説明

端末装置及びプログラム

【課題】RFIDリーダ・ライタの出力電波強度の制御における異常をより正確に検知する。
【解決手段】端末装置1は、出力電波強度と対応付けられている設定値を変更する命令をRFIDリーダ・ライタへ送信し、他方の端末装置1に電波を出力させる命令を送信し、他方の端末装置1から出力される電波を検知し、他方の端末装置1の出力電波強度をより強くするための設定値の変更及び出力電波強度をより弱くするための設定値の変更をそれぞれ1回以上行い、設定値の変更前後における電波の検知結果に基づいて他方の端末装置1の出力電波強度の制御の異常の有無を判定するCPU11を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、端末装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
RFタグに対して電波を送信し、当該電波に対するRFタグの応答を受信するRFIDリーダがある。また、RFタグに対して電波を送信してRFタグに書き込みを行うRFIDライタがある。以下、RFIDリーダ、RFIDライタ及びRFIDリーダとRFIDライタの両方の機能を有するRFID関係の通信装置の総称として「RFIDリーダ・ライタ」を用いる。
【0003】
RFIDリーダ・ライタにより出力される電波の強度(以下「出力電波強度」と記載する)は、RFIDリーダ・ライタに予め設定された強度レベルに基づくが、個々の製品で個体差が生じる他、使用頻度や経年劣化等により必ずしも想定された出力電波強度を得られないことがある。出力電波強度が想定に比して弱い場合、RFタグに対して十分な強度の電波が到達しないため、RFIDリーダ・ライタは応答を得られない(又は書き込みを行うことができない)。また、出力電波強度が想定に比して強い場合、電波強度に関する規制(例えば電波法等)に違反する電波を発してしまうことがある。
そこで、RFIDリーダ・ライタの電波強度を調節する方法がある(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−185186号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の方法によるRFIDリーダ・ライタの電波強度の調整では、RFタグの応答を得られる最低の電波強度の設定を得られるのみであった。このため、実際にはRFIDリーダ・ライタの出力電波強度が不安定であるにもかかわらず偶然にRFタグの応答を得られた場合でも設定を終了してしまうことがある等、RFIDリーダ・ライタの出力電波強度の制御における異常を検知することができない場合があった。
【0006】
本発明の課題は、RFIDリーダ・ライタの出力電波強度の制御における異常をより正確に検知することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、RFタグとの間で情報を交信する電波を出力する電波出力手段と強度レベルに基づいて前記電波出力手段の出力電波強度を制御する電波強度制御手段を有するRFIDリーダ・ライタの前記出力電波強度を検査する端末装置であって、前記強度レベルを所定の強度レベルとする強度レベル設定命令を前記RFIDリーダ・ライタへ送信する送信手段と、前記電波出力手段に電波を出力させる電波出力命令を前記RFIDリーダ・ライタへ送信する電波出力命令手段と、前記電波出力手段から出力される電波を検知する電波検知手段と、前記出力電波強度をより強くするための所定の強度レベルの変更及び前記出力電波強度をより弱くするための所定の強度レベルの変更をそれぞれ1回以上行う強度レベル変更手段と、前記強度レベル変更手段による所定の強度レベルの変更前後における前記電波検知手段による電波の検知結果に基づいて前記電波強度制御手段による出力電波強度の制御の異常の有無を判定する異常判定手段と、を備えることを特徴とする。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の端末装置であって、前記異常判定手段は、所定の電波強度範囲に基づいて、前記電波強度制御手段による出力電波強度の制御の異常の有無を判定することを特徴とする。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の端末装置であって、前記異常判定手段は、前記所定の強度レベルを予め定められた最弱の強度レベルとする強度レベル設定命令がなされた状態で前記電波検知手段によって電波が検知された場合に、前記電波強度制御手段による出力電波強度の制御が異常であると判定することを特徴とする。
【0010】
請求項4に記載の発明は、請求項1から3のいずれか一項に記載の端末装置であって、前記異常判定手段は、前記電波検知手段によって電波が検知されなかった強度レベルよりも弱い強度レベルとする強度レベル設定命令がなされた状態で前記電波検知手段によって電波が検知された事象の発生回数に基づいて前記電波強度制御手段による出力電波強度の制御の異常の有無を判定することを特徴とする。
【0011】
請求項5に記載の発明は、請求項1から4のいずれか一項に記載の端末装置であって、前記異常判定手段は、前記所定の強度レベルを予め定められた最強の強度レベルとする強度レベル設定命令がなされた状態で前記電波検知手段によって電波が検知されなかった場合に、前記電波強度制御手段による出力電波強度の制御が異常であると判定することを特徴とする。
【0012】
請求項6に記載の発明は、請求項1から5のいずれか一項に記載の端末装置であって、前記異常判定手段は、前記電波検知手段によって電波が検知された強度レベルよりも強い強度レベルとする強度レベル設定命令がなされた状態で前記電波検知手段によって電波が検知されなかった事象の発生回数に基づいて前記電波強度制御手段による出力電波強度の制御の異常の有無を判定することを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の端末装置。
【0013】
請求項7に記載の発明は、プログラムであって、RFタグとの間で情報を交信する電波を出力する電波出力手段と強度レベルに基づいて前記電波出力手段の出力電波強度を制御する電波強度制御手段を有するRFIDリーダ・ライタの前記出力電波強度を検査するコンピュータを、前記強度レベルを所定の強度レベルとする強度レベル設定命令を前記RFIDリーダ・ライタへ送信する手段、前記電波出力手段に電波を出力させる電波出力命令を前記RFIDリーダ・ライタへ送信する手段、前記電波出力手段から出力される電波を検知する手段、前記出力電波強度をより強くするための所定の強度レベルの変更及び前記出力電波強度をより弱くするための所定の強度レベルの変更をそれぞれ1回以上行う手段、前記強度レベル変更手段による所定の強度レベルの変更前後における前記電波検知手段による電波の検知結果に基づいて前記電波強度制御手段による出力電波強度の制御の異常の有無を判定する手段、として機能させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、RFIDリーダ・ライタの出力電波強度の制御における異常をより正確に検知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施形態による端末装置の主要構成を示すブロック図である。
