説明

端末装置、及び端末装置の図面表示プログラム

【課題】 端末装置の表示画面に、正確に実寸に準拠した縮尺でデジタル図面を表示させること。
【解決手段】タブレット型端末装置50のCPU52は、表示画面51に所定の縮尺でのデジタル図面の図面データを表示する。このときCPU52は、デジタル図面のデータの属性情報を参照し、タブレット型端末装置50の表示密度と比較して、選択された固定縮尺での設計図面を表示画面51に表示する。こうすることで、端末装置の表示画面に、正確に実寸に準拠した縮尺で図面データを表示できる。正確に実寸に準拠して表示されているので、ユーザは、表示画面51に直接三角スケール100用いて距離、寸法を計測することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タブレット型端末装置等の表示画面に、設計図面などの図面データを表示する端末装置、及び端末装置の図面表示プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、建築現場や土木工事の現場等では、紙面に印刷された図面を用いて、ユーザが修正箇所への加筆や寸法計測を行っていた。ただし、上記現場では、使用する図面が膨大な枚数となる場合や図面に筆記具で加筆するための机やスペースが無いような場合もあるので、紙面に印刷された図面の持ち運び/その図面を用いた作業はユーザの負担が大きかった。
そこで、図面データベース等に管理された、紙面印刷用の図面データを、手軽に持ち運び出来るタブレット型端末装置等の端末装置で利用することが注目されている。
図1には、タブレット型端末装置50の表示画面51に図面データ(設計図面)を表示したところを示している。このようなタブレット型端末装置に図面データを表示することで、上記現場でも、ユーザは簡単に図面の閲覧、確認及び加筆・修正を行うことができる。そのため、紙面に印刷された図面を用いた場合に比して、ユーザの利便性は大いに向上している。
【0003】
特許文献1記載の発明では、実寸と複写画像割合を適宜設定でき、複写画像と実寸との倍率関係を認識しやすくすることで、実寸のイメージを把握し易くする画像処理装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平6−105126号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、図面データベース等で管理されたデジタル図面自体が、いくら実寸に準拠した縮尺データを保持していても、端末装置の表示画面(モニタ)に表示させると、その表示画面の属性(ピクセル数やその密度など)次第で、実寸に準拠した縮尺と異なる縮尺で表示されてしまうという問題があった。例えば、現場でユーザが三角スケール等の計測器具を用いて、端末装置の表示画面に表示された図面から直接寸法計測を行おうとしても、正確な寸法が得ることができなかった。これは、紙面に印刷された図面を用いた場合に比して、不便な点であった。
そこで、本発明の第1の目的は、端末装置の表示画面に、正確に実寸に準拠した縮尺で図面を表示させることができる端末装置、及び端末装置の図面表示プログラムを提供することである。
また、本発明の第2の目的は、デジタル図面の図面データの縮尺データが不明な場合、当該デジタル図面に縮尺データを付与することができる端末装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の発明では、デジタル図面の図面データを表示画面に表示する端末装置であって、前記図面データを実寸印刷する際の縮尺データを備えたデジタル図面を受信するデジタル図面受信手段と、前記表示画面の表示密度に関するデータを記憶する表示密度データ記憶手段と、前記デジタル図面受信手段で受信したデジタル図面から縮尺データを抽出する縮尺データ抽出手段と、前記表示密度記憶手段に記憶された表示密度データと、前記縮尺データ抽出手段で抽出した縮尺データとから演算処理を行い、前記表示画面にデジタル図面の図面データを表示する表示手段と、を備えたことを特徴とする端末装置を提供して、前記第1の目的を達成する。
請求項2記載の発明では、請求項1記載の発明において、ユーザに複数の段階の固定縮尺を提示する固定縮尺提示手段と、前記固定縮尺提示手段で提示された複数の固定縮尺から1の固定縮尺の選択を受け付ける選択受付手段と、前記選択受付手段で1の固定縮尺の選択を受け付けた際、前記表示手段が選択された固定縮尺でデジタル図面の図面データを表示することを特徴とする。
請求項3記載の発明では、請求項1記載の発明において、前記デジタル図面受信手段が受信するデジタル図面が、当該デジタル図面の図面データがラスタ形式の図面データであった場合、縦、横両方向の図面解像度に関するデータを備えていることを特徴とする。
請求項4記載の発明では、請求項1、請求項2、または請求項3記載の発明において、前記表示密度データ記憶手段が記憶する当該表示画面の表示密度に関するデータが、当該表示画面の「ピクセル数/表示画面の表示領域の実際の寸法」で表される値であり、この値を表示画面の縦、横両方向で記憶していることを特徴とする。
請求項5記載の発明では、請求項2記載の発明において、前記固定縮尺提示手段でユーザに提示する複数の固定縮尺が、三角スケールに記載されている縮尺に対応していることを特徴とする。
請求項6記載の発明では、デジタル図面の図面データを表示画面に表示し、前記表示画面の表示密度に関するデータを記憶する表示密度データ記憶手段を備えた端末装置であって、前記図面データを実寸印刷する際の縮尺データを備えたデジタル図面を受信するデジタル図面受信機能と、前記デジタル図面受信機能で受信したデジタル図面から縮尺データを抽出する縮尺データ抽出機能と、前記表示密度記憶手段に記憶された表示密度に関するデータと、前記縮尺データ抽出機能で抽出した縮尺データとから演算処理を行い、前記表示画面にデジタル図面の図面データを表示する表示機能と、をコンピュータに実現させる端末装置の図面表示プログラムを提供して、前記第1の目的を達成する。
