説明

竹葉抗酸化物とその用途

本件発明は、竹葉抗酸化物(AOB)の組成とその用途に及ぼす。本件発明の目的は、十分な資源供給、安全で高効率、経済的で手ごろな天然で、栄養的で、多機能の新しい食品添加剤を提供することである。AOBは、竹葉から得られる黄色や黄褐色の粉末又は細粒であって、その主な抗酸化有効成分はフラボン類、ラクトン類およびフェノール酸類の化合物である。AOBは、脂肪の自ら酸化のチェイン反応を遮断することができ、過渡状態にある金属イオンをキレートさせることもでき、同時に第1級および第2級の抗酸化剤として役立つ。また、効果的に亜硝酸塩を除去することができ、N-ニトロソアミンの合成を遮断することもできる。更に、抗菌、抑菌、除臭、増香の作用も兼有している。AOBは、油含有食品、肉製品、水産物、膨張食品など多種の食品分野に広く応用される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本件発明は食品添加剤の領域、特に竹葉抗酸化物とその用途に及ぼす。食品工業に豊かな資源量、高安全性、優良品質、低コストの天然、栄養の多機能食品添加剤を提供する。具体的に言えば、本件発明は竹葉から抽出した竹葉抗酸化物(AOB)の化学構成、物理化学特性、抗酸化活性に対し記述する同時に、またこの物質を食用油、含油食品、肉類製品、水産物、果汁、ソフトドリンク、醸造酒、乳製品、調味料、膨化食品および菓子など分野における応用に関しても記述する。
【背景技術】
【0002】
食品工業は国の経済と人民生活に関連しており、それは各国の経済領域において極めて重要な地位を占める。原料、加工過程と設備および食品添加剤は近代食品工業の発展を制約するの三大要素となり、その中、食品添加剤は三大要素の中でも最も活発、積極的な要素となる。
【0003】
当面、中国の食品添加剤工業を外国の先進レベルに比べると、品質、安全性および数量上において皆かなり大きい格差があるので、とても大きい発展スペースと潜在力を持っている。ここ数年来、中国の添加剤業界は積極的に「天然、栄養、多機能」の方針を提唱し、これは国際的な自然に戻ろうというトレンドに一致する。中国のグリーン食品発展センターは1999年の9月に公布したグリーン食品に関しての各種基準では「AA級グリーン食品は、ただ天然の添加剤だけを用いるものとし、生産過程中でいかなる化学合成の添加剤の使用を禁止し、完成品からは化学合成農薬と合成食品添加剤が検出されてはならない」と規定されている。中国は広い地域、豊かな資源を持っている同時に、数千年にかけての薬と食は同源の伝統を有しているため、天然、栄養、多機能の食品添加剤の発展は独特な有利条件を持っている。食品添加剤の種類はとても多いので、開発の重点を高品質、高い安全性、無異臭、安い価格の新しい品種に置く。天然食品添加剤の発展はすでに逆転できない国際的流れになった。
【0004】
中国の食品添加剤産業の品種構成中で、抗酸化剤は最も弱い一環となる。抗酸化剤を用いて食品の酸化を防止するのは食品貯蔵の最もの常用、且つとても有効な手段である。抗酸化剤は通常油溶性と水溶性の2種類に分ける。前者では天然のVE(ビタミンE)と人工合成の没食子酸プロピル(Propyl gallate)、ビタミンCエステル類、BHA(ブチルヒドロキシアニソール)、BHT(ジブチルヒドロキシトルエン)およびTBHQ(t-ブチルヒドロキノン)などが含まれ、後者ではVC(ビタミンC)、イソアスコルビン酸とその塩類、フィチン酸(phytic acid)、茶ポリフェノール(tea polyphenol)などが含まれる。その内、比較的よく使われるものはBHA、BHTなど合成抗酸化剤であり、またそれが動物の実験から一定の毒性と発ガン作用を持っていることが分かって、その安全性が問題となるため先進国ではすでにその使用が基本的に制限されている。例えば、BHAはラットの前胃に対し発ガン作用がある。そのため日本は1982年にBHAをパーム油だけに用いられるよう制限命令を出した。
【0005】
BHTは人体の呼吸酵素の活性を抑制し、肝臓のミクロソーム酵素の活性を増加させるため、米国ではかつて使用禁止されたことがある。TBHQは動物の試験から突然変異の可能性があるため、今なおヨーロッパの各国と日本では皆使用許可を取得することができなかった。PGは価格が高く、且つその使用範囲も比較的に狭い。その他に、ここ数年来、人々は合成食品添加剤における疑いと排斥の心理を持っているため、これらの物質の使用が制限されている。
【0006】
