説明

端末装置、及び情報処理システム

【課題】プライバシーの保護に配慮した情報収集を実現する。
【解決手段】本発明は、端末装置、及びこの端末装置より情報を収集する情報処理システムであって、端末装置が、計測を行うセンサ部と、位置を特定するための情報を取得する位置検出部と、時刻情報を取得する計時部と、通信網を介して通信を行う通信部と、制御部とを備える。制御部は、端末装置の位置を示す位置情報を位置検出部を用いて生成する。また、位置情報の確度を予め定められた範囲内で変更し、変更がなされた位置情報と、計時部により得られた時刻情報と、センサ部の計測結果を示す計測情報とを関連付けた送信用情報を生成する。そして送信用情報を、通信網を介して情報処理装置へ送信するよう、通信部を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報収集機能を備えた端末装置、及びこの端末装置を含む情報処理システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話やノートパソコン等に代表される端末装置の性能向上、多機能化は著しく、特に自装置の現在位置を検出する位置検出機能や、自装置の周辺環境を計測するセンサ機能(例えば温度計や照度計)を備えた端末装置が実用化されている。
【0003】
そしてこれらの多種多様な端末装置から情報を収集して活用する大規模システムとして、ビッグデータと呼ばれる大容量または不定形なリアルタイム性の高い情報を収集し、様々な目的に活用するクラウドシステム(例えばPaaS−Platform as a Service)が提唱されている。
【0004】
上記に関連する従来技術としては、特許文献1を挙げることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−351927号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記で開示されている技術では、不特定多数の端末から多種多様な情報を収集するため、様々な課題が存在する。特に、個人情報の保護に関わるプライバシーの課題がある。
【0007】
本発明は、本願の発明者により見出された上記の問題点に鑑み、上記に示した課題を解決することを目的とした端末装置、及び情報処理システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明に係る端末装置は、通信網に接続される端末装置であって、計測を行うセンサ部と、位置を特定するための情報を取得する位置検出部と、時刻情報を取得する計時部と、前記通信網を介して通信を行う通信部と、前記端末装置の位置を示す位置情報を前記位置検出部を用いて生成し、前記位置情報の確度を予め定められた範囲内で変更し、前記変更がなされた前記位置情報と前記計時部により得られた時刻情報と前記センサ部の計測結果を示す計測情報とを関連付けた送信用情報を生成し、前記送信用情報を送信するよう前記通信部を制御する制御部と、を備えることを特徴とする構成(第1の構成)とされている。
【0009】
なお、上記第1の構成から成る端末装置は、前記制御部が、前記範囲の指定を受け付け、指定された範囲内で前記位置情報の確度を変更することを特徴とする構成(第2の構成)にするとよい。
【0010】
また、上記第2の構成から成る端末装置は、前記制御部が、前記位置情報の確度を変更する際に、前記位置情報の一部を欠落させるか、或いは前記端末装置の位置が予め定められた方法で分割されたエリアのいずれに含まれるかを示す情報に変換することにより、前記位置情報の確度を変更することを特徴とする構成(第3の構成)にするとよい。
【0011】
また、上記第3の構成から成る端末装置は、前記制御部が、前記時間情報の確度の指定を受け付け、指定された確度に基づいて前記時間情報の確度を変更することを特徴とする構成(第4の構成)にするとよい。
【0012】
また、上記第4の構成から成る端末装置は、前記制御部が、前記送信用情報に、前記端末装置の属性情報または前記端末装置の所有者の属性情報を付加することを特徴とする構成(第5の構成)にするとよい。
【0013】
また、上記第5の構成から成る端末装置は、前記制御部が、前記センサ部が計測を実施する計測頻度、または計測の対象とする計測範囲に関する指定を受け付け、指定された前記計測頻度または前記計測範囲に基づいて計測を行うよう前記センサ部を制御することを特徴とする構成(第6の構成)にするとよい。
【0014】
