説明

端末間接続システム、方法及びプログラム

【課題】接続対象となる端末の組が多数存在する状況下で、特定の端末の組を簡単な操作でかつ衝突を生じることなく確実にペアリングすることを可能にする。
【解決手段】ペアリング対象の2台の端末101,201において、一人のユーザが脈波センサ102,202に対しそれぞれ右人差指と左人差指を同時に接触させると、当該端末がそれぞれ上記ユーザの人差指から検出された容積脈波の波形情報とその検出時間情報と端末アドレスを含むキー情報を生成してペアリングサーバ301へ送信する。ペアリングサーバ301は、上記各端末101,201から送られたキー情報同士を照合し、時間情報同士が一定時間以上重なる共通領域を有しかつ波形情報間の距離が一定値以下であれば、上記端末101,201をペアリング可と判定してその端末アドレスを保存し、以後この保存され端末アドレスを用いて端末101,201間のファイル転送を中継する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、多数の端末が存在する環境下で特定の端末同士を接続するための端末間接続システム、方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、タブレット型端末や携帯電話機、パーソナル・コンピュータといった様々な固定端末あるいは携帯端末が普及している。これら端末の多くは無線ネットワーク、例えばWiFiやBluetooth(登録商標)、3G規格の携帯通信網、赤外線等の無線接続方式に対応しており、これら無線接続方式を用いることで、端末内部の記憶領域に保存した文章や写真といったファイルを、端末同士で伝送することが可能である。
【0003】
ところで、多数の端末が存在する環境下で特定の端末間でファイル転送を行うには、該当する端末同士を1対1の関係に事前に接続する必要がある。この端末間の接続方法はペアリングと呼ばれる。ペアリングが可能になると、例えば参加者が多数存在する会議場において特定の参加者の端末同士をペアリングし、これらの端末間のみでファイルを転送することが可能となる。この方式は、特定のファイルを特定の参加者のみに配布するような選択配布を行う際に、非常に便利である。
【0004】
しかし、端末間をペアリングする場合、従来では次のような方式が用いられていた。
先ず第1の方式は、ペアリング対象の各端末にそれぞれユーザが同一の複数桁の数字等からなる識別情報を手動で入力し、端末間で上記入力された識別情報を照合して一致した場合にペアリングするものである(例えば非特許文献1を参照)。
【0005】
しかしながら、第1の方式では、一般に携帯端末の入力ボタンは小さく、またソフトウェア・キーボードしか備えていない機種も多い等、入力デバイスが貧弱であることから、ユーザの操作上の負担が大きい。また、接続する端末の組が複数存在し、これら組のペアリングが同時に行われる場合には、識別情報が競合して端末間の接続が衝突してしまう可能性がある。
【0006】
そこで最近では、第2の方式として、例えば予め無線ネットワークに接続可能な端末のリストを表示し、このリストの中から接続対象となる端末を選択する方式が広く用いられている。しかしこの方式では、接続可能な端末名がリスト形式で表示されるだけで、ユーザはこのリストから接続対象の端末を探して選択しなくてはならないため、多数の端末が存在する状況下では目的の端末を探しにくく、依然としてユーザの操作上の負担が大きい。
【0007】
また、第3の方式として、ペアリングを行う各端末において同時にボタンを押下し、このボタンの操作タイミングの差が一定時間以内であれば当該端末同士をペアリングするという方式が提案されている(例えば非特許文献2を参照)。この方式であれば、ユーザに操作上の負担を強いることなく所望の端末同士をペアリングすることが可能となる。
しかしこの第3の方式では、異なるユーザが同時に異なる端末間でペアリングを行おうとすると、接続時の衝突が発生するという問題がある。
【0008】
さらに、第4の方式として、接続対象の端末間で赤外線のような指向性のある信号を用いて通信を行うことによりペアリングを行う方式も提案されている(例えば特許文献1を参照)。
しかしながらこの第4の方式では、端末同士をその赤外線通信インタフェースが互いに向き合う様に配置する等、通信を行う際に端末の向きを考慮する必要がある。また、赤外線通信インタフェース間に障害物が存在しないよう配慮する必要がある。このため、例えば端末が大型で重量のある場合や固定されている場合には、ペアリングが不可能だったり、また可能だったとしてもユーザの負担が大きい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2009−164874号公報
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】BlackBerry Curve 9300 Smartphone ユーザーガイド バージョン:5.0
【非特許文献2】「同時クリック操作に基づく端末ペアリングのスケーラビリティ確保方式」、大芝崇、子林秀明、社団法人情報処理学会 研究報告 2009−GN−70
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
以上述べたように従来使用又は提案されている方式は、接続対象となる端末の組が複数存在するような状況下で、ユーザの操作上の負担が大きかったり、複数組の端末間でペアリング時の衝突が発生するおそれがあった。
この発明は上記事情に着目してなされたもので、その目的とするところは、接続対象となる端末の組が多数存在する状況下でも、特定の端末の組を簡単な操作でかつ衝突を生じることなく確実にペアリングすることを可能にした端末間接続システム、方法及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するためにこの発明の第1の観点は、第1の端末と第2の端末との間を無線回線を介して1対1に接続する際の手順を接続制御装置を介して実行する端末間接続システムにあって、上記第1及び第2の端末により、脈波センサを用いて同一ユーザの生体部位から容積脈波に関する情報を検出し、この脈波センサにより検出された容積脈波に関する情報を含むキー情報を生成して上記接続制御装置へ送信する。接続制御装置では、上記第1及び第2の端末からそれぞれ送られたキー情報を照合することにより当該第1の端末と第2の端末との間の接続の可否を判定し、その判定結果に基づいて第1の端末と第2の端末との間の接続を制御するようにしたものである。
【0013】
またこの発明の第2の観点は、第1の端末と第2の端末との間を無線回線を介して1対1に接続する際の手順を、当該第1の端末が実行する端末間接続システムにあって、第1及び第2の端末が、脈波センサを用いてユーザの生体部位から容積脈波に関する情報を検出して、この検出された容積脈波に関する情報を含むキー情報を生成する。そして、第1の端末が、第2の端末から第2の端末のキー情報を取得し、この取得された第2の端末のキー情報と上記生成された第1の端末のキー情報とを照合することにより上記第2の端末との間の接続の可否を判定して、その判定結果に基づいて上記第2の端末との間の接続を制御するようにしたものである。
【0014】
人間の生体情報である容積脈波は、同一の人間の例えば左手人差し指の腹部分と右手人差し指の腹部分からそれぞれ取得した場合に、類似した波形を高い頻度で得ることが可能である。その一方、同一の生体部位であっても、異なる人間の生体部位から取得した容積脈波は波形が異なる。容積脈波は脈波センサに指先といった生体部位を触れることで簡単に取得可能である。
【0015】
したがって、上記第1及び第2の観点のように、第1及び第2の端末でそれぞれ同一ユーザの容積脈波を検出してこの検出された容積脈波に関する情報を照合することで、接続対象となる端末の組が複数存在するような状況下でも、上記第1及び第2の端末間を確実にペアリングすることが可能となる。また、ペアリングに際しユーザは、接続対象となる第1及び第2の端末の脈波センサに例えば自身の左人差し指及び右手人差し指をほぼ同時に当接させるだけでよいので、識別情報を手入力したり多数の端末が登録されたリストから接続相手の端末を選択する必要がなくなり、これにより操作上の負担を大幅に軽減することができる。
