端末装置
【課題】他の端末装置から報知されるパケット信号に与える影響を低減しながらパケット信号を優先的に報知するタイミングを特定する技術を提供する。
【解決手段】取得部80は、対象物の存在位置を測位する。設定部88は、測位した存在位置が予め定めた条件を満たす場合に、待ち時間を設定する。設定部88が設定可能な待ち時間の範囲は、キャリアセンスによってパケット信号を報知可能な他種の端末装置が設定可能な待ち時間の範囲よりも狭い。キャリアセンス部90は、設定した待ち時間にわたって、キャリアセンスを実行する。変復調部74、RF部72は、キャリアセンスの結果をもとに、パケット信号を報知する。
【解決手段】取得部80は、対象物の存在位置を測位する。設定部88は、測位した存在位置が予め定めた条件を満たす場合に、待ち時間を設定する。設定部88が設定可能な待ち時間の範囲は、キャリアセンスによってパケット信号を報知可能な他種の端末装置が設定可能な待ち時間の範囲よりも狭い。キャリアセンス部90は、設定した待ち時間にわたって、キャリアセンスを実行する。変復調部74、RF部72は、キャリアセンスの結果をもとに、パケット信号を報知する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信技術に関し、特に所定の情報が含まれた信号を報知する端末装置に関する。
【背景技術】
【0002】
交差点の出会い頭の衝突事故を防止するために、路車間通信の検討がなされている。路車間通信では、路側機と車載器との間において交差点の状況に関する情報が通信される。路車間通信では、路側機の設置が必要になり、手間と費用が大きくなる。これに対して、車車間通信、つまり車載器間で情報を通信する形態であれば、路側機の設置が不要になる。その場合、例えば、GPS(Global Positioning System)等によって現在の位置情報をリアルタイムに検出し、その位置情報を車載器同士で交換しあうことによって、自車両および他車両がそれぞれ交差点へ進入するどの道路に位置するかを判断する(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−202913号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
IEEE802.11等の規格に準拠した無線LAN(Local Area Network)では、CSMA/CA(Carrier Sense Multiple Access with Collision Avoidance)と呼ばれるアクセス制御機能が使用されている。そのため、当該無線LANでは、複数の端末装置によって同一の無線チャネルが共有される。このようなCSMA/CAでは、キャリアセンスによって他のパケット信号が送信されていないことを確認した後に、パケット信号が送信される。ITS(Intelligent Transport Systems)のような車車間通信に無線LANを適用する場合、不特定多数の車両のそれぞれに搭載された端末装置へ情報を送信する必要があるために、信号はブロードキャストにて送信されることが望ましい。その結果、端末装置は、ブロードキャストされた信号を受信することによって、他の車両の接近を検出し、それを運転者に通知することによって、車両間の衝突事故を防止するための注意を運転者に喚起させる。
【0005】
車両間の衝突事故を防止するとともに、歩行者等と車両との衝突事故を防止することも望まれる。これに対応するために、端末装置は、車載される他に歩行者にも携帯される。歩行者が車両に追突されることを防止するために、歩行者に携帯される端末装置は、車載の端末装置に対して、存在している位置を通知する。一方、歩行者に携帯される端末装置は、バッテリで駆動するので、車載の端末装置と比較して処理量の低減が必要とされる。例えば、他の車両の接近は歩行者に対して通知されない。このような歩行者に携帯される端末装置がパケット信号をブロードキャスト送信する場合であっても、車載の端末装置からブロードキャスト送信されるパケット信号に与える影響は小さい方が望ましい。また、歩行者が自らの存在位置を知らしめるという目的を鑑みて、歩行者に携帯される端末装置は、車載の端末装置よりも優先的にパケット信号を報知できる方が望ましい。しかしながら、絶えず優先的に報知していれば、車載の端末装置に与える影響が大きくなりうる。
【0006】
本発明はこうした状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、他の端末装置から報知されるパケット信号に与える影響を低減しながらパケット信号を優先的に報知するタイミングを特定する技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明のある態様の端末装置は、対象物の存在位置を測位する測位部と、測位部において測位した存在位置が予め定めた条件を満たす場合に、待ち時間を設定する設定部と、設定部において設定した待ち時間にわたって、キャリアセンスを実行するキャリアセンス部と、キャリアセンス部におけるキャリアセンスの結果をもとに、パケット信号を報知する報知部とを備える。設定部が設定可能な待ち時間の範囲は、キャリアセンスによってパケット信号を報知可能な他種の端末装置が設定可能な待ち時間の範囲よりも狭い。
【0008】
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本発明の表現を方法、装置、システム、記録媒体、コンピュータプログラムなどの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、他の端末装置から報知されるパケット信号に与える影響を低減しながらパケット信号を優先的に報知するタイミングを特定できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施例に係る通信システムの構成を示す図である。
【図2】図1の基地局装置の構成を示す図である。
【図3】図3(a)−(d)は、図1の通信システムにおいて規定されるフレームのフォーマットを示す図である。
【図4】図4(a)−(b)は、図3(a)−(d)のサブフレームの構成を示す図である。
【図5】図5(a)−(b)は、図1の通信システムにおいて規定されるパケット信号に格納されるMACフレームのフォーマットを示す図である。
【図6】図1の車両に搭載された車載用端末装置の構成を示す図である。
【図7】図1の歩行者に携帯された携帯用端末装置の構成を示す図である。
【図8】図7の携帯用端末装置の動作を示す図である。
【図9】図7の携帯用端末装置における送信手順を示すフローチャートである。
【図10】本発明の変形例に係る携帯用端末装置の構成を示す図である。
【図11】図10の携帯用端末装置における送信手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明を具体的に説明する前に、概要を述べる。本発明の実施例は、車両に搭載された端末装置(以下、「車載用端末装置」ともいう)間において車車間通信を実行するとともに、交差点等に設置された基地局装置から車載用端末装置へ路車間通信も実行する通信システムに関する。車車間通信として、車載用端末装置は、車両の速度や位置等の情報(以下、これらを「データ」という)を格納したパケット信号をブロードキャスト送信する。また、他の車載用端末装置は、パケット信号を受信するとともに、データをもとに車両の接近等を認識する。車両の接近を運転者に通知することによって、運転者に注意を促す。車車間通信と路車間通信との干渉を低減するために、基地局装置は、複数のサブフレームが含まれたフレームを繰り返し規定する。基地局装置は、路車間通信のために、複数のサブフレームのいずれかを選択し、選択したサブフレームの先頭部分の期間において、制御情報等が格納されたパケット信号をブロードキャスト送信する。制御情報には、当該基地局装置がパケット信号をブローキャスト送信するための期間(以下、「路車送信期間」という)に関する情報が含まれている。
【0012】
車載用端末装置は、制御情報をもとに路車送信期間を特定し、路車送信期間以外の期間においてパケット信号を送信する。このように、路車間通信と車車間通信とが時間分割多重されるので、両者間のパケット信号の衝突確率が低減される。なお、車車間通信は、路車送信期間以外の車車間通信を実行するための期間(以下、「車車送信期間」という)においてCSMA方式にてなされる。このような端末装置は、歩行者にも携帯される(以下、歩行者に携帯される端末装置を「携帯用端末装置」という)。携帯用端末装置は、バッテリ駆動であり、低消費電力化を必要とされる。そのため、携帯用端末装置は、データを格納したパケット信号をブロードキャスト送信するだけであり、車両の接近を歩行者に通知しない。
【0013】
このような携帯用端末装置がパケット信号をブロードキャスト送信する場合であっても、車載用端末装置からブロードキャスト送信されるパケット信号に対する影響を低減することが必要とされる。また、携帯用端末装置がパケット信号をブロードキャスト送信する目的は、歩行者の存在位置を運転者に知らしめるためである。そのため、携帯用端末装置にとって、車載用端末装置よりも必要に応じて優先的に送信できることが望まれる。これに対応するために、本実施例に係る通信システムは、次の処理を実行する。なお、以下では、携帯用端末装置であっても、車車間通信、路車間通信というものとする。また、車載用端末装置と携帯用端末装置とを区別せずに「端末装置」ということもあり、車載用端末装置と携帯用端末装置とを総称して「端末装置」ということもある。
【0014】
携帯用端末装置も、車載用端末装置と同様に、車車送信期間においてCSMA方式を実行する。ここで、携帯用端末装置には、車載用端末装置よりも低消費電力化が望まれるので、携帯用端末装置からブロードキャスト送信される情報量は、車載用端末装置からブロードキャスト送信される情報量よりも少なくされる。その結果、前者のパケット信号長は、後者のパケット信号長よりも短くされる。CSMA方式では、コンテンションウインドウの長さが可変であり、その期間においてキャリアセンスが実行される。パケット信号長が短いにもかかわらず、コンテンションウインドウの最大値が同じであれば、パケット信号長に対する待ち時間が長くなってしまう。これに対応するために、携帯用端末装置でのコンテンションウインドウの最大値は、車載用端末装置でのコンテンションウインドウの最大値よりも短くなるように規定される。なお、このような送信を絶えず実行していれば、車載用端末装置の送信機会が減少する。そのため、携帯用端末装置は、歩行者と車両との間の距離を測定し、距離がしきい値よりも小さくなれば、上記のような送信を実行する。
【0015】
