説明

端末装置及びプログラム

【課題】各々に表示部を備えた二つの筐体を、ヒンジ部を介して折り畳み可能に接続した端末装置であっても互いの表示部の内容が他方の表示部に写り込むという事態を効果的に低減できるようにする。
【解決手段】制御部11は、表示部筐体の見開き角度が、見開き角度検出部17によって検出された場合に、その見開き角度が所定の角度(例えば、90°)より小さい場合に、その見開き角度に応じて、二つの筐体に備えられている表示部4、5のうち少なくとも一方の表示部の輝度を制御する。この場合、表示部4、5を照明するバックライト8、9の輝度を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各々に表示部を備えた二つの筐体を、ヒンジ部を介して折り畳み可能に接続して成る端末装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話機などの端末装置にあっては、その高機能化に伴って画面サイズの拡大化が進んでいるが、持ち運ぶという特質上、画面サイズが制限されてしまうため、複数の表示部を備えることで大画面化を実現化するようにしている。例えば、二つの筐体を、ヒンジ部を介して折り畳み可能に連結した端末装置にあっては、各筐体に表示部をそれぞれ配設することにより、見開き本のように二つの表示部を開くようにすることで大画面化を実現化するようにしている。
【0003】
このような端末装置においては、例えば、電車内のように混雑した場所などで他人からの覗き込みを防いだり、マナーを考慮したりするために、見開き角度を狭くして閲覧することが多いが、見開き角度を狭くすると、互いの表示部の内容が反射光により他方の表示部に写り込んでしまうという写り込みが発生し、視認性を著しく低下させて見難くなるという問題があった。このことは、明るいほど、顕著なものとなる。
そこで、従来では、折り畳み型の端末装置において、写り込みの発生に関する情報を予め内部で情報管理しておき、それに応じた表示領域に対して画質補正を行うことにより写り込みを防止するようにした技術が開示されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−4462号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した先行技術にあっては、折り畳み角度毎に各種の情報を記憶管理しておく必要があるために、情報量が膨大化すると共に、その情報に基づいて画質補正を行うことは処理の煩雑化を招き、しかも、記憶管理する情報は、キーパットなどのように固定的な情報に限られてしまうという問題があった。
【0006】
本発明の課題は、各々に表示部を備えた二つの筐体を、ヒンジ部を介して折り畳み可能に接続して成る端末装置であっても、互いの表示部の内容が他方の表示部に写り込むという不具合を効果的に低減できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決するために請求項1記載の発明は、
各々に表示部を備えた二つの筐体を、ヒンジ部を介して折り畳み可能に接続した端末装置であって、
前記二つの筐体の見開き角度を検出して、所定の角度より小さいか否かを判別する見開き角度判別手段と、
前記見開き角度判別手段により見開き角度が所定の角度より小さいと判別された場合に、その見開き角度に応じて、前記二つの筐体のうち少なくとも一方の表示部の輝度を制御する表示制御手段と、
を備えることを特徴とする。
【0008】
請求項1に従属する発明として、
前記二つの筐体が見開かれている状態において、その見開きと同方向における各筐体の傾き角度を検出して、それらの差が所定の角度より大きいか否かを判別する角度差判別手段を更に備え、
前記表示制御手段は、前記見開き角度判別手段により見開き角度が所定の角度より小さいと判別され、かつ前記角度差判別手段により角度差が所定の角度より大きいと判別された場合に、前記傾き角度が大きい方の筐体に備えられている表示部の輝度を低減する、
ようにしたことを特徴とする、請求項2記載の発明であってもよい。
【0009】
請求項2に従属する発明として、
前記表示制御手段は、前記傾き角度が大きい方の筐体に備えられている表示部の輝度を制御する場合に、前記大きい方の傾き角度が所定の角度より大きいか否かに応じて該表示部の輝度をオフ状態にするかその輝度を低減する、
ようにしたことを特徴とする、請求項3記載の発明であってもよい。
【0010】
請求項1に従属する発明として、
前記二つの筐体が見開かれている状態において、その見開きと同方向における各筐体の傾き角度を検出して、それらの差が所定の角度より大きいか否かを判別する角度差判別手段を更に備え、
前記表示制御手段は、前記見開き角度判別手段により見開き角度が所定の角度より小さいと判別され、かつ前記角度差判別手段により角度差が所定の角度より大きいと判別された場合に、前記傾き角度が大きい方の筐体に備えられている表示部の表示をオフ状態にする、
ようにしたことを特徴とする、請求項4記載の発明であってもよい。
【0011】
請求項1に従属する発明として、
前記二つの筐体が見開かれた状態において、その見開きと同方向における各筐体の傾き角度を検出して、それらの差が所定の角度より大きいか否かを判別する角度差判別手段を更に備え、
前記表示制御手段は、前記見開き角度判別手段により見開き角度が所定の角度より小さいと判別され、かつ前記角度差判別手段により角度差が所定の角度より小さいと判別された場合に、前記二つの筐体に備えられている表示部の輝度をそれぞれ低減する、
ようにしたことを特徴とする、請求項5記載の発明であってもよい。
【0012】
請求項1に従属する発明として、
前記二つの表示部のうち、どちらの表示部にユーザが注目しているかを判別する注目判別手段を更に備え、
前記表示制御手段は、前記見開き角度判別手段により見開き角度が所定の角度より小さいと判別された場合に、前記注目判別手段により注目していないと判別された表示部の輝度を低減する、
ようにしたことを特徴とする、請求項6記載の発明であってもよい。
【0013】
請求項6に従属する発明として、