【0016】
この発明の第1及び第2の観点は、次のような具体的な構成を備えることも特徴とする。
第1の構成は、キー情報を生成する際に、脈波センサにより検出された容積脈波の波形情報に、当該容積脈波の検出期間を表す時間情報と端末の識別情報とを含め、接続の可否を判定する際には、上記第1の端末のキー情報と第2の端末のキー情報との間で、時間情報の重なりの度合いと容積脈波の波形情報間の距離をそれぞれ算出し、これらの算出結果をもとに接続の可否を判定するものである。
より具体的には、上記各時間情報が互いに重なる共通時間が予め設定された時間以上で、かつ容積脈波の各波形情報間の距離が予め設定されたしきい値以下であるか否かを判定し、この条件を満たす場合に第1の端末と第2の端末とを接続可能とする。
このようにすると、第1及び第2の端末の脈波センサに同一ユーザが同一期間内に指等を接触し、かつ容積脈波の波形情報が類似した場合にのみ、第1及び第2の端末は接続可と判定される。したがって、接続(ペアリング)の可否をより正確に判定することが可能となる。
【0017】
第2の構成は、上記時間情報の重なりの度合いの算出に先立ち、第1及び第2の端末のキー情報に含まれる時間情報を、接続制御装置又は第1の端末に内蔵された時計手段の計時時刻を基準時刻として補正するようにしたものである。
接続可否を判定する際に、第1及び第2の端末間に内部時刻間の時差があると、時間情報の重なりの度合いを正確に算出することができず問題である。しかし、第1及び第2の端末によりそれぞれ生成された時間情報は、接続制御装置又は第1の端末内においてその内部時計の計時時刻を基準時刻として補正される。このため、統一された正しい時間軸の元で時間情報の重なりの度合いを算出することが可能となる。
【0018】
第3の構成は、上記容積脈波の波形情報間の距離の算出に先立ち、上記第1及び第2の端末のキー情報に含まれる容積脈波の各波形情報を、当該波形情報の最大値及び最小値に基づいて正規化するものである。
同一の仕様を持つ脈波センサを用いて同一の人間から同時刻に取得した複数の容積脈波波形を比較する実験を行ったところ、これらの波形の位相および形状は類似するが、一方で波形の振幅や波形の値がとりうる範囲は必ずしも一致しないという知見が得られた。しかし、上記したように波形情報の値がとりうる範囲を、接続対象となる第1及び第2の端末間で正規化しておくことにより、同一の人間の波形であるか否かの判定を簡単に行うことができる。また、ペアリング対象の各々の端末に搭載されている脈波センサが持つ仕様が異なる場合であっても容易に比較可能となる。
【0019】
第4の構成は、接続の可否を判定する際に、容積脈波の波形情報間の距離の算出に先立ち、上記正規化された各波形情報をさらに1階微分又は2階微分するものである。
このように、正規化された波形情報を微分した微分波形を用いて波形情報間の距離を算出することで、ユーザ間の波形の違いをより顕著にすることができ、複数のユーザがペアリングを行う際の精度を向上させることが可能になる。
【0020】
第5の構成は、接続の可否を判定する際に、容積脈波の波形情報間で、これらの波形情報のうち上記共通時間に含まれる波形のサンプリングデータ数を比較し、この比較の結果サンプリングデータ数が同数の場合には当該サンプリングデータ数を、異なる場合には少ない方のサンプリングデータ数をそれぞれ共通個数として選択する。そして、上記波形情報の各々についてその先頭位置から上記共通個数分のサンプリングデータを第1及び第2の波形データ系列として抽出し、この抽出された第1の波形データ系列と第2の波形データ系列との間で、順番が対応するサンプリングデータ同士の差分の2乗和を算出して、この算出された2乗和を上記共通個数で割り算することにより上記波形情報間の距離を算出するものである。
このようにすると、一定時間以上の重なりを持つ2つの波形情報において、成分ごとの差分を求めることで、波形情報同士の類似性を距離として算出することが可能となる。
【0021】
第6の構成は、上記容積脈波の波形情報間の距離を算出する際に、上記第1及び第2の波形データ系列の先頭又は末尾から位相ずれ量に相当する個数だけサンプリングデータを除外してそれぞれ第1及び第2の位相補正データ系列を生成する。そして、この生成された第1の位相補正データ系列と第2の位相補正データ系列との間で、順番が対応するサンプリングデータ同士の差分の2乗和を算出し、この算出された2乗和を、上記共通個数から上記位相ずれ量に相当するデータ個数を引き算した数で割り算することにより、上記波形情報間の距離を算出するものである。
一般に、端末間の内部時刻の時差を補正したとしても、端末間の個体差によっては波形情報間に位相のずれが存在する可能性がある。しかし、上記したように位相ずれを考慮した波形データ系列間で距離を算出することで、位相ずれについても補正を行ったペアリングが可能になる。
【発明の効果】
【0022】
すなわちこの発明によれば、接続対象となる端末の組が多数存在する状況下でも、特定の端末の組を簡単な操作でかつ衝突を生じることなく確実にペアリングすることを可能にした端末間接続システム、方法及びプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】この発明の第1の実施形態に係わる端末間接続システムの構成を示すブロック図。
【図2】図1に示したシステムの端末において行われるキー情報算出処理の手順と処理内容を示すフローチャート。
【図3】図1に示したシステムのペアリングサーバに設けられるキー情報記憶部に記憶されるキー情報の一例を示す図。
【図4】図1に示したシステムのペアリングサーバにおいて行われるペアリング処理の手順と処理内容を示すフローチャート。
【図5】図4に示したペアリング処理の手順のうちペアリング判定処理の手順と処理内容を示すフローチャート。
【図6】図5に示したペアリング判定処理の手順のうち脈波情報間の距離を計算する第1の方法を説明するための図。
【図7】図5に示したペアリング判定処理の手順のうち脈波情報間の距離を計算する第2の方法を説明するための図。
【図8】この発明の第2の実施形態に係わる端末間接続システムの構成を示すブロック図。
【図9】図8に示したシステムの端末により行われるペアリング処理の手順と処理内容を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照してこの発明に係わる実施形態を説明する。
(第1の実施形態)
この発明の第1の実施形態は、例えば多数の端末が存在する会議室において、接続対象となる第1の端末と第2の端末との間のペアリングの可否を、これらの端末が送信するキー情報に含まれる容積脈波の波形情報とその検出時間情報に基づいてペアリングサーバが判定し、ペアリング可能と判定された場合に以後上記第1及び第2の端末間でペアリングサーバを介してファイル転送を行うようにしたものである。
【0025】
図1は、この発明の第1の実施形態に係わる端末間接続システムの構成を示すブロック図であり、101,201はそれぞれ第1及び第2の端末を、301はペアリングサーバを示している。
先ず第1及び第2の端末101,201は、いずれも携帯電話機、スマートホン、PDA(Personal Digital Assistant)、ノート型のパーソナル・コンピュータのように持ち運び可能な情報端末からなり、この発明を実施するために必要な構成要素として、脈波センサ102,202と、キー情報算出部103,203と、送受信部104,204と、端末情報処理部105,205と、ファイル記憶部106,206と、情報表示部107,207を備えている。このうち、キー情報算出部103,203、送受信部104,204及び端末情報処理部105,205は、アプリケーション・プログラムを中央処理ユニット(CPU;Central Processing Unit)に実行させることにより実現される。
【0026】
脈波センサ102,202は、後述する端末情報処理部105,205から指定される脈波検出期間内に、ユーザの生体部位より生体情報である容積脈波を検出する。具体的には、生体部位に対して赤外線を発光するための発光素子と、生体部位に照射した赤外線のうち、生体部位の血液中に存在するヘモグロビンに吸収されずに散乱した赤外線を受光するための受光素子によって構成される。発光素子の一例としては赤外線LEDが、また受光素子の一例としてはフォトダイオードやフォトトランジスタが使用される。受光素子から出力された信号は、ローパスフィルタ回路及び増幅回路を介してアナログの脈波信号として取り出され、キー情報算出部103,203へ出力される。
