説明

競走玩具

【課題】物足りなさや興趣性の欠如を解消して、従来よりも飽きることなく長く楽しめるようにすること。
【解決手段】自走するための駆動機構12を有する走行体1,2を備え、この走行体を自走させて速さの優劣を競う競走玩具100において、走行体の走行能力に関する複数の走行制御信号を記憶する信号記憶手段34と、信号記憶手段に記憶された走行制御信号の中の一つをランダムに選択する選択制御手段40と、を備え、走行体は、選択制御手段により選択された走行制御信号により、走行体の走行能力を上昇又は下降させる走行制御手段16を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、競走玩具に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の走行体を争わせて遊ぶ玩具が知られている。
このような玩具においては、自分の操作する走行体が勝利できるよう、相手方の操作する走行体に向けて攻撃信号を送信し、攻撃信号を受信した相手方の走行体を停止、横転させる等して相手方の走行体の走行を妨害するものが一般的である(例えば、特許文献1,2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭54−79747号公報
【特許文献2】特許第3791773号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記特許文献1に記載の玩具においては、相手方が操作する走行体を妨害する手段は、1種類しかない。すなわち、自分が操作する走行体の発光装置から相手方の操作する走行体の受光装置に1種類の光を照射するだけであるため、ユーザは単一の攻撃を自らの意志で行うにすぎない。
また、上記特許文献2に記載の玩具においても、射撃ボタン等の操作により、ユーザが単一の攻撃を自らの意志で行うにすぎない。
従って、上記特許文献1,2に記載の玩具では、互いに同じ攻撃を繰り返すだけにすぎず、長く遊んでいるうちに遊びが単調になり、物足りなさや興趣性の欠如等を感じさせることがある。
【0005】
そこで、本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、物足りなさや興趣性の欠如を解消して、従来よりも飽きることなく長く楽しめる競走玩具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、自走するための駆動機構を有する走行体を備え、この走行体を自走させて速さの優劣を競う競走玩具において、
前記走行体の走行能力に関する複数の走行制御信号を記憶する信号記憶手段と、
前記信号記憶手段に記憶された走行制御信号の中の一つをランダムに選択する選択制御手段と、を備え、
前記走行体は、前記選択制御手段により選択された走行制御信号により、走行体の走行能力を上昇又は下降させる走行制御手段を備えることを特徴とする。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の競走玩具において、
前記選択制御手段により選択された走行制御信号の機能を表示する表示手段と、
前記表示手段に走行制御信号の機能を表示させる表示制御手段と、
を備えることを特徴とする。
【0008】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の競走玩具において、
前記表示手段は、各走行制御信号の機能毎に設けられた表示窓と、前記表示窓毎に個別に設けられ、光を対応する表示窓から透過させる光源と、を備え、
前記表示制御手段は、前記選択制御手段による走行制御信号の選択開始と共に点灯させる光源が順次変わるように前記光源の発光制御を行い、所定時間経過後に、選択された走行制御信号の機能に対応する表示窓の光源のみを点灯させることを特徴とする。
【0009】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか一項に記載の競走玩具において、
前記走行体は複数設けられ、
自身が操作する第1の走行体は、少なくとも前方及び後方に向けて、前記第1の走行体と競走する第2の走行体の走行を妨害する妨害信号を無線送信する妨害信号送信手段を備え、
前記第2の走行体は、前記妨害信号を受信する妨害信号受信手段と、前記妨害信号受信手段から受信した妨害信号により自身の駆動機構の妨害動作を制御する妨害制御手段と、を備えることを特徴とする。
【0010】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれか一項に記載の競走玩具において、
前記走行制御信号は、競走相手の走行体の走行を妨害する妨害信号を含むことを特徴とする。
【0011】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の競走玩具において、
前記妨害信号は、競走相手の走行体を後退させる信号を含むことを特徴とする。
【0012】
請求項7に記載の発明は、請求項5に記載の競走玩具において、
前記妨害信号は、競走相手の走行体をスピンさせる信号を含むことを特徴とする。
【0013】
請求項8に記載の発明は、請求項5に記載の競走玩具において、
前記妨害信号は、競走相手の走行体を減速させる信号を含むことを特徴とする。
【0014】
請求項9に記載の発明は、請求項1〜8のいずれか一項に記載の競走玩具において、
前記走行制御信号は、自身の走行体を加速させる信号を含むことを特徴とする。
【0015】
請求項10に記載の発明は、請求項1〜9のいずれか一項に記載の競走玩具において、
前記走行制御信号は、競走相手の走行体からの妨害信号を無効化する信号を含むことを特徴とする。
【0016】
請求項11に記載の発明は、請求項1〜10のいずれか一項に記載の競走玩具において、
前記選択制御手段による走行制御信号の選択を開始させるトリガーを与えるトリガー付与手段を備えることを特徴とする。
【0017】
