末装置10へ送信しない。
【0085】
端末装置10の無線通信モジュール22は、ウェイクアップ信号WKEを2回目にブロードキャストしてから一定期間内に、ウェイクアップ通知WNまたはアクティブ通知ANを無線基地局CNから受信しないとき、テーブルTBL1を参照して、3回目の送信回数に対応する10[dBm]の送信電力を検出する。この10[dBm]の送信電力は、ウェイクアップ信号WKEを通信範囲REG3内へ送信可能な送信電力である。
【0086】
無線基地局CNは、ウェイクアップ信号WKEを受信し、スリープ状態から起動状態へ移行する。そして、無線基地局CNは、ウェイクアップ通知WNを生成して端末装置10へ送信する。なお、無線基地局CNは、起動中に、ウェイクアップ信号WKEを受信したとき、アクティブ通知ANを生成して端末装置10へ送信する。
【0087】
そして、端末装置10は、ウェイクアップ通知WNを無線基地局CNから受信し、ウェイクアップ通知応答RWNを無線基地局CNへユニキャストする。その後、端末装置10は、チャネルYでビーコンフレームBeaconを無線基地局CNから受信し、チャネルYで無線基地局CNとIEEE802.11のアソシエーションを行い、無線基地局CNと無線リンクを確立する。そうすると、端末装置10は、無線基地局CNとチャネルYで無線通信を行う。
【0088】
なお、端末装置10は、アクティブ通知ANを無線基地局CNから受信したとき、ウェイクアップ通知応答RWNを無線基地局CNへ送信せずに、チャネルYで即座に無線基地局CNとの間でIEEE802.11のアソシエーションを行い、無線基地局CNと無線リンクを確立する。
【0089】
このように、端末装置10は、ウェイクアップ信号WKEの最大送信回数Rmaxの範囲内において、ウェイクアップ通知WNまたはアクティブ通知ANを受信するまで、テーブルTBL1に従って送信電力を増加させながらウェイクアップ信号WKEを繰り返しブロードキャストし、無線基地局CNに接続する。
【0090】
図6は、無線基地局CNがスリープ状態であるときの端末装置10および無線基地局CNの動作を説明するためのフローチャートである。なお、図6においては、ホストシステム143の下側の縦の点線は、ホストシステム143がスリープ状態であることを意味し、縦の実線は、ホストシステム143が起動状態であることを意味する。また、図6においては、端末装置10が送信電力を増加させながらウェイクアップ信号WKEをブロードキャストし、無線基地局CNが最大送信回数Rmaxの範囲内においてウェイクアップ信号WKEを受信することを前提として端末装置10および無線基地局CNの動作を説明する。
【0091】
図6を参照して、端末装置10は、上述した動作によってウェイクアップ信号WKEをチャネルXでブロードキャストする(ステップS1)。そして、無線基地局CNのウェイクアップ装置13は、アンテナ11を介してウェイクアップ信号WKEをチャネルXで受信し、その受信したウェイクアップ信号WKEを復調してウェイクアップIDを取り出す。その後、無線基地局CNのウェイクアップ装置13は、ウェイクアップIDが無線基地局CNのIDに一致すると判定し、起動信号を生成してホストシステム143へ出力する(ステップS2)。
【0092】
そうすると、無線基地局CNのホストシステム143は、起動信号に応じてスリープ状態から起動状態へ移行する(ステップS3)。そして、無線基地局CNのホストシステム143は、コマンド信号COM2を生成して無線通信モジュール141へ出力する。その後、無線基地局CNのホストシステム143は、チャネルYと無線基地局CNのアドレスとを含むウェイクアップ通知WNを生成し、その生成したウェイクアップ通知WNを無線通信モジュール141へ出力する。
【0093】
無線基地局CNの無線通信モジュール141は、ホストシステム143からのコマンド信号COM2に応じてスリープ状態から起動状態へ移行する。そして、無線基地局CNの無線通信モジュール141は、ウェイクアップ通知WNをホストシステム143から受けると、その受けたウェイクアップ通知WNを無線LANの変調方式によって変調し、その変調したウェイクアップ通知WNをチャネルXでアンテナ12を介して端末装置10へ送信する(ステップS4)。
【0094】
端末装置10の無線通信モジュール22は、アンテナ21を介してチャネルXでウェイクアップ通知WNを受信し、その受信したウェイクアップ通知WNをホストシステム23へ出力する。
【0095】
端末装置10のホストシステム23は、ウェイクアップ通知WNを無線通信モジュール22から受け、その受けたウェイクアップ通知WNからチャネルYを取り出して無線通信モジュール22へ出力する。また、端末装置10のホストシステム23は、ウェイクアップ通知WNに応じてウェイクアップ通知応答RWNを生成して無線通信モジュール22へ出力する。
【0096】
端末装置10の無線通信モジュール22は、ウェイクアップ通知応答RWNをホストシステム23から受け、その受けたウェイクアップ通知応答RWNを無線LANの変調方式によって変調し、その変調したウェイクアップ通知応答RWNをチャネルXで無線基地局CNへユニキャストする(ステップS5)。
【0097】
無線基地局CNの無線通信モジュール141は、アンテナ12を介してチャネルXでウェイクアップ通知応答RWNを受信し、その受信したウェイクアップ通知応答RWNをホストシステム143へ出力する。
【0098】
無線基地局CNのホストシステム143は、ウェイクアップ通知応答RWNを無線通信モジュール141から受け、端末装置10が無線基地局CNの起動状態への移行を検知したことを検出する。
【0099】
そして、無線基地局CNのホストシステム143は、チャネルの変更を無線通信モジュール141へ指示する。無線基地局CNの無線通信モジュール141は、ホストシステム143からの指示に応じて、チャネルをチャネルYに変更する(ステップS6)。
【0100】
端末装置10の無線通信モジュール22も、同様にしてチャネルをチャネルYに変更する(ステップS7)。
【0101】
その後、無線基地局CNのホストシステム143は、ビーコンフレームBeaconを生成して無線通信モジュール141へ出力し、端末装置10との間でアソシエーションを行うように無線通信モジュール141に指示する。
【0102】
そうすると、無線基地局CNの無線通信モジュール141は、ホストシステム143からの指示に応じて、ビーコンフレームBeaconをチャネルYで送信する。
【0103】
そして、無線基地局CNのホストシステム143は、無線通信モジュール141を介して端末装置10とチャネルYでIEEE802.11のアソシエーションを行い(ステップS8)、端末装置10との間で無線リンクを確立する。
【0104】
その後、無線基地局CNのホストシステム143は、無線通信モジュール141を介して端末装置10とチャネルYで無線通信を行う(ステップS9)。
【0105】
これによって、一連の動作が終了する。
【0106】
このように、無線基地局CNは、スリープ状態であるときに端末装置10からウェイクアップ信号WKEを受信すると、スリープ状態から起動状態へ移行し、ウェイクアップ通知WNの端末装置10への送信と、ウェイクアップ通知応答RWNの端末装置10からの受信とをチャネルXで行うとともに、端末装置10との間でIEEE802.11のアソシエーションおよび無線通信をチャネルYで行う。
【0107】
図7は、無線基地局CNが起動状態であるときの端末装置10および無線基地局CNの動作を説明するためのフローチャートである。
【0108】
図7を参照して、一連の動作が開始されると、端末装置10は、上述した動作に従ってウェイクアップ信号WKEをチャネルXでブロードキャストする(ステップS11)。
【0109】
そして、無線基地局CNのウェイクアップ装置13は、アンテナ11を介してウェイクアップ信号WKEをチャネルXで受信し、その受信したウェイクアップ信号WKEを復調してウェイクアップIDを取り出す。その後、無線基地局CNのウェイクアップ装置13は、ウェイクアップIDが無線基地局CNのIDに一致すると判定し、起動信号を生成してホストシステム143へ出力する(ステップS12)。
【0110】
そうすると、無線基地局CNのホストシステム143は、起動信号に応じて、チャネルをチャネルXに変更するように無線通信モジュール141に指示する。無線基地局CNの無線通信モジュール141は、ホストシステム143からの指示に応じて、チャネルをチャネルXに変更する(ステップS13)。
【0111】
その後、無線基地局CNのホストシステム143は、チャネルYと無線基地局CNのアドレスとを含むアクティブ通知ANを生成して無線通信モジュール141へ出力し、無線通信モジュール141は、ホストシステム143から受けたアクティブ通知ANを無線LANの変調方式によって変調し、その変調したアクティブ通知ANをチャネルXで端末装置10へ送信する(ステップS14)。
【0112】
端末装置10の無線通信モジュール22は、アンテナ21を介してキャリアセンスを行い、アクティブ通知ANをチャネルXで受信し、その受信したアクティブ通知ANを復調してホストシステム23へ出力する。
【0113】
端末装置10のホストシステム23は、無線通信モジュール22からのアクティブ通知ANに応じて、無線基地局CNが起動中であることを検知する。そして、端末装置10のホストシステム23は、アクティブ通知ANからチャネルYを取り出して無線通信モジュール22へ出力し、チャネルを無線通信用のチャネルYに変更するように無線通信モジュール22に指示する。
【0114】
そして、端末装置10の無線通信モジュール22は、ホストシステム23からの指示に応じてチャネルをチャネルYに変更する(ステップS15)。
【0115】
無線基地局CNの無線通信モジュール141も、同様にしてチャネルをチャネルYへ変更する(ステップS16)。
【0116】
その後、無線基地局CNのホストシステム143は、ビーコンフレームBeaconを生成して無線通信モジュール141へ出力し、端末装置10との間でアソシエーションを行うように無線通信モジュール141に指示する。
【0117】
そうすると、無線基地局CNの無線通信モジュール141は、ホストシステム143からの指示に応じて、ビーコンフレームBeaconをチャネルYで送信する。
【0118】
そして、無線基地局CNのホストシステム143は、無線通信モジュール141を介して端末装置10とチャネルYでIEEE802.11のアソシエーションを行い(ステップS17)、端末装置10との間で無線リンクを確立する。
【0119】
その後、無線基地局CNのホストシステム143は、無線通信モジュール141を介して端末装置10とチャネルYで無線通信を行う(ステップS18)。
【0120】
これによって、一連の動作が終了する。
【0121】
このように、無線基地局CNは、起動中にウェイクアップ信号WKEを受信すると、ウェイクアップ通知WNを端末装置10へ送信せずにアクティブ通知ANを端末装置10へ送信し、その後、即座に端末装置10との間でIEEE802.11のアソシエーションを行い、無線リンクを確立する。
【0122】
無線基地局CNがスリープ状態である場合、端末装置10がウェイクアップ信号WKEを送信してからアソシエーションが開始されるまでに、1秒程度が必要であるが、無線基地局CNが起動状態である場合、端末装置10がウェイクアップ信号WKEを送信してからアソシエーションが開始されるまでに要する時間は、数十ミリ秒程度である。これは、無線基地局CNが2つのアンテナ11,12を備え、無線基地局CNがアンテナ12を用いて無線通信を行っている場合でもウェイクアップ信号WKEをアンテナ11を用いて受信でき、無線基地局CNが起動状態である場合、ウェイクアップ通知WNおよびウェイクアップ通知応答RWNが端末装置10と無線基地局CNとの間でやり取りされないからである(図7参照)。
【0123】
従って、無線基地局CNが起動状態である場合、端末装置10は、無線基地局CNとの間で迅速に無線通信を開始できる。
【0124】
図8は、端末装置10の動作を説明するためのフローチャートである。図8を参照して、端末装置10の動作が開始されると、端末装置10の無線通信モジュール22は、ウェイクアップ信号WKEをウェイクアップ信号生成器231から受け、ウェイクアップ信号WKEの送信回数tをt=1に設定する(ステップS21)。
【0125】
そして、端末装置10の無線通信モジュール22は、テーブルTBL1を参照して、送信回数tに対応する送信電力PWtを検出し、その検出した送信電力PWtを用いてウェイクアップ信号WKEをチャネルXでブロードキャストする(ステップS22)。
【0126】
その後、端末装置10の無線通信モジュール22は、T1秒内にウェイクアップ通知WNまたはアクティブ通知ANを受信したか否かを判定する(ステップS23)。なお、T1は、例えば、1秒に設定される。
【0127】
ステップS23において、T1秒内にウェイクアップ通知WNまたはアクティブ通知ANが受信されたと判定されたとき、端末装置10の無線通信モジュール22は、その受信したウェイクアップ通知WNまたはアクティブ通知ANと、ウェイクアップ通知WNまたはアクティブ通知ANの受信信号強度とをホストシステム23へ出力する。
【0128】
そして、端末装置10のホストシステム23は、複数のウェイクアップ通知WNおよびアクティブ通知ANを受信した場合、接続先の無線基地局を決定する(ステップS24)。より具体的には、端末装置10のホストシステム23は、ウェイクアップ通知WNのみ、またはアクティブ通知ANのみを複数の無線基地局から受信した場合、最も受信信号強度が大きいウェイクアップ通知WNまたは最も受信信号強度が大きいアクティブ通知ANを送信した無線基地局を接続先の無線基地局として決定する。なお、端末装置10のホストシステム23は、最も大きい受信信号強度が複数個存在する場合、複数の最大受信信号強度の中から任意の1個の最大受信信号強度を選択し、その選択した最大受信信号強度を有するウェイクアップ通知WNまたはアクティブ通知ANを送信した無線基地局を接続先の無線基地局として決定する。
【0129】
また、端末装置10のホストシステム23は、ウェイクアップ通知WNおよびアクティブ通知ANの両方を複数の無線基地局から受信した場合、アクティブ通知ANの複数の受信信号強度のうち、アクティブ通知ANの最大の受信信号強度が基準値RSSI_std1以上であれば、その最大の受信信号強度を有するアクティブ通知ANを送信した無線基地局を接続先の無線基地局として決定する。一方、アクティブ通知ANの最大の受信信号強度が基準値RSSI_std1以上でなければ、最大の受信信号強度を有するウェイクアップ通知WNを送信した無線基地局を接続先の無線基地局として決定する。なお、最大の受信信号強度が複数個存在する場合、複数の最大受信信号強度の中から任意の1個の最大受信信号強度を選択し、その選択した最大受信信号強度を有するウェイクアップ通知WNを送信した無線基地局を接続先の無線基地局として決定する。また、基準値RSSI_std1は、例えば、−70[dBm]に設定される。
【0130】
ステップS24の後、端末装置10のホストシステム23は、接続先の無線基地局からウェイクアップ通知WNを受信したか否かを判定する(ステップS25)。
【0131】
ステップS25において、接続先の無線基地局からウェイクアップ通知WNを受信したと判定されたとき、端末装置10のホストシステム23は、ウェイクアップ通知WNからチャネルYを取り出し、その取り出したチャネルYを無線通信モジュール22へ出力するとともに、ウェイクアップ通知応答RWNを生成して無線通信モジュール22へ出力する。端末装置10の無線通信モジュール22は、チャネルYおよびウェイクアップ通信応答RWNをホストシステム23から受ける。そして、端末装置10の無線通信モジュール22は、ウェイクアップ通知応答RWNを無線LANの変調方式によって変調し、その変調したウェイクアップ通知応答RWNをチャネルXで接続先の無線基地局へ送信する(ステップS26)。
【0132】
そして、ステップS26の後、またはステップS25において接続先の無線基地局からウェイクアップ通知WNを受信しなかったと判定されたとき、端末装置10のホストシステム23は、チャネルをチャネルY(=サービスチャネル)に変更するように無線通信モジュール22に指示し、無線通信モジュール22は、ホストシステム23の指示に従ってチャネルをサービスチャネル(=チャネルY)に変更する(ステップS27)。
【0133】
なお、ステップS25において、接続先の無線基地局からウェイクアップ通知WNを受信しなかったと判定され、一連の動作がステップS27へ移行する場合としては、端末装置10がアクティブ通知ANを受信する場合である。
【0134】
その後、端末装置10のホストシステム23は、無線通信モジュール22を介してチャネルYで接続先の無線基地局とIEEE802.11のアソシエーションを実行する(ステップS28)。
【0135】
そして、端末装置10のホストシステム23は、アソシエーションが成功したか否かを判定する(ステップS29)。
【0136】
ステップS29において、アソシエーションが成功しなかったと判定されたとき、端末装置10のホストシステム23は、チャネルをチャネルX(=ウェイクアップチャネル)に変更するように無線通信モジュール22を指示し、無線通信モジュール22は、ホストシステム23の指示に従ってチャネルをウェイクアップチャネル(=チャネルX)に変更する(ステップS30)。その後、一連の動作は、ステップS21へ移行する。
【0137】
一方、ステップS23において、T1秒内にウェイクアップ通知WNまたはアクティブ通知ANを受信しなかったと判定されたとき、端末装置10の無線通信モジュール22は、ウェイクアップ信号WKEの送信回数tが最大送信回数Rmaxに達したか否かを更に判定する(ステップS31)。
【0138】
ステップS31において、ウェイクアップ信号WKEの送信回数tが最大送信回数Rmaxに達していないと判定されたとき、端末装置10の無線通信モジュール22は、t=t+1を設定し(ステップS32)、T2秒待機する(ステップS33)。このT2は、例えば、5秒に設定される。そして、ステップS33の後、一連の動作は、ステップS22へ移行する。
【0139】
一方、ステップS31において、ウェイクアップ信号WKEの送信回数tが最大送信回数Rmaxに達したと判定されたとき、端末装置10の無線通信モジュール22は、送信回数tを初期化し、アンテナ21を介してスキャンを行う(ステップS34)。
【0140】
そして、端末装置10のホストシステム23は、アンテナ21および無線通信モジュール22を介してビーコンフレームBeaconを受信したか否かを判定することによって、所望の無線基地局を発見したか否かを判定する(ステップS35)。この場合、端末装置10のホストシステム23は、ビーコンフレームBeaconを受信したと判定したとき、所望の無線基地局を発見したと判定し、ビーコンフレームBeaconを受信しなかったとき、所望の無線基地局を発見しなかったと判定する。
【0141】
ステップS35において、所望の無線基地局を発見したと判定されたとき、一連の動作は、上述したステップS28へ移行する。
【0142】
一方、ステップS35において、所望の無線基地局を発見しなかったと判定されたとき、端末装置10のホストシステム23は、接続先のESSIDが複数設定されていれば、次のESSIDへ接続先を変更する(ステップS36)。より具体的には、端末装置10のホストシステム23は、次のESSIDをウェイクアップ信号生成器231へ出力し、ウェイクアップ信号生成器231は、次のESSIDに基づいて新たなウェイクアップIDを生成し、その生成したウェイクアップIDを含むウェイクアップ信号WKEを生成して無線通信モジュール22へ出力する。そして、端末装置10の無線通信モジュール22は、ウェイクアップ信号WKEを上述した方法によって送信電力PWtを増加させながらチャネルXでブロードキャストする。
【0143】
ステップS36が終了すると、一連の動作は、上述したステップS33へ移行する。
【0144】
そして、ステップS29において、アソシエーションが成功したと判定されるまで、上述したステップS21〜ステップS36が繰り返し実行され、ステップS29において、アソシエーションが成功したと判定されると、一連の動作は、終了する。
【0145】
端末装置10の無線通信モジュール22は、ステップS22,S23の“NO”,S31の“NO”,S32,S33からなるループを複数回実行することによって、最大送信回数Rmaxの範囲内において、テーブルTBL1を参照して送信電力PWtを増加させながらウェイクアップ信号WKEをブロードキャストする。従って、端末装置10がステップS22,S23の“NO”,S31の“NO”,S32,S33からなるループに従ってウェイクアップ信号WKEをブロードキャストすることによって、ウェイクアップ信号WKEは、端末装置10から徐々に遠くまで到達する。
【0146】
その結果、原則として、端末装置10から最も近くに存在する無線基地局(無線基地局1〜nのいずれか)がウェイクアップ信号WKEを最初に受信してスリープ状態から起動状態へ移行する。
【0147】
無線基地局(無線基地局1〜nのいずれか)が端末装置10からフェージング等の理由によって、ウェイクアップ信号WKEを正確に受信できない場合でも、端末装置10により近い無線基地局(無線基地局1〜nのいずれか)がウェイクアップ信号WKEを正確に受信してスリープ状態から起動状態へ移行する。
【0148】
従って、ネットワーク識別子(ESSID)が複数の無線基地局1〜nに割り当てられていても、より少数の無線基地局をスリープ状態から起動状態へ移行させることができ、複数の無線基地局が同時に起動する無駄を抑制できる。
【0149】
また、ステップS35において、所望の無線基地局を発見したと判定されたとき、端末装置10がアソシエーションを実行するのは、ウェイクアップ信号WKEによってスリープ状態から起動状態へ移行する方式を採用していない無線基地局に端末装置10が接続できるようにするためである。
【0150】
更に、許容遅延時間Tdelayを時間Tretryで除算した除算結果を超えない整数に最大送信回数Rmaxを設定することによって、許容遅延時間Tdelay内に端末装置10を無線基地局CNに接続できる。
【0151】
更に、ステップS24において、端末装置10がウェイクアップ通知WNのみ、またはアクティブ通知ANのみを受信した場合、最大の受信信号強度を有するウェイクアップ通知WNまたはアクティブ通知ANを送信した無線基地局を接続先の無線基地局として決定することによって、端末装置10に最も近い無線基地局に端末装置10を接続することができる。
【0152】
更に、ステップS24において、端末装置10がウェイクアップ通知WNおよびアクティブ通知ANの両方を受信した場合、優先して、最大の受信信号強度を有するアクティブ通知ANを送信した無線基地局を接続先の無線基地局として決定することによって、端末装置10を無線基地局に迅速に接続できる。また、同時に既に起動している無線基地局(サービスを行っている無線基地局)に優先的に端末装置10を接続させることによって、新たに起動(サービスを開始)する無線基地局の数を抑制し、省電力化を図ることができる。
【0153】
図9は、無線基地局の動作を説明するためのフローチャートである。図9を参照して、一連の動作が開始されると、無線基地局1〜nのホストシステム143は、ウェイクアップ装置13から起動信号を受けてスリープ状態から起動状態へ移行する(ステップS41)。
【0154】
そして、無線基地局1〜nのホストシステム143は、チャネルYと自己のアドレスとを含むウェイクアップ通知WNを生成し、その生成したウェイクアップ通知WNを無線通信モジュール141およびアンテナ12を介してチャネルXで端末装置10へ送信する(ステップS42)。
【0155】
その後、無線基地局1〜nのホストシステム143は、T3秒内にウェイクアップ通知応答RWNを受信したか否かを判定する(ステップS43)。なお、T3は、例えば、1秒に設定される。
【0156】
ステップS43において、T3秒内にウェイクアップ通知応答RWNを受信しなかったと判定されたとき、無線基地局1〜nのホストシステム143は、コマンド信号COM1を出力して無線通信モジュール141および有線通信モジュール142をスリープ状態へ移行させ、自己もスリープ状態へ移行する。即ち、無線基地局1〜nのメイン装置14は、スリープ状態へ再び移行する(ステップS44)。
【0157】
一方、ステップS43において、T3秒内にウェイクアップ通知応答RWNを受信したと判定されたとき、無線基地局1〜nのホストシステム143は、チャネルをチャネルY(=サービスチャネル)に変更するように無線通信モジュール141に指示し、無線通信モジュール141は、ホストシステム143からの指示に従ってチャネルをサービスチャネル(=チャネルY)に変更する。その後、無線基地局1〜nのホストシステム143は、無線通信モジュール141を介して端末装置10とチャネルYで無線通信を行う。即ち、無線基地局1〜nのホストシステム143は、サービスを開始する(ステップS45)。
【0158】
そして、ステップS44またはステップS45の後、一連の動作が終了する。
【0159】
このように、無線基地局1〜nは、端末装置10からのウェイクアップ信号WKEによってスリープ状態から起動状態へ移行しても、ウェイクアップ通知WNを送信してからT3秒内にウェイクアップ通知応答RWNを受信しない場合、スリープ状態へ再び移行する(ステップS41,ステップS42,ステップS43の“NO”,ステップS44参照)。
【0160】
従って、複数の無線基地局がウェイクアップ信号WKEによって起動されても、端末装置10からウェイクアップ通知応答RWNをT3秒内に受信しない無線基地局は、スリープ状態へ移行し、ウェイクアップ通知応答RWNを受信した無線基地局だけが起動状態を維持するので、複数の無線基地局が同時に起動する無駄を抑制できる。
【0161】
