説明

端末装置及びそれに用いられるプログラム

【課題】利用者の所望する経路の距離情報を提供できる端末装置を提供する。
【解決手段】専用紙2Aに印刷されたコード化パターンを読み取って演算された離散的な座標データを電子ペン1Aから受信し、その座標データから筆跡の長さに応じた距離を演算する端末装置3であって、座標データを受信するデータ通信手段31と、データ通信手段31によって受信され、筆跡に沿って電子ペン1Aによって演算された座標データの複数の位置座標に基づいて、電子ペン1Aがなぞったときの線分に対応する近似ラインを求め、地図エリア100を細かく分割するように設定されそれぞれが高さ情報を持つ複数の微小領域から近似ラインが通る微小領域を抽出し、抽出した微小領域のうちの隣り合う2つの微小領域の中心点同士を直線で結び、その隣り合う2つの微小領域が有する高さ情報により直線の長さを補正し、補正した各直線の長さを足し合わせることにより筆跡に応じた距離を演算する距離演算手段32とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地理的情報提供システムの技術分野に属し、詳しくは、電子ペンにより電子ペン用媒体等に印刷された地図上の距離情報を提供する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、「電子ペン」、「デジタルペン」などと呼ばれるペン型入力デバイスが登場しており(以下、本明細書では「電子ペン」と呼ぶ。)、その代表的なものとしてスウェーデンのAnoto 社が開発した「アノトペン(Anoto pen )」が知られている(特許文献1参照)。アノトペンは、所定のドットパターンが印刷された専用紙と共に使用される。アノトペンは、通常のインクタイプのペン先部に加えて、専用紙上のドットパターンを読み取るための小型カメラと、データ通信ユニットを搭載している。利用者が専用紙上にアノトペンで文字などを書いたり、専用紙上に図案化されている画像にチェックマークを記入したりすると、ペンの移動に伴って小型カメラが専用紙に印刷されたドットパターンを検出し、利用者が書き込んだ文字、画像などの記入情報が取得される。この記入情報が、データ通信ユニットによりアノトペンから近くのパーソナルコンピュータや携帯電話などの端末装置に送信される。このアノトペンを利用したシステムは、キーボードに代わる入力デバイスとして利用することが可能であり、上述のパーソナルコンピュータやキーボードの使用に抵抗がある利用者にとっては非常に使いやすい。そのため、現在、各種ビジネス上の書類、申込書、契約書等に記入されたデータをデジタル化する手法として、電子ペンを利用したシステムが普及しつつある(例えば、特許文献2)。
【0003】
本出願人は、Anoto 社の技術に見られるような電子ペンを用い、地図が印刷されている上記専用紙上で、利用者が上記電子ペンで出発地と目的地とを指定すると、出発地から目的地までの経路と、当該経路の距離情報を提供する地理的情報提供システムを提案している(特許文献3参照)。本出願人の提案以前においても、建設現場や測量会社、地図会社において、図面から長さ等を求める場面が多くあるため、デジタイザによる座標入力装置を用い、スタイラスペンによってパネルをヒットして座標値を入力することで、例えば建築図面における長さを求める技術が提案されている(特許文献4参照)。また、特開平7−121698号公報(特許文献5)には、手書きデータのサンプリングを、データと最大離間距離があらかじめ設定されたしきい値を越えないようにスプライン曲線で近似する方法が開示されている。すなわち、スプライン補間した曲線とデータの最大距離がしきい値以上になっていれば、その距離を与えたデータを節点として新たに加え、スプライン補間する手法である。
【0004】
【特許文献1】特表2003−511761号公報
【特許文献2】特開2004−153612号公報
【特許文献3】特開2004−46424号公報
【特許文献4】特公平3−50283号公報
【特許文献5】特許第2969189号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上述の地理的情報提供システムでは、出発地の緯度経度情報と目的地の緯度経度情報とに基づいて、出発地から目的地までの最短直線経路を算出している。従って、この地理的情報提供システムは、最短直線経路以外の経路の距離情報を算出しないため、必ずしも利用者の所望の経路に関する距離情報を提供することができないという問題点があった。上記のデジタイザによる座標入力装置も同様に、単にスタイラスペンによってパネルをヒットして入力された座標値間の長さを求めるにとどまるものであった。また、地図上に描いた経路の距離を算出するに際して、特許文献5のように、腕時計に取り付けたローラを地図上で回転させて道のりを求めるようにしたものもあるが、この方法ではローラという機械的な機構を必要とする。
【0006】
さらには、これまでの地図上の距離等を求めるにあたって、実際の地形には標高差による高低差があるが、特許文献3,4に示された技術では、そのような高低差を考慮した実際の距離(道のり)を求めることはできなかった。
【0007】
そこで本発明は、電子ペン又はスキャナの操作により、利用者の所望する経路に応じ、高さ情報も反映した正確な距離情報を提供できる端末装置を提供し、併せてそれに用いられるプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る端末装置は、媒体に印刷されたコード化パターンを読み取って演算された離散的な座標データを電子ペン又はスキャナから受信し、その座標データから筆跡の長さに応じた距離を演算する端末装置であって、座標データを受信するデータ通信手段と、前記データ通信手段によって受信され、前記筆跡に沿って前記電子ペン又は前記スキャナによって演算された前記座標データの複数の位置座標に基づいて、電子ペン又はスキャナがなぞったときの線分に対応する近似ラインを求め、媒体を細かく分割するように設定されそれぞれが高さ情報を持つ複数の微小領域から近似ラインが通る微小領域を抽出し、抽出した微小領域のうちの隣り合う2つの微小領域の中心点同士を直線で結び、その隣り合う2つの微小領域が有する高さ情報により直線の長さを補正し、補正した各直線の長さを足し合わせることにより筆跡に応じた距離を演算する距離演算手段とを備えることを特徴とする。
【0009】
この構成によれば、利用者が電子ペン又はスキャナにより媒体に接触した状態で、媒体に記入又は媒体上を移動すると、電子ペン又はスキャナは、筆跡又は移動軌跡に沿った離散的な座標データを演算し、端末装置へ送信する。端末装置においては、データ通信手段が、電子ペン又はスキャナから送信された座標データを受信し、距離演算手段は、高さ情報を加味するため、位置座標演算手段によって演算された複数の位置座標に基づいて、電子ペン又はスキャナがなぞったときの線分に対応する近似ラインを求め、媒体を細かく分割するように設定されそれぞれが高さ情報を持つ複数の微小領域から近似ラインが通る微小領域を抽出し、抽出した微小領域のうちの隣り合う2つの微小領域の中心点同士を直線で結び、その隣り合う2つの微小領域が有する高さ情報により直線の長さを補正し、補正した各直線の長さを足し合わせることにより筆跡に応じた距離を演算する。したがって、利用者が所望の文字や線分を電子ペン又はスキャナで記入等することによって、端末装置は、その筆跡等に応じて高さ情報を反映した距離を精度よく演算することができる。
【0010】
または、本発明に係る端末装置は、地図エリアとコード化パターンが印刷された媒体の前記コード化パターンを読み取って演算された離散的な座標データを電子ペン又はスキャナから受信し、その座標データから前記地図エリア上の筆跡によって示される経路に対応する地表上の距離を演算する端末装置であって、座標データを受信するデータ通信手段と、前記データ通信手段によって受信され、前記筆跡に沿って前記電子ペン又は前記スキャナによって演算された前記座標データの複数の位置座標に基づいて、電子ペン又はスキャナがなぞったときの線分に対応する近似ラインを求め、地図エリアを細かく分割するように設定されそれぞれが高さ情報を持つ複数の微小領域から近似ラインが通る微小領域を抽出し、抽出した微小領域のうちの隣り合う2つの微小領域の中心点同士を直線で結び、その隣り合う2つの微小領域が有する高さ情報により直線の長さを補正し、補正した各直線の長さを足し合わせることにより前記地図エリア上の筆跡に対応する地表上の距離を演算する距離演算手段とを備えることを特徴とする。
