競合示差スクリーニング
本発明はスクリーニングのための新規な方法を説明する。特に、本発明は競合示差スクリーニングのための方法を提供する。幾つかの好ましい態様において、本発明は、タイトバインダーの同定を促進する競合示差スクリーニングを提供する。幾つかの好ましい態様において、本発明に用いる作用物質は、タイト及びウィークバインダーを含む。他の態様において、本発明は標的を認識して結合する競合バインダーを用いる方法を提供するが、競合バインダーの結合は所望のバインダーよりも弱い。
【発明の詳細な説明】
【発明の分野】
【0001】
本発明は所望の化合物をスクリーニングするための方法を提供する。特に、本発明は競合示差スクリーニングのための方法を提供する。幾つかの好ましい態様において、本発明はタイトバインダーの同定を促進する競合示差スクリーニングを提供する。幾つかの好ましい態様において、本発明の方法に用いられている作用物質はタイト及びウィークバインダーを含む。他の態様において、本発明は標的を認識し結合するが、所望のバインダーよりも弱い結合を示す競合的バインダーを用いる方法を提供する。
【背景技術】
【0002】
近年用いられている所望の化合物(例えば、バインダー)をスクリーニング及び/又は同定するための方法は、各種化合物のプールを表面に固定された抗―標的(すなわち、予め選択された望ましくない標的)とインキュベートする工程と、抗−標的に結合していない化合物を洗浄して除去する工程と、洗浄により除去された化合物を第二又は新たな標的源に適用する工程とを含む。抗―標的を用いたインキュベーションは、望ましくない標的に結合する化合物のプールを減少させる。従って、前記工程は、抗―標的に結合する化合物を選別して除き、所望の化合物を同定するために用いられるアッセイにおいてコンタミネーションがより少なく、バックグラウンドの低いプールを提供する。幾つかのアッセイシステムにおいて、標的又は抗−標的を選択する及び選択しないいくつかのラウンドが存在する。
【0003】
コンタミネーションはしばしば重要な問題となる。プールが共通の標的を排除することができないので、バックグラウンドノイズが発生する。コンタミネーション及びバックグラウンドノイズ、特に、共通の標的を減らすための方法は発展し、そのような幾つかの方法が存在する。それらの方法には、共通の標的に対するバインダーを効果的に選別して排除することを意図したブロッキング又はプレクリーニング工程が含まれる。例えば、スキムミルクタンパク質又は他の共通するタンパク質は、多くの共通する標的を含んでいるので、ブロッキング又はプレクリーニング工程に用いられる。ブロッキング又はプレクリーニング工程は、低刺激性洗浄剤(例えば、TWEEN(登録商標)−20又はTritonX−100)を用いて行われることもある。
【0004】
各種イムノアッセイシステムに加えて、これらのアプローチはファージ提示方法に用いられている。例えば、汚染エピトープに対するブロッキング又はプレクリーニング工程はファージ濃縮(enrichment)を減らすために用いられてきた。このアプローチにおいて、ファージは、所望の化合物に特異的な標的を有さない固形相でプレインキュベートされる。ファージは、その後選択され、続いて所望の標的に対してインキュベートされる。これらの方法は長年に渡り精緻化されてきたが、それらは完全に成功した例はなく、しばしばコンタミネーション及びバックグラウンドノイズを最小化することに失敗してきた。コンタミネーションが存在すると、所望の標的に結合する特定の化合物を区別して、単離することが難しく又は不可能にさえなることがある。従って、これらのコンタミネーション及びバックグラウンドノイズの問題を克服する方法が必要である。
【発明の開示】
【0005】
発明の概要
本発明は所望の化合物をスクリーニングするための方法を提供する。特に、本発明は競合示差スクリーニングのための方法を提供する。幾つかの好ましい態様において、本発明は、タイトバインダーの同定を促進する競合示差スクリーニングのための方法を提供する。幾つかの態様において、本発明の方法において用いられる作用物質はタイト及びウィークバインダーを含む。他の態様において、本発明は、標的を認識及び結合するが所望のバインダーよりも結合の弱い、競合的バインダーを用いる方法を提供する。
【0006】
本発明は、少なくとも1つの所望のバインダー単離するための方法であって、
第一コレクションの作用物質の少なくとも一部が第一標的に結合するような条件下において、第一標的を作用物質の第一コレクションに接触させて、第一結合標的を生成する工程と、第一結合標的を洗浄する工程と、第一結合標的中の標的に結合している作用物質を溶出して、抗−標的ペプチドのコレクションを生成する工程と、抗−標的ペプチドのコレクションを増幅して増幅された抗−標的ペプチドのコレクションを生成する工程と、作用物質の少なくとも一部が第一及び/又は第二標的に結合するような条件下において、増幅された抗−標的ペプチドのコレクションを第一標的及び/又は第二標的に対する作用物質の第一コレクション及び/又は作用物質の第二コレクションに曝して、更なる第一結合標的及び第二結合標的を生成する工程と、更なる第一結合標的及び/又は第二結合標的を洗浄する工程と、少なくとも1つの所望のバインダーを区別し、分離し、同定する工程を含む。
【0007】
幾つかの態様において、前記作用物質はペプチドであり、他の態様において前記作用物質は核酸である。幾つかの好ましい態様において、前記核酸はDNA及び/又はRNAである。追加的な態様において、前記標的は癌細胞、癌細胞株、癌細胞培養、腫瘍抽出物、癌組織、癌臓器、癌細胞に関係する分子、癌細胞株に関係する分子、癌細胞培地に関係する分子、腫瘍抽出物に関係する分子、癌組織に関係する分子、及び癌臓器に関係する分子からなる群より選択される。更なる態様において、前記標的は抗原である。幾つかの好ましい態様において、前記抗原は癌性抗原、muc−1、Tag72、CEA、CD22、ED−B及びFAPから成る群より選択される。幾つかの特に好ましい態様において、第一標的集団及び第二標的集団は異なる。幾つかの態様において、前記第一標的集団及び前記第二標的集団は細胞である。幾つかの好ましい態様において、前記第一標的集団は正常細胞を含み、前記第二標的集団は異常細胞を含む。幾つかの代替的な態様において、前記第二標的集団は腫瘍細胞を含む。更なる態様において、前記工程の少なくとも1つが繰り返される。更なる態様において、前記工程の少なくとも2つが繰り返される。更なる態様において、抗−標的作用物質の増幅されたコレクションの濃度は作用物質の第一コレクションの濃度よりも少なくとも1000倍高い。幾つかの好ましい態様において、前記抗−標的作用物質のコレクションの各メンバーは、増幅前より、約100倍、約500倍、約1000倍、約5000倍、約10,000倍、約100,000倍、約1,000,000倍から成る群から選択されるレベルまで高められている。更なる追加的な好ましい態様において、前記方法は更にファージ提示法を用いる。幾つかのファージ提示法における態様において、前記作用物質はファージの表面又はファージ感染された細胞に存在するペプチドであり、前記抗−標的作用物質はファージの表面又はファージ感染された細胞に存在する別のペプチドである。追加的なファージ提示法の態様において、前記方法は更に、増幅されたコレクションを第二標的集団及び第一作用物質のコレクションとインキュベートする前に、抗―標的作用物質を含んでいるファージを失活させる工程を含む。幾つかの好ましい態様において、失活はファージを生育不可能な温度に曝すことにより行われる。
【0008】
本発明は、所望の少なくとも1つのペプチドを単離する方法も提供し、該方法は、
野生型細胞の少なくとも一部がファージ提示されたペプチドの第一プールのなかで幾つかのメンバーと結合するような条件下において、少なくとも1つの野生型細胞のコレクションをファージ提示された細胞の第一プールとインキュベートして結合細胞及び未結合ファージを生成する工程と、前記未結合ファージが除去するような条件下で、前記結合細胞及び未結合ファージを洗浄する工程と、前記結合細胞に結合しているファージを溶出して抗−標的ペプチドのコレクションを生成する工程と、前記抗−標的ペプチドのコレクションを増幅する工程と、異常細胞の少なくとも一部が前記抗−標的ペプチド又はファージ提示されたペプチドの第一及び/又は第二プールに結合するような条件下で、抗標的ペプチド及び、工程(i)のファージ提示されたペプチドの第一及び/又は第二プールを、異常細胞に適用して、結合抗−標的ペプチド及び少なくとも1つの所望のペプチドを有する結合異常細胞を生成する工程と、前記結合した異常細胞を洗浄し、前記異常細胞の表面に結合していないファージを除去して、結合抗−標的ペプチド及び少なくとも1つの所望のペプチドで覆われた細胞表面を残す工程と、前記抗−標的ペプチドを有する(bearing)前記異常細胞から、前記所望のペプチドを有する(bearing)ファージを区別し及び/又は分離する工程と、前記少なくとも1つの所望のペプチドを同定する工程とを含む。幾つかの態様において、前記ファージの第一及び第二コレクションが異なるゲノムを含む。更なる態様において、前記所望のペプチドを同定する工程が前記ファージの第二集団の核酸配列の少なくとも1部に特異的であるオリゴヌクレオチドを用いた増幅を用いて行われる。幾つかの代替的な態様において、前記方法は抗菌耐性パターンを用いて、ファージの第一及び第二コレクションの間の区別を行う工程を更に含む。幾つかの工程において、第二標的集団は腫瘍細胞を含む。更なる態様において、少なくとも1つの前記工程が繰り返される。更なる態様において、少なくとも2つの前記工程が繰り返される。幾つかの追加的な態様において、前記抗−標的ファージの増幅されたコレクションの濃度がファージの第二コレクションの濃度よりも少なくとも約1000倍高い。更なる態様において、前記方法は前記増幅されたコレクションを第二標的集団及び作用物質の第一コレクションとともにインキュベーションする前に、抗−標的物質を含むファージを失活させる工程を更に含む。幾つかの好ましい態様において、前記失活させる工程は前記ファージを生育不可能な温度に曝すことにより行われる。
【0009】
本発明は、少なくとも1つの所望のバインダーを単離する方法であって、
標的集団の少なくとも一部が作用物質の少なくとも一部に結合するような条件下で、標的集団を作用物質のコレクションと接触させて、少なくとも1つのバインダーを有する結合標的集団を生成する工程であって、前記作用物質のコレクションが規定の濃度を有することを特徴とする工程と、前記結合した標的集団を洗浄し、前記標的集団に結合していない作用物質を除去する工程と、前記少なくとも1つのバインダーを区別し、分離し、及び同定する工程とを含む方法も提供する。幾つかの態様において、前記作用物質はペプチドであり、他の態様において前記作用物質は核酸である。幾つかの好ましい態様において、前記核酸はDNA及び/又はRNAである。追加的な態様において、標的は癌細胞、細胞株、細胞培養、腫瘍抽出物、癌組織、臓器、癌細胞に関係する分子、癌細胞株に関係する分子、癌細胞培地に関係する分子、腫瘍抽出物に関係する分子、癌組織に関係する分子、及び癌臓器に関係する分子からなる群より選択される。更なる態様において、前記標的は抗原である。幾つかの好ましい態様において、前記抗原は癌性抗原、muc−1、Tag72、CEA、CD22、ED−B及びFAPから成る群より選択される。幾つかの好ましい態様において、前記規定の濃度は前記標的集団の濃度の1×10−3倍乃至約1×103倍の間である。幾つかの態様において、前記規定の濃度が、個々の作用物質の濃度が前記作用物質の好適な解離定数の約1×10−4乃至約1×102倍の間まで高まるように作用物質の多様性を減少させることを含む。幾つかの追加的な態様において、規定の濃度は所望の標的に対する予め決められた解離定数を有するバインダーを含む少なくとも1つの競合的バインダーを含む。更なる態様において、前記標的集団が低い濃度を有し、前記低い濃度が約1マイクロモル乃至約1ピコモルの間である。幾つかの好ましい態様において、前記方法は更にファージ提示法を用いる。前記作用物質がファージの表面又はファージ感染細胞に存在するペプチドであり、前記抗標的作用物質がファージ表面に又はファージ感染細胞存在する別のペプチドである。幾つかの代替的な好ましい態様において、前記方法は前記増幅されたコレクションを前記第二標的集団及び前記作用物質の第一コレクションとインキュベートする前に、前記抗−標的物質を含むファージを失活させる工程を更に含む。
【0010】
幾つかの好ましい態様において、前記ファージを失活させる工程が前記ファージを生育不可能な温度に曝すことにより行われる。幾つかの態様において、前記ペプチドが少なくとも1つの抗体を含み、追加的な態様において、前記ペプチドは抗体の少なくとも1部を含む。更なる態様において、前記方法は、前記ファージのコレクション中の少なくとも1つの核酸配列に特異的なオリゴヌクレオチドを用いたPCR増幅を更に含む。
【0011】
本発明は少なくとも1つの所望のバインダーを単離する方法も提供する。該方法は、
標的集団の少なくとも一部が前記作用物質のコレクションのメンバーの少なくとも一部に結合するような条件下で、前記標的集団を作用物質のコレクションと接触させて、少なくとも1つの所望のバインダーと未結合作用物質を有する結合標的集団を生成する工程であって、前記標的集団が低い濃度を有することを特徴とする工程と、前記結合標的を洗浄し、未結合作用物質を除去する工程と、前記少なくとも1つの所望のバインダーを区別し、分離し、及び同定する工程とを含むことを特徴とする方法。
【0012】
幾つかの態様において、前記作用物質のコレクションは少なくとも1つのペプチドを含み、幾つかの代替的な態様において、前記作用物質のコレクションが少なくとも1つの核酸を含む。幾つかの好ましい態様において、前記核酸はDNA又はRNAである。更なる態様において、前記物質のコレクションは規定の濃度を有する。幾つかの好ましい態様において、前記作用物質のコレクションの規定の濃度が標的集団の濃度の約1×10−3乃至約1×103倍である。更なる態様において、前記規定の濃度は、個々の作用物質の濃度が前記作用物質の好適な解離定数の約1×10−4乃至約1×102倍の間まで高まるように作用物質の多様性を減少させることを含む。幾つかの代替的な態様において、前記規定の濃度は、所望の標的に対する規定の解離定数を有するバインダーを含む少なくとも1つの競合的バインダーを含む。幾つかの追加的な態様において、前記標的は癌細胞、細胞株、細胞培養、腫瘍抽出物、癌組織、臓器、癌細胞に関係する分子、癌細胞株に関係する分子、癌細胞培地に関係する分子、腫瘍抽出物に関係する分子、癌組織に関係する分子、及び癌臓器に関係する分子からなる群より選択される。更なる態様において、前記標的は抗原である。幾つかの好ましい態様において、前記抗原は癌性抗原、muc−1、Tag72、CEA、CD22、ED−B及びFAPから成る群より選択される。更なる態様において、前記標的集団が低い濃度を有し、前記低い濃度が約1マイクロモル乃至約1ピコモルである。幾つかの好ましい態様において、前記方法は更にファージ提示法を含む。幾つかの態様において、前記作用物質はファージ表面又はファージ感染細胞に存在するペプチドであり、前記抗−標的作用物質はファージ表面又はファージ感染細胞に存在する別のペプチドである。幾つかの好ましい態様において、前記方法は、前記増幅されたコレクションを前記第二標的集団及び前記作用物質の第一コレクションとインキュベートする前に、抗−標的作用物質を含むファージを失活させる工程を更に含む。幾つかの特に好ましい態様において、前記失活させる工程は前記ファージを生育不可能な温度に曝すことにより行われる。幾つかの好ましい態様において、前記ペプチドは少なくとも1つの抗体を含み、代替的な好ましい態様において、前記ペプチドは前記抗体の少なくとも一部を含む。更なる追加的な態様において、前記ファージのコレクション中の少なくとも1つの核酸配列に特異的なオリゴヌクレオチドを用いた増幅を更に含む。
【0013】
本発明は少なくとも1つの所望のバインダーを単離する方法を提供する。前記方法は、
第一標的を第一作用物質のコレクションと接触させる工程と、標的に存在する、標的分子に結合していない作用物質を洗浄除去する工程と、洗浄除去された作用物質を廃棄する工程と、標的分子に結合している作用物質を溶出して、抗―標的ペプチドのコレクションを生成する工程と、抗−標的ペプチドのコレクションを増幅する工程と、抗−標的ペプチドの増幅されたコレクション並びに作用物質の第一及び第二コレクションを第一又は第二標的に適用する工程と、第一及び第二標的中の、標的分子に結合していない作用物質を洗浄して除去する工程と、少なくとも1つの所望のバインダーを区別し、分離し、同定する工程とを含む方法も提供する。
【0014】
幾つかの好ましい態様において、前記作用物質はペプチドであり、幾つかの代替的な代用において、前記作用物質は核酸である。幾つかの態様におい、前記核酸はDNA/RNAである。更なる態様において、標的は癌細胞、癌細胞株、癌細胞培養、腫瘍抽出物、癌組織、癌臓器、癌細胞、癌細胞株又は癌細胞培地に関係する分子、腫瘍抽出物又は癌組織又は癌臓器、又は細胞、細胞株、細胞培養、癌細胞、癌細胞株、癌臓器、腫瘍抽出物、又は癌組織、又は癌臓器からなる群より選択される。更なる態様において、前記標的は抗原である。幾つかの好ましい態様において、前記抗原は癌性抗原、muc−1、Tag72、CEA、CD22、ED−B及びFAPから成る群より選択される。
【0015】
幾つかの特に好ましい態様において、第一標的集団及び第二標的集団は異なる。幾つかの態様において、前記第一標的集団及び前記第二標的集団は細胞である。幾つかの好ましい態様において、前記第一標的集団は正常細胞を含み、前記第二標的集団は異常細胞を含む。幾つかの代替的な態様において、前記第二標的集団は腫瘍細胞を含む。
【0016】
幾つかの好ましい態様において、前記方法は第一標的集団を作用物質の第一のコレクションとインキュベーション混合物の中で接触させる工程、及び続く、前記混合物を洗浄して前記インキュベーション混合物から未結合作用物質を除去する工程を繰り返す工程を含む。
【0017】
幾つかの好ましい態様において、抗−標的作用物質の増幅されたコレクションの濃度は作用物質の第一コレクションの濃度よりも少なくとも1000倍より高い。幾つかの好ましい態様において、前記抗−標的作用物質のコレクションの各メンバーは、増幅前より、約100倍、約500倍、約1000倍、約5000倍、約10,000倍、約100,000倍、約1,000,000倍から成る群から選択されるレベルより高くなっている。
【0018】
更なる追加的な好ましい態様において、前記方法は更にファージ提示法を用いる。幾つかのファージ提示法における態様において、前記作用物質はファージ又はファージ感染細胞の表面に存在するペプチドであり、前記抗―標的作用物質がファージ又はファージ感染細胞の表面に存在する別のペプチドである。追加的なファージ提示法の態様において、前記方法は更に、増幅されたコレクションを第二標的集団及び第一作用物質のコレクションとインキュベートする前に、抗―標的作用物質を含んでいるファージを失活させる工程を含む。幾つかの好ましい態様において、失活はファージを生育不可能な温度に曝すことにより行われる。
【0019】
本発明は少なくとも1つの所望のペプチドを単離する方法も提供する。前記方法は、
少なくとも1つの野生型細胞のコレクションをファージ提示されたペプチドの第一プールとインキュベーションする工程と、野生型細胞の表面上の標的分子に結合していないファージを洗浄する工程と、標的分子に結合しているファージを溶出して抗−標的ペプチドのコレクションを生成する工程と、抗−標的ペプチドのコレクションを増幅する工程と、抗−標的ペプチドの増幅されたコレクション並びにファージ提示されたペプチドの第一及び/又は第二プールを異常細胞に適用する工程と、異常細胞の表面上の標的分子に結合していないファージを洗浄して除去し、少なくとも1つの所望のペプチドだけでなく結合抗−標的ペプチドで覆われている細胞表面を残す工程と、抗−標的ペプチドを有する(bearing)ファージから少なくとも1つの所望のペプチドを有する(bearing)ファージを区別及び/又は分離し、少なくとも、1つの所望のペプチドを同定する工程とを含む。
【0020】
幾つかの好ましい態様において、ファージの第一コレクション及びファージの第二コレクションは異なるゲノムを含む。幾つかの好ましい態様において、第二細胞集団の表面上に発現している標的に結合するファージの第二コレクションからペプチドを同定する工程はファージの第二コレクション中に特異的な核酸配列であるオリゴヌクレオチドを用いたPCR増幅を含む。幾つかの代替的な態様において、抗菌耐性が利用される。幾つかの特に好ましい態様において、ファージの第一コレクションにより付与された抗菌耐性パターンはファージの第二コレクションにより細胞に付与された抗菌パターンとは異なる。
【0021】
幾つかの追加的な好ましい態様において、前記方法は、インキュベーション混合物の中で第一標的集団を作用物質の第一コレクションに接触させる工程及び前記インキュベーション混合物を洗浄して前記インキュベーション混合物から未結合作用物質を除去する工程を繰り返すことを更に含む。
【0022】
幾つかの更に好ましい態様において、抗−標的ファージの増幅されたコレクションの濃度は、ファージの第二コレクションの濃度よりも少なくとも1000倍より高い。
【0023】
幾つかの更なる追加的な好ましい態様において、前記方法、第二標的集団及び作用物質の第一コレクションを増幅されたコレクションとインキュベーションする前に、抗−標的作用物質を含むファージを失活させる工程を更に含む。幾つかの好ましい態様において、前記失活工程はファージを生育不可能な温度に曝すことを含む。
【0024】
本発明は少なくとも1つの所望のバインダーを単離する方法であって、
標的集団を規定の濃度を有する作用物質のコレクションに接触させる工程と、標的集団に結合していない作用物質を洗浄して除去する工程と、少なくとも1つのバインダーを区別し、同定し、分離する工程を含む方法も提供する。
【0025】
幾つかの好ましい態様において、作用物質のコレクションは少なくとも1つのタイプのペプチドを含む。幾つかの代替的な態様において、前記作用物質sのコレクションは少なくとも1つのタイプの核酸を含む。幾つかの好ましい態様において、前記核酸のタイプはDNA及び/又はRNA分子である。
【0026】
幾つかの好ましい態様において、規定の濃度は、標的集団の濃度の約1×10−3乃至約1×103倍である。幾つかの他の好ましい態様において、前記規定の濃度は、個々の作用物質の濃度が作用物質の望ましい解離定数の約1×10−4乃至約1×102倍より高くなるように、作用物質の多様性を減少させることを含む。幾つかの好ましい態様において、前記規定の濃度は少なくとも1つの競合的バインダーを含む。幾つかの特に好ましい態様において、前記少なくとも1つの競合バインダーは所望の標的の予め決められた解離定数を有するバインダーを含む。
【0027】
幾つかの更に好ましい態様において、前記標的集団は、癌細胞、癌細胞株、癌細胞培養、腫瘍抽出物又は癌性組織又は癌臓器から選択される。幾つかの代替的な好ましい態様において、前記標的集団は、抗原のグループである。幾つかの特に好ましい態様において、前記抗原は癌性抗原、muc−1、Tag72、CEA、CD22、ED−B及びFAPから成る群より選択される。
【0028】
幾つかの追加的な好ましい態様において、前記標的集団は低い濃度を有する。幾つかの特に好ましい態様において、前記低い濃度は、約1マイクロモル(1e−6M)乃至約1ピコモル(1e−12M)の間である。幾つかのより特定の好ましい態様において、前記濃度は約1e−7M及び約1e−11Mの間である。
【0029】
幾つかの好ましい態様において、前記方法はファージ提示法を用いて行われる。幾つかの好ましい態様において、前記作用物質のコレクションはファージの表面上の少なくとも1つのタイプのペプチドを含む。幾つかの代替的な好ましい態様において、前記ペプチドは少なくとも1つの抗体を含む。幾つかの更なる好ましい態様において、前記方法は更にファージを失活させる工程を含み、該工程において、前記失活させる工程はファージを標的のコレクションを有するファージと作用物質のコレクションを含むファージとをインキュベーションする前に行われる。幾つかの好ましい態様において、前記失活させる工程はファージを生育不可能な温度に曝すことを含む。幾つかの特に好ましい態様において、ファージのコレクション中にある核酸配列に特異なオリゴヌクレオチドを用いたPCR増幅が行われる。
【0030】
本発明は、少なくとも1つのバインダーを単離する方法であって、
低い濃度を有する標的集団を作用物質のコレクションと接触させる工程と、前記標的集団に結合していない作用物質を洗浄して除去する工程と、少なくとも1つの所望のバインダーを区別し、分離し、同定する工程とを含む方法も提供する。
【0031】
幾つかの好ましい態様において、作用物質のコレクションは少なくとも1つのタイプのペプチドを含む。幾つかの代替的な態様において、前記作用物質のコレクションは少なくとも1つのタイプの核酸を含む。幾つかの好ましい態様において、前記核酸のタイプはDNA及び/又はRNA分子である。
【0032】
幾つかの好ましい態様において、前記作用物質のコレクションは、規定の濃度を有する。幾つかの代替的な好ましい態様において、前記規定の濃度は標的集団の濃度の約1×10−3乃至約1×103倍の間である。幾つかの他の好ましい態様において、前記規定の濃度は、個々の作用物質の濃度が作用物質の望ましい解離定数の約1×10−4乃至約1×102倍の間にまで高くなるように、作用物質の多様性を減少させることを含む。幾つかの好ましい態様において、前記規定の濃度は少なくとも1つの競合的バインダーを含む。幾つかの特に好ましい態様において、前記少なくとも1つの競合的バインダーは所望の標的の予め決められた解離定数を有するバインダーを含む。
【0033】
幾つかの更に好ましい態様において、前記標的集団は、癌細胞、細胞株、細胞培養、腫瘍抽出物又は癌性組織又は臓器から選択される。幾つかの代替的な好ましい態様において、前記標的集団は、抗原のグループである。幾つかの特に好ましい態様において、前記抗原は癌性抗原、muc−1、Tag72、CEA、CD22、ED−B及びFAPから成る群より選択される。
【0034】
幾つかの追加的な好ましい態様において、前記標的集団は低い濃度を有する。幾つかの特に好ましい態様において、前記低い濃度は、約1マイクロモル(1e−6M)乃至約1ピコモル(1e−12M)の間である。幾つかのより特定の好ましい態様において、前記濃度は約1e−7M及び約1e−11Mの間である。
【0035】
幾つかの好ましい態様において、前記作用物質のコレクションは少なくとも1つのタイプのペプチドを含むみ、幾つかの代替的な好ましい態様において、前記作用物質のコレクションは、少なくとも1つのタイプの核酸を含む。幾つかの好ましい態様において、前記核酸はDNA及び/又はRNA分子である。
【0036】
幾つかの更に好ましい態様において、前記方法は、ファージ提示法を用いて行われる。幾つかの好ましい態様において、前記作用物質のコレクションは、ファージの表面上にあるペプチドの1つのタイプである。幾つかの代替的な好ましい態様において、前記ペプチドは抗体の少なくとも一部を含む。幾つかの代替的な好ましい態様において、前記方法は更に、ファージを失活させる工程を含み、該工程において、失活は標的のコレクションを有するファージを作用物質のコレクションを含むファージとインキュベーションする前に行われる。幾つかの好ましい態様において、生成失活させる工程はファージを生育不可能な温度に曝すことにより行われる。幾つかの代替的な好ましい態様は更にファージのコレクション中の核酸配列に特異的なオリゴヌクレオチドを用いたPCR増幅を更に含む。
【0037】
図面の説明
図1は、ライブラリーメンバーP1及びP2の間の競合を示す。両者は1−10Mの濃度で存在する。標的濃度(T0)の関数として分析された標的に結合したP1及びP2(それぞれ、TP1及びTP2という)の解離定数はそれぞれKd1=1−10M、Kd2=1−7Mである。X軸は標的濃度(モル)を示し、Y軸は標的メンバーの濃度(モル)を示す。この図により示されるように、ライブラリーのメンバー結合の量は、解離定数と標的濃度との関数である。
【0038】
図2は、Kd=1−12Mにおいて1バインダー(P1)、Kd=1−11Mにおいて10バインダー(P2)、Kd=1−10Mにおいて100バインダー(P3)、Kd=1−9Mにおいて1000バインダー(P4)、及びKd=1−8Mにおいて10,000バインダー(P5)を有する、標的濃度の関数である、ライブラリーの各結合メンバー(TPi)の濃度(各メンバーは1−10Mの濃度で存在していた)を示す。X軸は標的濃度(モル)を示し、Y軸は標的メンバーの濃度(モル)を示す。この図により示されるように、ライブラリーのメンバー結合の量は、解離定数とP1乃至P5のメンバーを有するライブラリーに対する標的濃度との関数である。
【0039】
図3はKd=1−12Mにおいて1バインダー(P1)、Kd=1−11Mにおいて10バインダー(P2)、Kd=1−10Mにおいて1000バインダー(P3)、Kd=1−9Mにおいて1000バインダー(P4)、及びKd=1−8Mにおいて10,000バインダー(P5)を有する、標的濃度の関数である、ライブラリーの各結合メンバー(TPi)の濃度(各メンバーは1−10Mの濃度で存在していた)を示す。Kd=1−8Mにおいて1の追加的な競合バインダーが1−4Mの濃度で添加された以外は、図2に示す条件とすべて同じである。X軸は標的濃度(モル)を示し、Y軸は標的メンバーの濃度(モル)を示す。この図により示されるように、ライブラリーメンバー結合の量は、解離定数と、P1乃至P5メンバーのライブラリーに対する標的濃度の関数である。
【0040】
図4は、結合ファージ対標的濃度を示すグラフである。該図は、Kd=1−10Mにおいて1バインダー(P1)、Kd=5−10Mにおいて5バインダー(P2)、Kd=2.5−9Mにおいて25バインダー(P3)、Kd=5−9Mにおいて50バインダー(P4)、及びKd=1−8Mにおいて100バインダー(P5)(追加的なバインダーはなし)を有する、ファージライブラリーの各結合メンバー(TPi)(各メンバーは1−13Mの濃度で存在する)の濃度を示す。X軸は標的濃度(モル)を示し、Y軸は標的結合メンバーの濃度(モル)を示す。該図は、ライブラリーメンバー結合の量が、解離定数と、P1乃至P5メンバーのライブラリーに対する標的濃度の関数であることを示す。
【0041】
図5は、結合ファージ対標的濃度を示すグラフである。該図は、Kd=1−10Mにおいて1バインダー(P1)、Kd=5−10Mにおいて5バインダー(P2)、Kd=2.5−9Mにおいて25バインダー(P3)、Kd=5−9Mにおいて50バインダー(P4)、及びKd=1−8Mにおいて100バインダー(P5)(追加的なバインダーはなし)を有する、ファージライブラリーの各結合メンバー(TPi)(各メンバーは1−13Mの濃度で存在する)の濃度を示す。1つの追加的な競合非ファージバインダー(P6)が1−4M(1−8MKd)で存在する以外は、条件は図4に示したものと同様である。X軸は標的濃度(モル)を示し、Y軸は標的結合メンバーの濃度(モル)を示す。該図は、ライブラリーメンバー結合の量が、解離定数と、P1乃至P5メンバーのライブラリーに対する標的濃度の関数であることを示す。
【0042】
図6は、保持に対する溶出を示す競合結合のグラフを提供する。図6Aは溶液中に懸濁されたバインダーを示し、一方図6Bは標的に結合するバインダーを示す。図6Cは、標的に結合するいくつかのバインダーを示す。3つの異なるタイプのバインダーが存在し、これら3つ全ては標的に結合するために同じ時間を必要とするが、これら3つのそれぞれは、異なるoff rateを有する。1分のoff rateを有するバインダーは八角形でしめした。そのようバインダーは30存在する。10分のoff rateを有するバインダーは三角形でしめした。そのようなバインダーは10存在している。100分のoff rateを有するバインダーは45度のタイトルを有する四角形で表す、そのようなバインダーは5つ存在する。標的は図の下方の「X」として示す。したがって、図6は固定された標的に結合する3つのクラスのバインダーを示す。
【0043】
図7は、標的濃度の減少の効果を示す。図7Aは溶液中に懸濁されたバインダーを示す。一方、図7Bは標的に結合しているバインダーを示す。最も遅いoff rate(最も低い濃度を有する2のタイプの分子)が結合されている。図7Cは幾つかのバインダーを示す。(最も低い濃度において)最も遅いoff rateを有するバインダーが標的に結合する。3つのタイプの異なるバインダーが存在する。これら3つ全ては標的に結合するために同じ時間を必要とするが(約10秒)、これら3つのそれぞれは、異なるoff rateを有する。1分のoff rateを有するバインダーは八角形でしめした。そのようバインダーは30存在する。10分のoff rateを有するバインダーは三角形でしめした。そのようなバインダーは10存在している。100分のoff rateを有するバインダーは45度のタイトルを有する四角形で表す、そのようなバインダーは5つ存在する。従って、図7は、標的の量が限られている又は少なくされたときに、固定された標的に対するバインダーの3つのクラスの結合の例を提供する。
【0044】
図8は、ライブラリーに対する競合バインダーの添加の影響を示す。図8Aは溶液中に懸濁されたバインダーを示す。一方図8Bは高濃度で、遅いoff rateで標的に結合しているバインダーを含む競合的結合を示す。ライブラリー中に異なる4つのタイプのバインダーが存在する。これら4つ全ては標的に結合するために同じ時間を必要とするが(約10秒)、これら3つのそれぞれは、異なるoff rateを有する。1分のoff rateを有するバインダーは八角形でしめした。そのようバインダーは30存在する。10分のoff rateを有するバインダーは二等辺三角形及び長方形で示し、二等辺三角形として10のバインダーが存在し、長方形でしめす50のバインダーが存在する。100分のoff rateを有するバインダーは45度のタイトルの四角形で示し、これらは5つ存在する。標的は図の下方のXとして示す。したがって、この図は競合的バインダーが限定されている場合に、3つのクラスのバインダーが固定化された標的に結合することを示す。
【0045】
図9は、操作又は操作された濃度の提供に対する計算の結果を提供する。所与のライブラリー濃度(モル)(及び標的に対するライブラリーの結合エネルギーの平均(デルタG:Kcal/mol)、該平均値からの各標準偏差内のP1−P8のライブラリーメンバーの数は、二項(正規)分布から計算される。平均結合エネルギーは各メンバーに対して計算され、解離定数Kd=eΔG/RTは各メンバーに対して計算される。平均値以下の結合エネルギーを有する全ライブラリーメンバーは1つのグループに集められる。
【0046】