前記注目判別手段は、前記二つの表示部のうち、どちらの表示部にユーザが注目しているかをその注目時間に応じて判別し、
前記表示制御手段は、前記注目判別手段により注目していないと判別された表示部の輝度を制御する場合に、前記注目時間が所定の時間よりも長いか否かに応じて該表示部の輝度をオフ状態にするかその輝度を低減する、
ようにしたことを特徴とする、請求項7記載の発明であってもよい。
【0014】
請求項6に従属する発明として、
前記表示制御手段は、前記注目判別手段により前記二つの表示部をそれぞれ注目していると判別された場合に、各表示部の輝度をそれぞれ低減する、
ようにしたことを特徴とする、請求項8記載の発明であってもよい。
【0015】
請求項1に従属する発明として、
前記二つの表示部のうち、どちらの表示部にユーザが注目しているかを判別する注目判別手段を更に備え、
前記表示制御手段は、前記見開き角度判別手段により見開き角度が所定の角度より小さいと判別され、前記注目判別手段により注目していないと判別された表示部の表示をオフ状態にする、
ようにしたことを特徴とする、請求項9記載の発明であってもよい。
【0016】
請求項6〜9のいずれかに従属する発明として、
前記注目判別手段は、ユーザを撮影した画像を解析することにより前記二つの表示部のうち、どちらの表示部にユーザが注目しているかを判別する、
ようにしたことを特徴とする、請求項10記載の発明であってもよい。
【0017】
請求項1に従属する発明として、
前記表示部は、バックライトを使用する表示デバイスであって、
前記表示制御手段は、前記バックライトの輝度を低減する、
ようにしたことを特徴とする、請求項11記載の発明であってもよい。
【0018】
請求項1に従属する発明として、
前記表示部は、自発光の表示デバイスであって、
前記表示制御手段は、前記自発光の表示部の輝度を低減する、
ようにしたことを特徴とする、請求項12記載の発明であってもよい。
【0019】
また、上述した課題を解決するために請求項13記載の発明は、
コンピュータに対して、
各々に表示部を備え、ヒンジ部を介して折り畳み可能に接続した二つの筐体の見開き角度を検出して、所定の角度より小さいか否かを判別する機能と、
前記見開き角度が所定の角度より小さいと判別された場合に、その見開き角度に応じて前記表示部の輝度を制御する機能と、
を実現させるためのプログラム、であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、各々に表示部を備えた二つの筐体を、ヒンジ部を介して折り畳み可能に接続した端末装置であっても互いの表示部の内容が他方の表示部に写り込むという不具合を効果的に低減することができ、視認性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】端末装置として適用した携帯電話機の外観図。
【図2】携帯電話機の基本的な構成要素を示したブロック図。
【図3】バックライト制御テーブルBTを説明するための図。
【図4】任意のアプリケーションの起動に応じて実行開始される第1実施形態の特徴部分の動作概要を示したフローチャート。
【図5】(1)〜(3)は、表示部筐体1、2の見開き角度が所定の角度(90°)より小さい場合において、表示部筐体1、2の傾き角度に応じて、どの表示部4、5をユーザが見ているのかを判断する場合を例示した図。
【図6】第2実施形態において表示部筐体1、2を見開いた状態(横開き状態)においてインカメラ16の取り付け位置を示した図。
【図7】(1)〜(2)は、第2実施形態において表示部筐体1、2の見開き角度が所定の角度(90°)より小さい場合に、ユーザの視線方向を検出することにより、どの表示部4、5をユーザが見ているのかを判断する場合を例示した図。
【図8】任意のアプリケーションの起動に応じて実行開始される第2実施形態の特徴部分の動作概要を示したフローチャート。
【図9】。 (1)〜(3)は、第2実施形態における変形例を説明するための図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
(第1実施形態)
図1〜図5を参照して本発明の第1実施形態を説明する。
第1実施形態は、端末装置として携帯電話機に適用した場合を例示したもので、図1は、この携帯電話機の外観図を示している。
携帯電話機は、通話機能(音声通話機能、テレビ電話機能)、電子メール機能、インターネット接続機能(Webアクセス機能)のほか、電子ブック閲覧機能などを備えたもので、図1に示すように、各々に表示部を備えた二つの筐体、つまり、表示部筐体1、2をヒンジ部3を介して折り畳み自在(開閉自在)に取り付けた折り畳みタイプの携帯電話機である。なお、電子ブック閲覧機能は、複数頁分のデータを表示部筐体1、2の各表示部に頁順に割り当て表示する機能である。
【0023】
表示部筐体1は、表示部4を備えた筐体であり、表示部筐体2は、表示部5を備えた筐体で、この表示部筐体1、2は、同形同大の長方体を成している。図1は、縦長の表示部筐体1、2が横並びとなるように見開いた状態(横開き状態)、つまり、端末筐体全体が横長となるような縦向きにした状態を示し、この縦向き状態(横開き状態)では、表示部筐体1が図中、左側に位置し、表示部筐体2が右側に位置するようになる。ヒンジ部3は、表示部筐体1、2を重ね合わせた状態から見開き状態(180°見開いた状態)に開閉可能とするための連結部である。表示部4、5は、同形同大の長方形で、筐体の正面略全域に配置された液晶表示部であり、それらの照明用のバックライト(図1では図示せず)をそれぞれ有している。
【0024】
図2は、携帯電話機の基本的な構成要素を示したブロック図である
制御部11は、二次電池を備えた電源部12からの電力供給によって動作し、記憶部13内の各種のプログラムに応じてこの携帯電話機の全体動作を制御するもので、この制御部11には図示しないCPU(中央演算処理装置)やメモリなどが設けられている。記憶部13は、ROM、RAMなどの内部メモリで、図示しないプログラム領域とデータ領域とを有し、この記憶部13内のプログラム領域には、後述する図4に示す動作手順に応じて本実施形態を実現するためのプログラムが格納されている。また、記憶部13内のデータ領域には、各種のフラグ情報、携帯電話機の動作に必要な各種の情報が記憶されるほか、後述するバックライト制御テーブルBTが設けられている。なお、記憶部13は、例えば、SDカード、ICカードなど、着脱自在な可搬型メモリ(記録メディア)を含む構成であってもよく、あるいは図示しない所定の外部サーバ上に記憶部13が有する構成であってもよい。
