説明

竹又は竹抽出物を含有してなるアンドロゲン作用組成物

本発明は、アンドロゲン減少に関連した症状を予防又は治療するための竹または竹抽出物の使用;竹又は竹抽出物を含むアンドロゲン作用組成物;アンドロゲン作用組成物を投与してアンドロゲン減少に関連した症状を予防または治療する方法;及びアンドロゲン作用組成物の製造方法に関するものである。天然物質から得られる本発明の組成物は、ホルモン代替療法による副作用の危険性無しに、男性更年期障害の予防及び治療のための植物性アンドロゲン(Phyto-androgen)として使用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アンドロゲン減少に関連する症状を予防又は治療するための竹又は竹抽出物の使用;竹又は竹抽出物を含有してなるアンドロゲン作用の組成物;治療有効量の竹又は竹抽出物を哺乳動物に投与して、アンドロゲン減少に関連する症状を予防又は治療する方法;及び、竹を極性溶媒又は非極性溶媒で抽出して、アンドロゲン作用組成物を製造する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
男性ホルモンとして知られるアンドロゲンは、ステロイド・ホルモンの一つであり、精嚢腺、睾丸などの生殖系、中枢神経系、心血管系、免疫系、消化器系、腎臓、肺などの様々な組織に分布しているアンドロゲン受容体(AR)を介して、生理機能及び生理調節機能を遂行するものとして知られている (Heinlein CA and Chang C, Endocrine Reviews, 2002, 23(2), 175-200)。その機能に関して、アンドロゲンは精嚢腺で生成され、血管を通じて標的細胞に達し、そして単純拡散によって標的細胞内に入っていき、核内に存在する転写因子であるアンドロゲン受容体を介して、標的遺伝子の転写活性に影響を及ぼす(Heinlein CA and Chang C, Endocrine Reviews, 2004, 25(2), 276-308)。アンドロゲン受容体は、グルココルチコイド受容体、プロゲステロン受容体、エストロゲン受容体、ミネラルコルチコイド受容体などのステロイドホルモン受容体類の一つであり、テストステロン、コルチゾール、プロゲステロン、エストラジオール、アルドステロンなどがこれらの受容体に対応するリガンドとして作用すると知られている(Beato M and Klug J, Human Reproduction Update 2000, 6, 225-236)。女性と同様に男性においても、50代前後から更年期障害が起こり、発生頻度は年を取るにつれて増えていく。60歳以後、男性の30%で、更年期障害が発生している(Schneider HPG, Annals of New York Academy Science, 2003, 997, 292-306)。
【0003】
しかし、男性更年期障害の症状が非常にゆっくり現れるので、変化を感じない男性が多い。また、多くの男性は更年期障害の症状を感じているが、それはストレス又は加齢による自然な変化によるものと考えている。男性の更年期障害の一原因は、他の原因に加えて、脳と睾丸の老化による男性ホルモン減少である(Schneider HPG, Annals of New York Academy Science, 2003, 997, 292-306)。男性更年期障害の主な症状は、疲労感、記憶力低下、鬱病、筋力の低下、体脂肪の増加及び骨の弱化である。また、性的機能障害、勃起不全及び性欲の低下などが通常伴って現れる。さらに、アンドロゲンの欠乏が、例えば、性欲の減退、勃起不全、筋肉の低下、体力の低下、体脂肪の増加、毛髪の変化、骨密度の低下などの多くの兆候をもたらすことが知られている。
【0004】
アンドロゲン性薬物を前記症状(兆候)を示す患者に投与すると、体脂肪の低減、筋肉の増強、骨密度の増強、握力の増強、気分向上、鬱病の低減、性欲の増進、エイズ患者の生活の質の向上などに効果があることが示される(Bhasin S and Bremner W, Journal of Clinical Endocrinology and Metabolism, 1997, 82, 3-8)。また、アンドロゲンは、認知症(痴呆)の原因であるタウ蛋白質のリン酸化を抑制し、認知症の予防に適用可能であると報告されている(Papasozomenos Sch, Shanavas A, Proceedings of National Acadademy of Science 2002, 99, 1140-1145)。
【0005】
竹はイネ科の植物であり、世界中に280種類が知られており、韓国には70種類の竹が自生又は栽培されている。竹の種類にはハチク(Phyllostachys nigra var. henonis)、マダケ(P. bambusoides)、モウソウチク(P. pubescence)、クロチク(P. nigra)、ゴマダケ(P. nigrafor. punctata)、チクヨウ(S. borealis var. gracilis)、コウライザサ(Sasa coreana Nakai)、コウライスズダケ(S. borealis var. chiisanensis)、スズダケ(S. borealis)、ジダケ(S. borealis Makino)、及びヤダケ(P. japonica)などの11種類の代表的な品種がある。これらの中で、栽培品種は、マダケ、ハチク及びモウソウチクである。
【0006】
竹は、皮、枝、葉、筍、竹茹(Bambusae Caulis in Taeniis)としての内皮などが昔から漢方薬として利用されてきた。特に竹茹は、ハチク又はマダケ(Phyllostachys bambusoides Sieb.et Zucc.)の外皮を除去した中間層をいい、薬理効能は嘔吐、痰の除去、止血、安胎の効能があると知られている。竹を加熱して抽出した竹瀝(tabasheer)は、東医宝鑑(Donguibogam)、本草綱目(Botanical List)及び中国医薬大辞典(Encyclopedia of Chinese Medicine)などで、麻痺、高血圧を治療するのに卓越な効果があると報告されており、そして高血圧、粥状動脈硬化、心血管系疾患などの治療や抗癌及び老化防止に効果があると報告されている。東医宝鑑、本草綱目及び中国医薬大辞典によれば、竹は、麻痺、高血圧を治療することに卓越な効果があり、特に肺炎、気管支炎などの口渇に使用すると、熱を軽減し、痰を除去し、リフレッシュさせる。最近、竹は、高血圧、粥状動脈硬化及び心血管系疾患の治療に効果があり、抗癌及び老化防止に効果があると報告された。このような竹の機能は、酸化防止効果に密接な関連があるとみなされている。また、竹抽出物に存在する有機酸、食物繊維、タンニン、ベンゾフランのような植物性化学物質(phytochemical)は、酸化防止作用、血栓溶解作用、脂質低減作用などを通じて循環器系統の疾患の予防に寄与することが期待される。
