説明

端末装置

【課題】利用者とオペレータが会話しながら取引きを行う端末装置において、適切な音量に自動音量調整して、利用者とオペレータ双方の音声を聞取り易くすること。
【解決手段】複数の端末装置100がネットワークを介して上位装置300に接続されている受付システムでの端末装置100において、オペレータは、利用者の受付内容について問診を行い、利用者と会話しながら利用者に契約作業を行ってもらう。端末装置100は、顧客検出器120で利用者との距離が測り、画像取得部140で利用者の頭の高さが測る。会話時の音量レベルは、利用者の頭の高さと端末装置までの距離とにより、利用者とマイク、スピーカの角度を算出して、角度と距離をマトリックスとした音量レベルパラメータにより、最適な調整値に音量を設定する。これにより、利用者とオペレータとの双方がお互いに相手の発する音声を聞取り易くすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、端末装置に係り、特に、端末装置から離れた場所に居るオペレータの案内に従って利用者が操作して、取引等における各種の契約を行うことを可能とした端末装置に関する。
【背景技術】
【0002】
不特定多数の利用者が操作する複数台の端末装置とオペレータが操作する上位装置とをネットワークにより接続して構成した契約システムが知られている。このシステムは、1人のオペレータに、複数台の端末装置のそれぞれを操作している複数の利用者と対話させて取引等を行わせることを可能にしたものである。このシステムを利用するオペレータは、自身が操作する上位装置に接続されている端末装置を操作している利用者との通話を切り替えながら複数の利用者との対話を並行して行って取引等における契約の処理を進めることができる。そして、オペレータは、複数の端末装置のそれぞれを操作している複数の利用者との対話を切り替えて契約の処理を進める際に、利用者からの音声を聞き取り易くするために、切り替えの都度、通話を行う利用者の端末装置毎に受話音量の調整を行っている。
【0003】
このようなオペレータの作業は、複数の利用者を相手にしなければならないオペレータにとって、大きな負担となっている。オペレータの前述したような作業負担を軽くすることができる従来技術として、例えば、特許文献1、2等に記載された技術が知られている。これらの従来技術は、端末装置を操作している利用者をカメラにより撮影し、その映像の状態に基づいて、自動的に通話音量の調整を行うというものである。
【特許文献1】特開平08−171413号公報
【特許文献2】特開平05−64181号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述した従来技術は、利用者の声の大小や端末装置が設置されているブースの広さ、オペレータ自身の音声の戻りの大きさについて、何ら考慮されていないものであった。このため、前述の従来技術は、マイクとスピーカとによる通話装置をハンズフリーで構成した端末装置をブースへ設置しているような場合、マイクがスピーカからの音声、ブースの壁面で反射した音声までも拾うことになるため、スピーカの音量だけを調整してしまうとオペレータ自身の音声の戻りまでもが大きくなり、利用者の声をオペレータが聞き取り難くなってしまうという問題点を生じさせてしまう。このような問題は、エコーキャンセル回路部を利用していない端末装置等に等しく生じ得ることである。
【0005】
本発明の目的は、前述した従来技術の問題点を解決し、端末装置から離れた場所に居るオペレータの案内に従って利用者が端末装置をが操作して、取引等における各種の契約を行うことを可能としたシステムにおいて、利用者とオペレータとの双方がお互いに相手の発する音声を聞取り易くすることができるようにした端末装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば前記目的は、不特定多数の利用者がオペレータの案内に従って操作する複数台の端末装置とオペレータが操作する上位装置とをネットワークにより接続して構成した取引システムにおける端末装置において、前記端末装置を操作する利用者の存在及び利用者と端末装置との間の距離を検知する顧客検出器と、該顧客検出器の検知レベルから利用者までの距離を算出する検出回路部と、前記利用者の画像を取得する画像取得部と、取得した画像から利用者の画像データを生成し、この画像データと予め保持している背景の画像パターンとを比較して利用者の頭の高さ算出する画像処理部と、前記利用者までの距離及び利用者の頭の高さとの情報から、利用者とスピーカ及びマイクとの位置(角度)を算出して音量調整値を抽出する音量レベルパラメータ部と、音量レベルパラメータ部の音量調整値により音量を調整するマイク音量調整回路部と、スピーカ音量調整回路部とを備えることにより達成される。