【0027】
キー情報算出部103,203は、上記脈波センサ102,202から出力された脈波信号を受け取ると、この脈波信号から波形情報を算出する。また、端末情報処理部105,205から、上記脈波センサ102,202による脈波検出期間を表す情報及び端末の識別情報を取得し、上記算出された波形情報と、上記取得された検出期間情報及び端末識別情報とからなるキー情報を作成する。
【0028】
送受信部104,204は無線インタフェースを有し、上記キー情報算出部103,203により作成されたキー情報をペアリングサーバ301に向けて送信する。無線インタフェースとしては、例えばWiFi、Bluetooth(登録商標)、無線LAN(Local Area Network)、3G規格の携帯通信網等の公知の無線通信インタフェースが用いられる。
【0029】
ファイル記憶部106,206は、記憶媒体としてHDD(Hard Disc Drive)又はNAND型フラッシュメモリ等の大容量の不揮発性メモリを用いたもので、例えば会議で使用する資料のデータファイル等を格納するために用いられる。
【0030】
端末情報処理部105,205は、端末接続制御機能と、ファイル転送制御機能を備える。端末接続制御機能は、入力部(不図示)から端末の接続処理開始要求を受け取った場合に、ユーザに対する脈波検出のためのガイダンス情報を生成して情報表示部107,207に表示させると共に、脈波センサ102,202に対し脈波検出期間を指定するための動作開始信号及び終了信号を与える。また、キー情報を作成するために、キー情報算出部103,203に上記検出期間情報及び端末識別情報を出力する。ファイル転送制御機能は、他の端末との間が無線接続された状態で、ファイル記憶部106,206に記憶されたデータファイルの伝送制御を行う。
【0031】
情報表示手段107,207は例えば液晶ディスプレイからなり、上記端末情報処理部105,205の制御の下で、上記ガイダンス情報や、ペアリング処理の終了通知メッセージ、ファイル転送の完了通知メッセージ等を表示する。
【0032】
次に、ペアリングサーバ301はサーバコンピュータからなり、この発明を実施する上で必要な機能として、送受信部302と、キー情報記憶部303と、ペアリング処理部304と、ペア情報記憶部305と、時間情報補正部306を備えている。このうちペアリング処理部304及び時間情報補正部306は、アプリケーション・プログラムをCPUに実行させることにより実現される。
【0033】
送受信部302は、先に述べた端末101,201の送受信部と同様にWiFi、Bluetooth(登録商標)、無線LAN(Local Area Network)等の無線通信インタフェースを備え、会議室に存在する各端末から送信されたキー情報を受信してキー情報記憶部303に記憶させる処理機能と、後述するペアリング処理部304によるペアリング判定結果を送信する処理機能と、ペア情報記憶部305に記憶されたペアリング対象の端末アドレスに従い当該端末間でファイル転送を行う機能とを有する。
【0034】
キー情報記憶部303は、上記送受信部302により受信された各端末のキー情報を記憶するために用いられる。ペア情報記憶部305は、次に述べるペアリング処理部304により接続対象としてその正当性が認められた2台の端末の端末アドレスを互いに対応づけて記憶するために用いられる。
【0035】
時間情報補正部306は、上記キー情報記憶手段303に新たなキー情報が記憶されるごとに、このキー情報から検出期間情報を取り出し、この期間情報に含まれる検出開始時刻及び終了時刻を、ペアリングサーバ301に設けられている内蔵時計の時刻を基準時刻として補正する処理を行う。
【0036】
ペアリング処理部304は、上記キー情報記憶部303に記憶された各端末のキー情報のすべての組について、検出期間の重なりの度合いと、容積脈波の波形情報間の類似度をそれぞれ算出し、これらの算出結果をもとに接続の可否を判定する処理を行う。具体的には、各検出期間が互いに重なる共通時間が予め設定された時間以上で、かつ容積脈波の各波形情報間の距離が予め設定されたしきい値以下の場合に、当該キー情報を送信した2台の端末をペアリング対象と判定し、このペアリング対象と判定された2台の端末の端末アドレスをペア情報記憶部305に記憶させる。一方、上記2つの条件のいずれか一方でも満たさない場合には、当該2台の端末をペアリング対象としない。
【0037】
次に、以上のように構成されたシステムの動作を説明する。
ここでは、第1の端末101のユーザが、他のユーザが所有する第2の端末201をペアリング相手としてペアリングサーバ301に対しペアリングの許可を申請し、以後第1の端末101と第2の端末201との間でペアリングサーバ301を介してファイル転送を行う場合を例にとって説明する。
【0038】
(1)端末101,201におけるキー情報作成処理
ユーザは、先ず第1の端末101が備える入力部(不図示)を介して端末の接続開始要求を入力する。この接続開始要求を受け取ると第1の端末101は、端末情報処理部105が脈波センサ102に対する生態部位の接触を促すガイダンスメッセージを情報表示部107に表示させる。そして、それに続き脈波センサ102に対し検出開始信号を与え、予め設定した検出期間が経過した時点で停止信号を与える。
【0039】
ここで、上記検出期間は固定時間とするが、その長さは端末同士を接続する際のキー情報として十分長く、かつユーザに負担を与えない時間に設定することが好ましい。一般に、容積脈波の波形信号のピーク数は脈拍数に対応し、正常な人間の脈拍数は1分間に60回以上とされている。このため、上記数値から逆算すれば1周期分の脈波波形を検出するには1秒が必要になる。また、複数周期分の波形を取得しておくことにより、端末101と端末201との間で脈波信号の取得時間にずれが生じたとしてもそのずれを吸収することが可能となる。本実施形態では、この点を考慮して検出期間の長さを例えば2秒間〜3秒間に設定し、この期間に脈波の複数の波形を検出することにするが、検出期間の長さは必ずしもこの数値に限定されるものではない。
【0040】
上記ガイダンスメッセージが表示されるとユーザは、次に自身の第1の端末101とペアリング相手となる他ユーザの第2の端末201において、それぞれその脈波センサ102,202に対し自身の右人差し指及び左人差し指を同時に接触させる。そうすると第1の端末101の脈波センサ102では、上記検出開始信号が入力されてから終了信号が入力されるまでの期間に上記ユーザの左手人差し指から脈波が検出され、その脈波信号がキー情報算出部103に入力される。
【0041】
脈波信号が入力されるとキー情報算出部103では、図2に示すように先ずステップS11において、上記脈波信号から波形情報を算出する処理が以下のように行われる。
すなわち、先ず上記脈波信号をディジタル信号に変換し、さらにこのディジタル化された脈波信号の振幅をある範囲に正規化する。脈波信号をディジタル信号に変換する際には、1秒当たりのサンプル数を表すサンプリングレートは、脈波センサ102が取得した脈波信号の情報を失わず、なおかつデータ量が大きくなりすぎないこと値を設定することが望ましく、例えば100Hz又は200Hzに設定される。ただし、この数値に限定されるものではない。
【0042】
また、正規化方法としては以下の方法が用いられる。すなわち、先ずディジタル脈波信号に含まれる複数のサンプリングデータからその最小振幅値と最大振幅値を抽出する。そして、全サンプリングデータからそれぞれ上記最小振幅値を減算し、さらに全サンプリングデータを上記最大振幅値で除算する。この処理により、0以上1以下の値をとるサンプリングデータからなるディジタル波形のデータ系列を波形情報として得ることができる。また、上記振幅が正規化された波形のデータ系列に対し1階微分を行って1階微分信号を得、この1階微分信号を波形情報とする。なお、上記振幅が正規化された波形のデータ系列に対し2階微分を行って2階微分信号を得、この2階微分信号を波形情報としてもよく、さらに上記正規化された波形のデータ系列からピーク値を検出し、このピーク検出信号を波形情報としてもよい。
【0043】
