説明

端末装置及び端末装置の制御方法

【課題】端末装置が備えるバイブレータを使用して、簡単な構成で端末装置を一時的に振動させる機械的フィードバック動作を良好に行うようにする。
【解決手段】ユーザの指又は指示体で触れられることで操作指示が行われる操作部と、回転中心からシフトした位置に重心を有する回転体を回転駆動する振動モータとを有した端末装置に適用される。その端末装置での処理としては、操作部に指又は指示体が触れられたことを検出する操作検出処理を行う。また、振動モータによる回転体の回転駆動により生じる振動の変化位相を検知する振動状態検出処理を行う。さらに、接触検出処理で接触を検出した際に、振動モータの回転を開始させ、振動状態検出処理で検出した位相が所定範囲にあるときに、振動モータの回転を停止させる制御処理を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話端末装置に適用して好適な端末装置、及びその端末装置に適用される制御方法に関し、特に着信などを通知するバイブレータを備えた端末装置に適用される技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、携帯電話端末装置においては、端末本体を振動させるバイブレータを内蔵させて、着信音を鳴らす代わりに、バイブレータによる振動で着信やメール受信などを通知する機能を備えたものが一般的である。バイブレータとしては、例えば回転軸に対して偏心した位置に取り付けられた振動子を、モータ(振動モータ)で回転させる構成のものがある。
【0003】
携帯電話端末装置でバイブレータによる振動を行う場合には、例えば呼び出し動作中に連続的又は間欠的に作動させる。従って、例えば呼び出し動作が数十秒の比較的長時間行われた場合には、バイブレータもその時間連続的に又は間欠的に動作していることになる。
【0004】
このような連続的な動作によるバイブレータの使い方とは別に、端末装置のタッチパネルを指などで触れて操作する際に、その操作が行われることを触れた指にフィードバックするためにバイブレータで端末装置を一時的に振動させることがある。このように操作を振動でフィードバックすることで、操作者にとっては、タッチパネルであっても通常のキーボードを操作する場合と同様な操作感が得られ、良好な操作性が得られる。
【0005】
特許文献1には、タッチパネルを備えた端末装置で、そのタッチパネルが触れられた場合に、振動子にパルス信号を供給して、振動子を一時的に振動させてフィードバックする構成についての記載がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003−330618号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
通常、携帯電話端末装置が備えるバイブレータは、錘で構成された振動子をモータで振動させる構成であり、ある程度の時間連続して振動させるための構成であり、パルス性の一時的な振動を与えるための構成ではない。この種のバイブレータで、パルス性の一時的な振動を発生させるためには、非常に短時間一時的にモータを駆動させて振動子を短時間だけ回転させればよい。このようなパルス性の一時的な振動を発生させるモータ駆動を行うためには、例えばモータとしてステップモータのような回転位相が制御できるものを使用して、そのステップモータで振動子を限られた周期だけ回転させるようなことが考えられる。
【0008】
しかしながら、ステップモータは非常に高価なモータであり、通常の携帯電話端末装置が備えるバイブレータ用のモータは、より安価な一般的な直流モータが使用されている。回転位相の制御ができない通常のモータで振動子を振動させた場合には、一時的な駆動を行っても、振動子の回転位相によっては目的とする振動が得られない可能性がある。従って、従来は通常のバイブレータを使って、端末装置を一時的に振動させることは制約があった。
【0009】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、端末装置が備えるバイブレータを使用して、簡単な構成で端末装置を一時的に振動させる機械的フィードバック動作を良好に行うようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、ユーザの指又は指示体で触れられることで操作指示が行われる操作部と、回転中心からシフトした位置に重心を有する回転体を回転駆動する振動モータとを有した端末装置に適用される。