なお、テーブルTBL1における送信電力は、図5に示す値に限らず、他の値であってもよい。また、送信回数の増加に対する送信電力の増加割合は、図5に示す増加割合に限らず、他の増加割合であってもよい。更に、送信電力の初期値は、0[dBm]に限らず、他の値であってもよい。そして、実施の形態1においては、過去における端末装置10と無線基地局1〜nとの接続状況および無線基地局1〜nの分布状況に応じて、送信電力の初期値および送信電力の増加割合を変えてもよい。
【0162】
また、実施の形態1においては、ウェイクアップ信号WKEを生成するウェイクアップ信号生成器231は、「信号生成手段」を構成する。
【0163】
更に、実施の形態1においては、最大送信回数Rmaxの範囲内において、ウェイクアップ通知WNまたはアクティブ通知ANを受信するまで送信電力を増加させながらウェイクアップ信号WKEを送信する無線通信モジュール22は、「送信手段」を構成する。
【0164】
更に、実施の形態1においては、複数のウェイクアップ通知WNおよびアクティブ通知ANを受信して接続先の無線基地局を決定するホストシステム23は、「通信手段」を構成する。
【0165】
[実施の形態2]
図10は、実施の形態2における無線基地局1〜nの構成図である。実施の形態2においては、無線基地局1〜nは、図10に示す無線基地局1Aからなる。
【0166】
なお、実施の形態2においては、端末装置10は、ウェイクアップ信号WKEを一定の送信電力PWで送信するものとする。
【0167】
図10を参照して、無線基地局1Aは、図2に示す無線基地局1のウェイクアップ装置13をウェイクアップ装置13Aに代え、メイン装置14をメイン装置14Aに代えたものであり、その他は、無線基地局1と同じである。
【0168】
ウェイクアップ装置13Aは、図2に示すウェイクアップ装置13に信号生成器133を追加したものであり、その他は、ウェイクアップ装置13と同じである。
【0169】
また、メイン装置14Aは、図2に示すメイン装置14のホストシステム143をホストシステム143Aに代えたものであり、その他は、メイン装置14と同じである。
【0170】
実施の形態2においては、無線通信モジュール141は、他の無線基地局からのビーコンフレームBeaconをアンテナ12を介して受信し、その受信したビーコンフレームBeaconをホストシステム143Aへ出力する。
【0171】
ホストシステム143Aは、端末装置10がウェイクアップ信号WKEの送信に用いる送信電力PW(=一定値)を予め保持している。
【0172】
また、ホストシステム143Aは、例えば、1週間または1ヶ月の期間において、受信信号強度RSSI_STAおよび送信電力PWに基づいて端末装置10の周囲に存在する無線基地局の個数Nを後述する方法によって推定する。
【0173】
そして、ホストシステム143Aは、その推定した無線基地局の個数Nを信号生成器133へ出力する。
【0174】
更に、ホストシステム143Aは、信号生成器133からの起動信号に応じて、スリープ状態から起動状態へ移行する。
【0175】
ホストシステム143Aは、その他、ホストシステム143と同じ機能を果たす。
【0176】
信号生成器133は、定数αを予め保持している。この定数αは、起動させる無線基地局の個数を調整するための定数であり、無線通信システム100の設計者によって予め決定されている。そして、定数αは、無線基地局の個数Nよりも小さい値に設定される。
【0177】
信号生成器133は、無線基地局の個数Nをホストシステム143Aから受けると、無線基地局の個数Nおよび定数αを用いて、無線基地局を起動させるための確率である起動確率Z1を次式によって演算する。
【0178】
【数1】
【0179】
そして、信号生成器133は、ウェイクアップIDが無線基地局1AのIDに一致したことを示す一致信号MTCHをウェイクアップ判定器132から受けると、内蔵した乱数発生器によって乱数RNを発生する。なお、乱数RNは、0≦RN<1を満たす数である。
【0180】
そうすると、信号生成器133は、その発生した乱数RNが起動確率Z1以下であるか否かを判定し、その発生した乱数RNが起動確率Z1以下であれば、起動信号を生成してホストシステム143Aへ出力し、その発生した乱数RNが起動確率Z1よりも大きければ、起動信号を生成せず、ホストシステム143Aへ何も出力しない。
【0181】
なお、実施の形態2においては、ウェイクアップ判定器132は、ウェイクアップIDが無線基地局1AのIDに一致するか否かを判定し、ウェイクアップIDが無線基地局1AのIDに一致すると判定したとき、一致信号MTCHを生成して信号生成器133へ出力する。また、ウェイクアップ判定器132は、ウェイクアップIDが無線基地局1AのIDに一致しないと判定したとき、信号発生器133へ何も出力しない。
【0182】
従って、実施の形態2においては、メイン装置14Aは、ウェイクアップIDが無線基地局1AのIDに一致し、かつ、乱数RNが起動確率Z1以下であるとき、スリープ状態から起動状態へ移行し、ウェイクアップIDが無線基地局1AのIDに一致しないとき、または乱数RNが起動確率Z1よりも大きいとき、スリープ状態を維持する。
【0183】
また、実施の形態2においては、電源15は、100μWの電力をウェイクアップ装置13Aへ供給し、7Wの電力をメイン装置14Aへ供給する。
【0184】
図11は、端末装置10の周囲に存在する無線基地局の個数Nを推定する方法を説明するための概念図である。なお、図11において、三角印は、無線基地局1A以外の無線基地局を表す。
【0185】
図11を参照して、端末装置10は、一定の送信電力PWでウェイクアップ信号WKEを到達させることができる通信範囲REG4を有する。
【0186】
無線基地局1Aのホストシステム143Aは、無線基地局1Aの周辺に存在する無線基地局から無線通信モジュール141を介してビーコンフレームBeaconを受信し、その受信したビーコンフレームBeaconに基づいて、無線基地局1Aの周辺に存在する無線基地局の個数M(Mは正の整数)をカウントする。
【0187】
また、無線基地局1Aのホストシステム143Aは、無線基地局1AがビーコンフレームBeaconを受信できる範囲(=面積SAP)を予め保持している。なお、面積SAPは、ビーコンフレームBeaconの受信信号強度からビーコンフレームBeaconが到達可能な距離を決定し、その決定した距離を半径とする円の面積として決定される。
【0188】
そして、無線基地局1Aのホストシステム143Aは、無線基地局1Aの周辺に存在する無線基地局の密度をM/SAPによって演算する。
【0189】
その後、無線基地局1Aのホストシステム143Aは、端末装置10からのウェイクアップ信号WKEが到達可能な距離DMAXを用いて、(M/SAP)π(DMAX)2を演算する。なお、無線基地局1Aのホストシステム143Aは、送信電力と距離との関係と、端末装置10がウェイクアップ信号WKEを送信するときの送信電力とを保持しているので、その保持している送信電力に対応する距離を送信電力と距離との関係から検出し、その検出した距離を距離DMAXとする。
【0190】
そうすると、無線基地局1Aのホストシステム143Aは、端末装置10の周辺に存在する無線基地局の密度が無線基地局1Aの周辺に存在する無線基地局の密度M/SAPと同じであると仮定し、(M/SAP)π(DMAX)2を端末装置10の周辺に存在する無線基地局の個数Nとして推定する。
【0191】
図12は、無線基地局1Aの実施の形態2における動作を説明するためのフローチャートである。
【0192】
図12に示すフローチャートは、図9に示すフローチャートのステップS41をステップS41A,S41B,S41C,S41D,41Eに代えたものであり、その他は、図9に示すフローチャートと同じである。
【0193】
図12を参照して、無線基地局1Aのウェイクアップ装置13Aにおいて、ウェイクアップ信号受信機131は、アンテナ11を介してウェイクアップ信号WKEをチャネルXで受信し(ステップS41A)、その受信したウェイクアップ信号WKEを復調する。そして、ウェイクアップ信号受信機131は、その復調したウェイクアップ信号WKEをウェイクアップ判定器132へ出力する。
【0194】
ウェイクアップ判定器132は、ウェイクアップ信号WKEをウェイクアップ信号受信器131から受け、その受けたウェイクアップ信号WKEに含まれるウェイクアップIDが無線基地局1AのIDに一致するか否かを判定する(ステップS41B)。
【0195】
ステップS41Bにおいて、ウェイクアップIDが無線基地局1AのIDに一致しないと判定されたとき、一連の動作は、ステップS44へ移行する。
【0196】
一方、ステップS41Bにおいて、ウェイクアップIDが無線基地局1AのIDに一致すると判定されたとき、ウェイクアップ判定器132は、一致信号MTCHを生成して信号生成器133へ出力する。
【0197】
そして、信号生成器133は、一致信号MTCHをウェイクアップ判定器132から受けると、内蔵した乱数発生器によって乱数RNを発生し(ステップS41C)、その発生した乱数RNが起動確率Z1以下であるか否かを判定する(ステップS41D)。
【0198】
ステップS41Dにおいて、乱数RNが起動確率Z1よりも大きいと判定されたとき、一連の動作は、ステップS44へ移行する。
【0199】
一方、ステップS41Dにおいて、乱数RNが起動確率Z1以下であると判定されたとき、信号生成器133は、起動信号を生成し、その生成した起動信号をホストシステム143Aへ出力する。
【0200】
そして、ホストシステム143Aは、信号生成器133からの起動信号に応じてスリープ状態から起動状態へ移行する(ステップS41E)。
【0201】
その後、上述したステップS42〜ステップS45が実行され、一連の動作が終了する。
【0202】
このように、実施の形態2においては、無線基地局1〜n(=1A)は、ウェイクアップIDが無線基地局1〜n(=1A)のIDに一致すると判定され、かつ、乱数RNが起動確率Z1以下であるときに、スリープ状態から起動状態へ移行する(ステップS41Bの“YES”,S41C,S41Dの“YES”,S41E参照)。そして、起動確率Z1は、端末装置10の周囲に存在する無線基地局の個数Nに反比例するように決定される。従って、起動確率Z1は、無線基地局の個数Nが相対的に多くなれば、相対的に小さくなり、無線基地局の個数Nが相対的に少なくなれば、相対的に大きくなる。
【0203】
その結果、無線基地局1〜n(=1A)は、ウェイクアップ信号WKEを受信したとき、実施の形態1における場合よりも小さい確率でスリープ状態から起動状態へ移行し、端末装置10がウェイクアップ信号WKEを送信したことによって起動状態へ移行する無線基地局の個数は、実施の形態1における場合よりも少なくなる。そして、起動確率Z1を用いて起動状態へ移行した無線基地局が複数個存在する場合でも、ウェイクアップ通知応答RWNを受信しない無線基地局は、再び、スリープ状態へ移行する(ステップS43の“NO”,S44参照)。従って、一旦、スリープ状態から起動状態へ移行し、その後、ウェイクアップ通知応答RWNを受信しないことに起因して、再び、スリープ状態へ移行する無線基地局の個数を実施の形態1における場合よりも少なくできる。よって、複数の無線基地局が同時に起動状態へ移行する無駄を実施の形態1における場合よりも更に抑制できる。
【0204】
実施の形態2においては、例えば、推定された無線基地局の個数Nが“10”である場合、定数αは、例えば、“1”に設定される。その結果、無線基地局1〜n(=1A)の起動確率Z1は、1/10になり、端末装置10の通信範囲REG4内に存在する10個の無線基地局は、その1割である1個の無線基地局がウェイクアップ信号WKEの受信に応じて起動される。その結果、ウェイクアップ通知応答RWNを受信しないことに起因して、再び、スリープ状態へ移行する無線基地局の個数が“0”になり、一旦、無駄に起動させる無線基地局をなくすことができる。
【0205】
なお、無線基地局CN(=1A)がスリープ状態であるときの端末装置10および無線基地局CN(=1A)の実施の形態2における動作は、図6に示すフローチャートに従って実行される。また、無線基地局CN(=1A)が起動状態であるときの端末装置10および無線基地局CN(=1A)の実施の形態2における動作は、図7に示すフローチャートに従って実行される。更に、実施の形態2における端末装置10の動作は、図8に示すフローチャートに従って実行される。
【0206】
上記においては、端末装置10は、一定の送信電力PWでウェイクアップ信号WKEをブロードキャストすると説明したが、実施の形態2においては、これに限らず、端末装置10は、実施の形態1におけるように送信電力を増加させながらウェイクアップ信号WKEをブロードキャストしてもよい。
【0207】
この場合、無線基地局1Aは、端末装置10の各送信電力ごとに、端末装置10の周囲に存在する無線基地局の個数Nを推定し、起動確率Z1を求める。そして、無線基地局1Aは、端末装置10の各送信電力ごとに求めた起動確率Z1を用いてスリープ状態から起動状態へ移行する。その結果、端末装置10の各送信電力ごとに、複数の無線基地局が同時に起動状態へ移行する無駄を抑制できる。
【0208】
なお、実施の形態2においては、ウェイクアップ信号WKEを端末装置10から受信するウェイクアップ信号受信器131は、「受信手段」を構成する。
【0209】
また、実施の形態2においては、ウェイクアップIDが無線基地局1AのIDに一致するか否かを判定することは、ウェイクアップ信号WKEが無線基地局1Aを起動させることを示すか否かを判定することに相当する。ウェイクアップ信号WKEがウェイクアップIDを含み、ウェイクアップIDが無線基地局1AのIDに一致すれば、無線基地局1Aがスリープ状態から起動状態へ移行するからである。そして、ウェイクアップ判定器132は、ウェイクアップIDが無線基地局1AのIDに一致するか否かを判定する。従って、ウェイクアップ判定器132は、「判定手段」を構成する。
【0210】
更に、実施の形態2においては、起動確率Z1を用いて起動信号を生成する信号生成器133は、「起動手段」を構成する。
【0211】
更に、実施の形態2においては、ホストシステム143Aは、信号生成器133からの起動信号に応じて起動するので、「通信手段」を構成する。
【0212】
更に、実施の形態2においては、ホストシステム143Aは、端末装置10の周囲に存在する無線基地局の個数Nを推定するので、「推定手段」を構成する。
【0213】
[実施の形態3]
図13は、実施の形態3における無線基地局の構成図である。実施の形態3においては、無線基地局1〜nは、図13に示す無線基地局1Bからなる。
【0214】
図13を参照して、無線基地局1Bは、図2に示す無線基地局1のウェイクアップ装置13をウェイクアップ装置13Bに代えたものであり、その他は、無線基地局1と同じである。
【0215】
ウェイクアップ装置13Bは、図2に示すウェイクアップ装置13のウェイクアップ信号受信器131をウェイクアップ信号受信器131Aに代え、信号生成器133Aを追加したものであり、その他は、ウェイクアップ装置13と同じである。
【0216】
ウェイクアップ信号受信器131Aは、アンテナ11を介して端末装置10からウェイクアップ信号WKEを受信するとともに、ウェイクアップ信号WKEを受信したときの受信信号強度Sを検出する。
【0217】
そして、ウェイクアップ信号受信器131Aは、ウェイクアップ信号WKEを復調し、その復調したウェイクアップ信号WKEをウェイクアップ判定器132へ出力する。また、ウェイクアップ信号受信器131Aは、その検出した受信信号強度Sを信号生成器133Aへ出力する。
【0218】
信号生成器133Aは、ウェイクアップ信号受信器131Aから受信信号強度Sを受け、ウェイクアップ判定器132から一致信号MTCHを受ける。また、信号生成器133Aは、定数βおよび最小の受信信号強度RSSIminを予め保持している。ここで、定数βは、最小の受信信号強度RSSIminよりも大きい値に設定される。そして、定数β、最小の受信信号強度RSSIminおよび受信信号強度Sの全ては、マイナスのdBmの単位を有する。なお、最小の受信信号強度RSSIminは、例えば、−90[dBm]に設定される。
【0219】
図14は、ウェイクアップ信号WKEの受信回数と定数βとの関係を示すテーブルの概念図である。図14を参照して、テーブルTBL2は、ウェイクアップ信号WKEの受信回数と、定数βとを含む。受信回数および定数βは、相互に対応付けられる。定数βは、ウェイクアップ信号WKEの受信回数が増加するに従って小さくなる。
【0220】
信号生成器133Aは、テーブルTBL2を保持している。そして、信号生成器133Aは、一致信号MTCHをウェイクアップ判定器132から受けると、テーブルTBL2を参照して、ウェイクアップ信号WKEの受信回数に応じた定数βを検出する。
【0221】
そうすると、信号生成器133Aは、その検出した定数β、受信信号強度Sおよび最小の受信信号強度RSSIminを用いて次式によって無線基地局1Bの起動確率Z2を求める。
【0222】
【数2】
【0223】
信号生成器133Aは、受信信号強度Sが定数βよりも大きいとき、起動確率Z2を“1”に設定する。また、信号生成器133Aは、受信信号強度Sが最小の受信信号強度RSSImin以上であり、かつ、受信信号強度Sが定数β以下であるとき、起動確率Z2を“S/β”に設定する。更に、信号生成器133Aは、受信信号強度Sが最小の受信信号強度RSSIminよりも小さいとき、起動確率Z2を“0”に設定する。
【0224】
無線基地局1Bは、受信信号強度Sが最小の受信信号強度RSSIminよりも小さいとき、スリープ状態から起動状態へ移行しないことになるが、これは、次の理由による。
【0225】
最小の受信信号強度RSSIminは、−90[dBm]に設定されるので、受信信号強度Sが−90[dBm]よりも小さい無線通信環境では、ウェイクアップ信号受信器131Aは、殆ど雑音レベルの無線信号を受信することになる。従って、無線基地局1Bが雑音レベルの無線信号によって起動状態へ移行するのを防止する必要があるからである。
【0226】
また、信号生成器133Aは、受信信号強度Sをウェイクアップ信号受信器131Aから新たに受ければ(即ち、ウェイクアップ装置13Bがウェイクアップ信号WKEを新たに受信すれば)、受信回数を“1”だけ増やし、その増やした受信回数に対応する定数βをテーブルTBL2を参照して検出する。そして、信号生成器133Aは、その検出した定数βを用いて式(2)によって起動確率Z2を求める。
【0227】
更に、信号生成器133Aは、一定時間(例えば、10秒)、受信信号強度Sをウェイクアップ信号受信器131Aから受けなければ(即ち、ウェイクアップ装置13Bが、一定時間、ウェイクアップ信号WKEを受信しなければ)、受信回数を“0”に初期化する。
【0228】
そして、信号生成器133Aは、起動確率Z2を求めると、内蔵した乱数発生器によって乱数RNを発生するとともに、その発生した乱数RNが起動確率Z2以下であれば、起動信号を生成してホストシステム143へ出力し、その発生した乱数RNが起動確率Z2よりも大きければ、ホストシステム143へ何も出力しない。
【0229】
なお、実施の形態3においては、ウェイクアップ判定器132は、実施の形態2と同様に、ウェイクアップIDが無線基地局1BのIDに一致するか否かを判定し、ウェイクアップIDが無線基地局1BのIDに一致すると判定したとき、一致信号MTCHを生成して信号生成器133Aへ出力する。また、ウェイクアップ判定器132は、ウェイクアップIDが無線基地局1BのIDに一致しないと判定したとき、信号発生器133Aへ何も出力しない。
【0230】
従って、実施の形態3においては、メイン装置14は、ウェイクアップIDが無線基地局1BのIDに一致し、かつ、乱数RNが起動確率Z2以下であるとき、スリープ状態から起動状態へ移行し、ウェイクアップIDが無線基地局1BのIDに一致しないとき、または乱数RNが起動確率Z2よりも大きいとき、スリープ状態を維持する。
【0231】
また、実施の形態3においては、電源15は、100μWの電力をウェイクアップ装置13Bへ供給し、7Wの電力をメイン装置14へ供給する。
【0232】
実施の形態3における無線基地局1Bの動作は、図12に示すフローチャートに従って実行される。この場合、ステップS41Dにおける起動確率Z1は、起動確率Z2に置き換えられる。
【0233】
その結果、無線基地局1〜n(=1B)は、ウェイクアップ信号WKEの受信信号強度Sに応じた起動確率Z2に従ってスリープ状態から起動状態へ移行される。即ち、無線基地局1〜n(=1B)は、受信信号強度Sが相対的に大きくなれば、相対的に高い起動確率Z2で起動状態へ移行し、受信信号強度Sが相対的に小さくなれば、相対的に低い起動確率Z2で起動状態へ移行する。
【0234】
従って、無線基地局1〜n(=1B)は、端末装置10に近いほど、起動状態へ移行する確率が高くなり、端末装置10から遠いほど、起動状態へ移行する確率が低くなる。
【0235】
よって、複数の無線基地局が同時に起動状態へ移行する無駄を実施の形態1における場合よりも更に抑制できる。
【0236】
また、定数βは、ウェイクアップ信号WKEの受信回数が増えるに従って小さくなるので、ウェイクアップ信号WKEが無線基地局へ届き難い無線通信環境においても、起動状態へ移行させる無線基地局を安定して決定できる。
【0237】
なお、無線基地局CN(=1B)がスリープ状態であるときの端末装置10および無線基地局CN(=1B)の実施の形態3における動作は、図6に示すフローチャートに従って実行される。また、無線基地局CN(=1B)が起動状態であるときの端末装置10および無線基地局CN(=1B)の実施の形態3における動作は、図7に示すフローチャートに従って実行される。更に、実施の形態3における端末装置10の動作は、図8に示すフローチャートに従って実行される。
【0238】
なお、実施の形態3においては、ウェイクアップ信号受信器131Aは、ウェイクアップ信号WKEを端末装置10から受信するとともに、ウェイクアップ信号WKEを受信したときの受信信号強度を検出するので、「受信手段」を構成する。
【0239】
また、実施の形態3においては、ウェイクアップ判定器132は、実施の形態2と同様に、「判定手段」を構成する。
【0240】
更に、実施の形態3においては、起動確率Z2を用いて起動信号を生成する信号生成器133Aは、「起動手段」を構成する。
【0241】
更に、実施の形態3においては、ホストシステム143は、信号生成器133Aからの起動信号に応じて起動するので、「通信手段」を構成する。
【0242】
[実施の形態4]
図15は、実施の形態4における無線基地局の構成図である。実施の形態4においては、無線基地局1〜nは、図15に示す無線基地局1Cからなる。
【0243】
図15を参照して、無線基地局1Cは、図10に示す無線基地局1Aのウェイクアップ装置13Aをウェイクアップ装置13Cに代えたものであり、その他は、無線基地局1Aと同じである。
【0244】
ウェイクアップ装置13Cは、図10に示すウェイクアップ装置13Aのウェイクアップ信号受信器131をウェイクアップ信号受信器131Aに代え、信号生成器133を信号生成器133Bに代えたものであり、その他は、ウェイクアップ装置13Aと同じである。
【0245】
ウェイクアップ信号受信器131Aは、上述したように、ウェイクアップ信号WKEを復調するとともに、ウェイクアップ信号WKEを受信したときの受信信号強度Sを検出する。そして、ウェイクアップ信号受信器131Aは、その復調したウェイクアップ信号WKEをウェイクアップ判定器132へ出力し、その検出した受信信号強度Sを信号生成器133Bへ出力する。
【0246】
信号生成器133Bは、ウェイクアップ判定器132から一致信号MTCHを受け、ウェイクアップ信号受信器131Aから受信信号強度Sを受け、無線基地局の個数Nをホストシステム143Aから受ける。
【0247】
また、信号生成器133Bは、上述した定数α,β、最小の受信信号強度RSSIminおよびテーブルTBL2を保持している。
【0248】
そして、信号生成器133Bは、無線基地局の個数Nを受けると、定数αおよび無線基地局の個数Nを式(1)に代入して起動確率Z1を求める。
【0249】
また、信号生成器133Bは、受信信号強度Sを受けると、テーブルTBL2を参照してウェイクアップ信号WKEの受信回数に対応する定数βを検出する。そして、信号生成器133Bは、その検出した定数β、最小の受信信号強度RSSIminおよび受信信号強度Sを用いて式(2)によって起動確率Z2を求める。
【0250】
そうすると、信号生成器133Bは、起動確率Z1,Z2を次式に代入して起動確率Zを求める。
【0251】
【数3】
【0252】
式(3)における定数γは、各無線基地局1〜n(=1C)の周囲の状況が解らないとき、例えば、無線通信システム100が起動されたとき、例えば、0.1に設定され、各無線基地局1〜n(=1C)の周囲の状況が解ったとき、例えば、0.7〜0.8に設定される。
【0253】
このように、信号生成器133Bは、各無線基地局1〜n(=1C)の周囲の状況が解らないときは、起動確率Z1よりも起動確率Z2に重みを置いて起動確率Zを決定し、各無線基地局1〜n(=1C)の周囲の状況が解ったとき、起動確率Z2よりも起動確率Z1に重みを置いて起動確率Zを決定する。
【0254】
各無線基地局1〜n(=1C)は、自己の周囲の状況が解らないとき、端末装置10の周囲に存在する無線基地局の個数Nを推定するのが困難であるので、ウェイクアップ信号WKEの受信信号強度Sに応じて決定される起動確率Z2に重みを置いて起動確率Zを決定した方が、起動状態へ移行する無線基地局を安定して決定できる。従って、各無線基地局1〜n(=1C)は、自己の周囲の状況が解らないとき、起動確率Z1よりも起動確率Z2に重みを置いて起動確率Zを決定することにしたものである。
【0255】
一方、各無線基地局1〜n(=1C)は、自己の周囲の状況が解るとき、端末装置10の周囲に存在する無線基地局の個数Nを容易に推定できるので、無線基地局の個数Nに応じて決定される起動確率Z1に重みを置いて起動確率Zを決定した方が、実際の無線通信環境に応じて起動状態へ移行する無線基地局を決定できる。従って、各無線基地局1〜n(=1C)は、自己の周囲の状況が解るとき、起動確率Z2よりも起動確率Z1に重みを置いて起動確率Zを決定することにしたものである。