図1は、本発明の実施例に係る通信システム100の構成を示す。これは、ひとつの交差点を上方から見た場合に相当する。通信システム100は、基地局装置10、車両12と総称される第1車両12a、第2車両12b、第3車両12c、第4車両12d、第5車両12e、第6車両12f、第7車両12g、第8車両12h、歩行者16と総称される第1歩行者16a、第2歩行者16bを含む。なお、各車両12には、図示しない車載用端末装置が設置され、各歩行者16は、図示しない携帯用端末装置を携帯する。また、エリア212は、基地局装置10の周囲に形成され、エリア外214は、エリア212の外側に形成されている。
【0016】
図示のごとく、図面の水平方向、つまり左右の方向に向かう道路と、図面の垂直方向、つまり上下の方向に向かう道路とが中心部分で交差している。ここで、図面の上側が方角の「北」に相当し、左側が方角の「西」に相当し、下側が方角の「南」に相当し、右側が方角の「東」に相当する。また、ふたつの道路の交差部分が「交差点」である。第1車両12a、第2車両12bが、左から右へ向かって進んでおり、第3車両12c、第4車両12dが、右から左へ向かって進んでいる。また、第5車両12e、第6車両12fが、上から下へ向かって進んでおり、第7車両12g、第8車両12hが、下から上へ向かって進んでいる。
【0017】
基地局装置10は、端末装置間の通信を制御する。基地局装置10は、図示しないGPS衛星から受信した信号や、図示しない他の基地局装置10にて形成されたフレームをもとに、複数のサブフレームが含まれたフレームを繰り返し生成する。ここで、各サブフレームの先頭部分に路車送信期間が設定可能であるような規定がなされている。基地局装置10は、複数のサブフレームのうち、他の基地局装置10によって路車送信期間が設定されていないサブフレームを選択する。基地局装置10は、選択したサブフレームの先頭部分に路車送信期間を設定する。基地局装置10は、設定した路車送信期間においてパケット信号を報知する。
【0018】
車両12は、エンジンにて駆動され、車載用端末装置を搭載する。車載用端末装置は、受信したパケット信号に含まれた制御情報をもとに、フレームを生成する。その結果、複数の車載用端末装置のそれぞれにおいて生成されるフレームは、基地局装置10において生成されるフレームに同期する。また、車載用端末装置は、車車送信期間において、CSMA/CAを実行することによって、パケット信号を報知する。車載用端末装置は、例えば、存在位置に関する情報をパケット信号に格納する。また、車載用端末装置は、制御情報もパケット信号に格納する。つまり、基地局装置10から送信された制御情報は、車載用端末装置によって転送される。
【0019】
一方、基地局装置10からのパケット信号を受信できない車載用端末装置、つまりエリア外214に存在する車載用端末装置は、フレームの構成に関係なく、CSMA/CAを実行することによって、パケット信号を報知する。さらに、車載用端末装置は、他の車載用端末装置からのパケット信号を受信することによって、他の車載用端末装置が搭載された車両の接近を運転者へ通知する。
【0020】
歩行者16は、携帯用端末装置を携帯する。携帯用端末装置は、車載用端末装置と同様の処理を実行する。しかしながら、携帯用端末装置は、処理を簡易にするために、車両等の接近を通知しない。ここで、携帯用端末装置は、自らの存在位置を取得するとともに、車載用端末装置からのパケット信号を受信すると、車両の存在位置も取得する。自らの存在位置と車両の存在位置との距離がしきい値より小さければ、携帯用端末装置は、CSMA/CAを実行する際の平均待ち時間が車載用端末装置での平均待ち時間よりも短くなるように、コンテンションウインドウを設定する。一方、距離がしきい値以上であれば、携帯用端末装置は、車載用端末装置と同様にコンテンションウインドウを設定する。なお、携帯用端末装置における送信電力は、他の装置の送信電力よりも小さくなるように設定される。
【0021】
図2は、基地局装置10の構成を示す。基地局装置10は、アンテナ20、RF部22、変復調部24、処理部26、ネットワーク通信部28、制御部30を含む。処理部26は、フレーム規定部32、選択部34、生成部36を含む。
【0022】
RF部22は、受信処理として、図示しない端末装置や他の基地局装置10からのパケット信号をアンテナ20にて受信する。RF部22は、受信した無線周波数のパケット信号に対して周波数変換を実行し、ベースバンドのパケット信号を生成する。さらに、RF部22は、ベースバンドのパケット信号を変復調部24に出力する。一般的に、ベースバンドのパケット信号は、同相成分と直交成分によって形成されるので、ふたつの信号線が示されるべきであるが、ここでは、図を明瞭にするためにひとつの信号線だけを示すものとする。RF部22には、LNA(Low Noise Amplifier)、ミキサ、AGC、A/D変換部も含まれる。
【0023】
RF部22は、送信処理として、変復調部24から入力したベースバンドのパケット信号に対して周波数変換を実行し、無線周波数のパケット信号を生成する。さらに、RF部22は、路車送信期間において、無線周波数のパケット信号をアンテナ20から送信する。また、RF部22には、PA(Power Amplifier)、ミキサ、D/A変換部も含まれる。
【0024】
変復調部24は、受信処理として、RF部22からのベースバンドのパケット信号に対して、復調を実行する。さらに、変復調部24は、復調した結果を処理部26に出力する。また、変復調部24は、送信処理として、処理部26からのデータに対して、変調を実行する。さらに、変復調部24は、変調した結果をベースバンドのパケット信号としてRF部22に出力する。ここで、通信システム100は、OFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)変調方式に対応するので、変復調部24は、受信処理としてFFT(Fast Fourier Transform)も実行し、送信処理としてIFFT(Inverse Fast Fourier Transform)も実行する。
【0025】
フレーム規定部32は、図示しないGPS衛星からの信号を受信し、受信した信号をもとに時刻の情報を取得する。なお、時刻の情報の取得には公知の技術が使用されればよいので、ここでは説明を省略する。フレーム規定部32は、時刻の情報をもとに、複数のフレームを生成する。例えば、フレーム規定部32は、時刻の情報にて示されたタイミングを基準にして、「1sec」の期間を10分割することによって、「100msec」のフレームを10個生成する。このような処理を繰り返すことによって、フレームが繰り返されるように規定される。
【0026】
なお、フレーム規定部32は、復調結果から制御情報を検出し、検出した制御情報をもとにフレームを生成してもよい。このような処理は、他の基地局装置10によって形成されたフレームのタイミングに同期したフレームを生成することに相当する。図3(a)−(d)は、通信システム100において規定されるフレームのフォーマットを示す。図3(a)は、フレームの構成を示す。フレームは、第1サブフレームから第Nサブフレームと示されるN個のサブフレームによって形成されている。例えば、フレームの長さが100msecであり、Nが8である場合、12.5msecの長さのサブフレームが規定される。図3(b)−(d)の説明は、後述し、図2に戻る。
【0027】
選択部34は、フレームに含まれた複数のサブフレームのうち、路車送信期間を設定すべきサブフレームを選択する。具体的に説明すると、選択部34は、フレーム規定部32にて規定されたフレームを受けつける。選択部34は、RF部22、変復調部24を介して、図示しない他の基地局装置10あるいは端末装置からの復調結果を入力する。選択部34は、入力した復調結果のうち、他の基地局装置10からの復調結果を抽出する。選択部34は、復調結果を受けつけたサブフレームを特定することによって、復調結果を受けつけていないサブフレームを特定する。これは、他の基地局装置10によって路車送信期間が設定されていないサブフレーム、つまり未使用のサブフレームを特定することに相当する。未使用のサブフレームが複数存在する場合、選択部34は、ランダムにひとつのサブフレームを選択する。未使用のサブフレームが存在しない場合、つまり複数のサブフレームのそれぞれが使用されている場合に、選択部34は、復調結果に対応した受信電力を取得し、受信電力の小さいサブフレームを優先的に選択する。
【0028】
図3(b)は、第1基地局装置10aによって生成されるフレームの構成を示す。第1基地局装置10aは、第1サブフレームの先頭部分に路車送信期間を設定する。また、第1基地局装置10aは、第1サブフレームにおいて路車送信期間につづいて車車送信期間を設定する。車車送信期間とは、車載用端末装置がパケット信号を報知可能な期間である。つまり、第1サブフレームの先頭期間である路車送信期間において第1基地局装置10aはパケット信号を報知可能であり、かつフレームのうち、路車送信期間以外の車車送信期間において車載用端末装置がパケット信号を報知可能であるような規定がなされる。さらに、第1基地局装置10aは、第2サブフレームから第Nサブフレームに車車送信期間のみを設定する。
【0029】
図3(c)は、第2基地局装置10bによって生成されるフレームの構成を示す。第2基地局装置10bは、第2サブフレームの先頭部分に路車送信期間を設定する。また、第2基地局装置10bは、第2サブフレームにおける路車送信期間の後段、第1サブフレーム、第3サブフレームから第Nサブフレームに車車送信期間を設定する。図3(d)は、第3基地局装置10cによって生成されるフレームの構成を示す。第3基地局装置10cは、第3サブフレームの先頭部分に路車送信期間を設定する。また、第3基地局装置10cは、第3サブフレームにおける路車送信期間の後段、第1サブフレーム、第2サブフレーム、第4サブフレームから第Nサブフレームに車車送信期間を設定する。このように、複数の基地局装置10は、互いに異なったサブフレームを選択し、選択したサブフレームの先頭部分に路車送信期間を設定する。図2に戻る。選択部34は、選択したサブフレームの番号を生成部36へ出力する。
【0030】
生成部36は、選択部34から受けつけたサブフレーム番号のサブフレームに路車送信期間を設定し、路車送信期間において報知すべきRSUパケット信号を生成する。なお、以下の説明において、RSUパケット信号とパケット信号とは区別せずに使用される。図4(a)−(b)は、サブフレームの構成を示す。図4(a)は、路車送信期間が設定されたサブフレームを示す。図示のごとく、ひとつのサブフレームは、路車送信期間、車車送信期間の順に構成される。図4(b)は、路車送信期間におけるパケット信号の配置を示す。図示のごとく、路車送信期間において、複数のRSUパケット信号が並べられている。ここで、前後のパケット信号は、SIFS(Short Interframe Space)だけ離れている。