図10は全て置換された7つのアミノ酸位置を有するポリペプチドライブラリーに対する計算値の例及びこれらの計算から得られたチャートを示す。図10Aは、7つのアミノ酸を有するポリペプチドに対する計算サンプルの例を提供し、図10Bは前記計算に基づいた標準偏差を現す曲線である。図10Cは前記計算による、競合していない、結合ライブラリーメンバー対標的のチャートグラフを提供する。図10Dは前記計算による、競合している、結合ライブラリーメンバー対標的のチャートグラフを提供する。図10Eは図10C及び図10Dのプロットを結合したものである。
【0047】
図11は実施例3で述べる、タンパク質ライブラリーからのhSCキモトリプシンインヒビターのマススペクトロメトリックスクリーニングを提供する。
【0048】
図12は実施例3で述べる、タンパク質ライブラリーからのhSCキモトリプシンインヒビターのMS/MSシークエンシングを提供する。図12Aはpj01バインダーを示し、図12Bはpj02バインダーを示す。
【0049】
図13は実施例3で述べるように、hSCキモトリプシンインヒビターに対するマススペクトロメトリックスクリーニングからのインヒビターからバインダーを区別する、二次機能スクリーニングを提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0050】
発明の説明
本発明は所望の化合物をスクリーニングする方法を提供する。特に、本発明は競合示差スクリーニングのための方法を提供する。幾つかの好ましい態様において、本発明はタイトバインダーの同定を促進する競合示差スクリーニングのための方法を提供する。幾つかの好ましい態様において、本発明の方法に用いる作用物質はタイト及びウィークバインダーを含む。他の態様において本発明は、標的を認識し結合するが、所望のバインダーよりも弱い結合を有する、競合バインダーを用いた方法を提供する。
【0051】
定義
本明細書において特に別途定義しない限り、本明細書で使用される専門用語及び科学用語は、本発明が属する技術分野における当業者が一般に理解するのと同じ意味を有する。Singleton and Sainsbury、DICTIONARY OF MICROBIOLOGY AND MOLECULAR BIOLOGY、第2版、John Wiley and Sons、ニューヨーク(1994年)、及びHale and Marham、THE HARPER COLLINS DICTIONARY OF BIOLOGY、Harper Perennial、ニューヨーク(1991年)は、当業者にとって、本発明において用いられている多くの用語を収録する一般的な辞書である。
【0052】
当分野において広く知られている追加的な文献は、Sambrook et al., MOLECULAR CLONING:A LABORATORY MANUAL (Second Edition), Cold Spring Harbor Press, Plainview, N.Y., 1989, 及び Ausubel et al., Current Protocols in Molecular Biology, Green−Publishing&Wiley Interscience(1987)である。
【0053】
ここに説明されたそれらに類似しているか、等しいどのような方法と原料でも本発明の実行またはテストに用いることができるけれども、好適な方法と原料は説明される。従って、すぐ下で定義された用語はこの明細書によってより完全に定義される。本明細書で用いる記号、「一つの」及び「この」という語は、他に違った形で定義されていない限り、複数を示す場合にも用いる。
【0054】
通常、用いられた学名、及び、細胞培養、分子遺伝学及び核酸化学及びハイブリダイゼーション等の標準的な実験方法は良く知られており、当業者に用いられている。標準的な技術は組換え核酸法、ポリヌクレオチド合成、微生物培養、細胞培養、組織培養、形質転換、形質感染、形質導入、分析化学、有機合成化学、化学合成及び化学解析のために用いられている。通常、酵素反応及び生成及び/又は単離工程は仕様書にしたがって実施される。
【0055】
本明細書において「作用物質」の語は、標的分子又は標的に結合する任意のバインダー(例えば、ペプチド、ポリペプチド、タンパク質又は核酸)を意味する。核酸はDNA及び/又はRNAである。核酸は一本鎖であるか又は二本鎖のいずれかである。前記語は、ペプチド誘導体、ペプチド模倣体、ペプチド、小さい有機分子、糖質、及び好ましい方法で、標的分子上に作用する候補混合物から単離された他の分子を含む。本明細書で用いるように「作用物質」の語は、特定の分子サイズ又は組成特性に限定されない。幾つかの態様において、作用物質は酵素触媒反応において基質として働き、また、作用物質はアゴニスト、アンタゴニスト及び/又はシグナルメッセージである。幾つかの態様において、作用物質は代謝経路を刺激又は抑制する。代替的な態様において、作用物質は、ファージ提示スクリーニング方法のために用いられる、ファージコートタンパク質の一部としてファージ表面に発現しているペプチド又はポリペプチドである。
【0056】
幾つかの態様において、作用物質は標的分子に結合する。幾つかの態様において、前記作用物質は標的分子を触媒作用により変える。同様に、代替的な態様において、作用物質は標的分子と反応し、標的分子を修飾又は変更する。更なる態様において、作用物質は作用物質又は作用物質−標的分子複合体の分離を促進するために修飾される。追加的な態様において、「tag」(例えば、ビオチン)がストレプトアビジンを用いた新規な結合作用物質−標的複合体の単離を促進するために、作用物質又は標的上の少なくとも1つの位置に付加される。代替的な態様において、作用物質はキレート作用又は磁場により単離が促進されるように、キレート作用のある化合物又は金属と結合されている。さらなる態様において、作用物質は直接又は間接的にレポーター又は他のマーカーに結合している。追加的な態様において、作用物質はそれらの形態又は立体構造を変化させるために修飾又は操作される。更なる態様において、選択されたリガンドに対する抗体の結合親和性のタイプの範囲内にあるときは、作用物質は標的分子に対する結合親和性を有する。
【0057】
標的(又は抗−標的)に対する作用物質(又は抗―作用物質)の結合親和性はしばしば、解離定数(Kd)により説明される。(50%の効果的な結合(EC50)に必要な濃度又は標的に結合する他の化合物を50%抑制するために必要な濃度)。K0はKoff/Konにより定義される。Koffの値は、標的/リガンド複合体が壊れて離れていくか、又は分離する速度を定義する。Konの値は、作用物質と標的分子が作用物質標的分子複合体を形成するために結合するときの速度である。結合親和性の語は、ときたま、作用物質−標的分子複合体の動態安定性又は結合親和性と速度を表す他の測定可能な量のいずれかの速度を意味すると、当業者に理解されている。選択性は結合親和性の速度又は作用物質複合体(例えば、標的分子kd/抗−標的分子Kd)に対するoff rateのいずれかにより定義される。幾つかの態様において、Konを増やすことが好ましく、一方、他の態様において、Koffを減らすことが好ましい、及び更なる態様において、両者が好ましい。
【0058】
本明細書で用いる、「抗−標的」の語は、標的に対する結合として定義されている作用物質を意味し、通常、バインダーのコレクションを生成するために増幅されている。いくつかの態様において、前記抗−標的は、核酸(一本鎖又は2鎖のDNA及び/又はRNA)である。以下の態様で用いる、「作用物質」の語は、「作用物質」(すなわち、標的分子に結合する分子)及び「抗−標的」(抗−標的作用物質)の両方を意味する。従って、「作用物質」は特定の標的又は抗−標的分子を認識するリガンドを包含する。
【0059】
本明細書で用いる、「コレクション」の語は、観察、研究、利用されるか、及び/又は共に保管されるグループの対象を意味する。従って、「コレクション」の語は標的集団が曝される作用物質のコレクションを含む。
【0060】
本明細書で用いる、「タイプ」の語は、他の作用物質から区別することができる作用物質を意味する。幾つかの好ましい態様において、「タイプ」は、結合親和性又はKdにより作用物質の他のタイプから区別される。非限定的な例として、本発明の幾つかの態様において、バインダーの3つの異なるタイプは大まかに3つの異なる結合親和性を有するクラスを含んでいる。タイプの図示的な例は、図中に提供されている(例えば、図7は、1分のKoffを有するバインダー、10分のKoffを有するバインダー、100分のKoffを有するバインダーの3つのタイプを示す。)
本明細書で用いるように、「所望のタンパク質」の語は解析、同定、及び/又は修飾されるタンパク質を意味する。組換えタンパク質のほか自然発生タンパク質も本発明に用いることができる。
【0061】
本明細書で用いるように、「タンパク質」の語は、アミノ酸を含む化合物及びタンパク質であると当業者に認識されている化合物を含む組成物を意味する。「タンパク質」、「ペプチド」、及び「ポリペプチド」の語は本明細書において同義に用いられる。ペプチドがタンパク質の一部である場合、当業者は文脈上、この語の使用を理解する。「タンパク質」の語は関連するタンパク質の「pro型」及び「prepro型」だけでなく、タンパク質の成熟形態を含む。タンパク質のプレプロ型は、タンパク質のアミノ末端に作動可能に結合しているプロシークエンス及びプロシークエンスのアミノ末端に作動可能に結合している「プレ−」又は「シグナル」配列を有するタンパク質の成熟形態を含む。この語は抗体のそのような配列も包含することを意図する。
【0062】
同じ側鎖を有するアミノ酸残査のファミリーは、当該技術分野において確立されてきた。これらのファミリーは塩基性側鎖(例えば、リジン、アルギニン、ヒスチジン)を有するアミノ酸、酸性側鎖(例えば、アスパラギン酸、グルタミン酸)、非電荷極性鎖(例えば、アスパラギン、グルタミン、セリン、スレオニン、チロシン)、非極性鎖(例えば、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファン、システイン、グリシン)及び芳香族側鎖(例えば、チロシン、フェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジン)を有するアミノ酸を含む。当業者に知られている標準的な3文字、又は1文字のアミノ酸記号を本明細書において用いる。等価置換体も本発明の範囲内に含まれる(例えば、同じグループからの他のアミノ酸を置換した置換体)。
【0063】
幾つかの態様において、本発明のペプチド、ポリペプチド、及び/又はタンパク質は1つ以上のnon−classicalアミノ酸を含む。「non−classical」は、共通するアミノ酸のDアイソマー、α−アミノイソ酪酸、4−アミノ酪酸(4−Abu)、2−アミノ酪酸(2−Abu)、6−アミノヘキサン酸(Ahx)、2−アミノイソブチル酸(2−Aib)、3−アミラーゼのプロピオン酸、オルニチン、ノルロイシン、ノルバリン、ヒドロキシプロリン、ザルコシン、シトルリン、システイン酸、t−ブチルグリシン、t−ブチルアラニン、フェニルグリシン、シクロヘキシルアラニン、β−アラニン、フルオロ−アミノ酸、並びにβ−メチルアミノ酸、Cα−メチルアミノ酸、Nα−メチルアミノ酸等の「設計」アミノ酸、並びに一般的なアミノ酸アナログを含むがこれらに限定されない。
【0064】
本明細書で用いる「抗体(Ab)」及び「免疫グロブリン(Ig)」は、ヒト又は他の動物のB細胞及びプラズマ細胞により生成される糖タンパクとして定義される。前記糖タンパクは、抗原(通常、ペプチドである)又は前記抗原により生成される構造的に似た抗原に高い特性で結合する。抗体は既知の方法より生成することができ、ポリクローナル又はモノクローナルである。この語は、キメラ抗体、ヒト化抗体、イムノグロブリン又は、抗体又は抗原に結合する抗体の機能的なフラグメントも含む。そのような機能的構成(実在者)は、完全な抗体分子、Fv等の抗体フラグメント、一本鎖Fv、相補的な決定領域(CDRs)、Lv(軽鎖可変領域)、VH(重鎖可変領域)、及びこれらのうちのいずれかの組み合わせ、又は標的抗原に結合することができるイムノグロブリンペプチドの他の機能的部分を含む。
【0065】
本発明で用いる抗体は免疫源を用いて調製される。当業者に知られている各種方法はポリクローナル抗体を用いるために用いることができる。抗体を生成するための幾つかの態様において、各種宿主動物(ウサギ、マウス、ラット、ヒツジ、ヤギ等を含むがこれらに限定されない)は、本発明の所望の標的に対応するペプチドを用いた注射により免疫化される。幾つかの好ましい態様において、前記ペプチドはイムノグロブリン担体(例えば、ジフタリアトキシド、ウシ血清アルブミン(BSA)、又はキーホールリンペットヘモシニアン(KLH))に共役結合されている。宿主細胞の種類に応じて、免疫反応を高めるために、Freund’s(完全又は非完全)アジュバンド、水酸化アルミニウム等のミネラルゲル、リゾレシチン、プルロニックポリオール(pluronic−polyol)、多価陰イオン、ペプチド、オイルエマルジョン、キーホールリンペットヘモシニアン、ジニトロフェノール、及びBCG(Bacille Calmette−Guerin)及びコリネバクテリウムパルブウム(Corynebakuteriumu parvum)等の有用なヒトアジュバンドとなりうるものを含むがこれらに限定されない、各種アジュバンドを用いる。
【0066】
モノクローナル抗体の調製のために、培地中の連続細胞株による抗体の生成を提供する技術が用いられる(Harlow and Lene, Antibodies:A Laboratory Manual,Cold Shipng Cold Shiping Laboratory Press, Cold Shipng Harbor, NY)。これらは、トリオーマ技術、ヒトB細胞ハイブリドーマ技術(Kozbor et al. Immunol. Today 4:72 [1983]参照のこと)、及びヒトモノクローナル抗体を生成するためのEBV−ハイブリドーマ技術(Cole et al., in Monoclonal Antibodies and Cancer 20 Therapy, Alan R. Liss, Inc., pp.77−96 [1985]参照のこと)のほかに、Kohler and Milstein (Kohler and Milstein, Nature 256:495−497 [1975]参照のこと)により独自に開発されたハイブリドーマ技術を含むがこれらに限定されない。幾つかの好ましい態様において、本発明はIgGクラスのモノクローナル抗体を提供する。
【0067】
本発明の追加的な態様において、モノクローナル抗体は、無菌動物(PCT/US 90/02545)において生成される。本発明によると、ヒト抗体はヒトハイブリドーマ(Cote et al., Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A.80:2026−2030 [1983])又は、ヒトB細胞をin vitroにおいて、EBVを用いてウイルスに感染させることにより(Cole et al.上記)用いられ、得ることができる。
【0068】
一本鎖抗体の生成について述べる技術(米国特許No.4,946,778;参照により本明細書に援用する。)は所望の分子を特異的に認識する一本鎖抗体の生成に用いることができることは明らかである。幾つかの態様において、Fab発現ライブラリーの構築を説明する技術(Huse et al, Science 246:1275−1281 [1989]参照のこと)が好ましい特異性を有するモノクローナルFabフラグメントを早く、容易に同定するために用いられる。抗体分子のイディオタイプ(抗原結合領域)を含む抗体フラグメントは既知の技術により生成することができる。例えば、そのようなフラグメントは、抗体分子のペプシン消化により生成することができるF(ab’)2フラグメント、前記F(ab’)2フラグメントのジスルフィド結合の還元により生成することができるFab’フラグメント、及びパパイン及び還元剤で抗体を処理することにより生成することができるFabフラグメントを含むがこれらに限定されない。
【0069】
抗体の生成において、所望の抗体スクリーニングは当分野で知られている方法、(例えば、ラジオイムノアッセイ、ELISA[酵素免疫吸着測定法]、「サンドイッチ」イムノアッセイ、イムノラジオメトリックアッセイ、ゲル内沈降反応、免疫拡散アッセイ、in situイムノアッセイ[例えば、コロイドゲル、酵素又はラジオアイソトープを用いた]、補体結合アッセイ、免疫蛍光測定法、プロテインAアッセイ、及び免疫電気泳動法等)で行うことができる。
【0070】
1つの態様において、抗体の結合は、1次抗体のラベルを検出することにより検出される。他の態様において、前記1次抗体は1次抗体への2次抗体又は試薬の結合を検出することにより決定される。更なる態様において、2次抗体は標識される。イムノアッセイにおいて結合を検出する多数の方法が当該分野で知られており、それらは本発明の範囲内である。
【0071】
本明細書において用いる「染色」の語は、細胞の特定の成分及び/又は特徴をより良く視覚化するために用いられると当該分野において知られている多くの方法を意味する。
【0072】
本明細書で用いる、オリゴヌクレオチドの語は、2つ以上のデオキシヌクレオチド、又はリボヌクレオチドからなる分子であると定義される。正確なサイズは、多くの因子、言い換えると、オリゴヌクレオチドの機能又は使用に依存している。オリゴヌクレオチドは、例えば、クローニング及び適切な配列の制限消化、並びに、リン酸ジエステル法(Narang et al., Meth. Enzymol., 68:90−99 [1979])、ジエチルフォスフォラミダイト法(Brown et al, Meth. EnzymoL, 68:109−151 [1979])、及び固体支持法(米国特許No. 4,458,066)等の当該技術分野において知られている適切な方法を用いて直接合成することができる。合成方法の各種文献は当分野で知られている(Goodchild, 1990, Bioconjugate Chemistry 1(3):165−187 [1990])。上記文献は参照により本明細書に援用する。
【0073】
本明細書において「ペプチド」の語は、酵素耐性ペプチドアナログを意味する。
【0074】
本明細書において「接触」及び「曝す」の語は、隣接した傍ら又は連結する場所に置くことを意味し、in vitro及びin vivoでの接触を含む。これらの語は、タッチング(touching)、アソシエーション(association)及び追加(joining)及び結合(combining)を含む。これらの語は、抗−標的に対しても用いられる。
【0075】
分離の語は、選択、分別、分割、単離、回収、隔離することを意味する。
【0076】
「増幅する」及び「増幅」の語は、分子又は分子のクラスのコピーの量又は数を増やす任意の工程又は工程の組み合わせを意味する。例として、幾つかの態様において、作用物質又は抗−標的作用物質の各コレクションの数は、増幅前の約100倍、約500倍、約1000倍、約500倍、約10,000倍、約100,000倍、約1,000,000倍、多い。
【0077】
「低濃度」の語は、標的に対するライブラリーメンバーの所望の解離定数の計算により得られる濃度よりも、約1000倍高い値から約10倍低い標的の濃度を意味する。低い濃度は、例えば、標的へのライブラリーメンバーの結合に対する所望の解離定数よりも10倍以下である濃度である。幾つかの好ましい態様において、好ましい濃度は、約1ミクロモル(1e−6M)及び約1ピコモル(1e−12M)の間であり、好ましくは、約1e−7及び約1e−11である。
【0078】
本明細書で用いる、「規定の濃度」の語は、本発明の所望の効果を達成するために操作された標的集団の濃度を特に意味する。幾つかの態様において、例えば、標的集団が他の濃度に対して相対的に比例する濃度を有するように、操作は標的集団の濃度を高める又は低めることを含む。幾つかの態様において、操作された濃度は高められたライブラリー濃度、ライブラリーの各メンバーの濃度を高めるライブラリーの多様性の増加、及び/又は標的濃度の減少を含む。
【0079】
「正常」の語は、外観上及び/又は検出されうる異常又は欠如のない、完全な状態を意味する。従って、正常細胞は、それ自身の変らない細胞のタイプにフェノタイプ又はゲノタイプと一致する、発現、発現のレベル、の典型的、標準的なパターンを有する又は順守する細胞である。反対に、「異常」の語は、典型的、一般的、又は日常的でないことを意味し、正常ではない。従って、疾病細胞は「異常」細胞タイプである。
【0080】
「標的」の語は本発明の作用物質又は作用物質集団に曝される所望の物質を意味する。幾つかの態様において、標的は所望の時間の間、インキュベーションされる。
【0081】
追加的な態様において、生物表面は、臓器の表面であり、代替的な態様において、生表面は細胞又は組織の表面である。一方、幾つかの代替的な態様において、生物表面は正常又は健康的な臓器、組織、又は細胞の表面である。
【0082】
更なる態様において、前記表面は組織の間質腔の中の巨大分子である。追加的な態様において、生物表面は、バクテリア、糸状菌、ウイルス、寄生虫(蠕虫、原生動物等)を含むがこれらに限定されない微生物の表面である。幾つかの態様において、前記微生物は動物病原体であり、他の態様において、前記微生物はヒト及び/又は他の動物に対しては非病原体である。細胞及び/又は組織の源は、ヒト、ヒト以外の動物、バクテリア、糸状菌又は植物である。
【0083】
従って、任意の生物表面(例えば、細胞、組織、皮膚、爪、内臓、外局、及び/又は髪)が本発明の標的として用いられる。幾つかの態様において、前記細胞はヒトの細胞であり、代替的な態様において、前記細胞はヒト以外の動物の細胞、バクテリア細胞、又は糸状菌細胞である。細胞の語はウイルス及び/又はウイルス粒子を含む細胞も包含する。幾つかの態様において、前記細胞は造血性細胞、癌細胞、又はレトロウイスルにより軽質転換された細胞である。
【0084】
代替的な態様において、前記標的は造血性細胞(例えば、赤血球、血小板、及び白血球の系統の未成熟細胞のほかに造血性幹細胞)を含む血液細胞である。「血液細胞」の語は、造血性細胞、赤血球、好中球、単核白血球、血小板、マスト細胞、好酸球、好塩基球、リンパ球、B細胞、T細胞、プラズマ細胞、マスト細胞、マクロファージ及びナチュラルキラー細胞を含むがこれらに限定されない。幾つかの態様において、前記標的は、異常血液細胞である。幾つかの態様において、HSC標的はCD34+、Thy−1+、又はCD34+、Thy−1+Lin−(「Lin−」は少なくとも1つの特定のマーカーの系統の欠失を基準にして選択された細胞集団を意味する。)の表面抗原発現プロファイルを有する。HSCsの単離及び選択の方法は等分野において知られている(米国特許Nos.5,061,620,5,677,136,及び5,750,397参照のこと。これらの文献を参照により本明細書に援用する。)
他の態様において、標的は分子である。いくつかの態様において、前記分子は有機分子である。更なる態様において、前記分子は生物分子である。追加的な態様において、前記生物学的分子は細胞関連分子である。更なる態様において、前記細胞関連分子は細胞の外表面に関係する。幾つかの態様において、前記細胞関連分子はタンパク質である。幾つかの態様において、前記タンパク質はレセプターである。追加的な態様において、前記細胞関連分子は特定の細胞タイプに特定される。更なる態様において、前記細胞は疾病及び/又は異常細胞である。幾つかの好ましい態様において、前記疾病細胞は、癌細胞である。他の態様において、前記疾病細胞は感染細胞である。本発明において、標的として用いることができる。他の分子はタンパク質、ペプチド、核酸、糖質、脂質、多糖、糖タンパク、ホルモン、レセプター、抗原、抗体、毒物質、代謝物、抑制物質、薬物、含量、栄養素、及び成長因子を含むがこれらに限定されない。
【0085】
本発明に包含されるタンパク質及び化学標的の非限定的な例は、ケモカイン、及び他のレセプターを含む。本明細書で用いる「サイトカイン」は細胞上で各種効果(例えば、正常、分化、及び/又は増殖)を生ずる数おおくの因子のいずれかを意味する。非限定的な例は、IL−2、IL−3、IL−4、IL−6、IL−10、IL−12、IL−13、IL−14、及びIL−16等のインターロイキン;可溶性IL−2レセプター;可溶性IL−6レセプター;エリスロポエチン(EPO);トロンボポエチン(TPO);顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF);幹細胞因子(SCF);白血病抑制因子(LIF);インターフェロン(例えば、INF−α、−β、及び−ガンマ);オンコステインM(OM);免疫グロブリンスーパーファミリー;腫瘍壊死因子(TNF)ファミリー、特にTNF−α;形質転換因子(例えば、TGF−α、及びTGF−ベータ);及びIL−1α;及び血管内皮成長因子(VEGF)ファミリー、特にVEGF(特に、当該分野でVEGF−Aといわれているもの)、VEGF−B、VEGF−C,VEGF−C,VEGF−D及び、胎盤成長因子(PLGF)を含む。サイトカインは、アムジェン(Amgen(Thousand Oaks,CA)、イムネックス(Immunex(Seattle,WA)) 及びジェネンテック(Genentech(South San Francisco,CA))を含む数社から入手可能である。
【0086】
本明細書で用いる「組織」の語は、一緒に特定の特化した機能を生ずる、同じような特化した細胞の群及び層を意味する。幾つかの組成においては、1つのタイプの細胞しか存在しないが、他の組織において、異なるタイプの細胞が存在する。この語は、リンパの、リンパ節様の、脂肪、骨、アエロラー(aerolar)、軟骨、関節、間質、内皮、上皮、繊維質、顆粒、腸関連リンパ(GALT)、未分化、間質、間葉質、骨髄、神経、骨、骨格、皮下、及び他の組織タイプを含むがこれらに限定されない。本明細書で用いる場合、この語は修飾された組織も意味する。
【0087】
「標的集団」の語は、作用物質又は作用物質が曝される標的の集団を意味する。標的集団は本明細書で用いるように、単一標的又は標的コレクションを含む。細胞、皮膚、及び/又は髪を含むがこれらに限定されない、生体表面のコレクションは、標的集団として本発明に用いることができる。
【0088】
いくつかの態様において、標的集団は、癌細胞、癌細胞株、癌細胞培養、腫瘍抽出物、癌組織、癌臓器、癌細胞に関係する分子、癌細胞株に関係する分子、癌細胞培地に関係する分子、腫瘍抽出物に関係する分子、癌組織に関係する分子、及び癌臓器に関係する分子を含む。幾つかの好ましい態様において、標的集団は、抗体又は抗体のコレクション、それ自身を含む。標的集団の非限定的な例は、以下で説明する。
【0089】
幾つかの好ましい態様において標的は「癌関係細胞」である。この語は、生体において癌、又は癌に関する状態の診断又は検出の一部として結合する本発明の組成物である、任意の標的を含む。例えば、この語は、施術から得られた生検サンプル又は正常組織(例えば、癌組織に関係している血管)のほかに、癌細胞、癌組織及び/又は癌臓器;癌細胞、癌組織、及び/又は癌臓器に関する分子;及び/又は癌細胞、癌組織、又は癌臓器に関係する分子、細胞、組織又は臓器(例えば、施術中に投与される腫瘍結合、診断分子)を含む。
【0090】
癌関連標的の例は、参照により本明細書に援用される米国特許No.6,261,535に記載されている。しかしながら、本発明を特定の癌関連因子に限定することは意図しない。前記癌関連標的は、任意の癌又は癌関連状態に関係している。癌のタイプの例は、上皮性悪性腫瘍、非上皮性悪性腫瘍、骨髄腫、白血病、リンパ腫、及び癌の混合タイプを含むがこれらに限定されない。
【0091】
「分子」の語は、標的分子、(例えば、抗原又はリガンと)及び/又は抗−標的分子を意味する。好適な作用物質、標的分子及び抗−標的分子はタンパク質、ペプチド、核酸、脂質、糖質、多糖、糖タンパク、ホルモン、レセプター、抗原、抗体、ウイスル、病原体、毒物質、代謝物、抑制物質、薬物、栄養素、成長因子、細胞又は組織を含むがこれらに限定されない。本発明は競合示差スクリーニングアッセイ方法を提供する。本発明は、スクリーニングの最終ラウンドの後に得られる作用物質の割合と、特定の標識と特異的に結合している溶出を高める。これは、少なくとも1つの作用物質(例えば、バインダー)がスクリーニングアッセイの使用を通じて、単離されるように、標的表面又上は懸濁液の中の望ましくない分子(例えば、抗−標的分子)に対する好ましい標的作用物質のシグナル対ノイズ比を増加させる。その結果、このアッセイは高い質及び標的バインダーの単離を促進する。
【0092】
発明の詳細な説明
本発明は、所望の化合物をスクリーニングするための方法を提供する。特に、本発明は競合示差スクリーニングのための方法を提供する。特に、幾つかの態様において、本発明は、標的結合の同定を促進する競合示差スクリーニングのための方法を提供する。幾つかの好ましい態様において、前記作用物質は、タイト及びウィークバインダーを含む本発明の方法において用いられる。他の態様において、本発明は標的を認識及び結合するが、所望のバインダーよりも弱い結合を有する競合バインダーを用いる方法を提供する。
【0093】
特に好ましい態様において、本発明はスクリーニングの最終ラウンド及び特定の標的に特異的に結合する溶出の後に得られる作用物質の割合を高める手段を提供する。この増加は少なくとも1つのバインダーの単離を促進する、標的表面上又は懸濁液中の好ましくない抗−標的分子に対する好ましい標的分子のシグナル−ノイズ−比を高める。
【0094】
幾つかの態様において、本発明は少なくとも1つの所望のバインダーを単離する方法を提供し、該方法は、標的集団を規定の濃度を有する作用物質のコレクションに接触させる工程と、標的集団に結合しない作用物質を洗浄して除去する工程と、前記少なくとも1つのバインダーを区別、分離及び同定する工程を含む。
【0095】
幾つかの態様において、本発明は少なくとも1つの所望のバインダーを単離する方法を提供する。前記方法は、第一標的を作用物質の第一コレクションに接触させる工程と、標的中に存在する標的分子に結合しない作用物質を洗浄して除去し、洗浄された作用物質を廃棄する工程と、標的分子に結合した作用物質を溶出して、抗−標的ペプチドのコレクションを生成する工程と、抗−標的ペプチドのコレクションを増幅する工程と、増幅された抗−標的ペプチドのコレクション並びに、作用物質の第一及び第二コレクションを第一又は第二標的へ適用する工程と、第一又は第二標的中の標的分子に結合していない作用物質を洗浄除去し、少なくとも1つの所望のバインダーを区別、分離、及び同定する工程とを含む。
【0096】
代替的な態様において、本発明は少なくとも1つの所望のバインダーを単離する方法を提供する。前記方法は、規定の濃度を有する作用物質のコレクションと標的集団を接触させる工程と、標的集団に結合していない作用物質を洗浄除去する工程と、及び前記少なくとも1つのバインダーを区別、分離、及び同定する工程とを含む。幾つかの好ましい態様において、前記作用物質のコレクションは少なくとも1つの核酸を含む。他の好ましい態様において、前記核酸のタイプはDNA又はRNAである。
【0097】
幾つかの好ましい態様において、前記規定の濃度は標的集団の約1×10−3倍及び約1×103倍の間である。幾つかの代替的な態様において、前記規定の濃度は、個々の作用物質濃度が作用物質の所望の解離定数の約1×10−4倍と1×102倍高くなるように、作用物質多様性を低減させる。好ましい態様において、前記規定の濃度は、所望の標的に対して好ましい解離定数を有するバインダーを含む少なくとも1つの競合バインダーを含む。濃度を規定するために当該分野において知られている好適な方法のいずれかが本発明に用いられる。
【0098】
幾つかの好ましい態様において、作用物質のコレクションは、ペプチドの少なくとも1つのタイプを含む。他の好ましい態様において、前記作用物質のコレクションは少なくとも1つの核酸のタイプを含む。更なる好ましい態様において、前記核酸のタイプはDNA又はRNAである。
【0099】
幾つかの好ましい態様において、標的集団は、標的の群(例えば、細胞又は核酸の群)であり、その各メンバーは、少なくとも1つの標的又は標的分子を含んでいる。幾つかの好ましい態様において、前記標的集団は癌細胞、癌細胞株、癌細胞培養、腫瘍抽出物、癌組織、癌臓器、癌細胞に関係する分子、癌細胞株に関係する分子、癌細胞培地に関係する分子、腫瘍抽出物に関係する分子、癌組織に関係する分子、及び癌臓器に関係する分子を含む。
【0100】
幾つかの好ましい態様において、標的集団は少なくとも1つの表面又は表面の群を含む。幾つかの好ましい態様において、前記表面は生物表面である。他の態様において、生物表面は臓器の表面である。更なる態様において、前生物表面は組織の表面である。追加的な態様において、前記生物表面は、細胞の表面である。更なる態様において、前記生物表面は疾病臓器、組織、又は細胞の表面である。他の態様において、生物表面は正常又は健康な臓器、組織、又は細胞の表面である。追加的な態様において、前記表面は組織の内部にある巨大分子の表面である。他の態様において、前記表面は非病原体又は病原体の表面である。更なる態様において、前記表面は非生物表面である。幾つかの態様において、前記非生物表面は医療機器の表面である。追加的な態様において、前記医療機器は治療機器である。更なる態様おいて、前記治療機器は埋め込まれた治療機器である。更なる態様において、前記医療機器は診断機器である。他の態様において、前記診断機器は、ウェル又はトレイである。
【0101】
追加的な態様において、前記標的集団は癌に関係している。幾つかの態様において、前記癌関係標的集団は、癌、又は癌に関係する状況の診断又は検出の一部に結合する作用物質のコレクションである任意の標的集団を含む。(例えば、癌細胞、癌組織、又は癌臓器、癌細胞、癌組織、癌臓器に関係する分子、あるいは、癌細胞、癌組織又は癌臓器に関係する分子、細胞、組織又は臓器;米国特許6,261,535号参照のこと。本文献を参照により本明細書に援用する。)幾つかの態様において、前記癌関係標的集団は癌又は癌に関係する状況のいずれかに関係する。癌の例は、上皮性悪性腫瘍、非上皮性悪性腫瘍、骨髄腫、白血病、リンパ腫、及び癌の混合タイプを含むがこれらに限定されない。
【0102】