【0007】
具体的には、本発明による端末装置は、顧客センサと、画像取得+画像処理部と、音声通話部と、制御部とを備える。
【0008】
顧客センサは、顧客である利用者が端末装置を操作できる操作位置に存在し、端末装置と利用者の距離を測る目的を兼ねたセンサである。
【0009】
画像取得+画像処理部は、操作位置にいる顧客である利用者の画像を取得して画像データを生成する。画像処理部は、予め登録されている背景画像と取得した画像データより差分画像を作成して利用者の頭の位置を割り出すことができる。
【0010】
音声通話部は、マイクとスピーカとによって利用者と上位装置を使用しているオペレータとの会話を行わせる。
【0011】
制御部は、顧客センサが検出する距離と画像処理部で割り出した利用者の頭の位置とによって、マイクとスピーカとの音量レベルを設定する。
【0012】
前述のような構成とすることにより、立ち位置での操作や座った状態での操作に関わらず利用者から端末装置までの距離、頭の位置から利用者の口元と端末装置のマイクとに対する角度、耳元と端末装置のスピーカとに対する角度を安易な処理で算出することができ、ブースの広さと音源位置をパラメータとした音量レベルパラメータから最適な音量設定を抽出し、マイクとスピーカとの音量を設定することによって、利用者側とオペレータとの双方の音声を聞取り易くすることをできる。
【0013】
なお、端末装置のマイクに入力された音声信号は、制御部の音声ゲイン抽出部でそのレベルの監視が行われ、マイクにある一定以上の入力があって、音量設定されたレベル対して所定値以上のゲインが存在すると、スピーカの音量設定を変更することができる。
【0014】
このような対応とすることにより、簡易な処理で、オペレータ自身の音声の戻りを小さくすることができ、オペレータと利用者とが同時に通話した場合でも、自分の声に邪魔されず、相手(利用者)の会話を聞取り易くすることができる。
【0015】
また、画像処理部は、画像データの画像中に、人肌や服装の色を含む所定範囲の色に含まれる色を有する画像領域であって、全体の画像領域から顧客センサが検出する部分の画像像データに含まれる色彩に応じ、制御部が持つ色パラメータ毎の所定の閾値と赤外線センサによる顧客検出器の出力レベルを比較し、補正することができる。
【0016】
このような態様とすることにより、簡易な処理で顧客の誤検知を低減することができ、簡易な処理で、音声を聞取り易い音量に自動調整することができる。
【0017】
さらに、このような態様とすることにより、画像処理に基づく判定結果に基づいて、顧客センサに基づく距離の精度を自動的に高めることができ、顧客センサと画像処理の算出方法とに基づく音声レベルの精度をより高めることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、端末装置から離れた場所に居るオペレータの案内に従って利用者が端末装置をが操作して、取引等における各種の契約を行うことを可能としたシステムにおいて、利用者とオペレータとの双方がお互いに相手の発する音声を聞取り易くすることができるようにすることができ、また、画像取得部より取得した画像を意識しなくても、利用者の動きを把握することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明による端末装置の実施形態を図面により詳細に説明する。
【0020】
図1は本発明の一実施形態による利用者が操作する端末装置100とオペレータが操作する上位装置300とをネットワークで接続して構成した契約システムの構成を示すブロック図である。
【0021】
図1に示す契約システムは、本発明の実施形態による複数台の端末装置100と複数台の上位装置300とがネットワークを介して接続されて構成されている。端末装置100は、主として顧客によって操作され、顧客が取引の契約のために利用する。また、上位装置300は、オペレータによって操作されるものであり、ネットワークを介して端末装置100の操作をも行うことができる。
【0022】
オペレータは、上位装置300に接続される端末装置100を操作している利用者からの受付内容について問診を行い利用者と会話を行いながら、端末装置100を用いて利用者に契約作業を行ってもらう。そして、オペレータは、端末装置100から上位装置に対して送られてきた情報を元に顧客審査を行う。
【0023】
オペレータは、上位装置300を介して同時に複数台(一般には、最大4台程度)の端末装置100のそれぞれを操作する利用者に対応することが可能であり、利用者の端末装置100を用いる契約作業に合せて、相対している相手を切り替えて利用者と会話を行っている。