【0031】
ここでは、RSUパケット信号の構成を説明する。図5(a)−(b)は、通信システム100において規定されるパケット信号に格納されるMACフレームのフォーマットを示す。図5(a)は、MACフレームのフォーマットを示す。MACフレームは、先頭から順に、「MACヘッダ」、「LLCヘッダ」、「メッセージヘッダ」、「データペイロード」、「FCS」を配置する。データペイロードに含まれる情報については、後述する。図5(b)は、生成部36によって生成されるメッセージヘッダの構成を示す図である。メッセージヘッダには、基本部分が含まれている。
【0032】
基本部分は、「プロトコルバージョン」、「送信ノード種別」、「再利用回数」、「TSFタイマ」、「RSU送信期間長」を含む。プロトコルバージョンは、対応しているプロトコルのバージョンを示す。送信ノード種別は、MACフレームが含まれたパケット信号の送信元を示す。例えば、「0」は端末装置を示し、「1」は基地局装置10を示す。なお、車載用端末装置と携帯用端末装置とを区別する場合、送信ノード種別が2ビットで示される。選択部34が、入力した復調結果のうち、他の基地局装置10からの復調結果を抽出する場合に、選択部34は、送信ノード種別の値を利用する。再利用回数は、メッセージヘッダが端末装置によって転送される場合の有効性の指標を示し、TSFタイマは、送信時刻を示す。RSU送信期間長は、路車送信期間の長さを示しており、路車送信期間に関する情報といえる。図2に戻る。
【0033】
ネットワーク通信部28は、図示しないネットワーク202に接続される。ネットワーク通信部28は、ネットワーク202から、渋滞情報を受けつける。生成部36は、ネットワーク通信部28から、渋滞情報を取得し、データペイロードに格納することによって、前述のRSUパケット信号を生成する。制御部30は、基地局装置10全体の処理を制御する。
【0034】
この構成は、ハードウエア的には、任意のコンピュータのCPU、メモリ、その他のLSIで実現でき、ソフトウエア的にはメモリにロードされたプログラムなどによって実現されるが、ここではそれらの連携によって実現される機能ブロックを描いている。したがって、これらの機能ブロックがハードウエアのみ、ソフトウエアのみ、またはそれらの組合せによっていろいろな形で実現できることは、当業者には理解されるところである。
【0035】
図6は、車両12に搭載された車載用端末装置14の構成を示す。車載用端末装置14は、アンテナ40、RF部42、変復調部44、処理部46、制御部48を含む。処理部46は、タイミング特定部50、転送決定部56、取得部58、通知部60、生成部62を含み、タイミング特定部50は、抽出部52、キャリアセンス部54を含む。アンテナ40、RF部42、変復調部44は、図2のアンテナ20、RF部22、変復調部24と同様の処理を実行する。そのため、ここでは、差異を中心に説明する。
【0036】
変復調部44、処理部46は、図示しない他の端末装置や基地局装置10からのパケット信号を受信する。なお、前述のごとく、変復調部44、処理部46は、路車送信期間において、基地局装置10からのパケット信号を受信する。前述のごとく、変復調部44、処理部46は、車車送信期間において、他の車載用端末装置14からのパケット信号を受信する。さらに、詳細は後述するが、変復調部44、処理部46は、路車送信期間と車車送信期間に関係なく、図示しない携帯用端末装置からのパケット信号を受信する。
【0037】
抽出部52は、変復調部44からの復調結果が、図示しない基地局装置10からのパケット信号である場合に、路車送信期間が配置されたサブフレームのタイミングを特定する。その際、抽出部52は、図1のエリア212内に存在すると推定する。抽出部52は、サブフレームのタイミングと、パケット信号のメッセージヘッダの内容、具体的には、RSU送信期間長の内容をもとに、フレームを生成する。なお、フレームの生成は、前述のフレーム規定部32と同様になされればよいので、ここでは説明を省略する。その結果、抽出部52は、基地局装置10において形成されたフレームに同期したフレームを生成する。
【0038】
一方、抽出部52は、RSUパケット信号を受信していない場合、図1のエリア外214に存在すると推定する。抽出部52は、エリア212に存在していることを推定した場合、車車送信期間を選択する。抽出部52は、エリア外214に存在していることを推定すると、フレームの構成と無関係のタイミングを選択する。抽出部52は、車車送信期間を選択した場合、フレームおよびサブフレームのタイミング、車車送信期間に関する情報をキャリアセンス部54へ出力する。抽出部52は、フレームの構成と無関係のタイミングを選択すると、キャリアセンスの実行をキャリアセンス部54に指示する。
【0039】
キャリアセンス部54は、抽出部52から、フレームおよびサブフレームのタイミング、車車送信期間に関する情報を受けつける。キャリアセンス部54は、車車送信期間において、キャリアセンスを実行することによって、干渉電力を測定する。また、キャリアセンス部54は、干渉電力をもとに、車車送信期間における送信タイミングを決定する。具体的に説明すると、キャリアセンス部54は、所定のしきい値を予め記憶しており、干渉電力としきい値とを比較する。干渉電力がしきい値よりも小さければ、キャリアセンス部54は、送信タイミングを決定する。キャリアセンス部54は、抽出部52から、キャリアセンスの実行を指示された場合、フレームの構成を考慮せずに、CSMAを実行することによって、送信タイミングを決定する。キャリアセンス部54は、決定した送信タイミングを生成部62へ通知する。
【0040】
取得部58は、図示しないGPS受信機、ジャイロセンサ、車速センサ等を含んでおり、それらから供給されるデータによって、車載用端末装置14の存在位置、進行方向、移動速度等(以下、「位置情報」と総称する)を取得する。なお、存在位置は、緯度・経度によって示される。これらの取得には公知の技術が使用されればよいので、ここでは説明を省略する。取得部58は、位置情報を生成部62へ出力する。
【0041】
転送決定部56は、メッセージヘッダの転送を制御する。転送決定部56は、パケット信号からメッセージヘッダを抽出する。パケット信号が基地局装置10から直接送信されている場合には、再利用回数が「0」に設定されているが、パケット信号が他の車載用端末装置14から送信されている場合には、再利用回数が「1以上」の値に設定されている。転送決定部56は、抽出したメッセージヘッダから、転送すべきメッセージヘッダを選択する。ここでは、例えば、再利用回数が最も小さいメッセージヘッダが選択される。また、転送決定部56は、複数のメッセージヘッダに含まれた内容を合成することによって新たなメッセージヘッダを生成してもよい。転送決定部56は、選択対象のメッセージヘッダを生成部62へ出力する。その際、転送決定部56は、再利用回数を「1」増加させる。
【0042】
生成部62は、取得部58から位置情報を受けつけ、転送決定部56からメッセージヘッダを受けつける。生成部62は、図5(a)−(b)に示されたMACフレームを使用し、位置情報をデータペイロードに格納する。生成部62は、MACフレームが含まれたパケット信号を生成するとともに、キャリアセンス部54において決定した送信タイミングにて、変復調部44、RF部42、アンテナ40を介して、生成したパケット信号をブロードキャスト送信する。これは、車車間通信に相当する。なお、送信タイミングは、車車送信期間に含まれている。
【0043】
通知部60は、抽出部52を介して、図示しない基地局装置10からのパケット信号を取得するとともに、図示しない他の車載用端末装置14からのパケット信号を取得する。通知部60は、取得したパケット信号に対する処理として、パケット信号に格納されたデータの内容に応じて、図示しない他の車両12や歩行者16の接近等を運転者へモニタやスピーカを介して通知する。さらに、通知部60は、渋滞情報等も運転者へモニタやスピーカを介して通知する。
【0044】
図7は、歩行者16に携帯された携帯用端末装置18の構成を示す。携帯用端末装置18は、アンテナ70、RF部72、変復調部74、処理部76、制御部78を含む。また、処理部76は、取得部80、生成部82、タイミング特定部84を含み、タイミング特定部84は、抽出部86、設定部88、キャリアセンス部90を含む。取得部80は、図6の取得部58と同様に、位置情報を取得する。これは、本携帯用端末装置18の存在位置であり、歩行者16の存在位置であるといえる。取得部80は、位置情報を設定部88および生成部82に出力する。
【0045】
変復調部74、処理部76は、図6の変復調部44、処理部46と同様に、図示しない他の端末装置や基地局装置10からのパケット信号を受信する。特に、変復調部74、処理部76は、路車送信期間において基地局装置10からのパケット信号であって、かつフレーム構成に関する情報が含まれたパケット信号を受信する。また、変復調部74、処理部76は、車車送信期間において車載用端末装置14からのパケット信号であって、かつ当該車載用端末装置14の位置情報に関する情報が格納されたパケット信号を受信する。
【0046】
抽出部86は、抽出部52と同様に、変復調部74からの復調結果が、図示しない基地局装置10からのパケット信号である場合に、路車送信期間が配置されたサブフレームのタイミングを特定する。また、抽出部86は、車車送信期間を特定し、フレームおよびサブフレームのタイミング、車車送信期間に関する情報を設定部88へ出力する。一方、抽出部86は、フレームの構成と無関係のタイミングを選択すると、フレームが規定されていないことを設定部88に指示する。さらに、抽出部86は、車載用端末装置14から受信したパケット信号から、位置情報を抽出する。抽出部86は、位置情報を設定部88に出力する。
【0047】
設定部88は、抽出部86から、フレームおよびサブフレームのタイミング、車車送信期間に関する情報を受けつけると、車車送信期間にて、キャリアセンスのための待ち時間を設定する。ここでは、待ち時間の設定として、優先送信と通常送信とが規定される。これらのいずれかを選択するために、設定部88は、取得部58において測定した存在位置と、抽出部52から受けつけた受信部において受信したパケット信号に格納された存在位置との間の距離を計算する。設定部88は、距離がしきい値よりも小さい場合に、優先送信を選択し、距離がしきい値以上である場合に、通常送信を選択する。これは、取得部58において測位した存在位置が予め定めた条件を満たす場合に、優先送信を選択することに相当する。
