説明

端末装置、データ保存方法及びコンピュータプログラム

【課題】保存されるデータのセキュリティ向上を図ること。
【解決手段】端末装置であって、保存対象のデータを、複数の割符データに復元可能に分割する割符データ分割部と、前記複数の割符データの一部を、データ保存可能な第一記録装置に対して送信し、前記第一記録装置に記録させる第一通信部と、前記複数の割符データの残り全てを、データ保存可能な第二記録装置に対して送信し、前記第二記録装置に記録させる第二通信部と、を備え、自装置と、前記第一記録装置と、前記第二記録装置とはそれぞれ別体に構成された装置であることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、保存されるデータのセキュリティを向上させるための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
個人情報保護法の施行以来、情報流出や紛失事故などにより、情報処理装置に保存される情報について機密保護を行うことが重要となってきている。特に、携帯電話機やノート型パソコン等のように携帯可能な情報処理装置は、盗難にあう可能性や紛失される可能性が高い。このような盗難や紛失の際にデータが漏洩することを防止する方法として、データの暗号化やパスワードの設定を行う方法が提案されている。しかしながら、データの暗号化やパスワードの設定を行う方法が採用されたとしても、データの漏洩は完全に防止できるわけではない。例えばデータの全てが技術力の高い第三者の手に渡ってしまうと、暗号化データが解読されてしまったり、パスワードが破られてしまったりするおそれがあった。
このような問題に対し、電子情報を物理的に複数の電子情報ブロックに分割し、一方を通信端末装置本体に記憶し、他方を外部記憶装置に記憶することを特徴とした電子情報保護システムが提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−351845号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、電子情報が複数の電子情報ブロックに物理的に分割されたとしても、そのうちの一部分の電子情報ブロックが技術力の高い第三者の手に渡ってしまうと、その一部分の電子情報ブロックからなんらかの機密情報が再生されて漏れてしまうおそれがあった。
上記事情に鑑み、本発明は、保存されるデータのセキュリティ向上を可能とする技術の提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様は、端末装置であって、保存対象のデータを、複数の割符データに復元可能に分割する割符データ分割部と、前記複数の割符データの一部を、データ保存可能な第一記録装置に対して送信し、前記第一記録装置に記録させる第一通信部と、前記複数の割符データの残り全てを、データ保存可能な第二記録装置に対して送信し、前記第二記録装置に記録させる第二通信部と、を備え、自装置と、前記第一記録装置と、前記第二記録装置とはそれぞれ別体に構成された装置であることを特徴とする。
【0006】
本発明の一態様は、データ保存方法であって、端末装置が、保存対象のデータを、複数の割符データに復元可能に分割する割符データ分割ステップと、前記端末装置が、前記複数の割符データの一部を、データ保存可能であって前記端末装置とは別体に構成される第一記録装置に対して送信し、前記第一記録装置に記録させる第一通信ステップと、前記端末装置が、前記複数の割符データの残り全てを、データ保存可能であって前記端末装置及び前記第一記録装置とは別体に構成される第二記録装置に対して送信し、前記第二記録装置に記録させる第二通信ステップと、を備えることを特徴とする。
【0007】
本発明の一態様は、端末装置に対して、保存対象のデータを、複数の割符データに復元可能に分割する割符データ分割ステップと、前記複数の割符データの一部を、データ保存可能であって前記端末装置とは別体に構成される第一記録装置に対して送信し、前記第一記録装置に記録させる第一通信ステップと、前記複数の割符データの残り全てを、データ保存可能であって前記端末装置及び前記第一記録装置とは別体に構成される第二記録装置に対して送信し、前記第二記録装置に記録させる第二通信ステップと、を実行させるためのコンピュータプログラムである。
【発明の効果】
【0008】
本発明により、保存されるデータのセキュリティ向上が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】第一実施形態のデータ管理システムのシステム構成を表すシステム構成図である。
【図2】第一実施形態の端末装置の機能構成を表す概略ブロック図である。
【図3】割符記憶装置の機能構成を表す概略ブロック図である。
【図4】割符サーバの機能構成を表す概略ブロック図である。
【図5】第一実施形態のデータ管理システムの処理のうちデータ保存時の流れを表すシーケンス図である。
【図6】第一実施形態のデータ管理システムの処理のうちデータ読出時の流れを表すシーケンス図である。