次にキー情報算出部103は、ステップS12において、上記算出された波形情報に対し当該脈波の検出期間を表す時間情報を付与する。時間情報には、脈波センサ102が脈波信号を検出したときの検出開始時刻と終了時刻を用いる。
例えば、上記ステップS11で波形情報を算出する際にA/D変換および正規化が行われたとし、また脈波センサ102が脈波信号を検出したときの検出開始時刻が0時00分00秒00、終了時刻が0時00分05秒00だったとすれば、この検出開始時刻と終了時刻をそのまま時間情報として用いる。
【0044】
一方、ステップS11において波形情報を算出する際に、A/D変換および正規化に加えてピーク値のみを検出してこれを波形情報とした場合には、検出開始時刻と、A/D変換を行った際のサンプリングレートを用いてピークの時刻を算出し、この時刻を波形情報中のピーク値と関連づけて付与する。
【0045】
続いてキー情報算出部103は、ステップS13において、上記算出された波形情報に対し自己の端末101の端末アドレスを付与する。端末アドレスは端末101に対し固有に割り当てられた識別情報であり、一例としてIP(Internet Protocol)アドレスやMAC(Media Access Control)アドレス、IMEI(International Mobile Equipment Identity)が利用可能であるが、これに限定されず、端末101であることが識別可能な情報であればよい。
【0046】
最後に、第1の端末101は上記キー情報算出部103により作成されたキー情報を送受信部104からペアリングサーバ301に向け送信する。
上記第1の端末101で行われた脈波信号の検出からキー情報の作成と送信までの処理は、第2の端末201においても全く同様に行われる。
【0047】
(2)ペアリングサーバ301におけるペアリング判定処理
(2−1)キー情報の受信・記憶処理
ペアリングサーバ301では、各端末からのキー情報の到来を監視している。この状態で端末からキー情報が送信されると、これらのキー情報は送受信部302で受信されたのちキー情報記憶部303に記憶される。図3にこのキー情報記憶部303に記憶されたキー情報の一例を示す。
【0048】
(2−2)時間情報の補正処理
上記キー情報記憶部303に新たなキー情報が記憶されると、時間情報補正手段306がこの新たに記憶されたキー情報を読み出し、このキー情報に含まれる検出期間の時間情報をサーバ301の内蔵時計の計時時刻を基準に補正する。この時間情報の補正処理は、上記キー情報に含まれる端末アドレスを持つ端末の内部時刻を表す情報と、ペアリングサーバ301の内蔵時計の計時時刻との時差を算出し、この算出された時差を上記キー情報の時間情報に加算又は引き算することにより行われる。
【0049】
例えば、第1の端末101の内部時刻が西暦2010年1月1日12時01分00秒00であり、ペアリングサーバ301の内部時刻が西暦2010年1月1日12時01分05秒00であるとし、キー情報の時間情報における開始時刻が2010年1月1日12時00分55秒00、終了時刻が2010年1月1日12時00分58秒00だったとする。この場合、端末101の内部時刻はペアリングサーバ301の内部時刻を基準として5秒遅れていることになる。従って、この場合にはキー情報の開始時刻を2010年1月1日12時00分55秒00から5秒進ませた2010年1月1日12時01分00秒00へ、終了時刻を2010年1月1日12時00分58秒00から5秒進ませた2010年1月1日12時01分03秒00にそれぞれ補正する。なお、時差を算出する方法としてはSNTP(Simple Network Time Protocol)が知られている。
以上の時間補正処理は、第2の端末201から送られたキー情報に対しても同様に行われる。
【0050】
(2−3)ペアリング判定処理の概要
次にペアリングサーバ301は、ペアリング処理部304により、上記時間補正された検出期間情報を含むキー情報を用いて、キー情報記憶部303にキー情報が記憶された端末のすべての組み合わせについて端末間のペアリングの可否を判定する。図4はその処理手順と処理内容を示すフローチャートである。
【0051】
ペアリング処理部304は、先ずステップS20においてキー情報記憶部303におけるキー情報のレコード数が2以上であるか否かを判定し、1以下であればペアリング判定を行わずにそのまま処理を終了する。
【0052】
これに対しレコード数が2以上だったとする。この場合ペアリング処理部304は、先ずステップS21,S22においてキー情報記憶部303内の行数を示す変数i,jをそれぞれi=1,j=i+1に初期化し、次にステップS23によりi行目のキー情報とj行目のキー情報を読み出して比較することによりペアリングの可否を判定する。
【0053】
この判定の結果ペアリング不可であれば、ステップS24に移行して変数jの値がキー情報記憶部303におけるキー情報のレコード数に達したか否かを判定する。そして、jがレコード数に達していなければステップS25により変数jをインクリメントしてステップS23に戻り、このインクリメント後のj行目のキー情報を読み出して上記i行目のキー情報と比較することによりペアリングの可否を判定する。以後同様に、ペアリング可能と判定されるまで、jをインクリメントしてこのインクリメント後のj行目のキー情報と上記i行目のキー情報とを順次比較してペアリング可否を判定する処理を繰り返す。
【0054】
また、上記jの値がレコード数に達すると、次にステップS26に移行して変数iがレコード数に達したか否かを判定する。そして、iがレコード数に達していなければ、ステップS27により変数iをi=i+1にインクリメントしてステップS22に戻り、ここで変数jをj=i+1に初期化してステップS23に移行する。そして、上記インクリメント後のi行目のキー情報と上記初期化されたj行目のキー情報をキー情報記憶部303からそれぞれ読み出し、両者を比較することによりペアリング可否を判定する。この判定の結果ペアリング不可であれば、ステップS24,S25,S23により、上記インクリメント後のi行目のキー情報とj=i+1行目からj=(レコード数)行目までのキー情報とを順次比較してペアリングの可否を判定する処理を繰り返す。
以後同様に、iをインクリメントするごとに、このインクリメントされたi行目のキー情報とj=i+1行目からj=(レコード数)行目までのキー情報とを順次比較してペアリングの可否を判定する処理を繰り返す。
【0055】
さて、以上述べたペアリング可否の判定過程において、あるi行目のキー情報とあるj行目のキー情報とを比較した結果ペアリングの条件を満たし、ペアリング可と判定されたとする。そうするとペアリング処理部304は、ステップS23からステップS28に移行し、このときのi行目のキー情報とj行目のキー情報を相互に関連つけてペア情報記憶部305に格納する。そして、i行目のキー情報とj行目のキー情報をキー情報記憶部303から削除し、キー情報記憶部303の記憶情報を更新する。
【0056】
なお、上記したiとjのすべての組み合わせについてのペアリング可否の判定処理が終了すると、ペアリング処理部304は最後にステップS30において、記憶されてから予め設定された時間が経過したキー情報をキー情報記憶部303から削除する。
【0057】
(2−4)ペアリング判定処理の詳細
ところで、情報ステップS23によるペアリング判定処理は次のように行われる。図5はその処理手順と処理内容を示すフローチャートである。
すなわち、ペアリング処理部304は先ずステップS231において、i行目のキー情報に含まれる検出期間を示す時間情報とj行目のキー情報に含まれる検出期間を示す時間情報とを比較し、一定の時間長以上重なる領域が存在するか否かを判定する。この判定の結果、一定の時間長以上重なる領域があれば、上記i行目のキー情報を送信した端末とj行目のキー情報を送信した端末の組をペアリング可能な候補とし、ステップS232へ移行する。これに対し一定の時間長以上重なる領域がなければ、ステップS235に移行して当該端末の組はペアリング不可と判定する。
【0058】
