説明

竹製圧縮材、その製造方法及び製造装置

【課題】竹製圧縮材の材料となる多数の竹材料をまとめたものを圧縮するときに竹組織の密度が低い部分を効率よく圧縮できるようにして全体における竹組織の密度の均一化を図り、曲げや割れ等に対する強度が従来のものよりすぐれた竹製圧縮材を提供する。
【解決手段】圧縮用竹材料(9)は所要の長さを有し断面形状が台形状の八本の竹材料(90)で構成されている。竹材料(90)は、圧縮用竹材料(9)の外面側となる幅広側が組織の密度が低く、内面側となる幅狭側が組織の密度が高くなっている。各竹材料(90)は傾斜面を互いに密着させて円を描くように配され、傾斜面間には接着剤が入れてあり、中心に孔部(91)が形成されている。圧縮用竹材料(9)を、竹組織の密度が低い外面側に所要の圧力がかかるように、加熱しながら断面円形状の狭小部を通し、組織を圧縮して所要の形状に成形する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、竹製圧縮材、その製造方法及び製造装置に関するものである。更に詳しくは、全体として竹組織の密度の均一化が図られており、曲げや割れ等に対する強度にすぐれた竹製圧縮材、その製造方法及び製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
住宅等の建築物の施工を合理化するために、柱や梁、軒桁等の各構成部材を接合する竹製の圧縮材が使用されている。この竹製圧縮材は機械的強度にすぐれ、構成部材の接合部をつなぐように埋め込んで接着され、構成部材を強固に接合することができる。
【0003】
詳しくは、竹製圧縮材には長さ方向に貫通した接着剤流入用の中心孔が設けられており、この竹製圧縮材は各構造部材の当接面に穿孔された一対の連通孔に挿入され、接着剤注入用の中心孔に接着剤を注入して連通孔と竹製圧縮材の間に溢れ出させて充填し、連通孔内の接着剤を硬化させて構造部材同士を接合する。
【0004】
このような竹製圧縮材は、建築物を解体するとき金属製の固着具と異なり分別の手間がかからず、木材と同様に切断ができるので作業が容易にできるものであり、従来、例えば特許文献1に記載の竹製埋設用部材がある。
【0005】
この竹製埋設用部材は、籤状或いは筮竹状の複数の竹片と接着剤を筒状収容部内に収容し、竹片を筒状収容部から押し出し筒状収容部より小径の筒状金型内に押入しながら圧縮し、型締めした筒状金型内で竹片を加熱して接着し圧密材を形成することにより製造されるものである。
【0006】
【特許文献1】特開2007−168159
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載の発明は、竹の細胞内腔が圧縮されて組織の密度が高く、硬くて機械的強度が強く、さらに強度のばらつきが小さな竹製埋設用部材を得ることを目的とするもので、これらの目的については一応達成できるものである。しかしながら、次のような新たな課題があることも分かってきた。
【0008】
すなわち、籤状或いは筮竹状の複数の竹片は、形状が特に揃っているわけではなく、しかも筒状収容部内にランダムに配されるため、竹片間に多数の隙間が生じる。このため、多数の竹片をまとめたものを筒状金型内に押し入れようとすると、縦方向に座屈が発生し均一な圧縮ができないおそれがあった。
【0009】
また、周知のように、竹は外皮側に近い部分の組織(または繊維)の密度が高く、外皮側と内皮側で大きな差があるため、各竹片においても同様に密度に差がある。したがって、前記のように竹片をランダムに配して圧縮しても、組織の密度が低い部分が全体に残りやすいため、組織の密度を均一化することが難しく、竹製埋設用部材の強度にムラが生じるおそれがあった。
【0010】
(本発明の目的)
そこで本発明の目的は、竹製圧縮材の材料となる多数の竹材料をまとめたものを押圧して圧縮するときに座屈が発生しないようにし、また、竹材料の組織の密度が低い部分を効率よく圧縮できるようにして、竹製圧縮材の全体における竹組織の密度の均一化を図り、曲げや割れ等に対する強度が従来のものよりすぐれた竹製圧縮材を提供することである。
さらに、このような竹製圧縮材を製造するための製造方法及び製造装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために本発明が講じた手段は次のとおりである。
本発明は、
接着剤を介して接合されている複数の竹材料を備えた竹製圧縮材であって、
各竹材料は組織の密度が低い側から圧力がかけられて組織が圧密され組織密度の均一化が図られており、組織密度の均一化が図られている前記複数の竹材料を接合した竹製圧縮材は、全体としての組織密度の均一化が図られている、
竹製圧縮材である。
【0012】
本発明は、
接着剤を介して接合されている複数の竹材料を備えた竹製圧縮材であって、
複数の竹材料を、その組織の密度が低い側を内部側または外部側に配置して環状、棒状または柱状に形成されており、
各竹材料は組織の密度が低い側から圧力がかけられて組織が圧密され組織密度の均一化が図られており、組織密度の均一化が図られている前記複数の竹材料を接合した竹製圧縮材は、全体としての組織密度の均一化が図られている、
竹製圧縮材である。
【0013】
本発明に係る竹製圧縮材は、
竹材料を断面形状が扇形状、台形状または三角形状とすることもできる。
【0014】
本発明は、
接着剤を介して接合されている複数の竹材料を備えた竹製圧縮材の製造方法であって、
加熱状態のもとで各竹材料に組織の密度が低い側から押圧力をかけて組織を圧密して竹材料の組織密度の均一化を図り、組織密度の均一化を図った前記複数の竹材料を接合した竹製圧縮材全体としての組織密度の均一化を図った、
竹製圧縮材の製造方法である。
【0015】
本発明は、
接着剤を介して接合されている複数の竹材料を備えた竹製圧縮材の製造方法であって、
複数の竹材料を、その組織の密度が低い側を内部側または外部側に配置して環状、棒状または柱状に配置し、
