説明

端末装置、通信システム及び端末装置の起動方法

【課題】高性能なセンシングと低消費電力化を実現する端末装置を提供する。
【解決手段】本発明に係る端末装置は、計測対象の物理量を計測する計測用センサと、起動された場合に前記計測用センサを非起動状態から起動状態へ切り替える制御部と、前記計測用センサに比べ低消費電力で駆動し、前記計測対象の物理量と相関を有する物理量が、所定の起動条件として満たされた場合に前記制御部を起動させる起動部と、を備え、これにより、高性能なセンシングと低消費電力化を実現する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、計測用センサにより物理量を計測(測定)した結果を送信する端末装置や、このような端末装置を有する通信システムや、このような端末装置の起動方法に関する。
【背景技術】
【0002】
センサネットワークシステムでは、センサ端末装置が計測用センサにより物理量を計測した結果を基地局装置へ送信することが行われている。
特許文献1に記載されたワイヤレスセンサでは、無電力で作動するセンサがON状態の時に電源部の電力を供給可能とし、当該センサがOFF状態の時に当該電源部の電力を供給不能とし、発信部が当該電源部の電力を供給されて所定の情報を無線で外部に発信することが行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−108884号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述のようなワイヤレスセンサでは、無電力で作動するセンサを用いる必要があり、具体的には、磁性体、形状記憶合金、圧電素子などからなるセンサを用いる必要があるため、物理量を計測するセンサの選択の自由度が少ないという問題があった。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑み為されたもので、その目的は、高性能なセンシングと低消費電力化を実現することができる端末装置、通信システム及び端末装置の起動方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る端末装置は、計測対象の物理量を計測する計測用センサと、起動された場合に前記計測用センサを非起動状態から起動状態へ切り替える制御部と、計測用センサに比べ低消費電力で駆動し、前記計測対象の物理量と相関を有する物理量が、所定の起動条件として満たされた場合に前記制御部を起動させる起動部と、を備えたことを特徴とする。
【0007】
本発明に係る端末装置は、前記起動部は、環境の変化に基づいて発電することにより駆動する起動用のセンサを有しており、前記起動用のセンサによる検出結果に基づいて前記所定の起動条件が満たされた場合に、前記制御部を起動させる、ことを特徴とする。
【0008】
本発明に係る端末装置は、前記起動部が有する前記起動用のセンサで発電した電力を使用して蓄電される充電部を備えた、ことを特徴とする。
【0009】
本発明に係る端末装置は、前記所定の起動条件が満たされない場合に、前記起動用のセンサで発電した電力が前記充電部に蓄電される、ことを特徴とする。
【0010】
本発明に係る端末装置は、前記充電部が所定の閾値以上に蓄電した場合に、前記充電部が蓄電した電力を使用して、前記計測用センサの故障の有無を検査するメンテナンスモードの動作を実行する、ことを特徴とする。
【0011】
本発明に係る端末装置は、前記充電部が所定の閾値以上に充電した場合に、前記充電部が蓄電した電力が前記計測用センサへ供給される、ことを特徴とする。
【0012】
本発明に係る端末装置は、前記計測用センサを複数備えた、ことを特徴とする。
【0013】
本発明に係る端末装置は、前記制御部は、起動した場合に、前記計測用センサへの電力が非供給である状態から供給される状態へ切り替えることにより、前記計測用センサを非起動状態から起動状態へ切り替える、ことを特徴とする。
【0014】
本発明に係る通信システムは、端末装置と、基地局装置と、を有し、前記端末装置は、計測対象の物理量を計測する計測用センサと、起動された場合に前記計測用センサを非起動状態から起動状態へ切り替える制御部と、所定の起動条件が満たされた場合に前記制御部を起動させる起動部と、前記計測用センサによる計測結果の情報を送信する通信部と、を備え、前記基地局装置は、前記端末装置から送信された情報を受信する、ことを特徴とする。
【0015】