例えば、i行目のキー情報が含む時間情報の開始時刻が2010年1月1日12時00分55秒00、終了時刻が2010年1月1日12時00分58秒00であり、j行目のキー情報が含む時間情報の開始時刻が2010年1月1日12時00分56秒00、終了時刻が2010年1月1日12時00分59秒00だったとする。そして、予め実験等により上記重なる時間領域の条件を例えば1秒に設定すると、i行目のキー情報が含む時間情報とj行目のキー情報が含む時間情報とは2秒間重なっており、上記重なる時間領域の条件を満たしていると判定される。これに対し、図3に示したレコードNo3とNo4のキー情報のように時間情報の重なりがない場合には、上記した重なる時間領域の条件(1秒以上)を満たさないと判定され、上記レコードNo3とNo4のキー情報はペアリング不可と判定される。
【0059】
上記ステップS232に移行するとペアリング処理部304は、当該ステップS232において、i行目のキー情報に含まれる波形情報とj行目のキー情報に含まれる波形情報との間の距離Dを求め、この距離Dが予め設定したしきい値以下であるか否かをステップS233で判定する。そして、この判定の結果、距離Dがしきい値以下であればステップS234に移行し、上記i行目のキー情報を送信した端末とj行目のキー情報を送信した端末との組をペアリング可能と判定する。一方、距離Dがしきい値を超えている場合には、ステップS235において上記i行目のキー情報を送信した端末とj行目のキー情報を送信した端末との組はペアリング不可と判定する。
【0060】
上記波形情報間の距離Dの算出方法には、次の2つの方法が考えられる。
[第1の距離算出方法]
先ず、i行目のキー情報に含まれる波形情報とj行目のキー情報に含まれる波形情報とが時間的に重なる共通領域において、2つの波形情報に存在するサンプル点の個数を統一する。波形情報に存在するサンプル点の個数を統一する方法としては、2つの波形情報のうち、サンプル点が多く存在する波形情報サンプル点の末尾から、多い分だけサンプル点を除去するものが考えられる。ここで、統一されたサンプル点の個数をMで表し、共通領域における、i行目のキー情報に含まれる波形情報のうちM個に統一された波形情報をSi1,…SiMで表し、また、j行目のキー情報に含まれる波形情報のうちM個に統一された波形情報をSj1,…SjMで表すことにする。
【0061】
次に、サンプル点がそれぞれM個に統一された2つの波形情報の先頭から順番にサンプル点ごとにその差を2乗して足し合わせ、この足し合わせた値を足し合わせた個数であるMで割った値を距離と定義し、この距離を類似性の尺度として用いる。距離Dは以下の式で表される。
【数1】

この式において、mは2つの波形情報のサンプル点のうち先頭からm番目であるということを表す。すなわち、Simはi行目の波形情報の先頭からm番目のサンプル点を表す。かくして、共通領域における2つの波形情報の距離Dが算出される。
【0062】
図6は、以上述べた第1の距離算出方法による距離算出処理、つまり波形情報間の位相ずれを考慮しない場合の距離算出処理の一例を示すものである。同図において、共通領域内には、第1の波形Siに8個のサンプル点が、一方第2の波形Sjには9個のサンプル点が存在している。そこで、第2の波形Sjからサンプル点を1個削除して8個とし、その上で第1及び第2の波形の8個のサンプル点同士でその差を求める。そして、これらの差の2乗和を算出し、この2乗和の算出値をサンプル数の8で割り算することにより距離を算出する。
【0063】
[第2の距離算出方法]
先ず、サンプル点がそれぞれM個に統一された2つの波形情報の先頭から順番にサンプル点ごとにその差を2乗して足し合わせ、しかる後この足し合わせた値を足し合わせた個数であるMで割り算する。そして、これにより得られた距離を暫定距離としてメモリに保持しておく。
【0064】
次に、i行目のキー情報が含む波形情報の先頭から1つのサンプル点を取り除いた新たな波形情報であるSi2,…,SiMと、j行目のキー情報が含む波形情報の末尾から1つのサンプル点を取り除いた新たな波形情報であるSj1,…,SjM−1をそれぞれ生成する。そして、これら2つのそれぞれM−1個のサンプル点を持つ新たな波形情報の先頭から順にサンプル点ごとにその差分を求め、この求められた各サンプル点の差分の2乗和を求め、しかる後この2乗和を足しあわせた回数である(M−1)で割る。これにより、1サンプル点分の位相ずれを考慮した、2つの波形情報の類似度が算出される。ここで算出したM−1個のサンプル点同士を比較した際の類似度と、M個のサンプル点同士を比較した際の類似度とを比較し、値が小さい、つまり類似度が高い方の値で暫定類似度を更新する。
【0065】
続いて、i行目のキー情報が含む波形情報の先頭から2つのサンプル点を取り除いた新たな波形情報であるSi3,…,SiMと、j行目のキー情報に含まれる波形情報の末尾から2つのサンプル点を除去した新たな波形情報であるSj1,…,SjM−2をそれぞれ生成する。そして、これら2つのそれぞれM−2個のサンプル点を持つ新たな波形情報の先頭から順に、やはりサンプル点ごとにその差分をとる。そして、このサンプル点ごとの差分を2乗して足し合わせ、しかる後この2乗和の値を足し合わせた回数である(M−2)で割り、2サンプル点分の位相ずれを考慮した2つの波形情報の類似度を算出する。そして、この算出した類似度を上記暫定類似度と比較し、算出した類似度が暫定類似度を下回る場合には、上記暫定類似度を2サンプル点分の位相ずれを考慮した2つの波形情報の類似度で更新する。
【0066】
このような位相ずれを考慮した類似度の算出と暫定類似度との比較および更新処理を、先頭および末尾から除去するサンプル点の個数を1ずつ増やしながら、予め規定しておいた位相ずれの上限数まで行い、その後暫定距離を最終的な距離としてDで表す。
【0067】
このようにすることで、端末に依存した個体差に起因する位相ずれが波形情報に存在する場合でも、この位相ずれを吸収して波形情報同士の類似度を正しく算出することが可能となる。ここで、先頭および末尾から除去するサンプル点の個数を小文字のlで表し、また先頭および末尾からl個のサンプル点を除去した波形情報同士の距離をdlとすると、dlは次の式で表される。
【数2】

すなわち、M個のサンプル点を用いて2つの波形情報同士の距離を算出する場合には、この式においてl=0とした時の値を求めればよく、また1サンプル点分だけ位相ずれを考慮した場合の距離は、この式においてl=1とした時の値を求めればよい。
【0068】
図7は、以上述べた第2の距離算出方法による算出処理の一例を示すもので、2個のサンプル点までの位相ずれを考慮した場合を示している。同図において、先ず共通領域内における第1の波形及び第2の波形のサンプル点の数を8個に統一する。そして、先頭および末尾から除去するサンプル点の個数を1ずつ増やしながら、予め規定しておいた位相ずれの上限数(例えば2個)までサンプル点間の類似度の算出及び距離の計算を行い、これらの計算によりそれぞれ得られた距離のうち最小となる値を、上記波形情報間の距離Dとする。
【0069】
(2−5)端末間のファイル転送処理
上記すべての端末の組み合わせに対するペアリング判定が終了すると、ペアリングサーバ301はこのペアリング判定結果に従い端末間接続処理を以下のように実行する。
すなわち、いま例えばペア情報記憶部305に、ペアリングが許可された端末の組み合わせとして、第1の端末101及び第2の端末201の端末アドレスが記憶されていたとする。
【0070】
この場合ペアリングサーバ301は、送受信部302の制御の下で、ペア情報記憶部305から上記ペアリングが許可された第1の端末101及び第2の端末201の端末アドレスを読み出し、これらの端末101,201に対し接続が確立した旨を表す接続確立信号を送信する。これに対し第1及び第2の端末101,201は、上記接続確立信号を送受信手段104,204により受信すると、端末情報処理部105,205の制御の下で、情報表示部107,207に接続が確立した旨のメッセージを表示させる。
【0071】
この表示メッセージを確認したユーザが、第1の端末101においてファイル記憶部106に記憶されたファイルの中から転送対象のファイルを選択して送信操作を行うと、端末情報処理部105がファイル記憶部106から上記ユーザが選択したファイルを読み出し、このファイルをペアリングサーバ301へ送信する。これに対しペアリングサーバ301は、上記第1の端末101から送信されたファイルを送受信部302により受信すると、ペア情報記憶部305から上記端末101とのペアリングが許可されている端末、つまり端末101との間の接続が確立している第2の端末102の端末アドレスを読み出す。そして、宛先アドレスをこの第2の端末201の端末アドレスに置き換え、前記ファイルを第2の端末201へ向け送信する。第2の端末201は、上記ペアリングサーバ301の送受信部302から送信されたファイルを送受信部204で受信する。そして、端末情報処理部205の制御の下で、上記受信されたファイルをファイル記憶部206に格納すると共に、情報表示部207にファイルが到着した旨のメッセージを表示させる。
