説明

端末装置、自動キャリブレーションの実行方法およびプログラム

【課題】自動キャリブレーション中にユーザが操作してしまうことによる自動キャリブレーションの失敗の防止。
【解決手段】端末装置は、ユーザの操作に基づき位置または指示量を検出する第1の入力装置と、前記第1の入力装置への接近物の存在を検出する第2の入力装置と、前記第1の入力装置の自動キャリブレーションを実行するとともに、前記自動キャリブレーション中に、前記第2の入力装置から前記第1の入力装置への接近物の存在が検出された場合、前記第1の入力装置の自動キャリブレーションを中止する制御部と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、端末装置、自動キャリブレーションの実行方法およびプログラムに関し、特に、ユーザの操作に基づき位置または指示量を検出する入力装置を備えた端末装置、自動キャリブレーションの実行方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
昨今、携帯電話やノートPC(Personal Computer)、タブレットPCなどの携帯端末および据え置き型のデスクトップPCやCD(Cash Dispenser)機などにおいて、ユーザー志向の高まりとともにユーザビリティ向上のためにユーザインターフェース(以下、「UI」と称する。)が進化し、従来からのUIデバイス代表とも言えるマウスや静電パッド、キーボードに加えて、タッチパネルやトラックボール、スティックポインタ(登録商標)、ニューロポインタ(登録商標)といった各種UIデバイスが考案されている。
【0003】
これらのUIデバイスの多くはアナログのセンサ出力を用いており、アナログであるため温度変化・経時変化によりセンサ出力値が変化してしまう。そこで、無入力時の基準位置(原点)がずれることを防ぐために無入力状態でのキャリブレーションが必要となる。
【0004】
例えば、特許文献1に、使用者が“マーク”位置を押さなくとも、その基準位置(原点)の電圧を検出し、位置補正を実施できるペン入力タブレットが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−166873号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
以下の分析は、本発明によって与えられたものである。
【0007】
上記特許文献1に開示されているような自動位置補正処理(以下、「自動キャリブレーション」という。)を実行可能な端末装置では、自動キャリブレーション中に、これを知らないユーザがキャリブレーション対象の入力装置を操作してしまうと、当該操作に基づいて誤った内容でキャリブレーションデータが学習されてしまうという問題点がある。
【0008】
これを防ぐため、例えば、自動キャリブレーション中は、画面に「キャリブレーション中のためデバイスに触れないでください。」と表示することや、不使用時にキャリブレーションを済ませてしまうことも考えられるが、ユーザの利便性や機器の用途や性質を考えると、この種の対策を採用できないことも多い。
【0009】
本発明は、上記した事情に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、自動キャリブレーションの失敗を防ぐことのできる端末装置、自動キャリブレーションの実行方法およびプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の第1の視点によれば、ユーザの操作に基づき位置または指示量を検出する第1の入力装置と、前記第1の入力装置への接近物の存在を検出する第2の入力装置と、前記第1の入力装置の自動キャリブレーションを実行するとともに、前記自動キャリブレーション中に、前記第2の入力装置から前記第1の入力装置への接近物の存在が検出された場合、前記第1の入力装置の自動キャリブレーションを中止する制御部と、を備えた端末装置が提供される。
【0011】
本発明の第2の視点によれば、ユーザの操作に基づき位置または指示量を検出する第1の入力装置と、前記第1の入力装置への接近物の存在を検出する第2の入力装置と、を備える端末装置の前記第1の入力装置の自動キャリブレーションの実行方法であって、所定の開始条件により、前記第1の入力装置の自動キャリブレーションを開始するステップと、前記自動キャリブレーション中に、前記第2の入力装置から前記第1の入力装置への接近物の存在が検出された場合、前記第1の入力装置の自動キャリブレーションを中止するステップと、を含むこと、を特徴とする自動キャリブレーションの実行方法が提供される。本方法は、上記第1、第2の入力装置を備える端末装置という、特定の機械に結びつけられている。