【0024】
利用者とオペレータとの間の通話は、上位装置300に備えられているヘッドセット310を利用して、上位装置300と相対している端末装置100との間でのみ可能とされているため、他の利用者がオペレータと会話したい場合、その利用者は、後述するように、端末装置100に備えられている呼び出しボタン160を押すことにより、オペレータに会話をしたい旨の要求を行う。この場合、上位装置300は、どの端末装置100が呼び出しを行っているのかを表示して、オペレータに通知する。
【0025】
また、オペレータは、利用者と会話していないときには、上位装置300に備えられる非通話ボタンを押すことにより、オペレータからの音声を遮断することができる。
【0026】
図2は端末装置100と上位装置300とのそれぞれの構成を示すブロック図である。
【0027】
端末装置100は、図2に示していないが、CPU、メモリ、HDD等の記憶装置を有する情報処理装置の中に構築されている。そして、端末装置100は、制御部200と、この制御部200に接続されている操作パネル110、顧客検出器120、マイク131及びスピーカ132を持つ音声通話部130、画像取得部140、画像処理部150、呼び出しボタン160、通信部170、書類取得部180、カード発行部190、障害記録部210とを備えて構成されている。
【0028】
制御部200は、メモリ内にロードされてCPUにより実行されることにより、それぞれの機能を構築するプログラムによる各種の制御機能部であり、音量レベルパラメータ部206、検出回路部201、入力レベル回路部202、マイク音量調整回路部203、スピーカ音量調整回路部204、音声回路部205を有している。
【0029】
前述において、顧客検出器120は、赤外線センサ、超音波センサ等の顧客を検知するセンサであり、端末装置100のあるブース内に居る利用者の存在を検知して、その検知信号を制御部200の検出回路部201へ出力する。検出回路部201は、受け取った検知信号のレベルから端末装置100と顧客(利用者)との間の距離を算出する。算出された距離の情報は、音量レベルパラメータ部206へ送られる。また、通信部170は、上位装置300に顧客の検知を通知して、オペレータに顧客が来店したことを知らせる。
【0030】
マイク131とスピーカ132とにより構成されている音声通話部130は、利用者の音声をマイク131で拾い、その音声信号は、制御部200の入力レベル回路部202を通してマイク音量調整回路部203に渡り、マイクからの音声信号の大きさが調整された後、音声回路部205、通信部170を経て、上位装置300に接続されているヘッドセット310のスピーカ部分から音響信号として出力される。
【0031】
逆に、オペレータの音声は、ヘッドセット310のマイク部分で拾われ、その音声信号は、ヘッドセット310が接続されている上位装置300から、端末装置100の通信部170を経て制御部200の音声回路部205、スピーカ音量調整回路部204に渡り、スピーカに渡す音声信号の大きさが調整されてスピーカ132から音響信号として出力される。
【0032】
画像処理部150は、カメラによる画像取得部140で取得した画像データを処理して、処理後の画像データを通信部170を介して上位装置300へ転送する一方で、利用者の高さデータを算出し、その高さデータを音量レベルパラメータ部206に送る。
【0033】
書類取得部180は、利用者が操作パネル110を使用して行った契約の情報を処理して通信部170を通じて上位装置300送り、オペレータ等による審査の結果、契約を締結する場合に、上位装置300から送られてきた契約情報を受け取って、書類として出力する。
【0034】
利用者は、前述で説明したような契約処理の中で、オペレータと会話を行いたい場合、呼び出しボタン160を押すことにより、通信部170を介して上位装置300に会話の要求を通知し、オペレータに利用者が呼び出していることを認識させる。
【0035】
カード発行部190は、契約の締結が許可された利用者に対してカードを発行し、利用者にカードを渡す。
【0036】
障害記録部210は、前述した書類取得部180、カード発行部190等の機器の正常時の動作音を予め記録しておき、書類取得部180、カード発行部190が動作したときの動作音と予め記憶していた動作音との比較により、機器の異常を検出するものである。なお、この障害記録部210については、詳細を後述する。
【0037】