幾つかの態様において、癌は骨肉腫である。例は、Ewing肉腫、骨肉腫、横紋筋肉腫、及び他の柔軟組織における肉腫を含むがこれらに限定されない。他の態様において、前記癌は神経系の癌である。例は、脳腫瘍、乏突起膠腫(希突起グリオーマ)、上衣(細胞)腫、リンパ腫、神経鞘腫、及び髄芽(細胞)腫を含むがこれらに限定されない。追加的な態様において、前記癌は乳癌(例えば、乳房における粘膜腺管癌)である。更なる態様において、前記癌は前立腺癌である。更なる態様において、前記癌は内分泌系の癌(例えば、副腎、すい臓、甲状腺、下垂体及び甲状腺)である。追加的な態様において、前記癌は、消化器系の癌(例えば、肛門、結腸直腸、直腸、口腔、鼠径部、食道、胃、胆嚢、胃、肝臓、すい臓、大腸、および小腸癌)である。更なる態様において、前記癌は、婦人科系の癌(例えば、子宮頚部、子宮内膜、子宮、卵管、懐胎の絨毛性疾患、絨毛癌、卵巣癌、膣癌、及び外陰癌)である。更なる態様において、前記癌は頭部及び首部の癌(例えば、喉頭音、口咽頭、副甲状腺および甲状腺癌)である。追加的な態様において、前記癌は白血病(例えば、急性リンパ性白血病、急性骨髄性白血病、慢性リンパ球性白血病、慢性骨髄性白血病、ヘアリー細胞白血病、骨髄増殖症候群)である。更なる態様において、前記癌は肺癌(例えば、中皮腫、非小細胞肺癌及び小細胞肺癌)である。追加的な態様において、前記癌はリンパ腫(例えば、AIDS関連リンパ腫、皮膚T 細胞性リンパ腫、B細胞リンパ腫、菌状息肉腫、Hodgkin‘s病及び非Hodgkin‘s病)である。更なる態様において前記癌は、骨髄腫(例えば、多発性骨髄腫)である。更なる態様において、前記癌は、小児癌(例えば、脳腫瘍、Ewing肉腫、白血病(例えば、急性リンパ性白血病、急性骨髄性白血病)、肝臓癌、リンパ腫(例えば、Hodgkin‘s病及び非Hodgkin‘s病)、神経芽細胞腫、網膜芽(細胞)腫、肉腫(例えば、骨肉腫又は横紋筋肉腫)及びWilms’腫瘍である。更なる態様において、前記癌は、前立腺、精巣、前立腺上皮、及び陰茎癌を含むがこれらに限定されない男性生殖器系癌である。追加的な態様において、前記癌は皮膚癌(例えば、皮膚T 細胞性リンパ腫、菌状息肉腫、カポジ肉腫、皮下又はメラノーマ)である。更なる態様において、前記癌は、甲状腺癌(例えば、乳頭、甲状腺濾胞腺癌、延髄、甲状腺未分化癌、低分化腺癌)である。追加的な態様において、前記癌は、尿路癌(例えば、膀胱、腎臓、尿道口)である。更なる態様において、前記癌、又は癌関係状態は、運動失調毛細血管拡張症、未知の一次形成体の癌、リー-フラウメニ癌症候群、又は胸腺腫である。更なる態様において、前記癌は転移癌である。
【0103】
追加的な態様において、前記癌関係標的は癌細胞又は組織に関係する分子である。幾つかの態様において、前記分子は、癌又は腫瘍血管/基質の抗体、例えば、CD20、CD19、CD30、CD3、GD2、Lewis−Y、72kd糖タンパク(gp72、減衰加速因子、CD55、DAF、C3/C5転換体)、CO17―1A(EpCAM、17−1A、EGP−40)、TAG−72、CSAg−P(CSAp)、45kd糖タンパク、HT−29ag、NG2、A33(43kdgp)、 38kdgp、MUC−I、CEA、EGFR(HERl)、HER2、HER3、HER4、HN−Iリガンド、CA125、syndecan−1、LewisX、FAPストロマAg(繊維芽細胞活性因子)、EDGレセプター(エンドグリンレセプター)、ED−B、ラミニン−5(ガンマ2)、cox−2(+LN−5)、PgP(P−糖タンパク)、アルファVベータ3インテグリン、アルファVベータ5インテグリン、uPAR(ウロキナーゼプラスミノーゲン活性レセプター)、エンドグリン(CD105)、GD2、アミノペプチダーゼ、テネイシン−C、NG−2、TEMl、TEM8、アネキシン、葉酸レセプター骨粗しょう症(EDG1.3)、p97(メラノトランスフェリン)、ファネシルトランスフェラーゼ又はアポトーシス経路中の分子 (例えば、デスレセプター、fas、カスパーゼ又はbcl−2)又はレクチンである。
【0104】
代替的な態様において、標的は、赤血球、血小板、白血球系統の未成熟細胞のほかに、造血性細胞(例えば、造血性癌細胞)を含む血液細胞である。「血液細胞」は、造血性細胞、赤血球、好中球、好中球、単核白血球、血小板、マスト細胞、好酸球、好塩基球、リンパ球、B細胞、T細胞、プラズマ細胞、マスト細胞、マクロファージ及びナチュラルキラー細胞を含むがこれらに限定されない。幾つかの態様において、前記標的は、異常血液細胞である。幾つかの態様において、HSC標的はCD34+、Thy−1+、又はCD34+、Thy−1+Lin−(「Lin−」は少なくとも1つの特定のマーカーの系統の欠失を基準にして選択された細胞集団を意味する。)の表面抗原発現プロファイルを有する。HSCsの単離及び選択の方法は等分野において知られている(U.S. Patent Nos. 5,061,620, 5,677,136, 及び5,750,397参照のこと。これらの文献を参照により本明細書に援用する。)
他の態様において、標的は分子である。いくつかの態様において、前記分子は有機分子である。更なる態様において、前記分子は生物分子である。追加的な態様において、前記生物学的分子は細胞関連分子である。更なる態様において、前記細胞関連分子は細胞の外表面に関係する。幾つかの態様において、前記細胞外表面は細胞外基質の一部である。幾つかの態様において、前記細胞関連分子はタンパク質である。幾つかの態様において、前記タンパク質はレセプターである。追加的な態様において、前記細胞関連分子は特定の細胞タイプに特定される。更なる態様において、前記細胞は疾病及び/又は異常細胞である。幾つかの好ましい態様において、前記疾病細胞は、癌細胞である。他の態様において、前記疾病細胞は感染細胞である。本発明において、標的として用いることができる。他の分子はタンパク質、ペプチド、核酸、糖質、脂質、多糖。糖タンパク、ホルモン、レセプター、抗原、抗体、毒物質、代謝物、抑制物質、薬物、含量、栄養素、及び成長因子を含むがこれらに限定されない。
【0105】
本発明に包含されるタンパク質及び化学標的の非限定的な例は、ケモカイン、及び他のレセプターを含む。本明細書で用いる「サイトカイン」は細胞上で各種効果(例えば、正常、分化、及び/又は増殖)を生ずる数おおくの因子のいずれかを意味する。非限定的な例は、IL−2、IL−3、IL−4、IL−6、IL−10、IL−12、IL−13、IL−14、及びIL−16等のインターロイキン;可溶性IL−2レセプター;可溶性IL−6レセプター;エリスロポエチン(EPO);トロンボポエチン(TPO);顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF);幹細胞因子(SCF);白血病抑制因子(LIF);インターフェロン(例えば、INF−α、−β、及び−ガンマ);オンコステインM(OM);免疫グロブリンスーパーファミリー;腫瘍壊死因子(TNF)ファミリー、特にTNF−α;形質転換因子(例えば、TGF−α、及びTGF−ベータ);及びIL−1α;及び血管内皮成長因子(VEGF)ファミリー、特にVEGF(特に、当該分野でVEGF−Aといわれているもの)、VEGF−B、VEGF−C,VEGF−C,VEGF−D及び、胎盤成長因子(PLGF)を含む。サイトカインは、アムジェン(Amgen(Thousand Oaks,CA)、イムネックス(Immunex(Seattle,WA)) 及びジェネンテック(Genentech(South San Francisco,CA))を含む数社から入手可能である。幾つかの態様において、特に好ましい標的はVEGF及びTNF−αである。
【0106】
TNF−αに対する抗体は、レセプターとTNF−αとのブロッキング相互作用は、敗血(症)性ショック、関節リウマチ、及び他の炎症過程等の幾つかの疾病状態において、TNF−αの過剰発現の調節において有用であることを示す。VEGFは血管新生誘発体である。血管浸潤の仲介体であり、内皮細胞に特異的な有糸分裂促進剤である。VEGFファミリー及び/又はそれらのレセプターを標的とすることは治療上有意な効果を有する。例えば、VEGFのブロッキングは、卵巣過剰刺激症候群(OHSS)において治療効果を有する(例えば、Ferrara et al, Nat. Med., 5:1359 [1999]); 及びGerber et al, Nat. Med., 5:623 [1999])。他の好ましい標的はT細胞レセプター等の細胞表面レセプターを含む。
【0107】
「ケモカイン」は、細胞のトラフィッキング、及び炎症において重要な役割を果たす小さいタンパク質のファミリーである。ケモカインファミリーは、IL−8、間質由来因子-1 (SDF−I)、血小板因子4、好中球活性タンパク質−2(NAP-2)及び単球化学誘引タンパク質−1(MCP−I)を含むがこれらに限定されない。これらのタンパク質もまた本発明の方法における標的として用いることができる。
【0108】
他のタンパク質及び化学標的は、ヒト白血球抗原(HLA、クラスI及び/又はクラスII、及び非クラシカルクラスIHLA(E、F及びG)等の免疫調節タンパク質;T又はB細胞表面タンパク質等の表面タンパク質;ヒト血清アルブミン;プロスタグランジン、ロイコトリエン、トロンボキサン及びプロスタサイクリン等のアラキドン酸代謝物;IgE、自己免疫又は同種免疫又は異種免疫に対する自己抗体又は同種異系抗体;因子に結合するIgFcレセプター又はFcレセプター;レセプターと結合するGタンパク質;細胞表面糖質;血管新生因子;接着分子;カルシウム、カリウム、マグネシウムアルミニウム及び鉄等のイオン;プリオン及びテューブリン等の微小繊維タンパク質;プロテアーゼ、アミノペプチダーゼ、キナーゼ、フォスファターゼ、DNAアーゼ、RNAアーゼ、リパーゼ、エステラーゼ、デヒドロゲナーゼ、オキシダーゼ、ハイドロラーゼ、スルファターゼ、セルラーゼ、シクラーゼ、トランスフェラーゼ、トランスアミダーゼ、カルボキシラーゼ、デカルボキシラーゼ、スーパーオキシドジスムターゼ、及びそれらの天然基質又はアナログ;卵胞刺激ホルモン(FSH)、黄体刺激ホルモン(LH)、甲状腺ホルモン(T4及びT3)、アポリポタンパク質、低密度リポプロテイン(LDL)、コレステロール、アルドステロン、エストリオール、エストラジオール、プロゲステロン、テストステロン、デヒドロエピアンドロステロン(DHAB)及びその硫酸塩(DHEA−S)等のホルモン及びそれらの関連レセプター;レニン、インスリン、カルシトニン、パラサイロイドホルモン(PTH)、ヒト成長ホルモン(hGH)、バソプレッシン、及び抗利尿ホルモン(AD)、プロラクチン、副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)、LHRH、サイロトロピン放出ホルモン(THRH)、血管活性腸管ペプチド(VIP)、ブラジキニン、及びこれらに対応するホルモン等のペプチドホルモン;アドレナリン及び代謝物等のカテコールアミン;アトリオナチューリックファクター(atrionatriutic factor)(AdF)を含む共因子;ビタミンA、B、C、D、及びK及びセロトニン;プロトトロンビン、トロンビン、フィブリン、フィブリノーゲン、ファクターVIII、ファクターIX、ファクターXI、及びヴィレブランド因子等の凝固因子;プラスミン、補体活性因子、LDL及びそれらのリガンド、及び尿酸等のプラスミノーゲン因子;ヒルジン、ヒルログ(hirulog)、ヘメンチン(hementin)、ヘパリン及び組織プラスミノーゲン活性因子(TPA)等の凝固調節化合物;遺伝子治療のための核酸分子;酵素アンタゴニスト、炎症因子、及びレセプター等のリガンドに結合する化合物、並びに以上の分子の1つ以上に結合する他のタンパク質を含むがこれらに限定されない。
【0109】
追加的な化学標的は、薬に限定されないが、特に、大麻、ヘロイン、及び他のアヘン類、フェンシクリジン(PCP)、バルビツール塩酸、コカイン及びそれらの誘導体、ベンザジアピン等の乱用される薬物;水銀、及び鉛等の重金属、砒素及び放射線活性化合物;パラセタノール、ジゴキシン、及びフリーラジカル等の化学治療因子;リポ多糖(LPS)及び他のグラム陰性毒、スタヒロコッカス毒素、トキシンA、破傷風毒素、ジフテリア毒素、及び百日咳毒素等のバクテリア毒素;植物及び海洋毒素;蛇及びエアロバクター、毒、タンパク質等の他の毒、毒性因子;EBウイルス(EBV)、水疱瘡ウイルス(VZV)、ヒト免疫不全ウイルス(例えば、HIV−1,−2)及び他のレトロウイルス、アデノウイルス、ロタウイルス、インフルエンザウイルス、ライノウイルス、パルボウイルス、風疹、麻疹ウイルス、ポリオ、パラミクソウイルス、パポバウイルス、ポックスウイルス、アルボウイルス、フラビウイルス、アレナウイルス、狂犬病ウイルス、カリシウイルス、アストロウイルス(astroviruses)、ロタウイルス、及びピコルナウイルス等の感染ウイルス;ピロリン;プラスモジウム組織因子;アメーバー(例えば、赤痢アメーバ)、糸状虫(例えば、ブケレリア属)、プラスモジウム、ジアルジア属、リーシュマニア属、クリプトスポリジウム属、サルコシスティス属、バベシア属、トリパノソーマ属、及びトキソプラズマ;蠕虫(例えば、吸虫、条虫、線虫);種、院内及び他の感染に関与する、好気性、嫌気性及び条件性を含むバクテリア(例えば、大腸菌、アシネトバクター属、シュードモナス、プロテウス、クレブシエラ属、スタヒロコッカス[ブドウ球菌]属、連鎖球菌、淋菌、ミコ[マイコ]バクテリウム、レギノネリア、クロストリジウム、マイコプラズマ属、トレポネーマ属、クラミジア属、リケッチア属、バルトネラ属等)及び糸状菌(例えば、カンジダ属、ニューモシスティス、アスペルギルス、トリコデルマ、ミクロスポラ、ピチニア(Pichnia)、コクシジオイデス属、ブラストミセス属、ヒストプラズマ、クリプトコッカス属等)を含む。すなわち、結合されることができる(すなわち、結合標的をつくることができる)いずれかの標的は本願発明に用いることができるので、本発明の標的を特定の標的に限定することは意図しない。
【0110】
更なる態様において、前記標的は、植物又は非植物由来物質である。幾つかの態様において、前記標的は木であり、他の態様において、前記評定は木以外の植物である。本発明はあらゆる植物及び/又は植物由来物質を包含することを意図する。
【0111】
幾つかの態様において、前記標的はプロテアーゼ、アミノペプチダーゼ、キナーゼ、フォスファターゼ、DNAアーゼ、RNAアーゼ、リパーゼ、エステラーゼ、デヒドロゲナーゼ、オキシダーゼ、ハイドロラーゼ、スルファターゼ、セルラーゼ、シクラーゼ、トランスフェラーゼ、トランスアミダーゼ、カルボキシラーゼ、デカルボキシラーゼ、スーパーオキシドジスムターゼ、及びそれらの天然基質又はアナログ等の酵素である。特に好ましい酵素は、ハイドロラーゼ、特に、アルファ/ベータハイドロラーゼ、スブチリシン及びキモトリプシンセリンプロテアーゼ等のセリンプロテアーゼである。
【0112】
更なる態様において、前記表面は非生物表面である。幾つかの態様において、前記非生物表面は医療機器の表面である。追加的な態様において、前記医療機器は治療機器である。更なる態様おいて、前記治療機器は埋め込まれた治療機器である。更なる態様において、前記医療機器は診断機器である。他の態様において、前記診断機器は、ウェル又はトレイである。
【0113】
更なる態様において、前記非生物表面は、物質である。幾つかの態様において、前記非生物表面は布である。幾つかの態様において、前記布は天然繊維である。追加的な態様において、前記布は、綿、シルク及び/又はウールである。更なる態様において、前記布は非天然繊維である。幾つかの態様において、前記布はナイロン、レーヨン、及び/又はポリエステルである。幾つかの態様において、前記布は天然繊維と合成繊維の混紡である。更なる態様において、前記物質は前記いずれかの繊維の複合材料である。
【0114】
追加的な態様において、前記標的は超小型回路である。このサーキットは、最終工程のもの又は回路の製造の任意の段階におけるものでよい。前記標的作用物質は回路の化合物を除去又は蒸着させるために用いるものであり、例えば、n−タイプドーパント(例えば、砒素、燐、アンチモン、チタン又のドナー原子体)又はp−タイプドーパント(例えば、ホウ素、アルミニウム、ガリウム、インジウム、又のアクセプター原子体)(van Zant, Microchip Fabrication, McGraw−Hill, New York, [2000]参照のこと)である。該文献を参照により本明細書に援用する。
【0115】
すなわち、結合されることができる(すなわち、結合標的をつくることができる)いずれかの標的は本願発明に用いることができるので、本発明の標的を特定の標的に限定することは意図しない。
【0116】
幾つかの態様において、表面上の染色が標的集団とみなされる。従って、幾つかの態様において、コットンの破片上の染色が作用物質が強く結合している標的分子である可能性を含み、染色されないコットンは抗―標的が結合している抗−標的分子を含む。従って、幾つかの態様において、染色は、作用物質が特異的に結合している標的分子を含む化合物である。幾つかの態様において、前記化合物は色を布、金属又の布又は固形物質に、あるいは、染色が視覚化することができる他の物質に添加して染色される物質である。染色として現れる染色された物質の標的クラスは、ポルフィリン由来構造(例えば、血液中のヘム、及び植物中のクロロフィル);お茶の染色、ワインの染色、バナナの染色及び桃の染色を生じさせるタンニン及びポリフェノール(Ribereau−Gayon, in Oliver and Boyd (eds.), Plant Phenolics. Edinburgh [1972], pp.169−198参照のこと);カロチノイド又はカロチノイド誘導体、該染色物質は、トマト(リコピン、赤色)、マンゴー(カロチン、オレンジ−黄色)、及びパプリカの色を生ずる;酸化カロチノイド及びキサントフィル(例えば、Bartley et al, Plant Cell.7:1027−1038 [1995]参照のこと);アントシアニン(すなわち、果物及び花において生ずる高度に染色された分子)(Ribereau-Gayon, 上記pp.135−169参照のこと)、及びメイラード反応生成物(すなわち、調理油において見られるような、タンパク質/ペプチド構造の存在下において糖質分子の混合物が加熱されることにより生ずる黄色/茶色に染色された物質)である。代替的な態様において、染色された化合物は化学反応、吸着又は拡散により繊維の中へ取り込まれる顔料(例えば、ダイレクトブルーダイ(direct blue dyes)、アシッドブルーダイ(acid blue dyes)、レアクティブブルーダイ(reactive blue dyes))である。幾つかの好ましい態様において、特に好ましい標的はカロチン及びキサントフィル染色を含む。
【0117】
幾つかの態様において、染色は、ポルフィリン由来染色、タンニン由来染色、カロチノイド染料由来染色。アントリアニン染料由来染色、固形ベース染色、オイルベース染色、及び人体由来染色の非限定的な群より選択される。幾つかの好ましい態様において、染色は血液由来染色又はクロロフィル由来染色である。より具体的には、幾つかの態様において、前記染色は、草、パプリカ、茶由来染色あるいは、果物又は野菜由来染色である(例えば、ワイン、トマト、ベリー類等からの)。幾つかの特に好ましい態様において、前記好ましい染色は人体固形及びより具体的にはカラーソイル(collar soil)といわれる染色が好ましい。
【0118】
幾つかの好ましい態様において、第一標的集団及び第二標的集団を含む、少なくとも2つの標的集団がある。幾つかの好ましい態様において、前記第一標的集団及び第二標的集団は異なる。幾つかの特に好ましい態様において、前記第一標的集団及び第二標的集団は細胞である。更なる追加的な態様において、前記第一標的集団は正常細胞を含み、第二標的集団は異常細胞を含む。更なる好ましい態様において、前記異常第二標的集団は腫瘍細胞を含む。
【0119】
幾つかの態様において、第一標的集団はダメージを受けた細胞、組織、又は臓器上の分子であり、第二標的細胞は無傷の(すなわち、ダメージを受けていない)正常な、細胞、組織、臓器又はこれらの組み合わせを含む。幾つかの態様において、前記細胞、組織及び/又は臓器は、正常な全血、皮膚、紙、歯及び爪からなる群より選択される。幾つかの態様において、野生型細胞の表面に正常に発現するタンパク質は第二標的集団分子であり、癌細胞の表面上のみ発現するタンパク質は第一標的分子である。しかしながら、本発明は、野生型細胞の上に発現する分子と異常又は疾病細胞上に発現する分子との比較に限定することは意図しない。代替的な態様において、細胞特異タンパク質を同定するために、異なる健康的な細胞タイプを他の異なる健康的な細胞タイプと比較する。
【0120】
幾つかの更なる態様において、標的はダメージを受けた細胞、組織、臓器上に存在する分子であり、抗―標的分子は健康的な正常(すなわち、ダメージを受けていない)細胞、組織、臓器、又はこれらの組み合わせの上に存在する。幾つかの態様において、前記抗−標的分子はが存在する細胞、組織、臓器は、全血、皮膚、紙、歯、及びつめからなる群より選択される。幾つかの態様において、通常野生型細胞の表面にのみ発現するタンパク質は抗−標的分子であり、一方癌細胞の表面にのみ発現するタンパク質は標的分子である。しかしながら、本発明は、野生型細胞の上に発現する分子と異常又は疾病細胞上に発現する分子との比較に限定することは意図しない。代替的な態様において、細胞特異タンパク質を同定するために、異なる健康的な細胞タイプを他の異なる健康的な細胞タイプと比較する(例えば、腎臓細胞と肝臓細胞との比較)。
【0121】
幾つかの好ましい態様において、本発明の方法は、第一標的集団を作用物質の第一コレクションとインキュベートする工程及び、前記インキュベート混合物の中から結合していない作用物質を除去するための洗浄工程を繰り返すことを更に含む。
【0122】
幾つかの代替的な態様において、抗−標的作用物質の増幅されたコレクションの濃度は、作用物質の第一コレクションの少なくとも約1000倍である。好ましくは、抗−標的作用物質のコレクションの各メンバーは、増幅される前よりも、約100倍、約500倍、約1000倍、約500倍、約10,000倍、約100,000倍又は約1,000,000倍より高いレベルで存在する。
【0123】
幾つかの好ましい態様において、前記作用物質はファージ表面のペプチドであり、抗−標的作用物質はファージ表面の他のペプチドである。幾つかの好ましい態様において、前記方法は更に、第二標的集団と作用物質の第一コレクションを有する増幅されたコレクショとンインキュベートする前に、抗−標的作用物質を含むファージを失活させる工程を含む。幾つかの好ましい態様において、前記失活工程は、ファージを生育不可能な温度にさらすことを含む。
【0124】
本発明において、作用物質、抗−標的作用物質、標的集団、作用物質のコレクションは、それらの分子の結合が知られている程度に特徴付けられることは、必要ない。従って、例えば、幾つかの態様において、スクリーニングの前に、抗―標的作用物質が抗―標的分子上又は標的中に結合するかどうかはわかる必要はない。同様に、標的分子又集団、及び抗−標的分子は、構造、化学的、遺伝子レベルで特徴付けられ、精製、安定性及び標的分子又は集団の濃度を制御する必要はない。同様に、どの作用物質又は抗−標的作用物質が結合する分子であるかということもわかる必要はない。
【0125】
幾つかの好ましい態様において、標的集団は低い濃度である。幾つの好ましい態様において、前記低い濃度は約1マイクロモル(1e−6M)乃至約1ピコモル(1e−12M)の間であり、幾つかの特定の好ましい態様において、前記濃度は約1e−7M乃至約1e−11Mの間の濃度である。
【0126】
本明細書において述べるように、本発明は標的集団において標的分子に結合する作用物質を同定するための方法を提供する。本明細書において詳細に述べるように、「標的集団」は標的の群であり、(例えば、細胞又は核酸の群)各メンバーは少なくとも1つの標的分子を含む。幾つかの好ましい態様において、前記方法はインキュベート混合物の中で、第一標的集団を作用物質の第一コレクションに接触させる工程を含み、ここで、少なくともいくつかの作用物質は第一標的集団中の分子に接触する。本明細書で用いる「作用物質の第一コレクション」は、野生型又は正常な標的分子に結合する分子(例えば、ペプチドの群)である。
【0127】
幾つかの特定の好ましい態様において、前記方法はインキュベート混合物を洗浄して、インキュベート混合物からに結合作用物質を除去する工程と、その後、結合作用物質を溶出して、抗−標的作用物質のコレクションを生成する工程とを必要とする。幾つかの追加的な工程において、これらの抗−標的作用物質は、各メンバーが溶液中に高い濃度で存在するようにするために増幅される。
【0128】
幾つかの態様において、増幅は核酸配列の追加的なコピーを生成し、及び当該分野でよく知られているポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を用いて行われる。幾つかの代替的な態様において、増幅は、宿主細胞によるファージ生産により起こる。
【0129】
従って、幾つかの態様において、増幅の後に、抗−標的作用物質のコレクションの各メンバーは、とても高いコピー数で存在する。例えば、幾つかの態様において、抗−標的作用物質のコレクションの各メンバーは、増幅前の抗−標的作用物質の濃度より、約100倍、約500倍、約1000倍、約500倍、約10,000倍、約100,00倍、又は約1,000,000倍より高いレベルで存在する。
【0130】
幾つかの態様において、抗−標的作用物質の増幅されたコレクションは作用物質の第一コレクションより過剰に存在するので、抗−標的作用物質は第二標的集団中の抗−標的の全部に結合する必要がある。第一標的中には存在しない第二標的集団中のいずれかの標的分子が検出される(すなわち、作用物質の標的への結合により)。従って、洗浄の後、そのような作用物質の同定は、それが所望のバインダーであるかどうかについて、同定され、解析される。幾つかの態様において、第二標的集団は、第一標的集団と同じ標的を含み、代替的な態様において、第二標的集団は、第一標的集団と異なる標的を含む。例えば、幾つかの態様において、第一標的集団は、健康的な肝臓の細胞を含んでおり、一方、第二標的集団は疾病の肝臓細胞を含んでいる。代替的に、幾つかの態様において、前記第一標的集団は、皮膚を含んでおり、第二標的集団は髪を含んでいる。更なる態様において、第一標的集団は清潔な布上に存在し、第二標的集団は、しみを含むクロスに存在する。
【0131】
幾つかの態様において、作用物質はファージ表面に発現するペプチドであり、第一及び第二標的集団はそれぞれ、野生型又は異常細胞である。
【0132】
幾つかの好ましい態様において、本方法はファージ提示方法を用いて行われる。ファージ提示法は、ペプチド又はタンパク質がバクテリオファージのコートタンパク質に遺伝的に結合して、その結果、ファージの外に融合タンパク質が提示され、ファージ内の融合残渣DNAコード化されるという、in vitorでの選択技術である(Barbas et al, Phage Display, a Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Press, [2001]参照のこと)。この方法は、その対応するDNA配列に結合するタンパク質の変異体又は異なるタンパク質の多くのメンバーのスクリーニングを可能にする。
【0133】
幾つかの好ましい態様において、作用物質のコレクションはファージ表面上の少なくとも1つのタイプのペプチドである。幾つかの好ましい態様において、前記ペプチドは少なくとも1つの抗体を含む。他の好ましい態様において、前記方法は更にファージを失活する工程を含む。ここにおいて、失活は標的のコレクション、及び作用物質のコレクションを含むファージをインキュベートする前に行う。代替的な態様において、前記失活の工程はファージを生育不可能な温度に曝す工程を含む。幾つかの態様において、増幅は核酸配列の追加的なコピーを生成するために持ち入られる。幾つかの好ましい態様において、増幅は分野で知られているPCRを用いて行う。他の態様において増幅は宿主に感染させたファージの生成により起こる。幾つかの態様において、作用物質のコレクションはファージ表面に発現したペプチドを含み、第一及び第二標的集団はそれぞれ、野生型細胞及び異常細胞である。
【0134】
ファージの区別及び/又は分離は当分野で知られている好適な方法を用いて行われる。例えば、幾つかの態様において、溶出されたファージ上に存在するペプチドの増幅されたコレクションは80℃5分間のインキュベートにより失活する。従って、ファージ提示された第一プールのファージのみが生存し、且つ培地上で育成することができる。
【0135】
代替的な態様において、2つの異なる系統又は異なるファージの培養物が用いられる。例えば、異なる核酸配列及び/又は抗生物質耐性を有する系統が本発明に用いられる。従って、抗生物質耐性のケースにおいて、作用物質の増幅されたコレクションは選択された抗生物質の存在下において育成できないが、このバインダーに耐えたファージは育成する。幾つかの態様において、1つの系統のファージ中の配列にのみハイブリダイズするように設計されたPCRプライマーはいずれかのファージが存在するかを同定するために用いられる。
【0136】
幾つかの好ましい態様において、本発明は少なくとも1つの所望のバインダーを単離するための方法を提供する。該方法は、低い濃度を有する標的集団を作用物質のコレクションに接触させる工程と、標的集団に結合していない作用物質を洗浄除去する工程と、少なくとも所望のバインダーを区別、分離、及び同定する工程を含む。
【0137】
幾つかの好ましい態様において、作用物質のコレクションは、少なくとも1つの所望のペプチドを含む。代替的な好ましい態様において、作用物質のコレクションは少なくとも1つの核酸を含む。更なる好ましい態様において、前記核酸はDNA又はRNA分子である。
【0138】
幾つかの好ましい態様において、作用物質のコレクションは規定の濃度を有する。幾つかの特定の態様において、規定の濃度は標的集団の濃度の約1×10−3倍及び約1×103倍の間である。幾つかの好ましい態様において、前記操作された濃度は作用物質の多様性を減少させることを含むので、各作用物質濃度は、作用物質の所望の解離低定数の約1×10−4倍乃至約1×102倍の間まで高くなる。幾つかの好ましい態様において、前記規定の濃度は少なくとも競合バインダーを含む。ここにおいて、少なくとも1つの競合バインダーが所望の標的に対する規定の解離定数を有するバインダーを含む。
【0139】
幾つかの好ましい態様において、前記標的集団は癌細胞、細胞株、細胞培養、腫瘍抽出物、癌組織、臓器、癌細胞、癌細胞株、癌細胞培養物に関係する分子(例えば、特定の抗原)からなる群より選択される。従って、幾つかの特定の好ましい態様において、標的集団は抗原の集団である。幾つかの態様において、前記抗原は、癌性抗原、muc−1、Tag72、CEA、CD22、ED−B及びFAPからなる群より選択される少なくとも1つの抗原を含む。幾つかの好ましい態様において、前記標的集団は、約1マイクロモル(1e−6M)乃至約1ピコモル(1e−12M)の間の低い濃度を有する。好ましい幅は、約1e−7M乃至約1e−11Mの間である。
【0140】
幾つかの好ましい態様において、前記作用物質のコレクションは少なくとも1つのペプチドのタイプを含み、幾つかの代替的な態様において、前記作用物質のコレクションは、少なくとも1つの核酸を含む。幾つかの好ましい態様において、前記核酸はDNA又はRNA分子である。
【0141】
幾つかの代替的な態様において、前記方法はファージ提示方法を用いて行われる。幾つかの好ましい態様において、前記作用物質のコレクションは、ファージ表面に存在する少なくとも1つのタイプのペプチドである。幾つかの好ましい態様において、前記ペプチドは、少なくとも1つの抗体を含む。幾つかの好ましい態様において、前記方法は更に、ファージを失活する方法をふくみ、前記失活はファージを標的のコレクション及びファージのコレクションを含むファージとインキュベートする前に行われる。幾つかの態様において、前記失活工程はファージを育成不可能な温度に曝す工程を含む。幾つかの好ましい態様において、前記方法は更にファージのコレクション中の核酸配列に特異的なオリゴヌクレオチドを用いたPCR増幅を行う工程を含む。
【0142】
本発明は、少なくとも1つの所望のペプチドを単離する方法を提供する。前記方法は、少なくとも1つの野生型細胞のコレクションをファージ提示されたペプチドの第一プールとインキュベートする工程と、野生型細胞の表面上に標的分子に結合していないファージをい洗浄除去する工程と、標的分子に結合しているファージを溶出して抗−標的ペプチドのコレクションを生成する工程と、抗−標的ペプチドのコレクションを増幅する工程と、増幅された抗−標的ペプチドのコレクションと、(続く野生型細胞の少なくとも1つのコレクションとファージ提示されたペプチドの第一プールとのインキュベートにより得られた、)ファージ提示されたペプチドの第一及び/又は第二プールを異常細胞に適用する工程と、異常細胞の表面上の標的分子に結合していないファージを洗浄除去して、少なくとも1つの所望のペプチドのほかに結合抗−標的ペプチドで覆われている細胞上面を残す工程と、抗−標的ペプチドに耐えたファージから、少なくとも1つの所望のペプチドに耐えたファージを、区別及び/又は分離する工程を含む。幾つかの好ましい態様において、前記ファージの第一コレクション及び第二コレクションは異なるゲノムを含む。幾つかの好ましい態様において、第二細胞集団の細胞の表面に発現する標的に結合するファージの第二コレクションからペプチドを同定する方法は、ファージの第二コレクションの核酸配列に特異なオリゴヌクレオチドを用いたPCR増幅を含む。追加的な好ましい態様において、抗生物質耐性マーカーが用いられ、及びファージの第一コレクションの前記抗生物質耐性パターンは、ファージの第二コレクションの抗生物質耐性パターンと異なる。
【0143】
幾つかの好ましい態様において、前記方法はさらにインキュベート混合物の中で第一標的集団を作用物質の第一コレクションとインキュベートする工程と、インキュベート混合物を洗浄してインキュベート混合物から見未結合作用物質を除去する工程を繰り返すことを含む。
【0144】
幾つかの好ましい態様において、増幅された抗−標的ファージのコレクションはファージの第二コレクションの濃度よりも少なくとも1000倍より高い。
【0145】
更なる好ましい態様において、前記方法はさらに増幅されたコレクションを第二標的集団及び作用物質の第一コレクションとインキュベートする前に、抗−標的作用物質を含むファージを失活させる工程を含む。幾つかの好ましい態様において、前記失活工程はファージを育成不可能な温度に曝すことを含む。
【0146】
幾つかの好ましい態様において、抗−標的ペプチドに耐えた前記ファージは約100倍、約500倍、約1000倍、約10,000倍又は約1,000,000倍にまで増幅されており、その後、上で述べた方法において異常細胞に適用される。従って、抗−標的ペプチドの増幅されたコレクションは野生型及び異常細胞の両方に共通する細胞表面タンパク質に結合する。ファージ提示されたペプチドのオリジナルの又は異なるプールを適用することにより、異常細胞の表面にのみ発現するタンパク質が残り、それゆえ、このプールに含まれる新規なペプチドに対する標的となる。
【0147】
上で説明したように、ファージの区別及び/又は分離は当該分野で知られている好適な方法を用いて行うことができる。例えば、幾つかの態様において、溶出されたファージ上に存在するペプチドの増幅されたコレクションは80℃5分間のインキュベートにより失活する。従って、ファージ提示された第一プールのファージのみが生存し、かつ培地上で育成することができる(Barbas et al参照のこと)。
【0148】
