端末装置
【課題】将来的に進入する交差点に設置された信号機の灯色であって、かつ進入時の灯色を通知する技術を提供する。
【解決手段】受信部42は、信号機の灯色についての情報と、当該灯色が別の灯色に切りかえられるタイミングに関する情報とが含まれたパケット信号を基地局装置から受信する。第1予想部56は、信号機と車両との距離と、車両の移動速度とを取得することによって、信号機に車両が到着すべき時刻を予想する。第2予想部58は、予想した時刻と、受信したパケット信号に含まれた情報とをもとに、信号機に車両が到着したときの灯色を予想する。表示部50は、予想した灯色を通知する。
【解決手段】受信部42は、信号機の灯色についての情報と、当該灯色が別の灯色に切りかえられるタイミングに関する情報とが含まれたパケット信号を基地局装置から受信する。第1予想部56は、信号機と車両との距離と、車両の移動速度とを取得することによって、信号機に車両が到着すべき時刻を予想する。第2予想部58は、予想した時刻と、受信したパケット信号に含まれた情報とをもとに、信号機に車両が到着したときの灯色を予想する。表示部50は、予想した灯色を通知する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信技術に関し、特に車両に搭載された端末装置に関する。
【背景技術】
【0002】
交差点の出会い頭の衝突事故を防止するために、路車間通信の検討がなされている。路車間通信では、路側機と車載器との間において交差点の状況に関する情報が通信される。路車間通信では、路側機の設置が必要になり、手間と費用が大きくなる。これに対して、車車間通信、つまり車載器間で情報を通信する形態であれば、路側機の設置が不要になる。その場合、例えば、GPS(Global Positioning System)等によって現在の位置情報をリアルタイムに検出し、その位置情報を車載器同士で交換しあうことによって、自車両および他車両がそれぞれ交差点へ進入するどの道路に位置するかを判断する(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−202913号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
交差点近傍に設置された信号機は、一般的に、予め定められたタイミングにて、「赤色→青色→黄色」の順で巡回的に灯色を切りかえる。車両が交差点に進入する際に、信号機の灯色が予想されれば、運転者は、灯色に応じた運転を実行可能になる。これは、衝突事故の防止の点から有効であるとともに、無駄なアクセルワークが低減されることによって燃費向上の点からも有効である。また、信号機の位置は固定であるので、信号機に関する情報は、車車間通信で伝送されるよりも、路車間通信によって路側機から送信される方が有効である。
【0005】
本発明はこうした状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、将来的に進入する交差点に設置された信号機の灯色であって、かつ進入時の灯色を通知する技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のある態様の端末装置は、車両に搭載された端末装置であって、信号機の灯色についての情報と、当該灯色が別の灯色に切りかえられるタイミングに関する情報とが含まれたパケット信号を基地局装置から受信する受信部と、信号機と車両との距離と、車両の移動速度とを取得することによって、信号機に車両が到着すべき時刻を予想する第1予想部と、第1予想部において予想した時刻と、受信部において受信したパケット信号に含まれた情報とをもとに、信号機に車両が到着したときの灯色を予想する第2予想部と、第2予想部において予想した灯色を通知する通知部と、を備える。
【0007】
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本発明の表現を方法、装置、システム、記録媒体、コンピュータプログラムなどの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、将来的に進入する交差点に設置された信号機の灯色であって、かつ進入時の灯色を通知できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施例に係る通信システムの構成を示す図である。
【図2】図1の基地局装置の構成を示す図である。
【図3】図2の記憶部に記憶されたテーブルのデータ構造を示す図である。
【図4】図4(a)−(c)は、図2の生成部において生成されるパケット信号のデータフォーマットを示す図である。
【図5】図1の車両に搭載された端末装置の構成を示す図である。
【図6】図5の表示部において表示される画面を示す図である。
【図7】図5の端末装置による表示手順を示すフローチャートである。
【図8】本発明の変形例に係る基地局装置の構成を示す図である。
【図9】本発明の変形例に係る端末装置の構成を示す図である。
【図10】図10(a)−(b)は、図9の表示部において表示される画面を示す図である。
【図11】図9の端末装置による表示手順を示すフローチャートである。
【図12】本発明の別の変形例に係る基地局装置の構成を示す図である。
【図13】本発明の別の変形例に係る端末装置の構成を示す図である。
【図14】図13の端末装置による推定手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明を具体的に説明する前に、概要を述べる。本発明の実施例は、信号機の近傍に設置された基地局装置から、車両に搭載された端末装置へ、信号機に関する情報を含んだパケット信号が送信される通信システムに関する。基地局装置は、信号機の灯色が切りかわるスケジュールに関する情報を予め記憶する。基地局装置は、スケジュールに関する情報から、現在の灯色についての情報と、灯色が別の色に切りかわるタイミングに関する情報とを抽出してパケット信号に格納し、パケット信号を報知する。このような処理は、定期的になされる。端末装置は、パケット信号を受信するとともに、現在の位置情報および移動速度を取得する。端末装置は、パケット信号に含まれた情報、現在の位置情報、移動速度をもとに信号機が設置された交差点への到着時刻を予想する。さらに、端末装置は、到着時刻、パケット信号に含まれた情報をもとに、交差点へ到着する際の信号機の灯色を予想し、運転者へ通知する。
【0011】
図1は、本発明の実施例に係る通信システム100の構成を示す。これは、ひとつの交差点を上方から見た場合に相当する。通信システム100は、基地局装置10、車両12、信号機14を含む。なお、車両12には、図示しない端末装置が搭載されている。図1では、記載の明瞭化のために、ひとつの車両12が示されている。しかしながら、複数の車両12が交差点の近傍に存在してもよい。
【0012】
図示のごとく、図面の水平方向、つまり左右の方向に向かう道路と、図面の垂直方向、つまり上下の方向に向かう道路とが中心部分で交差している。ここで、図面の上側が方角の「北」に相当し、左側が方角の「西」に相当し、下側が方角の「南」に相当し、右側が方角の「東」に相当する。また、ふたつの道路の交差部分が「交差点」である。交差点には、信号機14が設置されており、信号機14の近傍に基地局装置10が設置されている。車両12は、下から上へ向かって進んでいる。
【0013】
車両12に搭載された端末装置と、基地局装置10との間では、IEEE802.11等の規格に準拠した無線LAN(Local Area Network)にて通信が実行される。この通信は、路車間通信に相当する。一方、図示しない複数の端末装置間においても通信が実行され、これは、車車間通信に相当する。以下の説明では、路車間通信、特に基地局装置10から端末装置へ向かう下りリンクの通信を説明の対象とし、それ以外の通信については説明を省略する。
【0014】
基地局装置10は、一定の周期にて、パケット信号を報知する。ここで、無線LANは、CSMA/CA(Carrier Sense Multiple Access with Collision Avoidance)と呼ばれるアクセス制御機能を使用しており、干渉量が小さい場合にパケット信号を送信する。基地局装置10は、パケット信号を報知すべきタイミングを予め報知することによって、当該タイミングでの端末装置からの送信が抑制される。その結果、パケット信号を報知すべきタイミングでの干渉量が小さくなり、周期的なパケット信号の報知が実現される。端末装置は、パケット信号を受信し、パケット信号に格納された情報をもとに、以下に説明する処理を実行する。
【0015】
図2は、基地局装置10の構成を示す。基地局装置10は、記憶部20、生成部22、送信部24、基地局用アンテナ26、制御部28を含む。
【0016】
記憶部20は、図示しない信号機14の灯色が切りかわるスケジュールに関する情報を予め記憶するための記憶媒体である。記憶部20は、例えば、ハードディスクによって構成される。信号機14の灯色が切りかわるスケジュールとは、各灯色がどのタイミングで点灯されるかが示された情報である。例えば、赤色が午前9時55分に点灯され、青色が午前10時00分に点灯され、黄色が午前10時2分に点灯されるように示されている。
【0017】