【0007】
現在、韓国内で自生している竹の種類は、マダケ属(Phyllostachys)、ササ属(Sasa)及びヤダケ属(Pseudosasa)に分けられる。マダケ属は、葉鞘が早く落ち、雄しべは3個で、高さ10〜30cm、直径3〜20cmで、茎は大型であり、二つの芽は各節から出てくる。世界的にマダケ属は40種類あるが、主に中国とインドに分布し、その幾つかは日本、ヨーロッパ、北アメリカに分布する。韓国には、モウソウチク、クロチク、ハチク、ゴマダケ、クァンアムチク(P. compressa)、マダケの6種類の竹がある。
【0008】
1) ハチクは、多年生常緑の低木であり、クロチクの変種である。ハチクの地下茎は節から横に成長し、その高さは10mに達する。竹の子は4〜5月に出てきて、色は褐色で、食用となる。
【0009】
2) クロチクの茎の色は、一年目は緑色であるが、二年目から黒くなりはじめて完全に黒色になる。クロチクの高さは、3〜20m、直径は2〜5cmであり、クロチクはまっすぐに成長する。クロチクの花は、6〜7月に咲き、穂状で2.5〜3cm長さの楕円形であり、花の色は紫緑色である。約60年周期で、クロチクは開花し、実を結び、そして枯れる。
【0010】
3) マダケの節には2個の輪がある。マダケは、高さ20mまで、直径5〜10cmまで成長する。マダケの葉は5〜8枚であり、葉の長さは10〜20cmである。葉と茎のジョイント部には綿毛がある。マダケの竹の子は初夏に食べられる。マダケの茎内部にある紙のように薄い皮を竹茹(B. caulis in Taeniis)と言い、歯痛による熱及び吐血に使用される。
【0011】
4) モウソウチクは5月に出てくるjuksun(竹の子)を食べることから「毛竹(juksundae)」として呼ばれるか、又は雪の冬に竹の子を採って親孝行した孟宗(Maengjong)の名前にちなんで「孟宗竹(maengjongjuk)」と呼ばれる。モウソウチクは、節に輪が1個だけあるように見える。葉と茎のジョイント部にある綿毛は落ちてほとんどない。モウソウチクは、主に南の地方に植えられている。
【0012】
5) ゴマダケは、クロチクの一種である。ゴマダケの茎の高さは約10mであり、茎の色は環境に応じて様々であるが、黄色のベースに黒色の斑点がある。ゴマダケの花は、6〜7月に咲き、円錐花序であり、たくさんの小さな花穂がきめ細かくぶら下がる。
【0013】
6) クァンアムチクは、枝の初節が平らに押し付けられ、子葉に微細毛があることが特徴である。クァンアムチクの花は、円錐花序であり、小さな花穂がいくつかぶら下がる。
【0014】
ササ属の葉鞘は、柔らかい又は硬い、長い毛を持っている。ササ属の花穂の花柄は長く、雄しべは3又は6個であり、高さは0.3〜5m、直径は2〜15mで、小型である。韓国、中国、日本などの東アジアに200種類のササ属の竹が分布し、それらの例として、コウライザサ、コレアナザサ(S.coreana)、チシマザサ(S.kurilensis)、タンナザサ(S.quelpaertensis)、スズダケ、コウライスズダケ、チクヨウなどがある。
【0015】
1) コウライザサは、韓国の咸境北道明川郡(Myeongcheon, Hamkyeongbuk-do)に分布する特有の種であり、山のふもとで群落をなして生育する。コウライザサの高さは、30〜80cmで、直径は3〜8mmである。根茎は短く、枝は分かれて、節の間が短い。枝は主に5〜20cmの高さから出て、茎と枝には溝がついている。コウライザサの葉は、枝の端に5〜8個がぶら下がり、各々の葉は長い楕円形又は卵形の楕円形である。葉の長さは、3〜12cmで、幅は6〜22mmである。葉の表には綿毛がないが、裏面にはたくさんの綿毛があり、ノコギリ状の葉で5〜6タイプの葉脈がある。大部分の葉鞘には綿毛がない。コウライザサの葉はチシマザサに似ているが、葉がより小さく、コウライザサの枝はチシマザサより密度が高い。東洋医学で、コウライザサの葉を止血剤、去痰剤、利尿剤、特に、腎炎用に用いることが知られている。
【0016】
2) ジダケは多年生常緑の低木で、1〜2mの高さまで成長する。包葉は茎を2〜3年間包み、綿毛がある。葉は枝の端から2〜3枚出てきて、葉の形は長い楕円形で皮針形である。葉の長さは10〜25cmで、葉は尖形であるか、又は尻尾のように長い。葉の裏面の基部と葉鞘に綿毛がある。葉の端にはとげのような小さなギザギザ(鋸歯)がある。花は5年毎に、4月に咲き、咲いた後に枯れる。実は5〜6月に熟する。
【0017】
ヤダケ属は、南部の山のふもとや平地に群生し、観賞用のために植えられる。枝は2年毎に、各節から出てくる。地下茎の端から堅い綿毛のある皮に包まれて新芽が出てくる。皮は節と節の間より長い。葉の長さは約30cmである。花は、晩春から夏にかけて開花する。ヤダケ(P. japonica)、スズヤダケ(P. japonica var. purpurascens)の2種類がある。
【0018】
1) ヤダケは、主に韓国の中南部に生育する。高さは、2〜4mであり、直径5〜15mmであり、中央上部分から5〜6本の枝が出てくる。葉は狭い皮針形であり、綿毛がない。葉の長さは、10〜30cmで、幅は1〜4cmである。花は円錐形であり、小さな花びらが5〜10枚出てくる。竹の子は5月に出てくる。
【0019】
2) スズヤダケはヤダケの変種であり、葉柄及び葉が紫朱色ものをスズヤダケといい、済州道(Cheju Island)に生育する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