【0012】
本発明の第3の視点によれば、ユーザの操作に基づき位置または指示量を検出する第1の入力装置と、前記第1の入力装置への接近物の存在を検出する第2の入力装置と、を備える端末装置に搭載されたコンピュータに実行させるプログラムであって、所定の開始条件により、前記第1の入力装置の自動キャリブレーションを開始する処理と、前記自動キャリブレーション中に、前記第2の入力装置から前記第1の入力装置への接近物の存在が検出された場合、前記第1の入力装置の自動キャリブレーションを中止する処理と、を前記コンピュータに実行させるプログラムが提供される。なお、このプログラムは、コンピュータが読み取り可能な記憶媒体に記録することができる。即ち、本発明は、コンピュータプログラム製品として具現することも可能である。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、自動キャリブレーション中にユーザが操作してしまうことによる自動キャリブレーションの失敗を防ぐことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の第1の実施形態の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の第1の実施形態の動作を表したフローチャートである。
【図3】本発明の第2の実施形態の動作を表したフローチャートである。
【図4】本発明の第3の実施形態の動作を表したフローチャートである。
【図5】本発明の第4の実施形態の動作を表したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
はじめに、本発明の概要について説明する。本発明は、ユーザの操作に基づき位置または指示量を検出する第1の入力装置と、前記第1の入力装置への接近物の存在を検出する第2の入力装置と、前記第1の入力装置の自動キャリブレーションを実行する制御部とを備えた端末装置により実現できる。より具体的には、制御部は、上記した自動キャリブレーションの対象である第1の入力装置の自動キャリブレーション中に、前記第2の入力装置から前記第1の入力装置への接近物の存在が検出された場合、前記第1の入力装置の自動キャリブレーションを中止する。
【0016】
以上により、ユーザの操作等に基づいて誤った内容のキャリブレーションデータが設定されてしまう事態の発生を抑止することができる。
【0017】
[第1の実施形態]
続いて本発明の第1の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。図1は、本発明の第1の実施形態に係る端末装置の構成を表わしたブロック図である。図1を参照すると、第1の入力装置11と、表示部12と、制御部13と、第2の入力装置14と、記憶部15とを備えた構成が示されている。
【0018】
第1の入力装置11は、タッチパネル、スティックポインタ(登録商標)、ニューロポインタ(登録商標)等の、基準位置または原点からの位置や操作量を検出するタイプのUIデバイスである。
【0019】
表示部12は、液晶ディスプレイデバイスや有機ELディスプレイなどの表示装置によって構成されている。
【0020】
制御部13は、所定の自動キャリブレーション開始条件に従い、第1の入力装置11の上記基準位置または原点についての自動キャリブレーションを実施する。具体的には、制御部13は、第1の入力装置11から出力された、キャリブレーションデータを使用しないセンサ出力値に基づいて、その補正を行うためのキャリブレーションデータを算出する動作を行う。
【0021】
第2の入力装置14は、ユーザ(人体)等の接近物が第1の入力装置の近くに存在するか否かを検出する人感センサである。このような人感センサは、ユーザ(人体)から放射される遠赤外線を検出する赤外線センサや超音波の反射によって検出する超音波センサ等で構成される。以下の実施形態では、第2の入力装置14は、付近にユーザ(人体)が感知されない状態では0に近い数値を出力し、ユーザ(人体)が第1の入力装置11に近づくに従い、大きな値を出力するものとする。
【0022】
記憶部15は、第1の入力装置11からの出力データの格納先として用いられるメモリ等である。