【0256】
実施の形態4における無線基地局1Cの動作は、図12に示すフローチャートに従って実行される。この場合、ステップS41Dにおける起動確率Z1は、起動確率Zに置き換えられる。
【0257】
その結果、無線基地局1〜n(=1C)は、端末装置10の周囲に存在する無線基地局の個数Nに応じた起動確率Z1と、ウェイクアップ信号WKEの受信信号強度Sに応じた起動確率Z2とに従ってスリープ状態から起動状態へ移行される。即ち、無線基地局1〜n(=1C)は、無線基地局の個数Nが相対的に少なくなり、かつ、受信信号強度Sが相対的に大きくなれば、相対的に高い起動確率Zで起動状態へ移行し、無線基地局の個数Nが相対的に多くなり、かつ、受信信号強度Sが相対的に小さくなれば、相対的に低い起動確率Zで起動状態へ移行する。
【0258】
従って、端末装置10の周囲に存在する無線基地局の個数Nおよびウェイクアップ信号WKEの受信信号強度Sの両方に応じて、起動状態へ移行する無線基地局の確率Zを決定できる。
【0259】
その他、実施の形態2,3における効果を享受できる。
【0260】
なお、無線基地局CN(=1C)がスリープ状態であるときの端末装置10および無線基地局CN(=1C)の実施の形態4における動作は、図6に示すフローチャートに従って実行される。また、無線基地局CN(=1C)が起動状態であるときの端末装置10および無線基地局CN(=1C)の実施の形態4における動作は、図7に示すフローチャートに従って実行される。更に、実施の形態4における端末装置10の動作は、図8に示すフローチャートに従って実行される。
【0261】
なお、実施の形態4においては、ウェイクアップ信号受信器131Aは、実施の形態3と同様に、「受信手段」を構成する。
【0262】
また、実施の形態4においては、ウェイクアップ判定器132は、実施の形態2と同様に、「判定手段」を構成する。
【0263】
更に、実施の形態4においては、起動確率Zを用いて起動信号を生成する信号生成器133Bは、「起動手段」を構成する。そして、起動確率Z2は、「第1の起動確率」を構成し、起動確率Z1は、「第2の起動確率」を構成し、起動確率Zは、「総合起動確率」を構成する。
【0264】
更に、実施の形態4においては、ホストシステム143Aは、信号生成器133Bからの起動信号に応じて起動するので、「通信手段」を構成する。
【0265】
[実施の形態5]
図16は、実施の形態5における無線基地局の構成図である。実施の形態5においては、無線基地局1〜nは、図16に示す無線基地局1Dからなる。
【0266】
図16を参照して、無線基地局1Dは、図2に示す無線基地局1のウェイクアップ装置13をウェイクアップ装置13Dに代え、メイン装置14をメイン装置14Bに代えたものであり、その他は、無線基地局1と同じである。
【0267】
ウェイクアップ装置13Dは、図2に示すウェイクアップ装置13のウェイクアップ信号受信器131をウェイクアップ信号受信機131Dに代えたものであり、その他は、ウェイクアップ装置13と同じである。
【0268】
メイン装置14Bは、図2に示すメイン装置14のホストシステム143をホストシステム143Bに代えたものであり、その他は、メイン装置14と同じである。
【0269】
ウェイクアップ信号受信器131Dは、アンテナ11を介してウェイクアップ信号WKEを受信するとともに、ウェイクアップ信号WKEを受信したときの受信信号強度RSSI_WKEを検出する。そして、ウェイクアップ信号受信器131Dは、ウェイクアップ信号WKEを復調し、その復調したウェイクアップ信号WKEをウェイクアップ判定器132へ出力する。また、ウェイクアップ信号受信器131Dは、その検出した受信信号強度RSSI_WKEをホストシステム143Bへ出力する。
【0270】
ホストシステム143Bは、ウェイクアップ信号受信器131Dから受信信号強度RSSI_WKEを受けると、受信信号強度RSSI_WKEと、自己がスリープ状態であったか起動状態であったかを示す状態情報Statusとを含むウェイクアップ広告WA(Wake−up Advertisement)を生成する。この場合、状態情報Statusは、ホストシステム143Bがスリープであるとき、Status(SLP)からなり、ホストシステム143Bが起動状態であるとき、Status(DRV)からなる。
【0271】
そして、ホストシステム143Bは、その生成したウェイクアップ広告WAを無線通信モジュール141およびアンテナ12を介して他の無線基地局へブロードキャストする。
【0272】
また、ホストシステム143Bは、アンテナ12および無線通信モジュール141を介して他の無線基地局からウェイクアップ広告WAを受信する。そして、ホストシステム143Bは、自己が起動状態であったときにウェイクアップ広告WAを受信した場合、無線基地局1Dが端末装置10と既に接続しており、起動するか否かを他の無線基地局と調整する必要がないので、ウェイクアップ広告WAを無視する。
【0273】
一方、ホストシステム143Bは、自己がスリープ状態から起動状態へ移行した後にウェイクアップ広告WAを受信した場合、ウェイクアップ広告WAに含まれる受信信号強度RSSI_WKEがウェイクアップ信号受信器131Dから受けた受信信号強度RSSI_WKEよりも大きければ、スリープ状態へ移行する。
【0274】
また、ホストシステム143Bは、起動状態であったことを示す状態情報Status(DRV)がウェイクアップ広告WAに含まれており、かつ、ウェイクアップ広告WAに含まれる受信信号強度RSSI_WKEが基準値RSSI_std2よりも大きいとき、スリープ状態へ移行する。なお、基準値RSSI_std2は、例えば、−70[dBm]に設定される。
【0275】
ホストシステム143Bは、その他、ホストシステム143と同じ機能を果たす。
【0276】
なお、実施の形態5においては、電源15は、100μWの電力をウェイクアップ装置13Dへ供給し、7Wの電力をメイン装置14Bへ供給する。
【0277】
図17は、実施の形態5における無線基地局および端末装置の動作を説明するためのフローチャートである。
【0278】
なお、図17においては、同じESSIDを有する複数の無線基地局として無線基地局1(=1D),2(=1D)を示す。また、図17に示す縦の点線は、スリープ状態であることを意味し、縦の実線は、起動状態であることを意味する。
【0279】
図17を参照して、端末装置10は、上述した動作によってウェイクアップ信号WKEをチャネルXでブロードキャストする(ステップS61)。そして、無線基地局1(=1D)のウェイクアップ装置13Dは、アンテナ11を介してウェイクアップ信号WKEをチャネルXで受信し、ウェイクアップ信号WKEを受信したときの受信信号強度RSSI_WKE1を検出する。その後、無線基地局1(=1D)のウェイクアップ装置13Dは、その検出した受信信号強度RSSI_WKE1をホストシステム143Bへ出力する。また、無線基地局1(=1D)のウェイクアップ装置13Dは、その受信したウェイクアップ信号WKEを復調してウェイクアップIDを取り出す。そして、無線基地局1(=1D)のウェイクアップ装置13Dは、ウェイクアップIDが無線基地局1(=1D)のIDに一致すると判定し、起動信号を生成してホストシステム143Bへ出力する(ステップS62)。
【0280】
そうすると、無線基地局1(=1D)のホストシステム143Bは、起動信号に応じてスリープ状態から起動状態へ移行するとともに(ステップS63)、受信信号強度RSSI_WKE1を受ける。そして、無線基地局1(=1D)のホストシステム143Bは、コマンド信号COM2を生成して無線通信モジュール141および有線通信モジュール142へ出力する。無線基地局1(=1D)の無線通信モジュール141および有線通信モジュール142は、コマンド信号COM2に応じてスリープ状態から起動状態へ移行する。
【0281】
また、無線基地局2(=1D)のウェイクアップ装置13Dは、同様にして、アンテナ11を介してウェイクアップ信号WKEをチャネルXで受信し、ウェイクアップ信号WKEの受信信号強度RSSI_WKE2を検出してホストシステム143Bへ出力するとともに、起動信号をホストシステム143Bへ出力し(ステップS64)、ホストシステム143Bは、起動信号に応じてスリープ状態から起動状態へ移行するとともに(ステップS65)、受信信号強度RSSI_WKE2を受ける。また、無線基地局2(=1D)の無線通信モジュール141および有線通信モジュール142は、ホストシステム143Bからのコマンド信号COM2に応じてスリープ状態から起動状態へ移行する。
【0282】
そして、無線基地局2(=1D)のホストシステム143Bは、受信信号強度RSSI_WKE2と、スリープ状態であったことを示す状態情報Status(SLP)とを含むウェイクアップ広告WA1=[RSSI_WKE2/Status(SLP)]を生成し、その生成したウェイクアップ広告WA1=[RSSI_WKE2/Status(SLP)]を他の無線基地局へブロードキャストする(ステップS66)。
【0283】
また、無線基地局1(=1D)のホストシステム143Bは、受信信号強度RSSI_WKE1と、スリープ状態であったことを示す状態情報Status(SLP)とを含むウェイクアップ広告WA2=[RSSI_WKE1/Status(SLP)]を生成し、その生成したウェイクアップ広告WA2=[RSSI_WKE1/Status(SLP)]を他の無線基地局へブロードキャストする(ステップS67)。
【0284】
無線基地局2(=1D)のホストシステム143Bは、ウェイクアップ広告WA2=[RSSI_WKE1/Status(SLP)]をアンテナ12および無線通信モジュール141を介して受信し、自局における受信信号強度RSSI_WKE2がウェイクアップ広告WA2に含まれる受信信号強度RSSI_WKE1よりも小さいので、起動状態からスリープ状態へ移行する(ステップS68)。
【0285】
一方、無線基地局1(=1D)のホストシステム143Bは、ウェイクアップ広告WA1=[RSSI_WKE2/Status(SLP)]をアンテナ12および無線通信モジュール141を介して受信し、自局における受信信号強度RSSI_WKE1がウェイクアップ広告WA1に含まれる受信信号強度RSSI_WKE2よりも大きいので、起動状態を維持する。
【0286】
そして、無線基地局1(=1D)のホストシステム143Bは、チャネルYと無線基地局1(=1D)のアドレスとを含むウェイクアップ通知WNを生成し、その生成したウェイクアップ通知WNを無線通信モジュール141へ出力する。
【0287】
無線基地局1(=1D)の無線通信モジュール141は、ウェイクアップ通知WNをホストシステム143Bから受けると、その受けたウェイクアップ通知WNを無線LANの変調方式によって変調し、その変調したウェイクアップ通知WNをチャネルXでアンテナ12を介して端末装置10へ送信する(ステップS69)。
【0288】
端末装置10の無線通信モジュール22は、アンテナ21を介してチャネルXでウェイクアップ通知WNを受信し、その受信したウェイクアップ通知WNをホストシステム23へ出力する。
【0289】
端末装置10のホストシステム23は、ウェイクアップ通知WNを無線通信モジュール22から受け、ウェイクアップ通知WNからチャネルYを取り出して無線通信モジュール22へ出力する。また、端末装置10のホストシステム23は、ウェイクアップ通知WNに応じてウェイクアップ通知応答RWNを生成して無線通信モジュール22へ出力する。
【0290】
端末装置10の無線通信モジュール22は、ウェイクアップ通知応答RWNをホストシステム23から受け、その受けたウェイクアップ通知応答RWNを無線LANの変調方式によって変調し、その変調したウェイクアップ通知応答RWNをチャネルXで無線基地局1(=1D)へユニキャストする(ステップS70)。
【0291】
無線基地局1(=1D)の無線通信モジュール141は、アンテナ12を介してチャネルXでウェイクアップ通知応答RWNを受信し、その受信したウェイクアップ通知応答RWNをホストシステム143Bへ出力する。
【0292】
無線基地局1(=1D)のホストシステム143Bは、ウェイクアップ通知応答RWNを無線通信モジュール141から受け、端末装置10が無線基地局1(=1D)の起動状態への移行を検知したことを検出する。
【0293】
そして、無線基地局1(=1D)のホストシステム143Bは、チャネルの変更を無線通信モジュール141に指示する。無線基地局1(=1D)の無線通信モジュール141は、ホストシステム143Bからの指示に応じて、チャネルをチャネルYへ変更する(ステップS71)。
【0294】
端末装置10の無線通信モジュール22も、同様にしてチャネルをチャネルYへ変更する(ステップS72)。
【0295】
その後、無線基地局1(=1D)のホストシステム143Bは、ビーコンフレームBeaconを生成して無線通信モジュール141へ出力し、端末装置10との間でアソシエーションを行うように無線通信モジュール141に指示する。
【0296】
そうすると、無線基地局1(=1D)の無線通信モジュール141は、ホストシステム143Bからの指示に応じて、ビーコンフレームBeaconをチャネルYで送信する。
【0297】
そして、無線基地局1(=1D)のホストシステム143Bは、無線通信モジュール141を介して端末装置10との間でチャネルYでIEEE802.11のアソシエーションを行い(ステップS73)、端末装置10との間で無線リンクを確立する。
【0298】
その後、無線基地局1(=1D)のホストシステム143Bは、無線通信モジュール141を介して端末装置10とチャネルYで無線通信を行う(ステップS74)。
【0299】
これによって、一連の動作が終了する。
【0300】
このように、端末装置10の通信範囲内に2個の無線基地局1(=1D),2(=1D)が存在する場合、無線基地局1(=1D),2(=1D)は、端末装置10からのウェイクアップ信号WKEを受信してスリープ状態から起動状態へ移行し(ステップS63,S65参照)、ウェイクアップ広告WA2,WA1をそれぞれ他の無線基地局へブロードキャストする(ステップS66,S67参照)。そして、無線基地局1(=1D)は、自局における受信信号強度RSSI_WKE1が無線基地局2(=1D)における受信信号強度RSSI_WKE2よりも大きいので、起動状態を維持する。また、無線基地局2(=1D)は、自局における受信信号強度RSSI_WKE2が無線基地局1(=1D)における受信信号強度RSSI_WKE1よりも小さいので、スリープ状態へ移行する(ステップS68参照)。
【0301】
その後、起動状態を維持した無線基地局1(=1D)は、端末装置10との間でウェイクアップ通知WNおよびウェイクアップ通知応答RWNをやり取りするとともに、端末装置10との間でIEEE802.11のアソシエーションを行って無線リンクを確立し、無線通信を行う(ステップS69〜ステップS74参照)。
【0302】
このように、2個の無線基地局1(=1D),2(=1D)が起動状態へ移行するが、最終的に、無線基地局1(=1D)だけが起動状態を維持し、端末装置10との間で無線通信を行う。
【0303】
従って、複数の無線基地局が同時に起動状態へ移行する無駄を抑制できる。
【0304】
図18は、実施の形態5における無線基地局の動作を説明するためのフローチャートである。
【0305】
図18に示すフローチャートは、図9に示すフローチャートにステップS51〜ステップS53を追加したものであり、その他は、図9に示すフローチャートと同じである。
【0306】
図18を参照して、一連の動作が開始されると、上述したステップS41が実行される。そして、無線基地局1〜n(=1D)のホストシステム143Bは、上述した方法によってウェイクアップ広告WAを生成し、その生成したウェイクアップ広告WAを無線通信モジュール141およびアンテナ12を介して他の無線基地局へブロードキャストする(ステップS51)。
【0307】
その後、無線基地局1〜n(=1D)のホストシステム143Bは、他の無線基地局からウェイクアップ広告WAを受信したか否かを判定する(ステップS52)。
【0308】
ステップS52において、ウェイクアップ広告WAを受信しなかったと判定されたとき、一連の動作は、ステップS42へ移行する。
【0309】
一方、ステップS52において、ウェイクアップ広告WAを受信したと判定されたとき、無線基地局1〜n(=1D)のホストシステム143Bは、他の無線基地局から受信したウェイクアップ広告WAに基づいて、自局よりも受信信号強度が大きい無線基地局が存在するか否か、または起動状態であった無線基地局における受信信号強度が基準値RSSI_std2よりも大きい無線基地局が存在するか否かを更に判定する(ステップS53)。
【0310】
ステップS53において、自局よりも受信信号強度が大きい無線基地局が存在せず、かつ、起動状態であった無線基地局における受信信号強度が基準値RSSI_std2よりも大きい無線基地局が存在しないと判定されたとき、一連の動作は、ステップS42へ移行する。
【0311】
一方、ステップS53において、自局よりも受信信号強度が大きい無線基地局が存在すると判定されたとき、または起動状態であった無線基地局における受信信号強度が基準値RSSI_std2よりも大きい無線基地局が存在すると判定されたとき、一連の動作は、ステップS44へ移行する。
【0312】
そして、上述したステップS42〜ステップS45またはステップS44が実行された後、一連の動作は終了する。
【0313】
このように、無線基地局1Dは、ウェイクアップ広告WAを受信しないとき、ウェイクアップ通知WNを端末装置10へ送信し、端末装置10と無線リンクを確立し、またはスリープ状態へ移行する第1の処理を実行する(ステップS52の“NO”,S42〜S45参照)。この場合、無線基地局1D以外にウェイクアップ信号WKEを送信した無線基地局が存在しないことになる。従って、複数の無線基地局が同時に起動する無駄を抑制できる。
【0314】
また、無線基地局1Dは、ウェイクアップ広告WAを受信したとき、その受信したウェイクアップ広告WAに基づいて、自局よりも受信信号強度が大きい無線基地局が存在しない第1の条件と、起動状態であった無線基地局における受信信号強度が基準値RSSI_std2よりも大きい無線基地局が存在しない第2の条件との両方を満たすと判定したとき、上述した第1の処理を実行する(ステップS52の“YES”,S53の“NO”,S42〜S45参照)。この場合、無線基地局1Dだけが起動状態を維持し、他の無線基地局は、ウェイクアップ通知WNを送信せずにスリープ状態へ移行する(ステップS44参照)。従って、複数の無線基地局が同時に起動する無駄を抑制できる。
【0315】
更に、無線基地局1Dは、ウェイクアップ広告WAを受信したとき、その受信したウェイクアップ広告WAに基づいて、第1および第2の条件の少なくとも1つを満たさないと判定したとき、ウェイクアップ通知WNを端末装置10へ送信せずにスリープ状態へ移行する第2の処理を実行する(ステップS52の“YES”,S53の“YES”,S44参照)。この場合、無線基地局1D以外の無線基地局が起動状態を維持する。従って、複数の無線基地局が同時に起動する無駄を抑制できる。
【0316】
なお、ステップS52において、ウェイクアップ広告WAを受信しなかったと判定されたとき、一連の動作がステップS42へ移行するのは、端末装置10が接続可能な無線基地局が自局だけだからである。
【0317】
また、ステップS53において、自局よりも受信信号強度が大きい無線基地局が存在せず、かつ、起動状態であった無線基地局における受信信号強度が基準値RSSI_std2よりも大きい無線基地局が存在しないと判定されたとき、一連の動作がステップS42へ移行するのは、自局が端末装置10に最も近く、かつ、端末装置10が起動状態である他の無線基地局に接続することができないからである。
【0318】
更に、ステップS53において、自局よりも受信信号強度が大きい無線基地局が存在すると判定されたとき、一連の動作がステップS44へ移行するのは、端末装置10が自局よりも他の無線基地局に安定して接続できるからである。
【0319】
更に、ステップS53において、起動状態であった無線基地局における受信信号強度が基準値RSSI_std2よりも大きい無線基地局が存在すると判定されたとき、一連の動作がステップS44へ移行するのは、端末装置10は、自局よりも起動状態であった他の無線基地局へ接続した方がウェイクアップ通知WNおよびウェイクアップ通知応答RWNをやり取りする必要がなく(図7参照)、短時間で無線基地局と接続できるからである。
【0320】
上述したように、実施の形態5においては、端末装置10からウェイクアップ信号WKEを受信して起動状態へ移行した複数の無線基地局が相互にウェイクアップ広告WAをやり取りすることによって、最終的に起動状態を維持する無線基地局が、ウェイクアップ信号WKEによって起動状態へ移行した複数の無線基地局(図18に示すステップS41参照)よりも少なくなる。
【0321】
従って、複数の無線基地局が同時に起動状態へ移行する無駄を抑制できる。
【0322】
なお、実施の形態5においては、各無線基地局1〜n(=1D)は、上述した起動確率Z1、起動確率Z2および起動確率Zのいずれかを更に用いてスリープ状態から起動状態へ移行するようにしてもよい。この場合、図10に示す信号生成器133、図13に示す信号生成器133A、および図15に示す信号生成器133Bのいずれかがウェイクアップ装置13Dに追加される。そして、無線基地局1Dの動作は、図18に示すフローチャートのステップS41を図12に示すステップS41A,S41B,S41C,S41D,S41Eに代えたフローチャートに従って実行される。
【0323】
起動確率Z1,Z2,Zのいずれかを更に用いて無線基地局1〜n(=1D)をスリープ状態から起動状態へ移行させることによって、上述した実施の形態2〜実施の形態5における場合よりも同時に起動する無線基地局の個数が更に減少する。従って、複数の無線基地局が同時に起動する無駄を更に抑制できる。
【0324】
また、実施の形態5においては、ウェイクアップ信号受信器131Dは、実施の形態3と同様に、「受信手段」を構成する。
【0325】
更に、実施の形態5においては、ウェイクアップIDが無線基地局1DのIDに一致するか否かを判定するウェイクアップ判定器132は、「判定手段」を構成する。
【0326】
更に、実施の形態5においては、ウェイクアップIDが無線基地局1DのIDに一致すると判定したとき、起動信号を生成してホストシステム143Bへ出力するウェイクアップ判定器132は、「起動手段」を構成する。
【0327】
更に、実施の形態5においては、ホストシステム143Bは、ウェイクアップ判定器132からの起動信号に応じて起動するので、「通信手段」を構成する。
【0328】
上述した実施の形態2においては、ウェイクアップIDが無線基地局1AのIDに一致すると判定されたとき、起動確率Z1で無線基地局を起動させることを説明した。また、上述した実施の形態3においては、ウェイクアップIDが無線基地局1BのIDに一致すると判定されたとき、起動確率Z2で無線基地局を起動させることを説明した。更に、上述した実施の形態4においては、ウェイクアップIDが無線基地局1CのIDに一致すると判定されたとき、起動確率Z(=γZ1+(1−γ)Z2)で無線基地局を起動させることを説明した。
【0329】
従って、この発明の実施の形態による無線基地局は、スリープ状態にある無線基地局を起動させるためのウェイクアップ信号を端末装置から受信する受信手段と、受信手段によって受信されたウェイクアップ信号が当該無線基地局を起動させることを示すか否かを判定する判定手段と、判定手段によってウェイクアップ信号が当該無線基地局を起動させることを示すと判定されると、端末装置の通信範囲において端末装置の周囲に存在する複数の無線基地局のうち、起動する無線基地局の割合を示す起動確率で起動信号を生成する起動手段と、起動手段によって生成された起動信号に応じて起動する通信手段とを備えていればよい。
【0330】
その理由は、次のとおりである。起動確率は、“1”よりも小さい値であるので、起動確率で無線基地局を起動させることによって、ウェイクアップ信号が当該無線基地局を起動させることを示すと判定されたとき、即座に無線基地局を起動させる場合に比べ、起動させる無線基地局の個数が少なくなり、複数の無線基地局が同時に起動する無駄を抑制できるからである。
【0331】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0332】
この発明は、端末装置、それと無線通信を行う無線基地局およびこれらを備える無線通信システムに適用される。
【符号の説明】
【0333】
1〜n,1A,1B,1C,1D 無線基地局、10 端末装置、100 無線通信システム、11,12,21 アンテナ、13,13A,13B,13C,13D ウェイクアップ装置、14,14A,14B メイン装置、15 電源、22,141 無線通信モジュール、23,143,143A ホストシステム、131,131A,131D ウェイクアップ信号受信器、132 ウェイクアップ判定器、133,133A,133B 信号生成器、142 有線通信モジュール、231 ウェイクアップ信号生成器。
【技術分野】
【0001】
この発明は、端末装置、それと無線通信を行う無線基地局およびこれらを備える無線通信システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、端末装置から簡易な無線信号を送信することによって、スリープ状態である無線基地局を必要な時だけ起動させて利用する省電力無線システムが知られている(非特許文献1〜3)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】伊藤哲也,近藤良久,阪田史郎,池永全志,四方博之,“無駄な消費電力量を削減するRadio-On-Demand Networks 概要,” 電子情報通信学会2011年総合大会 B-6-132 .