【図7】第二実施形態の端末装置の機能構成を表す概略ブロック図である。
【図8】第二実施形態の端末装置におけるデータ保存時の処理の流れを表すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[第一実施形態]
図1は、第一実施形態のデータ管理システム1のシステム構成を表すシステム構成図である。データ管理システム1は、端末装置10、割符記憶装置20、ネットワーク30、割符サーバ40を備える。端末装置10及び割符サーバ40は、ネットワーク30を介して互いに通信することが可能である。また、端末装置10及び割符記憶装置20は、無線通信によって直接通信することが可能である。
【0011】
図2は、第一実施形態の端末装置10の機能構成を表す概略ブロック図である。端末装置10は、携帯電話機やスマートフォンやPDA(Personal Digital Assistant)やノート型パーソナルコンピュータ等の携帯型情報処理装置を用いて構成されても良いし、一般的なパーソナルコンピュータや、情報処理機能を備えたファクシミリ装置やゲーム装置等の据え置き型の情報処理装置を用いて構成されても良い。端末装置10は、バスで接続されたCPU(Central Processing Unit)やメモリや補助記憶装置などを備え、データ管理プログラムを実行する。端末装置10は、データ管理プログラムを実行することによって、表示部101、入力部102、割符データ管理部103、第一通信部104、第二通信部105、制御部106を備える装置として機能する。なお、端末装置10の各機能の全て又は一部は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やPLD(Programmable Logic Device)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェアを用いて実現されても良い。
【0012】
表示部101は、CRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイ、液晶ディスプレイ、有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ等の画像表示装置を用いて構成される。表示部101は、制御部106の制御に応じて、端末装置10がユーザによって操作されることにより生じる各種の画像や文字などを表示する。例えば、ユーザが端末装置10においてワードプロセッサのアプリケーションプログラムを実行した場合には、ワードプロセッサのアプリケーションプログラムの実行に伴って生じる画面(例えば文書の編集画面など)が表示部101に表示される。表示部101は、その他既存の情報処理装置において表示される種々の表示を行う。
【0013】
入力部102は、キーボード、ポインティングデバイス(マウス、タブレット等)、ボタン、タッチパネル等の既存の入力装置を用いて構成される。入力部102は、端末装置10のユーザによって操作され、各種の命令やデータの入力がなされる。例えば、ユーザが端末装置10においてワードプロセッサのアプリケーションプログラムを実行した場合には、入力部102はユーザの操作に応じた文字列の入力や、データ保存の命令などを受け付ける。入力部102は、その他既存の情報処理装置において入力される種々の命令やデータの受付を行う。
【0014】
割符データ管理部103は、割符処理と復元処理とを行う。割符処理では、割符データ管理部103は、保存対象のデータを分割し、第一割符データと第二割符データとに分ける。以下、割符処理の具体例について説明する。割符データ管理部103は、分割前のデータを任意の数のデータブロックに分割する。割符データ管理部103は、分割したデータブロックを適宜に2つのグループに分ける。そして、割符データ管理部103は、各グループのデータブロックをそれぞれ配列し直し、そのままでは元の情報の内容を推定することが困難となるような第一割符データ及び第二割符データを生成する。なお、データを分割する際の分割位置は、データの区切りに関わりなく決定されることが好ましい。例えば、割符データ管理部103は、所定のビット毎にデータを分割するように構成されても良い。このように分割されることによって、局部的な情報内容であっても把握しにくくなるためである。また、割符データ管理部103は、分割位置の情報と配列順の情報とを、それぞれ第一割符データ及び第二割符データのヘッダ情報として付属させる。
【0015】
復元処理では、割符データ管理部103は、第一割符データ及び第二割符データを結合することによって、分割される前の元のデータを復元する。以下、復元処理の具体例について説明する。割符データ管理部103は、第一割符データ及び第二割符データのヘッダ情報を参照することによって、分割位置の情報及び配列順の情報を取得する。そして、割符データ管理部103は、分割位置の情報及び配列順の情報に基づいて、第一割符データ及び第二割符データを元のビット列に配列し直し、データの復元を行う。
【0016】