請求項12に記載の発明は、請求項11に記載の競走玩具において、
前記走行体の走行開始からの経過時間を計測する計時手段を備え、
前記トリガー付与手段は、前記計時手段により計測された経過時間に基づいて、前記走行制御信号の選択を開始させるトリガーを前記選択制御手段に与えることを特徴とする。
【0018】
請求項13に記載の発明は、請求項11に記載の競走玩具において、
前記走行体の所定位置への到達を検出する検出手段を備え、
前記トリガー付与手段は、前記検出手段による前記走行体の検出に基づいて、前記走行制御信号の選択を開始させるトリガーを前記選択制御手段に与えることを特徴とする。
【0019】
請求項14に記載の発明は、請求項11〜13のいずれか一項に記載の競走玩具において、
前記走行体の操作を無線信号にて行うコントローラを備え、
前記選択制御手段及び前記トリガー付与手段は、前記コントローラに設けられていることを特徴とする。
【0020】
請求項15に記載の発明は、請求項11〜13のいずれか一項に記載の競走玩具において、
前記選択制御手段及び前記トリガー付与手段は、前記走行体に設けられていることを特徴とする。
【0021】
請求項16に記載の発明は、請求項11〜13のいずれか一項に記載の競走玩具において、
前記走行体を走行させるコース体を備え、
前記選択制御手段及び前記トリガー付与手段は、前記コース体の走行路脇又は前記コース体に設けられた構造物に設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
請求項1に記載の発明によれば、選択制御手段は、信号記憶手段に記憶された走行制御信号の中の一つをランダムに選択する。
走行制御手段は、選択制御手段により選択された走行制御信号により、走行体の走行能力を上昇又は下降させる。
これにより、走行体の走行状態を複数種類に変化させることができ、遊びの幅が広がる。また、走行制御信号の選択はユーザの選択によらず選択制御手段によってランダムに行われるので、ユーザは、競走中、走行体が次にどのような走行を行うのかを心待ちにしながら遊ぶことができる。また、それぞれの走行体が異なる走行を行うことにより、競走の途中で優劣が逆転、再逆転することができるようになる。
よって、物足りなさや興趣性の欠如を解消して、従来よりも飽きることなく長く楽しめる。
【0023】
請求項2に記載の発明によれば、表示制御手段は、選択制御手段によって選択された走行制御信号の機能を表示手段に表示させる。
これにより、表示手段には、走行体が次にどのような走行を行うのかが視覚で認識できるように表示されるので、ユーザは、その表示を見て一喜一憂して楽しむことができる。
【0024】
請求項3に記載の発明によれば、走行制御信号の選択開始と共に点灯させる光源が順次変わり、所定時間経過後に、選択された走行制御信号の機能に対応する表示窓の光源のみが点灯するので、ユーザは、ルーレットにより走行制御信号が決定されていると視覚で認識することができ、遊ぶ際の楽しみが増える。
【0025】
請求項4に記載の発明によれば、第1の走行体に備えられた妨害信号送信手段は、少なくとも前方及び後方に向けて、第2の走行体の走行を妨害する妨害信号を無線送信する。第2の走行体に備えられた妨害信号受信手段は妨害信号を受信し、妨害制御手段は、妨害信号受信手段から受信した妨害信号により自身の駆動機構の妨害動作を制御する。
これにより、第1の走行体は、競走相手である第2の走行体が前方を先行していても、あるいは後方に迫ってきている場合でも第2の走行体の走行を妨害することができるようになる。すなわち、後方にいる第2の走行体の走行を妨害する場合であっても、第1の走行体が妨害するためだけに後方を振り返る必要もなくなる。
よって、走行体がレーシングカーの玩具であるような場合においても、実際のレーシングカーのリアリティを欠くことがなく、遊びの幅が広がり、物足りなさや興趣性の欠如を解消して、従来よりも飽きることなく長く楽しめる。
【0026】
請求項5に記載の発明によれば、走行制御信号が競走相手の走行体の走行を妨害する妨害信号を含むため、自分の走行体を競走相手の走行体よりも優位な状態にすることができる。
【0027】
請求項6に記載の発明によれば、妨害信号が競走相手の走行体を後退させる信号を含むため、自分の走行体を競走相手の走行体よりも優位な状態にすることができる。
【0028】
請求項7に記載の発明によれば、妨害信号が競走相手の走行体をスピンさせる信号を含むため、自分の走行体を競走相手の走行体よりも優位な状態にすることができる。
【0029】
請求項8に記載の発明によれば、妨害信号が競走相手の走行体を減速させる信号を含むため、自分の走行体を競走相手の走行体よりも優位な状態にすることができる。
【0030】
請求項9に記載の発明によれば、走行制御信号が自身の走行体を加速する信号を含むため、自分の走行体を競走相手の走行体よりも優位な状態にすることができる。
【0031】
請求項10に記載の発明によれば、走行制御信号が競走相手の走行体からの妨害信号を無効化する信号を含むため、競走相手から自身の走行体の走行を妨害されることがなくなる。
これにより、自分の走行体を競走相手の走行体よりも優位な状態にすることができる。
【0032】
請求項11に記載の発明によれば、トリガー付与手段を設けることにより、トリガー付与手段からトリガーが与えられたときだけ選択制御手段による走行制御信号の選択を開始させることができる。
【0033】
請求項12に記載の発明によれば、計時手段により計時された走行体の走行開始からの経過時間に応じて選択制御手段が走行制御信号を選択して走行体を制御するので、競走途中で何度か走行体の走行状態を変化させることができる。
【0034】
請求項13に記載の発明によれば、検出手段による検出結果に応じて選択制御手段が走行制御信号を選択して走行体を制御するので、競走途中において、競走相手との差を広げたり、競走相手を逆転したりするエリアをつくることができる。
【0035】