【0023】
上記のような構成を持つ端末装置10としては、携帯電話端末、ノートPC、タブレットPCなどの携帯端末、据え置き型のデスクトップPC、各種UIデバイスから操作を受け付ける家電機器、カーナビゲーションシステム等の車載機器や銀行のCD機などの種々のものが考えられるが、以下の説明では、携帯電話端末であるものとして説明する。
【0024】
また、上記した端末装置10の制御部13は、端末装置10を構成するコンピュータに、そのハードウェア(入力装置、記憶装置、表示装置)を用いて、上記した制御部13の処理を実行させるコンピュータプログラムにより実現することもできる。
【0025】
続いて、本実施形態の動作について図面を参照して詳細に説明する。図2は、本発明の第1の実施形態の動作を表したフローチャートである。図2を参照すると、まず、制御部13は、自動キャリブレーションの開始条件が成立しているか否かを判定する(ステップS001)。なお、自動キャリブレーションの開始条件としては、深夜などのユーザの使用が少ない特定の時間帯、一定時間の経過、端末装置の電源オン操作時など種々の条件が、端末装置10の種類や用途に応じて設定される。
【0026】
自動キャリブレーションの開始条件が成立している場合、制御部13は、第2の入力装置14に対し、データ出力を要求する制御信号C2を送出する(ステップS002)。
【0027】
前記制御信号C2を受信した第2の入力装置14は、制御部13に対し、第1の入力装置11の付近にユーザ(人体)が存在するか否かを示すデータを出力する。
【0028】
制御部13は、第2の入力装置14からデータを受信すると(ステップS003)、出力値が、予め定めたしきい値(Y)を超えているか否かにより、第1の入力装置11に接近物があるか否かを判断する(ステップS004)。
【0029】
前記しきい値(Y)との比較の結果、第1の入力装置11に接近物があると判断された場合(ステップS004のYes)、制御部13は、自動キャリブレーションを中止する(ステップS001へ)。この場合、次回の自動キャリブレーションの開始条件が成立するまで、自動キャリブレーションの実施は抑止されることになる。
【0030】
他方、第1の入力装置11に接近物はないと判断した場合(ステップS004のNo)、制御部13は、制御部13は、第1の入力装置11に対し、第1の入力装置11内部で保持するキャリブレーションデータ(校正値)を適用する前の基準位置または原点のデータの出力を要求する制御信号C1を送出する(ステップS005)。
【0031】
前記制御信号C1を受信した第1の入力装置11は、制御部13に対し、基準位置または原点のデータを出力する。
【0032】
制御部13は、第1の入力装置11からデータを受信すると(ステップS006)、記憶部15に保存する。
【0033】
制御装置13は、一定時間(T秒)待機した後(ステップS007)、上記ステップS002〜S007を規定回数(N回)繰り返す(ステップS008)。
【0034】
N回目のデータを受信すると、制御装置13は、記憶装置15からN回分のデータを読み出し、平均化処理する(ステップS009)。
【0035】
制御部13は、キャリブレーションデータ(校正値)として、第1の入力装置11に上記ステップS009にて平均化処理した値を保持させる制御信号を送出する(ステップS010)。
【0036】
以上により、自動キャリブレーション処理が完了する。その後、制御部13が、第1の入力装置11に対し、通常のデータ出力を要求した場合、第1の入力装置11は、出力データとして、測定したデータにキャリブレーションデータ(校正値)よる補正を加えたデータを出力する。
【0037】
なお、図2のフローチャート中のデータ出力間隔(T秒)、回数(N回)、閾値(Y)は、第1の入力装置11を構成するUIデバイスのセンサ出力ばらつきや追従性、第2の入力装置14を構成する人感センサの出力特性などを考慮し、デバイス供給メーカーや、端末メーカーによって任意に定められる。
【0038】
以上のように、本実施形態によれば、自動キャリブレーション実行中に、第1の入力装置の操作がされる可能性があることを検知して、自動キャリブレーションを中止するため、誤ったキャリブレーションデータが設定されることを防ぐことが可能になる。
【0039】
また、本発明の第2の入力装置14としては、携帯端末や液晶テレビ等の省電力制御用の人感センサを備えた機器に搭載された人感センサを利用することができるので、部品点数を増大させることなく、また、コストやサイズにおいても有利である。