本発明に係る端末装置の起動方法は、起動部が、所定の起動条件が満たされた場合に制御部を起動させ、前記制御部が、起動された場合に計測用センサを非起動状態から起動状態へ切り替え、前記計測用センサが、計測対象の物理量を計測し、通信部が、前記計測用センサによる計測結果の情報を送信する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る端末装置、通信システム及び端末装置の起動方法によれば、高性能なセンシングと低消費電力化を実現することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るセンサ端末装置の構成を示す概略ブロック図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係るセンサ端末装置により行われる動作のフローチャートを示す図である。
【図3】本発明の第2の実施形態に係るセンサ端末装置の構成を示す概略ブロック図である。
【図4】本発明の第2の実施形態に係るセンサ端末装置により行われる動作のフローチャートを示す図である。
【図5】本発明の第3の実施形態に係るセンサネットワークシステムの構成を示す概略ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明を実施するための形態について、図面を参照して詳細に説明する。
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係るセンサ端末装置1(端末装置の一例)の構成を示す概略ブロック図である。
本実施形態に係るセンサ端末装置1は、起動部11と、制御部12と、センサ部13と、通信部14と、電源15と、を備えている。センサ部13には、計測用センサ21−1〜21−nを備えている。図1では、計測用センサが複数個である例を示しているが、単数でも良い。
【0019】
起動部11は、センサ端末装置1の周囲の環境の変化を検出する起動用センサを1つ以上備えている。起動部11は、起動用センサによりセンサ端末装置1の周囲の環境の変化が所定の起動条件を満たしたことを検出した場合に、制御部12へ所定の信号を当該制御部12への割り込み信号として送信する。このように、起動部11は、起動のためのスイッチとして機能する。
ここで、本実施形態では、起動部11は、前記所定の信号として、センサ端末装置1の周囲の環境の変化が所定の起動条件を満たした場合に、制御部12を起動させるための所定の閾値を超えるレベルの信号を割り込み信号として送信する回路構成を有している。
【0020】
なお、本実施形態では、起動用センサは、センサ端末装置1の周囲の環境の変化が所定の起動条件を満たしたことを検出した場合に、制御部12へ割り込み信号を送信するが、他の例として、起動用センサはその検出結果に応じた信号を割り込み信号として常に制御部12へ送信し、制御部12に入力される割り込み信号のレベルが所定の閾値を超えたときに実際に制御部12に割り込みが為されるような構成を用いることも可能である。
【0021】
ここで、起動部11が制御部12へ割り込み信号を送信するための起動条件としては、様々な条件が用いられてもよく、例えば、センサ端末装置1の周囲の環境の変化量が所定の閾値以上となったという条件を用いることができる。
なお、本実施形態では、起動部11が制御部12を起動させるための信号として、割り込み信号を用いるが、他の信号が用いられてもよい。
【0022】
また、起動部11に複数の起動用センサが備えられる場合には、一例として、各々の起動用センサが、独立に動作して、所定の起動条件を満たす周囲の環境の変化を検出した場合に制御部12へ割り込み信号を送信する構成を用いることができ、本実施形態ではこの構成を用いている。或いは、他の例として、起動部11に備えられた複数の起動用センサの検出状況の組み合わせが所定の起動条件を満たした場合に、起動部11が制御部12へ割り込み信号を送信する構成を用いることもできる。
【0023】
また、起動部11に複数の起動用センサが備えられる場合には、これら複数の起動用センサとしては、同じ物理量を同じ感度や分解能で検出するセンサが用いられてもよく、或いは、同じ物理量を異なる感度や分解能で検出するセンサが用いられてもよく、或いは、異なる物理量を検出するセンサが用いられてもよく、或いは、これらの組み合わせが用いられてもよい。
【0024】
制御部12には、常時、電源15から電力が供給されているが、通常時は、スリープ状態になっている。そして、制御部12は、起動部11からの割り込み信号の入力端における入力値が所定の閾値を超えた場合に起動する。
このように、本実施形態では、制御部12に起動部11からの割り込み信号が入力された場合に、制御部12がスリープ状態から起動状態へ移行する。
なお、本実施形態では、制御部12が起動していない時の状態として、スリープ状態を用いるが、他の例として、起動しているときよりも消費電力が少ない他の状態が用いられてもよい。
【0025】
ここで、本実施形態では、起動用センサとして、周囲の環境の変化を検出するために電力を必要としないセンサが用いられている。このため、起動部11は電源15に接続されていない。