また、上記第6の構成から成る端末装置は、前記制御部が、前記計測頻度または前記計測範囲に関する指定を、前記通信部により、前記通信網を介して受け付け、予め定められた範囲内で前記計測頻度または前記計測範囲を変更することを特徴とする構成(第7の構成)にするとよい。
【0015】
また、上記第7の構成から成る端末装置は、前記位置検出部が、GPS(Global Positioning System)装置、加速度センサ、角速度センサ、及び地磁気センサのいずれかを含み、前記センサ部が、光、磁気、熱、電気、力、及び音のいずれかを計測する装置を含むことを特徴とする構成(第8の構成)にするとよい。
【0016】
また、本発明に係る情報処理システムは、第1の構成から第8の構成のいずれかの端末装置と、通信網に接続される情報処理装置と、を含む情報処理システムであって、前記端末装置は、前記送信用情報を前記情報処理装置へ送信し、前記情報処理装置は、前記端末装置より受信した前記送信用情報の記録、分類、加工、統計、または配信を行うことを特徴とする構成(第9の構成)とされている。
【0017】
また、上記第9の構成から成る情報処理システムは、前記情報処理装置が、前記送信用情報を、前記端末装置の属性、前記端末装置の所有者の属性、情報種別、情報に含まれる値、及び情報の取得頻度のいずれかに基づいて分類し、前記分類の結果に基づいて前記送信用情報の配信を行うことを特徴とする構成(第10の構成)にするとよい。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、広域通信網を介して大容量または不定形なリアルタイム性の高い情報を収集する端末装置及び情報処理システムであって、個人情報の保護を図ることができる端末装置、及び情報処理システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明に係る情報処理システムを示すシステム構成図
【図2】本発明に係る端末装置の内部構成を示すブロック図
【発明を実施するための形態】
【0020】
<情報処理システム>
図1は、本発明の情報処理システムの一構成例を示す図である。本構成例の情報処理システムは、携帯電話100(端末装置)と、情報処理サーバ200(情報処理装置)と、広域通信網300(通信網)と、GPS衛星400と、ノートパソコン500(端末装置)と、テレビジョン装置600(端末装置)と、自動車700(端末装置)と、自動販売機800(端末装置)とを含む。
【0021】
携帯電話100は、例えばW−CDMA(Wideband Code Division Multiple Access)等の無線通信方式により通信を行う無線通信部を備えている。これにより、無線通信回線を介して基地局(不図示)との通信を行い、電話装置間での音声通話を可能とする。
【0022】
また携帯電話100は、基地局等を介して、広域通信網300に接続可能である。これにより携帯電話100の所有者は、携帯電話100に内蔵されたブラウザアプリやメールアプリ等を用いて、ブラウジングや電子メール送受信等の情報通信を実施することが可能である。
【0023】
また携帯電話100は、例えばスペクトラム拡散方式等の無線通信方式により通信を行う位置検出部を備えている。これにより、衛星通信回線を介して、GPS衛星400との通信を行う。そしてGPS衛星400より、位置情報を算出するための各種情報、例えばGPS衛星400の座標情報や、電波の伝搬時間を計測するための時刻情報等を取得する。
【0024】
情報処理サーバ200は、広域通信網300を介して接続される端末装置、例えば図1に示す例では携帯電話100、ノートパソコン500、テレビジョン装置600、自動車700、自動販売機800から送られてくる所定情報を受信し、データベース201を用いて記録/管理を行う。所定情報としては例えば、端末装置の位置情報、端末装置のセンサで取得された計測情報、情報が取得された時刻を示す時間情報等があげられる。
【0025】
また情報処理サーバ200は、収集した情報に対して解析や加工を行ったり、情報の統計を行ったり、所定の端末装置に対して情報を配信したりする機能を備える。なお、サーバ200が端末装置を特定するための識別情報、例えばMACアドレスや端末ID等は、可能であれば予め情報処理サーバ200に登録されているものとする。
【0026】
またサーバ200は、端末装置に対して所定の命令信号を送信することにより、端末装置の動作を制御したり、端末装置の管理情報等を収集して端末装置を管理したりする機能を備える形態でもよい。
【0027】
広域通信網300は、例えばインターネット、携帯電話通信網、道路交通システム、企業用の専用回線等を含む。また、教育機関または医療機関等の公共機関で使用されている専用通信網や、公共施設で提供されている無線LAN等を含む形態でもよい。