請求項7記載の発明では、請求項1記載の発明において、前記抽出手段が、縮尺データを抽出することができなかった場合、図面データを仮の縮尺データで前記表示画面に表示する仮表示手段と、前記表示画面に表示されたデジタル図面の図面データの拡大・縮小のある段階で、ユーザから固定縮尺の設定を受け付ける固定縮尺設定受付手段と、前記固定縮尺設定受付手段で固定縮尺の設定を受け付けた際の表示要求縮尺及び設定を受け付けた固定縮尺と、前記仮表示手段が表示した際の仮の縮尺から、当該デジタル図面の図面データに、付与する縮尺データを演算する縮尺データ演算手段と、を備えたことを特徴とする端末装置を提供して、前記第2の目的を達成する。
【発明の効果】
【0007】
請求項1、請求項4、請求項6記載の発明では、表示画面の表示密度に関するデータと、縮尺データ抽出手段で抽出した縮尺データとから演算処理を行うこととしたので端末装置の表示画面に、正確に実寸に準拠した縮尺で図面データを表示させることができる。
請求項2記載の発明では、ユーザの要求に応じた固定縮尺で正確に実寸に準拠した縮尺で図面データを表示させることができる。
請求項3記載の発明では、デジタル図面の図面データがラスタ形式であっても、正確に実寸に準拠した縮尺で図面データを表示させることができる。
請求項5記載の発明では、表示画面上で三角スケールで容易に、寸法、距離の計測を行うことができる。
請求項7記載の発明では、縮尺データが不明なデジタル図面の図面データに縮尺データを付与することができ、以後、端末装置の表示画面に、正確に実寸に準拠した縮尺でデジタル図面を表示させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本実施形態に係るタブレット型端末装置を用いたシステムの概略を説明する図である。
【図2】三角スケールの外観を示した図である。
【図3】本実施形態に係るタブレット型端末装置の表示画面に所定の固定縮尺で表示した設計図面を三角スケールで計測している例を示した図である。
【図4】本実施形態で用いる図面サーバの構成を示したブロック図である。
【図5】本実施形態で用いるタブレット型端末装置の構成を示したブロック図である。
【図6】本実施形態に係るタブレット型端末装置の表示画面に所定の固定縮尺で図面データを表示した例を示した図である。
【図7】本実施形態に係るタブレット型端末装置の表示画面において所定の固定縮尺を選択するところ示した図である。
【図8】本実施形態に係るタブレット型端末装置の表示画面において選択された固定縮尺で図面データを表示したところを示した図である。
【図9】本実施形態の処理手順を示したフローチャートである。
【図10】本実施形態に係る「アジャストモード」を説明する図である。
【図11】本実施形態に係る「アジャストモード」で縮尺データを設定するところを示した図である。
【図12】本実施形態に係る「アジャストモード」で縮尺データを設定する処理手順を示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態に係る端末装置を図1ないし図12を参照して詳細に説明する。
(1)実施形態の概要
図1のタブレット型端末装置を用いたシステムの概略に示すように、タブレット型端末装置50は、設計図面のデジタル図面を指定された縮尺で表示するよう指示を受けると、図面サーバ20に保管された設計図面のデジタル図面を取得して、表示画面51に紙面印刷時の設計図面と同様に、実寸に準拠した縮尺で当該デジタル図面に基づく設計図面、建築図面、土木図面などの図面データを表示する。
つまり、タブレット型端末装置50は、デジタル図面の縮尺データと、タブレット型端末装置の表示画面の表示密度データから、実寸に準拠した縮尺で、タブレット型端末装置50の表示画面51に設計図面を正確に表示できるようになっている。
その結果、ユーザは、図3に示すように、表示画面51に表示された設計図面に直接三角スケール等の測距用の器具を用いて、所望する紙に記載された図面と同様に特別な換算をすることなく距離、寸法を計測することができる。
【0010】
(2)実施形態の詳細
まず、図1を参照して、本実施形態に係るタブレット型端末装置を用いたシステムの概略を説明する。
この実施形態で、デジタル図面とは、図面データとその図面データの付属情報を含んだものをいう。また、付属情報とは、当該図面データを実寸印刷する際の縮尺データ、当該図面データの解像度などを含んだものをいう。
図面データの実寸印刷とは、縮尺データに応じた印刷をすると、実際にその縮尺データの縮尺通り正確な寸法で印刷されることをいう。縮尺データ50分の1の図面データを実寸印刷すれば50分の1のサイズで図面が印刷される。
なお、本実施形態における表示端末としては、タブレットPC等のタブレット型端末装置を例に説明するが、ノート型パソコンや携帯電話機等の表示画面上に画像を表示する機能を備えた各種の携帯端末へ適宜に応用できる。
【0011】
設計図面などのデジタル図面の図面データを表示するためのタブレット型端末装置50は、インターネット等のネットワークを介して図面サーバ20と各種のデータの送受信が可能となっている。このタブレット型端末装置50は、薄型で比較的軽量であるため、携帯に適しており、例えば、建築現場、土木の作業現場、測量の現場などに持ち込むのに特に便利である。
なお、このタブレット型端末装置50として、例えば、表示画面51に盛り上がった段差のある縁がなく、全体が平面となった形状からなるものを用いると、後述するように三角スケール100を用いて計測するのに一層都合が良い。
【0012】