【0011】
この構成によれば、利用者が電子ペン又はスキャナにより媒体の地図エリアに接触した状態で、媒体をなぞると、電子ペン又はスキャナは、なぞった経路に沿った離散的な座標データを演算し、端末装置へ送信する。端末装置においては、データ通信手段が、電子ペン又はスキャナから送信された座標データを受信し、距離演算手段は、高さ情報を加味するため、位置座標演算手段によって演算された複数の位置座標に基づいて、電子ペン又はスキャナがなぞったときの線分に対応する近似ラインを求め、地図エリアを細かく分割するように設定されそれぞれが高さ情報を持つ複数の微小領域から近似ラインが通る微小領域を抽出し、抽出した微小領域のうちの隣り合う2つの微小領域の中心点同士を直線で結び、その隣り合う2つの微小領域が有する高さ情報により直線の長さを補正し、補正した各直線の長さを足し合わせることにより前記地図エリア上の筆跡に対応する地表上の距離を演算する。したがって、利用者が地図エリア上で所望の経路を電子ペン又はスキャナでなぞることによって、端末装置は、地図エリア上になぞられた筆跡等に応じて高さ情報を反映した地図上の距離を精度よく演算することができる。
【0012】
さらに、上記端末装置において、距離演算手段によって演算された距離を報知する報知手段を備えるとよい。これにより、利用者は、距離演算手段によって演算された距離を認識することができる。
【0013】
また、本発明に係るプログラムは、媒体に印刷されたコード化パターンを読み取って演算された離散的な座標データを電子ペン又はスキャナから受信し、その座標データから筆跡の長さに応じた距離を演算するコンピュータにより実行されるプログラムであって、座標データを受信するデータ通信手段、前記データ通信手段によって受信され、前記筆跡に沿って前記電子ペン又は前記スキャナによって演算された前記座標データの複数の位置座標に基づいて、電子ペン又はスキャナがなぞったときの線分に対応する近似ラインを求め、媒体を細かく分割するように設定されそれぞれが高さ情報を持つ複数の微小領域から近似ラインが通る微小領域を抽出し、抽出した微小領域のうちの隣り合う2つの微小領域の中心点同士を直線で結び、その隣り合う2つの微小領域が有する高さ情報により直線の長さを補正し、補正した各直線の長さを足し合わせることにより筆跡に応じた距離を演算する距離演算手段として前記コンピュータを機能させることを特徴とする。
【0014】
あるいは、本発明に係るプログラムは、地図エリアとコード化パターンが印刷された媒体の前記コード化パターンを読み取って演算された離散的な座標データを電子ペン又はスキャナから受信し、その座標データから前記地図エリア上の筆跡によって示される経路に対応する地表上の距離を演算するコンピュータにより実行されるプログラムであって、座標データを受信するデータ通信手段、前記データ通信手段によって受信され、前記筆跡に沿って前記電子ペン又は前記スキャナによって演算された前記座標データの複数の位置座標に基づいて、電子ペン又はスキャナがなぞったときの線分に対応する近似ラインを求め、地図エリアを細かく分割するように設定されそれぞれが高さ情報を持つ複数の微小領域から近似ラインが通る微小領域を抽出し、抽出した微小領域のうちの隣り合う2つの微小領域の中心点同士を直線で結び、その隣り合う2つの微小領域が有する高さ情報により直線の長さを補正し、補正した各直線の長さを足し合わせることにより前記地図エリア上の筆跡に対応する地表上の距離を演算する距離演算手段として前記コンピュータを機能させることを特徴とする。
【0015】
上記プログラムをコンピュータにおいて実行することにより、上述の端末装置を実現することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る端末装置及びそれに用いられるプログラムによれば、電子ペン及びスキャナの操作により、地図エリア等の媒体上に記入等をした際に、当該記入等による軌跡の座標データを演算しつつ軌跡の距離を演算する。この際、電子ペンやスキャナで取得した離散的な座標データから近似ラインを求め、近似ラインが通る複数の微小領域を抽出し、それらの微小領域の中心点を結ぶ直線に高さ情報により補正をかけたうえで積算することによって、実際に描いた軌跡に近づけるとともに地形の高さ情報を加味することで、より正確に道のりを求めることができる。これにより、利用者が所望する経路に応じた精度のよい距離情報を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について説明する。
【0018】
<第1実施形態>
図1は本実施形態の端末装置3を用いた地図情報提供システムのシステム構成図を示している。図1に示すように、地図情報提供システムは、地図が印刷された専用紙(媒体)2A(2)と、地図上をなぞるための電子ペン1A(1)と、電子ペン1Aから送信される情報を受信して地図に関する情報を演算して演算結果を報知する、パソコン、携帯電話等からなる端末装置3によって構成される。この端末装置3は、専用紙2Aに印刷されたドットパターン(コード化パターン)を読み取って演算された離散的な座標データを電子ペン1Aから受信し、その座標データから筆跡の長さに応じた距離を演算するようになっている。
【0019】
電子ペン1Aは、通常のインクペンと同様のペン先部1aを備えており、利用者が通常のインクペンと同様にペン先部1aによって専用紙2Aに文字や絵柄などを書くと、ペン先部1aの移動した軌跡(筆跡)に沿って、専用紙2Aに印刷されたドットパターンを局所的、連続的に読み取り、専用紙2Aにおけるその局所位置の座標を演算し、その座標データとともに、電子ペン1Aを識別する電子ペン識別ID、筆記された時刻情報(タイムスタンプ)等を関連付けて端末装置3に送信する。端末装置3は、電子ペン1Aより電子ペン識別IDや座標データ等を受信すると、その受信した座標データ等に基づいて、電子ペン1Aの移動軌跡に応じた距離を演算する。以下、システムの各構成について詳細に説明する。
【0020】
[専用紙]
まず専用紙(媒体)2Aについて説明する。本実施形態で使用する専用紙2Aは、用紙にドットパターンが印刷され、さらにその上に罫線や記入枠、地図などの図案や項目、文言、イラスト等が印刷されたものである。ドットパターンは、赤外線を吸収するカーボンを含んだインキにより印刷される。また、図案等は、赤外域に吸収性を持たないインキにより印刷される。ドットパターンと図案等とは用紙に対して同時に印刷してもよいし、どちらかを先に印刷してもよい。
【0021】
図2に本実施形態で使用する地図等が印刷された専用紙2Aの例を示す。図2に示す専用紙2Aは、地図を表示する地図エリア100を有する。ドットパターンは、専用紙2Aのほぼ全面に印刷されており、その上に地図の図柄、建物名称等の文字、地図記号等がカーボンを含まない通常のインキにより印刷されている。利用者はドットパターンを意識することなく、電子ペン1Aを用いてこの地図エリア100に出発地から目的地までの所望の経路を記入する。
【0022】
[ドットパターン]
続いてドットパターン(コード化パターン)について説明する。電子ペン1Aによって読み取られるドットパターンは、前述のアノト技術を採用したものである。図3は、専用紙2Aに印刷されるドットパターンのドットの位置とそのドットが変換される値との関係を説明する図である。図3に示すように、ドットパターンの各ドットは、その位置によって所定の値に対応付けられている。すなわち、ドットの位置を格子の基準位置(縦線及び横線の交差点:格子点)から上下左右のどの方向にシフトされているかによって、各ドットは、0〜3の値に対応付けられている。また、各ドットの値は、さらに、X座標用の第1ビット値及びY座標用の第2ビット値に変換される。このようにして対応付けられた情報の組合せにより、ドットパターンは、専用紙2Aにおける位置座標が決定されるよう構成されている。