【非特許文献2】近藤良久,四方博之,湯素華,田中利康,岩井優仁,筒井英夫, 小花貞夫,“無線LAN信号を用いた無線LANアクセスポイントのオンデマンド ウェイクアップ方式,” 電子情報通信学会技術研究報告NS2010-185 (2011年3月).
【非特許文献3】難波耕祐,四方博之,近藤良久,湯素華,“ウェイクアップ受信機を用いたRadio-On-Demand NetworksのためのID設計に関する一検討,” 電子情報通信学会技術研究報告NS2010-187 (2011年3月).
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、同じネットワーク識別子(ESSID:Extended Service Set Identifier)が複数の無線基地局に割り当てられているネットワーク構成においては、単一の端末装置からのウェイクアップ要求にも拘わらず、複数の無線基地局が同時に起動し、無駄な電力を消費するという問題がある。また、ウェイクアップ信号がブロードキャストまたはマルチキャストで送信された場合も、同様の問題がある。
【0005】
そこで、この発明は、かかる問題を解決するためになされたものであり、その目的は、無線基地局の識別子またはESSIDが同じネットワークにおいて単一のウェイクアップ信号で複数の無線基地局が起動する無駄を抑制可能な端末装置を提供することである。
【0006】
また、この発明の別の目的は、無線基地局の識別子またはESSIDが同じネットワークにおいて単一のウェイクアップ信号で複数の無線基地局が起動する無駄を抑制可能な無線基地局を提供することである。
【0007】
更に、この発明の別の目的は、無線基地局の識別子またはESSIDが同じネットワークにおいて単一のウェイクアップ信号で複数の無線基地局が起動する無駄を抑制可能な無線通信システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明の実施の形態によれば、端末装置は、信号生成手段と、送信手段とを備える。信号生成手段は、スリープ状態にある無線基地局を起動させるためのウェイクアップ信号を生成する。送信手段は、信号生成手段によって生成されたウェイクアップ信号をブロードキャストするとともに、ウェイクアップ信号の送信回数の最大値の範囲内において、無線基地局が起動したことを示すウェイクアップ通知または無線基地局が起動状態であることを示すアクティブ通知を無線基地局から受信するまで送信電力を増加させながらウェイクアップ信号をブロードキャストする。
【0009】
また、この発明の実施の形態によれば、無線基地局は、受信手段と、判定手段と、起動手段と、通信手段とを備える。受信手段は、スリープ状態にある無線基地局を起動させるためのウェイクアップ信号を端末装置から受信する。判定手段は、受信手段によって受信されたウェイクアップ信号が当該無線基地局を起動させることを示すか否かを判定する。起動手段は、判定手段によってウェイクアップ信号が当該無線基地局を起動させることを示すと判定されると、端末装置の通信範囲において端末装置の周囲に存在する複数の無線基地局のうち、起動する無線基地局の割合を示す起動確率で起動信号を生成する。通信手段は、起動手段によって生成された起動信号に応じて起動する。
【0010】
更に、この発明の実施の形態によれば、無線基地局は、受信手段と、判定手段と、起動手段と、通信手段とを備える。受信手段は、スリープ状態にある無線基地局を起動させるためのウェイクアップ信号を端末装置から受信するとともに、ウェイクアップ信号を受信したときの受信信号強度を検出する。判定手段は、受信手段によって受信されたウェイクアップ信号が当該無線基地局を起動させることを示すか否かを判定する。起動手段は、判定手段によってウェイクアップ信号が当該無線基地局を起動させることを示すと判定されると、起動信号を生成する。通信手段は、起動手段によって生成された起動信号に応じて起動する。そして、通信手段は、起動信号に応じて起動すると、ウェイクアップ信号の受信信号強度と、当該無線基地局がスリープ状態であったかアクティブ状態であったかを示す状態情報とを含むウェイクアップ広告を当該無線基地局以外の他の無線基地局へブロードキャストし、他の無線基地局からウェイクアップ広告を受信しないとき、当該無線基地局が起動したことを示すウェイクアップ通知を端末装置へ送信して端末装置と無線リンクを確立し、またはスリープ状態へ移行する第1の処理を実行し、他の無線基地局からウェイクアップ広告を受信したとき、その受信したウェイクアップ広告に基づいて、第1の処理を実行し、またはウェイクアップ通知を端末装置へ送信せずにスリープ状態へ移行する第2の処理を実行する。
【0011】
更に、この発明の実施の形態によれば、無線通信システムは、端末装置と、n(nは2以上の整数)個の無線基地局とを備える。端末装置は、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の端末装置からなる。n個の無線基地局は、同一のネットワーク識別子が割り当てられた複数の無線基地局のグループを少なくとも2つ含み、スリープ状態にある無線基地局を起動させるためのウェイクアップ信号を端末装置から受信する。そして、n個の無線基地局の各々は、請求項5から請求項14のいずれか1項に記載の無線基地局からなる。
【発明の効果】
【0012】
この発明の実施の形態による端末装置は、送信電力を増加させながらウェイクアップ信号をブロードキャストする。その結果、ウェイクアップ信号は、徐々に端末装置からより遠くへ届き、端末装置の周囲に存在する複数の無線基地局は、端末装置に近い順にウェイクアップ信号を受信し、スリープ状態から起動状態へ移行する。
【0013】
従って、複数の無線基地局が同時に起動する無駄を抑制できる。
【0014】
また、この発明の実施の形態による無線基地局は、ウェイクアップ信号が自局を起動させることを示すと判定したとき、起動確率に従って起動する。その結果、ウェイクアップ信号が自局を起動させることを示すと判定したときに即座に無線基地局が起動する場合に比べ、ウェイクアップ信号によって起動される無線基地局の個数が抑制される。
【0015】
従って、複数の無線基地局が同時に起動する無駄を抑制できる。
【0016】
更に、この発明の実施の形態による無線基地局は、ウェイクアップ信号によって起動されると、ウェイクアップ広告を他の無線基地局とやり取りし、ウェイクアップ広告の受信の有無に応じて、端末装置と無線リンクを確立し、またはスリープ状態へ移行する。その結果、ウェイクアップ信号によって起動されると、全ての無線基地局が端末装置と無線リンクを確立する場合に比べ、最終的に起動状態を維持する無線基地局の個数が少なくなる。
【0017】
従って、複数の無線基地局が同時に起動する無駄を抑制できる。
【0018】
更に、この発明の実施の形態によれば、無線通信システムは、上述した端末装置および無線基地局を備える。
【0019】
従って、複数の無線基地局が同時に起動する無駄を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】この発明の実施の形態による無線通信システムの概略図である。
【図2】図1に示す無線基地局の実施の形態1における構成図である。
【図3】図1に示す端末装置の構成図である。
【図4】実施の形態1における無線基地局を起動させる方法を説明するための概念図である。
【図5】送信回数と送信電力との関係を示すテーブルの概念図である。
【図6】無線基地局がスリープ状態であるときの端末装置および無線基地局の動作を説明するためのフローチャートである。
【図7】無線基地局が起動状態であるときの端末装置および無線基地局の動作を説明するためのフローチャートである。
【図8】端末装置の動作を説明するためのフローチャートである。
【図9】無線基地局の動作を説明するためのフローチャートである。
【図10】実施の形態2における無線基地局の構成図である。
【図11】端末装置の周囲に存在する無線基地局の個数Nを推定する方法を説明するための概念図である。
【図12】無線基地局の実施の形態2における動作を説明するためのフローチャートである。
【図13】実施の形態3における無線基地局の構成図である。
【図14】ウェイクアップ信号の受信回数と定数βとの関係を示すテーブルの概念図である。
【図15】実施の形態4における無線基地局の構成図である。
【図16】実施の形態5における無線基地局の構成図である。
【図17】実施の形態5における無線基地局および端末装置の動作を説明するためのフローチャートである。
【図18】実施の形態5における無線基地局の動作を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰返さない。
【0022】
図1は、この発明の実施の形態による無線通信システムの概略図である。図1を参照して、この発明の実施の形態による無線通信システム100は、無線基地局1〜n(nは2以上の整数)と、端末装置10とを備える。
【0023】
無線基地局1〜nの各々は、端末装置10と無線通信を行う起動状態と、端末装置10と無線通信(=データの送受信)を行うことができないスリープ状態とを有する。また、この発明の実施の形態においては、無線基地局1〜nのうち、複数の無線基地局は、同じESSIDが割り当てられており、無線基地局1〜nのうち、別の複数の無線基地局は、別の同じESSIDが割り当てられていてもよい。即ち、無線基地局1〜nは、同一のネットワーク識別子(ESSID)が割り当てられた複数の無線基地局のグループを少なくとも2つ含んでいてもよい。
【0024】
無線基地局1〜nの各々は、スリープ状態にあるときに、無線基地局を起動させるためのウェイクアップ信号WKEを端末装置10から受信すると、後述する方法によってスリープ状態から起動状態へ移行する。そして、無線基地局1〜nの各々は、起動状態へ移行すると、端末装置10を管理するためのビーコンフレームBeacon(=管理フレーム)を定期的に送信し、端末装置10との間で無線リンクを確立する。そうすると、無線基地局1〜nの各々は、例えば、2.45GHz帯で端末装置10と無線通信を行う。
【0025】
端末装置10は、ウェイクアップ信号WKEを生成してブロードキャストする。そして、端末装置10は、後述する方法によって、無線基地局1〜nのいずれかと無線リンクを確立し、2.45GHz帯で無線通信を行う。
【0026】
[実施の形態1]
図2は、図1に示す無線基地局1の実施の形態1における構成図である。図2を参照して、無線基地局1は、アンテナ11,12と、ウェイクアップ装置13と、メイン装置14と、電源15とを含む。
【0027】
アンテナ11は、ウェイクアップ装置13に接続される。アンテナ12は、メイン装置14に接続される。
【0028】
ウェイクアップ装置13は、例えば、100μWの電力を電源15から受け、その受けた電力によって駆動される。また、ウェイクアップ装置13は、メイン装置14から無線基地局1のIDを受けて保持している。そして、ウェイクアップ装置13は、アンテナ11を介して端末装置10からウェイクアップ信号WKEをチャネルXで受信すると、その受信したウェイクアップ信号WKEに含まれるウェイクアップIDが無線基地局1のIDに一致するか否かを判定する。ウェイクアップ装置13は、ウェイクアップIDが無線基地局1のIDに一致すると判定したとき、起動信号を生成し、その生成した起動信号をメイン装置14へ出力する。
【0029】
一方、ウェイクアップ装置13は、ウェイクアップIDが無線基地局1のIDに一致しないとき、ウェイクアップ信号を破棄する。そして、ウェイクアップ装置13は、ウェイクアップ信号の受信を待つ状態になる。
【0030】
なお、ウェイクアップ装置13は、ウェイクアップ信号WKE等のパケットを受信する機能のみを有し、パケットを送信する機能を有しない。また、チャネルXは、2.45GHz帯の1つの周波数に設定され、固定されたチャネルである。
【0031】
メイン装置14は、例えば、7Wの電力を電源15から受け、その受けた電力によって駆動される。また、メイン装置14は、無線基地局1のIDをウェイクアップ装置13へ出力する。
【0032】
メイン装置14は、スリープ状態にあるときに、ウェイクアップ装置13から起動信号を受けると、スリープ状態から起動状態へ移行する。そして、メイン装置14は、無線基地局1が起動したことを示すウェイクアップ通知WN(Wake−up Notification)を生成し、その生成したウェイクアップ通知WNをアンテナ12を介してチャネルXで端末装置10へ送信する。その後、メイン装置14は、ウェイクアップ通知WNに対する応答であるウェイクアップ通知応答RWN(Reply to WN)をアンテナ12を介してチャネルXで端末装置10から受信すると、チャネルYで端末装置10との間でアソシエーションを行い、端末装置10との間で無線リンクを確立する。そうすると、メイン装置14は、端末装置10とチャネルYで無線通信を行う。また、メイン装置14は、有線ケーブル(図示せず)を介して他の通信装置と通信を行う。
【0033】
更に、メイン装置14は、起動状態であるときに、ウェイクアップ装置13から起動信号を受けると、無線基地局1が起動中であることを示すアクティブ通知AN(Active Notification)を生成し、その生成したアクティブ通知ANをアンテナ12を介してチャネルXで端末装置10へ送信する。そして、メイン装置14は、チャネルYで端末装置10との間でIEEE802.11のアソシエーションを行い、端末装置10との間で無線リンクを確立する。そうすると、メイン装置14は、チャネルYで端末装置10と無線通信を行う。
【0034】
電源15は、100μWの電力をウェイクアップ装置13へ供給し、7Wの電力をメイン装置14へ供給する。
【0035】
ウェイクアップ装置13は、ウェイクアップ信号受信器131と、ウェイクアップ判定器132とを含む。メイン装置14は、無線通信モジュール141と、有線通信モジュール142と、ホストシステム143とを含む。
【0036】
ウェイクアップ信号受信器131は、パケットを受信する機能のみを有し、パケットを送信する機能を有しない。
【0037】
ウェイクアップ信号受信器131は、チャネルXを有する。そして、ウェイクアップ信号受信器131は、チャネルXでウェイクアップ信号WKEを待ち受ける。
【0038】
ウェイクアップ信号受信器131は、ウェイクアップ信号WKEをアンテナ11を介して受信すると、その受信したウェイクアップ信号WKEを復調し、その復調したウェイクアップ信号WKEをウェイクアップ判定器132へ出力する。
【0039】
ウェイクアップ判定器132は、無線基地局1のIDをホストシステム143から受けて保持している。ウェイクアップ判定器132は、復調されたウェイクアップ信号WKEをウェイクアップ信号受信器131から受ける。そして、ウェイクアップ判定器132は、その受けたウェイクアップ信号WKEに含まれるウェイクアップIDを抽出する。
【0040】
そうすると、ウェイクアップ判定器132は、ウェイクアップIDが無線基地局1のIDに一致するか否かを判定する。ウェイクアップ判定器132は、ウェイクアップIDが無線基地局1のIDに一致すると判定したとき、起動信号を生成し、その生成した起動信号をメイン装置14のホストシステム143へ出力する。一方、ウェイクアップ判定器132は、ウェイクアップIDが無線基地局1のIDに一致しないと判定したとき、その抽出したウェイクアップIDを破棄する。
【0041】
無線通信モジュール141は、ホストシステム143からコマンド信号COM1を受けると、起動状態からスリープ状態へ移行し、ホストシステム143からコマンド信号COM2を受けると、スリープ状態から起動状態へ移行する。なお、このスリープ状態は、無線通信モジュール141が動作を停止した状態である。
【0042】
無線通信モジュール141は、スリープ状態から起動状態へ移行し、かつ、ウェイクアップ通知WNをホストシステム143から受けると、その受けたウェイクアップ通知WNを無線LANの通信方式によって変調してチャネルXで端末装置10へ送信する。
【0043】
その後、無線通信モジュール141は、ウェイクアップ通知応答RWNをアンテナ12を介して端末装置10からチャネルXで受信し、その受信したウェイクアップ通知応答RWNをホストシステム143へ出力する。そして、無線通信モジュール141は、端末装置10との間でアソシエーションを行う指示をホストシステム143から受けると、チャネルYで端末装置10との間でIEEE802.11のアソシエーションを行い、端末装置10との間で無線リンクを確立する。そうすると、無線通信モジュール141は、ホストシステム143から受けたデータを含むパケットを生成し、その生成したパケットをチャネルYで端末装置10へ送信する。なお、チャネルYは、メイン装置14がスリープ状態へ移行する前に決定されており、2.45GHz帯において任意に決定された1つの周波数を有する周波数チャネルからなる。そして、チャネルYは、2.45GHz帯において任意の1つの周波数チャネルに決定されるので、チャネルXと同一になる場合もあれば、チャネルXと異なる場合もある。
【0044】
また、無線通信モジュール141は、アクティブ通知ANをホストシステム143から受けると、その受けたアクティブ通知ANを無線LANの通信方式によって変調してチャネルXで端末装置10へ送信する。
【0045】
そして、無線通信モジュール141は、端末装置10との間でアソシエーションを行う指示をホストシステム143から受けると、端末装置10との間でチャネルYでIEEE802.11のアソシエーションを行い、端末装置10との間で無線リンクを確立する。そうすると、無線通信モジュール141は、ホストシステム143から受けたデータを含むパケットを生成し、その生成したパケットをチャネルYで端末装置10へ送信する。
【0046】
更に、無線通信モジュール141は、アンテナ12を介してチャネルYで端末装置10からパケットを受信すると、その受信したパケットからデータを取り出してホストシステム143へ出力する。
【0047】
有線通信モジュール142は、有線ケーブル(図示せず)を介して他の通信装置からデータを受信し、その受信したデータをホストシステム143へ出力する。
【0048】
また、有線通信モジュール142は、ホストシステム143からデータを受け、その受けたデータを有線ケーブル(図示せず)を介して他の通信装置へ送信する。
【0049】
更に、有線通信モジュール142は、ホストシステム143からコマンド信号COM1を受けると、起動状態からスリープ状態へ移行し、ホストシステム143からコマンド信号COM2を受けると、スリープ状態から起動状態へ移行する。なお、このスリープ状態は、有線通信モジュール142が動作を停止した状態である。
【0050】
ホストシステム143は、無線基地局1のIDを予め保持しており、起動状態であるときに、その保持している無線基地局1のIDをウェイクアップ判定器132へ出力する。
【0051】
また、ホストシステム143は、スリープ状態へ移行する前に端末装置10との間でデータを送受信するために使用していたチャネルYを保持している。
【0052】
更に、ホストシステム143は、スリープ状態であるときにウェイクアップ判定器132から起動信号を受けると、スリープ状態から起動状態へ移行する。そして、ホストシステム143は、コマンド信号COM2を生成して無線通信モジュール141および有線通信モジュール142へ出力する。その後、ホストシステム143は、チャネルYと無線基地局1のアドレスとを含むウェイクアップ通知WNを生成し、その生成したウェイクアップ通知WNを無線通信モジュール141へ出力する。
【0053】
ホストシステム143は、ウェイクアップ通知WNを無線通信モジュール141へ出力した後、一定期間、ウェイクアップ通知応答RWNを無線通信モジュール141から受けないとき、コマンド信号COM1を無線通信モジュール141および有線通信モジュール142へ出力し、その後、起動状態からスリープ状態へ移行する。
【0054】
一方、ホストシステム143は、ウェイクアップ通知WNを無線通信モジュール141へ出力した後、一定期間内に、ウェイクアップ通知応答RWNを無線通信モジュール141から受けると、ウェイクアップ通知応答RWNを送信した端末装置10との間でアソシエーションを行う指示を無線通信モジュール141へ出力する。
【0055】
更に、ホストシステム143は、起動状態であるときに、ウェイクアップ判定器132から起動信号を受けると、チャネルYと無線基地局1のアドレスとを含むアクティブ通知ANを生成し、その生成したアクティブ通知ANを無線通信モジュール141へ出力する。そして、ホストシステム143は、端末装置10との間でアソシエーションを行う指示を無線通信モジュール141へ出力する。
【0056】
更に、ホストシステム143は、無線通信モジュール141からデータを受けると、その受けたデータを有線通信モジュール142へ出力する。
【0057】
更に、ホストシステム143は、有線通信モジュール142からデータを受けると、その受けたデータを無線通信モジュール141へ出力する。
【0058】
更に、ホストシステム143は、無線基地局1の通信範囲内に存在する端末装置を管理する。
【0059】
なお、図1に示す無線基地局2〜nの各々も、図2に示す無線基地局1と同じ構成からなる。
【0060】
図3は、図1に示す端末装置10の構成図である。図3を参照して、端末装置10は、アンテナ21と、無線通信モジュール22と、ホストシステム23とを含む。
【0061】
無線通信モジュール22は、ウェイクアップ信号WKEをブロードキャストするためのチャネルXが予め設定されている。また、無線通信モジュール22は、ウェイクアップ信号WKEを1回送信するのに要する時間Tretryと、無線基地局と接続するまでに要する許容遅延時間Tdelayとを予め保持している。
【0062】
無線通信モジュール22は、ウェイクアップ信号WKEをホストシステム23から受け、その受けたウェイクアップ信号WKEをオンオフキーイングの変調方式によって変調し、その変調したウェイクアップ信号WKEをアンテナ21を介してチャネルXでブロードキャストする。
【0063】
このオンオフキーイングの変調方式は、伝送レートが数十kbps〜数百kbpsである変調方式であり、通常の無線LANに用いられる変調方式よりも伝送レートが低い。このように伝送レートが低い変調方式によってウェイクアップ信号WKEを変調するのは、100μWという非常に低い電力で動作するウェイクアップ装置13によってウェイクアップ信号WKEを復調できるようにするためである。
【0064】
無線通信モジュール22は、ウェイクアップ信号WKEをブロードキャストしてから一定期間の間に、ウェイクアップ通知WNまたはアクティブ通知ANを受信しないとき、送信電力を大きくしてウェイクアップ信号WKEを再びブロードキャストする。その後、無線通信モジュール22は、一定期間の間に、ウェイクアップ通知WNまたはアクティブ通知ANを受信しないとき、送信電力を更に大きくしてウェイクアップ信号WKEを再びブロードキャストする。無線通信モジュール22は、この動作をウェイクアップ信号WKEの送信回数が最大送信回数Rmaxに達するまで繰り返し行う。
【0065】
なお、最大送信回数Rmaxは、許容遅延時間Tdelayを時間Tretryによって除算した除算結果を超えない最大の整数からなる。
【0066】
そして、無線通信モジュール22は、ウェイクアップ信号WKEをブロードキャストした後、接続先の無線基地局CN(=無線基地局1〜nのいずれか)からアンテナ21を介してウェイクアップ通知WNをチャネルXで受信し、その受信したウェイクアップ通知WNをホストシステム23へ出力する。
【0067】
また、無線通信モジュール22は、ホストシステム23からウェイクアップ通知応答RWNを受けると、その受けたウェイクアップ通知応答RWNを無線LANの変調方式によって変調し、その変調したウェイクアップ通知応答RWNをチャネルXでアンテナ21を介して無線基地局CNへ送信する。その後、無線通信モジュール22は、無線基地局CNとの間でデータを送受信するためのチャネルYをホストシステム23から受けると、アンテナ21を介してチャネルYでビーコンフレームBeaconを無線基地局CNから受信する。そして、無線通信モジュール22は、ホストシステム23からの指示に従ってチャネルYで無線基地局CNとの間でIEEE802.11のアソシエーションを行い、無線基地局CNとの間で無線リンクを確立する。
【0068】
更に、無線通信モジュール22は、アンテナ21を介して無線基地局CNからアクティブ通知ANをチャネルXで受信し、その受信したアクティブ通知ANをホストシステム23へ出力する。そして、無線通信モジュール22は、チャネルYをホストシステム23から受けると、ホストシステム23からの指示に従ってチャネルYで無線基地局CNとの間でIEEE802.11のアソシエーションを行い、無線基地局CNとの間で無線リンクを確立する。
【0069】
無線通信モジュール22は、無線基地局CNとの間で無線リンクを確立すると、無線基地局CNとチャネルYで無線通信を行う。より具体的には、無線通信モジュール22は、アンテナ21を介して無線基地局CNからパケットをチャネルYで受信し、その受信したパケットを復調してデータを取り出し、その取り出したデータをホストシステム23へ出力する。また、無線通信モジュール22は、ホストシステム23からデータを受け、その受けたデータを含むパケットを生成し、その生成したパケットを無線LANによる変調方式によって変調し、その変調したパケットをチャネルYでアンテナ21を介して無線基地局CNへ送信する。
【0070】