ここで、上記測距用の器具としての三角スケール100について説明する。三角スケール100は、図2に示すように、図面の寸法を実際のサイズで計測するための定規である。例えば、ユーザは、縮尺が1/20の図面より寸法を計測する場合、三角スケール100に付された1/20の縮尺に対応する目盛りで寸法を読み取れば、その値がそのまま実測値として取得できる。従って、三角スケール100のユーザは、何らの換算等の面倒な計算をしないで簡単に実測値を得ることができる。
【0013】
一例として、図2に示した三角スケール100は、6面の各々に1/20、1/50、1/100、1/200、1/250、1/300の縮尺に対応した目盛りを備えている。三角スケール100には、建築士用、土木用、土地家屋調査用、一般用などがあり、用途に応じて記載されている縮尺率も多少相違している。
なお、本実施形態では、現場で広く用いられている三角スケール100で図面上の寸法を計測することとしているが、タブレット型端末装置50が表示画面51に紙面印刷時の図面と等しい縮尺で図面を表示させるため、寸法と現実の寸法の対応関係を正確に把握していれば、通常の物差しや三角定規を用いて計測を行うこともできる。
【0014】
次いで、図4及び図5を参照して、図面サーバ20とタブレット型端末装置50の構成について説明する。
図4は図面サーバ20の構成を示したブロック図である。
この図面サーバ20は、CPU(中央演算処理装置)22、ROM(リード・オンリ・メモリ)24、通信装置26、表示装置28、RAM(ランダム・アクセス・メモリ)30、入力装置32、記憶装置34を備えている。
CPU22は、各種プログラムに従った情報処理を実行することで、図面サーバ20の各部を統括的に制御する。
ROM24は、CPU22が実行するための各種プログラムや当該プログラムの実行に必要なパラメータ等を記憶した読み取り専用メモリである。
通信装置26は、図面サーバ20をインターネットなどのネットワークに接続するための通信用インターフェイスである。図面サーバ20は、この通信装置26を介して後述する図面DB38に記憶された図面データをタブレット型端末装置50へ送信する。
【0015】
表示装置28は、液晶ディスプレイなどの表示デバイスであり、記憶された設計図面などを表示できるようになっている。
RAM30は、CPU22が図面の管理処理などを行う際に、ワーキングメモリを提供する読み書き可能なメモリである。
入力装置32は、キーボード、マウスなどの入力デバイスを備えており、ユーザからの操作を受け付ける。
例えば、端末装置として携帯電話を使用して、図面サーバ20のデジタル図面を検索する場合には効率や操作性がよくない。このような場合に、ユーザは、図面サーバ20の表示装置28や入力装置32を直接操作することで、所望のデジタル図面を検索し、検索したデジタル図面を携帯電話へ送信するようにしてもよい。
記憶装置34は、例えばハードディスクなどの大容量記憶媒体であり、CPU22が図面データの管理処理を行うための図面管理プログラム36、当該図面データを保管する図面DB(データベース)38などを記憶している。
【0016】
図5はタブレット型端末装置50の構成を示したブロック図である。
このタブレット型端末装置50は、CPU52、ROM54、通信装置56、表示装置58、RAM62、画像入力装置64、記憶装置66を備えている。
CPU52は、本実施形態における図面表示プログラム等の各種プログラムに従った情報処理を実行することで、タブレット型端末装置50の各部を統括的に制御する。
ROM54は、CPU52が実行するための各種プログラムや当該プログラムの実行に必要なパラメータ等を記憶した読み取り専用メモリである。
表示画面51は、液晶ディスプレイなどの表示デバイスであり、所定の縮尺で設計図面などの図面データを表示できるようになっている。この表示画面51の「表示画面のピクセル数/表示画面の実際の表示領域の実寸」で表される数値である表示画面51の表示密度データは、後述する表示密度記憶部69に記憶されている。
通信装置56は、インターネットなどのネットワークに接続するための通信用インターフェイスである。この通信装置56を介して図面サーバ20からデジタル図面を受信するようになっている。
この通信装置56は、デジタル図面取得手段として機能するが、デジタル図面は他の方法で取得してもよい。例えば、USB(Universal Serial Bus)等の半導体メモリを介して取得するようにしてもよい。更に、タブレット型端末装置50の記憶装置66から直接取得するようにしてもよい。この場合、記憶装置66は、予めデジタル図面の図面データを記憶している。
また、デジタル図面の図面データを記憶しているPCに有線接続または無線接続することで、PCから取得するようにしてもよい。
【0017】
RAM62は、CPU52が図面の管理処理などを行う際に、ワーキングメモリを提供する読み書き可能なメモリである。
画像入力装置64は、タッチパネルのことで、表示画面51に表示された「選択キー(ボタン)」や、縮尺メニューのユーザによる選択を検出する。
記憶装置66は、例えばハードディスクやEEPROM(Electrically Erasable Programmable ROM)などの大容量記憶媒体を備えており、図面データを拡大・縮小して表示する図面表示プログラム68などを記憶している。
CPU52が、この図面表示プログラム68を実行することで、受信したデジタル図面に含まれる属性情報を参照し、表示画面51の表示密度と比較して、選択された固定縮尺での設計図面を表示画面51に表示する。また、表示画面51に、指定された縮尺に応じてデジタル図面の図面データを拡大・縮小表示する。
また、記憶装置66は、表示密度記憶部69を備えており、上述した表示密度を記憶している。
表示密度はppiという単位で表示されることもある。ppiは、1インチにどれだけの画素(ピクセル)が含まれているかを表した値であり、dpi(1インチあたりのドット数)で表示される場合もあり、表示画面の解像度とも呼ばれる。