代替的な態様において、2つの異なる系統又は異なるファージの培養物が用いられる。例えば、異なる核酸配列及び/又は抗生物質耐性を有する系統が本発明に用いられる。従って、抗生物質耐性のケースにおいて、作用物質の増幅されたコレクションは選択された抗生物質の存在下において育成できないが、このバインダーに耐えたファージは育成する。幾つかの態様において、1つの系統のファージ中の配列にのみハイブリダイズするように設計されたPCRプライマーはいずれかのファージが存在するかを同定するために用いられる。
【0149】
幾つかの特に好ましい態様において、本方法は、増幅され、且つ精製された抗−標的ペプチドをファージに連結且つ結合していない第二標的集団に適用する工程を含む。この場合、溶出された前記ファージは収集され、及びバクテリア細胞の形質転換に用いられ、ファージに関係するペプチド又はタンパク質が生成される(Barbas et al.参照のこと)。したがって、発現されたペプチド又はタンパク質はバクテリアの培養培地から精製され、新規な作用物質の可能性のあるファージと同様に、抗−標的作用物質の増幅されたコレクションとして用いられる。このように、根本的に非特異的、抗−標的分子は発現された及び精製されたペプチドに結合され、標的分子はファージに結合する。従って、標的分子に結合する生育可能なファージのみが培地の中で育成することができる。
【0150】
実施例
以下の実施例は本発明の特定の好ましい態様及び側面を図示するものであり、本発明を限定するものではない。
【0151】
以下に開示する実施例において、以下の略字が用いられる:
PI(プロテアイナーゼインヒビター)、sd及びSD(標準偏差)、M(モルの)、mM(ミリモルの)、μM(マイクロモルの)、nM(ナノモルの)、mol(モル)、mmol(ミリモル)、μmol(マイクロモル)、nmol(ナノモル)、gm(グラム)、mg(ミリグラム)、μg(マイクログラム)、pg(ピコグラム)、L(リットル)、ml及び mL(ミリリットル)、μl及びμL(マイクロリットル)、cm(センチメートル)、mm(ミリメートル)、μm(マイクロメートル)、nm(ナノメートル)、LF(致死因子)、℃(摂氏)、cDNA(転写又は相補DNA)、DNA(デオキシリボ核酸)、ssDNA(一本鎖DNA)、dsDNA(二本鎖DNA)、dNTP(デオキシリボヌクレオチド三リン酸)、RNA(リボ核酸)、PBS(リン酸緩衝生理食塩水、g(比重)OD(光学密度)、CPM(1分間当たりのカウント)、rpm(1分間あたりの回転数)、ダルベッコリン酸緩衝溶液(DPBS)、HEPES(N-[2-ヒドロキシエチル]ピペラジン-N-[2-エタンスルホン酸])、HBS(HEPES緩衝生理食塩水)、SDS(ドデシル硫酸ナトリウム)、Tris−HCl(トリス [ヒドロキシメチル]アミノメタン-クロライド)、2−ME(2-メルカプトエタノール)、EGTA(エチレングリコール-ビス(β-アミノメチル エーテル)N,N,N',N'−四酢酸)、EDTA(エチレンジアミン四酢酸)、Abbott(アボットラボラトリーズ、アボットパーク、イリノイ州)、Bio−Synthesis(バイオ-シンセシス、ルイスビル、テキサス)、ATCC(アメリカンタイプカルチャーコレクション、ロックイビル、メリーランド)、Gibco/BRL(ギブコ/BRL、グランドアイランド、ニューヨーク)、Sigma(シグマケミカル社、セントルイス、ミズリー)、Pharmacia(ファルマシア、ピスカタウェイ、ニュージャージー)、Pierce(ピアスバイオテクノロジー、ロックフォード、イリノイ)、Roche(ロシュダイアグノースティックコーポレーション、インディアナポリス、インディアナ)、SynPep(シンペップ、ダブリン、カリフォルニア)、Bachem(ベイケムバイオサイエンス社、キングオブプルシア、ペンシルバニア)、及びStratagene(ストラタジェンクローニングシステムズ、ラホーヤ、カリフォルニア)。
【実施例1】
【0152】
ライブラリー及びバインダー間の競合
以下の実施例において、各種計算が提供される。本発明を任意の計算式に限定することは意図しない。以下の記号がここで用いられる;
メンバーnのライブラリーLについて、letT0=標的の総量、T=未結合標的、Pi=未結合ライブラリーメンバーI、Pi0=ライブラリーメンバーIの総量、KiD=PiとTの解離定数,TPi=PiとTとの複合体、Kion=第二オーダー関連速度定数、Kioff=第一オーダー関連速度定数、図1乃至8は上に例示された、関係を示すグラフである。
【0153】
本実施例において以下のことが仮定される。1)安定状態の結合が達成される。2)各標的は1つのメンバーにもの結合することができる。及び3)各メンバーは同じ第二オーダー関係速度定数を有し、その後以下の式はライブラリーメンバー間の競合を示す。
【0154】
−on速度は以下のように計算する:
d(TPi)/dt=Kion(T)(Pi)
−off速度は以下のように計算する:
−d(TPi)/dt=Kioff(TPi)
−安定状態において、以下の式が適用される:
d(TPi)/dt=−dt(TPi)/dt
Kion(T)(Pi)=Kioff(TPi)
Kioff/Kion=(T)(Pi)/(TPi)=KiD
−標的に結合するメンバーnを有するライブラリーにおいて、遊離標的の濃度は、:
T=T0−TP1−TP2−TP3...−TPn
−各メンバーPiについて:
KiD=(T)(Ri)/(TPi)
T=(TPi/Pi)KiD
−ライブラリーLにおいて、標的(P1)に結合する1つの結合メンバーがある。Tの関数として現される遊離P1に対する結合P1の割合は、:
T=(TP1/P1)K1D
−Tは遊離標的の濃度であるので、ライブラリーの他のいずれかのメンバーP1は、:
T=(TPi/Pi)KiD
−ライブラリーの各メンバーPiについて、最もタイトなバインダーの比率(TP1/P1)に対する遊離比率(TPi/Pi)を超える結合は、:
(TPi/Pi)KiD=(TP1/P1)K1D
(TPi/Pi)=(TP1/P1)K1D/KiD
−ライブラリーのメンバーiについて、P1の遊離比率に対する遊離比率(TPi/Pi)の結合は直接的に2つの解離定数の直接比である:
Let X=(TP1/P1);r1i=K1D/KiD
TP1/P10=(TP1/P1)/(1+(TP1/P1)=x/(1+x)
TPi/P0i=(TPi/Pi)/(1+(TPi/Pi)
Eqn1:TPi/Pi0=r1i*x/(1+r1i*x)
−結合メンバー1(TP1)に対する結合メンバーi(TPi)の割合は、
TPi/TP1=(1+x)*r1i*x*Pi0/x*(1+r1i*x)*P10
=(1+x)*r1i*Pi0/(1+r1i*x)*P10
=(1+x)*Pi0/((1/r1i)+x)*P10
Epn2:TPi/TP1=(1+x)*Pi0/((1/r1i)+x)*P10
T=(TP1/P1)K1D=(x)K1D
T0が0に近づくと;Tが0に近づき、xは0に近づく
T0が∞に近づくと;Tが∞に近づき、xは∞に近づく
TPi/TP1=(1+x)*Pi0/((1/r1i)*P10
T0が0に近づくと、TPi/TP1は(1)*Pi0/((1/r1i))*P10に近づき、
(r1i)*Pi0/P10に近づく
T0が∞に近づくと;TPi/TP1は(X)*Pi0/(x)P10に近づき、
Pi0/P10に近づく。
【0155】
従って、標的が限定されている場合、最もタイトなバインダーに関係する各バインダーの量は、解離定数の比に比例する。標的の濃度が高い場合、各メンバーの結合は同程度である。この関係を図4に示す。ライブラリー中の最もタイトなバインダーのみを観察する場合、標的濃度は限定されるべきである。ライブラリー中のすべてのバインダーを観察する場合、標的は過剰に存在すればよい。この関係を図5に示す。観察されるタイトバインダーの割合を増やすためには幾つかの選択肢がある、1)ライブラリー濃度の増加、2)ライブラリーの多様性を減らす(メンバーの濃度を増やす)、3)標的濃度を減らす、又は4)他のバインダーから区別することができる(検出システムでは確認されることができない)1つの弱いバインダーを過剰に添加する。この関係を図6に示す。
【実施例2】
【0156】
単離しているバインダーのための計算
この実施例では、標的に対する結合のための結合エネルギー及び標準偏差を説明する。検出は、平衡透析、蛍光活性化細胞ソーティング、ライブラリーから10のランダムに選択されたメンバーのための結合エネルギーの直接測定、を含むがこれらに限定されない、当分野で既知の方法を用いて行われる。低分子標的及びタンパク質又はペプチドリガンドを含む幾つかの態様において、当分野で知られているデータ(Lancet et al., Proc. Natl. Acad. Sci., 90:3715−3719 [1993])は、平均値及び標準偏差の初期の評価に用いることができる。この文献において、バニリンに結合している抗体のライブラリーに対して1.8kacl/モルの標準偏差と−1.5kcal/モルの平均結合エネルギーが提供されている。タンパク質標的に対するタンパク質ライブラリーの結合のための代替的なデータ(Laskowski et al., Proc. Natl. Acad. Sci., 98:1410−1415 [2001])を用いることができる。この文献において、1.8kcal/モルの標準偏差を有する−5.5kcal/モルの結合エネルギーの平均値が結合エネルギーの平均値は、ストレプトマイセス グリセスプロテアーゼAに対するオボムコイドプロテアーゼインヒビターのライブラリーの結合のために提供された。両文献は、これらのデータは2項(正規)分布になることを示している。
【0157】
幾つかの態様において、各種計算が行われる。例えば、7つのアミノ酸が変異されているライブラリー(207の多様性)のための計算がここで提供される。第一に、平均値からの標準偏差の範囲内のライブラリーメンバーの予想される数が同定され、2項(正規)分布により決定される各グループにおけるメンバーの総量を用いて、結合エネルギーの平均値が各メンバーに割り当てられる。平均値よりも弱いか又は等しい結合エネルギーを有するすべてのライブラリーメンバーが1つのグループとされる。このライブラリーの総濃度が決定される。標的に結合するライブラリーの平均結合エネルギー(見積もり値又は決定値のいずれか)も決定される。添加された競合体に対する濃度及び解離定数が決定される。ライブラリーに対する結合エネルギーの標準偏差及び/又は平均結合エネルギーの平方根が(予測値のために)用いられ、その後決定される。1/ライブラリーサイズの計算により単一メンバーにより表される平均値から離れた標準偏差の数が決定される。標準偏差の各ペアの間にあるライブラリーのパーセンテージはGaussian分布から決定される。平均結合エネルギーよりよい結合エネルギーを有するライブラリーメンバーは、1標準偏差ごとに異なる結合エネルギーのグループに置かれる(例えば、P1は平均値から6標準偏差であり、P2は5−6標準偏差、P3は4乃至5標準偏差、等)。各種の濃度は、総濃度にライブラリーの%をかけることにより決定される。各標準偏差におけるデルタG値は標平均値からの標準偏差の数を標準偏差にかけて、この値にデルタG値を足して決定される。各種に対するデルタG値は、デルタG値から計算される。総偏差を含むために、平均値からの0<の標準偏差に対して計算された平均値は平均値−1標準偏差における2/3違いである。各種に対する結合エネルギーの平均値はKD=eΔG/RTである。
【0158】
上の式1はその後、TP1/P1の各値におけるTPi/Pi0を計算するために用いられる:
TPi/Pi0=r1i*x/(1+r1i*x)
式中、x=(TP1/P1);r1i=K1D/KiD
TP1/P1の値は1×10−4乃至1×107の間で変化する。上の式には、TP1の各値に対するTP1に比例する各グループ(i)における結合メンバーの濃度を計算するためにその後用いられる:
TPi/TP1=(1+x)*Pi0/((1/r1i)+x)*P10 。
【0159】
各TP1/P1におけるTPi/TP1のための値が計算される。TPiはRow26におけるTP1/P01の計算された比をTP1で掛けることにより計算される。各結合種(i)の総濃度はTPi/TP1をTP1に掛けて計算される。遊離(未結合)標的濃度は、T=(TP1/P1)K1Dの式を利用して、TP1/P1をK1Dで掛けて計算される。この式を満足する総標的濃度は遊離標的に対する総結合標的加えることにより計算される。ここの結合種の濃度は、KiD(Pi0/P10)におけるバインダーの数を結合種の総濃度を掛けることにより計算される。競合濃度及び解離定数が含まれる場合にも同様の計算が行われる。
【0160】
これらの結果は、標的濃度(T0)の濃度としてプロットされる。これらのプロットは、ライブラリーのタイト(幾つかの標準偏差による平均よりも高い結合エネルギー)バインダーメンバーの同定支持するための、所望の標的濃度、ライブラリー濃度、ライブラリー多様性、及び競合体濃度の決定に用いられる。
【実施例3】
【0161】
タンパク質ライブラリーからのhSCキモトリプシンインヒビターに対するマススペクトロメトリックスクリーニング
この実施例では、マススペクトロメトリックスクリーニンの実験を説明する。図10乃至13はこれらの実験から得られたデータ及び計算を示す。ヒト角質層キモトリプシン(hCC)はBBI−loop−BLAから作られたライブラリーからスクリーニングされた(U.S.Pat.Appln.Ser. Nos.10/984,270及び10/984,410;及びPCT公報Nos.US04/36976,US04/36979及び US04/36980参照のこと、これらの文献を参照により本明細書に援用する)。これらのタンパク質ライブラリーは、タンパク質のN−末端において無作為抽出された(システイン拘束)3の不連続位置におけるタンパク質骨格からなる。HSCC(スクリーニング標的)(Swissprot、登録番号P49862)はビオチン標識し、ストレプトアビジンビーズ上に固定化(MagnaBind Beads;Pierce)された。
【0162】
HSCCは1nM、10nM、100nMの濃度で添加される競合体(Ecotin;Sigma)の存在下で、ライブラリーメンバーあたり10nMで、タンパク質ライブラリーをインキュベートされる。インキュベーション(4時間)に続いて、このビーズをインキュベート緩衝液で洗浄して非特異バインダーを除去し、特異バインダーを溶出溶液で世溶出した。
【0163】
回収されたバインダーは濃縮(バキューム濃縮)され、消化緩衝液中で、還元され、アルキル化され、及びタンパク質分解酵素(Lys−Roche)で消化された。得られたタンパク質消化物はキャピラリーLC−ESI−MS/MSで解析された。
【0164】
図11は結果を示す。この図に示すように、PJ02バインダーはすべての条件下において見られたが、pj01バインダーは100nMの競合体の存在下でのみ観察された(図12参照)。図12において(図12A及び12B)、これらのバインダーに対するタンデムマススペクトラを示す。
【0165】
これらのマススペクトラを基にして、各バインダーのフルスペクトルが決定された。このスクリーニング試験由来のバインダー(Synpepにより調製された合成ペプチド)はhSCCに対する抑制活性について試験された。図13は、配列決定された2つのバインダーと既知のインヒビターを用いたhSCCの滴定を提供する。各バインダーの濃度は0.1乃至10μMで変化したが、hSCCは0.1μM濃度に維持されていた。この抑制試験のための色を生じる基質はペプチドsuc−AAPF−pNA(Bachem Biociences)。これらのデータはpj02バインダーはhSCCのインヒビターであることを示す(500nMの近似Ki)。
【0166】
全ての特許及び文献が明確かつ別個に示している内容を参照により本発明の明細書に援用する。本明細書に開示されている好ましい態様を用いて、当業者が開示されている態様の変法をなすことができることは明らかであり、そのような変更は発明の範囲内である。特定の態様に関連して本願発明を説明するが、本発明はこれらの態様に限定されないことを意図する。すなわち、分子生物学、分析法の開発、免疫学、製剤設計、及び/又は関連する分野における当業者にあきらかな、本発明を実施するために説明されている方法の変法は本願発明の範囲内である。
【0167】
当業者は本発明は、本明細書に記載してあるもののほかに、本発明は、主題を実行し、最終結果及び利益をえるためんによく適合されていることを理解している。本明細書に記載の分子複合体、方法、手順、処置、分子、特定の化合物は好ましい態様の例示であり、本発明の範囲をこれらに限定することは意図しない。すなわち、当業者が本明細書に開示されている発明の各種置換、及び変更を本発明の範囲及び精神から逸脱することなくなしうることは明らかである。本明細書で例示する発明は、本明細書で特に開示されていない、構成要素、限定を伴わずに実行することができる。採用された文言及び表現は説明のために用い、限定のために用いるものではない。しかしながら、それらが示す、あるいは、それらの一部の特徴を有するあらゆる等価物を含む文言及び表現の使用を意図するものではない。したがって、本発明は好ましい態様を追加的な特徴により構成されるものであり、そのような変更及び変法は明示の請求項により定義される発明の範囲内である。
【0168】
この発明は、本明細書に幅広く一般的に記載されている。開示されている属のより狭義の又は亜種グループも本発明の一部を構成する。これは、削除された物質がとくに本発明に引用されたかどうかは別として、この属から除去する旨の規定又は負の限定を伴う本発明の包括的な記載を含む。
【図面の簡単な説明】
【0169】
【図1】図1は、ライブラリーメンバーP1及びP2の間の競合を示す。
【図2】図2は、ライブラリーの各結合メンバー(TPi)の濃度を示す。
【図3】図3は、ライブラリーの各結合メンバー(TPi)の濃度を示す。
【図4】図4は、結合ファージ対標的濃度を示すグラフである。
【図5】図5は、結合ファージ対標的濃度を示すグラフである。
【図6A】図6Aは、保持に対する溶出を示す競合結合のグラフを提供する。
【図6B】図6Bは標的に結合するバインダーを示す。
【図6C】図6Cは、標的に結合するいくつかのバインダーを示す。
【図7A】図7Aは溶液中に懸濁されたバインダーを示す。
【図7B】図7Bは標的に結合しているバインダーを示す。
【図7C】図7Cは幾つかのバインダーを示す。
【図8A】図8Aは溶液中に懸濁されたバインダーを示す。
【図8B】図8Bは高濃度で、遅いoff rateで標的に結合しているバインダーを含む競合的結合を示す。
【図9】図9は、操作又は操作された濃度の提供に対する計算の結果を提供する。
【図10A】図10A全て置換された7つのアミノ酸位置を有するポリペプチドライブラリーに対する計算値の例及びこれらの計算から得られたチャートを示す。
【図10B】図10Bは前記計算に基づいた標準偏差を現す曲線である。
【図10C】図10Cは前記計算による、競合していない、結合ライブラリーメンバー対標的のチャートグラフを提供する。
【図10D】図10Dは前記計算による、競合している、結合ライブラリーメンバー対標的のチャートグラフを提供する。
【図10E】図10Eは図10C及び図10Dのプロットを結合したものである。
【図11】図11は実施例3で述べる、タンパク質ライブラリーからのhSCキモトリプシンインヒビターのマススペクトロメトリックスクリーニングを提供する。
【図12A】図12Aは実施例3で述べる、タンパク質ライブラリーからのhSCキモトリプシンインヒビターのMS/MSシークエンシングを提供する。
【図12B】図12Bは実施例3で述べる、タンパク質ライブラリーからのhSCキモトリプシンインヒビターのMS/MSシークエンシングを提供する。
【図13】図13は実施例3で述べるように、hSCキモトリプシンインヒビターに対するマススペクトロメトリックスクリーニングからのインヒビターからバインダーを区別する、二次機能スクリーニングを提供する。
【発明の分野】
【0001】
本発明は所望の化合物をスクリーニングするための方法を提供する。特に、本発明は競合示差スクリーニングのための方法を提供する。幾つかの好ましい態様において、本発明はタイトバインダーの同定を促進する競合示差スクリーニングを提供する。幾つかの好ましい態様において、本発明の方法に用いられている作用物質はタイト及びウィークバインダーを含む。他の態様において、本発明は標的を認識し結合するが、所望のバインダーよりも弱い結合を示す競合的バインダーを用いる方法を提供する。
【背景技術】
【0002】
近年用いられている所望の化合物(例えば、バインダー)をスクリーニング及び/又は同定するための方法は、各種化合物のプールを表面に固定された抗―標的(すなわち、予め選択された望ましくない標的)とインキュベートする工程と、抗−標的に結合していない化合物を洗浄して除去する工程と、洗浄により除去された化合物を第二又は新たな標的源に適用する工程とを含む。抗―標的を用いたインキュベーションは、望ましくない標的に結合する化合物のプールを減少させる。従って、前記工程は、抗―標的に結合する化合物を選別して除き、所望の化合物を同定するために用いられるアッセイにおいてコンタミネーションがより少なく、バックグラウンドの低いプールを提供する。幾つかのアッセイシステムにおいて、標的又は抗−標的を選択する及び選択しないいくつかのラウンドが存在する。
【0003】
コンタミネーションはしばしば重要な問題となる。プールが共通の標的を排除することができないので、バックグラウンドノイズが発生する。コンタミネーション及びバックグラウンドノイズ、特に、共通の標的を減らすための方法は発展し、そのような幾つかの方法が存在する。それらの方法には、共通の標的に対するバインダーを効果的に選別して排除することを意図したブロッキング又はプレクリーニング工程が含まれる。例えば、スキムミルクタンパク質又は他の共通するタンパク質は、多くの共通する標的を含んでいるので、ブロッキング又はプレクリーニング工程に用いられる。ブロッキング又はプレクリーニング工程は、低刺激性洗浄剤(例えば、TWEEN(登録商標)−20又はTritonX−100)を用いて行われることもある。
【0004】
各種イムノアッセイシステムに加えて、これらのアプローチはファージ提示方法に用いられている。例えば、汚染エピトープに対するブロッキング又はプレクリーニング工程はファージ濃縮(enrichment)を減らすために用いられてきた。このアプローチにおいて、ファージは、所望の化合物に特異的な標的を有さない固形相でプレインキュベートされる。ファージは、その後選択され、続いて所望の標的に対してインキュベートされる。これらの方法は長年に渡り精緻化されてきたが、それらは完全に成功した例はなく、しばしばコンタミネーション及びバックグラウンドノイズを最小化することに失敗してきた。コンタミネーションが存在すると、所望の標的に結合する特定の化合物を区別して、単離することが難しく又は不可能にさえなることがある。従って、これらのコンタミネーション及びバックグラウンドノイズの問題を克服する方法が必要である。
【発明の開示】
【0005】
発明の概要
本発明は所望の化合物をスクリーニングするための方法を提供する。特に、本発明は競合示差スクリーニングのための方法を提供する。幾つかの好ましい態様において、本発明は、タイトバインダーの同定を促進する競合示差スクリーニングのための方法を提供する。幾つかの態様において、本発明の方法において用いられる作用物質はタイト及びウィークバインダーを含む。他の態様において、本発明は、標的を認識及び結合するが所望のバインダーよりも結合の弱い、競合的バインダーを用いる方法を提供する。
【0006】
本発明は、少なくとも1つの所望のバインダー単離するための方法であって、
第一コレクションの作用物質の少なくとも一部が第一標的に結合するような条件下において、第一標的を作用物質の第一コレクションに接触させて、第一結合標的を生成する工程と、第一結合標的を洗浄する工程と、第一結合標的中の標的に結合している作用物質を溶出して、抗−標的ペプチドのコレクションを生成する工程と、抗−標的ペプチドのコレクションを増幅して増幅された抗−標的ペプチドのコレクションを生成する工程と、作用物質の少なくとも一部が第一及び/又は第二標的に結合するような条件下において、増幅された抗−標的ペプチドのコレクションを第一標的及び/又は第二標的に対する作用物質の第一コレクション及び/又は作用物質の第二コレクションに曝して、更なる第一結合標的及び第二結合標的を生成する工程と、更なる第一結合標的及び/又は第二結合標的を洗浄する工程と、少なくとも1つの所望のバインダーを区別し、分離し、同定する工程を含む。
【0007】
幾つかの態様において、前記作用物質はペプチドであり、他の態様において前記作用物質は核酸である。幾つかの好ましい態様において、前記核酸はDNA及び/又はRNAである。追加的な態様において、前記標的は癌細胞、癌細胞株、癌細胞培養、腫瘍抽出物、癌組織、癌臓器、癌細胞に関係する分子、癌細胞株に関係する分子、癌細胞培地に関係する分子、腫瘍抽出物に関係する分子、癌組織に関係する分子、及び癌臓器に関係する分子からなる群より選択される。更なる態様において、前記標的は抗原である。幾つかの好ましい態様において、前記抗原は癌性抗原、muc−1、Tag72、CEA、CD22、ED−B及びFAPから成る群より選択される。幾つかの特に好ましい態様において、第一標的集団及び第二標的集団は異なる。幾つかの態様において、前記第一標的集団及び前記第二標的集団は細胞である。幾つかの好ましい態様において、前記第一標的集団は正常細胞を含み、前記第二標的集団は異常細胞を含む。幾つかの代替的な態様において、前記第二標的集団は腫瘍細胞を含む。更なる態様において、前記工程の少なくとも1つが繰り返される。更なる態様において、前記工程の少なくとも2つが繰り返される。更なる態様において、抗−標的作用物質の増幅されたコレクションの濃度は作用物質の第一コレクションの濃度よりも少なくとも1000倍高い。幾つかの好ましい態様において、前記抗−標的作用物質のコレクションの各メンバーは、増幅前より、約100倍、約500倍、約1000倍、約5000倍、約10,000倍、約100,000倍、約1,000,000倍から成る群から選択されるレベルまで高められている。更なる追加的な好ましい態様において、前記方法は更にファージ提示法を用いる。幾つかのファージ提示法における態様において、前記作用物質はファージの表面又はファージ感染された細胞に存在するペプチドであり、前記抗−標的作用物質はファージの表面又はファージ感染された細胞に存在する別のペプチドである。追加的なファージ提示法の態様において、前記方法は更に、増幅されたコレクションを第二標的集団及び第一作用物質のコレクションとインキュベートする前に、抗―標的作用物質を含んでいるファージを失活させる工程を含む。幾つかの好ましい態様において、失活はファージを生育不可能な温度に曝すことにより行われる。
【0008】
本発明は、所望の少なくとも1つのペプチドを単離する方法も提供し、該方法は、
野生型細胞の少なくとも一部がファージ提示されたペプチドの第一プールのなかで幾つかのメンバーと結合するような条件下において、少なくとも1つの野生型細胞のコレクションをファージ提示された細胞の第一プールとインキュベートして結合細胞及び未結合ファージを生成する工程と、前記未結合ファージが除去するような条件下で、前記結合細胞及び未結合ファージを洗浄する工程と、前記結合細胞に結合しているファージを溶出して抗−標的ペプチドのコレクションを生成する工程と、前記抗−標的ペプチドのコレクションを増幅する工程と、異常細胞の少なくとも一部が前記抗−標的ペプチド又はファージ提示されたペプチドの第一及び/又は第二プールに結合するような条件下で、抗標的ペプチド及び、工程(i)のファージ提示されたペプチドの第一及び/又は第二プールを、異常細胞に適用して、結合抗−標的ペプチド及び少なくとも1つの所望のペプチドを有する結合異常細胞を生成する工程と、前記結合した異常細胞を洗浄し、前記異常細胞の表面に結合していないファージを除去して、結合抗−標的ペプチド及び少なくとも1つの所望のペプチドで覆われた細胞表面を残す工程と、前記抗−標的ペプチドを有する(bearing)前記異常細胞から、前記所望のペプチドを有する(bearing)ファージを区別し及び/又は分離する工程と、前記少なくとも1つの所望のペプチドを同定する工程とを含む。幾つかの態様において、前記ファージの第一及び第二コレクションが異なるゲノムを含む。更なる態様において、前記所望のペプチドを同定する工程が前記ファージの第二集団の核酸配列の少なくとも1部に特異的であるオリゴヌクレオチドを用いた増幅を用いて行われる。幾つかの代替的な態様において、前記方法は抗菌耐性パターンを用いて、ファージの第一及び第二コレクションの間の区別を行う工程を更に含む。幾つかの工程において、第二標的集団は腫瘍細胞を含む。更なる態様において、少なくとも1つの前記工程が繰り返される。更なる態様において、少なくとも2つの前記工程が繰り返される。幾つかの追加的な態様において、前記抗−標的ファージの増幅されたコレクションの濃度がファージの第二コレクションの濃度よりも少なくとも約1000倍高い。更なる態様において、前記方法は前記増幅されたコレクションを第二標的集団及び作用物質の第一コレクションとともにインキュベーションする前に、抗−標的物質を含むファージを失活させる工程を更に含む。幾つかの好ましい態様において、前記失活させる工程は前記ファージを生育不可能な温度に曝すことにより行われる。
【0009】
本発明は、少なくとも1つの所望のバインダーを単離する方法であって、
標的集団の少なくとも一部が作用物質の少なくとも一部に結合するような条件下で、標的集団を作用物質のコレクションと接触させて、少なくとも1つのバインダーを有する結合標的集団を生成する工程であって、前記作用物質のコレクションが規定の濃度を有することを特徴とする工程と、前記結合した標的集団を洗浄し、前記標的集団に結合していない作用物質を除去する工程と、前記少なくとも1つのバインダーを区別し、分離し、及び同定する工程とを含む方法も提供する。幾つかの態様において、前記作用物質はペプチドであり、他の態様において前記作用物質は核酸である。幾つかの好ましい態様において、前記核酸はDNA及び/又はRNAである。追加的な態様において、標的は癌細胞、細胞株、細胞培養、腫瘍抽出物、癌組織、臓器、癌細胞に関係する分子、癌細胞株に関係する分子、癌細胞培地に関係する分子、腫瘍抽出物に関係する分子、癌組織に関係する分子、及び癌臓器に関係する分子からなる群より選択される。更なる態様において、前記標的は抗原である。幾つかの好ましい態様において、前記抗原は癌性抗原、muc−1、Tag72、CEA、CD22、ED−B及びFAPから成る群より選択される。幾つかの好ましい態様において、前記規定の濃度は前記標的集団の濃度の1×10−3倍乃至約1×103倍の間である。幾つかの態様において、前記規定の濃度が、個々の作用物質の濃度が前記作用物質の好適な解離定数の約1×10−4乃至約1×102倍の間まで高まるように作用物質の多様性を減少させることを含む。幾つかの追加的な態様において、規定の濃度は所望の標的に対する予め決められた解離定数を有するバインダーを含む少なくとも1つの競合的バインダーを含む。更なる態様において、前記標的集団が低い濃度を有し、前記低い濃度が約1マイクロモル乃至約1ピコモルの間である。幾つかの好ましい態様において、前記方法は更にファージ提示法を用いる。前記作用物質がファージの表面又はファージ感染細胞に存在するペプチドであり、前記抗標的作用物質がファージ表面に又はファージ感染細胞存在する別のペプチドである。幾つかの代替的な好ましい態様において、前記方法は前記増幅されたコレクションを前記第二標的集団及び前記作用物質の第一コレクションとインキュベートする前に、前記抗−標的物質を含むファージを失活させる工程を更に含む。
【0010】
幾つかの好ましい態様において、前記ファージを失活させる工程が前記ファージを生育不可能な温度に曝すことにより行われる。幾つかの態様において、前記ペプチドが少なくとも1つの抗体を含み、追加的な態様において、前記ペプチドは抗体の少なくとも1部を含む。更なる態様において、前記方法は、前記ファージのコレクション中の少なくとも1つの核酸配列に特異的なオリゴヌクレオチドを用いたPCR増幅を更に含む。
【0011】
本発明は少なくとも1つの所望のバインダーを単離する方法も提供する。該方法は、
標的集団の少なくとも一部が前記作用物質のコレクションのメンバーの少なくとも一部に結合するような条件下で、前記標的集団を作用物質のコレクションと接触させて、少なくとも1つの所望のバインダーと未結合作用物質を有する結合標的集団を生成する工程であって、前記標的集団が低い濃度を有することを特徴とする工程と、前記結合標的を洗浄し、未結合作用物質を除去する工程と、前記少なくとも1つの所望のバインダーを区別し、分離し、及び同定する工程とを含むことを特徴とする方法。
【0012】
幾つかの態様において、前記作用物質のコレクションは少なくとも1つのペプチドを含み、幾つかの代替的な態様において、前記作用物質のコレクションが少なくとも1つの核酸を含む。幾つかの好ましい態様において、前記核酸はDNA又はRNAである。更なる態様において、前記物質のコレクションは規定の濃度を有する。幾つかの好ましい態様において、前記作用物質のコレクションの規定の濃度が標的集団の濃度の約1×10−3乃至約1×103倍である。更なる態様において、前記規定の濃度は、個々の作用物質の濃度が前記作用物質の好適な解離定数の約1×10−4乃至約1×102倍の間まで高まるように作用物質の多様性を減少させることを含む。幾つかの代替的な態様において、前記規定の濃度は、所望の標的に対する規定の解離定数を有するバインダーを含む少なくとも1つの競合的バインダーを含む。幾つかの追加的な態様において、前記標的は癌細胞、細胞株、細胞培養、腫瘍抽出物、癌組織、臓器、癌細胞に関係する分子、癌細胞株に関係する分子、癌細胞培地に関係する分子、腫瘍抽出物に関係する分子、癌組織に関係する分子、及び癌臓器に関係する分子からなる群より選択される。更なる態様において、前記標的は抗原である。幾つかの好ましい態様において、前記抗原は癌性抗原、muc−1、Tag72、CEA、CD22、ED−B及びFAPから成る群より選択される。更なる態様において、前記標的集団が低い濃度を有し、前記低い濃度が約1マイクロモル乃至約1ピコモルである。幾つかの好ましい態様において、前記方法は更にファージ提示法を含む。幾つかの態様において、前記作用物質はファージ表面又はファージ感染細胞に存在するペプチドであり、前記抗−標的作用物質はファージ表面又はファージ感染細胞に存在する別のペプチドである。幾つかの好ましい態様において、前記方法は、前記増幅されたコレクションを前記第二標的集団及び前記作用物質の第一コレクションとインキュベートする前に、抗−標的作用物質を含むファージを失活させる工程を更に含む。幾つかの特に好ましい態様において、前記失活させる工程は前記ファージを生育不可能な温度に曝すことにより行われる。幾つかの好ましい態様において、前記ペプチドは少なくとも1つの抗体を含み、代替的な好ましい態様において、前記ペプチドは前記抗体の少なくとも一部を含む。更なる追加的な態様において、前記ファージのコレクション中の少なくとも1つの核酸配列に特異的なオリゴヌクレオチドを用いた増幅を更に含む。
【0013】
本発明は少なくとも1つの所望のバインダーを単離する方法を提供する。前記方法は、