ホストシステム23は、ウェイクアップ信号生成器231を含む。ウェイクアップ信号生成器231は、コマンド信号COM3およびESSID(またはBSSID)をホストシステム23から受けると、ESSID、BSSIDおよびそれらのハッシュ値のいずれかからなるウェイクアップIDを生成し、その生成したウェイクアップIDを含むウェイクアップ信号WKEを生成する。なお、ウェイクアップIDは、端末装置10が起動させる無線基地局を示す情報である。
【0071】
そして、ウェイクアップ信号生成器231は、その生成したウェイクアップ信号WKEを無線通信モジュール22へ出力する。
【0072】
ホストシステム23は、無線通信モジュール22がアンテナ21を介して受信したビーコンフレームBeaconを無線通信モジュール22から受ける。そして、ホストシステム23は、その受けたビーコンフレームBeaconに含まれるESSIDまたはBSSIDを取り出して管理するとともに、ESSIDまたはBSSIDに基づいて、端末装置10が帰属する無線基地局CNを管理する。
【0073】
また、ホストシステム23は、無線基地局CNからビーコンフレームBeaconを受信しないとき、無線基地局CNがスリープ状態であると判定し、コマンド信号COM3およびESSID(またはBSSID)をウェイクアップ信号生成器231へ出力する。
【0074】
更に、ホストシステム23は、ウェイクアップ通知WNを無線通信モジュール22から受けると、ウェイクアップ通知WNからチャネルYを取り出し、その取り出したチャネルYを無線通信モジュール22へ出力する。そして、ホストシステム23は、ウェイクアップ通知WNに対する応答であるウェイクアップ通知応答RWNを生成して無線通信モジュール22へ出力する。このウェイクアップ通知応答RWNは、無線基地局CNのアドレスと、端末装置10のアドレスとを含む。その後、ホストシステム23は、無線基地局CNとの間でアソシエーションを行うための指示を無線通信モジュール22へ出力する。
【0075】
更に、ホストシステム23は、アクティブ通知ANを無線通信モジュール22から受けると、アクティブ通知ANからチャネルYを取り出し、その取り出したチャネルYを無線通信モジュール22へ出力する。そして、ホストシステム23は、無線基地局CNとの間でアソシエーションを行うための指示を無線通信モジュール22へ出力する。
【0076】
更に、ホストシステム23は、無線通信モジュール22からデータを受けるとともに、データを生成して無線通信モジュール22へ出力する。
【0077】
図4は、実施の形態1における無線基地局を起動させる方法を説明するための概念図である。また、図5は、送信回数と送信電力との関係を示すテーブルの概念図である。
【0078】
図4を参照して、端末装置10が接続しようとする無線基地局CNは、端末装置10の通信範囲REG1,REG2外であり、かつ、端末装置10の通信範囲REG3内に存在する。そして、通信範囲REG1〜REG3は、端末装置10の送信電力によって規定されるウェイクアップ信号WKEの到達可能領域である。従って、ウェイクアップ信号WKEは、端末装置10の送信電力が大きくなるに従って、より遠くまで送信される。
【0079】
端末装置10の無線通信モジュール22は、図5に示すテーブルTBL1を保持している。図5を参照して、テーブルTBL1は、送信回数と送信電力とを含む。送信回数および送信電力は、相互に対応付けられる。送信回数は、ウェイクアップ信号WKEの送信回数であり、送信電力は、ウェイクアップ信号WKEの送信電力である。
【0080】
送信回数が1回目であるときの送信電力(=0[dBm])は、送信電力の初期値であり、無線基地局をウェイクアップさせることができた前回の電力値からなっていてもよいし、WLANにおけるデータ通信の範囲までウェイクアップ信号WKEを到達可能な電力値からなっていてもよい。
【0081】
端末装置10の無線通信モジュール22は、ウェイクアップ信号WKEを最初にブロードキャストする場合、テーブルTBL1を参照して、0[dBm]の送信電力を検出し、その検出した0dBmの送信電力でウェイクアップ信号WKEをブロードキャストする。この0[dBm]の送信電力は、ウェイクアップ信号WKEを通信範囲REG1内へ送信可能な送信電力である。
【0082】
無線基地局CNは、ウェイクアップ信号WKEを受信できないので、ウェイクアップ通知WNおよびアクティブ通知ANのいずれも端末装置10へ送信しない。
【0083】
そして、端末装置10の無線通信モジュール22は、ウェイクアップ信号WKEを最初にブロードキャストしてから一定期間内に、ウェイクアップ通知WNまたはアクティブ通知ANを無線基地局CNから受信しないとき、テーブルTBL1を参照して、2回目の送信回数に対応する4[dBm]の送信電力を検出する。この4[dBm]の送信電力は、ウェイクアップ信号WKEを通信範囲REG2内へ送信可能な送信電力である。
【0084】
この場合も、無線基地局CNは、ウェイクアップ信号WKEを受信できないので、ウェイクアップ通知WNおよびアクティブ通知ANのいずれも端末装置10へ送信しない。
【0085】
端末装置10の無線通信モジュール22は、ウェイクアップ信号WKEを2回目にブロードキャストしてから一定期間内に、ウェイクアップ通知WNまたはアクティブ通知ANを無線基地局CNから受信しないとき、テーブルTBL1を参照して、3回目の送信回数に対応する10[dBm]の送信電力を検出する。この10[dBm]の送信電力は、ウェイクアップ信号WKEを通信範囲REG3内へ送信可能な送信電力である。
【0086】
無線基地局CNは、ウェイクアップ信号WKEを受信し、スリープ状態から起動状態へ移行する。そして、無線基地局CNは、ウェイクアップ通知WNを生成して端末装置10へ送信する。なお、無線基地局CNは、起動中に、ウェイクアップ信号WKEを受信したとき、アクティブ通知ANを生成して端末装置10へ送信する。
【0087】
そして、端末装置10は、ウェイクアップ通知WNを無線基地局CNから受信し、ウェイクアップ通知応答RWNを無線基地局CNへユニキャストする。その後、端末装置10は、チャネルYでビーコンフレームBeaconを無線基地局CNから受信し、チャネルYで無線基地局CNとIEEE802.11のアソシエーションを行い、無線基地局CNと無線リンクを確立する。そうすると、端末装置10は、無線基地局CNとチャネルYで無線通信を行う。
【0088】
なお、端末装置10は、アクティブ通知ANを無線基地局CNから受信したとき、ウェイクアップ通知応答RWNを無線基地局CNへ送信せずに、チャネルYで即座に無線基地局CNとの間でIEEE802.11のアソシエーションを行い、無線基地局CNと無線リンクを確立する。
【0089】
このように、端末装置10は、ウェイクアップ信号WKEの最大送信回数Rmaxの範囲内において、ウェイクアップ通知WNまたはアクティブ通知ANを受信するまで、テーブルTBL1に従って送信電力を増加させながらウェイクアップ信号WKEを繰り返しブロードキャストし、無線基地局CNに接続する。
【0090】
図6は、無線基地局CNがスリープ状態であるときの端末装置10および無線基地局CNの動作を説明するためのフローチャートである。なお、図6においては、ホストシステム143の下側の縦の点線は、ホストシステム143がスリープ状態であることを意味し、縦の実線は、ホストシステム143が起動状態であることを意味する。また、図6においては、端末装置10が送信電力を増加させながらウェイクアップ信号WKEをブロードキャストし、無線基地局CNが最大送信回数Rmaxの範囲内においてウェイクアップ信号WKEを受信することを前提として端末装置10および無線基地局CNの動作を説明する。
【0091】
図6を参照して、端末装置10は、上述した動作によってウェイクアップ信号WKEをチャネルXでブロードキャストする(ステップS1)。そして、無線基地局CNのウェイクアップ装置13は、アンテナ11を介してウェイクアップ信号WKEをチャネルXで受信し、その受信したウェイクアップ信号WKEを復調してウェイクアップIDを取り出す。その後、無線基地局CNのウェイクアップ装置13は、ウェイクアップIDが無線基地局CNのIDに一致すると判定し、起動信号を生成してホストシステム143へ出力する(ステップS2)。
【0092】
そうすると、無線基地局CNのホストシステム143は、起動信号に応じてスリープ状態から起動状態へ移行する(ステップS3)。そして、無線基地局CNのホストシステム143は、コマンド信号COM2を生成して無線通信モジュール141へ出力する。その後、無線基地局CNのホストシステム143は、チャネルYと無線基地局CNのアドレスとを含むウェイクアップ通知WNを生成し、その生成したウェイクアップ通知WNを無線通信モジュール141へ出力する。
【0093】
無線基地局CNの無線通信モジュール141は、ホストシステム143からのコマンド信号COM2に応じてスリープ状態から起動状態へ移行する。そして、無線基地局CNの無線通信モジュール141は、ウェイクアップ通知WNをホストシステム143から受けると、その受けたウェイクアップ通知WNを無線LANの変調方式によって変調し、その変調したウェイクアップ通知WNをチャネルXでアンテナ12を介して端末装置10へ送信する(ステップS4)。
【0094】
端末装置10の無線通信モジュール22は、アンテナ21を介してチャネルXでウェイクアップ通知WNを受信し、その受信したウェイクアップ通知WNをホストシステム23へ出力する。
【0095】
端末装置10のホストシステム23は、ウェイクアップ通知WNを無線通信モジュール22から受け、その受けたウェイクアップ通知WNからチャネルYを取り出して無線通信モジュール22へ出力する。また、端末装置10のホストシステム23は、ウェイクアップ通知WNに応じてウェイクアップ通知応答RWNを生成して無線通信モジュール22へ出力する。
【0096】
端末装置10の無線通信モジュール22は、ウェイクアップ通知応答RWNをホストシステム23から受け、その受けたウェイクアップ通知応答RWNを無線LANの変調方式によって変調し、その変調したウェイクアップ通知応答RWNをチャネルXで無線基地局CNへユニキャストする(ステップS5)。
【0097】
無線基地局CNの無線通信モジュール141は、アンテナ12を介してチャネルXでウェイクアップ通知応答RWNを受信し、その受信したウェイクアップ通知応答RWNをホストシステム143へ出力する。
【0098】
無線基地局CNのホストシステム143は、ウェイクアップ通知応答RWNを無線通信モジュール141から受け、端末装置10が無線基地局CNの起動状態への移行を検知したことを検出する。
【0099】
そして、無線基地局CNのホストシステム143は、チャネルの変更を無線通信モジュール141へ指示する。無線基地局CNの無線通信モジュール141は、ホストシステム143からの指示に応じて、チャネルをチャネルYに変更する(ステップS6)。
【0100】
端末装置10の無線通信モジュール22も、同様にしてチャネルをチャネルYに変更する(ステップS7)。
【0101】
その後、無線基地局CNのホストシステム143は、ビーコンフレームBeaconを生成して無線通信モジュール141へ出力し、端末装置10との間でアソシエーションを行うように無線通信モジュール141に指示する。
【0102】
そうすると、無線基地局CNの無線通信モジュール141は、ホストシステム143からの指示に応じて、ビーコンフレームBeaconをチャネルYで送信する。
【0103】
そして、無線基地局CNのホストシステム143は、無線通信モジュール141を介して端末装置10とチャネルYでIEEE802.11のアソシエーションを行い(ステップS8)、端末装置10との間で無線リンクを確立する。
【0104】
その後、無線基地局CNのホストシステム143は、無線通信モジュール141を介して端末装置10とチャネルYで無線通信を行う(ステップS9)。
【0105】
これによって、一連の動作が終了する。
【0106】
このように、無線基地局CNは、スリープ状態であるときに端末装置10からウェイクアップ信号WKEを受信すると、スリープ状態から起動状態へ移行し、ウェイクアップ通知WNの端末装置10への送信と、ウェイクアップ通知応答RWNの端末装置10からの受信とをチャネルXで行うとともに、端末装置10との間でIEEE802.11のアソシエーションおよび無線通信をチャネルYで行う。
【0107】
図7は、無線基地局CNが起動状態であるときの端末装置10および無線基地局CNの動作を説明するためのフローチャートである。
【0108】
図7を参照して、一連の動作が開始されると、端末装置10は、上述した動作に従ってウェイクアップ信号WKEをチャネルXでブロードキャストする(ステップS11)。
【0109】
そして、無線基地局CNのウェイクアップ装置13は、アンテナ11を介してウェイクアップ信号WKEをチャネルXで受信し、その受信したウェイクアップ信号WKEを復調してウェイクアップIDを取り出す。その後、無線基地局CNのウェイクアップ装置13は、ウェイクアップIDが無線基地局CNのIDに一致すると判定し、起動信号を生成してホストシステム143へ出力する(ステップS12)。
【0110】
そうすると、無線基地局CNのホストシステム143は、起動信号に応じて、チャネルをチャネルXに変更するように無線通信モジュール141に指示する。無線基地局CNの無線通信モジュール141は、ホストシステム143からの指示に応じて、チャネルをチャネルXに変更する(ステップS13)。
【0111】
その後、無線基地局CNのホストシステム143は、チャネルYと無線基地局CNのアドレスとを含むアクティブ通知ANを生成して無線通信モジュール141へ出力し、無線通信モジュール141は、ホストシステム143から受けたアクティブ通知ANを無線LANの変調方式によって変調し、その変調したアクティブ通知ANをチャネルXで端末装置10へ送信する(ステップS14)。
【0112】
端末装置10の無線通信モジュール22は、アンテナ21を介してキャリアセンスを行い、アクティブ通知ANをチャネルXで受信し、その受信したアクティブ通知ANを復調してホストシステム23へ出力する。
【0113】
端末装置10のホストシステム23は、無線通信モジュール22からのアクティブ通知ANに応じて、無線基地局CNが起動中であることを検知する。そして、端末装置10のホストシステム23は、アクティブ通知ANからチャネルYを取り出して無線通信モジュール22へ出力し、チャネルを無線通信用のチャネルYに変更するように無線通信モジュール22に指示する。
【0114】
そして、端末装置10の無線通信モジュール22は、ホストシステム23からの指示に応じてチャネルをチャネルYに変更する(ステップS15)。
【0115】
無線基地局CNの無線通信モジュール141も、同様にしてチャネルをチャネルYへ変更する(ステップS16)。
【0116】
その後、無線基地局CNのホストシステム143は、ビーコンフレームBeaconを生成して無線通信モジュール141へ出力し、端末装置10との間でアソシエーションを行うように無線通信モジュール141に指示する。
【0117】
そうすると、無線基地局CNの無線通信モジュール141は、ホストシステム143からの指示に応じて、ビーコンフレームBeaconをチャネルYで送信する。
【0118】
そして、無線基地局CNのホストシステム143は、無線通信モジュール141を介して端末装置10とチャネルYでIEEE802.11のアソシエーションを行い(ステップS17)、端末装置10との間で無線リンクを確立する。
【0119】
その後、無線基地局CNのホストシステム143は、無線通信モジュール141を介して端末装置10とチャネルYで無線通信を行う(ステップS18)。
【0120】
これによって、一連の動作が終了する。
【0121】
このように、無線基地局CNは、起動中にウェイクアップ信号WKEを受信すると、ウェイクアップ通知WNを端末装置10へ送信せずにアクティブ通知ANを端末装置10へ送信し、その後、即座に端末装置10との間でIEEE802.11のアソシエーションを行い、無線リンクを確立する。
【0122】
無線基地局CNがスリープ状態である場合、端末装置10がウェイクアップ信号WKEを送信してからアソシエーションが開始されるまでに、1秒程度が必要であるが、無線基地局CNが起動状態である場合、端末装置10がウェイクアップ信号WKEを送信してからアソシエーションが開始されるまでに要する時間は、数十ミリ秒程度である。これは、無線基地局CNが2つのアンテナ11,12を備え、無線基地局CNがアンテナ12を用いて無線通信を行っている場合でもウェイクアップ信号WKEをアンテナ11を用いて受信でき、無線基地局CNが起動状態である場合、ウェイクアップ通知WNおよびウェイクアップ通知応答RWNが端末装置10と無線基地局CNとの間でやり取りされないからである(図7参照)。
【0123】
従って、無線基地局CNが起動状態である場合、端末装置10は、無線基地局CNとの間で迅速に無線通信を開始できる。
【0124】
図8は、端末装置10の動作を説明するためのフローチャートである。図8を参照して、端末装置10の動作が開始されると、端末装置10の無線通信モジュール22は、ウェイクアップ信号WKEをウェイクアップ信号生成器231から受け、ウェイクアップ信号WKEの送信回数tをt=1に設定する(ステップS21)。
【0125】
そして、端末装置10の無線通信モジュール22は、テーブルTBL1を参照して、送信回数tに対応する送信電力PWtを検出し、その検出した送信電力PWtを用いてウェイクアップ信号WKEをチャネルXでブロードキャストする(ステップS22)。
【0126】
その後、端末装置10の無線通信モジュール22は、T1秒内にウェイクアップ通知WNまたはアクティブ通知ANを受信したか否かを判定する(ステップS23)。なお、T1は、例えば、1秒に設定される。
【0127】
ステップS23において、T1秒内にウェイクアップ通知WNまたはアクティブ通知ANが受信されたと判定されたとき、端末装置10の無線通信モジュール22は、その受信したウェイクアップ通知WNまたはアクティブ通知ANと、ウェイクアップ通知WNまたはアクティブ通知ANの受信信号強度とをホストシステム23へ出力する。
【0128】
そして、端末装置10のホストシステム23は、複数のウェイクアップ通知WNおよびアクティブ通知ANを受信した場合、接続先の無線基地局を決定する(ステップS24)。より具体的には、端末装置10のホストシステム23は、ウェイクアップ通知WNのみ、またはアクティブ通知ANのみを複数の無線基地局から受信した場合、最も受信信号強度が大きいウェイクアップ通知WNまたは最も受信信号強度が大きいアクティブ通知ANを送信した無線基地局を接続先の無線基地局として決定する。なお、端末装置10のホストシステム23は、最も大きい受信信号強度が複数個存在する場合、複数の最大受信信号強度の中から任意の1個の最大受信信号強度を選択し、その選択した最大受信信号強度を有するウェイクアップ通知WNまたはアクティブ通知ANを送信した無線基地局を接続先の無線基地局として決定する。
【0129】
また、端末装置10のホストシステム23は、ウェイクアップ通知WNおよびアクティブ通知ANの両方を複数の無線基地局から受信した場合、アクティブ通知ANの複数の受信信号強度のうち、アクティブ通知ANの最大の受信信号強度が基準値RSSI_std1以上であれば、その最大の受信信号強度を有するアクティブ通知ANを送信した無線基地局を接続先の無線基地局として決定する。一方、アクティブ通知ANの最大の受信信号強度が基準値RSSI_std1以上でなければ、最大の受信信号強度を有するウェイクアップ通知WNを送信した無線基地局を接続先の無線基地局として決定する。なお、最大の受信信号強度が複数個存在する場合、複数の最大受信信号強度の中から任意の1個の最大受信信号強度を選択し、その選択した最大受信信号強度を有するウェイクアップ通知WNを送信した無線基地局を接続先の無線基地局として決定する。また、基準値RSSI_std1は、例えば、−70[dBm]に設定される。
【0130】
ステップS24の後、端末装置10のホストシステム23は、接続先の無線基地局からウェイクアップ通知WNを受信したか否かを判定する(ステップS25)。
【0131】
ステップS25において、接続先の無線基地局からウェイクアップ通知WNを受信したと判定されたとき、端末装置10のホストシステム23は、ウェイクアップ通知WNからチャネルYを取り出し、その取り出したチャネルYを無線通信モジュール22へ出力するとともに、ウェイクアップ通知応答RWNを生成して無線通信モジュール22へ出力する。端末装置10の無線通信モジュール22は、チャネルYおよびウェイクアップ通信応答RWNをホストシステム23から受ける。そして、端末装置10の無線通信モジュール22は、ウェイクアップ通知応答RWNを無線LANの変調方式によって変調し、その変調したウェイクアップ通知応答RWNをチャネルXで接続先の無線基地局へ送信する(ステップS26)。
【0132】
そして、ステップS26の後、またはステップS25において接続先の無線基地局からウェイクアップ通知WNを受信しなかったと判定されたとき、端末装置10のホストシステム23は、チャネルをチャネルY(=サービスチャネル)に変更するように無線通信モジュール22に指示し、無線通信モジュール22は、ホストシステム23の指示に従ってチャネルをサービスチャネル(=チャネルY)に変更する(ステップS27)。
【0133】
なお、ステップS25において、接続先の無線基地局からウェイクアップ通知WNを受信しなかったと判定され、一連の動作がステップS27へ移行する場合としては、端末装置10がアクティブ通知ANを受信する場合である。
【0134】
その後、端末装置10のホストシステム23は、無線通信モジュール22を介してチャネルYで接続先の無線基地局とIEEE802.11のアソシエーションを実行する(ステップS28)。
【0135】
そして、端末装置10のホストシステム23は、アソシエーションが成功したか否かを判定する(ステップS29)。
【0136】
ステップS29において、アソシエーションが成功しなかったと判定されたとき、端末装置10のホストシステム23は、チャネルをチャネルX(=ウェイクアップチャネル)に変更するように無線通信モジュール22を指示し、無線通信モジュール22は、ホストシステム23の指示に従ってチャネルをウェイクアップチャネル(=チャネルX)に変更する(ステップS30)。その後、一連の動作は、ステップS21へ移行する。
【0137】
一方、ステップS23において、T1秒内にウェイクアップ通知WNまたはアクティブ通知ANを受信しなかったと判定されたとき、端末装置10の無線通信モジュール22は、ウェイクアップ信号WKEの送信回数tが最大送信回数Rmaxに達したか否かを更に判定する(ステップS31)。
【0138】
ステップS31において、ウェイクアップ信号WKEの送信回数tが最大送信回数Rmaxに達していないと判定されたとき、端末装置10の無線通信モジュール22は、t=t+1を設定し(ステップS32)、T2秒待機する(ステップS33)。このT2は、例えば、5秒に設定される。そして、ステップS33の後、一連の動作は、ステップS22へ移行する。
【0139】
一方、ステップS31において、ウェイクアップ信号WKEの送信回数tが最大送信回数Rmaxに達したと判定されたとき、端末装置10の無線通信モジュール22は、送信回数tを初期化し、アンテナ21を介してスキャンを行う(ステップS34)。
【0140】
そして、端末装置10のホストシステム23は、アンテナ21および無線通信モジュール22を介してビーコンフレームBeaconを受信したか否かを判定することによって、所望の無線基地局を発見したか否かを判定する(ステップS35)。この場合、端末装置10のホストシステム23は、ビーコンフレームBeaconを受信したと判定したとき、所望の無線基地局を発見したと判定し、ビーコンフレームBeaconを受信しなかったとき、所望の無線基地局を発見しなかったと判定する。
【0141】
ステップS35において、所望の無線基地局を発見したと判定されたとき、一連の動作は、上述したステップS28へ移行する。
【0142】
一方、ステップS35において、所望の無線基地局を発見しなかったと判定されたとき、端末装置10のホストシステム23は、接続先のESSIDが複数設定されていれば、次のESSIDへ接続先を変更する(ステップS36)。より具体的には、端末装置10のホストシステム23は、次のESSIDをウェイクアップ信号生成器231へ出力し、ウェイクアップ信号生成器231は、次のESSIDに基づいて新たなウェイクアップIDを生成し、その生成したウェイクアップIDを含むウェイクアップ信号WKEを生成して無線通信モジュール22へ出力する。そして、端末装置10の無線通信モジュール22は、ウェイクアップ信号WKEを上述した方法によって送信電力PWtを増加させながらチャネルXでブロードキャストする。
【0143】
ステップS36が終了すると、一連の動作は、上述したステップS33へ移行する。
【0144】
そして、ステップS29において、アソシエーションが成功したと判定されるまで、上述したステップS21〜ステップS36が繰り返し実行され、ステップS29において、アソシエーションが成功したと判定されると、一連の動作は、終了する。
【0145】
端末装置10の無線通信モジュール22は、ステップS22,S23の“NO”,S31の“NO”,S32,S33からなるループを複数回実行することによって、最大送信回数Rmaxの範囲内において、テーブルTBL1を参照して送信電力PWtを増加させながらウェイクアップ信号WKEをブロードキャストする。従って、端末装置10がステップS22,S23の“NO”,S31の“NO”,S32,S33からなるループに従ってウェイクアップ信号WKEをブロードキャストすることによって、ウェイクアップ信号WKEは、端末装置10から徐々に遠くまで到達する。
【0146】