加熱状態のもとで各竹材料に組織の密度が低い側から押圧力をかけて組織を圧密して竹材料の組織密度の均一化を図り、組織密度の均一化を図った前記複数の竹材料を接合した竹製圧縮材全体としての組織密度の均一化を図った、
竹製圧縮材の製造方法である。
【0016】
本発明に係る竹製圧縮材の製造方法は、
各竹材料に組織の密度が低い側から押圧力をかけて組織を圧密するにあたり、環状、棒状または柱状に配置した竹材料を、径大空間から径小空間を通過させて竹材料に押圧力をかけて製造することもできる。
【0017】
本発明に係る竹製圧縮材の製造方法は、
複数の竹材料の中心部に、中心孔を形成するための芯棒を入れて押圧力をかけ、竹製圧縮材の中心部に孔を形成することもできる。
【0018】
本発明は、
竹製圧縮材の製造装置であって、
竹材料を成形する成形ユニットと、
該成形ユニットを所要の温度に加熱する加熱手段と、
前記成形ユニットを作業位置へ順に送る移送手段と、
各作業位置に設けられており前記成形ユニット内にセットされている竹材料を押して縮径するよう移動させる押圧手段と、
を備えており、
前記成形ユニットは、
竹材料をセットするセット部と、
竹材料を圧縮して縮径するテーパー部を有する縮径部と、
竹材料を圧縮して得られた圧縮材を収容する受け部と、
を備えており、
前記成形ユニットのセット部、縮径部、受け部はそれぞれ別体となっているものを組み合わせるか、または、セット部と縮径部は一体で、受け部はセット部および縮径部とは分離して別体となっている、
竹製圧縮材の製造装置である。
【0019】
本明細書及び本願発明の特許請求の範囲にいう「圧密」の用語は、竹組織に繊維方向と交差する方向の圧力を加えて、竹組織または繊維の密度を高めるという意味を含むものとして使用している。
竹製圧縮材としては、例えば前記柱や梁、軒桁等の各構成部材を接合する竹製圧縮材の他、ハンドル等の木製の自動車用品、十分な強度が必要な各種構築物の棒状部品等があげられるが、これらに限定されるものではない。
【0020】
(作用)
本発明に係る竹圧縮材及びその製造装置の作用を説明する。なお、ここでは、説明で使用する各構成要件に、後述する実施の形態において各部に付与した符号を対応させて付与するが、この符号は、特許請求の範囲の各請求項に記載した符号と同様に、あくまで内容の理解を容易にするためであって、各構成要件の意味を上記各部に限定するものではない。
【0021】
竹製圧縮材は、竹組織の密度が低い側に所要の圧力がかかるように竹組織を圧縮して得られる。竹製圧縮材は、このようにしてつくられるので、竹組織の密度が全体においてほぼムラがないように均一化が図られており、曲げや割れ等に対する強度が従来のものよりすぐれている。
【0022】
竹製圧縮材製造装置は、まず成形ユニット(7)のセット冶具(72)に竹材料をセットする。成形ユニット(7)は加熱手段(322)によって所要の温度に加熱されている。
竹材料をセットした成形ユニット(7)は、移送手段(3,30)によって所要の作業位置(P4,P6)に送られる。この作業位置(P4,P6)において、成形ユニット(7)のセット冶具(72)にセットされている竹材料を押圧手段(53,54)によって押圧し竹材料が縮径冶具(71)のテーパー部(710)で縮径されるよう移動させて圧縮する。
竹材料を縮径冶具(71)で圧縮して得られた圧縮材を受け冶具(70)に収容する。そして、受け冶具(70)から圧縮材を取り出して圧縮材を得る。
【発明の効果】
【0023】
(a)本発明に係る竹製圧縮材は、組織の密度が低い側に所要の圧力がかかるように加熱しながら組織を圧縮して得られるので、組織の密度が全体においてほぼムラのないように均一化が図られており、曲げや割れ等に対する強度が従来のものよりすぐれている。これによって、竹製圧縮材は、十分な強度が必要な柱や梁、軒桁等の各構成部材を接合する竹製圧縮材として特に有用である。
【0024】
(b)本発明に係る竹製圧縮材の製造方法によれば、前記組織の密度が全体においてほぼムラのないように均一化が図られており、曲げや割れ等に対する強度がよりすぐれている竹製圧縮材を製造することができる。
また、竹材料の断面形状を扇形状、台形状または三角形状に形成する等して、並べる方向の面同士を密着させて配するようにした製造方法によれば、竹材料をまとめたものを押圧して縮径するときに竹材料の間に隙間が生じにくいので押圧による座屈が発生しない。これにより、竹材料の縮径を安定して行うことができる。
さらに、複数の竹材料の中心部に、圧縮材に中心孔を形成するための芯棒を入れて圧縮する製造方法によれば、竹材料が圧縮されるときに、中心孔を形成する内面が芯棒に強く密着するので、中心孔の周りの破壊が防止され、形が整った中心孔を有する圧縮材をつくることができる。
【0025】
(c)本発明に係る竹製圧縮材製造装置は、前記製造方法を実現することができ、これによって、組織の密度が全体においてほぼムラのないように均一化が図られており、曲げや割れ等に対する強度がよりすぐれている竹製圧縮材を製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
本発明を図面に示した実施例の形態に基づき詳細に説明する。
【0027】
図1は本発明に係る竹製圧縮材の製造方法の第1形態を示し、(a)は竹材料を所定の形状に配した圧縮する前の状態の説明図、(b)は圧縮後の状態の説明図、
図2は本発明に係る竹製圧縮材の製造方法の第1形態を示し、(a)は竹材料を所定の形状に配した圧縮する前の状態の斜視図、(b)は圧縮後の状態の斜視図、
図3は断面形状台形の竹材料の取り方を示す説明図である。
なお、図1ないし図3では、後述するターンテーブル3の一部と加熱筒32を断面図として表している。
【0028】
なお、以下の説明では、各竹材料は、断面形状が台形状のもの、三角形状のものを例示しているが、例えば断面形状が扇形状のもの、つまり外面となる側が円弧状に形成されているもの、さらに扇形状のものの先鋭側(まとめたときに中心部分となる側)の一部を除いた形状のもの(ほぼ扇形状のもの)等を材料として使用することもできる。