【0048】
ここでは、キャリアセンスによるCSMA動作の概要を説明する。図8は、携帯用端末装置18の動作を示す。横軸が時間を示す。ビジーは、他の装置からの信号を受信している状態を示す。ビジー状態が終了した後、DIFS(DCF IFS)の間にわたって待機がなされる。さらに、DIFS終了後、コンテンションウインドウの間にわたっても待機がされる。この間に、信号を受信しなかった場合に、パケット信号が送信される。ここで、コンテンションウインドウは、複数のスロットによって構成される。ひとつのスロットのサイズは、13μsecである。また、スロットの数は、車載用端末装置14でのキャリアセンス、通常送信でのキャリアセンスを実行する場合に、0〜Nの乱数によって定められる。このように、通常送信では、車載用端末装置14と同様にコンテンションウインドウが設定される。
【0049】
携帯用端末装置18から報知されるパケット信号の長さは、車載用端末装置14から報知されるパケット信号の長さよりも短い。そのため、コンテンションウインドウの期間が両者の間で同一であれば、前者は後者よりも、パケット信号長に対する待ち時間が長くなる。これに対応するため、キャリアセンス部90がキャリアセンスのために設定可能な乱数の範囲は、車載用端末装置14がキャリアセンスのために設定可能な乱数の範囲よりも狭くなるように設定される。例えば、優先送信でのキャリアセンスのために設定可能な乱数の範囲は、0〜N/2によって定められる。これは、車載用端末装置14が設定可能な待ち時間の範囲が携帯用端末装置18が設定可能な待ち時間の範囲よりも短いことに相当する。また、設定部88が設定可能な待ち時間の最大値は、車載用端末装置14がキャリアセンスのために設定可能な待ち時間の最大値よりも小さくなっている。ここで、優先送信のときだけコンテンションウインドウの最大値を小さくすることによって、車載用端末装置14への影響が低減される。図7に戻る。
【0050】
なお、フレームが規定されていないことを設定部88から指示された場合、設定部88は、フレームの構成と無関係にコンテンションウインドウを同様に設定する。キャリアセンス部90は、設定部88において設定した待ち時間にわたって、キャリアセンスを実行する。変復調部74、RF部72は、キャリアセンス部90におけるキャリアセンスの結果をもとに、パケット信号を報知する。
【0051】
以上の構成による通信システム100の動作を説明する。図9は、携帯用端末装置18における送信手順を示すフローチャートである。変復調部74、処理部76は、パケット信号を受信する(S10)。抽出部86は、車両12の位置情報を抽出する(S12)。取得部80は、歩行者16の存在位置を取得する(S14)。設定部88は、車両12と歩行者16との間の距離を計算する(S16)。距離がしきい値よりも小さければ(S18のY)、設定部88は、優先送信を選択する(S20)。一方、距離がしきい値よりも小さくなければ(S18のN)、設定部88は、通常送信を選択する(S22)。
【0052】
次に、本発明の変形例を説明する。本発明の変形例は、実施例と同様に、歩行者に携帯された携帯用端末装置に関する。実施例では、車両と歩行者との間の距離をもとに、優先送信の実行を決定する。一方、変形例では、歩行者が存在している区域をもとに、優先送信の実行を決定する。例えば、車道や路側帯を歩行者が歩行している場合に、優先送信の実行が決定される。変形例に係る通信システム100、基地局装置10、車載用端末装置14は、図1、図2、図6と同様のタイプである。ここでは、差異を中心に説明する。
【0053】
図10は、本発明の変形例に係る携帯用端末装置18の構成を示す。携帯用端末装置18は、図7に示された携帯用端末装置18に、記憶部92が追加されている。記憶部92は、予め定められた区域の位置情報を記憶する。前述のごとく、予め定められた区域とは、車道や路側帯であり、車両12との衝突の危険性が高い区域である。このような位置情報も、緯度と経度にて示される。設定部88は、取得部58において測定した存在位置が、記憶部92に記憶された区域に含まれる場合に、優先送信を選択する。一方、設定部88は、取得部58において測定した存在位置が、記憶部92に記憶された区域に含まれない場合に、通常送信を選択する。
【0054】
以上の構成による通信システム100の動作を説明する。図11は、携帯用端末装置18における送信手順を示すフローチャートである。取得部80は、歩行者16の存在位置を取得する(S40)。予め定められた区域内であれば(S42のY)、設定部88は、優先送信を選択する(S44)。一方、予め定められた区域内でなければ(S42のN)、設定部88は、通常送信を選択する(S46)。
【0055】
本発明の実施例によれば、基地局装置から通知されるフレーム情報によって特定される車車送信期間においてキャリアセンスを実行するので、携帯用端末装置からパケット信号が報知される場合においても、車載用端末装置から報知されるパケット信号に与える影響を低減できる。また、所定の条件を満たしているときに、車載用端末装置の待ち時間の範囲よりも、待ち時間の範囲を狭くするので、少ない待ち時間でパケット信号を優先的に送信できる。また、少ない待ち時間でパケット信号を送信しやすくなるので、直ちに存在位置を通知できる。また、所定の条件を満たしているときだけ優先送信を実行するので、車載用端末装置の送信機会の低減を抑制できる。また、所定の条件を満たしているときだけ優先送信を実行するので、車載用端末装置から報知されるパケット信号に与える影響を低減しながらパケット信号を優先的に報知するタイミングを特定できる。
【0056】
また、携帯用端末装置から報知されるパケット信号の送信電力が、基地局装置や車載用端末装置から報知されるパケット信号の送信電力よりも小さく設定されるので、後者に与える影響を低減できる。また、送信電力が小さく設定されるので、消費電力を低減できる。また、消費電力が低減されるので、駆動時間を長くできる。また、車両に接近したときに優先送信を実行するので、衝突の危険性が高いときに存在位置を通知できる。また、危険性の高い区域に進入したときに優先送信を実行するので、衝突の危険性が高いときに存在位置を通知できる。
【0057】
以上、本発明を実施例をもとに説明した。この実施例は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【0058】
本発明の実施例において、優先送信の際、携帯用端末装置18が設定可能な待ち時間の最大値は、車載用端末装置14がキャリアセンスのために設定可能な待ち時間の最大値よりも小さく設定されている。しかしながらこれに限らず例えば、設定部88が設定可能な待ち時間の範囲は、車載用端末装置14がキャリアセンスのために設定可能な待ち時間の範囲とずれていてもよい。一例では、設定部88でのコンテンションウインドウが、「0」から「15」と規定され、車載用端末装置14でのコンテンションウインドウが、「16」から「63」と規定される。本変形例によれば、待ち時間をずらすので、パケット信号の衝突確率を低減できる。
【0059】
本発明の実施例において、優先送信の際、携帯用端末装置18が設定可能な待ち時間の最大値は、車載用端末装置14がキャリアセンスのために設定可能な待ち時間の最大値よりも小さく設定されている。しかしながらこれに限らず例えば、設定部88が設定可能な待ち時間は固定値であり、車載用端末装置14がキャリアセンスのために設定可能な待ち時間は可変値であってもよい。一例では、設定部88は、SIFS等を設定する。本変形例によれば、携帯用端末装置18からのパケット信号を優先的に報知できる。
【0060】
本発明の実施例において、設定部88は、取得部80において取得した存在位置をもとに、優先送信あるいは通常送信の実行を選択する。しかしながらこれに限らず例えば、携帯用端末装置18には、ボタンが備えられており、歩行者によってボタンが押下げられたことを設定部88が検出すると、設定部88は、優先送信を選択してもよい。さらに、ボタンが押下げられてから所定の期間が経過すると、設定部88は、通常送信を選択してもよい。本変形例によれば、歩行者の意志に応じて優先送信を実行できる。
【符号の説明】
【0061】
10 基地局装置、 12 車両、 14 車載用端末装置、 16 歩行者、 18 携帯用端末装置、 20 アンテナ、 22 RF部、 24 変復調部、 26 処理部、 28 ネットワーク通信部、 30 制御部、 32 フレーム規定部、 34 選択部、 36 生成部、 40 アンテナ、 42 RF部、 44 変復調部、 46 処理部、 48 制御部、 50 タイミング特定部、 52 抽出部、 54 キャリアセンス部、 56 転送決定部、 58 取得部、 60 通知部、 62 生成部、 70 アンテナ、 72 RF部、 74 変復調部、 76 処理部、 78 制御部、 80 取得部、 82 生成部、 84 タイミング特定部、 86 抽出部、 88 設定部、 90 キャリアセンス部、 100 通信システム。
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信技術に関し、特に所定の情報が含まれた信号を報知する端末装置に関する。
【背景技術】
【0002】
交差点の出会い頭の衝突事故を防止するために、路車間通信の検討がなされている。路車間通信では、路側機と車載器との間において交差点の状況に関する情報が通信される。路車間通信では、路側機の設置が必要になり、手間と費用が大きくなる。これに対して、車車間通信、つまり車載器間で情報を通信する形態であれば、路側機の設置が不要になる。その場合、例えば、GPS(Global Positioning System)等によって現在の位置情報をリアルタイムに検出し、その位置情報を車載器同士で交換しあうことによって、自車両および他車両がそれぞれ交差点へ進入するどの道路に位置するかを判断する(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−202913号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
IEEE802.11等の規格に準拠した無線LAN(Local Area Network)では、CSMA/CA(Carrier Sense Multiple Access with Collision Avoidance)と呼ばれるアクセス制御機能が使用されている。そのため、当該無線LANでは、複数の端末装置によって同一の無線チャネルが共有される。このようなCSMA/CAでは、キャリアセンスによって他のパケット信号が送信されていないことを確認した後に、パケット信号が送信される。ITS(Intelligent Transport Systems)のような車車間通信に無線LANを適用する場合、不特定多数の車両のそれぞれに搭載された端末装置へ情報を送信する必要があるために、信号はブロードキャストにて送信されることが望ましい。その結果、端末装置は、ブロードキャストされた信号を受信することによって、他の車両の接近を検出し、それを運転者に通知することによって、車両間の衝突事故を防止するための注意を運転者に喚起させる。