本発明者らは、欧米先進国の開発戦略とは一線を画した、天然物由来のアンドロゲン薬剤を開発するために、ARE4−Luc受容体のプラスミドを用いたARE(アンドロゲン受容体エレメント)を介したレポーター遺伝子の発現を観察して、アンドロゲン受容体を通じて転写活性因子として作用する天然物を検索した。アンドロゲンと類似の活性を有する素材を開発するため、天然物ライブラリを用いて活性の検証実験を実施した結果、竹抽出物がアンドロゲン活性を示すことを確認し、本発明を完成するに至った。
【0021】
従って、本発明の目的は、竹又は竹抽出物を含有してなる新規なアンドロゲン作用の組成物を提供することにある。
本発明の更なる目的は、アンドロゲン減少に関連する症状を予防又は治療するための竹又は竹抽出物の使用を提供することにある。
本発明の更なる目的は、治療有効量の竹又はその抽出物を哺乳動物に投与して、アンドロゲン減少に関連する症状を予防又は治療する方法を提供することにある。
また、本発明の更なる目的は、竹を極性溶媒又は非極性溶媒で抽出してアンドロゲン作用組成物を製造する方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0022】
前記目的に従って、本発明は、有効成分として竹又はその抽出物を含有してなる、アンドロゲン作用の組成物を提供する。
また、本発明は、アンドロゲン減少に関連する症状を予防又は治療するための竹又は竹抽出物の使用を提供する。
さらに、本発明は、治療有効量の竹又はその抽出物を哺乳動物に投与して、アンドロゲン減少に関連する症状を予防又は治療する方法を提供する。
また、本発明は、竹を極性溶媒又は非極性溶媒で抽出してアンドロゲン作用組成物を製造する方法を提供する。
【0023】
本発明の組成物において、竹はマダケ属、ササ属又はヤダケ属の竹から選択することが好ましい。前記マダケ属の竹は、ハチク、クロチク、マダケ、モウソウチク、ゴマダケ又はクァンアムチクから選択されることが好ましく、ササ属の竹は、コウライザサ、コレアナザサ、チシマザサ、タンナザサ、スズダケ、コウライスズダケ又はチクヨウから選択されることが好ましく、ヤダケ属の竹は、ヤダケ又はスズヤダケから選択されることが好ましく、これらの根、茎、葉又は全草を使用することができる。
【0024】
本発明の組成物において、竹の全草、枝、皮、葉、筍、根、内皮などを使用することができ、好ましくは、粉末又は抽出物の形態で使用することができる。
【0025】
前記竹抽出物は、竹を水若しくは有機溶媒又はそれらの混合溶媒で抽出して使用することができる。
上記有機溶媒としては、あらゆる溶媒、好ましくは、水、C1−4アルコールなどのような極性溶媒、又はn−ヘキサン、ジクロロメタンなどのような非極性溶媒を使用することができる。
上記竹の非極性溶媒抽出物は、n−ヘキサン、ジクロロメタン、クロロホルム又は酢酸エチルから選択された非極性溶媒、好ましくはn−ヘキサン、ジクロロメタン及び酢酸エチルで抽出した抽出物を含む。
上記竹の極性溶媒抽出物は、アセトン、水、又はメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールなどのC1−4アルコールから選択された極性溶媒で抽出した抽出物を含む。
【0026】
また、本発明の竹抽出物は、前記C1−4アルコール抽出物を水で懸濁して、n−ヘキサンを加えて得た水溶性画分又はn−ヘキサン画分;前記水溶性画分にジクロロメタンを加えて得たジクロロメタン画分;前記ジクロロメタン画分を分離した後、残りの水溶性画分に酢酸エチルを加えて得た酢酸エチル画分;前記酢酸エチル画分を分離した後、残りの水溶性画分にn−ブタノールを加えて得たn−ブタノール画分;又は、前記抽出物及び画分をカラムクロマトグラフィーにより得た抽出物であってもよい。
具体的に、本発明の竹抽出工程を、以下の実施例で説明する。
【0027】
竹茹を小片に細切した後、乾燥重量の約5〜25倍量の水、メタノール又はエタノールを加えて、還流凝縮器を備えた抽出を実施し、竹茹の水抽出物、メタノール抽出物又はエタノール抽出物を得る。前記メタノール又はエタノール抽出物に蒸留水を加えて混合物を懸濁し、それにn−ヘキサンを加えて分画し、水可溶性画分及びn−ヘキサン可溶性画分を得る。また、n−ヘキサン可溶性画分を分離した後、残りの水溶性画分にジクロロメタンを加えてジクロロメタン画分を得る。再び、ジクロロメタン画分を分離した後、残りの水溶性画分に酢酸エチルを加えて酢酸エチル画分を得る。更に、前記酢酸エチル画分分離した後、水溶性画分にn−ブタノールを加えてn−ブタノール画分を得る。その後、前記抽出物及び画分をクロマトグラフィーにより分離して、精製された抽出物を得る。
【0028】
前記抽出は、熱湯抽出、超音波処理のような常法で遂行することができる。この抽出物の凍結乾燥物は、本発明の組成物に使用することができる。
【0029】
本発明の組成物は、天然物質から得られるアンドロゲン作用剤及び植物性アンドロゲンとして使用できる。従って、本発明の組成物は、男性更年期障害の治療及び予防に使用でき、具体的に、体脂肪の低減、筋肉の増強、骨密度の増強、握力の増強、気分の向上、鬱病の低減、性欲の増進、又は認知症の予防若しくは治療に用いられる。
【0030】
本発明の組成物は、薬学的分野において公知の方法により、薬学的に許容される担体、賦形剤などと混合して、通常の薬学的製剤、例えば、ドリンク剤のような液剤、シロップ剤、カプセル剤などに製剤化でき、経口又は非経口で投与することができる。本発明の組成物は速い効果を得るためにドリンク剤として食前及び/又は食後に経口投与することが好ましい。
【0031】
本発明の組成物を含むカプセル及び液剤は、医薬品又はヘルスケア製品として使用することができる。本発明で使われる「ヘルスケア製品」は、人体に有用な機能性を有する原料や成分を用いて錠剤、カプセル、粉末、顆粒、液剤、ピルなどの形態に製造加工した食品をいう。
【0032】
本発明の組成物は、体内への活性成分の吸収度、排泄速度、患者の年齢、体重、性別及び健康状態、治療する疾患の重症度などに応じて適宜投与されるが、一般的に、液剤として、成人に0.01〜500mg/kg、好ましくは0.1〜200mg/kgを1日1〜3回投与することが好ましい。その他の製剤においても、前記液剤の用量をベースにした適正量を経口投与することができる。
【0033】