その結果、原則として、端末装置10から最も近くに存在する無線基地局(無線基地局1〜nのいずれか)がウェイクアップ信号WKEを最初に受信してスリープ状態から起動状態へ移行する。
【0147】
無線基地局(無線基地局1〜nのいずれか)が端末装置10からフェージング等の理由によって、ウェイクアップ信号WKEを正確に受信できない場合でも、端末装置10により近い無線基地局(無線基地局1〜nのいずれか)がウェイクアップ信号WKEを正確に受信してスリープ状態から起動状態へ移行する。
【0148】
従って、ネットワーク識別子(ESSID)が複数の無線基地局1〜nに割り当てられていても、より少数の無線基地局をスリープ状態から起動状態へ移行させることができ、複数の無線基地局が同時に起動する無駄を抑制できる。
【0149】
また、ステップS35において、所望の無線基地局を発見したと判定されたとき、端末装置10がアソシエーションを実行するのは、ウェイクアップ信号WKEによってスリープ状態から起動状態へ移行する方式を採用していない無線基地局に端末装置10が接続できるようにするためである。
【0150】
更に、許容遅延時間Tdelayを時間Tretryで除算した除算結果を超えない整数に最大送信回数Rmaxを設定することによって、許容遅延時間Tdelay内に端末装置10を無線基地局CNに接続できる。
【0151】
更に、ステップS24において、端末装置10がウェイクアップ通知WNのみ、またはアクティブ通知ANのみを受信した場合、最大の受信信号強度を有するウェイクアップ通知WNまたはアクティブ通知ANを送信した無線基地局を接続先の無線基地局として決定することによって、端末装置10に最も近い無線基地局に端末装置10を接続することができる。
【0152】
更に、ステップS24において、端末装置10がウェイクアップ通知WNおよびアクティブ通知ANの両方を受信した場合、優先して、最大の受信信号強度を有するアクティブ通知ANを送信した無線基地局を接続先の無線基地局として決定することによって、端末装置10を無線基地局に迅速に接続できる。また、同時に既に起動している無線基地局(サービスを行っている無線基地局)に優先的に端末装置10を接続させることによって、新たに起動(サービスを開始)する無線基地局の数を抑制し、省電力化を図ることができる。
【0153】
図9は、無線基地局の動作を説明するためのフローチャートである。図9を参照して、一連の動作が開始されると、無線基地局1〜nのホストシステム143は、ウェイクアップ装置13から起動信号を受けてスリープ状態から起動状態へ移行する(ステップS41)。
【0154】
そして、無線基地局1〜nのホストシステム143は、チャネルYと自己のアドレスとを含むウェイクアップ通知WNを生成し、その生成したウェイクアップ通知WNを無線通信モジュール141およびアンテナ12を介してチャネルXで端末装置10へ送信する(ステップS42)。
【0155】
その後、無線基地局1〜nのホストシステム143は、T3秒内にウェイクアップ通知応答RWNを受信したか否かを判定する(ステップS43)。なお、T3は、例えば、1秒に設定される。
【0156】
ステップS43において、T3秒内にウェイクアップ通知応答RWNを受信しなかったと判定されたとき、無線基地局1〜nのホストシステム143は、コマンド信号COM1を出力して無線通信モジュール141および有線通信モジュール142をスリープ状態へ移行させ、自己もスリープ状態へ移行する。即ち、無線基地局1〜nのメイン装置14は、スリープ状態へ再び移行する(ステップS44)。
【0157】
一方、ステップS43において、T3秒内にウェイクアップ通知応答RWNを受信したと判定されたとき、無線基地局1〜nのホストシステム143は、チャネルをチャネルY(=サービスチャネル)に変更するように無線通信モジュール141に指示し、無線通信モジュール141は、ホストシステム143からの指示に従ってチャネルをサービスチャネル(=チャネルY)に変更する。その後、無線基地局1〜nのホストシステム143は、無線通信モジュール141を介して端末装置10とチャネルYで無線通信を行う。即ち、無線基地局1〜nのホストシステム143は、サービスを開始する(ステップS45)。
【0158】
そして、ステップS44またはステップS45の後、一連の動作が終了する。
【0159】
このように、無線基地局1〜nは、端末装置10からのウェイクアップ信号WKEによってスリープ状態から起動状態へ移行しても、ウェイクアップ通知WNを送信してからT3秒内にウェイクアップ通知応答RWNを受信しない場合、スリープ状態へ再び移行する(ステップS41,ステップS42,ステップS43の“NO”,ステップS44参照)。
【0160】
従って、複数の無線基地局がウェイクアップ信号WKEによって起動されても、端末装置10からウェイクアップ通知応答RWNをT3秒内に受信しない無線基地局は、スリープ状態へ移行し、ウェイクアップ通知応答RWNを受信した無線基地局だけが起動状態を維持するので、複数の無線基地局が同時に起動する無駄を抑制できる。
【0161】
なお、テーブルTBL1における送信電力は、図5に示す値に限らず、他の値であってもよい。また、送信回数の増加に対する送信電力の増加割合は、図5に示す増加割合に限らず、他の増加割合であってもよい。更に、送信電力の初期値は、0[dBm]に限らず、他の値であってもよい。そして、実施の形態1においては、過去における端末装置10と無線基地局1〜nとの接続状況および無線基地局1〜nの分布状況に応じて、送信電力の初期値および送信電力の増加割合を変えてもよい。
【0162】
また、実施の形態1においては、ウェイクアップ信号WKEを生成するウェイクアップ信号生成器231は、「信号生成手段」を構成する。
【0163】
更に、実施の形態1においては、最大送信回数Rmaxの範囲内において、ウェイクアップ通知WNまたはアクティブ通知ANを受信するまで送信電力を増加させながらウェイクアップ信号WKEを送信する無線通信モジュール22は、「送信手段」を構成する。
【0164】
更に、実施の形態1においては、複数のウェイクアップ通知WNおよびアクティブ通知ANを受信して接続先の無線基地局を決定するホストシステム23は、「通信手段」を構成する。
【0165】
[実施の形態2]
図10は、実施の形態2における無線基地局1〜nの構成図である。実施の形態2においては、無線基地局1〜nは、図10に示す無線基地局1Aからなる。
【0166】
なお、実施の形態2においては、端末装置10は、ウェイクアップ信号WKEを一定の送信電力PWで送信するものとする。
【0167】
図10を参照して、無線基地局1Aは、図2に示す無線基地局1のウェイクアップ装置13をウェイクアップ装置13Aに代え、メイン装置14をメイン装置14Aに代えたものであり、その他は、無線基地局1と同じである。
【0168】
ウェイクアップ装置13Aは、図2に示すウェイクアップ装置13に信号生成器133を追加したものであり、その他は、ウェイクアップ装置13と同じである。
【0169】
また、メイン装置14Aは、図2に示すメイン装置14のホストシステム143をホストシステム143Aに代えたものであり、その他は、メイン装置14と同じである。
【0170】
実施の形態2においては、無線通信モジュール141は、他の無線基地局からのビーコンフレームBeaconをアンテナ12を介して受信し、その受信したビーコンフレームBeaconをホストシステム143Aへ出力する。
【0171】
ホストシステム143Aは、端末装置10がウェイクアップ信号WKEの送信に用いる送信電力PW(=一定値)を予め保持している。
【0172】
また、ホストシステム143Aは、例えば、1週間または1ヶ月の期間において、受信信号強度RSSI_STAおよび送信電力PWに基づいて端末装置10の周囲に存在する無線基地局の個数Nを後述する方法によって推定する。
【0173】
そして、ホストシステム143Aは、その推定した無線基地局の個数Nを信号生成器133へ出力する。
【0174】
更に、ホストシステム143Aは、信号生成器133からの起動信号に応じて、スリープ状態から起動状態へ移行する。
【0175】
ホストシステム143Aは、その他、ホストシステム143と同じ機能を果たす。
【0176】
信号生成器133は、定数αを予め保持している。この定数αは、起動させる無線基地局の個数を調整するための定数であり、無線通信システム100の設計者によって予め決定されている。そして、定数αは、無線基地局の個数Nよりも小さい値に設定される。
【0177】
信号生成器133は、無線基地局の個数Nをホストシステム143Aから受けると、無線基地局の個数Nおよび定数αを用いて、無線基地局を起動させるための確率である起動確率Z1を次式によって演算する。
【0178】
【数1】
【0179】
そして、信号生成器133は、ウェイクアップIDが無線基地局1AのIDに一致したことを示す一致信号MTCHをウェイクアップ判定器132から受けると、内蔵した乱数発生器によって乱数RNを発生する。なお、乱数RNは、0≦RN<1を満たす数である。
【0180】
そうすると、信号生成器133は、その発生した乱数RNが起動確率Z1以下であるか否かを判定し、その発生した乱数RNが起動確率Z1以下であれば、起動信号を生成してホストシステム143Aへ出力し、その発生した乱数RNが起動確率Z1よりも大きければ、起動信号を生成せず、ホストシステム143Aへ何も出力しない。
【0181】
なお、実施の形態2においては、ウェイクアップ判定器132は、ウェイクアップIDが無線基地局1AのIDに一致するか否かを判定し、ウェイクアップIDが無線基地局1AのIDに一致すると判定したとき、一致信号MTCHを生成して信号生成器133へ出力する。また、ウェイクアップ判定器132は、ウェイクアップIDが無線基地局1AのIDに一致しないと判定したとき、信号発生器133へ何も出力しない。
【0182】
従って、実施の形態2においては、メイン装置14Aは、ウェイクアップIDが無線基地局1AのIDに一致し、かつ、乱数RNが起動確率Z1以下であるとき、スリープ状態から起動状態へ移行し、ウェイクアップIDが無線基地局1AのIDに一致しないとき、または乱数RNが起動確率Z1よりも大きいとき、スリープ状態を維持する。
【0183】
また、実施の形態2においては、電源15は、100μWの電力をウェイクアップ装置13Aへ供給し、7Wの電力をメイン装置14Aへ供給する。
【0184】
図11は、端末装置10の周囲に存在する無線基地局の個数Nを推定する方法を説明するための概念図である。なお、図11において、三角印は、無線基地局1A以外の無線基地局を表す。
【0185】
図11を参照して、端末装置10は、一定の送信電力PWでウェイクアップ信号WKEを到達させることができる通信範囲REG4を有する。
【0186】
無線基地局1Aのホストシステム143Aは、無線基地局1Aの周辺に存在する無線基地局から無線通信モジュール141を介してビーコンフレームBeaconを受信し、その受信したビーコンフレームBeaconに基づいて、無線基地局1Aの周辺に存在する無線基地局の個数M(Mは正の整数)をカウントする。
【0187】
また、無線基地局1Aのホストシステム143Aは、無線基地局1AがビーコンフレームBeaconを受信できる範囲(=面積SAP)を予め保持している。なお、面積SAPは、ビーコンフレームBeaconの受信信号強度からビーコンフレームBeaconが到達可能な距離を決定し、その決定した距離を半径とする円の面積として決定される。
【0188】
そして、無線基地局1Aのホストシステム143Aは、無線基地局1Aの周辺に存在する無線基地局の密度をM/SAPによって演算する。
【0189】
その後、無線基地局1Aのホストシステム143Aは、端末装置10からのウェイクアップ信号WKEが到達可能な距離DMAXを用いて、(M/SAP)π(DMAX)2を演算する。なお、無線基地局1Aのホストシステム143Aは、送信電力と距離との関係と、端末装置10がウェイクアップ信号WKEを送信するときの送信電力とを保持しているので、その保持している送信電力に対応する距離を送信電力と距離との関係から検出し、その検出した距離を距離DMAXとする。
【0190】
そうすると、無線基地局1Aのホストシステム143Aは、端末装置10の周辺に存在する無線基地局の密度が無線基地局1Aの周辺に存在する無線基地局の密度M/SAPと同じであると仮定し、(M/SAP)π(DMAX)2を端末装置10の周辺に存在する無線基地局の個数Nとして推定する。
【0191】
図12は、無線基地局1Aの実施の形態2における動作を説明するためのフローチャートである。
【0192】
図12に示すフローチャートは、図9に示すフローチャートのステップS41をステップS41A,S41B,S41C,S41D,41Eに代えたものであり、その他は、図9に示すフローチャートと同じである。
【0193】
図12を参照して、無線基地局1Aのウェイクアップ装置13Aにおいて、ウェイクアップ信号受信機131は、アンテナ11を介してウェイクアップ信号WKEをチャネルXで受信し(ステップS41A)、その受信したウェイクアップ信号WKEを復調する。そして、ウェイクアップ信号受信機131は、その復調したウェイクアップ信号WKEをウェイクアップ判定器132へ出力する。
【0194】
ウェイクアップ判定器132は、ウェイクアップ信号WKEをウェイクアップ信号受信器131から受け、その受けたウェイクアップ信号WKEに含まれるウェイクアップIDが無線基地局1AのIDに一致するか否かを判定する(ステップS41B)。
【0195】
ステップS41Bにおいて、ウェイクアップIDが無線基地局1AのIDに一致しないと判定されたとき、一連の動作は、ステップS44へ移行する。
【0196】
一方、ステップS41Bにおいて、ウェイクアップIDが無線基地局1AのIDに一致すると判定されたとき、ウェイクアップ判定器132は、一致信号MTCHを生成して信号生成器133へ出力する。
【0197】
そして、信号生成器133は、一致信号MTCHをウェイクアップ判定器132から受けると、内蔵した乱数発生器によって乱数RNを発生し(ステップS41C)、その発生した乱数RNが起動確率Z1以下であるか否かを判定する(ステップS41D)。
【0198】
ステップS41Dにおいて、乱数RNが起動確率Z1よりも大きいと判定されたとき、一連の動作は、ステップS44へ移行する。
【0199】
一方、ステップS41Dにおいて、乱数RNが起動確率Z1以下であると判定されたとき、信号生成器133は、起動信号を生成し、その生成した起動信号をホストシステム143Aへ出力する。
【0200】
そして、ホストシステム143Aは、信号生成器133からの起動信号に応じてスリープ状態から起動状態へ移行する(ステップS41E)。
【0201】
その後、上述したステップS42〜ステップS45が実行され、一連の動作が終了する。
【0202】
このように、実施の形態2においては、無線基地局1〜n(=1A)は、ウェイクアップIDが無線基地局1〜n(=1A)のIDに一致すると判定され、かつ、乱数RNが起動確率Z1以下であるときに、スリープ状態から起動状態へ移行する(ステップS41Bの“YES”,S41C,S41Dの“YES”,S41E参照)。そして、起動確率Z1は、端末装置10の周囲に存在する無線基地局の個数Nに反比例するように決定される。従って、起動確率Z1は、無線基地局の個数Nが相対的に多くなれば、相対的に小さくなり、無線基地局の個数Nが相対的に少なくなれば、相対的に大きくなる。
【0203】
その結果、無線基地局1〜n(=1A)は、ウェイクアップ信号WKEを受信したとき、実施の形態1における場合よりも小さい確率でスリープ状態から起動状態へ移行し、端末装置10がウェイクアップ信号WKEを送信したことによって起動状態へ移行する無線基地局の個数は、実施の形態1における場合よりも少なくなる。そして、起動確率Z1を用いて起動状態へ移行した無線基地局が複数個存在する場合でも、ウェイクアップ通知応答RWNを受信しない無線基地局は、再び、スリープ状態へ移行する(ステップS43の“NO”,S44参照)。従って、一旦、スリープ状態から起動状態へ移行し、その後、ウェイクアップ通知応答RWNを受信しないことに起因して、再び、スリープ状態へ移行する無線基地局の個数を実施の形態1における場合よりも少なくできる。よって、複数の無線基地局が同時に起動状態へ移行する無駄を実施の形態1における場合よりも更に抑制できる。
【0204】
実施の形態2においては、例えば、推定された無線基地局の個数Nが“10”である場合、定数αは、例えば、“1”に設定される。その結果、無線基地局1〜n(=1A)の起動確率Z1は、1/10になり、端末装置10の通信範囲REG4内に存在する10個の無線基地局は、その1割である1個の無線基地局がウェイクアップ信号WKEの受信に応じて起動される。その結果、ウェイクアップ通知応答RWNを受信しないことに起因して、再び、スリープ状態へ移行する無線基地局の個数が“0”になり、一旦、無駄に起動させる無線基地局をなくすことができる。
【0205】
なお、無線基地局CN(=1A)がスリープ状態であるときの端末装置10および無線基地局CN(=1A)の実施の形態2における動作は、図6に示すフローチャートに従って実行される。また、無線基地局CN(=1A)が起動状態であるときの端末装置10および無線基地局CN(=1A)の実施の形態2における動作は、図7に示すフローチャートに従って実行される。更に、実施の形態2における端末装置10の動作は、図8に示すフローチャートに従って実行される。
【0206】
上記においては、端末装置10は、一定の送信電力PWでウェイクアップ信号WKEをブロードキャストすると説明したが、実施の形態2においては、これに限らず、端末装置10は、実施の形態1におけるように送信電力を増加させながらウェイクアップ信号WKEをブロードキャストしてもよい。
【0207】
この場合、無線基地局1Aは、端末装置10の各送信電力ごとに、端末装置10の周囲に存在する無線基地局の個数Nを推定し、起動確率Z1を求める。そして、無線基地局1Aは、端末装置10の各送信電力ごとに求めた起動確率Z1を用いてスリープ状態から起動状態へ移行する。その結果、端末装置10の各送信電力ごとに、複数の無線基地局が同時に起動状態へ移行する無駄を抑制できる。
【0208】
なお、実施の形態2においては、ウェイクアップ信号WKEを端末装置10から受信するウェイクアップ信号受信器131は、「受信手段」を構成する。
【0209】
また、実施の形態2においては、ウェイクアップIDが無線基地局1AのIDに一致するか否かを判定することは、ウェイクアップ信号WKEが無線基地局1Aを起動させることを示すか否かを判定することに相当する。ウェイクアップ信号WKEがウェイクアップIDを含み、ウェイクアップIDが無線基地局1AのIDに一致すれば、無線基地局1Aがスリープ状態から起動状態へ移行するからである。そして、ウェイクアップ判定器132は、ウェイクアップIDが無線基地局1AのIDに一致するか否かを判定する。従って、ウェイクアップ判定器132は、「判定手段」を構成する。
【0210】
更に、実施の形態2においては、起動確率Z1を用いて起動信号を生成する信号生成器133は、「起動手段」を構成する。
【0211】
更に、実施の形態2においては、ホストシステム143Aは、信号生成器133からの起動信号に応じて起動するので、「通信手段」を構成する。
【0212】
更に、実施の形態2においては、ホストシステム143Aは、端末装置10の周囲に存在する無線基地局の個数Nを推定するので、「推定手段」を構成する。
【0213】
[実施の形態3]
図13は、実施の形態3における無線基地局の構成図である。実施の形態3においては、無線基地局1〜nは、図13に示す無線基地局1Bからなる。
【0214】
図13を参照して、無線基地局1Bは、図2に示す無線基地局1のウェイクアップ装置13をウェイクアップ装置13Bに代えたものであり、その他は、無線基地局1と同じである。
【0215】
ウェイクアップ装置13Bは、図2に示すウェイクアップ装置13のウェイクアップ信号受信器131をウェイクアップ信号受信器131Aに代え、信号生成器133Aを追加したものであり、その他は、ウェイクアップ装置13と同じである。
【0216】
ウェイクアップ信号受信器131Aは、アンテナ11を介して端末装置10からウェイクアップ信号WKEを受信するとともに、ウェイクアップ信号WKEを受信したときの受信信号強度Sを検出する。
【0217】
そして、ウェイクアップ信号受信器131Aは、ウェイクアップ信号WKEを復調し、その復調したウェイクアップ信号WKEをウェイクアップ判定器132へ出力する。また、ウェイクアップ信号受信器131Aは、その検出した受信信号強度Sを信号生成器133Aへ出力する。
【0218】
信号生成器133Aは、ウェイクアップ信号受信器131Aから受信信号強度Sを受け、ウェイクアップ判定器132から一致信号MTCHを受ける。また、信号生成器133Aは、定数βおよび最小の受信信号強度RSSIminを予め保持している。ここで、定数βは、最小の受信信号強度RSSIminよりも大きい値に設定される。そして、定数β、最小の受信信号強度RSSIminおよび受信信号強度Sの全ては、マイナスのdBmの単位を有する。なお、最小の受信信号強度RSSIminは、例えば、−90[dBm]に設定される。
【0219】
図14は、ウェイクアップ信号WKEの受信回数と定数βとの関係を示すテーブルの概念図である。図14を参照して、テーブルTBL2は、ウェイクアップ信号WKEの受信回数と、定数βとを含む。受信回数および定数βは、相互に対応付けられる。定数βは、ウェイクアップ信号WKEの受信回数が増加するに従って小さくなる。
【0220】
信号生成器133Aは、テーブルTBL2を保持している。そして、信号生成器133Aは、一致信号MTCHをウェイクアップ判定器132から受けると、テーブルTBL2を参照して、ウェイクアップ信号WKEの受信回数に応じた定数βを検出する。
【0221】
そうすると、信号生成器133Aは、その検出した定数β、受信信号強度Sおよび最小の受信信号強度RSSIminを用いて次式によって無線基地局1Bの起動確率Z2を求める。
【0222】
【数2】
【0223】
信号生成器133Aは、受信信号強度Sが定数βよりも大きいとき、起動確率Z2を“1”に設定する。また、信号生成器133Aは、受信信号強度Sが最小の受信信号強度RSSImin以上であり、かつ、受信信号強度Sが定数β以下であるとき、起動確率Z2を“S/β”に設定する。更に、信号生成器133Aは、受信信号強度Sが最小の受信信号強度RSSIminよりも小さいとき、起動確率Z2を“0”に設定する。
【0224】
無線基地局1Bは、受信信号強度Sが最小の受信信号強度RSSIminよりも小さいとき、スリープ状態から起動状態へ移行しないことになるが、これは、次の理由による。
【0225】
最小の受信信号強度RSSIminは、−90[dBm]に設定されるので、受信信号強度Sが−90[dBm]よりも小さい無線通信環境では、ウェイクアップ信号受信器131Aは、殆ど雑音レベルの無線信号を受信することになる。従って、無線基地局1Bが雑音レベルの無線信号によって起動状態へ移行するのを防止する必要があるからである。
【0226】
また、信号生成器133Aは、受信信号強度Sをウェイクアップ信号受信器131Aから新たに受ければ(即ち、ウェイクアップ装置13Bがウェイクアップ信号WKEを新たに受信すれば)、受信回数を“1”だけ増やし、その増やした受信回数に対応する定数βをテーブルTBL2を参照して検出する。そして、信号生成器133Aは、その検出した定数βを用いて式(2)によって起動確率Z2を求める。
【0227】
更に、信号生成器133Aは、一定時間(例えば、10秒)、受信信号強度Sをウェイクアップ信号受信器131Aから受けなければ(即ち、ウェイクアップ装置13Bが、一定時間、ウェイクアップ信号WKEを受信しなければ)、受信回数を“0”に初期化する。
【0228】
そして、信号生成器133Aは、起動確率Z2を求めると、内蔵した乱数発生器によって乱数RNを発生するとともに、その発生した乱数RNが起動確率Z2以下であれば、起動信号を生成してホストシステム143へ出力し、その発生した乱数RNが起動確率Z2よりも大きければ、ホストシステム143へ何も出力しない。
【0229】
なお、実施の形態3においては、ウェイクアップ判定器132は、実施の形態2と同様に、ウェイクアップIDが無線基地局1BのIDに一致するか否かを判定し、ウェイクアップIDが無線基地局1BのIDに一致すると判定したとき、一致信号MTCHを生成して信号生成器133Aへ出力する。また、ウェイクアップ判定器132は、ウェイクアップIDが無線基地局1BのIDに一致しないと判定したとき、信号発生器133Aへ何も出力しない。
【0230】
従って、実施の形態3においては、メイン装置14は、ウェイクアップIDが無線基地局1BのIDに一致し、かつ、乱数RNが起動確率Z2以下であるとき、スリープ状態から起動状態へ移行し、ウェイクアップIDが無線基地局1BのIDに一致しないとき、または乱数RNが起動確率Z2よりも大きいとき、スリープ状態を維持する。
【0231】
また、実施の形態3においては、電源15は、100μWの電力をウェイクアップ装置13Bへ供給し、7Wの電力をメイン装置14へ供給する。
【0232】
実施の形態3における無線基地局1Bの動作は、図12に示すフローチャートに従って実行される。この場合、ステップS41Dにおける起動確率Z1は、起動確率Z2に置き換えられる。
【0233】
その結果、無線基地局1〜n(=1B)は、ウェイクアップ信号WKEの受信信号強度Sに応じた起動確率Z2に従ってスリープ状態から起動状態へ移行される。即ち、無線基地局1〜n(=1B)は、受信信号強度Sが相対的に大きくなれば、相対的に高い起動確率Z2で起動状態へ移行し、受信信号強度Sが相対的に小さくなれば、相対的に低い起動確率Z2で起動状態へ移行する。