【0028】
ノートパソコン500、テレビジョン装置600、自動車700、及び自動販売機800は、無線通信または有線通信により広域通信網300に接続される端末装置である。これらの端末装置は少なくとも、自装置の位置を検出する位置検出部、周辺環境等の計測を行うセンサ部、時間情報を取得する計時部を備える。
【0029】
<端末装置>
図2は、本発明の情報処理システムに含まれる端末装置の一つである、携帯電話100の一構成例を示す図である。本構成例の携帯電話100は、制御部101と、ROM102と、メモリ103と、スピーカ部104と、音声入力部105と、表示部106と、操作部107と、センサ部108と、計時部109と、無線通信部110(通信部)と、位置検出部111と、通信制御部112(通信部)と、データ処理部113と、を含むように構成されている。なお、同じく端末装置であるノートパソコン500〜自動販売機800の内部構成については、ここでは説明を省略する。
【0030】
制御部101は、情報の演算処理を行うロジック回路である。制御部101は、携帯電話100の各部動作を統括的に制御する。また制御部101はその内部に、情報を一時的に記録するレジスタを有する。なお、制御部101が実施する各種処理の詳細については後述する。
【0031】
ROM102は、制御部101が実行するシステムプログラムや、携帯電話100の各部の動作設定を行うための設定値を示すロジックデータ等を記録した、不揮発性半導体メモリである。なお本実施形態のROM102には、制御部101がセンサ部108を用いて情報取得処理を行うためのアプリケーションプログラムも記録されている。
【0032】
メモリ103は、制御部101が各種処理を実施する際の処理情報を一時的に記録する読み書き可能な記録媒体である。メモリ103は例えば、操作部107が検出したユーザ操作の内容や、ユーザ操作に基づいて設定される各種設定内容等を記録する。
【0033】
スピーカ部104は、制御部101から与えられる音声情報のD/A(Digital-to-Analogue)変換を行い、変換により得られた音声信号に基づいて音声の出力を行う。音声入力部105は、マイク(不図示)より入力された音声から音声信号を生成し、さらにA/D(Analogue-to-Digital)変換を行うことにより音声情報に変換し、制御部101に与える。
【0034】
表示部106は、液晶ディスプレイなどの表示装置と、ドライバ部とを含む。ドライバ部は、画像情報のデコードを行い、表示装置の各画素電極に対して駆動電圧を印加する。これにより表示装置は、印加された駆動電圧に応じて画像を表示する。
【0035】
操作部107は、携帯電話100の所有者が携帯電話100に対して、発呼指示や電子メール作成指示等の各種指示を入力するためのものである。操作部107は例えば、複数のボタンやタッチパネル等を含むように構成されている。操作部107により入力された指示は制御部101へ与えられ、指示に基づいて各種制御処理が行われる。
【0036】
センサ部108は、携帯電話100の周辺環境や、携帯電話100の所有者の生体情報の計測を行うためのものであり、少なくとも一つのセンサ装置を含む。センサ部108は例えば、温度センサ、照度センサ、紫外線センサ、気圧センサ、湿度センサ、降雨センサ等のように、気象や環境変化に関連するセンサ装置を含む。或いは、赤外線センサや超音波センサのように、物体(移動体を含む)を検知するセンサ装置を含む。或いは、地磁気センサや放射線センサのように、通常は人間が知覚困難な現象に関連するセンサ装置を含む。或いは、脈拍センサ、指紋センサ、体温センサのように、生体情報の取得に関連するセンサ装置を含む。或いは、加速度センサや角速度センサのように、自装置の動作に関連するセンサ装置を含む。センサ部108により得られたセンサ値(=計測情報)は、制御部101に与えられ、後述するログ情報(=送信用情報)の生成に用いられる。
【0037】
なお、センサ部108に含まれるセンサ装置は、その種別に応じて、端末装置に設けられる位置や方法を変更する。例えばノートパソコン500に温度センサを設ける場合、外気吸入口付近に取り付ける。また、紫外線センサを設ける場合、ディスプレイ裏面に取り付ける。これにより、ノートパソコン500の周辺環境、例えば気温や照度を、より正確に計測できるようにする。
【0038】