第一標的を第一作用物質のコレクションと接触させる工程と、標的に存在する、標的分子に結合していない作用物質を洗浄除去する工程と、洗浄除去された作用物質を廃棄する工程と、標的分子に結合している作用物質を溶出して、抗―標的ペプチドのコレクションを生成する工程と、抗−標的ペプチドのコレクションを増幅する工程と、抗−標的ペプチドの増幅されたコレクション並びに作用物質の第一及び第二コレクションを第一又は第二標的に適用する工程と、第一及び第二標的中の、標的分子に結合していない作用物質を洗浄して除去する工程と、少なくとも1つの所望のバインダーを区別し、分離し、同定する工程とを含む方法も提供する。
【0014】
幾つかの好ましい態様において、前記作用物質はペプチドであり、幾つかの代替的な代用において、前記作用物質は核酸である。幾つかの態様におい、前記核酸はDNA/RNAである。更なる態様において、標的は癌細胞、癌細胞株、癌細胞培養、腫瘍抽出物、癌組織、癌臓器、癌細胞、癌細胞株又は癌細胞培地に関係する分子、腫瘍抽出物又は癌組織又は癌臓器、又は細胞、細胞株、細胞培養、癌細胞、癌細胞株、癌臓器、腫瘍抽出物、又は癌組織、又は癌臓器からなる群より選択される。更なる態様において、前記標的は抗原である。幾つかの好ましい態様において、前記抗原は癌性抗原、muc−1、Tag72、CEA、CD22、ED−B及びFAPから成る群より選択される。
【0015】
幾つかの特に好ましい態様において、第一標的集団及び第二標的集団は異なる。幾つかの態様において、前記第一標的集団及び前記第二標的集団は細胞である。幾つかの好ましい態様において、前記第一標的集団は正常細胞を含み、前記第二標的集団は異常細胞を含む。幾つかの代替的な態様において、前記第二標的集団は腫瘍細胞を含む。
【0016】
幾つかの好ましい態様において、前記方法は第一標的集団を作用物質の第一のコレクションとインキュベーション混合物の中で接触させる工程、及び続く、前記混合物を洗浄して前記インキュベーション混合物から未結合作用物質を除去する工程を繰り返す工程を含む。
【0017】
幾つかの好ましい態様において、抗−標的作用物質の増幅されたコレクションの濃度は作用物質の第一コレクションの濃度よりも少なくとも1000倍より高い。幾つかの好ましい態様において、前記抗−標的作用物質のコレクションの各メンバーは、増幅前より、約100倍、約500倍、約1000倍、約5000倍、約10,000倍、約100,000倍、約1,000,000倍から成る群から選択されるレベルより高くなっている。
【0018】
更なる追加的な好ましい態様において、前記方法は更にファージ提示法を用いる。幾つかのファージ提示法における態様において、前記作用物質はファージ又はファージ感染細胞の表面に存在するペプチドであり、前記抗―標的作用物質がファージ又はファージ感染細胞の表面に存在する別のペプチドである。追加的なファージ提示法の態様において、前記方法は更に、増幅されたコレクションを第二標的集団及び第一作用物質のコレクションとインキュベートする前に、抗―標的作用物質を含んでいるファージを失活させる工程を含む。幾つかの好ましい態様において、失活はファージを生育不可能な温度に曝すことにより行われる。
【0019】
本発明は少なくとも1つの所望のペプチドを単離する方法も提供する。前記方法は、
少なくとも1つの野生型細胞のコレクションをファージ提示されたペプチドの第一プールとインキュベーションする工程と、野生型細胞の表面上の標的分子に結合していないファージを洗浄する工程と、標的分子に結合しているファージを溶出して抗−標的ペプチドのコレクションを生成する工程と、抗−標的ペプチドのコレクションを増幅する工程と、抗−標的ペプチドの増幅されたコレクション並びにファージ提示されたペプチドの第一及び/又は第二プールを異常細胞に適用する工程と、異常細胞の表面上の標的分子に結合していないファージを洗浄して除去し、少なくとも1つの所望のペプチドだけでなく結合抗−標的ペプチドで覆われている細胞表面を残す工程と、抗−標的ペプチドを有する(bearing)ファージから少なくとも1つの所望のペプチドを有する(bearing)ファージを区別及び/又は分離し、少なくとも、1つの所望のペプチドを同定する工程とを含む。
【0020】
幾つかの好ましい態様において、ファージの第一コレクション及びファージの第二コレクションは異なるゲノムを含む。幾つかの好ましい態様において、第二細胞集団の表面上に発現している標的に結合するファージの第二コレクションからペプチドを同定する工程はファージの第二コレクション中に特異的な核酸配列であるオリゴヌクレオチドを用いたPCR増幅を含む。幾つかの代替的な態様において、抗菌耐性が利用される。幾つかの特に好ましい態様において、ファージの第一コレクションにより付与された抗菌耐性パターンはファージの第二コレクションにより細胞に付与された抗菌パターンとは異なる。
【0021】
幾つかの追加的な好ましい態様において、前記方法は、インキュベーション混合物の中で第一標的集団を作用物質の第一コレクションに接触させる工程及び前記インキュベーション混合物を洗浄して前記インキュベーション混合物から未結合作用物質を除去する工程を繰り返すことを更に含む。
【0022】
幾つかの更に好ましい態様において、抗−標的ファージの増幅されたコレクションの濃度は、ファージの第二コレクションの濃度よりも少なくとも1000倍より高い。
【0023】
幾つかの更なる追加的な好ましい態様において、前記方法、第二標的集団及び作用物質の第一コレクションを増幅されたコレクションとインキュベーションする前に、抗−標的作用物質を含むファージを失活させる工程を更に含む。幾つかの好ましい態様において、前記失活工程はファージを生育不可能な温度に曝すことを含む。
【0024】
本発明は少なくとも1つの所望のバインダーを単離する方法であって、
標的集団を規定の濃度を有する作用物質のコレクションに接触させる工程と、標的集団に結合していない作用物質を洗浄して除去する工程と、少なくとも1つのバインダーを区別し、同定し、分離する工程を含む方法も提供する。
【0025】
幾つかの好ましい態様において、作用物質のコレクションは少なくとも1つのタイプのペプチドを含む。幾つかの代替的な態様において、前記作用物質sのコレクションは少なくとも1つのタイプの核酸を含む。幾つかの好ましい態様において、前記核酸のタイプはDNA及び/又はRNA分子である。
【0026】
幾つかの好ましい態様において、規定の濃度は、標的集団の濃度の約1×10−3乃至約1×103倍である。幾つかの他の好ましい態様において、前記規定の濃度は、個々の作用物質の濃度が作用物質の望ましい解離定数の約1×10−4乃至約1×102倍より高くなるように、作用物質の多様性を減少させることを含む。幾つかの好ましい態様において、前記規定の濃度は少なくとも1つの競合的バインダーを含む。幾つかの特に好ましい態様において、前記少なくとも1つの競合バインダーは所望の標的の予め決められた解離定数を有するバインダーを含む。
【0027】
幾つかの更に好ましい態様において、前記標的集団は、癌細胞、癌細胞株、癌細胞培養、腫瘍抽出物又は癌性組織又は癌臓器から選択される。幾つかの代替的な好ましい態様において、前記標的集団は、抗原のグループである。幾つかの特に好ましい態様において、前記抗原は癌性抗原、muc−1、Tag72、CEA、CD22、ED−B及びFAPから成る群より選択される。
【0028】
幾つかの追加的な好ましい態様において、前記標的集団は低い濃度を有する。幾つかの特に好ましい態様において、前記低い濃度は、約1マイクロモル(1e−6M)乃至約1ピコモル(1e−12M)の間である。幾つかのより特定の好ましい態様において、前記濃度は約1e−7M及び約1e−11Mの間である。
【0029】
幾つかの好ましい態様において、前記方法はファージ提示法を用いて行われる。幾つかの好ましい態様において、前記作用物質のコレクションはファージの表面上の少なくとも1つのタイプのペプチドを含む。幾つかの代替的な好ましい態様において、前記ペプチドは少なくとも1つの抗体を含む。幾つかの更なる好ましい態様において、前記方法は更にファージを失活させる工程を含み、該工程において、前記失活させる工程はファージを標的のコレクションを有するファージと作用物質のコレクションを含むファージとをインキュベーションする前に行われる。幾つかの好ましい態様において、前記失活させる工程はファージを生育不可能な温度に曝すことを含む。幾つかの特に好ましい態様において、ファージのコレクション中にある核酸配列に特異なオリゴヌクレオチドを用いたPCR増幅が行われる。
【0030】
本発明は、少なくとも1つのバインダーを単離する方法であって、
低い濃度を有する標的集団を作用物質のコレクションと接触させる工程と、前記標的集団に結合していない作用物質を洗浄して除去する工程と、少なくとも1つの所望のバインダーを区別し、分離し、同定する工程とを含む方法も提供する。
【0031】
幾つかの好ましい態様において、作用物質のコレクションは少なくとも1つのタイプのペプチドを含む。幾つかの代替的な態様において、前記作用物質のコレクションは少なくとも1つのタイプの核酸を含む。幾つかの好ましい態様において、前記核酸のタイプはDNA及び/又はRNA分子である。
【0032】
幾つかの好ましい態様において、前記作用物質のコレクションは、規定の濃度を有する。幾つかの代替的な好ましい態様において、前記規定の濃度は標的集団の濃度の約1×10−3乃至約1×103倍の間である。幾つかの他の好ましい態様において、前記規定の濃度は、個々の作用物質の濃度が作用物質の望ましい解離定数の約1×10−4乃至約1×102倍の間にまで高くなるように、作用物質の多様性を減少させることを含む。幾つかの好ましい態様において、前記規定の濃度は少なくとも1つの競合的バインダーを含む。幾つかの特に好ましい態様において、前記少なくとも1つの競合的バインダーは所望の標的の予め決められた解離定数を有するバインダーを含む。
【0033】
幾つかの更に好ましい態様において、前記標的集団は、癌細胞、細胞株、細胞培養、腫瘍抽出物又は癌性組織又は臓器から選択される。幾つかの代替的な好ましい態様において、前記標的集団は、抗原のグループである。幾つかの特に好ましい態様において、前記抗原は癌性抗原、muc−1、Tag72、CEA、CD22、ED−B及びFAPから成る群より選択される。
【0034】
幾つかの追加的な好ましい態様において、前記標的集団は低い濃度を有する。幾つかの特に好ましい態様において、前記低い濃度は、約1マイクロモル(1e−6M)乃至約1ピコモル(1e−12M)の間である。幾つかのより特定の好ましい態様において、前記濃度は約1e−7M及び約1e−11Mの間である。
【0035】
幾つかの好ましい態様において、前記作用物質のコレクションは少なくとも1つのタイプのペプチドを含むみ、幾つかの代替的な好ましい態様において、前記作用物質のコレクションは、少なくとも1つのタイプの核酸を含む。幾つかの好ましい態様において、前記核酸はDNA及び/又はRNA分子である。
【0036】
幾つかの更に好ましい態様において、前記方法は、ファージ提示法を用いて行われる。幾つかの好ましい態様において、前記作用物質のコレクションは、ファージの表面上にあるペプチドの1つのタイプである。幾つかの代替的な好ましい態様において、前記ペプチドは抗体の少なくとも一部を含む。幾つかの代替的な好ましい態様において、前記方法は更に、ファージを失活させる工程を含み、該工程において、失活は標的のコレクションを有するファージを作用物質のコレクションを含むファージとインキュベーションする前に行われる。幾つかの好ましい態様において、生成失活させる工程はファージを生育不可能な温度に曝すことにより行われる。幾つかの代替的な好ましい態様は更にファージのコレクション中の核酸配列に特異的なオリゴヌクレオチドを用いたPCR増幅を更に含む。
【0037】
図面の説明
図1は、ライブラリーメンバーP1及びP2の間の競合を示す。両者は1−10Mの濃度で存在する。標的濃度(T0)の関数として分析された標的に結合したP1及びP2(それぞれ、TP1及びTP2という)の解離定数はそれぞれKd1=1−10M、Kd2=1−7Mである。X軸は標的濃度(モル)を示し、Y軸は標的メンバーの濃度(モル)を示す。この図により示されるように、ライブラリーのメンバー結合の量は、解離定数と標的濃度との関数である。
【0038】
図2は、Kd=1−12Mにおいて1バインダー(P1)、Kd=1−11Mにおいて10バインダー(P2)、Kd=1−10Mにおいて100バインダー(P3)、Kd=1−9Mにおいて1000バインダー(P4)、及びKd=1−8Mにおいて10,000バインダー(P5)を有する、標的濃度の関数である、ライブラリーの各結合メンバー(TPi)の濃度(各メンバーは1−10Mの濃度で存在していた)を示す。X軸は標的濃度(モル)を示し、Y軸は標的メンバーの濃度(モル)を示す。この図により示されるように、ライブラリーのメンバー結合の量は、解離定数とP1乃至P5のメンバーを有するライブラリーに対する標的濃度との関数である。
【0039】
図3はKd=1−12Mにおいて1バインダー(P1)、Kd=1−11Mにおいて10バインダー(P2)、Kd=1−10Mにおいて1000バインダー(P3)、Kd=1−9Mにおいて1000バインダー(P4)、及びKd=1−8Mにおいて10,000バインダー(P5)を有する、標的濃度の関数である、ライブラリーの各結合メンバー(TPi)の濃度(各メンバーは1−10Mの濃度で存在していた)を示す。Kd=1−8Mにおいて1の追加的な競合バインダーが1−4Mの濃度で添加された以外は、図2に示す条件とすべて同じである。X軸は標的濃度(モル)を示し、Y軸は標的メンバーの濃度(モル)を示す。この図により示されるように、ライブラリーメンバー結合の量は、解離定数と、P1乃至P5メンバーのライブラリーに対する標的濃度の関数である。
【0040】
図4は、結合ファージ対標的濃度を示すグラフである。該図は、Kd=1−10Mにおいて1バインダー(P1)、Kd=5−10Mにおいて5バインダー(P2)、Kd=2.5−9Mにおいて25バインダー(P3)、Kd=5−9Mにおいて50バインダー(P4)、及びKd=1−8Mにおいて100バインダー(P5)(追加的なバインダーはなし)を有する、ファージライブラリーの各結合メンバー(TPi)(各メンバーは1−13Mの濃度で存在する)の濃度を示す。X軸は標的濃度(モル)を示し、Y軸は標的結合メンバーの濃度(モル)を示す。該図は、ライブラリーメンバー結合の量が、解離定数と、P1乃至P5メンバーのライブラリーに対する標的濃度の関数であることを示す。
【0041】
図5は、結合ファージ対標的濃度を示すグラフである。該図は、Kd=1−10Mにおいて1バインダー(P1)、Kd=5−10Mにおいて5バインダー(P2)、Kd=2.5−9Mにおいて25バインダー(P3)、Kd=5−9Mにおいて50バインダー(P4)、及びKd=1−8Mにおいて100バインダー(P5)(追加的なバインダーはなし)を有する、ファージライブラリーの各結合メンバー(TPi)(各メンバーは1−13Mの濃度で存在する)の濃度を示す。1つの追加的な競合非ファージバインダー(P6)が1−4M(1−8MKd)で存在する以外は、条件は図4に示したものと同様である。X軸は標的濃度(モル)を示し、Y軸は標的結合メンバーの濃度(モル)を示す。該図は、ライブラリーメンバー結合の量が、解離定数と、P1乃至P5メンバーのライブラリーに対する標的濃度の関数であることを示す。
【0042】
図6は、保持に対する溶出を示す競合結合のグラフを提供する。図6Aは溶液中に懸濁されたバインダーを示し、一方図6Bは標的に結合するバインダーを示す。図6Cは、標的に結合するいくつかのバインダーを示す。3つの異なるタイプのバインダーが存在し、これら3つ全ては標的に結合するために同じ時間を必要とするが、これら3つのそれぞれは、異なるoff rateを有する。1分のoff rateを有するバインダーは八角形でしめした。そのようバインダーは30存在する。10分のoff rateを有するバインダーは三角形でしめした。そのようなバインダーは10存在している。100分のoff rateを有するバインダーは45度のタイトルを有する四角形で表す、そのようなバインダーは5つ存在する。標的は図の下方の「X」として示す。したがって、図6は固定された標的に結合する3つのクラスのバインダーを示す。
【0043】
図7は、標的濃度の減少の効果を示す。図7Aは溶液中に懸濁されたバインダーを示す。一方、図7Bは標的に結合しているバインダーを示す。最も遅いoff rate(最も低い濃度を有する2のタイプの分子)が結合されている。図7Cは幾つかのバインダーを示す。(最も低い濃度において)最も遅いoff rateを有するバインダーが標的に結合する。3つのタイプの異なるバインダーが存在する。これら3つ全ては標的に結合するために同じ時間を必要とするが(約10秒)、これら3つのそれぞれは、異なるoff rateを有する。1分のoff rateを有するバインダーは八角形でしめした。そのようバインダーは30存在する。10分のoff rateを有するバインダーは三角形でしめした。そのようなバインダーは10存在している。100分のoff rateを有するバインダーは45度のタイトルを有する四角形で表す、そのようなバインダーは5つ存在する。従って、図7は、標的の量が限られている又は少なくされたときに、固定された標的に対するバインダーの3つのクラスの結合の例を提供する。
【0044】
図8は、ライブラリーに対する競合バインダーの添加の影響を示す。図8Aは溶液中に懸濁されたバインダーを示す。一方図8Bは高濃度で、遅いoff rateで標的に結合しているバインダーを含む競合的結合を示す。ライブラリー中に異なる4つのタイプのバインダーが存在する。これら4つ全ては標的に結合するために同じ時間を必要とするが(約10秒)、これら3つのそれぞれは、異なるoff rateを有する。1分のoff rateを有するバインダーは八角形でしめした。そのようバインダーは30存在する。10分のoff rateを有するバインダーは二等辺三角形及び長方形で示し、二等辺三角形として10のバインダーが存在し、長方形でしめす50のバインダーが存在する。100分のoff rateを有するバインダーは45度のタイトルの四角形で示し、これらは5つ存在する。標的は図の下方のXとして示す。したがって、この図は競合的バインダーが限定されている場合に、3つのクラスのバインダーが固定化された標的に結合することを示す。
【0045】
図9は、操作又は操作された濃度の提供に対する計算の結果を提供する。所与のライブラリー濃度(モル)(及び標的に対するライブラリーの結合エネルギーの平均(デルタG:Kcal/mol)、該平均値からの各標準偏差内のP1−P8のライブラリーメンバーの数は、二項(正規)分布から計算される。平均結合エネルギーは各メンバーに対して計算され、解離定数Kd=eΔG/RTは各メンバーに対して計算される。平均値以下の結合エネルギーを有する全ライブラリーメンバーは1つのグループに集められる。
【0046】
図10は全て置換された7つのアミノ酸位置を有するポリペプチドライブラリーに対する計算値の例及びこれらの計算から得られたチャートを示す。図10Aは、7つのアミノ酸を有するポリペプチドに対する計算サンプルの例を提供し、図10Bは前記計算に基づいた標準偏差を現す曲線である。図10Cは前記計算による、競合していない、結合ライブラリーメンバー対標的のチャートグラフを提供する。図10Dは前記計算による、競合している、結合ライブラリーメンバー対標的のチャートグラフを提供する。図10Eは図10C及び図10Dのプロットを結合したものである。
【0047】
図11は実施例3で述べる、タンパク質ライブラリーからのhSCキモトリプシンインヒビターのマススペクトロメトリックスクリーニングを提供する。
【0048】
図12は実施例3で述べる、タンパク質ライブラリーからのhSCキモトリプシンインヒビターのMS/MSシークエンシングを提供する。図12Aはpj01バインダーを示し、図12Bはpj02バインダーを示す。
【0049】
図13は実施例3で述べるように、hSCキモトリプシンインヒビターに対するマススペクトロメトリックスクリーニングからのインヒビターからバインダーを区別する、二次機能スクリーニングを提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0050】
発明の説明
本発明は所望の化合物をスクリーニングする方法を提供する。特に、本発明は競合示差スクリーニングのための方法を提供する。幾つかの好ましい態様において、本発明はタイトバインダーの同定を促進する競合示差スクリーニングのための方法を提供する。幾つかの好ましい態様において、本発明の方法に用いる作用物質はタイト及びウィークバインダーを含む。他の態様において本発明は、標的を認識し結合するが、所望のバインダーよりも弱い結合を有する、競合バインダーを用いた方法を提供する。
【0051】
定義
本明細書において特に別途定義しない限り、本明細書で使用される専門用語及び科学用語は、本発明が属する技術分野における当業者が一般に理解するのと同じ意味を有する。Singleton and Sainsbury、DICTIONARY OF MICROBIOLOGY AND MOLECULAR BIOLOGY、第2版、John Wiley and Sons、ニューヨーク(1994年)、及びHale and Marham、THE HARPER COLLINS DICTIONARY OF BIOLOGY、Harper Perennial、ニューヨーク(1991年)は、当業者にとって、本発明において用いられている多くの用語を収録する一般的な辞書である。
【0052】
当分野において広く知られている追加的な文献は、Sambrook et al., MOLECULAR CLONING:A LABORATORY MANUAL (Second Edition), Cold Spring Harbor Press, Plainview, N.Y., 1989, 及び Ausubel et al., Current Protocols in Molecular Biology, Green−Publishing&Wiley Interscience(1987)である。
【0053】
ここに説明されたそれらに類似しているか、等しいどのような方法と原料でも本発明の実行またはテストに用いることができるけれども、好適な方法と原料は説明される。従って、すぐ下で定義された用語はこの明細書によってより完全に定義される。本明細書で用いる記号、「一つの」及び「この」という語は、他に違った形で定義されていない限り、複数を示す場合にも用いる。
【0054】
通常、用いられた学名、及び、細胞培養、分子遺伝学及び核酸化学及びハイブリダイゼーション等の標準的な実験方法は良く知られており、当業者に用いられている。標準的な技術は組換え核酸法、ポリヌクレオチド合成、微生物培養、細胞培養、組織培養、形質転換、形質感染、形質導入、分析化学、有機合成化学、化学合成及び化学解析のために用いられている。通常、酵素反応及び生成及び/又は単離工程は仕様書にしたがって実施される。
【0055】
本明細書において「作用物質」の語は、標的分子又は標的に結合する任意のバインダー(例えば、ペプチド、ポリペプチド、タンパク質又は核酸)を意味する。核酸はDNA及び/又はRNAである。核酸は一本鎖であるか又は二本鎖のいずれかである。前記語は、ペプチド誘導体、ペプチド模倣体、ペプチド、小さい有機分子、糖質、及び好ましい方法で、標的分子上に作用する候補混合物から単離された他の分子を含む。本明細書で用いるように「作用物質」の語は、特定の分子サイズ又は組成特性に限定されない。幾つかの態様において、作用物質は酵素触媒反応において基質として働き、また、作用物質はアゴニスト、アンタゴニスト及び/又はシグナルメッセージである。幾つかの態様において、作用物質は代謝経路を刺激又は抑制する。代替的な態様において、作用物質は、ファージ提示スクリーニング方法のために用いられる、ファージコートタンパク質の一部としてファージ表面に発現しているペプチド又はポリペプチドである。
【0056】
幾つかの態様において、作用物質は標的分子に結合する。幾つかの態様において、前記作用物質は標的分子を触媒作用により変える。同様に、代替的な態様において、作用物質は標的分子と反応し、標的分子を修飾又は変更する。更なる態様において、作用物質は作用物質又は作用物質−標的分子複合体の分離を促進するために修飾される。追加的な態様において、「tag」(例えば、ビオチン)がストレプトアビジンを用いた新規な結合作用物質−標的複合体の単離を促進するために、作用物質又は標的上の少なくとも1つの位置に付加される。代替的な態様において、作用物質はキレート作用又は磁場により単離が促進されるように、キレート作用のある化合物又は金属と結合されている。さらなる態様において、作用物質は直接又は間接的にレポーター又は他のマーカーに結合している。追加的な態様において、作用物質はそれらの形態又は立体構造を変化させるために修飾又は操作される。更なる態様において、選択されたリガンドに対する抗体の結合親和性のタイプの範囲内にあるときは、作用物質は標的分子に対する結合親和性を有する。
【0057】
標的(又は抗−標的)に対する作用物質(又は抗―作用物質)の結合親和性はしばしば、解離定数(Kd)により説明される。(50%の効果的な結合(EC50)に必要な濃度又は標的に結合する他の化合物を50%抑制するために必要な濃度)。K0はKoff/Konにより定義される。Koffの値は、標的/リガンド複合体が壊れて離れていくか、又は分離する速度を定義する。Konの値は、作用物質と標的分子が作用物質標的分子複合体を形成するために結合するときの速度である。結合親和性の語は、ときたま、作用物質−標的分子複合体の動態安定性又は結合親和性と速度を表す他の測定可能な量のいずれかの速度を意味すると、当業者に理解されている。選択性は結合親和性の速度又は作用物質複合体(例えば、標的分子kd/抗−標的分子Kd)に対するoff rateのいずれかにより定義される。幾つかの態様において、Konを増やすことが好ましく、一方、他の態様において、Koffを減らすことが好ましい、及び更なる態様において、両者が好ましい。
【0058】
本明細書で用いる、「抗−標的」の語は、標的に対する結合として定義されている作用物質を意味し、通常、バインダーのコレクションを生成するために増幅されている。いくつかの態様において、前記抗−標的は、核酸(一本鎖又は2鎖のDNA及び/又はRNA)である。以下の態様で用いる、「作用物質」の語は、「作用物質」(すなわち、標的分子に結合する分子)及び「抗−標的」(抗−標的作用物質)の両方を意味する。従って、「作用物質」は特定の標的又は抗−標的分子を認識するリガンドを包含する。
【0059】
本明細書で用いる、「コレクション」の語は、観察、研究、利用されるか、及び/又は共に保管されるグループの対象を意味する。従って、「コレクション」の語は標的集団が曝される作用物質のコレクションを含む。
【0060】
本明細書で用いる、「タイプ」の語は、他の作用物質から区別することができる作用物質を意味する。幾つかの好ましい態様において、「タイプ」は、結合親和性又はKdにより作用物質の他のタイプから区別される。非限定的な例として、本発明の幾つかの態様において、バインダーの3つの異なるタイプは大まかに3つの異なる結合親和性を有するクラスを含んでいる。タイプの図示的な例は、図中に提供されている(例えば、図7は、1分のKoffを有するバインダー、10分のKoffを有するバインダー、100分のKoffを有するバインダーの3つのタイプを示す。)
本明細書で用いるように、「所望のタンパク質」の語は解析、同定、及び/又は修飾されるタンパク質を意味する。組換えタンパク質のほか自然発生タンパク質も本発明に用いることができる。
【0061】
本明細書で用いるように、「タンパク質」の語は、アミノ酸を含む化合物及びタンパク質であると当業者に認識されている化合物を含む組成物を意味する。「タンパク質」、「ペプチド」、及び「ポリペプチド」の語は本明細書において同義に用いられる。ペプチドがタンパク質の一部である場合、当業者は文脈上、この語の使用を理解する。「タンパク質」の語は関連するタンパク質の「pro型」及び「prepro型」だけでなく、タンパク質の成熟形態を含む。タンパク質のプレプロ型は、タンパク質のアミノ末端に作動可能に結合しているプロシークエンス及びプロシークエンスのアミノ末端に作動可能に結合している「プレ−」又は「シグナル」配列を有するタンパク質の成熟形態を含む。この語は抗体のそのような配列も包含することを意図する。
【0062】
同じ側鎖を有するアミノ酸残査のファミリーは、当該技術分野において確立されてきた。これらのファミリーは塩基性側鎖(例えば、リジン、アルギニン、ヒスチジン)を有するアミノ酸、酸性側鎖(例えば、アスパラギン酸、グルタミン酸)、非電荷極性鎖(例えば、アスパラギン、グルタミン、セリン、スレオニン、チロシン)、非極性鎖(例えば、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファン、システイン、グリシン)及び芳香族側鎖(例えば、チロシン、フェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジン)を有するアミノ酸を含む。当業者に知られている標準的な3文字、又は1文字のアミノ酸記号を本明細書において用いる。等価置換体も本発明の範囲内に含まれる(例えば、同じグループからの他のアミノ酸を置換した置換体)。
【0063】
幾つかの態様において、本発明のペプチド、ポリペプチド、及び/又はタンパク質は1つ以上のnon−classicalアミノ酸を含む。「non−classical」は、共通するアミノ酸のDアイソマー、α−アミノイソ酪酸、4−アミノ酪酸(4−Abu)、2−アミノ酪酸(2−Abu)、6−アミノヘキサン酸(Ahx)、2−アミノイソブチル酸(2−Aib)、3−アミラーゼのプロピオン酸、オルニチン、ノルロイシン、ノルバリン、ヒドロキシプロリン、ザルコシン、シトルリン、システイン酸、t−ブチルグリシン、t−ブチルアラニン、フェニルグリシン、シクロヘキシルアラニン、β−アラニン、フルオロ−アミノ酸、並びにβ−メチルアミノ酸、Cα−メチルアミノ酸、Nα−メチルアミノ酸等の「設計」アミノ酸、並びに一般的なアミノ酸アナログを含むがこれらに限定されない。
【0064】
本明細書で用いる「抗体(Ab)」及び「免疫グロブリン(Ig)」は、ヒト又は他の動物のB細胞及びプラズマ細胞により生成される糖タンパクとして定義される。前記糖タンパクは、抗原(通常、ペプチドである)又は前記抗原により生成される構造的に似た抗原に高い特性で結合する。抗体は既知の方法より生成することができ、ポリクローナル又はモノクローナルである。この語は、キメラ抗体、ヒト化抗体、イムノグロブリン又は、抗体又は抗原に結合する抗体の機能的なフラグメントも含む。そのような機能的構成(実在者)は、完全な抗体分子、Fv等の抗体フラグメント、一本鎖Fv、相補的な決定領域(CDRs)、Lv(軽鎖可変領域)、VH(重鎖可変領域)、及びこれらのうちのいずれかの組み合わせ、又は標的抗原に結合することができるイムノグロブリンペプチドの他の機能的部分を含む。
【0065】
本発明で用いる抗体は免疫源を用いて調製される。当業者に知られている各種方法はポリクローナル抗体を用いるために用いることができる。抗体を生成するための幾つかの態様において、各種宿主動物(ウサギ、マウス、ラット、ヒツジ、ヤギ等を含むがこれらに限定されない)は、本発明の所望の標的に対応するペプチドを用いた注射により免疫化される。幾つかの好ましい態様において、前記ペプチドはイムノグロブリン担体(例えば、ジフタリアトキシド、ウシ血清アルブミン(BSA)、又はキーホールリンペットヘモシニアン(KLH))に共役結合されている。宿主細胞の種類に応じて、免疫反応を高めるために、Freund’s(完全又は非完全)アジュバンド、水酸化アルミニウム等のミネラルゲル、リゾレシチン、プルロニックポリオール(pluronic−polyol)、多価陰イオン、ペプチド、オイルエマルジョン、キーホールリンペットヘモシニアン、ジニトロフェノール、及びBCG(Bacille Calmette−Guerin)及びコリネバクテリウムパルブウム(Corynebakuteriumu parvum)等の有用なヒトアジュバンドとなりうるものを含むがこれらに限定されない、各種アジュバンドを用いる。
【0066】
モノクローナル抗体の調製のために、培地中の連続細胞株による抗体の生成を提供する技術が用いられる(Harlow and Lene, Antibodies:A Laboratory Manual,Cold Shipng Cold Shiping Laboratory Press, Cold Shipng Harbor, NY)。これらは、トリオーマ技術、ヒトB細胞ハイブリドーマ技術(Kozbor et al. Immunol. Today 4:72 [1983]参照のこと)、及びヒトモノクローナル抗体を生成するためのEBV−ハイブリドーマ技術(Cole et al., in Monoclonal Antibodies and Cancer 20 Therapy, Alan R. Liss, Inc., pp.77−96 [1985]参照のこと)のほかに、Kohler and Milstein (Kohler and Milstein, Nature 256:495−497 [1975]参照のこと)により独自に開発されたハイブリドーマ技術を含むがこれらに限定されない。幾つかの好ましい態様において、本発明はIgGクラスのモノクローナル抗体を提供する。
【0067】
本発明の追加的な態様において、モノクローナル抗体は、無菌動物(PCT/US 90/02545)において生成される。本発明によると、ヒト抗体はヒトハイブリドーマ(Cote et al., Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A.80:2026−2030 [1983])又は、ヒトB細胞をin vitroにおいて、EBVを用いてウイルスに感染させることにより(Cole et al.上記)用いられ、得ることができる。
【0068】
一本鎖抗体の生成について述べる技術(米国特許No.4,946,778;参照により本明細書に援用する。)は所望の分子を特異的に認識する一本鎖抗体の生成に用いることができることは明らかである。幾つかの態様において、Fab発現ライブラリーの構築を説明する技術(Huse et al, Science 246:1275−1281 [1989]参照のこと)が好ましい特異性を有するモノクローナルFabフラグメントを早く、容易に同定するために用いられる。抗体分子のイディオタイプ(抗原結合領域)を含む抗体フラグメントは既知の技術により生成することができる。例えば、そのようなフラグメントは、抗体分子のペプシン消化により生成することができるF(ab’)2フラグメント、前記F(ab’)2フラグメントのジスルフィド結合の還元により生成することができるFab’フラグメント、及びパパイン及び還元剤で抗体を処理することにより生成することができるFabフラグメントを含むがこれらに限定されない。
【0069】