【0029】
図1(a)及び図2(a)に示している圧縮用竹材料9は、成形品である竹製圧縮材9aの材料となるものである。圧縮用竹材料9は、八本の竹材料90で構成されている。竹材料90は、所要の長さを有しており、断面形状が台形である。
【0030】
なお、各竹材料90は、図3において実線で示した取り方をする。つまり、圧縮用竹材料9の外面側となる幅広部が材料片99の内皮側の組織の密度が低い側になるようにし、内面側となる幅狭部が材料片99の外皮側の組織の密度が高い側になるようにする。
【0031】
八本の竹材料90は、図1(a)、図2(a)に示すように、各傾斜面を互いに密着させ、ほぼ円を描くように(外形は断面八角形)に配されている。各傾斜面の間には適量の接着剤(図示せず)が入れられている。また、竹材料90をこのように配することで、中心に孔部91が形成されている。
【0032】
そして、圧縮されていない圧縮用竹材料9を、竹組織の密度が低い外面側に矢印で示したように所要の圧力がかかるように、加熱しながら断面円形状の狭小部を通し、組織を圧縮(または圧密)して所要の形状に成形する。この具体的な方法については、後述する竹製圧縮材製造装置の製造工程の説明で詳述する。
【0033】
このように、圧縮用竹材料9の外面側に圧力を加えて竹組織を圧縮することにより、図1(b)及び図2(b)に示すような円筒形状の竹製圧縮材9aを製造することができる。
竹製圧縮材9aには、中心部に孔部91aが前記孔部91から若干の収縮を伴ってほぼ円形となって形成されている。また、竹製圧縮材9aは、竹組織の密度が低い外面側に圧力が加わって竹組織が圧縮されることによって密度が高くなり、前記したようにもともと竹組織の密度が高い内面側に近い密度となる(図1(b)、図2(b)参照)。
したがって、成形品である竹製圧縮材9aは、竹組織の密度が低かった部分が高くなって密度の均一化が図られている(密度のばらつきを小さくしている)ので、曲げや引っ張り、剪断あるいは破壊に対する強度(機械的強度)にすぐれている。
【0034】
図4は本発明に係る竹製圧縮材の製造方法の第2形態を示し、(a)は竹材料を所定の形状に配した圧縮する前の状態の説明図、(b)は圧縮後の状態の説明図である。
【0035】
図4(a)に示している圧縮用竹材料9bは、成形品である竹製圧縮材9cの材料となるものである。圧縮用竹材料9bは、八本の竹材料90bで構成されている。各竹材料90bは、所要の長さを有しており、断面形状が台形である。
【0036】
なお、各竹材料90bは、図3において点線で示した取り方をする。つまり、圧縮用竹材料9bの外面側となる幅広部が材料片99の外皮側の組織の密度が高い側になるようにし、内面側となる幅狭部が材料片99の内皮側の組織の密度が低い側になるようにする。
【0037】
八本の竹材料90bは、図4(a)に示すように、各傾斜面を互いに密着させ、ほぼ円を描くように配されている。各傾斜面の間には適量の接着剤(図示せず)が入れられている。また、竹材料90bをこのように配することで、中心に孔部91bが形成されている。
【0038】
そして、圧縮用竹材料9bの孔部91bに次第に径大となる断面円形状の型ロッド(図示省略)を加熱しながら通し、竹組織の密度が低い内面側(孔部91bの内面側)に矢印で示したように所要の圧力がかかるようにして、圧縮用竹材料9bを製造することができる。
【0039】
圧縮用竹材料9bは、中心に組織の圧縮前よりやや径大となった孔部91cを有し外形が八角棒状である。圧縮用竹材料9bは、竹組織の密度が低い内面側に圧力が加わって竹組織が圧縮(または圧密)されることによって密度が高くなり、前記したようにもともと竹組織の密度が高い外面側に近い密度となる(図4(b)参照)。
したがって、成形品である竹製圧縮材9cは、竹組織の密度が低かった部分が高くなって密度の均一化が図られているので、曲げや引っ張り、剪断あるいは破壊に対する強度(機械的強度)にすぐれている。
【0040】
図5は本発明に係る竹製圧縮材の製造方法の第3形態を示し、(a)は竹材料を所定の形状に配した圧縮する前の状態の説明図、(b)は圧縮後の状態の説明図である。
【0041】
図5(a)に示している圧縮用竹材料9dは、成形品である竹製圧縮材9eの材料となるものである。圧縮用竹材料9dは、八本の竹材料90dで構成されている。竹材料90dは、所要の長さを有しており、断面形状が三角形(二等辺三角形)である。
【0042】
なお、各竹材料90dは、前記竹材料90とほぼ同様に、圧縮用竹材料9dの外面側となる辺部が材料片99の内皮側の組織の密度が低い側になるようにし、中心側となる角部が材料片99の外皮側の組織の密度が高い側になるようにする。
【0043】
八本の竹材料90dは、図5(a)に示すように、各傾斜面を互いに密着させ、ほぼ円を描くように配されている。各傾斜面の間には適量の接着剤(図示せず)が入れられている。また、圧縮用竹材料9dの中心には孔部が形成されていない。
【0044】
そして、圧縮用竹材料9dを前記圧縮用竹材料9と同様に竹組織の密度が低い外面側に所要の圧力がかかるように、加熱しながら断面円形状の狭小部を通し、組織を圧縮して所要の形状に成形する。この具体的な方法は、後述する竹製圧縮材製造装置の製造工程の説明で詳述する圧縮用竹材料9の圧縮成形方法と同様である。
【0045】
このように、圧縮用竹材料9dの外面側に圧力を加えて竹組織を圧縮することにより、図5(b)に示すような円筒形状の竹製圧縮材9eを製造することができる。
竹製圧縮材9eは中実体であり、中心部に孔部は設けられていない。また、竹製圧縮材9eは、竹組織の密度が低い外面側に圧力が加わって竹組織が圧縮(または圧密)されることによって密度が高くなり、前記したようにもともと竹組織の密度が高い内面側に近い密度となる(図5(b)参照)。