【0234】
従って、無線基地局1〜n(=1B)は、端末装置10に近いほど、起動状態へ移行する確率が高くなり、端末装置10から遠いほど、起動状態へ移行する確率が低くなる。
【0235】
よって、複数の無線基地局が同時に起動状態へ移行する無駄を実施の形態1における場合よりも更に抑制できる。
【0236】
また、定数βは、ウェイクアップ信号WKEの受信回数が増えるに従って小さくなるので、ウェイクアップ信号WKEが無線基地局へ届き難い無線通信環境においても、起動状態へ移行させる無線基地局を安定して決定できる。
【0237】
なお、無線基地局CN(=1B)がスリープ状態であるときの端末装置10および無線基地局CN(=1B)の実施の形態3における動作は、図6に示すフローチャートに従って実行される。また、無線基地局CN(=1B)が起動状態であるときの端末装置10および無線基地局CN(=1B)の実施の形態3における動作は、図7に示すフローチャートに従って実行される。更に、実施の形態3における端末装置10の動作は、図8に示すフローチャートに従って実行される。
【0238】
なお、実施の形態3においては、ウェイクアップ信号受信器131Aは、ウェイクアップ信号WKEを端末装置10から受信するとともに、ウェイクアップ信号WKEを受信したときの受信信号強度を検出するので、「受信手段」を構成する。
【0239】
また、実施の形態3においては、ウェイクアップ判定器132は、実施の形態2と同様に、「判定手段」を構成する。
【0240】
更に、実施の形態3においては、起動確率Z2を用いて起動信号を生成する信号生成器133Aは、「起動手段」を構成する。
【0241】
更に、実施の形態3においては、ホストシステム143は、信号生成器133Aからの起動信号に応じて起動するので、「通信手段」を構成する。
【0242】
[実施の形態4]
図15は、実施の形態4における無線基地局の構成図である。実施の形態4においては、無線基地局1〜nは、図15に示す無線基地局1Cからなる。
【0243】
図15を参照して、無線基地局1Cは、図10に示す無線基地局1Aのウェイクアップ装置13Aをウェイクアップ装置13Cに代えたものであり、その他は、無線基地局1Aと同じである。
【0244】
ウェイクアップ装置13Cは、図10に示すウェイクアップ装置13Aのウェイクアップ信号受信器131をウェイクアップ信号受信器131Aに代え、信号生成器133を信号生成器133Bに代えたものであり、その他は、ウェイクアップ装置13Aと同じである。
【0245】
ウェイクアップ信号受信器131Aは、上述したように、ウェイクアップ信号WKEを復調するとともに、ウェイクアップ信号WKEを受信したときの受信信号強度Sを検出する。そして、ウェイクアップ信号受信器131Aは、その復調したウェイクアップ信号WKEをウェイクアップ判定器132へ出力し、その検出した受信信号強度Sを信号生成器133Bへ出力する。
【0246】
信号生成器133Bは、ウェイクアップ判定器132から一致信号MTCHを受け、ウェイクアップ信号受信器131Aから受信信号強度Sを受け、無線基地局の個数Nをホストシステム143Aから受ける。
【0247】
また、信号生成器133Bは、上述した定数α,β、最小の受信信号強度RSSIminおよびテーブルTBL2を保持している。
【0248】
そして、信号生成器133Bは、無線基地局の個数Nを受けると、定数αおよび無線基地局の個数Nを式(1)に代入して起動確率Z1を求める。
【0249】
また、信号生成器133Bは、受信信号強度Sを受けると、テーブルTBL2を参照してウェイクアップ信号WKEの受信回数に対応する定数βを検出する。そして、信号生成器133Bは、その検出した定数β、最小の受信信号強度RSSIminおよび受信信号強度Sを用いて式(2)によって起動確率Z2を求める。
【0250】
そうすると、信号生成器133Bは、起動確率Z1,Z2を次式に代入して起動確率Zを求める。
【0251】
【数3】
【0252】
式(3)における定数γは、各無線基地局1〜n(=1C)の周囲の状況が解らないとき、例えば、無線通信システム100が起動されたとき、例えば、0.1に設定され、各無線基地局1〜n(=1C)の周囲の状況が解ったとき、例えば、0.7〜0.8に設定される。
【0253】
このように、信号生成器133Bは、各無線基地局1〜n(=1C)の周囲の状況が解らないときは、起動確率Z1よりも起動確率Z2に重みを置いて起動確率Zを決定し、各無線基地局1〜n(=1C)の周囲の状況が解ったとき、起動確率Z2よりも起動確率Z1に重みを置いて起動確率Zを決定する。
【0254】
各無線基地局1〜n(=1C)は、自己の周囲の状況が解らないとき、端末装置10の周囲に存在する無線基地局の個数Nを推定するのが困難であるので、ウェイクアップ信号WKEの受信信号強度Sに応じて決定される起動確率Z2に重みを置いて起動確率Zを決定した方が、起動状態へ移行する無線基地局を安定して決定できる。従って、各無線基地局1〜n(=1C)は、自己の周囲の状況が解らないとき、起動確率Z1よりも起動確率Z2に重みを置いて起動確率Zを決定することにしたものである。
【0255】
一方、各無線基地局1〜n(=1C)は、自己の周囲の状況が解るとき、端末装置10の周囲に存在する無線基地局の個数Nを容易に推定できるので、無線基地局の個数Nに応じて決定される起動確率Z1に重みを置いて起動確率Zを決定した方が、実際の無線通信環境に応じて起動状態へ移行する無線基地局を決定できる。従って、各無線基地局1〜n(=1C)は、自己の周囲の状況が解るとき、起動確率Z2よりも起動確率Z1に重みを置いて起動確率Zを決定することにしたものである。
【0256】
実施の形態4における無線基地局1Cの動作は、図12に示すフローチャートに従って実行される。この場合、ステップS41Dにおける起動確率Z1は、起動確率Zに置き換えられる。
【0257】
その結果、無線基地局1〜n(=1C)は、端末装置10の周囲に存在する無線基地局の個数Nに応じた起動確率Z1と、ウェイクアップ信号WKEの受信信号強度Sに応じた起動確率Z2とに従ってスリープ状態から起動状態へ移行される。即ち、無線基地局1〜n(=1C)は、無線基地局の個数Nが相対的に少なくなり、かつ、受信信号強度Sが相対的に大きくなれば、相対的に高い起動確率Zで起動状態へ移行し、無線基地局の個数Nが相対的に多くなり、かつ、受信信号強度Sが相対的に小さくなれば、相対的に低い起動確率Zで起動状態へ移行する。
【0258】
従って、端末装置10の周囲に存在する無線基地局の個数Nおよびウェイクアップ信号WKEの受信信号強度Sの両方に応じて、起動状態へ移行する無線基地局の確率Zを決定できる。
【0259】
その他、実施の形態2,3における効果を享受できる。
【0260】
なお、無線基地局CN(=1C)がスリープ状態であるときの端末装置10および無線基地局CN(=1C)の実施の形態4における動作は、図6に示すフローチャートに従って実行される。また、無線基地局CN(=1C)が起動状態であるときの端末装置10および無線基地局CN(=1C)の実施の形態4における動作は、図7に示すフローチャートに従って実行される。更に、実施の形態4における端末装置10の動作は、図8に示すフローチャートに従って実行される。
【0261】
なお、実施の形態4においては、ウェイクアップ信号受信器131Aは、実施の形態3と同様に、「受信手段」を構成する。
【0262】
また、実施の形態4においては、ウェイクアップ判定器132は、実施の形態2と同様に、「判定手段」を構成する。
【0263】
更に、実施の形態4においては、起動確率Zを用いて起動信号を生成する信号生成器133Bは、「起動手段」を構成する。そして、起動確率Z2は、「第1の起動確率」を構成し、起動確率Z1は、「第2の起動確率」を構成し、起動確率Zは、「総合起動確率」を構成する。
【0264】
更に、実施の形態4においては、ホストシステム143Aは、信号生成器133Bからの起動信号に応じて起動するので、「通信手段」を構成する。
【0265】
[実施の形態5]
図16は、実施の形態5における無線基地局の構成図である。実施の形態5においては、無線基地局1〜nは、図16に示す無線基地局1Dからなる。
【0266】
図16を参照して、無線基地局1Dは、図2に示す無線基地局1のウェイクアップ装置13をウェイクアップ装置13Dに代え、メイン装置14をメイン装置14Bに代えたものであり、その他は、無線基地局1と同じである。
【0267】
ウェイクアップ装置13Dは、図2に示すウェイクアップ装置13のウェイクアップ信号受信器131をウェイクアップ信号受信機131Dに代えたものであり、その他は、ウェイクアップ装置13と同じである。
【0268】
メイン装置14Bは、図2に示すメイン装置14のホストシステム143をホストシステム143Bに代えたものであり、その他は、メイン装置14と同じである。
【0269】
ウェイクアップ信号受信器131Dは、アンテナ11を介してウェイクアップ信号WKEを受信するとともに、ウェイクアップ信号WKEを受信したときの受信信号強度RSSI_WKEを検出する。そして、ウェイクアップ信号受信器131Dは、ウェイクアップ信号WKEを復調し、その復調したウェイクアップ信号WKEをウェイクアップ判定器132へ出力する。また、ウェイクアップ信号受信器131Dは、その検出した受信信号強度RSSI_WKEをホストシステム143Bへ出力する。
【0270】
ホストシステム143Bは、ウェイクアップ信号受信器131Dから受信信号強度RSSI_WKEを受けると、受信信号強度RSSI_WKEと、自己がスリープ状態であったか起動状態であったかを示す状態情報Statusとを含むウェイクアップ広告WA(Wake−up Advertisement)を生成する。この場合、状態情報Statusは、ホストシステム143Bがスリープであるとき、Status(SLP)からなり、ホストシステム143Bが起動状態であるとき、Status(DRV)からなる。
【0271】
そして、ホストシステム143Bは、その生成したウェイクアップ広告WAを無線通信モジュール141およびアンテナ12を介して他の無線基地局へブロードキャストする。
【0272】
また、ホストシステム143Bは、アンテナ12および無線通信モジュール141を介して他の無線基地局からウェイクアップ広告WAを受信する。そして、ホストシステム143Bは、自己が起動状態であったときにウェイクアップ広告WAを受信した場合、無線基地局1Dが端末装置10と既に接続しており、起動するか否かを他の無線基地局と調整する必要がないので、ウェイクアップ広告WAを無視する。
【0273】
一方、ホストシステム143Bは、自己がスリープ状態から起動状態へ移行した後にウェイクアップ広告WAを受信した場合、ウェイクアップ広告WAに含まれる受信信号強度RSSI_WKEがウェイクアップ信号受信器131Dから受けた受信信号強度RSSI_WKEよりも大きければ、スリープ状態へ移行する。
【0274】
また、ホストシステム143Bは、起動状態であったことを示す状態情報Status(DRV)がウェイクアップ広告WAに含まれており、かつ、ウェイクアップ広告WAに含まれる受信信号強度RSSI_WKEが基準値RSSI_std2よりも大きいとき、スリープ状態へ移行する。なお、基準値RSSI_std2は、例えば、−70[dBm]に設定される。
【0275】
ホストシステム143Bは、その他、ホストシステム143と同じ機能を果たす。
【0276】
なお、実施の形態5においては、電源15は、100μWの電力をウェイクアップ装置13Dへ供給し、7Wの電力をメイン装置14Bへ供給する。
【0277】
図17は、実施の形態5における無線基地局および端末装置の動作を説明するためのフローチャートである。
【0278】
なお、図17においては、同じESSIDを有する複数の無線基地局として無線基地局1(=1D),2(=1D)を示す。また、図17に示す縦の点線は、スリープ状態であることを意味し、縦の実線は、起動状態であることを意味する。
【0279】
図17を参照して、端末装置10は、上述した動作によってウェイクアップ信号WKEをチャネルXでブロードキャストする(ステップS61)。そして、無線基地局1(=1D)のウェイクアップ装置13Dは、アンテナ11を介してウェイクアップ信号WKEをチャネルXで受信し、ウェイクアップ信号WKEを受信したときの受信信号強度RSSI_WKE1を検出する。その後、無線基地局1(=1D)のウェイクアップ装置13Dは、その検出した受信信号強度RSSI_WKE1をホストシステム143Bへ出力する。また、無線基地局1(=1D)のウェイクアップ装置13Dは、その受信したウェイクアップ信号WKEを復調してウェイクアップIDを取り出す。そして、無線基地局1(=1D)のウェイクアップ装置13Dは、ウェイクアップIDが無線基地局1(=1D)のIDに一致すると判定し、起動信号を生成してホストシステム143Bへ出力する(ステップS62)。
【0280】
そうすると、無線基地局1(=1D)のホストシステム143Bは、起動信号に応じてスリープ状態から起動状態へ移行するとともに(ステップS63)、受信信号強度RSSI_WKE1を受ける。そして、無線基地局1(=1D)のホストシステム143Bは、コマンド信号COM2を生成して無線通信モジュール141および有線通信モジュール142へ出力する。無線基地局1(=1D)の無線通信モジュール141および有線通信モジュール142は、コマンド信号COM2に応じてスリープ状態から起動状態へ移行する。
【0281】
また、無線基地局2(=1D)のウェイクアップ装置13Dは、同様にして、アンテナ11を介してウェイクアップ信号WKEをチャネルXで受信し、ウェイクアップ信号WKEの受信信号強度RSSI_WKE2を検出してホストシステム143Bへ出力するとともに、起動信号をホストシステム143Bへ出力し(ステップS64)、ホストシステム143Bは、起動信号に応じてスリープ状態から起動状態へ移行するとともに(ステップS65)、受信信号強度RSSI_WKE2を受ける。また、無線基地局2(=1D)の無線通信モジュール141および有線通信モジュール142は、ホストシステム143Bからのコマンド信号COM2に応じてスリープ状態から起動状態へ移行する。
【0282】
そして、無線基地局2(=1D)のホストシステム143Bは、受信信号強度RSSI_WKE2と、スリープ状態であったことを示す状態情報Status(SLP)とを含むウェイクアップ広告WA1=[RSSI_WKE2/Status(SLP)]を生成し、その生成したウェイクアップ広告WA1=[RSSI_WKE2/Status(SLP)]を他の無線基地局へブロードキャストする(ステップS66)。
【0283】
また、無線基地局1(=1D)のホストシステム143Bは、受信信号強度RSSI_WKE1と、スリープ状態であったことを示す状態情報Status(SLP)とを含むウェイクアップ広告WA2=[RSSI_WKE1/Status(SLP)]を生成し、その生成したウェイクアップ広告WA2=[RSSI_WKE1/Status(SLP)]を他の無線基地局へブロードキャストする(ステップS67)。
【0284】
無線基地局2(=1D)のホストシステム143Bは、ウェイクアップ広告WA2=[RSSI_WKE1/Status(SLP)]をアンテナ12および無線通信モジュール141を介して受信し、自局における受信信号強度RSSI_WKE2がウェイクアップ広告WA2に含まれる受信信号強度RSSI_WKE1よりも小さいので、起動状態からスリープ状態へ移行する(ステップS68)。
【0285】
一方、無線基地局1(=1D)のホストシステム143Bは、ウェイクアップ広告WA1=[RSSI_WKE2/Status(SLP)]をアンテナ12および無線通信モジュール141を介して受信し、自局における受信信号強度RSSI_WKE1がウェイクアップ広告WA1に含まれる受信信号強度RSSI_WKE2よりも大きいので、起動状態を維持する。
【0286】
そして、無線基地局1(=1D)のホストシステム143Bは、チャネルYと無線基地局1(=1D)のアドレスとを含むウェイクアップ通知WNを生成し、その生成したウェイクアップ通知WNを無線通信モジュール141へ出力する。
【0287】
無線基地局1(=1D)の無線通信モジュール141は、ウェイクアップ通知WNをホストシステム143Bから受けると、その受けたウェイクアップ通知WNを無線LANの変調方式によって変調し、その変調したウェイクアップ通知WNをチャネルXでアンテナ12を介して端末装置10へ送信する(ステップS69)。
【0288】
端末装置10の無線通信モジュール22は、アンテナ21を介してチャネルXでウェイクアップ通知WNを受信し、その受信したウェイクアップ通知WNをホストシステム23へ出力する。
【0289】
端末装置10のホストシステム23は、ウェイクアップ通知WNを無線通信モジュール22から受け、ウェイクアップ通知WNからチャネルYを取り出して無線通信モジュール22へ出力する。また、端末装置10のホストシステム23は、ウェイクアップ通知WNに応じてウェイクアップ通知応答RWNを生成して無線通信モジュール22へ出力する。
【0290】
端末装置10の無線通信モジュール22は、ウェイクアップ通知応答RWNをホストシステム23から受け、その受けたウェイクアップ通知応答RWNを無線LANの変調方式によって変調し、その変調したウェイクアップ通知応答RWNをチャネルXで無線基地局1(=1D)へユニキャストする(ステップS70)。
【0291】
無線基地局1(=1D)の無線通信モジュール141は、アンテナ12を介してチャネルXでウェイクアップ通知応答RWNを受信し、その受信したウェイクアップ通知応答RWNをホストシステム143Bへ出力する。
【0292】
無線基地局1(=1D)のホストシステム143Bは、ウェイクアップ通知応答RWNを無線通信モジュール141から受け、端末装置10が無線基地局1(=1D)の起動状態への移行を検知したことを検出する。
【0293】
そして、無線基地局1(=1D)のホストシステム143Bは、チャネルの変更を無線通信モジュール141に指示する。無線基地局1(=1D)の無線通信モジュール141は、ホストシステム143Bからの指示に応じて、チャネルをチャネルYへ変更する(ステップS71)。
【0294】
端末装置10の無線通信モジュール22も、同様にしてチャネルをチャネルYへ変更する(ステップS72)。
【0295】
その後、無線基地局1(=1D)のホストシステム143Bは、ビーコンフレームBeaconを生成して無線通信モジュール141へ出力し、端末装置10との間でアソシエーションを行うように無線通信モジュール141に指示する。
【0296】
そうすると、無線基地局1(=1D)の無線通信モジュール141は、ホストシステム143Bからの指示に応じて、ビーコンフレームBeaconをチャネルYで送信する。
【0297】
そして、無線基地局1(=1D)のホストシステム143Bは、無線通信モジュール141を介して端末装置10との間でチャネルYでIEEE802.11のアソシエーションを行い(ステップS73)、端末装置10との間で無線リンクを確立する。
【0298】
その後、無線基地局1(=1D)のホストシステム143Bは、無線通信モジュール141を介して端末装置10とチャネルYで無線通信を行う(ステップS74)。
【0299】
これによって、一連の動作が終了する。
【0300】
このように、端末装置10の通信範囲内に2個の無線基地局1(=1D),2(=1D)が存在する場合、無線基地局1(=1D),2(=1D)は、端末装置10からのウェイクアップ信号WKEを受信してスリープ状態から起動状態へ移行し(ステップS63,S65参照)、ウェイクアップ広告WA2,WA1をそれぞれ他の無線基地局へブロードキャストする(ステップS66,S67参照)。そして、無線基地局1(=1D)は、自局における受信信号強度RSSI_WKE1が無線基地局2(=1D)における受信信号強度RSSI_WKE2よりも大きいので、起動状態を維持する。また、無線基地局2(=1D)は、自局における受信信号強度RSSI_WKE2が無線基地局1(=1D)における受信信号強度RSSI_WKE1よりも小さいので、スリープ状態へ移行する(ステップS68参照)。
【0301】
その後、起動状態を維持した無線基地局1(=1D)は、端末装置10との間でウェイクアップ通知WNおよびウェイクアップ通知応答RWNをやり取りするとともに、端末装置10との間でIEEE802.11のアソシエーションを行って無線リンクを確立し、無線通信を行う(ステップS69〜ステップS74参照)。
【0302】
このように、2個の無線基地局1(=1D),2(=1D)が起動状態へ移行するが、最終的に、無線基地局1(=1D)だけが起動状態を維持し、端末装置10との間で無線通信を行う。
【0303】
従って、複数の無線基地局が同時に起動状態へ移行する無駄を抑制できる。
【0304】
図18は、実施の形態5における無線基地局の動作を説明するためのフローチャートである。
【0305】
図18に示すフローチャートは、図9に示すフローチャートにステップS51〜ステップS53を追加したものであり、その他は、図9に示すフローチャートと同じである。
【0306】
図18を参照して、一連の動作が開始されると、上述したステップS41が実行される。そして、無線基地局1〜n(=1D)のホストシステム143Bは、上述した方法によってウェイクアップ広告WAを生成し、その生成したウェイクアップ広告WAを無線通信モジュール141およびアンテナ12を介して他の無線基地局へブロードキャストする(ステップS51)。
【0307】
その後、無線基地局1〜n(=1D)のホストシステム143Bは、他の無線基地局からウェイクアップ広告WAを受信したか否かを判定する(ステップS52)。
【0308】
ステップS52において、ウェイクアップ広告WAを受信しなかったと判定されたとき、一連の動作は、ステップS42へ移行する。
【0309】
一方、ステップS52において、ウェイクアップ広告WAを受信したと判定されたとき、無線基地局1〜n(=1D)のホストシステム143Bは、他の無線基地局から受信したウェイクアップ広告WAに基づいて、自局よりも受信信号強度が大きい無線基地局が存在するか否か、または起動状態であった無線基地局における受信信号強度が基準値RSSI_std2よりも大きい無線基地局が存在するか否かを更に判定する(ステップS53)。
【0310】
ステップS53において、自局よりも受信信号強度が大きい無線基地局が存在せず、かつ、起動状態であった無線基地局における受信信号強度が基準値RSSI_std2よりも大きい無線基地局が存在しないと判定されたとき、一連の動作は、ステップS42へ移行する。
【0311】
一方、ステップS53において、自局よりも受信信号強度が大きい無線基地局が存在すると判定されたとき、または起動状態であった無線基地局における受信信号強度が基準値RSSI_std2よりも大きい無線基地局が存在すると判定されたとき、一連の動作は、ステップS44へ移行する。
【0312】
そして、上述したステップS42〜ステップS45またはステップS44が実行された後、一連の動作は終了する。
【0313】
このように、無線基地局1Dは、ウェイクアップ広告WAを受信しないとき、ウェイクアップ通知WNを端末装置10へ送信し、端末装置10と無線リンクを確立し、またはスリープ状態へ移行する第1の処理を実行する(ステップS52の“NO”,S42〜S45参照)。この場合、無線基地局1D以外にウェイクアップ信号WKEを送信した無線基地局が存在しないことになる。従って、複数の無線基地局が同時に起動する無駄を抑制できる。
【0314】
また、無線基地局1Dは、ウェイクアップ広告WAを受信したとき、その受信したウェイクアップ広告WAに基づいて、自局よりも受信信号強度が大きい無線基地局が存在しない第1の条件と、起動状態であった無線基地局における受信信号強度が基準値RSSI_std2よりも大きい無線基地局が存在しない第2の条件との両方を満たすと判定したとき、上述した第1の処理を実行する(ステップS52の“YES”,S53の“NO”,S42〜S45参照)。この場合、無線基地局1Dだけが起動状態を維持し、他の無線基地局は、ウェイクアップ通知WNを送信せずにスリープ状態へ移行する(ステップS44参照)。従って、複数の無線基地局が同時に起動する無駄を抑制できる。
【0315】
更に、無線基地局1Dは、ウェイクアップ広告WAを受信したとき、その受信したウェイクアップ広告WAに基づいて、第1および第2の条件の少なくとも1つを満たさないと判定したとき、ウェイクアップ通知WNを端末装置10へ送信せずにスリープ状態へ移行する第2の処理を実行する(ステップS52の“YES”,S53の“YES”,S44参照)。この場合、無線基地局1D以外の無線基地局が起動状態を維持する。従って、複数の無線基地局が同時に起動する無駄を抑制できる。
【0316】
なお、ステップS52において、ウェイクアップ広告WAを受信しなかったと判定されたとき、一連の動作がステップS42へ移行するのは、端末装置10が接続可能な無線基地局が自局だけだからである。
【0317】
また、ステップS53において、自局よりも受信信号強度が大きい無線基地局が存在せず、かつ、起動状態であった無線基地局における受信信号強度が基準値RSSI_std2よりも大きい無線基地局が存在しないと判定されたとき、一連の動作がステップS42へ移行するのは、自局が端末装置10に最も近く、かつ、端末装置10が起動状態である他の無線基地局に接続することができないからである。
【0318】
更に、ステップS53において、自局よりも受信信号強度が大きい無線基地局が存在すると判定されたとき、一連の動作がステップS44へ移行するのは、端末装置10が自局よりも他の無線基地局に安定して接続できるからである。