第一通信部104は、割符記憶装置20との間で、いわゆる近距離無線通信を行う。第一通信部104は、例えば第一割符データの送受信を行う。第一通信部104が割符記憶装置20との間で行う近距離無線通信は、例えばRFID(Radio Frequency Identification)の通信や、Bluetooth等を用いて構成される。第一通信部104は、無線通信によって割符記憶装置20と通信を開始する際に、予め設定されている識別情報やパスワード等を用いて認証処理を行い、正当な割符記憶装置20であるか否かを確認するように構成されても良い。
【0017】
第二通信部105は、割符サーバ40との間でネットワーク30を介した通信を行う。第二通信部105は、例えば第二割符データの送受信を行う。第二通信部105が割符サーバ40との間で行う通信は、どのようなネットワーク構成を用いて構築されても良い。例えば、第二通信部105は、無線LAN(Local Area Network)や携帯電話網などを用いてネットワーク30に接続する。第二通信部105は、無線通信によって割符サーバ40と通信を開始する際に、予め設定されている識別情報やパスワード等を用いて割符サーバ40による認証を受けるように構成されても良い。
【0018】
制御部106は、端末装置10の各機能部を制御する。例えば、制御部106は、データ管理プログラムとは異なる他のプログラムからデータ保存の命令があった場合や、ユーザが入力部102を操作して現在のデータの保存を命令した場合には、これらの命令に応じてデータの保存処理を行う。データの保存処理において、制御部106は、割符データ管理部103に対して保存対象のデータを渡し、割符処理を行うように指示する。また、制御部106は、割符データ管理部103から第一割符データを受けると第一通信部104へ渡す。そして、制御部106は、第一通信部104に対し、割符記憶装置20へ第一割符データを送信するように指示する。また、制御部106は、割符データ管理部103から第二割符データを受けると第二通信部105へ渡す。そして、制御部106は、第二通信部105に対し、割符サーバ40へ第二割符データを送信するように指示する。このとき、制御部106は、保存対象のデータの識別情報と、このデータから生成された第一割符データの識別情報割及び第二割符データの識別情報を対応付けて割符テーブルに記憶する。
【0019】
また、制御部106は、データ管理プログラムとは異なる他のプログラムからデータ読出の命令があった場合や、ユーザが入力部102を操作して所定のデータの読出を命令した場合には、これらの命令に応じてデータの読出処理を行う。データの読出処理において、制御部106は、読出対象となったデータの識別情報に基づいて、第一割符データの識別情報及び第二割符データの識別情報を割符テーブルから検索する。制御部106は、検索された識別情報に対応する第一割符データ及び第二割符データを、第一通信部104及び第二通信部105を介して割符記憶装置20及び割符サーバ40からそれぞれ受信する。制御部106は、割符データ管理部103に対して、受信した第一割符データ及び第二割符データを渡し、復元処理を行うように指示する。制御部106は、割符データ管理部103から復元後の元データを受けると、元データを所定の機能部へ出力する。
【0020】
図3は、割符記憶装置20の機能構成を表す概略ブロック図である。割符記憶装置20は、通信部201、割符データ記憶部202、制御部203を備える装置として動作する。割符記憶装置20は、近距離無線通信機能及びストレージ機能を備えていればどのような形態として実装されても良い。例えば、割符記憶装置20は、RFIDチップを備え電源を有していないRFIDタグが埋め込まれたカードとして構成されても良い。また、割符記憶装置20は、RFIDチップを備え電源を有したRFIDタグが埋め込まれたカードとして構成されても良い。また、割符記憶装置20は、電源を有しブルートゥース通信が可能なストレージ装置として構成されても良い。
【0021】
通信部201は、端末装置10との間で近距離無線通信を行う。通信部201は、例えば第一割符データの送受信を行う。
割符データ記憶部202は、磁気ハードディスク装置や半導体記憶装置などの記憶装置を用いて構成される。割符データ記憶部202は、通信部201によって受信された第一割符データを、識別情報に対応付けて記憶する。
【0022】
制御部203は、通信部201を介して第一割符データを受信すると、この第一割符データとともに受信される識別情報に対応付けて、第一割符データを割符データ記憶部202に書き込む。また、制御部203は、通信部201を介して第一割符データ要求を受信すると、第一割符データ要求に含まれる識別情報に対応する第一割符データを、割符データ記憶部202から読み出す。制御部203は、読み出した第一割符データを、要求元の端末装置10に対して通信部201を介して送信する。
【0023】
図4は、割符サーバ40の機能構成を表す概略ブロック図である。割符サーバ40は、通信部401、割符データ記憶部402、制御部403を備える装置として動作する。割符サーバ40は、メインフレームやワークステーションやパーソナルコンピュータなどの情報処理装置を用いて構成される。