【0072】
なお、上記ファイル転送終了後にユーザが第1の端末101においてペアリング解消操作を行うと、その旨の要求信号がペアリングサーバ301に送られる。この解消要求信号を受信すると、ペアリングサーバ301はペア情報記憶部305の該当する端末アドレスを削除する。
【0073】
以上詳述したように第1の実施形態では、ペアリング対象の2台の端末101,201において、ユーザが脈波センサ102,202に対しそれぞれ右人差し指と左人差し指をほぼ同時に接触させると、これらの端末101,201がそれぞれ上記ユーザの人差し指から検出された容積脈波の波形情報とその検出時間を表す時間情報と端末アドレスを含むキー情報をキー情報算出部103,203により作成し、送受信部104,204からペアリングサーバ301へ送信する。これに対しペアリングサーバ301は、上記各端末101,201から送られたキー情報を送受信部302で受信してキー情報記憶部303に格納する。そして、ペアリング処理部304により上記キー情報同士を照合し、時間情報同士が一定時間以上重なる共通領域を有しかつ波形情報間の距離が一定値以下であれば、上記端末101,201をペアリング可と判定してその端末アドレスをペア情報記憶部305に保存し、以後この保存され端末アドレスを用いて端末101,201間のファイル転送を中継制御するようにしている。
【0074】
したがって、第1及び第2の端末101,201においてそれぞれ検出された同一ユーザの容積脈波の波形情報とその検出時間情報を照合することで、多数の端末が存在するような状況下でも、上記第1及び第2の端末101,201間を確実にペアリングすることが可能となる。また、ペアリングに際しユーザは、接続対象となる第1及び第2の端末101,201の脈波センサ102,202に自身の左人差し指及び右手人差し指をほぼ同時に当接させるだけでよいので、識別情報を手入力したり多数の端末が登録されたリストから接続相手の端末を選択する必要がなくなり、これにより操作上の負担を大幅に軽減することができる。
【0075】
また、上記キー情報の照合に先立ち、その送信元の第1及び第2の端末101,201の内蔵時計の計時時刻とペアリングサーバ301の内蔵時計の計時時刻との差を検出し、この差をもとに上記第1及び第2の端末101,201のキー情報に含まれる時間情報を補正するようにしている。このため、第1及び第2の端末101,201間に時間ずれがあっても、その影響をなくして時間情報の照合を常に正確に行うことができる。
【0076】
さらに、容積脈波の波形情報間の類似度を判定する際に、各波形情報をその最大値及び最小値に基づいて正規化するようにしている。このようにすると、同一の人間から同時刻に取得した2つの容積脈波波形の振幅や波形の値が一致していなくても、或いは脈波センサ102,202間で特性にばらつきがあっても、同一の人間の波形であることを簡単かつ正確に判定することができる。その上、上記正規化された各波形情報を1階微分又は2階微分するようにしているので、ユーザ間の波形の違いをより顕著にすることができ、これによりユーザ間の識別精度をより一層高めることができる。
【0077】
さらに、波形情報間の距離Dの算出方法として、一定時間以上の重なりを持つ2つの波形情報において成分ごとの差分を求める方法を採用することで、波形情報同士の類似性を距離として算出することが可能となる。
また、上記第1及び第2の波形データ系列の先頭又は末尾から位相ずれ量に相当する個数だけサンプリングデータを除外してそれぞれ第1及び第2の位相補正データ系列を生成し、この生成された第1の位相補正データ系列と第2の位相補正データ系列との間で、順番が対応するサンプリングデータ同士の差分の2乗和を算出して、この算出された2乗和を上記共通個数から上記位相ずれ量に相当するデータ個数を引き算した数で割り算するようにしている。このようにすると、端末間の個体差によっては波形情報間に位相のずれが存在する場合でも、上記したように位相ずれを考慮した波形データ系列間で距離を算出することで、位相ずれについても補正を行ったペアリングが可能になる。
【0078】
(第2の実施形態)
この発明の第2の実施形態は、接続対象となる第1の端末と第2の端末との間のペアリングの可否を、第1の端末が、第2の端末からそのキー情報を取得して第1の端末のキー情報と照合することにより判定するようにしたものである。
【0079】
図8は、この発明の第2の実施形態における端末間接続システムの構成を示すブロック図であり、11はマスタ端末、21はスレーブ端末を示している。なお、同図において前記図1と同一部分には同一符号を付して詳しい説明は省略する。
【0080】
先ずマスタ端末11は、この発明を実施するために必要な構成要素として、前記第1の実施形態と同様に、脈波センサ102と、キー情報算出部103と、送受信部104と、端末情報処理部105と、ファイル記憶部(図示省略)と、情報表示部107とを備え、さらにペアリング処理部108と、時間情報補正部109と、キー情報記憶部110と、ペア情報記憶部111を備えている。このうち、キー情報算出部103、送受信部104、端末情報処理部105、ペアリング処理部108及び時間情報補正部109は、アプリケーション・プログラムをCPUに実行させることにより実現される。
【0081】
ペアリング処理部108は以下の処理機能を有している。
(1) キー情報算出部103によりマスタ端末11のキー情報が作成されると、無線ネットワーク上に存在するスレーブ端末21に対して送受信部104から問い合わせ信号を送信する。そして、この問い合わせに対しスレーブ端末21から送信されるキー情報が送受信部104で受信されると、この受信されたスレーブ端末21のキー情報をキー情報記憶部110に格納する処理。
(2) 上記キー情報記憶部110に記憶されたスレーブ端末21のキー情報と、キー情報算出部103により作成されたマスタ端末11のキー情報とを照合し、マスタ端末11とスレーブ端末21とがペアリング可能か否かを判定する。そして、ペアリング可能と判定されたスレーブ端末21の端末アドレスをペア情報記憶部111に格納する処理。
【0082】
時間情報補正部109は、上記ペアリング処理部108によるキー情報の照合処理に先立ち、上記キー情報記憶部110に記憶されたキー情報を送信したスレーブ端末21の内蔵時計の計時時刻と、マスタ端末11の内蔵時計の計時時刻との差を求め、この差をもとに上記キー情報記憶部110に記憶されたスレーブ端末21のキー情報に含まれる時間情報を補正する処理を行う。
【0083】
次にスレーブ端末21は、この発明を実施するために必要な構成要素として、脈波センサ202と、キー情報算出部203と、送受信部204と、端末情報処理部205と、ファイル記憶部(図示省略)と、情報表示部207に加え、ペアリング処理部208をさらに備えている。このうち、キー情報算出部203、送受信部204、端末情報処理部206及びペアリング処理部208は、アプリケーション・プログラムをCPUに実行させることにより実現される。
【0084】
ペアリング処理部208は、キー情報算出部203によりキー情報が作成された状態で予め設定された時間待機し、マスタ端末11から送信された問い合わせ信号が送受信部204で受信されると、上記作成されたキー情報をマスタ端末11に向け送受信部204から送信する処理を行う。また、上記待機時間が経過してもマスタ端末11から問い合わせ信号が到来しない場合には、上記作成されたキー情報を削除する。なお、待機時間は例えば30秒に設定される。
【0085】
次に、以上のように構成されたシステムの動作を説明する。図9はマスタ端末11による処理手順と処理内容を示すフローチャートである。
マスタ端末11及びスレーブ端末21において、キー情報算出部103,203によりユーザの容積脈波の波形情報とその検出時間情報と端末アドレスを含むキー情報が作成されるまでの処理は、先に述べた第1の実施形態と同じである。