【0023】
図4は専用紙2Aに印刷されたドットパターンによる情報の表現方法を説明するための図である。図4(a)は、専用紙2Aにおける、ある局所部のドットパターンの配列を示している。図4(a)に示すように、縦横約2mmの範囲内に6×6個のドットが、専用紙2A上のどの部分から6×6ドットを取ってもユニークなパターンとなるように配置されている。これら36(=6×6)個のドットにより形成されるドットパターンは位置座標(例えば、そのドットパターンがその専用紙2A上のどの位置にあるのか)及びドットパターンアドレス(コード化パターンアドレス)を保持している。図4(b)は、図4(a)に示す各ドットを、格子の基準位置からのシフト方向によって、図3に示す規則性に基づいて対応づけられた値に変換したものである。この変換は、ドットパターンの画像を撮影する電子ペン1Aによって行われる。
【0024】
[電子ペン]
次に、電子ペン1Aについて図5を参照して説明する。電子ペン1Aは、その筐体10の内部に、プロセッサ11、データ通信ユニット12、バッテリー13、LED14、CMOSカメラ15、圧力センサ16、インクカートリッジ17、及びクロック18を備える。インクカートリッジ17の先端は、ペン先部1aとなっており、利用者は、電子ペン1Aのペン先部1aを専用紙2Aに当接させながら経路や文字、絵柄を描くことができる。
【0025】
バッテリー13は電子ペン1A内の各部品に電力を供給するためのものであり、例えば電子ペン1Aのキャップ(図示せず)の脱着により電子ペン1A自体の電源のオン/オフを行うよう構成させてもよい。圧力センサ16は、利用者が電子ペン1Aにより専用紙2A上に文字などを書く際にペン先部1aに与えられる圧力、即ち筆圧を検出し、プロセッサ11へ供給する。クロック18は、現在時刻(タイムスタンプ)を示す時間情報を発信し、プロセッサ11へ供給する。
【0026】
プロセッサ11は、圧力センサ16から与えられる筆圧データに基づいて、LED14及びCMOSカメラ15のスイッチのオン/オフを切換える。即ち、利用者が電子ペン1Aで専用紙2A上に文字などを書くと、ペン先部1aには筆圧がかかり、圧力センサ16によって所定値以上の筆圧が検出されたときに、プロセッサ11は、利用者が記入を開始したと判定して、LED14及びCMOSカメラ15を作動させる。その一方、圧力センサ16によって検出された筆圧が所定値未満であると、プロセッサ11は、利用者による筆圧が終了したと判断して、LED14及びCMOSカメラ15の作動を終了させる。
【0027】
LED14とCMOSカメラ15は、電子ペン1Aのペン先部1a付近に取り付けられており、筐体10におけるLED14及びCMOSカメラ15が向く部分には、開口部10aが形成されている。LED14は、専用紙2A上のペン先部1a近傍(領域A:図1参照)に向けて赤外線を照明する。領域Aは、ペン先部1aが専用紙2Aに接触する位置とはわずかにずれている。CMOSカメラ15は、LED14によって照明された領域A内におけるドットパターンを撮影し、そのドットパターンの画像データをプロセッサ11に供給する。ここで、カーボンは赤外線を吸収するため、LED14によって照射された赤外線は、ドットの部分でドットに含まれるカーボンによって吸収される。そのため、ドットの部分は、赤外線の反射量が少なく、ドット以外の部分は赤外線の反射量が多い。したがって、CMOSカメラ15の撮影により、赤外線の反射量の違いから、カーボンを含むドットの領域とそれ以外の領域を区別することができる。たとえ撮影領域に罫線や枠などが印刷されてあったとしても、罫線や枠などのインクは、赤外域に吸収性を持たないため、ドットパターンを認識することができる。なお、CMOSカメラ15による撮影領域は、図4(a)に示すような約2mm×約2mmの大きさを含む範囲であり、CMOSカメラ15の撮影は毎秒50〜100回程度行われる。
【0028】
プロセッサ11は、利用者の記入が行われる間、CMOSカメラ15によって供給される画像データのドットパターンから、利用者が記入するストローク(筆跡)の専用紙2上におけるX,Y座標(単に「座標データ」とも呼ぶ)を連続的に演算していく。すなわち、プロセッサ11は、CMOSカメラ15によって供給される、図4(a)に示されるようなドットパターンの画像データを図4(b)に示すデータ配列に変換し、さらに、X座標ビット値・Y座標ビット値に変換して、そのデータ配列から所定の演算方法によりX,Y座標データを算出するとともに、ドットパターンアドレスを算出する。ここで、ドットパターンアドレスとは、地図エリア100が印刷された専用紙2Aの頁ごと或いは種類ごとに設定される識別子であるが、ドットパターンアドレスと地図の縮尺情報とが対応できるような、少なくとも、地図エリア100ごとにドットパターンアドレスが対応付けられている。
【0029】
そして、プロセッサ11は、クロック18から取得した時間情報21と、ドットパターンアドレス22と、座標データ23と、筆圧データ24とを関連付け、これらの情報を記入情報20として生成する。そして、プロセッサ11は、記入情報20を、データ通信ユニット12に対して、端末装置3へ送信させる。図6に記入情報20の概念図を示す。ここで、1枚の専用紙2Aにおける6×6のドットパターンは、その専用紙2A内で重複することはないため、利用者が電子ペン1Aで地図エリア100をなぞると、そのなぞった箇所が地図エリア100のどの位置であるかを、記入情報20から特定することができる。
【0030】
データ通信ユニット12は、プロセッサ11により供給される、時間情報21、ドットパターンアドレス22、座標データ23、筆圧データ24が関連付けられた記入情報20を、端末装置3へ無線送信する。データ通信ユニット12による送信は、 Bluetooth(登録商標)の無線送信によると好適である。なお、USBケーブルを使用した有線送信、端子などの接触によるデータ通信など、他の方法によって、データ通信ユニット12から端末装置3へデータ通信を行ってもよい。データ通信ユニット12による端末装置3への記入情報20の送信は、即時的且つ逐次的に行われる。
【0031】
[端末装置]
次に、端末装置3について図7を参照して説明する。端末装置3は、ハードウェアとして、電子ペン1Aとのデータ通信が可能なアンテナ装置、CPU等のプロセッサ、ROMやRAMといったメモリ、スピーカ、ディスプレイ等で構成される、PCや携帯電話、或いは携帯端末である。図7は、端末装置3の機能ブロック図である。端末装置3は、電子ペン1Aから受信したX,Y座標データを含む記入情報20を用いて専用アプリケーションを実行することで所定の処理を行う。
【0032】
図7に示すように、端末装置3は、情報記憶手段30、データ通信手段31、距離演算手段32、音声出力手段33(報知手段)及び表示手段34(報知手段)を備える。物理的には、情報記憶手段30は、ROMやRAMといったメモリによって構成され、データ通信手段31は、データ通信ユニット、プロセッサ等によって構成され、音声出力手段33はスピーカ、表示手段34はディスプレイ等で構成される。また、距離演算手段32は、CPU等のプロセッサに組み込まれている。
【0033】
情報記憶手段30は、地図エリア100におけるドットパターンアドレス22で特定される地図エリア100に印刷された地図の縮尺値を、そのドットパターンアドレス22に対応付けた縮尺情報として記憶している。また、情報記憶手段30は、地図エリア100を格子状に細かく分割するように設定された複数の微小領域と、微小領域ごとに、縮尺値cにより標高が縮尺された高さ情報を記憶している。さらに、情報記憶手段30は、電子ペン1Aから受信した記入情報20と、距離演算手段32が演算した軌跡(筆跡)の長さLや地表上の距離(道のり)Dを記憶するメモリである。
