説明

端末装置、それと無線通信を行う無線基地局およびそれらを用いた無線通信システム

【課題】無線通信方式における無線フレームを用いて無線基地局を起動可能な端末装置を提供する。
【解決手段】端末装置2は、ウェイクアップさせたい無線基地局1のIDをフレーム長または振幅で表した無線フレームを無線基地局1へ送信する。そして、無線基地局1は、端末装置2からの無線フレームのフレーム長または振幅からウェイクアップIDを検出し、その検出したウェイクアップIDが自己のIDに一致するとき、スリープ状態から起動状態へ移行する。この場合、無線フレームは、端末装置2の無線通信モジュールが無線基地局1との間で送受信する無線フレームと同じである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、端末装置、それと無線通信を行う無線基地局およびそれらを用いた無線通信システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
無線LAN(Local Area Network)は、家庭やオフィスなどで広く使われている。無線LANが普及するとともに、多くのアクセスポイント(AP)が設置されるが、これらのAPは、たとえ、通信データが発生しなくても、通常、電源がオンされたままで使用される。
【0003】
このような、“つけっぱなし”になっているAPが過半数の時間で使用されていないため、電力は、無駄に消費される。
【0004】
センサーネットワークでは、ウェイクアップ受信機を用いて通信が必要となっているときだけ、データの送信先をウェイクアップする手法が検討されている。
【0005】
非特許文献1では、無線LANカードよりも低い電力を消費する802.15.4sensor motesを用いて同じ周波数である無線LANチャネルを観測し、送信元からの電波を検知すると、自端末の無線LANカードをウェイクアップする手法が提案されている。
【0006】
また、特許文献1〜3および非特許文献2では、より低い電力を消費するウェイクアップ受信機を用いて無線LANカードをウェイクアップする手法が提案されている。
【0007】
更に、特許文献1,2および非特許文献2では、ウェイクアップ信号の周波数が無線LANの周波数と異なるので、2つのアンテナが必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特表2007−526655号公報
【特許文献2】国際公開第04/100503号パンフレット
【特許文献3】米国特許出願公開第2007/0253468号明細書
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】Nilesh Mishra, Kameswari Chebrolu, Bhaskaran Raman, Abhinav Pathak, Wakeon WLAN, WWW 2006.
【非特許文献2】石田繁己、鈴木誠、森戸貴、森川博之,低受信待機電力無線通信のための多段ウェイクアップ機構,IEICE technical report, information networks 107(525), 355-360, 2008-02-28.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかし、従来技術においては、ウェイクアップ信号の周波数が無線LANの周波数と異なるので、無線LANにおける無線フレームを用いてアクセスポイントをウェイクアップさせることができないという問題がある。
【0011】
そこで、この発明は、かかる問題を解決するためになされたものであり、その目的は、
無線通信方式における無線フレームを用いて無線基地局を起動可能な端末装置を提供することである。
【0012】
また、この発明の別の目的は、無線通信方式における無線フレームを受信して起動可能な無線基地局を提供することである。
【0013】
更に、この発明の別の目的は、無線通信方式における無線フレームを用いて無線基地局を起動可能な端末装置を備える無線通信システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
この発明の実施の形態によれば、端末装置は、アンテナと、無線モジュールと、ウェイクアップ送信機とを備える。無線モジュールは、アンテナを介して無線通信を行う。ウェイクアップ送信機は、無線通信の開始要求に応じて、スリープ状態から起動状態へ移行させる無線基地局の識別情報を表すフレーム長を有する第1の無線フレーム、または無線基地局の識別情報を表す振幅を有する第2の無線フレームをアンテナを介して無線基地局へ送信する。第1および第2の無線フレームの各々は、無線モジュールが無線基地局との間で送受信する無線フレームと同じである。スリープ状態は、無線基地局が当該端末装置と無線通信を行うことができない状態である。起動状態は、無線基地局が当該端末装置と無線通信を行う状態である。
【0015】
また、この発明の実施の形態によれば、無線基地局は、アンテナと、メイン装置と、受信手段と、検出手段と、識別手段と、起動手段とを備える。メイン装置は、端末装置を管理するための管理フレームを定期的に送信するとともに、端末装置と無線通信を行う起動状態と、端末装置と無線通信を行うことができないスリープ状態とを有し、一定の期間、端末装置と無線通信を行わなかったとき、または当該無線基地局に帰属する端末装置が存在しないとき、起動状態からスリープ状態へ移行する。受信手段は、メイン装置がスリープ状態にあるときに無線フレームをアンテナを介して受信する。検出手段は、受信手段によって受信された無線フレームのフレーム長または振幅を検出する。識別手段は、検出手段によって検出されたフレーム長または振幅に基づいて識別情報を識別する。起動手段は、識別手段によって識別された識別情報が当該無線基地局の識別情報に一致するとき、メイン装置をスリープ状態から起動状態へ移行させるための起動信号を生成してメイン装置へ出力する。メイン装置は、起動信号に応じて、スリープ状態から起動状態へ移行する。無線フレームは、メイン装置が端末装置との間で送受信する無線フレームと同じである。
【0016】
更に、この発明の実施の形態によれば、無線通信システムは、端末装置と、無線基地局とを備える。無線基地局は、端末装置と無線通信を行う。端末装置は、請求項1から請求項5のいずれかに記載の端末装置からなる。無線基地局は、請求項6から請求項10のいずれかに記載の無線基地局からなる。
【発明の効果】
【0017】
この発明の実施の形態によれば、端末装置は、ウェイクアップさせたい無線基地局のIDをフレーム長または振幅で表した無線フレームを無線基地局へ送信する。そして、無線基地局は、端末装置からの無線フレームのフレーム長または振幅からウェイクアップIDを検出し、その検出したウェイクアップIDが自己のIDに一致するとき、スリープ状態から起動状態へ移行する。この場合、無線フレームは、端末装置の無線モジュールが無線基地局との間で送受信する無線フレームと同じである。
【0018】
従って、通常の無線フレームを用いて無線基地局を起動できる。
【0019】
また、ウェイクアップIDは、通常の無線フレームを用いて端末装置から無線基地局へ
送信され、無線基地局によって受信されるので、無線基地局および端末装置は、ウェイクアップIDを送受信するための特別の装置を必要とせず、アンテナの本数を1本にできる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】この発明の実施の形態による無線通信システムの概略図である。
【図2】図1に示す無線基地局の実施の形態1における構成図である。
【図3】図2に示すウェイクアップ信号受信機の構成図である。
【図4】図1に示す端末装置の実施の形態1における構成図である。
【図5】ビット列と無線フレームの時間長であるフレーム長Lとの変換表を示す図である。
【図6】包絡線検波およびビット判定の概念図である。
【図7】累積値とビット列との変換表を示す図である。