【0018】
次に、本実施形態で用いるデジタル図面について説明する。
図面サーバ20の図面DB(データベース)38に保管されているデジタル図面は、図面そのものを表示するための図面データと、この図面データの属性を表す属性情報を構成要素としている。
属性情報としては、例えばデジタル図面を紙面に実寸印刷した際の縮尺を表す縮尺データ(つまり、何分の一という縮尺の数値からなるデータ)、縦と横の解像度(ラスタ形式の図面データの場合)等が含まれる。
ここで、解像度とは、ビットマップの密度のことであり、dpiという単位で表示される。dpiとは、1インチにどれだけのドット(ビットマップ)が含まれているかを表した値であり、このdpiの値が大きいほど、図面(画像)を細かい階調でより美麗に表現できる。
【0019】
デジタル図面の図面データは、ベクタ形式のデータで構成されていても、ラスタ形式(ビットマップ形式)のデータで構成されていてもよい。
ここで、ベクタ形式のデータとは、コンピュータ内で処理する図面(図形)のデータを全て数値で管理する方式である。このベクタ方式では、図面(図形)を各頂点などの座標データとして保持しており、表示されるごとに輪郭となる線の情報を演算処理することで表現する。そのため、図面(図形)のサイズの変更や変形を施せば、それに応じた図面(図形)を表示できる。従って、修正・変形などを多々行う設計図面などに適した方式である。また、拡大・縮小表示を頻繁に行うタブレット型端末装置で用いるのにも適した方式である。
一方、ラスタ形式のデータとは、画像をビットマップで構成する方式である。
【0020】
デジタル図面のデータがベクタ形式であり、紙面印刷時の縮尺が50分の1であった場合、縮尺データは、「1/50」である。
一方、図面データがラスタ形式の場合は、縦横方向それぞれの図面解像度も属性情報として保持する。
タブレット型端末装置50の表示画面51では、縦と横の表示密度が異なっている装置がある。例えば、縦150dpi、横100dpiで表示する装置が存在する。
そのため、縦横比の違いを縦横各々の表示密度を使って演算して、図面データを表示画面51に表示する必要がある。
また、ラスタ形式の図面データ(ビットマップデータ)の場合、属性情報として縮尺データに加え、縦方向の図面解像度と横方向の解像度の両者を保持し、管理する必要がある。
【0021】
従来のように、図面サーバ20より送信されたデジタル図面の図面データをそのまま表示画面51上に表示しても、必ずしも実寸に準拠した縮尺で表示することはできなかった。これは、表示画面の密度が各々の機器で相違し、この相違を考慮しないで、表示を行っていたためである。従って、例えば「実寸表示」とされているものでも、表示画面の密度を考慮していないので、正確な「実寸表示」ではなく、概ねの表示に過ぎなかった。
そこで、本実施形態では、表示画面51の表示密度を考慮してデジタル図面の図面データを表示画面に応じたスケールに置き換えた上で、要求された縮尺のデジタル図面の図面データを生成する。すると、実寸印刷時の縮尺データに準拠したデジタル図面の図面データが表示できる。
ところで、表示密度とは、「表示画面のピクセル数/表示画面の実際の表示領域の実寸」で表される数値のことであり、所定の単位あたりのピクセル数(ドット数)の縦横それぞれを保持する。
【0022】
次に、本実施形態を具体的数値を示して説明する。
ここで、公称密度とは、当該表示画面に1インチ当たりいくつのピクセル(ドット)が存在するかを当該表示画面のメーカーが公表した値である。
表示要求縮尺とは、ユーザがデジタル図面の図面データを表示する際に要求する縮尺のことであり、例えば、50分の1の表示要求縮尺がユーザからあった場合、この実施形態では、表示画面51に、実際の紙に印刷される50分の1の図面と左右とも全く同一のサイズで表示される。
【0023】
本実施形態に係るタブレット型端末装置50では、表示画面51の縦横それぞれの表示密度を保持する。即ち、この表示密度は、記憶装置66の表示密度記憶部69に記憶されている。
例えば、あるタブレット型端末装置50の表示画面51では、その縦方向の表示領域に対して、ピクセル数が768ピクセルで、実際の寸法が約148mm、横方向の表示領域に対して、1024ピクセル、約197mm、公称密度は132ppi(ピクセル・パー・インチ)である場合の「表示密度」は132となる。
ここで、本実施形態で用いる座標換算値について、説明する。
座標換算値とは、「(縮尺データ/表示要求縮尺)×表示密度」(式1)で表される値をいう。なお、以下、この式を(式1)という。この座標換算値を正確に求め、その値をベクタ形式の図面データの座標値に乗ずることで、表示画面51上に、正確に実寸に準拠した縮尺で図面データが表示される。この場合の図面データの座標値の単位は、表示画面の座標値の単位と同じインチとする。
なお、本実施形態では、座標換算値が縦横同値の場合について説明するが、異なる場合も存在する。この場合には、縦座標換算値、横座標換算値を個別に算出する。
【0024】
まず、図面データが、ベクタ形式であった場合について説明する。
表示する図面データの付属情報として、縮尺データ50分の1を保持しているとする。
このタブレット型端末装置50で最初に図面データを表示する場合、座標換算値は、「(縮尺データ/表示要求縮尺)×表示密度」(式1)から、縦・横方向とも次の値になる。
座標換算値=((1/50)/(1/50))×132=132
そして、このタブレット型端末装置50が、ベクタデータ形式の図面データの座標値に、算出した座標換算値132を乗じる演算処理を行い、デジタル図面の図面データを表示画面51に表示する。
【0025】
また、タブレット型端末装置50で選択された表示要求縮尺が100分の1である場合の座標換算値は、縦・横方向ともに上記(式1)から次の値になる。