そして、操作部に指又は指示体が触れられたことを検出する操作検出処理を行う。また、振動モータによる回転体の回転駆動により生じる振動の変化位相を検知する振動状態検出処理を行う。さらに、操作検出処理で接触を検出した際に、振動モータの回転を開始させ、振動状態検出処理で検出した位相が所定範囲にあるときに、振動モータの回転を停止させる制御処理を行う。
【0011】
このようにしたことで、振動状態検出処理で振動の変化位相を検出して、所定範囲の位相を検出したときに振動モータによる駆動を停止させることで、短期間の一定状態の振動を与えることが可能となる。この場合、位相変化の検出は、例えばマイクロフォン或いは加速度センサなどの端末装置が備える部材を適用可能である。
【発明の効果】
【0012】
本発明によると、振動モータを駆動させると同時に位相変化を検出して所定範囲の位相になったことを検出して振動モータを停止させることで、精度の高い一時的な振動の制御が可能となり、操作に対するフィードバックを振動で与えることが可能になる。この場合、位相変化の検出は、例えばマイクロフォン或いは加速度センサなどの端末装置が備える部材を適用可能であり、一般的な振動モータを使った低コスト化が可能な構成で、操作に対するフィードバックを振動で与えることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施の形態による端末装置の構成例を示すブロック図である。
【図2】本発明の一実施の形態による端末装置の形状の例を示す斜視図である。
【図3】本発明の一実施の形態による制御処理例を示すフローチャートである。
【図4】本発明の一実施の形態による検出信号の例を示す波形図である。
【図5】本発明の一実施の形態の変形例(専用のマイクロフォンを使用した例)を示すブロック図である。
【図6】本発明の一実施の形態の変形例(加速度センサを使用した例)を示すブロック図である。
【図7】本発明の一実施の形態の変形例(副マイクロフォンを使用した例)を示すブロック図である。
【図8】図7の例での端末装置の形状の例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して本発明の一実施の形態の例を、以下の順序で説明する。
1.端末装置の構成の説明(図1,図2)
2.振動モータの制御状態の説明(図3,図4)
3.変形例1:専用のマイクロフォンを使った例(図5)
4.変形例2:加速度センサを使った例(図6)
5.変形例3:副マイクロフォンを使った例(図7,図8)
【0015】
[1.端末装置の構成の説明]
図1及び図2は、本実施の形態の例の端末装置の構成を示した図である。
本実施の形態においては、図2に示すように、携帯電話端末装置である端末装置10に適用した例としてある。この図2に示した端末装置10は、各種表示を行う表示パネル上を触れることで操作が可能なタッチパネル11と、操作キー12などが配置してある。また、端末装置10の内部には、振動モータ13と、その振動モータ13の駆動で回転する振動子14を備える。この振動モータ13と振動子14とは、端末装置10の装置本体(筐体)を振動させるバイブレータとして機能する。振動モータ13は、ここではブラシ式直流モータとしてあり、その振動モータ13の回転軸に、振動子14が偏心した状態で取り付けてある。
【0016】
振動モータ13による駆動で振動子14を回転させることで、例えば図2に破線M1で示す方向に力が作用して、端末装置10が振動する。或いは、図2に破線M2で示す方向に力が作用して、端末装置10が振動する。この振動モータ13と振動子14とで構成されるバイブレータは、端末装置10が電話の着信、メールの受信などのユーザに振動で告知処理が必要な場合に、連続的又は間欠的に作動させるものである。ここで、本実施の形態においては、このバイブレータ機能を利用して、タッチパネル11などをユーザの指などが触れたことを検出した場合に、端末装置10を一時的に振動させるフィードバックに適用するようにしたものである。
【0017】
次に、図1を参照して、バイブレータ機能で端末装置10を一時的に振動させる構成について説明する。
振動モータ13は、電源21からスイッチ22を介して直流電源が供給される構成としてあり、そのスイッチ22のオン・オフに連動して、振動モータ13の回転開始及び停止が行われる。
スイッチ22は、バイブレータの制御部であるモータ制御回路29により開閉が制御される。このモータ制御回路29には、振動モータ13による振動状態の検出信号が供給される。