したがって、成形品である竹製圧縮材9eは、竹組織の密度が低かった部分が高くなって密度の均一化が図られているので、曲げや引っ張り、剪断あるいは破壊に対する強度(機械的強度)にすぐれている。
【0046】
次に、前記各竹製圧縮材9a、9c、9eを製造することができる竹製圧縮材製造装置Mについて、その構造と作用、使用方法を説明する。
【0047】
図6は本発明に係る竹製圧縮材製造装置の正面図、
図7は竹製圧縮材製造装置の背面図、
図8は竹製圧縮材製造装置の側面図、
図9は図6におけるA−A断面説明図、
図10は図6におけるB−B断面説明図、
図11は図6におけるC−C断面説明図、
図12は成形ユニットの構造を示す縦断面説明図である。
【0048】
竹製圧縮材製造装置Mは、水平度の調節ができる台部1を備えている。台部1の上部には、ベース板10が水平に設けられている。
ベース板10の上面側の四箇所にはガイド支柱2が立設されている。各ガイド支柱2の上端部は、台部1の側部に固定された六本の脚部17によって支えられた上部フレーム170に固定されている。上部フレーム170の上には支持フレーム171が水平に固定されており、支持フレーム171には、モータ60で駆動されるジャッキ6が取り付けられている。ジャッキ6は下方へ向け設けられた昇降体61を備え、その先端部は、後述する昇降フレーム5のほぼ中央部に固定されている。
【0049】
ベース板10の上面には、後述するターンテーブル3の外径と同じ外径を有する円環状のスライドシート11(図9参照)が張設されている。スライドシート11は本実施の形態では材料としてテフロン(登録商標)を使用しているが、滑りやすく耐久性にすぐれたものであれば、他の合成樹脂等を使用してもよい。スライドシート11の帯状の直径線上の幅は、後述する受け冶具70が載置されてスライドできるように受け冶具70の直径よりやや広くなるように設定されている。
【0050】
また、ベース板10において、後述するポジションP2に対応する部分には、上下方向に貫通した挿通孔15が設けられている。ベース板10の下側において挿通孔15に対応する位置には、エアーシリンダー16が伸縮ロッド160を上に向けて取り付けられている。伸縮ロッド160は、挿通孔15を貫通して上方へ伸張することができ、最大に伸張したときのロッドヘッド(符号省略)の位置は、後述する縮径冶具71のテーパー部710の上端と同じ高さである。
【0051】
ベース板10において、後述するポジションP8に対応する部分には、スライドシート11とベース板10を上下方向に貫通した円形の排出穴12が形成されている。排出穴12は、後述するようにスライドシート11上を移動してきた受け冶具70が下方へ落ちることができるように受け冶具70の直径よりやや径大に形成されている。ベース板10の下側において排出穴12に対応する位置には、シュート13が取り付けられている。
【0052】
ベース板10の上側には、各ガイド支柱2の内側に収まるように、円形のターンテーブル3が設けられている。ターンテーブル3は、ベース板10のほぼ中心部に固定されたダイレクトモータ30の回転軸に水平に固定されている。ターンテーブル3とダイレクトモータ30は移送手段を構成する。
また、ベース板10の上面側には、ターンテーブル3の外周部下面を回転移動できるようにローラで支える回転支持具14が周方向へ等間隔で六箇所に設けられている。
【0053】
ダイレクトモータ30は、後述するように一度スタートボタンを押すと、ターンテーブル3が水平方向において45°ごとに二回停止するように回転を制御する。
ターンテーブル3には、周方向に等間隔をおいて四箇所に成形ユニット7が着脱できるようにして取り付けられている。成形ユニット7の構造は、後で詳しく説明する。
【0054】
各ガイド支柱2において上下方向のほぼ中間部には、ガイド支持板4が水平に固定されている。ガイド支持板4には、後述する四箇所のポジションP2、P4、P6、P8に対応してそれぞれ二箇所(成形ユニット7を挟む位置:合計八箇所)にガイド管40が上下方向に貫通して設けられている。また、各二箇所のガイド管40の間には、後述する押下ロッド52、53、54を昇降できるようにして挿通させる挿通孔41、42、43が形成されている(図6、図7に図示)。
各ガイド支柱2においてガイド支持板4より上方には、昇降フレーム5が昇降移動できるように、四隅に設けられている各ホルダ孔50を各ガイド支柱2に嵌め入れて取り付けられている。
【0055】
昇降フレーム5は、後述するジャッキ6の作動により一定の範囲内で昇降することができる。昇降フレーム5には、前記ガイド支持板4の各ガイド管40に対応する箇所にロッド51が下方に向け鉛直方向に設けられている。各ロッド51は各ガイド管40に上方からスライドできるように挿入されている。
【0056】
また、昇降フレーム5には、後述する各ポジションP2、P4、P6に対応するように各ロッド51間に押下ロッド52、53、54がそれぞれ設けられている。押下ロッド52、53、54は押圧手段を構成する。
押下ロッド52はポジションP2(材料セット工程)に対応し、押下ロッド53はポジションP4(第1圧縮行程)に対応し、押下ロッド54はポジションP6(第2圧縮行程)に対応している。
【0057】
主に図6ないし図8及び後述する図15ないし図17を参照して押下ロッド52、53、54の構造を説明する。
押下ロッド52は、上部に設けられており前記昇降フレーム5に設けられている取着管55により締め付け保持される部分である径大の取着部520と、取着部520の下側に設けられ全長にわたり同径のロッド部521で構成されている。
【0058】
ロッド部521の直径は、後述するセット冶具72の収容空間部720に挿入できるようにその内径よりやや径小に形成されている。また、ロッド部521の長さは、図15に示すように、押下ロッド52で押し下げられる圧縮用竹材料9の下端部を縮径冶具71のテーパー部710の上端からやや下に入った所に位置させることができる長さに設定されている。