現在、外国製の天然抗酸化剤商品は47種もあるが、その中、抗酸化効果が確かにBHAとBHTより優れるものはローズマリー(rosemary)抽出物である。その他のものとしては、言わばサルビア(Salvia)抽出物、甘草抗酸化物、茶ポリフェノール、エラグ酸(Ellagic acid)、ヒマワリ種抽出物などがある。ロズマリン酸(Rosemarinic Acid)とカルノソール(carnosol)はBHA、BHTに比べて更に強い抗酸化性を持っているのですでに世界範囲で応用されているが、栽培の地理環境に対する要求があまり厳しく、それに生産高が低い、原料価格も高すぎているため、その使用が大きく制限されている。現在、中国で使用許可を得た(すでにGB-2760に収められた)天然抗酸化剤としては、主に茶ポリフェノール、フィチン酸(ナトリウム)、甘草抗酸化物およびリン脂質などがある。天然抗酸化剤は、その安全性、無毒性など長所を持っているので人々に受け入れられ、すでに当面の研究開発のホットスポットになった。
【0007】
食品添加剤の発展方向は天然、栄養、多機能性およびその安全性と信頼性にある。天然食用抗酸化剤で合成抗酸化剤を取り換えるものは今後食品工業の発展方向となり、本土資源の特色と自主の知的所有権を持つ実用的、高効率、低コストの天然抗酸化剤の開発が重点中の重点となる。
【0008】
中国は「竹の王国」としても知られ、とても豊かな竹類資源と長い竹文化の歴史を持っている。領土では40属余り、400余種の竹類を有し、竹林の面積は約400万haに達する。概算統計によると、中国では1億余り人口が全部又は一部の生活費用を竹林や竹製品の加工から稼ぐ。竹類の植物は森林資源の重要構成部分として、高い経済価値を持っているだけではなく、広範な生態、社会的効果も持っている。竹はその独特な生物学、生態学および多用途などの特徴をのため、日に日に人々に重視され、中国の持続可能な発展戦略の中で益々重要作用を見せている。
【0009】
竹葉は中国の民間において広く使われ、悠久の薬用と食用の歴史を持っており、漢方医の有名な解熱・解毒薬である。淡竹葉は《別録》で始めて載せられ、中品に収められている、《別録》では「大寒、無毒。主に胸の中の痰熱、咳と呼吸の乱れの症候を治める」と記載され、また《漢方薬辞海》の記載によると、淡竹葉の効用は:清熱除煩、体液の分泌を促進させて利尿作用がある。《食療本草》では:「主に咳と呼吸の乱れ、消渇(しょうかつ)、痰飲(たんいん)、喉のしびれ、煩熱を取り除く効用がある」と記載されている。歴代の医薬家は皆竹葉の食用と薬用の効果における論述をしている。賈所学氏は《薬品化義》で「竹葉のさわやかな香りは心に沁み込み、やや苦く、内熱を取除く」と記載されており、《聖恵方》では「淡竹葉の粥は、小児心臓の風熱、意識のぼやけを治める効用があり、その処方は淡竹葉60g、うるち米適量、茵陳蒿(いんちんこう) 15gを粥に作って食用する」との食療処方が記載されている。1998年で(淡)竹葉は中国衛生部の認可で食品でも薬品でもある天然物名簿の収録された。
【0010】
中国は竹葉有効成分の研究開発において国際トップレベルにある。竹葉抽出物は張英らが20世紀90年代で開発した植物性フラボン製剤であり、その発明特許「竹葉フラボン抽出物を添加した保健ビール(ZL 98 1 04563.4)」と「竹葉からフラボノイド類化合物エキスの抽出方法及び粉剤の生産方法(ZL 98 1 04564.2)」は、それぞれ2000年と2001年で国家特許管理局の授権を獲得した。多くの研究で、竹葉フラボンは優れる抗フリーラジカル、抗酸化、抗老化、抗菌、抗ウィルスおよび心臓血管、もう血管系の保護、高齢退化性疾病の予防・治療など生物学効用を持っており、またその豊かな原料供給、明確している機能因子、信頼できる安全性、高効率で安定している製剤品質およびさわやかで甘い香りの竹の特色を持っているので、ここ数年来、機能性食品および医薬健康食品の領域で頭角を現している[張英,天然の機能性添加剤――竹葉抽出物、精密専用化学品(Zyang Ying, A Natural and Functional Supplement - Lophatherum Extract, Fine and Special Chemical
Substances)、2002,10(7):20〜22]。
【0011】