以下、本発明を下記の実施例を参考により詳細に説明するが、本発明の範囲はいかなる方法でも、実施例によって制限されるものではない。
【実施例】
【0034】
実施例1.竹茹のアルコール抽出物の製造
1−1) 実験に用いた竹茹は、京東市場(Kynug-Dong market)で韓国産を購入して使用した。購入した竹茹を清潔な水で洗浄し、自然乾燥して抽出用試料として用いた。乾燥後、小片にした竹茹 1kgに、竹茹の乾燥重量の約15倍量である70%のエタノール液 15Lを加え、80℃で一定の間隔(それぞれ12h時間)で連続して3回繰り返し抽出した後、ろ紙(ワットマン社、米国)で減圧ろ過した。ろ液を回収して、回転式真空濃縮機によって60℃で減圧濃縮した後、抽出残渣を真空凍結乾燥機で乾燥し、竹茹粗抽出物 72gを得た。これを−20℃の冷凍庫で保管して、実験に用いた。
【0035】
1−2) 竹茹のn−ヘキサン可溶性画分の製造
前記1−1)で得た竹茹粗抽出物 50gに1Lの蒸留水を加え、混合物を懸濁し、n−ヘキサン1Lを加えて混合した。その後、3回繰返し分画して、水可溶性画分 2L及びn−ヘキサン可溶性画分 2Lを得た。次いで、n−ヘキサン可溶性画分をろ過し、減圧乾燥してn−ヘキサン可溶性画分の竹茹乾燥粉末 10.2gを得て、試料として用いた。
【0036】
1−3) 竹茹のジクロロメタン可溶性画分の製造
前記1−2)で得た水可溶性画分 2Lにジクロロメタン 1Lを加えて混合し、混合物を3回繰返し分画して、水可溶性画分 2L及びジクロロメタン可溶性画分 2Lを得た。次に、このジクロロメタン可溶性画分をろ過し、減圧乾燥してジクロロメタン可溶性画分の竹茹乾燥粉末 8.1gを得て、試料として用いた。
【0037】
1−4) 竹茹の酢酸エチル可溶性画分の製造
前記1−3)で得た水可溶性画分 2Lに酢酸エチル 1Lを加えて混合し、混合物を3回繰返し分画して、水可溶性画分 2L及び酢酸エチル可溶性画分 2Lを得た。次に、この酢酸エチル可溶性画分をろ過し、減圧乾燥して酢酸エチル可溶性画分の竹茹乾燥粉末 5.5gを得て、試料として用いた。
【0038】
1−5) 竹茹のn−ブタノール可溶性画分の製造
前記1−4)で得た水可溶性画分 2Lにn−ブタノール 1Lを加えて混合し、混合物を3回繰返し分画して、水可溶性画分 2L及びn−ブタノール可溶性画分 2Lを得た。次に、このn−ブタノール可溶性画分をろ過し、減圧乾燥してn−ブタノール可溶性画分の竹茹乾燥粉末 7.1g、及び水可溶性画分の竹茹乾燥粉末 13.5gを得た。
【0039】
実施例2.竹茹の熱水抽出物の製造
2−1) 実験に用いた竹茹は京東市場で韓国産を購入して使用した。購入した竹茹を清潔な水で洗浄し、自然乾燥して抽出用試料として用いた。乾燥後、小片にした竹茹2kgに、竹茹の乾燥重量の約15倍量である30Lの精製水を加え、80℃で一定の間隔(それぞれ10時間)で連続して2回繰返し抽出した後、ろ紙(ワットマン社、米国)で減圧ろ過した。ろ液を回収して、回転式真空濃縮機によって60℃で減圧濃縮した後、抽出残渣を真空凍結乾燥機で乾燥して竹茹粗抽出物 87gを得た。これを−20℃冷凍庫で保管して、実験に用いた。
【0040】
実施例3.コウライザサのアルコール抽出物の製造
3−1) 本実験で用いたコウライザサは、慶尚南道泗川市昆陽面西井里の竹畑(Daebat Goeul, Seojeong-ri, Gonyang-myeon, Sacheon-si, Gyeongsangnam-do, Korea)から購入した。購入したコウライザサは清潔な水で洗浄し、自然乾燥して抽出用試料として用いた。乾燥後、小片にしたコウライザサ 2kgにコウライザサの乾燥重量の約15倍量である70%のエタノール液 30Lを加え、80℃で一定の間隔(それぞれ12時間)で連続して3回繰返し抽出した後、ろ紙(ワットマン社、米国)で減圧ろ過した。ろ液を回収して、回転式真空濃縮機によって60℃で減圧濃縮した後、抽出残渣を真空凍結乾燥機で乾燥して竹茹粗抽出物 71.6gを得た。これを−20℃冷凍庫で保管して、実験に用いた。
【0041】
3−2) コウライザサの溶媒画分の製造
前記3−1)で得た粗抽出物 50gを用いて実施例1の1−2)〜1−5)と同様の方法で、それぞれの溶媒画分を製造して、表1のような溶媒画分を得た。
【0042】
【表1】

【0043】
実施例4.コウライザサの熱水抽出物の製造
4−1) 本実験で用いたコウライザサは慶尚南道泗川市昆陽面西井里の竹畑から購入した。購入したコウライザサは清潔な水で洗浄し、自然乾燥して抽出用試料として用いた。乾燥後、小片にしたコウライザサ 2kgにコウライザサの乾燥重量の約15倍量である精製水 30Lを加え、80℃で一定の間隔(それぞれ10時間)で連続して2回繰返し抽出した後、ろ紙(ワットマン社、米国)で減圧ろ過した。ろ液を回収して、回転式真空濃縮機によって60℃で減圧濃縮した後、抽出残渣を真空凍結乾燥機で乾燥してコウライザサ粗抽出物 89.6gを得た。これを−20℃冷凍庫で保管して、実験に用いた。
【0044】
実施例5.スズダケのアルコール抽出物の製造
5−1) 本実験で用いたスズダケは慶尚南道泗川市昆陽面西井里の竹畑から購入した。購入したスズダケは清潔な水で洗浄し、自然乾燥して抽出用試料として用いた。乾燥後、小片にしたスズダケ 1kgにスズダケの乾燥重量の約15倍量である70%のエタノール液 15Lを加え、80℃で一定の間隔(それぞれ12時間)で連続して3回繰返し抽出した後、ろ紙(ワットマン社,米国)で減圧ろ過した。ろ液を回収して、回転式真空濃縮機によって60℃で減圧濃縮した後、抽出残渣を真空凍結乾燥機で乾燥してスズダケ粗抽出物 57gを得た。これを−20℃冷凍庫で保管して、実験に用いた。
【0045】
5−2) スズダケの溶媒画分の製造
前記5−1)で得た粗抽出物50gを用いて実施例1の1−2)〜1−5)と同様の方法で、それぞれの溶媒画分を製造して、表2のような溶媒画分を得た。
【0046】
【表2】

【0047】
実施例6.スズダケの熱水抽出物の製造
