説明

端末装置

【課題】信頼性に優れ、かつ接点部の腐食による経年変化の影響を受けることのない、セキュリティ機能を有する端末装置を提供する。
【解決手段】下ケース2と下ケース2を覆うように設けられた上ケース3を有する端末装置1である。下ケース2に上ケース3が載置されて端末装置1は閉状態となる。上ケース3には、第1の磁石10が配置されている。端末装置1が閉状態の時に、第1の磁石10の磁力によってONしかつ端末装置1が開状態の時にOFFするように、下ケース2に第1の磁気センサ100が配置されている。端末装置1が閉状態の時に、第1の磁石10の磁力によってはONしないように、下ケース2に第2の磁気センサ200が配置されている。端末装置1が閉状態の時に、第2の磁石20が近づいた場合に、第2の磁石20の磁力によって第2の磁気センサ200がONする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、端末装置に関し、特に、磁気センサを用いたセキュリティ機能を有する端末装置に関する。
【背景技術】
【0002】
クレジットカード、デビットカード、金融機関のキャッシュカード等のカードに記録された情報を読み取って各種の料金支払いを行ったり、関連する各種手続きを行うカードが広く普及していて、ホテル、旅館のキャッシュコーナーやスーパーマーケット等の店舗に設置され端末装置(例えば、カードリーダ装置)でその情報を読取り、各種の会計処理を能率的に行うことができる。
【0003】
このカードは、各種情報が記録部に磁気的に記録された磁気カードで構成されたり、各種情報が記録部に電気的に記録されたICカードで構成されている。このような端末装置は、通常、独立して設置され、通信回線を介してセンター側のホスト装置に接続されている。
【0004】
このような端末装置は、カード利用の普及に伴い、カードデータの読取りを盗み取り(スキミング)、精巧に作られた生のカードに盗み取ったデータを書き込んで偽造カードを作り、本来のカード所有者になりすましてカード利用を行うという不正行為が多発している。特に、クレジットカードは暗証番号入力によるセキュリティがないために容易に偽造カードが利用されてしまう現状にある。
【0005】
かかる不正行為の具体例としては、店舗等に設置してある正規の端末装置の内部において、記録情報読取り部のコネクタからカード内のデータを横取りするためのスキミング装置を深夜等の不在時に不法侵入して埋め込む方法がある。このときにはカードリーダ装置は正常に動作しているので、端末装置(カードリーダ装置)の管理者は勿論のこと正規のカード所有者も気が付かない内にデータがスキミング装置にデータ格納されるのである。
【0006】
そして、後日に盗み取ったデータをスキミング装置ごと回収し、不正に作られた生のカードに盗み取ったデータを書き込んで偽造カードを作り、本来のカード所有者になりすましてカード利用を行うのである。
【0007】
このような不正を防止するために、端末装置の装置筐体が開梱されたことを検出するスイッチ部材を設け、このスイッチ作動に伴って、メモリのデータを消去したりしている(例えば、特開2001−291050号公報(特許文献1)参照)。
【0008】
上述のように、決済にカードを使用する機会が年々増えており、カード情報の保護が、ますます求められている。カード情報の流出例として、サーバーや端末装置自体にスキミング装置を仕掛ける等が挙げられる。従って、端末装置自体にスキミング装置を仕掛けるのを防ぐ手段として、不正を行おうとする者がケースの開放を検知する仕組みが求められている。
【0009】
上記特許文献1に記載の技術では、検出スイッチが使用されている。この場合、AC給電可能な装置であれば問題ないが、電池駆動の端末装置の場合、消費電流を抑えるために、微小電流しか流すことができなかった。
【0010】
特に、温泉地等、硫黄成分の発生する地域では、接点部の腐食により、電流が不安定となることが予測され、ON状態にも関わらずOFF状態と判断し、誤動作する可能性があった。
【0011】
このように、セキュリティ対策として、検出スイッチを使用する方法では、端末装置では電池の仕様上、微小電流しか流せないため信頼性が低下するという問題があった。さらに、銀仕様の接点部を使用すると、腐食による経年変化も考慮しなければならないという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2001−291050号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の目的は、上述した従来技術の課題を解決するための技術を提供することにあり、信頼性に優れ、かつ接点部の腐食による経年変化の影響を受けることのない、セキュリティ機能を有する端末装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の一つは、閉蓋されて閉状態となる筐体と、前記筐体を開状態とするために開蓋される前記筐体の一部を有する端末装置であって、