座標換算値=((1/50)/(1/100))×132=66
そして、このタブレット型端末装置50が、ベクタデータ形式の図面データの座標値に、算出した座標換算値66を乗じる演算処理を行い、デジタル図面の図面データを表示画面51に表示する。
【0026】
次に、図面データが、ラスタ形式であった場合について説明する。
この場合も表示する図面データの付属情報として、縮尺データ50分の1に加えて、縦横の解像度として600dpiを保持しているものとする。
一方この表示画面51の表示密度が132ppi(ピクセル・パー・インチ)であったものとする。
ここで、タブレット型端末装置50分の1の表示要求縮尺の選択をユーザから受けると、図面データがラスタ形式であった場合、座標換算値は、「(縮尺データ/表示要求縮尺)×表示密度」(式1)を図面解像度で除した値となることから、縦・横方向と50/50×132/600=0.22となる。
【0027】
そして、このタブレット型端末装置50が、ラスタデータのピクセル座標値に0.22を乗じる演算処理を行い、デジタル図面の図面データを表示画面51に表示する。
また、タブレット型端末装置50から100分の1の表示要求縮尺の選択をユーザから受けると、座標換算値は、「(縮尺データ/表示要求縮尺)×表示密度」(式1)から、縦・横方向とも50/100×132/600=0.11となる。
そして、このタブレット型端末装置50が、ラスタデータのピクセル座標値に0.11を乗じる演算処理を行い、デジタル図面の図面データを表示画面51に表示する。
【0028】
次に、本実施形態に係るタブレット型端末装置50における、表示画面51への表示の具体例をあげて説明する。
図6は、図面サーバ20から受信したデジタル図面の図面データ(設計図面)を、表示画面51に表示したところを示した図である。この例では、縮尺データとして100分の1を保持していたため、最初に図面データを表示する場合の表示要求縮尺のデフォルト値として、図面データの縮尺データ1/100を用いて表示している。
この表示している縮尺を明示するため、表示画面51の左上に縮尺表示「1/100」を表示している。なお、この縮尺表示はユーザの選択により、非表示にすることも可能である。
この例では、最初の表示を受信したデジタル図面の付属情報である縮尺データに応じた表示としたが、本実施形態はこれに限られない。例えば、一律に決まった縮尺で表示するようにしてもよいし、その都度、事前にユーザからの設定を受け付けるようにしてもよい。
この表示画面51に表示された図面データ(設計図面)は、この図面データを実寸印刷したときと全く同一のサイズである。そのため、この表示画面51上に三角スケール100を直接載置して、表示縮尺に対応する「1/100」の目盛りを読み取ることで、実際の寸法・距離を計測できる。
【0029】
次に、図7を参照して、表示する図面データの縮尺を変更する手順を説明する。
本実施形態に係るタブレット型端末装置50では、表示画面51に、紙図面で一般に使用される固定縮尺で実寸表示要求を出すことができる。図6に示した例では、表示画面51の左上の縮尺表示に示すように、「1/100」で図面データを表示している。これを2倍に拡大し、「1/50」で表示する場合について説明する。
ユーザが、表示画面51の左上に表示されている縮尺表示「1/100」(図6参照)を選択すると、タブレット型端末装置50は、図7に示すように、複数の固定縮尺を表示した固定縮尺メニュー200をプルダウンメニュー表示する。
このように、タブレット型端末装置50が固定縮尺メニュー200を表示することで、ユーザは次に表示したい所望の縮尺を簡単に選択することができる。
【0030】
この固定縮尺メニュー200には、例えば、1/20、1/50、1/100、1/200、といった、三角スケール100での計測で一般的に用いられている数値に対応して表示されている。
なお、上記したように、三角スケール100にはいくつかの種類があり、それぞれが多少異なる縮尺に対応している。そのため、固定縮尺メニュー200で提示する縮尺が、それら全てに対応しているようにすれば、どの三角スケール100を用いても計測が可能となる。
【0031】
ここで、ユーザから、固定縮尺メニュー200の「1/50」縮尺の選択を受け付けたとする。この値が「表示要求縮尺」となる。
タブレット型端末装置50は、選択された表示要求縮尺と、デジタル図面の属性情報(縮尺データ「1/100」)、及び表示画面51の表示密度とから、座標換算値を算出し、表示画面51に図面データを実寸表示する。
具体的には、上記したタブレット型端末装置50の例で、ベクタ形式の図面データを表示する場合、座標換算値は、式1の「(縮尺データ/表示要求縮尺)×表示密度」から、縦・横方向ともに((1/100)/(1/50))×132=264となる。
そして、このタブレット型端末装置50が、ベクタ形式の図面データの各座標値に座標換算値264を乗じる演算処理を行い、デジタル図面の図面データを表示画面51に表示する。
【0032】
図8は、ユーザの選択に従って、縮尺「1/50」で図面データを表示したところを示した図である。
この図8に示されるように、選択前の図6に比べて図面データは縦横共に2倍の大きさで表示される。
その際、表示画面51の左上には、図8に示すように、縮尺表示として、現在ユーザによって選択されている固定縮尺(「1/50」)が明示される。
ユーザは、この表示画面51に表示された縮尺表示に合わせて、三角スケール100の縮尺値「1/50」に対応した目盛りを、設計図面の表示画面51上に直接あてることで、換算することなく簡単に実際の寸法を読み取ることができる。