竹葉抽出物の機能性成分は主にフラボン配糖体であり、その中C-配糖体が主となる。4種の主な竹葉フラボンC-配糖体はそれぞれオリンティン(Orientin)、イソオリンティン(Homoorientin)、ビテキシン(Vitexin)とイソビテキシン(Isovitexin)。フラボンC-配糖体はフラボンO-配糖体に比べて、以下の長所が際立っている:(1)安定な化学構造を持っているため容易に分解されない。(2)患部に深く入り込んで、直接に治療に役立つことができる。(3)親水性が強いので、薬品・食品・化粧品の開発に適している。国際学術界は90年代からフラボンC-配糖体に注目を集めており、この領域は最新先端研究に属する。現在、竹葉フラボンの主要用途は医薬中間体、保健食品原料、飲料および酒類の栄養強化剤として用いられている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、竹葉フラボンのように本土の資源特色と自主の知的所有権を持つ植物抽出物の潜在の品種にとって、以上の応用分野だけに限定されてははるかに不足しているため、着実な基礎、巨大な市場容量と安定している需要を探し出さなければならなく、また持続可能な発展の国民経済基礎産業をその基盤とする。竹葉の「薬食両用」の独特な背景と竹葉フラボンの豊かな資源供給は食品工業分野における応用が広い将来性がある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
発明内容
本件発明の目的は竹葉抗酸化物およびその用途を提供することである。
竹葉抗酸化物の中で代表的成分の化学構造式は次のとおり:
【0014】
【化1】

【0015】
竹葉抗酸化物を天然で、栄養的で、多機能の添加剤として食品工業で応用する。
本件発明は十分な資源供給、安全で高効率、やさしい風味、安定な性能、経済的で手ごろなど長所を持つ竹葉抗酸化物(AOB)を提供する。これは中国本土の資源特色を持つ天然、栄養、多機能の新しい食品添加剤である。その多機能性は、高効率の脂質抗酸化性以外に、また抗菌、抑菌、除臭の効用と一定の栄養・保健作用も兼有しているから体現される。同類の製品と比べて、その際立つ長所はまた肉製品加工分野で表現される。それはVEにひけを取らない抗酸化作用を持っている同時に、またそれをイソアスコルビン酸ナトリウム(Sodium Erythorbate)と調合すると、硝酸塩や亜硝酸塩の使用量およびその残留量を大幅に減らせ、またN-ニトロソアミン(N-nitrosoamines)の形成を抑えるにより肉製品の安全性と商品性を高める。食用油、油含有食品、中華風や西洋式肉製品、水産物、果汁、乳製品、ソフトドリンク、醸造酒、調味料、膨張食品および菓子など分野に広く応用されるため、食品工業における応用は広い将来性がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
具体的実施方法
本件発明で言及される竹葉抗酸化物(Antioxidant of Bamboo Leaves、AOBと略書)はイネ科(Graminae)、竹亜科(Bambusoideae)、剛竹属(Phyllostachys Sieb. et Zucc)品種の葉から得られるフェノール類化合物の総称を指すものをいう。竹葉抗酸化物は元ある特許技術(特許番号ZL 98 1 04564.2)の基で更に結晶させて取得することができ、その具体的工法の流れは次の通り:竹葉→洗浄→乾燥→粉砕→エタノール〜水溶液の熱回流による抽出→濾過→減圧濃縮→静止状態で綿状凝集→分離により不純物除去→1-ブタノールにより予定のステップで抽出→減圧濃縮させて溶剤を回収する→保温結晶→遠心分離法により結晶を分離→95%のエタノールを用いて結晶を洗浄→真空乾燥→AOBが得られる。竹葉抗酸化物はまた各種竹葉フラボンの粗抽出の基で、更に吸着〜吸着物分離、カラムクロマトグラフィー(Column chromatography)、膜分離、クロマトグラフ分離およびその他の組み合わせ方法から得られる高精度の製剤でもある。
【0017】
AOBの外観は黄色や黄褐色の粉末又は細粒で、フラボノイドの含有量≧30%(硝酸アルミニウム−亜硝酸ナトリウム比色法、ルチン(Rutin)による計算)、テルペンラクトンの含有量≧15%((ヒドロキサム酸比色法、エスカリン(Escalin)による計算)、フェノール酸の含有量≧7.5%(注:フェノール酸 = フェノール - フラボイノド、フェノールはフェノール試薬法により測定し、パラオキシ安息香酸を基準品とする)。
【0018】