前記筐体の一部に配置された第1の磁石と、
前記筐体が閉状態の時に、前記第1の磁石の磁力によってONしかつ前記筐体が開状態の時にOFFするように、前記筐体内に配置された第1の磁気センサと、
前記筐体が閉状態の時に、前記第1の磁石の磁力によってはONしないように、前記筐体内に配置された第2の磁気センサを有し、
前記筐体が閉状態の時に、第2の磁石が近づいて、前記第2の磁石の磁力によって前記第2の磁気センサがONした場合に不正が行われようとしていると判断することを特徴とする。
【0015】
本発明の他の一つは、閉蓋されて閉状態となる筐体と、前記筐体を開状態とするために開蓋される前記筐体の一部を有する端末装置であって、
前記筐体の一部ではない筐体内に配置された第1の磁石と、
前記筐体が閉状態の時に、前記第1の磁石の磁力によってONしかつ前記筐体が開状態の時にOFFするように、前記筐体の一部に配置された第1の磁気センサと、
前記筐体が閉状態の時に、前記第1の磁石の磁力によってはONしないように、前記筐体内に配置された第2の磁気センサを有し、
前記筐体が閉状態の時に、第2の磁石が近づいて、前記第2の磁石の磁力によって前記第2の磁気センサがONした場合に不正が行われようとしていると判断することを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、信頼性に優れ、かつ接点部の腐食による経年変化の影響を受けることのない、セキュリティ機能を有する端末装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施の形態に係る端末装置の構成を示す図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る端末装置の構成を示す図である。
【図3】端末装置の回路構成の概略を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0019】
図1を参照して、本発明の実施の形態に係る端末装置の構成について説明する。
【0020】
本発明の実施の形態に係る端末装置は、決済端末等のセキュリティが求められる端末装置であり、不正が行われないように閉蓋されていた筐体が、扉やカバー等である筐体の一部が開かれる、もしくは取り外される等して筐体が開蓋されたことを磁気センサで検知するものである。なお、筐体が閉蓋された状態を閉状態、筐体が開蓋された状態を開状態と称することとする。
【0021】
図1を参照すると、端末装置1は、下ケース2と下ケース2を覆うように設けられた上ケース3を有する。下ケース2に上ケース3が載置されてケース(筐体)、即ち端末装置1は閉状態となる。
【0022】
上ケース3には第1の磁石10が配置されている。また、下ケース2には、端末装置1の通常の使用状態(端末装置1が閉状態)で上ケース3が下ケース2に載置されている時に、第1の磁石10の磁力によってONする(端末装置1が閉状態であることを検知する)位置に第1の磁気センサ100が配置されている。
【0023】
さらに、下ケース2には、端末装置1の通常の使用状態(端末装置1が閉状態)で上ケース3が下ケース2に載置されている時に、第1の磁石10の磁力によってはONしない位置に第2の磁気センサ200が配置されている。第2の磁気センサ200は、端末装置1が閉状態である時に、第1の磁石10の磁力によってはONしない位置で、第1の磁気センサ100にできるだけ近い位置に配置されるのが好ましい。
【0024】
ここで、第1の磁気センサ100は、第1の磁石10に対向した位置に配置されており、第2の磁気センサ200は、下ケース2の、第1の磁気センサ100から所定距離だけ離れた位置に配置されている。
【0025】
そして、上ケース3が開かれるか、もしくは取り外されて端末装置1が開状態になると、第1の磁気センサ100はOFFする。ここで、下ケース2又は上ケース3は、外部からの磁力を遮蔽することのない樹脂材料から成るのが好ましい。
【0026】
図2に示されているように、上ケース3が閉状態の時に、第2の磁石20が近づいた場合に、第2の磁石20の磁力によって第2の磁気センサ200がONする。この場合、例えば、第2の磁石20の磁力は、第1の磁石10の磁力よりも大きい。