起動用センサとしては、様々な対象(物理量)を検出するセンサが用いられてもよく、例えば、磁性体、熱電素子、圧電素子、焦電素子などの材料を使用したセンサを用いることができる。このような起動用センサでは、待機中の消費電力は実質上ゼロであり、センサ端末装置1が置かれた環境(例えば、電磁波、温度、圧力、空気流、音波、微粒子流などのいずれか)の変化を検出することができる。
具体例として、起動用センサとして圧電体を使用したフローセンサを用いると、流速に応じた電圧を発生する。この場合、センサ端末装置1の周囲の流体の速度が一定値を超えると、制御部12が起動する。起動用センサとしては、他にも、発電型の加速度センサなどを用いることもできる。
【0026】
なお、本実施形態では、起動用センサとして、周囲の環境の変化を検出するために外部からの電力の供給を必要としないセンサが用いられているが、他の例として、周囲の環境の変化を検出するために外部から計測用センサに比べ低電力の供給を必要とするセンサが用いられてもよい。この場合には、例えば、起動用センサに電池を備えて、当該電池からの電力を当該起動用センサへ供給する構成や、或いは、センサ端末装置1に備えられた電源15からの電力を起動用センサへ供給する構成を用いることができる。外部からの電力の供給を受けながらも、計測用センサに比べ低消費電力で駆動する起動用センサを用いることで、低消費電力のセンサ端末装置を実現することができる。
【0027】
制御部12は、起動状態になると、センサ部13に備えられた各計測用センサ21−1〜21−nへ電源15からの電力を供給することにより、当該各計測用センサ21−1〜21−nを起動する。
各計測用センサ21−1〜21−nは、起動されると、準備時間を経た後に計測時間に、各々の計測対象(物理量)を計測する。この計測結果は制御部12へ出力される。
【0028】
ここで、本実施形態では、各計測用センサ21−1〜21−nとしては、周囲の環境の変化を検出するために電力を必要とするセンサが用いられている。他の例として、各計測用センサ21−1〜21−nとしては、周囲の環境の変化を検出するために電力を必要としないセンサが一部に用いられてもよく、本実施形態では、このようなセンサは起動用センサとしても用いることが可能なものである。
また、各計測用センサ21−1〜21−nとしては、様々なセンサが用いられてもよく、例えば、振動センサ、加速度センサ、ビデオカメラ、煙センサ、湿度センサなどを用いることができる。そして、各計測用センサ21−1〜21−nにより、例えば、温度、湿度、流量、流速、照度、人感など、種々なものを計測することができる。
【0029】
本実施形態では、計測用センサ21−1〜21−nにより計測する対象(物理量)と起動用センサにより検出する対象(物理量)としては、相関(因果関係)があるものを用いている。相関があるものの例としては、起動用センサにより検出される物理量と同じ物理量や、或いは、起動用センサにより対象となる物理量の変化が検出された場合に変化すると推定される異なる物理量がある。具体例として、人が通過すると光や振動や温度などが変化し得るので、これらのうちの1つ以上の物理量を起動用センサにより検出し、これらのうちの同一又は異なる1つ以上の物理量を計測用センサ21−1〜21−nにより計測することができる。
【0030】
本実施形態では、各計測用センサ21−1〜21−nとしては、計測時間においてその計測結果をアナログ信号で出力するセンサが用いられているが、他の例として、計測結果をデジタル信号で出力するセンサが用いられてもよい。
本実施形態では、制御部12は、デジタルで動作し、計測用センサ21−1〜21−nが計測結果をアナログ信号で出力するものについてはそのアナログ信号をA/D(Analog to Digital)変換器でデジタル信号へ変換する。
【0031】
なお、好ましい実施形態の例として、制御部12は、各計測用センサ21−1〜21−nが準備時間である間、スリープ状態になり、電力の消費を抑制する。そして、各計測用センサ21−1〜21−nが準備時間を終えると、制御部12は、再び起動して、当該各計測用センサ21−1〜21−nによる計測結果を取得する。ここで、各計測用センサ21−1〜21−nが準備時間である間に制御部12がスリープ状態になる構成としては、例えば、各計測用センサ21−1〜21−nの準備時間が終了するよりも少し前に制御部12がスリープ状態から起動状態へ戻るような構成が用いられてもよい。また、ある計測用センサが準備時間であるが他の計測用センサによる計測結果を取得する必要があるときには、制御部12はスリープ状態にはならずに起動状態となる。
【0032】
制御部12は、各計測用センサ21−1〜21−nから入力されて取得した計測結果を通信部14へ出力する。