【図2】異常検知機能により他のRFIDリーダ・ライタの出力電波強度の制御の異常の有無を判定する場合のイメージ図である。
【図3】異常検知処理の主要な処理の流れを示すフローチャートである。
【図4】図3のステップS4、ステップS6、ステップS8に示す、他方の端末装置1の電波を弱めることによる異常の検知処理の流れを示すフローチャートである。
【図5】図3のステップS5、ステップS7、ステップS9に示す、他方の端末装置1の電波を強めることによる異常の検知処理の流れのうち、ステップS31〜ステップS44を示すフローチャートである。
【図6】図3のステップS5、ステップS7、ステップS9に示す、他方の端末装置1の電波を強めることによる異常の検知処理の流れのうち、ステップS45〜ステップS53を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、本発明について、図面を用いて具体的な態様を説明する。ただし、発明の範囲は、図示例に限定されない。
【0017】
図1は、本発明の一実施形態による端末装置1の主要構成を示すブロック図である。
端末装置1は、CPU11、RAM12、ROM13、通信部14、電源部15及びRFタグ通信部20を備える。
端末装置1は、他のRFIDリーダ・ライタの出力電波強度を検査する端末装置として機能する他、RFIDリーダ・ライタとしても機能する。
【0018】
CPU11は、ROM13に記憶されたプログラムをRAM12に読み出して処理する。CPU11は、ROM13内に記憶されたプログラムと協働して、RAM12に展開されたプログラムやデータ等に従って端末装置1の動作制御を行う。
RAM12は、CPU11の処理によって展開されたデータや、当該処理によって一時的に生じたデータ等を格納する。
ROM13は、CPU11によって読み出されるプログラムやデータ等を記憶する。
【0019】
通信部14は、他のRFIDリーダ・ライタとの間で通信を行う。通信部14は、例えば近距離の赤外線通信(IrDA等)による通信を行うための装置を有し、赤外線を用いた通信を行うが、これに限らず、他のRFIDリーダ・ライタとの間で通信を行うことができればその具体的構成は問わない。
【0020】
電源部15は、端末装置1の各部に対して電力を供給する。電源部15は、例えば充電可能な二次電池等を有し、当該二次電池に蓄電された電力を供給する。当該二次電池は、図示しないACアダプタ等による充電が可能である。電源部15に用いる電池や電源はこれに限らず、端末装置1の各部に対して電力を供給することができるものであればその具体的構成は問わない。
【0021】
RFタグ通信部20は、他のRFIDリーダ・ライタやRFタグからの電波を受信、検知する。また、RFタグ通信部20は、他のRFIDリーダ・ライタやRFタグに対して送信する目的の電波を発信することもできる。
RFタグ通信部20は、アンテナ21及びRFID制御部22を有する。
【0022】
アンテナ21は、電波とエネルギーとの相互変換を行う。アンテナ21は、RFID制御部22と電気的に接続されており、電波を受けた場合にエネルギーをRFID制御部22へ入力する。また、アンテナ21は、RFID制御部22からエネルギーの入力を受けると、電波を放射する。
【0023】
RFID制御部22は、送信する情報を所定の周波数のエネルギーに変換してアンテナ21へ入力し、アンテナ21に電波を放射させる。また、RFID制御部22は、アンテナ21から入力されたエネルギーに基づいて情報を取得する。CPU11は、RFID制御部22との間で情報を交信する。
【0024】
また、RFID制御部22は、送信する情報を所定の周波数のエネルギーに変換してアンテナ21へ入力し、アンテナ21に電波を放射させるに際し、アンテナ21から出力される電波の強度(出力電波強度)を予め定められた強度レベル(設定値)に基づいて制御する。なお、他の端末装置1から通信部14を介して設定値の問い合わせがあった場合、CPU11は現在の設定値をRFID制御部22から取得して通信部14を介して送信することで問い合わせに対する応答を行う。端末装置1は起動時に、他の端末装置1からの命令や問い合わせに対する応答を行うためのソフトウェアを読み出して実行し、待機している。ここで、アンテナ21及びRFID制御部22を有するRFタグ通信部20は、RFタグとの間で情報をやり取りする電波を出力する電波出力手段として機能する。
【0025】
本実施形態では、出力電波強度の強度レベルとして、1(最弱)〜10(最強)の数値を出力電波強度の強弱と対応させた設定値を用いる。1〜10の設定値に基づく出力電波強度は、初期状態(例えば製造出荷時等)ならばその全ての設定値において所定の電波強度範囲(例えば電波法により定められた電波強度等)に収まる出力電波強度となるよう設定されており、さらに、所定の条件下(電波の送受信経路上における障害物の有無や検知距離等)において、少なくとも1の設定値(最弱)では電波を検知できず、9の設定値(最強(10)より一段階低い設定値)において電波を検知できるよう設定されている。ここで、RFID制御部22は、強度レベルに基づいて出力電波強度を制御する電波強度制御手段として機能する。
【0026】
また、端末装置1は、他のRFIDリーダ・ライタの出力電波強度の制御の異常の有無を判定する機能(異常検知機能)を有する。ここで、出力電波強度の制御の異常とは、初期状態に比して、設定値に比して電波が強すぎる(又は弱すぎる)場合や、設定値の強弱変更と電波の検知有無の変化とが正確に対応しない場合等をさす。
ROM13は、CPU11に読み出されて実行処理されることにより異常検知機能を実現するための各処理を行うためのソフトウェアが記憶されており、CPU11が当該ソフトウェアを読み出して実行処理する。
【0027】
以下、端末装置1による異常検知機能について説明する。
図2は、異常検知機能により他のRFIDリーダ・ライタの出力電波強度の制御の異常の有無を判定する場合のイメージ図である。図2では、異常検知機能のための各処理を行う一方の端末装置1及び当該一方の端末装置1により異常の判定をされる他方のRFIDリーダ・ライタの両方に本実施形態の端末装置1を用いているが、異常検知機能の対象となる他方のRFIDリーダ・ライタは、端末装置1に限らず、RFタグとの間で情報をやり取りする電波を出力する機能、出力電波強度を予め定められた設定値に基づいて制御する機能及び通信部14を介して端末装置1から入力される命令や問い合わせを受け付ける、受け付け内容に応じた処理を行う機能を有するRFIDリーダ・ライタであれば何でもよい。
異常検知機能による他方の端末装置1の異常検知のための電波の検知は、上記した所定の条件下で行われる。
【0028】
以下、異常検知機能の処理(異常検知処理)における端末装置1の各構成は、特に記載しない限り一方の端末装置1の構成である。