6−1) 本実験で用いたスズダケは、慶尚南道泗川市昆陽面西井里の竹畑から購入した。購入したスズダケは清潔な水で洗浄し、自然乾燥して抽出用試料として用いた。乾燥後、小断片にしたスズダケ 1kgにスズダケの乾燥重量の約15倍量である精製水 15Lを加え、80℃で一定の間隔(それぞれ10時間)で連続して2回繰返し抽出した後、ろ紙(ワットマン社、米国)で減圧ろ過した。ろ液を回収して、回転式真空濃縮機によって60℃で減圧濃縮した後、抽出残渣を真空凍結乾燥機で乾燥してスズダケ粗抽出物 61.4gを得た。これを−20℃冷凍庫で保管して、実験に用いた。
【0048】
実施例7.ハチクのアルコール抽出物の製造
7−1) 本実験で用いたハチクは慶尚南道泗川市昆陽面西井里の竹畑から購入した。購入したハチクは清潔な水で洗浄し、自然乾燥して抽出用試料として用いた。乾燥後、小片にしたハチク 1kgに乾燥重量の約15倍量である70%のエタノール液 15Lを加え、80℃で一定の間隔(それぞれ12時間)で連続して3回繰返し抽出した後、ろ紙(ワットマン社、米国)で減圧ろ過した。ろ液を回収して、回転式真空濃縮機によって60℃で減圧濃縮した後、抽出残渣を真空凍結乾燥機で乾燥してハチク粗抽出物 52gを得た。これを−20℃冷凍庫で保管して、実験に用いた。
【0049】
7−2)ハチクの溶媒画分の製造
前記7−1)で得た粗抽出物 50gを用いて実施例1の1−2)〜1−5)と同様の方法で、それぞれの溶媒画分を製造して、表3のような溶媒画分を得た。
【0050】
【表3】

【0051】
実施例8.ハチクの熱水抽出物の製造
8−1) 本実験で用いたハチクは慶尚南道泗川市昆陽面西井里の竹畑から購入した。購入したハチクは清潔な水で洗浄し、自然乾燥して抽出用試料として用いた。乾燥後、小片にしたハチク 1kgにハチクの乾燥重量の約15倍量である精製水 15Lを加え、80℃で一定の間隔(それぞれ10時間)で連続して2回繰返し抽出した後、ろ紙(ワットマン社、米国)で減圧ろ過した。ろ液を回収して、回転式真空濃縮機によって60℃で減圧濃縮した後、抽出残渣を真空凍結乾燥機で乾燥してハチク粗抽出物 57gを得た。これを−20℃冷凍庫で保管して、実験に用いた。
【0052】
実施例9.ヤダケのアルコール抽出物の製造
9−1) 本実験で用いたヤダケは慶尚南道泗川市昆陽面西井里の竹畑から購入した。購入したヤダケは清潔な水で洗浄し、自然乾燥して抽出用試料として用いた。乾燥後、小片にしたヤダケ2kgにヤダケの乾燥重量の約15倍量である70%のエタノール液 15Lを加え、80℃で一定の間隔(それぞれ12時間)で連続して3回繰返し抽出した後、ろ紙(ワットマン社、米国)で減圧ろ過した。ろ液を回収して、回転式真空濃縮機によって60℃で減圧濃縮した後、抽出残渣を真空凍結乾燥機で乾燥してヤダケ乾燥粗抽出物 73.4gを得た。これを−20℃冷凍庫で保管して、実験に用いた。
【0053】
9−2) ヤダケの溶媒画分の製造
前記9−1)で得た粗抽出物 50gを用いて実施例1の1−2)〜1−5)と同様の方法で、それぞれの溶媒画分を製造して、表4のような溶媒画分を得た。
【0054】
【表4】

【0055】
実施例10.ヤダケの熱水抽出物の製造
10−1) 本実験で用いたヤダケは慶尚南道泗川市昆陽面西井里の竹畑から購入した。購入したヤダケは清潔な水で洗浄し、自然乾燥して抽出用試料として用いた。乾燥後、小断片にしたヤダケ 1kgにヤダケの乾燥重量の約15倍量である精製水 15Lを加え、80℃で、一定の間隔(それぞれ10時間)で2回繰返し連続抽出した後、ろ紙(ワットマン社、米国)で減圧ろ過した。ろ液を回収して、回転式真空濃縮機によって60℃で減圧濃縮した後、抽出残渣を真空凍結乾燥機で乾燥してヤダケ粗抽出物 53.3gを得た。これを−20℃冷凍庫で保管して、実験に用いた。
(実験例)
【0056】
植物性アンドロゲンと類似の活性を検証する方法
COS細胞(韓国細胞株銀行)にアンドロゲン受容体とアンドロゲンによって誘導されるルシフェラーゼプラスミドを導入し、竹抽出物がアンドロゲンと類似の活性を示すか否かをテストした。
【0057】
AREで作成したプラスミドの培地のみで処理した細胞を対照群とした。あらゆる実験結果に対する転写活性値は、対照群(AR+ARE)と比較して、倍数(fold)値で示した。
DMEMなどの細胞培養の関連試薬は、Gibco社から購入し、そしてルシフェラーゼ試験キットは、Promega社から購入して用いた。その他のあらゆる試薬は、Sigma社から購入した。pARE4−Lucプラスミド及びその他のプラスミドは、本実験例のために、米国Rochester UniversityのChang博士から提供を受けた。
【0058】
1) 細胞株の培養
10%のウシ胎仔血清を含有するDMEM中で、37℃、5%CO条件下にてCOS細胞を培養した。培地は2〜3日ごとに交換し、試薬処理するときに、新しい培地に交換した。
【0059】
2) 一過性形質移入(Transient transfection)
COS細胞を100mm組織培養プレートで70〜80%まで培養し、培地を除去した後、細胞をPBSで洗浄した。トリプシン処理して細胞を培養プレートから分離した後、細胞を血清入り培地に入れてトリプシンの作用を不活性化させた。
エレクトロポレーションをするために、細胞ペレットを5×10細胞/mLの濃度にして、冷やしたPBSで遠心分離した。細胞ペレットをPBS 400μLに懸濁させた後、用意したhAR及びpARE4−Lucプラスミドを混合し、エレクトロポレーション・キュベットに入れた。ここで、Gene Pulser(Bio−Rad)で250F、350Vで電気パルスを与えて、プラスミドを細胞内にトランスフェクションをさせた後、37℃、COインキュベータに10分間置く、その後10%の小牛血清含有のDMEMに希釈して、96ウェルプレートに播種した。24時間後、培地を10%のcharcoal−dextran処理した小牛血清を含有する新しい培地に交換し、薬物処理24時間後に、ルシフェラーゼ活性を測定した。
【0060】
3) ルシフェラーゼ活性の測定