【図8】ウェイクアップ信号が複数の無線フレームからなる場合における図3に示すID識別器の状態遷移図である。
【図9】図3に示すビット判定器の具体例な構成図である。
【図10】図1に示す無線通信システムにおける動作を説明するための実施の形態1におけるフローチャートである。
【図11】図1に示す無線基地局の実施の形態2における構成図である。
【図12】図11に示すウェイクアップ信号受信機の構成図である。
【図13】図1に示す端末装置の実施の形態2における構成図である。
【図14】図13に示すウェイクアップ信号生成部および無線通信モジュールにおけるウェイクアップIDの送信方法を示す概念図である。
【図15】図13に示すウェイクアップ信号生成部におけるウェイクアップIDの送信方法の具体例を示す図である。
【図16】図1に示す無線通信システムにおける動作を説明するための実施の形態2におけるフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰返さない。
【0022】
図1は、この発明の実施の形態による無線通信システムの概略図である。図1を参照して、この発明の実施の形態による無線通信システム10は、無線基地局1と、端末装置2とを備える。
【0023】
無線基地局1は、通信範囲REGを有する。また、無線基地局1は、有線ケーブル20を介してネットワーク30に接続される。
【0024】
無線基地局1は、端末装置2を管理するためのビーコンフレームBeacon(=管理フレーム)を定期的に送信するとともに、端末装置2と無線通信を行う起動状態と、端末装置2と無線通信(=データの送受信)を行うことができないスリープ状態とを有する。
【0025】
無線基地局1は、一定の期間、端末装置2と無線通信を行わなかったとき、または自己に帰属する端末装置が存在しないとき(即ち、通信範囲REG内に端末装置が存在しないとき)、起動状態からスリープ状態へ移行する。
【0026】
また、無線基地局1は、スリープ状態において、端末装置2から自己を起動させるためのウェイクアップ信号を受信すると、スリープ状態から起動状態へ移行する。そして、無線基地局1は、端末装置2と無線通信を行うとともに、有線ケーブル20およびネットワ
ーク30を介して他の通信装置と通信を行う。この場合、無線基地局1は、例えば、2.45GHz帯で端末装置2と無線通信を行う。
【0027】
端末装置2は、無線基地局1の通信範囲REG内に存在する。そして、端末装置2は、無線基地局1からビーコンフレームBeaconを受信しないとき、無線基地局1がスリープ状態であると判定する。そして、端末装置2は、無線基地局1がスリープ状態にあるときに無線基地局1との間で無線通信を開始するとき、無線基地局1を起動させるためのウェイクアップ信号を生成し、その生成したウェイクアップ信号を2.45GHz帯で無線通信によって無線基地局1へ送信する。即ち、端末装置2は、無線基地局1との無線通信に用いる周波数帯と同じ周波数帯を用いてウェイクアップ信号を無線基地局1へ送信する。
【0028】
また、端末装置2は、無線基地局1が起動状態であるとき、通常の無線通信を2.45GHz帯で無線基地局1と行う。
【0029】
[実施の形態1]
図2は、図1に示す無線基地局1の実施の形態1における構成図である。図2を参照して、無線基地局1は、アンテナ11と、切替器12と、ウェイクアップ信号受信機13と、メイン装置14と、電源15とを含む。
【0030】
アンテナ11は、切替器12を介してウェイクアップ信号受信機13またはメイン装置14に接続される。
【0031】
切替器12は、アンテナ11と、ウェイクアップ信号受信機13およびメイン装置14との間に接続される。
【0032】
アンテナ11は、無線通信によって端末装置2から無線フレームを受信し、その受信した無線フレームを切替器12を介してウェイクアップ信号受信機13またはメイン装置14へ出力する。また、アンテナ11は、メイン装置14から受けた無線フレームを無線通信によって端末装置2へ送信する。
【0033】
切替器12は、メイン装置14からの制御信号CTLに応じて、アンテナ11をウェイクアップ信号受信機13またはメイン装置14に接続する。
【0034】
ウェイクアップ信号受信機13は、例えば、100μWの電力を電源15から受け、その受けた電力によって駆動される。また、ウェイクアップ信号受信機13は、メイン装置14がスリープ状態にあるとき、切替器12を介してアンテナ11に接続される。そして、ウェイクアップ信号受信機13は、アンテナ11を介して端末装置2から無線フレームを受信すると、その受信した無線フレームの長さによって表されるウェイクアップIDを検出し、その検出したウェイクアップIDが無線基地局1のIDに一致するか否かを判定する。ウェイクアップ信号受信機13は、ウェイクアップIDが無線基地局1のIDに一致すると判定したとき、起動信号を生成し、その生成した起動信号をメイン装置14へ出力する。
【0035】
一方、ウェイクアップ信号受信機13は、ウェイクアップIDが無線基地局1のIDに一致しないとき、無線フレームを破棄する。そして、ウェイクアップ信号受信機13は、無線フレームの受信を待つ状態になる。
【0036】
なお、ウェイクアップ信号受信機13は、無線基地局1をウェイクアップさせるための無線フレームを受信する機能のみを有し、無線フレームを送信する機能を有しない。
【0037】
メイン装置14は、例えば、7Wの電力を電源15から受け、その受けた電力によって駆動される。
【0038】
メイン装置14は、起動状態であるとき、アンテナ11を介して端末装置2と無線通信を行い、有線ケーブル20を介して他の通信装置と通信を行う。
【0039】
また、メイン装置14は、一定の期間T1、端末装置2と無線通信を行わなかったとき、または無線基地局1に帰属する端末装置が存在しないとき、起動状態からスリープ状態へ移行する。なお、一定の期間T1は、例えば、数十秒に設定される。
【0040】
更に、メイン装置14は、スリープ状態にあるときに、ウェイクアップ信号受信機13から起動信号を受けると、スリープ状態から起動状態へ移行する。
【0041】
電源15は、100μWの電力をウェイクアップ信号受信機13へ供給し、7Wの電力をメイン装置14へ供給する。
【0042】
切替器12は、スイッチ121と、端子122,123とを含む。メイン装置14は、無線通信モジュール141と、有線通信モジュール142と、ホストシステム143とを含む。
【0043】
スイッチ121は、アンテナ11に接続される。端子122は、ウェイクアップ信号受信機13に接続される。端子123は、無線通信モジュール141に接続される。
【0044】
スイッチ121は、メイン装置14のホストシステム143から制御信号CTLを受ける。そして、スイッチ121は、その制御信号CTLによってアンテナ11を端子122または端子123に接続する。
【0045】
この場合、制御信号CTLは、L(論理ロー)レベルの信号、またはH(論理ハイ)レベルの信号からなる。そして、スイッチ121は、制御信号CTLがLレベルの信号からなる場合、アンテナ11を端子122に接続し、制御信号CTLがHレベルの信号からなる場合、アンテナ11を端子123に接続する。
【0046】
無線通信モジュール141は、ホストシステム143からコマンド信号COM1を受けると、起動状態からスリープ状態へ移行し、ホストシステム143からコマンド信号COM2を受けると、スリープ状態から起動状態へ移行する。なお、このスリープ状態は、無線通信モジュール141が動作を停止した状態である。
【0047】
そして、無線通信モジュール141は、起動状態へ移行すると、無線基地局1が起動したことを端末装置2へ通知するための無線フレーム(起動通知)を生成し、その生成した無線フレーム(起動通知)を端末装置2へ送信する。
【0048】