異常検知処理において、まず、CPU11は、RAM12等を用いて設定したメモリバッファ上に異常検知カウンタを初期値0で設定する。異常検知カウンタは、設定値の強弱変更と電波の検知有無の変化とが正確に対応しない場合の検知回数を管理するためのカウンタである。
また、CPU11は、メモリバッファ上に対向機設定値カウンタを所定の初期値(例えば1等)で設定する。対向機設定値カウンタは、他方の端末装置1の設定値を管理するためのカウンタである。
また、CPU11は、メモリバッファ上に出力UPカウンタを初期値0で設定する。出力UPカウンタは、後述する他方の端末装置1の電波を強めることによる異常の検知処理において他方の端末装置1に対して行った設定値を一段階上げる命令の回数を管理するためのカウンタである。
【0029】
次に、CPU11は、他方の端末装置1に対して電波を出力するよう命令する。当該命令は、通信部14を介して送信され、他方の端末装置1の通信部14により受信される。他方の端末装置1は、当該命令に応じてアンテナ21から電波を出力する。
【0030】
CPU11は、他方の端末装置1に対して電波を出力するよう命令する処理を行った後、他方の端末装置1からの電波を検知したか否かチェックする。当該電波の検知は、予め定められた所定時間内にRFID制御部22が電波を検知したか否かに基づく。
【0031】
電波を検知した場合、CPU11は、他方の端末装置1の電波を弱めることによる異常の検知処理を行う。
【0032】
他方の端末装置1の電波を弱めることによる異常の検知処理を行うにあたり、まず、CPU11は、通信部14を介して、他方の端末装置1に対して出力電波強度の設定値の問い合わせを行う。他方の端末装置1は、当該問い合わせに対して設定値を返す通信を行う。
CPU11は、通信部14を介して他方の端末装置1の設定値を受信すると、当該設定値を対向機設定値カウンタに設定する。
【0033】
次に、CPU11は、通信部14を介して他方の端末装置1に対して設定値を一段階下げさせる命令を送信する。他方の端末装置1は、当該命令を受信するとRFID制御部22が設定値を一段階下げる。ここで、CPU11は、出力電波強度を所定の強度レベル(設定値)とする強度レベル設定命令を他方の端末装置1(RFIDリーダ・ライタ)へ送信する送信手段として機能する。
また、CPU11は、他方の端末装置1に対して設定値を下げさせる命令を行うと共に、設定値変更後に他方の端末装置1から電波を出力させる命令を送信する。当該命令に応じ、他方の端末装置1は、設定値の変更後、アンテナ21から電波を出力する。ここで、CPU11は、他方の端末装置1(RFIDリーダ・ライタ)の電波出力手段(RFタグ通信部20)に電波を出力させる電波出力命令を他方の端末装置1へ送信する電波出力命令手段として機能する。
【0034】
CPU11は、他方の端末装置1に対して設定値の変更命令及び電波の出力命令を行った後、他方の端末装置1からの電波を検知したか否かチェックする。ここで、CPU11及びRFタグ通信部20は協働により、出力される電波を検知する電波検知手段として機能する。
【0035】
ここで、電波を検知した場合、CPU11は、そのときの対向機設定値カウンタの値から1を減じた値が予め規定された設定値の下限未満になるか否かチェックする。本実施形態では、予め規定された設定値の下限は1であるので、CPU11は対向機設定値カウンタの値から1を減じた値が0未満になるか否かチェックする。
ここで、対向機設定値カウンタの値から1を減じた値が0未満になる場合、CPU11は他方の端末装置1の出力電波強度の制御に異常があると判定し、他方の端末装置1の電波を弱めることによる異常の検知処理を終了すると共に異常検知処理を強制終了する。なぜなら、対向機設定値カウンタの値から1を減じた値が0未満になるということは、設定値の下限である1の設定値において電波が検知されたということであり、それは初期状態の端末装置1における設定値と電波の検知の有無との相関関係と異なるからである。
なお、対向機設定値カウンタの値から1を減じた値が予め規定された設定値の下限未満にならない場合、CPU11は、上記の設定値の問い合わせ、受信した設定値を対向機設定値カウンタに設定する処理、設定値を一段階下げさせる命令及び電波を出力する命令ならびに電波の検知の有無チェックを繰り返す。
【0036】
他方の端末装置1に対して設定値の変更命令及び電波の出力命令を行った後、他方の端末装置1からの電波を検知したか否かのチェックにおいて電波を検知しなかった場合にも、CPU11は、そのときの対向機設定値カウンタの値から1を減じた値が予め規定された設定値の下限未満になるか否かチェックする。
ここで、対向機設定値カウンタの値から1を減じた値が0未満になる場合、CPU11はその時点では他方の端末装置1の出力電波強度の制御に異常が発見されないものと判定する。なぜなら、対向機設定値カウンタの値から1を減じた値が0未満になるということは、設定値の下限である1の設定値において電波が検知されなかったということであり、それは初期状態の端末装置1における設定値と電波の検知の有無との相関関係通りだからである。この場合、CPU11は、通信部14を介して、他方の端末装置1に対して設定値を一段階上げさせる命令を送信し、他方の端末装置1の電波を弱めることによる異常の検知処理を終了する。他方の端末装置1は、当該命令に応じて設定値を一段階上昇させる。
【0037】
他方の端末装置1に対して設定値の変更命令及び電波の出力命令を行った後に他方の端末装置1からの電波を検知したか否かのチェックにおいて電波を検知しなかった場合において実施された、そのときの対向機設定値カウンタの値から1を減じた値が予め規定された設定値の下限未満になるか否かのチェックにおいて対向機設定値カウンタの値から1を減じた値が0未満にならない場合、CPU11は、通信部14を介して、他方の端末装置1に対して設定値を一段階上げさせる命令を送信すると共に、設定値変更後に他方の端末装置1から電波を出力させる命令を送信する。当該命令に応じ、他方の端末装置1は、設定値の変更後、アンテナ21から電波を出力する。
【0038】
CPU11は、他方の端末装置1に対して設定値の変更命令及び電波の出力命令を行った後、他方の端末装置1からの電波を検知したか否かチェックする。ここで、電波を検知しなかった場合、他方の端末装置1に対して設定値を二段階上げさせる命令を送信し、他方の端末装置1の電波を弱めることによる異常の検知処理を終了する。ここで、電波を検知しなかったということは、他方の端末装置1から電波を検知しなかった設定値より出力電波強度の弱い設定値を他方の端末装置1に設定した場合にやはり電波を検知しなかったことを示しており、設定値と出力電波強度との相関関係に矛盾が生じていないことを示し、その時点では他方の端末装置1の出力電波強度の制御に異常が発見されないものと判定することができる。
【0039】