計時部109は、現在時刻を常時計測するための回路である。計時部109は例えば、所定の周波数による発振出力を行う水晶振動子を用いて計時を行う。また計時部109は、現在の時刻に加えて、年月日や曜日といった暦情報を生成する機能を備える。
【0039】
無線通信部110は、無線通信回線を介して広域通信網300と無線通信を行うための通信装置であり、アンテナ、増幅回路、及び復調回路等を含むように構成されている。
【0040】
位置検出部111は、携帯電話100の現在位置を特定するために用いられる各種情報を取得する。位置検出部111は例えば、GPS衛星400から発せられる特定の電波を受信するための受信機であるGPSアンテナと、GPSアンテナにより受信した信号をデコードするデコーダを含む。また位置検出部111は、補助装置として、加速度センサ、地磁気センサ、ジャイロスコープ等を備える形態でもよい。位置検出部111により取得された各種情報は制御部101に与えられ、現在位置の特定に用いられる。なお、加速度センサやGPSアンテナは、端末装置の構造や用途により、その設ける位置や方法を適宜変更する。
【0041】
通信制御部112は、通信網に接続された各種装置、例えば情報処理サーバ200と相互通信を行うために、無線通信部110の制御を行う。また通信制御部112は、通信プロトコルとしてTCP/IP等を用いて、情報伝送に関連する各種制御、例えば誤り訂正や再送制御等を行う。
【0042】
データ処理部113は、通信制御部112により得られた情報信号に対して所定の変換処理を行い、携帯電話100の各部が処理可能な共通形式の情報を生成する。これにより例えば、WAV形式の音声情報や、JPEG形式の画像情報等が生成される。
【0043】
またデータ処理部113は、携帯電話100の各部から送られてくる送信用情報に対して所定の変換処理を行い、通信制御部112が処理可能な情報信号を生成する。これより例えば、電子メールの送受信処理や、ブラウザアプリケーションによるウェブサイトのブラウジング処理、または音声通話処理等が可能となる。
【0044】
<制御部>
ここで、本発明の一実施形態に係る制御部101が実施する処理について、図1及び図2を用いつつ説明する。なお以下の説明で用いる「自装置」とは、制御部101が搭載された端末装置のことであり、本実施形態では携帯電話100を想定している。ただし図1に示すノートパソコン500、テレビジョン装置600、自動車700、及び自動販売機800も、制御部101が搭載された端末装置であるため、これらの装置において同様の処理を実施することも可能である。
【0045】
制御部101は、位置検出部111より与えられる各種情報を用いて、自装置の位置情報を算出する位置情報算出処理を行う。具体的には例えば、GPS衛星400より送られてくるGPS衛星400の座標情報や、電波の伝搬時間を計測するための時刻情報等から、自装置の緯度経度を割り出し、位置情報を算出する。
【0046】
或いは制御部101は、無線通信部110を用いて自装置を広域通信網に接続することにより、接続に用いられた基地局やアクセスポイント等の識別情報から、自装置の大まかな現在位置を特定する形態でもよい。或いは制御部101は、自装置が自動販売機800のように固定設置型の装置である場合、予め自装置に割り振られている設置ID等の識別情報から、大まかな現在位置を特定する形態でもよい。
【0047】
制御部101により算出された位置情報は、例えば表示部106の画面上に表示したり、通信制御部112により情報処理サーバ200へ送信したりすることが可能である。また、位置情報を情報処理サーバ200へ周期的に送信することにより、自装置の位置を情報処理サーバ200から監視し、防犯等に利用することが可能である。
【0048】
また制御部101は、センサ部108により得られる所定のセンサ値(RAWデータ)のログを常時、または所定間隔、または所定トリガ発生ごとに、ログ情報として記録する。ログ情報のデータ形式としては、例えばCSV(Comma Separated Values)形式を用いる。ログ情報には例えば、温度や照度を示すセンサ値が含まれる。
【0049】
制御部101は、生成するログ情報の1レコードに、位置検出部111により得られる各種情報(またはこの各種情報より算出された位置情報)と、計時部109により得られる時刻情報(タイムスタンプ)を必ず含める。
【0050】
ログ情報には、オプションとして、取得タイプ、取得端末または取得者の属性情報、情報の秘匿性等を含めることが可能である。なお取得タイプは、情報の分類や、情報提供時における情報の選択等に用いられる。また情報の秘匿性は、公開を前提としている情報であるか否かを示すものである。秘匿性のない情報は、価値のある情報として利用できる可能性がある。