【0059】
押下ロッド53は、上部に設けられている径大の取着部530と、取着部530の下側に設けられ全長にわたり同径のロッド部531で構成されている。ロッド部531の直径は、前記押下ロッド52のロッド部521と同じに形成されている。また、ロッド部531の長さは、図16に示すように、押下ロッド53で押し下げられる圧縮用竹材料9の上端部を縮径冶具71のテーパー部710の上端に位置させることができる長さに設定されている。
【0060】
また、押下ロッド54は、上部に設けられている径大の取着部540と、取着部540の下側に設けられ前記押下ロッド53のロッド部531と同じ長さ及び直径を有するロッド部541と、その先端に先側が縮径するよう設けられている縮径部542及びさらにその先端に設けられている径小部543で構成されている。
【0061】
縮径部542の直径、長さ及びテーパーは、後述する縮径冶具71のテーパー部710と合わさって密着できるように形成されている。押下ロッド54の径小部543先端までの長さは、図17に示すように押下ロッド54で押し下げられる圧縮用竹材料9の上端部を受け冶具70の収容空間部700の上端に位置させることができる長さに設定されている。
【0062】
ここで、前記成形ユニット7の構造を主に図12を参照して説明する。
成形ユニット7は、ターンテーブル3の周方向に等間隔をおいて四箇所に、ターンテーブル3に対し着脱できるようにして取り付けられている。
ターンテーブル3において成形ユニット7が取り付けられる四箇所には、円形の挿入孔31が上下方向に貫通して設けられている。
【0063】
各挿入孔31には、成形ユニット7を収容する加熱筒32が装着されている。加熱筒32は筒部320を有し、その上端にフランジ部321を有している。筒部320の外径は、挿入孔31に挿入できるように挿入孔31の直径よりやや径小に形成されている。また、筒部320の内径は、後述する受け冶具70を挿入し、かつ自重で下方へ落ちることができるように受け冶具70の直径よりやや径大に形成されている。
【0064】
また、加熱筒32の筒部320の周壁内部には、加熱手段であるヒーター322が周方向の三箇所に内蔵されている。ヒーター322は、筒部320の内部に収容される受け冶具70を170℃程度に加熱することができる。
加熱筒32は、筒部320を上方から挿入孔31に挿入し、フランジ部321を挿入孔31の縁部上面に掛けるようにしてターンテーブル3に取り外しができるようにして挿入載置されている。
【0065】
成形ユニット7は、受け部である受け冶具70、縮径部である縮径冶具71及びセット部であるセット冶具72を備えている。各冶具70、71、72は、下側から前記した順番で組み合わせられて使用される。また、各冶具70、71、72はほぼ筒状体であり、それぞれ直径線方向で二分割された割子構造である。各冶具70、71、72は、所要数のボルト・ナット(符号省略)によって一体化と分割ができる。
【0066】
受け冶具70は、圧縮用竹材料9を圧縮して得られた成形品である竹製圧縮材9aを収容する部分である。
受け冶具70は、中心部に長手方向に貫通した収容空間部700を有するほぼ円筒形状である。円孔である収容空間部700は、後述するセット冶具72の収容空間部720よりやや径小に形成されている。
【0067】
縮径冶具71は、材料である圧縮用竹材料9を圧縮して縮径する部分である。
縮径冶具71の狭小部であるテーパー部710は、下方へ向け窄まるように縮小している。テーパー部710の下端寄りには最小径部711が設けられている。最小径部711から縮径冶具71の下端へ向け末広がりに徐々に内径が大きくなり、下端部では前記受け冶具70の収容空間部700の内径と同じになる。
【0068】
また、テーパー部710は、表面にクロムメッキが施してあり、表面を滑らかにして圧縮用竹材料9の圧縮時の摺動(擦動)を助けることができるようにしている。すなわち、摩擦抵抗を低減することができるので、強く擦れることによる竹材料の破壊が起こりにくい。なお、メッキの種類は、表面を滑らかにすることができれば、他の種類のメッキでもよく、さらにメッキに限らずテフロン(登録商標)加工等、他の滑面処理も採用できる。
また、縮径冶具71の上端には径大のフランジ部712が設けられている。
【0069】
セット冶具72は、材料である圧縮用竹材料9を収容する部分である。セット冶具72は、中心部に長手方向に貫通した収容空間部720を有するほぼ円筒形状である。円孔である収容空間部720は、全長にわたり同径である。
【0070】
なお、セット冶具72の下端部の中央部分には凸部721(図12、図13に図示)が形成されており、前記縮径冶具71の上端部の中央部分には凹部713が形成されており、両冶具72、71はこの凸部721と凹部713が嵌め合うようになっている。また、縮径冶具71の下端部の中央部分には凸部714が設けられ、前記受け冶具70の上端部の中央部分には凹部701が設けられており、両冶具71、70は凸部714と凹部701が嵌め合うようになっている。
【0071】
そして、成形ユニット7は、まず受け冶具70を加熱筒32の上方から中に入れ、加熱筒32を貫通した受け冶具70の底部がスライドシート11上に載置されるようにし、受け冶具70の上方に加熱筒32の上部に嵌め入れるようにして縮径冶具71を載せ、さらにその上にセット冶具72を載せて組み立てられる。このように各冶具70、71、72は互いに固定されていない。なお、この状態で、受け冶具70の下部は加熱筒32の下端から一部が出ている(後述する図13(b)参照)。
【0072】
図13は成形ユニットの組み立て方法を示し、(a)は分解断面説明図、(b)は組み立てた状態の断面説明図、
図14は竹製圧縮材製造装置における材料挿入工程時の成形ユニットの状態を示す縦断面説明図、
図15は竹製圧縮材製造装置における材料セット工程時の成形ユニットの状態を示す縦断面説明図、