【0025】
表示部4、5は、タッチスクリーン(タッチ画面)TA、TBを構成するもので、表示部4、5の表面に対応する指の接触を検出する接触操作部(透明なタッチパネル)6、7を積層配設することによってタッチ画面TA、TBが構成されている。ここで、タッチパネル6、7は、静電容量方式でも抵抗膜方式でもよく、また、接触のほかに操作器具や指の押し込み(押圧)を検出可能する圧電方式であってもよいが、本実施形態では、人体接触を検出する静電容量方式を使用している。
【0026】
このタッチ画面TA、TBは、ダイヤル入力、文字入力、コマンド入力などを行うもので、制御部11は、タッチ画面TA、TBからの操作信号に応じた処理として、例えば、発信処理、電子メール受信処理、カメラ処理など、各種の処理を行う。また、タッチ画面TA、TBは、待受画像、アイコン、日時情報のほか、テキストデータ、メール、Webページなどを表示するほか、カメラ機能の使用時にはライブビュー画像を表示するファインダ画面となる。表示部4、5の近傍には、それを照明するバックライト(例えば、蛍光管など)8、9が配設されている。
【0027】
無線通信部14は、図示しない無線部、ベースバンド部、多重分離部などを備え、例えば、音声通話機能、電子メール機能、インターネット接続機能の動作時に最寄りの基地局との間でデータの送受信を行うもので、通話機能の動作時にはベースバンド部の受信側から信号を取り込んで受信ベースバンド信号に復調して制御部11に与え、制御部11は、電話部15を介して通話用スピーカSPから音声出力させ、また、通話用マイクMCからの入力音声データを電話部15から取り込み、送信ベースバンド信号に符号化した後、ベースバンド部の送信側に与えてアンテナATから発信出力させる。
【0028】
インカメラ16は、電話中に自己の顔などを撮影するテレビ電話用などとして使用される撮像部であり、筐体の内側のヒンジ部3に設けられたもので、撮影レンズ、撮像素子、その駆動系のほか、測距センサ、光量センサ、アナログ処理回路、信号処理回路などを備えている。なお、このインカメラ16は、後述する第2実施形態で使用されるものである。見開き角度検出部17は、ヒンジ部3に内蔵されていて、表示部筐体1、2が見開いたときの角度(見開き角度)を検出するもので、ヒンジ部3の回転に応じて回転する可動接点が固定接点に接触することにより見開き角(0°〜360°)を検出するロータリタイプのスイッチ構造となっているが、その構成は任意であり、光学的、磁気的に検出する構成であってもよい。なお、見開き角として、0°〜180°を検出するようにしてもよい。
【0029】
この見開き角度検出部17による検出結果に基づいて制御部11は、見開き角度が所定の角度(本実施形態では90°)よりも小さいか否かに基づいて、互いの表示部4、5の内容が反射光により他方の表示部に写り込んでしまう写り込みが発生する可能性が高いか否かを判断し、見開き角度が90°未満の場合には、このような写り込みの可能性が高いものとしてバックライト8、9の輝度を制御するようにしている。この場合、制御部11は、少なくともいずれかのバックライト8、9の輝度を見開き角度に応じて低減させたり、消灯させたりする制御を行うようにしている。
【0030】
筐体傾き検出部18は、ヒンジ部3を介して表示部筐体1、2を見開いた状態においてその見開きと同方向における各筐体の水平面からの傾き角度を検出する3軸タイプの加速度センサで、表示部筐体1、2のうちその一方の表示部筐体2内の基板に実装されたもので、図1に示すように、表示部筐体2のXYZ軸方向とピッチ角、ロール角との検出が可能となっている。ここで、ピッチ角は、表示部筐体2の長辺の回転角を示し、ロール角は、表示部筐体2の短辺の回転角を示し、水平面からのロール角が筐体の傾き角度となる。また、他方の表示部筐体1の傾き角度は、筐体傾き検出部18によって検出された表示部筐体2のロール角と見開き角度検出部17によって検出された見開き角度に基づいて、次式によって算出される。
表示部筐体1の傾き角度=180°−(表示部筐体2の水平面からのロール角+見開き角)
【0031】
制御部11は、筐体傾き検出部18によって検出された表示部筐体1、2のロール角に基づいて、それらの角度差を求め、その角度差が所定の角度(例えば、20°)よりも大きいか否かに基づいて表示部4、5の両方をユーザが見ている可能性が高いのか、いずれか一方をユーザが見ている可能性が高いのかを判断するようにしている。この場合、制御部11は、両方の表示部4、5を見ている可能性が高ければ、両方のバックライト8、9の輝度を制御するが、一方の表示部を見ている可能性が高ければ、他方の表示部におけるバックライトの輝度を制御するようにしている。
【0032】
図3は、バックライト制御テーブルBTを説明するための図である。
バックライト制御テーブルBTは、表示部筐体1、2の見開き角度が所定の角度より小さい場合に、その見開き角度に応じて、二つの筐体1、2のうち少なくとも一方の表示部の輝度を制御する処理を行うために使用される制御用のテーブルで、「見開き角度」、「駆動電流の角度補正」の各項目を有している。「見開き角度」は、見開き角度検出部17によって検出された見開き角度がいずれの範囲に該当しているかを判定するための項目で、“90°以上”、“90°未満60°以上”、“60°未満45°以上”、“45°未満30°以上”、“30°未満”の範囲に分かれている。
【0033】
「駆動電流の角度補正」は、表示部4、5の表示面を照明するバックライト8、9を駆動するための駆動電流を補正する補正値を記憶する項目で、「見開き角度」が小さくなるに応じて段階的にバックライト8、9の輝度を低減させるような補正値が記憶されている。すなわち、図示の例では、「見開き角度」の“90°以上”に対応する「駆動電流の角度補正」として“×1倍”が記憶され、また、“90°未満60°以上”に対応して“×0.8倍”が記憶され、“60°未満45°以上”に対応して“×0.6倍”が記憶され、“45°未満30°以上”に対応して“×0.4倍”が記憶され、“30°未満”に対応して“OFF”が記憶されている。