【0018】
その振動状態の検出信号を生成させる構成について説明すると、本実施の形態では、図1に示すように、通話用マイクロフォン15をセンサとして使用する。
通話用マイクロフォン15は、切替スイッチ23を介してマイクインターフェイス部24と接続してある。通話を行う際には、切替スイッチ23の可動接点23mが、マイクインターフェイス部24側の固定接点23aと接続される。このように接続されることで、通話時には、ユーザが話す音声を通話用マイクロフォン15で拾い、マイクインターフェイス部24又はそのインターフェイス部24に接続された回路で音声信号処理が行われる。通話用マイクロフォン15としては、コンデンサ型やダイナミック型など一般的な構成のマイクロフォンが使用されるが、バイブレータが振動する周波数に対して、それなりの感度を有するものを使用する。また、図1ではマイクロフォン15からの信号を増幅するアンプやバッファなどの回路については省略してある。
【0019】
切替スイッチ23のもう一方の固定接点23bは、振動を検出する系に接続してある。即ち、切替スイッチ23の可動接点23mが固定接点23bと接続されているとき、通話用マイクロフォン15が出力して固定接点23bに得られる信号を、バンドパスフィルタ25に供給する。このバンドパスフィルタ25では、マイクロフォン15が拾って出力する音声信号から、振動成分が含まれる周波数帯域の信号成分を抽出する。例えば、振動モータ13と振動子14とで構成されるバイブレータが起動する際の振動の周波数が150Hz〜220Hz程度の範囲内の周波数である場合に、バンドパスフィルタ25でこの150Hz〜220Hzの近傍の周波数成分だけを抽出する。
【0020】
バンドパスフィルタ25で抽出された信号は、包絡線検出器26と位相比較器27とに供給する。包絡線検出器26は、包絡線検波により供給される信号の振幅成分を検出する。位相比較器27は、振動波形テンプレート記憶部28から供給されるテンプレート波形と、バンドパスフィルタ25から供給される信号の波形とを比較して、現在の位相がどの位相状態にあるかを判定する。振動波形テンプレート記憶部28は、例えば信号の立ち上がり状態の波形、定常回転状態の波形、立ち下がり状態の波形などのパターンを記憶し、現在の位相状態がどの位相状態にあるのかを検出する。
包絡線検出器26で検出された振幅情報と、位相比較器27で検出された位相情報は、モータ制御回路29に供給する。
【0021】
また、タッチパネル11(図1)がユーザの指などで触れられた場合や、操作キー12が押されて操作されたことを、操作検出部としての操作検出部16で検出する構成としてあり、この操作検出部16で得られた操作検出情報をモータ制御回路29に供給する。モータ制御回路29によるスイッチ22の制御状態については、次のフローチャートの説明で述べる。
なお、切替スイッチ23の切替えについても、モータ制御回路29からの指令により制御される。また、モータ制御回路29は、着信時などの通常のバイブレータ機能を起動させる際の制御も行うが、そのための制御構成については、図1では省略してある。
【0022】
[2.振動モータの制御状態の説明]
次に、モータ制御回路29の制御による振動モータ13の制御処理を、図3のフローチャートを参照して説明する。
まず、モータ制御回路29に操作検出部16から操作検出処理で得た操作検出情報が供給されるか否か判断し(ステップS11)、タッチパネル11が触れられたときの操作検出情報が供給されるまで待機する。タッチパネル11が触れられたときの操作検出情報が供給された場合には、スイッチ22をオフからオンに変化させて、振動モータ13の回転を開始させる。また、この回転開始と同時に、切替スイッチ23の可動接点23mを一方の固定接点23aから他方の固定接点23bに切替えさせる(ステップS12)。
【0023】
この状態でモータ制御回路29は、包絡線検出器26で検出した振幅信号Vが、予め決められた振幅の比較用の範囲内か否か判断する(ステップS13)。即ち、包絡線検出器26で検出した振幅信号をV0とし、振幅の比較用の下限値V1及び上限値V2を予め設定したとき、モータ制御回路29内で、下限値V1≦振幅信号V0≦上限値V2の条件を満たすか否か判断する。この下限値V1及び上限値V2は、例えば、その範囲内の振幅値で端末装置を振動させるのに十分な値とする。上限値V2は設定しないで、下限値V1以上か否かだけを判断するようにしてもよい。