一方、電波を検知した場合、CPU11は、異常検知カウンタの値に1を加算する。なぜなら、この場合、電波が検知されなかった設定値よりも弱い設定値とする命令がなされた状態で電波が検知される事象が生じており、設定値と電波の強弱に応じた電波の検知有無との対応関係に矛盾が生じているためである。
異常検知カウンタの値に1を加算した後、CPU11は、異常検知カウンタの値が所定の値であるかチェックする。異常検知カウンタの値が所定の値である場合、当該所定の値の回数だけ、他方の端末装置1の設定値の変更と電波の強弱(検知の有無)との間に矛盾が生じた事象が検知されていることを示す。
異常検知カウンタの値が所定の値である場合、CPU11は、他方の端末装置1の出力電波強度の制御に異常があると判定し、他方の端末装置1の電波を弱めることによる異常の検知処理を終了すると共に異常検知処理を強制終了する。なぜなら、電波が検知されなかった設定値よりも弱い設定値とする命令がなされた状態で電波が検知される事象の発生回数が所定の値以上であるということは、他方の端末装置1の設定値と出力電波強度との相関関係が不安定であり、設定値による出力電波強度の制御に問題がある可能性があることを示すためである。
【0040】
なお、異常検知カウンタの値が所定の値でない場合、CPU11は、他方の端末装置1の電波を弱めることによる異常の検知処理の冒頭からの処理(上記の設定値の問い合わせ、受信した設定値を対向機設定値カウンタに設定する処理、設定値を一段階下げさせる命令及び電波を出力する命令ならびに電波の検知の有無チェック…)を繰り返し、上記した何らかの条件により他方の端末装置1の電波を弱めることによる異常の検知処理を終了するまで電波が検知されなかった設定値よりも弱い設定値とする命令がなされた状態で電波が検知される事象の発生回数を確認するための検証を繰り返す。
本実施形態では、異常検知カウンタに基づいた他方の端末装置1の出力電波強度に係る制御の異常判定について用いる所定の値を3としているが、任意の値を用いることができる。
【0041】
他方の端末装置1の電波を弱めることによる異常の検知処理を終了すると、CPU11は、他方の端末装置1の電波を強めることによる異常の検知処理を行う。
【0042】
他方の端末装置1の電波を強めることによる異常の検知処理を行うにあたり、まず、CPU11は、メモリバッファ上に初期化カウンタを初期値0で設定する。初期化カウンタは、他方の端末装置1の電波を強めることによる異常の検知処理において他方の端末装置1に対して行った設定値を初期化する命令の回数を管理するためのカウンタである。
また、CPU11は、出力UPカウンタを初期化して値を0とする。
【0043】
次に、CPU11は、通信部14を介して、他方の端末装置1の設定値を一段階上げさせる命令を行い、出力UPカウンタの値に1を加算する。また、CPU11は、他方の端末装置1に対して設定値を上げさせる命令を行うと共に、設定値変更後に他方の端末装置1から電波を出力させる命令を送信する。当該命令に応じ、他方の端末装置1は、設定値の変更後、アンテナ21から電波を出力する。
【0044】
CPU11は、他方の端末装置1に対して設定値の変更命令及び電波の出力命令を行った後、他方の端末装置1からの電波を検知したか否かチェックする。
【0045】
ここで、電波を検知しない場合、CPU11は、出力UPカウンタの値が所定の限界値であるか否か判定する。所定の限界値とは、最低の設定値から最強の設定値を超えるまで設定値の段階を上げた場合の回数に対応する値である。本実施形態では、所定の限界値は10である。
ここで、出力UPカウンタの値が所定の限界値である場合、CPU11は、初期化カウンタの値が1であるかチェックする。初期化カウンタの値が0である場合、CPU11は、通信部14を介して、他方の端末装置1に対して設定値を初期化する命令を送信する。設定値の初期値はそれぞれの端末装置1により異なるが、1〜10の間で設定されている。また、CPU11は、このとき、初期化カウンタの値に1を加算する。これは、他方の端末装置1の電波を強めることによる異常の検知処理において設定値の初期化命令を行ったことを示す。
その後、CPU11は、他方の端末装置1の電波を強めることによる異常の検知処理を、出力UPカウンタの初期化から繰り返す。そして、その後、電波を検知せず、出力UPカウンタの値が所定の限界値であり、かつ初期化カウンタの値が1である場合、CPU11は、他方の端末装置1の出力電波強度の制御に異常があると判定し、他方の端末装置1の電波を強めることによる異常の検知処理を終了すると共に、異常検知処理を強制終了する。なぜなら、設定値の初期化後に出力UPカウンタの値が所定の限界値となるまで設定値を上げても電波が検知されないということは、設定値が最大であっても電波が検出されないことを示し、初期状態の端末装置1における設定値と電波の検知の有無との相関関係と異なるからである。
【0046】
一方、出力UPカウンタの値が所定の限界値でない場合、CPU11は、上記の他方の端末装置1に対して設定値を上げさせる命令、出力UPカウンタの純増(+1)、電波を出力する命令及び電波の検知の有無チェックを繰り返す。
【0047】
上記の他方の端末装置1に対して設定値を上げさせる命令、出力UPカウンタの純増(+1)、電波を出力する命令及び電波の検知の有無チェックを行った後、電波を検知した場合、CPU11は、通信部14を介して、他方の端末装置1に対して出力電波強度の設定値の問い合わせを行う。他方の端末装置1は、当該問い合わせに対して設定値を返す通信を行う。
CPU11は、通信部14を介して他方の端末装置1の設定値を受信すると、当該設定値を対向機設定値カウンタに設定する。
【0048】
次に、CPU11は、対向機設定値カウンタの値が所定の限界値であるか判定する。ここで、対向機設定値カウンタの値が所定の限界値である場合、CPU11は、他方の端末装置1の出力電波強度の制御に異常があると判定し、他方の端末装置1の電波を強めることによる異常の検知処理を終了すると共に異常検知処理を強制終了する。なぜなら、この処理の段階で対向機設定値カウンタの値が所定の限界値であるということは、他方の端末装置は設定値を最強にしないと電波を検知できない状態にあることを示し、最強より一段階低い設定値において電波を検知できるよう設定されている初期状態の端末装置1における設定値と電波の検知の有無との相関関係と異なるからである。
【0049】
一方、対向機設定値カウンタの値が所定の限界値でない場合、CPU11は、通信部14を介して、他方の端末装置1の設定値を一段階上げさせる命令を行い、出力UPカウンタの値に1を加算する。また、CPU11は、他方の端末装置1に対して設定値を上げさせる命令を行うと共に、設定値変更後に他方の端末装置1から電波を出力させる命令を送信する。当該命令に応じ、他方の端末装置1は、設定値の変更後、アンテナ21から電波を出力する。
【0050】
CPU11は、他方の端末装置1に対して設定値の変更命令及び電波の出力命令を行った後、他方の端末装置1からの電波を検知したか否かチェックする。
【0051】