抗体の生成において、所望の抗体スクリーニングは当分野で知られている方法、(例えば、ラジオイムノアッセイ、ELISA[酵素免疫吸着測定法]、「サンドイッチ」イムノアッセイ、イムノラジオメトリックアッセイ、ゲル内沈降反応、免疫拡散アッセイ、in situイムノアッセイ[例えば、コロイドゲル、酵素又はラジオアイソトープを用いた]、補体結合アッセイ、免疫蛍光測定法、プロテインAアッセイ、及び免疫電気泳動法等)で行うことができる。
【0070】
1つの態様において、抗体の結合は、1次抗体のラベルを検出することにより検出される。他の態様において、前記1次抗体は1次抗体への2次抗体又は試薬の結合を検出することにより決定される。更なる態様において、2次抗体は標識される。イムノアッセイにおいて結合を検出する多数の方法が当該分野で知られており、それらは本発明の範囲内である。
【0071】
本明細書において用いる「染色」の語は、細胞の特定の成分及び/又は特徴をより良く視覚化するために用いられると当該分野において知られている多くの方法を意味する。
【0072】
本明細書で用いる、オリゴヌクレオチドの語は、2つ以上のデオキシヌクレオチド、又はリボヌクレオチドからなる分子であると定義される。正確なサイズは、多くの因子、言い換えると、オリゴヌクレオチドの機能又は使用に依存している。オリゴヌクレオチドは、例えば、クローニング及び適切な配列の制限消化、並びに、リン酸ジエステル法(Narang et al., Meth. Enzymol., 68:90−99 [1979])、ジエチルフォスフォラミダイト法(Brown et al, Meth. EnzymoL, 68:109−151 [1979])、及び固体支持法(米国特許No. 4,458,066)等の当該技術分野において知られている適切な方法を用いて直接合成することができる。合成方法の各種文献は当分野で知られている(Goodchild, 1990, Bioconjugate Chemistry 1(3):165−187 [1990])。上記文献は参照により本明細書に援用する。
【0073】
本明細書において「ペプチド」の語は、酵素耐性ペプチドアナログを意味する。
【0074】
本明細書において「接触」及び「曝す」の語は、隣接した傍ら又は連結する場所に置くことを意味し、in vitro及びin vivoでの接触を含む。これらの語は、タッチング(touching)、アソシエーション(association)及び追加(joining)及び結合(combining)を含む。これらの語は、抗−標的に対しても用いられる。
【0075】
分離の語は、選択、分別、分割、単離、回収、隔離することを意味する。
【0076】
「増幅する」及び「増幅」の語は、分子又は分子のクラスのコピーの量又は数を増やす任意の工程又は工程の組み合わせを意味する。例として、幾つかの態様において、作用物質又は抗−標的作用物質の各コレクションの数は、増幅前の約100倍、約500倍、約1000倍、約500倍、約10,000倍、約100,000倍、約1,000,000倍、多い。
【0077】
「低濃度」の語は、標的に対するライブラリーメンバーの所望の解離定数の計算により得られる濃度よりも、約1000倍高い値から約10倍低い標的の濃度を意味する。低い濃度は、例えば、標的へのライブラリーメンバーの結合に対する所望の解離定数よりも10倍以下である濃度である。幾つかの好ましい態様において、好ましい濃度は、約1ミクロモル(1e−6M)及び約1ピコモル(1e−12M)の間であり、好ましくは、約1e−7及び約1e−11である。
【0078】
本明細書で用いる、「規定の濃度」の語は、本発明の所望の効果を達成するために操作された標的集団の濃度を特に意味する。幾つかの態様において、例えば、標的集団が他の濃度に対して相対的に比例する濃度を有するように、操作は標的集団の濃度を高める又は低めることを含む。幾つかの態様において、操作された濃度は高められたライブラリー濃度、ライブラリーの各メンバーの濃度を高めるライブラリーの多様性の増加、及び/又は標的濃度の減少を含む。
【0079】
「正常」の語は、外観上及び/又は検出されうる異常又は欠如のない、完全な状態を意味する。従って、正常細胞は、それ自身の変らない細胞のタイプにフェノタイプ又はゲノタイプと一致する、発現、発現のレベル、の典型的、標準的なパターンを有する又は順守する細胞である。反対に、「異常」の語は、典型的、一般的、又は日常的でないことを意味し、正常ではない。従って、疾病細胞は「異常」細胞タイプである。
【0080】
「標的」の語は本発明の作用物質又は作用物質集団に曝される所望の物質を意味する。幾つかの態様において、標的は所望の時間の間、インキュベーションされる。
【0081】
追加的な態様において、生物表面は、臓器の表面であり、代替的な態様において、生表面は細胞又は組織の表面である。一方、幾つかの代替的な態様において、生物表面は正常又は健康的な臓器、組織、又は細胞の表面である。
【0082】
更なる態様において、前記表面は組織の間質腔の中の巨大分子である。追加的な態様において、生物表面は、バクテリア、糸状菌、ウイルス、寄生虫(蠕虫、原生動物等)を含むがこれらに限定されない微生物の表面である。幾つかの態様において、前記微生物は動物病原体であり、他の態様において、前記微生物はヒト及び/又は他の動物に対しては非病原体である。細胞及び/又は組織の源は、ヒト、ヒト以外の動物、バクテリア、糸状菌又は植物である。
【0083】
従って、任意の生物表面(例えば、細胞、組織、皮膚、爪、内臓、外局、及び/又は髪)が本発明の標的として用いられる。幾つかの態様において、前記細胞はヒトの細胞であり、代替的な態様において、前記細胞はヒト以外の動物の細胞、バクテリア細胞、又は糸状菌細胞である。細胞の語はウイルス及び/又はウイルス粒子を含む細胞も包含する。幾つかの態様において、前記細胞は造血性細胞、癌細胞、又はレトロウイスルにより軽質転換された細胞である。
【0084】
代替的な態様において、前記標的は造血性細胞(例えば、赤血球、血小板、及び白血球の系統の未成熟細胞のほかに造血性幹細胞)を含む血液細胞である。「血液細胞」の語は、造血性細胞、赤血球、好中球、単核白血球、血小板、マスト細胞、好酸球、好塩基球、リンパ球、B細胞、T細胞、プラズマ細胞、マスト細胞、マクロファージ及びナチュラルキラー細胞を含むがこれらに限定されない。幾つかの態様において、前記標的は、異常血液細胞である。幾つかの態様において、HSC標的はCD34+、Thy−1+、又はCD34+、Thy−1+Lin−(「Lin−」は少なくとも1つの特定のマーカーの系統の欠失を基準にして選択された細胞集団を意味する。)の表面抗原発現プロファイルを有する。HSCsの単離及び選択の方法は等分野において知られている(米国特許Nos.5,061,620,5,677,136,及び5,750,397参照のこと。これらの文献を参照により本明細書に援用する。)
他の態様において、標的は分子である。いくつかの態様において、前記分子は有機分子である。更なる態様において、前記分子は生物分子である。追加的な態様において、前記生物学的分子は細胞関連分子である。更なる態様において、前記細胞関連分子は細胞の外表面に関係する。幾つかの態様において、前記細胞関連分子はタンパク質である。幾つかの態様において、前記タンパク質はレセプターである。追加的な態様において、前記細胞関連分子は特定の細胞タイプに特定される。更なる態様において、前記細胞は疾病及び/又は異常細胞である。幾つかの好ましい態様において、前記疾病細胞は、癌細胞である。他の態様において、前記疾病細胞は感染細胞である。本発明において、標的として用いることができる。他の分子はタンパク質、ペプチド、核酸、糖質、脂質、多糖、糖タンパク、ホルモン、レセプター、抗原、抗体、毒物質、代謝物、抑制物質、薬物、含量、栄養素、及び成長因子を含むがこれらに限定されない。
【0085】
本発明に包含されるタンパク質及び化学標的の非限定的な例は、ケモカイン、及び他のレセプターを含む。本明細書で用いる「サイトカイン」は細胞上で各種効果(例えば、正常、分化、及び/又は増殖)を生ずる数おおくの因子のいずれかを意味する。非限定的な例は、IL−2、IL−3、IL−4、IL−6、IL−10、IL−12、IL−13、IL−14、及びIL−16等のインターロイキン;可溶性IL−2レセプター;可溶性IL−6レセプター;エリスロポエチン(EPO);トロンボポエチン(TPO);顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF);幹細胞因子(SCF);白血病抑制因子(LIF);インターフェロン(例えば、INF−α、−β、及び−ガンマ);オンコステインM(OM);免疫グロブリンスーパーファミリー;腫瘍壊死因子(TNF)ファミリー、特にTNF−α;形質転換因子(例えば、TGF−α、及びTGF−ベータ);及びIL−1α;及び血管内皮成長因子(VEGF)ファミリー、特にVEGF(特に、当該分野でVEGF−Aといわれているもの)、VEGF−B、VEGF−C,VEGF−C,VEGF−D及び、胎盤成長因子(PLGF)を含む。サイトカインは、アムジェン(Amgen(Thousand Oaks,CA)、イムネックス(Immunex(Seattle,WA)) 及びジェネンテック(Genentech(South San Francisco,CA))を含む数社から入手可能である。
【0086】
本明細書で用いる「組織」の語は、一緒に特定の特化した機能を生ずる、同じような特化した細胞の群及び層を意味する。幾つかの組成においては、1つのタイプの細胞しか存在しないが、他の組織において、異なるタイプの細胞が存在する。この語は、リンパの、リンパ節様の、脂肪、骨、アエロラー(aerolar)、軟骨、関節、間質、内皮、上皮、繊維質、顆粒、腸関連リンパ(GALT)、未分化、間質、間葉質、骨髄、神経、骨、骨格、皮下、及び他の組織タイプを含むがこれらに限定されない。本明細書で用いる場合、この語は修飾された組織も意味する。
【0087】
「標的集団」の語は、作用物質又は作用物質が曝される標的の集団を意味する。標的集団は本明細書で用いるように、単一標的又は標的コレクションを含む。細胞、皮膚、及び/又は髪を含むがこれらに限定されない、生体表面のコレクションは、標的集団として本発明に用いることができる。
【0088】
いくつかの態様において、標的集団は、癌細胞、癌細胞株、癌細胞培養、腫瘍抽出物、癌組織、癌臓器、癌細胞に関係する分子、癌細胞株に関係する分子、癌細胞培地に関係する分子、腫瘍抽出物に関係する分子、癌組織に関係する分子、及び癌臓器に関係する分子を含む。幾つかの好ましい態様において、標的集団は、抗体又は抗体のコレクション、それ自身を含む。標的集団の非限定的な例は、以下で説明する。
【0089】
幾つかの好ましい態様において標的は「癌関係細胞」である。この語は、生体において癌、又は癌に関する状態の診断又は検出の一部として結合する本発明の組成物である、任意の標的を含む。例えば、この語は、施術から得られた生検サンプル又は正常組織(例えば、癌組織に関係している血管)のほかに、癌細胞、癌組織及び/又は癌臓器;癌細胞、癌組織、及び/又は癌臓器に関する分子;及び/又は癌細胞、癌組織、又は癌臓器に関係する分子、細胞、組織又は臓器(例えば、施術中に投与される腫瘍結合、診断分子)を含む。
【0090】
癌関連標的の例は、参照により本明細書に援用される米国特許No.6,261,535に記載されている。しかしながら、本発明を特定の癌関連因子に限定することは意図しない。前記癌関連標的は、任意の癌又は癌関連状態に関係している。癌のタイプの例は、上皮性悪性腫瘍、非上皮性悪性腫瘍、骨髄腫、白血病、リンパ腫、及び癌の混合タイプを含むがこれらに限定されない。
【0091】
「分子」の語は、標的分子、(例えば、抗原又はリガンと)及び/又は抗−標的分子を意味する。好適な作用物質、標的分子及び抗−標的分子はタンパク質、ペプチド、核酸、脂質、糖質、多糖、糖タンパク、ホルモン、レセプター、抗原、抗体、ウイスル、病原体、毒物質、代謝物、抑制物質、薬物、栄養素、成長因子、細胞又は組織を含むがこれらに限定されない。本発明は競合示差スクリーニングアッセイ方法を提供する。本発明は、スクリーニングの最終ラウンドの後に得られる作用物質の割合と、特定の標識と特異的に結合している溶出を高める。これは、少なくとも1つの作用物質(例えば、バインダー)がスクリーニングアッセイの使用を通じて、単離されるように、標的表面又上は懸濁液の中の望ましくない分子(例えば、抗−標的分子)に対する好ましい標的作用物質のシグナル対ノイズ比を増加させる。その結果、このアッセイは高い質及び標的バインダーの単離を促進する。
【0092】
発明の詳細な説明
本発明は、所望の化合物をスクリーニングするための方法を提供する。特に、本発明は競合示差スクリーニングのための方法を提供する。特に、幾つかの態様において、本発明は、標的結合の同定を促進する競合示差スクリーニングのための方法を提供する。幾つかの好ましい態様において、前記作用物質は、タイト及びウィークバインダーを含む本発明の方法において用いられる。他の態様において、本発明は標的を認識及び結合するが、所望のバインダーよりも弱い結合を有する競合バインダーを用いる方法を提供する。
【0093】
特に好ましい態様において、本発明はスクリーニングの最終ラウンド及び特定の標的に特異的に結合する溶出の後に得られる作用物質の割合を高める手段を提供する。この増加は少なくとも1つのバインダーの単離を促進する、標的表面上又は懸濁液中の好ましくない抗−標的分子に対する好ましい標的分子のシグナル−ノイズ−比を高める。
【0094】
幾つかの態様において、本発明は少なくとも1つの所望のバインダーを単離する方法を提供し、該方法は、標的集団を規定の濃度を有する作用物質のコレクションに接触させる工程と、標的集団に結合しない作用物質を洗浄して除去する工程と、前記少なくとも1つのバインダーを区別、分離及び同定する工程を含む。
【0095】
幾つかの態様において、本発明は少なくとも1つの所望のバインダーを単離する方法を提供する。前記方法は、第一標的を作用物質の第一コレクションに接触させる工程と、標的中に存在する標的分子に結合しない作用物質を洗浄して除去し、洗浄された作用物質を廃棄する工程と、標的分子に結合した作用物質を溶出して、抗−標的ペプチドのコレクションを生成する工程と、抗−標的ペプチドのコレクションを増幅する工程と、増幅された抗−標的ペプチドのコレクション並びに、作用物質の第一及び第二コレクションを第一又は第二標的へ適用する工程と、第一又は第二標的中の標的分子に結合していない作用物質を洗浄除去し、少なくとも1つの所望のバインダーを区別、分離、及び同定する工程とを含む。
【0096】
代替的な態様において、本発明は少なくとも1つの所望のバインダーを単離する方法を提供する。前記方法は、規定の濃度を有する作用物質のコレクションと標的集団を接触させる工程と、標的集団に結合していない作用物質を洗浄除去する工程と、及び前記少なくとも1つのバインダーを区別、分離、及び同定する工程とを含む。幾つかの好ましい態様において、前記作用物質のコレクションは少なくとも1つの核酸を含む。他の好ましい態様において、前記核酸のタイプはDNA又はRNAである。
【0097】
幾つかの好ましい態様において、前記規定の濃度は標的集団の約1×10−3倍及び約1×103倍の間である。幾つかの代替的な態様において、前記規定の濃度は、個々の作用物質濃度が作用物質の所望の解離定数の約1×10−4倍と1×102倍高くなるように、作用物質多様性を低減させる。好ましい態様において、前記規定の濃度は、所望の標的に対して好ましい解離定数を有するバインダーを含む少なくとも1つの競合バインダーを含む。濃度を規定するために当該分野において知られている好適な方法のいずれかが本発明に用いられる。
【0098】
幾つかの好ましい態様において、作用物質のコレクションは、ペプチドの少なくとも1つのタイプを含む。他の好ましい態様において、前記作用物質のコレクションは少なくとも1つの核酸のタイプを含む。更なる好ましい態様において、前記核酸のタイプはDNA又はRNAである。
【0099】
幾つかの好ましい態様において、標的集団は、標的の群(例えば、細胞又は核酸の群)であり、その各メンバーは、少なくとも1つの標的又は標的分子を含んでいる。幾つかの好ましい態様において、前記標的集団は癌細胞、癌細胞株、癌細胞培養、腫瘍抽出物、癌組織、癌臓器、癌細胞に関係する分子、癌細胞株に関係する分子、癌細胞培地に関係する分子、腫瘍抽出物に関係する分子、癌組織に関係する分子、及び癌臓器に関係する分子を含む。
【0100】
幾つかの好ましい態様において、標的集団は少なくとも1つの表面又は表面の群を含む。幾つかの好ましい態様において、前記表面は生物表面である。他の態様において、生物表面は臓器の表面である。更なる態様において、前生物表面は組織の表面である。追加的な態様において、前記生物表面は、細胞の表面である。更なる態様において、前記生物表面は疾病臓器、組織、又は細胞の表面である。他の態様において、生物表面は正常又は健康な臓器、組織、又は細胞の表面である。追加的な態様において、前記表面は組織の内部にある巨大分子の表面である。他の態様において、前記表面は非病原体又は病原体の表面である。更なる態様において、前記表面は非生物表面である。幾つかの態様において、前記非生物表面は医療機器の表面である。追加的な態様において、前記医療機器は治療機器である。更なる態様おいて、前記治療機器は埋め込まれた治療機器である。更なる態様において、前記医療機器は診断機器である。他の態様において、前記診断機器は、ウェル又はトレイである。
【0101】
追加的な態様において、前記標的集団は癌に関係している。幾つかの態様において、前記癌関係標的集団は、癌、又は癌に関係する状況の診断又は検出の一部に結合する作用物質のコレクションである任意の標的集団を含む。(例えば、癌細胞、癌組織、又は癌臓器、癌細胞、癌組織、癌臓器に関係する分子、あるいは、癌細胞、癌組織又は癌臓器に関係する分子、細胞、組織又は臓器;米国特許6,261,535号参照のこと。本文献を参照により本明細書に援用する。)幾つかの態様において、前記癌関係標的集団は癌又は癌に関係する状況のいずれかに関係する。癌の例は、上皮性悪性腫瘍、非上皮性悪性腫瘍、骨髄腫、白血病、リンパ腫、及び癌の混合タイプを含むがこれらに限定されない。
【0102】
幾つかの態様において、癌は骨肉腫である。例は、Ewing肉腫、骨肉腫、横紋筋肉腫、及び他の柔軟組織における肉腫を含むがこれらに限定されない。他の態様において、前記癌は神経系の癌である。例は、脳腫瘍、乏突起膠腫(希突起グリオーマ)、上衣(細胞)腫、リンパ腫、神経鞘腫、及び髄芽(細胞)腫を含むがこれらに限定されない。追加的な態様において、前記癌は乳癌(例えば、乳房における粘膜腺管癌)である。更なる態様において、前記癌は前立腺癌である。更なる態様において、前記癌は内分泌系の癌(例えば、副腎、すい臓、甲状腺、下垂体及び甲状腺)である。追加的な態様において、前記癌は、消化器系の癌(例えば、肛門、結腸直腸、直腸、口腔、鼠径部、食道、胃、胆嚢、胃、肝臓、すい臓、大腸、および小腸癌)である。更なる態様において、前記癌は、婦人科系の癌(例えば、子宮頚部、子宮内膜、子宮、卵管、懐胎の絨毛性疾患、絨毛癌、卵巣癌、膣癌、及び外陰癌)である。更なる態様において、前記癌は頭部及び首部の癌(例えば、喉頭音、口咽頭、副甲状腺および甲状腺癌)である。追加的な態様において、前記癌は白血病(例えば、急性リンパ性白血病、急性骨髄性白血病、慢性リンパ球性白血病、慢性骨髄性白血病、ヘアリー細胞白血病、骨髄増殖症候群)である。更なる態様において、前記癌は肺癌(例えば、中皮腫、非小細胞肺癌及び小細胞肺癌)である。追加的な態様において、前記癌はリンパ腫(例えば、AIDS関連リンパ腫、皮膚T 細胞性リンパ腫、B細胞リンパ腫、菌状息肉腫、Hodgkin‘s病及び非Hodgkin‘s病)である。更なる態様において前記癌は、骨髄腫(例えば、多発性骨髄腫)である。更なる態様において、前記癌は、小児癌(例えば、脳腫瘍、Ewing肉腫、白血病(例えば、急性リンパ性白血病、急性骨髄性白血病)、肝臓癌、リンパ腫(例えば、Hodgkin‘s病及び非Hodgkin‘s病)、神経芽細胞腫、網膜芽(細胞)腫、肉腫(例えば、骨肉腫又は横紋筋肉腫)及びWilms’腫瘍である。更なる態様において、前記癌は、前立腺、精巣、前立腺上皮、及び陰茎癌を含むがこれらに限定されない男性生殖器系癌である。追加的な態様において、前記癌は皮膚癌(例えば、皮膚T 細胞性リンパ腫、菌状息肉腫、カポジ肉腫、皮下又はメラノーマ)である。更なる態様において、前記癌は、甲状腺癌(例えば、乳頭、甲状腺濾胞腺癌、延髄、甲状腺未分化癌、低分化腺癌)である。追加的な態様において、前記癌は、尿路癌(例えば、膀胱、腎臓、尿道口)である。更なる態様において、前記癌、又は癌関係状態は、運動失調毛細血管拡張症、未知の一次形成体の癌、リー-フラウメニ癌症候群、又は胸腺腫である。更なる態様において、前記癌は転移癌である。
【0103】
追加的な態様において、前記癌関係標的は癌細胞又は組織に関係する分子である。幾つかの態様において、前記分子は、癌又は腫瘍血管/基質の抗体、例えば、CD20、CD19、CD30、CD3、GD2、Lewis−Y、72kd糖タンパク(gp72、減衰加速因子、CD55、DAF、C3/C5転換体)、CO17―1A(EpCAM、17−1A、EGP−40)、TAG−72、CSAg−P(CSAp)、45kd糖タンパク、HT−29ag、NG2、A33(43kdgp)、 38kdgp、MUC−I、CEA、EGFR(HERl)、HER2、HER3、HER4、HN−Iリガンド、CA125、syndecan−1、LewisX、FAPストロマAg(繊維芽細胞活性因子)、EDGレセプター(エンドグリンレセプター)、ED−B、ラミニン−5(ガンマ2)、cox−2(+LN−5)、PgP(P−糖タンパク)、アルファVベータ3インテグリン、アルファVベータ5インテグリン、uPAR(ウロキナーゼプラスミノーゲン活性レセプター)、エンドグリン(CD105)、GD2、アミノペプチダーゼ、テネイシン−C、NG−2、TEMl、TEM8、アネキシン、葉酸レセプター骨粗しょう症(EDG1.3)、p97(メラノトランスフェリン)、ファネシルトランスフェラーゼ又はアポトーシス経路中の分子 (例えば、デスレセプター、fas、カスパーゼ又はbcl−2)又はレクチンである。
【0104】
代替的な態様において、標的は、赤血球、血小板、白血球系統の未成熟細胞のほかに、造血性細胞(例えば、造血性癌細胞)を含む血液細胞である。「血液細胞」は、造血性細胞、赤血球、好中球、好中球、単核白血球、血小板、マスト細胞、好酸球、好塩基球、リンパ球、B細胞、T細胞、プラズマ細胞、マスト細胞、マクロファージ及びナチュラルキラー細胞を含むがこれらに限定されない。幾つかの態様において、前記標的は、異常血液細胞である。幾つかの態様において、HSC標的はCD34+、Thy−1+、又はCD34+、Thy−1+Lin−(「Lin−」は少なくとも1つの特定のマーカーの系統の欠失を基準にして選択された細胞集団を意味する。)の表面抗原発現プロファイルを有する。HSCsの単離及び選択の方法は等分野において知られている(U.S. Patent Nos. 5,061,620, 5,677,136, 及び5,750,397参照のこと。これらの文献を参照により本明細書に援用する。)
他の態様において、標的は分子である。いくつかの態様において、前記分子は有機分子である。更なる態様において、前記分子は生物分子である。追加的な態様において、前記生物学的分子は細胞関連分子である。更なる態様において、前記細胞関連分子は細胞の外表面に関係する。幾つかの態様において、前記細胞外表面は細胞外基質の一部である。幾つかの態様において、前記細胞関連分子はタンパク質である。幾つかの態様において、前記タンパク質はレセプターである。追加的な態様において、前記細胞関連分子は特定の細胞タイプに特定される。更なる態様において、前記細胞は疾病及び/又は異常細胞である。幾つかの好ましい態様において、前記疾病細胞は、癌細胞である。他の態様において、前記疾病細胞は感染細胞である。本発明において、標的として用いることができる。他の分子はタンパク質、ペプチド、核酸、糖質、脂質、多糖。糖タンパク、ホルモン、レセプター、抗原、抗体、毒物質、代謝物、抑制物質、薬物、含量、栄養素、及び成長因子を含むがこれらに限定されない。
【0105】
本発明に包含されるタンパク質及び化学標的の非限定的な例は、ケモカイン、及び他のレセプターを含む。本明細書で用いる「サイトカイン」は細胞上で各種効果(例えば、正常、分化、及び/又は増殖)を生ずる数おおくの因子のいずれかを意味する。非限定的な例は、IL−2、IL−3、IL−4、IL−6、IL−10、IL−12、IL−13、IL−14、及びIL−16等のインターロイキン;可溶性IL−2レセプター;可溶性IL−6レセプター;エリスロポエチン(EPO);トロンボポエチン(TPO);顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF);幹細胞因子(SCF);白血病抑制因子(LIF);インターフェロン(例えば、INF−α、−β、及び−ガンマ);オンコステインM(OM);免疫グロブリンスーパーファミリー;腫瘍壊死因子(TNF)ファミリー、特にTNF−α;形質転換因子(例えば、TGF−α、及びTGF−ベータ);及びIL−1α;及び血管内皮成長因子(VEGF)ファミリー、特にVEGF(特に、当該分野でVEGF−Aといわれているもの)、VEGF−B、VEGF−C,VEGF−C,VEGF−D及び、胎盤成長因子(PLGF)を含む。サイトカインは、アムジェン(Amgen(Thousand Oaks,CA)、イムネックス(Immunex(Seattle,WA)) 及びジェネンテック(Genentech(South San Francisco,CA))を含む数社から入手可能である。幾つかの態様において、特に好ましい標的はVEGF及びTNF−αである。
【0106】
TNF−αに対する抗体は、レセプターとTNF−αとのブロッキング相互作用は、敗血(症)性ショック、関節リウマチ、及び他の炎症過程等の幾つかの疾病状態において、TNF−αの過剰発現の調節において有用であることを示す。VEGFは血管新生誘発体である。血管浸潤の仲介体であり、内皮細胞に特異的な有糸分裂促進剤である。VEGFファミリー及び/又はそれらのレセプターを標的とすることは治療上有意な効果を有する。例えば、VEGFのブロッキングは、卵巣過剰刺激症候群(OHSS)において治療効果を有する(例えば、Ferrara et al, Nat. Med., 5:1359 [1999]); 及びGerber et al, Nat. Med., 5:623 [1999])。他の好ましい標的はT細胞レセプター等の細胞表面レセプターを含む。
【0107】
「ケモカイン」は、細胞のトラフィッキング、及び炎症において重要な役割を果たす小さいタンパク質のファミリーである。ケモカインファミリーは、IL−8、間質由来因子-1 (SDF−I)、血小板因子4、好中球活性タンパク質−2(NAP-2)及び単球化学誘引タンパク質−1(MCP−I)を含むがこれらに限定されない。これらのタンパク質もまた本発明の方法における標的として用いることができる。
【0108】
他のタンパク質及び化学標的は、ヒト白血球抗原(HLA、クラスI及び/又はクラスII、及び非クラシカルクラスIHLA(E、F及びG)等の免疫調節タンパク質;T又はB細胞表面タンパク質等の表面タンパク質;ヒト血清アルブミン;プロスタグランジン、ロイコトリエン、トロンボキサン及びプロスタサイクリン等のアラキドン酸代謝物;IgE、自己免疫又は同種免疫又は異種免疫に対する自己抗体又は同種異系抗体;因子に結合するIgFcレセプター又はFcレセプター;レセプターと結合するGタンパク質;細胞表面糖質;血管新生因子;接着分子;カルシウム、カリウム、マグネシウムアルミニウム及び鉄等のイオン;プリオン及びテューブリン等の微小繊維タンパク質;プロテアーゼ、アミノペプチダーゼ、キナーゼ、フォスファターゼ、DNAアーゼ、RNAアーゼ、リパーゼ、エステラーゼ、デヒドロゲナーゼ、オキシダーゼ、ハイドロラーゼ、スルファターゼ、セルラーゼ、シクラーゼ、トランスフェラーゼ、トランスアミダーゼ、カルボキシラーゼ、デカルボキシラーゼ、スーパーオキシドジスムターゼ、及びそれらの天然基質又はアナログ;卵胞刺激ホルモン(FSH)、黄体刺激ホルモン(LH)、甲状腺ホルモン(T4及びT3)、アポリポタンパク質、低密度リポプロテイン(LDL)、コレステロール、アルドステロン、エストリオール、エストラジオール、プロゲステロン、テストステロン、デヒドロエピアンドロステロン(DHAB)及びその硫酸塩(DHEA−S)等のホルモン及びそれらの関連レセプター;レニン、インスリン、カルシトニン、パラサイロイドホルモン(PTH)、ヒト成長ホルモン(hGH)、バソプレッシン、及び抗利尿ホルモン(AD)、プロラクチン、副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)、LHRH、サイロトロピン放出ホルモン(THRH)、血管活性腸管ペプチド(VIP)、ブラジキニン、及びこれらに対応するホルモン等のペプチドホルモン;アドレナリン及び代謝物等のカテコールアミン;アトリオナチューリックファクター(atrionatriutic factor)(AdF)を含む共因子;ビタミンA、B、C、D、及びK及びセロトニン;プロトトロンビン、トロンビン、フィブリン、フィブリノーゲン、ファクターVIII、ファクターIX、ファクターXI、及びヴィレブランド因子等の凝固因子;プラスミン、補体活性因子、LDL及びそれらのリガンド、及び尿酸等のプラスミノーゲン因子;ヒルジン、ヒルログ(hirulog)、ヘメンチン(hementin)、ヘパリン及び組織プラスミノーゲン活性因子(TPA)等の凝固調節化合物;遺伝子治療のための核酸分子;酵素アンタゴニスト、炎症因子、及びレセプター等のリガンドに結合する化合物、並びに以上の分子の1つ以上に結合する他のタンパク質を含むがこれらに限定されない。
【0109】
追加的な化学標的は、薬に限定されないが、特に、大麻、ヘロイン、及び他のアヘン類、フェンシクリジン(PCP)、バルビツール塩酸、コカイン及びそれらの誘導体、ベンザジアピン等の乱用される薬物;水銀、及び鉛等の重金属、砒素及び放射線活性化合物;パラセタノール、ジゴキシン、及びフリーラジカル等の化学治療因子;リポ多糖(LPS)及び他のグラム陰性毒、スタヒロコッカス毒素、トキシンA、破傷風毒素、ジフテリア毒素、及び百日咳毒素等のバクテリア毒素;植物及び海洋毒素;蛇及びエアロバクター、毒、タンパク質等の他の毒、毒性因子;EBウイルス(EBV)、水疱瘡ウイルス(VZV)、ヒト免疫不全ウイルス(例えば、HIV−1,−2)及び他のレトロウイルス、アデノウイルス、ロタウイルス、インフルエンザウイルス、ライノウイルス、パルボウイルス、風疹、麻疹ウイルス、ポリオ、パラミクソウイルス、パポバウイルス、ポックスウイルス、アルボウイルス、フラビウイルス、アレナウイルス、狂犬病ウイルス、カリシウイルス、アストロウイルス(astroviruses)、ロタウイルス、及びピコルナウイルス等の感染ウイルス;ピロリン;プラスモジウム組織因子;アメーバー(例えば、赤痢アメーバ)、糸状虫(例えば、ブケレリア属)、プラスモジウム、ジアルジア属、リーシュマニア属、クリプトスポリジウム属、サルコシスティス属、バベシア属、トリパノソーマ属、及びトキソプラズマ;蠕虫(例えば、吸虫、条虫、線虫);種、院内及び他の感染に関与する、好気性、嫌気性及び条件性を含むバクテリア(例えば、大腸菌、アシネトバクター属、シュードモナス、プロテウス、クレブシエラ属、スタヒロコッカス[ブドウ球菌]属、連鎖球菌、淋菌、ミコ[マイコ]バクテリウム、レギノネリア、クロストリジウム、マイコプラズマ属、トレポネーマ属、クラミジア属、リケッチア属、バルトネラ属等)及び糸状菌(例えば、カンジダ属、ニューモシスティス、アスペルギルス、トリコデルマ、ミクロスポラ、ピチニア(Pichnia)、コクシジオイデス属、ブラストミセス属、ヒストプラズマ、クリプトコッカス属等)を含む。すなわち、結合されることができる(すなわち、結合標的をつくることができる)いずれかの標的は本願発明に用いることができるので、本発明の標的を特定の標的に限定することは意図しない。
【0110】
更なる態様において、前記標的は、植物又は非植物由来物質である。幾つかの態様において、前記標的は木であり、他の態様において、前記評定は木以外の植物である。本発明はあらゆる植物及び/又は植物由来物質を包含することを意図する。
【0111】
幾つかの態様において、前記標的はプロテアーゼ、アミノペプチダーゼ、キナーゼ、フォスファターゼ、DNAアーゼ、RNAアーゼ、リパーゼ、エステラーゼ、デヒドロゲナーゼ、オキシダーゼ、ハイドロラーゼ、スルファターゼ、セルラーゼ、シクラーゼ、トランスフェラーゼ、トランスアミダーゼ、カルボキシラーゼ、デカルボキシラーゼ、スーパーオキシドジスムターゼ、及びそれらの天然基質又はアナログ等の酵素である。特に好ましい酵素は、ハイドロラーゼ、特に、アルファ/ベータハイドロラーゼ、スブチリシン及びキモトリプシンセリンプロテアーゼ等のセリンプロテアーゼである。
【0112】
更なる態様において、前記表面は非生物表面である。幾つかの態様において、前記非生物表面は医療機器の表面である。追加的な態様において、前記医療機器は治療機器である。更なる態様おいて、前記治療機器は埋め込まれた治療機器である。更なる態様において、前記医療機器は診断機器である。他の態様において、前記診断機器は、ウェル又はトレイである。
【0113】
更なる態様において、前記非生物表面は、物質である。幾つかの態様において、前記非生物表面は布である。幾つかの態様において、前記布は天然繊維である。追加的な態様において、前記布は、綿、シルク及び/又はウールである。更なる態様において、前記布は非天然繊維である。幾つかの態様において、前記布はナイロン、レーヨン、及び/又はポリエステルである。幾つかの態様において、前記布は天然繊維と合成繊維の混紡である。更なる態様において、前記物質は前記いずれかの繊維の複合材料である。
【0114】
追加的な態様において、前記標的は超小型回路である。このサーキットは、最終工程のもの又は回路の製造の任意の段階におけるものでよい。前記標的作用物質は回路の化合物を除去又は蒸着させるために用いるものであり、例えば、n−タイプドーパント(例えば、砒素、燐、アンチモン、チタン又のドナー原子体)又はp−タイプドーパント(例えば、ホウ素、アルミニウム、ガリウム、インジウム、又のアクセプター原子体)(van Zant, Microchip Fabrication, McGraw−Hill, New York, [2000]参照のこと)である。該文献を参照により本明細書に援用する。
【0115】
すなわち、結合されることができる(すなわち、結合標的をつくることができる)いずれかの標的は本願発明に用いることができるので、本発明の標的を特定の標的に限定することは意図しない。
【0116】