【0319】
更に、ステップS53において、起動状態であった無線基地局における受信信号強度が基準値RSSI_std2よりも大きい無線基地局が存在すると判定されたとき、一連の動作がステップS44へ移行するのは、端末装置10は、自局よりも起動状態であった他の無線基地局へ接続した方がウェイクアップ通知WNおよびウェイクアップ通知応答RWNをやり取りする必要がなく(図7参照)、短時間で無線基地局と接続できるからである。
【0320】
上述したように、実施の形態5においては、端末装置10からウェイクアップ信号WKEを受信して起動状態へ移行した複数の無線基地局が相互にウェイクアップ広告WAをやり取りすることによって、最終的に起動状態を維持する無線基地局が、ウェイクアップ信号WKEによって起動状態へ移行した複数の無線基地局(図18に示すステップS41参照)よりも少なくなる。
【0321】
従って、複数の無線基地局が同時に起動状態へ移行する無駄を抑制できる。
【0322】
なお、実施の形態5においては、各無線基地局1〜n(=1D)は、上述した起動確率Z1、起動確率Z2および起動確率Zのいずれかを更に用いてスリープ状態から起動状態へ移行するようにしてもよい。この場合、図10に示す信号生成器133、図13に示す信号生成器133A、および図15に示す信号生成器133Bのいずれかがウェイクアップ装置13Dに追加される。そして、無線基地局1Dの動作は、図18に示すフローチャートのステップS41を図12に示すステップS41A,S41B,S41C,S41D,S41Eに代えたフローチャートに従って実行される。
【0323】
起動確率Z1,Z2,Zのいずれかを更に用いて無線基地局1〜n(=1D)をスリープ状態から起動状態へ移行させることによって、上述した実施の形態2〜実施の形態5における場合よりも同時に起動する無線基地局の個数が更に減少する。従って、複数の無線基地局が同時に起動する無駄を更に抑制できる。
【0324】
また、実施の形態5においては、ウェイクアップ信号受信器131Dは、実施の形態3と同様に、「受信手段」を構成する。
【0325】
更に、実施の形態5においては、ウェイクアップIDが無線基地局1DのIDに一致するか否かを判定するウェイクアップ判定器132は、「判定手段」を構成する。
【0326】
更に、実施の形態5においては、ウェイクアップIDが無線基地局1DのIDに一致すると判定したとき、起動信号を生成してホストシステム143Bへ出力するウェイクアップ判定器132は、「起動手段」を構成する。
【0327】
更に、実施の形態5においては、ホストシステム143Bは、ウェイクアップ判定器132からの起動信号に応じて起動するので、「通信手段」を構成する。
【0328】
上述した実施の形態2においては、ウェイクアップIDが無線基地局1AのIDに一致すると判定されたとき、起動確率Z1で無線基地局を起動させることを説明した。また、上述した実施の形態3においては、ウェイクアップIDが無線基地局1BのIDに一致すると判定されたとき、起動確率Z2で無線基地局を起動させることを説明した。更に、上述した実施の形態4においては、ウェイクアップIDが無線基地局1CのIDに一致すると判定されたとき、起動確率Z(=γZ1+(1−γ)Z2)で無線基地局を起動させることを説明した。
【0329】
従って、この発明の実施の形態による無線基地局は、スリープ状態にある無線基地局を起動させるためのウェイクアップ信号を端末装置から受信する受信手段と、受信手段によって受信されたウェイクアップ信号が当該無線基地局を起動させることを示すか否かを判定する判定手段と、判定手段によってウェイクアップ信号が当該無線基地局を起動させることを示すと判定されると、端末装置の通信範囲において端末装置の周囲に存在する複数の無線基地局のうち、起動する無線基地局の割合を示す起動確率で起動信号を生成する起動手段と、起動手段によって生成された起動信号に応じて起動する通信手段とを備えていればよい。
【0330】
その理由は、次のとおりである。起動確率は、“1”よりも小さい値であるので、起動確率で無線基地局を起動させることによって、ウェイクアップ信号が当該無線基地局を起動させることを示すと判定されたとき、即座に無線基地局を起動させる場合に比べ、起動させる無線基地局の個数が少なくなり、複数の無線基地局が同時に起動する無駄を抑制できるからである。
【0331】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0332】
この発明は、端末装置、それと無線通信を行う無線基地局およびこれらを備える無線通信システムに適用される。
【符号の説明】
【0333】
1〜n,1A,1B,1C,1D 無線基地局、10 端末装置、100 無線通信システム、11,12,21 アンテナ、13,13A,13B,13C,13D ウェイクアップ装置、14,14A,14B メイン装置、15 電源、22,141 無線通信モジュール、23,143,143A ホストシステム、131,131A,131D ウェイクアップ信号受信器、132 ウェイクアップ判定器、133,133A,133B 信号生成器、142 有線通信モジュール、231 ウェイクアップ信号生成器。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
スリープ状態にある無線基地局を起動させるためのウェイクアップ信号を生成する信号生成手段と、
前記信号生成手段によって生成されたウェイクアップ信号をブロードキャストするとともに、前記ウェイクアップ信号の送信回数の最大値の範囲内において、前記無線基地局が起動したことを示すウェイクアップ通知または前記無線基地局が起動状態であることを示すアクティブ通知を前記無線基地局から受信するまで送信電力を増加させながら前記ウェイクアップ信号をブロードキャストする送信手段とを備える端末装置。
【請求項2】
前記最大値は、当該端末装置が無線基地局に接続するまでの許容遅延時間を前記ウェイクアップ信号の送信から次の送信までの時間によって除算した除算結果を超えない最大の整数値からなる、請求項1に記載の端末装置。
【請求項3】
前記ウェイクアップ通知のみ、または前記アクティブ通知のみを受信したとき、受信信号強度が最大であるウェイクアップ通知または受信信号強度が最大であるアクティブ通知を送信した無線基地局と無線リンクを確立する通信手段を更に備える、請求項1または請求項2に記載の端末装置。
【請求項4】
前記ウェイクアップ通知および前記アクティブ通知の両方の通知を複数の無線基地局から受信したとき、前記アクティブ通知の最大の受信信号強度が基準値以上であれば、前記最大の受信信号強度を有するアクティブ通知を送信した無線基地局と無線リンクを確立し、前記アクティブ通知の最大の受信信号強度が前記基準値よりも小さければ、最大の受信信号強度を有するウェイクアップ通知を送信した無線基地局と無線リンクを確立する通信手段を更に備える、請求項1または請求項2に記載の端末装置。
【請求項5】
スリープ状態にある無線基地局を起動させるためのウェイクアップ信号を端末装置から受信する受信手段と、
前記受信手段によって受信されたウェイクアップ信号が当該無線基地局を起動させることを示すか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段によって前記ウェイクアップ信号が当該無線基地局を起動させることを示すと判定されると、前記端末装置の通信範囲において前記端末装置の周囲に存在する複数の無線基地局のうち、起動する無線基地局の割合を示す起動確率で起動信号を生成する起動手段と、
前記起動手段によって生成された起動信号に応じて起動する通信手段とを備える無線基地局。
【請求項6】
前記複数の無線基地局の個数を推定する推定手段を更に備え、
前記起動手段は、前記複数の無線基地局のうち、起動する無線基地局の個数を調整するための定数を前記推定された無線基地局の個数によって除算して前記起動確率を決定するとともに、乱数を発生し、その発生した乱数が前記起動確率以下であるとき、前記起動信号を前記通信手段へ出力し、前記発生した乱数が前記起動確率よりも大きいとき、前記起動信号の前記通信手段への出力を停止する、請求項5に記載の無線基地局。
【請求項7】
前記受信手段は、更に、前記ウェイクアップ信号を受信したときの受信信号強度を検出し、
前記起動手段は、前記判定手段によって前記ウェイクアップ信号が当該無線基地局を起動させることを示すと判定されると、前記検出された受信信号強度が最小の受信信号強度よりも大きい強度を有する基準値よりも大きいとき、無線基地局を起動させる割合である起動確率を1に設定し、前記検出された受信信号強度が前記最小の受信信号強度以上であり、かつ、前記基準値以下であるとき、前記検出された受信信号強度を前記基準値で除算した値に前記起動確率を設定し、前記検出された受信信号強度が前記最小の受信信号強度よりも小さいとき、前記起動確率を零に設定することによって前記起動確率を決定するとともに、乱数を発生し、その発生した乱数が前記起動確率以下であるとき、前記起動信号を前記通信手段へ出力し、前記発生した乱数が前記起動確率よりも大きいとき、前記起動信号の前記通信手段への出力を停止する、請求項5に記載の無線基地局。
【請求項8】
前記起動手段は、前記ウェイクアップ信号の受信回数が増えるに従って前記基準値を小さくして前記起動確率を決定する、請求項7に記載の無線基地局。
【請求項9】
前記複数の無線基地局の個数を推定する推定手段を更に備え、
前記受信手段は、更に、前記ウェイクアップ信号を受信したときの受信信号強度を検出し、
前記起動手段は、前記判定手段によって前記ウェイクアップ信号が当該無線基地局を起動させることを示すと判定されると、前記検出された受信信号強度が最小の受信信号強度よりも大きい強度を有する基準値よりも大きいとき、無線基地局を起動させる割合である起動確率を1に設定し、前記検出された受信信号強度が前記最小の受信信号強度以上であり、かつ、前記基準値以下であるとき、前記検出された受信信号強度を前記基準値で除算した値に前記起動確率を設定し、前記検出された受信信号強度が前記最小の受信信号強度よりも小さいとき、前記起動確率を零に設定することによって第1の起動確率を決定し、前記複数の無線基地局のうち、起動する無線基地局の個数を調整するための定数を前記推定された無線基地局の個数によって除算して第2の起動確率を決定し、前記第1の起動確率と前記第2の起動確率との重み付け和を総合起動確率として決定するとともに、乱数を発生し、その発生した乱数が前記総合起動確率以下であるとき、前記起動信号を前記通信手段へ出力し、前記発生した乱数が前記総合起動確率よりも大きいとき、前記起動信号の前記通信手段への出力を停止する、請求項5に記載の無線基地局。
【請求項10】
前記受信手段に接続された第1のアンテナと、
前記通信手段からの指示によって無線通信を行う無線通信手段に接続された第2のアンテナとを更に備える、請求項5から請求項9のいずれか1項に記載の無線基地局。
【請求項11】
前記通信手段は、起動状態であるときに、前記起動手段から前記起動信号を受けると、当該無線基地局が起動状態であることを示すアクティブ通知を前記端末装置へ送信し、前記端末装置と無線リンクを確立する、請求項10に記載の無線基地局。
【請求項12】
スリープ状態にある無線基地局を起動させるためのウェイクアップ信号を端末装置から受信するとともに、前記ウェイクアップ信号を受信したときの受信信号強度を検出する受信手段と、
前記受信手段によって受信されたウェイクアップ信号が当該無線基地局を起動させることを示すか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段によって前記ウェイクアップ信号が当該無線基地局を起動させることを示すと判定されると、起動信号を生成する起動手段と、
前記起動手段によって生成された起動信号に応じて起動する通信手段とを備え、
前記通信手段は、前記起動信号に応じて起動すると、前記ウェイクアップ信号の受信信号強度と、当該無線基地局がスリープ状態であったかアクティブ状態であったかを示す状態情報とを含むウェイクアップ広告を当該無線基地局以外の他の無線基地局へブロードキャストし、前記他の無線基地局から前記ウェイクアップ広告を受信しないとき、当該無線基地局が起動したことを示すウェイクアップ通知を前記端末装置へ送信して前記端末装置と無線リンクを確立し、またはスリープ状態へ移行する第1の処理を実行し、前記他の無線基地局から前記ウェイクアップ広告を受信したとき、その受信したウェイクアップ広告に基づいて、前記第1の処理を実行し、または前記ウェイクアップ通知を前記端末装置へ送信せずにスリープ状態へ移行する第2の処理を実行する、無線基地局。
【請求項13】
前記通信手段は、前記他の無線基地局から前記ウェイクアップ広告を受信しないとき、前記ウェイクアップ通知を前記端末装置へ送信し、前記ウェイクアップ通知に対する応答であるウェイクアップ通知応答を基準期間内に前記端末装置から受信すると、前記端末装置と無線リンクを確立し、前記ウェイクアップ通知応答を前記基準期間内に前記端末装置から受信しなければ、スリープ状態へ移行して前記第1の処理を実行する、請求項12に記載の無線基地局。
【請求項14】
前記通信手段は、前記他の無線基地局から前記ウェイクアップ広告を受信したとき、その受信したウェイクアップ広告に基づいて、前記受信信号強度が当該無線基地局よりも大きい他の無線基地局が存在しない第1の条件と、アクティブ状態であった無線基地局における前記受信信号強度が基準強度よりも大きい他の無線基地局が存在しない第2の条件との両方を満たすと判定したとき、前記ウェイクアップ通知を端末装置へ送信し、前記ウェイクアップ通知に対する応答であるウェイクアップ通知応答を基準期間内に前記端末装置から受信すると、前記端末装置と無線リンクを確立し、前記ウェイクアップ通知応答を前記基準期間内に前記端末装置から受信しなければ、スリープ状態へ移行して前記第1の処理を実行し、前記受信したウェイクアップ広告に基づいて、前記第1および第2の条件の少なくとも1つを満たさないと判定したとき、前記第2の処理を実行する、請求項12に記載の無線基地局。
【請求項15】
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の端末装置からなる端末装置と、
同一のネットワーク識別子が割り当てられた複数の無線基地局のグループを少なくとも2つ含み、スリープ状態にある無線基地局を起動させるためのウェイクアップ信号を前記端末装置から受信するn(nは4以上の整数)個の無線基地局とを備え、
前記n個の無線基地局の各々は、請求項5から請求項14のいずれか1項に記載の無線基地局からなる、無線通信システム。
【請求項1】
スリープ状態にある無線基地局を起動させるためのウェイクアップ信号を生成する信号生成手段と、
前記信号生成手段によって生成されたウェイクアップ信号をブロードキャストするとともに、前記ウェイクアップ信号の送信回数の最大値の範囲内において、前記無線基地局が起動したことを示すウェイクアップ通知または前記無線基地局が起動状態であることを示すアクティブ通知を前記無線基地局から受信するまで送信電力を増加させながら前記ウェイクアップ信号をブロードキャストする送信手段とを備える端末装置。
【請求項2】
前記最大値は、当該端末装置が無線基地局に接続するまでの許容遅延時間を前記ウェイクアップ信号の送信から次の送信までの時間によって除算した除算結果を超えない最大の整数値からなる、請求項1に記載の端末装置。
【請求項3】
前記ウェイクアップ通知のみ、または前記アクティブ通知のみを受信したとき、受信信号強度が最大であるウェイクアップ通知または受信信号強度が最大であるアクティブ通知を送信した無線基地局と無線リンクを確立する通信手段を更に備える、請求項1または請求項2に記載の端末装置。
【請求項4】
前記ウェイクアップ通知および前記アクティブ通知の両方の通知を複数の無線基地局から受信したとき、前記アクティブ通知の最大の受信信号強度が基準値以上であれば、前記最大の受信信号強度を有するアクティブ通知を送信した無線基地局と無線リンクを確立し、前記アクティブ通知の最大の受信信号強度が前記基準値よりも小さければ、最大の受信信号強度を有するウェイクアップ通知を送信した無線基地局と無線リンクを確立する通信手段を更に備える、請求項1または請求項2に記載の端末装置。
【請求項5】
スリープ状態にある無線基地局を起動させるためのウェイクアップ信号を端末装置から受信する受信手段と、
前記受信手段によって受信されたウェイクアップ信号が当該無線基地局を起動させることを示すか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段によって前記ウェイクアップ信号が当該無線基地局を起動させることを示すと判定されると、前記端末装置の通信範囲において前記端末装置の周囲に存在する複数の無線基地局のうち、起動する無線基地局の割合を示す起動確率で起動信号を生成する起動手段と、
前記起動手段によって生成された起動信号に応じて起動する通信手段とを備える無線基地局。
【請求項6】
前記複数の無線基地局の個数を推定する推定手段を更に備え、
前記起動手段は、前記複数の無線基地局のうち、起動する無線基地局の個数を調整するための定数を前記推定された無線基地局の個数によって除算して前記起動確率を決定するとともに、乱数を発生し、その発生した乱数が前記起動確率以下であるとき、前記起動信号を前記通信手段へ出力し、前記発生した乱数が前記起動確率よりも大きいとき、前記起動信号の前記通信手段への出力を停止する、請求項5に記載の無線基地局。
【請求項7】
前記受信手段は、更に、前記ウェイクアップ信号を受信したときの受信信号強度を検出し、
前記起動手段は、前記判定手段によって前記ウェイクアップ信号が当該無線基地局を起動させることを示すと判定されると、前記検出された受信信号強度が最小の受信信号強度よりも大きい強度を有する基準値よりも大きいとき、無線基地局を起動させる割合である起動確率を1に設定し、前記検出された受信信号強度が前記最小の受信信号強度以上であり、かつ、前記基準値以下であるとき、前記検出された受信信号強度を前記基準値で除算した値に前記起動確率を設定し、前記検出された受信信号強度が前記最小の受信信号強度よりも小さいとき、前記起動確率を零に設定することによって前記起動確率を決定するとともに、乱数を発生し、その発生した乱数が前記起動確率以下であるとき、前記起動信号を前記通信手段へ出力し、前記発生した乱数が前記起動確率よりも大きいとき、前記起動信号の前記通信手段への出力を停止する、請求項5に記載の無線基地局。
【請求項8】
前記起動手段は、前記ウェイクアップ信号の受信回数が増えるに従って前記基準値を小さくして前記起動確率を決定する、請求項7に記載の無線基地局。
【請求項9】
前記複数の無線基地局の個数を推定する推定手段を更に備え、
前記受信手段は、更に、前記ウェイクアップ信号を受信したときの受信信号強度を検出し、
前記起動手段は、前記判定手段によって前記ウェイクアップ信号が当該無線基地局を起動させることを示すと判定されると、前記検出された受信信号強度が最小の受信信号強度よりも大きい強度を有する基準値よりも大きいとき、無線基地局を起動させる割合である起動確率を1に設定し、前記検出された受信信号強度が前記最小の受信信号強度以上であり、かつ、前記基準値以下であるとき、前記検出された受信信号強度を前記基準値で除算した値に前記起動確率を設定し、前記検出された受信信号強度が前記最小の受信信号強度よりも小さいとき、前記起動確率を零に設定することによって第1の起動確率を決定し、前記複数の無線基地局のうち、起動する無線基地局の個数を調整するための定数を前記推定された無線基地局の個数によって除算して第2の起動確率を決定し、前記第1の起動確率と前記第2の起動確率との重み付け和を総合起動確率として決定するとともに、乱数を発生し、その発生した乱数が前記総合起動確率以下であるとき、前記起動信号を前記通信手段へ出力し、前記発生した乱数が前記総合起動確率よりも大きいとき、前記起動信号の前記通信手段への出力を停止する、請求項5に記載の無線基地局。
【請求項10】
前記受信手段に接続された第1のアンテナと、
前記通信手段からの指示によって無線通信を行う無線通信手段に接続された第2のアンテナとを更に備える、請求項5から請求項9のいずれか1項に記載の無線基地局。
【請求項11】
前記通信手段は、起動状態であるときに、前記起動手段から前記起動信号を受けると、当該無線基地局が起動状態であることを示すアクティブ通知を前記端末装置へ送信し、前記端末装置と無線リンクを確立する、請求項10に記載の無線基地局。
【請求項12】
スリープ状態にある無線基地局を起動させるためのウェイクアップ信号を端末装置から受信するとともに、前記ウェイクアップ信号を受信したときの受信信号強度を検出する受信手段と、
前記受信手段によって受信されたウェイクアップ信号が当該無線基地局を起動させることを示すか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段によって前記ウェイクアップ信号が当該無線基地局を起動させることを示すと判定されると、起動信号を生成する起動手段と、
前記起動手段によって生成された起動信号に応じて起動する通信手段とを備え、
前記通信手段は、前記起動信号に応じて起動すると、前記ウェイクアップ信号の受信信号強度と、当該無線基地局がスリープ状態であったかアクティブ状態であったかを示す状態情報とを含むウェイクアップ広告を当該無線基地局以外の他の無線基地局へブロードキャストし、前記他の無線基地局から前記ウェイクアップ広告を受信しないとき、当該無線基地局が起動したことを示すウェイクアップ通知を前記端末装置へ送信して前記端末装置と無線リンクを確立し、またはスリープ状態へ移行する第1の処理を実行し、前記他の無線基地局から前記ウェイクアップ広告を受信したとき、その受信したウェイクアップ広告に基づいて、前記第1の処理を実行し、または前記ウェイクアップ通知を前記端末装置へ送信せずにスリープ状態へ移行する第2の処理を実行する、無線基地局。
【請求項13】
前記通信手段は、前記他の無線基地局から前記ウェイクアップ広告を受信しないとき、前記ウェイクアップ通知を前記端末装置へ送信し、前記ウェイクアップ通知に対する応答であるウェイクアップ通知応答を基準期間内に前記端末装置から受信すると、前記端末装置と無線リンクを確立し、前記ウェイクアップ通知応答を前記基準期間内に前記端末装置から受信しなければ、スリープ状態へ移行して前記第1の処理を実行する、請求項12に記載の無線基地局。
【請求項14】
前記通信手段は、前記他の無線基地局から前記ウェイクアップ広告を受信したとき、その受信したウェイクアップ広告に基づいて、前記受信信号強度が当該無線基地局よりも大きい他の無線基地局が存在しない第1の条件と、アクティブ状態であった無線基地局における前記受信信号強度が基準強度よりも大きい他の無線基地局が存在しない第2の条件との両方を満たすと判定したとき、前記ウェイクアップ通知を端末装置へ送信し、前記ウェイクアップ通知に対する応答であるウェイクアップ通知応答を基準期間内に前記端末装置から受信すると、前記端末装置と無線リンクを確立し、前記ウェイクアップ通知応答を前記基準期間内に前記端末装置から受信しなければ、スリープ状態へ移行して前記第1の処理を実行し、前記受信したウェイクアップ広告に基づいて、前記第1および第2の条件の少なくとも1つを満たさないと判定したとき、前記第2の処理を実行する、請求項12に記載の無線基地局。
【請求項15】
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の端末装置からなる端末装置と、
同一のネットワーク識別子が割り当てられた複数の無線基地局のグループを少なくとも2つ含み、スリープ状態にある無線基地局を起動させるためのウェイクアップ信号を前記端末装置から受信するn(nは4以上の整数)個の無線基地局とを備え、
前記n個の無線基地局の各々は、請求項5から請求項14のいずれか1項に記載の無線基地局からなる、無線通信システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2013−46393(P2013−46393A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−185243(P2011−185243)
【出願日】平成23年8月26日(2011.8.26)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成23年度、支出負担行為担当官、総務省大臣官房会計課企画官、研究テーマ「無駄な消費電力量を削減するRadio On Demand Networksの研究開発」に関する委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(393031586)株式会社国際電気通信基礎技術研究所 (905)
【出願人】(000232254)日本電気通信システム株式会社 (586)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年8月26日(2011.8.26)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成23年度、支出負担行為担当官、総務省大臣官房会計課企画官、研究テーマ「無駄な消費電力量を削減するRadio On Demand Networksの研究開発」に関する委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(393031586)株式会社国際電気通信基礎技術研究所 (905)
【出願人】(000232254)日本電気通信システム株式会社 (586)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]