図16は竹製圧縮材製造装置における第1圧縮工程時の成形ユニットの状態を示す縦断面説明図、
図17は竹製圧縮材製造装置における第2圧縮工程時の成形ユニットの状態を示す縦断面説明図、
図18は竹製圧縮材製造装置における取り出し工程時の成形ユニットの状態を示す縦断面説明図である。
図1ないし図18を参照し、竹製圧縮材製造装置の作用及び竹製圧縮材を製造する作業手順を説明する。
なお、前記図12ないし図18の説明では断面説明図としているが、成形ユニット7に関しては、図13を除き、便宜上各冶具70、71、72の分割面が表れるようにして図示している。
【0073】
また、以下に説明するポジションP1ないしP8の位置は図10に表している。これらのポジションP1ないしP8は、図10に示す位置に固定であり、ターンテーブル3の回転と共に位置が変わるものではない。また、各ポジションのうち、何らかの作業を行うのは後述するようにポジションP1、P2、P4、P6、P8においてであり、他のポジションP3、P5、P7においては特に作業は行わない。
【0074】
(ポジションP1:成形ユニット組立工程)
(1)作業者側である正面のポジションP1において成形ユニット7を組み立てる。この組立作業においては、まず、受け冶具70を手で持ち、加熱筒32の上方から中に入れる。受け冶具70は加熱筒32を貫通し、受け冶具70の底部はスライドシート11に載置される。なお、作業者は手に耐熱手袋を装着して各冶具70、71、72を取り扱うようにする。
【0075】
(2)次に、受け冶具70の上方のターンテーブル3に対しそれを貫通して縮径冶具71を載せ、さらにその上にセット冶具72を載せる。このように各冶具は互いに固定されていない。なお、縮径冶具71はフランジ部712が加熱筒32の上部開口縁に掛かるようになっており、後述するように下側の受け冶具70が落ちても縮径冶具71は落ちない(図13参照)。
なお、加熱筒32は常にヒーター322によって150℃程度に加熱されている。受け冶具70は加熱筒32内で前記温度に加熱され、縮径冶具71とセット冶具72は、あらかじめ別の加熱装置で加熱筒32と同じ程度の温度に加熱しておく。
【0076】
(3)接着剤を塗布し、中心孔に金属製の芯棒92を入れた圧縮用竹材料9をセット冶具72に挿入する(図14参照)。なお、セット治具72の収容空間部720の内径と、芯棒92を入れた時の圧縮用竹材料9の直径はほぼ同じであり、圧縮用竹材料9はややきつい状態で挿入されるので、芯棒92はほとんど落ちることはない。なお、一端側が径大となったストッパー付きの芯棒を採用して落ちないようにすることもできる。
【0077】
(4)スタートボタン(図示省略)を押す。これにより、ターンテーブル3が平面視で右周り方向(図10の矢印a方向)へ45°回転し、成形ユニット7がポジションP2に来た位置でターンテーブル3は停止する。なお、成形ユニット7の前記受け冶具70は、底部をスライドシート11上で滑らせながら移動する。
【0078】
(ポジションP2:材料セット工程)
(5)成形ユニット7がポジションP2に停止すると、その下方のエアーシリンダー16が作動し、伸縮ロッド160のロッドヘッドが受け冶具70の収容空間部700の中心及び縮径冶具71のテーパー部710の中心を通り、テーパー部710の上端位置まで伸張して停止する。
【0079】
(6)ジャッキ6が作動し、押下ロッド52が低速でゆっくりと下降し、所定の高さで停止する。これによって、圧縮用竹材料9がセット冶具72の所定の位置(圧縮用竹材料9の下端部が縮径冶具71のテーパー部710の上端からやや下に入った位置)まで下がって下端がやや締められた状態でセットされる(図15参照)。
圧縮用竹材料9の中心に入っている芯棒92が、仮に圧縮用竹材料9が下降しているときに下方へ抜けようとしても前記エアーシリンダー16のロッド160のロッドヘッドで止められ、下方へ抜け落ちることはない。
なお、ポジションP2の他、後述するポジションP4、P6における各工程では各押下ロッド53、54が押下ロッド52と同時に同じストロークで上昇、下降して別々の作業が同時に行われる。
【0080】
(7)押下ロッド52は自動的に基の位置まで上昇する。また、圧縮用竹材料9が前記位置でセットされると、芯棒92は周りの竹材で締められて固定されるので、伸縮ロッド160による支えが不要になる。このためセット後は、エアーシリンダー16が作動し、伸縮ロッド160が元のように縮小して停止する。
【0081】
(8)押下ロッド52の上昇終了後、再びターンテーブル3が前記と同じ右周り方向へ45°回転し、成形ユニット7がポジションP3に来た位置でターンテーブル3は停止する。このタイミングでは、作業者の正面のポジションP1において次の成形ユニット7の組立作業が行われる。
【0082】
(9)ポジションP1において成形ユニット7の組立作業が終わり、スタートボタンが押されると、ターンテーブル3が前記と同じ右周り方向へ45°回転し、成形ユニット7がポジションP4に来た位置でターンテーブル3は停止する。
【0083】
(ポジションP4:第1圧縮工程)
(10)成形ユニット7がポジションP4に停止すると、ジャッキ6が作動し、押下ロッド53の先端が縮径冶具71のテーパー部710の上部入口の高さまで下降して停止する。この途中、押下ロッド53は先端を圧縮用竹材料9の上面に当接させ、圧縮用竹材料9を下方へ押し下げる。これにより、圧縮用竹材料9は下側から順に縮径冶具71のテーパー部710で縮径され、圧縮(または圧密)された状態で下側の受け冶具70の収容空間700に入る。
【0084】
なお、この縮径時においては、圧縮用竹材料9は最小径部711を通り、最小径部711を抜けると組織のリバウンドによって若干膨らむが、受け冶具70の収容空間部700の内径は最小径部711よりやや径大となっているので、その膨らみが収容空間部700で吸収される。これにより、圧縮用竹材料9の圧縮された部分の表面と収容空間部700の内周面との間の摩擦力を小さくして、圧縮用竹材料9を押し込むときの抵抗を低減することができる。また、圧縮用竹材料9が強度の限界を超えた力で押されることにより破壊されることを防止できる。