また、従来の紙に印刷された図面の縮尺が100分の1であった場合、ユーザは、三角スケール100の縮尺値1/100の目盛りを用いて計測するしかなかった。これに対して本実施形態の場合、例えば画面上で50分の1の固定縮尺を選択すれば、2倍に拡大表示でき、50分の1の三角スケールの目盛りを使うことで、より正確な計測を行うことができる。
【0033】
次に、タブレット型端末装置50によるデジタル図面の固定縮尺による表示処理の手順について、図9のフローチャートを参照して説明する。
この固定縮尺による表示処理は、CPU52が図面表示プログラム68を実行することで行われる。
まず、CPU52は、ユーザからタブレット型端末装置50に表示する設計図面の指定要求を受け付けると、ネットワークを介して図面サーバ20にアクセスする。このとき、必要に応じて、ユーザの指定情報(ユーザIDやパスワード)を図面サーバ20に送信する。
その後、ユーザが所望のデジタル図面の図面番号等を選択、または入力すると、CPU52は、図面サーバ20に、図面番号等を送信してデジタル図面を要求する。
この要求に対して、図面サーバ20から当該指定された図面番号等に該当するデジタル図面が送信されると、CPU52は通信装置56を介してデジタル図面を受信する(ステップ10)。以下、デジタル図面の図面データは、ベクタ形式である場合を例に説明する。
次に、CPU52は、 ステップ10で受信したデジタル図面から属性情報を抽出する(ステップ11)。具体的には、図面データがベクタ形式なので、縮尺データを抽出する。なお、図面データがラスタ形式である場合には、更に解像度も抽出する。
【0034】
次に、CPU52は、表示密度記憶部69に記憶されている表示画面51の表示密度を取得し、この表示密度と属性情報として取得した縮尺データを用いて、表示画面51に図面データを表示する(ステップ12)。
すなわちCPU52は、式1に基づき座標換算値を演算処理する際、図面データの縮尺データをデフォルトの表示要求縮尺として用いる。そしてCPU52は、図面データの各座標値に、演算処理で求めた座標換算値を乗じることで、図6に示すように、図面データ(設計図面)を表示画面51に表示する。このとき、同時に、表示画面51の左上に縮尺表示「1/100」の表示を行う。
【0035】
次に、ユーザから表示する縮尺を変更するための固定縮尺メニュー200の表示要求を受けると、CPU52は、図7に示すように、表示画面51の左上に複数の固定縮尺が記載された固定縮尺メニューを200表示する(ステップ13)。
次に、CPU52は、ユーザより、表示画面51に表示した固定縮尺メニュー200から、特定の固定縮尺の選択を受け付ける(ステップ14)。
次に、CPU52は、ステップ14にて固定縮尺の選択を受け付けると、受け付けた固定縮尺を表示要求縮尺として、ステップ12で行った演算処理と同様の演算処理を行う。即ち、縮尺データと表示密度に変更はないので、CPU52は選択された固定縮尺「1/50」を「表示要求縮尺」をとして、式1に基づいて座標換算値を演算し、求めた座標換算値を用いて、図8に示すように、図面データを表示画面51に表示する(ステップ15)。
このときCPU52は、図8に示すように、図面データ(設計図面)とともに、選択された固定縮尺の値「1/50」を縮尺表示として表示画面51の左上に表示する。
【0036】
その結果、ユーザは、この表示画面51に表示された設計図面に対して、固定縮尺の値を参考にして三角スケール100のスケールを切り替え、直接表示画面51に三角スケール100をかざして寸法を読み取ることができる。
その後、CPU52は、ユーザからの他の固定縮尺値による表示要求(固定縮尺の選択)があるか否かを判断し(ステップ16)、あると判断した場合(ステップ16;Y)、ステップ13以降の処理を継続する。
一方、CPU52は、ユーザからの他の固定縮尺値による表示要求がないと判断した場合(ステップ16;N)、本フローチャートに係る処理を終了する。
【0037】
次に、本発明の変形例として、図面の縮尺データが不明の際に使用するアジャストモードについて説明する。
上記した実施形態は、デジタル図面が図面データと共に、その属性として縮尺データを保持していることを前提としていたが、縮尺データを保持していない場合、またはその縮尺情報が間違っている場合があり得る。
この変形例では、タブレット型端末装置50側で、当該デジタル図面に属性情報としての縮尺データを付与し、実寸に準拠した縮尺で図面データを正確に表示させることができるようにする。
【0038】
ここでは、デジタル図面の属性情報として、縮尺データを保持していない場合を想定する。具体的には、CPU52が、図面表示プログラム68を実行して、受信したデジタルデータから付属情報として縮尺データを抽出できなかった場合である。
ところで、通常、多くの図面には何らかの実寸法値が書き込まれている。
図10は、寸法が書き込まれている図面データを表示画面51に表示した例を示した図である。この例では、ある箇所に13mという寸法表示がされていたものとする。
【0039】
ここで、CPU52が、付属情報として縮尺データを抽出できなかった場合に、「アジャスト」ボタンを表示画面51の右下に表示する。
ここで、図10で表示される図面データは、縮尺データが不明なので、図面データを表示するための仮の値として、仮の縮尺値(仮縮尺)を1/200とし、この仮縮尺と同じ縮尺1/200を表示要求縮尺のデフォルト値の仮の値(仮デフォルト表示要求縮尺)として、上述の式1から仮座標換算値を算出する。なお、式1における表示計数はいまαとする。
すなわち、仮座標換算値=((1/200)/(1/200))×αとなる。
そして、「アジャスト」ボタンの押下をユーザから受け付けると、CPU52は、付属情報として縮尺データを付与するアジャストモードに移行する。
図11は、アジャストモードに移行した表示画面51の例を示した図である。アジャストモードに移行すると、CPU52は、表示画面51の右下に選択スケール縮尺をリスト表示する。