その後、無線通信モジュール141は、アンテナ11を介してビーコンフレームBeaconを定期的に送信し、端末装置2との間で無線通信リンクを確立する。そして、無線通信モジュール141は、端末装置2と無線通信を行う。この場合、無線通信モジュール141は、端末装置2から受信した無線フレームからデータを取り出してホストシステム143へ出力し、ホストシステム143から受けたデータを含む無線フレームを生成して端末装置2へ送信する。
【0049】
有線通信モジュール142は、有線ケーブル20を介して他の通信装置からデータを受
信し、その受信したデータをホストシステム143へ出力する。
【0050】
また、有線通信モジュール142は、ホストシステム143からデータを受け、その受けたデータを有線ケーブル20を介して他の通信装置へ送信する。
【0051】
更に、有線通信モジュール142は、ホストシステム143からコマンド信号COM1を受けると、起動状態からスリープ状態へ移行し、ホストシステム143からコマンド信号COM2を受けると、スリープ状態から起動状態へ移行する。なお、このスリープ状態は、有線通信モジュール142が動作を停止した状態である。
【0052】
ホストシステム143は、一定の期間T1、端末装置2からの無線フレームを無線通信モジュール141を介して受けないとき、または通信範囲REG内に端末装置が存在しないとき、コマンド信号COM1を生成し、その生成したコマンド信号COM1を無線通信モジュール141および有線通信モジュール142へ出力するとともに、Lレベルの制御信号CTLを生成して切替器12へ出力する。そして、ホストシステム143は、スリープ状態(=停止状態)へ移行する。
【0053】
また、ホストシステム143は、ウェイクアップ信号受信機13から起動信号を受けると、スリープ状態から起動状態へ移行する。そして、ホストシステム143は、コマンド信号COM2を生成し、その生成したコマンド信号COM2を無線通信モジュール141および有線通信モジュール142へ出力するとともに、Hレベルの制御信号CTLを生成して切替器12へ出力する。
【0054】
更に、ホストシステム143は、無線通信モジュール141からデータを受けると、その受けたデータを有線通信モジュール142へ出力する。
【0055】
更に、ホストシステム143は、有線通信モジュール142からデータを受けると、その受けたデータを無線通信モジュール141へ出力する。
【0056】
更に、ホストシステム143は、通信範囲REG内に存在する端末装置を管理する。
【0057】
図3は、図2に示すウェイクアップ信号受信機13の構成図である。図3を参照して、ウェイクアップ信号受信機13は、BPF(Band Pass Filter)131と、包絡線検波器132と、ビット判定器133と、フレーム長検出器134と、ID識別器135とを含む。
【0058】
BPF131は、アンテナ11および切替器12を介して電波を受信し、その受信した受信電波から無線フレームの周波数を有する信号を抽出する。そして、BPF131は、その抽出した信号を包絡線検波器132へ出力する。
【0059】
包絡線検波器132は、BPF131から受けた無線フレームを一定周期(例えば、10μs)ごとに包絡線検波し、その検波した検波信号をビット判定器133へ出力する。
【0060】
ビット判定器133は、包絡線検波器132から受けた検波信号を“0”または“1”のビット値に変換し、その変換後のビット列をフレーム長検出器134へ出力する。
【0061】
フレーム長検出器134は、ビット判定器133から受けたビット列に基づいて無線フレームのフレーム長を検出する。より具体的には、フレーム長検出器134は、“1”のビット値の個数を累計し、“0”のビット値が入力されれば、累計値をID識別器135へ出力するとともに、累計値をリセットする。
【0062】
ID識別器135は、累計値をフレーム長検出器134から受け、その受けた累計値を後述する方法によってビット列に変換する。そして、ID識別器135は、その変換したビット列を保持する。
【0063】
そうすると、ID識別器135は、保持したビット列が無線基地局1の識別情報(ID)に一致するとき、起動信号を生成してホストシステム143へ出力する。
【0064】
なお、ID識別器135は、保持したビット列のビット長がウェイクアップIDの長さを超える場合、ビット列のうち、最も古いビット値から順に破棄する。
【0065】
図4は、図1に示す端末装置2の実施の形態1における構成図である。図4を参照して、端末装置2は、アンテナ21と、無線通信モジュール22と、ホストシステム23とを含む。ホストシステム23は、ウェイクアップ信号生成部231を含む。
【0066】
無線通信モジュール22は、アンテナ21を介して無線基地局1から起動通知を受信すると、無線基地局1との間で無線通信リンクを確立し、無線基地局1との間で無線通信を行う。
【0067】
この場合、無線通信モジュール22は、アンテナ21を介して無線基地局1から無線フレームを受信し、その受信した無線フレームを復調してデータを取り出し、その取り出したデータをホストシステム23へ出力する。また、無線通信モジュール22は、ホストシステム23からデータを受け、その受けたデータを含む無線フレームを生成し、その生成した無線フレームを無線LANによる変調方式によって変調し、その変調した無線フレームをアンテナ21を介して無線基地局1へ送信する。
【0068】
無線通信モジュール22は、ホストシステム23のウェイクアップ信号生成部231から受けるペイロードを、同じくウェイクアップ信号生成部231から受ける伝送レートにてアンテナ21を介して無線基地局1へ送信する。
【0069】
ホストシステム23は、無線通信モジュール22がアンテナ21を介して受信したビーコンフレームBeaconを無線通信モジュール22から受ける。そして、ホストシステム23は、その受けたビーコンフレームBeaconに含まれるESSIDまたはBSSIDを取り出して管理するとともに、ESSIDまたはBSSIDに基づいて、端末装置2が帰属する無線基地局1を管理する。
【0070】
また、ホストシステム23は、無線基地局1からビーコンフレームBeaconを受信しないとき、無線基地局1がスリープ状態であると判定し、コマンド信号COM3およびESSID(またはBSSID)をウェイクアップ信号生成部231へ出力する。
【0071】
更に、ホストシステム23は、無線通信モジュール22からデータを受けるとともに、データを生成して無線通信モジュール22へ出力する。
【0072】
ウェイクアップ信号生成部231は、コマンド信号COM3およびESSID(またはBSSID)をホストシステム23から受けると、ESSID、BSSID、およびそれらのハッシュ値のいずれかからなるウェイクアップIDを生成し、その生成したウェイクアップIDと、送信した無線フレームの時間長がウェイクアップIDになるような無線フレームを送信するための伝送レートとを無線通信モジュール22へ出力する。なお、ウェイクアップIDは、端末装置2が起動させる無線基地局を示す情報である。
【0073】
図5は、ビット列と無線フレームの時間長であるフレーム長Lとの変換表を示す図である。図5を参照して、変換表TBL1は、ビット列とフレーム長とを含む。ビット列およびフレーム長は、相互に対応付けられる。
【0074】
230μsのフレーム長Lは、“000000”のビット列に対応付けられる。260(μs)のフレーム長Lは、“000001”のビット列に対応付けられる。290(μs)のフレーム長Lは、“000010”のビット列に対応付けられる。以下、同様にして、2120(μs)のフレーム長Lは、“111110”のビット列に対応付けられ、2150(μs)のフレーム長Lは、“111111”のビット列に対応付けられる。そして、“000000”等のビット列は、ウェイクアップIDである。即ち、“000000”等のビット列は、ウェイクアップさせたい無線基地局1の識別情報である。
【0075】
ウェイクアップ信号生成部231は、変換表TBL1を保持している。そして、ウェイクアップ信号生成部231は、“000000”からなるウェイクアップIDに対して、変換表TBL1を参照してフレーム長L=230(μs)を割り当てる。
【0076】