【0034】
ここで、微小領域と高さ情報について説明すると、後述の図11及び図12に示すように、地図エリア100に標高を反映する高さ情報を持たせるために、地図エリア100は格子状に微小領域に分割されており、各微小領域は、その中心点を代表点として、縮尺値cにより標高が縮尺された高さ情報を有している。そして、情報記憶手段30は、地図エリア100を構成する各微小領域の位置座標、その中心点の位置座標、及び高さ情報を関連付けて記憶している。
【0035】
データ通信手段31は、電子ペン1Aのデータ通信ユニット12によって送信される記入情報20を即時的且つ逐次的に受信する手段であり、 Bluetooth(登録商標)による通信方式の電波を受信するアンテナ等により構成される。
【0036】
距離演算手段32は、データ通信手段31によって受信された複数の記入情報20を参照し、記入情報20に含まれるドットパターンアドレス22に対応付けられた縮尺値を情報記憶手段30から読みだすとともに、軌跡(筆跡)の開始点701から終了点703(図9参照)までの座標データ23に基づいて軌跡(筆跡)の長さLを演算し、さらに、その長さから地表上の距離(道のり)Dを演算し、情報記憶手段30に記憶させる。すなわち、距離演算手段30は、座標データ23の複数の位置座標を用いて、ペン・ダウン位置からペン・アップ位置までの間に記入された筆跡の長さLを演算する。
【0037】
より具体的には、距離演算手段32は、データ通信手段31によって受信され、筆跡に沿って電子ペン1Aによって演算された、時系列的な順位を有する複数の離散的な位置座標データ23の座標点に基づいて、電子ペン1がなぞったときの線分に対応する近似ラインを求め、専用紙20の地図エリア100を細かく分割するように設定されそれぞれが高さ情報を持つ複数の微小領域から近似ラインが通る微小領域を抽出する。そして、距離演算手段32は、抽出した微小領域のうちの隣り合う2つの微小領域の中心点同士を結び、その隣り合う2つの微小領域が有する高さ情報により直線の長さを補正し、補正した各直線の長さを足し合わせることで地形の高さ情報を加味して精度よく筆跡の長さLを求める。なお、近似ラインは、スプライン関数ないしラグランジュ関数等の補間関数により座標データの位置座標間が補間された曲線であってもよく、あるいは隣接する座標データの位置座標間を直線で結んだ補間直線であってもよい。
【0038】
それと合わせて、距離演算手段32は、記入情報20に含まれるドットパターンアドレス22に基づいて、情報記憶手段30に記憶された縮尺情報を参照して、そのドットパターンアドレス22に対応した縮尺値cを読み取る。そして、距離演算手段32は、上述のように演算した筆跡の長さLと縮尺値cとから、ペン・ダウン位置からペン・アップ位置に至るまでの地表上の距離(道のり)Dを演算する。なお、情報記憶手段30に記憶された縮尺情報は、地図における単位長さ当たりの地表上の距離(地図1cmは、地表の○kmに相当)であってもよいし、縮尺割合(1:25000、1/25000)であってもよい。
【0039】
ここで、地表上の距離(道のり)Dを求めるために、地図上の長さに対して、縮尺情報に基づいて掛けるべき倍率をsとすれば、
D = L × s
となり、例えば、縮尺値c=1/25000とすれば、
D = L × s = L × 1/c
となる。
【0040】
すなわち、距離演算手段32は、電子ペン1Aから取得した複数の記入情報20に基づいて、ペン先部1aの離脱が認識された時点で、ペン・ダウン位置からペン・アップ位置まで電子ペン1Aで地図エリア100がなぞられた軌跡(筆跡)に応じた地表上の距離(道のり)Dを演算し、音声出力手段33(スピーカ)に伝送するほか、情報記憶手段30に記憶する。
【0041】
距離演算手段32は、演算した地表上の距離(道のり)Dを、音声出力手段33に音声で報知させる。この音声出力手段33による案内メッセージの一例としては「出発地から目的地までの道のりは、○○kmです。」が挙げられる。また、距離演算手段32によって演算された地表上の距離(道のり)Dを表示手段34で表示させる。
【0042】
端末装置3は、ストローク処理用の専用アプリケーションがインストールされることにより、上述の各手段が構成される。
【0043】
[専用アプリケーション]
次に、端末装置3にインストールされる専用アプリケーション(プログラム)4について図8を参照して説明する。図8は、専用アプリケーション4のモジュール構成を示す。専用アプリケーション4は、電子ペン1Aが専用紙2Aをなぞった経路に関する記入情報20に基づいて所定の処理を実行するものであって、ダウンロード等により予め端末装置3にインストールされている。専用アプリケーション4は、専用紙2Aに対応付けられており、電子ペン1Aによる専用紙2Aへの記入により、端末装置3が記入情報20を受信することにより、専用アプリケーション4が動作する。
【0044】
図8に示すように、専用アプリケーション4は、データ通信モジュール41、情報記憶モジュール42、及び距離演算モジュール43を有する。
【0045】
データ通信モジュール41は、電子ペン1Aから記入情報20を受信する機能を有し、端末装置3にデータ通信手段31を構成させるモジュールである。
【0046】
情報記憶モジュール42は、地図エリア100におけるドットパターンアドレス22に対応させて、地図エリア100に描かれた地図の縮尺値を保持するほか、地図エリア100を格子状に細かく分割するように設定された複数の微小領域と、微小領域ごとに、縮尺値cにより標高が縮尺された高さ情報をメモリに記憶させるモジュールであって、端末装置3に情報記憶手段30を構成させるモジュールである。また、電子ペン1Aから取得した記入情報20と、距離演算手段32が演算した軌跡(筆跡)長さLや地表上の距離(道のり)Dをメモリに記憶させるモジュールであって、端末装置3に情報記憶手段30を構成させるモジュールである。
【0047】
距離演算モジュール43は、複数の記入情報20を参照し、座標データ23に沿った経路を決定し、その経路の長さLを求め、さらに、記入情報20のドットパターンアドレス22に対応付けられた縮尺値を情報記憶手段30から読み出して、縮尺値cを参照して地表上の距離(道のり)Dを演算し、音声出力手段33に対して音声で地表上の距離Dを報知させる機能を有し、端末装置3に距離演算手段32を構成させるモジュールである。
【0048】
[地図情報提供システムにおける距離演算処理]
次に、本実施形態の地図情報提供システムにより行われる距離演算処理について図9及び図10を参照して説明する。図9は、電子ペン1Aでなぞられた筆跡のある専用紙2Aを示す図である。図10は、距離演算のフローチャートである。
【0049】
ここで、本実施形態における距離演算処理とは、利用者が電子ペン1Aを専用紙2Aの地図エリア100に接触させてから離脱させるまでの間に、なぞった経路における地表上の距離(道のり)Dを算出し、その結果を通知する処理である。また、前述のように、図11及び図12に示すように、地図エリア100は格子状に分割されており、分割された各微小領域ΔxΔyは、その位置座標、中心点の位置座標、縮尺値cにより標高が縮尺された高さ情報を有しており、情報記憶手段30は、地図エリア100を構成する各微小領域ΔxΔyの位置座標、その中心点の位置座標、及び高さ情報を関連付けて記憶している。
【0050】
図9に示すように、利用者は、電子ペン1Aのペン先部1aにより、専用紙2Aの地図エリア100上の出発地(接触開始点)701に接触(ペン・ダウン)する。すると、電子ペン1Aは、圧力センサ16で検出された筆圧が所定値以上になったことで、地図エリア100への接触を検出し(ステップS101)、LED14によって赤外線を照射しつつCMOSカメラ15によってドットパターンを撮像し、プロセッサ11によって、撮像されたドットパターンの画像データから地図エリア100への接触位置における座標データ23及びドットパターンアドレス22を演算する(ステップS102)。そしてプロセッサ11は、クロック18によって発信された現在時刻を示す時間情報21、ドットパターンアドレス22、座標データ23、筆圧データ24を関連付けた記入情報20を生成する(ステップS103)。さらに、電子ペン1Aは、当該記入情報20を端末装置3へ送信する(ステップS104)。