AOBの臭化カリウム錠剤法による赤外線吸収スペクトルは、波長3400、2935、1626、1079、616cm-1付近に特徴性吸収がある(別図1)。AOBをスペクトル純メタノールに溶かしたものを波長200〜600nmの範囲をスキャンすると、紫外吸収スペクトルは、波長240〜400nm内で2つの主要吸収ピークがあり、その内、270nmと330nm付近にそれぞれ一つの強い吸収ピークがある(別図2)。
【0019】
AOBの化学試薬による鑑別方法:本品を0.5g取って100mLの95%エタノールに溶解(溶液Aとする)させた後、次の方法により鑑別する。(1)溶液Aを1mL取り、その中に1%FeCl3-エタノール溶液2〜3滴を加えると、溶液は濃い青色や青紫色を呈する。(2)溶液Aを1mL取り、その中に1%AlCl3-エタノール溶液2〜3滴を加えると、溶液は鮮やかな黄色を呈する。本品を0.5g取って10mLのエーテルを加えた後、超音波により補助抽出を30s間行い、その後、それを濾過させる。濾液1mLを取り、それを70〜90°Cの熱水浴に入れてエーテルを完全揮発させた後、順次に2%のm-ジニトロベンゼン(m-Dinitrobenzene)溶液(95%のエタノールを用いて調製する)と2.5mol/LのKOH水溶液をそれぞれ1mL加えると、混合液は直ちに微赤色を呈し、また上記の熱水浴の中に入れると、混合液は迅速に深い紫紅色に変わる。
【0020】
本件発明の及ぼす最新研究によると、カラムクロマトグラフィー(Column chromatography)と向流クロマトグラフなどを経過して更に分離されて得られる成分の抗酸化効果が本品に近いものかそれとも本品と同等である。従って、AOBは複合的で、且つ相互協同増効作用のある混合物である。その抗酸化作用の有効成分はフラボイノド類、テルペンラクトン類およびフェノール酸類の化合物である。
【0021】
フラボノイド類化合物は主にフラボンC-配糖体であり、その4種の代表的化合物は:(I)オリエンチン(Orientin, C21H20O11, 448)、(II)イソオリエンチン(Homoorientin,C21H20O11,448)、(III)ビテキシン(Vitexin, C21H20O10, 432)である、(IV)イソビテキシン(Isoriextin, C21H20O10, 432)。テルペンラクトン類化合は主に(V)ヒドロキシクマリン(Hydroxycoumarin)およびその配糖体である。フェノール酸類化合物は主に桂皮酸の誘導体であり、(VI)クロロゲン酸(Chlorogenic acid, C16H18O9,354)
、(VII)コーヒー酸(Caffeic acid,C9H8O4,180)、(VIII)フェルラ酸(Ferulic acid,C10H10O4,194)などが含まれる。
【0022】
AOBのRP-HPLCスペクトルは別図3に示す。分析条件:Agilent1100高効率液体クロマトグラフィー、クロマトグラフィーカラム(Chromatography columns)はLuna C18カラム(4.60×250mm、dp 5μm)、流動相はアセトニトリル/1%酢酸、流速1mL/min、カラム温度40℃、試料流入量30μL、勾配溶出(gradient elution)の手順は次の通り。
【0023】
【表1】

【0024】
AOBの特徴は脂肪の自ら酸化の連鎖反応を遮断することができれば、過渡状態にある金属イオンをキレートさせることもでき、同時に第1級および第2級の抗酸化剤として役立つ。AOBは(1)強い抗フリーラジカルの活性を持っているため、多種の活性酸素(OH、O2-、RO、ROOなど)を取り除くことができる。(2)優れる抗酸化活性を持ってるため、効果的に脂質の過酸化を抑え、脂質の過酸化物であるマロンアルデヒド(MDA)の形成に対し明らかな抑制作用を持っている。(3)効果的に亜硝酸塩を除去することができ、また強い発ガン物質であるニトロソアミン(nitrosoamines)の合成を遮断する。(4)強い抑菌作用を持っているため、サルモネラ ティフィリウム(Salmonella typhimurium)、グラム陰性桿菌および陽性球菌などに対し皆一定の抑制作用がある。これ以外に、ある情況の下でAOBはまた良好な着色、増香、味の矯正および除臭の作用も有する。
【0025】