ここで、電波を検知しなかった場合、CPU11は、異常検知カウンタの値に1を加算する。なぜなら、この場合、電波が検知された設定値よりも強い設定値とする命令がなされた状態で電波が検知されない事象が生じており、設定値と電波の強弱に応じた電波の検知有無との対応関係に矛盾が生じているためである。
異常検知カウンタの値に1を加算した後、CPU11は、異常検知カウンタの値が所定の値であるかチェックする。異常検知カウンタの値が所定の値である場合、当該所定の値の回数だけ、他方の端末装置1の設定値の変更と電波の強弱(検知の有無)との間に矛盾が生じた事象が検知されていることを示す。
異常検知カウンタの値が所定の値である場合、CPU11は、他方の端末装置1の出力電波強度の制御に異常があると判定し、他方の端末装置1の電波を強めることによる異常の検知処理を終了すると共に異常検知処理を強制終了する。なぜなら、電波が検知された設定値よりも強い設定値とする命令がなされた状態で電波が検知されない事象の発生回数が所定の値以上であるということは、他方の端末装置1の設定値と出力電波強度との相関関係が不安定であり、設定値による出力電波強度の制御に問題がある可能性があることを示すためである。
【0052】
なお、異常検知カウンタの値が所定の値でない場合、CPU11は、他方の端末装置1の電波を強めることによる異常の検知処理のうち、出力UPカウンタの初期化処理より後の処理(上記の他方の端末装置1に対して設定値を上げさせる命令、出力UPカウンタの純増(+1)、電波を出力する命令及び電波の検知の有無チェック…)以降を繰り返し、電波が検知された設定値よりも強い設定値とする命令がなされた状態で電波が検知されない事象の発生回数を確認するための検証を繰り返す。
【0053】
一方、対向機設定値カウンタの値が所定の限界値でない場合であって、上記の他方の端末装置1に対して設定値を上げさせる命令、出力UPカウンタの純増(+1)、電波を出力する命令及び電波の検知の有無チェックを行った後、電波を検知した場合、CPU11は、通信部14を介して、他方の端末装置1に対して出力電波強度の設定値の問い合わせを行う。他方の端末装置1は、当該問い合わせに対して設定値を返す通信を行う。
CPU11は、通信部14を介して他方の端末装置1の設定値を受信すると、当該設定値が、対向機設定値カウンタの値よりも1大きい値であるかチェックする。ここで、対向機設定値カウンタの値よりも1大きい値でない場合、CPU11は、他方の端末装置1の出力電波強度の制御に異常があると判定し、他方の端末装置1の電波を強めることによる異常の検知処理を終了すると共に異常検知処理を強制終了する。なぜなら、対向機設定値カウンタの値の取得後、他方の端末装置1に対して設定値を一段階上げさせる命令が1回のみなされている状態であるにも関わらず対向機設定値カウンタの値よりも1大きい値でないということは、他方の端末装置1が設定値の一段階上昇命令に対して設定値の制御(再設定)を正確に行うことができていないことを示すからである。
なお、設定値が、対向機設定値カウンタの値よりも1大きい値である場合、CPU11は、その時点では他方の端末装置1の出力電波強度の制御に異常が発見されないものと判定する。そして、CPU11は、通信部14を介して、他方の端末装置1の設定値を一段階下げさせる命令を行い、他方の端末装置1の電波を強めることによる異常の検知処理を終了する。
【0054】
本実施形態では、他方の端末装置1の電波を強めることによる異常の検知処理の終了後、CPU11は、もう一度、他方の端末装置1の電波を弱めることによる異常の検知処理を行う。これは、一度他方の端末装置1の電波を弱めることによる異常の検知処理を行い、その後に他方の端末装置1の電波を強めることによる異常の検知処理を行い、さらに他方の端末装置1の電波を弱めることによる異常の検知処理を行うことで、他方の端末装置1の出力電波強度を弱め、強め、再度弱める処理を行ったうえでなお他方の端末装置1の出力電波強度の制御に異常が発見されなければ、他方の端末装置1の出力電波強度の制御が初期状態と同等であるか又はほとんど初期状態の設定値と出力電波強度との相関関係からずれを生じていないとみなして差し支えないためである。つまり、この場合、他方の端末装置1の設定値と出力電波強度との相関関係は安定しており、設定値による出力電波強度の制御に問題はないとみなすことができる。
他方の端末装置1の電波を強めることによる異常の検知処理の終了後に実施された他方の端末装置1の電波を弱めることによる異常の検知処理の終了後、CPU11は異常検知処理を終了する。
なお、他方の端末装置1の電波を強めることによる異常の検知処理の終了後に実施された他方の端末装置1の電波を弱めることによる異常の検知処理において他方の端末装置1の出力電波強度の制御に異常があると判定された場合は、他方の端末装置1の出力電波強度の制御は異常であるとみなすことができる。
【0055】
ここまで、異常検知処理のうち、他方の端末装置1に対して最初に行われた電波を出力する命令及び電波の検知の有無チェックを行った後に電波を検知した場合の流れについて説明してきたが、このとき電波を検知しなかった場合、CPU11は、他方の端末装置1の電波を強めることによる異常の検知処理、他方の端末装置1の電波を弱めることによる異常の検知処理、他方の端末装置1の電波を強めることによる異常の検知処理の順序で処理を行う。そして、他方の端末装置1の出力電波強度の制御に異常が発見されなかった場合、CPU11は異常検知処理を終了する。これは、一度他方の端末装置1の電波を強めることによる異常の検知処理を行い、その後に他方の端末装置1の電波を弱めることによる異常の検知処理を行い、さらに他方の端末装置1の電波を強めることによる異常の検知処理を行うことで、他方の端末装置1の出力電波強度を強め、弱め、再度強める処理を行ったうえでなお他方の端末装置1の出力電波強度の制御に異常が発見されなければ、他方の端末装置1の出力電波強度の制御が初期状態と同等であるか又はほとんど初期状態の設定値と出力電波強度との相関関係からずれを生じていないとみなして差し支えないためである。つまり、この場合、他方の端末装置1の設定値と出力電波強度との相関関係は安定しており、設定値による出力電波強度の制御に問題はないとみなすことができる。
一方、電波を検知しなかった場合に行われる、他方の端末装置1の電波を強めることによる異常の検知処理、他方の端末装置1の電波を弱めることによる異常の検知処理、再度の他方の端末装置1の電波を強めることによる異常の検知処理のいずれかにおいて、他方の端末装置1の出力電波強度の制御に異常があると判定された場合は、他方の端末装置1の出力電波強度の制御は異常であるとみなすことができる。
【0056】
このように、CPU11は、出力電波強度をより強くするための設定値の変更及び出力電波強度をより弱くするための設定値の変更をそれぞれ1回以上行う強度レベル変更手段として機能する。
また、CPU11は、設定値の変更前後における電波の検知結果に基づいて出力電波強度の制御の異常の有無を判定する異常判定手段として機能する。
【0057】
以下、フローチャートを用いて、異常検知処理の流れを説明する。
図3は、異常検知処理の主要な処理の流れを示すフローチャートである。