図3は、記憶部20に記憶されたテーブルのデータ構造を示す。図示のごとく、灯色欄200、時刻欄202とが含まれている。灯色欄200には、赤色、青色、黄色が示されている。時刻欄202には、各灯色が点灯を開始する時刻が示されている。ここでは、時刻を「A」、「B」等によって代表させている。このようなテーブルでは、例えば、1日分のスケジュールが示される。なお、スケジュール情報は、図3とは別の形式で記憶されていてもよい。例えば、各灯色が点灯を開始するタイミングが方程式によって示される場合、記憶部20は、方程式を記憶していてもよい。図2に戻る。
【0018】
生成部22は、記憶部20を周期的に参照し、現在の時刻をもとに、灯色欄200から現在の灯色を取得し、時刻欄202から次の灯色の点灯開始時刻を取得する。また、生成部22は、次の灯色の点灯開始時刻と、現在の時刻とをもとに、現在の灯色が切りかえられるまでの期間を導出する。当該期間の導出には、次の灯色の点灯開始時刻から現在の時刻が減算される。生成部22は、信号機14の識別情報、現在の灯色、現在の灯色が切りかえられるまでの期間を格納したパケット信号を生成する。ここで、信号機14の識別情報とは、各信号機14を識別するために一意的に付与された番号であり、図示しない端末装置においても位置を認識可能な番号である。なお、識別番号として、信号機14の位置情報が使用されてもよい。位置情報は、緯度と経度とによって示される。
【0019】
図4(a)−(c)は、生成部22において生成されるパケット信号のデータフォーマットを示す。図4(a)示されたデータフォーマットは、図示のごとく、「信号機識別情報」、「灯色」、「切りかえられるまでの期間」を順に配置する。これら以外の情報がパケット信号に含まれていてもよいが、ここでは説明を省略する。図4(b)は、別のデータフォーマットであり、図4(a)の代わりに使用されてもよい。図4(b)のデータフォーマットでは、図4(a)のデータフォーマットに加えて「現在の時刻」の情報が配置される。図4(c)は、さらに別のデータフォーマットであり、図4(a)および図4(b)の代わりに使用されてもよい。図4(c)のデータフォーマットでは、図4(a)における「切りかえられるまでの期間」のかわりに「切りかえ時刻」が配置される。切りかえ時刻は、図3の時刻欄202から時刻に相当する。図2に戻る。
【0020】
送信部24は、生成部22からのパケット信号に対して、変調を実行する。ここで、通信システム100がOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)変調方式に対応する場合、送信部24は、IFFT(Inverse Fast Fourier Transform)も実行する。送信部24は、変調したパケット信号に対して周波数変換を実行し、無線周波数のパケット信号を生成する。さらに、送信部24は、無線周波数のパケット信号を基地局用アンテナ26から送信する。また、送信部24には、PA(Power Amplifier)、ミキサ、D/A変換部も含まれる。制御部28は、基地局装置10全体のタイミングを制御する。
【0021】
この構成は、ハードウエア的には、任意のコンピュータのCPU、メモリ、その他のLSIで実現でき、ソフトウエア的にはメモリにロードされたプログラムなどによって実現されるが、ここではそれらの連携によって実現される機能ブロックを描いている。したがって、これらの機能ブロックがハードウエアのみ、ソフトウエアのみ、またはそれらの組合せによっていろいろな形で実現できることは、当業者には理解されるところである。
【0022】
図5は、車両12に搭載された端末装置16の構成を示す。端末装置16は、端末用アンテナ40、受信部42、抽出部44、測位部46、処理部48、表示部50、制御部52を含む。また、処理部48は、取得部54、第1予想部56、第2予想部58を含む。
【0023】
受信部42は、端末用アンテナ40にて、図示しない基地局装置10からの無線周波数のパケット信号を受信する。受信部42は、無線周波数のパケット信号に対して周波数変換を実行し、ベースバンドのパケット信号を生成する。さらに、受信部42は、ベースバンドのパケット信号に対して、復調を実行する。受信部42は、復調した結果を抽出部44へ出力する。通信システム100がOFDM変調方式に対応する場合、受信部42は、FFT(Fast Fourier Transform)も実行する。受信部42には、LNA(Low Noise Amplifier)、ミキサ、AGC、A/D変換部も含まれる。
【0024】
抽出部44は、受信部42からの復調結果を受けつける。ここで、復調結果は、図4(a)−(c)のように構成される。抽出部44は、復調結果から、例えば「信号機識別情報」、「灯色」、「切りかえられるまでの期間」を抽出する。測位部46は、図示しないGPS衛星からの信号を受信し、受信した信号をもとに位置情報を取得する。ここで、位置情報は、図示しない車両12の現在の位置情報に相当する。なお、位置情報の取得には公知の技術が使用されればよいので、ここでは説明を省略する。測位部46は、定期的に位置情報を取得する。測位部46は、位置情報を取得部54へ出力する。
【0025】
取得部54は、測位部46から現在の位置情報を受けつけ、抽出部44から信号機14の識別情報を受けつける。取得部54は、信号機14の識別情報をもとに、信号機14の位置情報を特定する。そのために、取得部54は、信号機14の識別情報と位置情報とが対応づけられたテーブルを予め記憶し、テーブルを参照することによって、識別情報から位置情報を取得する。なお、信号機14の識別情報が位置情報である場合、取得部54は、識別情報から位置情報を認識する。
【0026】
取得部54は、現在の位置情報と、信号機14の位置情報とをもとに、信号機14と車両12との距離を導出する。当該距離は、直線距離として計算される。なお、信号機14と車両12との間の道路情報を有している場合、取得部54は、道路情報に沿うように距離を導出してもよい。また、取得部54は、現在の位置情報と過去の位置情報をもとに、車両12の移動速度も導出する。取得部54は、距離と移動速度とを第1予想部56へ出力する。
【0027】
第1予想部56は、取得部54から、距離と移動速度とを受けつけ、距離と移動速度とをもとに、信号機14に車両12が到着すべき時刻を予想する。具体的に説明すると、第1予想部56は、距離を移動速度で除算し、除算結果を現在の時刻に加算する。また、信号機14に車両12が到着すべき時刻は、車両12が交差点に進入する時刻ともいえる。第1予想部56は、予想した時刻を第2予想部58へ出力する。
【0028】
第2予想部58は、第1予想部56から、予想時刻を受けつけるとともに、抽出部44から、灯色に関する情報、切りかえられるまでの期間に関する情報を受けつける。第2予想部58は、受けつけた情報をもとに、信号機14に車両12が到着したときの灯色を予想する。具体的に説明すると、第2予想部58は、切りかえられるまでの期間の中に、予想時刻が含まれるかを確認する。含まれる場合は、現在の灯色の間に、車両12が信号機14に到着することに相当するので、第2予想部58は、現在の灯色のままであると推定する。
【0029】
一方、含まれない場合は、現在の灯色の間に、車両12が信号機14に到着しないことに相当するので、第2予想部58は、次の灯色に切りかわると推定する。そのため、第2予想部58は、次の灯色を出力する。ここで、第2予想部58は、信号機14での灯色が赤色に切りかえられる実際のタイミングよりも早いタイミングに灯色が赤色へ切りかえられるように、予想した灯色を補正する。例えば、灯色として黄色が推定された場合、第2予想部58は、これを赤色に変更する。第2予想部58は、灯色に関する情報を表示部50へ出力する。
【0030】
表示部50は、第2予想部58から、灯色に関する情報を受けつける。表示部50は、ディスプレイに画像を表示する。端末装置16がカーナビゲーション装置と一体的に構成されている場合や、端末装置16がカーナビゲーション装置に接続されている場合、表示部50は、道路画像を表示する。道路画像の表示、経路探索には、公知の技術が使用されればよいので、ここでは説明を省略する。表示部50は、灯色に関する情報も表示することによって、予想した灯色を運転者に通知する。表示部50は、例えば、予想した灯色に応じて画面の色を変更する。
【0031】
つまり、青色が予想された場合、表示部50は、道路画像の全体あるいは一部を青色にて表示し、赤色が予想された場合、表示部50は、道路画像の全体あるいは一部を赤色にて表示する。図6は、表示部50において表示される画面を示す。図示のごとく、交差点において、ふたつの道路が交差している。また、矢印が車両12の進行方向を示す。前述のごとく、画像の全体あるいは一部が、灯色にて示される。図5に戻る。制御部52は、端末装置16全体のタイミングを制御する。
【0032】
以上の構成による通信システム100の動作を説明する。図7は、端末装置16による表示手順を示すフローチャートである。受信部42は、パケット信号を受信する(S10)。測位部46は、位置情報を取得する(S12)。取得部54は、距離、移動速度を取得する(S14)。第1予想部56は、到着時刻を予想する(S16)。第2予想部58は灯色を予想する(S18)。灯色が黄色であれば(S20のY)、第2予想部58は、灯色を赤色に変更する(S22)。灯色が黄色でなければ(S20のN)、ステップ22はスキップされる。表示部50は、灯色にて画面を表示する(S24)。