【0034】
「駆動電流の角度補正」の“×1倍”は、通常の輝度でバックライト8、9を駆動させることを示す補正値で、「見開き角度」が“90°以上”であれば、通常の輝度でバックライト8、9を駆動させるが、「見開き角度」が所定の角度“90°”より小さくなると、「見開き角度」に応じて「駆動電流の角度補正」は、“×1倍”、“×0.8倍”、“×0.6倍”、“×0.4倍”、“OFF”となり、見開き角度に応じて輝度を段階的に低減させることを示している。つまり、見開き角度が狭くなるにしたがって写り込みが起こり易くなるために、バックライト8、9の輝度を段階的に低減(暗く)させるようにしている。「駆動電流の角度補正」の“OFF”は、「見開き角度」が“30°未満”の場合、つまり、両方の表示部4、5をユーザが見ていない可能性が極めて高い場合の補正値であり、このような場合には、両方のバックライト8、9をそれぞれオフ状態(消灯)させることを示している。
【0035】
次に、第1実施形態における携帯電話機の動作概念を図4に示すフローチャートを参照して説明する。ここで、このフローチャートに記述されている各機能は、読み取り可能なプログラムコードの形態で格納されており、このプログラムコードにしたがった動作が逐次実行される。また、ネットワークなどの伝送媒体を介して伝送されてきた上述のプログラムコードに従った動作を逐次実行することもできる。このことは後述する他の実施形態においても同様であり、記録媒体のほかに、伝送媒体を介して外部供給されたプログラム/データを利用して本実施形態特有の動作を実行することもできる。
【0036】
図4は、携帯電話機1の全体動作のうち、第1実施形態の特徴部分の動作概要を示したフローチャートであり、任意のアプリケーションの起動に応じて実行開始されるもので、この図4のフローから抜けた際には、全体動作のメインフロー(図示省略)に戻る。以下、図4のフローチャートを図5(1)〜(3)に示す具体例を参照しながら説明するものとする。図5(1)〜(3)は、表示部筐体1、2の見開き角度が所定の角度(90°)より小さい場合において、表示部筐体1、2の傾き角度(水平面からのロール角)に応じて、どの表示部4、5をユーザが見ているのかを判断する場合を例示した図である。
【0037】
すなわち、図5(1)は、両方の表示部4、5をユーザが見ていると判断する場合を例示したもので、表示部筐体1、2の見開き角度が60°、かつ表示部筐体1、2の水平面からのロール角がそれぞれ60°の場合である。図5(2)は、一方の表示部を中心として他方の表示部も見ていると判断する場合を例示したもので、表示部筐体1、2の見開き角度が70°、かつ表示部筐体1の水平面からのロール角が70°、また、表示部筐体2の水平面からのロール角が40°の場合である。図5(3)は、一方だけの表示部を見て他方の表示部を見ていないと判断する場合を例示したもので、表示部筐体1、2の見開き角度が60°、かつ表示部筐体1の水平面からのロール角が80°、また、表示部筐体2の水平面からのロール角が40°の場合である。
【0038】
先ず、制御部11は、任意のアプリケーション(例えば、電子ブック閲覧機能)の起動に応じてそのアプリケーション画面を表示部4、5に表示させた後(ステップA1)、見開き角度検出部17の検出結果を取得して(ステップA2)、「見開き角度」は90°未満であるかを調べる(ステップA3)。ここで、「見開き角度」が90°以上であれば(ステップA3でNO)、通常の設定値により表示部4、5及びバックライト8、9を制御する(ステップA4)。この場合、バックライト制御テーブルBTには、「見開き角度」が90°以上に対応する「駆動電流の角度補正」として、“×1倍”が設定されているので、通常の輝度となるようにバックライト8、9を駆動させる。その後、上述のステップA2に戻り、以下、同様に見開き角度が90°以上であることを条件にバックライト8、9を通常の輝度で駆動させる。
【0039】
また、見開き角度が所定の角度(90°)未満であれば(ステップA3でYES)、更に、見開き角度は、他の所定の角度(30°)以上であるかを調べる(ステップA5)。いま、「見開き角度」が30°未満であれば(ステップA5でNO)、両方の表示部4、5をユーザが見ていない可能性が高いと判断してステップA6に移り、その見開き角度に応じてバックライト制御テーブルBTを参照し、該当する「駆動電流の角度補正」を読み出す。そして、両方の表示部4、5に対応するバックライト8、9を「駆動電流の角度補正」に応じてそれぞれ駆動させる(ステップA7)。この場合、見開き角度は、30°未満であるので、「駆動電流の角度補正」は、“OFF”となり、両方のバックライト8、9をそれぞれ消灯させる。その後、上述のステップA2に戻る。
【0040】
図5(1)の場合、「見開き角度」は、60°であり、図5(2)の場合には70°であり、図5(3)の場合には60°であり、いずれの場合の「見開き角度」であっても、90°未満であり(ステップA3でYES)、かつ30°以上であるから(ステップA5でYES)、少なくとも表示部4、5の一方をユーザが見ている可能性が高いと判断すると共に、互いの表示部4、5の内容が反射光により他方の表示部に写り込んでしまう写り込みが発生している可能性が高いと判断して、次のステップA8に移り、筐体傾き検出部18から一方の筐体のロール角を取得する。そして、一方の筐体のロール角から他方の筐体のロール角を次式によって算出する(ステップA9)。
表示部筐体1の傾き角度=180°−(表示部筐体2の水平面からのロール角+見開き角)
【0041】