プラスミドをトランスフェクションした細胞をPBSで洗浄し、溶解用緩衝液(125mMのTris(pH7.8)、10mMのCDTA、10mMのDTT、50%のグリセロール、5%のトリトンX−100)を加えて細胞を破壊して、上清を得た後、ブラッドフォード(Bradford)分析方法を用いてタンパク質の量を定量した。ルシフェラーゼ活性は、20μLの細胞抽出物に100μLのアッセイ緩衝液(20mMのトリシン、1.07mMの(MgCOMg(OH)・5HO、2.67mMのMgSO、0.1mのMEDTA、33.3mのMDTT、270μMのコエンザイムA(リチウム塩)、470μMのルシフェリン、530μMのATP)を加えた後、測定した。ルシフェラーゼ活性は、20μLの細胞抽出物に100μLのアッセイ緩衝液(20mMのトリシン、1.07mMの(MgCOMg(OH)・5HO、2.67mMのMgSO、0.1mMのEDTA、33.3mMのDTT、270μMのコエンザイムA(リチウム塩)、470μMのルシフェリン、530μMのATP)を加えた後、発光を照度計(LUMATLB 9501/16)を使用して20秒間測定した。
【0061】
結果
1. 竹のアルコール抽出物のアンドロゲン活性
前記実施例1で製造した竹エタノール粗抽出物を用いて、アンドロゲンと類似の活性を測定した。その結果を図1に示す。図1に示されるように、殆どの竹抽出物は、全く処理されていない対照群より強いアンドロゲン活性を示す。対照群と比べた各竹抽出物のアンドロゲンと類似の活性は以下の通りである;クロチク(2.45倍)、マダケ(2.57倍)、モウソウチク(2.26倍)、ハチク(3.12倍)、スズダケ(2.76倍)、コウライザサ(3.23倍)、ヤダケ(2.98倍)、及びマダケとハチクの内皮からなる竹茹(5.29倍)。
【0062】
2. 竹茹抽出物及びその溶媒画分のアンドロゲン活性
竹抽出物の中で最も強い活性を示したマダケ属(Phyllostachys)から加工された竹茹抽出物及びその溶媒画分のアンドロゲンと類似の活性を測定した。その結果を図2に示す。図2に示されるように、竹茹のヘキサン画分(竹茹−Hx、3.37倍)と竹茹ジクロロメタン画分(竹茹−DC、4.67倍)が最も強い活性を示す。竹茹の抽出物及び各画分の対照群と比較したアンドロゲンと類似の活性は以下の通りである;竹茹の抽出物(3.04倍)、竹茹の酢酸エチル画分(竹茹−EA、1.53倍)、竹茹のブタノール画分(竹茹−BuOH、3.07倍)、竹茹の水画分(竹茹−w、1.39倍)。
【0063】
3. コウライザサ抽出物及びその溶媒画分のアンドロゲン活性
ササ属(Sasa)のコウライザサから製造されたコウライザサ抽出物及びその溶媒画分のアンドロゲンと類似の活性を測定した。その結果を図3に示す。図3に示されるように、コウライザサ抽出物のアンドロゲンと類似の活性は対照群の20.8倍である。コウライザサの各層の対照群と比較したアンドロゲンと類似の活性は以下の通りである;コウライザサのヘキサン画分(コウライザサ−Hx、3.92倍)、コウライザサの酢酸エチル画分(コウライザサ−EA、3.22倍)、コウライザサのブタノール画分(コウライザサ−BuOH、1.02倍)、及びコウライザサの水画分(1.21倍)。
【0064】
4. ハチク抽出物及びその溶媒画分のアンドロゲン活性
マダケ属(Phyllostachys)に属するハチクの抽出物及びその溶媒画分のアンドロゲンと類似の活性を測定した。その結果を図4に示す。図4に示されるように、ハチク抽出物のアンドロゲンと類似の活性は対照群の2.92倍を示す。ハチクの各層の対照群と比較したアンドロゲンと類似の活性は以下の通りである;ハチクのヘキサン画分(ハチク−Hx、3.63倍)、ハチクのジクロロメタン画分(ハチク−DC、3.21倍)、ハチクの酢酸エチル画分(ハチク−EA、1.56倍)、ハチクのブタノール画分(ハチク−BuOH、2.21倍)、ハチクの水画分(ハチク−w、1.30倍)。
【0065】
5. ヤダケ抽出物及びその溶媒画分のアンドロゲン活性
ヤダケ属(Pseudosasa)に属するヤダケの抽出物及びその溶媒画分のアンドロゲンと類似の活性を測定した。その結果を図5に示す。図5に示されるように、対照群と比較してヤダケ抽出物のアンドロゲンと類似の活性は対照群の2.86倍を示す。ヤダケの各層の対照群と比較したアンドロゲンと類似の活性は以下の通りである;ヤダケのヘキサン画分(ヤダケ−Hx、3.77倍)、ヤダケの酢酸エチル画分(ヤダケ−EA、2.39倍)、ヤダケのブタノール画分(ヤダケ−BuOH、1.29倍)、ヤダケの水画分(ヤダケ−w、1.71倍)。
【0066】
6.竹の熱水抽出物のアンドロゲン活性
前記実施例2、4、6、8、及び10で製造した竹熱水抽出物を用いてアンドロゲンと類似の活性度を測定した。その結果を図6に示す。図6に示されるように、大部分の竹熱水抽出物は、処理されていない対照群より強いアンドロゲン活性を示す。それぞれの竹熱水抽出物の対照群と比較したアンドロゲンと類似の活性は以下の通りである;クロチク(1.95倍)、マダケ(2.11倍)、モウソウチク(1.89倍)、ハチク(2.32倍)、スズダケ(2.05倍)、コウライザサ(2.42倍)、ヤダケ(2.21倍)、及びマダケとハチクの内皮のみで作られた竹茹(3.23倍)。
【0067】
製剤例1:液剤の製造
実施例1の竹茹のエタノール抽出物 20g
砂糖 10g
異性化糖 10g
レモン香 適量
精製水を加えた全体量 100mL
上記の成分を通常の液剤の製造方法によって混合し、滅菌し液剤を製造した。
【0068】
製剤例2:液剤の製造
実施例2のコウライザサの酢酸エチル画分 30g
砂糖 10g
異性化糖 10g
レモン香 適量
精製水を加えた全体量 100mL
上記の成分を通常の液剤の製造方法によって混合し、滅菌して液剤を製造した。
【0069】
製剤例3:カプセル剤の製造
実施例4のハチクのジクロロメタン画分 500mg
ラクトース 50mg
でんぷん 50mg
タルク 2mg
ステアリン酸マグネシウム 適量
上記の成分を混合し、通常のカプセル剤の製造方法によりゼラチンカプセルに充填してカプセル剤を製造した。
【0070】
製剤例4:カプセル剤の製造
実施例5のヤダケのエタノール抽出物 500mg
ラクトース 50mg
でんぷん 50mg
タルク 2mg
ステアリン酸マグネシウム 適量
上記の成分を混合し、通常のカプセル剤の製造方法によりゼラチンカプセルに充填してカプセル剤を製造した。
【0071】
製剤例5:カプセル剤の製造
実施例10のヤダケの熱水抽出物 10mg
ラクトース 50mg
でんぷん 50mg
タルク 2mg
ステアリン酸マグネシウム 適量
上記の成分を混合し、通常のカプセル剤の製造方法によりゼラチンカプセルに充填してカプセル剤を製造した。
(産業上利用可能性)
【0072】