【0051】
利用者が電子ペン1Aのペン先部1aを地図エリア100に接触させた状態で利用者の所望する経路をなぞり続けている間は、圧力センサ16によって所定値以上の筆圧を検知し続け、電子ペン1Aは地図エリア100から離れていないと判定しているため(ステップS105;ノー)、ステップS102に移り、所定の間隔(例えば、1秒間に75回)でCMOSカメラ15により撮像されるドットパターンの画像データに応じて、ステップS102からステップS105を繰り返す。すなわち、電子ペン1Aは、上記経路の各地点(通過点702A,702B,702C,702D,…)の座標データ23及びドットパターンアドレス22を演算し(ステップS102)、上記のように、座標データ23等を含む記入情報20を生成し(ステップS103)、当該記入情報20を端末装置3へ送信し続ける(ステップS104)。そして、利用者は出発地から目的地まで経路をなぞり終え、終了点703で電子ペン1Aを専用紙2Aから離脱(ペン・アップ)させる。すると、電子ペン1Aは、圧力センサ16による筆圧が所定値未満になったことを検出することで、地図エリア100から離れたことを検出し(ステップS105;イエス)、処理を終了する。
【0052】
このように、電子ペン1Aは、専用紙2Aに接触している間、即時的且つ逐次的に記入情報20を端末装置3へ送信する。ここで、即時的とは、電子ペン1Aが記入情報20を生成すると、その記入情報20は即座に端末装置3へ送信され、端末装置3によって取得されることを意味し、また、逐次的とは、電子ペン1Aが記入情報20を連続的に取得している間、その記入情報20は、次々に端末装置3へ送信され、端末装置3によって取得されることを意味している。
【0053】
端末装置3のデータ通信手段31は、電子ペン1Aから即時的且つ逐次的に記入情報20を受信する。これにより、利用者が電子ペン1Aで専用紙2Aの地図エリア100をなぞると、端末装置3のデータ通信手段31は、リアルタイムで電子ペン1Aがなぞった経路下にあるドットパターンに対応した座標データ23を時系列順に取得していく。そして、データ通信手段31は、電子ペン1Aから受信した記入情報20を情報記憶手段30に保存するとともに、距離演算手段32に伝送する(ステップS111)。
【0054】
データ通信手段31が電子ペン1Aから連続的に記入情報20を受信し続けている間、端末装置3の距離演算手段32は、記入情報20をデータ通信手段31から伝送され続けるが、データ通信手段31から伝送されていた記入情報20が途切れたことにより、電子ペン1Aのペン・アップを検知した場合(ステップS112:イエス)は、次のステップS113へ進み、記入情報20の受信が途切れず、電子ペン1Aのペン・アップを検知しない間(ステップS112:ノー)は、ステップS111に戻り、記入情報20を逐次的に情報記憶手段30に記憶していく。
【0055】
距離演算手段32が記入情報20の受信の途切れによるペン・アップを検知すると(ステップS112:イエス)、情報記憶手段30に記憶した複数の座標データ23に基づいて、電子ペン1Aがなぞったときの線分に対応する近似ラインをスプライン関数ないしラグランジュ関数等の補間関数により求める(ステップS113)。このとき、離散的な座標データを補間できるようにするため、少なくともX座標が単調増加又は単調減少するよう座標データ列を区間分けし、各区間ごとに、補間関数を適用する。なお、近似ラインは、隣接する座標データの位置座標点間を直線で結んだ補間直線であってもよい。
【0056】
続いて、距離演算手段32は、情報記憶手段30から、地図エリア100を細かく分割するように設定されそれぞれが高さ情報(縮尺値cにより縮尺された標高データ情報)を持つ複数の微小領域から近似ラインが通る微小領域とその高さ情報を抽出し(ステップS114)、抽出した微小領域のうちの隣り合う2つの微小領域の中心点同士を直線で結び、その隣り合う2つの微小領域が有する高さ情報により直線の長さを補正し、補正した各直線の長さを足し合わせることにより、高さ情報により補正された筆跡の長さLを求める。さらに距離演算手段32は、ドットパターンアドレスに基づいて、情報記憶手段30に記憶された縮尺情報を参照してそのドットパターンアドレスに対応した縮尺値cを読み取り、筆跡の長さLと縮尺値cとから、地表上の距離(道のり)Dを演算する(ステップS115)。
【0057】
なお、通常、ドットパターンアドレスは専用紙2Aの種類ないし頁毎に同一であり、ステップS102で求められるドットパターンアドレスは変わらないため、ドットパターンアドレスを求めるのは最初の1回のみでもよいし、繰り返しドットパターンアドレスを求めて、何らかの原因によりドットパターンアドレスが変わった場合は端末装置3に送信することとしてもよい。また、ドットパターンアドレスが変わらない限り、端末装置3の距離演算手段32が縮尺情報を参照して縮尺値を取得するのは、最初の1回のみでよい。
【0058】
続いて、距離演算手段32は、演算した接触開始点701から終了点703までの地表上の距離(道のり)Dを音声出力手段33に音声で報知させたり、表示手段34に表示させる(ステップS116)。これにより、距離演算を終了する。
【0059】
このように、利用者が電子ペン1Aを所望の経路に沿って地図エリア100上でなぞると、それに応じて、端末装置3は、電子ペン1Aによってなぞられた経路に沿って演算された複数の位置座標に基づいて、地図上の経路における地表上の距離(道のり)Dを演算し、音声出力手段33や表示手段34によって報知することができる。
【0060】
ここで、図11及び図12を参照して、ステップS114、115の処理における距離演算手段32による道のり演算のアルゴリズムをより詳細に説明する。なお、これらの例は、便宜上始点から終点までごく短いものを示しており、電子ペン1Aで地図エリア100上の始点(Xs,Ys) から終点(Xe,Ye) までをなぞったときに得られた座標データを示す位置座標を黒丸印で示し、なぞったときの線分に対して、スプライン補間ないしラグランジュ補間により補間された近似ラインを、それぞれA(参照図11),B(参照図12)とする。また、各微小領域の中心点を白丸印で示す。
【0061】
得られた座標データの始点から終点にかけて、複数の微小領域ΔxΔyのうち近似ラインA,Bが通る微小領域を抽出する。このとき、対角に位置する微小領域は選ばないこととする。図11の例では、近似ラインAは、微小領域の格子点を通らないため、6個(i=0〜5)の微小領域が抽出されている。図12の例では、始点(Xs,Ys) から最初の3つの座標データを通過する近似ラインBは、微小領域の格子点を通過しているが、抽出する微小領域は、微小領域i=0から対角にある微小領域i=2を直接抽出せずに、微小領域i=0から、X方向とY方向とを比べて変位量のより大きいX方向に隣接した微小領域i=1を経て、微小領域i=2を抽出するようにする。そして、結果として、近似ラインBにより、図示された6個(i=0〜5)の微小領域が抽出されている。
【0062】
次に、抽出した微小領域のうちの隣り合う2つの微小領域の中心点同士を直線で結び、その隣り合う2つの微小領域が有する高さ情報により直線の長さを補正する。隣り合う2つの微小領域の中心点の座標を(Xi,Yi),(Xi+1,Yi+1)とすると、高さ情報はそれぞれZi、Zi+1 と一義的に決まり、二点の三次元座標は、(Xi,Yi,Zi),(Xi+1,Yi+1,Zi+1)となる。したがって、隣り合う2つの微小領域の中心点の距離をΔc(=Δx=Δy)とすると、ピタゴラスの定理により、高さ情報を加味して補正した直線の長さは、次のようになる。
【数1】

【0063】
そして、補正した各直線の長さを足し合わせることにより、高さ情報により補正された筆跡の長さLは、次式で表される。ただし、始点における微小領域をi=0とし、終点における微小領域をi=imaxとする。