そうすると、ウェイクアップ信号生成部231は、フレーム長がL=230(μs)に最も近くなるようにペイロードサイズを決定し、その決定したペイロードサイズを有するペイロードを生成し、その生成したペイロードを無線通信モジュール22へ出力する。そして、無線通信モジュール22は、ウェイクアップ信号生成部231からペイロードを受け、その受けたペイロードを含む無線フレームを生成し、その生成した無線フレームを無線基地局1へ送信する。
【0077】
また、ウェイクアップ信号生成部231は、“000000”からなるウェイクアップIDにフレーム長L=230(μs)を割り当てると、“000000”からなるウェイクアップIDを含む無線フレームの時間長が230(μs)になるように送信するための伝送レートを決定し、その決定した伝送レートと000000”からなるウェイクアップIDとを無線通信モジュール22へ出力する。無線通信モジュール22は、000000”からなるウェイクアップIDと、伝送レートとをウェイクアップ信号生成部231から受ける。そして、無線通信モジュール22は、000000”からなるウェイクアップIDを含む無線フレームを生成し、その生成した無線フレームをウェイクアップ信号生成部231から受けた伝送レートで無線基地局1へ送信する。
【0078】
更に、ウェイクアップ信号生成部231は、“000000”からなるウェイクアップIDにフレーム長L=230(μs)を割り当てると、フレーム長がL=230(μs)に最も近くなるようにペイロードサイズを決定し、その決定したペイロードサイズを有するペイロードを生成する。また、ウェイクアップ信号生成部231は、その生成したペイロードを含む無線フレームの時間長が230(μs)になるように送信するための伝送レートを決定する。そして、ウェイクアップ信号生成部231は、その生成したペイロードと、その決定した伝送レートとを無線通信モジュール22へ出力する。
【0079】
無線通信モジュール22は、ペイロードおよび伝送レートをウェイクアップ信号生成部231から受け、その受けたペイロードを含む無線フレームを生成する。そして、無線通信モジュール22は、その生成した無線フレームをウェイクアップ信号生成部231から受け伝送レートで無線基地局1へ送信する。
【0080】
このように、無線通信モジュール22は、フレーム長がL=230(μs)になるようにペイロードサイズおよび伝送レートの少なくとも一方を制御し、その制御したペイロードサイズおよび伝送レートの少なくとも一方を用いて無線フレームを無線基地局1へ送信する。その結果、無線通信モジュール22を変更することなく、ウェイクアップ信号生成
部231を追加するだけで、端末装置2は、無線基地局1をウェイクアップさせることができる。
【0081】
なお、ペイロードとなるデータの中身は、乱数値でもよいし、特定の値に設定されてもよい。
【0082】
ウェイクアップ信号生成部231は、“000001”等からなるウェイクアップIDに対しても、同様にしてペイロードおよび/または伝送レートを無線通信モジュール22へ出力する。
【0083】
変換表TBL1において、フレーム長Lが30μsごとに区切られているのは、無線基地局1のウェイクアップ信号受信機13のクロック周波数を低くし、ウェイクアップ信号受信機13が無線フレームの切れ目を識別できるようにするためである。
【0084】
上述したように、実施の形態1においては、端末装置2は、ウェイクアップIDをフレーム長によって表した無線フレームを無線基地局1へ送信する。
【0085】
この場合、無線フレームは、Probe Request等の管理フレーム、またはブロードキャストのデータフレーム、またはウェイクアップさせる無線基地局1以外の無線基地局や端末装置2以外の他の端末装置へ送信すべきデータフレームからなる。
【0086】
無線フレームがデータフレームからなる場合、ウェイクアップ信号生成部231は、データフレームの伝送レートおよびフラグメンテーションを調整し、ウェイクアップIDに対応するフレーム長Lを有する無線フレームを無線通信モジュール22およびアンテナ21を介して無線基地局1へ送信する。
【0087】
そして、ウェイクアップさせる無線基地局1以外の無線基地局へ送信すべきデータフレームを用いてウェイクアップIDを送信する場合、端末装置2がハンドオーバーされる場合に適している。
【0088】
図6は、包絡線検波およびビット判定の概念図である。図6を参照して、ウェイクアップ信号受信機13の包絡線検波器132は、無線フレームFRをBPF131から受ける。無線フレームFRは、例えば、230(μs)のフレーム長Lを有する((a)参照)。
【0089】
包絡線検波器132は、無線フレームFRの包絡線EVLを検出し、その検出包絡線EVLを10(μs)毎に検波し、検波値I〜I24を検出する((b)参照)。
【0090】
そして、包絡線検波器132は、検波値I〜I24をビット判定器133へ出力する。ビット判定器133は、検波値I〜I24をビット判定し、“111・・・1110”のビット列を得る。そして、ビット判定器133は、“111・・・1110”のビット列をフレーム長検出器134へ出力する。
【0091】
フレーム長検出器134は、“111・・・1110”のビット列の先頭から“1”のビット値の個数を累積し、“23”の累積値を検出する。そして、フレーム長検出器134は、24個目のビット値が“0”であるので、“23”の累積値をID識別器135へ出力するとともに、累積値をリセットする。
【0092】
図7は、累積値とビット列との変換表を示す図である。図7を参照して、変換表TBL2は、累積値とビット列とを含む。累積値およびビット列は、相互に対応付けられる。
【0093】
“000000”のビット列は、22≦c≦24の累積値cに対応付けられる。“000001”のビット列は、25≦c≦27の累積値cに対応付けられる。“000010”のビット列は、28≦c≦30の累積値cに対応付けられる。以下、同様にして、“111110”のビット列は、211≦c≦213の累積値cに対応付けられ、“111111”のビット列は、214≦c≦216の累積値に対応付けられる。
【0094】
ID識別器135は、変換表TBL2を保持している。そして、ID識別器135は、フレーム長検出器134から23の累積値cを受けると、変換表TBL2を参照して“000000”のビット列を検出する。
【0095】
そして、ID識別器135は、その検出した“000000”のビット列が無線基地局1の識別情報(ID)に一致する場合、起動信号を生成してメイン装置14へ出力する。
【0096】
図8は、ウェイクアップ信号が複数の無線フレームからなる場合における図3に示すID識別器135の状態遷移図である。
【0097】
端末装置2は、ウェイクアップ信号を複数の無線フレームを用いて無線基地局1へ送信する場合もある。その場合、ウェイクアップ信号受信機13は、端末装置2以外の端末装置から送信された無線フレームが端末装置2から送信された無線フレームに割り込むと、ウェイクアップ信号を正しく復号できない。
【0098】
そこで、このような場合、ID識別器135は、図8に示す構成からなる。即ち、ID識別器135は、c待ち状態1351、c待ち状態1352、・・・、c待ち状態135n(nは2以上の整数)を有する。
【0099】
待ち状態1351〜c待ち状態135nは、それぞれ、累積値c、c、・・・、cを待つ状態である。
【0100】
無線基地局1がスリープ状態へ移行すると、ID識別器135は、最初、c待ち状態1351にあり、累積値cまたはcに近い累積値、例えば、c−1およびc+1が入力されれば、c待ち状態1352へ移行する。そして、ID識別器135は、累積値cまたはcに近い累積値が入力されれば、c待ち状態1353へ移行する。以下、同様にして、ID識別器135は、累積値cn−1またはcn−1に近い累積値が入力されれば、c待ち状態135nへ移行し、累積値cまたはcに近い累積値が入力されれば、識別情報(ID)に一致したと判定し、起動信号を生成してメイン装置14へ出力する。その結果、無線基地局1は、起動状態へ移行する。