押下ロッド53の先端は前記位置で停止するため、この工程終了後も圧縮用竹材料9は上端側の一部が前記テーパー部710に残った状態である(図16参照)。
【0085】
(11)押下ロッド53は自動的に基の位置まで上昇する。押下ロッド53の上昇終了後、再びターンテーブル3が前記と同じ右周り方向へ45°回転し、成形ユニット7がポジションP5に来た位置でターンテーブル3は停止する。このタイミングでは、作業者の正面のポジションP1において次の成形ユニット7の組立作業が行われる。
【0086】
(12)ポジションP1において成形ユニット7の組立作業が終わり、スタートボタンが押されると、ターンテーブル3が前記と同じ右周り方向へ45°回転し、成形ユニット7がポジションP6に来た位置でターンテーブル3は停止する。
【0087】
(ポジションP6:第2圧縮工程)
(13)成形ユニット7がポジションP6に停止すると、ジャッキ6が作動し、押下ロッド54が下降する。そして、押下ロッド54は、その先端が縮径冶具71のテーパー部710出口の高さになった位置で停止する。この途中、押下ロッド54は先端を圧縮用竹材料9の上面に当接させ、圧縮用竹材料9を下方へ押し下げる。これにより、圧縮用竹材料9においてテーパー部710に残っていた部分は、さらにテーパー部710で縮径され、圧縮用竹材料9は圧縮成形された竹製圧縮材9aとなり、その全体が下側の受け冶具70の収容空間700に収容される(図17参照)。
【0088】
(14)竹製圧縮材9aが受け冶具70の収容空間700に収まると、押下ロッド54は自動的に基の位置まで上昇する。
(15)押下ロッド54の上昇終了後、再びターンテーブル3が前記と同じ右周り方向へ45°回転し、成形ユニット7がポジションP7に来た位置でターンテーブル3は停止する。このタイミングでは、作業者の正面のポジションP1において次の成形ユニット7の組立作業が行われる。
【0089】
(16)ポジションP1において成形ユニット7の組立作業が終わり、スタートボタンが押されると、ターンテーブル3が前記と同じ右周り方向へ45°回転し、成形ユニット7がポジションP8に来た位置でターンテーブル3は停止する。
【0090】
(ポジションP8:取り出し工程)
(17)成形ユニット7がポジションP8に停止すると、竹製圧縮材9aが収容されている受け冶具70がスライドシート11及びベース板10を貫通して設けられている排出穴12に合わさり、縮径冶具71から分離して(または離れて)排出穴12を通って下方へ落ち、シュート13から外部へ排出される(図18参照)。また、上部に残ったセット冶具72と縮径冶具71をここで取り外す。
【0091】
(18)排出された受け冶具70は、冷水や氷で例えば40℃程度まで冷却された後、半分に分割されて、内部から竹製圧縮材9aが取り出される。また、竹製圧縮材9a内の芯棒92は孔部91aから抜き出す。これにより、竹製圧縮材9aが熱で膨れた状態で取り出されるのを防止することができる。なお、竹材中のリグニンのガラス転移点(柔らかくなりはじめる温度)は60℃付近であるので、竹製圧縮材9aの温度をその温度以下に冷却してリグニンを固化させることにより竹製圧縮材9aの外径(または外部形状)が収容空間部700の内径(または内部形状)とほぼ同じになるように保持できる。
【0092】
(19)受け冶具70が排出された後、再びターンテーブル3が前記と同じ右周り方向へ45°回転し、成形ユニット7が作業者の正面のポジションP1に来た位置でターンテーブル3は停止する。これにより、前記(1)の作業から始まった一本の竹製圧縮材9aを製造する工程が完了する。
(20)そして、ポジションP1において前記作業(1)、(2)のように次の成形ユニット7の組立作業が行われ、以下、前記(19)までの作業と同様の作業を繰り返すことにより、竹製圧縮材9aを連続的に製造することができる。
【0093】
また、竹製圧縮材製造装置Mによれば、圧縮用竹材料9を材料とした竹製圧縮材9aだけでなく、ほぼ同様の作業によって圧縮用竹材料9dを材料とした竹製圧縮材9eを圧縮成形することができる。なお、竹製圧縮材9eは中心に孔部が設けられないので、芯棒が不要であり、エアシリンダー16は作動させなくてよい。
【0094】
本明細書で使用している用語と表現は、あくまでも説明上のものであって、なんら限定的なものではなく、本明細書に記述された特徴およびその一部と等価の用語や表現を除外する意図はない。また、本発明の技術思想の範囲内で、種々の変形態様が可能であるということは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0095】
【図1】本発明に係る竹製圧縮材の製造方法の第1形態を示し、(a)は竹材料を所定の形状に配した圧縮する前の状態の説明図、(b)は圧縮後の状態の説明図。
【図2】本発明に係る竹製圧縮材の製造方法の第1形態を示し、(a)は竹材料を所定の形状に配した圧縮する前の状態の斜視図、(b)は圧縮後の状態の斜視図。
【図3】断面形状台形の竹材料の取り方を示す説明図。
【図4】本発明に係る竹製圧縮材の製造方法の第2形態を示し、(a)は竹材料を所定の形状に配した圧縮する前の状態の説明図、(b)は圧縮後の状態の説明図。
【図5】本発明に係る竹製圧縮材の製造方法の第3形態を示し、(a)は竹材料を所定の形状に配した圧縮する前の状態の説明図、(b)は圧縮後の状態の説明図。
【図6】本発明に係る竹製圧縮材製造装置の正面図。
【図7】竹製圧縮材製造装置の背面図。
【図8】竹製圧縮材製造装置の側面図。
【図9】図6におけるA−A断面説明図。
【図10】図6におけるB−B断面説明図。
【図11】図6におけるC−C断面説明図。
【図12】成形ユニットの構造を示す縦断面説明図。