請求項14〜16に記載の発明によれば、選択制御手段及びトリガー付与手段は、競走玩具で遊ぶ際に用いる物に設けられているので、選択制御手段及びトリガー付与手段のための別個の装置を必要とせず、より簡単に遊ぶことができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】競走玩具の概要を示す図。
【図2】走行体の斜視図。
【図3】走行体の内部構造を示す斜視図。
【図4】走行体の構成を示すブロック図。
【図5】操舵機構の斜視図。
【図6】操舵機構の平面図。
【図7】コイル通電回路の一部を示す図。
【図8】妨害信号の送信方向及び走行体が妨害信号を受信可能な範囲を示した図。
【図9】コントローラの平面図。
【図10】コントローラの構成を示すブロック図。
【図11】妨害信号及びパワーアップ信号の機能を説明する図。
【図12】図11に続き、妨害信号及びパワーアップ信号の機能を説明する図。
【図13】走行制御信号の選択における変形例を説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、図面を参照しながら、競走玩具について説明する。
図1は、競走玩具100の概要を示す図である。
図1に示すように、競走玩具100は、自走する走行体1,2と、走行体1,2と同数のコントローラ3,4とを備えている。本実施形態においては、走行体とコントローラは二つずつ備えられている。競走玩具100は、競走しあう二人のユーザがコントローラを一つずつ持ち、それぞれのユーザが走行体を操作してコース上で速さの優劣を競うものである。ここで、走行体の数はその数量は問わないが、以下の実施形態では、二つの走行体1,2を備えている場合を例に挙げて説明する。
【0038】
<走行体>
図2は、走行体1の斜視図であり、図3は、走行体1の内部構造を示す斜視図であり、図4は、走行体1の構成を示すブロック図である。
ここで、走行体は、表面のボディのデザインが異なるだけであり、その他の駆動等に関する構成は同じであるため、以下では走行体を代表して走行体1について詳細に説明する。従って、走行体2についても各部は走行体1と同一符号を用いて説明する。
図2、図3に示すように、走行体1は、ボディ10と、シャーシ11とを備えている。
ボディ10は、プラスチック等の樹脂材料を成形し、レーシングカーにドライバーが乗り込んだ状態を模して形成されている。ボディ10は、シャーシ11に着脱自在に取り付けられている。
図2から図4に示すように、シャーシ11には、走行体1が自走するための駆動機構12と、走行体1の走行方向前方に向けて赤外線を発光する前方用発光部13と、走行体1の走行方向後方に向けて赤外線を発射する後方用発光部14と、外部からの赤外線を受光する受光部15と、制御部16と、が設けられている。
【0039】
図4に示すように、駆動機構12は、駆動電源である電池12aと、電池12aに接続されたモータ12bと、モータ12bの出力軸と車輪12cとを機械的に連結してモータ12bの出力軸の回転運動を車輪12cの支持軸に伝達する伝達機構12dと、車輪12cの操舵を行う操舵機構12eと、を備えている。
【0040】
(電池、モータ、伝達機構)
電池12aは、走行体1の駆動電源であり、乾電池でも充電池でも良い。
モータ12bは、電池12aに接続された正逆転が可能なモータである。
伝達機構12dは、モータ12bの出力軸に設けられた歯車と、車輪12cを支持する支持軸に設けられた歯車と、この両歯車に噛み合う一又は複数の歯車とを備えている。
【0041】
(操舵機構)
図5は、操舵機構12eの斜視図であり、図6は、操舵機構12eの平面図であり、図7は、コイル通電回路の一部を示す図である。
図5に示すように、操舵機構12eは、左右の前輪12c,12cがそれぞれ付設された左右のナックルアーム(回動体)21と、左右のナックルアーム21を相互に連結するタイロッド(連結体)22とを備えている。
ここで、各ナックルアーム21には前輪車軸(支持軸)21aが付設され、この前輪車軸21aに前輪2c,2cが空転可能に付設される。左右のナックルアーム21は、図6に示すように、それぞれ左右の軸21bを中心に回動可能となるようにシャーシ11に支持される。この左右の軸21bの上端部及び下端部は、シャーシ11に嵌め込まれている。タイロッド22は、図6に示すように、その両端部の軸21cの箇所で前記ナックルアーム21の自由端部と回り対偶をなしている。その結果、タイロッド22が左右へ揺動すると、左右のナックルアーム21が軸21bを中心に回動し、左右の前輪12c,12cの向きが変更させられることになる。
【0042】
タイロッド22の中立位置には、永久磁石(図示略)が設けられており、この永久磁石は、後述する永久磁石24との吸引力により、タイロッド22を左右いずれにも偏らない位置(中立位置)に保持する働きをする。なお、タイロッド22を中立位置に保持するものは、永久磁石に限らず、バネ等によりタイロッド22を中立位置まで付勢しても良い。
【0043】
また、タイロッド22の中央部には永久磁石24が設置されている。この永久磁石24は円板状に構成され、両端面が上下の方向を向くように設置されている。この永久磁石24の一方の端面はS極、他方の端面はN極となるように構成されている。一方、タイロッド22の前方には左右にコイル26が設けられている。このコイル26はコアが存在しない丸形空芯コイルであり、各コイル26の一方の端部は、タイロッド22に設けられた永久磁石24の端面に対向している。ここに、特に円板状の永久磁石及び丸形空芯コイルを用いたのは、コイルにコアを入れないことで、玩具全体の小型軽量化を図るためである。なお、丸形空芯コイルの場合にはコイルの磁力発生は弱いが前述のシャフト23に磁力が非常に弱いものを使用すれば問題はない。
【0044】