【0033】
次に、本発明の変形例を説明する。本発明の変形例は、実施例と同様に、信号機の近傍に設置された基地局装置から、車両に搭載された端末装置へ、信号機に関する情報を含んだパケット信号が送信される通信システムに関する。本発明の変形例では、信号機に関する情報に加えて、障害物情報も含まれる。障害物情報には、故障車が存在することや渋滞が発生していることに関する情報が含まれる。信号機に関する情報、現在の位置情報、移動速度をもとに信号機が設置された交差点への到着時刻を予想し、そのときの信号機の灯色が青色であると予想される場合であっても、交差点を越えた道路において渋滞が発生していれば、交差点を通過できない可能性がある。交差点内において車両が止ってしまうと、渋滞がさらに大規模になってしまうおそれがある。これに対応するために、変形例に係る端末装置は、渋滞情報を取得すると、信号機の色を運転者へ通知するかわりに、渋滞の発生を運転者へ通知する。なお、端末装置は、信号機の色とともに、渋滞の発生を運転者へ通知してもよい。
【0034】
図8は、本発明の変形例に係る基地局装置10の構成を示す。基地局装置10は、図2の基地局装置10に渋滞発生推定部60が加えられている。また、渋滞発生推定部60は、センサ62に接続されている。センサ62は、交差点から出て行く方向の道路における車両12の走行速度を測定する。このような走行速度を測定するための速度センサには、公知の技術が使用されればよいので、ここでは説明を省略する。これとは別にセンサ62は、撮像機能を有し、撮像した画像をもとに、走行速度を測定してもよい。つまり、センサ62は、交差点から出て行く方向の道路における車両12の走行状態を測定できればよい。センサ62は、走行速度を渋滞発生推定部60へ出力する。なお、図1のごとく十字状の交差点の場合、交差点から出て行く方向の道路は、4つ存在する。センサ62は、それぞれの道路における走行速度を測定する。なお、各道路には予め定められた識別番号が付与されており、センサ62は、道路ごとに、識別番号と走行速度とを対応づけて出力する。
【0035】
渋滞発生推定部60は、センサ62から走行速度を受けつける。渋滞発生推定部60は、走行速度としきい値とを比較し、走行速度がしきい値よりも低い場合に、走行状態が渋滞であると決定する。一方、走行速度がしきい値以上であれば、渋滞発生推定部60は、走行状態が正常であると決定する。なお、4つの道路のそれぞれに対する走行速度をセンサ62から受けつけている場合、渋滞発生推定部60は、道路ごとに比較を実行することによって各道路の走行状態を特定する。渋滞発生推定部60は、走行状態が渋滞である場合、その旨(以下、「渋滞情報」という)を生成部22へ出力する。渋滞発生推定部60は、走行状態が渋滞である道路の識別番号も生成部22へ出力してもよい。生成部22は、渋滞発生推定部60から渋滞情報を受けつけると、渋滞情報を障害物情報に格納する。また、生成部22は、障害物情報もパケット信号に格納する。
【0036】
図9は、本発明の変形例に係る端末装置16の構成を示す。端末装置16は、図5の端末装置16と同様の構成要素を有している。さらに、取得部54から表示部50への信号線が備えられている。受信部42は、前述のごとく、図示しない基地局装置10からの無線周波数のパケット信号を受信する。受信部42において受信されるパケット信号には、障害物情報が含まれていることがある。障害物情報のひとつが、渋滞情報であり、渋滞情報は、信号機14を通過した道路での他の車両12の走行状態、特に渋滞の発生に関する情報である。受信部42は、復調した結果を抽出部44へ出力する。
【0037】
抽出部44は、受信部42からの復調結果を受けつける。抽出部44は、実施例に説明した情報に加えて、障害物情報が含まれている場合に障害物情報を抽出する。抽出部44は、障害物情報も取得部54へ出力する。取得部54は、前述のごとく、測位部46から現在の位置情報を受けつけ、抽出部44から信号機14の識別情報を受けつける。取得部54は、抽出部44からの障害物情報も受けつける。障害物情報に渋滞情報が含まれていない場合、取得部54は、前述の処理を実行する。
【0038】
一方、障害物情報に渋滞情報が含まれている場合、取得部54は、渋滞中である旨を表示部50に表示させる。その際、取得部54、第1予想部56、第2予想部58は、灯色に関する情報を表示部50に表示するための処理を停止する。なお、渋滞情報に複数の識別番号が含まれている場合、複数の道路が渋滞していることに相当する。その際、取得部54は、車両12の進行方向と識別番号とをもとに、どの方向の道路が渋滞しているかを特定する。例えば、取得部54は、左折方向の道路が渋滞していることを特定する。複数の方向の道路が渋滞している場合、取得部54は、それらを特定する。その際、交差点へ向かって走行している道路と逆方向の道路は、特定されなくてもよい。
【0039】
図10(a)−(b)は、表示部50において表示される画面を示す。図10(a)では、表示部50が「交差点渋滞中」を表示する。図10(b)は、取得部54において渋滞中の道路の方向が特定されている場合の表示である。図示のごとく、「交差点左折方向渋滞中」と示される。なお、表示部50は、渋滞中である旨を表示するとともに、灯色に関する情報を表示してもよい。また、灯色に関する情報が青色や黄色であったとしても、表示部50は、図6の表示において赤色を通知してもよい。
【0040】
図11は、端末装置16による表示手順を示すフローチャートである。受信部42は、パケット信号を受信する(S50)。渋滞情報がなければ(S52のN)、測位部46は、位置情報を取得する(S54)。取得部54は、距離、移動速度を取得する(S56)。第1予想部56は、到着時刻を予想する(S58)。第2予想部58は灯色を予想する(S60)。灯色が黄色であれば(S62のY)、第2予想部58は、灯色を赤色に変更する(S64)。灯色が黄色でなければ(S62のN)、ステップ64はスキップされる。表示部50は、灯色にて画面を表示する(S66)。一方、渋滞情報があれば(S52のY)、表示部50は、渋滞中を表示する(S68)。
【0041】
次に、本発明の別の変形例を説明する。本発明の別の変形例も、これまでと同様に、信号機の近傍に設置された基地局装置から、車両に搭載された端末装置へ、信号機に関する情報を含んだパケット信号が送信される通信システムに関する。本発明の変形例に係る基地局装置は、渋滞の発生を検出した場合に、それを渋滞情報として報知し、端末装置は、渋滞情報を受信すると、渋滞の発生を通知する。一方、別の変形例に係る基地局装置は、道路上の車両の走行速度等の情報を報知し、端末装置は、渋滞の発生を推定する。端末装置は、渋滞が発生していると推定した場合に、渋滞の発生を運転者へ通知する。
【0042】
図12は、本発明の別の変形例に係る基地局装置10の構成を示す。基地局装置10は、記憶部20、生成部22、送信部24、基地局用アンテナ26、制御部28、受信部70、速度導出部72を含み、生成部22は、センサ62に接続されている。センサ62は、交差点から出る方向の道路において、1台の車両12分のスペースが空いているかを検出する。なお、変形例と同様に、交差点から複数の道路が出ているが、ここでは説明を明瞭にするために、ひとつの道路のみを説明する場合であっても、各道路に対する処理がなされているものとする。センサ62は、空いているか否かの情報(以下、「存在情報」という)を生成部22へ出力する。
【0043】
受信部70は、図示しない端末装置16からのパケット信号を受信する。ここで、各端末装置16は、端末装置16の位置情報および当該端末装置16の識別番号をパケット信号に格納して報知しているものとする。受信部70は、識別番号と位置情報との組合せを速度導出部72へ出力する。
【0044】
速度導出部72は、受信部70から、識別番号と位置情報との組合せを受けつける。速度導出部72は、各道路の位置を予め記憶しており、受けつけた組合せ中の位置情報をもとに、組合せを道路ごとに分類する。また、速度導出部72は、各道路に対して、識別番号ごとに、位置情報の変化を導出する。位置情報の変化は、ふたつの位置情報を受信したタイミング差によって、それらの間の距離を除算して導出され、車両12の走行速度に相当する。さらに、速度導出部72は、道路を走行している複数の車両12の走行速度を平均することによって、当該道路における走行速度を導出する。速度導出部72は、交差点から出て行く方向の道路に対して、前述の処理を繰り返し実行する。速度導出部72は、走行速度の情報と道路の識別番号との組合せ(以下、「速度情報」という)を生成部22へ出力する。生成部22は、センサ62から存在情報を受けつけ、速度導出部72から速度情報を受けつけると、これらを障害物情報に格納する。また、生成部22は、障害物情報もパケット信号に格納する。
【0045】
図13は、本発明の別の変形例に係る端末装置16の構成を示す。端末装置16は、端末用アンテナ40、受信部42、抽出部44、測位部46、表示部50、制御部52、計算部80を含む。また、計算部80は、速度センサ82に接続されている。
【0046】