【数2】

【0064】
この長さLを、次式のように縮尺値cで補正することにより、地図エリア上の筆跡に対応する地表上の距離Dが得られる。
D=L/c
【0065】
電子ペン1Aは、1秒間に75回ドットパターンを撮像し、座標データ(Xi,Yi) を求めるため、得られる座標は、なぞった軌跡に沿って連続しているが、電子ペン1Aの移動速度が速いときは、サンプリング点間の距離が長くなるため、サンプリング点間を直線補間するよりも滑らかな曲線補間の方が電子ペン1Aの軌跡を再現するうえで好ましい。
【0066】
このように、利用者が電子ペン1Aを所望の経路に沿って地図エリア100上でなぞると、それに応じて、電子ペン1Aは、なぞられた経路に沿って複数の位置座標を演算し、当該位置座標に基づいて、地図上の経路における地表上の距離(道のり)Dを、音声出力手段33や表示手段34によって報知することができる。
【0067】
[第1実施形態の端末装置を用いたシステムによる作用効果]
この端末装置3を用いた地図情報提供システムによれば、利用者が電子ペン1Aで、地図エリア100をなぞると、電子ペン1Aは、なぞられた経路上の座標を所定間隔で演算し、当該座標を含む記入情報20を生成し、即時的且つ逐次的に当該記入情報20を端末装置3へ送信する。そして、端末装置3は、電子ペン1Aから上記記入情報20を受信し、当該記入情報20の座標データ23に基づいて、軌跡(筆跡)を決定し、当該軌跡の長さLを演算したうえで、縮尺値cを参照し、地表上の距離(道のり)Dを演算する。この場合、距離演算手段32は、電子ペン1Aによって演算された複数の位置座標に基づいて、電子ペン1Aがなぞったときの線分に対応する近似ラインを求め、地図エリア100を細かく分割するように設定されそれぞれが高さ情報を持つ複数の微小領域から近似ラインが通る微小領域を抽出し、抽出した微小領域のうちの隣り合う2つの微小領域の中心点同士を直線で結び、その隣り合う2つの微小領域が有する高さ情報により直線の長さを補正し、補正した各直線の長さを足し合わせることにより、地図エリア100上の筆跡に対応する地表上の距離(道のり)Dを算出する。そのうえで、距離演算手段32は、音声出力手段33や表示手段34に距離Dを報知させる。
【0068】
このように、端末装置3は、電子ペン1Aによってなぞられた経路に沿って演算された座標データ23を含む記入情報20を受信することにより、当該記入情報20の座標データ23に基づいて軌跡(筆跡)を決定し、端末装置3は、上記軌跡(筆跡)の長さLを演算して、音声や画面表示により利用者に報知することができる。これにより、出発地から目的地までに高低差がある場合にも、利用者はこの端末装置3を使用したシステムによって、高さ情報(標高)を反映した精度の高い経路の距離(道のり)を簡単に知ることができ、また複数の経路がある場合にも、各経路の道のりを知ることで経路の選択に役立てられる。
【0069】
<第2実施形態>
次に、第2実施形態について説明する。この第2実施形態では図13に示す電子ペン1B(1)を使用するとともに、図14に示す、電子ペン1Bから端末装置3へのデータ送信処理に対応付けられたドットパターンが形成された送信エリア110を有する専用紙2B(2)を使用する。なお、第2実施形態において第1実施形態と同様の部分については同じ符号を付してその説明を適宜省略する。
【0070】
第2実施形態と第1実施形態とが異なる点は、第1実施形態では、利用者が電子ペン1Aで地図エリア100へ経路を記入している間に、電子ペン1Aが記入情報20を即時的且つ逐次的に端末装置3へ送信するのに対し、第2実施形態では、利用者が電子ペン1Bで地図エリア100へ経路を記入している間、電子ペン1Bは、記入された経路に沿って生成した記入情報20をメモリ19に記憶しておき、利用者は経路の記入を終了した段階で、専用紙2Bの送信エリア110に電子ペン1Bでチェックマークないしタップを記入することで、電子ペン1Bから記入情報20をまとめて端末装置3へ送信させ、端末装置3では、まとめて送信された記入情報20に基づいて軌跡を演算して道のりDを求める点にある。そのため、第2実施形態の電子ペン1Bは、図13に示すように、記入情報20を記憶するためのメモリ19を備える。
【0071】
第2実施形態において、利用者が図14に示す専用紙2Bの地図エリア100をなぞると、電子ペン1Bは、なぞられた軌跡(筆跡)に沿ってドットパターンを読み取って座標データ23を逐次演算していき、当該座標データ23を含む記入情報20をメモリ19に保存していく。
【0072】
電子ペン1Bのプロセッサ11は、ドットパターンの画像データからの座標データの演算において、送信エリア110内の筆跡に基づく記入情報20が得られると、データ通信ユニット12に対して、メモリ19に記憶していた記入情報20をまとめて端末装置3へ送信させる機能を有している。したがって、利用者が電子ペン1Bで地図エリア100への経路の記入を終え、電子ペン1Bで送信エリア110に接触すると、電子ペン1Bは、メモリ19に保存した記入情報20を端末装置3へ送信する。
【0073】
そして、端末装置3は、電子ペン1Bから受信した記入情報20に含まれるドットパターンアドレス22に基づいて、専用紙2B上の地図エリア100の縮尺値を情報記憶手段30から読み出して特定し、開始点701から終了点703までの軌跡(筆跡)の長さLを算出することにより、地表上の距離(道のり)Dを演算し、音声出力手段33或いは表示手段34によって地表上の距離Dを報知する。
【0074】
[地図情報提供システムにおける距離演算処理]
続いて、第2実施形態の端末装置により行われる距離演算処理について図15及び図16を参照して説明する。図15は、電子ペン1Bでなぞられた筆跡のある専用紙2Bを示す図である。図16は、電子ペン1Bにおける距離演算のフローチャートである。
【0075】
利用者は、電子ペン1Bのペン先部1aにより、専用紙2Bの地図エリア100上の出発地(接触開始点)701に接触(ペン・ダウン)する(参照図15)。すると、電子ペン1Bは、圧力センサ16で検出された筆圧が所定値以上になったことで、地図エリア100への接触を検出し(ステップS101A)、LED14によって赤外線を照射しつつCMOSカメラ15によってドットパターンを撮像し、プロセッサ11によって、撮像されたドットパターンの画像データから地図エリア100への接触位置における座標データ23及びドットパターンアドレス22を演算する(ステップS102A)。そしてプロセッサ11は、クロック18によって発信された現在時刻を示す時間情報21、ドットパターンアドレス22、座標データ23、筆圧データ24を関連付けた記入情報20を生成する(ステップS103A)し、この生成した記入情報20をメモリ19に保存する(ステップS104A)。
【0076】
次いで、利用者が電子ペン1Bのペン先部1aを地図エリア100に接触させた状態で利用者の所望する経路をなぞり続けると、電子ペン1Bは送信エリア110内の筆跡に基づく記入情報20を取得しないため(ステップS105A;ノー)、ステップ102Aへ移り、所定の間隔(例えば、1秒間に75回)で、連続的に各地点(通過点702A,702B,702C,702D,…)の座標データ23を演算していくとともに記入情報20を生成していき、それらの記入情報20をメモリ19へ保存する。
【0077】
そして、利用者が電子ペン1Bを経路の終了点703で地図エリア100から離した後に、電子ペン1Bで送信エリア110に接触すると(ステップS105A;イエス)、電子ペン1Bは、メモリ19に保持してある記入情報20をまとめて端末装置3へ送信する(ステップS106A)。
【0078】