まず、CPU11は、異常検知カウンタ及び出力UPカウンタを初期値0で設定し、対向機設定値カウンタを所定の初期値(例えば1等)で設定する(ステップS1)。
【0058】
次に、CPU11は、他方の端末装置1に対して電波を出力するよう命令する(ステップS2)。そして、CPU11は、他方の端末装置1からの電波を検知したか否かチェックする(ステップS3)。ここで、電波を検知した場合(ステップS3:YES)、CPU11は、他方の端末装置1の電波を弱めることによる異常の検知処理を行う(ステップS4)。ステップS4の処理後、CPU11は、他方の端末装置1の電波を強めることによる異常の検知処理を行う(ステップS5)。ステップS5の処理後、CPU11は再度、他方の端末装置1の電波を弱めることによる異常の検知処理を行う(ステップS6)。
【0059】
一方、ステップS3において、電波を検知しなかった場合(ステップS3:NO)、CPU11は、他方の端末装置1の電波を強めることによる異常の検知処理を行う(ステップS7)。ステップS7の処理後、CPU11は、他方の端末装置1の電波を弱めることによる異常の検知処理を行う(ステップS8)。ステップS8の処理後、CPU11は再度、他方の端末装置1の電波を強めることによる異常の検知処理を行う(ステップS9)。
ステップS6又はステップS9の処理後、CPU11は、異常検知処理を終了する。
【0060】
次に、図3のステップS4、ステップS6、ステップS8に示す、他方の端末装置1の電波を弱めることによる異常の検知処理の流れについて、図4のフローチャートを用いて説明する。
まず、CPU11は、通信部14を介して、他方の端末装置1に対して出力電波強度の設定値の問い合わせを行う(ステップS11)。その後、通信部14を介して他方の端末装置1の設定値を受信すると、CPU11は当該設定値を対向機設定値カウンタに設定する(ステップS12)。
【0061】
次に、CPU11は、通信部14を介して他方の端末装置1に対して設定値を一段階下げさせる命令を送信する(ステップS13)。また、CPU11は、設定値変更後に他方の端末装置1から電波を出力させる命令を送信する。
【0062】
CPU11は、他方の端末装置1に対して設定値の変更命令及び電波の出力命令を行った後、他方の端末装置1からの電波を検知したか否かチェックする(ステップS14)。ここで、電波を検知した場合(ステップS14:YES)、CPU11は、そのときの対向機設定値カウンタの値から1を減じた値が予め規定された設定値の下限未満(0)になるか否かチェックする(ステップS15)。ここで、対向機設定値カウンタの値から1を減じた値が0になる場合(ステップS15:YES)、CPU11は他方の端末装置1の出力電波強度の制御に異常があると判定し、他方の端末装置1の電波を弱めることによる異常の検知処理を終了すると共に異常検知処理を強制終了する(ステップS16)。
なお、対向機設定値カウンタの値から1を減じた値が0にならない場合(ステップS15:NO)、ステップS11の処理に戻る。
【0063】
ステップS14において電波を検知しなかった場合(ステップS14:NO)、CPU11は、そのときの対向機設定値カウンタの値から1を減じた値が予め規定された設定値の下限未満(0)になるか否かチェックする(ステップS17)。ここで、対向機設定値カウンタの値から1を減じた値が0未満になる場合(ステップS17:YES)、CPU11は、通信部14を介して、他方の端末装置1に対して設定値を一段階上げさせる命令を送信し(ステップS18)、他方の端末装置1の電波を弱めることによる異常の検知処理を終了する。
【0064】
ステップS17において対向機設定値カウンタの値から1を減じた値が0未満にならない場合(ステップS17:NO)、CPU11は、通信部14を介して、他方の端末装置1に対して設定値を一段階上げさせる命令を送信する(ステップS19)。そして、CPU11は、設定値変更後に他方の端末装置1から電波を出力させる命令を送信する。その後、CPU11は、他方の端末装置1からの電波を検知したか否かチェックする(ステップS20)。ここで、電波を検知しなかった場合(ステップS20:YES)、他方の端末装置1に対して設定値を二段階上げさせる命令を送信し(ステップS21)、他方の端末装置1の電波を弱めることによる異常の検知処理を終了する。
【0065】
一方、ステップS20において電波を検知した場合(ステップS20:YES)、CPU11は、異常検知カウンタの値に1を加算する(ステップS22)。そして、CPU11は、異常検知カウンタの値が所定の値(3)であるかチェックする(ステップS23)。異常検知カウンタの値が3である場合(ステップS23:YES)、CPU11は、他方の端末装置1の出力電波強度の制御に異常があると判定し、他方の端末装置1の電波を弱めることによる異常の検知処理を終了すると共に異常検知処理を強制終了する(ステップS24)。
ステップS23において、異常検知カウンタの値が3でない場合(ステップS23:NO)、ステップS11の処理に戻る。
【0066】
次に、図3のステップS5、ステップS7、ステップS9に示す、他方の端末装置1の電波を強めることによる異常の検知処理の流れについて、図5、図6のフローチャートを用いて説明する。
まず、CPU11は、メモリバッファ上に初期化カウンタを初期値0で設定する(ステップS31)。また、CPU11は、出力UPカウンタを初期化して値を0とする(ステップS32)。
【0067】
次に、CPU11は、通信部14を介して、他方の端末装置1の設定値を一段階上げさせる命令を行い(ステップS33)、出力UPカウンタの値に1を加算する(ステップS34)。また、CPU11は、設定値変更後に他方の端末装置1から電波を出力させる命令を送信する。その後、CPU11は、他方の端末装置1からの電波を検知したか否かチェックする(ステップS35)。
【0068】
ステップS35において、電波を検知しない場合(ステップS35:NO)、CPU11は、出力UPカウンタの値が所定の限界値(10)であるか否か判定する(ステップS36)。ここで、出力UPカウンタの値が10である場合(ステップS36:YES)、CPU11は、初期化カウンタの値が1であるかチェックする(ステップS37)。初期化カウンタの値が0である場合(ステップS37:NO)、CPU11は、通信部14を介して、他方の端末装置1に対して設定値を初期化する命令を送信する(ステップS38)。また、CPU11は、このとき、初期化カウンタの値に1を加算する。(ステップS39)。その後、ステップS32の処理に戻る。
【0069】
ステップS37において、初期化カウンタの値が1である場合(ステップS37:YES)、CPU11は、他方の端末装置1の出力電波強度の制御に異常があると判定し、他方の端末装置1の電波を強めることによる異常の検知処理を終了すると共に、異常検知処理を強制終了する(ステップS40)。
【0070】
ステップS36において、出力UPカウンタの値が10でない場合(ステップS36:NO)、ステップS33の処理に戻る。
【0071】