【図13】成形ユニットの組み立て方法を示し、(a)は分解断面説明図、(b)は組み立てた状態の断面説明図。
【図14】竹製圧縮材製造装置における材料挿入工程時の成形ユニットの状態を示す縦断面説明図。
【図15】竹製圧縮材製造装置における材料セット工程時の成形ユニットの状態を示す縦断面説明図。
【図16】竹製圧縮材製造装置における第1圧縮工程時の成形ユニットの状態を示す縦断面説明図。
【図17】竹製圧縮材製造装置における第2圧縮工程時の成形ユニットの状態を示す縦断面説明図。
【図18】竹製圧縮材製造装置における取り出し工程時の成形ユニットの状態を示す縦断面説明図。
【符号の説明】
【0096】
M 竹製圧縮材製造装置
1 台部
10 ベース板
11 スライドシート
12 排出穴
13 シュート
14 回転支持具
15 挿通孔
16 エアーシリンダー
160 伸縮ロッド
17 脚部
170 上部フレーム
171 支持フレーム
2 ガイド支柱
3 ターンテーブル
30 ダイレクトモータ
31 挿入孔
32 加熱筒
320 筒部
321 フランジ部
322 ヒーター
4 ガイド支持板
40 ガイド管
41、42、43 挿通孔
5 昇降フレーム
50 ホルダ孔
51 ロッド
52 押下ロッド
520 取着部
521 ロッド部
53 押下ロッド
530 取着部
531 ロッド部
54 押下ロッド
540 取着部
541 ロッド部
542 縮径部
543 径小部
55 取着管
6 ジャッキ
60 モータ
61 昇降体
7 成形ユニット
70 受け冶具
700 収容空間部
701 凹部
71 縮径冶具
710 テーパー部
711 最小径部
712 フランジ部
713 凹部
714 凸部
72 セット冶具
720 収容空間部
721 凸部
9 圧縮用竹材料
90 竹材料
91 孔部
92 芯棒
9a 竹製圧縮材
91a 孔部
9b 圧縮用竹材料
90b 竹材料
91b 孔部
9c 竹製圧縮材
91c 孔部
9d 圧縮用竹材料
90d 竹材料
9e 竹製圧縮材
99 材料片
P1〜P8 ポジション

【特許請求の範囲】
【請求項1】
接着剤を介して接合されている複数の竹材料を備えた竹製圧縮材であって、
各竹材料は組織の密度が低い側から圧力がかけられて組織が圧密され組織密度の均一化が図られており、組織密度の均一化が図られている前記複数の竹材料を接合した竹製圧縮材は、全体としての組織密度の均一化が図られている、
竹製圧縮材。
【請求項2】
接着剤を介して接合されている複数の竹材料を備えた竹製圧縮材であって、
複数の竹材料を、その組織の密度が低い側を内部側または外部側に配置して環状、棒状または柱状に形成されており、
各竹材料は組織の密度が低い側から圧力がかけられて組織が圧密され組織密度の均一化が図られており、組織密度の均一化が図られている前記複数の竹材料を接合した竹製圧縮材は、全体としての組織密度の均一化が図られている、
竹製圧縮材。
【請求項3】
竹材料は、断面形状が扇形状、台形状または三角形状である、
請求項1または2記載の竹製圧縮材。
【請求項4】
接着剤を介して接合されている複数の竹材料を備えた竹製圧縮材の製造方法であって、
加熱状態のもとで各竹材料に組織の密度が低い側から押圧力をかけて組織を圧密して竹材料の組織密度の均一化を図り、組織密度の均一化を図った前記複数の竹材料を接合した竹製圧縮材全体としての組織密度の均一化を図った、
竹製圧縮材の製造方法。
【請求項5】
接着剤を介して接合されている複数の竹材料を備えた竹製圧縮材の製造方法であって、
複数の竹材料を、その組織の密度が低い側を内部側または外部側に配置して環状、棒状または柱状に配置し、
加熱状態のもとで各竹材料に組織の密度が低い側から押圧力をかけて組織を圧密して竹材料の組織密度の均一化を図り、組織密度の均一化を図った前記複数の竹材料を接合した竹製圧縮材全体としての組織密度の均一化を図った、
竹製圧縮材の製造方法。
【請求項6】
各竹材料に組織の密度が低い側から押圧力をかけて組織を圧密するにあたり、環状、棒状または柱状に配置した竹材料を、径大空間から径小空間を通過させて竹材料に押圧力をかける、
請求項4記載の竹製圧縮材の製造方法。
【請求項7】
複数の竹材料の中心部に、中心孔を形成するための芯棒を入れて押圧力をかけ、竹製圧縮材の中心部に孔を形成する、
請求項5または6記載の竹製圧縮材の製造方法。
【請求項8】
竹製圧縮材の製造装置であって、
竹材料を成形する成形ユニット(7)と、
該成形ユニット(7)を所要の温度に加熱する加熱手段(322)と、
前記成形ユニット(7)を作業位置へ順に送る移送手段(3,30)と、
各作業位置に設けられており前記成形ユニット(7)内にセットされている竹材料を押して縮径するよう移動させる押圧手段(52,53,54)と、
を備えており、
前記成形ユニット(7)は、
竹材料をセットするセット部(72)と、
竹材料を圧縮して縮径するテーパー部(710)を有する縮径部(71)と、
竹材料を圧縮して得られた圧縮材を収容する受け部(70)と、
を備えており、
前記成形ユニット(7)のセット部(72)、縮径部(71)、受け部(70)はそれぞれ別体となっているものを組み合わせるか、または、セット部(72)と縮径部(71)は一体で、受け部(70)はセット部(72)および縮径部(71)とは分離して別体となっている、
竹製圧縮材の製造装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate


【公開番号】特開2009−241270(P2009−241270A)
【公開日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−87670(P2008−87670)
【出願日】平成20年3月28日(2008.3.28)
【出願人】(591224788)大分県 (31)
【出願人】(502172685)株式会社エクセム (1)
【出願人】(304028726)国立大学法人 大分大学 (181)
【Fターム(参考)】