その後、表示部筐体1、2のロール角の差を求め(ステップA10)、この角度差は、所定の角度(図示の例では20°)よりも大きいかを調べる(ステップA11)。図5(1)の場合、表示部筐体1、2のロール角は、水平面からそれぞれ60°で、それらの角度差は、0°となり、上述の所定の角度(例えば、20°)未満であるから(ステップA11でNO)、ユーザは両方の表示部4、5を見ているものと判断してステップA6に移り、その見開き角度に応じてバックライト制御テーブルBTを参照し、該当する「駆動電流の角度補正」を読み出す。そして、両方の表示部4、5に対応するバックライト8、9を「駆動電流の角度補正」に応じてそれぞれ駆動させる(ステップA7)。
【0042】
図5(1)の場合、見開き角度は、60°であるので、「駆動電流の角度補正」は、“×0.8倍”となる。その結果、両方のバックライト8、9は、通常よりも20%低減した輝度で駆動される。また、図5(2)の場合、表示部筐体1のロール角は、水平面から70°、また、表示部筐体2のロール角は、水平面から40°で、その角度差は、30°となり、上述の所定の角度(例えば、20°)以上であるから(ステップA11でYES)、次のステップA12に移り、大きい方のロール角は、80°以上100°以下であるか、つまり、その表示部筐体は略垂直状態(垂直に近い状態)であるかを判別する。いま、大きい方のロール角は、70°であり、略垂直状態ではないので(ステップA12でNO)、ユーザはロール角が小さい方の筐体に備えられている表示部を中心に見ていると判断してステップA15に移り、その見開き角度に応じてバックライト制御テーブルBTを参照し、該当する「駆動電流の角度補正」を読み出す。そして、ロール角が大きい方の筐体に備えられている表示部のバックライトを「駆動電流の角度補正」に応じて駆動させる(ステップA16)。
【0043】
図5(2)の場合、見開き角度は、“60°”、また、ロール角が大きい方の筐体1に備えられた表示部4のバックライト8を通常よりも20%低減した輝度となるように駆動させる。その後、上述のステップA2に戻る。
【0044】
図5(3)の場合、表示部筐体1のロール角は、水平面から80°、表示部筐体2のロール角は、水平面から40°で、その角度差は、40°となり、所定の角度(例えば、20°)以上であるから(ステップA11でYES)、上述した場合と同様に、大きい方のロール角は、略垂直状態であるか否かを判別する(ステップA12)。この場合、大きい方のロール角は、80°以上100°以下で、略垂直状態となっているため(ステップA12でYES)、ユーザはロール角が小さい方の筐体に備えられている表示部だけを見ていると判断してステップA13に移り、ロール角が大きい方の筐体に備えられている表示部のバックライトを消灯(OFF)させることによりその輝度をオフ状態にすると共に、ロール角が大きい方の筐体に備えられている表示部の表示をオフ状態(電源遮断状態)にする(ステップA14)。図5(3)の場合、ロール角が大きい方の筐体1に備えられている表示部4のバックライト8を消灯させると共に、表示部4をオフさせる。その後、上述のステップA2に戻る。
【0045】
以上のように、第1実施形態において制御部11は、見開き角度検出部17によって検出された表示部筐体1、2の見開き角度が所定の角度より小さい場合に、その見開き角度に応じて、二つの筐体1、2に備えられている表示部4、5のうち少なくとも一方の表示部の輝度を制御するようにしたので、例えば、電車内のように混雑した場所などで他人からの覗き込みやマナーを考慮することにより見開き角度を狭くして閲覧しているような場合でも、互いの表示部の内容が他方の表示部に写り込むという事態を効果的に低減することができ、視認性(閲覧性)の低下を防ぐことが可能となる。
【0046】
表示部4、5は、バックライト8、9を使用する表示デバイスであり、このバックライト8,9の輝度を低減するようにしたので、バックライトを使用する表示デバイスで写り込みを効果的に低減することができる。
【0047】
表示部筐体1、2の見開き角度が所定の角度より小さい場合において、筐体傾き検出部18により検出された各筐体1、2の傾き角度(水平面からのロール角)の差が所定の角度より大きければ、傾き角度が小さい方の筐体に備えられている表示部をユーザが見ている可能性が高いと判断して、傾き角度が大きい方の筐体に備えられている表示部の輝度を制御するようにしたので、ユーザが注目している側の表示部への写り込みを効果的に低減してその見易さを確保することができると共に、注目していない側の表示部に発生した写り込みでその表示内容が見辛くなったとしてもその概要だけでもユーザに確認させることが可能となる。
【0048】
傾き角度が大きい方の筐体に備えられている表示部の輝度を制御する場合に、大きい方の傾き角度が所定の角度より大きいか否かに応じて該表示部の輝度をオフ状態にしたり、その輝度を低減したりするようにしたので、例えば、一方の筐体が略垂直状態にある場合には、他方の筐体に備えられている表示部だけを見ていると判断して、その略垂直状態にある筐体の表示部の輝度をオフ状態にすることができ、両方の筐体が略垂直状態にない場合には、一方の筐体に備えられている表示部を中心に見ていると判断して、中心的に見ていない方の表示部の輝度を効果的に低減することができる。
【0049】
筐体傾き検出部18により検出された各筐体1、2の傾き角度(水平面からのロール角)の差が所定の角度より大きいと判別された場合に、傾き角度が大きい方の筐体に備えられている表示部の表示をオフ状態にするようにしたので、注目している側の表示部への写り込みを効果的に防ぐことができと共に、省電力化を図ることができる。
【0050】
表示部筐体1、2の見開き角度が所定の角度より小さい場合において、筐体傾き検出部18により検出された各筐体1、2の傾き角度(水平面からのロール角)の差が所定の角度より小さければ、両方の筐体に備えられている表示部をユーザが見ている可能性が高いと判断して、両方の筐体に備えられている表示部の輝度をそれぞれ制御するようにしたので、両方の表示部への写り込みを効果的に低減してそれらの見易さを確保することができる。
【0051】
(第2実施形態)
以下、この発明の第2実施形態について図6〜図8を参照して説明する。