ステップS35において、電波を検知した場合(ステップS35:YES)、CPU11は、通信部14を介して、他方の端末装置1に対して出力電波強度の設定値の問い合わせを行う(ステップS41)。他方の端末装置1の設定値を受信すると、CPU11は、当該設定値を対向機設定値カウンタに設定する(ステップS42)。
【0072】
次に、CPU11は、対向機設定値カウンタの値が所定の限界値(10)であるか判定する(ステップS43)。ここで、対向機設定値カウンタの値が10である場合(ステップS43:YES)、CPU11は、他方の端末装置1の出力電波強度の制御に異常があると判定し、他方の端末装置1の電波を強めることによる異常の検知処理を終了すると共に異常検知処理を強制終了する(ステップS44)。
【0073】
一方、ステップS43において、対向機設定値カウンタの値が10でない場合(ステップS43:NO)、CPU11は、通信部14を介して、他方の端末装置1の設定値を一段階上げさせる命令を行い(ステップS45)、出力UPカウンタの値に1を加算する(ステップS46)。また、CPU11は、設定値変更後に他方の端末装置1から電波を出力させる命令を送信する。その後、CPU11は、他方の端末装置1からの電波を検知したか否かチェックする(ステップS47)。
【0074】
ステップS47において、電波を検知しなかった場合(ステップS47:NO)、CPU11は、異常検知カウンタの値に1を加算する(ステップS48)。そして、CPU11は、異常検知カウンタの値が所定の値(3)であるかチェックする(ステップS49)。異常検知カウンタの値が3である場合(ステップS49:YES)、CPU11は、他方の端末装置1の出力電波強度の制御に異常があると判定し、他方の端末装置1の電波を強めることによる異常の検知処理を終了すると共に異常検知処理を強制終了する(ステップS50)。
一方、ステップS49において異常検知カウンタの値が3でない場合(ステップS49:NO)、ステップS33の処理に戻る。
【0075】
また、ステップS47において電波を検知した場合(ステップS47:YES)、CPU11は、通信部14を介して、他方の端末装置1に対して出力電波強度の設定値の問い合わせを行う(ステップS51)。他方の端末装置1の設定値を受信すると、CPU11は、当該設定値が、対向機設定値カウンタの値よりも1大きい値であるかチェックする(ステップS52)。
ステップS52において、対向機設定値カウンタの値よりも1大きい値でない場合(ステップS52:NO)、CPU11は、他方の端末装置1の出力電波強度の制御に異常があると判定し、ステップS50と同様に、他方の端末装置1の電波を強めることによる異常の検知処理を終了すると共に異常検知処理を強制終了する。
ステップS52において、設定値が、対向機設定値カウンタの値よりも1大きい値である場合(ステップS52:YES)、CPU11は、その時点では他方の端末装置1の出力電波強度の制御に異常が発見されないものと判定する。そして、CPU11は、通信部14を介して、他方の端末装置1の設定値を一段階下げさせる命令を行い(ステップS53)、他方の端末装置1の電波を強めることによる異常の検知処理を終了する。
【0076】
以上のように、本実施形態の端末装置1によれば、他方の端末装置1に対して設定値の変更を命令し、その変更前後における他方の端末装置1からの電波の検知の有無に基づいて他方の端末装置1の出力電波強度の制御の異常の有無を判定する。
ここで、CPU11は、出力電波強度をより強くするための他方の端末装置1の設定値の変更及び前記出力電波強度をより弱くするための他方の端末装置1の設定値の変更をそれぞれ1回以上行ったうえで電波の検知の有無を判定している。このため、電波の強度レベル(設定値)の変更と電波の検知の有無との対応関係を確認したうえで他方の端末装置1の出力電波強度の制御の異常の有無を判定することができる。よって、ただRFタグの応答を得られる最低の電波強度の設定を得られるのみに留まらず、RFIDリーダ・ライタの出力電波強度の制御における異常をより正確に検知することができる。
【0077】
さらに、CPU11は、所定の電波強度範囲に基づいて他方の端末装置1の出力電波強度の制御の異常の有無を検知する。本実施形態では、1〜10の設定値に基づく出力電波強度が、初期状態(例えば製造出荷時等)ならばその全ての設定値において所定の電波強度範囲(例えば電波法により定められた電波強度等)で定められており、当該所定の電波強度範囲と設定値との相関関係に異常が生じていることが、設定値の変更前後における他方の端末装置1からの電波の検知の有無に基づいて検知された場合には、他方の端末装置1の出力電波強度の制御に異常が生じたものとみなす。
これによって、他方の端末装置1が所定の電波強度範囲内の出力電波強度を用いることができているかどうかを判定することができ、異常が発見された端末装置1(RFIDリーダ・ライタ)を修繕又は排除することで所定の電波強度範囲内でのRFIDリーダ・ライタの運用を行うことができる。
【0078】
さらに、CPU11は、予め定められた最弱の強度レベル(1の設定値)が他方の端末装置1に設定された状態で当該他方の端末装置1からの電波が検知された場合に、当該他方の端末装置1の出力電波強度の制御が異常であると判定する。
つまり、最弱の強度レベル(1の設定値)のときに電波が検知されないことが正常であるものと予め決定しておくことで、強度レベル(設定値)と電波の検知の有無との相関関係の検証を容易にすることができ、他方の端末装置1の出力電波強度の制御についてその異常の有無を好適に判定することができる。
【0079】
さらに、CPU11は、電波が検知されなかった設定値よりも弱い出力電波強度の設定値とする命令がなされた状態で電波が検知された事象の発生回数に基づいて、他方の端末装置1の出力電波強度の制御の異常の有無を判定する。
この場合、電波が検知されなかった設定値よりも弱い設定値とする命令がなされた状態で電波が検知される事象が生じていることから、設定値と電波の強弱に応じた電波の検知有無との対応関係に矛盾が生じている。さらに、電波が検知されなかった設定値よりも弱い設定値とする命令がなされた状態で電波が検知される事象の発生回数が所定の値以上であるということは、他方の端末装置1の設定値と出力電波強度との相関関係が不安定であり、設定値による出力電波強度の制御に問題がある可能性があることを示す。このような他方の端末装置1の出力電波強度の制御を異常とみなすことで、電波強度の設定(設定値)と出力電波強度との相関関係が不安定なRFIDリーダ・ライタを良好に発見することができる。
【0080】
さらに、CPU11は、出力UPカウンタが10である状態、即ち、必ず予め定められた最強の強度レベル(10の設定値)が他方の端末装置1に設定されている状態で当該他方の端末装置1からの電波が検知されなかった場合に、当該他方の端末装置1の出力電波強度の制御が異常であると判定する。
つまり、最強の強度レベル(10の設定値)のときに電波が検知されることが正常であるものと予め決定しておくことで、強度レベル(設定値)と電波の検知の有無との相関関係の検証を容易にすることができ、他方の端末装置1の出力電波強度の制御についてその異常の有無を好適に判定することができる。