【0027】
ここで、図1及び図2では、第2の磁気センサ200は下ケース2に配置されているが、上ケース3が閉状態の時に第2の磁石20が近づいた場合に、第2の磁石20の磁力によってON可能ならば、上ケース3に配置されていても良い。
【0028】
次に、図3を参照して、端末装置1の回路構成の概略について説明する。
【0029】
制御部300には、第1の磁気センサ100と第2の磁気センサ200とが接続されている。
【0030】
さらに、制御部300には、記憶部330が接続されている。この記憶部330には、所定の秘密情報が記憶されている。
【0031】
次に、図1〜図3を参照して、本発明の実施の形態に係る端末装置の動作について説明する。
【0032】
端末装置1の制御部300は、以下の条件で、端末装置1が閉状態であると判断する。
第1の磁気センサ100:ON
第2の磁気センサ200:OFF
【0033】
また、制御部300は、以下の条件で、端末装置1が開状態であると判断する。
第1の磁気センサ100:OFF
第2の磁気センサ200:ON又はOFF
【0034】
上ケース3が開かれるか、もしくは取り外されて端末装置1が開状態になって、第1の磁気センサ100がOFFすると、制御部300は、不正が行われようとしていると判断し、記憶部330に記憶されている秘密情報を削除する。
【0035】
また、端末装置1は、無線通信や有線通信で他の装置(図示せず)と通信可能であり、制御部300は、不正が行われようとしていると判断した時、他の装置(図示せず)に不正が行われようとしている旨を通報する。
【0036】
なお、不正が行われようとしていると判断して、秘密情報を削除するだけでもよいし、また、他の装置(図示せず)に通報するだけでもよい。
【0037】
端末装置1のメンテナンス等で上ケース3を開く必要がある場合は、上ケース3を開く前に、図示しない入力部から上記機能の解除コマンドを入力する、図示しない他の装置を接続して上記機能の解除コマンドを入力する、無線通信や有線通信で通信可能な他の装置(図示せず)から上記機能の解除コマンドを送信する等によって、上記機能を解除する。
【0038】
次に、図2に示すように、端末装置1の通常の使用状態(端末装置1が閉状態)で、不正を行おうとする者が第2の磁石20で第1の磁気センサ100をONさせたまま端末装置1を開状態にしようとして第2の磁石20を近づけると、第2の磁気センサ200がONし、端末装置1の制御部300は、不正が行われようとしていると判断する。
【0039】
制御部300は、以下の条件で、不正が行われようとしていると判断する。
第1の磁気センサ100:ON
第2の磁気センサ200:ON
【0040】
このように、制御部300は、上ケース3が閉状態の時に、第2の磁石20が近づいた場合に、第2の磁石20の磁力によって第2の磁気センサ200がONしたことを検知した時、不正が行われようとしていると判断する。
【0041】
制御部300は、不正が行われようとしていると判断した時、記憶部330に記憶されている秘密情報を削除する。
【0042】
また、端末装置1は、他の装置(図示せず)に不正が行われようとしている旨を通報する。
【0043】
なお、不正が行われようとしていると判断して、秘密情報を削除するだけでもよいし、また、他の装置(図示せず)に通報するだけでもよい。
【0044】
また、第1の磁気センサ100を上ケース3に、第1の磁石10を下ケース2に配置するようにしてもよい。さらに、第2の磁気センサ200を上ケース3もしくは下ケース2のいずれかに配置するようにしてもよい。
【0045】
上記実施例では、上ケース3と下ケース2を有する端末装置1について記述したが、カバーを取り外すことによって開状態となる筐体を有する端末装置であってもよい。この場合は、カバーが上ケースに、カバーを除く筐体が下ケースに相当する。また、扉を開くことによって開状態となる筐体を有する端末装置であってもよい。この場合は、扉が上ケースに、扉を除く筐体が下ケースに相当する。
【0046】
上記本発明の実施の形態は、以下のような効果を有する。
【0047】
第1に、無接点のため、信頼性を向上させることができる。
第2に、メカスイッチではない新たな不正検知機能を構築できる。
【0048】
このように、本発明の実施の形態によれば、磁気センサを用いることにより、接点部の腐食を考慮する必要がなく、最低電圧を確保していれば、半永久的に安定した信号レベルを保持することが可能となる。つまり、無接点のため、接点部の腐食を考慮する必要はなく、信頼性を高めることが可能になる。
【0049】