【0040】
続いて、上記第1の実施形態に変更を加えた第2〜第4の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。以下、本発明の第2〜第4の実施形態は、第1の実施形態と同等の構成にて実現できるので、図3〜図5のフローチャートを参照して動作上の相違点を説明する。
【0041】
[第2の実施形態]
図3は、本発明の第2の実施形態の動作を表したフローチャートである。図3のステップS001〜ステップS006およびステップS007〜ステップS010の動作は上記した第1の実施形態と同様であるので説明を省略する。
【0042】
本実施形態では、ステップS006の第1の入力装置11からのデータ受信後、記憶部15に保存した前回データとの比較処理が追加されている(ステップS011)。この比較の結果、前回の値からの変化が所定のしきい値(X)以上である場合(ステップS011のYes)、制御部13は、自動キャリブレーションを中止する(ステップS001へ)。
【0043】
上記処理を追加した本実施形態によれば、第1の実施形態の効果に加え、例えばタッチパネル面への異物落下等、第2の入力装置14では検出しえない事象により、誤ったキャリブレーションデータが設定されることを防ぐことができる。
【0044】
[第3の実施形態]
図4は、本発明の第3の実施形態の動作を表したフローチャートである。図4のステップS001〜ステップS006およびステップS007〜ステップS010の動作は上記した第1の実施形態と同様であるので説明を省略する。
【0045】
本実施形態では、ステップS003の第2の入力装置14からのデータ受信後、受信データが、予め定めた第2のしきい値(Y2)を下回るか否かにより、ユーザ(人)などが自装置の近くにいるか否かを判断する処理が追加されている(ステップS012)。前述したとおり、第2の入力装置14は、付近にユーザ(人体)が感知されない状態では0に近い数値を出力し、ユーザ(人体)が第1の入力装置11に近づくに従い、大きな値を出力するので、第2のしきい値(Y2)として、しきい値(Y)よりも小さな値が設定される。
【0046】
前記第2のしきい値(Y2)との比較の結果、自装置の近くにユーザ(人)などが存在しないと判断した場合(ステップS012のNo)、制御部13は、自動キャリブレーションを中止する(ステップS001へ)。この場合、次回の自動キャリブレーションの開始条件が成立するまで、自動キャリブレーションの実施は抑止されることになる。
【0047】
他方、自装置の近くにユーザ(人)などが存在すると判断した場合(ステップS012のYes)、制御部13は、ステップS004以下の自動キャリブレーション処理を実行する。
【0048】
以上のように、自装置の近くにユーザ(人)などが存在することを自動キャリブレーションの開始条件とする本実施形態によれば、第1の入力装置11への接近物がある場合のみならず、ユーザ(人)などが近くにいない場合も、自動キャリブレーション処理を抑止するため、第1の実施形態の効果に加えて、省電力性を高めることができる。
【0049】
[第4の実施形態]
上記した第3の実施形態では、ユーザ(人)が端末装置10に近付いて第1の入力装置11に触れるまでに自動キャリブレーションが完了することを前提としている。しかしながら、第1の入力装置11となるUIデバイスの特性や、第2の入力装置14として用いる人感センサの特性、ユーザ(人)の動作の速さによっては、図4のステップS012でユーザが近くにいると判定し、自動キャリブレーションを開始したにも拘らず、自動キャリブレーション中に、ステップS004で第1の入力装置への接近物ありと判定されることがありうる。この結果、長期間自動キャリブレーションの実施ができないことも考えられる。
【0050】
続いて、省電力性能を確保しつつ、ある程度の時間間隔で自動キャリブレーションを実施できるようにした本発明の第4の実施形態について説明する。図5は、本発明の第4の実施形態の動作を表したフローチャートである。本実施形態も後半部分は、上記各実施形態とほぼ同一であるので、以下相違点を中心に説明する。
【0051】
本実施形態の自動キャリブレーションの開始条件(図5のステップS001参照)としては、少なくとも一定の時間間隔で自動キャリブレーションを行う条件が設定されているものとする。
【0052】