【0024】
ステップS13での比較で、一定の振幅範囲内であると判断した場合に、位相比較器27での位相比較結果から、検出される位相θが、予め決められた位相の範囲内か否か判断する(ステップS14)。即ち、マイクロフォン15が検出した位相をθ0とし、位相比較器27で比較される位相比較用の2つの閾値θ1及びθ2を予め設定したとき、閾値θ1≦位相信号θ0≦閾値θ2の条件を満たすか否か判断する。
【0025】
この位相範囲内であると判断した場合には、モータ制御回路29はスイッチ22をオフ状態として振動モータ13を停止させると共に、切替スイッチ23の可動接点23mを一方の固定接点23aに切替えさせる(ステップS15)。
【0026】
また、ステップS13で、検出した振幅V0が下限値V1≦振幅信号V0≦上限値V2の条件を満たしていない場合には、ステップS16に移行して、振動モータ13をステップS12で起動させてからの経過時間が、予め決めた時間を超えたか否か判断する。この判断を行う経過時間としては、例えば100m秒から数100m秒程度の時間とする。また、ステップS14で、閾値θ1≦位相信号θ0≦閾値θ2の条件を満たしていない場合にも、ステップS16に移行して、予め決めた時間を超えたか否か判断する。
【0027】
そして、ステップS16で駆動開始から予め決めた時間を超えたと判断した場合には、ステップS15に移行して、振動モータ13を停止させると共に、切替スイッチ23の可動接点23mを一方の固定接点23aに切替えさせる。また、ステップS16で駆動開始から予め決めた時間を超えていないと判断した場合には、ステップS13の振幅判断に戻る。
【0028】
図4の波形図は、図3のフローチャートに示した処理で制御した場合の検出信号波形の例を示したものである。
図4の波形図の横軸は時間tであり、縦軸は電圧Vである。ここで、実線で示す電圧波形Vaがバンドパスフィルタ25が出力する波形であり、破線Vbで示す波形は包絡線検出器26が出力する包絡線信号である。モータ制御回路29が判断する振幅電圧V0は、この包絡線信号の電圧Vbである。
通話用マイクロフォン15はバイブレータの振動を音波として検出しているため、バンドパスフィルタ25が出力する電圧Vaは、図4に示すように、振動子14の回転に連動して0Vを中心に上下する波形であり、この波形の1周期が振動子14の1回転になる。また、波形の1周期が振動子14の1回転になるため、電圧Vaの1周期中の位置が、振動子14の回転位相に対応する。
【0029】
図4の例では、タイミングt1でモータ制御回路29がタッチパネルの操作を検出してスイッチ22をオンさせて、振動モータ13の回転を開始させた状態である。この状態で回転開始から包絡線信号の電圧Vbが徐々に高くなり、ある程度の時間が経過して振動モータ13の回転速度が高くなると、振幅の比較用の下限値V1及び上限値V2の範囲内に電圧Vbが収まる。
このように電圧Vbがある程度高くなった状態で、さらに位相比較器27で、検出される位相θ1が、閾値θ1≦位相信号θ0≦閾値θ2の範囲内に入ると、スイッチ22をオフに制御し、振動モータ13の回転を停止させる。図4の例では、タイミングt2で、閾値θ1≦位相信号θ0≦閾値θ2の範囲内に入ったことが検出されて、スイッチ22がオフになったとする。このようにタイミングt2でオフになると、振動子14の回転の停止に連動して電圧Vaが0Vに低下する。
【0030】
この図4から判るように、振動モータ13で振動子14を回転駆動させて、ある程度回転速度が高速になった状態で、決められた位相値になると回転を停止させる制御が行われ、回転位相は1回転で1周期であるため、1回転以上は高速回転することなく停止する。従って、振動子14の回転により生じる振動は、振動子14の1回転程度の非常に短時間の振動であり、ユーザには、タッチパネルの操作のフィードバックを振動で感じられるようになり、タッチパネルの良好な操作感が得られる。特に本実施の形態の制御では、振幅が閾値以上となった上で、振幅位相を判断して停止させるようにしたので、振動が端末装置本体(及びその本体に触れた指など)に確実に伝わった状態になってから停止し、確実なフィードバックを与えることができる。
【0031】
また、本実施の形態の場合には、この振動を生じさせる振動モータ13の制御を、通話用マイクロフォン15が拾った音声波形の振幅と位相に基づいて行うことで、簡単かつ確実に制御ができる効果を有する。即ち、通話用マイクロフォン15が拾った音声波形は、端末装置本体の振動状態を反映した波形であり、振動センサとして良好に機能し、振幅と位相の検出で正確な回転制御が行え、1回転程度の僅かな回転だけを行うことが可能になる。