なお、上述した第1実施形態においては、表示部筐体1、2の見開き角度が所定の角度(90°)より小さい場合に、表示部筐体1、2の傾き角度に応じて、いずれの表示部4、5をユーザが見ているのかを判断するようにしたが、この第2実施形態においては、表示部筐体1、2の見開き角度が所定の角度(90°)より小さい場合に、インカメラ16で撮影したユーザの顔画像を解析して、ユーザの眼球から視線方向を検出し、この視線方向に基づいて、いずれの表示部4、5をユーザが見ているのか(注目しているか)を判断するようにしたものである。ここで、両実施形態において基本的あるいは名称的に同一のものは、同一符号を付して示し、その説明を省略すると共に、以下、第2実施形態の特徴部分を中心に説明するものとする。
【0052】
図6は、表示部筐体1、2を見開いた状態(横開き状態)においてインカメラ16の取り付け位置を示した図で、インカメラ16は、見開き状態において表示部4、5が露出している側のヒンジ部3の上端部分に設けられている。図7は、表示部筐体1、2の見開き角度が所定の角度(90°)より小さい場合に、ユーザの視線方向を検出することにより、いずれの表示部4、5をユーザが見ているのかを判断する場合を例示した図である。すなわち、図7は、インカメラ16の撮影方向を示すほかに、ユーザの両眼の黒目の位置から両眼の視線方向を特定し、この視線方向に基づいて、いずれの表示部4、5をユーザが見ているのか(注目しているのか)を示した具体例である。図7(1)は、表示部筐体2の表示部5を中心に見ている場合を示し、図7(2)は、表示部筐体2の表示部5のみを見ている場合(他方の表示部4を見ていない場合)を示し、図中、左側の黒目の位置が右寄りの具合により図中右側に位置している表示部5を中心に見ているのか、表示部5のみを見ているかを判断するようにしている。
【0053】
図8は、第2実施形態の特徴部分の動作概要を示したフローチャートで、上述した図4と同様に、任意のアプリケーションの起動に応じて実行開始される。
先ず、制御部11は、任意のアプリケーションの起動に応じてそのアプリケーション画面を表示部4、5に表示させた後(ステップB1)、見開き角度検出部17の検出結果を取得し(ステップB2)、「見開き角度」は90°未満であるかを調べる(ステップB3)。ここで、「見開き角度」が90°以上であれば(ステップB3でNO)、通常の設定値で表示部4、5及びバックライト8、9を制御する(ステップB4)。この場合、バックライト制御テーブルBTには、それに対応する「駆動電流の角度補正」として“×1倍”が設定されているので、通常の輝度となるようにバックライト8、9を駆動させる。その後、上述のステップB2に戻り、以下、同様に「見開き角度」が90°以上であることを条件にバックライト8、9を通常の輝度で駆動させる。
【0054】
また、「見開き角度」が所定の角度(90°)未満であれば(ステップB3でYES)、更に、「見開き角度」は、他の所定の角度(30°)以上であるかを調べる(ステップB5)。いま、「見開き角度」が30°未満であれば(ステップB5でNO)、両方の表示部4、5をユーザが見ていない可能性が高いと判断してステップB6に移り、その見開き角度に応じてバックライト制御テーブルBTを参照し、該当する「駆動電流の角度補正」を読み出すが、この場合、見開き角度は、30°未満であるので、「駆動電流の角度補正」は、“OFF”となり、両方のバックライト8、9を消灯させる(ステップB7)。その後、上述のステップB2に戻る。
【0055】
また、「見開き角度」が90°未満で(ステップB3でYES)、かつ30°以上であれば(ステップB5でYES)、少なくとも表示部4、5の一方をユーザが見ている可能性が高いと判断すると共に、互いの表示部4、5の内容が反射光により他方の表示部に写り込んでしまう写り込みが発生している可能性が高いと判断して、次のステップB8に移り、注目時間タイマ(図示省略)の内容をクリアしてその計測動作を開始させる。この注目時間タイマは、いずれの表示部4、5をユーザが継続して見ているのか(注目しているのか)を示すための注目時間を計測するタイマである。そして、インカメラ16を駆動してユーザの顔を撮影させた後(ステップB9)、この撮影画像を取得してその解析を行い(ステップB10)、その結果、両眼の黒目の位置から両眼の視線方向を検出し、この視線方向に基づいて、いずれの表示部4、5をユーザが見ているのか(注目しているのか)を判定する(ステップB11)。
【0056】
そして、その判定結果に変化があったかを調べるが(ステップB12)、最初は変化無しが検出されるため(ステップB12でNO)、今回の判定結果を前回の判定結果として一時記憶した後(ステップB13)、上述のステップB9に戻り、撮影画像を取得して、その解析を行うと共に(ステップB10)、視線方向を検出して注目判定を行う(ステップB11)。以下、今回の判定結果と前回の判定結果とを比較しながら、判定結果の変化を検出するまで上述の動作を繰り返す。ここで、判定結果の変化を検出すると(ステップB12でYES)、上述の注目時間タイマ(図示省略)の計測時間を取得し(ステップB14)、その計測時間(注目時間)に基づいてA時間(例えば、2秒)以上の間、一方の表示部を継続して見ていたか(注目していたか)を調べる(ステップB15)。
【0057】
いま、両眼の黒目の位置により一方の表示部を見ている注目時間がA時間未満の場合には(ステップB15でNO)、両方の表示部4、5を見ていると判断して、次のステップB6に移り、その見開き角度に応じてバックライト制御テーブルBTを参照し、該当する「駆動電流の角度補正」を読み出す。そして、両方の表示部4、5に対応するバックライト8、9を「駆動電流の角度補正」に応じてそれぞれ駆動させる(ステップB7)。ここで、見開き角度を60°とすると、「駆動電流の角度補正」は、“×0.8倍”となり、両方のバックライト8、9は、通常よりも20%低減した輝度で駆動される。その後、上述のステップB2に戻る。
【0058】
また、一方の表示部を見ている注目時間がA時間以上であれば(ステップB15でYES)、更に、一方の表示部を見ている注目時間は、B時間(例えば、8秒)以上であるかを調べる(ステップB16)。ここで、注目時間がA時間以上B時間未満の場合には(ステップB16でNO)、一方の表示部を中心に見ている場合であると判断して、次のステップB19に移り、その見開き角度に応じてバックライト制御テーブルBTを参照し、該当する「駆動電流の角度補正」を読み出す。そして、注目していない方の表示部のバックライトを「駆動電流の角度補正」に応じて駆動させる(ステップB20)。図7(1)の場合、見開き角度は、“60°”であり、注目度の少ない方の表示部4のバックライト8を通常よりも20%低減した輝度となるように駆動させる。その後、上述のステップB2に戻る。