幾つかの態様において、表面上の染色が標的集団とみなされる。従って、幾つかの態様において、コットンの破片上の染色が作用物質が強く結合している標的分子である可能性を含み、染色されないコットンは抗―標的が結合している抗−標的分子を含む。従って、幾つかの態様において、染色は、作用物質が特異的に結合している標的分子を含む化合物である。幾つかの態様において、前記化合物は色を布、金属又の布又は固形物質に、あるいは、染色が視覚化することができる他の物質に添加して染色される物質である。染色として現れる染色された物質の標的クラスは、ポルフィリン由来構造(例えば、血液中のヘム、及び植物中のクロロフィル);お茶の染色、ワインの染色、バナナの染色及び桃の染色を生じさせるタンニン及びポリフェノール(Ribereau−Gayon, in Oliver and Boyd (eds.), Plant Phenolics. Edinburgh [1972], pp.169−198参照のこと);カロチノイド又はカロチノイド誘導体、該染色物質は、トマト(リコピン、赤色)、マンゴー(カロチン、オレンジ−黄色)、及びパプリカの色を生ずる;酸化カロチノイド及びキサントフィル(例えば、Bartley et al, Plant Cell.7:1027−1038 [1995]参照のこと);アントシアニン(すなわち、果物及び花において生ずる高度に染色された分子)(Ribereau-Gayon, 上記pp.135−169参照のこと)、及びメイラード反応生成物(すなわち、調理油において見られるような、タンパク質/ペプチド構造の存在下において糖質分子の混合物が加熱されることにより生ずる黄色/茶色に染色された物質)である。代替的な態様において、染色された化合物は化学反応、吸着又は拡散により繊維の中へ取り込まれる顔料(例えば、ダイレクトブルーダイ(direct blue dyes)、アシッドブルーダイ(acid blue dyes)、レアクティブブルーダイ(reactive blue dyes))である。幾つかの好ましい態様において、特に好ましい標的はカロチン及びキサントフィル染色を含む。
【0117】
幾つかの態様において、染色は、ポルフィリン由来染色、タンニン由来染色、カロチノイド染料由来染色。アントリアニン染料由来染色、固形ベース染色、オイルベース染色、及び人体由来染色の非限定的な群より選択される。幾つかの好ましい態様において、染色は血液由来染色又はクロロフィル由来染色である。より具体的には、幾つかの態様において、前記染色は、草、パプリカ、茶由来染色あるいは、果物又は野菜由来染色である(例えば、ワイン、トマト、ベリー類等からの)。幾つかの特に好ましい態様において、前記好ましい染色は人体固形及びより具体的にはカラーソイル(collar soil)といわれる染色が好ましい。
【0118】
幾つかの好ましい態様において、第一標的集団及び第二標的集団を含む、少なくとも2つの標的集団がある。幾つかの好ましい態様において、前記第一標的集団及び第二標的集団は異なる。幾つかの特に好ましい態様において、前記第一標的集団及び第二標的集団は細胞である。更なる追加的な態様において、前記第一標的集団は正常細胞を含み、第二標的集団は異常細胞を含む。更なる好ましい態様において、前記異常第二標的集団は腫瘍細胞を含む。
【0119】
幾つかの態様において、第一標的集団はダメージを受けた細胞、組織、又は臓器上の分子であり、第二標的細胞は無傷の(すなわち、ダメージを受けていない)正常な、細胞、組織、臓器又はこれらの組み合わせを含む。幾つかの態様において、前記細胞、組織及び/又は臓器は、正常な全血、皮膚、紙、歯及び爪からなる群より選択される。幾つかの態様において、野生型細胞の表面に正常に発現するタンパク質は第二標的集団分子であり、癌細胞の表面上のみ発現するタンパク質は第一標的分子である。しかしながら、本発明は、野生型細胞の上に発現する分子と異常又は疾病細胞上に発現する分子との比較に限定することは意図しない。代替的な態様において、細胞特異タンパク質を同定するために、異なる健康的な細胞タイプを他の異なる健康的な細胞タイプと比較する。
【0120】
幾つかの更なる態様において、標的はダメージを受けた細胞、組織、臓器上に存在する分子であり、抗―標的分子は健康的な正常(すなわち、ダメージを受けていない)細胞、組織、臓器、又はこれらの組み合わせの上に存在する。幾つかの態様において、前記抗−標的分子はが存在する細胞、組織、臓器は、全血、皮膚、紙、歯、及びつめからなる群より選択される。幾つかの態様において、通常野生型細胞の表面にのみ発現するタンパク質は抗−標的分子であり、一方癌細胞の表面にのみ発現するタンパク質は標的分子である。しかしながら、本発明は、野生型細胞の上に発現する分子と異常又は疾病細胞上に発現する分子との比較に限定することは意図しない。代替的な態様において、細胞特異タンパク質を同定するために、異なる健康的な細胞タイプを他の異なる健康的な細胞タイプと比較する(例えば、腎臓細胞と肝臓細胞との比較)。
【0121】
幾つかの好ましい態様において、本発明の方法は、第一標的集団を作用物質の第一コレクションとインキュベートする工程及び、前記インキュベート混合物の中から結合していない作用物質を除去するための洗浄工程を繰り返すことを更に含む。
【0122】
幾つかの代替的な態様において、抗−標的作用物質の増幅されたコレクションの濃度は、作用物質の第一コレクションの少なくとも約1000倍である。好ましくは、抗−標的作用物質のコレクションの各メンバーは、増幅される前よりも、約100倍、約500倍、約1000倍、約500倍、約10,000倍、約100,000倍又は約1,000,000倍より高いレベルで存在する。
【0123】
幾つかの好ましい態様において、前記作用物質はファージ表面のペプチドであり、抗−標的作用物質はファージ表面の他のペプチドである。幾つかの好ましい態様において、前記方法は更に、第二標的集団と作用物質の第一コレクションを有する増幅されたコレクショとンインキュベートする前に、抗−標的作用物質を含むファージを失活させる工程を含む。幾つかの好ましい態様において、前記失活工程は、ファージを生育不可能な温度にさらすことを含む。
【0124】
本発明において、作用物質、抗−標的作用物質、標的集団、作用物質のコレクションは、それらの分子の結合が知られている程度に特徴付けられることは、必要ない。従って、例えば、幾つかの態様において、スクリーニングの前に、抗―標的作用物質が抗―標的分子上又は標的中に結合するかどうかはわかる必要はない。同様に、標的分子又集団、及び抗−標的分子は、構造、化学的、遺伝子レベルで特徴付けられ、精製、安定性及び標的分子又は集団の濃度を制御する必要はない。同様に、どの作用物質又は抗−標的作用物質が結合する分子であるかということもわかる必要はない。
【0125】
幾つかの好ましい態様において、標的集団は低い濃度である。幾つの好ましい態様において、前記低い濃度は約1マイクロモル(1e−6M)乃至約1ピコモル(1e−12M)の間であり、幾つかの特定の好ましい態様において、前記濃度は約1e−7M乃至約1e−11Mの間の濃度である。
【0126】
本明細書において述べるように、本発明は標的集団において標的分子に結合する作用物質を同定するための方法を提供する。本明細書において詳細に述べるように、「標的集団」は標的の群であり、(例えば、細胞又は核酸の群)各メンバーは少なくとも1つの標的分子を含む。幾つかの好ましい態様において、前記方法はインキュベート混合物の中で、第一標的集団を作用物質の第一コレクションに接触させる工程を含み、ここで、少なくともいくつかの作用物質は第一標的集団中の分子に接触する。本明細書で用いる「作用物質の第一コレクション」は、野生型又は正常な標的分子に結合する分子(例えば、ペプチドの群)である。
【0127】
幾つかの特定の好ましい態様において、前記方法はインキュベート混合物を洗浄して、インキュベート混合物からに結合作用物質を除去する工程と、その後、結合作用物質を溶出して、抗−標的作用物質のコレクションを生成する工程とを必要とする。幾つかの追加的な工程において、これらの抗−標的作用物質は、各メンバーが溶液中に高い濃度で存在するようにするために増幅される。
【0128】
幾つかの態様において、増幅は核酸配列の追加的なコピーを生成し、及び当該分野でよく知られているポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を用いて行われる。幾つかの代替的な態様において、増幅は、宿主細胞によるファージ生産により起こる。
【0129】
従って、幾つかの態様において、増幅の後に、抗−標的作用物質のコレクションの各メンバーは、とても高いコピー数で存在する。例えば、幾つかの態様において、抗−標的作用物質のコレクションの各メンバーは、増幅前の抗−標的作用物質の濃度より、約100倍、約500倍、約1000倍、約500倍、約10,000倍、約100,00倍、又は約1,000,000倍より高いレベルで存在する。
【0130】
幾つかの態様において、抗−標的作用物質の増幅されたコレクションは作用物質の第一コレクションより過剰に存在するので、抗−標的作用物質は第二標的集団中の抗−標的の全部に結合する必要がある。第一標的中には存在しない第二標的集団中のいずれかの標的分子が検出される(すなわち、作用物質の標的への結合により)。従って、洗浄の後、そのような作用物質の同定は、それが所望のバインダーであるかどうかについて、同定され、解析される。幾つかの態様において、第二標的集団は、第一標的集団と同じ標的を含み、代替的な態様において、第二標的集団は、第一標的集団と異なる標的を含む。例えば、幾つかの態様において、第一標的集団は、健康的な肝臓の細胞を含んでおり、一方、第二標的集団は疾病の肝臓細胞を含んでいる。代替的に、幾つかの態様において、前記第一標的集団は、皮膚を含んでおり、第二標的集団は髪を含んでいる。更なる態様において、第一標的集団は清潔な布上に存在し、第二標的集団は、しみを含むクロスに存在する。
【0131】
幾つかの態様において、作用物質はファージ表面に発現するペプチドであり、第一及び第二標的集団はそれぞれ、野生型又は異常細胞である。
【0132】
幾つかの好ましい態様において、本方法はファージ提示方法を用いて行われる。ファージ提示法は、ペプチド又はタンパク質がバクテリオファージのコートタンパク質に遺伝的に結合して、その結果、ファージの外に融合タンパク質が提示され、ファージ内の融合残渣DNAコード化されるという、in vitorでの選択技術である(Barbas et al, Phage Display, a Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Press, [2001]参照のこと)。この方法は、その対応するDNA配列に結合するタンパク質の変異体又は異なるタンパク質の多くのメンバーのスクリーニングを可能にする。
【0133】
幾つかの好ましい態様において、作用物質のコレクションはファージ表面上の少なくとも1つのタイプのペプチドである。幾つかの好ましい態様において、前記ペプチドは少なくとも1つの抗体を含む。他の好ましい態様において、前記方法は更にファージを失活する工程を含む。ここにおいて、失活は標的のコレクション、及び作用物質のコレクションを含むファージをインキュベートする前に行う。代替的な態様において、前記失活の工程はファージを生育不可能な温度に曝す工程を含む。幾つかの態様において、増幅は核酸配列の追加的なコピーを生成するために持ち入られる。幾つかの好ましい態様において、増幅は分野で知られているPCRを用いて行う。他の態様において増幅は宿主に感染させたファージの生成により起こる。幾つかの態様において、作用物質のコレクションはファージ表面に発現したペプチドを含み、第一及び第二標的集団はそれぞれ、野生型細胞及び異常細胞である。
【0134】
ファージの区別及び/又は分離は当分野で知られている好適な方法を用いて行われる。例えば、幾つかの態様において、溶出されたファージ上に存在するペプチドの増幅されたコレクションは80℃5分間のインキュベートにより失活する。従って、ファージ提示された第一プールのファージのみが生存し、且つ培地上で育成することができる。
【0135】
代替的な態様において、2つの異なる系統又は異なるファージの培養物が用いられる。例えば、異なる核酸配列及び/又は抗生物質耐性を有する系統が本発明に用いられる。従って、抗生物質耐性のケースにおいて、作用物質の増幅されたコレクションは選択された抗生物質の存在下において育成できないが、このバインダーに耐えたファージは育成する。幾つかの態様において、1つの系統のファージ中の配列にのみハイブリダイズするように設計されたPCRプライマーはいずれかのファージが存在するかを同定するために用いられる。
【0136】
幾つかの好ましい態様において、本発明は少なくとも1つの所望のバインダーを単離するための方法を提供する。該方法は、低い濃度を有する標的集団を作用物質のコレクションに接触させる工程と、標的集団に結合していない作用物質を洗浄除去する工程と、少なくとも所望のバインダーを区別、分離、及び同定する工程を含む。
【0137】
幾つかの好ましい態様において、作用物質のコレクションは、少なくとも1つの所望のペプチドを含む。代替的な好ましい態様において、作用物質のコレクションは少なくとも1つの核酸を含む。更なる好ましい態様において、前記核酸はDNA又はRNA分子である。
【0138】
幾つかの好ましい態様において、作用物質のコレクションは規定の濃度を有する。幾つかの特定の態様において、規定の濃度は標的集団の濃度の約1×10−3倍及び約1×103倍の間である。幾つかの好ましい態様において、前記操作された濃度は作用物質の多様性を減少させることを含むので、各作用物質濃度は、作用物質の所望の解離低定数の約1×10−4倍乃至約1×102倍の間まで高くなる。幾つかの好ましい態様において、前記規定の濃度は少なくとも競合バインダーを含む。ここにおいて、少なくとも1つの競合バインダーが所望の標的に対する規定の解離定数を有するバインダーを含む。
【0139】
幾つかの好ましい態様において、前記標的集団は癌細胞、細胞株、細胞培養、腫瘍抽出物、癌組織、臓器、癌細胞、癌細胞株、癌細胞培養物に関係する分子(例えば、特定の抗原)からなる群より選択される。従って、幾つかの特定の好ましい態様において、標的集団は抗原の集団である。幾つかの態様において、前記抗原は、癌性抗原、muc−1、Tag72、CEA、CD22、ED−B及びFAPからなる群より選択される少なくとも1つの抗原を含む。幾つかの好ましい態様において、前記標的集団は、約1マイクロモル(1e−6M)乃至約1ピコモル(1e−12M)の間の低い濃度を有する。好ましい幅は、約1e−7M乃至約1e−11Mの間である。
【0140】
幾つかの好ましい態様において、前記作用物質のコレクションは少なくとも1つのペプチドのタイプを含み、幾つかの代替的な態様において、前記作用物質のコレクションは、少なくとも1つの核酸を含む。幾つかの好ましい態様において、前記核酸はDNA又はRNA分子である。
【0141】
幾つかの代替的な態様において、前記方法はファージ提示方法を用いて行われる。幾つかの好ましい態様において、前記作用物質のコレクションは、ファージ表面に存在する少なくとも1つのタイプのペプチドである。幾つかの好ましい態様において、前記ペプチドは、少なくとも1つの抗体を含む。幾つかの好ましい態様において、前記方法は更に、ファージを失活する方法をふくみ、前記失活はファージを標的のコレクション及びファージのコレクションを含むファージとインキュベートする前に行われる。幾つかの態様において、前記失活工程はファージを育成不可能な温度に曝す工程を含む。幾つかの好ましい態様において、前記方法は更にファージのコレクション中の核酸配列に特異的なオリゴヌクレオチドを用いたPCR増幅を行う工程を含む。
【0142】
本発明は、少なくとも1つの所望のペプチドを単離する方法を提供する。前記方法は、少なくとも1つの野生型細胞のコレクションをファージ提示されたペプチドの第一プールとインキュベートする工程と、野生型細胞の表面上に標的分子に結合していないファージをい洗浄除去する工程と、標的分子に結合しているファージを溶出して抗−標的ペプチドのコレクションを生成する工程と、抗−標的ペプチドのコレクションを増幅する工程と、増幅された抗−標的ペプチドのコレクションと、(続く野生型細胞の少なくとも1つのコレクションとファージ提示されたペプチドの第一プールとのインキュベートにより得られた、)ファージ提示されたペプチドの第一及び/又は第二プールを異常細胞に適用する工程と、異常細胞の表面上の標的分子に結合していないファージを洗浄除去して、少なくとも1つの所望のペプチドのほかに結合抗−標的ペプチドで覆われている細胞上面を残す工程と、抗−標的ペプチドに耐えたファージから、少なくとも1つの所望のペプチドに耐えたファージを、区別及び/又は分離する工程を含む。幾つかの好ましい態様において、前記ファージの第一コレクション及び第二コレクションは異なるゲノムを含む。幾つかの好ましい態様において、第二細胞集団の細胞の表面に発現する標的に結合するファージの第二コレクションからペプチドを同定する方法は、ファージの第二コレクションの核酸配列に特異なオリゴヌクレオチドを用いたPCR増幅を含む。追加的な好ましい態様において、抗生物質耐性マーカーが用いられ、及びファージの第一コレクションの前記抗生物質耐性パターンは、ファージの第二コレクションの抗生物質耐性パターンと異なる。
【0143】
幾つかの好ましい態様において、前記方法はさらにインキュベート混合物の中で第一標的集団を作用物質の第一コレクションとインキュベートする工程と、インキュベート混合物を洗浄してインキュベート混合物から見未結合作用物質を除去する工程を繰り返すことを含む。
【0144】
幾つかの好ましい態様において、増幅された抗−標的ファージのコレクションはファージの第二コレクションの濃度よりも少なくとも1000倍より高い。
【0145】
更なる好ましい態様において、前記方法はさらに増幅されたコレクションを第二標的集団及び作用物質の第一コレクションとインキュベートする前に、抗−標的作用物質を含むファージを失活させる工程を含む。幾つかの好ましい態様において、前記失活工程はファージを育成不可能な温度に曝すことを含む。
【0146】
幾つかの好ましい態様において、抗−標的ペプチドに耐えた前記ファージは約100倍、約500倍、約1000倍、約10,000倍又は約1,000,000倍にまで増幅されており、その後、上で述べた方法において異常細胞に適用される。従って、抗−標的ペプチドの増幅されたコレクションは野生型及び異常細胞の両方に共通する細胞表面タンパク質に結合する。ファージ提示されたペプチドのオリジナルの又は異なるプールを適用することにより、異常細胞の表面にのみ発現するタンパク質が残り、それゆえ、このプールに含まれる新規なペプチドに対する標的となる。
【0147】
上で説明したように、ファージの区別及び/又は分離は当該分野で知られている好適な方法を用いて行うことができる。例えば、幾つかの態様において、溶出されたファージ上に存在するペプチドの増幅されたコレクションは80℃5分間のインキュベートにより失活する。従って、ファージ提示された第一プールのファージのみが生存し、かつ培地上で育成することができる(Barbas et al参照のこと)。
【0148】
代替的な態様において、2つの異なる系統又は異なるファージの培養物が用いられる。例えば、異なる核酸配列及び/又は抗生物質耐性を有する系統が本発明に用いられる。従って、抗生物質耐性のケースにおいて、作用物質の増幅されたコレクションは選択された抗生物質の存在下において育成できないが、このバインダーに耐えたファージは育成する。幾つかの態様において、1つの系統のファージ中の配列にのみハイブリダイズするように設計されたPCRプライマーはいずれかのファージが存在するかを同定するために用いられる。
【0149】
幾つかの特に好ましい態様において、本方法は、増幅され、且つ精製された抗−標的ペプチドをファージに連結且つ結合していない第二標的集団に適用する工程を含む。この場合、溶出された前記ファージは収集され、及びバクテリア細胞の形質転換に用いられ、ファージに関係するペプチド又はタンパク質が生成される(Barbas et al.参照のこと)。したがって、発現されたペプチド又はタンパク質はバクテリアの培養培地から精製され、新規な作用物質の可能性のあるファージと同様に、抗−標的作用物質の増幅されたコレクションとして用いられる。このように、根本的に非特異的、抗−標的分子は発現された及び精製されたペプチドに結合され、標的分子はファージに結合する。従って、標的分子に結合する生育可能なファージのみが培地の中で育成することができる。
【0150】
実施例
以下の実施例は本発明の特定の好ましい態様及び側面を図示するものであり、本発明を限定するものではない。
【0151】
以下に開示する実施例において、以下の略字が用いられる:
PI(プロテアイナーゼインヒビター)、sd及びSD(標準偏差)、M(モルの)、mM(ミリモルの)、μM(マイクロモルの)、nM(ナノモルの)、mol(モル)、mmol(ミリモル)、μmol(マイクロモル)、nmol(ナノモル)、gm(グラム)、mg(ミリグラム)、μg(マイクログラム)、pg(ピコグラム)、L(リットル)、ml及び mL(ミリリットル)、μl及びμL(マイクロリットル)、cm(センチメートル)、mm(ミリメートル)、μm(マイクロメートル)、nm(ナノメートル)、LF(致死因子)、℃(摂氏)、cDNA(転写又は相補DNA)、DNA(デオキシリボ核酸)、ssDNA(一本鎖DNA)、dsDNA(二本鎖DNA)、dNTP(デオキシリボヌクレオチド三リン酸)、RNA(リボ核酸)、PBS(リン酸緩衝生理食塩水、g(比重)OD(光学密度)、CPM(1分間当たりのカウント)、rpm(1分間あたりの回転数)、ダルベッコリン酸緩衝溶液(DPBS)、HEPES(N-[2-ヒドロキシエチル]ピペラジン-N-[2-エタンスルホン酸])、HBS(HEPES緩衝生理食塩水)、SDS(ドデシル硫酸ナトリウム)、Tris−HCl(トリス [ヒドロキシメチル]アミノメタン-クロライド)、2−ME(2-メルカプトエタノール)、EGTA(エチレングリコール-ビス(β-アミノメチル エーテル)N,N,N',N'−四酢酸)、EDTA(エチレンジアミン四酢酸)、Abbott(アボットラボラトリーズ、アボットパーク、イリノイ州)、Bio−Synthesis(バイオ-シンセシス、ルイスビル、テキサス)、ATCC(アメリカンタイプカルチャーコレクション、ロックイビル、メリーランド)、Gibco/BRL(ギブコ/BRL、グランドアイランド、ニューヨーク)、Sigma(シグマケミカル社、セントルイス、ミズリー)、Pharmacia(ファルマシア、ピスカタウェイ、ニュージャージー)、Pierce(ピアスバイオテクノロジー、ロックフォード、イリノイ)、Roche(ロシュダイアグノースティックコーポレーション、インディアナポリス、インディアナ)、SynPep(シンペップ、ダブリン、カリフォルニア)、Bachem(ベイケムバイオサイエンス社、キングオブプルシア、ペンシルバニア)、及びStratagene(ストラタジェンクローニングシステムズ、ラホーヤ、カリフォルニア)。
【実施例1】
【0152】
ライブラリー及びバインダー間の競合
以下の実施例において、各種計算が提供される。本発明を任意の計算式に限定することは意図しない。以下の記号がここで用いられる;
メンバーnのライブラリーLについて、letT0=標的の総量、T=未結合標的、Pi=未結合ライブラリーメンバーI、Pi0=ライブラリーメンバーIの総量、KiD=PiとTの解離定数,TPi=PiとTとの複合体、Kion=第二オーダー関連速度定数、Kioff=第一オーダー関連速度定数、図1乃至8は上に例示された、関係を示すグラフである。
【0153】
本実施例において以下のことが仮定される。1)安定状態の結合が達成される。2)各標的は1つのメンバーにもの結合することができる。及び3)各メンバーは同じ第二オーダー関係速度定数を有し、その後以下の式はライブラリーメンバー間の競合を示す。
【0154】
−on速度は以下のように計算する:
d(TPi)/dt=Kion(T)(Pi)
−off速度は以下のように計算する:
−d(TPi)/dt=Kioff(TPi)
−安定状態において、以下の式が適用される:
d(TPi)/dt=−dt(TPi)/dt
Kion(T)(Pi)=Kioff(TPi)
Kioff/Kion=(T)(Pi)/(TPi)=KiD
−標的に結合するメンバーnを有するライブラリーにおいて、遊離標的の濃度は、:
T=T0−TP1−TP2−TP3...−TPn
−各メンバーPiについて:
KiD=(T)(Ri)/(TPi)
T=(TPi/Pi)KiD
−ライブラリーLにおいて、標的(P1)に結合する1つの結合メンバーがある。Tの関数として現される遊離P1に対する結合P1の割合は、:
T=(TP1/P1)K1D
−Tは遊離標的の濃度であるので、ライブラリーの他のいずれかのメンバーP1は、:
T=(TPi/Pi)KiD
−ライブラリーの各メンバーPiについて、最もタイトなバインダーの比率(TP1/P1)に対する遊離比率(TPi/Pi)を超える結合は、:
(TPi/Pi)KiD=(TP1/P1)K1D
(TPi/Pi)=(TP1/P1)K1D/KiD
−ライブラリーのメンバーiについて、P1の遊離比率に対する遊離比率(TPi/Pi)の結合は直接的に2つの解離定数の直接比である:
Let X=(TP1/P1);r1i=K1D/KiD
TP1/P10=(TP1/P1)/(1+(TP1/P1)=x/(1+x)
TPi/P0i=(TPi/Pi)/(1+(TPi/Pi)
Eqn1:TPi/Pi0=r1i*x/(1+r1i*x)
−結合メンバー1(TP1)に対する結合メンバーi(TPi)の割合は、
TPi/TP1=(1+x)*r1i*x*Pi0/x*(1+r1i*x)*P10
=(1+x)*r1i*Pi0/(1+r1i*x)*P10
=(1+x)*Pi0/((1/r1i)+x)*P10
Epn2:TPi/TP1=(1+x)*Pi0/((1/r1i)+x)*P10
T=(TP1/P1)K1D=(x)K1D
T0が0に近づくと;Tが0に近づき、xは0に近づく
T0が∞に近づくと;Tが∞に近づき、xは∞に近づく
TPi/TP1=(1+x)*Pi0/((1/r1i)*P10
T0が0に近づくと、TPi/TP1は(1)*Pi0/((1/r1i))*P10に近づき、
(r1i)*Pi0/P10に近づく
T0が∞に近づくと;TPi/TP1は(X)*Pi0/(x)P10に近づき、
Pi0/P10に近づく。
【0155】
従って、標的が限定されている場合、最もタイトなバインダーに関係する各バインダーの量は、解離定数の比に比例する。標的の濃度が高い場合、各メンバーの結合は同程度である。この関係を図4に示す。ライブラリー中の最もタイトなバインダーのみを観察する場合、標的濃度は限定されるべきである。ライブラリー中のすべてのバインダーを観察する場合、標的は過剰に存在すればよい。この関係を図5に示す。観察されるタイトバインダーの割合を増やすためには幾つかの選択肢がある、1)ライブラリー濃度の増加、2)ライブラリーの多様性を減らす(メンバーの濃度を増やす)、3)標的濃度を減らす、又は4)他のバインダーから区別することができる(検出システムでは確認されることができない)1つの弱いバインダーを過剰に添加する。この関係を図6に示す。
【実施例2】
【0156】
単離しているバインダーのための計算
この実施例では、標的に対する結合のための結合エネルギー及び標準偏差を説明する。検出は、平衡透析、蛍光活性化細胞ソーティング、ライブラリーから10のランダムに選択されたメンバーのための結合エネルギーの直接測定、を含むがこれらに限定されない、当分野で既知の方法を用いて行われる。低分子標的及びタンパク質又はペプチドリガンドを含む幾つかの態様において、当分野で知られているデータ(Lancet et al., Proc. Natl. Acad. Sci., 90:3715−3719 [1993])は、平均値及び標準偏差の初期の評価に用いることができる。この文献において、バニリンに結合している抗体のライブラリーに対して1.8kacl/モルの標準偏差と−1.5kcal/モルの平均結合エネルギーが提供されている。タンパク質標的に対するタンパク質ライブラリーの結合のための代替的なデータ(Laskowski et al., Proc. Natl. Acad. Sci., 98:1410−1415 [2001])を用いることができる。この文献において、1.8kcal/モルの標準偏差を有する−5.5kcal/モルの結合エネルギーの平均値が結合エネルギーの平均値は、ストレプトマイセス グリセスプロテアーゼAに対するオボムコイドプロテアーゼインヒビターのライブラリーの結合のために提供された。両文献は、これらのデータは2項(正規)分布になることを示している。
【0157】
幾つかの態様において、各種計算が行われる。例えば、7つのアミノ酸が変異されているライブラリー(207の多様性)のための計算がここで提供される。第一に、平均値からの標準偏差の範囲内のライブラリーメンバーの予想される数が同定され、2項(正規)分布により決定される各グループにおけるメンバーの総量を用いて、結合エネルギーの平均値が各メンバーに割り当てられる。平均値よりも弱いか又は等しい結合エネルギーを有するすべてのライブラリーメンバーが1つのグループとされる。このライブラリーの総濃度が決定される。標的に結合するライブラリーの平均結合エネルギー(見積もり値又は決定値のいずれか)も決定される。添加された競合体に対する濃度及び解離定数が決定される。ライブラリーに対する結合エネルギーの標準偏差及び/又は平均結合エネルギーの平方根が(予測値のために)用いられ、その後決定される。1/ライブラリーサイズの計算により単一メンバーにより表される平均値から離れた標準偏差の数が決定される。標準偏差の各ペアの間にあるライブラリーのパーセンテージはGaussian分布から決定される。平均結合エネルギーよりよい結合エネルギーを有するライブラリーメンバーは、1標準偏差ごとに異なる結合エネルギーのグループに置かれる(例えば、P1は平均値から6標準偏差であり、P2は5−6標準偏差、P3は4乃至5標準偏差、等)。各種の濃度は、総濃度にライブラリーの%をかけることにより決定される。各標準偏差におけるデルタG値は標平均値からの標準偏差の数を標準偏差にかけて、この値にデルタG値を足して決定される。各種に対するデルタG値は、デルタG値から計算される。総偏差を含むために、平均値からの0<の標準偏差に対して計算された平均値は平均値−1標準偏差における2/3違いである。各種に対する結合エネルギーの平均値はKD=eΔG/RTである。
【0158】
上の式1はその後、TP1/P1の各値におけるTPi/Pi0を計算するために用いられる:
TPi/Pi0=r1i*x/(1+r1i*x)
式中、x=(TP1/P1);r1i=K1D/KiD
TP1/P1の値は1×10−4乃至1×107の間で変化する。上の式には、TP1の各値に対するTP1に比例する各グループ(i)における結合メンバーの濃度を計算するためにその後用いられる:
TPi/TP1=(1+x)*Pi0/((1/r1i)+x)*P10 。
【0159】
各TP1/P1におけるTPi/TP1のための値が計算される。TPiはRow26におけるTP1/P01の計算された比をTP1で掛けることにより計算される。各結合種(i)の総濃度はTPi/TP1をTP1に掛けて計算される。遊離(未結合)標的濃度は、T=(TP1/P1)K1Dの式を利用して、TP1/P1をK1Dで掛けて計算される。この式を満足する総標的濃度は遊離標的に対する総結合標的加えることにより計算される。ここの結合種の濃度は、KiD(Pi0/P10)におけるバインダーの数を結合種の総濃度を掛けることにより計算される。競合濃度及び解離定数が含まれる場合にも同様の計算が行われる。
【0160】
これらの結果は、標的濃度(T0)の濃度としてプロットされる。これらのプロットは、ライブラリーのタイト(幾つかの標準偏差による平均よりも高い結合エネルギー)バインダーメンバーの同定支持するための、所望の標的濃度、ライブラリー濃度、ライブラリー多様性、及び競合体濃度の決定に用いられる。
【実施例3】
【0161】
タンパク質ライブラリーからのhSCキモトリプシンインヒビターに対するマススペクトロメトリックスクリーニング
この実施例では、マススペクトロメトリックスクリーニンの実験を説明する。図10乃至13はこれらの実験から得られたデータ及び計算を示す。ヒト角質層キモトリプシン(hCC)はBBI−loop−BLAから作られたライブラリーからスクリーニングされた(U.S.Pat.Appln.Ser. Nos.10/984,270及び10/984,410;及びPCT公報Nos.US04/36976,US04/36979及び US04/36980参照のこと、これらの文献を参照により本明細書に援用する)。これらのタンパク質ライブラリーは、タンパク質のN−末端において無作為抽出された(システイン拘束)3の不連続位置におけるタンパク質骨格からなる。HSCC(スクリーニング標的)(Swissprot、登録番号P49862)はビオチン標識し、ストレプトアビジンビーズ上に固定化(MagnaBind Beads;Pierce)された。
【0162】
HSCCは1nM、10nM、100nMの濃度で添加される競合体(Ecotin;Sigma)の存在下で、ライブラリーメンバーあたり10nMで、タンパク質ライブラリーをインキュベートされる。インキュベーション(4時間)に続いて、このビーズをインキュベート緩衝液で洗浄して非特異バインダーを除去し、特異バインダーを溶出溶液で世溶出した。
【0163】
回収されたバインダーは濃縮(バキューム濃縮)され、消化緩衝液中で、還元され、アルキル化され、及びタンパク質分解酵素(Lys−Roche)で消化された。得られたタンパク質消化物はキャピラリーLC−ESI−MS/MSで解析された。
【0164】
図11は結果を示す。この図に示すように、PJ02バインダーはすべての条件下において見られたが、pj01バインダーは100nMの競合体の存在下でのみ観察された(図12参照)。図12において(図12A及び12B)、これらのバインダーに対するタンデムマススペクトラを示す。
【0165】
これらのマススペクトラを基にして、各バインダーのフルスペクトルが決定された。このスクリーニング試験由来のバインダー(Synpepにより調製された合成ペプチド)はhSCCに対する抑制活性について試験された。図13は、配列決定された2つのバインダーと既知のインヒビターを用いたhSCCの滴定を提供する。各バインダーの濃度は0.1乃至10μMで変化したが、hSCCは0.1μM濃度に維持されていた。この抑制試験のための色を生じる基質はペプチドsuc−AAPF−pNA(Bachem Biociences)。これらのデータはpj02バインダーはhSCCのインヒビターであることを示す(500nMの近似Ki)。
【0166】
全ての特許及び文献が明確かつ別個に示している内容を参照により本発明の明細書に援用する。本明細書に開示されている好ましい態様を用いて、当業者が開示されている態様の変法をなすことができることは明らかであり、そのような変更は発明の範囲内である。特定の態様に関連して本願発明を説明するが、本発明はこれらの態様に限定されないことを意図する。すなわち、分子生物学、分析法の開発、免疫学、製剤設計、及び/又は関連する分野における当業者にあきらかな、本発明を実施するために説明されている方法の変法は本願発明の範囲内である。
【0167】