AOBはやさしい風味と味覚を持ち、薬味や苦さ又は刺激性匂いがなく、水溶性が高く、品質は安定し、効果的に酸・熱・酵素による分解に耐え、多種の食品分野に適用される。その多機能性は次の方面において体現される:高効率の抗脂質酸化性を有する以外、天然の黄色色素でもあり、また抗菌、抑菌、除臭、増香の作用も兼有している。同類の製品に比べて、際立っている有利条件はまた肉製品の加工における抜群している次の性能から表現される。(1)VEにひけを取らない抗酸化作用を持っている同時に、またそれをイソアスコルビン酸と合わせて使用すると(竹葉抽出物とイソアスコルビン酸やイソアスコルビン酸ナトリウムの重量比0.01:10〜10:0.01、更によいのは0.1:10〜10:0.1)、その高効率のNO-フリーラジカル除去能力により、顕著に発色剤(硝酸塩や亜硝酸塩)の使用量を減らせ、又はその使用量を減少しないの前提でその残留量を顕著に減らせる。これ以外、N-ニトロソアミン(N-nitrosoamines)の形成を抑えるにより肉製品の安全性を高める。(2)肉製品の中でよく使われる紅麹色素(Monascus color)は抗酸素により色保護の作用を有しているため、肉製品の安定性の向上および肉製品の色合いの改善に役立って商品性をアップさせる。(3)AOBには豊かな多水酸基のフェノール性化合物を含有しているため、良好な水分保持と保湿性を有し、これは肉製品の質改善に役立ち、このポイントは切片して使う西洋式製品にとってはとりわけ重要なものに見える。
【0026】
AOBの持っている優良品質、高い安全性、無異臭、安い価格、それに兼ね備えた天然、栄養、多機能性は、食品領域の応用において次の方面が含まれ、且つこれだけに限定されない:食用油(植物油と魚油など)、含油食品(マヨネーズなど)、肉製品(西洋式と中華風の肉製品)、水産物(エビ、カニ、魚など)、果汁、ソフトドリンク(炭酸飲料、非炭酸飲料、茶飲料)、醸造酒(ワイン、黄酒、ビール)、乳製品(新鮮乳と含乳飲料)、
調味料(オイスターソースなど)、膨張食品(油かけ類)、菓子など。添加量は0.005〜0.05%(重量百分比)が好ましい。
【0027】
本件発明のAOBは食品分野において単独で使うことができるが、その他の天然抗酸化剤(例えばリン脂質、フィチン酸)、ビタミン(例えばVE(ビタミンE)、VC(ビタミンC)及びその誘導体)、金属イオンキレート剤(例えばEDTA、クエン酸)、界面活性剤(例えばSpan80、Span40)などと合わせて使うと、顕著な協同増効作用を取得できる。
【0028】
本件発明のAOBを適切な割合で各種食品分野に添加すると、活性酸素(フリーラジカル)を取除き、脂質の過酸化を抑えることにより製品の貯蔵寿命を延長させ、発色剤(硝酸塩や亜硝酸塩)の使用量と残留量を減らし、また抗菌、抑菌、鮮度保持、色保護、除臭、味の矯正など多重効果を果たせる。
【0029】
本件発明のAOBは実際需要に応じて各種形態に製造することができる。例えば、粉剤、水溶液剤、マイクロエマルジョン、マイクロカプセル剤などがあげられる。また、一層の構造改善により(例えばフラボンC-配糖体とパルミトイルクロリド(Palmitoyl Chloride)のエステル化)その親油性を向上させる。
【実施例】
【0030】
本件発明を下記の非限定性実施例を例に説明する。下記の実施例で及ばされるAOBの添加量は皆重量百分比を用いる。
〈実施例1〉
(竹葉抗酸化物(AOB)の西洋式肉製品分野における応用)
西洋式ソーセージの餡を掻き混ぜる時や原料を調製する時、一定の割合のAOB(肉の材料の重量百分比で計り、事前に水で溶かす)を添加し、茶ポリフェノール(tea polyphenol)を対照組にし、改良のチオバルビツール酸(TBA)法を採用し、それに色差測定、テクスチャ解析(Texture analysis)および亜硝酸塩含有量測定を結び付けて、AOBを西洋式肉製品の抗酸化剤としての使用効果を総合評価した。AOBの添加量を0.03%にし、また亜硝酸塩とイソアスコルビン酸ナトリウムを元の調合指図書の基で半減して使うと、最も理想の製品が得られて効果的に脂肪の酸化を遅らせ、MDAの形成を抑えるにより製品の貯蔵寿命を延ばせ、顕著に完成品の亜硝酸塩含有量も減らせて食用の安全性を高めた。同時に、ソーセージの風味、色合いおよび質などには不良影響を与えなかった。AOBの西洋式ソーセージにおける総合的効果は茶ポリフェノールより優れ、またイソアスコルビン酸ナトリウムとの協同抗酸化作用も見せた。
【0031】
〈実施例2〉(竹葉抗酸化物(AOB)の中華風ソーセージ分野における応用)