端末装置3におけるデータ通信手段31は、電子ペン1Bが送信した記入情報20を受信し、当該記入情報20を情報記憶手段30に保存するとともに、距離演算手段32に伝送する(ステップS111A)。そして、電子ペン1Aによって演算された複数の位置座標に基づいて、電子ペン1Bがなぞったときの線分に対応する近似ラインをスプライン関数ないしラグランジュ関数等の補間関数により求める(ステップS112A)。このとき、離散的な座標データを補間できるようにするため、少なくともX座標が単調増加又は単調減少するよう座標データ列を区間分けし、各区間ごとに、補間関数を適用する。なお、近似ラインは、隣接する座標データの位置座標点間を直線で結んだ補間直線であってもよい。
【0079】
続いて、距離演算手段32は、情報記憶手段30から、地図エリア100を細かく分割するように設定されそれぞれが高さ情報(縮尺値cにより縮尺された標高データ情報)を持つ複数の微小領域から近似ラインが通る微小領域とその高さ情報を抽出し(ステップS113A)、抽出した微小領域のうちの隣り合う2つの微小領域の中心点同士を直線で結び、その隣り合う2つの微小領域が有する高さ情報により直線の長さを補正し、補正した各直線の長さを足し合わせることにより、高さ情報により補正された筆跡の長さLを求める。さらに距離演算手段32は、ドットパターンアドレスに基づいて、情報記憶手段30に記憶された縮尺情報を参照してそのドットパターンアドレスに対応した縮尺値cを読み取り、筆跡の長さLと縮尺値cとから、地表上の距離(道のり)Dを演算する(ステップS114A)。
【0080】
このステップS113A、114Aの演算手順は、第1実施形態においてステップS115,S116で説明した手順と同様である。すなわち、情報記憶手段30から、地図エリア100を細かく分割するように設定されそれぞれが高さ情報(縮尺値cにより縮尺された標高データ情報)を持つ複数の微小領域から近似ラインが通る微小領域とその高さ情報を抽出し(ステップS113A)、抽出した微小領域のうちの隣り合う2つの微小領域の中心点同士を直線で結び、その隣り合う2つの微小領域が有する高さ情報により直線の長さを補正し、補正した各直線の長さを足し合わせることにより、高さ情報により補正された筆跡の長さLを求める。さらに距離演算手段32は、ドットパターンアドレスに基づいて、情報記憶手段30に記憶された縮尺情報を参照してそのドットパターンアドレスに対応した縮尺値cを読み取り、筆跡の長さLと縮尺値cとから、地表上の距離(道のり)Dを演算する(ステップS114A)。
【0081】
そして、地表上の距離(道のり)Dを演算した後、距離演算手段32は、演算して確定した接触開始点701から終了点703までの地表上の距離(道のり)Dを音声出力手段33に音声で通知させたり、表示手段34に表示させたりする(ステップS115A)。これにより、距離演算を終了する。
【0082】
[第2実施形態の端末装置を用いたシステムによる作用効果]
この端末装置3を用いた地図情報提供システムによれば、利用者が電子ペン1Bで、地図エリア100をなぞると、電子ペン1Bは、なぞられた経路上の座標を所定間隔で演算し、当該座標を含む記入情報20を生成し、メモリ19に記憶する。そして、利用者が電子ペン1Bを送信エリア110に接触させると、電子ペン1Bは、当該記入情報20を端末装置3へまとめて送信する。そして、端末装置3は、電子ペン1Bから記入情報20を受信し、当該記入情報20の座標データ23に基づいて、軌跡(筆跡)を決定し、当該軌跡の長さLを演算したうえで、縮尺値cを参照し、地表上の距離(道のり)Dを演算する。この場合、距離演算手段32は、電子ペン1Bによって演算された複数の位置座標に基づいて、電子ペン1Aがなぞったときの線分に対応する近似ラインを求め、地図エリア100を細かく分割するように設定されそれぞれが高さ情報を持つ複数の微小領域から近似ラインが通る微小領域を抽出し、抽出した微小領域のうちの隣り合う2つの微小領域の中心点同士を直線で結び、その隣り合う2つの微小領域が有する高さ情報により直線の長さを補正し、補正した各直線の長さを足し合わせることにより、地図エリア100上の筆跡に対応する地表上の距離(道のり)Dを算出する。そのうえで、距離演算手段32は、音声出力手段33による音声や表示手段34による表示によって距離Dを報知させる。
【0083】
このように、端末装置3は、電子ペン1Bによってなぞられた経路に沿って演算された座標データ23を含む記入情報20を受信することにより、当該記入情報20の座標データ23に基づいて軌跡(筆跡)を決定し、端末装置3は、上記軌跡(筆跡)の長さLを演算して、音声等により利用者に報知することができる。これにより、出発地から目的地までに高低差がある場合にも、利用者はこの端末装置3を使用したシステムによって、高さ情報(標高)を反映した精度の高い経路の距離を簡単に知ることができ、また複数の経路がある場合にも、各経路の距離を知ることで経路の選択に役立てられる。
【0084】
以上、本発明の実施の形態について詳細に説明してきたが、本発明は上記した実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
【0085】
上記実施形態では、地図エリア100に経路をなぞって地表上の距離(道のり)Dを求めるために、距離演算手段32が縮尺情報を参照しているが、地図に限らず、例えば、建築物や人・彫刻等の立体物を表す見取り図等の図面に、高さ情報を参照して、立体物上の表面の長さを求めるようにしてもよい。
【0086】
また、上記実施形態の図11や図12の例では、近似ラインが微小領域の格子点を通過する場合、対角上にある微小領域を直接抽出しないようにしたが、そのような微小領域を直接選択する場合には、上式のΔcを√2*Δcと置き換えて演算するとよい。
【0087】
また、上記実施形態では、微小領域に関連付けられた高さ情報は、標高を縮尺値cで縮尺したデータとしたが、これに限らず、微小領域に関連付ける高さ情報を標高とし、Lを求める際に、Δcを地表上の距離に換算して計算を行い、直接、地表上の距離(道のり)を求めるようにしてもよい(このとき、D=Lとなる)。
【0088】
また、上記実施形態では、距離演算手段32は、軌跡(筆跡)の長さLの演算に先立って、情報記憶手段30から縮尺情報を取得しているが、軌跡の長さLを算出した後、縮尺情報を取得するようにしてもよい。
【0089】
上記実施形態では、データ通信手段31によって受信された記入情報20に含まれる座標データ23が連続して同じであれば、同じ座標データ23の記入情報20のうち、2つ目以降の記入情報20を情報記憶手段30に記憶せず、距離演算手段32も軌跡の長さの演算に加味しないようにしてもよい。これにより、端末装置3の処理の負担を低減することができる。同様にして、上記第2実施形態の電子ペン1Bは、取得した記入情報20に含まれる座標データが連続して同じであれば、同じ座標データ23の記入情報20のうち、2つ目以降の記入情報20をメモリ19に記憶しないようにしてもよい。
【0090】
また、上記実施形態では、インクカートリッジ17を有する電子ペン1を使用したが、インクカートリッジの付いていないペン型スキャナを用いてもよい。このとき、圧力センサ16により専用紙2への接触/非接触を検知する構造とするとよい。
【0091】
また、電子ペン1内に、ペン自体又はその所有者に関するプロパティ情報(ペン情報又はペン所有者情報)を保持しておき、端末装置3から参照することができるようにしてもよいし、プロパティ情報の全部又は一部を記入情報とともに端末装置3に送信するようにしてもよい。ペン情報としては、バッテリーレベル、ペンID、ペン製造者番号、ペンソフトウェアのバージョン、サブスクリプションプロバイダのID、空きメモリ容量などが挙げられる。また、ペン所有者情報としては、国籍、言語、タイムゾーン、Eメールアドレス、名称、住所、ファックス/電話番号、携帯電話番号などが挙げられる。
【0092】