図7に示すように、コイル通電回路は制御部16によって通電を制御されるようになっており、このコイル通電回路では、同時に左右のコイル26が通電されるように構成され、同時に左右のコイル26に通電したときは永久磁石24の端面に対向する側の極性が左右で異極となるように構成されている。したがって、左右のコイル26に通電したときには、一方のコイル26と永久磁石24の間では吸引力が働き、他方のコイル26と永久磁石24との間では斥力が働く。これにより、タイロッド22はシャフト23と永久磁石24との吸引力に抗して揺動することになる。この場合、タイロッド22の揺動方向を変えるには、制御部16によりコイル26に流れる電流の向きを変更すればよい。
なお、左右のコイル26は択一的に通電されるように構成され、通電されたコイル26と永久磁石24との間に働く吸引力又は斥力によってタイロッド22を揺動させるようにしてもよい。
なお、この操舵機構12eは、上記の構造に限定されるものではなく、例えばラックとピニオンの組合せによる機構を用いてもよい。
【0045】
(各発光部、受光部)
図3、図4に示すように、前方用発光部13は、走行体1の走行方向前方に向けて赤外線信号を無線送信するように配置されている。前方用発光部13は、例えば、赤外線LEDから構成されている。
後方用発光部14は、走行体1の走行方向後方に向けて赤外線信号を無線送信するように配置されている。後方用発光部14と、例えば、赤外線LEDから構成されている。
受光部15は、前方用発光部13、後方用発光部14、コントローラ3から発光された赤外線信号を受信する。
前方用発光部13及び後方用発光部14から発光される赤外線は、自身の走行体1(第1の走行体)の前後を走行する競走相手となる走行体2(第2の走行体)の走行を妨害する妨害信号となる。従って、前方用発光部13及び後方用発光部14は、妨害信号送信手段として機能する。
受光部15は、競走相手となる走行体2の前方用発光部13、後方用発光部14、コントローラ3,4から送信される妨害信号を受信する。従って、受光部15は、妨害信号受信手段として機能する。
受光部15は、自身の走行体1(第1の走行体)から妨害信号を競走相手となる走行体2(第2の走行体)に送信させる指示信号をコントローラ3から受信する。従って、受光部15は、指示信号受信手段として機能する。
受光部15は、コントローラ3から送信されてくる走行体の走行操作に関する走行操作信号を受信する。従って、受光部15は、走行操作信号受信手段として機能する。
妨害信号は、走行体1,2の走行制御に関する信号であり、妨害信号を受信した走行体2の制御部16は、受光により受信した妨害信号に応じた駆動機構12の駆動制御を行う。妨害信号の詳細については、後述する。
【0046】
(制御部)
図4に示すように、制御部16は、公知のCPU、ROM、RAMを有するものである。
制御部16は、受光部15から受信した妨害信号により自身の駆動機構12の妨害動作を制御する他、受光部15から受信したパワーアップ信号により自身の走行体1の加速等を制御する。すなわち、制御部16は、選択された走行制御信号により自身の走行体1の走行能力を上昇又は競走相手の走行体2の走行能力を下降させる。従って、制御部16は走行制御手段、妨害制御手段として機能する。
制御部16は、受光部15で受信した走行操作信号により自身の駆動機構12による走行動作を制御する。
制御部16は、受光部15によりコントローラ3から指示信号を受信した場合に、前方発光部13と後方発光部14の少なくとも一方に妨害信号を送信させる。従って、制御部16は、送信制御手段として機能する。
ここで、図8は、妨害信号が送信される方向及び走行体2が受信可能な範囲を示した図であり、制御部16は、走行体2を後退させる妨害信号Aを前方用発光部13から走行体1の前方に向けて送信させる。ここで、走行体1の前方に送信される妨害信号は、走行体1から40cm程度前方までを受信可能範囲とする。もちろん、妨害信号の受信可能範囲の設定は任意である。
制御部16は、走行体2をスピンさせる妨害信号Bを後方用発光部14から走行体1の後方に向けて送信させる。ここで、走行体1の後方に送信される妨害信号は、走行体1から40cm程度後方までを受信可能範囲とする。もちろん、妨害信号の受信可能範囲の設定は任意である。
制御部16は、自身の走行体1を加速させるパワーアップ信号Cは競走相手となる走行体2に送信することはなく、その信号を受信すると、制御部16は、自身の走行体1のモータ12bの出力を上昇させる。ここで、モータ12bは、制御部16により公知のPWM制御によって駆動が制御されており、モータ12bのON/OFFの制御をパルスで行っている。制御部16は、オンパルスの通電幅を任意に変化させる、すなわち、パルス幅を変調することによって結果的にモータ12bへの供結エネルギーをコントロールしている。このように、デューティを大きくすることでモータ12bの出力を上昇させて走行体1を加速し、デューティを小さくすることでモータ12bの出力を下降させて走行体1を減速する。
制御部16は、走行体2から自身の走行体1に送信されてくる妨害信号を無効化するバリア信号Eは、競走相手となる走行体2に送信することはなく、その信号を受信すると、制御部16は、そのメモリ内にフラグを立て、走行体2から送信されてくる妨害信号A,Bを受信してもかかる信号を無視する。さらに、バリア信号Eを受信すると、制御部16は、妨害信号A,Bを前方用発光部13及び後方用発光部14から走行体1の前方及び後方に向けて送信させる。
【0047】
<コントローラ>
図9は、コントローラ3の平面図、図10は、コントローラ3の構成を示すブロック図である。
図9に示すように、コントローラ3は、走行体1の走行操作、走行体2の走行の妨害指示を行うものであり、走行体1及び走行体2との間で無線によって信号が送信される。
コントローラ3は、ユーザが把持する筺体30と、前後入力キー31と、左右入力キー32と、発光部33と、信号記憶部34と、信号送信入力部35と、表示部36と、スピーカ37と、音声記憶部38と、バンド切替部39と、制御部40を備えている。
【0048】
(筐体、各入力キー)
筺体30は、平面視略矩形状で、手で把持できる程度の厚さを有するように形成されている。この筺体30に以下の各部が設けられている。