上位装置300は、図2には示していないが、CPU、メモリ、HDD等の記憶装置を有する情報処理装置の中に構築されている。そして、上位装置300は、制御部400と、通信部410と、表示部430と、入力部440と、マイク及びスピーカを有するヘッドセット310とを備えて構成されている。
【0038】
制御部400は、メモリ内にロードされてCPUにより実行されることにより、機能を構築するプログラムによる制御機能部であり、音声回路部401を有しており、通信部410を介して端末装置100とデータを交換する。
【0039】
また、制御部400の中の音声回路部401は、ヘッドセット310が接続され、オペレータは、このヘッドセット310を用いて、端末装置100を操作している利用者との間で通話を行うことができる。
【0040】
表示部430は、端末装置100から送られてくる契約情報を表示し、また、端末装置100から呼び出された場合に、その呼び出しをオペレータへ通知するための表示を行っている。また、入力部440は、オペレータが操作するための入力装置であり、キーボート441とマウス442とである。
【0041】
図3は端末装置100の外観、顧客である利用者の存在の検知と、端末装置100と利用者との間の距離の測定と、利用者の頭の位置の高さの測定とについて説明する図である。
【0042】
本発明の実施形態による端末装置100は、図3(a)に示すように、縦型の箱型筐体の前面部の上部に、スピーカ132と画像取得部140としてのカメラが設けられ、その下に、表示部を兼ねる操作パネル110が設けられて構成されている。また、操作パネル110の下部には、赤外線センサ、超音波センサ等による顧客検出記120が設けられ、この顧客検出記120の側方に、マイク131が備えられている。さらに、端末装置100を構成する筐体の長さ方向の中央付近には、テーブルとなる台が端末装置の前側に突き出して設けられている。この台は、利用者が書類を載置して、これを見ながら操作パネル110を操作するように利用することができ、また、一部の操作ボタン等が設けられていてもよい。
【0043】
前述したような端末装置100に設けられた顧客検知器120は、検知範囲内に利用者の体の一部が入った場合、利用者の来訪を検知する。そして、図3(b)に示すように、利用者までの距離Lxを検出し、検知距離によって変化する物理レベルVo(赤外線の反射量、あるいは、超音波の反射量)は、検出回路部201に渡されて数値化される。
【0044】
利用者は、端末装置100を、立ったまま操作する場合もあれば、図3(c)に示すように、端末装置100の正面に置かれた椅子に腰掛けて操作することもあり、操作する状態で人間の体の付近から契約端末装置100までの距離Lxが変化することになるが、顧客検出器120により、変化する距離Lxを得ることができる。
【0045】
前述した顧客検出器120を、赤外線センサにより構成した場合、検出のために照射される赤外線の照射位置の色、例えば、人肌や服装の色によって、利用者までの距離の算出値が変動することが知られている。このため、本発明の実施形態では、画像処理部150が、画像データの画像中に、人肌や服装の色を含む所定範囲の画像領域について、全体の画像領域から顧客センサが検出する部分の画像像データに含まれる色彩に応じて、制御部200が持つ色パラメータ毎の所定の閾値と顧客センサの出力レベルとを比較し、利用者までの距離の算出値を補正するようにしている。
【0046】
利用者から契約端末装置100のマイク131、スピーカ132までの距離は、顧客検出器120とマイク131、スピーカ132との配置差から算出することができ、利用者から契約端末装置100のマイク131、スピーカ132までの距離に基づいて、音量レベルパラメータ部206がオペレータへの利用者からの音声信号のレベルを補正する。
【0047】
画像取得部140は、図3(d)に示すように、端末装置100の正面を撮影しており、利用者の顔を画像取得するためのカメラである。撮影されたデータは、画像処理部150に渡されて静止画データGaに生成される。画像処理部150は、予め背景としての画像データを格納しており、この背景データGzと利用者を撮影した画像パターンとを比較して、利用者の頭の高さLyを算出する。
【0048】
音量レベルパラメータ部206は、頭の高さLyと利用者から端末装置100までの距離Lxにより、図3(c)に示しているように、端末装置100のマイク131、スピーカ132と利用者の頭までの水平からの角度Qを計算し、角度Qと距離Lxとをマトリックスとした、音量レベルパラメータ表から抽出した調整値で、マイク131のマイク音量調整回路部203の調整値を設定する。また、音量レベルパラメータ部206は、音量レベルパラメータ表から抽出した調整値で、スピーカ132のスピーカ音量調整回路部204についても調整値を設定する。これにより、利用者側とオペレータ側との双方の音声を聞取り易くすることができる。