【0051】
ただし位置情報については、個人情報の漏洩につながる場合があるので、エリアグリッド(=予め定められた方法で分割されたエリア)を単位とする方法を選択することができるようにする。これにより、自装置の現在位置の曖昧さ、つまり確度を、大きいレベルから小さいレベルまで可変とする。具体的には例えば、曖昧さを増す場合には、GPSにより得られる緯度経度の所定下位ビットを全て0にする。これにより位置情報の確度を低下させ、曖昧さを増すことが可能である。
【0052】
ログ情報に含まれる位置情報または時刻情報は、広域通信網300を介してアップロードするまでの間に、自装置の内部で、情報の確度を低下させて曖昧さを増加させる処理(以下、「丸めこみ」という)を行う。これにより、個人情報の保護、及び情報処理サーバ200での処理軽減を可能とする。
【0053】
位置情報の丸めこみに用いられるエリアグリッドの設定及び特定は、GPSにより取得される緯度経度に基づいて行うことを主に想定している。しかしその他の方法として、例えば屋内であればLAN(Local Area Network)におけるノードによる特定や、ノードから結びつけた緯度経度より変換して拡張してもよい。より具体的には、PCID、Wi-Fi(登録商標)、またはMAC等を用いて特定する。
【0054】
ログ情報は、取得頻度を設定でき、例えばネットワークの状態に応じて変化させる。具体的には例えば、取得間隔を数秒から数時間の幅で、設定可能とする。これにより例えば、サービス契約者からのリクエスト等に応じて取得頻度を上げたり、トラフィック混雑時に取得頻度を下げたりする。
【0055】
またログ情報の送信タイミングとしては、必ずしもリアルタイム送信である必要はない。例えば、自動販売機800の前を通過した人数を、自動販売機800のセンサ装置で検知してログ情報として送信するとする。この場合、所定期間(例えば24時間)ごとに、その期間で検知された人数の合計を示すログ情報を送信する形態でもよい。
【0056】
なおログ情報において、情報取得のための端末装置に備わっていないセンサ装置に関する情報は、アップロードの際はNULLとする。従って、端末装置が全てのセンサ装置を備える必要はない。なお、取得されるログ情報のフォーマットは、情報種別やサイズ等を示す識別情報を必ず付与する、可変長タイプが望ましい。これにより例えば、新たなセンサ装置がセンサ部108に加えられた場合等に、新たなセンサ装置により取得される情報を、追加でアップロードできるようにする。
【0057】
また、予め何通りかの情報の組み合わせパターンを規定しておき、どのタイプの情報であるかを示す識別情報をレコードまたはログ情報に含める形態でもよい。これにより、一度の送信にかかる情報量を抑制することができる。
【0058】
また制御部101は、ネットワークから送られてくる所定のコマンドを通信制御部112により受信することにより、自動起動を行い、センサ部108によるデータ取得を実施する形態でもよい。これは例えば、Wake on LANの技術を用いて行う。
【0059】
また制御部101は、センサ部108を常に起動させておき、センサ部108による計測結果が所定条件に合致した場合に自動起動を行い、ログ情報の送信等を開始する形態でもよい。これは例えば、Wake on Sensorの技術を用いて行う。なお、Wake on Sensorを用いる場合、自動起動を迅速且つ確実に実施するための工夫を、センサ部108のハードウェア実装時等に設けることが望ましい。
【0060】
また実際の運用においては、情報収集/配信のサービス開始に際して検討されるべき内容として、無料情報の部分と有料情報の部分とを区別して配信できる仕組みを用いる。これは例えば、サービスを受ける側に対して複数の契約形態を呈示することにより、契約形態に応じた情報を配信する。特に有料情報に関しては、暗号化等により、セキュアに配信する。また有料情報に関しては、提供者(ログ情報を提供する端末装置の所有者)が情報を販売できる仕組み、例えば課金システム等を構築する。
【0061】
情報の配信においては、情報の量、種別、配信頻度、特有の条件(例えばデバイスのタイプ)等で情報価値を評価し、また情報がどれだけ売れたかに応じて、情報価値を動的に変化させる。なおデバイスのタイプとしては、例えばスマートフォン、パソコン、ICタグ、定置装置等があげられる。
【0062】