このような振幅と位相の検出を行わずに、例えば振動子14の1回転に相当する時間だけモータを駆動させることでも、同様な制御が行えるように見える。ところが、実際には振動子14がどのような角度位置で停止した状態から回転駆動が開始されるかによって、振動の発生状態に大きな違いがあり、本実施の形態のように振幅と位相の検出を行うことで、短時間の振動を確実な発生させることが可能になった。
【0032】
また、構成的には、振動を検出するセンサとして、携帯電話端末である端末装置が元々備える通話用マイクロフォン15を使用するため、別途センサを配置する必要がなく、低コストで簡単に構成できる。
【0033】
なお、図1の構成では、振幅の値と位相値の双方で回転状態を検出して制御する構成としがた、いずれか一方の検出だけで制御することも可能である。例えば、閾値を越えた振幅の振動が一定時間継続することで、振動子の1回転に相当する振動を検出するようにしてもよい。或いは、位相の変化状態を判断して、振動子の1回転に相当する振動を検出するようにしてもよい。
【0034】
また、振動検出センサとして通話用マイクロフォン15を切替えて使う構成であるため、図1の構成の場合には振動検出が行えない。従って、例えば通話中で音声入力用にマイクロフォン15を使用中には、タッチパネルが触れられる検出があっても、振動によるフィードバックを行わないようにしてもよい。後述する変形例のように通話用マイクロフォンと振動検出用センサが別部品で構成されている場合には、このような制限が必要ない。
【0035】
[3.変形例1:専用のマイクロフォンを使った例]
次に、本発明の一実施の形態の変形例として、専用のマイクロフォンを使用した例を、図5を参照して説明する。
図5の例では、図示しない通話用マイクロフォンとは別に、振動検出専用マイクロフォン32を設けた例としてある。この振動検出専用マイクロフォン32は、防音ケース31内に配置してあり、外部からの音声ノイズに影響されずに、振動成分だけを音波として検出して出力する構成としてある。防音ケース31は、端末装置本体内に内蔵させる。なお、振動検出専用マイクロフォン32は、通話用のマイクロフォンと同一構成でもよいが、例えばバイブレータが振動する周波数帯域に対して良好な感度を有するマイクロフォンとして構成してもよい。
【0036】
そして、振動検出専用マイクロフォン32の出力を、バンドパスフィルタ25に供給する。バンドパスフィルタ25の出力は、包絡線検出器26及び位相比較器27に供給する。以降は図1の構成と同様にモータ制御回路29が、スイッチ22のオン・オフを制御して、振動モータ13の回転を制御する。その他の部分は、図1及び図2の構成と同様に構成する。モータ制御回路29による制御状態についても図3のフローチャートと同様である。但し図5の例の場合には、マイクロフォンを切替えるスイッチ(図1での切替スイッチ23)が不要であり、そのスイッチの切替え制御が不要である。
【0037】
この図5の構成の場合には、振動検出専用マイクロフォン32を設けたので、通話中であってもバイブレータの振動検出が可能であり、常時、タッチパネル操作の振動によるフィードバックを行うことができる。また、振動検出専用マイクロフォン32は、防音ケース31に納めたため、検出信号に外部ノイズが混入する可能性が低く、良好な振動検出による良好な制御が可能になる。
【0038】
[4.変形例2:加速度センサを使った例]
次に、本発明の一実施の形態の別の変形例として、加速度センサをセンサとして使用した例を、図6を参照して説明する。
図5の例では、図示しない通話用マイクロフォンとは別に、加速度センサ33を設けた例としてある。この加速度センサ33は、端末装置本体に加わる力を検出するセンサであり、例えば端末装置をユーザが振らした場合の動きや向きなどを検出するためのセンサである。或いは、バイブレータの振動検出専用の加速度センサとしてもよい。この加速度センサ33の出力を、バンドパスフィルタ25を介して包絡線検出器26及び位相比較器27に供給する。
【0039】