また、上記実施形態では、ドットは赤外線を吸収するカーボンを含むインクとし、電子ペン1のLED14を、赤外線を照射するLEDとし、CMOSカメラ15によって赤外線の反射量の差によって、電子ペン1でドットパターンを読み取っているが、これに限らない。例えば、ドットは所定波長の光によって所定波長を発光するインクとし、電子ペン1のLED14を、ドットのインクを発光させる光を照射するものとし、CMOSカメラ15によってドットのインクが発光する波長の領域を検知することによって、電子ペン1でドットパターンを読み取るようにしてもよく、CMOSカメラ15によってドットパターンが読み取れれば、ドットのインクの種別やLED14の照射光等は上記実施形態で示したものに限られない。また、専用紙2における位置座標が特定できるものであれば、ドットパターンの代わりに、別のコード化されたパターン、例えば、2次元コードパターンなどであってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0093】
本発明は、電子ペン用媒体から構成される、登山用の地図、タウンマップ等の地図アプリケーション、建築見取り図、設計図面等の建築アプリケーション、ゴールまでに辿った経路の最短距離を競う迷路クイズ等に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0094】
【図1】第1実施形態に係る端末装置を用いたシステム構成図である。
【図2】第1実施形態で使用する専用紙の一例を示す平面図である。
【図3】専用紙に印刷されたドットパターンによる情報の表現方法の説明図である。
【図4】専用紙に印刷されたドットパターンによる情報の表現方法を説明するための図である。
【図5】第1実施形態で使用する電子ペンを模式的に示す説明図である。
【図6】記入情報の構成示す概念図である。
【図7】第1実施形態で使用する端末装置の機能ブロック図である。
【図8】第1実施形態における専用アプリケーションのモジュール構成図である。
【図9】電子ペンでなぞられた筆跡のある図2の専用紙を示す図である。
【図10】第1実施形態における距離演算のフローチャートである。
【図11】図10に示すフローチャートのステップS115、116の処理における距離演算手段による道のり演算のアルゴリズムを説明するためのグラフである。
【図12】図10に示すフローチャートのステップS115、116の処理における距離演算手段による道のり演算のアルゴリズムを説明するためのグラフである。
【図13】第2実施形態で使用する電子ペンを模式的に示す説明図である。
【図14】第2実施形態で使用する専用紙の一例を示す平面図である。
【図15】電子ペンでなぞられた筆跡のある図14の専用紙を示す図である。
【図16】第2実施形態における距離演算のフローチャートである。
【符号の説明】
【0095】
1,1A,1B…電子ペン、1a…ペン先部、11…プロセッサ、12…データ通信ユニット、13…バッテリー、14…LED、15…CMOSカメラ、16…圧力センサ、17…インクカートリッジ、18…クロック、19…メモリ、2,2A,2B…専用紙(媒体)、20…記入情報、21…時間情報、22…ドットパターンアドレス、23…座標データ、24…筆圧データ、3…端末装置、30…情報記憶手段、31…データ通信手段、32…距離演算手段、33…音声出力手段(報知手段)、34…表示手段(報知手段)、4…専用アプリケーション、41…データ通信モジュール、42…情報記憶モジュール、43…距離演算モジュール、100…地図エリア、110…送信エリア、701…接触開始点、702A,702B,702C,702D…通過点、703…終了点。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
媒体に印刷されたコード化パターンを読み取って演算された離散的な座標データを電子ペン又はスキャナから受信し、その座標データから筆跡の長さに応じた距離を演算する端末装置であって、
座標データを受信するデータ通信手段と、
前記データ通信手段によって受信され、前記筆跡に沿って前記電子ペン又は前記スキャナによって演算された前記座標データの複数の位置座標に基づいて、電子ペン又はスキャナがなぞったときの線分に対応する近似ラインを求め、媒体を細かく分割するように設定されそれぞれが高さ情報を持つ複数の微小領域から近似ラインが通る微小領域を抽出し、抽出した微小領域のうちの隣り合う2つの微小領域の中心点同士を直線で結び、その隣り合う2つの微小領域が有する高さ情報により直線の長さを補正し、補正した各直線の長さを足し合わせることにより筆跡に応じた距離を演算する距離演算手段と
を備えることを特徴とする端末装置。
【請求項2】
地図エリアとコード化パターンが印刷された媒体の前記コード化パターンを読み取って演算された離散的な座標データを電子ペン又はスキャナから受信し、その座標データから前記地図エリア上の筆跡によって示される経路に対応する地表上の距離を演算する端末装置であって、
座標データを受信するデータ通信手段と、
前記データ通信手段によって受信され、前記筆跡に沿って前記電子ペン又は前記スキャナによって演算された前記座標データの複数の位置座標に基づいて、電子ペン又はスキャナがなぞったときの線分に対応する近似ラインを求め、地図エリアを細かく分割するように設定されそれぞれが高さ情報を持つ複数の微小領域から近似ラインが通る微小領域を抽出し、抽出した微小領域のうちの隣り合う2つの微小領域の中心点同士を直線で結び、その隣り合う2つの微小領域が有する高さ情報により直線の長さを補正し、補正した各直線の長さを足し合わせることにより前記地図エリア上の筆跡に対応する地表上の距離を演算する距離演算手段と
を備えることを特徴とする端末装置。
【請求項3】
さらに、前記距離演算手段によって演算された前記距離を報知する報知手段と
を備えることを特徴とする請求項1または2のうちいずれか一項に記載の端末装置。
【請求項4】
媒体に印刷されたコード化パターンを読み取って演算された離散的な座標データを電子ペン又はスキャナから受信し、その座標データから筆跡の長さに応じた距離を演算するコンピュータにより実行されるプログラムであって、
座標データを受信するデータ通信手段、
前記データ通信手段によって受信され、前記筆跡に沿って前記電子ペン又は前記スキャナによって演算された前記座標データの複数の位置座標に基づいて、電子ペン又はスキャナがなぞったときの線分に対応する近似ラインを求め、媒体を細かく分割するように設定されそれぞれが高さ情報を持つ複数の微小領域から近似ラインが通る微小領域を抽出し、抽出した微小領域のうちの隣り合う2つの微小領域の中心点同士を直線で結び、その隣り合う2つの微小領域が有する高さ情報により直線の長さを補正し、補正した各直線の長さを足し合わせることにより筆跡に応じた距離を演算する距離演算手段
として前記コンピュータを機能させることを特徴とするプログラム。
【請求項5】
地図エリアとコード化パターンが印刷された媒体の前記コード化パターンを読み取って演算された離散的な座標データを電子ペン又はスキャナから受信し、その座標データから前記地図エリア上の筆跡によって示される経路に対応する地表上の距離を演算するコンピュータにより実行されるプログラムであって、
座標データを受信するデータ通信手段、
前記データ通信手段によって受信され、前記筆跡に沿って前記電子ペン又は前記スキャナによって演算された前記座標データの複数の位置座標に基づいて、電子ペンがなぞったときの線分に対応する近似ラインを求め、地図エリアを細かく分割するように設定されそれぞれが高さ情報を持つ複数の微小領域から近似ラインが通る微小領域を抽出し、抽出した微小領域のうちの隣り合う2つの微小領域の中心点同士を直線で結び、その隣り合う2つの微小領域が有する高さ情報により直線の長さを補正し、補正した各直線の長さを足し合わせることにより前記地図エリア上の筆跡に対応する地表上の距離を演算する距離演算手段
として前記コンピュータを機能させることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2009−86469(P2009−86469A)
【公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−258187(P2007−258187)
【出願日】平成19年10月2日(2007.10.2)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】