原料を調製する時にAOB(添加量は肉の材料との重量百分比によって定め、事前に水やお酒を用いて溶かす)を添加する。試験からAOBを添加すると次の効果があることが示された。(1)もとの調合指図書により0.03%のAOBを添加後、過酸化値(POV)と酸価(AV)を測定した結果、ソーセージの抗酸化性を顕著に向上させた。(2)完成品の亜硝酸塩含有量はただ対照組の56%。(3)0.03%の添加量の効果が添加量が0.06%の高分量組よりも優れる、この分量を採用すれば、顕著に完成品の抗酸化性を向上させるだけでなく、効果的に亜硝酸塩も取り除くことができ、また更にN-ニトロソアミン(N-nitrosoamines)の合成を遮断させ、同時に製品の色合い、質および他の風味品質には不良影響を与えないので、消費者に受け入れやすい。
【0032】
〈実施例3〉
(竹葉抗酸化物(AOB)の薫製品分野における応用)
AOBを0.03%の水溶液に調製し、同時に同じ濃度のTBHQ(事前にエタノールを用いて融解させる)対照組みを設けた。厚さが約1cmの金華ハムのスライスを上記の二種溶液にそれぞ
れ2分間浸した後、そのハムスライスの抗酸化性および知覚される品質における影響を比較した。AOBはなまハムの薫製香味をマスクするが、よく煮えた後味わうと、その風味と味覚は違いがなく、色差測定の結果からハムの色合いに与える影響は顕著な違い(p>0.10)がなかった。50±1℃のオーブンの中で11日間貯蔵した後のAVとPOVの測定結果、AOBをTBHQは試験組と対照組に比べて、脂質の酸化が顕著に抑えられ、製品の貯蔵寿命も著しく延ばせる、その内、AOBの効果がTBHQよりやや優れる。
【0033】
〈実施例4〉
(竹葉抗酸化物(AOB)の水産物分野における応用)
漁獲したクルマエビ(Malaysian prawn)と中国モクズガニをそれぞれ水が澄んでいる池に入れて約20〜24h(水に酸素供給)一時養った後その養う水に0.015%のAOBを加えた。水内のエビとガニは消化道内の残留物を吐き出す同時に、一定量のAOB抗酸素成分を摂取する。一時養ったエビとカニを缶詰めに加工し、それをそれぞれ常温と低温で貯蔵し、また高温の下で酸化促進試験を行う。一時養う水にAOBを添加した結果、製品の抗酸化能力は顕著に向上され、完成品の色合いの保持性も明らかに対照組((p<0.05)より良く、効果的にアスタシン(Astacene)の酸化による色褪およびエビの頭が酸化により暗くなることも抑えられた。35±1℃の貯蔵試験で袋の膨張率(bag-expanding rate)は顕著に下る(p<0.05)から、一定の抑菌鮮度保持の効果を示した。缶詰めを常温で3ヶ月間貯蔵後、エビとカニの筋肉ホモジェネート中のマロンアルデヒド(MDA)の含有量が顕著に空白対照組より低かった。(詳細は次の表に示す)
【0034】
【表2】

【0035】
〈実施例5〉
(竹葉抗酸化物(AOB)の膨張食品分野における応用)
AOBを0.5g取って10mLの95%エタノールに溶解させた後、1,000gのパーム油と混合させた。膨張雪米菓子に油を塗る時、菓子の初期品の表面に上記の混合液をスプレー(油塗り率18〜20%、温度60℃)し、冷却後に包装する。試料を70±1℃のオーブン内に入れて酸化を加速化させ、一定の時間間隔を置いて、Soxhlet抽出法により試料の油脂を抽出し、改良のチオバルビツール酸(TBA)法によりMDAの含有量を測定した。試験結果、AOBの抗酸化効果がTBHQよりやや良く、明らかに茶ポリフェノールより優れることを示した。
【0036】
〈実施例6〉
(竹葉抗酸化物(AOB)の調味料分野における応用)
マヨネーズは卵黄と食用植物油を主要原料とし、それに若干の補助料を添加して加工した乳化状の半固体食品で、栄養価の高い調味料である。基本調合指図書(ヒマワリ油70%、新鮮卵黄14%、純白酢12%、砂糖2%、塩1%および乾燥のからし粉1%)のもとで、異なる割合のAOBを添加し、同時に茶ポリフェノール(TP)対照組と空白対照組を設けた。風味評価
、色差分析、過酸化物の値(POV)およびカルボニル化合物含有量(TCC)の測定などにより、AOBとTPの抗酸化性能を比較した結果、(1)AOBの添加は製品の色合い、風味品質に対し顕著な影響を与えなかった。(2)試料を45℃の温度で酸化を加速化させる時測定したPOV値とTCC値から見て、2つの抗酸化剤は油脂酸化の防止およびマヨネーズの品質保証期延長に対し皆一定の効果を示した。その中、0.03%のAOBを添加する時の抗酸化効果が最もよく、空白対照組が腐敗される時、この組のPOVとTCCはそれぞれ対照組の43.2%と47.9%だけとなった。その内、0.03%のAOB添加分量の抗酸化効果が同等分量のTPより優れていた。