受信部42は、前述のごとく、図示しない基地局装置10からの無線周波数のパケット信号を受信する。受信部42において受信されるパケット信号には、障害物情報が含まれている。ここで、障害物情報は、存在情報と速度情報との組合せである。受信部42は、復調した結果を抽出部44へ出力する。
【0047】
抽出部44は、受信部42からの復調結果を受けつける。抽出部44は、実施例に説明した情報に加えて、障害物情報を抽出する。抽出部44は、灯色に関する情報、切りかえられるまでの期間に関する情報、障害物情報を計算部80へ出力する。計算部80は、抽出部44から、灯色に関する情報、切りかえられるまでの期間に関する情報、障害物情報を受けつけ、測位部46から位置情報を受けつける。ここで、計算部80は、交差点の位置を予め記憶する。計算部80は、交差点の位置と位置情報とをもとに、交差点までの距離を導出する。
【0048】
計算部80は、交差点までの距離を車両12の長さで除算することによって、交差点までの車両12の台数を予想する。車両12の長さとして、例えば、5mのように予め定められた一定値が使用される。交差点までの車両12の台数が1台である場合、つまり先頭車両である場合、計算部80は、存在情報によって車両が存在していないことが示されていれば、交差点内が渋滞していないと推定する。その際、計算部80は、前述の第1予想部56、第2予想部58の処理を実行することによって、信号機の色を表示部50から運転者へ通知する。
【0049】
存在情報によって車両が存在していることが示されている場合、計算部80は、交差点内が渋滞していると推定し、渋滞中である旨を表示部50に表示させる。その際、計算部80は、灯色に関する情報を表示部50に表示するための処理を停止する。一方、交差点までの車両12の台数が1台でない場合、計算部80は、交差点の通過時間を推定する。具体的に説明すると、計算部80は、位置情報の時間変化をもとに、本車両12の移動速度を導出する。さらに、計算部80は、交差点までの距離を移動速度にて除算することによって、交差点への到着時間を予想する。
【0050】
これとは別に、計算部80は、速度情報に対応した走行速度によって、交差点までの距離を除算することによって、交差点から出て行く道路に進入するための時間(以下、「進入時間」という)を予想する。これは、本車両12よりも前を走行している他の車両12であって、かつ交差点へ向かっている他の車両12が、車両12を交差点から出すために進行しなければならない時間である。例えば、交差点までの道路が渋滞せず、交差点からの道路が渋滞している場合、到着時間は短くなるが、進入時間が長くなる。そのため、計算部80は、到着時間と進入時間とを比較し、長い方を通過時間として選択する。計算部80は、青信号が継続する時間と、通過時間とを比較することによって、青信号の間に交差点を通過できるかを判定する。青信号の間に交差点を通過できない場合、計算部80は、渋滞中である旨を表示部50に表示させる。
【0051】
図14は、端末装置16による推定手順を示すフローチャートである。先頭車両であり(S80のY)、他の車両12が存在する場合(S82のY)、計算部80は、交差点内が渋滞中と推定する(S88)。他の車両12が存在しない場合(S82のN)、処理は終了される。一方、先頭車両でない場合(S80のN)、計算部80は、交差点の通過時間を推定する(S84)。青信号の間に通過可能でなければ(S86のN)、計算部80は、交差点内が渋滞中と推定する(S88)。青信号の間に通過可能であれば(S86のY)、処理は終了される。
【0052】
本発明の実施例によれば、信号機の灯色についての情報と、当該灯色が別の灯色に切りかえられるタイミングに関する情報とを受信するとともに、現在の位置情報と移動速度を取得するので、信号機に車両が到着したときの灯色を予想できる。また、信号機に車両が到着したときの灯色が予想されるので、将来的に進入する交差点に設置された信号機の灯色であって、かつ進入時の灯色を通知できる。また、信号機に車両が到着したときの灯色が通知されるので、将来的な灯色に応じて運転者は運転できる。また、将来的な灯色に応じた運転がなされるので、交差点での衝突事故を抑制できる。
【0053】
また、将来的な灯色に応じた運転がなされるので、無駄なアクセルワークを抑制できる。また、無駄なアクセルワークが抑制されるので、燃費を向上できる。また、信号機での灯色が赤色に切りかえられる実際のタイミングよりも早いタイミングに灯色が赤色へ切りかえられるように、予想した灯色を補正するので、信号機が黄色を点灯している場合における交差点への車両の進入を抑制できる。また、信号機が黄色を点灯している場合における交差点への車両の進入が抑制されるので、衝突事故を抑制できる。また、黄色を赤色に変更するだけなので、処理を簡易にできる。また、予想した灯色に応じて画面の色を変更するので、予想した灯色を運転者に認識させやすくできる。
【0054】
また、交差点内が渋滞している場合、灯色に関する情報を通知する代わりに、交差点内が渋滞していることを通知するので、交差点への進入を抑止できる。また、交差点への進入が抑止されるので、渋滞の拡大を抑制できる。また、渋滞の拡大が抑制されるので、ITSの認知度を向上できる。また、交差点内が渋滞している場合、灯色に関する情報を通知するための処理を省略するので、処理量を削減できる。また、移動速度や走行速度をもとに、渋滞の発生を推定するので、渋滞の発生を自律的に通知できる。
【0055】
以上、本発明を実施例をもとに説明した。この実施例は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【0056】
本発明の実施例において、基地局装置10は、信号機14の近傍に設置されている。しかしながらこれに限らず例えば、基地局装置10は、信号機14の近傍に設置されていなくてもよい。基地局装置10は、信号機14が設置された交差点へ進入しようとする車両12に対して、パケット信号を送信できる位置に設置されればよい。また、基地局装置10は、複数の信号機14の中間位置に設置されてもよい。その際、基地局装置10は、複数の信号機14についてのスケジュール情報を記憶し、それらをパケット信号に含めてもよい。本変形例によれば、基地局装置10の設置位置の自由度を向上できる。
【0057】
本発明の実施例において、表示部50は、灯色に応じて画面を表示している。しかしながらこれに限らず例えば、表示部50は、予想した灯色が赤色であれば、画面を点滅させてもよい。本変形例によれば、灯色が赤色である旨をさらに確実に通知できる。
【0058】
本発明の実施例において、表示部50は、画面の色によって灯色を通知している。しかしながらこれに限らず例えば、図示しない音声出力部が灯色を音声にて通知してもよい。本変形例によれば、運転中の運転者に対しても確実に灯色を通知できる。
【0059】
本発明の実施例において、第2予想部58は、予想した灯色が黄色であれば、赤色に変更している。しかしながらこれに限らず例えば、第2予想部58は、予想した灯色が黄色であり、かつ赤色に切りかわるまでの期間がしきい値よりも短い場合に、赤色に変更してもよい。つまり、第2予想部58は、予想した灯色が黄色であっても、赤色に切りかわるまでの期間がしきい値以上であれば、灯色を変更しない。本変形例によれば、現実の灯色に近づけながらも、危険性を低減できる。
【符号の説明】
【0060】
10 基地局装置、 12 車両、 14 信号機、 16 端末装置、 20 記憶部、 22 生成部、 24 送信部、 26 基地局用アンテナ、 28 制御部、 40 端末用アンテナ、 42 受信部、 44 抽出部、 46 測位部、 48 処理部、 50 表示部、 52 制御部、 54 取得部、 56 第1予想部、 58 第2予想部、 100 通信システム。
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信技術に関し、特に車両に搭載された端末装置に関する。
【背景技術】
【0002】
交差点の出会い頭の衝突事故を防止するために、路車間通信の検討がなされている。路車間通信では、路側機と車載器との間において交差点の状況に関する情報が通信される。路車間通信では、路側機の設置が必要になり、手間と費用が大きくなる。これに対して、車車間通信、つまり車載器間で情報を通信する形態であれば、路側機の設置が不要になる。その場合、例えば、GPS(Global Positioning System)等によって現在の位置情報をリアルタイムに検出し、その位置情報を車載器同士で交換しあうことによって、自車両および他車両がそれぞれ交差点へ進入するどの道路に位置するかを判断する(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−202913号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
交差点近傍に設置された信号機は、一般的に、予め定められたタイミングにて、「赤色→青色→黄色」の順で巡回的に灯色を切りかえる。車両が交差点に進入する際に、信号機の灯色が予想されれば、運転者は、灯色に応じた運転を実行可能になる。これは、衝突事故の防止の点から有効であるとともに、無駄なアクセルワークが低減されることによって燃費向上の点からも有効である。また、信号機の位置は固定であるので、信号機に関する情報は、車車間通信で伝送されるよりも、路車間通信によって路側機から送信される方が有効である。