竹抽出物を含有する本発明の組成物は、アンドロゲン活性が優れており、アンドロゲン作用剤として使用することができる。また、天然物質から得られる本発明の組成物は、ホルモン代替療法に伴う副作用の危険性がなく、男性更年期障害の予防及び治療のための医薬品又はヘルスケア製品として使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】図1は、竹のアルコール抽出物のアンドロゲン活性を示すグラフである。
【図2】図2は、竹茹抽出物及びその溶媒画分のアンドロゲン活性を示すグラフである。
【図3】図3は、コウライザサ抽出物及びその溶媒画分のアンドロゲン活性を示すグラフである。
【図4】図4は、ハチク抽出物及びその溶媒画分のアンドロゲン活性を示すグラフである。
【図5】図5は、ヤダケ抽出物及びその溶媒画分のアンドロゲン活性を示すグラフである。
【図6】図6は、竹の熱水抽出物のアンドロゲン活性を示すグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有効成分として竹又は竹抽出物を含有してなる、アンドロゲン作用の組成物。
【請求項2】
前記抽出物が、水、アセトン又はC1−4アルコールのような極性溶媒、又はそれらの混合溶媒で抽出されるものである、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記抽出物が、n−ヘキサン、ジクロロメタン又は酢酸エチルのような非極性溶媒で抽出されるものである、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記竹が、マダケ属(Phyllostachys)、ササ属(Sasa)又はヤダケ属(Pseudosasa)の竹から選択される、請求項1〜3の何れかに記載の組成物。
【請求項5】
前記マダケ属竹が、ハチク(Phyllostachys nigra var. henonis)、クロチク(P. nigra)、マダケ(P. bambusoides)、モウソウチク(P. pubescence)、ゴマダケ(P. nigra for. punctata)又はクァンアムチク(P. compressa)から選択され、ササ属竹が、コウライザサ(Sasa coreana Nakai)、コレアナザサ(S. coreana)、チシマザサ(S. kurilensis)、タンナザサ(S. quelpaertensis)、スズダケ(S. borealis)、コウライスズダケ(S. borealis var. chiisanensis)又はチクヨウ(S. borealis var. gracilis)から選択され、そしてヤダケ属竹が、ヤダケ(Pseudosasa japonica)又はスズヤダケ(Pseudosasa japonica var. purpurascens)から選択される、請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
前記抽出物が、前記C1−4アルコール抽出物を水で懸濁し、n−ヘキサンを加え、分配して得た水溶性画分又はn−ヘキサン画分;前記水溶性画分にジクロロメタンを加え、分配して得たジクロロメタン画分;前記ジクロロメタン画分を分離した後、残りの水溶性画分に酢酸エチルを加え、分配して得た酢酸エチル画分;前記酢酸エチル画分を分離した後、残りの水溶性画分にn−ブタノールを加え、分配して得たn−ブタノール画分;又は、前記抽出物及び画分をカラムクロマトグラフィーにより得た抽出物である、請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
男性更年期障害の治療及び予防のための、請求項1〜3の何れかに記載の組成物。
【請求項8】
体脂肪の低減、筋肉の増強、骨密度の増強、握力の増強、気分向上、鬱病の低減、性欲の増進、又は認知症の予防若しくは治療のための、請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
アンドロゲン減少に関連する症状を予防又は治療するための、竹又はその抽出物の使用。
【請求項10】
前記抽出物が、水、アセトン又はC1−4アルコールのような極性溶媒、又はそれらの混合溶媒で抽出されるものである、請求項9に記載の使用。
【請求項11】
前記抽出物が、n−ヘキサン、ジクロロメタン又は酢酸エチルのような非極性溶媒で抽出されるものである、請求項9に記載の使用。
【請求項12】
前記竹が、マダケ属(Phyllostachys)、ササ属(Sasa)又はヤダケ属(Pseudosasa)の竹から選択される、請求項9〜11の何れかに記載の使用。
【請求項13】
前記マダケ属竹が、ハチク(Phyllostachys nigra var. henonis)、クロチク(P. nigra)、マダケ(P. bambusoides)、モウソウチク(P. pubescence)、ゴマダケ(P. nigra for. punctata)又はクァンアムチク(P. compressa)から選択され、ササ属竹が、コウライザサ(Sasa coreana Nakai)、コレアナザサ(S. coreana)、チシマザサ(S. kurilensis)、タンナザサ(S. quelpaertensis)、スズダケ(S. borealis)、コウライスズダケ(S. borealis var. chiisanensis)又はチクヨウ(S. borealis var. gracilis)から選択され、そしてヤダケ属竹が、ヤダケ(Pseudosasa japonica)又はスズヤダケ(Pseudosasa japonica var. purpurascens)から選択される、請求項12に記載の使用。
【請求項14】
前記抽出物が、前記C1−4アルコール抽出物を水で懸濁し、n−ヘキサンを加え、分配して得た水溶性画分又はn−ヘキサン画分;前記水溶性画分にジクロロメタンを加え、分配して得たジクロロメタン画分;前記ジクロロメタン画分を分離した後、残りの水溶性画分に酢酸エチルを加え、分配して得た酢酸エチル画分;前記酢酸エチル画分を分離した後、残りの水溶性画分にn−ブタノールを加え、分配して得たn−ブタノール画分;又は、前記抽出物及び画分をカラムクロマトグラフィーにより得た抽出物である、請求項13に記載の使用。
【請求項15】