【0037】
〈実施例7〉
(竹葉抗酸化物(AOB)のミルク高温殺菌分野における応用)
れんが状紙ボックスにミルクを高温瞬時殺菌包装する前、AOBを添加(添加量を75mg以下にする)すると、ミルクのコロイドシステムと風味品質には不良影響を与えないが、製品の抗フリーラジカルおよび抗酸化活性に対し顕著な改善をもたらした。AOBの添加量を75mg/Lにした時、ミルクの抗OH.能力は対照組の200%となり、且つ製品に新しい健康概念を与えた。
【0038】
〈実施例8〉
(竹葉抗酸化物(AOB)の果汁飲料分野における応用)
イージーオープン缶包装のVC強化オレンジ飲料の中に、120mg/LのAOBを添加すると、製品は独特のさわやかな風味を与える外、色合いも鮮やかで安定し、商品の貯蔵寿命も延ばせた。常温の貯蔵条件で、AOBを添加しない対照組は8ヶ月になると、飲料の色合いはもう明らかに暗くなり、飲料の液体システムは軽微に濁られて品質が下がるが、AOBを添加した試料は12ヶ月経ても依然として鮮やかなオレンジ色を保持し、飲料の液体システムは安定で均一している、HPLC測定の結果そのVcの損失量が対照組の1/2だけになった。これはAOBがオレンジジュースの酸化を防止し、アントシアニン(anthocyanin)を安定させ、VCを保護し、またオレンジ飲料システムとの良好な相溶性を示した。
【0039】
〈実施例9〉
(竹葉抗酸化物(AOB)のソフトドリンク分野における応用)
AOBをソフトドリンク(炭酸飲料、非炭酸飲料および茶飲料などが含まれる)に使うならば、抗酸化剤となる同時に、栄養増加剤ともなった。その添加量は通常150〜210mg/L以内にし、また蔗糖の使用量を適当に減らすことができた。添加された製品の主要特徴は、竹葉のさわやかな香りを有し、豊かなフラボン機能因子含み、低カロリーで、解熱作用を有し、喉の渇きをいやし、喉によく、利尿作用があり、品質も安定した、一種の新しい栄養・保健機能を持つ飲料となった。
【0040】
〈実施例10〉
(竹葉抗酸化物(AOB)の醸造酒分野における応用)
AOBは醸造酒(ワイン、黄酒およびビール)に添加する時、抗酸化および栄養強化の二重効果を果たし、その添加量は通常60〜500mg/L内にし、醸造原酒を濾過、包装する前に加えた。紹興塔ブランドの加飯酒を例に、AOBを150mg/L添加した時、黄酒のO.2-とOH.除去能力はもとの酒に比べてそれぞれ40.0%と28.5%高めることが化学発光法の測定で分かれる。ビールに同量のAOBを添加すると、色度は少し増加されるが、濁度は不変であり、熱安定性の試験後の濁度は明らかに対照組より低く、ジアセチル(diacetyl)の反発は顕著に抑えられ同時に、抗酸化性能と貯蔵安定性は明らかにアップされた。AOBは醸造酒の酒体と良好な相溶性を持っており、一定の添加分量範囲内に限って用いると、酒体の元の品質を保つだけでなく、製品にあっさりした竹香りと甘い風味を与えた。従って、AOBは天然の多機能バイオ抗酸化剤として醸造酒の栄養強化および品質保持に応用できた。
【0041】
〈実施例11〉
(竹葉抗酸化物(AOB)の食用油分野における応用)
10gのAOBを40gのSpan40に溶かし(必要時に加熱した)、それにまた50gのSpan80を添えた後均等に混ぜて、質量百分比が0.10の脂溶性AOB溶液を調製した。使う時は油中のAOBの実際必要量に基づいて換算して添加すべきであり、通常純油脂システム(パーム油、大豆油、ヒマワリ油、魚油など)におけるAOBの添加量は0.01〜0.05%とした。
【0042】
上記の実施例から、本件発明では多くの可能な修正と変更があることは歴然としている。したがって、本件発明はその請求する権利範囲内で、本文の記述以外の他の方法により実施されうる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】竹葉抗酸化物(AOB)の赤外線吸収スペクトル(臭化カリウム錠剤法)
【図2】竹葉抗酸化物(AOB)の紫外線吸収スペクトル(純スペクトルを持つメタノールに可溶部)
【図3】竹葉抗酸化物(AOB)の高効率液相クロマトグラム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
代表的な成分の化学構造式は下のような構造式であることを特徴する竹葉抗酸化物。
【化1】

【請求項2】