そして、振動検出専用マイクロフォン32の出力を、バンドパスフィルタ25に供給する。バンドパスフィルタ25の出力は、包絡線検出器26及び位相比較器27に供給する。以降は図1の構成と同様にモータ制御回路29が、スイッチ22のオン・オフを制御して、振動モータ13の回転を制御する。その他の部分は、図1及び図2の構成と同様に構成する。モータ制御回路29による制御状態についても図3のフローチャートと同様である。但し図6の例の場合にも、センサ出力を切替えるスイッチ(図1での切替スイッチ23に相当)が不要であり、そのスイッチの切替え制御が不要である。
【0040】
この図6の構成の場合にも、加速度センサ33を使ってバイブレータの振動検出が可能であり、タッチパネル操作の振動によるフィードバックを行うことができる。加速度センサ33そのものを元々有する端末装置の場合には、本例の処理を行うために新たなセンサが必要なく、端末装置の製造コストを上昇させることなく、簡単に振動検出が可能になる。
【0041】
[5.変形例3:副マイクロフォンを使った例]
次に、本発明の一実施の形態のさらに別の変形例として、通話用マイクロフォンが複数容易された端末装置の場合の構成を、図6及び図7を参照して説明する。
携帯電話端末装置の場合、通話用マイクロフォンとして、直接ユーザの会話音声を拾う主マイクロフォンの他に、周囲の雑音を拾う副マイクロフォンを設けて、主マイクロフォンの出力から、副マイクロフォンの出力を減算する構成のものがある。このようにすることで、得られた音声信号は、周囲の雑音が除去されたSN比が向上した信号となり、ユーザが話す音声だけを拾うことができる。
【0042】
即ち、図6に端末装置10′の構成を示したように、通話用主マイクロフォン41の他に、そのマイクロフォン41とは離れた位置(この例では背面側の上部)に、通話用副マイクロフォン42を配置する。
そして図7に示すように、通話用主マイクロフォン41の出力を、切替スイッチ23の可動接点23m及び固定接点23aを介してマイクインターフェイス部45に供給する。また、通話用副マイクロフォン42の出力を、切替スイッチ43の可動接点43m及び固定接点43aを介してマイクインターフェイス部45に供給する。そして、マイクインターフェイス部45内で、通話用主マイクロフォン41からの音声信号から、通話用副マイクロフォン42からの音声信号を減算してノイズ除去処理を行う。
【0043】
また、通話用主マイクロフォン41の出力を、切替スイッチ23の可動接点23m及び固定接点23bを介して加算器44に供給する。また、通話用副マイクロフォン42の出力を、切替スイッチ43の可動接点43m及び固定接点43aを介して加算器44に供給する。そして、加算器44で、主マイクロフォン41の出力から、副マイクロフォン42の出力を減算し、その減算信号を、バンドパスフィルタ25に供給する。バンドパスフィルタ25の出力は、包絡線検出器26及び位相比較器27に供給する。以降は図1の構成と同様にモータ制御回路29が、スイッチ22のオン・オフを制御して、振動モータ13の回転を制御する。その他の部分は、図1及び図2の構成と同様に構成する。モータ制御回路29による制御状態についても図3のフローチャートと同様である。但し図7の例の場合には、マイクロフォンを切替えるスイッチが2つの切替スイッチ23,43で構成され、その2つのスイッチを連動して制御する必要がある。
【0044】
この図7の構成の場合には、バンドパスフィルタ25に供給される信号が、ノイズ成分が除去されたSN比が向上した信号となっているので、より良好に振動状態を検出できるようになる。即ち、周囲の雑音の影響による誤動作の可能性が低く、良好に安定してフィードバック制御が行える。
この点についてより詳しく説明すると、バイブレータの振動周波数として例えば150Hz〜220Hzの帯域であるとすると、その振動による音波の波長は2.3m〜1.5m程度となる。このため、筐体の1辺の長さが10cm前後の携帯電話端末の場合、どの箇所にマイクロフォンを配置しても、検出される音圧は一定になる。また、図8に示したように、副マイクロフォン42は主マイクロフォン41とは離れた位置に配置されることが多い。そして、バイブレータの振動は、筐体の重心を中心として発生するため、2つのマイクロフォンが配置された箇所では、逆位相で振動する可能性がある。このような場合、減算器44での減算で、雑音をキャンセルできるだけでなく、振動による信号成分を増幅するように作用し、結果的に良好に振動を検出できるようになる。
しかも、ノイズ除去のための構成は、通話音声からノイズを除去するための2つのマイクロフォンによる構成をそのまま利用しているため、ノイズ除去のための構成を新たに設ける必要がなく、簡単な構成で実現できる効果を有する。
【0045】