アンドロゲン減少に関連する症状が男性更年期障害である、請求項9〜11の何れかに記載の使用。
【請求項16】
男性更年期障害が、体脂肪の増加、筋肉の減少、骨密度の減少、握力の減少、気分低下、鬱病、性欲の減退又は認知症から選択される、請求項15に記載の使用。
【請求項17】
治療有効量の竹又は竹抽出物を、哺乳動物に投与することよりなる、アンドロゲン減少に関連する症状を予防又は治療する方法。
【請求項18】
前記抽出物が、水、アセトン又はC1−4アルコールのような極性溶媒、又はそれらの混合溶媒で抽出されるものである、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記抽出物が、n−ヘキサン、ジクロロメタン又は酢酸エチルのような非極性溶媒で抽出されるものである、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記竹が、マダケ属(Phyllostachys)、ササ属(Sasa)又はヤダケ属(Pseudosasa)の竹から選択される、請求項17〜19の何れかに記載の方法。
【請求項21】
前記マダケ属竹が、ハチク(Phyllostachys nigra var. henonis)、クロチク(P. nigra)、マダケ(P. bambusoides)、モウソウチク(P. pubescence)、ゴマダケ(P. nigra for. punctata)又はクァンアムチク(P. compressa)から選択され、ササ属竹が、コウライザサ(Sasa coreana Nakai)、コレアナザサ(S. coreana)、チシマザサ(S. kurilensis)、タンナザサ(S. quelpaertensis)、スズダケ(S. borealis)、コウライスズダケ(S. borealis var. chiisanensis)又はチクヨウ(S. borealis var. gracilis)から選択され、そしてヤダケ属竹が、ヤダケ(Pseudosasa japonica)又はスズヤダケ(Pseudosasa japonica var. purpurascens)から選択される、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記抽出物が、前記C1−4アルコール抽出物を水で懸濁し、n−ヘキサンを加え、分配して得た水溶性画分又はn−ヘキサン画分;前記水溶性画分にジクロロメタンを加え、分配して得たジクロロメタン画分;前記ジクロロメタン画分を分離した後、残りの水溶性画分に酢酸エチルを加え、分配して得た酢酸エチル画分;前記酢酸エチル画分を分離した後、残りの水溶性画分にn−ブタノールを加え、分配して得たn−ブタノール画分;又は、前記抽出物及び画分をカラムクロマトグラフィーにより得た抽出物である、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
アンドロゲン減少に関連する症状が男性更年期障害である、請求項17〜19の何れかに記載の方法。
【請求項24】
男性更年期障害が、体脂肪の増加、筋肉の減少、骨密度の減少、握力の減少、気分低下、鬱病、性欲の減退又は認知症から選択される、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
竹を、水、アセトン若しくはC1−4アルコールのような極性溶媒、又はそれらの混合溶媒で抽出してアンドロゲン作用組成物を製造する方法
【請求項26】
竹を、n−ヘキサン、ジクロロメタン又は酢酸エチルのような非極性溶媒で抽出してアンドロゲン作用組成物を製造する方法。
【請求項27】
前記竹が、マダケ属(Phyllostachys)、ササ属(Sasa)又はヤダケ属(Pseudosasa)の竹から選択される、請求項25又は26に記載の方法。
【請求項28】
前記マダケ属竹が、ハチク(Phyllostachys nigra var. henonis)、クロチク(P. nigra)、マダケ(P. bambusoides)、モウソウチク(P. pubescence)、ゴマダケ(P. nigra for. punctata)又はクァンアムチク(P. compressa)から選択され、ササ属竹が、コウライザサ(Sasa coreana Nakai)、コレアナザサ(S. coreana)、チシマザサ(S. kurilensis)、タンナザサ(S. quelpaertensis)、スズダケ(S. borealis)、コウライスズダケ(S. borealis var. chiisanensis)又はチクヨウ(S. borealis var. gracilis)から選択され、そしてヤダケ属竹が、ヤダケ(Pseudosasa japonica)又はスズヤダケ(Pseudosasa japonica var. purpurascens)から選択される、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
さらに、前記C1−4アルコール抽出物を水で懸濁し、n−ヘキサンを加え、分配して水溶性画分及びn−ヘキサン画分を得る工程;前記水溶性画分にジクロロメタンを加え、分配して水溶性画分及びジクロロメタン画分を得る工程;前記ジクロロメタン画分を分離した後、残りの水溶性画分に酢酸エチルを加え、分配して水溶性画分及び酢酸エチル画分を得る工程;前記酢酸エチル画分を分離した後、残りの水溶性画分にn−ブタノールを加え、分配して水溶性画分及びn−ブタノール画分を得る工程;又は、前記抽出物及び画分をカラムクロマトグラフィーにより抽出物を得る工程;を含有してなる、請求項25に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2008−502712(P2008−502712A)
【公表日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−527019(P2007−527019)
【出願日】平成17年6月10日(2005.6.10)
【国際出願番号】PCT/KR2005/001765
【国際公開番号】WO2005/120537
【国際公開日】平成17年12月22日(2005.12.22)
【出願人】(505219794)ユニジェン インク. (8)
【Fターム(参考)】