まず、図5に示すように、端末装置10の制御部13は、所定の時間間隔で、第2の入力装置14に対し、データ出力を要求する制御信号C2を送出する(ステップS101)。
【0053】
前記制御信号C2を受信した第2の入力装置14は、制御部13に対し、データを出力する。
【0054】
制御部13は、第2の入力装置14からデータを受信すると(ステップS102)、第2の入力装置14の出力値と、上記第3の実施形態と同様のしきい値(Y)、第2のしきい値(Y2)とを比較する(ステップS103、S104)。
【0055】
前記比較の結果、第1の入力装置11に触れる程度ではないが、自装置の近くにユーザ(人)などが存在すると判断した場合(ステップS103のYes、ステップS104のNo)、制御部13は、上記ステップS001で用いる自動キャリブレーションの実行間隔を短縮する(ステップS106)。
【0056】
また、自装置の近くにユーザ(人)などが存在すると判断し、かつ、それが第1の入力装置11に触れる程度であると判断した場合(ステップS103のYes、ステップS104のYes)、制御部13は、上記ステップS001で用いる自動キャリブレーションの実行間隔を長くする(ステップS105)。
【0057】
なお、自装置の近くにユーザ(人)などが存在しないと判断した場合は、自動キャリブレーションの実行間隔の変更は行わないものとする。
【0058】
その後は第1の実施形態と同様に、制御部13は、自動キャリブレーションの開始条件が成立しているか否かを判定し、第1の実施形態と同様に自動キャリブレーションを実施する(ステップS001〜S010)。但し、自装置の近くにユーザ(人)などが存在すると判断し、かつ、それが第1の入力装置11に触れる程度であると判断した場合(ステップS103のYes、ステップS104のYes)、自動キャリブレーションの実行間隔は延ばされているので、ステップS004の第1の入力装置11に接近物があるか否かの判断は不要となる。
【0059】
以上のように、自動キャリブレーションの実行間隔を調整することで、第3の実施形態と同様に、ユーザが近くにいるときには積極的に自動キャリブレーションを行なうとともに、第1の入力装置11が操作されようとしているときには、自動キャリブレーションの実行間隔を延ばすことで自動キャリブレーションの実行を延期させることができる。
【0060】
以上、本発明の好適な実施形態を説明したが、本発明は、上記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の基本的技術的思想を逸脱しない範囲で、更なる変形・置換・調整を加えることができる。
【0061】
例えば、第2の入力装置14は、しきい値(Y、Y2)やデバイスパラメータのチューニングによって、機械や動物、昆虫などに対応することも可能であり、人以外のものでも検出可能となるよう設定しても良い。
【0062】
また上記した実施形態では、第2の入力装置14は、人感センサであるものとして説明したが、端末装置10に搭載または接続されている各種のカメラや、携帯端末やノート型PCの開閉状態や筺体のスライド状態を検出するスイッチなどを用いることも可能である。その他、例えば、モーションセンサ、空間センサ、赤外線センサ、静電容量センサ、超音波センサなどを第2の入力装置14として用いることも可能である。
【0063】
なお、上記各種センサのうち、第1の実施形態で説明したように、赤外線等を利用した人感センサを用いることで、人と物の区別ができるようになる。これにより、接近物が自動キャリブレーションに影響を及ぼすものであるか否かを判別し、人体等の接近が認められた場合にのみ、自動キャリブレーションを中止または延期するようにしてもよい。
【0064】
また、上記した実施形態では、人感センサのからの出力値がしきい値を超えることを条件に、接近物の検出を行っているが、より精緻に、人感センサ等からの出力値(即ち、センサと対象物との距離)の変化に基づき接近しているか否かを検出したり、動きを予測して接近を検出するようにしてもよい。
【0065】
また上記した各実施形態では、第1の入力装置11にて測定されたN回分のデータを平均化処理してキャリブレーションデータを作成するものとして説明したが、例えば、メジアン(中央値)や最頻値などのその他の統計処理により得られた値を採用することも可能である。
【0066】