【0005】
本発明はこうした状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、将来的に進入する交差点に設置された信号機の灯色であって、かつ進入時の灯色を通知する技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のある態様の端末装置は、車両に搭載された端末装置であって、信号機の灯色についての情報と、当該灯色が別の灯色に切りかえられるタイミングに関する情報とが含まれたパケット信号を基地局装置から受信する受信部と、信号機と車両との距離と、車両の移動速度とを取得することによって、信号機に車両が到着すべき時刻を予想する第1予想部と、第1予想部において予想した時刻と、受信部において受信したパケット信号に含まれた情報とをもとに、信号機に車両が到着したときの灯色を予想する第2予想部と、第2予想部において予想した灯色を通知する通知部と、を備える。
【0007】
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本発明の表現を方法、装置、システム、記録媒体、コンピュータプログラムなどの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、将来的に進入する交差点に設置された信号機の灯色であって、かつ進入時の灯色を通知できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施例に係る通信システムの構成を示す図である。
【図2】図1の基地局装置の構成を示す図である。
【図3】図2の記憶部に記憶されたテーブルのデータ構造を示す図である。
【図4】図4(a)−(c)は、図2の生成部において生成されるパケット信号のデータフォーマットを示す図である。
【図5】図1の車両に搭載された端末装置の構成を示す図である。
【図6】図5の表示部において表示される画面を示す図である。
【図7】図5の端末装置による表示手順を示すフローチャートである。
【図8】本発明の変形例に係る基地局装置の構成を示す図である。
【図9】本発明の変形例に係る端末装置の構成を示す図である。
【図10】図10(a)−(b)は、図9の表示部において表示される画面を示す図である。
【図11】図9の端末装置による表示手順を示すフローチャートである。
【図12】本発明の別の変形例に係る基地局装置の構成を示す図である。
【図13】本発明の別の変形例に係る端末装置の構成を示す図である。
【図14】図13の端末装置による推定手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明を具体的に説明する前に、概要を述べる。本発明の実施例は、信号機の近傍に設置された基地局装置から、車両に搭載された端末装置へ、信号機に関する情報を含んだパケット信号が送信される通信システムに関する。基地局装置は、信号機の灯色が切りかわるスケジュールに関する情報を予め記憶する。基地局装置は、スケジュールに関する情報から、現在の灯色についての情報と、灯色が別の色に切りかわるタイミングに関する情報とを抽出してパケット信号に格納し、パケット信号を報知する。このような処理は、定期的になされる。端末装置は、パケット信号を受信するとともに、現在の位置情報および移動速度を取得する。端末装置は、パケット信号に含まれた情報、現在の位置情報、移動速度をもとに信号機が設置された交差点への到着時刻を予想する。さらに、端末装置は、到着時刻、パケット信号に含まれた情報をもとに、交差点へ到着する際の信号機の灯色を予想し、運転者へ通知する。
【0011】
図1は、本発明の実施例に係る通信システム100の構成を示す。これは、ひとつの交差点を上方から見た場合に相当する。通信システム100は、基地局装置10、車両12、信号機14を含む。なお、車両12には、図示しない端末装置が搭載されている。図1では、記載の明瞭化のために、ひとつの車両12が示されている。しかしながら、複数の車両12が交差点の近傍に存在してもよい。
【0012】
図示のごとく、図面の水平方向、つまり左右の方向に向かう道路と、図面の垂直方向、つまり上下の方向に向かう道路とが中心部分で交差している。ここで、図面の上側が方角の「北」に相当し、左側が方角の「西」に相当し、下側が方角の「南」に相当し、右側が方角の「東」に相当する。また、ふたつの道路の交差部分が「交差点」である。交差点には、信号機14が設置されており、信号機14の近傍に基地局装置10が設置されている。車両12は、下から上へ向かって進んでいる。
【0013】
車両12に搭載された端末装置と、基地局装置10との間では、IEEE802.11等の規格に準拠した無線LAN(Local Area Network)にて通信が実行される。この通信は、路車間通信に相当する。一方、図示しない複数の端末装置間においても通信が実行され、これは、車車間通信に相当する。以下の説明では、路車間通信、特に基地局装置10から端末装置へ向かう下りリンクの通信を説明の対象とし、それ以外の通信については説明を省略する。
【0014】
基地局装置10は、一定の周期にて、パケット信号を報知する。ここで、無線LANは、CSMA/CA(Carrier Sense Multiple Access with Collision Avoidance)と呼ばれるアクセス制御機能を使用しており、干渉量が小さい場合にパケット信号を送信する。基地局装置10は、パケット信号を報知すべきタイミングを予め報知することによって、当該タイミングでの端末装置からの送信が抑制される。その結果、パケット信号を報知すべきタイミングでの干渉量が小さくなり、周期的なパケット信号の報知が実現される。端末装置は、パケット信号を受信し、パケット信号に格納された情報をもとに、以下に説明する処理を実行する。
【0015】
図2は、基地局装置10の構成を示す。基地局装置10は、記憶部20、生成部22、送信部24、基地局用アンテナ26、制御部28を含む。
【0016】
記憶部20は、図示しない信号機14の灯色が切りかわるスケジュールに関する情報を予め記憶するための記憶媒体である。記憶部20は、例えば、ハードディスクによって構成される。信号機14の灯色が切りかわるスケジュールとは、各灯色がどのタイミングで点灯されるかが示された情報である。例えば、赤色が午前9時55分に点灯され、青色が午前10時00分に点灯され、黄色が午前10時2分に点灯されるように示されている。
【0017】
図3は、記憶部20に記憶されたテーブルのデータ構造を示す。図示のごとく、灯色欄200、時刻欄202とが含まれている。灯色欄200には、赤色、青色、黄色が示されている。時刻欄202には、各灯色が点灯を開始する時刻が示されている。ここでは、時刻を「A」、「B」等によって代表させている。このようなテーブルでは、例えば、1日分のスケジュールが示される。なお、スケジュール情報は、図3とは別の形式で記憶されていてもよい。例えば、各灯色が点灯を開始するタイミングが方程式によって示される場合、記憶部20は、方程式を記憶していてもよい。図2に戻る。
【0018】
生成部22は、記憶部20を周期的に参照し、現在の時刻をもとに、灯色欄200から現在の灯色を取得し、時刻欄202から次の灯色の点灯開始時刻を取得する。また、生成部22は、次の灯色の点灯開始時刻と、現在の時刻とをもとに、現在の灯色が切りかえられるまでの期間を導出する。当該期間の導出には、次の灯色の点灯開始時刻から現在の時刻が減算される。生成部22は、信号機14の識別情報、現在の灯色、現在の灯色が切りかえられるまでの期間を格納したパケット信号を生成する。ここで、信号機14の識別情報とは、各信号機14を識別するために一意的に付与された番号であり、図示しない端末装置においても位置を認識可能な番号である。なお、識別番号として、信号機14の位置情報が使用されてもよい。位置情報は、緯度と経度とによって示される。
【0019】
図4(a)−(c)は、生成部22において生成されるパケット信号のデータフォーマットを示す。図4(a)示されたデータフォーマットは、図示のごとく、「信号機識別情報」、「灯色」、「切りかえられるまでの期間」を順に配置する。これら以外の情報がパケット信号に含まれていてもよいが、ここでは説明を省略する。図4(b)は、別のデータフォーマットであり、図4(a)の代わりに使用されてもよい。図4(b)のデータフォーマットでは、図4(a)のデータフォーマットに加えて「現在の時刻」の情報が配置される。図4(c)は、さらに別のデータフォーマットであり、図4(a)および図4(b)の代わりに使用されてもよい。図4(c)のデータフォーマットでは、図4(a)における「切りかえられるまでの期間」のかわりに「切りかえ時刻」が配置される。切りかえ時刻は、図3の時刻欄202から時刻に相当する。図2に戻る。
【0020】