【0101】
このように、ID識別器135は、ウェイクアップ信号が複数の無線フレームを用いて送信された場合、n個の累積値c、c、・・・、cを検出することによってウェイクアップIDを検出する。
【0102】
一方、ID識別器135は、例えば、c待ち状態1352において、累積値cまたはcに近い累積値が、一定期間、入力されなければ、または累積値cまたはcに近い累積値と異なる累積値がm(mは2以上の整数)回以上入力されれば、初期状態であるc待ち状態1351に戻る。つまり、ID識別器135は、ウェイクアップ信号でない無線フレームがたまたま待ち受けている累積値に一致したとしても、n個の累積値c、c、・・・、cが連続して入力されなければ、初期状態であるc待ち状態1351に戻る。
【0103】
端末装置2がウェイクアップ信号を送信中に、他の端末装置の無線フレームが割り込んだ場合、ID識別器135は、例えば、c待ち状態1352において、累積値cまたはcに近い累積値と異なる累積値が入力されても、一定期間内、またはm回以上の異なる累積値が入力される前にcの累積値が入力されれば、状態を次の累積値cを待つ状態へ遷移する。
【0104】
従って、ID識別器135が図8に示す状態を遷移することによってウェイクアップ信号が複数の無線フレームを用いて送信された場合もウェイクアップ信号を正しく受信でき、メイン装置14を起動できる。
【0105】
図9は、図3に示すビット判定器133の具体例な構成図である。図9を参照して、ビット判定器133は、閾値判定器1331と、レジスタ1332と、演算器1333とを含む。
【0106】
閾値判定器1331は、例えば、−90dBmからなる閾値RSSI_th1を予め保持している。そして、閾値判定器1331は、包絡線検波器132から受けた検波値I〜I24を閾値RSSI_th1と比較して検波値I〜I24をビット判定する。即ち、閾値判定器1331は、検波値I〜I24が閾値RSSI_th1以上であれば、検波値I〜I24を“1”に変換し、検波値I〜I24が閾値RSSI_th1よりも低ければ、検波値I〜I24を“0”に変換する。
【0107】
そして、閾値判定器1331は、その変換したビット値からなるビット列をレジスタ1332および演算器1333へ出力する。
【0108】
レジスタ1332は、閾値判定器1331から受けたビット列を一周期毎に1ビットづつシフトしながら保持し、その保持したビット列を演算器1333へ順次出力する。
【0109】
演算器1333は、閾値判定器1331からビット列の各ビット値を順次受け、レジスタ1332から一周期遅れの各ビット値を順次受ける。そして、演算器1333は、その受けた2つのビット値の論理和(OR)を演算し、その演算結果をフレーム長検出器134へ出力する。
【0110】
IEEE802.11bにおける無線フレーム同士のフレーム間のスペースは、30μs以上である。そして、包絡線検波器132は、10μs毎に包絡線検波を行い、ビット判定器133は、10μs毎にビット判定を行う。従って、無線フレームと無線フレームとの間には、必ず、2個以上の“0”が存在する。このため、ビット判定の結果が“101”であれば、“0”は、誤りである確率が高い。
【0111】
しかし、ビット判定器133は、図9に示す構成からなるので、“101”のビット列は、“111”に訂正される。従って、ビット判定器133は、図9に示す構成を採用することによってビット誤りを低減してビット判定を行うことができる。
【0112】
このビット誤りは、フェージング環境下で生じるので、ビット判定器133が図9に示す構成を採用することによって、フェージングによって生じるビット誤りを低減してビット判定を行うことができる。
【0113】
図10は、図1に示す無線通信システム10における動作を説明するための実施の形態1におけるフローチャートである。
【0114】
図10を参照して、一連の動作が開始されると、無線基地局1のホストシステム143
は、スリープ状態へ移行するか否かを判定する(ステップS1)。より具体的には、無線基地局1のホストシステム143は、一定の期間T1、端末装置2との間で無線通信が行われていないとき、または無線基地局1に帰属する端末装置が存在しないとき、またはスケジューリング等の他の何らかの判断アルゴリズムによる判断があるとき、スリープ状態へ移行すると判定する。また、無線基地局1のホストシステム143は、一定の期間T1内に、端末装置2との間で無線通信が行われているとき、または無線基地局1に帰属する端末装置が存在するとき、スリープ状態へ移行しないと判定する。
【0115】
ステップS1において、スリープ状態へ移行すると判定されたとき、無線基地局1のホストシステム143は、コマンド信号COM1を生成して無線通信モジュール141および有線通信モジュール142へ出力するとともに、Lレベルの信号からなる制御信号CTLを生成して切替器12へ出力し、自己の動作を停止する。そして、無線基地局1の切替器12は、Lレベルの制御信号CTLに応じてアンテナ11を端子122に接続する。また、無線基地局1の無線通信モジュール141および有線通信モジュール142は、コマンド信号COM1に応じて、動作を停止する。即ち、ステップS1において、スリープ状態へ移行すると判定されたとき、メイン装置14が停止する(ステップS2)。
【0116】
そして、ウェイクアップ信号受信機13は、ウェイクアップ信号を待ち受ける(ステップS3)。
【0117】
その後、端末装置2のホストシステム23は、無線基地局1からビーコンフレームBeaconを受信しないことを検知する(ステップS4)。即ち、端末装置2のホストシステム23は、無線基地局1がスリープ状態であることを検知する。そして、端末装置2のホストシステム23は、無線通信を開始するか否かを判定する(ステップS5)。
【0118】
ステップS5において、無線通信を開始すると判定されたとき、端末装置2のホストシステム23は、起動させたい無線基地局1のESSID(またはBSSID)とコマンド信号COM3とをウェイクアップ信号生成部231へ出力する。そして、端末装置2のウェイクアップ信号生成部231は、コマンド信号COM3を受けると、ESSID(またはBSSID)に基づいて、上述した方法によってウェイクアップIDを生成する。即ち、端末装置2は、起動させたい無線基地局1を示すウェイクアップIDを生成する(ステップS6)。
【0119】
そして、端末装置2のウェイクアップ信号生成部231は、その生成したウェイクアップIDを無線フレーム長で表すために必要なペイロードサイズと伝送レートとを算出し、その算出したペイロードサイズを有するペイロードを生成し、その生成したペイロードと、算出した伝送レートとを無線通信モジュール22へ出力する。
【0120】
端末装置2の無線通信モジュール22は、ウェイクアップ信号生成部231から受けたペイロードをウェイクアップ信号生成部231から受けた伝送レートの無線フレームに変換し、その変換した無線フレームをアンテナ21を介して無線基地局1へ送信する(ステップS7)。より具体的には、端末装置2のウェイクアップ信号生成部231は、フレーム長がウェイクアップIDを表すようにペイロードサイズおよび伝送レートの少なくとも一方を決定し、その決定したペイロードサイズおよび伝送レートの少なくとも一方を用いて無線フレームを無線基地局1へ送信する。
【0121】
そうすると、無線基地局1のウェイクアップ信号受信機13は、アンテナ11を介して無線フレームを受信し、その受信した無線フレームのフレーム長からウェイクアップIDを上述した方法によって検出する(ステップS8)。
【0122】
そして、無線基地局1のウェイクアップ信号受信機13は、その検出したウェイクアップIDが無線基地局1のIDに一致するか否かを判定する(ステップS9)。
【0123】
ステップS9において、ウェイクアップIDが無線基地局1のIDに一致しないと判定されたとき、一連の動作は、ステップS3へ戻る。
【0124】