なお、ここまで説明した各実施の形態の例では、端末装置として、携帯電話端末に適用した例としたが、その他の各種用途用の端末装置に本発明は適用可能である。即ち、何らかの操作に基づいて、その操作をバイブレータの振動でフィードバックする場合に、適用可能である。
検出する操作についても、上述した実施の形態では、端末装置に配置したタッチパネルが触れられたことを検出した場合に振動させるようにしたが、タッチパネル以外のその他の操作部の操作に基づいて、同様の振動によるフィードバックを行うようにしてもよい。さらに、図3のフローチャートに示した制御処理の順序についても、好適な一例を示したものであり、同様の制御が可能であれば、図3とは異なる順序で同様の制御を実現してもよい。図4に示した波形についても一例であり、この波形以外の態様で信号検出が行われる場合にも本発明は適用可能である。
【符号の説明】
【0046】
10、10′…端末装置、11…タッチパネル、12…操作キー、13…振動モータ、14…振動子、15…通話用マイクロフォン、16…操作検出部、21…電源、22…スイッチ、23…切替スイッチ、24…マイクインターフェイス部、25…バンドパスフィルタ、26…包絡線検出器、27…位相比較器、28…振動波形テンプレート記憶部、29…モータ制御回路、31…防音ケース、32…振動検出専用マイクロフォン、33…加速度センサ、41…通話用主マイクロフォン、42…通話用副マイクロフォン、43…切替スイッチ、44…加算器、45…マイクインターフェイス部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの指又は指示体で触れられることで操作指示が行われる操作部と、
前記操作部に指又は指示体が触れられたことを検出する操作検出部と、
回転中心からシフトした位置に重心を有する回転体を回転駆動する振動モータと、
前記振動モータによる前記回転体の回転駆動により生じる振動の変化位相を検知する振動状態検出部と、
前記操作検出部が接触を検出した際に、前記振動モータの回転を開始させ、前記振動状態検出部で検出した位相が所定範囲にあるときに、前記振動モータの回転を停止させる制御部とを備えた
端末装置。
【請求項2】
前記検出部は、振動の振幅についても検出し、前記制御部は、前記検出部で検出した位相が所定範囲にあり、かつ振幅が所定範囲にあるときに停止させる前記振動モータの回転を停止させる
請求項1記載の端末装置。
【請求項3】
前記検出部で検出した位相が所定範囲で、かつ振幅が所定範囲にある状態が検出されない状態が所定期間継続したとき、前記制御部は前記振動モータの回転を停止させる
請求項2記載の端末装置。
【請求項4】
前記検出部は、前記振動モータの回転による振動を音声信号として拾うマイクロフォンであり、前記音声信号から前記振動モータの回転位相成分を検出する
請求項1〜3のいずれか1項に記載の端末装置。
【請求項5】
前記マイクロフォンとして複数のマイクロフォンを備え、その複数のマイクロフォンの出力の差分から、前記振動モータの回転位相成分を検出する
請求項4記載の端末装置。
【請求項6】
前記マイクロフォンは、外部からの音を遮音する部材の内部に配置した
請求項4記載の端末装置。
【請求項7】
前記検出部は、前記振動モータの回転による振動を検出する加速度センサである
請求項1〜3のいずれか1項に記載の端末装置。
【請求項8】
ユーザの指又は指示体で触れられることで操作指示が行われる操作部と、回転中心からシフトした位置に重心を有する回転体を回転駆動する振動モータとを有した端末装置の制御方法において、
前記操作部に指又は指示体が触れられたことを検出する操作検出処理と、
前記振動モータによる前記回転体の回転駆動により生じる振動の変化位相を検知する振動状態検出処理と、
前記操作検出処理で接触を検出した際に、前記振動モータの回転を開始させ、前記振動状態検出処理で検出した位相が所定範囲にあるときに、前記振動モータの回転を停止させる制御処理とを行う
端末装置の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−141667(P2011−141667A)
【公開日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−1268(P2010−1268)
【出願日】平成22年1月6日(2010.1.6)
【出願人】(501431073)ソニー・エリクソン・モバイルコミュニケーションズ株式会社 (810)
【Fターム(参考)】