送信部24は、生成部22からのパケット信号に対して、変調を実行する。ここで、通信システム100がOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)変調方式に対応する場合、送信部24は、IFFT(Inverse Fast Fourier Transform)も実行する。送信部24は、変調したパケット信号に対して周波数変換を実行し、無線周波数のパケット信号を生成する。さらに、送信部24は、無線周波数のパケット信号を基地局用アンテナ26から送信する。また、送信部24には、PA(Power Amplifier)、ミキサ、D/A変換部も含まれる。制御部28は、基地局装置10全体のタイミングを制御する。
【0021】
この構成は、ハードウエア的には、任意のコンピュータのCPU、メモリ、その他のLSIで実現でき、ソフトウエア的にはメモリにロードされたプログラムなどによって実現されるが、ここではそれらの連携によって実現される機能ブロックを描いている。したがって、これらの機能ブロックがハードウエアのみ、ソフトウエアのみ、またはそれらの組合せによっていろいろな形で実現できることは、当業者には理解されるところである。
【0022】
図5は、車両12に搭載された端末装置16の構成を示す。端末装置16は、端末用アンテナ40、受信部42、抽出部44、測位部46、処理部48、表示部50、制御部52を含む。また、処理部48は、取得部54、第1予想部56、第2予想部58を含む。
【0023】
受信部42は、端末用アンテナ40にて、図示しない基地局装置10からの無線周波数のパケット信号を受信する。受信部42は、無線周波数のパケット信号に対して周波数変換を実行し、ベースバンドのパケット信号を生成する。さらに、受信部42は、ベースバンドのパケット信号に対して、復調を実行する。受信部42は、復調した結果を抽出部44へ出力する。通信システム100がOFDM変調方式に対応する場合、受信部42は、FFT(Fast Fourier Transform)も実行する。受信部42には、LNA(Low Noise Amplifier)、ミキサ、AGC、A/D変換部も含まれる。
【0024】
抽出部44は、受信部42からの復調結果を受けつける。ここで、復調結果は、図4(a)−(c)のように構成される。抽出部44は、復調結果から、例えば「信号機識別情報」、「灯色」、「切りかえられるまでの期間」を抽出する。測位部46は、図示しないGPS衛星からの信号を受信し、受信した信号をもとに位置情報を取得する。ここで、位置情報は、図示しない車両12の現在の位置情報に相当する。なお、位置情報の取得には公知の技術が使用されればよいので、ここでは説明を省略する。測位部46は、定期的に位置情報を取得する。測位部46は、位置情報を取得部54へ出力する。
【0025】
取得部54は、測位部46から現在の位置情報を受けつけ、抽出部44から信号機14の識別情報を受けつける。取得部54は、信号機14の識別情報をもとに、信号機14の位置情報を特定する。そのために、取得部54は、信号機14の識別情報と位置情報とが対応づけられたテーブルを予め記憶し、テーブルを参照することによって、識別情報から位置情報を取得する。なお、信号機14の識別情報が位置情報である場合、取得部54は、識別情報から位置情報を認識する。
【0026】
取得部54は、現在の位置情報と、信号機14の位置情報とをもとに、信号機14と車両12との距離を導出する。当該距離は、直線距離として計算される。なお、信号機14と車両12との間の道路情報を有している場合、取得部54は、道路情報に沿うように距離を導出してもよい。また、取得部54は、現在の位置情報と過去の位置情報をもとに、車両12の移動速度も導出する。取得部54は、距離と移動速度とを第1予想部56へ出力する。
【0027】
第1予想部56は、取得部54から、距離と移動速度とを受けつけ、距離と移動速度とをもとに、信号機14に車両12が到着すべき時刻を予想する。具体的に説明すると、第1予想部56は、距離を移動速度で除算し、除算結果を現在の時刻に加算する。また、信号機14に車両12が到着すべき時刻は、車両12が交差点に進入する時刻ともいえる。第1予想部56は、予想した時刻を第2予想部58へ出力する。
【0028】
第2予想部58は、第1予想部56から、予想時刻を受けつけるとともに、抽出部44から、灯色に関する情報、切りかえられるまでの期間に関する情報を受けつける。第2予想部58は、受けつけた情報をもとに、信号機14に車両12が到着したときの灯色を予想する。具体的に説明すると、第2予想部58は、切りかえられるまでの期間の中に、予想時刻が含まれるかを確認する。含まれる場合は、現在の灯色の間に、車両12が信号機14に到着することに相当するので、第2予想部58は、現在の灯色のままであると推定する。
【0029】
一方、含まれない場合は、現在の灯色の間に、車両12が信号機14に到着しないことに相当するので、第2予想部58は、次の灯色に切りかわると推定する。そのため、第2予想部58は、次の灯色を出力する。ここで、第2予想部58は、信号機14での灯色が赤色に切りかえられる実際のタイミングよりも早いタイミングに灯色が赤色へ切りかえられるように、予想した灯色を補正する。例えば、灯色として黄色が推定された場合、第2予想部58は、これを赤色に変更する。第2予想部58は、灯色に関する情報を表示部50へ出力する。
【0030】
表示部50は、第2予想部58から、灯色に関する情報を受けつける。表示部50は、ディスプレイに画像を表示する。端末装置16がカーナビゲーション装置と一体的に構成されている場合や、端末装置16がカーナビゲーション装置に接続されている場合、表示部50は、道路画像を表示する。道路画像の表示、経路探索には、公知の技術が使用されればよいので、ここでは説明を省略する。表示部50は、灯色に関する情報も表示することによって、予想した灯色を運転者に通知する。表示部50は、例えば、予想した灯色に応じて画面の色を変更する。
【0031】
つまり、青色が予想された場合、表示部50は、道路画像の全体あるいは一部を青色にて表示し、赤色が予想された場合、表示部50は、道路画像の全体あるいは一部を赤色にて表示する。図6は、表示部50において表示される画面を示す。図示のごとく、交差点において、ふたつの道路が交差している。また、矢印が車両12の進行方向を示す。前述のごとく、画像の全体あるいは一部が、灯色にて示される。図5に戻る。制御部52は、端末装置16全体のタイミングを制御する。
【0032】
以上の構成による通信システム100の動作を説明する。図7は、端末装置16による表示手順を示すフローチャートである。受信部42は、パケット信号を受信する(S10)。測位部46は、位置情報を取得する(S12)。取得部54は、距離、移動速度を取得する(S14)。第1予想部56は、到着時刻を予想する(S16)。第2予想部58は灯色を予想する(S18)。灯色が黄色であれば(S20のY)、第2予想部58は、灯色を赤色に変更する(S22)。灯色が黄色でなければ(S20のN)、ステップ22はスキップされる。表示部50は、灯色にて画面を表示する(S24)。
【0033】
次に、本発明の変形例を説明する。本発明の変形例は、実施例と同様に、信号機の近傍に設置された基地局装置から、車両に搭載された端末装置へ、信号機に関する情報を含んだパケット信号が送信される通信システムに関する。本発明の変形例では、信号機に関する情報に加えて、障害物情報も含まれる。障害物情報には、故障車が存在することや渋滞が発生していることに関する情報が含まれる。信号機に関する情報、現在の位置情報、移動速度をもとに信号機が設置された交差点への到着時刻を予想し、そのときの信号機の灯色が青色であると予想される場合であっても、交差点を越えた道路において渋滞が発生していれば、交差点を通過できない可能性がある。交差点内において車両が止ってしまうと、渋滞がさらに大規模になってしまうおそれがある。これに対応するために、変形例に係る端末装置は、渋滞情報を取得すると、信号機の色を運転者へ通知するかわりに、渋滞の発生を運転者へ通知する。なお、端末装置は、信号機の色とともに、渋滞の発生を運転者へ通知してもよい。
【0034】
図8は、本発明の変形例に係る基地局装置10の構成を示す。基地局装置10は、図2の基地局装置10に渋滞発生推定部60が加えられている。また、渋滞発生推定部60は、センサ62に接続されている。センサ62は、交差点から出て行く方向の道路における車両12の走行速度を測定する。このような走行速度を測定するための速度センサには、公知の技術が使用されればよいので、ここでは説明を省略する。これとは別にセンサ62は、撮像機能を有し、撮像した画像をもとに、走行速度を測定してもよい。つまり、センサ62は、交差点から出て行く方向の道路における車両12の走行状態を測定できればよい。センサ62は、走行速度を渋滞発生推定部60へ出力する。なお、図1のごとく十字状の交差点の場合、交差点から出て行く方向の道路は、4つ存在する。センサ62は、それぞれの道路における走行速度を測定する。なお、各道路には予め定められた識別番号が付与されており、センサ62は、道路ごとに、識別番号と走行速度とを対応づけて出力する。
【0035】