【0005】
車両間の衝突事故を防止するとともに、歩行者等と車両との衝突事故を防止することも望まれる。これに対応するために、端末装置は、車載される他に歩行者にも携帯される。歩行者が車両に追突されることを防止するために、歩行者に携帯される端末装置は、車載の端末装置に対して、存在している位置を通知する。一方、歩行者に携帯される端末装置は、バッテリで駆動するので、車載の端末装置と比較して処理量の低減が必要とされる。例えば、他の車両の接近は歩行者に対して通知されない。このような歩行者に携帯される端末装置がパケット信号をブロードキャスト送信する場合であっても、車載の端末装置からブロードキャスト送信されるパケット信号に与える影響は小さい方が望ましい。また、歩行者が自らの存在位置を知らしめるという目的を鑑みて、歩行者に携帯される端末装置は、車載の端末装置よりも優先的にパケット信号を報知できる方が望ましい。しかしながら、絶えず優先的に報知していれば、車載の端末装置に与える影響が大きくなりうる。
【0006】
本発明はこうした状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、他の端末装置から報知されるパケット信号に与える影響を低減しながらパケット信号を優先的に報知するタイミングを特定する技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明のある態様の端末装置は、対象物の存在位置を測位する測位部と、測位部において測位した存在位置が予め定めた条件を満たす場合に、待ち時間を設定する設定部と、設定部において設定した待ち時間にわたって、キャリアセンスを実行するキャリアセンス部と、キャリアセンス部におけるキャリアセンスの結果をもとに、パケット信号を報知する報知部とを備える。設定部が設定可能な待ち時間の範囲は、キャリアセンスによってパケット信号を報知可能な他種の端末装置が設定可能な待ち時間の範囲よりも狭い。
【0008】
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本発明の表現を方法、装置、システム、記録媒体、コンピュータプログラムなどの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、他の端末装置から報知されるパケット信号に与える影響を低減しながらパケット信号を優先的に報知するタイミングを特定できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施例に係る通信システムの構成を示す図である。
【図2】図1の基地局装置の構成を示す図である。
【図3】図3(a)−(d)は、図1の通信システムにおいて規定されるフレームのフォーマットを示す図である。
【図4】図4(a)−(b)は、図3(a)−(d)のサブフレームの構成を示す図である。
【図5】図5(a)−(b)は、図1の通信システムにおいて規定されるパケット信号に格納されるMACフレームのフォーマットを示す図である。
【図6】図1の車両に搭載された車載用端末装置の構成を示す図である。
【図7】図1の歩行者に携帯された携帯用端末装置の構成を示す図である。
【図8】図7の携帯用端末装置の動作を示す図である。
【図9】図7の携帯用端末装置における送信手順を示すフローチャートである。
【図10】本発明の変形例に係る携帯用端末装置の構成を示す図である。
【図11】図10の携帯用端末装置における送信手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明を具体的に説明する前に、概要を述べる。本発明の実施例は、車両に搭載された端末装置(以下、「車載用端末装置」ともいう)間において車車間通信を実行するとともに、交差点等に設置された基地局装置から車載用端末装置へ路車間通信も実行する通信システムに関する。車車間通信として、車載用端末装置は、車両の速度や位置等の情報(以下、これらを「データ」という)を格納したパケット信号をブロードキャスト送信する。また、他の車載用端末装置は、パケット信号を受信するとともに、データをもとに車両の接近等を認識する。車両の接近を運転者に通知することによって、運転者に注意を促す。車車間通信と路車間通信との干渉を低減するために、基地局装置は、複数のサブフレームが含まれたフレームを繰り返し規定する。基地局装置は、路車間通信のために、複数のサブフレームのいずれかを選択し、選択したサブフレームの先頭部分の期間において、制御情報等が格納されたパケット信号をブロードキャスト送信する。制御情報には、当該基地局装置がパケット信号をブローキャスト送信するための期間(以下、「路車送信期間」という)に関する情報が含まれている。
【0012】
車載用端末装置は、制御情報をもとに路車送信期間を特定し、路車送信期間以外の期間においてパケット信号を送信する。このように、路車間通信と車車間通信とが時間分割多重されるので、両者間のパケット信号の衝突確率が低減される。なお、車車間通信は、路車送信期間以外の車車間通信を実行するための期間(以下、「車車送信期間」という)においてCSMA方式にてなされる。このような端末装置は、歩行者にも携帯される(以下、歩行者に携帯される端末装置を「携帯用端末装置」という)。携帯用端末装置は、バッテリ駆動であり、低消費電力化を必要とされる。そのため、携帯用端末装置は、データを格納したパケット信号をブロードキャスト送信するだけであり、車両の接近を歩行者に通知しない。
【0013】
このような携帯用端末装置がパケット信号をブロードキャスト送信する場合であっても、車載用端末装置からブロードキャスト送信されるパケット信号に対する影響を低減することが必要とされる。また、携帯用端末装置がパケット信号をブロードキャスト送信する目的は、歩行者の存在位置を運転者に知らしめるためである。そのため、携帯用端末装置にとって、車載用端末装置よりも必要に応じて優先的に送信できることが望まれる。これに対応するために、本実施例に係る通信システムは、次の処理を実行する。なお、以下では、携帯用端末装置であっても、車車間通信、路車間通信というものとする。また、車載用端末装置と携帯用端末装置とを区別せずに「端末装置」ということもあり、車載用端末装置と携帯用端末装置とを総称して「端末装置」ということもある。
【0014】
携帯用端末装置も、車載用端末装置と同様に、車車送信期間においてCSMA方式を実行する。ここで、携帯用端末装置には、車載用端末装置よりも低消費電力化が望まれるので、携帯用端末装置からブロードキャスト送信される情報量は、車載用端末装置からブロードキャスト送信される情報量よりも少なくされる。その結果、前者のパケット信号長は、後者のパケット信号長よりも短くされる。CSMA方式では、コンテンションウインドウの長さが可変であり、その期間においてキャリアセンスが実行される。パケット信号長が短いにもかかわらず、コンテンションウインドウの最大値が同じであれば、パケット信号長に対する待ち時間が長くなってしまう。これに対応するために、携帯用端末装置でのコンテンションウインドウの最大値は、車載用端末装置でのコンテンションウインドウの最大値よりも短くなるように規定される。なお、このような送信を絶えず実行していれば、車載用端末装置の送信機会が減少する。そのため、携帯用端末装置は、歩行者と車両との間の距離を測定し、距離がしきい値よりも小さくなれば、上記のような送信を実行する。
【0015】
図1は、本発明の実施例に係る通信システム100の構成を示す。これは、ひとつの交差点を上方から見た場合に相当する。通信システム100は、基地局装置10、車両12と総称される第1車両12a、第2車両12b、第3車両12c、第4車両12d、第5車両12e、第6車両12f、第7車両12g、第8車両12h、歩行者16と総称される第1歩行者16a、第2歩行者16bを含む。なお、各車両12には、図示しない車載用端末装置が設置され、各歩行者16は、図示しない携帯用端末装置を携帯する。また、エリア212は、基地局装置10の周囲に形成され、エリア外214は、エリア212の外側に形成されている。
【0016】
図示のごとく、図面の水平方向、つまり左右の方向に向かう道路と、図面の垂直方向、つまり上下の方向に向かう道路とが中心部分で交差している。ここで、図面の上側が方角の「北」に相当し、左側が方角の「西」に相当し、下側が方角の「南」に相当し、右側が方角の「東」に相当する。また、ふたつの道路の交差部分が「交差点」である。第1車両12a、第2車両12bが、左から右へ向かって進んでおり、第3車両12c、第4車両12dが、右から左へ向かって進んでいる。また、第5車両12e、第6車両12fが、上から下へ向かって進んでおり、第7車両12g、第8車両12hが、下から上へ向かって進んでいる。
【0017】
基地局装置10は、端末装置間の通信を制御する。基地局装置10は、図示しないGPS衛星から受信した信号や、図示しない他の基地局装置10にて形成されたフレームをもとに、複数のサブフレームが含まれたフレームを繰り返し生成する。ここで、各サブフレームの先頭部分に路車送信期間が設定可能であるような規定がなされている。基地局装置10は、複数のサブフレームのうち、他の基地局装置10によって路車送信期間が設定されていないサブフレームを選択する。基地局装置10は、選択したサブフレームの先頭部分に路車送信期間を設定する。基地局装置10は、設定した路車送信期間においてパケット信号を報知する。
【0018】
車両12は、エンジンにて駆動され、車載用端末装置を搭載する。車載用端末装置は、受信したパケット信号に含まれた制御情報をもとに、フレームを生成する。その結果、複数の車載用端末装置のそれぞれにおいて生成されるフレームは、基地局装置10において生成されるフレームに同期する。また、車載用端末装置は、車車送信期間において、CSMA/CAを実行することによって、パケット信号を報知する。車載用端末装置は、例えば、存在位置に関する情報をパケット信号に格納する。また、車載用端末装置は、制御情報もパケット信号に格納する。つまり、基地局装置10から送信された制御情報は、車載用端末装置によって転送される。
【0019】
一方、基地局装置10からのパケット信号を受信できない車載用端末装置、つまりエリア外214に存在する車載用端末装置は、フレームの構成に関係なく、CSMA/CAを実行することによって、パケット信号を報知する。さらに、車載用端末装置は、他の車載用端末装置からのパケット信号を受信することによって、他の車載用端末装置が搭載された車両の接近を運転者へ通知する。