【0081】
さらに、CPU11は、電波が検知されなかった設定値よりも強い出力電波強度の設定値とする命令がなされた状態で電波が検知されなかった事象の発生回数に基づいて、他方の端末装置1の出力電波強度の制御の異常の有無を判定する。
この場合、電波が検知された設定値よりも強い設定値とする命令がなされた状態で電波が検知されない事象が生じていることから、設定値と電波の強弱に応じた電波の検知有無との対応関係に矛盾が生じている。さらに、電波が検知された設定値よりも強い設定値とする命令がなされた状態で電波が検知されない事象の発生回数が所定の値以上であるということは、他方の端末装置1の設定値と出力電波強度との相関関係が不安定であり、設定値による出力電波強度の制御に問題がある可能性があることを示す。このような他方の端末装置1の出力電波強度の制御を異常とみなすことで、電波強度の設定(設定値)と出力電波強度との相関関係が不安定なRFIDリーダ・ライタを良好に発見することができる。
【0082】
なお、本発明は、上記の各実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の改良並びに設計の変更を行っても良い。
【0083】
例えば、上記の実施形態では、異常検出カウンタの初期化を異常検知処理の開始直後にしか行っていないが、他方の端末装置1の電波を弱めることによる異常の検知処理、他方の端末装置1の電波を強めることによる異常の検知処理の開始又は終了ごとに異常検出カウンタの初期化を行うようにしてもよい。
【0084】
また、上記の実施形態においてCPU11がソフトウェア処理により実現している各機能について、その一部又は全部を専用の装置により実現してもよい。
また、出力電波強度の設定値と所定の電波強度範囲(例えば電波法により定められた電波強度等)との関係や、出力電波強度の設定値(1〜10)、異常検知カウンタの所定の値(3)、出力UPカウンタの限界値(10)、等は一例であり、本発明の特徴を逸脱しない範囲で適宜変更することができる。
【0085】
また、一度他方の端末装置1の電波を弱めることによる異常の検知処理後に他方の端末装置1の電波を強めることによる異常の検知処理を行った後さらに行う他方の端末装置1の電波を弱めることによる異常の検知処理については省略してもよい。また、一度他方の端末装置1の電波を強めることによる異常の検知処理後に他方の端末装置1の電波を弱めることによる異常の検知処理を行った後さらに行う他方の端末装置1の電波を強めることによる異常の検知処理については省略してもよい。
【符号の説明】
【0086】
11 CPU
12 RAM
13 ROM
14 通信部
15 電源部
20 RFタグ通信部
21 アンテナ
22 RFID制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
RFタグとの間で情報を交信する電波を出力する電波出力手段と強度レベルに基づいて前記電波出力手段の出力電波強度を制御する電波強度制御手段を有するRFIDリーダ・ライタの前記出力電波強度を検査する端末装置であって、
前記強度レベルを所定の強度レベルとする強度レベル設定命令を前記RFIDリーダ・ライタへ送信する送信手段と、
前記電波出力手段に電波を出力させる電波出力命令を前記RFIDリーダ・ライタへ送信する電波出力命令手段と、
前記電波出力手段から出力される電波を検知する電波検知手段と、
前記出力電波強度をより強くするための所定の強度レベルの変更及び前記出力電波強度をより弱くするための所定の強度レベルの変更をそれぞれ1回以上行う強度レベル変更手段と、
前記強度レベル変更手段による所定の強度レベルの変更前後における前記電波検知手段による電波の検知結果に基づいて前記電波強度制御手段による出力電波強度の制御の異常の有無を判定する異常判定手段と、
を備えることを特徴とする端末装置。
【請求項2】
前記異常判定手段は、所定の電波強度範囲に基づいて、前記電波強度制御手段による出力電波強度の制御の異常の有無を判定することを特徴とする請求項1に記載の端末装置。
【請求項3】
前記異常判定手段は、前記所定の強度レベルを予め定められた最弱の強度レベルとする強度レベル設定命令がなされた状態で前記電波検知手段によって電波が検知された場合に、前記電波強度制御手段による出力電波強度の制御が異常であると判定することを特徴とする請求項1又は2に記載の端末装置。
【請求項4】
前記異常判定手段は、前記電波検知手段によって電波が検知されなかった強度レベルよりも弱い強度レベルとする強度レベル設定命令がなされた状態で前記電波検知手段によって電波が検知された事象の発生回数に基づいて前記電波強度制御手段による出力電波強度の制御の異常の有無を判定することを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の端末装置。
【請求項5】
前記異常判定手段は、前記所定の強度レベルを予め定められた最強の強度レベルとする強度レベル設定命令がなされた状態で前記電波検知手段によって電波が検知されなかった場合に、前記電波強度制御手段による出力電波強度の制御が異常であると判定することを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の端末装置。
【請求項6】
前記異常判定手段は、前記電波検知手段によって電波が検知された強度レベルよりも強い強度レベルとする強度レベル設定命令がなされた状態で前記電波検知手段によって電波が検知されなかった事象の発生回数に基づいて前記電波強度制御手段による出力電波強度の制御の異常の有無を判定することを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の端末装置。
【請求項7】
RFタグとの間で情報を交信する電波を出力する電波出力手段と強度レベルに基づいて前記電波出力手段の出力電波強度を制御する電波強度制御手段を有するRFIDリーダ・ライタの前記出力電波強度を検査するコンピュータを、
前記強度レベルを所定の強度レベルとする強度レベル設定命令を前記RFIDリーダ・ライタへ送信する手段、
前記電波出力手段に電波を出力させる電波出力命令を前記RFIDリーダ・ライタへ送信する手段、
前記電波出力手段から出力される電波を検知する手段、
前記出力電波強度をより強くするための所定の強度レベルの変更及び前記出力電波強度をより弱くするための所定の強度レベルの変更をそれぞれ1回以上行う手段、
前記強度レベル変更手段による所定の強度レベルの変更前後における前記電波検知手段による電波の検知結果に基づいて前記電波強度制御手段による出力電波強度の制御の異常の有無を判定する手段、
として機能させることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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