通信部14は、制御部12から入力された計測結果を基地局装置(図1では、図示せず)へ送信する。なお、通信部14では、有線の通信が行われてもよく、或いは、無線の通信が行われてもよい。
電源15は、制御部12や、センサ部13に備えられた各計測用センサ21−1〜21−nや、通信部14へ電力を供給する。本実施形態では、制御部12が、電源15からセンサ部13に備えられた各計測用センサ21−1〜21−nへの電力の供給を制御する。なお、電源15としては、例えば、蓄電池などの電池を用いることができる。
【0033】
図2は、本実施形態に係るセンサ端末装置1により行われる動作のフローチャートを示す図である。
このフローチャートの説明では、起動部11に備えられた起動用センサによる検出対象の検出の有無に応じた動作を1回の動作として説明するが、本実施形態では、このような動作が常時行われている。
【0034】
制御部12がスリープ状態である時に、起動部11に備えられた起動用センサへ検出対象(本実施形態では、センサ端末装置1の周囲の環境の変化量)の入力がない場合には(ステップS1)、起動用センサにより検出対象が検出されないため、制御部12はスリープ状態を継続する。
【0035】
制御部12がスリープ状態である時に、起動部11に備えられた起動用センサへ検出対象の入力があったが(ステップS1)、例えばその入力のレベルが所定の閾値より低いというように、所定の起動条件を満たさない場合には(ステップS2)、制御部12はスリープ状態を継続する。
また、制御部12がスリープ状態である時に、起動部11に備えられた起動用センサへ検出対象の入力があり(ステップS1)、例えばその入力のレベルが所定の閾値以上であるというように、所定の起動条件を満たした場合には(ステップS2)、起動用センサは割り込み信号を制御部12へ出力する。
【0036】
制御部12は、スリープ状態である時に、起動部11(本実施形態では、起動部11に備えられた起動用センサ)から割り込み信号が入力された場合には、起動状態へ移行して駆動する(ステップS3)。そして、制御部12は、起動すると、電源15からの電力を各計測用センサ21−1〜21−nへ供給するように制御する。これにより、各計測用センサ21−1〜21−nが起動する(ステップS4)。
各計測用センサ21−1〜21−nは、起動すると、計測対象を計測して、その計測結果を制御部12へ出力する。制御部12は、各計測用センサ21−1〜21−nから入力された計測結果を通信部14へ出力する。通信部14は、制御部12から入力された計測結果を基地局装置(図1では、図示せず)へ送信する(ステップS5)。
【0037】
なお、本実施形態では、制御部12がスリープ状態である時に、起動部11により制御部12が起動され、制御部12により各計測用センサ21−1〜21−nへ電源15からの電力を供給するように制御することで各計測用センサ21−1〜21−nが起動され、各計測用センサ21−1〜21−nによる計測が行われて、その計測結果が制御部12を介して通信部14から送信される場合に、制御部12は、計測結果の取得が終了した計測用センサ21−1〜21−nへの電源15からの電力の供給を停止するように制御し、計測結果の取得の処理が終了すると、当該制御部12は再びスリープ状態へ移行する。
【0038】
以上のように、本実施形態に係るセンサ端末装置1では、計測用センサ21−1〜21−nを制御する制御部12を起動するための起動用センサが制御部12を起動するまでは、制御部12や計測用センサ21−1〜21−nにより電力を使用しない状態で待機することができ、節電することができる。但し、制御部12がスリープ状態時に電力を消費する場合には、その分の電力は使用される。
なお、この効果は、起動用センサが自己で発電せずに電源15から計測用センサに比べ低電力の供給を受け駆動する場合にも得られる。また、起動用センサが環境変化に応じて自己で発電して駆動する場合には、更に節電の効果を得ることができる。
【0039】
また、このような節電の効果は、センサ端末装置1が備えられるセンサネットワークの全体においても得られ、ネットワーク全体の消費電力を低減することができる。特に、センシングが必要な時間が実時間に占める割合が低いアプリケーションに適用される場合には、消費電力の低減効果が大きい。
【0040】
従って、本実施形態に係るセンサ端末装置1では、消費電力(待機電力)を大幅に削減することができ、例えば電池からなる電源15の寿命を延ばすことができる。これにより、センサ端末装置1に対する電池の交換などのメンテナンスの頻度や費用を削減することができ、また、センサネットワークが環境に与える影響(例えば、電力消費量や電池の廃棄)を低減することができる。また、本実施形態によらないものと比べて電源15の寿命を同じにすればよい場合には、電源15として用いられる例えば電池の大きさを小さくすることができ、これにより、センサ端末装置1の大きさを小さくすることができる。