【0020】
歩行者16は、携帯用端末装置を携帯する。携帯用端末装置は、車載用端末装置と同様の処理を実行する。しかしながら、携帯用端末装置は、処理を簡易にするために、車両等の接近を通知しない。ここで、携帯用端末装置は、自らの存在位置を取得するとともに、車載用端末装置からのパケット信号を受信すると、車両の存在位置も取得する。自らの存在位置と車両の存在位置との距離がしきい値より小さければ、携帯用端末装置は、CSMA/CAを実行する際の平均待ち時間が車載用端末装置での平均待ち時間よりも短くなるように、コンテンションウインドウを設定する。一方、距離がしきい値以上であれば、携帯用端末装置は、車載用端末装置と同様にコンテンションウインドウを設定する。なお、携帯用端末装置における送信電力は、他の装置の送信電力よりも小さくなるように設定される。
【0021】
図2は、基地局装置10の構成を示す。基地局装置10は、アンテナ20、RF部22、変復調部24、処理部26、ネットワーク通信部28、制御部30を含む。処理部26は、フレーム規定部32、選択部34、生成部36を含む。
【0022】
RF部22は、受信処理として、図示しない端末装置や他の基地局装置10からのパケット信号をアンテナ20にて受信する。RF部22は、受信した無線周波数のパケット信号に対して周波数変換を実行し、ベースバンドのパケット信号を生成する。さらに、RF部22は、ベースバンドのパケット信号を変復調部24に出力する。一般的に、ベースバンドのパケット信号は、同相成分と直交成分によって形成されるので、ふたつの信号線が示されるべきであるが、ここでは、図を明瞭にするためにひとつの信号線だけを示すものとする。RF部22には、LNA(Low Noise Amplifier)、ミキサ、AGC、A/D変換部も含まれる。
【0023】
RF部22は、送信処理として、変復調部24から入力したベースバンドのパケット信号に対して周波数変換を実行し、無線周波数のパケット信号を生成する。さらに、RF部22は、路車送信期間において、無線周波数のパケット信号をアンテナ20から送信する。また、RF部22には、PA(Power Amplifier)、ミキサ、D/A変換部も含まれる。
【0024】
変復調部24は、受信処理として、RF部22からのベースバンドのパケット信号に対して、復調を実行する。さらに、変復調部24は、復調した結果を処理部26に出力する。また、変復調部24は、送信処理として、処理部26からのデータに対して、変調を実行する。さらに、変復調部24は、変調した結果をベースバンドのパケット信号としてRF部22に出力する。ここで、通信システム100は、OFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)変調方式に対応するので、変復調部24は、受信処理としてFFT(Fast Fourier Transform)も実行し、送信処理としてIFFT(Inverse Fast Fourier Transform)も実行する。
【0025】
フレーム規定部32は、図示しないGPS衛星からの信号を受信し、受信した信号をもとに時刻の情報を取得する。なお、時刻の情報の取得には公知の技術が使用されればよいので、ここでは説明を省略する。フレーム規定部32は、時刻の情報をもとに、複数のフレームを生成する。例えば、フレーム規定部32は、時刻の情報にて示されたタイミングを基準にして、「1sec」の期間を10分割することによって、「100msec」のフレームを10個生成する。このような処理を繰り返すことによって、フレームが繰り返されるように規定される。
【0026】
なお、フレーム規定部32は、復調結果から制御情報を検出し、検出した制御情報をもとにフレームを生成してもよい。このような処理は、他の基地局装置10によって形成されたフレームのタイミングに同期したフレームを生成することに相当する。図3(a)−(d)は、通信システム100において規定されるフレームのフォーマットを示す。図3(a)は、フレームの構成を示す。フレームは、第1サブフレームから第Nサブフレームと示されるN個のサブフレームによって形成されている。例えば、フレームの長さが100msecであり、Nが8である場合、12.5msecの長さのサブフレームが規定される。図3(b)−(d)の説明は、後述し、図2に戻る。
【0027】
選択部34は、フレームに含まれた複数のサブフレームのうち、路車送信期間を設定すべきサブフレームを選択する。具体的に説明すると、選択部34は、フレーム規定部32にて規定されたフレームを受けつける。選択部34は、RF部22、変復調部24を介して、図示しない他の基地局装置10あるいは端末装置からの復調結果を入力する。選択部34は、入力した復調結果のうち、他の基地局装置10からの復調結果を抽出する。選択部34は、復調結果を受けつけたサブフレームを特定することによって、復調結果を受けつけていないサブフレームを特定する。これは、他の基地局装置10によって路車送信期間が設定されていないサブフレーム、つまり未使用のサブフレームを特定することに相当する。未使用のサブフレームが複数存在する場合、選択部34は、ランダムにひとつのサブフレームを選択する。未使用のサブフレームが存在しない場合、つまり複数のサブフレームのそれぞれが使用されている場合に、選択部34は、復調結果に対応した受信電力を取得し、受信電力の小さいサブフレームを優先的に選択する。
【0028】
図3(b)は、第1基地局装置10aによって生成されるフレームの構成を示す。第1基地局装置10aは、第1サブフレームの先頭部分に路車送信期間を設定する。また、第1基地局装置10aは、第1サブフレームにおいて路車送信期間につづいて車車送信期間を設定する。車車送信期間とは、車載用端末装置がパケット信号を報知可能な期間である。つまり、第1サブフレームの先頭期間である路車送信期間において第1基地局装置10aはパケット信号を報知可能であり、かつフレームのうち、路車送信期間以外の車車送信期間において車載用端末装置がパケット信号を報知可能であるような規定がなされる。さらに、第1基地局装置10aは、第2サブフレームから第Nサブフレームに車車送信期間のみを設定する。
【0029】
図3(c)は、第2基地局装置10bによって生成されるフレームの構成を示す。第2基地局装置10bは、第2サブフレームの先頭部分に路車送信期間を設定する。また、第2基地局装置10bは、第2サブフレームにおける路車送信期間の後段、第1サブフレーム、第3サブフレームから第Nサブフレームに車車送信期間を設定する。図3(d)は、第3基地局装置10cによって生成されるフレームの構成を示す。第3基地局装置10cは、第3サブフレームの先頭部分に路車送信期間を設定する。また、第3基地局装置10cは、第3サブフレームにおける路車送信期間の後段、第1サブフレーム、第2サブフレーム、第4サブフレームから第Nサブフレームに車車送信期間を設定する。このように、複数の基地局装置10は、互いに異なったサブフレームを選択し、選択したサブフレームの先頭部分に路車送信期間を設定する。図2に戻る。選択部34は、選択したサブフレームの番号を生成部36へ出力する。
【0030】
生成部36は、選択部34から受けつけたサブフレーム番号のサブフレームに路車送信期間を設定し、路車送信期間において報知すべきRSUパケット信号を生成する。なお、以下の説明において、RSUパケット信号とパケット信号とは区別せずに使用される。図4(a)−(b)は、サブフレームの構成を示す。図4(a)は、路車送信期間が設定されたサブフレームを示す。図示のごとく、ひとつのサブフレームは、路車送信期間、車車送信期間の順に構成される。図4(b)は、路車送信期間におけるパケット信号の配置を示す。図示のごとく、路車送信期間において、複数のRSUパケット信号が並べられている。ここで、前後のパケット信号は、SIFS(Short Interframe Space)だけ離れている。
【0031】
ここでは、RSUパケット信号の構成を説明する。図5(a)−(b)は、通信システム100において規定されるパケット信号に格納されるMACフレームのフォーマットを示す。図5(a)は、MACフレームのフォーマットを示す。MACフレームは、先頭から順に、「MACヘッダ」、「LLCヘッダ」、「メッセージヘッダ」、「データペイロード」、「FCS」を配置する。データペイロードに含まれる情報については、後述する。図5(b)は、生成部36によって生成されるメッセージヘッダの構成を示す図である。メッセージヘッダには、基本部分が含まれている。
【0032】
基本部分は、「プロトコルバージョン」、「送信ノード種別」、「再利用回数」、「TSFタイマ」、「RSU送信期間長」を含む。プロトコルバージョンは、対応しているプロトコルのバージョンを示す。送信ノード種別は、MACフレームが含まれたパケット信号の送信元を示す。例えば、「0」は端末装置を示し、「1」は基地局装置10を示す。なお、車載用端末装置と携帯用端末装置とを区別する場合、送信ノード種別が2ビットで示される。選択部34が、入力した復調結果のうち、他の基地局装置10からの復調結果を抽出する場合に、選択部34は、送信ノード種別の値を利用する。再利用回数は、メッセージヘッダが端末装置によって転送される場合の有効性の指標を示し、TSFタイマは、送信時刻を示す。RSU送信期間長は、路車送信期間の長さを示しており、路車送信期間に関する情報といえる。図2に戻る。
【0033】
ネットワーク通信部28は、図示しないネットワーク202に接続される。ネットワーク通信部28は、ネットワーク202から、渋滞情報を受けつける。生成部36は、ネットワーク通信部28から、渋滞情報を取得し、データペイロードに格納することによって、前述のRSUパケット信号を生成する。制御部30は、基地局装置10全体の処理を制御する。
【0034】
この構成は、ハードウエア的には、任意のコンピュータのCPU、メモリ、その他のLSIで実現でき、ソフトウエア的にはメモリにロードされたプログラムなどによって実現されるが、ここではそれらの連携によって実現される機能ブロックを描いている。したがって、これらの機能ブロックがハードウエアのみ、ソフトウエアのみ、またはそれらの組合せによっていろいろな形で実現できることは、当業者には理解されるところである。
【0035】
図6は、車両12に搭載された車載用端末装置14の構成を示す。車載用端末装置14は、アンテナ40、RF部42、変復調部44、処理部46、制御部48を含む。処理部46は、タイミング特定部50、転送決定部56、取得部58、通知部60、生成部62を含み、タイミング特定部50は、抽出部52、キャリアセンス部54を含む。アンテナ40、RF部42、変復調部44は、図2のアンテナ20、RF部22、変復調部24と同様の処理を実行する。そのため、ここでは、差異を中心に説明する。