【0024】
通信部401は、端末装置10との間でネットワーク30を介した通信を行う。通信部401は、例えば第二割符データの送受信を行う。
割符データ記憶部402は、磁気ハードディスク装置や半導体記憶装置などの記憶装置を用いて構成される。割符データ記憶部402は、通信部401によって受信された第二割符データを、識別情報に対応付けて記憶する。
【0025】
制御部403は、通信部401を介して第二割符データを受信すると、この第二割符データとともに受信される識別情報に対応付けて、第二割符データを割符データ記憶部402に書き込む。また、制御部403は、通信部401を介して第二割符データ要求を受信すると、第二割符データ要求に含まれる識別情報に対応する第二割符データを、割符データ記憶部402から読み出す。制御部403は、読み出した第二割符データを、要求元の端末装置10に対して通信部401を介して送信する。
【0026】
図5は、第一実施形態のデータ管理システム1の処理のうちデータ保存時の流れを表すシーケンス図である。端末装置10においてデータ保存の命令が生じると(ステップS100)、制御部106が、保存対象のデータに対する割符処理の実行を割符データ管理部103に指示する。割符データ管理部103は、保存対象のデータに対し割符処理を実行し、第一割符データ及び第二割符データを生成する(ステップS101)。制御部106は、保存対象のデータの識別情報と、ステップS101で生じた第一割符データ及び第二割符データそれぞれの識別情報とを割符テーブルに記憶する。なお、各データの識別情報は、制御部106が付与しても良いし、割符データ管理部103が付与しても良い。
【0027】
次に、制御部106が、第一通信部104を介して、第一割符データ及び識別情報を割符記憶装置20へ送信する(ステップS102)。また、制御部106が、第二通信部105を介して、第二割符データ及び識別情報を割符サーバ40へ送信する(ステップS103)。割符記憶装置20の通信部201が第一割符データを受信すると、制御部203は、第一割符データを識別情報に対応付けて割符データ記憶部202に記録する(ステップS104)。割符サーバ40の通信部401が第二割符データを受信すると、制御部403は、第二割符データを識別情報に対応付けて割符データ記憶部402に記録する(ステップS105)。
【0028】
図6は、第一実施形態のデータ管理システム1の処理のうちデータ読出時の流れを表すシーケンス図である。端末装置10においてデータ読出の命令が生じると(ステップS201)、制御部106が、読出対象のデータに対応する第一割符データ及び第二割符データそれぞれの識別情報を、割符テーブルから読み出す。制御部106は、第一割符データの識別情報を含む第一割符データ要求を、第一通信部104を介して、割符記憶装置20へ送信する(ステップS202)。また、制御部106は、第二割符データの識別情報を含む第二割符データ要求を、第二通信部105を介して、割符サーバ40へ送信する(ステップS203)。
【0029】
割符記憶装置20の通信部201が第一割符データ要求を受信すると、制御部203は、第一割符データ要求に含まれる識別情報に対応する第一割符データを割符データ記憶部202から読み出す(ステップS204)。そして、制御部203は、読み出した第一割符データを、通信部201を介して端末装置10へ送信する(ステップS206)。割符サーバ40の通信部401が第二割符データ要求を受信すると、制御部403は、第二割符データ要求に含まれる識別情報に対応する第二割符データを割符データ記憶部402から読み出す(ステップS205)。そして、制御部403は、読み出した第二割符データを、通信部401を介して端末装置10へ送信する(ステップS207)。制御部106は、受信された第一割符データ及び第二割符データを用いて、元のデータを復元する(ステップS208)。そして、制御部106は、データ読出の命令元に対して、復元されたデータを出力する。
【0030】
このように構成されたデータ管理システム1では、ユーザが端末装置10を操作することによって保存する必要が生じたデータは、第一割符データ及び第二割符データに分割される。そして、第一割符データは割符記憶装置20に記録され、第二割符データは割符サーバ40に記録される。そのため、保存の対象となったデータは、全て端末装置10とは異なる装置に記録される。したがって、端末装置10が第三者に取得されるようなことがあっても、端末装置10には保存の対象となったデータが一切記録されていないため、このデータが不正に取得される可能性を従来よりも低下させることが可能となる。
【0031】
また、一般的に、ユーザは入力機能及び出力機能をもった装置を操作するため、このような装置が最も紛失する可能性が高い。すなわち、データ管理システム1では、端末装置10が最も紛失する可能性が高いこととなる。データ管理システム1では、このように紛失する可能性が最も高い端末装置10に割符データを記録しないことによって、セキュリティを向上させることが可能となる。
【0032】