【0041】
また、周囲の環境の変化に基づいて、所定の起動条件が満たされたときにだけ、制御部12や計測用センサ21−1〜21−nが動作するため、効率的である。
また、起動用センサとして発電型のセンサが用いられる場合には、制御部12への割り込み信号の生成が容易である。
【0042】
また、本実施形態に係るセンサ端末装置1では、起動用センサとは別に、計測用センサ21−1〜21−nを備えているため、これらを異ならせることが可能である。これにより、計測用センサ21−1〜21−nについて、センサの選択の自由度(設計の自由度)を高めることができ、様々な種類のセンサを用いることができ、センサ端末装置1を高機能化することができる。
従って、本実施形態に係るセンサ端末装置1では、高性能なセンシングと低消費電力化を実現することができる。
【0043】
ここで、本実施形態に係るセンサ端末装置1の構成は、次のようにとらえることも可能である。
すなわち、センサ端末装置1は、1つ以上の計測用センサ21−1〜21−nと、計測用センサ21−1〜21−nが非起動状態である第一消費電力状態と、計測用センサ21−1〜21−nが起動状態であり前記第一消費電力状態よりも電力を消費する第二消費電力状態とで切り替える制御部12と、制御部12に対して当該制御部12を起動する割り込み信号を送信する起動部11と、計測用センサ21−1〜21−nから制御部12を介して得られる計測結果の情報を外部と通信する通信部14と、計測用センサ21−1〜21−nと制御部12と通信部14へ電力を供給する電源15と、を備える。
【0044】
また、このようなセンサ端末装置1の起動方法は、次のようにとらえることも可能である。
すなわち、センサ端末装置1では、環境の変化に基づいて起動部11が起動するステップと、起動した起動部11が割り込み信号を制御部12へ送信して当該制御部12を起動するステップと、制御部12が、その起動状態に応じて、計測用センサ21−1〜21−nが非起動状態である第一消費電力状態と、計測用センサ21−1〜21−nが起動状態であり前記第一消費電力状態よりも電力を消費する第二消費電力状態とで切り替えるステップと、を有する。
ここで、第一消費電力状態では、必ずしも制御部12の消費電力がゼロである状態が用いられなくてもよく、例えば、制御部12で起動時よりも少ない電力を消費してもよい。
【0045】
(第2の実施形態)
図3は、本発明の第2の実施形態に係るセンサ端末装置31(端末装置の一例)の構成を示す概略ブロック図である。
本実施形態に係るセンサ端末装置31は、図1に示される第1の実施形態に係るセンサ端末装置1に備えられるものと同様な構成部として、起動部11と、制御部12と、センサ部13と、通信部14と、電源15と、を備えており、更に、充電部41を備えている。
ここで、本実施形態に係るセンサ端末装置31の構成や動作は、図1に示される第1の実施形態に係るセンサ端末装置1と比べて、充電部41を備えている点に関連する部分以外は同様であり、本実施形態では、異なる点について詳しく説明する。
【0046】
本実施形態では、起動部11に備えられる起動用センサとして、周囲の環境の変化を検出するために電力を必要とせず、環境変化に応じて自己で発電して駆動するセンサが用いられている。
本実施形態では、起動部11は、起動用センサにおいて環境変化に基づいて行った発電の量が制御部12を起動させるのに十分ではなかった場合、すなわち、所定の起動条件を満たさない場合には、発電した電力を充電部41に蓄電(充電)する。
【0047】
ここで、他の例として、起動部11は、起動用センサにおいて環境変化に基づいて行った発電の量が制御部12を起動させるのに十分である場合、すなわち、所定の起動条件を満たす場合には、発電した電力を使用して制御部12を起動させて駆動させるとともに、発電した電力のうちで余った電力を充電部41に蓄電する、という構成を用いることもできる。また、例えば、起動部11が、前述したような、所定の起動条件を満たさない場合と満たす場合の両方で、発電した電力を充電部41に蓄電する構成を用いることもできる。
【0048】
充電部41は、起動部11から供給される電力により蓄電し、蓄電した電力を制御部12や、センサ部13に備えられた計測用センサ21−1〜21−nや、通信部14へ供給することが可能である。
本実施形態では、充電部41は、計測用センサ21−1〜21−nへの電力供給を行う構成としてあり、具体的には、当該充電部41が完全に充電された場合に、計測用センサ21−1〜21−nへの電力供給を当該充電部41から行う。また、充電部41が完全に充電された場合に、当該充電部41からの電力を使用して、計測用センサ21−1〜21−nの故障の有無を検査するメンテナンスモードの動作を実行する。