【0086】
上記キー情報が作成されるとマスタ端末11は、ペアリング処理部108の制御の下で、ステップS41により自端末との通信範囲内に存在するスレーブ端末に向け問い合わせ信号を送信する。これに対しスレーブ端末21のペアリング処理部208は、キー情報算出部203によりキー情報が作成された状態で待機する。そして、この状態で予め設定された時間、例えば30秒以内にマスタ端末11から問い合わせ信号が到来すると、上記作成されたキー情報をマスタ端末11に向け送受信部204から送信する。なお、上記待機時間が経過してもマスタ端末11から問い合わせ信号が到来しない場合には、上記作成されたキー情報を削除する。
【0087】
マスタ端末11のペアリング処理部108は、上記問い合わせ信号の送信後にスレーブ端末21から返送されるキー情報が送受信部104で受信されると、この受信されたキー情報をステップS42によりキー情報記憶部110に格納する。なお、複数のスレーブ端末からキー情報が到来した場合にも、これらのキー情報をキー情報記憶部110に格納する。
【0088】
キー情報記憶部110に新たなキー情報が記憶されると、時間情報補正部109が上記記憶された新たなキー情報を読み出し、このキー情報に含まれる端末アドレスをもとに送信元のスレーブ端末21を特定する。そして、このスレーブ端末21の内蔵時計(図示せず)の計時時刻と、マスタ端末11の内蔵時計(図示せず)の計時時刻との差を求め、この差をもとに上記キー情報記憶部110に新たに記憶されたスレーブ端末21のキー情報に含まれる時間情報を補正する。なお、時差を算出する方法としては公知のSNTP(Simple Network Time Protocol)が用いられる。
【0089】
上記時間補正処理が終了するとペアリング処理部108は、上記キー情報記憶部110に記憶されたスレーブ端末21のキー情報と、自己のマスタ端末11で作成されたキー情報とを照合して、マスタ端末11とペアリングが可能なスレーブ端末21があるか否かを判定する。以下にその処理手順と処理内容を説明する。
【0090】
すなわち、ペアリング処理部108は、先ずステップS43においてキー情報記憶部110におけるキー情報のレコード数が1以上であるか否か、つまりキー情報が記憶されているか否かを判定し、1個も記憶されていなければペアリング判定を行わずにそのまま処理を終了する。
【0091】
これに対しキー情報が記憶されていた場合には、ステップS44においてキー情報記憶部110内の行数を示す変数iをi=1に初期化し、次にステップS45によりi行目のキー情報を読み出して、キー情報算出部103で作成されたマスタ端末11のキー情報と照合する。この照合処理では、波形情報間の距離が一定値以下であるか否かを判定し、波形情報間の距離が一定値以下であれば、マスタ端末11と上記i番目のスレーブ端末21とはペアリング可能と判定する。
【0092】
なお、上記ペアリングの可否の判定処理では、前記第1の実施形態と同様に、時間情報の重なりが一定時間以上あるか否かと、波形情報間の距離が一定値以下であるか否かをそれぞれ判定し、時間情報の重なりが一定時間以上でかつ波形情報間の距離が一定値以下の場合に、ペアリング可能と判定する。
【0093】
上記照合の結果ペアリング可能と判定されると、ペアリング処理部108はステップS46により上記i番目のスレーブ端末の端末アドレス情報をペア情報記憶部111に格納する。そして、最後にステップS49においてキー情報記憶部110からキー情報を削除し、処理を終了する。
【0094】
一方、上記ステップS45により照合の結果、波形情報間の距離が一定値を超えていたとする。この場合ペアリング処理部108は、マスタ端末11と上記i番目のスレーブ端末とはペアリング不可であると判断する。そして、ステップS47に移行し、ここでiの値がレコード数の合計値に達しているか否かを判定し、達していればこのまま処理を終了する。
【0095】
これに対し、iの値がレコード数の合計値に達していなければ、つまり未照合のキー情報が残っていれば、ステップS48によりiをi=i+1にインクリメントした後ステップS46に戻り、このインクリメント後のi番目のキー情報とマスタ端末11のキー情報とを照合する。そして、この照合の結果、波形情報間の距離が一定値より大きければ、再度上記ステップS48によりiの値をインクリメントしてステップS35による照合処理を繰り返す。
【0096】
そして、上記照合処理の繰り返しにより、波形情報間の距離が一定値以下のキー情報が見つかると、当該キー情報を送信したスレーブ端末をペアリング相手の端末と判断してステップS46に移行し、その端末アドレスをペア情報記憶部111に格納し、最後にステップS49によりキー情報記憶部110に記憶されたキー情報をすべて削除し、処理を終了する。
【0097】
以後、マスタ端末11と、上記ペア情報記憶部111に端末アドレスが記憶されたスレーブ端末21との間では、端末情報処理部105,205の制御の下で無線ネットワークを介して直接ファイル転送することが可能となる。
【0098】
以上詳述したように第2の実施形態では、接続対象となるマスタ端末11とスレーブ端末21との間のペアリングの可否を、マスタ端末11が、スレーブ端末21からそのキー情報を取得してマスタ端末11のキー情報と照合することにより判定するようにしている。そして、この判定結果に基づいて、マスタ端末11の制御の下でスレーブ端末21との間でファイル転送を行うようにしている。
【0099】
したがって、この第2の実施形態においても、先に述べた第1の実施形態と同様に、同一ユーザの容積脈波の波形情報の照合結果をもとに、多数の端末が存在するような状況下でも、上記マスタ端末11とスレーブ端末21間を確実にペアリングすることが可能となる。また、ペアリングに際しユーザは、接続対象となるマスタ端末11とスレーブ端末21の脈波センサ102,202に自身の左右の人差し指をほぼ同時に当接させるだけでよいので、識別情報を手入力したり多数の端末が登録されたリストから接続相手の端末を選択する必要がなくなり、これにより操作上の負担を大幅に軽減することができる。
【0100】
また、上記キー情報の照合処理に先立ち、その送信元のスレーブ端末21の内蔵時計の計時時刻とマスタ端末11の内蔵時計の計時時刻との差を検出し、この差をもとに上記マスタ端末21のキー情報に含まれる時間情報を補正するようにしている。このため、マスタ端末11とスレーブ端末21との間に時間ずれがあっても、その影響をなくして照合処理を正確に行うことができる。
さらに、第2の実施形態によれば、ペアリングサーバに頼ることなく端末間で直接ペアリングの可否を判定し、その判定結果に基づいて直接ファイル転送を行うことができる。
【0101】
なお、この発明は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、入力部(不図示)として静電容量式のタッチパネルを用いることにより、ユーザがこのタッチパネルの脈波センサ102に対応する位置を指で触れることで容積脈波の検出を開始し、ユーザが上記タッチパネルから指を離すことで検出動作を終了するようにしてもよい。
【0102】
また、前記第2の実施形態ではマスタ端末11にのみ、時間情報補正部109と、キー情報記憶部110及びペア情報記憶部111を設けたが、これらの構成要素をすべての端末に設け、どのすべての端末が必要に応じてマスタ端末として動作できるようにしてもよい。
その他、端末の種類とその構成、その処理手順と処理内容、接続制御装置の種類とその構成、その処理手順と処理内容等についても、この発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施可能である。
【0103】
要するにこの発明は、上記各実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記各実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を形成できる。例えば、各実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合せてもよい。
【符号の説明】
【0104】