前後入力キー31は、筐体30の表面に操作部分が露出するように設けられている。前後入力キー31は、走行体1を前後方向に走行させるための操作の入力を行うキーである。従って、前後入力キー31は入力手段として機能する。図9における上側のキーを押すと、走行体1は前進し、下側のキーを押すと、走行体1は後退する。これは、押すキーによってモータ12bを正逆転させることによって実現される。
左右入力キー32は、筐体30の表面に操作部分が露出するように設けられている。左右入力キー32は、走行体1の走行方向を左右方向に切り替えるための操作の入力を行うキーである。従って、左右入力キー32は入力手段として機能する。図9における左側のキーを押すと、走行体1は左方向に向かって走行し、右側のキーを押すと、走行体1は右方向に向かって走行する。これは、押すキーによって、操舵機構12eを駆動させて左右の前輪12c,12cの向きが変更することにより実現される。
【0049】
(発光部)
発光部33は、筐体30の側面に設けられている。発光部33は、例えば、赤外線LEDから構成されている。発光部33は、走行体1及び走行体2に向けて赤外線信号を送信する。
発光部33から走行体1に向けて送信される赤外線信号の一つは、前後及び左右の入力キー31,32からの入力に応じた走行操作信号である。従って、発光部33は、走行操作信号送信手段として機能する。
発光部33から走行体1に向けて送信される赤外線信号の一つは、妨害信号を走行体1から競走相手となる走行体2(第2の走行体)に向けて送信させる指示信号である。従って、発光部33は、指示信号送信手段として機能する。
発光部33は、走行体2への妨害信号の種類によっては、走行体1に指示信号を送信することなく、コントローラ3から走行体2に直接無線送信することもできる。従って、発光部33は、第2の妨害信号送信手段として機能する。具体的には、発光部33は、競走相手の走行体2が用いている走行に関する全ての機能を停止させる妨害信号Dを走行体2に直接送信することもある。
【0050】
(信号記憶部)
信号記憶部34は、筐体30の内部に設けられている。信号記憶部34には、走行体1,2の走行能力に関する複数の走行制御信号を送信するためのプログラムが記憶されている。ここで、走行制御信号は、走行体2の走行を妨害する互いに異なる複数の妨害信号A,B,Dと、自身の走行体1の能力を高めるパワーアップ信号Cと、自身の走行体1への攻撃を無効化するバリア信号Eとがあり、それぞれの信号を選択、送信するためにCPUによって実行されるプログラムが信号記憶部34に記憶されている。従って、信号記憶部34は、信号記憶手段として機能する。
具体的には、図11(a)に示すように、信号記憶部34には、競走相手の走行体2を後退させる妨害信号A、図11(b)に示すように、競走相手の走行体2をスピンさせる妨害信号B、図12(a)に示すように、競走相手の走行体2が用いているパワーアップ効果を停止させる妨害信号D(例えば、走行体2が加速している場合に、走行体2を減速させる妨害信号)を送信するためのプログラムが記憶されている。
また、信号記憶部34には、図11(c)に示すように、自身の走行体1の走行速度を加速させるパワーアップ信号C、図12(b)に示すように、競走相手の走行体2から自身の走行体1に送信されてくる妨害信号を無効化するバリア信号Eを送信すると共に、妨害信号A,Bを送信するためのプログラムが記憶されている。
【0051】
(信号送信入力部)
信号送信入力部35は、筐体30の側面に設けられている。信号送信入力部35は、走行制御信号(妨害信号A,B,D、パワーアップ信号C、バリア信号E)をコントローラ3から走行体2又は走行体1に向けて送信する指示を行う押下式のスイッチである。
【0052】
(表示部)
表示部36は、筐体30の表面に設けられている。表示部36は、走行制御信号毎に設けられ、筐体30の表面に形成された表示窓36a(図10参照)の奥に光源としてのLED36b(図10参照)が設けられて構成されている。LED36bから発光される光は、対応する表示窓36aを透過してユーザに視認させることができる。各表示窓36aの傍には、走行制御信号の機能を説明する記号、イラスト等が描かれている。本実施形態においては、走行体2を後退させる妨害信号をA、走行体2をスピンさせる妨害信号をB、自身の走行体1を加速させるパワーアップ信号をC、走行体2が実行している全ての機能を停止させる妨害信号をD、走行体2から自身の走行体1に送信されてくる妨害信号を無効化するバリア信号をEで表示している。従って、表示部36は、表示手段として機能する。各LEDは、制御部40による通電制御のもと、選択された走行制御信号に対応するLEDが点灯する。なお、走行制御信号の選択開始から一定時間は、制御部40によって各LEDが順に一つずつ点灯して隣接するLEDの点灯直前に消灯するように制御される。そして、選択された走行制御信号に対応するLED36bのみを点灯させる。すなわち、制御部40は、表示制御手段として機能し、走行制御信号の選択開始と共に点灯させるLED36bが順次変わるようにLED36bの発光制御を行い、所定時間経過後に、選択された走行制御信号の機能に対応する表示窓36aのLED36bのみを点灯させるようにLED36bへの通電を制御する。これにより、制御部40による走行制御信号の選択がルーレットで行われていることをユーザに視認させることができる。
【0053】
(スピーカ、音声記憶部)
スピーカ37は、筐体30内部に設けられている。筐体30におけるスピーカ37に対向する部分には、スピーカ37から発生された音を外部に伝搬するための孔部30aが形成されている。
音声記憶部38は、筐体30の内部に設けられている。音声記憶部38には、各走行制御信号に対応し、それぞれ個別に異なる音声をスピーカ37から発生するための音声データが記憶されている。制御部40は、走行制御信号を選択して信号送信入力部35から走行制御信号を送信する際に、選択した走行制御信号に対応する音声データを音声記憶部38から読み出し、再生する。これにより、選択された走行制御信号をユーザに聴覚で知らせることができる。従って、スピーカ37と制御部40とで音声発生手段として機能し、音声記憶部38は、音声記憶手段として機能する。