【0049】
ここで、メンテナンスモードの動作を実行する機能は、例えば、センサ部13に備えられている。
また、充電部41としては、本実施形態では、蓄電池(2次電池)が用いられており、他の例として、コンデンサなどを用いることもできる。
なお、本実施形態では、充電部41が完全に充電された場合に、計測用センサ21−1〜21−nへの電力供給や、計測用センサ21−1〜21−nの故障の有無を検査するメンテナンスモードの動作の実行を行う構成としたが、他の例として、充電部41が、任意に設定された所定の閾値以上の量、充電された場合に、このような電力供給やメンテナンスモードの動作の実行を行う構成を用いることもできる。
【0050】
図4は、本実施形態に係るセンサ端末装置31により行われる動作のフローチャートを示す図である。
このフローチャートの説明では、起動部11に備えられた起動用センサによる検出対象の検出の有無に応じた動作を1回の動作として説明するが、本実施形態では、このような動作が常時行われている。
制御部12がスリープ状態である時に、起動部11に備えられた起動用センサへ検出対象(本実施形態では、センサ端末装置31の周囲の環境の変化量)の入力がない場合には(ステップS11)、起動用センサにより検出対象が検出されないため、制御部12はスリープ状態を継続する。
【0051】
制御部12がスリープ状態である時に、起動部11に備えられた起動用センサへ検出対象の入力があり(ステップS11)、例えばその入力のレベルが所定の閾値以上であるというように、所定の起動条件を満たした場合には(ステップS12)、起動用センサは割り込み信号を制御部12へ出力する。
【0052】
制御部12は、スリープ状態である時に、起動部11(本実施形態では、起動部11に備えられた起動用センサ)から割り込み信号が入力された場合には、起動状態へ移行して駆動する(ステップS13)。そして、制御部12は、起動すると、電源15からの電力を計測用センサ21−1〜21−nへ供給するように制御する。これにより、計測用センサ21−1〜21−nが起動する(ステップS14)。
計測用センサ21−1〜21−nは、起動すると、計測対象を計測して、その計測結果を制御部12へ出力する。制御部12は、計測用センサ21−1〜21−nから入力された計測結果を通信部14へ出力する。通信部14は、制御部12から入力された計測結果を基地局装置(図3では、図示せず)へ送信する(ステップS15)。
【0053】
また、制御部12がスリープ状態である時に、起動部11に備えられた起動用センサへ検出対象の入力があったが(ステップS11)、例えばその入力のレベルが所定の閾値より低いというように、所定の起動条件を満たさない場合には(ステップS12)、制御部12はスリープ状態を継続する。そして、この場合に、充電部41の充電がフルになって完了しているときには(ステップS16)、当該充電部41に蓄電された電力を使用してメンテナンスモードの動作を実行する(ステップS17)。一方、起動部11に備えられた起動用センサへ検出対象の入力があったが(ステップS11)、例えばその入力のレベルが所定の閾値より低いというように、所定の起動条件を満たさない場合に、充電部41の充電がフルになっておらず完了していないときには(ステップS16)、起動部11から充電部41への充電を行う(ステップS18)。
【0054】
なお、本実施形態では、制御部12がスリープ状態である時に、起動部11により制御部12が起動され、制御部12により各計測用センサ21−1〜21−nへ電源15からの電力を供給するように制御することで各計測用センサ21−1〜21−nが起動され、各計測用センサ21−1〜21−nによる計測が行われて、その計測結果が制御部12を介して通信部14から送信される場合に、制御部12は、計測結果の取得が終了した計測用センサ21−1〜21−nへの電源15からの電力の供給を停止するように制御し、当該制御部12は再びスリープ状態へ移行する。
【0055】
以上のように、本実施形態に係るセンサ端末装置31では、第1の実施形態に係るセンサ端末装置1と同様に、高性能なセンシングと低消費電力化を実現することができる。
また、本実施形態に係るセンサ端末装置31では、起動部11が発電した電力を充電部41に蓄電して、蓄電した電力を使用することにより、電源15の電力の消費を減らすことができる。
また、本実施形態に係るセンサ端末装置31では、充電部41に蓄電された電力を使用して計測用センサ21−1〜21−nのメンテナンスの動作を実行することにより、例えば、計測用センサ21−1〜21−nにより実際に計測を行うよりも事前に故障を知ることができ、故障した計測用センサ21−1〜21−nが駆動しないことによるエラーを防ぐことができる。
【0056】