一方、ステップS9において、ウェイクアップIDが無線基地局1のIDに一致すると判定されたとき、無線基地局1のウェイクアップ信号受信機13は、起動信号を生成してホストシステム143へ出力する。そして、無線基地局1のホストシステム143は、ウェイクアップ信号受信機13からの起動信号に応じてスリープ状態から起動状態へ移行し、コマンド信号COM2を生成して無線通信モジュール141および有線通信モジュール142へ出力する。そして、無線基地局1の無線通信モジュール141および有線通信モジュール142は、コマンドCOM2に応じてスリープ状態から起動状態へ移行する。このように、無線基地局1のメイン装置14は、ウェイクアップ信号受信機13からの起動信号に応じて、スリープ状態から起動状態へ移行する(ステップS10)。
【0125】
そうすると、無線基地局1の無線通信モジュール141は、起動通知を生成し、その生成した起動通知をアンテナ11を介して端末装置2へ送信する(ステップS11)。
【0126】
そして、端末装置2の無線通信モジュール22は、アンテナ21を介して起動通知を受信し(ステップS12)、その受信した起動通知をホストシステム23へ出力する。その後、端末装置2のホストシステム23は、無線通信モジュール22からの起動通知に応じて、無線基地局1がスリープ状態から起動状態へ移行したことを検知する。
【0127】
そして、無線基地局1の無線通信モジュール141は、端末装置2との間で無線通信リンクを確立するための無線通信を開始し、端末装置2との間で無線通信リンクを確立し、無線通信を行う(ステップS13)。
【0128】
なお、ステップS1において、スリープ状態へ移行しないと判定されたとき、一連の動作は、ステップS13へ移行する。
【0129】
そして、ステップS13の後、またはステップS5において、無線通信を開始しないと判定されたとき、一連の動作は、終了する。
【0130】
なお、無線基地局1のウェイクアップ信号受信機13は、ウェイクアップIDが複数の無線フレームの複数のフレーム長によって表される場合、ステップS8において、図8において説明した方法によってウェイクアップIDを検出する。
【0131】
また、無線基地局1のウェイクアップ信号受信機13は、無線通信環境がフェージング環境である場合、ステップS8において、図8において説明した方法によってビット判定を行い、ウェイクアップIDを検出する。
【0132】
上述したように、実施の形態1においては、端末装置2は、ウェイクアップさせたい無線基地局1のIDをフレーム長で表した無線フレームを無線基地局1へ送信する。そして、無線基地局1は、端末装置2からの無線フレームのフレーム長からウェイクアップIDを検出し、その検出したウェイクアップIDが自己のIDに一致するとき、スリープ状態から起動状態へ移行する。この場合、無線フレームは、IEEE802.11における無線フレームである。
【0133】
従って、IEEE802.11における無線フレームを用いて無線基地局1を起動でき
る。
【0134】
また、ウェイクアップIDは、通常の無線フレームを用いて端末装置2から無線基地局1へ送信され、無線基地局1によって受信されるので、無線基地局1および端末装置2は、ウェイクアップIDを送受信するための特別の装置を必要とせず、アンテナの本数を1本にできる。
【0135】
[実施の形態2]
図11は、図1に示す無線基地局1の実施の形態2における構成図である。実施の形態2においては、図1に示す無線基地局1は、図11に示す無線基地局1Aからなる。
【0136】
図11を参照して、無線基地局1Aは、図2に示す無線基地局1のウェイクアップ信号受信機13をウェイクアップ信号受信機13Aに代えたものであり、その他の部分は、無線基地局1と同じである。
【0137】
ウェイクアップ信号受信機13Aは、アンテナ11を介して電波を受信し、その受信した電波の振幅に基づいてウェイクアップIDを検出する。そして、ウェイクアップ信号受信機13Aは、その検出したウェイクアップIDが無線基地局1Aの識別情報(ID)に一致するとき、起動信号を生成してメイン装置14へ出力する。
【0138】
一方、ウェイクアップ信号受信機13Aは、その検出したウェイクアップIDが無線基地局1Aの識別情報(ID)に一致しないとき、ウェイクアップIDを破棄する。
【0139】
図12は、図11に示すウェイクアップ信号受信機13Aの構成図である。図12を参照して、ウェイクアップ信号受信機13Aは、図3に示すウェイクアップ信号受信機13のビット判定器133をビット判定器133Aに代え、フレーム長検出器134を振幅検出器136に代え、ID識別器135をID識別器135Aに代えたものであり、その他の部分は、ウェイクアップ信号受信機13と同じである。
【0140】
ウェイクアップ信号受信機13Aにおいては、振幅検出器136は、包絡線検波器132とビット判定器133との間に配置され、ビット判定器133Aは、ビット判定の結果をID識別器135Aへ出力する。
【0141】
振幅検出器136は、例えば、−80dBmからなる閾値RSSI_th2を予め保持している。振幅検出器136は、一定周期(=10μs)で包絡線検波器132から検波値Iを受ける。そして、振幅検出器136は、閾値RSSI_th2以下の検波値Iが入力されると、1つの無線フレームの受信が完了したとみなし、閾値RSSI_th2以下の検波値In+1が入力されるまでに入力された検波値I〜Iを二乗平均することによって振幅IPを検出する。
【0142】
ビット判定器133Aは、閾値RSSI_th3を予め保持している。閾値RSSI_th3は、例えば、10dBからなる。
【0143】
ビット判定器133Aは、振幅検出器136から振幅IPを受ける。そして、ビット判定器133Aは、振幅IPn−1と振幅IPとの差の絶対値ΔIPを演算し、その演算した絶対値ΔIPが閾値RSSI_th3以下であれば、“0”をID識別器135Aへ出力し、絶対値ΔIPが閾値RSSI_th3よりも大きければ、“1”をID識別器135Aへ出力する。
【0144】
ID識別器135Aは、ビット判定器133Aから受けたビット列を入力の古い順にビ
ット列として保持し、その保持したビット列が無線基地局1Aの識別情報(ID)に一致するとき、起動信号を生成してメイン装置14へ出力する。一方、ID識別器135Aは、保持したビット列のビット数がウェイクアップIDのビット数を超えたとき、入力の古い順にビットを破棄する。
【0145】
図13は、図1に示す端末装置2の実施の形態2における構成図である。実施の形態2においては、図1に示す端末装置2は、図13に示す端末装置2Aからなる。
【0146】
図13を参照して、端末装置2Aは、図4に示す端末装置2の無線通信モジュール22を無線通信モジュール22Aに代え、ウェイクアップ信号生成部231をウェイクアップ信号生成部231Aに代えたものであり、その他の部分は、端末装置2と同じである。
【0147】
ウェイクアップ信号生成部231Aは、固定長のペイロードを生成し、無線フレームがウェイクアップIDを表すように送信電力を設定する。そして、ウェイクアップ信号生成部231Aは、その生成したペイロードと、その設定した送信電力の情報とを無線通信モジュール22Aへ出力する。
【0148】
無線通信モジュール22Aは、ウェイクアップ信号生成部231Aから受けたペイロードを含む無線フレームを生成し、その生成した無線フレームをウェイクアップ信号生成部231Aから受けた送信電力でアンテナ21を介して無線基地局1Aへ送信する。
【0149】
図14は、図13に示すウェイクアップ信号生成部231Aおよび無線通信モジュール22AにおけるウェイクアップIDの送信方法を示す概念図である。
【0150】