以上、本発明の実施の形態について具体的に説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想に基づく各種の変形が可能である。
【符号の説明】
【0050】
1 端末装置
2 下ケース
3 上ケース
10 第1の磁石
20 第2の磁石
100 第1の磁気センサ
200 第2の磁気センサ
300 制御部
330 記憶部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
閉蓋されて閉状態となる筐体と、前記筐体を開状態とするために開蓋される前記筐体の一部を有する端末装置であって、
前記筐体の一部に配置された第1の磁石と、
前記筐体が閉状態の時に、前記第1の磁石の磁力によってONしかつ前記筐体が開状態の時にOFFするように、前記筐体内に配置された第1の磁気センサと、
前記筐体が閉状態の時に、前記第1の磁石の磁力によってはONしないように、前記筐体内に配置された第2の磁気センサを有し、
前記筐体が閉状態の時に、第2の磁石が近づいて、前記第2の磁石の磁力によって前記第2の磁気センサがONした場合に不正が行われようとしていると判断することを特徴とする端末装置。
【請求項2】
閉蓋されて閉状態となる筐体と、前記筐体を開状態とするために開蓋される前記筐体の一部を有する端末装置であって、
前記筐体の一部ではない筐体内に配置された第1の磁石と、
前記筐体が閉状態の時に、前記第1の磁石の磁力によってONしかつ前記筐体が開状態の時にOFFするように、前記筐体の一部に配置された第1の磁気センサと、
前記筐体が閉状態の時に、前記第1の磁石の磁力によってはONしないように、前記筐体内に配置された第2の磁気センサを有し、
前記筐体が閉状態の時に、第2の磁石が近づいて、前記第2の磁石の磁力によって前記第2の磁気センサがONした場合に不正が行われようとしていると判断することを特徴とする端末装置。
【請求項3】
前記第1の磁気センサと前記第2の磁気センサが接続された制御部をさらに有し、
前記制御部は、前記筐体が閉状態の時に、前記第2の磁石が近づいた場合に、前記第2の磁石の磁力によって前記第2の磁気センサがONしたことを検知した時、不正が行われようとしていると判断することを特徴とする請求項1又は2に記載の端末装置。
【請求項4】
所定の秘密情報を記憶する記憶部をさらに有し、
前記制御部は、前記不正が行われようとしていると判断した時、前記記憶部に記憶されている前記秘密情報を削除することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の端末装置。
【請求項5】
前記端末装置は、他の装置と通信可能であり、
前記制御部は、前記不正が行われようとしていると判断した時、前記他の装置に不正が行われようとしている旨を通報することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の端末装置。
【請求項6】
前記筐体が開状態の時に、前記第2の磁気センサはON状態又はOFF状態であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の端末装置。
【請求項7】
前記筐体は、外部からの磁力を遮蔽することのない樹脂材料から成ることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の端末装置。
【請求項8】
前記第1の磁気センサは、前記第1の磁石に対向した位置に配置されており、
前記第2の磁気センサは、前記筐体の、前記第1の磁気センサから所定距離だけ離れた位置に配置されていることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の端末装置。
【請求項9】
前記第2の磁石の磁力は、前記第1の磁石の磁力よりも大きいことを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の端末装置。
【請求項10】
前記端末装置は、決済端末であることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の端末装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−99052(P2012−99052A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−248293(P2010−248293)
【出願日】平成22年11月5日(2010.11.5)
【出願人】(000227205)NECインフロンティア株式会社 (1,047)
【Fターム(参考)】