ここで、例えば、定期的に通信を行うセンサ端末装置では、定期的に通信を行うことで、故障が発見されやすいが、本実施形態に係るセンサ端末装置31では、起動部11における起動条件が満たされたときに通信を行うため、不定期に通信を行うこととなり、故障が発見されにくいと考えられる。これに対して、本実施形態に係るセンサ端末装置31では、制御部12が起動していない時においても、メンテナンスの動作を実行することで、故障を発見することができ、大きな効果を奏することができる。なお、このようなメンテナンスに関して、本実施形態に係るセンサ端末装置31では、例えば、タイマーを備えて、定期的に起動して計測用センサの故障の有無を検出するような構成や動作が不要であるため、このような構成や動作に必要なタイマーをなくして、消費電力を低減することができる。
【0057】
(第3の実施形態)
図5は、本発明の第3の実施形態に係るセンサネットワークシステム(通信システムの一例)の構成を示す概略ブロック図である。
本実施形態に係るセンサネットワークシステムは、複数であるr個のセンサ端末装置101−1〜101−r(端末装置の一例)と、複数の中継局装置111〜117と、複数の基地局装置121〜123と、を備えている。
なお、センサ端末装置や中継局装置や基地局装置のそれぞれの数としては、任意の数が用いられてもよい。
【0058】
各センサ端末装置101−1〜101−rは、例えば、図1に示される第1の実施形態に係るセンサ端末装置1或いは図3に示される第2の実施形態に係るセンサ端末装置31と同様な構成を有しており同様な動作を行う。例えば、各センサ端末装置101−1〜101−rは、それぞれに備えられた計測用センサによる計測結果の情報(データ)を無線で送信する。
各中継局装置111〜117は、それぞれが通信する領域に存在するセンサ端末装置101−1〜101−rから無線送信された情報を受信して、その情報を有線で送信する。
各基地局装置121〜123は、それぞれの配下に存在する中継局装置111〜117から有線で送信された情報を受信する。
【0059】
これにより、本実施形態に係るセンサネットワークシステムでは、各センサ端末装置101−1〜101−rに備えられた計測用センサによる計測結果の情報を基地局装置121〜123により収集して、その情報を記憶装置(図示せず)に記憶するなどして管理することができる。
【0060】
なお、本実施形態では、センサ端末装置101−1〜101−rから送信された情報が中継局装置111〜117を介して基地局装置121〜123へ伝送される構成を示したが、他の例として、センサ端末装置101−1〜101−rから送信された情報が直接に基地局装置121〜123へ伝送される構成が用いられてもよい。
また、それぞれの通信については、本実施形態に限られず、有線の通信が用いられてもよく、或いは、無線の通信が用いられてもよい。
【0061】
ここで、本実施形態に係るセンサネットワークシステムは、様々な場面に適用されてもよく、例えば、クリーンルーム内のセンサネットワークや、ホームセキュリティのセンサネットワークや、環境モニタリングのセンサネットワークなどに適用することが可能である。一例として、クリーンルーム内のセンサネットワークにおいて、各センサ端末装置101−1〜101−rに計測用センサとしてパーティクルセンサやフローセンサなどを備え、これらの計測用センサによる計測結果を基地局装置121〜123により収集して管理することができる。
【0062】
なお、上述した第1の実施形態に係るセンサ端末装置1や第2の実施形態に係るセンサ端末装置31について、装置の一部、例えば、制御部12の機能をコンピュータで実現するようにしてもよい。この場合、その制御機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録し、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませて、このコンピュータシステムが実行することによって実現してもよい。なお、ここで言うコンピュータシステムとは、オペレーティング・システム(Operating System;OS)や周辺装置のハードウェアを含むものである。また、コンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、光ディスク、メモリカード等の可搬型記録媒体、コンピュータシステムに内蔵される磁気ハードディスクやソリッドステートドライブ等の記憶装置のことを言う。更に、コンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、インターネット等のコンピュータネットワークや、電話回線や携帯電話網を介してプログラムを送信する場合の通信回線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバ装置やクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持するものを含んでもよい。また、上記のプログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよく、更に、前述した機能をコンピュータシステムに既に記録されているプログラムとの組み合わせにより実現するものであってもよい。