渋滞発生推定部60は、センサ62から走行速度を受けつける。渋滞発生推定部60は、走行速度としきい値とを比較し、走行速度がしきい値よりも低い場合に、走行状態が渋滞であると決定する。一方、走行速度がしきい値以上であれば、渋滞発生推定部60は、走行状態が正常であると決定する。なお、4つの道路のそれぞれに対する走行速度をセンサ62から受けつけている場合、渋滞発生推定部60は、道路ごとに比較を実行することによって各道路の走行状態を特定する。渋滞発生推定部60は、走行状態が渋滞である場合、その旨(以下、「渋滞情報」という)を生成部22へ出力する。渋滞発生推定部60は、走行状態が渋滞である道路の識別番号も生成部22へ出力してもよい。生成部22は、渋滞発生推定部60から渋滞情報を受けつけると、渋滞情報を障害物情報に格納する。また、生成部22は、障害物情報もパケット信号に格納する。
【0036】
図9は、本発明の変形例に係る端末装置16の構成を示す。端末装置16は、図5の端末装置16と同様の構成要素を有している。さらに、取得部54から表示部50への信号線が備えられている。受信部42は、前述のごとく、図示しない基地局装置10からの無線周波数のパケット信号を受信する。受信部42において受信されるパケット信号には、障害物情報が含まれていることがある。障害物情報のひとつが、渋滞情報であり、渋滞情報は、信号機14を通過した道路での他の車両12の走行状態、特に渋滞の発生に関する情報である。受信部42は、復調した結果を抽出部44へ出力する。
【0037】
抽出部44は、受信部42からの復調結果を受けつける。抽出部44は、実施例に説明した情報に加えて、障害物情報が含まれている場合に障害物情報を抽出する。抽出部44は、障害物情報も取得部54へ出力する。取得部54は、前述のごとく、測位部46から現在の位置情報を受けつけ、抽出部44から信号機14の識別情報を受けつける。取得部54は、抽出部44からの障害物情報も受けつける。障害物情報に渋滞情報が含まれていない場合、取得部54は、前述の処理を実行する。
【0038】
一方、障害物情報に渋滞情報が含まれている場合、取得部54は、渋滞中である旨を表示部50に表示させる。その際、取得部54、第1予想部56、第2予想部58は、灯色に関する情報を表示部50に表示するための処理を停止する。なお、渋滞情報に複数の識別番号が含まれている場合、複数の道路が渋滞していることに相当する。その際、取得部54は、車両12の進行方向と識別番号とをもとに、どの方向の道路が渋滞しているかを特定する。例えば、取得部54は、左折方向の道路が渋滞していることを特定する。複数の方向の道路が渋滞している場合、取得部54は、それらを特定する。その際、交差点へ向かって走行している道路と逆方向の道路は、特定されなくてもよい。
【0039】
図10(a)−(b)は、表示部50において表示される画面を示す。図10(a)では、表示部50が「交差点渋滞中」を表示する。図10(b)は、取得部54において渋滞中の道路の方向が特定されている場合の表示である。図示のごとく、「交差点左折方向渋滞中」と示される。なお、表示部50は、渋滞中である旨を表示するとともに、灯色に関する情報を表示してもよい。また、灯色に関する情報が青色や黄色であったとしても、表示部50は、図6の表示において赤色を通知してもよい。
【0040】
図11は、端末装置16による表示手順を示すフローチャートである。受信部42は、パケット信号を受信する(S50)。渋滞情報がなければ(S52のN)、測位部46は、位置情報を取得する(S54)。取得部54は、距離、移動速度を取得する(S56)。第1予想部56は、到着時刻を予想する(S58)。第2予想部58は灯色を予想する(S60)。灯色が黄色であれば(S62のY)、第2予想部58は、灯色を赤色に変更する(S64)。灯色が黄色でなければ(S62のN)、ステップ64はスキップされる。表示部50は、灯色にて画面を表示する(S66)。一方、渋滞情報があれば(S52のY)、表示部50は、渋滞中を表示する(S68)。
【0041】
次に、本発明の別の変形例を説明する。本発明の別の変形例も、これまでと同様に、信号機の近傍に設置された基地局装置から、車両に搭載された端末装置へ、信号機に関する情報を含んだパケット信号が送信される通信システムに関する。本発明の変形例に係る基地局装置は、渋滞の発生を検出した場合に、それを渋滞情報として報知し、端末装置は、渋滞情報を受信すると、渋滞の発生を通知する。一方、別の変形例に係る基地局装置は、道路上の車両の走行速度等の情報を報知し、端末装置は、渋滞の発生を推定する。端末装置は、渋滞が発生していると推定した場合に、渋滞の発生を運転者へ通知する。
【0042】
図12は、本発明の別の変形例に係る基地局装置10の構成を示す。基地局装置10は、記憶部20、生成部22、送信部24、基地局用アンテナ26、制御部28、受信部70、速度導出部72を含み、生成部22は、センサ62に接続されている。センサ62は、交差点から出る方向の道路において、1台の車両12分のスペースが空いているかを検出する。なお、変形例と同様に、交差点から複数の道路が出ているが、ここでは説明を明瞭にするために、ひとつの道路のみを説明する場合であっても、各道路に対する処理がなされているものとする。センサ62は、空いているか否かの情報(以下、「存在情報」という)を生成部22へ出力する。
【0043】
受信部70は、図示しない端末装置16からのパケット信号を受信する。ここで、各端末装置16は、端末装置16の位置情報および当該端末装置16の識別番号をパケット信号に格納して報知しているものとする。受信部70は、識別番号と位置情報との組合せを速度導出部72へ出力する。
【0044】
速度導出部72は、受信部70から、識別番号と位置情報との組合せを受けつける。速度導出部72は、各道路の位置を予め記憶しており、受けつけた組合せ中の位置情報をもとに、組合せを道路ごとに分類する。また、速度導出部72は、各道路に対して、識別番号ごとに、位置情報の変化を導出する。位置情報の変化は、ふたつの位置情報を受信したタイミング差によって、それらの間の距離を除算して導出され、車両12の走行速度に相当する。さらに、速度導出部72は、道路を走行している複数の車両12の走行速度を平均することによって、当該道路における走行速度を導出する。速度導出部72は、交差点から出て行く方向の道路に対して、前述の処理を繰り返し実行する。速度導出部72は、走行速度の情報と道路の識別番号との組合せ(以下、「速度情報」という)を生成部22へ出力する。生成部22は、センサ62から存在情報を受けつけ、速度導出部72から速度情報を受けつけると、これらを障害物情報に格納する。また、生成部22は、障害物情報もパケット信号に格納する。
【0045】
図13は、本発明の別の変形例に係る端末装置16の構成を示す。端末装置16は、端末用アンテナ40、受信部42、抽出部44、測位部46、表示部50、制御部52、計算部80を含む。また、計算部80は、速度センサ82に接続されている。
【0046】
受信部42は、前述のごとく、図示しない基地局装置10からの無線周波数のパケット信号を受信する。受信部42において受信されるパケット信号には、障害物情報が含まれている。ここで、障害物情報は、存在情報と速度情報との組合せである。受信部42は、復調した結果を抽出部44へ出力する。
【0047】
抽出部44は、受信部42からの復調結果を受けつける。抽出部44は、実施例に説明した情報に加えて、障害物情報を抽出する。抽出部44は、灯色に関する情報、切りかえられるまでの期間に関する情報、障害物情報を計算部80へ出力する。計算部80は、抽出部44から、灯色に関する情報、切りかえられるまでの期間に関する情報、障害物情報を受けつけ、測位部46から位置情報を受けつける。ここで、計算部80は、交差点の位置を予め記憶する。計算部80は、交差点の位置と位置情報とをもとに、交差点までの距離を導出する。
【0048】
計算部80は、交差点までの距離を車両12の長さで除算することによって、交差点までの車両12の台数を予想する。車両12の長さとして、例えば、5mのように予め定められた一定値が使用される。交差点までの車両12の台数が1台である場合、つまり先頭車両である場合、計算部80は、存在情報によって車両が存在していないことが示されていれば、交差点内が渋滞していないと推定する。その際、計算部80は、前述の第1予想部56、第2予想部58の処理を実行することによって、信号機の色を表示部50から運転者へ通知する。
【0049】
存在情報によって車両が存在していることが示されている場合、計算部80は、交差点内が渋滞していると推定し、渋滞中である旨を表示部50に表示させる。その際、計算部80は、灯色に関する情報を表示部50に表示するための処理を停止する。一方、交差点までの車両12の台数が1台でない場合、計算部80は、交差点の通過時間を推定する。具体的に説明すると、計算部80は、位置情報の時間変化をもとに、本車両12の移動速度を導出する。さらに、計算部80は、交差点までの距離を移動速度にて除算することによって、交差点への到着時間を予想する。
【0050】
これとは別に、計算部80は、速度情報に対応した走行速度によって、交差点までの距離を除算することによって、交差点から出て行く道路に進入するための時間(以下、「進入時間」という)を予想する。これは、本車両12よりも前を走行している他の車両12であって、かつ交差点へ向かっている他の車両12が、車両12を交差点から出すために進行しなければならない時間である。例えば、交差点までの道路が渋滞せず、交差点からの道路が渋滞している場合、到着時間は短くなるが、進入時間が長くなる。そのため、計算部80は、到着時間と進入時間とを比較し、長い方を通過時間として選択する。計算部80は、青信号が継続する時間と、通過時間とを比較することによって、青信号の間に交差点を通過できるかを判定する。青信号の間に交差点を通過できない場合、計算部80は、渋滞中である旨を表示部50に表示させる。