従って本発明は、携帯電話100やノートパソコン500、または不図示の設置型パソコンのように、ネットワークに何らかの形で接続されているものを対象とする。ただし、それと同等の性能を持つ端末装置、例えばセンサを内蔵している家電製品や、交通機関、公共設備、電力、公衆電話等のインフラ類等、1つでも対象となる計測手段、位置情報取得手段、通信手段を備えるものであれば、情報取得のための端末装置となり得る。
【0063】
以上の情報取得/配信システム(情報処理システム)を実施する上で、必要となる仕組みを以下にまとめる。ただし、必要となる仕組みは以下に限定されるものではなく、例えばローカルな技術も随時適応することが望ましい。
【0064】
第1に、取得した位置情報をアップロードする時点で、発信者の意思に合わせたレベルで丸めこむエリアグリッド方式をとる。これにより、個人情報を保護する。
【0065】
第2に、計測情報、位置情報、及び時間情報をセットで1レコードとする。
【0066】
第3に、時間情報についても、発信者の希望に応じて、アップロード前に丸めこむことができるようにする。具体的には例えば、時間情報より秒及び分に関する値を削除することにより、1時間単位での時間情報を生成する。
【0067】
第4に、計測情報等の各種情報の取得頻度は、発信者が自装置に対する設定範囲を定めておくことができるようにする。これは、消費電力の低減や、セキュリティ保護の理由からである。またホスト側(情報処理サーバ200)からの変更要求に対して、上記設定範囲内でのみ、取得頻度の変更を許可するようにする。
【0068】
第5に、ホストに集められたログ情報(さらにはログ情報より生成された各種情報)をサービス利用者がホストから取得するに際して、取得する情報の内容または取得方法の変更指示を、サービス利用者ができるようにする。例えば、ログ情報収集に用いられた端末装置の属性、取得者(上記端末装置の所有者)の属性、取得可能な情報種別、取得している情報の値の範囲、取得可能な頻度の設定範囲等に応じて、グルーピングした上で指示することを可能とする。
【0069】
これにより例えば、20代から30代の年齢層が持つ端末装置から得られたログ情報のみを取得したり、所定以上の計測精度を持つログ情報のみを取得したり、所定以上の頻度で取得されているログ情報のみを取得したりすることができるようにする。
【0070】
或いは、ホスト側が、特定分野(例えば医療や介護)に関連するログ情報のみを抽出し、ログ情報の解析、加工、統計、管理等をすることにより、当該分野に特化した情報を生成し、配信できるようにしてもよい。これにより、当該分野をビジネスとしている企業等に対して、有益な情報を提供することができる。
【0071】
以上に説明した本実施形態によれば、広域通信網を介して大容量且つ不定形なリアルタイム性の高い情報を収集する情報処理システムにおいて、個人情報の保護を図ることができる端末装置、及び情報処理システムを提供することができる。
【0072】
また本実施形態によれば、端末装置で収集されたログ情報を情報処理システム介して利用するサービス利用者が、必要とする情報をより効率的に利用することができる。
【0073】
<その他の変形例>
なお、本発明の構成は、上記実施形態のほか、発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えることが可能である。すなわち、上記実施形態は、全ての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきであり、本発明の技術的範囲は、上記実施形態の説明ではなく、特許請求の範囲によって示されるものであり、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内に属する全ての変更が含まれると理解されるべきである。
【0074】
また上記実施形態では、本発明の端末装置として携帯電話100、ノートパソコン500、テレビジョン装置600、自動車700、及び自動販売機800を例示しているが、これ以外の端末装置において本発明を実施する形態でもよい。例えば、スマートフォンやPDA(Personal Digital Assistant)等の情報処理装置において実施する形態でもよい。また、通信機能を備えているものであれば、冷蔵庫、電子レンジ等の家電製品や、街頭に設置される道路交通装置、広告用モニタ等において実施する形態でもよい。
【産業上の利用可能性】
【0075】
本発明は、携帯電話、パソコン、モバイル機器、家電製品、設置型装置等の端末装置を含む情報処理システムにおいて、個人情報の保護を図る上で有用な技術である。
【符号の説明】
【0076】
100 携帯電話(端末装置)
101 制御部
102 ROM
103 メモリ
104 スピーカ部
105 音声入力部