【0063】
以上、本発明の実施の形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はその実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0064】
本発明に係る端末装置、通信システム及び端末装置の起動方法は、例えば、様々なセンサネットワークに適用することが可能なものである。
【符号の説明】
【0065】
1・・・センサ端末装置
11・・・起動部
12・・・制御部
13・・・センサ部
14・・・通信部
15・・・電源
21−1〜21−n・・・計測用センサ
31・・・センサ端末装置
41・・・充電部
101−1〜101−r・・・センサ端末装置
111〜117・・・中継局装置
121〜123・・・基地局装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
計測対象の物理量を計測する計測用センサと、
起動された場合に前記計測用センサを非起動状態から起動状態へ切り替える制御部と、
前記計測用センサに比べ低消費電力で駆動し、前記計測対象の物理量と相関を有する物理量が、所定の起動条件として満たされた場合に前記制御部を起動させる起動部と、
を備えたことを特徴とする端末装置。
【請求項2】
前記起動部は、環境の変化に基づいて発電することにより駆動する起動用のセンサを有しており、前記起動用のセンサによる検出結果に基づいて前記所定の起動条件が満たされた場合に、前記制御部を起動させる、
ことを特徴とする請求項1に記載の端末装置。
【請求項3】
前記起動部が有する前記起動用のセンサで発電した電力を使用して蓄電される充電部を備えた、
ことを特徴とする請求項2に記載の端末装置。
【請求項4】
前記所定の起動条件が満たされない場合に、前記起動用のセンサで発電した電力が前記充電部に蓄電される、
ことを特徴とする請求項3に記載の端末装置。
【請求項5】
前記充電部が所定の閾値以上に蓄電した場合に、前記充電部が蓄電した電力を使用して、前記計測用センサの故障の有無を検査するメンテナンスモードの動作を実行する、
ことを特徴とする請求項3又は請求項4に記載の端末装置。
【請求項6】
前記充電部が所定の閾値以上に充電した場合に、前記充電部が蓄電した電力が前記計測用センサへ供給される、
ことを特徴とする請求項3乃至請求項5のいずれか1項に記載の端末装置。
【請求項7】
前記計測用センサを複数備えた、
ことを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の端末装置。
【請求項8】
前記制御部は、起動した場合に、前記計測用センサへの電力が非供給である状態から供給される状態へ切り替えることにより、前記計測用センサを非起動状態から起動状態へ切り替える、
ことを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載の端末装置。
【請求項9】
端末装置と、基地局装置と、を有し、
前記端末装置は、計測対象の物理量を計測する計測用センサと、
起動された場合に前記計測用センサを非起動状態から起動状態へ切り替える制御部と、
所定の起動条件が満たされた場合に前記制御部を起動させる起動部と、
前記計測用センサによる計測結果の情報を送信する通信部と、を備え、
前記基地局装置は、前記端末装置から送信された情報を受信する、
ことを特徴とする通信システム。
【請求項10】
起動部が、所定の起動条件が満たされた場合に制御部を起動させ、
前記制御部が、起動された場合に計測用センサを非起動状態から起動状態へ切り替え、
前記計測用センサが、計測対象の物理量を計測し、
通信部が、前記計測用センサによる計測結果の情報を送信する、
ことを特徴とする端末装置の起動方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−9079(P2013−9079A)
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−139334(P2011−139334)
【出願日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【出願人】(000002325)セイコーインスツル株式会社 (3,629)
【Fターム(参考)】