このリスト表示の対象は、三角スケールに付されている目盛りの縮尺に対応している。
【0040】
この状態で、ユーザから表示画面51に表示した図面データの拡大・縮小の指示を受け付ける。この図面データの拡大・縮小は、タッチパネルである画像入力装置64からユーザの指での操作を受け付けることにより、微妙に図面データの拡大・縮小表示を行うようにしてもよい。また、所定の値に段階的に変化させることにより行っても良い。
CPU52は、仮デフォルト表示要求縮尺(1/200)から、表示画面51に拡大・縮小表示した後の縮尺を仮表示要求縮尺として記憶しておく。いま、ユーザの拡大・縮小操作により、元のサイズから2倍の指示がされた場合には、仮デフォルト表示要求縮尺(1/200)の2倍の値である1/100が仮表示要求縮尺として記憶される。
なお、CPU52は、拡大・縮小表示の指示値(2倍)に対応して、仮座標換算値も2倍にすることで図面データを表示する。
【0041】
ユーザは、三角スケールを表示画面51上に置き、指で操作することにより、表示画面51に表示されている図面データを微妙に調整しながら、拡大・縮小を行う。そして、三角スケールの目盛りと図面データに書き込まれた寸法が一致する図面データのサイズを探す。
図11の例では、仮デフォルト表示要求縮尺1/200で最初に表示した状態から、拡大・縮小操作により2倍の縮尺1/100が仮表示要求縮尺となっていて、この時に表示画面51で13mと書き込まれた箇所の寸法(記載寸法)と、三角スケール(1/100)の目盛りの13mとが丁度一致している。
この状態において、ユーザは、リスト表示された選択スケール縮尺の中から、計測した三角スケールの縮尺(1/100)に対応する、選択スケール縮尺(1/100)を押下する。
【0042】
CPUは、押下された選択スケール縮尺と、拡大・縮小操作後の仮表示要求縮尺との比から、図面データの縮尺データを次の式2によって算出する。
縮尺データ=仮縮尺×(選択スケール縮尺/仮表示要求縮尺)…(式2)
この式2に、上記例の値を代入すると、縮尺データとして次の値が求まる。
縮尺データ=仮縮尺(1/200)×(選択スケール縮尺(1/100)/仮表示要求縮尺(1/100))=1/200
従って、この例では、付与すべき縮尺データとして「1/200」が求められた。
【0043】
なお、ユーザが選択スケール縮尺1/50を選択した場合の縮尺データは次の値になる。
縮尺データ=仮縮尺(1/200)×(選択スケール縮尺(1/50)/仮表示要求縮尺(1/100))=1/100
【0044】
この設定が行われると、CPU52は、以後この縮尺データを当該デジタル図面の属性情報として付与する。このデジタル図面の属性情報として、縮尺データが保持されるので、当該デジタル図面は、このタブレット型端末装置50で、他の縮尺による固定縮尺表示も可能となる。
その後、このタブレット型端末装置50は、縮尺データを付与した属性情報を図面サーバ20に送信し、当該デジタル図面の属性情報とする。
この図面サーバ20への送信は、縮尺データを付与した際、送信を促す表示を出してもよいし、次回、当該タブレット型端末装置50が、図面サーバ20にアクセスした際、自動的に送信する設定としてもよい。
【0045】
次に、タブレット型端末装置50によるデジタル図面に縮尺データを付与する処理の手順について、図12のフローチャートを参照して説明する。
まず、CPU52は、ユーザからタブレット型端末装置50に表示する設計図面の指定要求を受け付けると、ネットワークを介して図面サーバ20にアクセスする。このとき、必要に応じて、ユーザの指定情報(ユーザIDやパスワード)を図面サーバ20に送信する。その後、ユーザが所望のデジタル図面の図面番号等を選択、または入力すると、CPU52は、図面サーバ20に、図面番号等を送信してデジタル図面を要求する。
この要求に対して、図面サーバ20から当該指定された図面番号等に該当するデジタル図面が送信されると、CPU52は通信装置56を介してデジタル図面を受信する(ステップ30)。
【0046】
次に、CPU52は、ステップ30にて受信したデジタル図面から属性情報を抽出する(ステップ31)。このとき、属性情報に縮尺データが含まれていなかった場合(ステップ32;Y)、図面データを所定の縮尺で表示する演算処理が行えないため、CPU52は、予め決められた仮縮尺(例えば1/200)と、仮デフォルト表示要求縮尺(=仮縮尺1/200)を使用して、座標換算値を演算する。CPU52は、この座標換算値を使用して図面データ(設計図面)を表示画面51に仮の縮尺で表示する(ステップ33)。
またCPU52は、図10に示すように、表示画面51の右下に「アジャスト」ボタンを表示する。この「アジャスト」ボタンが表示されることで、ユーザは、縮尺データが不明であることを認識することができる。
なお、図10には表示していないが、表示画面51の左上に縮尺表示として「仮縮尺1/200」と表示するようにしてもよい。
【0047】
そして、ユーザから「アジャスト」ボタンの押下を受け付けると、CPU52は、表示画面51を図11に示すように、表示画面51の右下に選択スケール縮尺をリスト表示し、アジャストモードに切り替える。このアジャストモードにおいて、CPU52は、ユーザの指示に従い、表示している図面データの拡大・縮小を行う(ステップ35)。
すなわち、CPU52は、仮デフォルト表示要求縮尺(1/200)から、表示画面51に拡大・縮小表示した後の縮尺を仮表示要求縮尺として記憶しておく。いま、ユーザの拡大・縮小操作により、元のサイズから2倍の指示がされた場合には、仮デフォルト表示要求縮尺(1/200)の2倍の値である1/100が仮表示要求縮尺として記憶される。
【0048】
なお、属性情報に縮尺データが存在していた場合(ステップ32;N)、ユーザから「アジャスト」ボタンの選択を受け付けなかった場合(ステップ34;N)、CPU52は、処理を終了する。