106 表示部
107 操作部
108 センサ部
109 計時部
110 無線通信部(通信部)
111 位置検出部
112 通信制御部(通信部)
113 データ処理部
200 情報処理サーバ(情報処理装置)
201 データベース
300 広域通信網(通信網)
400 GPS衛星
500 ノートパソコン(端末装置)
600 テレビジョン装置(端末装置)
700 自動車(端末装置)
800 自動販売機(端末装置)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信網に接続される端末装置であって、
計測を行うセンサ部と、
位置を特定するための情報を取得する位置検出部と、
時刻情報を取得する計時部と、
前記通信網を介して通信を行う通信部と、
前記端末装置の位置を示す位置情報を前記位置検出部を用いて生成し、前記位置情報の確度を予め定められた範囲内で変更し、前記変更がなされた前記位置情報と前記計時部により得られた時刻情報と前記センサ部の計測結果を示す計測情報とを関連付けた送信用情報を生成し、前記送信用情報を送信するよう前記通信部を制御する制御部と、を備えること
を特徴とする端末装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記範囲の指定を受け付け、指定された範囲内で前記位置情報の確度を変更すること
を特徴とする請求項1に記載の端末装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記位置情報の確度を変更する際に、前記位置情報の一部を欠落させるか、或いは前記端末装置の位置が予め定められた方法で分割されたエリアのいずれに含まれるかを示す情報に変換することにより、前記位置情報の確度を変更すること
を特徴とする請求項2に記載の端末装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記時間情報の確度の指定を受け付け、指定された確度に基づいて前記時間情報の確度を変更すること
を特徴とする請求項3に記載の端末装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記送信用情報に、前記端末装置の属性情報または前記端末装置の所有者の属性情報を付加すること
を特徴とする請求項4に記載の端末装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記センサ部が計測を実施する計測頻度、または計測の対象とする計測範囲に関する指定を受け付け、指定された前記計測頻度または前記計測範囲に基づいて計測を行うよう前記センサ部を制御すること
を特徴とする請求項5に記載の端末装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記計測頻度または前記計測範囲に関する指定を、前記通信部により、前記通信網を介して受け付け、予め定められた範囲内で前記計測頻度または前記計測範囲を変更すること
を特徴とする請求項6に記載の端末装置。
【請求項8】
前記位置検出部は、GPS(Global Positioning System)装置、加速度センサ、角速度センサ、及び地磁気センサのいずれかを含み、
前記センサ部は、光、磁気、熱、電気、力、及び音のいずれかを計測する装置を含むこと
を特徴とする請求項7に記載の端末装置。
【請求項9】
請求項1から請求項8のいずれかに記載の端末装置と、
通信網に接続される情報処理装置と、を含む情報処理システムであって、
前記端末装置は、前記送信用情報を前記情報処理装置へ送信し、
前記情報処理装置は、前記端末装置より受信した前記送信用情報の記録、分類、加工、統計、または配信を行うこと
を特徴とする情報処理システム。
【請求項10】
前記情報処理装置は、前記送信用情報を、前記端末装置の属性、前記端末装置の所有者の属性、情報種別、情報に含まれる値、及び情報の取得頻度のいずれかに基づいて分類し、前記分類の結果に基づいて前記送信用情報の配信を行うこと
を特徴とする請求項9に記載の情報処理システム。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2013−110652(P2013−110652A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−255410(P2011−255410)
【出願日】平成23年11月22日(2011.11.22)
【出願人】(000116024)ローム株式会社 (3,539)
【Fターム(参考)】