【0051】
図14は、端末装置16による推定手順を示すフローチャートである。先頭車両であり(S80のY)、他の車両12が存在する場合(S82のY)、計算部80は、交差点内が渋滞中と推定する(S88)。他の車両12が存在しない場合(S82のN)、処理は終了される。一方、先頭車両でない場合(S80のN)、計算部80は、交差点の通過時間を推定する(S84)。青信号の間に通過可能でなければ(S86のN)、計算部80は、交差点内が渋滞中と推定する(S88)。青信号の間に通過可能であれば(S86のY)、処理は終了される。
【0052】
本発明の実施例によれば、信号機の灯色についての情報と、当該灯色が別の灯色に切りかえられるタイミングに関する情報とを受信するとともに、現在の位置情報と移動速度を取得するので、信号機に車両が到着したときの灯色を予想できる。また、信号機に車両が到着したときの灯色が予想されるので、将来的に進入する交差点に設置された信号機の灯色であって、かつ進入時の灯色を通知できる。また、信号機に車両が到着したときの灯色が通知されるので、将来的な灯色に応じて運転者は運転できる。また、将来的な灯色に応じた運転がなされるので、交差点での衝突事故を抑制できる。
【0053】
また、将来的な灯色に応じた運転がなされるので、無駄なアクセルワークを抑制できる。また、無駄なアクセルワークが抑制されるので、燃費を向上できる。また、信号機での灯色が赤色に切りかえられる実際のタイミングよりも早いタイミングに灯色が赤色へ切りかえられるように、予想した灯色を補正するので、信号機が黄色を点灯している場合における交差点への車両の進入を抑制できる。また、信号機が黄色を点灯している場合における交差点への車両の進入が抑制されるので、衝突事故を抑制できる。また、黄色を赤色に変更するだけなので、処理を簡易にできる。また、予想した灯色に応じて画面の色を変更するので、予想した灯色を運転者に認識させやすくできる。
【0054】
また、交差点内が渋滞している場合、灯色に関する情報を通知する代わりに、交差点内が渋滞していることを通知するので、交差点への進入を抑止できる。また、交差点への進入が抑止されるので、渋滞の拡大を抑制できる。また、渋滞の拡大が抑制されるので、ITSの認知度を向上できる。また、交差点内が渋滞している場合、灯色に関する情報を通知するための処理を省略するので、処理量を削減できる。また、移動速度や走行速度をもとに、渋滞の発生を推定するので、渋滞の発生を自律的に通知できる。
【0055】
以上、本発明を実施例をもとに説明した。この実施例は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【0056】
本発明の実施例において、基地局装置10は、信号機14の近傍に設置されている。しかしながらこれに限らず例えば、基地局装置10は、信号機14の近傍に設置されていなくてもよい。基地局装置10は、信号機14が設置された交差点へ進入しようとする車両12に対して、パケット信号を送信できる位置に設置されればよい。また、基地局装置10は、複数の信号機14の中間位置に設置されてもよい。その際、基地局装置10は、複数の信号機14についてのスケジュール情報を記憶し、それらをパケット信号に含めてもよい。本変形例によれば、基地局装置10の設置位置の自由度を向上できる。
【0057】
本発明の実施例において、表示部50は、灯色に応じて画面を表示している。しかしながらこれに限らず例えば、表示部50は、予想した灯色が赤色であれば、画面を点滅させてもよい。本変形例によれば、灯色が赤色である旨をさらに確実に通知できる。
【0058】
本発明の実施例において、表示部50は、画面の色によって灯色を通知している。しかしながらこれに限らず例えば、図示しない音声出力部が灯色を音声にて通知してもよい。本変形例によれば、運転中の運転者に対しても確実に灯色を通知できる。
【0059】
本発明の実施例において、第2予想部58は、予想した灯色が黄色であれば、赤色に変更している。しかしながらこれに限らず例えば、第2予想部58は、予想した灯色が黄色であり、かつ赤色に切りかわるまでの期間がしきい値よりも短い場合に、赤色に変更してもよい。つまり、第2予想部58は、予想した灯色が黄色であっても、赤色に切りかわるまでの期間がしきい値以上であれば、灯色を変更しない。本変形例によれば、現実の灯色に近づけながらも、危険性を低減できる。
【符号の説明】
【0060】
10 基地局装置、 12 車両、 14 信号機、 16 端末装置、 20 記憶部、 22 生成部、 24 送信部、 26 基地局用アンテナ、 28 制御部、 40 端末用アンテナ、 42 受信部、 44 抽出部、 46 測位部、 48 処理部、 50 表示部、 52 制御部、 54 取得部、 56 第1予想部、 58 第2予想部、 100 通信システム。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載された端末装置であって、
信号機の灯色についての情報と、当該灯色が別の灯色に切りかえられるタイミングに関する情報とが含まれたパケット信号を基地局装置から受信する受信部と、
前記信号機と前記車両との距離と、前記車両の移動速度とを取得することによって、前記信号機に前記車両が到着すべき時刻を予想する第1予想部と、
前記第1予想部において予想した時刻と、前記受信部において受信したパケット信号に含まれた情報とをもとに、前記信号機に前記車両が到着したときの灯色を予想する第2予想部と、
前記第2予想部において予想した灯色を通知する通知部と、
を備えることを特徴とする端末装置。
【請求項2】
前記第2予想部は、前記信号機での灯色が赤色に切りかえられる実際のタイミングよりも早いタイミングに灯色が赤色へ切りかえられるように、予想した灯色を補正することを特徴とする請求項1に記載の端末装置。
【請求項3】
前記通知部は、前記第2予想部において予想した灯色に応じて画面の色を変更することを特徴とする請求項1または2に記載の端末装置。
【請求項4】
前記通知部は、前記第2予想部において予想した灯色が赤色であれば、画面を点滅させることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の端末装置。
【請求項5】
前記受信部において受信されるパケット信号には、前記信号機を通過した道路での他の車両の走行状態に関する情報も含まれており、
前記通知部は、前記受信部において受信したパケット信号に含まれた走行状態に関する情報が渋滞中を示している場合に、その旨を通知することを特徴とする請求項1に記載の端末装置。
【請求項1】
車両に搭載された端末装置であって、
信号機の灯色についての情報と、当該灯色が別の灯色に切りかえられるタイミングに関する情報とが含まれたパケット信号を基地局装置から受信する受信部と、
前記信号機と前記車両との距離と、前記車両の移動速度とを取得することによって、前記信号機に前記車両が到着すべき時刻を予想する第1予想部と、
前記第1予想部において予想した時刻と、前記受信部において受信したパケット信号に含まれた情報とをもとに、前記信号機に前記車両が到着したときの灯色を予想する第2予想部と、
前記第2予想部において予想した灯色を通知する通知部と、
を備えることを特徴とする端末装置。
【請求項2】
前記第2予想部は、前記信号機での灯色が赤色に切りかえられる実際のタイミングよりも早いタイミングに灯色が赤色へ切りかえられるように、予想した灯色を補正することを特徴とする請求項1に記載の端末装置。
【請求項3】
前記通知部は、前記第2予想部において予想した灯色に応じて画面の色を変更することを特徴とする請求項1または2に記載の端末装置。
【請求項4】
前記通知部は、前記第2予想部において予想した灯色が赤色であれば、画面を点滅させることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の端末装置。
【請求項5】
前記受信部において受信されるパケット信号には、前記信号機を通過した道路での他の車両の走行状態に関する情報も含まれており、
前記通知部は、前記受信部において受信したパケット信号に含まれた走行状態に関する情報が渋滞中を示している場合に、その旨を通知することを特徴とする請求項1に記載の端末装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2011−70652(P2011−70652A)
【公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−162480(P2010−162480)
【出願日】平成22年7月20日(2010.7.20)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年7月20日(2010.7.20)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】
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