【0049】
そして、ユーザから表示画面51の右下にリスト表示した選択スケール縮尺の中から選択スケール縮尺の選択を受け付けると、(ステップ36;Y)、CPU52は、上記式2に基づき演算処理を行い、当該図面データの縮尺データを求める。そして、当該デジタル図面に縮尺データを付与する(ステップ37)。
その後、縮尺データが付与された属性情報を図面サーバ20へ送信して(ステップ38)、アジャストモードの処理を終了する。
なお、ステップ38の処理は、アジャストモード終了後に行うようにしてもよい。
【0050】
本変形例によれば、デジタル図面の属性情報として、縮尺のデータが存在しない場合であっても、後に縮尺のデータを付与することができ、以後、正確に実寸に準拠した縮尺で図面を表示させることができる。
【0051】
上記した変形例では、縮尺データが存在しない場合について説明したが、存在していた縮尺データが誤っていた場合にも、同様の処理で正しい縮尺データを付与(訂正)することができる。
この場合、縮尺データそのものは存在しているため、「アジャスト」ボタンは表示されない。このため、縮尺の誤りに気づいたユーザは、縮尺修正のために、アジャストモードに移行するための操作を行う。この操作がされた場合に、図10の「アジャスト」ボタンが選択された場合と同様の処理を行う。
【0052】
以上説明した本実施形態や変形例では、設計図面を中心に説明したが、本発明は、これに限定されることなく、例えば、地図の表示などにも応用することができる。
また、本実施形態は、実物を縮小して表示する図面データだけでなく、実物を実寸で表示する図面データにも対応できる。紙の図面に比較して、携帯に便利であり、また、表示画面51上で、通常の定規を使って、寸法を計測することもできる。
さらに、本実施形態は、実物を拡大して表示することも可能である。微細なものの図面データを表示画面51に拡大して表示することで、内容を詳細に把握したり、正確に計測したりすることができる。
例えば実寸の10倍スケール、20倍スケール等を用意すれば、それに併せた尺度の三角スケールを用いることで換算が不要となる。また、通常の定規であれば換算することで正確な寸法を知ることができる。
【符号の説明】
【0053】
20 図面サーバ
22 CPU
50 タブレット型端末装置
51 表示画面
52 CPU
68 図面表示プログラム
69 表示密度記憶部
100 三角スケール
200 固定縮尺メニュー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
デジタル図面の図面データを表示画面に表示する端末装置であって、
前記図面データを実寸印刷する際の縮尺データを備えたデジタル図面を受信するデジタル図面受信手段と、
前記表示画面の表示密度に関するデータを記憶する表示密度データ記憶手段と、
前記デジタル図面受信手段で受信したデジタル図面から縮尺データを抽出する縮尺データ抽出手段と、
前記表示密度記憶手段に記憶された表示密度データと、前記縮尺データ抽出手段で抽出した縮尺データとから演算処理を行い、前記表示画面にデジタル図面の図面データを表示する表示手段と、
を備えたことを特徴とする端末装置。
【請求項2】
ユーザに複数の段階の固定縮尺を提示する固定縮尺提示手段と、
前記固定縮尺提示手段で提示された複数の固定縮尺から1の固定縮尺の選択を受け付ける選択受付手段と、
前記選択受付手段で1の固定縮尺の選択を受け付けた際、前記表示手段が選択された固定縮尺でデジタル図面の図面データを表示することを特徴とする請求項1記載の端末装置。
【請求項3】
前記デジタル図面受信手段が受信するデジタル図面が、当該デジタル図面の図面データがラスタ形式の図面データであった場合、縦、横両方向の図面解像度に関するデータを備えていることを特徴とする請求項1記載の端末装置。
【請求項4】
前記表示密度データ記憶手段が記憶する当該表示画面の密度に関するデータが、当該表示画面の「ピクセル数/表示画面の表示領域の実際の寸法」で表される値であり、この値を表示画面の縦、横両方向で記憶していることを特徴とする請求項1、請求項2、または請求項3記載の端末装置。
【請求項5】
前記固定縮尺提示手段でユーザに提示する複数の固定縮尺が、三角スケールに記載されている縮尺に対応していることを特徴とする請求項2記載の端末装置。
【請求項6】
デジタル図面の図面データを表示画面に表示し、前記表示画面の表示密度に関するデータを記憶する表示密度データ記憶手段を備えた端末装置であって、
前記図面データを実寸印刷する際の縮尺データを備えたデジタル図面を受信するデジタル図面受信機能と、
前記デジタル図面受信機能で受信したデジタル図面から縮尺データを抽出する縮尺データ抽出機能と、
前記表示密度記憶手段に記憶された表示密度に関するデータと、前記縮尺データ抽出機能で抽出した縮尺データとから演算処理を行い、前記表示画面にデジタル図面の図面データを表示する表示機能と、
をコンピュータに実現させる端末装置の図面表示プログラム。
【請求項7】
前記抽出手段が、縮尺データを抽出することができなかった場合、
図面データを仮の縮尺データで前記表示画面に表示する仮表示手段と、
前記表示画面に表示されたデジタル図面の図面データの拡大・縮小のある段階で、ユーザから固定縮尺の設定を受け付ける固定縮尺設定受付手段と、
前記固定縮尺設定受付手段で固定縮尺の設定を受け付けた際の表示要求縮尺及び設定を受け付けた固定縮尺と、前記仮表示手段が表示した際の仮の縮尺から、当該デジタル図面の図面データに、付与する縮尺データを演算する縮尺データ演算手段と、
を備えたことを特徴とする請求項1記載の端末装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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