また、端末装置10と割符記憶装置20とは近距離無線通信を行う。この近距離無線通信の通信可能距離は、設計者やユーザによって適宜設定されて良いが、例えば10センチメートル〜1メートル程度に設定されても良い。このような通信可能距離で設定された場合、ユーザは、割符記憶装置20を財布やバッグや服のポケットや引き出しなどに入れっぱなしにしたままで、端末装置10を操作してデータの保存を行うことが可能となる。すなわち、データの保存時に、割符記憶装置20を取り出して端末装置10の近くに置くなどの必要が無い。そのため、割符データが記録される割符記憶装置20をユーザが取り出さないため、端末装置10に比べて割符記憶装置20を紛失する可能性を顕著に低下させることが可能となる。そのため、割符データが漏洩してしまうことを抑止することが可能となる。
【0033】
<変形例>
上記のデータ管理システム1では、第一割符データが割符記憶装置20に記録され、第二割符データが割符サーバ40に記録される。これに対し、データ管理システム1に2台目の割符サーバ40が設けられ、第一割符データと第二割符データとがそれぞれ異なる割符サーバ40に記録されても良い。また、データ管理システム1に2台目の割符記憶装置20が設けられ、第一割符データと第二割符データとがそれぞれ異なる割符記憶装置20に記録されても良い。
【0034】
[第二実施形態]
次に、第二実施形態のデータ管理システムについて説明する。なお、第二実施形態のデータ管理システムは、端末装置10に代えて端末装置10aを備える点で第一実施形態のデータ管理システム1と異なり、他の構成は第一実施形態のデータ管理システム1と同様である。そのため、以下、第二実施形態の端末装置10aについて説明し、他の構成についての説明は省略する。
【0035】
図7は、第二実施形態の端末装置10aの機能構成を表す概略ブロック図である。第二実施形態の端末装置10aは、制御部106に代えて制御部106aを備える点、記憶部110及びセキュリティレベル判定部111をさらに備える点で、第一実施形態の端末装置10と異なる。一方、その他の構成については、第二実施形態の端末装置10aは、第一実施形態の端末装置10と同様である。
【0036】
記憶部110は、磁気ハードディスク装置や半導体記憶装置を用いて構成される。記憶部110は、制御部106aによって書き込まれるデータを記憶する。
セキュリティレベル判定部111は、制御部106aによって保存の対象となったデータについて、セキュリティレベルを判定する。セキュリティレベルは、既存のどのような手法によって判定されても良い。例えば、セキュリティレベルは、ファイル毎に予め設定されていても良い。この場合、セキュリティレベル判定部111は、ファイル毎に予め設定されたセキュリティレベルを示すセキュリティレベルテーブルや、ファイルのヘッダ部分に設定されたセキュリティレベルを参照することによって、各ファイルのセキュリティレベルを判定する。また、例えば、セキュリティレベルは、ファイルの拡張子毎に予め設定されていても良い。なお、以下の説明では、セキュリティレベルは、低、中、高の三段階に設定されるものとして説明する。ただし、セキュリティレベルが低、中、高の三段階に設定されるのは一つの例にすぎず、二段階であっても良いし、四段階以上であっても良い。
制御部106aは、セキュリティレベル判定部111によって判定されたセキュリティレベルに応じて、保存対象となっているデータの保存処理を行う。
【0037】
図8は、第二実施形態の端末装置10aにおけるデータ保存時の処理の流れを表すフローチャートである。端末装置10aにおいてデータ保存の命令が生じると(ステップS301)、制御部106aが、保存対象のデータのセキュリティレベルの判定をセキュリティレベル判定部111に依頼する。セキュリティレベル判定部111は、保存対象のデータのセキュリティレベルを判定し、制御部106aに通知する。セキュリティレベルが低の場合(ステップS302−低)、制御部106aは、保存対象のデータをそのまま記憶部110に記録する(ステップS303)。
【0038】
セキュリティレベルが中の場合(ステップS302−中)、制御部106aが、保存対象のデータに対する割符処理の実行を割符データ管理部103に指示する。割符データ管理部103は、保存対象のデータに対し割符処理を実行し、第一割符データ及び第二割符データを生成する(ステップS304)。制御部106aは、保存対象のデータの識別情報と、ステップS304で生じた第一割符データ及び第二割符データそれぞれの識別情報と、セキュリティレベルとを割符テーブルに記憶する。なお、各データの識別情報は、制御部106aが付与しても良いし、割符データ管理部103が付与しても良い。制御部106aは、第二割符データを記憶部110に保存する(ステップS305)。また、制御部106aは、第一通信部104を介して、第一割符データ及び識別情報を割符記憶装置20へ送信する(ステップS306)。割符記憶装置20の通信部201が第一割符データを受信すると、制御部203は、第一割符データを識別情報に対応付けて割符データ記憶部202に記録する。