抗酸化物は1組の複合的で、かつ相互協力により効果を増加する作用がある混合物であって、その外観は黄色又は黄褐色の粉末や細粒状であって、その主な抗酸化有効成分はフラボン類、ラクトン類およびフェノール酸類の化合物であり、代表的な化合物としては、(I) オリンティン(Orientin)、(II) イソオリンティン(Homoorientin)、(III)ビテキシン(Vitexin)、(IV) イソビテキシン(Isoriextin)、(V) ヒドロキシクマリン(Hydroxycoumarin)、(VI) クロロゲン酸(Chlorogenic acid)、(VII)コーヒー酸(Caffeic acid)、(VIII) フェルラ酸(Ferulic acid)があることを特徴する請求項1に記載の竹葉抗酸化物。
【請求項3】
(1)ルチン(Rutin)を基準品として、硝酸アルミニウム−亜硝酸ナトリウム比色法を用いて測定したところ、フラボンの総含有量が30%以上であり;(2)エスカリン(Escalin)を基準品として、ヒドロキサム酸比色法を用いて測定したところ、ラクトンの総含有量が15%以上であり;(3)パラオキシ安息香酸を基準品として、フェノール試薬法を用いて測定したところ、フェノール酸の総含有量が7.5%以上 (総フェノール-総フラボン)であることを特徴する請求項2に記載の竹葉抗酸化物。
【請求項4】
前記の抗酸化物の臭化カリウム錠剤法による赤外線吸収スペクトルでは、波長3400、2935、1626、1080、616cm-1の付近に特徴性吸収があり、その抗酸化物をスペクトル純メタノールに溶かしたものの紫外線スペクトルでは、波長240〜400nm範囲で2つの主要吸収ピークがあり、その内、270nmと330nm付近でそれぞれ一つの強い吸収ピークがあることを特徴する請求項1に記載の竹葉抗酸化物。
【請求項5】
天然で、栄養的、多機能の食品添加剤として、食用油、油含有食品、中華風や西洋式肉製品、水産物、果汁、乳製品、ソフトドリンク、醸造酒、調味料、膨張食品および菓子の分野において応用し、重量百分比による添加量を0.005〜0.05%範囲にすると、活性酸素フリーラジカルを除去し、脂質の過酸化を抑制するにより製品の貯蔵寿命を延長させ、硝酸塩や亜硝酸塩発色剤の使用量と残留量を減少させ、且つ抗菌、抑菌、鮮度保持、色保護、除臭、味の矯正の多重効果を果たすことを特徴する竹葉抗酸化物の使用。
【請求項6】
肉製品の添加剤として硝酸塩や亜硝酸塩の使用量と残留量の減少、またN-ニトロソアミン(N-nitrosoamines)形成の抑制、紅麹色素(Monascus color)安定性の向上および/あるいは肉製品の水分保持と保湿性向上にも用いることを特徴する竹葉抗酸化物の使用。
【請求項7】
竹葉抗酸化物の使用方式について単独で使用することができ、その他の天然抗酸化剤、ビタミン、金属イオンキレート剤、界面活性剤と合わせて使用することもできることをを特徴する請求項5あるいは6に記載の使用。
【請求項8】
記述された天然抗酸化剤はリン脂質とフィチン酸であり、ビタミンはVE(ビタミンE)、VC(ビタミンC)およびその誘導体であり、金属イオンキレート剤はEDTAとクエン酸であり、界面活性剤はSpan80、Span40であることをを特徴する請求項7に記載の使用。
【請求項9】
竹葉抗酸化物の使用形式は、粉剤、水溶液剤、マイクロエマルジョン、マイクロカプセル剤であることをを特徴する請求項5或いは6に記載の使用。
【請求項10】
竹葉抗酸化物の使用量を肉製品重量の0.005-0.05%にし、また前記の肉製品がソーセージ、ハムおよび薫製品を含めていることをを特徴する請求項6に記載の使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2007−507437(P2007−507437A)
【公表日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−529563(P2006−529563)
【出願日】平成16年10月8日(2004.10.8)
【国際出願番号】PCT/CN2004/001133
【国際公開番号】WO2005/032275
【国際公開日】平成17年4月14日(2005.4.14)
【出願人】(505218948)杭州浙大力夫生物科技有限公司 (3)
【氏名又は名称原語表記】ZHEJIANG UNIVERSITY (HANGZHOU) LEAF BIO−TECHNOLOGY CO., LTD.
【Fターム(参考)】