また、音声記憶部38には、ゲームの開始音(ファンファーレ、カウントダウン)に関する音声データ、走行制御信号を選択中におけるルーレット音に関する音声データが記憶されている。
【0054】
(バンド切替部)
バンド切替部39は、筐体30の表面に設けられている。バンド切替部39は、コントローラ3の電源スイッチでもあり、コントローラ3を使用しない場合に電源をOFFにする位置と、コントローラ3の電源をONにすると共に走行体1の走行操作を行う位置と、コントローラ3の電源をONにすると共に走行体2の走行操作を行う位置とに切り替えることができるように構成されている。バンド切替部39を切り替えることで、制御部40は、発光部33から送信する赤外線信号の波長を変化させ、選択された走行体のみを操作することができるようになっている。
【0055】
(制御部)
制御部40は、筐体30の内部に設けられている。制御部40は、発光部33の発光制御を行うことにより、前後入力キー31、左右入力キー32から入力があったと判断したときに、走行体1の走行操作信号を走行体1に送信する。制御部40は、発光部33の発光制御を行うことにより、信号送信入力部35からの入力があったと判断したときに、走行制御信号を走行体1又は走行体2に送信する。
制御部40には、走行体1の走行開始からの経過時間を計測する計時回路41が接続されており、制御部40は、計時回路41によって計測された経過時間が予め定められた経過時間になると、信号記憶部34に記憶された複数種の走行制御信号の中から一つの走行制御信号に対応するプログラムをランダムに選択する。従って、制御部40は、選択制御手段として機能し、計時回路41はトリガー付与手段として機能する。すなわち、本実施形態においては、選択制御手段とトリガー付与手段をコントローラ3に設けた構成となっている。
プログラムの選択中、制御部40は、表示部36のLEDを順次光らせてゆき、ルーレットによって走行制御信号が選択されていることをユーザに視認させる。また、プログラムの選択中、制御部40は、音声記憶部38に記憶されたルーレット音の音声データを再生し、スピーカ37から発生させる。他にも、制御部40は、レースの開始時に音声記憶部38に記憶されたファンファーレの音声データを再生し、スピーカ37から発生させる。また、制御部40は、ファンファーレに続いて、スタートまでのカウントダウン音の音声データを再生し、スピーカ37から発生させる。
制御部40による走行制御信号の選択は、公知の乱数発生プログラムにより乱数を発生させてランダムに信号を一つ選択する。選択後、制御部40は、選択された走行制御信号に機能に該当する表示部36のLEDを点灯させる。従って、制御部40は、表示制御手段として機能する。なお、走行制御信号の選択終了後、信号送信入力部35からの入力が一定時間なければ、選択された走行制御信号をリセットし、制御部40は、再度走行制御信号を選択する。
制御部40は、走行体2が実行している全機能を停止させる妨害信号Dを走行体2に直接送信する。
【0056】
<競走玩具の遊び方>
互いに競走相手となる二人がそれぞれコントローラ3を手にし、バンド切替部39を操作して、自らが操作する走行体1,2を選択する。
各ユーザが操作する走行体1,2を選択した後、制御部40はファンファーレ音をスピーカ37から発生させ、その後、スタートまでのカウントダウン音を発生させる。
レース開始後、各ユーザは、コントローラ3,4の前後入力キー31及び左右入力キー32を操作して、走行体1,2の走行を操作する。
レース開始後、計時回路41により定められた時間が経過すると、制御部40によりルーレットによる走行制御信号の選択が開始される。この選択中においては、表示部36のLEDが順次点灯しては消灯する動作を繰り返し、最終的に一つの走行制御信号がランダムに選択される。そして、選択された走行制御信号の機能に該当する表示部36のLEDが点灯する。
【0057】
走行制御信号が選択された後、ユーザは、信号送信入力部35を押下することにより、発光部33は、妨害信号A,B,D、パワーアップ信号C、バリア信号Eを指示信号と共に走行体1に送信する。なお、走行体2が実行している全機能を停止させる妨害信号Dが選択された場合には、発光部33はかかる妨害信号Dを走行体2に直接送信する。
妨害信号を指示信号と共に受信した走行体1は、制御部16により、各信号に応じて前方用発光部13、後方用発光部14又は双方の発光部13,14から選択された妨害信号を走行体2に向けて送信する。なお、指示信号は、必ずしも必要ではなく、走行体1側で受信した信号の種類を判別して、競走相手となる走行体2に送信する制御を行える状態になっていれば、指示信号の送信は不要である。
妨害信号A,Bを受信した走行体2は、受信した妨害信号に応じて走行体2の制御部16が駆動機構12の動作を規制するので、走行体2は、後退、減速、スピン等のように走行を妨害される。
【0058】
パワーアップ信号Cを受信した走行体1は、受信したパワーアップ信号に応じて、自身の走行体1を加速させて走行能力を向上させる。
バリア信号Eを受信した走行体1は、競走相手となる走行体2からの妨害信号を無効化すると共に、走行体2に向けて妨害信号A,Bを前後方向に送信する。
これは、走行体2についても同じであり、互いが相手に向かって妨害信号を送信したり、パワーアップ信号により自身の走行体を強化することにより、ゴールにどちらが速く到達するかの競走を行う。
このように、選択される走行制御信号によって常に順位が逆転されうる要素を持っており、ゴールまでの駆け引きを楽しみながら、競走することができる。
【0059】
<作用・効果>