【0059】
また、注目時間がB時間以上の場合には(ステップB16でYES)、注目している表示部だけを見ていると判断してステップB17に移り、全く注目していない方の表示部のバックライトを消灯(OFF)させることによりその輝度をオフ状態にすると共に、注目していない方の表示部の表示をオフ状態(電源遮断状態)にする(ステップB18)。図7(2)の場合、注目していない方の表示部4のバックライト8を消灯させると共に、表示部4をオフさせる。その後、上述のステップB2に戻る。
【0060】
以上のように、第2実施形態において制御部11は、見開き角度検出部17によって検出された表示部筐体1、2の見開き角度が所定の角度より小さい場合に、表示部筐体1、2に備えられている表示部4、5のうちユーザが注目していない方の表示部の輝度を制御するようにしたので、ユーザが注目している側の表示部への写り込みを効果的に低減してその見易さを確保することができると共に、注目していない側の表示部に発生した写り込みでその表示内容が見辛くなったような場合でも、その概要をユーザに確認させることが可能となる。
【0061】
表示部4、5は、バックライト8、9を使用する表示デバイスであり、このバックライト8,9の輝度を低減するようにしたので、バックライトを使用する表示デバイスであっても写り込みを低減することができる。
【0062】
ユーザが注目していない方の表示部の輝度を制御する場合に、ユーザが注目している側の表示部への注目時間が所定の時間よりも長いか否かに応じて、注目していない方の表示部をオフしたりその輝度を低減したりするようにしたので、注目時間が所定の時間よりも長ければ、一方の表示部のみを見ていると判断して、注目していない表示部の輝度をオフ状態にすることができ、注目時間が所定の時間よりも長くなければ、一方の表示部を中心に見ていると判断して、中心的に見ていない方の表示部の輝度を効果的に低減することができる。
【0063】
表示部4、5をそれぞれ注目している場合に、各表示部4,5の輝度をそれぞれ低減するようにしたので、両方の表示部への写り込みを低減してそれらの見易さを確保することができる。
【0064】
注目していないと表示部の表示をオフ状態にするようにしたので、注目している側の表示部への写り込みを防ぐことができと共に、省電力化を図ることができる。
【0065】
制御部11は、インカメラ16によりユーザを撮影した画像を解析することにより、どちらの表示部にユーザが注目しているかを判別するようにしたので、ユーザが注目している表示部を容易かつ確実に判別することができる。
【0066】
なお、上述した第2実施形態においてインカメラ16は、ヒンジ部3の上端部に設けるようにしたが、例えば、図9(1)に示すように、表示部筐体1、2の上端部中央部分に、それぞれ取り付けるようにしてもよい。このように表示部筐体1、2にインカメラ16を取り付けることにより、各インカメラ16の撮影方向は、図9(2)に示すように、表示部筐体1、2の傾き角度(第1実施形態で示した水平面からのロール角)に応じたものとなり、傾き角度が大きいほど、ユーザの顔の中心から外れるようになる。例えば、図示の例において、表示部筐体1の傾き角度を70°、表示部筐体2の傾き角度を40°とすると、表示部筐体1側のインカメラ16の撮影方向は、ユーザの顔から外れた位置となるが、表示部筐体2側のインカメラ16の撮影方向は、顔の左半分の位置となる。
【0067】
図9(3)は、各インカメラ16によって撮影された画像を示した図で、表示部筐体1側(表示部4側)のインカメラ16によって撮影された画像(図中、上側の画像)には、ユーザの顔はほとんど写っていないが、表示部筐体2側(表示部5側)のインカメラ16によって撮影された画像(図中、下側の画像)には、顔の半分が写っている。この場合、制御部11は、各撮影画像を比較して、顔の部分及び肌色領域の量が多い方をユーザが注目している表示部であると判断したり、画像内に眼が含まれている否か、眼の位置はどこかに応じてユーザが注目している表示部を判断したりすればよく、その判断がより簡単なものとなる。
【0068】
上述した各実施形態においては、表示部4、5として、バックライト8、9を使用する表示デバイスに適用した場合を示したが、有機EL(エレクトロルミネッセンス)のような自発光の表示デバイスに適用するようにしてもよい。この場合、発光強度を設定する画素パラメータなどに、バックライト制御テーブルBT内の角度補正を適用するようにすればよい。このような自発光タイプの表示デバイスであっても、バックライトを使用する表示デバイス同様に写り込みを効果的に低減することができる。
【0069】
また、上述した各実施形態においては、縦長の表示部筐体1、2が横並びとなるように見開いた状態(横開き状態)として使用する場合を例示したが、これに限らず、例えば、横長の表示部筐体1、2が縦並びとなるように見開いた状態(縦開き状態)として使用する場合であってもよい。また、上述した各実施形態においては、二つの筐体を見開いて使用する場合を例示したが、これに限らず、三つ以上の筐体を見開いて使用する構造であってもよい。
【0070】
上述した各実施形態においては、見開き角度検出部17によって検出された表示部筐体1、2の見開き角度が90°未満の場合に写し込みの可能性が高いものとしたが、筐体構造などに応じてその角度を120°又は75°などであってもよく、また、その角度を任意に設定可能としてもよい。
【0071】
上述した各実施形態においては、折り畳みタイプの携帯電話機に適用した場合を示したが、2軸ヒンジタイプ、スライドタイプ、スピントップタイプなど任意の筐体構造であってもよい。その他、携帯電話機に限らず、パーソナルコンピュータ・PDA・デジタルカメラ・音楽プレイヤーなどであってもよい。
【0072】