また上記した第3、第4の実施形態では、第2の入力装置14に、ユーザが近くにいることと、第1の入力装置11への接近物の存在とをそれぞれ区別して検出させるものとして説明したが、その一方を第2の入力装置14とは別の第3の入力装置に担わせる構成も採用可能である。例えば、第2の入力装置14としてごく至近の接近物の存在を検出するセンサを用い、ユーザ(人)が近くにいることについては、端末装置10が設置されているエリアの出入口のセンサ、省電力制御用の人感センサやカメラの画像などにより検出する構成も採用可能である。
【0067】
また、メンテナンス担当者等の必要な人には、キャリブレーション機能が正しく働いていることがわかるように、第2の入力装置14の判定結果やキャリブレーション機能の動作状態を表示するアイコンやLED等の状態表示手段を設けたり、キャリブレーション機能の動作履歴をログとして記録する構成等も採用可能である。
【符号の説明】
【0068】
10 端末装置
11 第1の入力装置
12 表示部
13 制御部
14 第2の入力装置
15 記憶部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの操作に基づき位置または指示量を検出する第1の入力装置と、
前記第1の入力装置への接近物の存在を検出する第2の入力装置と、
前記第1の入力装置の自動キャリブレーションを実行するとともに、前記自動キャリブレーション中に、前記第2の入力装置にて前記第1の入力装置への接近物の存在が検出された場合、前記第1の入力装置の自動キャリブレーションを中止する制御部と、を備えたこと、
を特徴とする端末装置。
【請求項2】
ユーザが近くにいることが、前記第1の入力装置の自動キャリブレーションの開始条件として設定されている請求項1の端末装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記第1の入力装置から所定回数のデータを受け取って、所定の統計処理を施すことにより、前記第1の入力装置のキャリブレーションデータを作成する請求項1または2の端末装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記第1の入力装置から受け取ったデータが、前回受信したデータとの差異が所定のしきい値以上である場合、前記第1の入力装置の自動キャリブレーションを中止する請求項3の端末装置。
【請求項5】
前記第2の入力装置は、ユーザが近くにいることと、前記第1の入力装置への接近物の存在とをそれぞれ区別して検出可能であり、
ユーザが前記第1の入力装置に近づいた段階で自動キャリブレーションを開始し、前記自動キャリブレーション中に、ユーザが前記第1の入力装置に触れようとした場合、前記第1の入力装置の自動キャリブレーションを中止する請求項1から4いずれか一の端末装置。
【請求項6】
前記第2の入力装置は、ユーザが近くにいることと、前記第1の入力装置への接近物の存在とをそれぞれ区別して検出可能であり、
近くにユーザがいない場合、前記第1の入力装置の自動キャリブレーションの実行間隔を広げる請求項1から4いずれか一の端末装置。
【請求項7】
前記自動キャリブレーション中であるか否かを示す状態表示手段を備える請求項1から6いずれか一の端末装置。
【請求項8】
ユーザの操作に基づき位置または指示量を検出する第1の入力装置と、
前記第1の入力装置への接近物の存在を検出する第2の入力装置と、を備える端末装置の前記第1の入力装置の自動キャリブレーションの実行方法であって、
所定の開始条件により、前記第1の入力装置の自動キャリブレーションを開始するステップと、
前記自動キャリブレーション中に、前記第2の入力装置にて前記第1の入力装置への接近物の存在が検出された場合、前記第1の入力装置の自動キャリブレーションを中止するステップと、を含むこと、
を特徴とする自動キャリブレーションの実行方法。
【請求項9】
ユーザの操作に基づき位置または指示量を検出する第1の入力装置と、
前記第1の入力装置への接近物の存在を検出する第2の入力装置と、を備える端末装置に搭載されたコンピュータに実行させるプログラムであって、
所定の開始条件により、前記第1の入力装置の自動キャリブレーションを開始する処理と、
前記自動キャリブレーション中に、前記第2の入力装置にて前記第1の入力装置への接近物の存在が検出された場合、前記第1の入力装置の自動キャリブレーションを中止する処理と、を前記コンピュータに実行させるプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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