【0049】
図4は端末装置100のマイク131、スピーカ132と利用者の頭までの水平からの角度Qと距離Lxとをマトリックスとした音量レベルパラメータ表を説明する図である。
【0050】
図4(a)、図4(b)は、それぞれ、マイクに対するパラメータ、スピーカに対するパラメータを示しており、両パラメータ表における角度Qと距離Lxとは、実際の角度、距離を示すものではなく、5段階で示した相対的な値である。そして、図4(a)、図4(b)に示している角度Qと距離Lxとの各組は、マイクから利用者までの距離、スピーカから利用者までの距離のそれぞれを相対的に示すものとなる。また、これらの交点にある音量レベルパラメータの値も相対的なもので、最小値0、最大値99とした場合のレベル調整量を示している。
【0051】
前述したような本発明の実施形態による端末装置において、利用者からの声がマイク131に入力されると、制御部200の入力レベル回路部202は、利用者からの音声信号を検知して、スピーカ音量調整回路部204、マイク音量調整回路部203のそれぞれに、音量レベルをデフォルト値に戻すように指示を行う。
【0052】
図5は利用者からの音声信号を検知し、音量レベルをデフォルト値に戻すように音量調整回路部に指示を行う機能を有する入力レベル回路部202の構成を示すブロック図である。
【0053】
入力レベル回路部202は、図5に示すように、マイク131からの入力信号を検知するマイク信号検知回路部220と、マイク信号検知回路部220からのマイク信号検知信号を受けてリセット信号を出力するリセット回路部221とにより構成される。そして、リセット回路部221から出力されるリセット信号が、スピーカ音量調整回路部204、マイク音量調整回路部203のそれぞれに、音量レベルをデフォルト値に戻すための指示信号として渡される。
【0054】
なお、前述のデフォルト値は、図4(a)、図4(b)示すQ=3、Lx=3の交点におけるパラメータ値である。また、会話が開始された後は、図4を参照して説明したような処理が行われることになり、図5により説明したような処理は行われないことになる。
【0055】
前述したような処理を行うことによって、オペレータと利用者とが同時にしゃべり始めた場合でも、スピーカ132から出力されるオペレータの声が利用者の状態に関わらず、デフォルト音量に押えられることとなり、マイクを通じて戻ってくるオペレータ自身の声もデフォルト音量となり、利用者の声が聞取り易くなる。
【0056】
また、逆に、利用者の状態によっては、スピーカ132より出力されるオペレータからの音声が自動調整されてオペレータの声が大きくなるため、利用者の悪態に影響を受けることなく会話することが可能となる。また、オペレータ自身は、自分自身の声がリアルに戻ってくるため、利用者へ自分の声が届いていることが判り、利用者が無言でも安心して会話を行うことができる。
【0057】
前述した本発明の実施形態において、通常、書類取得部180や、カード発行部190は、それらの内部に設けられるセンサ部により障害検知を行い、インタフェース部を通じて障害情報が制御部200へ通知される。そして、制御部200へ通知された障害情報は、通信部170を経由して上位装置300に伝えられ、オペレータに通知される。
【0058】
しかし、センサに異常であったり、インタフェースが異常をきたしていた場合には、コマンド監視によるタイムアウト処理によって制御部200が障害の判定を行うことになるため、オペレータが障害を受け取るまでに大きな時間を有することになる。
【0059】
このため、本発明の実施形態は、書類取得部180や、カード発行部190の正常時の動作音を予めマイク131または別途設けられたマイクで拾って、音声回路部205でデジタル処理化したデータを障害記録部210に記憶させておき、端末装置100が使用中に書類取得部180や、カード発行部190が動作した場合に、障害記録部210が、その動作音を音声回路部205を通じて取得し、取得した動作音と予め記憶している正常時の動作音とを比較して、書類取得部180や、カード発行部190の障害を検出するようにしている。
【0060】
これにより、オペレータは、利用者を待たせることなく、適切な処置を行うことができる。なお、このような動作音による障害の検出は、動く部分を持ち動作時に何らかの動作音を発するあらゆる機器に対して適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0061】