当業者は本発明は、本明細書に記載してあるもののほかに、本発明は、主題を実行し、最終結果及び利益をえるためんによく適合されていることを理解している。本明細書に記載の分子複合体、方法、手順、処置、分子、特定の化合物は好ましい態様の例示であり、本発明の範囲をこれらに限定することは意図しない。すなわち、当業者が本明細書に開示されている発明の各種置換、及び変更を本発明の範囲及び精神から逸脱することなくなしうることは明らかである。本明細書で例示する発明は、本明細書で特に開示されていない、構成要素、限定を伴わずに実行することができる。採用された文言及び表現は説明のために用い、限定のために用いるものではない。しかしながら、それらが示す、あるいは、それらの一部の特徴を有するあらゆる等価物を含む文言及び表現の使用を意図するものではない。したがって、本発明は好ましい態様を追加的な特徴により構成されるものであり、そのような変更及び変法は明示の請求項により定義される発明の範囲内である。
【0168】
この発明は、本明細書に幅広く一般的に記載されている。開示されている属のより狭義の又は亜種グループも本発明の一部を構成する。これは、削除された物質がとくに本発明に引用されたかどうかは別として、この属から除去する旨の規定又は負の限定を伴う本発明の包括的な記載を含む。
【図面の簡単な説明】
【0169】
【図1】図1は、ライブラリーメンバーP1及びP2の間の競合を示す。
【図2】図2は、ライブラリーの各結合メンバー(TPi)の濃度を示す。
【図3】図3は、ライブラリーの各結合メンバー(TPi)の濃度を示す。
【図4】図4は、結合ファージ対標的濃度を示すグラフである。
【図5】図5は、結合ファージ対標的濃度を示すグラフである。
【図6A】図6Aは、保持に対する溶出を示す競合結合のグラフを提供する。
【図6B】図6Bは標的に結合するバインダーを示す。
【図6C】図6Cは、標的に結合するいくつかのバインダーを示す。
【図7A】図7Aは溶液中に懸濁されたバインダーを示す。
【図7B】図7Bは標的に結合しているバインダーを示す。
【図7C】図7Cは幾つかのバインダーを示す。
【図8A】図8Aは溶液中に懸濁されたバインダーを示す。
【図8B】図8Bは高濃度で、遅いoff rateで標的に結合しているバインダーを含む競合的結合を示す。
【図9】図9は、操作又は操作された濃度の提供に対する計算の結果を提供する。
【図10A】図10A全て置換された7つのアミノ酸位置を有するポリペプチドライブラリーに対する計算値の例及びこれらの計算から得られたチャートを示す。
【図10B】図10Bは前記計算に基づいた標準偏差を現す曲線である。
【図10C】図10Cは前記計算による、競合していない、結合ライブラリーメンバー対標的のチャートグラフを提供する。
【図10D】図10Dは前記計算による、競合している、結合ライブラリーメンバー対標的のチャートグラフを提供する。
【図10E】図10Eは図10C及び図10Dのプロットを結合したものである。
【図11】図11は実施例3で述べる、タンパク質ライブラリーからのhSCキモトリプシンインヒビターのマススペクトロメトリックスクリーニングを提供する。
【図12A】図12Aは実施例3で述べる、タンパク質ライブラリーからのhSCキモトリプシンインヒビターのMS/MSシークエンシングを提供する。
【図12B】図12Bは実施例3で述べる、タンパク質ライブラリーからのhSCキモトリプシンインヒビターのMS/MSシークエンシングを提供する。
【図13】図13は実施例3で述べるように、hSCキモトリプシンインヒビターに対するマススペクトロメトリックスクリーニングからのインヒビターからバインダーを区別する、二次機能スクリーニングを提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの所望のバインダーを単離する方法であって、
(i)第一標的を作用物質の第一コレクションに、前記第一コレクションの中の少なくとも前記作用物質の一部を前記第一標的に結合するような条件下で接触させて、第一結合標的を提供する工程と、
(ii)前記第一結合標的を洗浄する工程と、
(iii)前期第一結合標的の中の前記標的に結合している前記作用物質を溶出して、抗−標的ペプチドのコレクションンを生成する工程と、
(iV)前記抗標的ペプチドの集団を増幅して、増幅された抗標的ペプチドの集団を生成する工程と、
(v)増幅された抗−標的ペプチドのコレクションを第一標的及び/又は第二標的に対する作用物質の第一コレクション及び/又は作用物質の第二コレクションに曝して、更なる第一結合標的及び第二結合標的を生成する工程と、
(vi)前記更なる第一結合標的及び/又は第二結合標的を洗浄する工程と、
(vii)前記少なくとも1つの所望のバインダーの1つを区別し、分離し、同定する工程とを含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記作用物質がペプチドであることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記物質が核酸であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記核酸がDNA又はRNAを含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記標的が、癌細胞、癌細胞株、細胞培養、腫瘍抽出物、癌組織、癌臓器、癌細胞に関係する分子、癌細胞株に関係する分子、癌細胞培地に関係する分子、腫瘍抽出物に関係する分子、癌組織に関係する分子、及び癌臓器に関係する分子からなる群より選択されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記標的が抗原であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記抗原が癌性抗原、muc−1、Tag72、CEA、CD22、ED−B及びFAPから成る群より選択されることを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記第一標的集団及び第二標的集団が異なることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記第一標的集団及び第二標的集団が細胞であることを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記第一標的集団が正常細胞を含み、前記第二標的集団が異常細胞を含むことを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記第二標的集団が腫瘍細胞を含むことを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記工程(i)及び(ii)を繰り返すことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項13】
増幅された前記抗−標的作用物質のコレクションの濃度が作用物質の第一コレクションの濃度よりも少なくとも1000倍高いことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記抗−標的作用物質のコレクションの各メンバーが、増幅前より、約100倍、約500倍、約1000倍、約5000倍、約10,000倍、約100,000倍、約1,000,000倍から成る群から選択されるレベルまで高められることを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記方法が更にファージ提示法を用いることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記作用物質がファージ又はファージ感染細胞の表面に存在するペプチド、であり、前記抗―標的作用物質がファージ又はファージ感染細胞の表面に存在する別のペプチドであることを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記増幅されたコレクションを前記第二標的集団及び前記作用物質の第一集団とインキュベートする前に、抗―標的作用物質を含む前記ファージを失活させる工程を更に含むことを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記失活させる工程が前記ファージを生育不可能な温度に曝すことを特徴とする請求項17に記載の方法。
【請求項19】
少なくとも1つの所望のペプチドを単離する方法であって、
(i)少なくとも1つの野生型細胞のコレクションを、前記野生型細胞の少なくとも一部が前記ファージ提示されたペプチドの第一プールのなかで幾つかのメンバーと結合するような条件下において、ファージに提示された細胞の第一プールとインキュベートして結合細胞及び未結合ファージを生成する工程と、
(ii)前記結合細胞及び未結合ファージを前記未結合ファージが除去するような条件下で、洗浄する工程と、
(iii)前記結合細胞に結合しているファージを溶出して抗―標的ペプチドのコレクションを生成する工程と、
(iv)抗−標的ペプチドの前記コレクションを増幅する工程と、
(v)前記異常細胞の少なくとも一部が前記抗−標的ペプチド又はファージ提示されたペプチドの第一及び/又は第二プールに結合するような条件下で、抗標的ペプチドのコレクション及び、工程(i)のファージ提示されたペプチドの第一及び/第二プールを異常細胞に適用して、抗−標的ペプチドと少なくとも1つの所望のペプチドとの結合を有する結合異常細胞を生成する工程と、
(vi)前記結合した異常細胞を洗浄し、前記異常細胞の表面に結合していないファージを除去して、結合抗―標的ペプチド及び少なくとも1つの所望のペプチドで覆われた細胞表面を残す工程と、
(vii)前記抗−標的ペプチドを有する(bearing)前記異常細胞から、前記所望のペプチドを有する(bearing)ファージを区別し及び/又は分離する工程と、
(viii)前記少なくとも1つの所望のペプチドを同定する工程とを含むことを特徴とする方法。
【請求項20】
前記ファージの第一及び第二コレクションが異なるゲノムを含むことを特徴とする請求項19に記載の方法。
【請求項21】
請求項19に記載の方法、工程(vii)におけるペプチドの同定が前記ファージの第二コレクションの核酸配列の少なくとも1部に特異的であるオリゴヌクレオチドを用いた増幅により行われることを特徴とする請求項19に記載の方法。
【請求項22】
抗菌耐性パターンを用いて、ファージの第一及び第二コレクションの間の区別を行う工程を更に含むことを特徴とする請求項19に記載の方法。
【請求項23】
工程(i)及び(ii)を繰り返す工程を更に含むことを特徴とする請求項19に記載の方法。
【請求項24】
抗−標的ファージの増幅されたコレクションの濃度がファージの第二コレクションの濃度よりも少なくとも約1000倍高いことを特徴とする請求項19に記載の方法。
【請求項25】
前記増幅されたコレクションを第二標的集団及び作用物質の第一コレクションとともにインキュベーションをする前に、抗−標的作用物質を含むファージを失活させる工程を更に含むことを特徴とする請求項19に記載の方法。
【請求項26】
前記失活させる工程が前記ファージを生育不可能な温度に曝すことを特徴とする請求項25に記載の方法。
【請求項27】
少なくとも1つの所望のバインダーを単離する方法であって、
(i)標的集団を作用物質のコレクションと接触させて、少なくとも1つのバインダーを有する結合標的集団を生成する工程であって、前記標的集団の少なくとも一部が前記作用物質の少なくとも一部に結合するような条件下で、前記作用物質のコレクションが規定の濃度を有することを特徴とする工程と、
(ii)前記結合標的集団を洗浄し、前記標的集団に結合していない作用物質を除去する工程と、
(iii)前記少なくとも1つのバインダーを区別し、分離し、及び同定する工程とを含むことを特徴とする方法。
【請求項28】
前記作用物質のコレクションが少なくとも1つのペプチドを含むことを特徴とする請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記作用物質のコレクションが少なくとも1つの核酸を含むことを特徴とする請求項27に記載の方法。
【請求項30】
前核酸がDNA又はRNAであることを特徴とする請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記規定の濃度が前記標的集団の濃度の1×10−3乃至約1×103倍の間であることを特徴とする請求項27に記載の方法。
【請求項32】
前記規定の濃度が、個々の作用物質の濃度が前記作用物質の好適な解離定数の約1×10−4乃至約1×102倍の間まで高まるように作用物質の多様性を減少させることを含むことを特徴とする請求項27に記載の方法。
【請求項33】
規定の濃度が所望の標的に対して予め決められた解離定数を有するバインダーを含む少なくとも1つの競合的バインダーを含むことを特徴とする請求項27に記載の方法。
【請求項34】
前記標的が、癌細胞、癌細胞株、細胞培養、腫瘍抽出物、癌組織、癌臓器、癌細胞に関係する分子、癌細胞株に関係する分子、癌細胞培地に関係する分子、腫瘍抽出物に関係する分子、癌組織に関係する分子、及び癌臓器に関係する分子からなる群より選択されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項35】
前記標的が抗原であることを特徴とする請求項27に記載の方法。
【請求項36】
が前記抗原が癌性抗原、muc−1、Tag72、CEA、CD22、ED−B及びFAPから成る群より選択されることを特徴とする請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記標的集団が低い濃度を有し、前記低い濃度が約1マイクロモル乃至約1ピコモルの間であることを特徴とする請求項27に記載の方法。
【請求項38】
前記方法が更にファージ提示法を用いることを特徴とする請求項27に記載の方法。
【請求項39】
前記作用物質がファージの表面又はファージ感染細胞に存在するペプチドであり、前記抗標的作用物質がファージ表面に又はファージ感染細胞存在する別のペプチドであることを特徴とする請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記増幅されたコレクションを前記第二標的集団及び前記作用物質の第一コレクションとインキュベートする前に、抗−標的作用物質を含むファージを失活させる工程を更に含むことを特徴とする請求項38に記載の方法。
【請求項41】
前記失活させる工程が前記ファージを生育不可能な温度に曝すことを特徴とする請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記ペプチドが少なくとも1つの抗体を含むことを特徴とする請求項38に記載の方法。
【請求項43】
前記ファージのコレクション中の少なくとも1つの核酸配列に特異的なオリゴヌクレオチドを用いたPCR増幅を更に含むことを特徴とする請求項38に記載の方法。
【請求項44】
少なくとも1つの所望のバインダーを単離する方法であって、
(i)標的集団を作用物質のコレクションと接触させて、少なくとも1つの所望のバインダーと未結合作用物質を有する結合標的を生成する工程であって、前記標的集団の少なくとも一部が前記作用物質のコレクションのメンバーの少なくとも一部に結合するような条件下で、前記標的集団が低い濃度を有することを特徴とする工程と、
(ii)前記結合標的を洗浄し、未結合作用物質を除去し、前記少なくとも1つのバインダーを区別し、分離し、及び同定する工程とを含むことを特徴とする方法。
【請求項45】
前記作用物質のコレクションが少なくとも1つのペプチドを含むことを特徴とする請求項44に記載の方法。
【請求項46】
前記作用物質のコレクションが少なくとも1つの核酸を含むことを特徴とする請求項44に記載の方法。
【請求項47】
前記核酸がDNA又はRNAであることを特徴とする請求項46に記載の方法。
【請求項48】
前記作用物質のコレクションが規定の濃度であることを特徴とする請求項44に記載の方法。
【請求項49】
前記作用物質のコレクションの規定の濃度が標的集団の濃度の約1×10−3倍乃至1×103倍であることを特徴とする請求項48に記載の方法。
【請求項50】
前記規定の濃度が、個々の作用物質の濃度が、前記作用物質の所望の解離定数の約1×10−4倍乃至約1×102倍の間にまで高められるように、前記作用物質の多様性を減少させることを含むことを特徴とする請求項48に記載の方法。
【請求項51】
前記規定の濃度が、所望の標的に対する規定の解離定数を有するバインダーを含む少なくとも1つの競合的バインダーを含むことを特徴とする請求項48に記載の方法。
【請求項52】
前記標的が、癌細胞、癌細胞株、細胞培養、腫瘍抽出物、癌組織、癌臓器、癌細胞に関係する分子、癌細胞株に関係する分子、癌細胞培地に関係する分子、腫瘍抽出物に関係する分子、癌組織に関係する分子、及び癌臓器に関係する分子からなる群より選択されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項53】
前記標的が抗原であることを特徴とする請求項44に記載の方法。
【請求項54】
前記抗原が癌性抗原、muc−1、Tag72、CEA、CD22、ED−B及びFAPから成る群より選択されることを特徴とする請求項53に記載の方法。
【請求項55】
前記標的集団が低い濃度を有し、前記低い濃度が約1マイクロモル乃至約1ピコモルの間であることを特徴とする請求項44に記載の方法。
【請求項56】
前記方法が更にファージ提示法を含むことを特徴とする請求項44に記載の方法。
【請求項57】
前記作用物質がファージ表面又はファージ感染細胞に存在するペプチドであり、前記抗−標的作用物質がファージ表面又はファージ感染細胞に存在する別のペプチドであることを特徴とする請求項56に記載の方法。
【請求項58】
前記増幅されたコレクションを前記第二標的集団及び前記作用物質の第一コレクションとインキュベートする前に、抗−標的作用物質を含むファージを失活させる工程を更に含むことを特徴とする請求項56に記載の方法。
【請求項59】
前記失活させる工程が前記ファージを生育不可能な温度に曝すことを特徴とする請求項58に記載の方法。
【請求項60】
前記ペプチドが少なくとも1つの抗体を含むことを特徴とする請求項44に記載の方法。
【請求項61】
前記ファージのコレクション中の少なくとも1つの核酸配列に特異的なオリゴヌクレオチドを用いたPCR増幅を更に含むことを特徴とする請求項44に記載の方法。
【請求項1】
少なくとも1つの所望のバインダーを単離する方法であって、
(i)第一標的を作用物質の第一コレクションに、前記第一コレクションの中の少なくとも前記作用物質の一部を前記第一標的に結合するような条件下で接触させて、第一結合標的を提供する工程と、
(ii)前記第一結合標的を洗浄する工程と、
(iii)前期第一結合標的の中の前記標的に結合している前記作用物質を溶出して、抗−標的ペプチドのコレクションンを生成する工程と、
(iV)前記抗標的ペプチドの集団を増幅して、増幅された抗標的ペプチドの集団を生成する工程と、
(v)増幅された抗−標的ペプチドのコレクションを第一標的及び/又は第二標的に対する作用物質の第一コレクション及び/又は作用物質の第二コレクションに曝して、更なる第一結合標的及び第二結合標的を生成する工程と、
(vi)前記更なる第一結合標的及び/又は第二結合標的を洗浄する工程と、
(vii)前記少なくとも1つの所望のバインダーの1つを区別し、分離し、同定する工程とを含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記作用物質がペプチドであることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記物質が核酸であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記核酸がDNA又はRNAを含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記標的が、癌細胞、癌細胞株、細胞培養、腫瘍抽出物、癌組織、癌臓器、癌細胞に関係する分子、癌細胞株に関係する分子、癌細胞培地に関係する分子、腫瘍抽出物に関係する分子、癌組織に関係する分子、及び癌臓器に関係する分子からなる群より選択されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記標的が抗原であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記抗原が癌性抗原、muc−1、Tag72、CEA、CD22、ED−B及びFAPから成る群より選択されることを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記第一標的集団及び第二標的集団が異なることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記第一標的集団及び第二標的集団が細胞であることを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記第一標的集団が正常細胞を含み、前記第二標的集団が異常細胞を含むことを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記第二標的集団が腫瘍細胞を含むことを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記工程(i)及び(ii)を繰り返すことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項13】
増幅された前記抗−標的作用物質のコレクションの濃度が作用物質の第一コレクションの濃度よりも少なくとも1000倍高いことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記抗−標的作用物質のコレクションの各メンバーが、増幅前より、約100倍、約500倍、約1000倍、約5000倍、約10,000倍、約100,000倍、約1,000,000倍から成る群から選択されるレベルまで高められることを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記方法が更にファージ提示法を用いることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記作用物質がファージ又はファージ感染細胞の表面に存在するペプチド、であり、前記抗―標的作用物質がファージ又はファージ感染細胞の表面に存在する別のペプチドであることを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記増幅されたコレクションを前記第二標的集団及び前記作用物質の第一集団とインキュベートする前に、抗―標的作用物質を含む前記ファージを失活させる工程を更に含むことを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記失活させる工程が前記ファージを生育不可能な温度に曝すことを特徴とする請求項17に記載の方法。
【請求項19】
少なくとも1つの所望のペプチドを単離する方法であって、
(i)少なくとも1つの野生型細胞のコレクションを、前記野生型細胞の少なくとも一部が前記ファージ提示されたペプチドの第一プールのなかで幾つかのメンバーと結合するような条件下において、ファージに提示された細胞の第一プールとインキュベートして結合細胞及び未結合ファージを生成する工程と、
(ii)前記結合細胞及び未結合ファージを前記未結合ファージが除去するような条件下で、洗浄する工程と、
(iii)前記結合細胞に結合しているファージを溶出して抗―標的ペプチドのコレクションを生成する工程と、
(iv)抗−標的ペプチドの前記コレクションを増幅する工程と、
(v)前記異常細胞の少なくとも一部が前記抗−標的ペプチド又はファージ提示されたペプチドの第一及び/又は第二プールに結合するような条件下で、抗標的ペプチドのコレクション及び、工程(i)のファージ提示されたペプチドの第一及び/第二プールを異常細胞に適用して、抗−標的ペプチドと少なくとも1つの所望のペプチドとの結合を有する結合異常細胞を生成する工程と、
(vi)前記結合した異常細胞を洗浄し、前記異常細胞の表面に結合していないファージを除去して、結合抗―標的ペプチド及び少なくとも1つの所望のペプチドで覆われた細胞表面を残す工程と、
(vii)前記抗−標的ペプチドを有する(bearing)前記異常細胞から、前記所望のペプチドを有する(bearing)ファージを区別し及び/又は分離する工程と、
(viii)前記少なくとも1つの所望のペプチドを同定する工程とを含むことを特徴とする方法。
【請求項20】
前記ファージの第一及び第二コレクションが異なるゲノムを含むことを特徴とする請求項19に記載の方法。
【請求項21】
請求項19に記載の方法、工程(vii)におけるペプチドの同定が前記ファージの第二コレクションの核酸配列の少なくとも1部に特異的であるオリゴヌクレオチドを用いた増幅により行われることを特徴とする請求項19に記載の方法。
【請求項22】
抗菌耐性パターンを用いて、ファージの第一及び第二コレクションの間の区別を行う工程を更に含むことを特徴とする請求項19に記載の方法。
【請求項23】
工程(i)及び(ii)を繰り返す工程を更に含むことを特徴とする請求項19に記載の方法。
【請求項24】
抗−標的ファージの増幅されたコレクションの濃度がファージの第二コレクションの濃度よりも少なくとも約1000倍高いことを特徴とする請求項19に記載の方法。
【請求項25】
前記増幅されたコレクションを第二標的集団及び作用物質の第一コレクションとともにインキュベーションをする前に、抗−標的作用物質を含むファージを失活させる工程を更に含むことを特徴とする請求項19に記載の方法。
【請求項26】
前記失活させる工程が前記ファージを生育不可能な温度に曝すことを特徴とする請求項25に記載の方法。
【請求項27】
少なくとも1つの所望のバインダーを単離する方法であって、
(i)標的集団を作用物質のコレクションと接触させて、少なくとも1つのバインダーを有する結合標的集団を生成する工程であって、前記標的集団の少なくとも一部が前記作用物質の少なくとも一部に結合するような条件下で、前記作用物質のコレクションが規定の濃度を有することを特徴とする工程と、
(ii)前記結合標的集団を洗浄し、前記標的集団に結合していない作用物質を除去する工程と、
(iii)前記少なくとも1つのバインダーを区別し、分離し、及び同定する工程とを含むことを特徴とする方法。
【請求項28】
前記作用物質のコレクションが少なくとも1つのペプチドを含むことを特徴とする請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記作用物質のコレクションが少なくとも1つの核酸を含むことを特徴とする請求項27に記載の方法。
【請求項30】
前核酸がDNA又はRNAであることを特徴とする請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記規定の濃度が前記標的集団の濃度の1×10−3乃至約1×103倍の間であることを特徴とする請求項27に記載の方法。
【請求項32】
前記規定の濃度が、個々の作用物質の濃度が前記作用物質の好適な解離定数の約1×10−4乃至約1×102倍の間まで高まるように作用物質の多様性を減少させることを含むことを特徴とする請求項27に記載の方法。
【請求項33】
規定の濃度が所望の標的に対して予め決められた解離定数を有するバインダーを含む少なくとも1つの競合的バインダーを含むことを特徴とする請求項27に記載の方法。
【請求項34】
前記標的が、癌細胞、癌細胞株、細胞培養、腫瘍抽出物、癌組織、癌臓器、癌細胞に関係する分子、癌細胞株に関係する分子、癌細胞培地に関係する分子、腫瘍抽出物に関係する分子、癌組織に関係する分子、及び癌臓器に関係する分子からなる群より選択されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項35】
前記標的が抗原であることを特徴とする請求項27に記載の方法。
【請求項36】
が前記抗原が癌性抗原、muc−1、Tag72、CEA、CD22、ED−B及びFAPから成る群より選択されることを特徴とする請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記標的集団が低い濃度を有し、前記低い濃度が約1マイクロモル乃至約1ピコモルの間であることを特徴とする請求項27に記載の方法。
【請求項38】
前記方法が更にファージ提示法を用いることを特徴とする請求項27に記載の方法。
【請求項39】
前記作用物質がファージの表面又はファージ感染細胞に存在するペプチドであり、前記抗標的作用物質がファージ表面に又はファージ感染細胞存在する別のペプチドであることを特徴とする請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記増幅されたコレクションを前記第二標的集団及び前記作用物質の第一コレクションとインキュベートする前に、抗−標的作用物質を含むファージを失活させる工程を更に含むことを特徴とする請求項38に記載の方法。
【請求項41】
前記失活させる工程が前記ファージを生育不可能な温度に曝すことを特徴とする請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記ペプチドが少なくとも1つの抗体を含むことを特徴とする請求項38に記載の方法。
【請求項43】
前記ファージのコレクション中の少なくとも1つの核酸配列に特異的なオリゴヌクレオチドを用いたPCR増幅を更に含むことを特徴とする請求項38に記載の方法。
【請求項44】
少なくとも1つの所望のバインダーを単離する方法であって、
(i)標的集団を作用物質のコレクションと接触させて、少なくとも1つの所望のバインダーと未結合作用物質を有する結合標的を生成する工程であって、前記標的集団の少なくとも一部が前記作用物質のコレクションのメンバーの少なくとも一部に結合するような条件下で、前記標的集団が低い濃度を有することを特徴とする工程と、
(ii)前記結合標的を洗浄し、未結合作用物質を除去し、前記少なくとも1つのバインダーを区別し、分離し、及び同定する工程とを含むことを特徴とする方法。
【請求項45】
前記作用物質のコレクションが少なくとも1つのペプチドを含むことを特徴とする請求項44に記載の方法。
【請求項46】
前記作用物質のコレクションが少なくとも1つの核酸を含むことを特徴とする請求項44に記載の方法。
【請求項47】
前記核酸がDNA又はRNAであることを特徴とする請求項46に記載の方法。
【請求項48】
前記作用物質のコレクションが規定の濃度であることを特徴とする請求項44に記載の方法。
【請求項49】
前記作用物質のコレクションの規定の濃度が標的集団の濃度の約1×10−3倍乃至1×103倍であることを特徴とする請求項48に記載の方法。
【請求項50】
前記規定の濃度が、個々の作用物質の濃度が、前記作用物質の所望の解離定数の約1×10−4倍乃至約1×102倍の間にまで高められるように、前記作用物質の多様性を減少させることを含むことを特徴とする請求項48に記載の方法。
【請求項51】
前記規定の濃度が、所望の標的に対する規定の解離定数を有するバインダーを含む少なくとも1つの競合的バインダーを含むことを特徴とする請求項48に記載の方法。
【請求項52】
前記標的が、癌細胞、癌細胞株、細胞培養、腫瘍抽出物、癌組織、癌臓器、癌細胞に関係する分子、癌細胞株に関係する分子、癌細胞培地に関係する分子、腫瘍抽出物に関係する分子、癌組織に関係する分子、及び癌臓器に関係する分子からなる群より選択されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項53】
前記標的が抗原であることを特徴とする請求項44に記載の方法。
【請求項54】
前記抗原が癌性抗原、muc−1、Tag72、CEA、CD22、ED−B及びFAPから成る群より選択されることを特徴とする請求項53に記載の方法。
【請求項55】
前記標的集団が低い濃度を有し、前記低い濃度が約1マイクロモル乃至約1ピコモルの間であることを特徴とする請求項44に記載の方法。
【請求項56】
前記方法が更にファージ提示法を含むことを特徴とする請求項44に記載の方法。
【請求項57】
前記作用物質がファージ表面又はファージ感染細胞に存在するペプチドであり、前記抗−標的作用物質がファージ表面又はファージ感染細胞に存在する別のペプチドであることを特徴とする請求項56に記載の方法。
【請求項58】
前記増幅されたコレクションを前記第二標的集団及び前記作用物質の第一コレクションとインキュベートする前に、抗−標的作用物質を含むファージを失活させる工程を更に含むことを特徴とする請求項56に記載の方法。
【請求項59】
前記失活させる工程が前記ファージを生育不可能な温度に曝すことを特徴とする請求項58に記載の方法。
【請求項60】
前記ペプチドが少なくとも1つの抗体を含むことを特徴とする請求項44に記載の方法。
【請求項61】
前記ファージのコレクション中の少なくとも1つの核酸配列に特異的なオリゴヌクレオチドを用いたPCR増幅を更に含むことを特徴とする請求項44に記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図8A】
【図8B】
【図9A】
【図9B】
【図9C】
【図9D】
【図10A】
【図10B】
【図10C】
【図10D】
【図10E】
【図11】
【図12A】
【図12B】
【図13A】
【図13B】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図8A】
【図8B】
【図9A】
【図9B】
【図9C】
【図9D】
【図10A】
【図10B】
【図10C】
【図10D】
【図10E】
【図11】
【図12A】
【図12B】
【図13A】
【図13B】
【公表番号】特表2008−517275(P2008−517275A)
【公表日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−536938(P2007−536938)
【出願日】平成17年10月14日(2005.10.14)
【国際出願番号】PCT/US2005/037004
【国際公開番号】WO2006/044650
【国際公開日】平成18年4月27日(2006.4.27)
【出願人】(500284580)ジェネンコー・インターナショナル・インク (67)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年10月14日(2005.10.14)
【国際出願番号】PCT/US2005/037004
【国際公開番号】WO2006/044650
【国際公開日】平成18年4月27日(2006.4.27)
【出願人】(500284580)ジェネンコー・インターナショナル・インク (67)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]