以上のように、競走玩具100によれば、自身が操作する走行体1に備えられた前方用発光部13及び後方用発光部14は、前方及び後方に向けて、競走相手となる走行体2の走行を妨害する妨害信号を無線送信する。走行体2に備えられた受光部15は妨害信号を受信し、制御部16は、受信した妨害信号に基づいて、走行体2の駆動機構12の妨害動作を制御する。
これにより、走行体1は、競走相手である走行体2が前方を先行していても、あるいは後方に迫ってきている場合でも走行体2の走行を妨害することができるようになる。すなわち、後方にいる走行体2の走行を妨害する場合であっても、走行体1が妨害するためだけに後方を振り返る必要もなくなる。
よって、実際のレーシングカーのリアリティを欠くことがなく、遊びの幅が広がり、物足りなさや興趣性の欠如を解消して、従来よりも飽きることなく長く楽しめる。
【0060】
また、ユーザは、コントローラ3の各入力キー31,32から走行体1の走行操作の入力を行うと、コントローラ3の発光部33は、各入力キー31,32からの入力に応じた走行操作信号を走行体1に向けて送信する。このとき、走行体1の制御部16は、受光部15から受信した走行操作信号に基づいて、自身の走行体1の駆動機構12の走行動作を制御する。
また、コントローラ3の発光部33は、走行体1から妨害信号を走行体2に送信させる指示信号を走行体1に送信すると、走行体1の制御部16は、受光部15により指示信号を受信し、各発光部13,14に妨害信号を送信させる。
これにより、一つのコントローラ3の操作で走行体1の走行操作と競走相手の走行体2への妨害信号の送信を行うことができる。
また、コントローラ3の発光部33は、競走相手の走行体2に妨害信号を直接送信することもできる。
【0061】
また、コントローラ3の制御部40は、計時回路41による走行開始からの経過時間の計測により、走行制御信号の選択を開始するトリガーを与えると、制御部40は、信号記憶部34に記憶された走行制御信号の中の一つをランダムに選択する。
そして、制御部40は、選択された走行制御信号により、自身の走行体1の走行能力を上昇又は競走相手の走行体2の走行能力を下降させる。
これにより、走行体1,2の走行状態を複数種類に変化させることができ、遊びの幅が広がる。また、制御部40による走行制御信号の選択はユーザの選択によらず、制御部40の乱数を用いたルーレットによってランダムに行われるので、ユーザは、競走中、走行体1,2が次にどのような走行を行うのかを心待ちにしながら遊ぶことができる。また、それぞれの走行体1,2が異なる走行を行うことにより、競走の途中で優劣が逆転、再逆転することができるようになる。
よって、物足りなさや興趣性の欠如を解消して、従来よりも飽きることなく長く楽しめる。
【0062】
また、コントローラ3の制御部40は、選択された妨害信号の機能を表示部36に表示させる。
これにより、表示部36には、走行体1,2が次にどのような走行を行うのかが視覚で認識できるように表示されるので、ユーザは、その表示を見て一喜一憂して楽しむことができる。
【0063】
また、コントローラ3の制御部40は、選択された妨害信号に対応する音声データを再生してスピーカ37から音声を発生させる。
これにより、ユーザは、走行体1,2が次にどのような走行を行うのかが聴覚で認識できるように表示されるので、ユーザは、その音声を聞いて一喜一憂して楽しむことができる。
【0064】
また、妨害信号は、走行体2を後退、スピン、減速させる信号であるため、走行体1を走行体2よりも優位な状態にすることができる。また、パワーアップ信号は、自身の走行体1を加速する信号であったり、競走相手の走行体2からの妨害信号を無効化する信号であるため、競走相手から自身の走行体1の走行を妨害されることがなくなる。これにより、走行体1を競走相手の走行体2よりも優位な状態にすることができる。
【0065】
また、計時回路41により計時された走行体1の走行開始からの経過時間に応じて制御部40が走行制御信号を選択して走行体1,2を制御するので、競走途中で何度か走行体1,2の走行状態を変化させることができる。
【0066】
<その他>
なお、本発明は、上記実施形態に限られるものではなく、発明の本質的部分を変更しない範囲内で自由に設計変更が可能である。
例えば、妨害信号は走行体の前後方向だけでなく、左右方向に送信するようにしても良い。
また、上記の妨害信号の一部は、前方のみ、後方のみに送信する妨害信号としたが、一方のみに限られるものではなく、妨害信号の種類によらずに前後双方に送信するものであっても良い。上記実施形態の妨害信号はあくまで一例であり、妨害信号の機能、送信方向、信号の射程範囲等、任意に変更が可能である。
また、図13に示すように、競走を行うコース体70上に金属製のゲート50を設け、かかるゲート50に接近するとゲート50を検出する近接センサを走行体1に設ける。そして、走行体1がそのゲート50を通過する毎に制御部16のルーレットにより走行制御信号の選択を行うようにしても良い。この場合、走行体1の制御部16にルーレットの機能を持たせ、選択された走行制御信号を走行体2に向けて送信するようにすればよい。従って、近接センサが走行体1の所定位置への到達を検出する検出手段として機能する。また、走行体1がゲート50を通過することがトリガーとなるため、ゲート50及び近接センサは、トリガー付与手段として機能する。すなわち、この場合には、選択制御手段とトリガー付与手段を走行体に設けた構成となっている。
また、選択制御手段とトリガー付与手段は、コントローラ3,4や走行体1,2に限らず、コース体70のゲート50に設けても良いし、コース体70の走行路脇、コース体70の構造物(ビルの模型等)に設けても良い。
【0067】
また、スタート前のカウントダウン中に所定のタイミングで前後入力キー31を押し続けることにより、モータ12bのPWM制御におけるデューティを大きくし、スタート直後に急加速するようにしても良い。これにより、裏技的なテクニックを用いて競走相手より優位に立つことができる。