本発明は、オペレータと利用者とが会話しながら取引きを行う受付システム等に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明の一実施形態による利用者が操作する端末装置とオペレータが操作する上位装置とをネットワークで接続して構成した契約システムの構成を示すブロック図である。
【図2】端末装置と上位装置とのそれぞれの構成を示すブロック図である。
【図3】端末装置の外観、顧客である利用者の存在の検知と、端末装置と利用者との間の距離の測定と、利用者の頭の位置の高さの測定とについて説明する図である。
【図4】端末装置のマイク、スピーカと利用者の頭までの水平からの角度Qと距離Lxとをマトリックスとした音量レベルパラメータ表を説明する図である。
【図5】利用者からの音声信号を検知し、音量レベルをデフォルト値に戻すように音量調整回路部に指示を行う機能を有する入力レベル回路部の構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0063】
100 端末装置
110 操作パネル
120 顧客検出器
130 音声通話部
131 マイク
132 スピーカ
140 画像取得部
150 画像処理部
160 呼び出しボタン
170 通信部
180 書類取得部
190 カード発行部
200 制御部
201 検出回路部
202 入力レベル回路部
203 マイク音量調整回路部
204 スピーカ音量調整回路部
205 音声回路部
206 音量レベルパラメータ部
210 障害記録部
300 上位装置
310 ヘッドセット
400 制御部
410 通信部
430 表示部
440 入力部
441 キーボード
442 マウス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
不特定多数の利用者がオペレータの案内に従って操作する複数台の端末装置とオペレータが操作する上位装置とをネットワークにより接続して構成した取引システムにおける端末装置において、
前記端末装置を操作する利用者の存在及び利用者と端末装置との間の距離を検知する顧客検出器と、該顧客検出器の検知レベルから利用者までの距離を算出する検出回路部と、前記利用者の画像を取得する画像取得部と、取得した画像から利用者の画像データを生成し、この画像データと予め保持している背景の画像パターンとを比較して利用者の頭の高さ算出する画像処理部と、前記利用者までの距離及び利用者の頭の高さとの情報から、利用者とスピーカ及びマイクとの位置(角度)を算出して音量調整値を抽出する音量レベルパラメータ部と、音量レベルパラメータ部の音量調整値により音量を調整するマイク音量調整回路部と、スピーカ音量調整回路部とを備えることを特徴とする端末装置。
【請求項2】
請求項1記載の端末装置において、
前記利用者の声が入力される入力レベル回路部を備え、該入力レベル回路部は、利用者から音声信号が入力されている間、前記スピーカ音量調整回路部及びマイク音量調整回路部における音量レベルをデフォルト値とさせることを特徴とする端末装置。
【請求項3】
請求項1記載の端末装置において、
前記顧客検出器が赤外線センサであり、前記画像処理部で生成した前記画像データの画像の中の前記顧客検出器が検知するする位置付近の色パターンを数値化し、数値化した色パターンの情報入力より前記音量レベルパラメータ部の中の設置環境情報と合せて、音量調整値を改変することを特徴とする端末装置。
【請求項4】
不特定多数の利用者がオペレータの案内に従って操作する複数台の端末装置とオペレータが操作する上位装置とをネットワークにより接続して構成した取引システムにおける端末装置において、
書類取得部と、カード発行部と、前記端末装置の装置内部で発生する動作音を拾うマイクと、このマイクが拾った音を声回路部でデジタル処理化する音声回路部と、書類取得部やカード発行部が正常に動作しているときの音を予め収録して保持し、実際の動作時の書類取得部やカード発行部の動作音を取得し、その動作音と予め収録して保持しいる正常時の動作音とを比較して、書類取得部やカード発行部での障害の発生を判定する障害記録部とを備えることを特徴とする端末装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−122881(P2010−122881A)
【公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−295594(P2008−295594)
【出願日】平成20年11月19日(2008.11.19)
【出願人】(504373093)日立オムロンターミナルソリューションズ株式会社 (1,225)
【Fターム(参考)】