また、上述した各実施形態において示した“装置”や“機”とは、機能別に複数の筐体に分離されていてもよく、単一の筐体に限らない。また、上述したフローチャートに記述した各ステップは、時系列的な処理に限らず、複数のステップを並列的に処理したり、別個独立して処理したりするようにしてもよい。
【符号の説明】
【0073】
1、2 表示部筐体
3 ヒンジ部
4、5 表示部
8、9 バックライト
11 制御部
13 記憶部
16 インカメラ
17 見開き角度検出部
18 筐体傾き検出部
BT バックライト制御テーブル
TA、TB タッチ画面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
各々に表示部を備えた二つの筐体を、ヒンジ部を介して折り畳み可能に接続した端末装置であって、
前記二つの筐体の見開き角度を検出して、所定の角度より小さいか否かを判別する見開き角度判別手段と、
前記見開き角度判別手段により見開き角度が所定の角度より小さいと判別された場合に、その見開き角度に応じて、前記二つの筐体のうち少なくとも一方の表示部の輝度を制御する表示制御手段と、
を備えることを特徴とする端末装置。
【請求項2】
前記二つの筐体が見開かれている状態において、その見開きと同方向における各筐体の傾き角度を検出して、それらの差が所定の角度より大きいか否かを判別する角度差判別手段を更に備え、
前記表示制御手段は、前記見開き角度判別手段により見開き角度が所定の角度より小さいと判別され、かつ前記角度差判別手段により角度差が所定の角度より大きいと判別された場合に、前記傾き角度が大きい方の筐体に備えられている表示部の輝度を低減する、
ようにしたことを特徴とする請求項1記載の端末装置。
【請求項3】
前記表示制御手段は、前記傾き角度が大きい方の筐体に備えられている表示部の輝度を制御する場合に、前記大きい方の傾き角度が所定の角度より大きいか否かに応じて該表示部の輝度をオフ状態にするかその輝度を低減する、
ようにしたことを特徴とする請求項2記載の端末装置。
【請求項4】
前記二つの筐体が見開かれている状態において、その見開きと同方向における各筐体の傾き角度を検出して、それらの差が所定の角度より大きいか否かを判別する角度差判別手段を更に備え、
前記表示制御手段は、前記見開き角度判別手段により見開き角度が所定の角度より小さいと判別され、かつ前記角度差判別手段により角度差が所定の角度より大きいと判別された場合に、前記傾き角度が大きい方の筐体に備えられている表示部の表示をオフ状態にする、
ようにしたことを特徴とする請求項1記載の端末装置。
【請求項5】
前記二つの筐体が見開かれた状態において、その見開きと同方向における各筐体の傾き角度を検出して、それらの差が所定の角度より大きいか否かを判別する角度差判別手段を更に備え、
前記表示制御手段は、前記見開き角度判別手段により見開き角度が所定の角度より小さいと判別され、かつ前記角度差判別手段により角度差が所定の角度より小さいと判別された場合に、前記二つの筐体に備えられている表示部の輝度をそれぞれ低減する、
ようにしたことを特徴とする請求項1記載の端末装置。
【請求項6】
前記二つの表示部のうち、どちらの表示部にユーザが注目しているかを判別する注目判別手段を更に備え、
前記表示制御手段は、前記見開き角度判別手段により見開き角度が所定の角度より小さいと判別された場合に、前記注目判別手段により注目していないと判別された表示部の輝度を低減する、
ようにしたことを特徴とする請求項1記載の端末装置。
【請求項7】
前記注目判別手段は、前記二つの表示部のうち、どちらの表示部にユーザが注目しているかをその注目時間に応じて判別し、
前記表示制御手段は、前記注目判別手段により注目していないと判別された表示部の輝度を制御する場合に、前記注目時間が所定の時間よりも長いか否かに応じて該表示部の輝度をオフ状態にするかその輝度を低減する、
ようにしたことを特徴とする請求項6記載の端末装置。
【請求項8】
前記表示制御手段は、前記注目判別手段により前記二つの表示部をそれぞれ注目していると判別された場合に、各表示部の輝度をそれぞれ低減する、
ようにしたことを特徴とする請求項6記載の端末装置。
【請求項9】
前記二つの表示部のうち、どちらの表示部にユーザが注目しているかを判別する注目判別手段を更に備え、
前記表示制御手段は、前記見開き角度判別手段により見開き角度が所定の角度より小さいと判別され、前記注目判別手段により注目していないと判別された表示部の表示をオフ状態にする、
ようにしたことを特徴とする請求項1記載の端末装置。
【請求項10】
前記注目判別手段は、ユーザを撮影した画像を解析することにより前記二つの表示部のうち、どちらの表示部にユーザが注目しているかを判別する、
ようにしたことを特徴とする請求項6〜9のいずれかに記載の端末装置。
【請求項11】
前記表示部は、バックライトを使用する表示デバイスであって、
前記表示制御手段は、前記バックライトの輝度を低減する、
ようにしたことを特徴とする請求項1記載の端末装置。
【請求項12】
前記表示部は、自発光の表示デバイスであって、
前記表示制御手段は、前記自発光の表示部の輝度を低減する、
ようにしたことを特徴とする請求項1記載の端末装置。
【請求項13】
コンピュータに対して、
各々に表示部を備え、ヒンジ部を介して折り畳み可能に接続した二つの筐体の見開き角度を検出して、所定の角度より小さいか否かを判別する機能と、
前記見開き角度が所定の角度より小さいと判別された場合に、その見開き角度に応じて前記表示部の輝度を制御する機能と、
を実現させるためのプログラム。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2011−223251(P2011−223251A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−89485(P2010−89485)
【出願日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【出願人】(310006855)NECカシオモバイルコミュニケーションズ株式会社 (1,081)
【Fターム(参考)】