11,21,101,201…端末、102,202…脈波センサ、103,203…キー情報算出部、108,208,304…ペアリング処理部、104,204,302…送受信部、111,305…ペア情報記憶部、110,303…キー情報記憶部、105,205…端末情報処理部、107,207…情報表示部、106,206…ファイル記憶部、301…ペアリングサーバ、109,306…時間情報補正部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の端末と第2の端末との間を無線回線を介して1対1に接続する際の手順を接続制御装置を介して実行する端末間接続システムであって、
前記第1及び第2の端末は、
同一ユーザの生体部位から容積脈波に関する情報を検出する脈波センサと、
前記脈波センサにより検出された容積脈波に関する情報を含むキー情報を生成し、この生成されたキー情報を前記接続制御装置へ送信するキー情報生成手段と
を備え、
前記接続制御装置は、
前記第1及び第2の端末から送信されたキー情報をそれぞれ受信する手段と、
前記受信された第1の端末のキー情報と第2の端末のキー情報とを照合することにより、当該第1の端末と第2の端末との間の接続の可否を判定する接続可否判定手段と、
前記接続の可否の判定結果に基づいて前記第1の端末と第2の端末との間の接続を制御する接続制御手段と
を備えることを特徴とする端末間接続システム。
【請求項2】
第1の端末と第2の端末との間を無線回線を介して1対1に接続する際の手順を、当該第1の端末が実行する端末間接続システムであって、
前記第1及び第2の端末は、
ユーザの生体部位から容積脈波に関する情報を検出する脈波センサと、
前記脈波センサにより検出された容積脈波に関する情報を含むキー情報を生成するキー情報生成手段と
を備え、
前記第1の端末は、
前記第2の端末から第2の端末のキー情報を取得する手段と、
前記取得された第2の端末のキー情報と前記生成された第1の端末のキー情報とを照合することにより、前記第2の端末との間の接続の可否を判定する接続可否判定手段と、
前記接続の可否の判定結果に基づいて前記第2の端末との間の接続を制御する手段と
を備えることを特徴とする端末間接続システム。
【請求項3】
前記キー情報生成手段は、
前記脈波センサにより検出された容積脈波の波形情報と、当該容積脈波の検出期間を表す時間情報と、端末の識別情報とを含むキー情報を生成し、
前記接続可否判定手段は、
前記第1の端末のキー情報と第2の端末のキー情報との間で、時間情報の重なりの度合いと容積脈波の波形情報間の距離をそれぞれ算出し、これらの算出結果をもとに接続の可否を判定することを特徴とする請求項1又は2記載の端末間接続システム。
【請求項4】
前記接続可否判定手段は、
前記各時間情報が互いに重なる共通時間が予め設定された時間以上で、かつ容積脈波の各波形情報間の距離が予め設定されたしきい値以下であるか否かを判定し、この条件を満たす場合に第1の端末と第2の端末とを接続可能とすることを特徴とする請求項3記載の端末間接続システム。
【請求項5】
前記接続可否判定手段は、
内部時刻を計時する時計手段と、
前記時間情報の重なりの度合いの算出に先立ち、前記第1及び第2の端末のキー情報に含まれる時間情報を前記時計手段により計時された内部時刻を基準時刻として補正する手段と
を、さらに備えることを特徴とする請求項3又は4記載の端末間接続システム。
【請求項6】
前記接続可否判定手段は、
前記容積脈波の波形情報間の距離の算出に先立ち、前記第1及び第2の端末のキー情報に含まれる容積脈波の各波形情報を、当該波形情報の最大値及び最小値に基づいて正規化することを特徴とする請求項3又は4記載の端末間接続システム。
【請求項7】
前記接続可否判定手段は、
前記容積脈波の波形情報間の距離の算出に先立ち、前記正規化された各波形情報をさらに1階微分又は2階微分することを特徴とする請求項6記載の端末間接続システム。
【請求項8】
前記接続可否判定手段は、
容積脈波の波形情報間で、これらの波形情報のうち前記共通時間に含まれる波形のサンプリングデータ数を比較し、この比較の結果サンプリングデータ数が同数の場合には当該サンプリングデータ数を、異なる場合には少ない方のサンプリングデータ数をそれぞれ共通個数として選択する手段と、
前記波形情報の各々について、その先頭位置から前記共通個数分のサンプリングデータを第1及び第2の波形データ系列として抽出する手段と、
前記抽出された第1の波形データ系列と第2の波形データ系列との間で、順番が対応するサンプリングデータ同士の差分の2乗和を算出して、この算出された2乗和を前記共通個数で割り算することにより前記波形情報間の距離を算出する手段と
を有することを特徴とする請求項4記載の端末間接続システム。
【請求項9】
前記容積脈波の波形情報間の距離を算出する手段は、
前記第1及び第2の波形データ系列の先頭又は末尾から位相ずれ量に相当する個数だけサンプリングデータを除外してそれぞれ第1及び第2の位相補正データ系列を生成する手段と、
前記生成された第1の位相補正データ系列と第2の位相補正データ系列との間で、順番が対応するサンプリングデータ同士の差分の2乗和を算出し、この算出された2乗和を、前記共通個数から前記位相ずれ量に相当するデータ個数を引き算した数で割り算することにより、前記波形情報間の距離を算出する手段と
を有することを特徴とする請求項8記載の端末間接続システム。
【請求項10】
第1の端末と第2の端末との間を無線回線を介して1対1に接続する際の手順を接続制御装置を介して実行する端末間接続方法であって、
前記第1及び第2の端末が、脈波センサにより同一ユーザの生体部位から容積脈波に関する情報を検出する過程と、
前記第1及び第2の端末が、前記脈波センサにより検出された容積脈波に関する情報を含むキー情報を生成し、この生成されたキー情報を前記接続制御装置へ送信する過程と、
前記接続制御装置が、前記第1及び第2の端末から送信されたキー情報をそれぞれ受信する過程と、
前記接続制御装置が、前記受信された第1の端末のキー情報と第2の端末のキー情報とを照合することにより、当該第1の端末と第2の端末との間の接続の可否を判定する過程と、
前記接続制御装置が、前記接続の可否の判定結果に基づいて前記第1の端末と第2の端末との間の接続を制御する過程と
を具備することを特徴とする端末間接続方法。
【請求項11】
第1の端末と第2の端末との間を無線回線を介して1対1に接続する際の手順を、当該第1の端末が実行する端末間接続方法であって、
前記第1及び第2の端末が、脈波センサを用いてユーザの生体部位から容積脈波に関する情報を検出する過程と、
前記第1及び第2の端末が、前記脈波センサにより検出された容積脈波に関する情報を含むキー情報を生成する過程と、
前記第1の端末が、前記第2の端末から第2の端末のキー情報を取得する過程と、
前記第1の端末が、前記取得された第2の端末のキー情報と前記生成された第1の端末のキー情報とを照合することにより、前記第2の端末との間の接続の可否を判定する過程と、
前記第1の端末が、前記接続の可否の判定結果に基づいて前記第2の端末との間の接続を制御する手段と
を具備することを特徴とする端末間接続方法。
【請求項12】
前記キー情報を生成する過程は、
前記脈波センサにより検出された容積脈波の波形情報と、当該容積脈波の検出期間を表す時間情報と、端末の識別情報とを含むキー情報を生成し、
前記接続可否を判定する過程は、
前記第1の端末のキー情報と第2の端末のキー情報との間で、時間情報の重なりの度合いと容積脈波の波形情報間の距離をそれぞれ算出し、これらの算出結果をもとに接続の可否を判定することを特徴とする請求項10又は11記載の端末間接続方法。
【請求項13】
請求項1乃至3のいずれかに記載の端末間接続システムが備える各手段の処理を、前記第1及び第2の端末が備えるコンピュータと前記接続制御装置が備えるコンピュータに分散して実行させるプログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2012−105100(P2012−105100A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−252333(P2010−252333)
【出願日】平成22年11月10日(2010.11.10)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】