【0036】
変復調部44、処理部46は、図示しない他の端末装置や基地局装置10からのパケット信号を受信する。なお、前述のごとく、変復調部44、処理部46は、路車送信期間において、基地局装置10からのパケット信号を受信する。前述のごとく、変復調部44、処理部46は、車車送信期間において、他の車載用端末装置14からのパケット信号を受信する。さらに、詳細は後述するが、変復調部44、処理部46は、路車送信期間と車車送信期間に関係なく、図示しない携帯用端末装置からのパケット信号を受信する。
【0037】
抽出部52は、変復調部44からの復調結果が、図示しない基地局装置10からのパケット信号である場合に、路車送信期間が配置されたサブフレームのタイミングを特定する。その際、抽出部52は、図1のエリア212内に存在すると推定する。抽出部52は、サブフレームのタイミングと、パケット信号のメッセージヘッダの内容、具体的には、RSU送信期間長の内容をもとに、フレームを生成する。なお、フレームの生成は、前述のフレーム規定部32と同様になされればよいので、ここでは説明を省略する。その結果、抽出部52は、基地局装置10において形成されたフレームに同期したフレームを生成する。
【0038】
一方、抽出部52は、RSUパケット信号を受信していない場合、図1のエリア外214に存在すると推定する。抽出部52は、エリア212に存在していることを推定した場合、車車送信期間を選択する。抽出部52は、エリア外214に存在していることを推定すると、フレームの構成と無関係のタイミングを選択する。抽出部52は、車車送信期間を選択した場合、フレームおよびサブフレームのタイミング、車車送信期間に関する情報をキャリアセンス部54へ出力する。抽出部52は、フレームの構成と無関係のタイミングを選択すると、キャリアセンスの実行をキャリアセンス部54に指示する。
【0039】
キャリアセンス部54は、抽出部52から、フレームおよびサブフレームのタイミング、車車送信期間に関する情報を受けつける。キャリアセンス部54は、車車送信期間において、キャリアセンスを実行することによって、干渉電力を測定する。また、キャリアセンス部54は、干渉電力をもとに、車車送信期間における送信タイミングを決定する。具体的に説明すると、キャリアセンス部54は、所定のしきい値を予め記憶しており、干渉電力としきい値とを比較する。干渉電力がしきい値よりも小さければ、キャリアセンス部54は、送信タイミングを決定する。キャリアセンス部54は、抽出部52から、キャリアセンスの実行を指示された場合、フレームの構成を考慮せずに、CSMAを実行することによって、送信タイミングを決定する。キャリアセンス部54は、決定した送信タイミングを生成部62へ通知する。
【0040】
取得部58は、図示しないGPS受信機、ジャイロセンサ、車速センサ等を含んでおり、それらから供給されるデータによって、車載用端末装置14の存在位置、進行方向、移動速度等(以下、「位置情報」と総称する)を取得する。なお、存在位置は、緯度・経度によって示される。これらの取得には公知の技術が使用されればよいので、ここでは説明を省略する。取得部58は、位置情報を生成部62へ出力する。
【0041】
転送決定部56は、メッセージヘッダの転送を制御する。転送決定部56は、パケット信号からメッセージヘッダを抽出する。パケット信号が基地局装置10から直接送信されている場合には、再利用回数が「0」に設定されているが、パケット信号が他の車載用端末装置14から送信されている場合には、再利用回数が「1以上」の値に設定されている。転送決定部56は、抽出したメッセージヘッダから、転送すべきメッセージヘッダを選択する。ここでは、例えば、再利用回数が最も小さいメッセージヘッダが選択される。また、転送決定部56は、複数のメッセージヘッダに含まれた内容を合成することによって新たなメッセージヘッダを生成してもよい。転送決定部56は、選択対象のメッセージヘッダを生成部62へ出力する。その際、転送決定部56は、再利用回数を「1」増加させる。
【0042】
生成部62は、取得部58から位置情報を受けつけ、転送決定部56からメッセージヘッダを受けつける。生成部62は、図5(a)−(b)に示されたMACフレームを使用し、位置情報をデータペイロードに格納する。生成部62は、MACフレームが含まれたパケット信号を生成するとともに、キャリアセンス部54において決定した送信タイミングにて、変復調部44、RF部42、アンテナ40を介して、生成したパケット信号をブロードキャスト送信する。これは、車車間通信に相当する。なお、送信タイミングは、車車送信期間に含まれている。
【0043】
通知部60は、抽出部52を介して、図示しない基地局装置10からのパケット信号を取得するとともに、図示しない他の車載用端末装置14からのパケット信号を取得する。通知部60は、取得したパケット信号に対する処理として、パケット信号に格納されたデータの内容に応じて、図示しない他の車両12や歩行者16の接近等を運転者へモニタやスピーカを介して通知する。さらに、通知部60は、渋滞情報等も運転者へモニタやスピーカを介して通知する。
【0044】
図7は、歩行者16に携帯された携帯用端末装置18の構成を示す。携帯用端末装置18は、アンテナ70、RF部72、変復調部74、処理部76、制御部78を含む。また、処理部76は、取得部80、生成部82、タイミング特定部84を含み、タイミング特定部84は、抽出部86、設定部88、キャリアセンス部90を含む。取得部80は、図6の取得部58と同様に、位置情報を取得する。これは、本携帯用端末装置18の存在位置であり、歩行者16の存在位置であるといえる。取得部80は、位置情報を設定部88および生成部82に出力する。
【0045】
変復調部74、処理部76は、図6の変復調部44、処理部46と同様に、図示しない他の端末装置や基地局装置10からのパケット信号を受信する。特に、変復調部74、処理部76は、路車送信期間において基地局装置10からのパケット信号であって、かつフレーム構成に関する情報が含まれたパケット信号を受信する。また、変復調部74、処理部76は、車車送信期間において車載用端末装置14からのパケット信号であって、かつ当該車載用端末装置14の位置情報に関する情報が格納されたパケット信号を受信する。
【0046】
抽出部86は、抽出部52と同様に、変復調部74からの復調結果が、図示しない基地局装置10からのパケット信号である場合に、路車送信期間が配置されたサブフレームのタイミングを特定する。また、抽出部86は、車車送信期間を特定し、フレームおよびサブフレームのタイミング、車車送信期間に関する情報を設定部88へ出力する。一方、抽出部86は、フレームの構成と無関係のタイミングを選択すると、フレームが規定されていないことを設定部88に指示する。さらに、抽出部86は、車載用端末装置14から受信したパケット信号から、位置情報を抽出する。抽出部86は、位置情報を設定部88に出力する。
【0047】
設定部88は、抽出部86から、フレームおよびサブフレームのタイミング、車車送信期間に関する情報を受けつけると、車車送信期間にて、キャリアセンスのための待ち時間を設定する。ここでは、待ち時間の設定として、優先送信と通常送信とが規定される。これらのいずれかを選択するために、設定部88は、取得部58において測定した存在位置と、抽出部52から受けつけた受信部において受信したパケット信号に格納された存在位置との間の距離を計算する。設定部88は、距離がしきい値よりも小さい場合に、優先送信を選択し、距離がしきい値以上である場合に、通常送信を選択する。これは、取得部58において測位した存在位置が予め定めた条件を満たす場合に、優先送信を選択することに相当する。
【0048】
ここでは、キャリアセンスによるCSMA動作の概要を説明する。図8は、携帯用端末装置18の動作を示す。横軸が時間を示す。ビジーは、他の装置からの信号を受信している状態を示す。ビジー状態が終了した後、DIFS(DCF IFS)の間にわたって待機がなされる。さらに、DIFS終了後、コンテンションウインドウの間にわたっても待機がされる。この間に、信号を受信しなかった場合に、パケット信号が送信される。ここで、コンテンションウインドウは、複数のスロットによって構成される。ひとつのスロットのサイズは、13μsecである。また、スロットの数は、車載用端末装置14でのキャリアセンス、通常送信でのキャリアセンスを実行する場合に、0〜Nの乱数によって定められる。このように、通常送信では、車載用端末装置14と同様にコンテンションウインドウが設定される。
【0049】
携帯用端末装置18から報知されるパケット信号の長さは、車載用端末装置14から報知されるパケット信号の長さよりも短い。そのため、コンテンションウインドウの期間が両者の間で同一であれば、前者は後者よりも、パケット信号長に対する待ち時間が長くなる。これに対応するため、キャリアセンス部90がキャリアセンスのために設定可能な乱数の範囲は、車載用端末装置14がキャリアセンスのために設定可能な乱数の範囲よりも狭くなるように設定される。例えば、優先送信でのキャリアセンスのために設定可能な乱数の範囲は、0〜N/2によって定められる。これは、車載用端末装置14が設定可能な待ち時間の範囲が携帯用端末装置18が設定可能な待ち時間の範囲よりも短いことに相当する。また、設定部88が設定可能な待ち時間の最大値は、車載用端末装置14がキャリアセンスのために設定可能な待ち時間の最大値よりも小さくなっている。ここで、優先送信のときだけコンテンションウインドウの最大値を小さくすることによって、車載用端末装置14への影響が低減される。図7に戻る。
【0050】
なお、フレームが規定されていないことを設定部88から指示された場合、設定部88は、フレームの構成と無関係にコンテンションウインドウを同様に設定する。キャリアセンス部90は、設定部88において設定した待ち時間にわたって、キャリアセンスを実行する。変復調部74、RF部72は、キャリアセンス部90におけるキャリアセンスの結果をもとに、パケット信号を報知する。
【0051】
以上の構成による通信システム100の動作を説明する。図9は、携帯用端末装置18における送信手順を示すフローチャートである。変復調部74、処理部76は、パケット信号を受信する(S10)。抽出部86は、車両12の位置情報を抽出する(S12)。取得部80は、歩行者16の存在位置を取得する(S14)。設定部88は、車両12と歩行者16との間の距離を計算する(S16)。距離がしきい値よりも小さければ(S18のY)、設定部88は、優先送信を選択する(S20)。一方、距離がしきい値よりも小さくなければ(S18のN)、設定部88は、通常送信を選択する(S22)。