図14を参照して、ウェイクアップ信号生成部231Aは、まず、固定長のペイロードを生成し、その生成したペイロードに送信電力Xを設定して無線通信モジュール22Aへ出力する。そして、無線通信モジュール22Aは、ウェイクアップ信号生成部231Aから受けたペイロードを含む無線フレームFR1を生成し、その生成した無線フレームFR1を送信電力Xでアンテナ21を介して送信する。その後、ウェイクアップ信号生成部231Aは、ウェイクアップIDの先頭のビット値が“0”であれば、新たに生成したペイロードに送信電力Xを再び設定して、無線通信モジュール22Aへ出力する。そして、無線通信モジュール22Aは、ウェイクアップ信号生成部231Aから受けたペイロードを含む無線フレームFR2を生成し、その生成した無線フレームFR2を送信電力Xでアンテナ21を介して送信する。一方、ウェイクアップIDの先頭のビット値が“1”であれば、ウェイクアップ信号生成部231Aは、新たに生成したペイロードに送信電力Xと異なる送信電力Yを設定して無線通信モジュール22Aへ出力する。そして、無線通信モジュール22Aは、ウェイクアップ信号生成部231Aから受けたペイロードを含む無線フレームFR3を生成し、その生成した無線フレームFR3を送信電力Yでアンテナ21を介して送信する。
【0151】
そして、ウェイクアップ信号生成部231Aは、それ以降、ビット値が“0”であれば、一つ前に設定した送信電力と同じ送信電力を、新たに生成したペイロードとともに無線通信モジュール22Aへ出力する。また、ウェイクアップ信号生成部231Aは、ビット値が“1”であれば、一つ前に設定した送信電力と異なる送信電力を、新たに生成したペイロードとともに無線通信モジュール22Aへ出力する。そして、無線通信モジュール22Aは、ウェイクアップ信号生成部231Aから受けたペイロードを含む無線フレームを生成し、その生成した無線フレームをウェイクアップ信号生成部231Aから受けた送信電力で送信する。
【0152】
このように、ウェイクアップ信号生成部231Aは、ウェイクアップIDの各ビットを
送信電力に割り当てることによって振幅がウェイクアップIDを表す無線フレームを無線通信モジュール22Aを介して送信する。
【0153】
上述したように、ビット判定器133Aは、振幅IPn−1と振幅IPとの差の絶対値ΔIPが閾値RSSI_th3以下であれば、“0”をID識別器135Aへ出力し、絶対値ΔIPが閾値RSSI_th3よりも大きければ、“1”をID識別器135Aへ出力する。
【0154】
従って、ウェイクアップ信号生成部231AにおけるウェイクアップIDの各ビット値の送信方法は、ビット判定器133Aにおけるビット判定方法に整合する。
【0155】
即ち、ビット判定器133Aは、振幅IPと、振幅IPの一つ前の振幅IPn−1との差の絶対値ΔIPが閾値RSSI_th3以下であれば、“0”のビット値を出力する。これは、ウェイクアップ信号生成部231Aおよび無線通信モジュール22Aにおいて、“0”のビット値を示す無線フレームを、一つ前に送信した無線フレームの送信に用いた送信電力で送信することに対応する。また、ビット判定器133Aは、振幅IPと、振幅IPの一つ前の振幅IPn−1との差の絶対値ΔIPが閾値RSSI_th3よりも大きければ、“1”のビット値を出力する。これは、ウェイクアップ信号生成部231Aおよび無線通信モジュール22Aにおいて、“1”のビット値を示す無線フレームを、一つ前に送信した無線フレームの送信に用いた送信電力と異なる送信電力で送信することに対応する。
【0156】
図15は、図13に示すウェイクアップ信号生成部231におけるウェイクアップIDの送信方法の具体例を示す図である。
【0157】
図15を参照して、ビット列“0101”からなるウェイクアップIDが送信される場合、無線通信モジュール22Aは、まず、送信電力Xで無線フレームFR1を送信し、その後、“0”のビット値を示す無線フレームFR2を送信電力Xのままで送信し、“1”のビット値を示す無線フレームFR3を送信電力Xと異なる送信電力Yで送信し、“0”のビット値を示す無線フレームFR4を送信電力Yのままで送信し、“1”のビット値を示す無線フレームFR5を送信電力Yと異なる送信電力Xで送信する。
【0158】
その結果、“0”のビット値は、送信電力Xで送信される場合もあれば、送信電力Yで送信されることもある(無線フレームFR2,FR4参照)。また、“1”のビット値は、送信電力Yで送信される場合もあれば、送信電力Xで送信されることもある(無線フレームFR3,FR5参照)。
【0159】
従って、ビット列“0101”の各ビット値がビット判定器133Aにおいて正確にビット判定されるようにするために、送信電力X,Yは、送信電力Xと送信電力Yとの差が閾値RSSI_th3よりも大きくなるように決定される。
【0160】
図16は、図1に示す無線通信システム10における動作を説明するための実施の形態2におけるフローチャートである。
【0161】
図16に示すフローチャートは、図10に示すフローチャートのステップS7,S8をそれぞれステップS7A,S8Aに代えたものであり、その他は、図10に示すフローチャートと同じである。
【0162】
図16を参照して、一連の動作が開始されると、上述したステップS1〜ステップS6が順次実行される。そして、ステップS6の後、端末装置2Aのウェイクアップ信号生成
部231Aおよび無線通信モジュール22Aは、上述した方法によって、ウェイクアップIDを示す振幅を有する無線フレームをアンテナ21を介して送信する(ステップS7A)。
【0163】
無線基地局1Aのウェイクアップ信号受信機13Aは、アンテナ11を介して無線フレームを受信し、その受信した無線フレームの振幅からウェイクアップIDを上述した方法によって検出する(ステップS8A)。
【0164】
その後、上述したステップS9〜ステップS13が順次実行される。そして、ステップS5において、通信を開始しないと判定されたとき、またはステップS13の後、一連の動作は、終了する。
【0165】
上述したように、実施の形態2おいては、端末装置2Aは、ウェイクアップさせたい無線基地局1AのIDを振幅で表した無線フレームを無線基地局1Aへ送信する。そして、無線基地局1Aは、端末装置2Aからの無線フレームの振幅からウェイクアップIDを検出し、その検出したウェイクアップIDが自己のIDに一致するとき、スリープ状態から起動状態へ移行する。この場合、無線フレームは、IEEE802.11における無線フレームである。
【0166】
従って、IEEE802.11における無線フレームを用いて無線基地局1Aを起動できる。
【0167】
また、ウェイクアップIDは、通常の無線フレームを用いて端末装置2Aから無線基地局1Aへ送信され、無線基地局1Aによって受信されるので、無線基地局1Aおよび端末装置2Aは、ウェイクアップIDを送受信するための特別の装置を必要とせず、アンテナの本数を1本にできる。
【0168】
実施の形態1においては、フレーム長によってウェイクアップIDを表した無線フレームを端末装置2から無線基地局1へ送信し、無線基地局1をスリープ状態から起動状態へ移行させることを説明した。
【0169】
また、実施の形態2においては、振幅によってウェイクアップIDを表した無線フレームを端末装置2Aから無線基地局1Aへ送信し、無線基地局1Aをスリープ状態から起動状態へ移行させることを説明した。
【0170】
従って、この発明の実施の形態による無線通信システムは、フレーム長または振幅によってウェイクアップIDを表した無線フレームを無線基地局1(または1A)へ送信する端末装置と、端末装置から受信した無線フレームのフレーム長または振幅をウェイクアップIDとして検出し、その検出したウェイクアップIDが自己の識別情報(ID)に一致するとき、スリープ状態から起動状態へ移行する無線基地局とを備えていればよい。
【0171】
なお、この発明の実施の形態によれば、端末装置2の無線通信モジュール22およびウェイクアップ信号生成部231は、「無線モジュール」を構成する。
【0172】
また、この発明の実施の形態によれば、端末装置2Aの無線通信モジュール22Aおよびウェイクアップ信号生成部231は、「無線モジュール」を構成する。
【0173】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる
ことが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0174】