また、競走相手がいない場合には、信号送信入力部35等のいずれかのキーを押しながらコントローラ3の電源をONにすることで、一人用モードにしても良い。この場合、一人用モードであることを音によってスピーカ37から報知し、レースはタイムアタックモードとなる。一人用モードにおいては、自身の走行体を加速させるパワーアップ信号のみが選択されるように構成すると良い。
【符号の説明】
【0068】
1 走行体(第1の走行体)
2 走行体(第2の走行体)
3 コントローラ
13 前方用発光部(妨害信号送信手段)
14 後方用発光部(妨害信号送信手段)
15 受光部(妨害信号受信手段、走行操作信号受信手段、指示信号受信手段)
16 制御部(走行制御手段、送信制御手段、妨害制御手段)
31 前後入力キー(入力手段)
32 左右入力キー(入力手段)
33 発光部(走行操作信号送信手段、指示信号送信手段、第2の妨害信号送信手段)
34 信号記憶部(信号記憶手段)
36 表示部(表示手段)
37 スピーカ(音声発生手段)
38 音声記憶部(音声記憶手段)
40 制御部(選択制御手段、表示制御手段)
41 計時回路(トリガー付与手段)
50 ゲート(検出手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自走するための駆動機構を有する走行体を備え、この走行体を自走させて速さの優劣を競う競走玩具において、
前記走行体の走行能力に関する複数の走行制御信号を記憶する信号記憶手段と、
前記信号記憶手段に記憶された走行制御信号の中の一つをランダムに選択する選択制御手段と、を備え、
前記走行体は、前記選択制御手段により選択された走行制御信号により、走行体の走行能力を上昇又は下降させる走行制御手段を備えることを特徴とする競走玩具。
【請求項2】
前記選択制御手段により選択された走行制御信号の機能を表示する表示手段と、
前記表示手段に走行制御信号の機能を表示させる表示制御手段と、
を備えることを特徴とする請求項1に記載の競走玩具。
【請求項3】
前記表示手段は、各走行制御信号の機能毎に設けられた表示窓と、前記表示窓毎に個別に設けられ、光を対応する表示窓から透過させる光源と、を備え、
前記表示制御手段は、前記選択制御手段による走行制御信号の選択開始と共に点灯させる光源が順次変わるように前記光源の発光制御を行い、所定時間経過後に、選択された走行制御信号の機能に対応する表示窓の光源のみを点灯させることを特徴とする請求項2に記載の競走玩具。
【請求項4】
前記走行体は複数設けられ、
自身が操作する第1の走行体は、少なくとも前方及び後方に向けて、前記第1の走行体と競走する第2の走行体の走行を妨害する妨害信号を無線送信する妨害信号送信手段を備え、
前記第2の走行体は、前記妨害信号を受信する妨害信号受信手段と、前記妨害信号受信手段から受信した妨害信号により自身の駆動機構の妨害動作を制御する妨害制御手段と、を備えることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の競走玩具。
【請求項5】
前記走行制御信号は、競走相手の走行体の走行を妨害する妨害信号を含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の競走玩具。
【請求項6】
前記妨害信号は、競走相手の走行体を後退させる信号を含むことを特徴とする請求項5に記載の競走玩具。
【請求項7】
前記妨害信号は、競走相手の走行体をスピンさせる信号を含むことを特徴とする請求項5に記載の競走玩具。
【請求項8】
前記妨害信号は、競走相手の走行体を減速させる信号を含むことを特徴とする請求項5に記載の競走玩具。
【請求項9】
前記走行制御信号は、自身の走行体を加速させる信号を含むことを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の競走玩具。
【請求項10】
前記走行制御信号は、競走相手の走行体からの妨害信号を無効化する信号を含むことを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載の競走玩具。
【請求項11】
前記選択制御手段による走行制御信号の選択を開始させるトリガーを与えるトリガー付与手段を備えることを特徴とする請求項1〜10のいずれか一項に記載の競走玩具。
【請求項12】
前記走行体の走行開始からの経過時間を計測する計時手段を備え、
前記トリガー付与手段は、前記計時手段により計測された経過時間に基づいて、前記走行制御信号の選択を開始させるトリガーを前記選択制御手段に与えることを特徴とする請求項11に記載の競走玩具。
【請求項13】
前記走行体の所定位置への到達を検出する検出手段を備え、
前記トリガー付与手段は、前記検出手段による前記走行体の検出に基づいて、前記走行制御信号の選択を開始させるトリガーを前記選択制御手段に与えることを特徴とする請求項11に記載の競走玩具。
【請求項14】
前記走行体の操作を無線信号にて行うコントローラを備え、
前記選択制御手段及び前記トリガー付与手段は、前記コントローラに設けられていることを特徴とする請求項11〜13のいずれか一項に記載の競走玩具。
【請求項15】
前記選択制御手段及び前記トリガー付与手段は、前記走行体に設けられていることを特徴とする請求項11〜13のいずれか一項に記載の競走玩具。
【請求項16】
前記走行体を走行させるコース体を備え、
前記選択制御手段及び前記トリガー付与手段は、前記コース体の走行路脇又は前記コース体に設けられた構造物に設けられていることを特徴とする請求項11〜13のいずれか一項に記載の競走玩具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2011−139823(P2011−139823A)
【公開日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−2619(P2010−2619)
【出願日】平成22年1月8日(2010.1.8)
【出願人】(000003584)株式会社タカラトミー (248)
【Fターム(参考)】