【0052】
次に、本発明の変形例を説明する。本発明の変形例は、実施例と同様に、歩行者に携帯された携帯用端末装置に関する。実施例では、車両と歩行者との間の距離をもとに、優先送信の実行を決定する。一方、変形例では、歩行者が存在している区域をもとに、優先送信の実行を決定する。例えば、車道や路側帯を歩行者が歩行している場合に、優先送信の実行が決定される。変形例に係る通信システム100、基地局装置10、車載用端末装置14は、図1、図2、図6と同様のタイプである。ここでは、差異を中心に説明する。
【0053】
図10は、本発明の変形例に係る携帯用端末装置18の構成を示す。携帯用端末装置18は、図7に示された携帯用端末装置18に、記憶部92が追加されている。記憶部92は、予め定められた区域の位置情報を記憶する。前述のごとく、予め定められた区域とは、車道や路側帯であり、車両12との衝突の危険性が高い区域である。このような位置情報も、緯度と経度にて示される。設定部88は、取得部58において測定した存在位置が、記憶部92に記憶された区域に含まれる場合に、優先送信を選択する。一方、設定部88は、取得部58において測定した存在位置が、記憶部92に記憶された区域に含まれない場合に、通常送信を選択する。
【0054】
以上の構成による通信システム100の動作を説明する。図11は、携帯用端末装置18における送信手順を示すフローチャートである。取得部80は、歩行者16の存在位置を取得する(S40)。予め定められた区域内であれば(S42のY)、設定部88は、優先送信を選択する(S44)。一方、予め定められた区域内でなければ(S42のN)、設定部88は、通常送信を選択する(S46)。
【0055】
本発明の実施例によれば、基地局装置から通知されるフレーム情報によって特定される車車送信期間においてキャリアセンスを実行するので、携帯用端末装置からパケット信号が報知される場合においても、車載用端末装置から報知されるパケット信号に与える影響を低減できる。また、所定の条件を満たしているときに、車載用端末装置の待ち時間の範囲よりも、待ち時間の範囲を狭くするので、少ない待ち時間でパケット信号を優先的に送信できる。また、少ない待ち時間でパケット信号を送信しやすくなるので、直ちに存在位置を通知できる。また、所定の条件を満たしているときだけ優先送信を実行するので、車載用端末装置の送信機会の低減を抑制できる。また、所定の条件を満たしているときだけ優先送信を実行するので、車載用端末装置から報知されるパケット信号に与える影響を低減しながらパケット信号を優先的に報知するタイミングを特定できる。
【0056】
また、携帯用端末装置から報知されるパケット信号の送信電力が、基地局装置や車載用端末装置から報知されるパケット信号の送信電力よりも小さく設定されるので、後者に与える影響を低減できる。また、送信電力が小さく設定されるので、消費電力を低減できる。また、消費電力が低減されるので、駆動時間を長くできる。また、車両に接近したときに優先送信を実行するので、衝突の危険性が高いときに存在位置を通知できる。また、危険性の高い区域に進入したときに優先送信を実行するので、衝突の危険性が高いときに存在位置を通知できる。
【0057】
以上、本発明を実施例をもとに説明した。この実施例は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【0058】
本発明の実施例において、優先送信の際、携帯用端末装置18が設定可能な待ち時間の最大値は、車載用端末装置14がキャリアセンスのために設定可能な待ち時間の最大値よりも小さく設定されている。しかしながらこれに限らず例えば、設定部88が設定可能な待ち時間の範囲は、車載用端末装置14がキャリアセンスのために設定可能な待ち時間の範囲とずれていてもよい。一例では、設定部88でのコンテンションウインドウが、「0」から「15」と規定され、車載用端末装置14でのコンテンションウインドウが、「16」から「63」と規定される。本変形例によれば、待ち時間をずらすので、パケット信号の衝突確率を低減できる。
【0059】
本発明の実施例において、優先送信の際、携帯用端末装置18が設定可能な待ち時間の最大値は、車載用端末装置14がキャリアセンスのために設定可能な待ち時間の最大値よりも小さく設定されている。しかしながらこれに限らず例えば、設定部88が設定可能な待ち時間は固定値であり、車載用端末装置14がキャリアセンスのために設定可能な待ち時間は可変値であってもよい。一例では、設定部88は、SIFS等を設定する。本変形例によれば、携帯用端末装置18からのパケット信号を優先的に報知できる。
【0060】
本発明の実施例において、設定部88は、取得部80において取得した存在位置をもとに、優先送信あるいは通常送信の実行を選択する。しかしながらこれに限らず例えば、携帯用端末装置18には、ボタンが備えられており、歩行者によってボタンが押下げられたことを設定部88が検出すると、設定部88は、優先送信を選択してもよい。さらに、ボタンが押下げられてから所定の期間が経過すると、設定部88は、通常送信を選択してもよい。本変形例によれば、歩行者の意志に応じて優先送信を実行できる。
【符号の説明】
【0061】
10 基地局装置、 12 車両、 14 車載用端末装置、 16 歩行者、 18 携帯用端末装置、 20 アンテナ、 22 RF部、 24 変復調部、 26 処理部、 28 ネットワーク通信部、 30 制御部、 32 フレーム規定部、 34 選択部、 36 生成部、 40 アンテナ、 42 RF部、 44 変復調部、 46 処理部、 48 制御部、 50 タイミング特定部、 52 抽出部、 54 キャリアセンス部、 56 転送決定部、 58 取得部、 60 通知部、 62 生成部、 70 アンテナ、 72 RF部、 74 変復調部、 76 処理部、 78 制御部、 80 取得部、 82 生成部、 84 タイミング特定部、 86 抽出部、 88 設定部、 90 キャリアセンス部、 100 通信システム。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物の存在位置を測位する測位部と、
前記測位部において測位した存在位置が予め定めた条件を満たす場合に、待ち時間を設定する設定部と、
前記設定部において設定した待ち時間にわたって、キャリアセンスを実行するキャリアセンス部と、
前記キャリアセンス部におけるキャリアセンスの結果をもとに、パケット信号を報知する報知部とを備え、
前記設定部が設定可能な待ち時間の範囲は、キャリアセンスによってパケット信号を報知可能な他種の端末装置が設定可能な待ち時間の範囲よりも狭いことを特徴とする端末装置。
【請求項2】
他種の端末装置から、当該他種の端末装置の存在位置に関する情報が格納されたパケット信号を受信する受信部とを備え、
前記設定部は、前記測位部において測定した存在位置と、前記受信部において受信したパケット信号に格納された存在位置との間の距離がしきい値よりも小さい場合に、待ち時間を設定することを特徴とする請求項1に記載の端末装置。
【請求項3】
前記設定部は、前記測位部において測定した存在位置が予め定めた区域に含まれる場合に、待ち時間を設定することを特徴とする請求項1に記載の端末装置。
【請求項4】
前記設定部が設定可能な待ち時間の最大値は、他種の端末装置が設定可能な待ち時間の最大値よりも小さいことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の端末装置。
【請求項5】
前記設定部が設定可能な待ち時間の範囲は、他種の端末装置が設定可能な待ち時間の範囲とずれていることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の端末装置。
【請求項6】
前記設定部が設定可能な待ち時間は固定値であり、他種の端末装置が設定可能な待ち時間は可変値であることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の端末装置。
【請求項1】
対象物の存在位置を測位する測位部と、
前記測位部において測位した存在位置が予め定めた条件を満たす場合に、待ち時間を設定する設定部と、
前記設定部において設定した待ち時間にわたって、キャリアセンスを実行するキャリアセンス部と、
前記キャリアセンス部におけるキャリアセンスの結果をもとに、パケット信号を報知する報知部とを備え、
前記設定部が設定可能な待ち時間の範囲は、キャリアセンスによってパケット信号を報知可能な他種の端末装置が設定可能な待ち時間の範囲よりも狭いことを特徴とする端末装置。
【請求項2】
他種の端末装置から、当該他種の端末装置の存在位置に関する情報が格納されたパケット信号を受信する受信部とを備え、
前記設定部は、前記測位部において測定した存在位置と、前記受信部において受信したパケット信号に格納された存在位置との間の距離がしきい値よりも小さい場合に、待ち時間を設定することを特徴とする請求項1に記載の端末装置。
【請求項3】
前記設定部は、前記測位部において測定した存在位置が予め定めた区域に含まれる場合に、待ち時間を設定することを特徴とする請求項1に記載の端末装置。
【請求項4】
前記設定部が設定可能な待ち時間の最大値は、他種の端末装置が設定可能な待ち時間の最大値よりも小さいことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の端末装置。
【請求項5】
前記設定部が設定可能な待ち時間の範囲は、他種の端末装置が設定可能な待ち時間の範囲とずれていることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の端末装置。
【請求項6】
前記設定部が設定可能な待ち時間は固定値であり、他種の端末装置が設定可能な待ち時間は可変値であることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の端末装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−199862(P2012−199862A)
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−63863(P2011−63863)
【出願日】平成23年3月23日(2011.3.23)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月23日(2011.3.23)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】
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