この発明は、端末装置、それと無線通信を行う無線基地局およびそれらを用いた無線通信システムに適用される。
【符号の説明】
【0175】
1,1A 無線基地局、2,2A 端末装置、10 無線通信システム、11,21 アンテナ、12 切替器、13,13A ウェイクアップ信号受信機、14 メイン装置、15 電源、20 有線ケーブル、22,22A,141 無線通信モジュール、23,143 ホストシステム、30 ネットワーク、121 スイッチ、122,123 端子、131 BPF、132 包絡線検波器、133,133A ビット判定器、134 フレーム長検出器、135,135A ID識別器、136 振幅検出器、142 有線通信モジュール、231 ウェイクアップ信号生成部、1331 閾値判定器、1332 レジスタ、1333 演算器。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アンテナと、
前記アンテナを介して無線通信を行う無線モジュールと、
無線通信の開始要求に応じて、スリープ状態から起動状態へ移行させる無線基地局の識別情報を表すフレーム長を有する第1の無線フレーム、または前記無線基地局の識別情報を表し、かつ、異なる2つの送信電力によって変調された振幅を有する第2の無線フレームを前記アンテナを介して前記無線基地局へ送信するウェイクアップ送信機とを備え、
前記第1および第2の無線フレームの各々は、前記無線モジュールが前記無線基地局との間で送受信する無線フレームと同じであり、
前記スリープ状態は、前記無線基地局が当該端末装置と無線通信を行うことができない状態であり、
前記起動状態は、前記無線基地局が当該端末装置と無線通信を行う状態である、端末装置。
【請求項2】
ウェイクアップ送信機は、ペイロードサイズおよび伝送レートの少なくとも一方を制御することによって前記第1の無線フレームを前記アンテナを介して前記無線基地局へ送信する、請求項1に記載の端末装置。
【請求項3】
前記第1の無線フレームは、管理フレーム、またはブロードキャストされるデータフレーム、または前記スリープ状態から前記起動状態へ移行させる無線基地局以外の無線基地局または他の端末装置へ送信するためのデータフレームからなる、請求項1または請求項2に記載の端末装置。
【請求項4】
前記ウェイクアップ送信機は、無線基地局の識別情報を表すビット列の各ビットを送信電力に割り当てることによって前記第2の無線フレームを前記アンテナを介して前記無線基地局へ送信する、請求項1に記載の端末装置。
【請求項5】
前記ウェイクアップ送信機は、第1の送信電力で第3の無線フレームを送信し、前記ビット列における“0”のビット値を表す第4の無線フレームを一つ前の無線フレームの送信に用いた送信電力で送信し、前記ビット列における“1”のビット値を表す第5の無線フレームを一つ前の無線フレームの送信に用いた送信電力と異なる送信電力で送信することによって前記第2の無線フレームを前記アンテナを介して前記無線基地局へ送信し、
前記第3から第5の無線フレームの各々は、前記無線モジュールが送受信する無線フレームと同じである、請求項4に記載の端末装置。
【請求項6】
アンテナと、
端末装置を管理するための管理フレームを定期的に送信するとともに、前記端末装置と無線通信を行う起動状態と、前記端末装置と無線通信を行うことができないスリープ状態とを有し、一定の期間、前記端末装置と無線通信を行わなかったとき、または当該無線基地局に帰属する端末装置が存在しないとき、前記起動状態から前記スリープ状態へ移行するメイン装置と、
前記メイン装置が前記スリープ状態にあるときに無線フレームを前記アンテナを介して受信する受信手段と、
前記受信手段によって受信された無線フレームのフレーム長または振幅を検出する検出手段と、
前記検出手段によって検出されたフレーム長または振幅に基づいて識別情報を識別する識別手段と、
前記識別手段によって識別された識別情報が当該無線基地局の識別情報に一致するとき、前記メイン装置を前記スリープ状態から前記起動状態へ移行させるための起動信号を生成して前記メイン装置へ出力する起動手段とを備え、
前記メイン装置は、前記起動信号に応じて、前記スリープ状態から前記起動状態へ移行し、
前記無線フレームは、前記メイン装置が前記端末装置との間で送受信する無線フレームと同じであり、
前記検出手段によって検出された振幅は、異なる2つの送信電力によって変調されて送信された振幅である、無線基地局。
【請求項7】
前記検出手段は、前記受信手段によって受信された無線フレームの包絡線を2値化した2値化信号に含まれる1のビット値を累積した累積値に基づいて前記フレーム長を検出する、請求項6に記載の無線基地局。
【請求項8】
前記検出手段は、前記識別情報が複数の無線フレームの複数のフレーム長によって表されているとき、前記複数のフレーム長を表す複数の累積値を検出することによって前記フレーム長を検出する、請求項7に記載の無線基地局。
【請求項9】
前記識別手段は、前記複数の累積値をそれぞれ待つ状態であり、かつ、直列に接続された複数の待ち状態を有し、前記複数の待ち状態のうちの第1の待ち状態が待つ累積値が前記第1の待ち状態へ入力されると、前記第1の待ち状態に隣接する第2の待ち状態へ移行する処理を前記複数の待ち状態の最初の待ち状態から最後の待ち状態まで実行し、前記最後の待ち状態が待つ累積値が前記最後の待ち状態へ入力されると、前記複数のフレーム長によって表された識別情報が当該無線基地局の識別情報に一致した判定し、前記複数の累積値が連続して前記複数の待ち状態へ入力されないとき、前記最初の待ち状態へ戻る、請求項8に記載の無線基地局。
【請求項10】
前記検出手段は、前記受信手段によって受信された無線フレームの包絡線を2値化した2値化信号の隣接する2つのビット値の論理和を前記2値化信号全体について演算し、その演算結果に含まれる“1”のビット値を累積した累積値に基づいて前記フレーム長を検出する、請求項7に記載の無線基地局。
【請求項11】
前記検出手段は、前記受信手段によって受信された無線フレームの包絡線を一定周期で検出し、各周期で検出した包絡線の二乗平均を振幅とし、
前記識別手段は、隣接する2つの周期における2つの振幅の差が一定値以下であれば0のビット値を出力し、前記2つの振幅の差が一定値よりも大きければ1のビット値を出力することによって前記識別情報を識別する、請求項6に記載の無線基地局。
【請求項12】
前記一定周期は、隣接する2つの無線フレーム間において2個以上の0が検出される周期である、請求項11に記載の無線基地局。
【請求項13】
端末装置と、
前記端末装置と無線通信を行う無線基地局とを備え、
前記端末装置は、請求項1から請求項5のいずれかに記載の端末装置からなり、
前記無線基地局は、請求項6から請求項12のいずれかに記載の無線基地局からなる、無線通信システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2013−9431(P2013−9431A)
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−214812(P2012−214812)
【出願日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【分割の表示】特願2011−37306(P2011−37306)の分割
【原出願日】平成23年2月23日(2011.2.23)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成22年度、支出負担行為担当官、総務省大臣官房会計課企画官、研究テーマ「無駄な消費電力量を削減するRadio On Demand Networksの研究開発」に関する委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(393031586)株式会社国際電気通信基礎技術研究所 (905)
【出願人】(000232254)日本電気通信システム株式会社 (586)
【Fターム(参考)】