【0039】
セキュリティレベルが高の場合(ステップS302−高)、制御部106aが、保存対象のデータに対する割符処理の実行を割符データ管理部103に指示する。割符データ管理部103は、保存対象のデータに対し割符処理を実行し、第一割符データ及び第二割符データを生成する(ステップS307)。制御部106aは、保存対象のデータの識別情報と、ステップS307で生じた第一割符データ及び第二割符データそれぞれの識別情報と、セキュリティレベルとを割符テーブルに記憶する。なお、各データの識別情報は、制御部106aが付与しても良いし、割符データ管理部103が付与しても良い。制御部106aは、第一通信部104を介して、第一割符データ及び識別情報を割符記憶装置20へ送信する(ステップS308)。割符記憶装置20の通信部201が第一割符データを受信すると、制御部203は、第一割符データを識別情報に対応付けて割符データ記憶部202に記録する。また、制御部106aは、第二通信部105を介して、第二割符データ及び識別情報を割符サーバ40へ送信する(ステップS309)。割符サーバ40の通信部401が第二割符データを受信すると、制御部403は、第二割符データを識別情報に対応付けて割符データ記憶部402に記録する。
【0040】
このように構成された第二実施形態のデータ管理システム1では、セキュリティレベルの低いデータについては端末装置10aの記憶部110に記録することによって、割符記憶装置20の割符データ記憶部202や割符サーバ40の割符データ記憶部402の記憶容量を節約することが可能となる。
【0041】
<変形例>
各セキュリティレベルにおいて、どの割符データをどの記憶部(110、202、402)に記憶するかについては、設計者やユーザによって適宜設定されても良い。
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【符号の説明】
【0042】
1…データ管理システム1, 10,10a…端末装置, 20…割符記憶装置(第一記録装置), 30…ネットワーク, 40…割符サーバ(第二記録装置), 101…表示部, 102…入力部, 103…割符データ管理部(割符データ分割部), 104…第一通信部, 105…第二通信部, 106,106a…制御部, 110…記憶部, 111…セキュリティレベル判定部, 201…通信部, 202…割符データ記憶部, 203…制御部, 401…通信部, 402…割符データ記憶部, 403…制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
保存対象のデータを、複数の割符データに復元可能に分割する割符データ分割部と、
前記複数の割符データの一部を、データ保存可能な第一記録装置に対して送信し、前記第一記録装置に記録させる第一通信部と、
前記複数の割符データの残り全てを、データ保存可能な第二記録装置に対して送信し、前記第二記録装置に記録させる第二通信部と、
を備え、自装置と、前記第一記録装置と、前記第二記録装置とはそれぞれ別体に構成された装置であることを特徴とする端末装置。
【請求項2】
前記第一通信部は、前記第一記録装置に対して、近距離無線通信により前記割符データの一部を送信することを特徴とする請求項1に記載の端末装置。
【請求項3】
端末装置が、保存対象のデータを、複数の割符データに復元可能に分割する割符データ分割ステップと、
前記端末装置が、前記複数の割符データの一部を、データ保存可能であって前記端末装置とは別体に構成される第一記録装置に対して送信し、前記第一記録装置に記録させる第一通信ステップと、
前記端末装置が、前記複数の割符データの残り全てを、データ保存可能であって前記端末装置及び前記第一記録装置とは別体に構成される第二記録装置に対して送信し、前記第二記録装置に記録させる第二通信ステップと、
を備え、
前記端末装置と、前記第一記録装置と、前記第二記録装置とはそれぞれ別体に構成された装置であることを特徴とするデータ保存方法。
【請求項4】
端末装置に対して、
保存対象のデータを、複数の割符データに復元可能に分割する割符データ分割ステップと、
前記複数の割符データの一部を、データ保存可能であって前記端末装置とは別体に構成される第一記録装置に対して送信し、前記第一記録装置に記録させる第一通信ステップと、
前記複数の割符データの残り全てを、データ保存可能であって前記端末装置及び前記第一記録装置とは別体に構成される第二記録装置に対して送信し、前記第二記録装置に記録させる第二通信ステップと、
を実行させるためのコンピュータプログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2011−232829(P2011−232829A)
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−100176(P2010−100176)
【出願日】平成22年4月23日(2010.4.23)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】